説明

内視鏡システム

【課題】内視鏡による診察を行なう内視鏡システムにおいて、診察中に内視鏡の挿入長、すなわち、内視鏡の位置を知見できる内視鏡システムを提供する。
【解決手段】内視鏡の挿入部に、長手方向に配列して所定位置からの距離を示す情報保持手段を設け、マウスピース等の装着具に、情報保持手段の読取手段を設けることにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡による診察を行なう内視鏡システムに関し、詳しくは、患者体内への内視鏡の挿入長を好適に把握できる内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内視鏡は、基本的に、人体に挿入される挿入部、挿入部の操作や送気/送水などの内視鏡の操作を行なう操作部、送気源や吸引ポンプ等と接続されるLGコネクタ(Light Guideコネクタ)、および、LGコネクタと操作部および挿入部を接続するユニバーサルコード(LG軟性部)等から構成される。
【0003】
近年の内視鏡は、グラスファイバを利用して診察部位を直接的に観察する、いわゆるファイバースコープ型ではなく、CCDセンサ等のイメージセンサによって診察部位を撮像して、ディスプレイに撮像した画像を表示し、また、動画や静止画の撮影を行なう、いわゆる電子スコープ型の内視鏡が主流である。
また、内視鏡で撮影した画像(画像データ)も、写真などのハードコピーとして保管/管理するのみならず、コンピュータやサーバ、CDやDVDなどの記憶媒体に記憶して管理し、再診察の際などに、前回の診察で撮影した画像を読み出し、比較診察に利用することが行なわれている。
【0004】
ところで、内視鏡による診察を行なう際には、内視鏡(その挿入部の先端部)が、患者(被検者)の体内のどの位置に存在しているのかを、診察を行なう医師が容易かつ的確に把握できるのが好ましい。
診察中に、内視鏡の位置を医師が把握できれば、今、自分が観察している部位が何処であるかを容易に把握することができ、その結果、体内における病変部の位置、同組織の採取位置、同撮影位置などを適正に把握して、好適な診察を行なうことができる。
【0005】
また、内視鏡で再診察を行なう際には、前回の診察で撮影した病変部や、組織の採取や止血などの処置を施した位置などを観察目的として、経過観察を行なう場合が多い。従って、再診察の際には、前回の診察で観察や処置等を行なった位置を目的位置として、容易かつ迅速に、内視鏡を目的位置に挿入できるのが好ましい。
そのためには、診察時における内視鏡の位置を知見して、撮影や各種の処理を行なった際における内視鏡の位置と、撮影した画像や施した処置の情報等と対応付けして、情報を保存しておくのが好ましい。
【0006】
このような目的を達成するために、体内における内視鏡の位置を検出する、各種の提案が行なわれている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、内視鏡の挿入部に磁気発生部を設けると共に、診察台などに磁気センサを設けることにより、磁気センサによる磁気発生部の検出結果から、体内における内視鏡の形状や位置を検出すること装置が開示されている。
また、特許文献3には、逆に、診察台などに磁気発生手段を設け、内視鏡の挿入部に磁場の影響によって誘導電流を発生する位置検出センサを設け、この位置検出センサが発生した誘導電流の強度等を利用して、体内における内視鏡の位置を検出する内視鏡システムが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、内視鏡の挿入を補助するために患者の口に装着するマウスピースにビデオカメラを装着し、かつ、内視鏡の挿入部に、目視可能な挿入部の長さ目盛りを記録しておき、診察の際に、このビデオカメラで挿入部を撮影して、挿入部の画像を、内視鏡による画像と共にディスプレイに表示し、また、ビデオレコーダ等の記録装置で記録することにより、診察中に内視鏡の挿入長を、体内における内視鏡の位置情報として確認可能な装置が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−107875号公報
【特許文献2】特開2000−81303号公報
【特許文献3】特開2006−223850号公報
【特許文献4】特開平8−280604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの方法によれば、診察時における体内での内視鏡の位置を検出することができ、また、撮影した画像等と対応付けして記憶/保存することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3に開示される方法では、診察台などに患者の体全体に対応する磁気発生手段や磁気センサが必要となり、また、内視鏡にも、磁気の発生手段や検出手段を設ける必要があるため、装置が大がかりになってしまう。
他方、特許文献4に開示される方法では、マウスピースにビデオカメラを取り付け、このビデオカメラで、体内に挿入している内視鏡(挿入部)を撮影するので、患者が動きにくく、また、患者の動きを制限してしまい、診察の制限となってしまう可能性が有る。
【0011】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、簡易かつ小型のシステムで、医師が、診察中に患者の体内に挿入した内視鏡(挿入部)の長さを知ることができ、これにより、患者の体内における内視鏡(挿入部の先端部)の位置を知ることができる内視鏡システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、内視鏡と、前記内視鏡を挿入する挿入位置付近に装着される装着具と、制御手段とを有する内視鏡システムであって、前記内視鏡が、内視鏡の所定位置からの距離情報を保持する情報保持手段を、挿入部の長手方向に配列して有し、かつ、前記装着具が、前記内視鏡の情報保持手段の情報を読み取る読取手段を有し、もしくは、前記装着具が、情報保持手段を有し、かつ、前記内視鏡が、内視鏡の所定位置からの距離が既知である、前記装着具の情報保持手段の情報を読み取る読取手段を、挿入部の長手方向に配列して有し、前記制御手段は、前記内視鏡の読取手段もしくは前記装着具の読取手段が、前記情報保持手段から読み取った情報を取得して、この情報を用いて前記内視鏡の体内への挿入長を知見することを特徴とする内視鏡システムを提供する。
【0013】
このような本発明の内視鏡システムにおいて、前記装着具が、前記内視鏡の患者体内への挿入を補助する補助具であるのが好ましい。
また、本発明の内視鏡システムにおいて、前記情報保持手段がICタグであり、前記読取手段が、前記ICタグが保持する情報を読み取るICタグリーダであるのが好ましく、もしくは、前記情報保持手段が磁気記録媒体であり、前記読取手段が、磁気情報の読取手段であるのが好ましく、もしくは、前記情報保持手段が光学的に情報を発する情報発信手段であり、前記読取手段が、前記情報発信手段が発する光学的な情報を読み取る読取手段であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記構成を有する本発明の内視鏡システムは、内視鏡の挿入部に、長手方向に配列して、長さの情報を保持するICタグ等の情報保持手段(あるいはICタグリーダ等の読取手段)を設け、また、マウスピースなど内視鏡での診察時に人体に装着する部材に、ICタグリーダ(あるいはICタグ)を設ける。従って、内視鏡の挿入時に、ICタグの情報をICタグリーダで読み取ることにより、内視鏡の挿入長を知ることができる。
そのため、本発明によれば、診察中に、医師が、体内における内視鏡(挿入部の先端)の位置を確認しながら、病変部の観察、組織の採取などの処置を行なうことができる。また、撮影した画像や施した処置の情報と、内視鏡の挿入長の情報とを対応付けしてサーバやデータベースに保存することが可能となり、再診察の際に、前回の検査で撮影や処置を行なった目的位置に内視鏡を挿入することを、容易かつ迅速に行なうことを補助できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の内視鏡システムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明の内視鏡システムの一例をブロック図によって概念的に示す。
図1に示す内視鏡システム10は、内視鏡12による診察(検査)を行なうためのシステムであって、一例として、前記内視鏡12と、マウスピース14と、制御手段18と、内視鏡サーバ20と、ディスプレイ22とを有して構成される。
【0017】
内視鏡12は、CCDセンサを用いて診察部位の画像を撮像(撮影)し、動画や静止画の撮影や、組織の採取、止血などの処置などを行なう、いわゆる電子スコープ型の内視鏡である。
図2(A)に、内視鏡12の概念図を示す。この内視鏡12は、通常の内視鏡と同様に、患者の体内(体腔内)に挿入される挿入部30、内視鏡12の操作を行なう操作部34、病院などの診察設備の吸気手段、送水手段、光源装置等に接続されるLG(Light Guide)コネクタ(図示省略)、操作部34とLGコネクタとを接続するユニバーサルコード(LG軟性部)36等を有して構成される。
マウスピース14は、患者(被検者)の口腔から体内への内視鏡12(挿入部30)の挿入を補助するために、患者の口に装着する、内視鏡挿入の補助具である。
【0018】
ここで、図2(A)に示すように、図示例の内視鏡12の挿入部30には、長手方向に配列(好ましい態様として所定間隔で配列)して、ICタグ32が組み込まれている。
このICタグ32には、内視鏡12の所定位置から、ICタグ32自身が取り付けられている位置までの距離が書き込まれ、記憶している(ICタグ32が、所定位置からの距離を記憶(保持)している)。図示例においては、各ICタグ32は、内視鏡12の挿入部30の先端部40(例えば、その最先端部)から、自身が取り付けられている挿入部30の位置までの距離の情報(挿入部30の長さの情報)を保持している。
他方、マウスピース14には、図2(B)に概念的に示すように、内視鏡12に装着されたICタグ32に書き込まれた情報を読み取るICタグリーダ38が装着されている。
【0019】
図示例の内視鏡システム10においては、内視鏡12(挿入部30)を患者の口腔から体内に挿入する際には、挿入部30の各ICタグ32は、マウスピース14に取り付けられたICタグリーダ38の近傍を通過する。ここで、前述のように、ICタグ32に書き込まれているのは、内視鏡12の先端部40から自身の位置までの距離であり、すなわち、内視鏡12の挿入長である。
従って、内視鏡12による診察時に、ICタグリーダ38でICタグ32に書き込まれた情報を読み取ることにより、マウスピース14から内視鏡12の先端部までの距離、すなわち、内視鏡12の挿入長を検出することができる。
【0020】
ICタグ32およびICタグリーダ38には、特に限定はなく、公知のものが、各種、利用可能である。
また、ICタグ32の配置領域にも、特に限定はなく、体内において内視鏡12の挿入位置を知見したい位置に対する挿入部30の長さ等に応じて、適宜、決定すればよい。しかしながら、内視鏡の用途の汎用性や様々な要求に対する対応性を考慮すれば、体内に挿入される可能性のある領域には、全域にICタグ32を設けるのが好ましい。さらに、ICタグ32の間隔(挿入部長手方向の間隔(ピッチ))にも、特に限定はなく、また、全域に渡って等間隔でも、領域によって間隔や密度が異なってもよい。なお、ICタグ32の間隔が短い程、高精度に内視鏡の挿入長(位置)が検出でき、逆に、間隔が長い程、コストや装置の簡易化等の点で有利であるので、内視鏡12に要求される挿入位置の検出精度やコスト等に応じて、適宜、設定すればよい。
なお、ICタグ32として信号の送信機能を有さないものを用い、かつ、ICタグリーダ38として、読取距離(通信距離)を短い物を利用することにより、細かいピッチ(間隔)で挿入長を検出することができ、好ましい。
また、ICタグ32は、挿入部30の外部(外皮)に取り付けてもよいが、安全性や衛生性、さらには、内視鏡挿入の妨害の防止等を考慮すれば、挿入部30の内部に収容するように組み込むのが好ましい。
【0021】
ディスプレイ22は、公知のディスプレイ(表示装置)であり、内視鏡12が撮像した画像等を表示する。
また、内視鏡サーバ20は、内視鏡12が撮影した画像(動画/静止画)や、医師が入力した診察に関するコメント、内視鏡12の操作や患者に施した処置の情報等を、患者および診察日時毎等にまとめて記憶するサーバである。
【0022】
制御手段18は、内視鏡システム10の全体の制御/管理を行なうものである。
図示例の内視鏡システム10においては、一例として、制御手段18には、マウスやキーボード等の操作手段が設けられており、内視鏡システム10で診察を行なう患者の患者ID(識別情報)や、コメントなどの各種の情報、内視鏡システム10に対する指示等は、この制御手段18に入力され、内視鏡サーバ20等の必要な部位に供給される。
【0023】
内視鏡12が撮像した画像(動画)は、制御手段18に送られる。
他方、マウスピース14に取り付けられたICタグリーダ38は、スイッチ等による入力指示に応じて、随時、内視鏡12のICタグ38の読み取りを行い、ICタグ38から情報を読み取れた際には、その情報を、随時、制御手段18に供給する。
なお、ICタグリーダ38から制御手段18への情報の転送は、無線で行なっても有線で行なってもよいが、内視鏡操作の自由度、患者の自由度や負担を考慮すると、無線で行なうのが好ましい。
【0024】
制御手段18は、ICタグリーダ38から送られた情報から、ICタグリーダ38が情報を読み取ったICタグ32から内視鏡12(挿入部30)の先端部40までの距離、すなわち、マウスピース14から先端部40までの距離、すなわち、患者の体内への内視鏡12の挿入長を知見する。
制御手段18は、内視鏡12が撮影した画像(画像データ)に、必要な処理を施して、ディスプレイ22に表示させると共に、ICタグリーダ38から送られた情報から知見した挿入長も、画像と共にディスプレイ22に表示(出力)させる。
あるいは、ディスプレイ22による挿入長の表示に加え(あるいは変えて)、制御手段18など設けられたスピーカを出力手段として、音声によって内視鏡12の挿入長を出力してもよい。
【0025】
また、内視鏡12によって静止画/動画が撮影された際には(内視鏡12に撮影指示が入力された際には)、その情報も、内視鏡12から制御手段18に送られる。
制御手段18は、内視鏡12によって画像が撮影(ディスプレイの動画を見ながら医師の操作で撮影)されたら、撮影された画像に、その画像が撮影された時点での挿入長を対応付けして、内視鏡サーバ20に送る。さらに、止血や組織の採取等の各種の処置が行なわれ、制御手段18が、その旨の情報を取得した際には、処置の情報と挿入長の情報とを対応付けして、内視鏡サーバ20に送ってもよい。
内視鏡サーバ20は、制御手段18から送られた画像および挿入長の情報を、患者IDや診察日時等に対応付けして、例えば、この患者および診察日等に応じて設定された所定の位置(アドレス)に記憶する。
【0026】
以上の説明より明らかなように、本発明の内視鏡システム10によれば、医師は、内視鏡12による診察中に、内視鏡が撮像した画像(動画)の観察しつつ、その画像を撮像している内視鏡12の挿入長も知ることができる。
従って、本発明によれば、内視鏡12による診察中に、医師が、今、自分が観察している位置が患者の体内におけるどの位置であるかを容易に把握することができ、その結果、体内における病変部の位置、組織の採取や止血などの処置を行なった位置、画像の撮影位置などを容易に把握して、好適な診察を行なうことができる。
また、撮影を行なった際にも、撮影した画像と、撮影時における挿入長とを対応付けして、内視鏡サーバ20等に記憶しておくことができるので、再診察の際に、前回の診察で観察や処置等を行なった位置(目的位置)の挿入長を知見して、目的位置の挿入長を利用して、容易かつ迅速に、内視鏡を目的位置に挿入することが可能となる。
【0027】
以上の例では、挿入部30に配列したICタグ32が先端からの距離の情報を保持しているが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、各ICタグ32に、個々のICタグ32を識別するためのID情報を書き込んで、保持しておく。他方、制御手段18には、各ICタグ32のID情報と、先端部40(内視鏡12の所定位置)から各ICタグ32が取り付けられた位置までの距離との関係を示すテーブルを持たせておく。これにより、ICタグリーダ38から送られたICタグ32のID情報から、前記テーブルを用いて、制御手段18がICタグ32と先端部40との距離を知見し、すなわち、内視鏡12の挿入長を知見してもよい。
すなわち、この態様では、ICタグ32のID情報が、内視鏡先端(所定位置)からの距離情報となる。
【0028】
また、図示例とは逆に、内視鏡12の挿入部30にICタグリーダ38を組み込み、マウスピース14にICタグ32を取り付けてもよい。
この場合には、制御手段18に、各ICタグリーダ38のID情報と、先端部40(内視鏡12の所定位置)から各ICタグリーダ38が取り付けられた位置までの距離との関係を示すテーブルを持たせておく。
内視鏡12のICタグリーダ38は、スイッチ等による入力指示に応じて、随時、ICタグ32の読み取りを行なう。内視鏡12が挿入されると、ICタグリーダ38は、マウスピース14を通過する際にICタグ32の近傍を通過し、ICタグ32が保持する情報を読み取ることができる。ICタグリーダ38は、マウスピース14を通過する際にICタグ32を読み取れたら、ICタグ32が読み取りれた旨の情報と、自身のID情報とを、制御手段18に送る。
以下は、先の例と同様に、ICタグリーダ38から送られたID情報から、制御手段18が、前記テーブルを用いて、ICタグリーダ38と先端部40との距離を知見し、すなわち、内視鏡12の挿入長を知見する。
【0029】
図示例の内視鏡システム10においては、内視鏡12の所定位置からの距離の情報を保持する情報保持手段としてICタグ32を用い、情報保持手段の読取手段としてICタグリーダ38を用いたが、本発明は、これに限定はされず、各種の構成が利用可能である。
【0030】
一例として、情報保持手段として磁気記録媒体を用い、読取手段として磁気記録媒体の磁気情報を読み取る磁気ヘッド(好ましくは非接触)を用いる方法が例示される。
この構成でも、ICタグ32の位置に磁気記録媒体を配置し、また、ICタグリーダ38の位置に磁気ヘッドを配置することで、先に説明したICタグ等を用いる方法に同様にして、内視鏡の挿入長を知見することができる。
【0031】
例えば、内視鏡の挿入部の長手方向に、内視鏡の先端部からの距離情報を書き込んだ磁気記録媒体を、長手方向に配列して設け、他方、マウスピースに磁気ヘッドを設けて、磁気ヘッドによって磁気記録媒体に記録された情報を読み取ることにより、内視鏡の挿入長を知見すればよい。
【0032】
あるいは、情報発信手段として光学的な表示手段を用い、読取手段として、光学的な読取手段を用いてもよい。
ICタグ32の位置に表示手段を配置し、また、ICタグリーダ38の位置にスキャナ等の光学的な読取手段を配置することで、先に説明したICタグ等を用いる方法に同様にして、内視鏡の挿入長を知見することができる。
【0033】
一例として、表示手段としてEL素子(有機/無機)やLEDなどの発光素子を用いる発光部を用い、読取手段として光センサを用いる方法が例示される。
この際には、例えば、内視鏡の挿入部にICタグ30に変えて発光部を設け、マウスピースにICタグリーダ38に変えて光センサを設ける。各発光部は、予め設定された互いに異なる発光パターンで発光する(光学的な表示を行なう)。また、制御手段には、各発光部の発光パターンと、内視鏡の先端部から各発光部までの距離を示すテーブルを設けておく。
光センサは、マウスピースを通過する発光部の光を測光(例えば、on/offの2値で測光)して、その結果を、制御手段に送る。制御手段は、光センサによる測光結果から、発光部の発光パターンを検出し、この発光パターンから、先のテーブルを用いて、内視鏡の挿入長を知見する。
【0034】
この際において、発光部の発光パターンとしては、一次元表示的(ライン表示的)な発光パターン、二次元表示的な発光パターン、点滅パターン、これらの組み合わせ等が例示される。
また、光センサは、発光パターンが点滅である場合には点センサを、1次元的もしくは2次元的な発光パターンである場合にはラインセンサを、それぞれ用いればよい。
【0035】
あるいは、逆に、先端部からの位置が既知の光センサを内視鏡挿入部の長手方向に配列して、マウスピースに発光部を設け、マウスピースを通過した際に挿入部の光センサが光を検出するのを用いて、先のICタグリーダを内視鏡の挿入部に配列した態様と同様に、内視鏡の挿入長を知見する構成も可能である。
【0036】
別の構成として、表示手段として電子ペーパ等のディスプレイ状の表示手段を用い、設読取手段として表示手段の画像を読み取るスキャナを用いる方法が例示される。
この際には、一例として、内視鏡の挿入部にICタグ32に変えて表示手段を設け、マウスピースにICタグリーダ38に変えてスキャナを設ける。各表示手段は、予め設定された互いに異なる表示パターンを表示する。また、制御手段には、各表示手段の表示パターンと、内視鏡の先端部から各表示手段までの距離を示すテーブルを設けておく。
スキャナは、マウスピースを通過する表示手段の表示を読み取り、読取結果を制御手段に送る。制御手段は、スキャナによる読取結果を画像解析して、表示手段の表示パターンを検出し、この表示パターンから、先のテーブルを用いて内視鏡の挿入長を知見する。
【0037】
この構成では、表示手段による表示パターンとしてバーコード(1次元/2次元)を用い、スキャナとして、バーコードリーダを用いるのも好適である。
また、電子ペーパ等の表示手段を用いる際には、表示手段が、医師が目視可能な挿入長の表示(自身の位置での挿入長さは何センチなど)と、スキャナが読み取り可能なパターンの表示とを、交互に行なうようにしてもよい。
【0038】
図示例の内視鏡システム10は、口腔から内視鏡12(挿入部30)を挿入するシステムで、口腔への内視鏡の挿入を補助する補助具であるマウスピース14に、ICタグリーダ38などの読取手段等を設けたが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、鼻腔から挿入する内視鏡を用いるシステムにおいて、鼻腔への内視鏡の挿入を補助するために頭部や鼻部に装着する補助具や、肛門から挿入する内視鏡を用いるシステムにおいて、肛門への内視鏡の挿入を補助するために臀部に装着する補助具に、ICタグリーダ38などの読取手段やICタグ32などの情報保持手段を設けてもよい。
【0039】
また、本発明の内視鏡システムにおいて、ICタグリーダ38などの読取手段等を配置するのは、内視鏡の挿入を補助する補助具に限定はされず、内視鏡の挿入位置付近であり、かつ、挿入位置(挿入口)からICタグリーダ38等の読取手段までの距離が既知で固定(略固定)できるものであれば、例えば、内視鏡の挿入補助とは無関係に頭部に装着する装着具(ヘッドセット(ヘッドマウント))等であってもよい。
また、このような装着具にCCDカメラ等を装着して、内視鏡の挿入部を撮影して、ディスプレイ22等に表示し、医師の作業の補助等に役立ててもよい。
【0040】
以上、本発明の内視鏡の内視鏡システムについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
例えば、以上の例では、内視鏡の所定位置として、内視鏡(挿入部)の先端からの距離を検出して、内視鏡の挿入長を知見したが、本発明は、これに限定はされず、挿入部の中間位置を所定位置として、此処からの距離情報をICタグ等に記録しておき、ICタグの挿入部中間位置からの距離から、挿入長を知見してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の内視鏡システムの一例を概念的に示すブロック図である。
【図2】(A)は、本発明の内視鏡システムで用いられる内視鏡の一例を概念的に示す斜視図、(B)は、同マウスピースを概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
14 マウスピース
18 制御手段
20 内視鏡サーバ
22 ディスプレイ
30 挿入部
32 ICタグ
34 操作部
36 ユニバーサルコード
38 ICタグリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と、前記内視鏡を挿入する挿入位置付近に装着される装着具と、制御手段とを有する内視鏡システムであって、
前記内視鏡が、内視鏡の所定位置からの距離情報を保持する情報保持手段を、挿入部の長手方向に配列して有し、かつ、前記装着具が、前記内視鏡の情報保持手段の情報を読み取る読取手段を有し、もしくは、前記装着具が、情報保持手段を有し、かつ、前記内視鏡が、内視鏡の所定位置からの距離が既知である、前記装着具の情報保持手段の情報を読み取る読取手段を、挿入部の長手方向に配列して有し、
前記制御手段は、前記内視鏡の読取手段もしくは前記装着具の読取手段が、前記情報保持手段から読み取った情報を取得して、この情報を用いて前記内視鏡の体内への挿入長を知見することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記装着具が、前記内視鏡の患者体内への挿入を補助する補助具である請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記情報保持手段がICタグであり、前記読取手段が、前記ICタグが保持する情報を読み取るICタグリーダである請求項1または2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記情報保持手段が磁気記録媒体であり、前記読取手段が、磁気情報の読取手段である請求項1または2に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記情報保持手段が光学的に情報を発する情報発信手段であり、前記読取手段が、前記情報発信手段が発する光学的な情報を読み取る読取手段である請求項1または2に記載の内視鏡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−77763(P2009−77763A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247295(P2007−247295)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】