説明

内視鏡用基板

【課題】オートクレーブ滅菌が可能な内視鏡において、基板の反り方向を規定することにより、基板の反り方向に合わせた電子部品及びスルーホールの配置や電子回路の配線を行いつつ回路の断線を防止する。
【解決手段】オートクレーブ滅菌が可能な内視鏡に用いられる内視鏡用基板において、加熱によって前記内視鏡用基板に熱応力が生じた際に、該応力が小さくなって該内視鏡用基板の反りが所定の方向に規定される少なくとも1つの領域を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートクレーブなどの滅菌処理が施される内視鏡に用いられる内視鏡用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の内視鏡は各患者に対する使用ごとに洗浄、消毒もしくは滅菌処理が行われる。内視鏡に対するこれらの処理は院内における感染症などを防止するために必要不可欠である。内視鏡の洗浄、消毒、滅菌処理には、例えば、専用の内視鏡用洗浄消毒器や、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)装置やEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌装置などが使用される。これらの装置では、装置の種類や使用環境(例えば、各国の医療機器に関連する法令やガイドライン、内視鏡の使用頻度や病院の方針など)によって、使用ガス、温度、湿度、時間、圧力をはじめとする処理条件は異なる。
【0003】
オートクレーブの処理温度条件は、使用環境により異なるが、一般にはおよそ115℃〜138℃の範囲に設定される。また、処理時間条件は、およそ3分〜60分の範囲で設定される。例えば、一般的なプレバキュームタイプのオートクレーブ装置は、内視鏡を収容した滅菌室内を減圧状態にするプレバキューム工程と、その後に滅菌室内に高温高圧蒸気を送り込んで滅菌を行う滅菌工程とが含まれる。プレバキューム工程は後の滅菌工程の際に内視鏡の細部にまで高温高圧蒸気が行き渡るようにするための工程である。
【0004】
上記のオートクレーブに対応している内視鏡として、特許文献1に記載されているものが挙げられる。特許文献1における内視鏡は、減圧による内視鏡の破損を防止する構成を有しているとはいえ、オートクレーブでの減圧や高温高圧蒸気の環境下における熱、圧力、湿気などにより、内視鏡は少なからず負荷を受ける。また、オートクレーブを繰り返し行うと、内視鏡の外装部材には、繰り返し荷重による疲労、加水分解などによる脆化、ゴム部材の劣化などが生じるため、結果として漏れが発生して高温高圧蒸気が内視鏡内部に入り込むという問題が引き起こされる。内視鏡に漏れが生じた状態でオートクレーブを繰り返し行うと、内視鏡内部に入り込んだ高温高圧蒸気は、金属部材の酸化、固体潤滑剤(二硫化モリブデンなど)の固化などを引き起こす原因となる。この結果、オートクレーブの高温、高圧、高湿度が原因で、内視鏡内の基板に反りが発生したり、基板の電子回路にイオンマイグレーションが発生して配線が断線したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−159439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の内視鏡においては、オートクレーブによって基板に反りが発生した場合、基板の反り方向は任意の方向である。そのため、電子部品及びスルーホールの配置や回路の配線パターンによっては、反りが原因で容易に断線が発生する可能性がある。また、セラミック基板などの耐熱性、耐圧性、耐候性に優れた基板は高価であるため、このような基板を採用すると製造コストの面で負担が大きくなることが懸念される。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、高温高圧蒸気の環境下における基板の反り方向を規定することにより、基板の反り方向に合わせた電子回路の配線を行いつつ回路の断線を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の一実施形態による内視鏡用基板は、オートクレーブ滅菌が可能な内視鏡に用いられる内視鏡用基板であり、加熱によって内視鏡用基板に熱応力が生じた際に、該応力が小さくなって内視鏡用基板の反りが所定の方向に規定される少なくとも1つの領域を有する。これにより、基板は該領域の長手方向に沿って折れ曲がるため、基板製造時に、基板の反りをあらかじめ想定して、基板に反りが生じた場合の断線を防止することが可能な回路配線を実現することができる。
【0009】
好ましくは、内視鏡用基板に複数の長穴のスルーホールが設けられ、各スルーホールの長手方向が互いに平行である。また、各スルーホールの大きさが、内視鏡用基板の中心からの距離に正比例し、内視鏡用基板上及びスルーホール内に形成される導体層の層厚又は層幅の少なくとも一方が、該内視鏡用基板の中心からの距離に正比例する。さらに、各スルーホールが、内視鏡用基板上において領域の長手方向に平行な方向に沿って一直線に設けられる。そして、内視鏡用基板に設けられる各電子部品が、該内視鏡用基板上において、各電子部品の長手方向が上記領域の長手方向と平行になるように設けられる。したがって、上記領域のみならず、スルーホールや電子部品の構成によって、基板の反り方向をより確実に規定しつつ断線をより効果的に防止することが可能な基板を作製することができる。
【0010】
さらに好ましくは、上記領域は、内視鏡用基板のレジストに設けられる溝、内視鏡用基板のレジストが削除された領域、もしくは内視鏡用基板に設けられるスリットである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内視鏡によれば、耐熱性、耐圧性、耐候性に優れた高価な基板を用いなくとも、従来から内視鏡に採用されている汎用的な基板を用いて、高温高圧蒸気の環境下における基板の反り方向を規定することにより、基板の反り方向に合わせた電子回路の配線を行いつつ回路の断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態における基板を示す概略図である。
【図2】図2(a),(b)は、本発明の第2の実施形態における基板を示す概略図である。
【図3】図3(a),(b)は、本発明の第3の実施形態における基板を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の第4の実施形態における基板を示す概略図である。
【図5】図5(a),(b)は、本発明の別の実施形態における基板を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態における内視鏡について説明する。なお、複数の図にまたがって同じ部材を示す場合は同じ番号を付すこととする。
【0014】
本実施形態においては、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂を浸漬させて熱硬化処理を施し板状にしたガラスエポキシ基板をコア基板として用いる。ガラスエポキシ基板は、難燃性と低導電率を両立した基板であり、内視鏡用基板として従来から採用されている基板である。そして、ガラスエポキシ基板の表面及び裏面に絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、多層配線基板を作製する。
【0015】
導体層の形成に用いられる金属材料の例としては、主に銅が挙げられるが、銅のほか、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金なども挙げられる。また、絶縁層には、絶縁性、耐熱性、耐湿性などに優れた熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布など)を用い、エポキシ樹脂を有機溶媒に溶解してガラス繊維に含浸させて加熱乾燥して作製する。このエポキシ樹脂とガラス繊維からなるガラスエポキシ樹脂積層板は、一般にFR−4と呼ばれる耐燃グレードのものが用いられ、電気特性、絶縁性、機械的強度、耐薬品性など、製造コストを含めて比較的バランスの取れた材料である。
【0016】
多層配線基板は、コア基板の両面に、例えばビルドアップ法により配線層(ビルドアップ層)を積層して形成することによって得られる。基板に形成された各ビルドアップ層は、絶縁層及び配線パターンを有する。さらに、該配線パターンと該ビルドアップ層の下層にあたる別のビルドアップ層の配線パターンとを電気的に接続するビアを備える。下層にあたるビルドアップ層も絶縁層、配線パターン、ビアを備える。
【0017】
一般的なビルドアップ法では、コア基板の両面に上記の高分子材料をラミネートして絶縁層を形成する。続いて、レーザ加工により、コア基板の表面に形成されている配線パターンが露出するように絶縁層にビアホールを開口する。次に、デスミア処理によりビアホールの内面を粗化し、ビアホールの内面と絶縁層の表面に導体層を形成する。さらに、導体層の表面にレジストを被着し、露光及び現像操作により、導体層の配線パターンとなる部位を露出させたレジストパターンを形成する。
【0018】
レジストパターンを形成後、レジストを剥離し、レジストパターンをマスクとして、エッチングにより導体層の露出領域の金属を化学的に溶解して除去することにより、絶縁層の表面に配線パターンが形成される。別のビルドアップ層についても、同様にして配線パターンを形成する。コア基板の両面に形成されたビルドアップ層の各層の配線パターンは、基板の全層を貫通するスルーホールを介して電気的に導通される。スルーホール内にはパターンめっきにより導体層が形成される。また、ビルドアップ層の最上層には、半導体素子を接続するための電極、あるいは外部接続端子を接合するための接続パッドがパターン形成され、外部に露出する電極あるいは接続パッド以外がレジストによって被覆される。外部に露出する電極あるいは接続パッドには、金めっきなどの所要の保護めっきが施される。
【0019】
ここで、図1(a)〜(c)を参照しながら、本発明の第1の実施形態における基板10について説明する。本実施形態において、基板10は長方形の基板とする。図に示すように、基板10の表面に平行な平面上に互いに直交するX軸とY軸を設定する。X軸は基板10の長辺に平行な軸であり、Y軸は基板10の短辺に平行な軸である。そして、基板10の表面の垂直上方向(紙面上方向)を正の方向とする、X軸とY軸に垂直なZ軸を設定する。便宜上、基板10は多層配線基板であるが、図1(a)〜(c)では、多層であることを簡略的に示し、基板10上面を被覆するレジスト10aの厚みを強調して示す。図1(a)に、オートクレーブを行うことによる反りが発生する前の基板の状態を示す。レジスト10aには、基板の短辺に平行な方向に、周囲のレジストと厚みが異なる溝10bが設けられている。
【0020】
図1(b)は、オートクレーブを行うことによる反りが発生する前の基板10の断面図である。また、図1(c)は、オートクレーブを行うことによる反りが発生した基板10の断面図である。図1(c)に示すように、本実施形態において加熱された基板10は、基板、導体層、絶縁層などの各構成要素の材料の熱膨張率の差、絶縁層(ガラスエポキシ樹脂)におけるガラス転移温度の差、基板に積載されている部品の配置、基板取り付け時の締め付けによる外力などが原因で生じる熱応力の影響を受ける。基板10に反りが発生した際の熱応力の分布は、基板10の中立面を境に引張り応力と圧縮応力に分かれる。オートクレーブ後、内視鏡が室温に戻る際に基板も冷却され、基板10の凸側には引張り応力、凹側には圧縮応力が生じる。各応力の大きさは中立面からの距離に比例する。したがって、レジスト10aの膜厚が厚いほどレジスト10aに生じる応力は大きくなる。そこで、レジスト10aに溝10bを形成することにより、溝10bに発生する応力を周囲のレジストに比べて小さくする。このレジスト10aにおいて発生する応力の差により、図1(c)に示すように、基板10は溝10bに沿って折れ曲がるように湾曲する。すなわち、基板10には、Z軸の負方向に向かって反りが発生する。したがって、加熱による基板10の反りを1方向に規定することができるため、基板製造時に反り方向(本実施形態ではZ軸の負方向)を考慮して電子部品の配置や電子回路の配線を行うことで、より断線が発生しにくい多層配線基板を作製することができる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に基板を被覆するレジストに溝が設けられていることを前提とする。ただし、便宜上、図2(a),(b)において、当該溝は示していない。本実施形態では、図2(a),(b)に示すようにスルーホールの大きさや、基板及びスルーホールに形成される導体層の厚さを変えることで、基板における断線をより効果的に防止することができる。また、図2(a),(b)では、基板の各構成要素の大きさを強調して示す。なお、基板10と同様、基板20は長方形の基板とする。図2(b)は、図2(a)のA−A線による基板20の断面図である。
【0022】
図2(a)は、基板20の上面図である。基板20上には、チップ20a,20fとスルーホール20b〜20eが設けられている。スルーホール20b〜20eは、楕円形状の長穴であり、長軸方向が互いに平行である。スルーホール20b〜20eは、基板中心Cからスルーホールの楕円中心までの距離が長くなるにつれて楕円の長軸の長さが長くなるように設定されている。なお、便宜上、スルーホール20bと20e、スルーホール20cと20dは、それぞれ基板中心Cからの距離が同じであるとする。
【0023】
また、図2(a)には示さないものの図2(b)に示すように、各スルーホールには、導体層20g〜20kが形成されている。基板20には、第1の実施形態の基板10の溝10bと同様の溝が設けらている。また、各スルーホールの楕円の長軸は溝の長手方向に平行である。したがって、加熱により基板20は、溝の長手方向及びスルーホールの長軸方向に沿って折れ曲がる。この結果、基板20にはZ軸の負方向に向かう反りが発生する。
【0024】
基板20に反りが発生した場合の基板20の湾曲度は、基板中心Cから周縁に向かって大きくなる。また、基板20の湾曲度に正比例して、導体層20g〜20kの湾曲度も変化する。そこで、導体層20g〜20kの層厚を、基板中心Cからの距離が長くなるにつれて厚くする。これにより、基板20の反りの湾曲度が大きくなるにつれて、導体層20g〜20kの層厚が厚く形成され断線に対する配線強度が高くなるように、基板の配線を構成することができる。さらに、各スルーホールは、基板中心Cから離れるにつれて楕円形状の長穴の開口面積が大きくなるように設けられている。そして、基板20上のみならず、スルーホール内においても、導体層20g〜20kの層厚を基板中心Cからの距離が長くなるにつれて厚くする。以上により、本実施形態においては、基板20の反りを1方向、すなわち図1(c)と同様Z軸の負方向に規定しつつ、基板20の湾曲による配線の断線をより効果的に防止することができる。
【0025】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様にビルドアップ層の最上層を被覆するレジストに溝が設けられていることを前提とする。ただし、便宜上、図3(a),(b)においては、当該溝を示していない。本実施形態においては、図3(a),(b)に示すように、基板30上において、スルーホール30b,30cを、基板30が湾曲時に折れ曲がる方向、すなわちレジストに設けられた溝の長手方向に方向に沿って一直線に揃えることにより、加熱による基板30の反りの方向をより確実に規定することができる。また、図3(a),(b)では、基板の各構成要素の大きさを強調して示す。なお、基板10と同様、基板30は長方形の基板とする。図3(b)は、図3(a)のB−B線による基板30の断面図である。
【0026】
図3(a)に示すように、スルーホール30b,30cは楕円形状の長穴である。また、各スルーホールの楕円の長軸は互いに平行であり、短軸も同様である。本実施形態において、基板30には、基板10の溝10bと同様の溝が設けられている。そして、スルーホール30b,30cは、各スルーホールの楕円の長軸が当該溝の長手方向と平行になるように一直線に設けられている。したがって、基板30は、溝の長手方向及びスルーホールの長軸方向に沿って折れ曲がる。この結果、基板20にはZ軸の負方向に向かう反りが発生する。以上により、本実施形態においては、基板のレジストの溝だけなく、スルーホールの配置によって、加熱による基板30の反りの発生方向をより確実に1方向に、すなわち図1(c)と同様Z軸の負方向に、規定しつつ、基板30において断線をより効果的に防止することができる配線を行うことができる。
【0027】
次に、図4を参照しつつ、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に基板を被覆するレジストに溝が設けられていることを前提とする。ただし、便宜上、図4においては、当該溝を示していない。図4は、オートクレーブを行うことによる反りが発生した基板40の部分断面図である。図4において、電子部品であるチップ40aが、導電性ペースト接着工法、ハンダ接合工法、圧接工法、超音波接合工法など公知の接続方法を用いて、バンプ40bにより基板40の下面にフリップチップ実装される。バンプ40bはチップ40aと基板40の下面とを接合し、チップ40aと基板40とは電気的に接続される。アンダーフィル40cは、一液性加熱硬化型のエポキシ樹脂であり、チップ40aと基板40の下面との間に充填され、チップ40aと基板40とを接着する。
【0028】
基板40には第1の実施形態における溝10bに対応する溝が形成されているため、加熱により基板40にはZ軸の負方向に反りが生じる。したがって、チップ40aのX軸方向の長さが長くなるほど基板40の反りの影響を受ける範囲も大きくなる。そこで、本実施形態においては、チップ40aをはじめとする基板40上の各チップの長手方向を、Y軸方向、すなわちレジストに設けられた溝の長手方向と平行になるように配置する。これにより、各チップの短手方向がX軸方向と平行になり、基板40の反りがチップ40aに与える影響の範囲を小さくすることができるため、配線の断線をより効果的に防止することが可能な基板が得られる。
【0029】
以上が本発明の実施形態についての説明であるが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において種々の変形が可能である。例えば、各スルーホールの大きさを基板中心から離れるにつれて大きくしつつ、各スルーホールをその長手方向がレジストの溝の長手方向に平行になるようにして一直線に配置するなど、上記の各実施形態の基板構成を組み合わせることでも本発明の効果を達成することができる。また、上記の説明では、多層配線基板を用いて説明したが、単層配線基板においても上記の各実施形態に従って各構成要素を構成することにより、本発明の効果を達成することができる。そして、基板の形状は長方形に限らず、任意の形状の基板を用いても本発明の効果を達成することができる。
【0030】
また、上記の説明では、基板のレジストに溝を1つ設けた構成としているが、溝は1つに限らず、長手方向が互いに平行な複数の溝を設けてもよい。また、溝を設ける方向は、上記のように基板の長辺方向に限らず任意の一方向に決めることができる。また、基板に生じる応力を小さくする領域として、図1(a)〜(c)に示す溝を用いる代わりに、図5(a)に示すように基板50の最外層のレジスト10aが削除された領域50bを設けたり、図5(b)に示すように基板50にスリット50cを設けたりすることもできる。
【0031】
また、基板の作製方法としては、上記のビルドアップ法のほか、サブトラクティブ法やフルアディティブ法などの公知のプリント配線板製造技術を用いることができる。また、チップの基板への接合方法も上記のフリップチップ実装技術に限らず種々の公知の技術を用いることができる。さらに、基板のスルーホールは、楕円形状の長穴のほか、長方形や小判形などの形状を有する長穴を用いてもよい。
【0032】
また、上記の説明では、基板上の位置に応じて導体層の層厚を変えているが、層厚を変えると共に、あるいは層厚を変える代わりに、導体層の層幅を、基板中心からの距離が長くなるにつれて大きくすることでも、配線の断線をより効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
10,20,30,40,50 基板
10a,50a レジスト
10b 溝
20a,20f,30a,30d,40a チップ
20b〜20e,30b,30c スルーホール
20g〜20k 導体層
50b レジストが削除された領域
50c スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートクレーブ滅菌が可能な内視鏡に用いられる内視鏡用基板において、
加熱によって前記内視鏡用基板に熱応力が生じた際に、該応力が小さくなって該内視鏡用基板の反りが所定の方向に規定される少なくとも1つの領域を有する、
ことを特徴とする内視鏡用基板。
【請求項2】
前記内視鏡用基板に複数の長穴のスルーホールが設けられ、
各スルーホールの長手方向が互いに平行である、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用基板。
【請求項3】
各スルーホールの大きさが、前記内視鏡用基板の中心からの距離に正比例し、
前記内視鏡用基板上及び前記スルーホール内に形成される導体層の層厚又は層幅の少なくとも一方が、該内視鏡用基板の中心からの距離に正比例する、
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用基板。
【請求項4】
各スルーホールが、前記内視鏡用基板上において前記領域の長手方向に平行な方向に沿って一直線に設けられる、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内視鏡用基板。
【請求項5】
前記内視鏡用基板に設けられる各電子部品が、該内視鏡用基板上において、各電子部品の長手方向が前記領域の長手方向と平行になるように設けられる、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内視鏡用基板。
【請求項6】
前記領域は、前記内視鏡用基板のレジストに設けられる溝である、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の内視鏡用基板。
【請求項7】
前記領域は、前記内視鏡用基板のレジストが削除された領域である、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の内視鏡用基板。
【請求項8】
前記領域は、前記内視鏡用基板に設けられるスリットである、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の内視鏡用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−85923(P2012−85923A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236823(P2010−236823)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】