説明

内視鏡プロセッサ

【課題】 内視鏡のホワイトバランス調整・ブラックバランス調整のための時間を短縮する。
【解決手段】 内視鏡プロセッサ20は、ホワイトバランス調整回路31とブラックバランス調整回路32とを有する。撮像素子41において生成した原画像信号をホワイトバランス調整回路31に入力する。ホワイトバランス調整回路31が原画像信号のホワイトバランスを調整する。ホワイトバランス調整回路31は、ホワイトバランス調整のためのR、Bゲインを第1の調整画像信号とともにブラックバランス調整回路32に送る。ブラックバランス調整回路32は送られたR、Bゲインに基づいて第1の調整画像信号ブラックバランスを行うか否かを判断する。行なうと判断した場合に第1の調整画像信号にブラックバランスの調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡により得られる画像のホワイトバランス調整およびブラックバランス調整に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入部先端にCCDなどの撮像素子を有する電子内視鏡は、医療用および工業用に用いられている。正確な診断、観察をするためには、電子内視鏡により得られる画像において被写体の色が忠実に再現されることが望まれる。
【0003】
一方、被写体を照射する照明光源の違いや個々の撮像素子の分光感度の違いなどにより、画像の色再現性にばらつきが生じる。そこで、ホワイトバランス調整およびブラックバランス調整を行うことにより、画像において被写体の色を忠実に再現させている。
【0004】
従来、ホワイトバランス調整とブラックバランス調整を確実に行うための内視鏡撮像装置が開示されている(特許文献1参照)。ホワイトバランス調整のための撮影環境とブラックバランス調整のための撮影環境とは異なっているが、開示されている内視鏡撮像装置では撮影環境がホワイトバランス調整のための環境とブラックバランス調整のための環境とのいずれかを検知して、検知した環境に応じてホワイトバランス調整またはブラックバランス調整を行うものである。
【0005】
しかし、ホワイトバランス調整後にブラックバランスの調整が不要であるときもブラックバランスの調整を行い余分な時間を費やすことがあった。一方、ブラックバランスの調整を行わなかったために色の再現性が低下することがあった。
【0006】
また、撮影環境を変えてバランス調整スイッチを押すことが必要であり、ホワイトバランス調整およびブラックバランス調整を行うのに余分な時間がかかっていた。
【特許文献1】特開平10−211166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明ではホワイトバランスおよびブラックバランスの調整にかかる時間を短縮化させる内視鏡プロセッサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の内視鏡プロセッサは、被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得部と、原画像信号のホワイトバランスを調整することにより第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか否かを判断する判断部と、判断部がブラックバランスの調整を行うと判断する場合に第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部とを備えることを特徴としている。
【0009】
なお、原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部を備え、判断部はホワイトバランス調整値と所定の判別値とを比較することにより第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断することが好ましい。
【0010】
また、ホワイトバランス調整値の算出を開始させる第1のスイッチを備え、第1の演算部は第1のスイッチがONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいてホワイトバランス調整値を算出することが好ましい。
【0011】
また、原画像信号は第1の色信号と第2の色信号とによって構成され、第2の色信号に対応するホワイトバランス調整値は第2の色信号に乗じる第2の色のゲインであり、第2の色のゲインに対応する所定の判別値である第2の色の閾値を第2の色のゲインが超えるときに第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断することが好ましい。
【0012】
また、原画像信号は第3の色信号によって構成され、第3の色信号に対応するホワイトバランス調整値は第3の色信号に乗じる第3の色のゲインであり、第3の色のゲインに対応する所定の判別値である第3の色の閾値を第3の色のゲインが超えるときに第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断することが好ましい。
【0013】
また、第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算部と、第2の信号処理部はブラックバランス調整値に基づいて第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することが好ましい。
【0014】
また、ブラックバランス調整値の算出を第2の演算部に開始させる第2のスイッチを備え、第2の演算部は第2のスイッチがONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいてブラックバランス調整値を算出することが好ましい。
【0015】
また、原画像信号は第2の色信号によって構成され、第1の調整画像信号は第2の色信号に対応する第2の色の第1の調整信号によって構成され、第2の色の第1の調整信号に対応するブラックバランス調整値は第2の色の第1の調整信号に加算または減算する第2の色のシフト量であることが好ましい。
【0016】
また、原画像信号は第3の色信号によって構成され、第1の調整画像信号は第3の色信号に対応する第3の色の第1の調整信号によって構成され、第3の色信号に対応するブラックバランス調整値は第3の色の第1の調整信号に加算または減算する第3の色のシフト量であることが好ましい。
【0017】
また、第1の信号処理部が原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部と、第1の演算部におけるホワイトバランス調整値の算出をONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて開始させる第1のスイッチと、被写体に照明光を照射する照明機構から照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力部と、出力部に照明信号を出力させ照明信号の出力後に第1のスイッチをONに切替え第1のスイッチをONに切替えた後の所定の時間の後に出力部に停止信号を出力させ停止信号の出力後に第2のスイッチをONに切替えてブラックバランス調整値の算出を開始させる第3のスイッチとを備え、判断部はホワイトバランス調整値が第1の閾値を超えるときに第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断することが好ましい。
【0018】
また、第1の調整画像信号または第2の調整画像信号に相当する画像の色調を微調整するための色調補正値を入力するための入力部と、入力部によって入力される色調補正値を記憶するするメモリと、色調補正値に基づいて第1の調整画像信号または第2の調整画像信号に相当する画像の色調を微調整することにより第3の調整画像信号を生成する色調補正部とを備えることが好ましい。
【0019】
また、原画像信号は第2の色信号によって構成され、第1の調整画像信号は第2の色信号に対応する第2の色の第2の調整信号によって構成され、第2の調整画像信号は第2の色信号に対応する第2の色の第2の調整信号によって構成され、第2の色信号に対応する色調補正値は第2の色の第1の調整信号または第2の色の第2の調整信号に加算または減算する第2の色の補正シフト量であることが好ましい。
【0020】
また、原画像信号は第3の色信号によって構成され、第1の調整画像信号は第3の色信号に対応する第3の色の第1の調整信号によって構成され、第2の調整画像信号は第3の色信号に対応する第3の色の第2の調整信号によって構成され、第3の色信号に対応する色調補正値は第3の色の第1の調整信号または第3の色の第2の調整信号に加算または減算する第3の色の補正シフト量であることが好ましい。
【0021】
また、第3の調整画像信号に基づいて同一の明るさにおける第3の調整画像信号を構成する複数の色信号の比率を明るさが変化するときでも一定にさせる色バランス調整値を算出する第3の演算部と、色バランス調整値に基づいて第3の調整画像信号に相当する画像の色バランスを調整する色バランス調整部とを備えることが好ましい。
【0022】
また、原画像信号は第2の色信号によって構成され、第2の色信号に対応する色バランス調整値は第2の色信号に乗じる第2の色の調整ゲインであることが好ましい。さらに、原画像信号は第3の色信号によって構成され第3の色信号に対応する色バランス調整値は第3の色信号に乗じる第3の色の調整ゲインであることが好ましい。
【0023】
また、判断部がブラックバランスの調整不要であると判断する場合に調整不要であることを表示する表示部を備えることが好ましい。
【0024】
また、本発明の第2の内視鏡プロセッサは、被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得部と、原画像信号のホワイトバランスを調整することにより第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部と、原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部と、第1の演算部におけるホワイトバランス調整値の算出を、ONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて開始させる第1のスイッチと、第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算部と、第2の演算部におけるブラックバランス調整値の算出をONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて開始させる第2のスイッチと、被写体に照明光を照射する照明機構から照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力部と、出力部に照明信号を出力させ照明信号の出力後に第1のスイッチをONに切替え第1のスイッチをONに切替えた後の所定の時間の後に出力部に停止信号を出力させ停止信号の出力後に第2のスイッチをONに切替えてブラックバランス調整値の算出を開始させる第3のスイッチとを備えることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の第1の内視鏡システムは、被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより原画像信号を生成する電子内視鏡と、電子内視鏡から出力される原画像信号のホワイトバランスを調整することにより第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか否かを判断する判断部と、判断部がブラックバランスの調整を行うと判断する場合に第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部とを備えることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の第2の内視鏡システムは、被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより原画像信号を生成する電子内視鏡と、電子内視鏡から出力される原画像信号のホワイトバランスを調整することにより第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部と、原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部と、第1の演算部におけるホワイトバランス調整値の算出をONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて開始させる第1のスイッチと、第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算部と、第2の演算部におけるブラックバランス調整値の算出をONになってから取得される所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて開始させる第2のスイッチと、被写体に照明光を照射する照明機構から照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力部と、出力部に照明信号を出力させ照明信号の出力後に第1のスイッチをONに切替え第1のスイッチをONに切替えた後の所定の時間の後に出力部に停止信号を出力させ停止信号の出力後に第2のスイッチをONに切替えてブラックバランス調整値の算出を開始させる第3のスイッチとを備えることを特徴としている。
【0027】
また、本発明の第1のバランス調整プログラムは、被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得手段と、原画像信号のホワイトバランスを調整することにより第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理手段と、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか否かを判断する判断手段と、判断部がブラックバランスの調整を行うと判断する場合に第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理手段として内視鏡プロセッサを機能させることを特徴としている。
【0028】
また、本発明の第2のバランス調整プログラムは、被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得手段と、原画像信号のホワイトバランスを調整することにより第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理手段と、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理手段と、原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算手段と、第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算手段と、被写体に照明光を照射する照明機構から照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力手段と、ホワイトバランス調整を開始するためのスイッチからの開始信号を取得すると出力手段に照明信号を出力させ照明信号の出力後に取得する所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて第1の演算手段にホワイトバランス調整値の算出を開始させホワイトバランス調整値の算出開始から所定の時間経過後に出力手段に停止信号を出力させ停止信号の出力後に取得する所定のフィールドに相当する原画像信号に基づいて第2の演算手段にブラックバランス調整値の算出を開始させる動作制御手段として内視鏡プロセッサを機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ホワイトバランスの調整後にブラックバランスの調整が必要なときだけブラックバランスの調整が行われるので、調整に要する時間が短縮化される。また、第3のスイッチを一度ONにするだけで、撮影環境を変えることなくホワイトバランスの調整およびブラックバランスの調整が行えるので、調整に要する時間が短縮化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用した内視鏡プロセッサを有する内視鏡システムの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0031】
内視鏡システム10は、内視鏡プロセッサ20、内視鏡40、およびモニタ50によって構成される。内視鏡プロセッサ20は、コネクタ(図示せず)を介して内視鏡40、及びモニタ50に接続される。
【0032】
まず、内視鏡システム10の全体構成について簡潔に説明する。内視鏡プロセッサ20の内部には、被写体(図示せず)を照明するためのランプ21が設けられる。ランプ21から発光される光が、内視鏡40に設けられるライトガイド22を介して被写体に照射される。
【0033】
照射された被写体は、内視鏡40に設けられたCCDなどの撮像素子41により撮像される。撮像された被写体の画像は、原画像信号として内視鏡プロセッサ20に送られる。原画像信号は、内視鏡プロセッサ20において所定の信号処理が行われる。所定の信号処理が行われた原画像信号はモニタ50に送られ、原画像信号に相当する画像がモニタ50に表示される。
【0034】
次に、各部位について詳細に説明する。ランプ21からの照射光をライトガイド22の入射端22aに導くための光路中に絞り23および集光レンズ24が設けられる。ランプ21から照射される略平行な光束の光は、集光レンズ24で集光されて入射端22aに入射される。
【0035】
入射端22aに入射させる光の光量調整は、絞り23を駆動することにより実行される。絞り23は、絞り駆動回路26により動作が制御されるモータMにより駆動される。絞り駆動回路26は、システムコントローラ25を介して前段信号処理回路30に接続される。撮像素子41において生成する原画像信号に基づき、前段信号処理回路30により、撮像した画像の受光量が検出される。絞り駆動回路26により、画像の受光量に応じてモータMの駆動量が求められる。
【0036】
ランプ21に電力を供給するためのランプ用電源27は、システムコントローラ25に電気的に接続される。被写体へ照明光を照射させるための照射信号および照明光の照射を停止させるための停止信号が、システムコントローラ25からランプ用電源27に出力される。ランプ21の発光と消灯がシステムコントローラ25によって制御される。
【0037】
また、システムコントローラ25からは、撮像素子41を駆動するために必要な駆動信号が撮像素子駆動回路28に出力される。撮像素子41を撮像素子駆動回路28が駆動することにより、原画像信号が生成される。
【0038】
また、システムコントローラ25により内視鏡プロセッサ20全体の動作が制御される。後述する映像信号処理回路29も、システムコントローラ25によって動作が制御される。
【0039】
ライトガイド22の出射端22bから出射する照明光が、配光レンズ42を介して内視鏡40の先端付近に照射される。照明光が照射された被写体からの反射光により形成される被写体の光学像は、対物レンズ43を介して撮像素子41に受光される。
【0040】
撮像素子41に受光される被写体の光学像に相当する1フィールドの原画像信号が、撮像素子41において生成される。生成した原画像信号は、内視鏡プロセッサ20内に設けられる映像信号処理回路29に送られる。
【0041】
映像信号処理回路29は、前段信号処理回路30、ホワイトバランス調整回路31、ブラックバランス調整回路32、および後段信号処理回路33によって構成される。
【0042】
撮像素子41において生成された原画像信号は、前段信号処理回路30に送られる。原画像信号は、前段信号処理回路30において所定の処理が行われる。また、原画像信号に対して色分離処理が行なわれ、R信号(第2の色信号)、G信号(第1の色信号)、B信号(第3の色信号)に分離される。さらに、原画像信号にA/D変換が施されデジタル信号としてホワイトバランス調整回路31に送られる。
【0043】
ホワイトバランス調整回路31により、原画像信号のホワイトバランス調整が行われる。なお、後述するバランス調整モードにおいて、ホワイトバランス調整回路31ではホワイトバランス調整を行うためのRゲイン(第2の色のゲイン)およびBゲイン(第3の色のゲイン)が算出される。
【0044】
また、通常の観察時において、ホワイトバランス調整回路31では算出したRゲインおよびBゲインに基づいて、原画像信号のホワイトバランス調整が行なわれる。すなわち、ホワイトバランス調整回路31では、求められたRゲインが1フィールドを構成する各R信号に乗じられ、第1の調整R信号(第2の色の第1の調整信号)が生成される。また、求められたBゲインが1フィールドを構成する各B信号に乗じられ、第1の調整B信号(第3の色の第1の調整信号)が生成される。
【0045】
ブラックバランス調整回路32には、ホワイトバランス調整の行われた第1の調整画像信号がホワイトバランス調整回路31から送られる。なお、第1の調整画像信号は、G信号、第1の調整R信号、および第1の調整B信号によって構成される。また、ブラックバランス調整回路32には、RゲインとBゲインとに相当する信号が送られる。
【0046】
ブラックバランス調整回路32において、第1の調整画像信号のブラックバランス調整を行うか否かの判断が行なわれる。ブラックバランス調整を行うと判断する場合に第1の調整画像信号のブラックバランス調整が行われる。
【0047】
ブラックバランス調整を行うか否かは、RゲインおよびBゲインに基づいて行なわれる。ブラックバランス調整回路32には、ROM(図示せず)が接続される。ROMには、ブラックバランス調整を行うか否かを判別するための判別値が記憶されている。Rゲインに対応する第2の色の閾値とBゲインに対応する第3の色の閾値とが、判別値として予め定められている。
【0048】
Rゲインが第2の色の閾値を超えるか否か、あるいはBゲインが第3の色の閾値を超えるか否かがブラックバランス調整回路32において、判断される。いずれかのゲインが閾値を超える場合に、第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を実行することが判断される。
【0049】
ブラックバランスの調整を実行すると判断する場合は、後述するバランス調整モードにおいてブラックバランス調整回路32では、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するためのR信号シフト量(第2の色のシフト量)およびB信号シフト量(第3の色のシフト量)が求められる。
【0050】
また、通常の観察時においてブラックバランスの調整が必要と判断する場合は、ブラックバランス調整回路32ではR信号シフト量およびB信号シフト量に基づいて、第1の調整画像信号のブラックバランス調整が行われる。すなわち、1フィールドを構成する各第1の調整R信号からR信号シフト量を減じることにより、第2の調整R信号(第2の色の第2の調整信号)が生成される。また、1フィールドを構成する各第1の調整B信号からB信号シフト量を減じることにより、第2の調整B信号(第3の色の第3の調整信号)が生成される。
【0051】
ブラックバランスの調整が不要と判断する場合は、ブラックバランスの調整をすることなく第1の調整画像信号、すなわちG信号、第1の調整R信号、および第1の調整B信号が、後段信号処理回路33に出力される。また、ブラックバランスの調整を行った場合は、第2の調整画像信号が後段信号処理回路33に出力される。なお、第2の調整画像信号は、G信号、第2の調整R信号、および第2の調整B信号によって構成される。
【0052】
第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号は、後段信号処理回路33において所定の信号処理が行われる。さらに第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号に対してD/A変換が行なわれ、第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号はビデオ信号としてモニタ50に出力される。前述のようにモニタ50には、ビデオ信号に相当する画像が表示される。
【0053】
R、BゲインおよびR、B信号シフト量の算出方法および第2、第3の色の閾値について説明する。R、BゲインおよびR、B信号シフト量は、内視鏡プロセッサ20に内視鏡40を接続するときに初期準備として以下の作業を行なうことにより求められる。
【0054】
システムコントローラ25には、バランス調整スイッチ34が接続される。バランス調整スイッチ34がONに切替えられるとき、内視鏡プロセッサ20の動作モードはバランス調整モードに切り替えられる。バランス調整モードにおいて、システムコントローラ25がホワイトバランス調整回路31、ブラックバランス調整回路32、およびランプ用電源27を制御することにより、R、BゲインおよびR、B信号シフト量が算出される。
【0055】
バランス調整スイッチ34をONにすると、照射信号がシステムコントローラ25からランプ用電源27に出力される。照射信号に基づいてランプ用電源27はランプ21に電力を供給して、ランプ21を発光させる。
【0056】
内視鏡40の先端部周辺が、照明光により照射される。照明光が照射されているときに、撮像素子41により内視鏡40の先端部周辺の光学像が受光され、原画像信号が生成される。
【0057】
前述のように原画像信号はRGB信号に分離されて、ホワイトバランス調整回路31に入力される。ホワイトバランス調整回路31において、1フィールドを構成する複数のR信号の信号強度、複数のG信号の信号強度、複数のB信号の信号強度それぞれの平均値に基づいてRゲインおよびBゲインが算出される。
【0058】
すなわち、1フィールドを構成する、複数のR信号の信号強度の平均値を複数のG信号の信号強度の平均値で除すことにより、Rゲインが算出される。また、1フィールドを構成する、複数のB信号の信号強度の平均値を複数のG信号の信号強度の平均値で除すことにより、Bゲインが算出される。
【0059】
算出されたRゲインおよびBゲインは、RAM(図示せず)に記憶あるいはホワイトバランス調整回路31に保持される。記憶あるいは保持されたRゲインおよびBゲインは、観察時のホワイトバランス調整に用いられる。
【0060】
RゲインおよびBゲインの算出を終えると、停止信号がシステムコントローラ25からランプ用電源27に出力される。停止信号に基づいてランプ用電源27はランプ21への電力の供給を停止して、ランプ21を消灯させる。
【0061】
内視鏡41の先端部への照明光の照射が停止される。照明光の照射を停止しているときに、撮像素子41により内視鏡40の先端部周辺の光学像が受光され、原画像信号が生成される。
【0062】
この時点で生成された原画像信号には、記憶または保持されたRゲインおよびBゲインに基づいてホワイトバランス調整が行われる。ホワイトバランス調整により生成する第1の調整画像信号がブラックバランス調整回路32に入力される。また、前述のようにRゲインおよびBゲインもブラックバランス調整回路32に入力される。
【0063】
ブラックバランス調整回路32がブラックバランスの調整を行うと判断すると、1フィールドを構成する複数の第1の調整R信号の信号強度、複数のG信号の信号強度、および複数の第1の調整B信号の信号強度それぞれの平均値に基づいて、R信号シフト量およびB信号シフト量が求められる。
【0064】
すなわち、1フィールドを構成する、複数の第1の調整R信号の信号強度の平均値から複数のG信号の信号強度の平均値を減じることにより、R信号シフト量が算出される。また、1フィールドを構成する、複数の第1の調整B信号の信号強度の平均値から複数のG信号の信号強度の平均値を減じることにより、B信号シフト量が算出される。
【0065】
算出されたR信号シフト量およびB信号シフト量は、RAM(図示せず)に記憶あるいはブラックバランス調整回路32に保持される。記憶あるいは保持されたR信号シフト量およびB信号シフト量は、観察時のブラックバランス調整に用いられる。
【0066】
以上のようなバランス調整モードを実行する間は、図2に示すバランス調整治具60が内視鏡40の先端部に装着される。バランス調整治具60により内視鏡40の先端部が覆われる。内視鏡40の先端部が覆われることにより、バランス調整治具60の外部からの光の撮像素子41への入射が防がれる。なお、バランス調整治具60の内壁は白色である。
【0067】
バランス調整スイッチ34をONに切替えると、照明光がバランス調整治具の内壁61に照射される(図3参照)。照射光の反射光を受光して得られる原画像信号を用いて、RゲインおよびBゲインが算出される。ゲインの算出が終わると照明光の照射が停止され、撮像素子41には光が入射しない状態となる。この状態において生成される原画像信号は光学的に黒となる原画像信号であって、ブラックバランスを調整するための輝度値がゼロにおけるRGB信号に分離が可能な信号である。
【0068】
第2、第3の色の閾値の設定について、図4〜図8を用いて説明する。図4は、ホワイトバランス調整を行う前の輝度―RGB信号強度を示す第1のグラフである。図5は、ホワイトバランス調整を行った後の輝度―RGB信号強度を示す第1のグラフである。図6は、ホワイトバランス調整を行う前の輝度―RGB信号強度を示す第2のグラフである。図7は、ホワイトバランス調整を行った後の輝度―RGB信号強度を示す第2のグラフである。図8は、ブラックバランス調整を行なった後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。
【0069】
1フィールドを構成する複数のR、G、B信号からそれぞれのR、G、B信号に対応する輝度が求められる。1フィールドを構成する複数のR信号の信号強度の平均値および対応する平均の輝度と輝度がゼロであるときのR信号の信号強度とを、輝度―RGB信号強度のグラフにおいて結ぶことによりR信号線Lrが描かれる(図4、図6参照)。
【0070】
同様に、1フィールドを構成する複数のG信号の信号強度の平均値および対応する平均の輝度と輝度がゼロであるときのG信号の信号強度とを、輝度―RGB信号強度のグラフにおいて結ぶことによりG信号線Lgが描かれる。
【0071】
また同様に、1フィールドを構成する複数のB信号の信号強度の平均値および対応する平均の輝度と輝度がゼロであるときのB信号の信号強度とを、輝度―RGB信号強度のグラフにおいて結ぶことによりB信号線Lbが描かれる。
【0072】
1フィールドを構成する複数のR信号に対応する輝度の平均値、複数のG信号に対応する輝度の平均値、および複数のB信号に対応する輝度の平均値は、輝度平均値Baveに等しい。Rゲインを輝度平均値BaveにおけるR信号に乗じることにより、R信号と輝度平均値BaveにおけるG信号とが一致する。同様に、Bゲインを輝度平均値BaveにおけるB信号に乗じることにより、B信号と輝度平均値BaveにおけるG信号とが一致する。
【0073】
輝度がゼロのときにおいても、RGB信号の信号強度はゼロを超える光学的黒レベルの信号強度である。したがって、R信号線Lr上のR信号にRゲインを乗じても、G信号線Lgに完全に一致させることは出来ない。また同様に、B信号線Lb上のB信号にBゲインを乗じても、G信号線Lgに完全に一致させることはできない。
【0074】
図4に示すように、ホワイトバランス調整前の輝度平均値BaveにおけるB信号とG信号との差が小さいときは、B信号にBゲインを乗じた第1の調整B信号はG信号と輝度信号全体に渡って、略等しい(図5参照)。このような場合は、ブラックバランスが未調整であっても、十分な色の再現性を得ることが可能である。
【0075】
一方、図6に示すように、ホワイトバランス調整前の輝度平均値BaveにおけるB信号とG信号との信号強度の差が大きい時は、B信号に乗じるBゲインは大きな値になる。したがって、輝度が0におけるB信号にBゲインを乗じたB信号の信号強度とG信号の信号強度との差が大きくなる(図7参照)。色信号の間の光学的黒レベルの差が大きくなると、色の再現性が損なわれる。
【0076】
そこで、画像の色の再現性を損なわせるRゲインまたはBゲインが、それぞれ第2の色の閾値、第3の色の閾値として定められる。なお、図8に示すように、ブラックバランス調整後は、輝度平均値Baveにおいてわずかに色信号の差が生じるが、原画像信号に比べて色の再現性は大幅に向上される。
【0077】
次に、内視鏡プロセッサ20により行なわれるバランス調整の処理について図9、図10のフローチャートを用いて説明する。図9はバランス調整モードにおいて行われるゲインおよびシフト量の算出のフローチャートである。図10は通常観察時に行なわれるホワイトバランス、ブラックバランスの調整のフローチャートである。
【0078】
内視鏡40を接続し、内視鏡プロセッサ20の電源をONにすることにより、バランス調整の処理は開始する。ステップS100において、バランス調整スイッチ34がONであるか判断する。ONである場合は、ステップS101に進む。
【0079】
バランス調整スイッチ34がOFFのままである場合は、ゲインおよびシフト量の算出の処理を終了する。なお、この場合、通常観察におけるホワイトバランス調整およびブラックバランス調整に用いるR、Bゲインを1、R、B信号シフト量を0に設定してRAMに記憶、またはホワイトバランス調整回路31およびブラックバランス調整回路32において保持する。
【0080】
ステップS101において、照明光を内視鏡40の先端部の周囲に照射させる。照明光を照射するとステップS102に進み、撮像素子41を駆動して原画像信号を生成する。
【0081】
次にステップS103に進み、RゲインおよびBゲインを算出する。算出したR、BゲインをRAMに記憶、またはホワイトバランス調整回路31において保持する。次にステップS104に進む。ステップS104では、Rゲインが第2の色の閾値を超えているか、あるいはBゲインが第3の色の閾値を超えているかの判断を行なう。
【0082】
R、Bゲインのいずれもが閾値を下回る場合は、R、B信号シフト量を0に設定してRAMに記憶またはブラックバランス調整回路32において保持して、ゲインおよびシフト量の算出の処理を終了する。R、Bゲインの何れかが閾値を超える場合は、ステップS105に進む。ステップS105では、照明光の照射を停止する。
【0083】
次のステップS106では、再び撮像素子41を駆動して原画像信号を生成して、ステップS107に進む。ステップS107において、R信号シフト量およびB信号シフト量を算出する。算出したR、B信号シフト量をRAMに記憶、またはブラックバランス調整回路32において保持する。ステップS107の終了後、ゲインおよびシフト量の算出の処理を終了する。
【0084】
ゲインおよびシフト量の算出の処理の終了後、通常の観察におけるバランス調整処理が行われる。通常観察のバランス調整は、ステップS100でバランス調整スイッチ34がOFFのままである場合、ステップS104でR、Bゲインが閾値を下回る場合、あるいはステップS107の処理の終了後に始まる。なお、通常観察時には、ランプ21を発光させて被写体に照明光を照射している。
【0085】
始めのステップS200では、撮像素子41を駆動して原画像信号を生成する。次のステップS201では、ステップS200において生成した原画像信号のホワイトバランス調整を行い、第1の調整画像信号を生成する。なお、ステップS201では、ゲインおよびシフト量算出処理において記憶または保持されたR、Bゲインに基づいてホワイトバランス調整を行う。
【0086】
ホワイトバランスの調整後ステップS202に進む。ステップS202では、ステップS201で生成した第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行う。なお、ステップS202では、ゲインおよびシフト量算出処理において記憶または保持されたR、B信号シフト量に基づいてブラックバランス調整を行う。
【0087】
ブラックバランス調整の終了後、ステップS203に進む。ステップS203では、通常観察を終了するか否かの確認を行なう。終了しない場合は、ステップS200に戻る。以後、通常観察を終了するまでステップS200〜ステップS203の処理を繰返す。ステップS203で、通常観察を終了する場合にバランス調整の処理を終了する。
【0088】
以上のような本実施形態の内視鏡プロセッサ20によれば、ブラックバランス調整が必要かどうかの判断を行い、不要である場合にブラックバランス調整を行なわないので、内視鏡40の撮影準備の動作が短縮される。
【0089】
また、バランス調整スイッチを一度ONにするだけで、照明光を照射した状態における原画像信号に基づいてホワイトバランス調整のためのR、Bゲインが算出され、次に照明光の照射を停止した状態における原画像信号に基づいてブラックバランス調整のためのR、B信号シフト量が算出される。
【0090】
したがって、バランス調整治具60のように光を十分に反射する部材により内視鏡40の先端部を覆ってバランス調整スイッチ34を一度ONにするだけで、従来のように撮影条件を変えて再度バランス調整スイッチの操作を行なうことなく、R、Bゲインと必要に応じてR、B信号シフト量が算出される。すなわち、オペレータの作業工程を減らすことが可能になる。
【0091】
次に本発明の第2の実施形態を適用した内視鏡プロセッサについて説明する。第2の実施形態は、色調の微調整を行なうための色調微調整係数用メモリと色調補正回路を備える構成において第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には同じ符号を付す。
【0092】
図11は、第2の実施形態を適用した内視鏡プロセッサ200を有する内視鏡システム100の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0093】
第1の実施形態と同様に、内視鏡システム100は、内視鏡プロセッサ200、内視鏡40、モニタ50によって構成される。また、内視鏡プロセッサ20がコネクタを介して内視鏡40およびモニタ50に接続される構成も第1の実施形態と同様である。
【0094】
内視鏡プロセッサ200の内部に設けられるランプ21、集光レンズ24、絞り23、絞り駆動回路26の配置および機能は第1の実施形態と同じである。
【0095】
システムコントローラ25から撮像素子41を駆動するための駆動信号が撮像素子駆動回路28に出力され、撮像素子41が駆動されることにより原画像信号が生成されることも第1の実施形態と同じである。また、原画像信号が映像信号処理回路290に送られることも第1の実施形態と同じである。
【0096】
映像信号処理回路290は、前段信号処理回路30、ホワイトバランス調整回路31、ブラックバランス調整回路32、色調補正回路35、および後段信号処理回路33によって構成される。
【0097】
撮像素子41において生成された原画像信号が、前段信号処理回路30においてRGB信号に分離され、デジタル信号としてホワイトバランス調整回路31に送られることは第1の実施形態と同じである。
【0098】
ホワイトバランス調整回路31において、R、Bゲインの算出およびR、Bゲインに基づいて原画像信号にホワイトバランス調整を行い、第1の調整画像信号が生成されることも第1の実施形態と同じである。
【0099】
ブラックバランス調整回路32において、第1の調整画像信号のブラックバランス調整を行うか否かの判断をすることおよびブラックバランス調整が必要な場合は第1の調整画像信号のブラックバランス調整を行い第2の調整画像信号を生成することは第1の実施形態と同じである。
【0100】
第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号が色調補正回路35に送られる。色調補正回路35では、後述するように第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号に相当する画像の色調を微調整するための色調補正処理および色バランス処理が行われる。色調補正処理および色バランス処理を行うことにより、第4の調整画像信号が生成される。
【0101】
第4の調整画像信号は、後段信号処理回路33に送られる。第4の調整画像信号は後段信号処理回路33において所定の信号処理が行われる。さらに第4の調整画像信号に対してD/A変換が行なわれ、第4の調整画像信号はビデオ信号としてモニタ50に出力される。第1の実施形態と同様に、モニタ50にはビデオ信号に相当する画像が表示される。
【0102】
第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号に相当する画像の色調の微調整について詳細に説明する。システムコントローラ25には色調補正ダイアル36(入力部)が設けられる。色調補正ダイアル36はシステムコントローラ25に接続される。
【0103】
色調補正ダイアル36により、色調補正処理のための色調補正値がシステムコントローラ25を介して色調補正メモリ37に記憶される。色調補正メモリ37は、色調補正回路35に接続される。色調補正メモリ37に記憶された色調補正値に基づいて、色調補正回路35において第1の調整画像信号あるいは第2の調整画像信号の色調補正処理が行われる。
【0104】
色調補正値は、画像の赤みを調整するためのR信号補正シフト量と画像の青みを調整するためのB信号補正シフト量によって構成される。色調補正回路35において、第1の調整R信号または第2の調整R信号からR信号補正シフト量を減ずることによって、第3の調整R信号が生成される。また同様に、第1の調整B信号または第2の調整B信号からB信号補正シフト量を減ずることによって、第3の調整B信号が生成される。
【0105】
また、第3の調整R信号および第3の調整B信号の生成後、色調補正回路35において第3の調整R信号、G信号、第3の調整B信号の色バランス処理が行われる。まず、色調補正回路35において、色バランス処理を行うためのR調整ゲイン(第2の色の調整ゲイン)とB調整ゲイン(第3の色の調整ゲイン)が算出される。
【0106】
第3の調整R信号にR信号シフト量およびR信号補正シフト量を加えることにより、第3の調整R信号がブラックバランス調整を行う前の第1の調整R信号に一旦変換される。第1の調整R信号にR調整ゲインを乗じ、再度R信号シフト量およびR信号補正シフト量を加えることにより、色バランス処理の行われた第4の調整R信号が生成される。
【0107】
また同様に、第3の調整B信号にB信号シフト量およびB信号補正シフト量を加えることにより、第3の調整B信号がブラックバランス調整を行う前の第1の調整B信号に一旦変換される。第1の調整B信号にB調整ゲインを乗じ、再度B信号シフト量およびB信号補正シフト量を加えることにより、色バランス処理の行われた第4の調整B信号が生成される。なお、第4の調整R信号、G信号、および第4の調整B信号が。第4の調整画像信号として出力される。
【0108】
色調補正回路35で行われる色調補正処理と色バランス処理について図12〜図14を用いて説明する。図12は、ブラックバランス調整後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。図13は、色調補正処理後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。図14は、色バランス処理後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。
【0109】
ブラックバランス調整の行われたRGB信号からB信号補正シフト量が減じられることにより、B信号線Lbは下方に平行移動する(図13参照)。G信号線Lgと下方に平行移動したB信号線Lbとを比較すると、異なる輝度におけるG信号に対するB信号の信号強度の比が変わる(図13参照)。
【0110】
それゆえ、輝度の変化によって色合いが変化することになる。そこで、色バランス処理を施して、B信号または第1の調整B信号に乗じるゲインを変え、全輝度においてG信号に対するB信号の信号強度の比を一定にする調整が行われる。
【0111】
したがって、輝度がゼロの時および輝度が輝度平均値Baveの時におけるG信号に対する第4の調整B信号の比が同じになるように前述のB調整ゲインは算出される。同様に、輝度がゼロの時および輝度が輝度平均値Baveの時におけるG信号に対する第4の調整R信号の比が同じになるように前述のR調整ゲインは算出される。
【0112】
次に、内視鏡プロセッサ200により行なわれるバランス調整の処理について説明する。本実施形態により行なわれるバランス調整の処理のうちバランス調整モードにおいて行なわれる処理は、第1の実施形態と同じである(図9参照)。本実施形態では、通常観察時に行なわれるホワイトバランス、ブラックバランスの処理が異なっている。以下、通常観察時に行なわれるホワイトバランス、ブラックバランスの処理について図15を用いて説明する。
【0113】
まず、ステップS300において、撮像素子41を駆動して原画像信号を生成する。次にステップS301に進み、ステップS300において生成した原画像信号のホワイトバランス調整を行い、第1の調整画像信号を生成する。なお、第1の実施形態と同様にステップS301では、ゲインおよびシフト量算出処理において記憶または保持されたR、Bゲインに基づいてホワイトバランス調整を行う。
【0114】
ホワイトバランスの調整後ステップS302に進む。ステップS302では、ステップS301で生成した第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行う。なお、ステップS302では、ゲインおよびシフト量算出処理において記憶または保持されたR、B信号シフト量に基づいてブラックバランス調整を行う。
【0115】
ブラックバランス調整の終了後、ステップS303に進む。ステップS303では、色調補正メモリ37にR信号補正シフト量またはB信号補正シフト量が記憶されているか否か確認する。いずれの補正シフト量ともに記憶されていない場合はステップS306に進む。
【0116】
ステップS303で、少なくともいずれかの補正シフト量が記憶されている場合は、ステップS304に進む。ステップS304では、第1の調整画像信号または第2の調整画像信号に対して色調補正処理を行い、第3の調整画像信号を生成する。次のステップS305では、第3の調整画像信号に色バランス処理を行い、ステップS306に進む。
【0117】
ステップS306では、通常観察を終了するか否かの確認を行なう。終了しない場合は、ステップS300に戻る。以後、通常観察を終了するまでステップS300〜ステップS306の処理を繰返す。ステップS306で、通常観察を終了する場合にバランス調整の処理を終了する。
【0118】
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また、一旦設定したオペレータの好みの色調を得ることが可能になる。ホワイトバランス調整およびブラックバランス調整の行われた画像に対して、オペレータの設定したR信号補正シフト量およびB信号補正シフト量に基づく色調補正を行なうからである。
【0119】
なお第1、第2の実施形態において、原画像信号に対してR、Bゲインを用いてホワイトバランスの調整を行ったが、原画像信号のホワイトバランスを調整するいかなるホワイトバランス調整値を用いてもよい。R、Bゲイン以外のホワイトバランス調整値を用いる場合は、第2の色の閾値および第3の色の閾値に対応する判別値を用いて、ブラックバランス調整を行うか否かの判断を行えばよい。
【0120】
また第1、第2の実施形態において、第1の調整画像信号に対してR、B信号シフト量を用いてブラックバランスの調整を行ったが、第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するいかなるブラックバランス調整値を用いてもよい。
【0121】
また第1、第2の実施形態において、1フィールドの原画像信号に基づいてR、BゲインおよびR、B信号シフト量の算出を行なっているが、所定の複数のフィールドの原画像信号を用いてもよい。
【0122】
また第1、第2の実施形態におけるバランス調整モードでは、バランス調整治具60によって内視鏡の先端を覆ったが、内壁が光を反射する無彩色の部材であって外部から撮像素子41への光の入射を防ぐことが可能なカバーであればいかなるものでもよい。
【0123】
また第1、第2の実施形態におけるバランス調整モードでは、バランス調整治具60の内壁が白色であるが、無彩色であればいかなるものであってもよい。ただし、ホワイトバランスの調整は、検出可能な最大輝度に近いRGB信号により行なわれることが好ましく、白色であれば精密なR、Bゲインが算出可能である。
【0124】
なお第2の実施形態において、オペレータの入力によるR信号補正シフト量およびB信号補正シフト量は一組だけでなく、複数の組合せを色調補正メモリ37に記憶させて、観察時に、いずれかの補正シフト量によって色調調整を行うか選択することも可能である。
【0125】
次に、第1、第2の実施形態の第1の変形例について説明する。第1の変形例の構成は、第1、第2の実施形態の構成と略同じであるが、バランス調整モードにおける動作が第1、第2の実施形態と異なる。
【0126】
バランス調整モードにおいて、R、Bゲインの算出までの動作は第1、第2の実施形態と同じである。本変形例では、R、Bゲインに基づいてブラックバランスの調整が必要であると判断する場合は、モニタ50あるいは内視鏡プロセッサ20、200の表面に設ける表示部(図示せず)に所定のマークが表示される。所定のマークが表示されるときには、オペレータによってR、B信号シフト量算出のための撮影条件が準備される。
【0127】
所定のマークが表示されない場合は、そのまま通常の観察が可能となる。本変形例によっても、ブラックバランスの調整が不要であるときは、従来オペレータにより行なわれた余分な作業工程を省くことが可能になる。
【0128】
なお、本変形例においては、R、BゲインとR、B信号シフト量とを別々に算出するため、R、Bゲインの算出をするための第1のスイッチと、R、B信号シフト量を算出するための第2のスイッチとが必要である。ただし、バランス調整スイッチ34によって兼用することも可能である。
【0129】
なお、第1、第2の実施形態では、システムコントローラ25が、R、Bゲインを算出するための第1のスイッチおよびR、B信号シフト量を算出するための第2のスイッチの機能を果たしている。
【0130】
さらに、第1、第2の実施形態の第2の変形例について説明する。第1の変形例の構成は、第1、第2の実施形態と同じであるが、ブラックバランス調整回路32がブラックバランスを調整するか否かの判断を行なわない点で第1の実施形態と異なる。
【0131】
本変形例では、ブラックバランスの調整を行わなくてよいときでもブラックバランスを行うが、従来オペレータに行われていた作業を減らすことは可能である。すなわち、バランス調整治具60のように無彩色の部材により内視鏡40の先端部を覆ってバランス調整スイッチ34を一度ONにするだけで、従来のように撮影条件を変えて再度バランス調整スイッチの操作を行なうことなく、R、BゲインとR、B信号シフト量の算出が可能である。
【0132】
また、本実施形態を適用した内視鏡プロセッサは、ランプ21を備える汎用の内視鏡プロセッサにバランス調整処理を行うバランス調整処理プログラムを読込ませて構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用した内視鏡プロセッサを有する内視鏡システムの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】バランス調整治具の外観図である。
【図3】図2のIII―III線に沿ったバランス調整治具の断面図であって、内視鏡を装着した状態を示す図である。
【図4】ホワイトバランス調整を行う前の輝度―RGB信号強度を示す第1のグラフである。
【図5】ホワイトバランス調整を行った後の輝度―RGB信号強度を示す第1のグラフである。
【図6】ホワイトバランス調整を行う前の輝度―RGB信号強度を示す第2のグラフである。
【図7】ホワイトバランス調整を行った後の輝度―RGB信号強度を示す第2のグラフである。
【図8】ブラックバランス調整を行なった後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。
【図9】第1、第2の実施形態のバランス調整モードにおけるゲインおよびシフト量の算出のフローチャートである。
【図10】第1の実施形態の通常観察時に行われるホワイトバランス、ブラックバランス調整のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態を適用した内視鏡プロセッサを有する内視鏡システムの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図12】ブラックバランス調整後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。
【図13】色調補正処理後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。
【図14】色バランス処理後の輝度―RGB信号強度を示すグラフである。
【図15】第2の実施形態の通常観察時に行われるホワイトバランス、ブラックバランス調整のフローチャートである。
【符号の説明】
【0134】
10、100 内視鏡システム
20、200 内視鏡プロセッサ
21 ランプ
23 絞り
25 システムコントローラ
29、290 映像信号処理回路
30 前段信号処理回路
31 ホワイトバランス調整回路
32 ブラックバランス調整回路
33 後段信号処理回路
34 バランス調整スイッチ
35 色調補正回路
36 色調補正ダイアル
37 色調補正メモリ
40 内視鏡
41 撮像素子
60 バランス調整治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得部と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整することにより、第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、
前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか否かを判断する判断部と、
前記判断部がブラックバランスの調整を行うと判断する場合に、前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部とを備える
ことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【請求項2】
前記原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部を備え、
前記判断部は、前記ホワイトバランス調整値と所定の判別値とを比較することにより前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項3】
前記ホワイトバランス調整値の算出を開始させる第1のスイッチを備え、
前記第1の演算部は、前記第1のスイッチがONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて前記ホワイトバランス調整値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項4】
前記原画像信号は、第2の色信号によって構成され、
前記第2の色信号に対応する前記ホワイトバランス調整値は、前記第2の色信号に乗じる第2の色のゲインであり、
前記第2の色のゲインに対応する前記所定の判別値である第2の色の閾値を、前記第2の色のゲインが超えるときに、前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項5】
前記原画像信号は、第3の色信号によって構成され、
前記第3の色信号に対応する前記ホワイトバランス調整値は、前記第3の色信号に乗じる第3の色のゲインであり、
前記第3の色のゲインに対応する前記所定の判別値である第3の色の閾値を、前記第3の色のゲインが超えるときに、前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断する
ことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項6】
前記第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算部と、
前記第2の信号処理部は、前記ブラックバランス調整値に基づいて前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項7】
前記ブラックバランス調整値の算出を前記第2の演算部に開始させる第2のスイッチを備え、
前記第2の演算部は、前記第2のスイッチがONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて前記ブラックバランス調整値を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項8】
前記原画像信号は、第2の色信号によって構成され、
前記第1の調整画像信号は、前記第2の色信号に対応する第2の色の第1の調整信号によって構成され、
前記第2の色の第1の調整信号に対応する前記ブラックバランス調整値は、前記第2の色の第1の調整信号に加算または減算する第2の色のシフト量である
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項9】
前記原画像信号は、第3の色信号によって構成され、
前記第1の調整画像信号は、前記第3の色信号に対応する第3の色の第1の調整信号によって構成され、
前記第3の色信号に対応する前記ブラックバランス調整値は、前記第3の色の第1の調整信号に加算または減算する第3の色のシフト量である
ことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項10】
前記第1の信号処理部が前記原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部と、
前記第1の演算部における前記ホワイトバランス調整値の算出を、ONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて開始させる第1のスイッチと、
被写体に照明光を照射する照明機構から、前記照明光を照射するための照明信号または前記照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力部と、
前記出力部に前記照明信号を出力させ、前記照明信号の出力後に前記第1のスイッチをONに切替え、前記第1のスイッチをONに切替えた後の所定の時間の後に前記出力部に前記停止信号を出力させ、前記停止信号の出力後に前記第2のスイッチをONに切替えて前記ブラックバランス調整値の算出を開始させる第3のスイッチとを備え、
前記判断部は、前記ホワイトバランス調整値が第1の閾値を超えるときに前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整すると判断する
ことを特徴とする請求項7に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項11】
被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得部と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整することにより、第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、
前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部と、
前記第1の演算部における前記ホワイトバランス調整値の算出を、ONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて開始させる第1のスイッチと、
前記第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算部と、
前記第2の演算部における前記ブラックバランス調整値の算出を、ONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて開始させる第2のスイッチと、
被写体に照明光を照射する照明機構から、前記照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力部と、
前記出力部に前記照明信号を出力させ、前記照明信号の出力後に前記第1のスイッチをONに切替え、前記第1のスイッチをONに切替えた後の所定の時間の後に前記出力部に前記停止信号を出力させ、前記停止信号の出力後に前記第2のスイッチをONに切替えて前記ブラックバランス調整値の算出を開始させる第3のスイッチとを備える
ことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【請求項12】
前記原画像信号は、第2の色信号によって構成され、
前記第1の調整画像信号は、前記第2の色信号に対応する第2の色の第1の調整信号によって構成され、
前記第2の色信号に対応する前記ホワイトバランス調整値は、前記第2の色信号に乗じる第2の色のゲインであり、
前記第2の色信号に対応する前記ブラックバランス調整値は、前記第2の色の第1の調整信号に加算または減算する第2の色のシフト量である
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項13】
前記原画像信号は、第3の色信号によって構成され、
前記第1の調整画像信号は、前記第3の色信号に対応する第3の色の第1の調整信号によって構成され、
前記第3の色信号に対応する前記ホワイトバランス調整値は、前記第3の色信号に乗じる第3の色のゲインであり、
前記第3の色信号に対応する前記ブラックバランス調整値は、前記第3の色の第1の調整信号に加算または減算する第3の色のシフト量である
ことを特徴とする請求項12に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項14】
前記第1の調整画像信号または前記第2の調整画像信号に相当する画像の色調を微調整するための色調補正値を入力するための入力部と、
前記入力部によって入力される色調補正値を記憶するするメモリと、
前記色調補正値に基づいて、前記第1の調整画像信号または前記第2の調整画像信号に相当する画像の色調を微調整することにより第3の調整画像信号を生成する色調補正部とを備える
ことを特徴とする請求項1または請求項11に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項15】
前記原画像信号は、第2の色信号によって構成され、
前記第1の調整画像信号は、前記第2の色信号に対応する第2の色の第2の調整信号によって構成され、
前記第2の調整画像信号は、前記第2の色信号に対応する第2の色の第2の調整信号によって構成され、
前記第2の色信号に対応する前記色調補正値は、前記第2の色の第1の調整信号または前記第2の色の第2の調整信号に加算または減算する第2の色の補正シフト量である
ことを特徴とする請求項14に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項16】
前記原画像信号は、第3の色信号によって構成され、
前記第1の調整画像信号は、前記第3の色信号に対応する第3の色の第1の調整信号によって構成され、
前記第2の調整画像信号は、前記第3の色信号に対応する第3の色の第2の調整信号によって構成され、
前記第3の色信号に対応する前記色調補正値は、前記第3の色の第1の調整信号または前記第3の色の第2の調整信号に加算または減算する第3の色の補正シフト量である
ことを特徴とする請求項15に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項17】
前記第3の調整画像信号に基づいて、同一の明るさにおける前記第3の調整画像信号を構成する複数の色信号の比率を前記明るさが変化するときでも一定にさせる色バランス調整値を算出する第3の演算部と、
前記色バランス調整値に基づいて、前記第3の調整画像信号に相当する画像の色バランスを調整する色バランス調整部とを備える
ことを特徴とする請求項14に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項18】
前記原画像信号は第2の色信号によって構成され、前記第2の色信号に対応する前記色バランス調整値は前記第2の色信号に乗じる第2の色の調整ゲインであることを特徴とする請求項17に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項19】
前記原画像信号は第3の色信号によって構成され、前記第3の色信号に対応する前記色バランス調整値は前記第3の色信号に乗じる第3の色の調整ゲインであることを特徴とする請求項18に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項20】
前記判断部が、ブラックバランスの調整不要であると判断する場合に調整不要であることを表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項21】
被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより原画像信号を生成する電子内視鏡と、
前記電子内視鏡から出力される前記原画像信号のホワイトバランスを調整することにより、第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、
前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか否かを判断する判断部と、
前記判断部がブラックバランスの調整を行うと判断する場合に、前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部とを備える
ことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項22】
被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより原画像信号を生成する電子内視鏡と、
前記電子内視鏡から出力される前記原画像信号のホワイトバランスを調整することにより、第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理部と、
前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理部と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算部と、
前記第1の演算部における前記ホワイトバランス調整値の算出を、ONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて開始させる第1のスイッチと、
前記第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算部と、
前記第2の演算部における前記ブラックバランス調整値の算出を、ONになってから取得される所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて開始させる第2のスイッチと、
被写体に照明光を照射する照明機構から、前記照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力部と、
前記出力部に前記照明信号を出力させ、前記照明信号の出力後に前記第1のスイッチをONに切替え、前記第1のスイッチをONに切替えた後の所定の時間の後に前記出力部に前記停止信号を出力させ、前記停止信号の出力後に前記第2のスイッチをONに切替えて前記ブラックバランス調整値の算出を開始させる第3のスイッチとを備える
ことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項23】
被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得手段と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整することにより、第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理手段と、
前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整するか否かを判断する判断手段と、
前記判断部がブラックバランスの調整を行うと判断する場合に、前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理手段として内視鏡プロセッサを機能させる
ことを特徴とするバランス調整プログラム。
【請求項24】
被写体の光学像を撮像手段に受光させることにより生成される原画像信号を取得する取得手段と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整することにより、第1の調整画像信号を生成する第1の信号処理手段と、
前記第1の調整画像信号のブラックバランスを調整することにより第2の調整画像信号を生成する第2の信号処理手段と、
前記原画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を算出する第1の演算手段と、
前記第1の調整画像信号に対してブラックバランス調整を行うためのブラックバランス調整値を算出する第2の演算手段と、
被写体に照明光を照射する照明機構から、前記照明光を照射するための照明信号または照明光の照射を停止する停止信号を出力する出力手段と、
ホワイトバランス調整を開始するためのスイッチからの開始信号を取得すると、前記出力手段に前記照明信号を出力させ、前記照明信号の出力後に取得する所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて前記第1の演算手段に前記ホワイトバランス調整値の算出を開始させ、前記ホワイトバランス調整値の算出開始から所定の時間経過後に前記出力手段に前記停止信号を出力させ、前記停止信号の出力後に取得する所定のフィールドに相当する前記原画像信号に基づいて前記第2の演算手段に前記ブラックバランス調整値の算出を開始させる動作制御手段として内視鏡プロセッサを機能させる
ことを特徴とするバランス調整プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−314616(P2006−314616A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141327(P2005−141327)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】