説明

内視鏡

【課題】先端ノズル部材における先端位置を、カメラ目線による視認としてきわめて容易になし得、細い奥深い穴の視認に簡易に対応し得る内視鏡装置を提供する。
【解決手段】筒状の本体ハウジング2内に装備された小型のカメラ手段3と、本体ハウジング2の先端部に対してこの先端部から一部が突出した状態で本体ハウジング2と同一軸芯上に組込まれかつ少なくとも棒状レンズ5bを有するカメラ手段5のレンズ手段と、本体ハウジング2の先端部に対してレンズ手段5の棒状レンズ5bの外周を覆蓋するように装設されかつ先端を先細となした光を透過する合成樹脂から形成された先端ノズル部材6と、カメラ手段3と先端ノズル部材6との間に配置された先端ノズル部材6及びレンズ手段5の先端側に指向した光を照射する光源手段7とを備え、本体ハウジング2に対し、先端ノズル部材6を、レンズ手段5における棒状レンズ5bと同一軸心を中心とする回動可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、耳道内等の細い穴の奥を視認することができる医療用機器として使用される内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の内視鏡にあっては、例えば、耳掻き本体とファイバースコープを設けた保持部、或いはCCDカメラを設けて耳掻き本体をなす保持部を、該ファイバースコープを中心軸として回動自在に設け、この耳掻き本体に光源からの光を導くように構成した耳道内視掃除装置が案出されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】 特願2001−204647号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の装置においては、保持部をファイバースコープを中心軸として回動自在に設けてはいるものの、ファイバースコープまたはCCDカメラが設けられた軸芯と、耳掻き本体の掻き取り部または光源から光を導いている部位とがもともと変位されている構造であるため、該保持部を回動した場合、その変位された状態のまま向き(位置)のみが変更されるもので、実際に掻き取り部位の満足する視認が十分ではない問題点を有していた。
そこで、本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、先端ノズル部材の先端位置がカメラ手段におけるレンズ手段回りから変位するという「ずれ現象」をなくし、カメラ目線としてその先端位置の視認(確認)をきわめて容易になし得、細い奥深い穴の視認(確認)に簡易に対応することができる内視鏡装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した課題は、以下の各請求項に記載された発明によって解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、筒状の本体ハウジング内に装備された小型のカメラ手段と、
該本体ハウジングの先端部に対してこの先端部から一部が突出した状態で該本体ハウジングと同一軸芯上に組込まれかつ少なくとも棒状レンズを有する前記カメラ手段のレンズ手段と、
前記本体ハウジングの先端部に対して前記レンズ手段の棒状レンズの外周を覆蓋するように装設されかつ先端を先細となした光を透過する合成樹脂から形成された先端ノズル部材と、
前記カメラ手段と先端ノズル部材との間に配置された該先端ノズル部材及びレンズ手段の先端側に指向した光を照射する光源手段と、
を備えた内視鏡装置であって、
前記本体ハウジングに対し、前記先端ノズル部材を、前記レンズ手段における棒状レンズと同一軸心を中心とする回動可能に装設したことを特徴とする。
この構成によれば、先端ノズル部材のレンズ手段における棒状レンズと同一軸芯を中心とする回動可能とすることによって、該先端ノズル部材の先端部を常にレンズ手段(棒状レンズ)回りに同一中心として位置させることができ、該先端ノズル部材の先端位置がカメラ手段におけるレンズ手段回りから変位するという「ずれ現象」をなくし、カメラ目線としてその先端位置の視認(確認)をきわめて容易になし得、細い奥深い穴の視認(確認)に簡易に対応し得るものである。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内視鏡装置であって、前記カメラ手段と該カメラ手段のレンズ手段とを同軸上に配置したことを特徴とする。
この構成によれば、上記した請求項1の記載に加え、カメラ手段と該カメラ手段のレンズ手段とを同軸上に配置カメラ手段と該カメラ手段のレンズ手段とを同軸芯上に配置することにより、該カメラ手段の焦点距離調整手段の構成及び組み付けを簡易になし得るものである。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の内視鏡装置であって、前記光源手段を白色の発光ダイオードから構成し、この発光ダイオードを前記レンズ手段における棒状レンズ回りに複数個配設したことを特徴とする。
この構成によれば、上記した請求項1または2の記載に加え、発光ダイオードをレンズ手段における棒状レンズ回りに複数個配設することによって、光源手段として照度を十分に得る(確保する)ことができ、カメラ目線としての視認(確認)をより良好になし得、とくに細い奥深い穴の視認(確認)を一層良化し得るものである。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の内視鏡装置であって、前記先端ノズル部材は、先端が耳垢除去部を構成する部となしたことを特徴とする。
この構成によれば、耳道内視掃除用の医療用機器としてきわめてその利便性を発揮するものである。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の内視鏡装置であって、前記先端ノズル部材は、先端が小径の円筒部となしたことを特徴とする。
この構成によれば、細くて奥深い穴の視認に簡易に対応することができるものである。
【発明の効果】
【0009】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、先端ノズル部材の先端部を常にレンズ手段(棒状レンズ)回りに同一中心に位置させることができ、該先端ノズル部材の先端位置がカメラ手段におけるレンズ手段回りから変位するという「ずれ現象」をなくし、カメラ目線としてその先端位置の視認(確認)をきわめて容易にでき、細い奥深い穴の視認(確認)に簡易に対応できる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1の効果に加え、カメラ手段における焦点距離調整手段の構成を簡単にし得るとともに、その組み付けを簡易になし得る。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1または2の効果に加え、光源手段として照度を十分に得る(確保する)ことができ、カメラ目線としての視認(確認)をより良好になし得、とくに細い奥深い穴の視認(確認)を一層良化し得る。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、耳道内視掃除用の医療用機器としてきわめてその利便性を十分に発揮することができる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、細くて奥深い穴の視認(確認)に簡易に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例にしたがって説明する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0016】
本実施例の内視鏡装置1の本体ハウジング2はほぼ円筒状に形成され、その内部の中心軸線(芯)X上には、超小型のCCDカメラ等からなるカメラ手段3が所定のブラケット4を介して装備されていて、そのカメラ手段3におけるレンズ手段5が所望の支持部材(図示しない)によりその一部が該本体ハウジング2の先端部から突出した状態で組み付けられている。なお、カメラ手段3はアナログカメラ又はデジタルカメラのいずれの形式であってもよく、電子シャッター(図示しない)等により操作されるように構成されている。
【0017】
このレンズ手段5は、断面楕円の第1のレンズ5aと、該第1のレンズ5aの前方に位置された第2の棒状レンズ5bと、該第2の棒状レンズ5bの前方に位置された第3の広角レンズ5cとから構成されていて、前記カメラ手段3と同一軸線(芯)X上にそれぞれ配設されている。
【0018】
前記本体ハウジング2の先端部に位置される先端ノズル部材6は、光を透過する透明の合成樹脂、例えば、ポリカボネードからなり、縦断面ほぼろ斗状に形成され、その後部側の大径部6aが前記本体ハウジング2の先端部に対して回動可能にかつ交換可能に嵌合され、前部の小径筒部6bが前記第3の広角レンズ5c及び第2の棒状レンズ5bの外周を保持(覆蓋)するように位置されている。なお、前記第3の広角レンズ5cは、先端ノズル部材6の小径筒部から若干露出するように位置されるものである。
したがって、前記先端ノスル部材6は前記本体ハウジング2に対して前記レンズ手段5における第2の棒状レンズ5bと同一軸芯Xを中心として時計方向及び反時計方向に回動されるものである。
【0019】
そして、前記カメラ手段3と先端ノズル部材6との間には光源手段7が配設されており、この光源手段7は、白色の発光ダイオード7a、7a等からなり、この発光ダイオードを前記レンズ手段5における棒状レンズ5bを中心としてその回りに沿いかつ先端ノズル部材6及びレンズ手段5の先端側に指向した光を照射ように複数個(本実施例では2個の場合を示す。)所望の定置手段を介して配設されている。なお、発光ダイオード7a、7a等は白色の他、青色、赤色の三色の発光ダイオード7a、7a等が用いられるものである。
【0020】
また、前記カメラ手段3と先端ノズル部材6との間には、光源手段7である発光ダイオード7a、7a等の後側には、発熱体8が配置され、この発熱体8は、前記発光ダイオード7a、7a等の電気回路に組み込まれた抵抗素子(図示しない)により発熱作用が付与されて前記レンズ手段5の「くもり」等を未然に防止するものである。
【0021】
前記本体ハウジング2の後端部には、該本体ハウジング2の後部ハウジング2aがその前部側の開口部を嵌合固定されており、この後部ハウジング2a内には、前記カメラ手段3の制御用のカメラボード9が電気的に接続され、前記カメラ手段3の後面側には該カメラボード9の中心を貫通、すなわち、前記中心軸芯X上に位置して後端が前記後部ハウジング2aから突出されたカメラ手段3の焦点距離調整用の操作ロッド10が装設されている。
【0022】
また、前記後部ハウジング2aには調光ボリュウーム11が前記カメラボード9に電気的に接続され、その調整ノブ12が後部ハウジング2aから露出して設けられ、さらに光源手段7である発光ダイオード7a、7a等にフルカラー調整ボタン13が前記カメラボード9に電気的に接続されている。
【0023】
そして、本実施例の内視鏡装置1は、ビデオデッキ14を介してモニター15及びパソコン16等に出力されるように構成さるものである。
【0024】
本実施例の本実施例の内視鏡装置1は、上述のように構成したものであり、その光源手段7である白色又は白色、青色、赤色の三色の発光ダイオード7a、7a等の光は、先端ノズル部材6及びレンズ手段5の先端側に指向した状態で照射され、同部位を十分な照度を確保して明るく照らす。
この状態において、該レンズ手段5cにより広角された視野でカメラ手段3による映像モニター15又はパソコン16で視認(確認)することができ、それらのデーターはパソコン16に保存することもできる。
【0025】
そして、この実施例にあっては、先端ノズル部材6をレンズ手段5における棒状レンズ5bと同一軸芯Xを中心とした回動可能とすることによって、該先端ノズル部材6の先端部を常にレンズ手段5(棒状レンズ5b)と同一中心とする回りに位置させることができ、該先端ノズル部材6の先端位置がカメラ手段3におけるレンズ手段5回りから変位するという「ずれ現象」をなくし、カメラ目線としてその先端位置の視認(確認)をきわめて容易になし得る。このことは、細い奥深い穴の視認(確認)に簡易に対応し得るものである。
【0026】
そして、先端ノズル部材6を図3(a)に示す細長い半円断面の小径筒部6cを備えた先端ノズル部材6に交換して使用する場合には、細い奥深い穴の視認(確認)に簡易に対応し得るものである。また、図3(b)に示す耳掻き片6dを突設した先端ノズル部材6に交換して使用する場合には、耳道内等の細い穴の奥を視認することができる医療用機器として簡単に対応することができる。この場合、両先端ノズル部材6にあっては、前記したように、先端ノズル部材6の先端位置がカメラ手段3におけるレンズ手段5回りから変位するという「ずれ現象」をなくするものであるので、上記した作用効果を享受するものである。なお、耳掻き片6dを突設した先端ノズル部材6において、該耳掻き片6dは先端ノズル部材6の中心軸線(芯)X上に位置するように設定することが好ましい。
【0027】
さらに、前記カメラ手段3と該カメラ手段3のレンズ手段5とを同軸芯上に配置したことにより、該カメラ手段3の焦点距離調整手段としての操作ロッド10等の構成を簡易にするとともに、その組み付けを簡易にし得るものである。
【0028】
そして、発光ダイオード7a、7aをレンズ手段5における棒状レンズ5b回りに複数個配設することによって、光源手段7として照度十分に得ることができ、カメラ目線としての視認(確認)をより良好になし得、とくに細い奥深い穴の視認(確認)を一層良化し得るものである。
【0029】
なお、本実施例における各部の構成は、図示の実施例に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本実施例の内視鏡装置を示す説明断面図である。
【図2】 図1の拡大A−A線拡大断面図である。
【図3】 (a)(b)は先端ノズル部材6の別例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 内視鏡装置
2 本体ハウジング
3 カメラ手段
5 レンズ手段
6 先端ノズル部材
7 光源手段
7a 発光ダイオード
X 中心軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体ハウジング内に装備された小型のカメラ手段と、
該本体ハウジングの先端部に対してこの先端部から一部が突出した状態で該本体ハウジングと同一軸芯上に組込まれかつ少なくとも棒状レンズを有する前記カメラ手段のレンズ手段と、
前記本体ハウジングの先端部に対して前記レンズ手段の棒状レンズの外周を覆蓋するように装設されかつ先端を先細となした光を透過する合成樹脂から形成された先端ノズル部材と、
前記カメラ手段と先端ノズル部材との間に配置された該先端ノズル部材及びレンズ手段の先端側に指向した光を照射する光源手段と、
を備えた内視鏡装置であって、
前記本体ハウジングに対し、前記先端ノズル部材を、前記レンズ手段における棒状レンズと同一軸心を中心とする回動可能に装設したことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡装置であって、前記カメラ手段と該カメラ手段のレンズ手段とを同軸芯上に配置したことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の内視鏡装置であって、前記光源手段を白色の発光ダイオードから構成し、この発光ダイオードを前記レンズ手段における棒状レンズ回りに複数個配設したことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項1記載の内視鏡装置であって、前記先端ノズル部材は、先端が耳垢除去部を構成する掻き取り部となしたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1記載の内視鏡装置であって、前記先端ノズル部材は、先端が小径の円筒部となしたことを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−119434(P2008−119434A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335097(P2006−335097)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(305021650)有限会社近藤研究所 (4)
【Fターム(参考)】