説明

再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置

【課題】 簡単な構造により掘削した廃アスファルトの再生、投入の労力軽減、工事中の道路占有率の低減、賃借使用コスト削減等を達成する再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置を提供する。
【解決手段】 アスファルト再生装置と、アスファルト再生装置を搭載したトレーラと、トレーラと着脱自在に連結され上下駆動体を有する油圧ショベルと、上下駆動体に取り付けられトレーラと着脱自在に連結する第1ジョイント部付きのアタッチメントと、を有する。上下駆動体を介してトレーラと油圧ショベルとを着脱自在に連結し、油圧ショベルによるトレーラの牽引移動並びに油圧ショベルとトレーラとの連結側を上下動させる連結状態と、油圧ショベルとトレーラとを切り離してトレーラを他の牽引車と連結可能とさせる離脱状態と、を選択的に行えることにより、現場使用機器構成を簡略化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや水道管工事あるいは道路補修等の際に掘削により取得した廃アスファルトを再生しながら、該再生アスファルトにより舗装等を行う再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路のクラック箇所の補修や、水道管やガス管の修繕等に伴う舗装道路の工事では、掘り起こされたアスファルト廃材は産業廃棄物として捨てられ、補修のための新たなアスファルト原料は、予め製造プラントにおいて製造されたものをトラック等で作業現場まで搬送するのが一般的であった。しかしながら、近時の資源再利用や、掘削後のアスファルト廃材を産業廃棄物として廃棄する際の費用削減の観点から、掘り起こされたアスファルト廃材を再生し、そのまま舗装道路の修復に再利用できることが望ましい。このような点から、従来、特許文献1、2に示すような再生アスファルト利用の装置等が提案されている。
【特許文献1】特開平11−269812
【特許文献2】特開2007−113183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1によれば、アスファルト再生装置は水平軸を回転軸として回転するドラム6に原料を投入しつつ、その中で該廃材を加熱溶融して新たなアスファルト合材を生成し、排出口10から下方に向けて、再生したアスファルト合材を排出する機構であるので、原料の投入位置が高くなり、人力によるホッパからの原料供給作業に大きな労力を要する。また、アスファルト再生車を搭載したトレーラを現場まで牽引する牽引搬送トラックの荷台部分とアスファルト再生車とを現場到着後作業現場の状況に合わせて縦列配置させてアスファルト再生車のホッパとの間にコンベアを装架する作業や、掘削用重機との道路上での配置位置決め等の作業現場での段取り作業が手間取り、作業時間がかかり効率を損なう問題がある。同時に、道路封鎖時間も長くなり交通事情に影響を与える。さらに、図12に示すように、作業中は掘削用重機Hと、牽引移動用トラック60と、アスファルト再生車R搭載のトレーラLとを必要とし、作業中の現場の面積・空間を大きく占有するので道路利用効率を悪化させるとともに、それらの車両等を必要とし機器の賃借使用料により作業コストを高いものとする欠点がある。また、特許文献2では、作業現場でのコンベアのアスファルト再生車のホッパと牽引用トラックの荷台間での装架作業を簡単にできるようにしたものが提案されており、現場での段取り作業効率を短縮できる利点を有するが、この特許文献2についても、作業中は掘削用重機と、牽引移動用トラックと、アスファルト再生車搭載のトレーラとを必要とし、作業中の現場の面積・空間を大きく占有するので道路利用効率を悪化させるとともに、それらの車両等を必要とし機器の賃借使用料により作業コストを高いものとする欠点がある。また、掘削用重機との道路上での配置位置決め等の作業現場での段取り作業が手間取り、作業時間がかかり効率を損なう問題がある。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造により掘削した廃アスファルトの再生装置への投入の労力を必要とせず、しかも、工事中の道路占有率を低減しうるばかりか、少ない使用機器により機器の賃借使用コストを削減し、さらに、作業現場での取り掛かり段取り作業時間を飛躍的に短縮させることのできる、再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、アスファルト再生装置12と、アスファルト再生装置を搭載したトレーラ14と、トレーラと着脱自在に連結され上下駆動体16を有する油圧ショベル18と、上下駆動体16に取り付けられトレーラ14と着脱自在に連結する第1ジョイント部80付きのアタッチメント20と、を有し、上下駆動体16を介してトレーラ14と油圧ショベル18とを着脱自在に連結し、油圧ショベル18によるトレーラ14の牽引移動並びに油圧ショベル18とトレーラ14との連結側を上下動させる連結状態と、油圧ショベル18とトレーラ14とを切り離してトレーラを他の牽引車と連結可能とさせる離脱状態と、を選択的に行えるようにした再生アスファルト施工装置10から構成される。施工現場にアスファルト再生装置を搬送するときは、例えば公道を利用して迅速に移動させる必要があり、この際は、トラックにトレーラを連結し、トレーラにアスファルト再生装置を搭載した状態でトラックにより牽引搬送させる。そして、施工現場到着後は、トラックとトレーラとの連結を解除し、予め配備されている油圧ショベル機の上下駆動体に取り付けたアタッチメント付設の第1ジョイント部を介してトレーラを油圧ショベル機に連結させる。作業においては、油圧ショベル機とアスファルト再生装置とが協働し、特に油圧ショベル機による工事箇所の掘削、掘削した廃アスファルト材のアスファルト再生装置への供給、排出口側を下がり勾配とした傾斜支持調整による再生アスファルト材の供給量調整、作業進行に伴うアスファルト再生装置の牽引移動等を円滑に行える。この際、油圧ショベル機とトレーラ搭載のアスファルト再生装置は縦列配置状態で作業を行えるので、道路の片側のみを占有した状態で作業を行え、道路封鎖までを必要とせずに交通を確保しつつ作業を継続し得る。油圧ショベル機の上下駆動体は油圧力を利用して改造した駆動装置を用いても良いが、例えば排土板を利用することが出来る。排土板に取り付けるアタッチメントに取り付けた第1ジョイント部によるトレーラとの連結構成は、自在継手連結が好ましい。しかしながら、左右、斜め方向への自由度はなく単に上下動可能としたのみの連結構成であっても良い。
【0006】
その際、上下駆動体16は油圧ショベル18に取り付けられ駆動装置を介して上下駆動可能とされる排土板161から構成するとよい。排土板は、公知の機体に支持されて駆動装置により上下駆動可能とされる平行なアームの先端に取り付けた排土板構成を適用することが出来る。
【0007】
また、トレーラ4の一端側に第1ジョイント部80と着脱自在に連結する第2ジョイント部82が設けられ、第1、第2ジョイント部がヒッチボール連結機構96からなるようにするとよい。これによって、油圧ショベル機とトレーラとの着脱自在でかつ自在継手連結構成を実現させる。
【0008】
さらに、本発明は、アスファルト再生装置を搭載したトレーラを牽引車に連結して再生アスファルト施工現場に運搬し、施工現場において牽引車からトレーラを離脱させ、該トレーラをアタッチメントを介して油圧ショベルの排土板に着脱自在に連結させ、油圧ショベルによる現場掘削と、アスファルト再生装置への掘削アスファルトの投入と、アスファルト再生装置全体の勾配駆動と、微前進移動と、アスファルト再生装置による流動状再生アスファルト製造と、を行いつつ掘削再生アスファルトによる現場施工を行う再生アスファルト施工法から構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の再生アスファルト施工装置によれば、アスファルト再生装置と、アスファルト再生装置を搭載したトレーラと、トレーラと着脱自在に連結され上下駆動体を有する油圧ショベルと、上下駆動体に取り付けられトレーラと着脱自在に連結する第1ジョイント部付きのアタッチメントと、を有し、上下駆動体を介してトレーラと油圧ショベルとを着脱自在に連結し、油圧ショベルによるトレーラの牽引移動並びに油圧ショベルとトレーラとの連結側を上下動させる連結状態と、油圧ショベルとトレーラとを切り離してトレーラを他の牽引車と連結可能とさせる離脱状態と、を選択的に行えるようにした構成であるから、資源を有効利用し、廃棄物を減少させると同時にアスファルト施工現場での作業開始までの段取り時間及び施工作業時間を短縮し、さらに労力削減、機器賃借コスト低減を達成し得るうえに、再生アスファルトの排出量制御のための再生装置後部の上下駆動による施工作業精度、時間短縮を確実に実現させることができる。同時に、作業中の必要機器を少なくしてそのぶんの機器を他の用途に使用でき、作業機器の運用を効果的に実行することが可能である。
【0010】
また、上下駆動体は油圧ショベルに取り付けられ駆動装置を介して上下駆動可能とされる排土板からなる構成であるから、油圧ショベル機の排土板を利用し、特別で複雑な機器構成を別途必要とすることなく、低コストによりトレーラと油圧ショベル機の着脱連結ならびにトレーラの連結端側の上下駆動による流動再生アスファルト材の排出供給量調整を軽易、短時間かつ良好な精度で行うことが出来る。
【0011】
また、トレーラの一端側に第1ジョイント部と着脱自在に連結する第2ジョイント部が設けられ、第1、第2ジョイント部がヒッチボール連結機構からなる構成であるから、トレーラと油圧ショベル機との着脱連結ならびに連結後の自在継手機能によるトレーラの連結端側の上下駆動を具体的に実現させることが出来る。
【0012】
さらに、本発明の再生アスファルト施工法によれば、アスファルト再生装置を搭載したトレーラを牽引車に連結して再生アスファルト施工現場に運搬し、施工現場において牽引車からトレーラを離脱させ、該トレーラをアタッチメントを介して油圧ショベルの排土板に着脱自在に連結させ、油圧ショベルによる現場掘削と、アスファルト再生装置への掘削アスファルトの投入と、アスファルト再生装置全体の勾配駆動と、微前進移動と、アスファルト再生装置による流動状再生アスファルト製造と、を行いつつ掘削再生アスファルトによる現場施工を行うから、アスファルト施工現場での作業開始までの段取り時間及び施工作業時間を短縮し、さらに労力削減、機器賃借コスト低減を達成し得るうえに、再生アスファルトの排出量制御のための再生装置後部の上下駆動による施工作業精度、時間短縮を確実に実現させることができる。同時に、作業中の必要機器を少なくしてそのぶんの機器を他の用途に使用でき、作業機器の運用を効果的に実行することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明は、道路工事等において既設の敷設アスファルト工部分を掘削することにより得られた廃アスファルトを処分料を支払って有料処理していたものを、掘削現場で掘削と同時に再生しつつ再生アスファルトを再び舗装材として用いる再生アスファルト工法において、機器利用効率の向上、施工作業効率の大幅な向上、機器利用コスト、施工コストの削減等を行える再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置であり、特に、簡単な構造のアタッチメントを用いることにより、実用に優れた装置を構成したものである。
【0014】
図1ないし図11は、本発明の1実施形態を示しており、本実施形態において、再生アスファルト施工装置10は、アスファルト再生装置12と、トレーラ14と、上下駆動体16を有する油圧ショベル18と、上下駆動体に取り付けられるアタッチメント20と、を含む。
【0015】
図1は、本発明の再生アスファルト施工装置10を用いて行う工事や補修等の施工現場での施工時の機器構成を示しており、図において、工事区域を有する道路100上には施工工事の際に再生アスファルト施工装置10と、これを連結する油圧ショベル18とが連結状態のままで配置されている。油圧ショベル18は再生アスファルト施工装置10を牽引しながら作業の進捗にしたがって実際の掘削部分を前方X方向に微前進移動させる。
【0016】
図1、3、4において、トレーラ14上にアスファルト再生装置12が積載され、トレーラ14を牽引駆動装置としての油圧ショベル機に連結させて施工作業が行われる。アスファルト再生装置12は、例えば公知の装置からなり、図2、3、4に示すように、横倒し状の金属製円筒ドラム22の一端側に投入ホッパ24が設けられるとともに、他端側に排出部26が設けられて構成されている。投入ホッパ24の投入口には掘削により得られる廃アスファルト材が投入される。排出部26は、再生された流動体としての再生アスファルト材Mが排出される部分であり、胴部から径を次第に小さくするように連続するテーパ部28を有し、胴径より小さくしたその先端開口から再生アスファルト材Mが排出され、道路の再敷設部分に供給される。アスファルト再生装置12は水平方向を回転軸として円筒状ドラムが回転し、そのドラム22内に投入ホッパ24から廃アスファルト材原料を投入するものであり、バーナを内蔵し、ドラム回転原動機によりドラムを回転駆動させながら原料をバーナで加熱溶融させ、新たなアスファルト合材が生成される。加熱されて流動化された再生アスファルト材は、排出部26の内部に設置された図示しないフィルタ部材を通して排出口26aから排出される。
【0017】
図1、2、3において、トレーラ14は、台枠30に車輪32を取り付け移動可能とした公知のトレーラであり、台枠30は上面を平面状の積載面とし、この積載面に積載物を載荷し得るようになっている。台枠30は、図2に示すように、フレームを組み付けた横長四角形状構造からなり、この台枠30の積載面上にアスファルト再生装置12を搭載している。アスファルト再生装置12は、台枠30に接続された固定枠34により周囲を枠体で取り囲まれて固定されている。詳細には、アスファルト再生装置12は、トレーラの一端14b側(牽引後方側)に寄せて配置されており、他端14a側の油圧ショベルとの連結側には投入コンベア支持装置36に支持された投入コンベア38が設置されている。アスファルト再生装置12の排出部26がトレーラ14の一端側となるように該アスファルト再生装置12はトレーラ上で一方側に寄せて配置されており、したがって、トレーラの油圧ショベル連結側14aを持ち上げ駆動させれば排出口26aは中心を下がり勾配に傾斜させ、再生アスファルト材Mの排出供給量が調整される。図3において、固定枠34の牽引後端(14b)寄り位置の台枠上には回転支持台40に軸支された回転支持軸42が進行方向両側に取り付けられている。そして、この回転支持軸42に円筒ドラムの排出部寄り側に取り付けた固定枠34の底部が固定され、これによって、回転支持軸42回りにアスファルト再生装置12の連結端部側(14a)が回動可能となっている。アスファルト再生装置12の投入ホッパ側底部には短脚44が下方に突出固定されて、台枠側に着底する状態と、上昇されて台枠から離れる状態とに駆動され得る。なお、図中、46はトレーラ14へのアスファルト再生装置12の積み込み、積み降ろし用の受リングである。
【0018】
図2、3において、トレーラ14上であってアスファルト再生装置12に隣接して縦列状にコンベア支持装置36および投入コンベア38が設置されている。投入コンベア38は基部側にベルト周回駆動用モータ48を有し、コンベア支持装置36の角度調整機構50並びに角度付勢維持機構52により投入端54を再生装置12の投入ホッパ24に対して角度調整可能に維持される。なお、図上49はコンプレッサである。
【0019】
コンベア支持装置36は、フレーム枠体からなり、投入側寄り枢支軸56により投入コンベア38の投入側寄り位置を回転自在に軸支するとともに、縦に離隔して列状に穿孔された複数のピン孔58と、図示しないストッパ部材とにより所望の勾配にて投入コンベア38を角度調整自在に支持する。さらに、投入コンベア38は、フレーム枠体に一端側を枢支され他端側をコンベア38の連結部寄り側に枢支させたダンパロッドにより支持されており、これによって、ピン孔からストッパ部材を引き抜いたときでも常時コンベアの傾斜下方側を上昇方向に付勢させて段取り替え作業等を円滑に行わせるようにしている。
【0020】
図2において、トレーラ14の連結側端部14aは、三角形状に突設形成されており、その先端に第2ジョイント部82が設けられている。第2ジョイント部82は、油圧ショベル機18側の第1ジョイント部80とともにトレーラ14と油圧ショベル機18との直接の着脱連結機構Jを構成する手段であり、本実施形態において、ボールアダプタ84と、ロックレバー86と、を含む。ボールアダプタ84は第1ジョイント側のヒッチボールを着脱自在に受け入れて第1ジョイント部とともに自在継手として機能する第1の自在継手手段であり、常時下向きに開口したボール挿入口を有している。そして、ロックレバー86を起立、倒伏操作するとヒッチボールの連結、解除のいずれかを切り替え可能に接続する。図3に示すように、このトレーラ14には使用、不要時に応じて接地、跳ね上げ自在に枢着された補助輪88が取り付けられている。なお、CHは補助連結用チェーンである。
【0021】
図1において、道路100上に右側から順にトラック60、油圧ショベル機18、アスファルト再生装置12が示されているが、現場での施工作業時にはトラック60は使用されず、アスファルト再生装置12と、油圧ショベル機18とが連結状態で用いられる。トラック60は、図10のようにトレーラ14の牽引用として施工現場まで牽引し、現場ではトレーラから切り離し、トレーラは図1のように油圧ショベル機と連結されて用いられる。トラック60の荷台62の後端側にはトラック第1ジョイント部64が取り付けられており、後述するように、排土板第1ジョイント部80と同様の形状、構造を有し、共通の機能を有しており、油圧ショベルとともにトレーラ14の連結部位に共通に着脱接続しうるようになっている。
【0022】
油圧ショベル機18は、公知の構成を有しており、本実施形態において走行部66と、運転部68と、作業部機構70と、を備えている。本実施形態において、走行部66は例えば走行用クローラからなるが、ホイール式で移動するものでもよい。運転部68は、諸種の部位の制御装置、計器類、操作レバー、センサ、スイッチ類等を搭載した部位でありオペレータ座席が設けられている。運転部68は旋回機構により縦軸v回りに水平旋回する。運転部の基台に支持されてブーム72、アーム74が接続され、さらにアームの先端に掘削作業用等のバケット76が取り付けられている。それぞれの基台、ブーム、アーム、バケット間は1個または複数個の関節機構によりそれぞれが複雑な動きを行えるように構成されている。また、これらの部位の駆動に際してはそれぞれのシリンダ機構により油圧駆動される。
【0023】
図3、4、5において、油圧ショベル機18は、上下駆動体16を有している。上下駆動体16は、トレーラ14と着脱自在に連結した状態でトレーラ14の一部を上下駆動させる連結上下駆動手段であり、本実施形態では特にこの上下駆動体に着脱連結機構としてのジョイント手段を取り付けたアタッチメント20を取り付けている。これによって、着脱連結機構Jによるトレーラと油圧ショベルとの着脱連結を自在に行わせながら、それらの連結時にトレーラ、すなわち載荷されたアスファルト再生装置12の油圧ショベル機による牽引による微前進と油圧ショベル機の掘削によるバケットからの投入コンベアへの廃アスファルト材の直接投入並びにアスファルト再生装置の排出口26aからの流動再生アスファルトの排出供給量調整を行うことが出来る。本実施形態において上下駆動体16は、シリンダ機構により上下駆動可能とされる排土板161を用いて構成しており、図5のように、湾曲した排土面162を前面側に有する横長の金属製厚板材からなっている。そして、アタッチメント20は、この排土板161の厚板状上端縁板部161aに嵌着固定により取り付けられている。排土板161は、油圧ショベル機18本体側に取り付けられた駆動装置78としてのシリンダ機構によりアーム90が支持されて上下駆動される。
【0024】
アタッチメント20は、上下駆動体16に取り付けられて、トレーラ14側との着脱連結構造を基礎付ける着脱連結機構の支持手段であり、本実施形態では、図5、6に示すように、長方形厚板を横倒しした排土板161の上端から嵌合される金属製コ字長枠から構成されている。コ字長枠は、下向き開口で構成され、該開口を排土板161の上端縁にあてがって凹部に嵌合させ、ロック部材92により嵌合状態で固定させる。
【0025】
コ字長枠の上面にはヒッチボール93が上方に向けて突設固定されている。ヒッチボール93は、トレーラ14の前端側に取り付けられた第2ジョイント部82とともに着脱連結機構としてのヒッチボール連結機構96を構成する構成要素としての第1ジョイント部80であり、第2ジョイント部82のボールアダプタ84を上方から押し込み状に嵌合させる。着脱連結機構により自在継手接続され、トレーラと油圧ショベル機との連結部位が上下、左右いずれの方向に移動しても追随してその連結接続状態を安定的に確保する。ここにおいて、図1のように、トレーラ側のボールアダプタ84に適合して嵌合するヒッチボール93bをトレーラ牽引搬送用のトラック60後部に取り付けておけば、トレーラ14を現場まで公道搬送の際にはトラック60と連結し、現場到着後トレーラ14を油圧ショベル機18に接続換えすることにより、現場での施工作業時には図1のように、掘削、廃アスファルト材投入、微前進用牽引、再生アスファルト材排出供給量調整をトレーラと油圧ショベル機の2台により実現することができ、この際、牽引搬送に用いたトラックは完全に他の用途に用いたり、あるいは現場関連作業の補助に用いたりすることにより、機器の利用効率を向上させることが出来る。ここにおいて、上下駆動体16を介してトレーラ14と油圧ショベル18とを着脱自在に連結し、連結状態において油圧ショベル18によるトレーラ14の牽引移動並びに油圧ショベル18とトレーラ14との連結側の上下動を行わせるとともに、トレーラ14と油圧ショベル18とを切り離してトレーラをトラック等の他の牽引車と連結し装置保管場所と施工現場間などを一般公道等を牽引走行してアスファルト再生装置12を迅速に移動させることができる。なお、図6上、95はアタッチメント吊り込み用リングである。
【0026】
次に、本実施形態に係る再生アスファルト施工装置10の作用について、再生アスファルト施工法とともに説明する。アスファルト施工工事現場にアスファルト再生装置12を搬送させる際には図10に示すように、トラック60にアスファルト再生装置12及び投入コンベア38を格納状態で載置したトレーラ14を連結した状態でトラック60の牽引力で例えば一般公道等を迅速に牽引搬送する。この際、例えばトラック60の後部には上方に突設した第1ジョイント部に対するヒッチボール93bが後方に突出形成されており、このヒッチボールにトレーラの第2ジョイント部としてのボールアダプタを嵌合させ、ロックするだけで簡単にトレーラとトラックとを自在継手接続により連結できる。施工現場には別途、油圧ショベル機を用意して配備させておく。そして、現場においてトレーラ14とトラック60との連結を解除し、トレーラ14と油圧ショベル18とを連結させる。この際、第1、第2ジョイント部を例えばヒッチボール連結機構として着脱自在に連結することによりトレーラとトラック、トレーラと油圧ショベルとの連結及び連結換えを簡単に短時間に行える。そして、油圧ショベルにより工事区域Uを掘削し、得られた廃アスファルト材をバケットに掬い取って、ブームを例えば180度程度回転させてトレーラ側を向け、アームの先端のバケットを操作して投入コンベア38の搬送ベルト上に載置させる。コンベア駆動された廃アスファルト材は、投入ホッパ24に投入され、アスファルト再生装置により加熱、溶融されて排出口26aから再生アスファルト材として排出される。この再生アスファルト材Mが掘削箇所を再舗装する際の新たな舗装材となる。この再生アスファルト材Mは、一般にはある程度の粘性を有する流動体であり、したがって、投入ホッパから投入される廃アスファルト材の押し出し力のみで排出口26aから排出させるので円筒ドラム体のアスファルト再生装置本体が水平方向に向けて配置されている場合には、流動状の再生アスファルト材の排出供給が少なかったり、供給速度が遅い場合が生じる。このため、上下駆動体としての排土板161を上昇駆動させることによりアタッチメント20の第1ジョイント部80とトレーラ側の第2ジョイント部82との自在継手位置において排土板を上昇すると水平線Hrに対する排出口の中心線の傾斜角度が大きくなり(大きな下がり勾配となる)、逆に排土板を下降させると本体が水平状態に近くなって排出口からの排出供給量が減少する。したがって、油圧ショベル機18による排土板161の油圧による少しの上下動のみで装置本体の傾斜角度と、傾斜位置を取るための移動速度を迅速に行うことが出来、これによって、排出供給量を精度良く操作することができる。施工作業時には、トレーラ14と油圧ショベル機18を縦列状に配置させるだけであるあるから、図11のように道路の片側のみの占有により工事を継続することができ、道路封鎖までを行うことなく、一定の交通を確保し得る。また、作業時には搬送用トラックは他の用途で用いることが出来、機器の利用効率を向上させ得る。また、労力を要する作業が大幅に減少するとともに、作業時間短縮も図れる。
【0027】
以上説明した本発明の再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る再生アスファルト施工法及び再生アスファルト施工装置による施工作業状態を示す側面図である。
【図2】図1の一部を省略した拡大平面説明図である。
【図3】図2のトレーラと油圧ショベル機の連結状態の側面図である。
【図4】図3の状態からトレーラの油圧ショベル機との連結側を上昇させた状態の側面作用説明図である。
【図5】排土板とこれに嵌合させるアタッチメントを示す斜視説明図である。
【図6】図2のA−A線矢示一部断面拡大図である。
【図7】着脱連結機構部分を主に示す概略側面説明図である。
【図8】着脱連結機構部分を主に示す拡大一部断面説明図である。
【図9】着脱連結機構部分を主に示す拡大一部断面作用説明図である。
【図10】トラックによるトレーラの牽引搬送状態を示す側面説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る再生アスファルト施工装置による施工作業状態を示す平面図である。
【図12】従来の再生アスファルト施工法による施工作業状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 アスファルト施工装置
12 アスファルト再生装置
14 トレーラ
16 上下駆動体
18 油圧ショベル機
20 アタッチメント
24 投入ホッパ
60 トラック
64 トラック第1ジョイント部
78 アタッチメント
80 第1ジョイント部
82 第2ジョイント部
84 ボールアダプタ
93 ヒッチボール
93b トラック後部ヒッチボール
96 ヒッチボール連結機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト再生装置と、
アスファルト再生装置を搭載したトレーラと、
トレーラと着脱自在に連結され上下駆動体を有する油圧ショベルと、
上下駆動体に取り付けられトレーラと着脱自在に連結する第1ジョイント部付きのアタッチメントと、を有し、
上下駆動体を介してトレーラと油圧ショベルとを着脱自在に連結し、油圧ショベルによるトレーラの牽引移動並びに油圧ショベルとトレーラとの連結側を上下動させる連結状態と、油圧ショベルとトレーラとを切り離してトレーラを他の牽引車と連結可能とさせる離脱状態と、を選択的に行えるようにしたことを特徴とする再生アスファルト施工装置。
【請求項2】
上下駆動体は油圧ショベルに取り付けられ駆動装置を介して上下駆動可能とされる排土板からなる請求項1記載の再生アスファルト施工装置。
【請求項3】
トレーラの一端側に第1ジョイント部と着脱自在に連結する第2ジョイント部が設けられ、第1、第2ジョイント部がヒッチボール連結機構からなる請求項1または2記載の再生アスファルト施工装置。
【請求項4】
アスファルト再生装置を搭載したトレーラを牽引車に連結して再生アスファルト施工現場に運搬し、
施工現場において牽引車からトレーラを離脱させ、該トレーラをアタッチメントを介して油圧ショベルの排土板に着脱自在に連結させ、
油圧ショベルによる現場掘削と、アスファルト再生装置への掘削アスファルトの投入と、アスファルト再生装置全体の勾配駆動と、微前進移動と、アスファルト再生装置による流動状再生アスファルト製造と、を行いつつ掘削再生アスファルトによる現場施工を行うことを特徴とする再生アスファルト施工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−291490(P2008−291490A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137355(P2007−137355)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(301060831)株式会社九建 (3)
【Fターム(参考)】