説明

内視鏡装置

【課題】被検体内において、挿入部の不意の移動を防ぐことのでき、確実に挿入部の先端側を長期間固定できる構成を具備する内視鏡装置を提供する。
【解決手段】シース1の挿入方向S先端側の外周に設けられた、シース1の先端側を管路内に対して固定するバルーン4と、シース1の前記管路外に位置する部位の外周に設けられた、バルーン4により先端側が管路内に固定されたシース1を、挿入方向S後方へと牽引するとともに、牽引されたシース1の管路100外に位置する部位を、管路100内への挿入口へ固定するパイプ固定部36、牽引操作用リング37、ネジ38、牽引胴体部39、シース固定用リング40、Oリングと、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内へ挿入される細長な挿入部を具備する内視鏡と、内部に挿入部が挿通されるとともに、挿通された挿入部とともに被検体内へ挿入されるシースとを具備する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内視鏡装置は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。医療用分野において利用されている内視鏡装置は、被検体である被検者の体腔内に細長の挿入部を挿入することによって、体腔内の被検部位の臓器を観察したり、必要に応じて、内視鏡の処置具挿通管路に挿通した処置具を用いて、体腔内の被検部位に対して治療、処置等をしたりすることができる。
【0003】
また、工業用分野において用いられる内視鏡装置は、内視鏡の細長い挿入部をジェットエンジン内や、工場の配管等の被検体内に挿入することによって、被検体内の被検部位の傷及び腐蝕等の観察や各種処置等を行うことができる。
【0004】
ところで、被検部位の観察等を行う場合、通常、挿入部の先端側に位置する先端部に設けられた観察窓を、被検部位へと対向させて観察等を行うが、観察窓を被検部位に対向させた後、先端部が動いてしまうと、被検部位の観察等が行い難くなってしまうといった問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み、特許文献1には、挿入部の先端側の外周に、エアの供給遮断によって膨張収縮するバルーンが設けられ、バルーンをエアの供給によって膨張させることにより、挿入部の先端側を被検体内に対し、膨張したバルーンによって固定する構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、挿入部の先端側を支持するとともに、被検体内に載置可能な挿入補助具が、挿入部の先端側に設けられた構成が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、挿入部のチャンネルから突出させたフックを、被検部位に引っ掛けることにより、被検部位に対する挿入部の位置を規定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−212671号公報
【特許文献2】特開2004−341547号公報
【特許文献3】特開2004−121546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、工業用内視鏡を用いて、被検部位を長時間、場合によっては数ヶ月〜数年に亘る長期間、継続的に観察を行う際、観察中、挿入部の先端側が動いてしまうと、正確な観察が行えなくなってしまう。この場合、挿入部の先端側の位置を補正する必要が生じるが、被検体によっては、挿入部の先端側の位置を容易に補正し難い場合がある。よって、長期間に亘って、挿入部の先端側を確実に固定できる構成が望まれていた。
【0010】
しかしながら、内視鏡を複雑な形状を有する管路内に挿通すると、挿入部の形状によっては、上述した特許文献1〜3に開示された構成を用いて管路内に挿入部を固定したとしても、挿入部の先端側が動いてしまう場合があるといった問題があった。
【0011】
また、上述した特許文献1〜3に開示された構成を用いて管路内に挿入部を固定したとしても、不意に、管路外に位置する挿入部の基端側が押圧されたり、牽引されたりすると、挿入部の先端側が動いてしまうといった問題があった。
【0012】
例えば、特許文献1に開示されたバルーンを用いると、バルーン内のエアは、時間とともに抜けてしまうため、長時間使用すると、固定が解除されてしまうといった問題もあった。
【0013】
尚、以上のことは、被検体内に、ガイド用のシースを用いて挿入部を挿入していく場合であっても同様である。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、被検体内において、挿入部の不意の移動を防ぐことのでき、確実に挿入部の先端側を長期間固定できる構成を具備する内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明による内視鏡装置は、被検体内へ挿入される細長な挿入部を具備する内視鏡と、内部に前記挿入部が挿通されるとともに、挿通された前記挿入部とともに前記被検体内へ挿入されるシースとを具備する内視鏡装置において、前記シースの挿入方向先端側の外周に設けられた、前記シースの前記先端側を前記被検体内に対して固定する固定部材と、前記シースの前記被検体外に位置する部位の外周に設けられた、前記固定部材により前記先端側が前記被検体内に固定された前記シースを、前記挿入方向後方へと牽引するとともに、牽引された前記シースの前記被検体外に位置する部位を、前記被検体内への挿入口へ固定する牽引部材と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被検体内において、挿入部の不意の移動を防ぐことのでき、確実に挿入部の先端側を長期間固定できる構成を具備する内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施の形態を示す内視鏡装置の斜視図
【図2】図1の内視鏡装置の動作を概略的に示すブロック図
【図3】図1のシース内部の構成を、バルーン、パイプ固定部、牽引操作用リング、牽引胴体部、シース固定用リングを除いて示す断面図
【図4】図1の内視鏡の断面図
【図5】図4の内視鏡の挿入部の先端側を拡大して示す断面図
【図6】管路内に図1のシースを挿入した際において、管路内にシースの先端側がバルーン及び樹脂によって固定された状態を示す部分断面図、
【図7】シースの挿入部が挿入される孔とは別の挿入方向に沿った管路から突出させたフックにより、シースの先端側を固定する変形例を示す部分断面図
【図8】シースの先端側を、鍵部により固定する変形例の構成を示す部分斜視図
【図9】第2実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図
【図10】第3実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を、管路内に挿入して、管路内に固定した状態を示す部分断面図
【図11】第4実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図
【図12】第5実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図
【図13】図11の拡張部材の偏芯した位置に、シース1が挿通されている変形例を示す部分斜視図
【図14】第6実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図
【図15】第7実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図
【図16】図15のシースの先端側を湾曲させて、管路内に固定する状態を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。◎
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態を示す内視鏡装置の斜視図、図2は、図1の内視鏡装置の動作を概略的に示すブロック図、図3は、図1のシース内部の構成を、バルーン、パイプ固定部、牽引操作用リング、牽引胴体部、シース固定用リングを除いて示す断面図である。
【0019】
また、図4は、図1の内視鏡の断面図、図5は、図4の内視鏡の挿入部の先端側を拡大して示す断面図、図6は、管路内に図1のシースを挿入した際において、管路内にシースの先端側がバルーン及び樹脂によって固定された状態を示す部分断面図である。
【0020】
図1に示すように、内視鏡装置50は、被検体内に挿入される細長な挿入部11を具備する内視鏡10と、内部1i(図3参照)に挿入部11が挿通されるとともに、挿通された挿入部11とともに、被検体である、例えば管路100内へ挿入されるシース1とを具備して主要部が構成されている。
【0021】
尚、シース1の挿入方向Sの基端側(以下、単に基端側と称す)の開口1aから内部1iの挿入された挿入部11の挿入方向Sの先端側(以下、単に先端側と称す)は、図3に示すように、シース1の先端側において内部1iに設けられた位置固定部材であるテーパ部2に接触することにより、シース1に対して固定されるようになっている。この固定状態において、シース1の先端側の開口1dを介して、挿入部11の先端側の先端面に設けられた観察窓31を用いて、被検部位Tの観察が行われる。
【0022】
また、図1においては、挿入部11の先端側の先端面に、観察窓31の他、被検部位に照明光を照射するLED32等が設けられているが、LED32は、明るい場所を観察する場合設けてなくても構わない。
【0023】
また、観察窓31は、図5に示すように、凹レンズから構成されていることが好ましい。これは、内視鏡10においては、観察窓31によって集光された像は、後述する石英等から構成されたファイバ13が用いられて接眼部14まで伝達されるが、石英は、周知のように画角が狭いことから、観察窓31を通常のレンズから構成すると、内視鏡10の視野範囲が狭くなってしまう。よって、観察窓31を凹レンズから構成することにより、内視鏡10は、広角の視野範囲を確保することができる。
【0024】
内視鏡10は、図4、図5に示すように、シース1の内部1iに挿入される挿入部11と、該挿入部11の基端側に設けられた接眼部14とを具備して主要部が構成されている。
【0025】
挿入部11の外皮12によって覆われた内部には、石英等から構成されたファイバ13が挿入方向Sに沿って設けられている。また、図5に示すように、ファイバ13の外皮12の先端から挿入方向Sの前方(以下、単に前方と称す)に突出した先端側部位の先端は、レンズ枠27において、挿入方向Sに沿って形成された貫通孔の基端側に嵌入されて固定されており、該貫通孔の先端側には、上述した観察窓31の他、複数のレンズ28が設けられている。
【0026】
また、レンズ枠27の外周は、管状部材26の先端側部位によって覆われている。尚、管状部材26の基端側部位は、ファイバ13の外皮12の先端から前方に突出した先端側部位におけるレンズ枠27の貫通孔に嵌入した部位以外の外周を覆っている。さらに、レンズ枠27の外周は、口金29によって覆われている。
【0027】
また、図4に示すように、ファイバ13の基端側は、接眼部14内に挿通されている。具体的には、外装部材14gの基端側の内部に固定部材16が固定されており、該固定部材16には、挿入方向Sに沿って、貫通孔16i1、16i2が形成されている。尚、貫通孔16i2は、貫通孔16i1よりも大径に形成されている。
【0028】
先端側の貫通孔16i1には、ファイバ13の基端側が内部に固定された口金17が設けられており、口金17は、内視鏡10の外径方向Rに沿って固定部材16に2つ形成された貫通孔内にそれぞれ挿通された各角度調整用ねじ18によって、固定部材16に固定されている。
【0029】
また、口金17の基端側には、例えば外形が球状を有するレンズ枠19が固定されている。尚、レンズ枠19は、内部に複数のレンズ20を具備しているとともに、貫通孔16i2に位置している。
【0030】
また、貫通孔16i2の基端側の内周には、固定部材21が嵌入されて固定されており、固定部材21の基端側の外周には、接眼部材24が嵌合されている。尚、図示しないが、接眼部材24には、撮像ユニット43(図2参照)が取り付け自在となっており、撮像ユニット43のCCDによって撮像された被検部位Tの像は、LCD表示部41(図2参照)に表示される。さらに、固定部材21内には、内部に複数のレンズ23を具備するレンズ枠22が固定されている。
【0031】
ここで、接眼部14に、レンズ枠22、レンズ枠19を設ける場合、複数のレンズ23と複数のレンズ20との焦点調整を行わなくてはならない。即ち、レンズ23とレンズ20との光軸を一致させる必要がある。
【0032】
そこで、本内視鏡10においては、各角度調整用ねじ18を用いて、口金17を押圧することにより、口金17の基端側に固定されたレンズ枠19を、図4に示すように回動させることができる。このことにより、内視鏡10は、複数のレンズ23に対する複数のレンズ20の焦点調整を容易に行うことができる構成を具備している。
【0033】
よって、仮にファイバ13の後端面13tが傾いて組み付けられていたとしても、各角度調整用ねじ18を用いて、口金17の基端側に固定されたレンズ枠19を回動させることにより、レンズ23に対するレンズ20の焦点距離の調整を容易に行うことが可能となる。
【0034】
尚、本構成の内視鏡10においては、角度調整用ねじ18を用いて口金17を動かすことにより、レンズ枠19を回動させていたが、これに限らず、口金17とレンズ枠19とを別体とし、口金17とレンズ枠19とが、それぞれ別個に、角度調整用ネジによって動かすことができる構成を有していても構わない。このことにより、ファイバ13の後端面13tの位置調整と、レンズ枠19の回動とをそれぞれ別個に行うことができる。
【0035】
図1に戻って、シース1の先端側の外周に、シース1の先端側を、管路100内に対して固定する固定部材、具体的にはシース1の外径方向Rに拡張自在な拡張部材であるバルーン4が設けられている。
【0036】
バルーン4は、エアの供給・遮断により外径方向Rに膨張・収縮する部材であり、バルーン4には、シース1の外周において、挿入方向Sに沿って設けられたバルーン用チューブ5の先端が接続されている。尚、バルーン用チューブ5の基端は、バルーン用ポンプ6に接続されており、バルーン用ポンプ6は、バルーン用ポンプ制御部7により駆動制御される。また、バルーン用チューブ5は、シース1の内部に設けられていても構わない。
【0037】
よって、バルーン4は、バルーン用ポンプ制御部7の駆動制御によって駆動されたバルーン用ポンプ6から、バルーン用チューブ5を介して送気されたエアにより、外径方向Rに膨張する。その結果、図6に示すように、シース1の先端側は、管路100内において、膨張されたバルーン4により固定される。
【0038】
また、シース1の外周において、バルーン4よりも基端側には、シース1の外周に対して挿入方向Sに沿って、前後に摺動移動自在な口金200が設けられており、口金200には、シース1の外周において、挿入方向Sに沿って設けられた樹脂噴射チューブである樹脂供給用チューブ3の先端が接続されている。尚、樹脂供給用チューブ3は、シース1の内部に設けられていても構わない。また、樹脂供給用チューブ3の基端は、樹脂用ポンプ8に接続されており、樹脂用ポンプ8には、発泡ウレタン等の樹脂が貯留された樹脂供給源である樹脂タンク9が接続されている。樹脂用ポンプ8は、樹脂用制御部35により駆動制御される。
【0039】
よって、樹脂供給用チューブ3の先端開口3hからは、樹脂用制御部35の駆動制御によって駆動された樹脂用ポンプ8により、樹脂タンク9内の樹脂が、管路100内に噴射される。
【0040】
先端開口3hから噴射された樹脂は、図6に示すように、口金200を挿入方向Sに沿って移動させることにより、図6中の複数の位置Pに供給される。その後、供給された樹脂が硬化することにより、シース1は、管路100内に完全に固定される。
【0041】
尚、管路100内に対してシース1を固定するのに樹脂を用いるには、バルーン4を用いた固定のみでは、バルーン4内のエアは、長期間使用すると抜けてしまう、即ちバルーン4が収縮してしまうことから、バルーン4のみの固定では、長期間の使用に伴い、シース1の先端側の固定が解除されてしまう場合があるためである。
【0042】
よって、樹脂が硬化した後は、膨張しているバルーン4を収縮させることが好ましい。このことから、バルーン4は、シース1の先端側を、管路100内に仮固定する際に用いられ、また、樹脂は、シース1を、管路100内に本固定する際に用いられる。
【0043】
また、図6に示すように、管路100が、複数の屈曲部101、102等を有する複雑な構造を有している場合は、バルーン4の膨張によるシース1の先端側の仮固定後、シース1を後方に牽引して、シース1の外周を、屈曲部102の面102i、屈曲部101の面101tに当接させた状態で、さらに樹脂を供給することにより、シース1を管路100内に固定することで、より確実に固定することができる。
【0044】
これは、図6の点線に示すように、シース1のバルーン4よりも基端側の部位が、管路100内においてたるんでいると、バルーン4を用いて仮固定されていたとしても、シース1の先端側が、被検部位Tに正対した状態から外径方向Rにぶれてしまい、シース1内の内視鏡10を用いた被検部位Tに対する十分な観察が行えなくなってしまう可能性があるためである。
【0045】
また、シース1の管路100外に位置する部位も、シース1が後方に牽引された状態で管路100の挿入口100eに対して固定することで、より確実に固定することができる。
【0046】
これは、シース1の管路100外に位置する部位が、管路100の挿入口100eに対して固定されていないと、不意にシース1の管路100外に位置する部位が牽引、弛緩された際、シース1の先端側がバルーン4を用いて仮固定されていたとしても、矢張り、シース1の先端側が外径方向Rにぶれてしまう場合があるためである。
【0047】
そこで、以下、図1、図6を用いて、バルーン4により仮固定されたシース1を後方に牽引する構成と、シース1の管路100外に位置する部位を、管路100の挿入口100eに対して固定する構成を示す。
【0048】
図1、図6に示すように、シース1の管路100外に位置する部位の外周に対し、基端にフランジ部36fを有するパイプ固定部36が挿入方向Sに摺動自在に嵌合されており、また該パイプ固定部36よりも後方に、牽引操作用リング37が挿入方向Sに摺動自在に嵌合されており、さらに、牽引操作用リング37よりも後方に、牽引操作用リング37にネジ38により螺合された牽引胴体部39が挿入方向Sに摺動自在に嵌合されている。
【0049】
尚、牽引胴体部39の挿入方向Sの中途位置には、外径方向Rの内径方向に突出する突起部39tが形成されており、牽引胴体部39の突起部39tよりも後方には、挿入方向Sにおいて突起部39tに当接するようOリング141が、シース1の管路100外に位置する部位の外周に対し嵌合されている。さらに、シース1の管路100外に位置する部位の外周に対し、Oリング141よりも後方には、牽引胴体部39の基端側の内周面に螺合自在なシース固定用リング40が挿入方向Sに摺動自在に嵌合されている。
【0050】
パイプ固定部36は、先端側が傾斜する形状を有しており、該傾斜部が、管路100の挿入口100eから、管路100内に嵌入する。また、フランジ部36fが、挿入口100eの外壁に当接している。よって、フランジ部36fが管路100内に進入することはない。
【0051】
シース固定用リング40は、螺合により挿入方向Sの前方に前進することにより、Oリング141を、突起部39tに対して押し潰す。その結果、Oリング141は、外径方向Rの内側に膨張することにより、牽引胴体部39に対して、シース1の外周が、膨張したOリング141により固定される。
【0052】
また、牽引操作用リング37は、パイプ固定部36の基端面に当接した状態で、回動自在となっていることにより、Oリング141によってシース1の外周が牽引胴体部39に固定されている状態においては、シース1は、これ以上、挿入方向Sの前方に進入することは無い。
【0053】
また、牽引胴体部39に対して、牽引操作用リング37は、ネジ38を介して螺合されていることから、Oリング141によってシース1の外周が牽引胴体部39に固定されている状態においては、牽引操作用リング37を回動させると、牽引操作用リング37に対する牽引胴体部39の挿入方向Sの間隔Qを、自在に可変することができる。即ち、間隔Qが大きくなるよう、牽引操作用リング37を一方向に回転させると、シース1は、後方に牽引される。
【0054】
よって、パイプ固定部36、牽引操作用リング37、ネジ38、牽引胴体部39、シース固定用リング40、Oリング141は、本発明におけるシース1の管路100外に位置する部位を、管路100の挿入口100eへと固定するとともに、バルーン4により先端側が管路100内に固定されたシースを後方へと牽引する牽引部材を構成している。
【0055】
尚、シース1の牽引を、上述した各種牽引部材を用いて行うのは、手動で行うと、樹脂が硬化するまでシース1を牽引してなければならず、作業者にとって大変煩雑であるためである。
【0056】
次に、本実施の形態の作用について説明する。◎
先ず、作業者は、シース1の内部に、接眼部14に撮像ユニット43が取り付けられた内視鏡10の挿入部11を挿入し、挿入部11の先端を、シース1の内部1iのテーパ部2に固定する。
【0057】
その後、作業者は、シース1を、管路100の挿入口100eから、管路100内に挿入し、図2及び図6に示すように、撮像ユニット43のCCDが撮像した画像を、LCD表示部41で観察しながら、観察窓31を被検部位Tに対向させる。
【0058】
この際、挿入部11が湾曲部11w(図2参照)を有している場合は、作業者は、LCD表示部41に表示された画像を見ながら湾曲操作を行うことにより、湾曲制御部42(図2参照)による湾曲動作制御によって、湾曲部11wを湾曲させて、観察窓31を被検部位Tへと対向させる。尚、この状態においては、図6の点線に示すように、屈曲部102近傍に位置するシース1の部位は、屈曲部102の面102t側にたるんだ状態となっている。
【0059】
次いで、作業者は、既知の操作により、バルーン用ポンプ制御部7の駆動制御により、バルーン用ポンプ6を駆動して、バルーン4に、バルーン用チューブ5を介してエアを送気し、図6に示すように、バルーン4を外径方向Rに膨張させる。その結果、シース1の先端側は、管路100内に仮固定される。この際、観察窓31は、被検部位Tに対して傾いている可能性がある。
【0060】
その後、作業者は、パイプ固定部36の先端側を、フランジ部36fが、挿入口100eの外壁に当接するまで嵌入させる。また、作業者は、シース固定用リング40を回転させる。
【0061】
その結果、Oリング141が、突起部39tに対して押し潰され、Oリング141は、外径方向Rの内側に膨張する。このことにより、牽引胴体部39に対して、シース1の外周が、膨張したOリング141により固定される。
【0062】
次いで、作業者は、牽引操作用リング37をパイプ固定部36の基端に当接させた状態において回転させる。その結果、ねじ38により、牽引操作用リング37に対する牽引胴体部39の間隔Qが大きくなり、牽引胴体部39に固定されたシース1は、後方に牽引される。
【0063】
尚、この牽引は、シース1の外周が、屈曲部102の一面102i及び屈曲部101の一面101tに当接するまで行う。この牽引により、観察窓31は、被検部位Tに対して正対する。
【0064】
次いで、作業者は、既知の操作により、樹脂用制御部35の駆動制御により、樹脂用ポンプ8を駆動して、樹脂タンク9内の樹脂を、樹脂供給用チューブ3を介して、先端開口3hから、図6に示すように、管路100内に供給する。
【0065】
この際、既知の手段により、口金200を挿入方向Sの前後に摺動させることにより、複数の位置Pに対し、樹脂を供給する。その後、樹脂が硬化されることにより、シース1は、管路100内に完全に本固定される。
【0066】
最後に、作業者は、既知の操作により、バルーン用ポンプ制御部7の駆動制御により、バルーン用ポンプ6の駆動を停止して、バルーン4を外径方向Rに収縮させる。尚、シース1を管路100内に固定した後は、シース1の内部1iに対して、内視鏡10の挿入部11は、何回でも出し入れ可能となる。
【0067】
このように、本実施の形態においては、管路100内に、シース1を挿入後、シース1の先端側を、バルーン4の膨張を用いて、管路100内に仮固定した後、その後、各種牽引部材36〜40、141を用いてシース1を後方に牽引して、シース1の管路100外に位置する部位を管路100への挿入口100eに固定し、最後に、樹脂供給用チューブ3の先端開口3hから、管路100内に樹脂を供給して、硬化した樹脂により、シース1を管路100内に固定すると示した。
【0068】
このことによれば、シース1は、管路100内において硬化した樹脂により固定されているばかりか、シース1の管路100外の部位が、挿入口100eに固定されていることから、この固定状態において、シース1の管路100外に位置する部位が不意に牽引弛緩されてしまったとしても、シース1の位置が挿入方向Sに対して前後に移動してしまうことがない。
【0069】
以上より、管路100内において、シース1内に保持された挿入部11の不意の移動を防ぐことのでき、確実に挿入部11の先端側を長期間固定できる構成を具備する内視鏡装置50を提供することができる。
【0070】
尚、以下、変形例を、図7を用いて示す。図7は、シースの挿入部が挿入される孔とは別の挿入方向に沿った管路から突出させたフックにより、シースの先端側を固定する変形例を示す部分断面図である。本実施の形態においては、シース1の先端側を管路100内に仮固定する際、バルーン4を用いると示したが、これに限らず、図7に示すように、シース1に、挿入部11が挿入される孔とは別の挿入方向Sに沿った管路42を設けており、管路42を介して、該管路42の先端開口から突出させた係止部材であるフック143を用いた管路100への係止により、管路100内にシース1の先端側を仮固定しても構わない。尚、フック143、バルーン4を併用して用いても構わないということは勿論である。
【0071】
また、さらに別の変形例を、図8を用いて示す。図8は、シースの先端側を、鍵部により固定する変形例の構成を示す部分斜視図である。
【0072】
図8に示すように、シース1の先端に、口金70が設けられており、口金70の外周面には、係止部材である鍵部81が設けられている。鍵部81は、管路100内に係止されることにより、シース1の先端側を管路100内に固定する固定部材を構成している。
【0073】
また、図示しないが、本実施の形態においても、鍵部81を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0074】
その他の構成は、上述した第1実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
尚、鍵部81も、シース1を用いない場合は、挿入部11の先端部の外周に直接設けても構わない。
【0076】
(第2実施の形態)
図9は、本実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図である。
【0077】
この第2実施の形態の内視鏡装置の構成は、上述した図1〜図6に示した第1実施の形態の内視鏡装置と比して、シースの先端側を、管路内に仮固定する固定部材である外径方向に拡張自在な拡張部材が、バルーンに代わりに、シースの外周から外径方向に放射状に広がるバネ状の拡張部材から構成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0078】
図9に示すように、本実施の形態においては、シース1の先端側の外周に、シース1の先端側を管路100内に仮固定する固定部材である外径方向に拡張自在な拡張部材、具体的には、シース1の先端の外周から放射状に複数のバネ材62bが広がるバネ状部材62が設けられている。尚、複数のバネ材62bは、シース1の先端側を、管路100内に固定する必要の無い場合は、後述するバネ状部材おさえ60によって、シース1の外周面と略平行となるように、閉じている。
【0079】
また、シース1の外周において、バネ状部材よりも後方には、牽引ワイヤ61によって、後方に牽引されるバネ状部材おさえ60が設けられている。
【0080】
バネ状部材おさえ60は、シース1の先端側を、管路100内に固定する必要の無い場合において、複数のバネ材62bを係止することにより、複数のバネ材62bを、シース1の外周面と略平行となるように閉じる機能を有しているとともに、シース1の先端側を、管路100内に固定する場合は、牽引ワイヤ61によって後方に移動されることにより、係止を解除して、複数のバネ材62bを、バネの力によって放射状に拡張するよう構成されている。
【0081】
その結果、拡張された複数のバネ材62bの拡張端が管路100の内周面に当接することにより、シース1の先端側は、管路100内に固定される。
【0082】
さらに、バネ材による適度なバネ力に抗する形でシース1は牽引されるので、全体が安定的に固定される。
【0083】
また、放射状に拡張するような構成としていることで、挿入部11を管路100に対して中心に位置決めすることができるので、管路100に挿入部11を沿わして固定する場合に比べて管路自体の傾斜の影響を受けにくくすることができる。
【0084】
尚、図示しないが、本実施の形態においても、バネ状部材62を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0085】
また、シース1の後方への牽引方法、シース1の管路100外の位置の挿入口100eへの固定方法は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0086】
その他、バルーン用チューブ5、バルーン用ポンプ6、バルーン用ポンプ制御部7を有さない以外は、上述した第1実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(第3実施の形態)
図10は、本実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を、管路内に挿入して、管路内に固定した状態を示す部分断面図である。
【0088】
この第3実施の形態の内視鏡装置の構成は、上述した図9に示した第2実施の形態の内視鏡装置と比して、拡張部材を、板状のバネ部材から構成した点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0089】
上述した第2実施の形態においては、一度拡張したバネ状部材62を、牽引ワイヤ61を用いて閉じることはできなかった。そこで、本実施の形態においては、拡張、収縮自在な拡張部材を提供する。
【0090】
具体的には、図10に示すように、シース1の先端面には、外径方向Rに突出して、シース1の外周面に略平行に折れ曲がった断面略L字状の固定口金65が設けられており、シース1の外周面において、固定口金65よりも後方には、挿入方向Sに沿って、パイプ67により前後に摺動移動自在なスライダ部材66が嵌合されている。
【0091】
また、固定口金65には、シース1の先端側を管路100内の固定する固定部材である拡張部材、具体的には、板状のバネ部材68の一端が固定されており、スライダ部材66には、板状のバネ部材68の他端が固定されている。
【0092】
尚、本実施の形態においては、内視鏡10の先端の外周に外径方向Rに突出する位置固定部材である凸部11tが設けられており、凸部11tが固定口金65に係止されることにより、シース1に対する挿入部11の位置が規定されている。尚、勿論、シース1に対する挿入部11の位置は、凸部11tを用いずに、第1実施の形態同様、シース1の内部1iのテーパ部2を用いて行っても構わない。
【0093】
このような構成によれば、板状のバネ部材68は、外径方向Rに拡張収縮自在となる。具体的には、一方、シース1の先端側を管路100内に固定しない場合には、スライダ部材66を、パイプ67を用いて後方にスライドさせることにより、拡張していた板状のバネ部材68は、シース1の外周面と略平行に位置する。即ち、板状のバネ部材68は、外径方向Rに収縮する。他方、シース1の先端側を管路100内に固定する場合には、スライダ部材66を、パイプ67を用いて前方にスライドさせることにより、一端及び他端が固定口金65、スライダ部材66に固定された板状のバネ部材68は、図10に示すように、湾曲して外径方向Rに拡張する。
【0094】
この状態において、外径方向Rに拡張した板状のバネ部材68の一部を、管路100内の屈曲部105に係止させることにより、シース1は、管路100内に固定される。尚。シース1の基端側は、上述した第1実施の形態に示したように、シース1が後方に牽引された後、挿入口100eに固定されていることから、前方に押されることがないため、拡張した板状のバネ部材68の一部を、管路100内の屈曲部105に係止させるのみでも、十分、シース1の先端側は、管路100内に固定される。
【0095】
その後、シース1の先端側を管路100内に固定する必要が無くなった場合は、再度、スライダ部材66を、パイプ67を用いて後方にスライドさせることにより、板状のバネ部材68は、シース1の外周面と略平行に位置する。このように、板状のバネ部材68は、スライダ部材66によって、拡張収縮自在となる。
【0096】
尚、図示しないが、本実施の形態においても、板状のバネ部材68を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0097】
その他の構成は、上述した第2実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(第4実施の形態)
図11は、本実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図である。
【0099】
この第4実施の形態の内視鏡装置の構成は、上述した図10に示した第3実施の形態の内視鏡装置と比して、拡張部材を、支持板及び拡張板から構成した点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第3実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0100】
図11に示すように、シース1の先端側の外周には、スライダチューブ71が、挿入方向Sに前後に摺動自在に嵌合されており、スライダチューブ71の先端には、シース1の先端側を管路100内に固定する固定部材であり拡張部材である支持板73の一端が回動軸75を介して回動自在に接続されている。
【0101】
また、シース1の先端の外周には、シース1の先端側を管路100内に固定する固定部材であり拡張部材である拡張板72の一端が回動軸75を介して回動自在に接続されており、拡張板72の中途位置には、支持板73の他端が回動軸74を介して回動自在に接続されている。
【0102】
このような構成によれば、拡張板72及び支持板73は、外径方向Rに拡張収縮自在となる。具体的には、一方、シース1の先端側を管路100内に固定しない場合には、スライダチューブ71を、後方にスライドさせることにより、拡張していた拡張板72及び支持板73は、回動軸74、75の一方向への回転によりシース1の外周面と略平行に位置する。即ち、拡張板72及び支持板73は、外径方向Rに収縮する。他方、シース1の先端側を管路100内に固定する場合には、スライダチューブ71を、前方にスライドさせることにより、拡張板72及び支持板73は、図11に示すように、回動軸74、75の一方向とは反対の他方向への回転により、外径方向Rに拡張する。
【0103】
この状態において、拡張した拡張板72の拡張端を、管路100内に当接させることにより、シース1は、管路100内に固定される。
【0104】
その後、シース1の先端側を管路100内に固定する必要が無くなった場合は、再度、スライダチューブ71を、後方にスライドさせることにより、回動軸74、75の一の方向への回転により、拡張板72及び支持板73は、シース1の外周面と略平行に位置する。
【0105】
このように、拡張板72及び支持板73は、スライダチューブ71によって、拡張収縮自在となる。
【0106】
尚、図示しないが、本実施の形態においても、拡張板72及び支持板73を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0107】
その他の構成は、上述した第3実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第3実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0108】
(第5実施の形態)
図12は、本実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図である。
【0109】
この第5実施の形態の内視鏡装置の構成は、上述した図1〜図6に示した第1実施の形態の内視鏡装置、図9に示した第2実施の形態の内視鏡装置、図10に示した第3実施の形態の内視鏡装置、図11に示した第4実施の形態の内視鏡装置と比して、拡張部材を、シースの先端側のみならず、管路内に挿入されているシースの挿入方向に沿った部位に複数設けた点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1〜第4実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0110】
図12に示すように、シース1の先端側の外周には、外径方向Rに突出する凸部77が設けられている。また、シース1の管路内に挿入される部位の外周には、シース1の外径方向Rに拡張自在な拡張部材78が中間パイプ79とともに、複数個、挿入方向Sに沿ってスライド嵌合自在となっている。
【0111】
具体的には、拡張部材78、中間パイプ79、拡張部材78、中間パイプ79の順に、複数個、これらが、シース1の管路内に挿入される部位の外周に嵌合自在となっている。
【0112】
拡張部材78は、挿入方向Sに押圧された場合のみ拡張するバネ状の拡張部78kを具備している。よって、最初の拡張部材78がシース1の先端の凸部77に当接するまで、拡張部材78をスライド移動させて嵌合させた後、該拡張部材78に当接するまで中間パイプ79をスライド移動させて嵌合させ、次の拡張部材78を、中間パイプ79に当接するまでスライド移動させて嵌合させ、次の中間パイプ79を、先の拡張部材78に当接するまでスライド移動させて嵌合させるこの作業を、複数個の拡張部材78及び中間パイプ79が、シース1の管路内に挿入される部位の外周を埋め尽くすまで行うと、中間パイプ79により、各拡張部材78の拡張部78kは、外径方向Rに拡張する。この拡張を用いて、シース1を管路100内に固定する。また、固定を解除したい場合は、シース1の外周から複数個の拡張部材78及び中間パイプ79を除去すれば、拡張部78kは収縮するため、固定は解除される。
【0113】
尚、この際、凸部77に当接する拡張部材78は、シース1の先端側を管路100内に固定する固定部材を構成している。
【0114】
また、図示しないが、本実施の形態においても、複数個の拡張部材78を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0115】
その他の構成は、上述した第1〜第4実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第1〜第4実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
尚、以下、変形例を、図13を用いて示す。図13は、図12の拡張部材の偏芯した位置に、シース1が挿通されている変形例を示す部分斜視図である。
【0117】
図13に示すように、拡張部材78のシース1が挿通される孔は、中心から偏芯していても構わない。このことによれば、拡張部材78の拡張部78kの拡張の大きさを、図13中の上下において異ならせることができる。尚、この際、シース1の外周面に、挿入方向Sに沿って凸部1vが形成され、拡張部材78のシース1が挿通される孔の内周面に、凸部1vが嵌合される溝78mが形成され、溝78mに凸部1vが嵌入するよう、拡張部材78の孔にシース1が挿通されていれば、拡張部材78内の孔において、シース1が回転してしまい、拡張部78kの拡張方向が所望の方向と異なってしまうことを防止することができる。
【0118】
尚、上述した第1〜第5実施の形態においては、拡張部材であるバルーン4、バネ状部材62、板状のバネ部材68、拡張板72及び支持板73、拡張部材78は、シース1の外周面に設けられた例を示したが、シース1を用いない場合は、挿入部11の外周面に設けられていても構わない。即ち、各種拡張部材を用いて、直接、挿入部11を管路100内に固定しても構わない。
【0119】
また、挿入部11を管路100に沿わして固定するので、前述した第1実施の形態のようなバルーンを用いた場合に比べて管路の径に影響を受けにくいと共に、安定して挿入部11を管路100に固定することができる。
【0120】
(第6実施の形態)
図14は、本実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図である。
【0121】
この第6実施の形態の内視鏡装置の構成は、上述した図1〜図6に示した第1実施の形態の内視鏡装置、図9に示した第2実施の形態の内視鏡装置、図10に示した第3実施の形態の内視鏡装置、図11に示した第4実施の形態の内視鏡装置と比して、シースの先端側を管路内に固定する固定部材に、シースの側面から突出する突出部材が用いられる点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1〜第4実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0122】
図14に示すように、本実施の形態におけるシース1は、内チューブ90と、該内チューブ90の外側に被覆された外チューブ91とを具備して構成されている。尚、内チューブ90と外チューブ91との間には、空間92が形成されている。
【0123】
また、外チューブ91の先端側の側面には、空間92に連通する、例えば2つの開口96が形成されている。
【0124】
空間92には、挿入方向Sに沿って進退自在な突出部材93、94が挿通されており、各突出部材93、94は、開口96を介して、空間92から外径方向Rに突出自在となっている。
【0125】
また、突出部材93、94の突出端部には、例えばゴムから構成された支持部95がそれぞれ設けられている。尚、突出部材93、94は、シース1の先端側を、管路100内に固定する固定部材を構成している。
【0126】
このような構成によれば、シース1の先端側を管路100内に固定したい場合には、先ず作業者は、空間92内において、突出部材93、94を前方に押し込み、開口96から、外径方向Rに、突出部材93、94に突出させ、図14中管路100の上面100jに、支持部95をそれぞれ突き当てる。
【0127】
その結果、シース1は、図14中管路100の下面100kに押しつけられ、結果、シース1が、管路100内に固定される。尚、該固定は、下面100kに、突出部材93、94の各支持部95を突き当てて、上面100jに、シース1を押しつけて行っても構わない。
【0128】
また、シース1の固定を解除する場合には、作業者は、突出部材93、94を後方に牽引することにより、開口96を介して、空間92内に、突出部材93、94を引っ込めれば良い。
【0129】
また、図示しないが、本実施の形態においても、突出部材93、94を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0130】
その他の構成は、上述した第1〜第4実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第1〜第4実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0131】
(第7実施の形態)
図15は、本実施の形態を示す内視鏡装置におけるシースの先端側を示す部分斜視図、図16は、図15のシースの先端側を湾曲させて、管路内に固定する状態を示す部分断面図である。
【0132】
この第7実施の形態の内視鏡装置の構成は、上述した図14に示した第6実施の形態の内視鏡装置と比して、シースの先端面に、挿入方向前方に突出する突出部材が設けられている点と、シースの先端側に複数の切り込みが形成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第7実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0133】
図15に示すように、シース1の先端に設けられた口金110の先端面には、挿入方向Sの前方に突出する突出部材112が設けられている。尚、突出部材112の突出端部には、ゴムから構成された支持部113が設けられている。
【0134】
また、シース1の先端側の側面には、複数の切り込み115が形成されている。さらに、シース1内において、挿入部11が挿通される孔以外の孔に、牽引ワイヤ114が挿入方向Sに沿って挿通されており、牽引ワイヤ114の先端は、シース1の口金110の先端部111において固定されている。
【0135】
牽引ワイヤ114は、複数の切り込み115が形成されたシース1の先端側を湾曲させて、突出部材112を、図16に示すように、図16中、管路100内の上面100jに突き当てる湾曲部材を構成している。尚、上面100jに突出部材112の支持部113が突き当てられることにより、シース1は、管路100の下面100kに押しつけられる。その結果、シース1は、管路100内に固定される。
【0136】
よって、突出部材112は、シース1の先端側を管路100内に固定する固定部材を構成している。
【0137】
また、牽引ワイヤ114によって、シースの先端側が湾曲された状態においては、湾曲前において開口1dから臨む挿入部11は、図16に示すように、複数の切り込み115の内、最も基端側に位置する切り込み115kから、挿入方向Sの前方に突出されるようになっている。
【0138】
また、図示しないが、本実施の形態においても、突出部材112を用いた固定後、樹脂を供給しても構わない。
【0139】
その他の構成は、上述した第6実施の形態の構成と同様である。このような構成によっても、上述した第6実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0140】
尚、上述した第1〜第7実施の形態においては、被検体は、管路を例に挙げて示したが、管路に限定されないことは勿論である。また、管路は、複数の屈曲部101、102を有さない、直線形状を有するものであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0141】
1…シース
1i…内部
2…テーパ部(位置固定部材)
3…樹脂供給用チューブ(樹脂噴射チューブ)
4…バルーン(固定部材)(拡張部材)
9…樹脂タンク(樹脂供給源)
10…内視鏡
11…挿入部
11t…凸部(位置固定部材)
36…パイプ固定部(牽引部材)
37…牽引操作用リング(牽引部材)
38…ネジ(牽引部材)
39…牽引胴体部(牽引部材)
40…シース固定用リング(牽引部材)
50…内視鏡装置
62…バネ状部材(固定部材)(拡張部材)
68…板状のバネ部材(固定部材)(拡張部材)
72…拡張板(固定部材)(拡張部材)
73…支持板(固定部材)(拡張部材)
78…拡張部材(固定部材)(拡張部材)
81…鍵部(固定部材)(係止部材)
90…内チューブ(第1のチューブ)
91…外チューブ(第2のチューブ)
92…空間
93…突出部材(固定部材)
94…突出部材(固定部材)
96…開口
112…突出部材(固定部材)
100…管路(被検体)
100e…挿入口
114…湾曲ワイヤ(湾曲部材)
115…切り込み
115k…基端側に位置する切り込み
141…Oリング(牽引部材)
143…フック(係止部材)
R…外径方向
S…挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内へ挿入される細長な挿入部を具備する内視鏡と、内部に前記挿入部が挿通されるとともに、挿通された前記挿入部とともに前記被検体内へ挿入されるシースとを具備する内視鏡装置において、
前記シースの挿入方向先端側の外周に設けられた、前記シースの前記先端側を前記被検体内に対して固定する固定部材と、
前記シースの前記被検体外に位置する部位の外周に設けられた、前記固定部材により前記先端側が前記被検体内に固定された前記シースを、前記挿入方向後方へと牽引するとともに、牽引された前記シースの前記被検体外に位置する部位を、前記被検体内への挿入口へ固定する牽引部材と、
を具備したことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記シースの外周に対して、前記挿入方向に対して前後に摺動移動自在に設けられた、前記被検体内に樹脂を噴射することにより、前記シースの少なくとも一部を前記被検体内に対して前記樹脂により固定する樹脂噴射チューブと、
前記樹脂噴射チューブに接続された樹脂供給源と、
をさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記シースと前記挿入部との少なくとも一方における前記挿入方向の先端側に、前記シースに対する前記挿入部の位置を固定する位置固定部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記固定部材は、前記シースの外径方向に拡張自在な拡張部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記シースの外周に対し、前記シースの外径方向に拡張自在な拡張部材が、前記挿入方向に沿って複数個嵌合自在となっており、
前記複数の拡張部材により、前記シースは、前記挿入方向に沿って前記被検体内に固定され、前記挿入方向の先端側に位置する前記拡張部材は、前記固定部材を構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記シースの前記挿入方向の先端側を、前記被検体内に係止する係止部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記シースは、第1のチューブと、該第1のチューブの外周に被覆された第2のチューブとを具備しているとともに、前記第1のチューブの外周と前記第2のチューブの内周との間には、空間が形成されており、
前記固定部材は、前記空間から前記第2のチューブの側面の開口を介して突出自在な突出部材であるとともに、該突出部材は、突出後、前記被検体に突き当てられることにより前記シースを前記被検体内に固定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記シースの先端面に設けられた、前記挿入方向前方に突出する突出部材と、
前記シースの前記挿入方向先端側の側面に形成された複数の切り込みと、
前記複数の切り込みが形成された前記シースの前記挿入方向の先端側を湾曲させて、前記突出部材を前記被検体に突き当てる湾曲部材と、
をさらに具備し、
前記突出部材は、前記シースの先端側を前記被検体に固定する前記固定部材を構成しており、
前記湾曲部材により、前記シースの前記挿入方向の先端側が湾曲された状態において、前記複数の切り込みの内、前記挿入方向の基端側に位置する切り込みから、前記挿入部が、前記挿入方向前方に突出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−24829(P2011−24829A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174640(P2009−174640)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】