説明

内視鏡用アタッチメント

【課題】通常観察のための第1観察部材と、共焦点観察等の特殊な観察を行うための第2観察部材の双方を備え、通常観察と特殊な観察とを切り換えながら実施可能な内視鏡に装着され、第2観察部材のカバーガラスを洗浄可能とするアタッチメントを提供することである。
【解決手段】内視鏡先端部の突出部の先端部端面の少なくとも一部を覆うカバー部であって、第2観察部材のカバーガラスを露出させるための開口窓を備えているものを有し、内視鏡用アタッチメントを内視鏡先端部に取り付けると、内視鏡用アタッチメントと突出部との間の間隙と洗浄用チャンネルの開口端との間に流路が形成されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常観察のための第1観察部材と、共焦点観察等の特殊な観察を行うための第2観察部材の双方を備え、通常観察と特殊な観察とを切り換えながら実施可能な内視鏡に装着されるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、共焦点観察を行うための共焦点内視鏡が利用されつつある。共焦点内視鏡は、数100倍から1000倍以上という高倍率で被検体を観察することが可能であると共に、被検体の表面から数10〜数100μm程度の深度のスライス像を得ることができるという特徴を有している。
【0003】
一方、共焦点観察による観察画像は極めて狭い領域を高倍率で拡大したものであり、共焦点観察を行う場合は、被検体の概観を観察して共焦点観察を行う領域を確定するために、低倍率の通常観察用の内視鏡を併用する必要がある。このため、特許文献1のように、先端に通常観察用の第1観察部材と共焦点観察用の第2観察部材の双方が設けられた内視鏡が提案されている。
【特許文献1】特開2005−640
【0004】
通常観察は被検体の大まかな形状を観察するものであるため、第1観察部材を被検体からある程度離さないと通常観察を行うことができない。また、共焦点観察等の特殊な観察を行う場合は、その構造上第2観察部材を被検体に密着させる必要がある。このため、特許文献1の内視鏡においては、通常観察で特殊な観察を行う微小領域を確認しつつ該特殊な観察を行えるように、内視鏡の先端部に突出部を設け、この突出部の中に第2観察部材が収納されている。そして、第1観察部材は、内視鏡先端部において突出部が設けられていない部分に収納されている。従って、突出部を被検体の表面に押し当てて特殊な観察を行っている時には第1観察部材は被検体よりやや離れた位置に配置されるので、特殊な観察と通常観察とを同時に行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、特許文献1のような内視鏡によって特殊な観察を行う場合は、突出部を被検体に押し当てる必要がある。このため、第2観察部材のカバーガラスに被検体の粘膜等の生体組織が付着してカバーガラスが汚れてしまい、特殊な観察による観察画像の画質低下をもたらすという問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、内視鏡で被検体を観察しながら、第2観察部材のカバーガラスを洗浄可能とする内視鏡用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用アタッチメントは、内視鏡先端部の突出部の先端部端面の少なくとも一部を覆うカバー部であって、特殊な観察を行うための第2観察部材のカバーガラスを露出させるための開口窓を備えているものを有し、内視鏡用アタッチメントを内視鏡先端部に取り付けると、内視鏡用アタッチメントと突出部との間の間隙と洗浄用チャンネルの開口端との間に流路が形成されるようになっている。
【0008】
内視鏡には洗浄水などの流体を内視鏡先端部に送って放出させ、被検体の洗浄などを行うための洗浄用チャンネルが設けられている。本発明の内視鏡用アタッチメントを内視鏡に装着することにより、この洗浄用チャンネルから放出される流体を第2観察部材のカバーガラスに送ってカバーガラスを洗浄することができる。また、本発明の内視鏡用アタッチメントは、内視鏡の先端部に着脱可能に取り付けるものであるので、洗浄用チャンネル及び突出部を有する既存の内視鏡にこの内視鏡用アタッチメントを取り付けることによって、第2観察部材のカバーガラスが洗浄可能となる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、内視鏡で被検体を観察しながら、第2観察部材のカバーガラスを洗浄可能とする内視鏡用アタッチメントが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に付き、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による共焦点内視鏡システムの構成を示したものである。共焦点内視鏡システム1は、電子内視鏡100と、夫々電子内視鏡100に接続される通常観察用プロセッサ200と共焦点観察用プロセッサ300と、該プロセッサ200、300に夫々接続されている通常観察用モニタ402、共焦点観察用モニタ403と、を有する。
【0011】
電子内視鏡100は、共焦点内視鏡システム1の操作者によって把持されるハンドル部150から、挿入管140、第1ケーブル161、第2ケーブル162が伸びている構造となっている。挿入管140は可撓性を持ち体腔内に挿入されるようになっており、その先端部130には、通常観察画像を得るための通常観察部110と、共焦点観察を行うための共焦点観察部120とが設けられている。第1ケーブル161の先端は、通常観察用プロセッサ200に接続されるコネクタ部161aとなっている。同様に、第2ケーブル162の先端は、共焦点観察用プロセッサ300に接続されるコネクタ部162aとなっている。
【0012】
電子内視鏡100の通常観察部110(特許請求の範囲における「第1観察部材」に対応)は、CCD111と、結像光学系112と、カバーガラス113とを有する。カバーガラス113は、電子内視鏡100の先端部端面131上に配置されており、通常観察部110の内部に光を透過させると共に、通常観察部110に体液等が混入しないように保護する。カバーガラス113を透過した光は結像光学系112によってCCD111の受光面に結像するようになっている。すなわち、電子内視鏡100の先端部130の付近の体腔内の生体組織Sの像が、CCD111の受光面上で結像するようになっている。
【0013】
CCD111は、受光面上の像を一定のタイミング(例えば1/30秒おき)で光電変換し、映像信号を生成する。この映像信号は、電子内視鏡の挿入管140内、ハンドル部150内、第1ケーブル161内に亙って設けられている映像信号ワイヤ114を介して、通常観察用プロセッサ200の画像処理ユニットに送信される。
【0014】
通常観察用プロセッサ200は、通常観察部110からの映像信号を処理して通常観察用モニタ402に映像として表示させるビデオプロセッサとしての機能と、電子内視鏡100の先端部130の周囲を照明するための照明光を生成する光源としての機能と、先端部130から送水、送気を行う送気送水ポンプとしての機能と、先端部130周囲の生体組織等を吸引する吸引ポンプとしての機能を有する。
【0015】
通常観察用プロセッサ200のビデオプロセッサとしての機能は、通常観察用プロセッサ200のコントローラ210が画像処理ユニット220を制御することによってなされる。これにより、CCD111の受光面上に結像した像が通常観察モニタ402に表示される。
【0016】
次に、通常観察用プロセッサ200の光源としての機能について説明する。電子内視鏡の挿入管140内、ハンドル部150内、第1ケーブル161内に亙って、光ファイババンドル等のライトガイド171が設けられている。ライトガイド171の一端171aは、電子内視鏡100の先端部130の先端部端面131上に配置されている。また、ライトガイド171の他端171bは、第1ケーブル161を通常観察用プロセッサ200に接続した時に、該通常観察用プロセッサ200に内蔵されている光源ユニット230に接続されるようになっている。光源ユニット230は、キセノンランプなどの光源ランプと、光源ランプによって生成された光をライトガイド171の他端171bに入射させる集光レンズと、集光レンズとライトガイド171の他端171bの間に配置された絞りと、を有する。ライトガイド171の他端171bに入射した光は、ライトガイド171を通って一端171aから放射され、電子内視鏡100の先端部付近の体腔の表面Sを照射する。なお、光源ユニット230の絞りの開度は通常観察用プロセッサ200のコントローラ210によって制御される。具体的には、コントローラ210は、電子内視鏡100のCCD111から送られる映像信号のレベルに基づいて、通常観察画像がブラックアウト、ホワイトアウトしているかどうかを判別し、ブラックアウトが発生していると判断した時は絞りの開度を大きくし、またホワイトアウトが発生している時は絞りの開度を小さくして、調光を行う。
【0017】
次に、通常観察用プロセッサ200の送気送水ポンプとしての機能について説明する。電子内視鏡100の挿入管140内、ハンドル部150内、第1ケーブル161内に亙って送水用チャンネル172、送気用チャンネル173が設けられている。送水用チャンネル172の一端172a及び送気用チャンネル173の一端173aは、共に電子内視鏡100の先端部端面131に配置されている開口端である。通常観察用プロセッサ200は洗浄用の流体の一つである水が貯蔵されている吸水タンク250を有する。送水用チャンネル172の他端172b側は吸水タンク250内に差し込まれており、他端172bは吸水タンク250の水面251よりも十分低い位置に位置する。通常観察用プロセッサ200は、吸水タンク250及び送気中部173の他端と接続されたエアポンプ240を有している。また、送水用チャンネル172及び送気用チャンネル173の中途(ハンドル部150内)には、第1の弁体152が設けられている。第1の弁体152は、「送水用チャンネル172の開口端172aと他端172bが連通し、且つ送気用チャンネル173の開口端173aと他端173bが連通していない第1の状態」「送水用チャンネル172の開口端172aと他端172bが連通せず、且つ送気用チャンネル173の開口端173aと他端173bが連通する第2の状態」「送水用チャンネル172の開口端172aと他端172b、及び送気用チャンネル173の開口端173aと他端173bが、共に連通していない第3の状態」の3つの状態を切り換えることができる。
【0018】
上記第1の状態においては、エアポンプ240から吸水タンク250に送られる高圧空気により、吸水タンク250の水面251が押し下げられることになり、送水用チャンネル172の開口端172aから水が放射される。また、上記第2の状態においては、エアポンプ240からの高圧空気が送気用チャンネル173を通ってその開口端173aから噴射される。上記第3の状態においては、送水用チャンネル172の開口端172aから水が放射されることもなく、また高圧空気が送気用チャンネル173の開口端173aから噴射されることもない。弁体152の状態は、ハンドル部150に設けられた第1の操作ボタン151を操作することによって切り換えることができるようになっている。従って、共焦点内視鏡システム1の操作者は、第1の操作ボタン151を操作することによって、内視鏡100の先端130から水を放射させる、及び高圧空気を噴射させることができる。
【0019】
次に、通常観察用プロセッサ200の吸引ポンプとしての機能について説明する。電子内視鏡100の挿入管140内、ハンドル部150内、第1ケーブル161内に亙って吸引用チャンネル174が設けられている。吸引用チャンネル174の一端174aは、電子内視鏡100の先端部端面131に配置されている開口端である。通常観察用プロセッサ200は、吸引用ポンプ260を有しており、吸引用チャンネル174の他端174bはこの吸引用ポンプ260に接続されている。また、吸引用チャンネル174の中途(ハンドル部150内)には、第2の弁体154が設けられている。第2の弁体154は、「吸引用チャンネル174の開口端174aと他端174bとが連通している第1の状態」と「吸引用チャンネル174の開口端174aと他端174bとが連通していない第2の状態」とを切り換えることができる。上記第1の状態においては、吸引用チャンネル174の開口端174a側に陰圧が与えちれ、体腔内の液体や生体組織等を吸引用チャンネル174内に吸引して除去することが出来るようになっている。この第1の状態と第2の状態は、ハンドル部150に設けられた第2の操作ボタン153を操作することによって切り換えることができるようになっている。従って、共焦点内視鏡システム1の操作者は、第2の操作ボタン153を操作することによって、上記の吸引を行うことができる。
【0020】
次いで、共焦点観察用プロセッサ300の構成につき説明する。電子内視鏡100の先端部130には、共焦点観察部120(特許請求の範囲の「第2観察部材」に相当)が設けられている。また、電子内視鏡100の挿入管140内、ハンドル部150内、第2ケーブル162内に亙って、光ファイバ175が設けられている。光ファイバ175の一端は、共焦点観察部120内に収容されており、また、光ファイバ175の他端175aは、コネクタ部162a内に配置されている。
【0021】
共焦点プロセッサ300は、レーザ光を生成するレーザ光源部310を内蔵している。レーザ光源部310は、レーザ光を生成してこれを光ファイバ175の他端175aに入射させるようになっている。なお、レーザ光源部310にて生成されたレーザ光は、一旦ピンホール311を通過した後に光ファイバ175の他端175aに入射するようになっている。
【0022】
光ファイバ175の他端175aに入射したレーザ光は、光ファイバ175を通ってその一端から放射される。放射されたレーザ光は、共焦点観察部120内の光学系によって、電子内視鏡外の所定の位置で焦点を結ぶように集光される。この集光位置付近に生体組織がある場合、レーザ光は生体組織にて反射又は散乱し、その戻り光は共焦点観察部120内の光学系を介して光ファイバ175の一端に入射する。そして、戻り光は光ファイバ175の他端175aに戻される。戻り光は、レーザ光源部310と光ファイバ175の他端175aとの間に配置された屈曲手段330(プリズムなど)によって屈曲される。
【0023】
共焦点プロセッサ300は、受光部320を有しており、屈曲部330で屈曲した戻り光がこの受光部320に入射するようになっている。受光部320は、入射した戻り光の光量を検出することができる。また、屈曲手段330と受光部320との間にはピンホール321が配置されている。レーザ光源部310側のピンホール311から屈曲手段330までの光路長と、屈曲手段330からピンホール321までの光路長は等しい。このため、共焦点観察部120内の光学系によってレーザ光が集光される集光位置で反射又は散乱した戻り光のみが、ピンホール321を通過して受光部320に入射する。従って、受光部320で検出される光量は、集光位置における生体組織の特性(反射率や透過率等)を反映したものとなる。
【0024】
電子内視鏡100の共焦点観察部120は、レーザ光の集光位置を、レーザ光の光軸に直交する二軸方向に移動させるための駆動手段(例えば圧電アクチュエータ)を有する。このため、駆動手段によってレーザ光の集光位置をこの二軸方向に走査させ、その時の戻り光の光量を受光部にて検出し、この検出値を、集光位置の座標に応じた画面上にマッピングすることにより、一平面上における生体組織の画像(共焦点観察画像)を得ることができる。得られた画像は、画像処理ユニット340によって処理されて、共焦点観察用モニタ403に送られる。このようにして、共焦点観察用モニタ403に共焦点観察画像が表示される。共焦点観察画像は、極めて微小なスポットに集光されたレーザ光を操作することによって得られた画像であるため、通常高い解像度(拡大率)の画像を得ることができる。なお、受光部320から得られた光量の検出値の処理、画像処理ユニット340の制御、及び共焦点観察部120の駆動手段の制御などは、共焦点観察用プロセッサ300のコントローラ350によって行われる。
【0025】
以上のように、本実施形態の共焦点内視鏡システム1によれば、通常観察と共焦点観察とを行うことができる。共焦点観察は、極めて微小な領域を高倍率で観察することができるものであるが、その構造上、共焦点観察部120を観察対象となる生体組織に近接させる必要がある。一方、通常観察は、比較的広い領域を観察するためのものであり、通常観察部110は観察対象の生体組織からある程度離す必要がある。このため、本実施形態の電子内視鏡100は、共焦点観察部120の先端は先端部端面131から突出している。
【0026】
ここで、電子内視鏡100の先端部130の構造について説明する。図2(a)は、先端部130を先端側から見た平面図であり、図2(b)は、先端部130の斜視図である。図2に示されるように、共焦点観察部120は、先端部130の先端部端面131の隅から、挿入管140の軸方向に突出している。また、この共焦点観察部120の先端にはカバーガラス121が設けられている。先端部130の一部は、この共焦点観察部120の側面を覆うように隆起した突出部132となっている。送水用チャンネル172の開口端172a、送気用チャンネル173の開口端173a、及び吸引チューブ174の開口端174aは、この突出部132の近くに配置されている。
【0027】
本実施形態においては、前述のように体腔内の生体組織に近接させた状態で、より具体的には、共焦点観察部120のカバーガラス121を生体組織に押し当てた状態で共焦点観察を行う。このため、一回共焦点観察を行うとカバーガラス121が汚れてしまう。そこで、本実施形態においては、送水用チャンネル172から放出させる水をカバーガラスに誘導させ、この水によってカバーガラス121を洗浄するようにしている。
【0028】
このような目的のため、本実施形態においては、内視鏡用アタッチメント500(図1)を先端部130に取り付ける。次に、内視鏡用アタッチメント500の形状、機能について説明する。図3(a)は内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端側から見た正面図であり、(b)は内視鏡用アタッチメント500を内視鏡基端側から見た背面図であり、(c)は内視鏡用アタッチメント500を内視鏡基端側から見た斜視図である。また、本実施形態の内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端部130に取り付けた状態を内視鏡先端側から見た正面図を図4(a)に、また、内視鏡用アタッチメント500が取り付けられた内視鏡先端部130の斜視図を図4(b)に、夫々示す。また、図5は、図4(a)のI−I断面図である。
【0029】
図3に示されるように、内視鏡用アタッチメント500は、内視鏡先端部130の側面133(図2)に装着される環状部501と、先端部130の突出部132の先端部端面132b(図2)を覆うカバー部502と、突出部132の側面132aを覆う側壁部503と、アタッチメント500を先端部130に取り付けた時に送水用チャンネル172の開口端172a(図2)を覆うよう構成された流路ブロック510とが一体に形成された部材である。図2に示されているように、突出部132は略三角柱形状となっている。そして、図3に示されるように、環状部501の一部、側壁部503、流路ブロック510の側面は、突出部132の3側面(132a)に当接するような形状となっている。従って、環状部501の一部、側壁部503及び流路ブロック510の側面からなる凹部に突出部132を嵌め合わせることによって、先端部130に対する内視鏡用アタッチメント500の位置決めがなされる。
【0030】
カバー部502には開口502aが設けられている。図4に示されるように、開口502aは、共焦点観察部120のカバーガラス121に対応する位置に形成されている。また、流路ブロック510には、内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端部130に取り付けた時に先端部端面131と当接するようになっている第1当接面511と、内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端部130に取り付けた時に先端部130の突出部132の側面132aと当接するようになっている第2当接面512と、第1当接面511から第2当接面512に亙って形成されている凹部513と、を有する(図3)。この凹部513は、図4(a)及び図5に示されるように、送水用チャンネル172の開口端172aに対応する位置に設けられている。また、アタッチメント500のカバー部502の裏面には、開口502aの縁部から凹部513に向って延びる溝502bが形成されている(図3)。このため、内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端部130に装着すると、図5に示されるように、先端部130の突出部132の側面132aと凹部513によって空洞部が形成される。そして、この空洞部と溝502bによって、送水用チャンネル172の開口端172aからアタッチメント500の開口502aの縁部に至る流路が形成される。従って、送水用チャンネル172から送水を行うと、水はこの流路を通って開口502aの縁部から放射される。また、図5に示されるように、この流路はΓ字状に屈曲しており、開口502aの縁部付近では流れはカバーガラス121に沿った方向となる。このため、水はカバーガラス121の表面に沿った方向に放射され、カバーガラス121が洗浄される。
【0031】
以上のように、本実施形態の内視鏡用アタッチメント500は、共焦点観察部120のカバーガラス121を洗浄するための流路を形成するためのものであるが、本発明はこの本実施形態の構成のみに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。以下に説明する本発明の第2の実施の形態の内視鏡用アタッチメントは、共焦点観察部120のカバーガラス121を洗浄するための流路を形成するとともに、共焦点観察時に生体組織を吸引してカバーガラス121に生体組織を密着させることを可能としたものである。
【0032】
図6(a)は本実施形態の内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端側から見た正面図であり、(b)は内視鏡用アタッチメント500を内視鏡基端側から見た背面図であり、(c)は内視鏡用アタッチメント500を内視鏡基端側から見た斜視図である。また、本実施形態の内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端部130に取り付けた状態を内視鏡先端側から見た正面図を図7(a)に、また、内視鏡用アタッチメント500が取り付けられた内視鏡先端部130の斜視図を図7(b)に、夫々示す。なお、第1の実施形態と本実施形態との違いは、内視鏡用アタッチメント500の形状のみであり、電子内視鏡100、プロセッサ200、300の構成は同一である。以下の説明においては、第1の実施形態と同一又は類似の機能を有する部分については、第1の実施形態と同一の符号を配し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0033】
図6及び図7に示されるように、本実施形態の内視鏡用アタッチメント500は、流路ブロック510が吸引用チャンネル174の開口端174aを覆う位置まで広がっており(図7参照)、且つ、吸引用チャンネル174の開口端174aに対応する位置に貫通孔514(特許請求の範囲における「吸引誘導路」に相当)が形成されている点である。図6及び7に示されるように、貫通孔514の一端はカバー部502上に配置されている。そのため、内視鏡用アタッチメント500を内視鏡先端部130に装着すると、貫通孔514と吸引用チャンネル174が連通する。そして、内視鏡用アタッチメント500のカバー部502を生体組織に押し当てた状態で吸引動作を行うと、吸引用チャンネル174付近の生体組織が吸引され、カバーガラス121に生体組織を密着させることができる。前述のように、共焦点観察は二軸方向に走査を行うことによって一枚の画像を形成するものであり、画像一枚分の走査が完了するまでにある程度の時間を要する。このため、例えば動脈付近の生体組織のように脈動、又は振動している生体組織を観察するような場合であっても、生体組織をカバーガラス121に対して固定させることができ、脈動や振動による乱れの無い共焦点観察画像が得られる。
【0034】
また、貫通孔514の基端側端部には、基端側に向って突出する管部515が設けられている。すなわち、内視鏡用アタッメント500を内視鏡先端部130に装着すると、管部515が吸引用チャンネル174に差し込まれることになる。ここで、管部515の外径は吸引用チャンネル174の開口端174aの内径と略等しいため、管部515が吸引用チャンネル174に差し込まれることによって、貫通孔514と吸引用チャンネル174とは漏れなく連結される。また、管部515と吸引用チャンネル174との係合は、内視鏡用アタッチメント500の内視鏡先端部130に対する位置決めとしても機能する。
【0035】
なお、本実施形態の内視鏡用アタッチメント500は、弾性材料、特に表面の摩擦係数の高いシリコーンゴムを成形することによって形成されている。ただし、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、剛性の高いプラスチックなどで内視鏡用アタッチメント500を形成しても良い。ただし、少なくともカバー部502を弾性材料とすると、送水時に水圧でカバー部502、特に溝502bの部分が変形してより多くの水をカバーガラス121に送ることができるため、有用であるといえる。
【0036】
本実施形態においては、第2観察部材は共焦点観察を行うための部材であるが、被検体に密着させて観察を行う他の観察部材(例えば、焦点距離が極端に小さいレンズを用いて高倍率の観察を行うための拡大観察部材)を第2観察部材としたものも、本発明の範囲内である。
【0037】
また、本実施形態においては、送水用チャンネルからの水流を第2観察部材のカバーガラス側に誘導してカバーガラスを洗浄しているが、送気用チャンネルからのエアを第2観察部材のカバーガラス側に誘導して、エアによってカバーガラスの付着物を吹き飛ばすようにした構成もまた、本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態による共焦点内視鏡システムの構成を示したものである。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡の先端部を示したものである。
【図3】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用アタッチメントの形状を示したものである。
【図4】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用アタッチメントを内視鏡に取り付けた時の状態を示したものである。
【図5】図4のI−I断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用アタッチメントの形状を示したものである。
【図7】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用アタッチメントを内視鏡に取り付けた時の状態を示したものである。
【符号の説明】
【0039】
1 共焦点内視鏡システム
100 電子内視鏡
110 通常観察部
120 共焦点観察部
130 内視鏡先端部
131 先端部端面
132 突出部
172 送水用チャンネル
173 送気用チャンネル
174 吸引用チャンネル
200 通常観察用プロセッサ
300 共焦点観察用プロセッサ
402 通常観察用モニタ
403 共焦点観察用モニタ
500 内視鏡用アタッチメント
501 環状部
502 カバー部
502a 開口
502b 溝
510 流路ブロック
513 凹部
514 貫通孔
515 管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入管と、該挿入管の先端部端面から突出して設けられた突出部と、挿入管の先端部端面の突出部以外の領域に配置された第1観察部材と、該突出部に設けられた第2観察部材と、前記挿入管の先端部端面の突出部以外の領域に開口端が形成され洗浄用の流体を該開口端から放出させるようになっている洗浄用チャンネルと、を有する内視鏡の先端部に着脱可能に設けられる内視鏡用アタッチメントであって、
前記突出部の先端部端面の少なくとも一部を覆うカバー部であって、前記第2観察部材のカバーガラスを露出させるための開口窓を備えているものを有し、
前記内視鏡用アタッチメントを内視鏡先端部に取り付けると、該内視鏡用アタッチメントと前記突出部との間の間隙と、前記洗浄用チャンネルの開口端との間に流路が形成されるようになっている、ことを特徴とする内視鏡用アタッチメント。
【請求項2】
前記カバー部と前記突出部との間の間隙付近で前記流路内の流れが前記カバーガラスの面に沿った方向となるように、前記流路は屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用アタッチメント。
【請求項3】
前記内視鏡用アタッチメントが、前記挿入管の先端部端面の突出部以外の領域に開口端が形成され開口端周囲の生体組織を該開口端から吸引するようになっている吸引用チャンネルを有する内視鏡に取り付けられるものであり、
前記内視鏡用アタッチメントが、一端が前記吸引用チャンネルに連結され他端が前記カバー部側に露出している吸引誘導路をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内視鏡用アタッチメント。
【請求項4】
前記吸引誘導路の基端部には管状部が形成されており、前記管状部が前記吸引用チャンネルの開口端に差し込まれることによって前記吸引誘導路と前記吸引用チャンネルが連結していることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用アタッチメント。
【請求項5】
前記管状部の外径は、前記吸引用チャンネルの開口端の内径に略等しい、ことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用アタッチメント。
【請求項6】
前記カバー部が弾性体材料によって形成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の内視鏡アタッチメント。
【請求項7】
前記弾性体材料がシリコーンゴムであることを特徴とする、請求項6に記載の内視鏡アタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−178328(P2009−178328A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19893(P2008−19893)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(500299492)オプティスキャン ピーティーワイ リミテッド (16)
【Fターム(参考)】