円錐インボリュート歯車及び歯車対
【課題】はす歯であっても、連続した面状の噛み合いを得ることができて、円滑で高効率な動力伝達を達成することできる円錐インボリュート歯車を提供すること。
【解決手段】歯車対31は、それぞれ所定の円錐角δ1,δ2を有する小径円錐インボリュート歯車32と大径円錐インボリュート歯車33とにより構成されている。歯車対31の小径円錐インボリュート歯車32及び大径円錐インボリュート歯車33は、仮想円筒歯車が集合したものであるとする。
【解決手段】歯車対31は、それぞれ所定の円錐角δ1,δ2を有する小径円錐インボリュート歯車32と大径円錐インボリュート歯車33とにより構成されている。歯車対31の小径円錐インボリュート歯車32及び大径円錐インボリュート歯車33は、仮想円筒歯車が集合したものであるとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車及びその円錐歯車を噛み合わせた歯車対に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、交差する軸線の延長線上における複数の軸上における歯車の噛み合いにおいては、ベベル歯車が用いられている。そして、円滑な回転伝達を得るために、ベベル歯車として図10(a)に示すように、歯101,102が円弧状をなす擬似スパイラル状にしたいわゆるスパイラルベベル歯車103,104が多く用いられている。
【0003】
このような円弧状の歯101,102を有するベベル歯車103,104の製造においては、図10(b)に示すように、円盤105の外周部に多数の切削チップ106を列設したフライス工具107により歯101,102が一歯ずつ加工される。従って、加工時間が長くなり、加工効率が低い。しかも、創成歯切りではないため、インボリュート歯形を形成するのは困難である。このため、たとえフライス工具107の代わりに総型の切削刃あるいは砥石を用いてインボリュート歯形を得ることも考えられるが、両ベベル歯車103,104の歯101,102は、内外の異なる径の円弧により構成されているため、インボリュート歯形を得たとしても、正確に噛み合う組み付け位置がベベル歯車103,104の軸線方向において1箇所しか存在しない。このため、駆動側,被動側のベベル歯車103,104は、正確な噛み合い状態を得るために、高い組み付け精度が要求される。
【0004】
加えて、歯101,102が円弧状であるため、図10(c)に示すように、同歯101,102の両側歯面の凹凸形状が異なることは避けることができない。つまり歯101,102の歯面の片方が凸で、片方が凹であることが避けられないため、回転方向の切替えによりドライブ歯面とドリブン歯面との凹凸関係が入れ替わる。従って、歯車の回転方向が異なると伝達効率に大きな差が生じてしまうことになり、インボリュート歯形を有しない場合は、伝達効率がさらに低下する。
【0005】
また、図10(a)から明らかなように、両ベベル歯車103,104の軸線の交差角(δ1+δ2)が狭い場合は、両ベベル歯車103,104の大径端とそれらの円錐中心との間の距離(以下、コンジスタンスという)Rが長くなってしまい、両ベベル歯車103,104の歯切り加工に際して、広い加工スペースを要する。つまり、ベベル歯車103,104は1軸を中心として割り出し回転されるテーブル上に支持されて、そのテーブルが歯101,102の1ピッチ分ずつ割り出し回転されながら各歯101,102に対して前記フライス工具107により切削加工が施されるものであるため、前記コンジスタンスRが長いと、テーブルとして回転半径の長いものが必要となり、結果として広い加工スペースが必要となる。
【0006】
一方、特許文献1には、ホブ盤により加工可能であると述べられている円錐形インボリュート歯車が提案されている。この特許文献1の円錐形インボリュート歯車は、創成歯切りによって加工されて、インボリュート歯形を有するとともに、図11に示すように、少なくとも一方の歯車311,321の外形形状が円錐形に形成されたものである。図11においては、一方の歯車311が円錐形で、他方の歯車312が円筒形である。さらに、特許文献1の明細書における発明の詳細な説明の段落0026の記載から明らかなように、歯車311,321の噛み合わせが広い範囲で行われるように、円錐歯車311の転位係数を歯幅方向において非直線形に、すなわち上に凹の緩やかな曲線を描くように変化させたものである。これによって、特許文献1においては、歯車311,321がほぼ全歯幅にわたる歯面で相手歯車と接触するとしている。
【特許文献1】特開平6−94101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の歯車311,321においては、同特許文献1の明細書における発明の詳細な説明に記載された数式(8)や数式(9)から明らかなように、歯車311,321の歯数z1,z2をそのまま用いて転位係数を設定したため、両歯車311,321間における円滑な噛み合いは成り立たない。つまり、歯数z1,z2をそのまま転位係数の設定に用いたことは、図1(b)及び特許文献1の図4から明らかなように、円錐歯車の軸線に直角な歯を表したのではなく、各歯車311,321の円錐面に直角な歯を表したことを意味する。しかしながら、各歯車311,321は、自身の軸線を中心に回転するものであるため、歯が円錐面に対して直角ということは、歯車の回転中心と歯間のかみ合わせとの関係が対応しない。このため、このような歯車311,321を噛み合わせたとしても、インボリュート歯車として適切な噛み合い機能を発揮できない。加えて、特許文献1においては、両歯車311,321の転位係数の割り振りについて述べられていない。このため、結果として、両歯車311,321の噛み合いが部分的で、点接触に近くなり、円滑な回転伝達を望むことができない。
【0008】
しかも、特許文献1においては、転位係数の変化に関連して、歯車の小径端に位置する基準ピッチ点P0を標準としたプラス転位にしか言及されておらず、プラス,マイナスの双方への転位が可能であるか否かについて考慮されていない。従って、特許文献1の技術においては、転位係数の変化幅を大きく確保することができず、結果として円錐角が広い円錐歯車を実現することは困難である。
【0009】
さらに、特許文献1においては、歯車311,321の歯の形状について、すぐ歯であるか、はす歯であるかについては、全く言及されていない。従って、歯車311,321の歯の形状がはす歯である場合には、特許文献1の技術は対応困難である。
【0010】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解消して、たとえ、はす歯であっても、正確な噛み合いを得ることができるとともに、製造が容易で、しかも広い円錐角を実現できる円錐インボリュート歯車及びその円錐インボリュート歯車により構成された歯車対を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するために、円錐インボリュート歯車に係る請求項1に記載の発明においては、インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する同一モジュールの仮想円筒歯車を集合させることにより構成したことを特徴とする。
【0012】
円錐インボリュート歯車に係る請求項2に記載の発明においては、インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する仮想円筒歯車を集合させることにより構成するとともに、仮想円筒歯車の転位係数を歯幅方向において非直線形に変化させたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の発明において、転位量ゼロの標準仮想円筒歯車を大径端と小径端との間の中間部に配置し、その標準仮想円筒歯車の小径端側の仮想円筒歯車をマイナス側に、標準仮想円筒歯車の大径端側の仮想円筒歯車をプラス側に転位させたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の発明において、円錐インボリュート歯車の歯数をz,円錐インボリュート歯車の円錐角をδ、仮想円筒歯車の歯数をzvとして、
zv=z/cosδ
としたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、仮想円筒歯車の歯に捩れ角を形成して、はす歯にしたことを特徴とする。
歯車対に係る請求項6に記載の発明においては、互いに噛み合うインボリュート歯車よりなり、少なくとも一方が円錐インボリュート歯車により構成された歯車対において、前記円錐インボリュート歯車を請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車により構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明においては、請求項6に記載の発明において、仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車のモジュールをmv,捩れ角をβ,捩れ角βに対して直角な向きにおける仮想円筒歯車のモジュールをmnとして、
mv=/cosβ
αv=tan−1(tanαn/cosβ)
としたことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明においては、請求項6または7に記載の発明において、転位ゼロの仮想円筒歯車を標準仮想円筒歯車とし、その標準仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車の円錐線直角面における噛み合い圧力角をαv',小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2として、
invαv'=[2(x1+x2)/zv1+zv2]tanαv+invαv
としたことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明においては、請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の発明において、小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2,小径円錐インボリュート歯車の歯数をz1,大径円錐インボリュート歯車の歯数をz2,小径円錐歯車の円錐角をδ1,大径円錐歯車の円錐角をδ2として、
x1/x2=zv1/zv2=z1cosδ2/z2cosδ1
としたことを特徴とする。 従って、本発明においては、円錐インボリュート歯車を仮想円筒歯車の集合体と規定したことにより、その仮想円筒歯車の適切な噛み合いを実現すれば、円錐歯車として、面状に連続する噛み合いを得ることができる。そして、その仮想円筒歯車として、円錐インボリュート歯車の円錐角を考慮した歯数を用いて転位係数を変化させれば、正確な噛み合いを得ることができる。また、円錐インボリュート歯車の歯に捩れ角が存在しても、その捩れ角に応じたモジュール及び圧力角が設定されようにすれば、広い接触面積をもって円滑な噛み合いを実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、円錐インボリュート歯車において、それがはす歯であっても、連続した面状の噛み合いを得ることができて、円滑で高効率な動力伝達を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1(a)及び図2〜図9の図面に基づいて説明する。
図2,図3及び図6に示すように、この実施形態において、歯車対31は相互に噛み合うとともに、それぞれ所定の円錐角δ1,δ2を有する小径円錐インボリュート歯車(以下、小径円錐歯車という)32と大径円錐インボリュート歯車(以下、大径円錐歯車という)33とにより構成されている。そして、各円錐歯車32,33はそれぞれ歯数z1,z2の歯34,35を有し、歯34,35は、インボリュート歯形を有するとともに、捩れ角βを有するヘリコイド状のはす歯である。
【0021】
そして、この実施形態では、歯34,35は、その歯幅方向において転位係数が変化し、その変化態様は後述するように非直線形である。すなわち、図3,図6及び図7に示すように、この実施形態においては、歯34,35は、それらの歯幅方向の中央部の任意の位置において、転位係数がゼロで、従って転位量がゼロであり、その転位量ゼロの部分から小径側がプラス転位側,転位量ゼロの部分から大径側がマイナス転位側である。この転位量ゼロの位置を基準ピッチ点Pとする。なお、図3において、34Aが転位量ゼロの歯を、34Bがマイナス転位側の歯を、34Cがプラス転位側の歯をそれぞれ示している。
【0022】
ところで、前記両歯車32,33の円錐角δ1,δ2の設定は任意であって、仕様等に応じて設定されるものであるが、この実施形態では数式1の関係が満たされるように設定されるものとする。ここで、前述のようにδ1は小径円錐歯車32の円錐角,δ2は大径円錐歯車33の円錐角,z1は小径円錐歯車32の歯数、z2は大径円錐歯車33の歯数を示す。
【0023】
【数1】
この実施形態において、前記歯車対31の小径円錐歯車32及び大径円錐歯車33は、図1(a),図6及び図7に示すように、無数の歯幅ゼロの仮想円筒歯車321,331が集合したものであると認定する。この仮想円筒歯車321,331は、それぞれ両歯車32,33の前記基準ピッチ点Pを通る円錐面方向の線g−g(以下、この線g−gを円錐線という)と平行な中心軸線u−u及び中心軸線v−vを有する。従って、中心軸線u−u及び中心軸線v−vも仮想円筒歯車321,331と同様に無数に存在することになる。そして、前記基準ピッチ点Pにおいて、前記円錐線g−gと直角な1本の線w−w上の仮想円筒歯車321,331が転位量ゼロのはす歯平歯車(以下、この転位量ゼロのはす歯平歯車を標準仮想円筒歯車321A,331Aとする)となる。この標準仮想円筒歯車321A,331Aの位置は、任意に設定される。そして、前述の図3に示すように、標準仮想円筒歯車321A,331Aから小径側の仮想円筒歯車321,331がプラス側に、大径側の仮想円筒歯車321,331がマイナス側にそれぞれ転位している。
【0024】
前記仮想円筒歯車321,331のパラメータは数式2に従って設定される。ここで、mvは仮想円筒歯車321,331のモジュール,βは仮想円筒歯車321,331の歯の捩れ角,つまり、円錐歯車32,33の歯の捩れ角、mnは仮想円筒歯車321,331において断面インボリュート歯形が得られるように、前記歯の直角断面における仮想円筒歯車321,331のモジュール、αvは仮想円筒歯車321,331の圧力角、αnは前述した歯の直角断面における仮想円筒歯車321,331の圧力角、zは円錐歯車32,33の歯数,zvは仮想円筒歯車321,331の歯数,δは円錐歯車32,33の各円錐角を示す。
【0025】
【数2】
従って、以上の数式2において、円錐歯車32,33に捩れ角βが存在しない場合、すなわち捩れ角βがゼロの場合、仮想円筒歯車321,331のモジュールmvと、圧力角αvとは、捩れ角βが存在しない円錐歯車32,33のモジュールmvと、圧力角αvとを表す。言い換えれば、捩れ角βが存在する場合は、その捩れ角βに対応した値のモジュールmv及び圧力角αvとなる。以上のように、仮想円筒歯車321,331のパラメータが設定され、数式2から理解されるように、無数の仮想円筒歯車321,331は、歯の捩れ角βに応じたモジュールmvと圧力角αvとが設定される。また、仮想円筒歯車321,331の歯数zvは、円錐歯車32,33の円錐角δ1,δ2に応じた値であり、円錐歯車32,33の歯数zをそのまま用いた特許文献1の構成とは異なる。
【0026】
以上のように設定された仮想円筒歯車321,331が、図5に示すように、片当たりや点接触することなく、相互に噛み合えば、歯車対31の軸線方向の全領域において、すなわち歯幅方向の全領域において連続する噛み合いを得ることができる。その場合の円錐歯車32,33の各諸元は以下の各式に従って設定される。なお、図5において、35aがひとつの歯の噛み合い軌跡を表している。従って、全ての歯が図5に示すように線状の噛み合い軌跡を発現させれば、両歯車32,33の歯34,35において広い範囲の面接触を得ることができる。
【0027】
まず、図7において、互いに噛み合う各仮想円筒歯車321,331の軸間距離aは数式3によって表される。ここで、r1'は小径仮想円筒歯車321のピッチ円の径,r2'は大径仮想円筒歯車331のピッチ円の径,Rは円錐歯車32,33のコンジスタンス,yは前記円錐線g−g上の大径端から仮想円筒歯車321,331までの距離をそれぞれ示す。
【0028】
【数3】
この場合、前述した転位量ゼロの仮想円筒歯車321,331,すなわち、標準仮想円筒歯車321A,331Aの中心間距離a0は数式4に示す通りである。ここで、y0は大径端から標準仮想円筒歯車321A,331Aまでの距離,zv1は小径の標準仮想円筒歯車321Aの歯数,zv2は大径の標準仮想円筒歯車331Aの歯数を示す。
【0029】
【数4】
次に、仮想円筒歯車321,331の円錐線直角面における噛み合い圧力角αv'は数式5に示す通りである。ここで、αvは標準仮想円筒歯車321A,331Aの圧力角,x1は小径仮想円筒歯車321の転位係数,x2は大径仮想円筒歯車331の転位係数を示す。従って、仮想円筒歯車321,331は、数式5における(1)式を満足すれば、全ての仮想円筒歯車321,331において図4(a)(b)に示すような隙間のない正規の噛み合いを実現できて、結果として、前述のように歯車対31の歯筋方向の全領域において連続する噛み合いを得ることができる。
【0030】
【数5】
ちなみに、仮想円筒歯車321,331の半径は、数式6のように表される。
【0031】
【数6】
ところで、仮想円筒歯車321,331の転位係数x1,x2の関係は数式7の通りである。
【0032】
【数7】
また、仮想円筒歯車321,331の歯を適切に噛み合わせるためには、図4(a)(b)に示すように、両仮想円筒歯車321,331の歯の噛み合いピッチ円上の歯厚と歯溝幅が一致する必要がある。すなわち、両仮想円筒歯車321,331に対して、噛み合いピッチ円上において、歯厚と歯溝を相等しくすれば、適切な噛み合い状態を形成できる。このような場合は、数式8の関係が満足される。ここで、p'は転位後の噛み合いピッチ円上の歯ピッチ,p1',P2'はそれぞれ転位後の噛み合いピッチ円上における小径,大径の仮想円筒歯車321,331の歯ピッチ,s1',s2'はそれぞれ転位後の噛み合いピッチ円上の小径,大径の仮想円筒歯車321,331の歯厚,e1',e2'はそれぞれ転位後の噛み合いピッチ円上の小径,大径の仮想円筒歯車321,331の歯溝幅,sは標準仮想円筒歯車321A,331Aの噛み合いピッチ円上の歯厚,xは標準仮想円筒歯車321A,331Aの転位係数を示す。
【0033】
【数8】
そして、数式9から仮想円筒歯車321,331の転位係数x1,x2が導かれる。
【0034】
【数9】
従って、この数式9から理解されるように、転位係数x1,x2は、変数である圧力角αv,αv'の関数であるため、転位係数も非線形となる。以上の数式7及び数式9から、転位係数x1,x2の振り分けは、仮想円筒歯車321,331の円錐角δ1,δ2と関係しているだけではなく、数式10から明らかなように、仮想円筒歯車321,331の歯数とも関係していることが理解される。このため、円錐インボリュート歯車32,33は非線形の転位係数を得て、相互に線接触の噛み合いを得ることができる。
【0035】
【数10】
以上のように、この実施形態では、仮想円筒歯車321,331の概念を導入し、円錐歯車32,33を仮想円筒歯車321,331の集合体と規定し、その仮想円筒歯車321,331に円錐歯車32,33の円錐角を考慮した歯数を用いて転位係数を変化させ、いずれの仮想円筒歯車321,331においても正確な噛み合いを得ることができるようにした(数式10参照)。これによって、円錐歯車32,33の円滑な噛み合いを、同一のモジュール、圧力角、歯数を持ち、転位係数のみが異なる条件下で達成することができる。
【0036】
また、各歯幅直角断面において、転位が存在しない場合は圧力角と噛み合い角は一致するが、転位がある場合は圧力角と噛み合い角とが異なる。従って、各歯幅直角面において、数式7及び数式9に示すように、歯車対の転位係数和が所定の関係を満たし、同時に数式8に示すように、噛み合いピッチ円上での両歯車のピッチが等しくなる必要がある。つまり、各歯幅直角面において、これらの式を満足すれば、図4(a)(b)に示すように、1点の噛み合い位置を獲得できる。従って、全歯幅で同時に噛み合い、円接触の円錐インボリュート歯車を得ることができる。しかも、円錐歯車32,33に捩れ角βが存在しても、数式2から明らかなように、その捩れ角βに応じたモジュール及び圧力角が設定されるため、広い接触面積をもって円滑な噛み合いを実現できる。
【0037】
そして、以上のように構成された円錐歯車32,33は、図8及び図9に示すように、ホブ盤により歯切り可能である。
すなわち、図8においては、円錐歯車32,33となるワークの軸Cを傾斜させるとともに、ホブ軸Haを固定位置に配置している。そして、歯切り加工に際しては、ホブHが歯筋に沿って移動されるとともに、ワーク軸Cが回転されながら、ワーク軸Cと交叉する矢印Q方向に移動されることにより、転位係数が非線形に変化する円錐歯車32,33が歯切り加工される。
【0038】
また、図9においては、ワーク軸Cは傾斜されていないが、そのワーク軸Cが以下のように動作される。すなわち、ホブHの歯筋方向への移動にともない、ワーク軸Cは円錐歯車32,33の円錐角δ1,δ2に対応する歯が創成されるようにQ矢印方向に移動される。さらに、歯の創成において転位係数の変化量が発現されるように、さらに矢印Q方向における別の運動が重畳される。
【0039】
また、図8及び図9において、ワーク軸Cを矢印Q方向に移動させる代わりに、ホブ軸Haを矢印Q方向に移動させてもよい。
以上のように、ワーク軸Cあるいはホブ軸HaのQ矢印方向への移動を制御するのみで、この実施形態の円錐歯車32,33を通常のインボリュート歯車と同様にホブ盤を用いて容易に創成歯切り加工することができる。しかも、円錐歯車32、33はそれらのモジュール、歯数、圧力角が等しいため、同じカッタによる創成加工である。
【0040】
以上に述べた実施形態においては、以下の効果がある。
(1) 円錐歯車32、33は、仮想円筒歯車321,331の集合体であるため、その仮想円筒歯車321,331の歯数を用いて同仮想円筒歯車321,331の転位係数を変化させながら適切な噛み合いを実現すれば、円錐歯車32、33として、面状に連続する噛み合いを得ることができる。
【0041】
(2) 円錐歯車32、33の捩れ角βの要素を転位係数の変化に反映させることができるため、すぐ歯である場合はもちろんはす歯であっても、インボリュート歯形により正確で、広い面積による噛み合いを得ることができる。
【0042】
(3) 円錐歯車32、33において、転位係数を適正に振り分けることができるため、同円錐歯車32、33の歯すじ方向の全領域において隙間のない噛み合いを得ることができる。
【0043】
(4) 円錐歯車32、33をホブ盤を用いて創成加工できるため、その製造が容易である。しかも、歯車対31を構成する円錐歯車32、33は、モジュール、歯数、圧力角が等しいため、同じカッタによって創成加工でき、このたね、加工における段取り等を簡易化できて、製造がさらに容易になる。
【0044】
(5) 歯幅方向の任意の中間部に転位ゼロの標準仮想円筒歯車321A,331Aを設定して、その両側にプラス側転位の仮想円筒歯車321,331及びマイナス側転位の仮想円筒歯車321,331を設定できるため、円錐歯車32、33として広い円錐角を形成することが可能となる。
【0045】
(変形例)
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
【0046】
・ 円錐歯車32、33の歯をすぐ歯とすること。
・ 歯車対31のうちの一方の歯車を円筒歯車とすること。
・ 一つの歯車に複数の歯車が噛み合う構成、あるいは、複数の歯車が歯車列をなすように連続的に噛み合う構成に本発明を具体化すること。この場合は、相互に噛み合う一対の歯車が歯車対になる。
【0047】
・ 円錐歯車32、33のそれぞれの径を等しくすること。従って、この場合には、前記各数式両円錐歯車32、33が小径側あるいは大径側の円錐歯車32、33の双方いずれが割り当てられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は本発明の概念を示す説明図、(b)は従来構成の概念を示す説明図。
【図2】実施形態の円錐インボリュート歯車を示す一部斜視図。
【図3】歯の転位状態及びねじれ角を示す説明図。
【図4】(a)(b)は歯の噛み合い状態を表す簡略正面図。
【図5】歯の接触軌跡を示す一部斜視図。
【図6】実施形態の円錐インボリュート歯車の噛み合い状態を示す簡略説明図。
【図7】実施形態の円錐インボリュート歯車の各部の寸法や角度を示す簡略説明図。
【図8】ホブ盤による創成加工状態を示す簡略図。
【図9】ホブ盤による別の創成加工状態を示す簡略図。
【図10】(a)は従来のベベル歯車の噛み合い状態を示す簡略説明図、(b)はフライスによる加工状態を示す説明図、(c)はベベル歯車の歯を示す説明図。
【図11】従来構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
31…歯車対、32…円錐インボリュート歯車、33…円錐インボリュート歯車、34…歯、35…歯、321…仮想円筒歯車、321A…標準仮想円筒歯車、331…仮想円筒歯車、331A…標準仮想円筒歯車、mv…仮想円筒歯車のモジュール、mn…仮想円筒歯車のモジュール、x1…小径仮想円筒歯車の転位係数,x2…大径仮想円筒歯車の転位係数、z…円錐インボリュート歯車の歯数、zv…仮想円筒歯車の歯数、zv1…小径仮想円筒歯車の歯数、zv2…大径仮想円筒歯車の歯数、z1…小径円錐インボリュート歯車の歯数、z2…大径円錐インボリュート歯車の歯数、αv…仮想円筒歯車の圧力角、αv'…仮想円筒歯車の噛み合い圧力角、β…捩れ角、δ…円錐インボリュート歯車の円錐角、δ1…小径円錐歯車の円錐角、δ2…大径円錐歯車の円錐角
【技術分野】
【0001】
本発明は、インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車及びその円錐歯車を噛み合わせた歯車対に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、交差する軸線の延長線上における複数の軸上における歯車の噛み合いにおいては、ベベル歯車が用いられている。そして、円滑な回転伝達を得るために、ベベル歯車として図10(a)に示すように、歯101,102が円弧状をなす擬似スパイラル状にしたいわゆるスパイラルベベル歯車103,104が多く用いられている。
【0003】
このような円弧状の歯101,102を有するベベル歯車103,104の製造においては、図10(b)に示すように、円盤105の外周部に多数の切削チップ106を列設したフライス工具107により歯101,102が一歯ずつ加工される。従って、加工時間が長くなり、加工効率が低い。しかも、創成歯切りではないため、インボリュート歯形を形成するのは困難である。このため、たとえフライス工具107の代わりに総型の切削刃あるいは砥石を用いてインボリュート歯形を得ることも考えられるが、両ベベル歯車103,104の歯101,102は、内外の異なる径の円弧により構成されているため、インボリュート歯形を得たとしても、正確に噛み合う組み付け位置がベベル歯車103,104の軸線方向において1箇所しか存在しない。このため、駆動側,被動側のベベル歯車103,104は、正確な噛み合い状態を得るために、高い組み付け精度が要求される。
【0004】
加えて、歯101,102が円弧状であるため、図10(c)に示すように、同歯101,102の両側歯面の凹凸形状が異なることは避けることができない。つまり歯101,102の歯面の片方が凸で、片方が凹であることが避けられないため、回転方向の切替えによりドライブ歯面とドリブン歯面との凹凸関係が入れ替わる。従って、歯車の回転方向が異なると伝達効率に大きな差が生じてしまうことになり、インボリュート歯形を有しない場合は、伝達効率がさらに低下する。
【0005】
また、図10(a)から明らかなように、両ベベル歯車103,104の軸線の交差角(δ1+δ2)が狭い場合は、両ベベル歯車103,104の大径端とそれらの円錐中心との間の距離(以下、コンジスタンスという)Rが長くなってしまい、両ベベル歯車103,104の歯切り加工に際して、広い加工スペースを要する。つまり、ベベル歯車103,104は1軸を中心として割り出し回転されるテーブル上に支持されて、そのテーブルが歯101,102の1ピッチ分ずつ割り出し回転されながら各歯101,102に対して前記フライス工具107により切削加工が施されるものであるため、前記コンジスタンスRが長いと、テーブルとして回転半径の長いものが必要となり、結果として広い加工スペースが必要となる。
【0006】
一方、特許文献1には、ホブ盤により加工可能であると述べられている円錐形インボリュート歯車が提案されている。この特許文献1の円錐形インボリュート歯車は、創成歯切りによって加工されて、インボリュート歯形を有するとともに、図11に示すように、少なくとも一方の歯車311,321の外形形状が円錐形に形成されたものである。図11においては、一方の歯車311が円錐形で、他方の歯車312が円筒形である。さらに、特許文献1の明細書における発明の詳細な説明の段落0026の記載から明らかなように、歯車311,321の噛み合わせが広い範囲で行われるように、円錐歯車311の転位係数を歯幅方向において非直線形に、すなわち上に凹の緩やかな曲線を描くように変化させたものである。これによって、特許文献1においては、歯車311,321がほぼ全歯幅にわたる歯面で相手歯車と接触するとしている。
【特許文献1】特開平6−94101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の歯車311,321においては、同特許文献1の明細書における発明の詳細な説明に記載された数式(8)や数式(9)から明らかなように、歯車311,321の歯数z1,z2をそのまま用いて転位係数を設定したため、両歯車311,321間における円滑な噛み合いは成り立たない。つまり、歯数z1,z2をそのまま転位係数の設定に用いたことは、図1(b)及び特許文献1の図4から明らかなように、円錐歯車の軸線に直角な歯を表したのではなく、各歯車311,321の円錐面に直角な歯を表したことを意味する。しかしながら、各歯車311,321は、自身の軸線を中心に回転するものであるため、歯が円錐面に対して直角ということは、歯車の回転中心と歯間のかみ合わせとの関係が対応しない。このため、このような歯車311,321を噛み合わせたとしても、インボリュート歯車として適切な噛み合い機能を発揮できない。加えて、特許文献1においては、両歯車311,321の転位係数の割り振りについて述べられていない。このため、結果として、両歯車311,321の噛み合いが部分的で、点接触に近くなり、円滑な回転伝達を望むことができない。
【0008】
しかも、特許文献1においては、転位係数の変化に関連して、歯車の小径端に位置する基準ピッチ点P0を標準としたプラス転位にしか言及されておらず、プラス,マイナスの双方への転位が可能であるか否かについて考慮されていない。従って、特許文献1の技術においては、転位係数の変化幅を大きく確保することができず、結果として円錐角が広い円錐歯車を実現することは困難である。
【0009】
さらに、特許文献1においては、歯車311,321の歯の形状について、すぐ歯であるか、はす歯であるかについては、全く言及されていない。従って、歯車311,321の歯の形状がはす歯である場合には、特許文献1の技術は対応困難である。
【0010】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解消して、たとえ、はす歯であっても、正確な噛み合いを得ることができるとともに、製造が容易で、しかも広い円錐角を実現できる円錐インボリュート歯車及びその円錐インボリュート歯車により構成された歯車対を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するために、円錐インボリュート歯車に係る請求項1に記載の発明においては、インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する同一モジュールの仮想円筒歯車を集合させることにより構成したことを特徴とする。
【0012】
円錐インボリュート歯車に係る請求項2に記載の発明においては、インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する仮想円筒歯車を集合させることにより構成するとともに、仮想円筒歯車の転位係数を歯幅方向において非直線形に変化させたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の発明において、転位量ゼロの標準仮想円筒歯車を大径端と小径端との間の中間部に配置し、その標準仮想円筒歯車の小径端側の仮想円筒歯車をマイナス側に、標準仮想円筒歯車の大径端側の仮想円筒歯車をプラス側に転位させたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の発明において、円錐インボリュート歯車の歯数をz,円錐インボリュート歯車の円錐角をδ、仮想円筒歯車の歯数をzvとして、
zv=z/cosδ
としたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、仮想円筒歯車の歯に捩れ角を形成して、はす歯にしたことを特徴とする。
歯車対に係る請求項6に記載の発明においては、互いに噛み合うインボリュート歯車よりなり、少なくとも一方が円錐インボリュート歯車により構成された歯車対において、前記円錐インボリュート歯車を請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車により構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明においては、請求項6に記載の発明において、仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車のモジュールをmv,捩れ角をβ,捩れ角βに対して直角な向きにおける仮想円筒歯車のモジュールをmnとして、
mv=/cosβ
αv=tan−1(tanαn/cosβ)
としたことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明においては、請求項6または7に記載の発明において、転位ゼロの仮想円筒歯車を標準仮想円筒歯車とし、その標準仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車の円錐線直角面における噛み合い圧力角をαv',小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2として、
invαv'=[2(x1+x2)/zv1+zv2]tanαv+invαv
としたことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明においては、請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の発明において、小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2,小径円錐インボリュート歯車の歯数をz1,大径円錐インボリュート歯車の歯数をz2,小径円錐歯車の円錐角をδ1,大径円錐歯車の円錐角をδ2として、
x1/x2=zv1/zv2=z1cosδ2/z2cosδ1
としたことを特徴とする。 従って、本発明においては、円錐インボリュート歯車を仮想円筒歯車の集合体と規定したことにより、その仮想円筒歯車の適切な噛み合いを実現すれば、円錐歯車として、面状に連続する噛み合いを得ることができる。そして、その仮想円筒歯車として、円錐インボリュート歯車の円錐角を考慮した歯数を用いて転位係数を変化させれば、正確な噛み合いを得ることができる。また、円錐インボリュート歯車の歯に捩れ角が存在しても、その捩れ角に応じたモジュール及び圧力角が設定されようにすれば、広い接触面積をもって円滑な噛み合いを実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、円錐インボリュート歯車において、それがはす歯であっても、連続した面状の噛み合いを得ることができて、円滑で高効率な動力伝達を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1(a)及び図2〜図9の図面に基づいて説明する。
図2,図3及び図6に示すように、この実施形態において、歯車対31は相互に噛み合うとともに、それぞれ所定の円錐角δ1,δ2を有する小径円錐インボリュート歯車(以下、小径円錐歯車という)32と大径円錐インボリュート歯車(以下、大径円錐歯車という)33とにより構成されている。そして、各円錐歯車32,33はそれぞれ歯数z1,z2の歯34,35を有し、歯34,35は、インボリュート歯形を有するとともに、捩れ角βを有するヘリコイド状のはす歯である。
【0021】
そして、この実施形態では、歯34,35は、その歯幅方向において転位係数が変化し、その変化態様は後述するように非直線形である。すなわち、図3,図6及び図7に示すように、この実施形態においては、歯34,35は、それらの歯幅方向の中央部の任意の位置において、転位係数がゼロで、従って転位量がゼロであり、その転位量ゼロの部分から小径側がプラス転位側,転位量ゼロの部分から大径側がマイナス転位側である。この転位量ゼロの位置を基準ピッチ点Pとする。なお、図3において、34Aが転位量ゼロの歯を、34Bがマイナス転位側の歯を、34Cがプラス転位側の歯をそれぞれ示している。
【0022】
ところで、前記両歯車32,33の円錐角δ1,δ2の設定は任意であって、仕様等に応じて設定されるものであるが、この実施形態では数式1の関係が満たされるように設定されるものとする。ここで、前述のようにδ1は小径円錐歯車32の円錐角,δ2は大径円錐歯車33の円錐角,z1は小径円錐歯車32の歯数、z2は大径円錐歯車33の歯数を示す。
【0023】
【数1】
この実施形態において、前記歯車対31の小径円錐歯車32及び大径円錐歯車33は、図1(a),図6及び図7に示すように、無数の歯幅ゼロの仮想円筒歯車321,331が集合したものであると認定する。この仮想円筒歯車321,331は、それぞれ両歯車32,33の前記基準ピッチ点Pを通る円錐面方向の線g−g(以下、この線g−gを円錐線という)と平行な中心軸線u−u及び中心軸線v−vを有する。従って、中心軸線u−u及び中心軸線v−vも仮想円筒歯車321,331と同様に無数に存在することになる。そして、前記基準ピッチ点Pにおいて、前記円錐線g−gと直角な1本の線w−w上の仮想円筒歯車321,331が転位量ゼロのはす歯平歯車(以下、この転位量ゼロのはす歯平歯車を標準仮想円筒歯車321A,331Aとする)となる。この標準仮想円筒歯車321A,331Aの位置は、任意に設定される。そして、前述の図3に示すように、標準仮想円筒歯車321A,331Aから小径側の仮想円筒歯車321,331がプラス側に、大径側の仮想円筒歯車321,331がマイナス側にそれぞれ転位している。
【0024】
前記仮想円筒歯車321,331のパラメータは数式2に従って設定される。ここで、mvは仮想円筒歯車321,331のモジュール,βは仮想円筒歯車321,331の歯の捩れ角,つまり、円錐歯車32,33の歯の捩れ角、mnは仮想円筒歯車321,331において断面インボリュート歯形が得られるように、前記歯の直角断面における仮想円筒歯車321,331のモジュール、αvは仮想円筒歯車321,331の圧力角、αnは前述した歯の直角断面における仮想円筒歯車321,331の圧力角、zは円錐歯車32,33の歯数,zvは仮想円筒歯車321,331の歯数,δは円錐歯車32,33の各円錐角を示す。
【0025】
【数2】
従って、以上の数式2において、円錐歯車32,33に捩れ角βが存在しない場合、すなわち捩れ角βがゼロの場合、仮想円筒歯車321,331のモジュールmvと、圧力角αvとは、捩れ角βが存在しない円錐歯車32,33のモジュールmvと、圧力角αvとを表す。言い換えれば、捩れ角βが存在する場合は、その捩れ角βに対応した値のモジュールmv及び圧力角αvとなる。以上のように、仮想円筒歯車321,331のパラメータが設定され、数式2から理解されるように、無数の仮想円筒歯車321,331は、歯の捩れ角βに応じたモジュールmvと圧力角αvとが設定される。また、仮想円筒歯車321,331の歯数zvは、円錐歯車32,33の円錐角δ1,δ2に応じた値であり、円錐歯車32,33の歯数zをそのまま用いた特許文献1の構成とは異なる。
【0026】
以上のように設定された仮想円筒歯車321,331が、図5に示すように、片当たりや点接触することなく、相互に噛み合えば、歯車対31の軸線方向の全領域において、すなわち歯幅方向の全領域において連続する噛み合いを得ることができる。その場合の円錐歯車32,33の各諸元は以下の各式に従って設定される。なお、図5において、35aがひとつの歯の噛み合い軌跡を表している。従って、全ての歯が図5に示すように線状の噛み合い軌跡を発現させれば、両歯車32,33の歯34,35において広い範囲の面接触を得ることができる。
【0027】
まず、図7において、互いに噛み合う各仮想円筒歯車321,331の軸間距離aは数式3によって表される。ここで、r1'は小径仮想円筒歯車321のピッチ円の径,r2'は大径仮想円筒歯車331のピッチ円の径,Rは円錐歯車32,33のコンジスタンス,yは前記円錐線g−g上の大径端から仮想円筒歯車321,331までの距離をそれぞれ示す。
【0028】
【数3】
この場合、前述した転位量ゼロの仮想円筒歯車321,331,すなわち、標準仮想円筒歯車321A,331Aの中心間距離a0は数式4に示す通りである。ここで、y0は大径端から標準仮想円筒歯車321A,331Aまでの距離,zv1は小径の標準仮想円筒歯車321Aの歯数,zv2は大径の標準仮想円筒歯車331Aの歯数を示す。
【0029】
【数4】
次に、仮想円筒歯車321,331の円錐線直角面における噛み合い圧力角αv'は数式5に示す通りである。ここで、αvは標準仮想円筒歯車321A,331Aの圧力角,x1は小径仮想円筒歯車321の転位係数,x2は大径仮想円筒歯車331の転位係数を示す。従って、仮想円筒歯車321,331は、数式5における(1)式を満足すれば、全ての仮想円筒歯車321,331において図4(a)(b)に示すような隙間のない正規の噛み合いを実現できて、結果として、前述のように歯車対31の歯筋方向の全領域において連続する噛み合いを得ることができる。
【0030】
【数5】
ちなみに、仮想円筒歯車321,331の半径は、数式6のように表される。
【0031】
【数6】
ところで、仮想円筒歯車321,331の転位係数x1,x2の関係は数式7の通りである。
【0032】
【数7】
また、仮想円筒歯車321,331の歯を適切に噛み合わせるためには、図4(a)(b)に示すように、両仮想円筒歯車321,331の歯の噛み合いピッチ円上の歯厚と歯溝幅が一致する必要がある。すなわち、両仮想円筒歯車321,331に対して、噛み合いピッチ円上において、歯厚と歯溝を相等しくすれば、適切な噛み合い状態を形成できる。このような場合は、数式8の関係が満足される。ここで、p'は転位後の噛み合いピッチ円上の歯ピッチ,p1',P2'はそれぞれ転位後の噛み合いピッチ円上における小径,大径の仮想円筒歯車321,331の歯ピッチ,s1',s2'はそれぞれ転位後の噛み合いピッチ円上の小径,大径の仮想円筒歯車321,331の歯厚,e1',e2'はそれぞれ転位後の噛み合いピッチ円上の小径,大径の仮想円筒歯車321,331の歯溝幅,sは標準仮想円筒歯車321A,331Aの噛み合いピッチ円上の歯厚,xは標準仮想円筒歯車321A,331Aの転位係数を示す。
【0033】
【数8】
そして、数式9から仮想円筒歯車321,331の転位係数x1,x2が導かれる。
【0034】
【数9】
従って、この数式9から理解されるように、転位係数x1,x2は、変数である圧力角αv,αv'の関数であるため、転位係数も非線形となる。以上の数式7及び数式9から、転位係数x1,x2の振り分けは、仮想円筒歯車321,331の円錐角δ1,δ2と関係しているだけではなく、数式10から明らかなように、仮想円筒歯車321,331の歯数とも関係していることが理解される。このため、円錐インボリュート歯車32,33は非線形の転位係数を得て、相互に線接触の噛み合いを得ることができる。
【0035】
【数10】
以上のように、この実施形態では、仮想円筒歯車321,331の概念を導入し、円錐歯車32,33を仮想円筒歯車321,331の集合体と規定し、その仮想円筒歯車321,331に円錐歯車32,33の円錐角を考慮した歯数を用いて転位係数を変化させ、いずれの仮想円筒歯車321,331においても正確な噛み合いを得ることができるようにした(数式10参照)。これによって、円錐歯車32,33の円滑な噛み合いを、同一のモジュール、圧力角、歯数を持ち、転位係数のみが異なる条件下で達成することができる。
【0036】
また、各歯幅直角断面において、転位が存在しない場合は圧力角と噛み合い角は一致するが、転位がある場合は圧力角と噛み合い角とが異なる。従って、各歯幅直角面において、数式7及び数式9に示すように、歯車対の転位係数和が所定の関係を満たし、同時に数式8に示すように、噛み合いピッチ円上での両歯車のピッチが等しくなる必要がある。つまり、各歯幅直角面において、これらの式を満足すれば、図4(a)(b)に示すように、1点の噛み合い位置を獲得できる。従って、全歯幅で同時に噛み合い、円接触の円錐インボリュート歯車を得ることができる。しかも、円錐歯車32,33に捩れ角βが存在しても、数式2から明らかなように、その捩れ角βに応じたモジュール及び圧力角が設定されるため、広い接触面積をもって円滑な噛み合いを実現できる。
【0037】
そして、以上のように構成された円錐歯車32,33は、図8及び図9に示すように、ホブ盤により歯切り可能である。
すなわち、図8においては、円錐歯車32,33となるワークの軸Cを傾斜させるとともに、ホブ軸Haを固定位置に配置している。そして、歯切り加工に際しては、ホブHが歯筋に沿って移動されるとともに、ワーク軸Cが回転されながら、ワーク軸Cと交叉する矢印Q方向に移動されることにより、転位係数が非線形に変化する円錐歯車32,33が歯切り加工される。
【0038】
また、図9においては、ワーク軸Cは傾斜されていないが、そのワーク軸Cが以下のように動作される。すなわち、ホブHの歯筋方向への移動にともない、ワーク軸Cは円錐歯車32,33の円錐角δ1,δ2に対応する歯が創成されるようにQ矢印方向に移動される。さらに、歯の創成において転位係数の変化量が発現されるように、さらに矢印Q方向における別の運動が重畳される。
【0039】
また、図8及び図9において、ワーク軸Cを矢印Q方向に移動させる代わりに、ホブ軸Haを矢印Q方向に移動させてもよい。
以上のように、ワーク軸Cあるいはホブ軸HaのQ矢印方向への移動を制御するのみで、この実施形態の円錐歯車32,33を通常のインボリュート歯車と同様にホブ盤を用いて容易に創成歯切り加工することができる。しかも、円錐歯車32、33はそれらのモジュール、歯数、圧力角が等しいため、同じカッタによる創成加工である。
【0040】
以上に述べた実施形態においては、以下の効果がある。
(1) 円錐歯車32、33は、仮想円筒歯車321,331の集合体であるため、その仮想円筒歯車321,331の歯数を用いて同仮想円筒歯車321,331の転位係数を変化させながら適切な噛み合いを実現すれば、円錐歯車32、33として、面状に連続する噛み合いを得ることができる。
【0041】
(2) 円錐歯車32、33の捩れ角βの要素を転位係数の変化に反映させることができるため、すぐ歯である場合はもちろんはす歯であっても、インボリュート歯形により正確で、広い面積による噛み合いを得ることができる。
【0042】
(3) 円錐歯車32、33において、転位係数を適正に振り分けることができるため、同円錐歯車32、33の歯すじ方向の全領域において隙間のない噛み合いを得ることができる。
【0043】
(4) 円錐歯車32、33をホブ盤を用いて創成加工できるため、その製造が容易である。しかも、歯車対31を構成する円錐歯車32、33は、モジュール、歯数、圧力角が等しいため、同じカッタによって創成加工でき、このたね、加工における段取り等を簡易化できて、製造がさらに容易になる。
【0044】
(5) 歯幅方向の任意の中間部に転位ゼロの標準仮想円筒歯車321A,331Aを設定して、その両側にプラス側転位の仮想円筒歯車321,331及びマイナス側転位の仮想円筒歯車321,331を設定できるため、円錐歯車32、33として広い円錐角を形成することが可能となる。
【0045】
(変形例)
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
【0046】
・ 円錐歯車32、33の歯をすぐ歯とすること。
・ 歯車対31のうちの一方の歯車を円筒歯車とすること。
・ 一つの歯車に複数の歯車が噛み合う構成、あるいは、複数の歯車が歯車列をなすように連続的に噛み合う構成に本発明を具体化すること。この場合は、相互に噛み合う一対の歯車が歯車対になる。
【0047】
・ 円錐歯車32、33のそれぞれの径を等しくすること。従って、この場合には、前記各数式両円錐歯車32、33が小径側あるいは大径側の円錐歯車32、33の双方いずれが割り当てられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は本発明の概念を示す説明図、(b)は従来構成の概念を示す説明図。
【図2】実施形態の円錐インボリュート歯車を示す一部斜視図。
【図3】歯の転位状態及びねじれ角を示す説明図。
【図4】(a)(b)は歯の噛み合い状態を表す簡略正面図。
【図5】歯の接触軌跡を示す一部斜視図。
【図6】実施形態の円錐インボリュート歯車の噛み合い状態を示す簡略説明図。
【図7】実施形態の円錐インボリュート歯車の各部の寸法や角度を示す簡略説明図。
【図8】ホブ盤による創成加工状態を示す簡略図。
【図9】ホブ盤による別の創成加工状態を示す簡略図。
【図10】(a)は従来のベベル歯車の噛み合い状態を示す簡略説明図、(b)はフライスによる加工状態を示す説明図、(c)はベベル歯車の歯を示す説明図。
【図11】従来構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
31…歯車対、32…円錐インボリュート歯車、33…円錐インボリュート歯車、34…歯、35…歯、321…仮想円筒歯車、321A…標準仮想円筒歯車、331…仮想円筒歯車、331A…標準仮想円筒歯車、mv…仮想円筒歯車のモジュール、mn…仮想円筒歯車のモジュール、x1…小径仮想円筒歯車の転位係数,x2…大径仮想円筒歯車の転位係数、z…円錐インボリュート歯車の歯数、zv…仮想円筒歯車の歯数、zv1…小径仮想円筒歯車の歯数、zv2…大径仮想円筒歯車の歯数、z1…小径円錐インボリュート歯車の歯数、z2…大径円錐インボリュート歯車の歯数、αv…仮想円筒歯車の圧力角、αv'…仮想円筒歯車の噛み合い圧力角、β…捩れ角、δ…円錐インボリュート歯車の円錐角、δ1…小径円錐歯車の円錐角、δ2…大径円錐歯車の円錐角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、
基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する同一モジュールの仮想円筒歯車を集合させることにより構成したことを特徴とする円錐インボリュート歯車。
【請求項2】
インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する仮想円筒歯車を集合させることにより構成するとともに、仮想円筒歯車の転位係数を歯幅方向において非直線形に変化させたことを特徴とする円錐インボリュート歯車。
【請求項3】
転位量ゼロの標準仮想円筒歯車を大径端と小径端との間の中間部に配置し、その標準仮想円筒歯車の小径端側の仮想円筒歯車をマイナス側に、標準仮想円筒歯車の大径端側の仮想円筒歯車をプラス側に転位させたことを特徴とする請求項1または2に記載の円錐インボリュート歯車。
【請求項4】
円錐インボリュート歯車の歯数をz,円錐インボリュート歯車の円錐角をδ、仮想円筒歯車の歯数をzvとして、
zv=z/cosδ
としたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車。
【請求項5】
仮想円筒歯車の歯に捩れ角を形成して、はす歯にしたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車。
【請求項6】
互いに噛み合うインボリュート歯車よりなり、少なくとも一方が円錐インボリュート歯車により構成された歯車対において、前記円錐インボリュート歯車を請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車により構成したことを特徴とする歯車対。
【請求項7】
仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車のモジュールをmv,捩れ角をβ,捩れ角βに対して直角な向きにおける仮想円筒歯車のモジュールをmnとして、
mv=/cosβ
αv=tan−1(tanαn/cosβ)
としたことを特徴とする請求項6に記載の歯車対。
【請求項8】
転位ゼロの仮想円筒歯車を標準仮想円筒歯車とし、その標準仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車の円錐線直角面における噛み合い圧力角をαv',小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2として、
invαv'=[2(x1+x2)/zv1+zv2]tanαv+invαv
としたことを特徴とする請求項6または7に記載の歯車対。
【請求項9】
小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2,小径円錐インボリュート歯車の歯数をz1,大径円錐インボリュート歯車の歯数をz2,小径円錐歯車の円錐角をδ1,大径円錐歯車の円錐角をδ2として、
x1/x2=zv1/zv2=z1cosδ2/z2cosδ1
としたことを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の歯車対。
【請求項1】
インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、
基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する同一モジュールの仮想円筒歯車を集合させることにより構成したことを特徴とする円錐インボリュート歯車。
【請求項2】
インボリュート歯形を有する円錐インボリュート歯車において、基準ピッチ点を通る円錐面方向の線に対して平行な軸線を有する仮想円筒歯車を集合させることにより構成するとともに、仮想円筒歯車の転位係数を歯幅方向において非直線形に変化させたことを特徴とする円錐インボリュート歯車。
【請求項3】
転位量ゼロの標準仮想円筒歯車を大径端と小径端との間の中間部に配置し、その標準仮想円筒歯車の小径端側の仮想円筒歯車をマイナス側に、標準仮想円筒歯車の大径端側の仮想円筒歯車をプラス側に転位させたことを特徴とする請求項1または2に記載の円錐インボリュート歯車。
【請求項4】
円錐インボリュート歯車の歯数をz,円錐インボリュート歯車の円錐角をδ、仮想円筒歯車の歯数をzvとして、
zv=z/cosδ
としたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車。
【請求項5】
仮想円筒歯車の歯に捩れ角を形成して、はす歯にしたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車。
【請求項6】
互いに噛み合うインボリュート歯車よりなり、少なくとも一方が円錐インボリュート歯車により構成された歯車対において、前記円錐インボリュート歯車を請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の円錐インボリュート歯車により構成したことを特徴とする歯車対。
【請求項7】
仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車のモジュールをmv,捩れ角をβ,捩れ角βに対して直角な向きにおける仮想円筒歯車のモジュールをmnとして、
mv=/cosβ
αv=tan−1(tanαn/cosβ)
としたことを特徴とする請求項6に記載の歯車対。
【請求項8】
転位ゼロの仮想円筒歯車を標準仮想円筒歯車とし、その標準仮想円筒歯車の圧力角をαv,仮想円筒歯車の円錐線直角面における噛み合い圧力角をαv',小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2として、
invαv'=[2(x1+x2)/zv1+zv2]tanαv+invαv
としたことを特徴とする請求項6または7に記載の歯車対。
【請求項9】
小径仮想円筒歯車の転位係数をx1,大径仮想円筒歯車の転位係数をx2,小径仮想円筒歯車の歯数をzv1,大径仮想円筒歯車の歯数をzv2,小径円錐インボリュート歯車の歯数をz1,大径円錐インボリュート歯車の歯数をz2,小径円錐歯車の円錐角をδ1,大径円錐歯車の円錐角をδ2として、
x1/x2=zv1/zv2=z1cosδ2/z2cosδ1
としたことを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の歯車対。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−32161(P2008−32161A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208057(P2006−208057)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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