説明

再帰性マーキングフィルム

【課題】本発明は、耐候性、耐湿性の高い再帰性マーキングフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも粘着剤層(2)、光安定剤、紫外線吸収剤処方を施した透明熱可塑性樹脂層(3)、帯電防止処方を施した表面保護層(4)を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層(3)の少なくとも、一方の面に反射層(7)および波長400〜800nmの波長範囲の可視光線で屈折率1.5以上の有機ガラスビーズまたは無機ガラスビーズまたはアクリル樹脂ビーズまたはこれらビーズの混合物からなる光収束性を有するビーズ(6)を添加した表面保護層(4)を設け、前記ビーズ(6)の半球以下の連続した表面に蒸着金属反射層(5)が設けられていることを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の道路標識、工事標識等の標識類、駐車場案内板等耐候性の必要な場所や、学童用ランドセルや塾用の鞄の反射板、大人用鞄、自転車、自動車、オートバイ等の車輌のナンバープレート類、衣服、救命具等の安全用資材類、あるいは看板等のマーキング等において外装用として使える有用な再帰性反射シート(再帰性マーキングフィルム)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光を光源に向けて再帰反射させる再帰性反射シートは知られていて、その再帰反射性を利用して、該シートは、上記のごとき利用分野で広く利用されている。中でも空気の屈折率が低いことを利用し、光の再帰反射性能を高めた一般にカプセルレンズ型再帰性反射シートと呼ばれる再帰性反射シートは、その優れた光再帰反射性能により、用途が年々拡大しつつある。
【0003】
一般に、カプセルレンズ型再帰性反射シートは、せまい空気層を介して対向する保護フィルムと支持体フィルム、及びこれら両者を結合するために支持体フィルムを部分的に熱変形させることにより形成された連続線状の連結壁により構成されており、そしてこの連結壁によって区切られた保護フィルムと支持体フィルムとの間の密封小区画空室には、支持体フィルムに部分的に埋設されたほぼ下半球面が金属蒸着膜で被覆されたガラスビーズを内包している。
【0004】
このような再帰性反射シートは、その再帰反射性能に加えて、屋外使用等苛酷な条件で使用した場合の再帰反射性能を長期間維持することのできる耐候性の良さも重要な機能として要望されてきているが、雨水等が侵入することにより引き起こされる劣化を防ぐのは困難であった。すなわち、外気温度変化に伴う、層間の膨脹、収縮等繰り返し伸縮に起因するシートのクラックにより、その中に雨水等が侵入し、光反射膜である金属蒸着膜が劣化して光反射性能を失ったりすることにより再帰反射性能が低下することが多かった。
【0005】
そこで前記支持体フィルムのうち少なくともガラスビーズを埋設支持し、且つ連結壁を構成する部分に、柔軟な熱可塑性樹脂中に、例えば該熱可塑性樹脂よりも架橋度の高い樹脂の粒子及び/又は該熱可塑性樹脂より極性の高い樹脂の粒子を分散含有させた、所謂、海島構造の混合樹脂により形成した樹脂層を用いることによって、前記問題を解決する提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、一般的な屋外および屋内の公告ステッカー類や表示用ステッカー類などの装飾用マーキングフィルムなどに使用される外観耐候性などに優れた粘着シートの提案(例えば、特許文献2参照。)がある。
【0007】
さらに、投写型テレビジョン用の反射スクリーンに使われる、光収束性のある透明ビーズと反射層としてパール顔料をフィラーとしたインキによる反射型スクリーンは知られていたが、屋外用途の耐候性を持つ構成のものはなかったので、低透湿性の樹脂層を追加するものが提案(例えば、特許文献3参照。)されたが、いずれも十分な低透湿性を発揮できるものではなかった。尚、ビーズを構成する材料の屈折率と光の波長との関係を示した文献(例えば、非特許文献1参照。)を提示する。
【0008】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平6−347623号公報
【特許文献2】特開2000−265130号公報
【特許文献3】特許第2536644号公報
【非特許文献1】Tim A.Osswald等著、武田邦彦監修、「エンジニアのためのプラスチック材料工学」、初版第1刷、株式会社シグマ出版、1997年11月1日、P.396
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、耐候性、耐湿性の高い再帰性マーキングフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも粘着剤層(2)、光安定剤、紫外線吸収剤処方を施した透明熱可塑性樹脂層(3)、帯電防止処方を施した表面保護層(4)を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層(3)の少なくとも、一方の面に反射層(7)および波長400〜800nmの波長範囲の可視光線で屈折率1.5以上の有機ガラスビーズまたは無機ガラスビーズまたはアクリル樹脂ビーズまたはこれらビーズの混合物からなる光収束性を有するビーズ(6)を添加した表面保護層(4)を設けたことを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の再帰性マーキングフィルムにおいて、前記ビーズ(6)の半球以下の連続した表面に蒸着金属反射層(5)が設けられていることを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の再帰性マーキングフィルムにおいて、前記蒸着金属反射層(5)上に金属酸化物を蒸着したことを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルムにおいて、前記反射層(7)が金属粉末ペーストまたは金属箔または金属蒸着層からなることを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【0014】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルムにおいて、前記反射層(7)が白色顔料またはパール顔料からなるインキ層であることを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【0015】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルムにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層(3)に、パール顔料又は/及び金属粉を練りこんだことを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【0016】
本発明の請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルムにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層(3)の少なくとも一方の面に絵柄層を設けたことを特徴とする再帰性マーキングフィルムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1記載の発明の効果は、少なくとも粘着剤層、光安定剤、紫外線吸収剤
処方を施した透明熱可塑性樹脂層、帯電防止処方を施した表面保護層を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層の少なくとも、一方の面に、つまり、表面保護層と透明熱可塑性樹脂層の間、または、透明熱可塑性樹脂層と粘着剤層の間に反射層を設けることにより可視光線を反射することができる効果がある。また、反射層の表面に波長400〜800nmの波長範囲の可視光線で屈折率1.5以上の有機ガラスビーズまたは無機ガラスビーズまたはアクリル樹脂ビーズまたはこれらビーズの混合物からなる光収束性を有するビーズを添加した表面保護層を設けたことにより、反射層からの可視光線と合わせて、更に強い反射光を得ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明は、前記ビーズの半球以下の連続した表面に蒸着金属反射層を設けたことにより、屈折による反射に加えて反射層からも可視光線の反射を得ることができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記蒸着金属反射層上に金属酸化物を蒸着したことにより、水分の浸透を防ぐことができ、水分による酸化を防止できるので反射率の低下を防ぐことができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、前記反射層が金属粉末ペーストまたは、金属箔または、金属蒸着層からなることにより、使用場所、用途に応じて反射率を変えたりすることができる。また、電磁波シールドの効果も得ることができる。
【0021】
請求項5記載の発明は、前記反射層が白色顔料またはパール顔料からなるインキ層であることにより、金属調でない反射層になるので、見た目にも白やパール調の明るい意匠にすることができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、前記透明熱可塑性樹脂層に、パール顔料又は/及び金属粉を練りこんだことにより、金属蒸着による反射層を設けなくても可視光線を反射することができる。更に、屋外や浴室で使用しても水分の浸透による金属層の酸化(錆)による反射率の低下を防ぐことができる。
【0023】
請求項7記載の発明は、前記透明熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の面に絵柄層を設けたことにより、単色白だけと異なり、金属蒸着の厚みを薄くすることにより絵柄層が反射層を透過することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明に係る再帰性マーキングフィルムの1実施例を示す側断面図であり、図2は本発明に係る再帰性マーキングフィルムのその他の実施例を示す側断面図であり、図3は本発明に係る再帰性マーキングフィルムのまたその他の実施例を示す側断面図であり、図4は本発明に係る再帰性マーキングフィルムのさらにまたその他の実施例を示す側断面図である。
【0026】
本発明に係る1実施例の再帰性マーキングフィルム(10)は、図1に示すように、セパレータ(1)、粘着剤層(2)、光安定剤、紫外線吸収剤処方を施した透明熱可塑性樹脂層(3)、ほぼ下半球面が蒸着金属反射層(5)で被覆された、光収束性を有するビーズ(6)を添加し、帯電防止処方を施した表面保護層(4)を順次積層してなるマーキングフィルムである。
【0027】
また、図2、図3に示すように、前記透明熱可塑性樹脂層(3)のどちらか一方の面に
反射層(7)を設けても良い。更に、図4に示すように、該透明熱可塑性樹脂層(3)にパール顔料又は/及び金属粉を充填して反射層としても良い。
【0028】
本発明のセパレータ(1)としては、紙製やフィルム製などがあるが、用途に応じて使用すれば良い。
【0029】
前記粘着剤層(2)としては、アクリル系粘着剤がもっとも一般的であるが、他にスチレン−ブタジエンゴム系粘着剤、クロロプレンゴム系粘着剤、オレフィンゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを使用することができる。その中でも、耐候性の面ではアクリル系粘着剤が優位である。粘着剤層(2)にも紫外線吸収剤、光安定剤などを添加しても良い。該粘着剤層(2)の厚さは、5〜50μm程度が一般的である。
【0030】
前記透明熱可塑性樹脂層(3)としては、例えばポリプレピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、非結晶性ポリエステル、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂等を用いることができる。厚さは、50〜150μm程度が好ましい。必要に応じて無機顔料、有機顔料、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を添加しても良い。また、反射層(7)として機能させるために、パール顔料又は/及び金属粉を0.1部から5部を透明熱可塑性樹脂層(3)に添加して押出しても良い。
【0031】
本発明において図示はしないが、前記透明熱可塑性樹脂層(3)の表裏どちらかの面に、絵柄層としては、2液硬化型ウレタン樹脂系、塩化酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系およびこれらの混合物の樹脂系グラビア印刷用インキが使える。また、染料系、顔料系のインキジェット方式によるインキも使えるが耐湿性や耐候性を考慮して選定する。この場合、公知の方法で該透明熱可塑性樹脂層(3)を処理してインキを保持できるようにしておく。
【0032】
このように該透明熱可塑性樹脂層(3)の少なくとも一方の面に絵柄層(図示せず)を設けることにより、単色白だけと異なり、金属蒸着の厚さを薄くすることにより絵柄層が反射層(7)を透過することができる。
【0033】
本発明において、表面保護層(4)としては、2液ウレタン樹脂系、電離放射線硬化型樹脂等が使える。該表面保護層(4)の厚さは、ビーズ(6)のほぼ下半球を埋設できる厚さ以上であれば良く、樹脂の種類、ガラスビーズの大きさ等に応じて適宜決定すれば良いが、一般には20〜200μm、好ましくは30〜150μmの範囲内に設定するのが好都合である。
【0034】
前記表面保護層(4)に添加するビーズ(6)は、波長400〜800nmの波長範囲の可視光線で屈折率1.5以上の有機ガラスビーズまたは無機ガラスビーズまたはアクリル樹脂ビーズまたはこれらビーズの混合物からなる光収束性を有するビーズを用いることができるが、好ましくはガラスビーズである。該ビーズは、屈折率が1.9で粒径40〜60μm、又は屈折率が2.2で粒径70〜150μmのものが好ましい。
【0035】
前記蒸着金属反射層(5)を形成する金属には、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム等の金属;これら金属を2種類以上含んだ合金が挙げられる。これらのうち、銀、銀を含む合金、銀を含む混合物が好適である。銀は、波長550nmの光の屈折率が0.055と小さく、一方、消衰係数は3.32と大きい。屈折率に対する消衰係
数が他の金属と比べて大きいため金属製が高い。このような銀を用いて、前記ビーズの半球以下の連続した表面に蒸着金属反射層(5)を設けることにより、屈折による反射に加えて反射層からも可視光線の反射を得ることができる。
【0036】
前記銀の薄膜は、酸素、硫黄、ハロゲン、アルカリ等によって腐食しやすく、結果として凝集、マイグレーション等を引き起こすので、銀に他の金属元素を含有させると銀の化学的安定性が向上する。銀に含有させる金属元素としては、例えば、金、銅、白金、錫、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ネオジウム、パラジウム、亜鉛、インジウム、ゲルマニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム等が挙げられる。これら金属元素は、2種類以上を銀に含有させても良い。これらの金属元素を銀に含有させる場合、その含有量は、蒸着金属反射層(5)の光学性能を悪化させずに、耐腐食性に寄与する程度であればよく、0.1原子%〜20原子%程度である。
【0037】
該蒸着金属反射層(5)の厚さは、物理膜厚で20〜100nmが好ましい。該蒸着金属反射層(5)は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法、湿式塗工法等の従来公知の方法により形成できる。前記スパッタリング法を用いる場合は、直流電源にて成膜が可能であり、大きな成膜速度が得られるため生産性に優れる。
【0038】
前記蒸着金属反射層(5)上に金属酸化物(BaO、ZnO、TiO2など)を10〜60nm程度真空蒸着することにより、該蒸着金属反射層(5)に水分の浸透を防ぐことができ、水分による酸化を防止できるので反射率の低下を防ぐことができる。(尚、金属酸化物蒸着層は図示せず)
本発明において反射層(7)を設ける際、前記反射層(7)が金属粉末ペーストまたは、金属箔または、金属蒸着層からなる場合は、使用場所、用途に応じて反射率を変えたりすることができる。また、電磁波シールドの効果も得ることができる。
【0039】
また、前記反射層(7)が白色顔料またはパール顔料からなるインキ層である場合は、金属調でない反射層(7)になるので、見た目にも白やパール調の明るい意匠にすることができる。
【0040】
さらに、前述したように、透明熱可塑性樹脂層(3)に、パール顔料又は/及び金属粉を練りこんだことにより、前記金属蒸着などによる反射層(7)を設けなくても可視光線を反射することができる。更に、屋外や浴室で使用しても水分の浸透による金属層の酸化(錆)による反射率の低下を防ぐことができる。
【0041】
前記パール顔料としては、雲母に二酸化チタンを被覆したタイプのフィラーで、チタンの被覆率28%、粒径の分布が5〜60μmであり、平均粒径が30μmの鱗片形状のものが、印刷・コーティング適性から好ましい。更に、金属粉を混合したり、単独で使っても良い。
【0042】
本発明の再帰性マーキングフィルムは、例えば屋外の道路標識、工事標識等の標識類、駐車場案内板等耐候性の必要な場所や、学童用ランドセルや塾用の鞄の反射板、大人用鞄、自転車、自動車、オートバイ等の車輌のナンバープレート類、衣服、救命具等の安全用資材類、あるいは看板等のマーキング等や亜鉛メッキ鋼鈑、ステンレス板、珪酸カルシウム板に貼り付けて用いることができるが、特にそれに限定されるものではなく、通常のマーキングフィルムとして中密度繊維板、パーティクルボードなどに貼り付けて用いても良い。
【0043】
本発明のマーキングフィルムを前述した亜鉛メッキ鋼鈑などの基板に貼り付けるのには、まず、透明熱可塑性樹脂層(3)の裏面に体質剤入りの2液ウレタン樹脂系を0.5から3g/m2(乾燥後)塗工する。ただし、亜鉛メッキ鋼鈑やステンレス板への鋼鈑ラミネートする場合は具備しない場合もある。その後、2液ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、ポリカーボネート樹脂系、シリコーン樹脂系等の樹脂系からなる有機溶剤系または水性エマルジョン系の塗工液等を、グラビアコート法、ロールコーター法、リバースロールコーター法、コンマコート法、リップコーター法、ダイコート法等で1〜10g/m2(乾燥状態)塗工し、貼り付けることで可能である。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明の再帰性マーキングフィルムについて、具体的にいくつかの実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。
【0045】
<実施例1>
透明熱可塑性樹脂層(3)としては、ポリオレフィン樹脂にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5部とヒンダードアミン系光安定剤0.5部添加して、厚さ100μmの透明熱可塑性樹脂層(3)を形成した。次に、2液ウレタン樹脂からなる表面保護層(4)に、ビーズ(6)粒子の半球面に銀を蒸着した粒径30〜100μmのBaO−ZnO−Ti02系ガラスビーズ[商品名:UB−12NH(粒径38〜45μm)株式会社ユニオン製]を2液ウレタン樹脂に5部添加してなる塗工剤を20g/m2(dry)の塗布量で塗布した。
【0046】
次に、前記透明熱可塑性樹脂層(3)の反対面にアクリル粘着剤(商品名:オリバインBPS 東洋インキ製造株式会社製)を30g/m2の塗布量にて粘着加工を行って、12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをセパレータとして貼り合わせて再帰性マーキングフィルム(10)を得た。
【0047】
<実施例2>
実施例1において、前記ビーズ(6)粒子の半球面に銀を60nm蒸着した後、更に酸化珪素を40nm真空蒸着した以外は実施例1と同様にして再帰性マーキングフィルムを得た。
【0048】
<実施例3>
実施例1において、ビーズ(6)から銀蒸着を除いて、透明熱可塑性樹脂層(3)の粘着剤層(2)側にパール顔料(商品名:ME100 日本光研株式会社製)5部と、5〜15μmの鱗片状に粉砕したアルミニウム金属粉5部を通常の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂/アクリル樹脂系メジウム100部に添加し、溶剤(MEK:EAC:IBAC:MIBK)を添加して固形分8%のインキを作り、前記透明熱可塑性樹脂層(3)と粘着剤層(2)との間に乾燥後の重量5g/m2塗工して反射層(7)を形成した以外は実施例1と同様にして再帰性マーキングフィルム(11)を得た。
【0049】
<実施例4>
実施例3において、反射層(7)を表面保護層(4)と透明熱可塑性樹脂層(3)との間に形成した以外は実施例3と同様にして再帰性マーキングフィルム(12)を得た。
【0050】
<実施例5>
実施例3において、反射層(7)を取り除き、透明熱可塑性樹脂層(3)にパール顔料(商品名:ME100 日本光研株式会社製)0.5部およびアルミニウム金属粉0.5部を該透明熱可塑性樹脂層(3)に添加して押出し形成した以外は実施例3と同様にして再帰性マーキングフィルム(13)を得た。
【0051】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0052】
<比較例1>
実施例1において、ビーズ(6)を取り除いた以外は実施例1と同様にして再帰性マーキングフィルムを得た。
【0053】
<性能評価>
以上のようにして得たマーキングフィルムを市販の交通標識に貼り、新月の夜間(旧暦の一日前後数日)に懐中電灯で照らしたら、実施例1から5は良く光を反射して夜間でもめだったが、比較例1は、反射が弱く実用に耐えなかった。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る再帰性マーキングフィルムの1実施例を示す側断面図である。
【図2】本発明に係る再帰性マーキングフィルムのその他の実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る再帰性マーキングフィルムのまたその他の実施例を示す側断面図である。
【図4】本発明に係る再帰性マーキングフィルムのさらにまたその他の実施例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1・・・セパレータ
2・・・粘着剤層
3・・・透明熱可塑性樹脂層
4・・・表面保護層
5・・・蒸着金属反射層
6・・・ビーズ
7・・・反射層
8・・・パール顔料又は/及び金属粉
10、11、12、13・・・再帰性マーキングフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも粘着剤層、光安定剤、紫外線吸収剤処方を施した透明熱可塑性樹脂層、帯電防止処方を施した表面保護層を順次積層してなるマーキングフィルムにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層の少なくとも、一方の面に反射層および波長400〜800nmの波長範囲の可視光線で屈折率1.5以上の有機ガラスビーズまたは無機ガラスビーズまたはアクリル樹脂ビーズまたはこれらビーズの混合物からなる光収束性を有するビーズを添加した表面保護層を設けたことを特徴とする再帰性マーキングフィルム。
【請求項2】
前記ビーズの半球以下の連続した表面に蒸着金属反射層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の再帰性マーキングフィルム。
【請求項3】
前記蒸着金属反射層上に金属酸化物を蒸着したことを特徴とする請求項1又は2記載の再帰性マーキングフィルム。
【請求項4】
前記反射層が金属粉末ペーストまたは金属箔または金属蒸着層からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルム。
【請求項5】
前記反射層が白色顔料またはパール顔料からなるインキ層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルム。
【請求項6】
前記透明熱可塑性樹脂層に、パール顔料又は/及び金属粉を練りこんだことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルム。
【請求項7】
前記透明熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の面に絵柄層を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の再帰性マーキングフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−3761(P2007−3761A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183042(P2005−183042)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】