説明

再生バイオポリマーの製法及びそれによって得られる再生生成物

炭水化物の形の再生バイオポリマーを製造するために、バイオポリマーを溶解して含有する溶液系を使用して、この際、溶液系は融解イオン性液体及び場合によりプロトン性溶媒又はその混合物に基づいていて、溶液系中に溶解させたバイオポリマーを凝固媒体中で沈殿させ、この際、凝固媒体中に、プロトン性凝固剤又はプロトン性凝固剤の混合物が存在する方法を記載する。この方法は、凝固剤又は凝固剤の混合物の表面張力σは、水の表面張力σの99%〜30%であることを特徴とし、この際、各々の表面張力は、ASTM D 1590-60により、温度50℃で測定された。この方法は、経済的かつ柔軟に行われ得る。殊に紡糸繊維の形の有利な方法生成物が得られる。これは、殊に非フィブリル化であり、かつ湿式強度対乾式強度の有利な比率を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭水化物、殊に澱粉、セルロース及び/又は澱粉及びセルロースの誘導体の形で再生バイオポリマーを製造するために、バイオポリマーを溶解して含有する溶液系を使用して、この際、溶液系は、融解イオン性液体及び場合によりプロトン性溶媒又はその混合物に基づいていて、溶液系中に溶解させたバイオポリマーを凝固媒体中で沈殿させ、この際、凝固媒体中にプロトン性凝固剤又はプロトン性凝固剤の混合物が存在する方法に関する。更に、本発明は、それによって得られる、炭水化物の形の、殊に湿式フィブリル化等級2以下を有する、殊に非フィブリル化である紡糸繊維の形の再生バイオポリマーに関する。
【0002】
セルロースは、地球上で推定バイオマス現存量1.5×1012トン中の約700×10トンの割合を有する、生体バイオポリマーの群における最も重要な代表である。セルロースを極めて高い割合で含有する木及び木綿から得られるパルプは、一般に、紙、板紙、セルロース再生繊維及びセルロース再生シートの最も重要な基礎原料である。
【0003】
セルロースの加工のために、過去に、若干の溶媒系が開発された。今日も依然として、既に長い間公知のビスコース法が、技術的に大きな意味を有する。この場合、セルロースを先ずキサントゲネートに誘導体化させ、次いで苛性ソーダ希釈溶液中に溶解させる。特殊な凝固浴中での再生によって、誘導体化を逆転させ、こうしてセルロースを入手し得る。当然、方法条件的に大量の塩及び硫黄含有の排ガスが生じ、これを後処理技術によって処理しなければならない。
【0004】
近年の環境意識が増大する中で、廃棄物及び不所望な放出物のより少ない不可避的生産を伴う、セルロースを直接溶解するための開発が余儀なくされた。この際、溶媒N−メチルモルホリン−N−オキシド−モノ−ヒドレート(NMMO)を用いる方法が、一般に技術的に最も重要になってきた。この際、3成分系、NMMO、水及びセルロースでの狭い溶液窓口、酸化作用を有する溶媒の使用及び製造された生成物の系条件的ヒブリル化が欠点である。
【0005】
イオン性液体は、慣例的な有機溶媒の代用として用いられ得る。これは、低温(<100℃)で融解する有機塩であり、非分子のイオン特性を有する溶媒の1新規群である。実質的不純物を含まないイオン性液体は、測定可能な蒸気圧を有しない。陽イオン及び陰イオンの選択によって、溶媒としてのその極性及び従ってその特性を調整することができる。
【0006】
US−A−1943176は、非誘導体化セルロースの溶解のために、窒素含有塩基(例えば、ピリジン)と混合した、N−アルキル置換された又はN−アリール置換されたピリジニウムクロリドの物質群の有機塩の利用を示す。しかしこの発明は、技術的に重要にならなかった。US−A−2339012は、水又はアルコールと混合させた、同様に置換されたピリジニウムヒドロキシドを用いたセルロースの溶解を記載している。この場合も、セルロースの直接溶解のための一連の不利な技術的前提(例えば、高圧)で、技術的な実現化は失敗であると思われる。
【0007】
イオン性液体の1新規群の使用によって、前記の欠点を克服することができた。WO2003/029329は、1つの新規開発で、イオン性液体の使用を記載している。これは、柔軟な溶媒として、特に、水及び他の窒素含有有機塩基が存在しない、セルロースの直接溶解に適する。溶液製造の際に、水の使用を放棄しなければならないことが欠点である。水5質量%以上の混合は、明らかに除外される。イオン性液体は、経済的及び環境技術的な考察から、殆ど完全に回収されるべきであり、生成物固化は優勢的に水性環境で行なわれるので、このことは、今まで技術的変換を妨げてきた著しい限定である。5質量%以下の水含量の蒸留的分離は、まさに、技術的に困難で、著しくエネルギー強度であり、従って経済的に非効果的である。
【0008】
前記の公知技術水準の欠点は、PCT/EP2006/012748から明らかであり、かつ冒頭に記載した公知技術水準に相応する複合発明によって広範に解明される。この公知方法は、経済的及び環境親和性であり、殊に澱粉、セルロース及び澱粉及びセルロースの誘導体の形のバイオポリマーの有利な再生を可能にする。この公知の技術的提案で、高い製造柔軟性は、機械的特性の幅広い範囲と結び付けられる。これによって得られる、殊に湿式紡糸によって得られる紡糸繊維は、例えば、NMMO法によって製造される著しいヒブリル構造を示すリヨセル繊維と異なり、"非フィブリル化"である。更に、PCT/EP2006/012748から公知の紡糸繊維は、ビスコース法により得られる紡糸繊維と異なり、不利な硫黄を含有せず、かつ不所望な銅含量を排除する。保水力及び最高引張力は極めて満足するものである。それから得られる紡糸繊維が満足する高い最高引張力(湿式でも乾式でも)を有するように、この公知の方法を更に開発することが有利であることが判明した。2つの例で、繊維の製造のための凝固浴としてエタノール又はイソプロパノールを使用することが強調される。次に説明する発明はこの凝固剤を考慮しない。
【0009】
従って、本発明は、冒頭で説明した方法を、殊に、それによって得られる紡糸繊維における湿式強度及び乾式強度の比率の最適化が達成されるように更に開発するという課題に基づいている。
【0010】
本発明により、この課題は、プロトン性凝固剤又はプロトン性凝固剤の混合物の表面張力σが、水の表面張力σの99%〜30%であることによって解明され、この際、各々の表面張力は、ASTM D 1590−60により50℃の温度で測定された。
【0011】
本発明の実施で、プロトン性凝固剤又は凝固剤の混合物の表示された表面張力が99%〜35%、殊に99%〜40%である場合が有利であることが実証された。95%〜40%の範囲が、特に有利であると示され得る。個々の例では、後記の有利な延伸処置を考慮しても、80%〜40%の範囲が守られることが有利である。従って、本発明の核は、表面張力σについて前記の範囲条件を満たすプロトン性凝固剤の選択である。前定義の課題は、それを厳守して、所望に値する範囲で解明される。最高値99%を超える場合には、凝固に続き得る延伸処置でも、所望の湿式強度が生じないということになる。40%の最低値を下回る場合には、通例、フィラメント破壊が起こり、かつ繊維は所望の特性プロフィールで得られないということになる。
【0012】
本発明の範囲では、個々の例で、溶液系にプロトン性溶媒を含めることは許容され、かつ有利でもある。その量は、前定義の課題がなお所望の範囲で解明されるようにして、当業者によって調整される。
【0013】
"プロトン性溶媒"の概念は、当業者に自明である。プロトン性溶媒は、C. Reichardt, "Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry", 3rd edition, S. 82-84, 2003, Wiley-VCH, Weinheim, により、電気陰性元素に結合している水素原子を含有する。その典型的な例は、水のほかに、アルコール、アミン(アミンとは、脂肪族及び環状脂肪族アミンが解される)、酸アミド及びカルボン酸である。この際、殊に低級アルコール、例えば、殊にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール及び/又は2−メチル−2−プロパノール、有利にメタノール、エタノール、プロパノール及び/又はブタノールが重要である。更に、特に有利なプロトン性溶媒には、グリコール、アミン、酸アミド及びカルボン酸、有利にグリコール、例えば、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、モノ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール及び/又はグリセリン、及びアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレン−ジアミン、ジ−(2−シアノエチル)アミン、ジ−(2−アミノエチル)アミン、トリ−(2−アミノエチル)アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン及び/又はトリプロパノールアミンが挙げられる。表示されたアルコールは、有利であると見なされる。個々の例で有利であるプロトン性溶媒は、混合して使用することができる。これは、殊にアルコールの場合では、水の混合に当てはまる。
【0014】
本発明の展開のためのイオン性液体の選択に関して、当業者は、実質的に限定されない。従って、本発明の目的に特に好適なイオン性液体は、例えば、次のように示されるべきである:
本発明の意におけるイオン性液体は、有利に、
(A)一般式(I):
[A][Y]n− (I)
[式中、nは、1、2、3又は4を表わし、[A]は、四級アンモニウム陽イオン、オキソニウム陽イオン、スルホニウム陽イオン又はホスホニウム陽イオンを表わし、かつ[Y]n−は、一価、二価、三価又は四価の陰イオンを表わす]の塩;
(B)一般式(II):
[A[A[Y]n− (IIa) 式中n=2;
[A[A[A[Y]n− (IIb) 式中n=3;又は
[A[A[A[A[Y]n− (IIc) 式中n=4;及び
式中、[A、[A、[A及び[Aは、相互に無関係で、[A]について挙げられた基から選択され、かつ[Y]n−は、(A)で挙げられた意味を有する。
【0015】
イオン性液体の陽イオン[A]の生成に好適である化合物は、例えば、DE10202838から公知である。即ち、そのような化合物は、酸素原子、燐原子、硫黄原子又は殊に窒素原子、例えば、少なくとも1個の窒素原子、有利に1〜10個の窒素原子、特に有利に1〜5個、極めて特に有利に1〜3個及び殊に1〜2個の窒素原子を含有し得る。場合により、他のヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子又は燐原子が含有されていてもよい。窒素原子は、イオン性液体の陽イオンにおける陽電荷の好適な担体であり、その後に、この担体から平衡してプロトン又はアルキル基が陰イオンに移行し、電気的に中性の分子を生成させることができる。
【0016】
窒素原子が、イオン性液体の陽イオンにおける陽電荷の担体である場合には、イオン性液体の合成の際に、先ず、例えば、1個のアミン又は窒素複素環の窒素原子での四級化により、1個の陽イオンが生成され得る。四級化は、窒素原子のアルキル化によって行なわれ得る。使用されるアルキル化試薬により、様々な陰イオンとの塩が得られる。所望の陰イオンを四級化で既に生成させることが不可能である場合には、これをもう1つの合成段階で行なうことができる。例えば、アンモニウムハロゲニドから出発して、ハロゲニドをリュイス酸と反応させることができ、この際、ハロゲニド及びリュイス酸から錯陰イオンが生成される。それに対して選択的に、ハロゲニドイオンを所望の陰イオンに交換することが可能である。これは、金属塩の添加によって、生成された金属ハロゲニドの凝固下に、イオン交換体を介して又は強酸によるハロゲニドイオンの置換(ハロゲン化水素酸の遊離下に)によって行われ得る。好適な方法は、例えば、Angew. Chem. 2000, 112, S. 3926-3945及びそこに引用された文献に記載されている。
【0017】
アミン又は窒素複素環中の窒素原子が、例えば、四級化され得る好適なアルキル基は、C〜C18−アルキル、有利にC〜C10−アルキル、特に有利にC〜C−アルキル及び極めて特に有利にメチルである。アルキル基は非置換であるか、又は1個以上の同じ又は異なる置換基を有することができる。
【0018】
少なくとも1個の窒素原子及び場合により1個の酸素原子又は硫黄原子を有する、少なくとも1個の5員〜6員の複素環、殊に1個の5員の複素環を含有する化合物が有利である。同様に、1個、2個又は3個の窒素原子及び1個の硫黄原子又は1個の酸素原子を有する、少なくとも1個の5員〜6員の複素環を含有する化合物が殊に有利であり、2個の窒素原子を有する化合物が極めて特に有利である。更に、芳香族複素環が有利である。
【0019】
特に有利な化合物は、分子量1000g/モル以下、極めて特に有利に500g/モル以下及び殊に300g/モル以下を有する化合物である。
【0020】
更に、式(IIIa)〜(IIIw):
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

の化合物及びこれらの構造を有するオリゴマーから選択される陽イオンが有利である。
【0021】
更に好適な陽イオンは、一般式(IIIx)及び(IIIy):
【化5】

の化合物及びこれらの構造を有するオリゴマーである。
【0022】
前記の式(IIIa)〜(IIIy)において、
基Rは、水素、1〜20個の炭素原子を有する、炭素含有の有機性の飽和又は不飽和の、非環状又は環状の、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族の、非置換又は1〜5個のヘテロ原子又は官能基によって遮断された又は置換された基を表わし、かつ
基R〜Rは、相互に無関係で、水素、1〜20個の炭素原子を有する、スルホ基又は炭素原子含有の有機性の、飽和又は不飽和の、非環状又は環状の、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族の、非置換又は1〜5個のヘテロ原子又は官能基によって遮断された又は置換された基を表わし、この際、前記の式(III)で1個の炭素原子に結合している(かつ1個のヘテロ原子に結合していない)基R〜Rは、付加的にハロゲン又は官能基を表わし得る;又は
列R〜Rからの2個の隣接基は一緒に、1〜30個の炭素原子を有する、2結合性の、炭素含有の有機性の、飽和又は不飽和の、非環状又は環状の、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族の、非置換又は1〜5個のヘテロ原子又は官能基によって遮断された又は置換された基を表わす。
【0023】
基R及び基R〜Rの定義で、ヘテロ原子として、式的に1個の−CH−、1個の−CH=、1個の−C≡又は1個の=C=基に置換し得る、原則的に全てのヘテロ原子が重要である。炭素を含有する基がヘテロ原子を含有する場合には、酸素、窒素、硫黄、燐及び珪素が有利である。有利な基として、殊に−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−N=、−PR’−、−PR’及び−SiR’−が挙げられ、この際、基R’とは、炭素を含有する基の残留部分である。この際、基R〜Rは、これが前記の式(III)で1個の炭素原子に結合している(かつ1個のヘテロ原子に結合していない)場合に、ヘテロ原子を介して直結していてよい。
【0024】
官能基として、1個の炭素原子又は1個のヘテロ原子に結合し得る、原則的に全ての官能基が重要である。好適な例として、−OH(ヒドロキシ)、=O(殊に、カルボニル基として)、−NH(アミノ)、−NHR,−NR、=NH(イミノ)、−COOH(カルボキシ)、−CONH(カルボキシアミド)、−SOH(スルホ)及び−CN(シアノ)、殊に−OH(ヒドロキシ)、=O(殊に、カルボニル基として)、−NH(アミノ)、=NH(イミノ)、−COOH(カルボキシ)、−CONH(カルボキシアミド)、−SOH(スルホ)及び−CN(シアノ)が挙げられる。官能基及びヘテロ原子は、直接隣接していてもよく、従って、数個の隣接原子、例えば、−O−(エーテル)、−S−(チオエーテル)、−COO−(エステル)、−CONH−(二級アミド)又は−CONR’−(三級アミド)を含む組合せ、例えば、ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ、C〜C−アルキルオキシカルボニル又はC〜C−アルキルオキシも包含される。
【0025】
ハロゲンとして、弗素、塩素、臭素及び沃素が挙げられる。
【0026】
基Rは、有利に、
合計して1〜20個の炭素原子を有する、非分枝鎖又は分枝鎖の、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、C〜C−アルコキシカルボニル及び/又はSOHで置換されたC〜C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)−エチル、2−(エトキシカルボニル)−エチル、2−(n−ブトキシ−カルボニル)−エチル、トリフルオルメチル、ジフルオルメチル、フルオルメチル、ペンタフルオルエチル、ヘプタフルオルプロピル、ヘプタフルオルイソプロピル、ノナフルオルブチル、ノナフルオルイソブチル、ウンデシルフルオルペンチル、ウンデシルフルオルイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシル及びプロピルスルホン酸;
グリコール、ブチレングリコール及び1〜100単位及び末端基として1個の水素又は1個のC〜C−アルキルを有するそのオリゴマー、例えば、RO−(CHR−CH−O)−CHR−CH−又はRO−(CHCHCHCHO)−CHCHCHCHO−[式中、R及びRは、有利に、水素、メチル又はエチルを表わし、mは、有利に0〜3を表わす]、殊に3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
ビニル;及び
アリル、
N,N−ジ−C〜C−アルキル−アミノ、例えば、N,N−ジメチルアミノ及びN,N−ジエチルアミノを表わす。
【0027】
基Rは、特に有利に、非分枝鎖及び非置換のC〜C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、アリル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−デシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、殊にメチル、エチル、1−ブチル及び1−オクチル及びCHO−(CHCHO)−CHCH−及びCHCHO−(CHCHO)−CHCH−[式中、mは0〜3である]を表わす。
【0028】
基R〜Rは、相互に無関係で、有利に、
水素;
ハロゲン;
1個の官能基;
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断されたC〜C18−アルキル;
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断されたC〜C18−アルケニル;
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C12−アリール;
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C12−シクロアルキル;
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C12−シクロアルケニル;又は
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された5員〜6員の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する1個の複素環を表わし、又は
2個の隣接基が一緒に、
不飽和、飽和又は芳香族の、場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された、及び場合により、1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断された環を表わす。
【0029】
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C18−アルキルとは、有利にメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−トリデシル、1−テトラデシル、1−ペンタデシル、1−ヘキサデシル、1−ヘプタデシル、1−オクタデシル、シクロペンチルメチル−2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル−2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、ベンジル(フェニルメチル)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル−1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル、p−トリルメチル−1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロルベンジル、2,4−ジクロルベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシ−カルボニル)−エチル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、アセチル、C2(m−a)+(1−b)2a+b[式中、mは1〜30、0≦a≦m及びb=0又は1である](例えば、CF、C、CHCH−C(m−2)2(m−2)+1、C13、C17、C1021、C1225)、クロルメチル−2−クロルエチル、トリクロルメチル−1,1−ジメチル−2−クロルエチル、メトキシメチル−2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、2−メトキシイソプロピル、2−(メトキシカルボニル)−エチル、2−(エトキシカルボニル)−エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)−エチル、ブチルチオメチル−2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、5−ヒドロキシ−3−オキサ−ペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタ−デシル、9−ヒドロキシ−5−オキサ−ノニル、14−ヒドロキシ−5,10−ジオキサ−テトラデシル、5−メトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−メトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサ−ノニル、14−メトキシ−5,10−ジオキサ−テトラデシル、5−エトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−エトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサ−ノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサ−テトラ−デシルが重要である。
【0030】
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断されたC〜C18−アルケニルとは、有利にビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル又はC2(m−a)−(1−b)2a−b[式中、m≦30、0≦a≦m及びb=0又は1である]である。
【0031】
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C12−アリールとは、有利にフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロルフェニル、ジクロルフェニル、トリクロルフェニル、ジフルオルフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソ−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロルナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロルフェニル、4−ブロムフェニル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はt−ブチルチオフェニル又はC(5−a)[式中、0≦a≦5]である。
【0032】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C12−シクロアルキルとは、有利にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロルシクロヘキシル、ジクロルシクロヘキシル、ジクロルシクロペンチル、C2(m−a)−(1−b)2a−b[式中、m≦30、0≦a≦m及びb=0又は1である]及び飽和又は不飽和の二環系、例えば、ノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0033】
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC〜C12−シクロアルケニルとは、有利に3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル又はC2(m−a)−3(1−b)2a−3b[式中、m≦30、0≦a≦m及びb=0又は1である]である。
【0034】
場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された5員〜6員の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する複素環とは、有利にフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル又はジフルオルピリジルである。
【0035】
2個の隣接基が共通して、不飽和、飽和又は芳香族の、場合により、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換された、及び場合により、1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断された1個の環を形成する場合には、有利に1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロペニレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C〜C−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン又は2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンが重要である。
【0036】
前記の基が酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は置換された又は非置換のイミノ基を含有する場合には、酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は限定されない。それは、通例、基中に5個以下、有利に4個以下及び極めて特に有利に3個以下である。
【0037】
前記の基がヘテロ原子を含有する場合には、2個のヘテロ原子の間に、通例少なくとも1個の炭素原子、有利に少なくとも2個の炭素原子が存在する。
【0038】
基R〜Rは、相互に無関係で、特に有利に、
水素;
合計して1〜20個の炭素原子を有する、非分枝鎖又は分枝鎖の、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、C〜C−アルコキシカルボニル及び/又はSOHで置換されたC〜C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)−エチル、2−(エトキシカルボニル)−エチル、2−(n−ブトキシ−カルボニル)−エチル、トリフルオルメチル、ジフルオルメチル、フルオルメチル、ペンタフルオルエチル、ヘプタフルオルプロピル、ヘプタフルオルイソプロピル、ノナフルオルブチル、ノナフルオルイソブチル、ウンデシルフルオルペンチル、ウンデシルフルオルイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシル及びプロピルスルホン酸;
グリコール、ブチレングリコール及び1〜100単位及び末端基として水素又はC〜C−アルキルを有するそのオリゴマー、例えば、RO−(CHR−CH−O)−CHR−CH−又はRO−(CHCHCHCHO)−CHCHCHCHO−[式中、R及びRは、有利に、水素、メチル又はエチルを表わし、nは、有利に0〜3を表わす]、殊に3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
ビニル;及び
アリル、
N,N−ジ−C〜C−アルキル−アミノ、例えば、N,N−ジメチルアミノ及びN,N−ジエチルアミノを表わす。
【0039】
基R〜Rは、相互に無関係で、極めて特に有利に、水素又はC〜C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、フェニル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、クロル及びCHO−(CHCHO)−CHCH−及びCHCHO−(CHCHO)−CHCH−[式中、mは0〜3である]を表わす。
【0040】
ピリジニウムイオン(IIIIa)として、極めて特に有利に、式中、
基R〜Rの1基は、メチル、エチル又はクロルであり、残余基R〜Rは、水素である;
は、ジメチルアミノであり、残余基R、R、R及びRは、水素である;
全ての基R〜Rは、水素である;
は、カルボキシ又はカルボキシアミドであり、残余基R、R、R及びRは、水素である;
基R及びR又はR及びRは、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、残余基R、R、R及びRは、水素である;
及び殊に、式中、
〜Rは、水素である;又は
基R〜Rの1基は、メチル又はエチルであり、残余基R〜Rは、水素であるものを使用する。
【0041】
極めて特に有利なピリジニウムイオン(IIIa)として、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)−ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム及び1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム及び1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムが挙げられる。
【0042】
ピリダジニウムイオン(IIIb)として、極めて特に有利に、式中、
〜Rは、水素である;又は
基R〜Rの1基は、メチル又はエチルであり、残余基R〜Rは、水素であるものを使用する。
【0043】
ピリミジニウムイオン(IIIc)として、極めて特に有利に、式中、
が、水素、メチル又はエチルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルである;又は
は、水素、メチル又はエチルであり、R及びRはメチルであり、かつRは水素であるものを使用する。
【0044】
ピラジニウムイオン(IIId)として、極めて特に有利に、式中、
が、水素、メチル又はエチルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルである;
は、水素、メチル又はエチルであり、R及びRはメチルであり、かつRは水素である;
〜Rはメチルである;又は
〜Rは、メチル水素であるものを使用する。
【0045】
イミダゾリウムイオン(IIIe)として、極めて特に有利に、式中、
は、水素、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、アリル、2−ヒドロキシエチル又は2−シアノエチルであり、R〜Rは、相互に無関係で、水素、メチル又はエチルであるものを使用する。
【0046】
極めて特に有利なイミダゾリウムイオン(IIIe)として、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチル−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム及び1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムが挙げられる。
【0047】
ピラゾリウムイオン(IIIf)、(IIIg)又は(IIIg’)として、極めて特に有利に、式中、Rが、水素、メチル又はエチルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0048】
ピラゾリウムイオン(IIIh)として、極めて特に有利に、式中、R〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0049】
1−ピラゾリウムイオン(IIIi)として、極めて特に有利に、式中、R〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0050】
2−ピラゾリウムイオン(IIIj)又は(IIIj’)として、極めて特に有利に、式中、Rが、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0051】
3−ピラゾリウムイオン(IIIk)又は(IIIk’)として、極めて特に有利に、式中、R及びRが、相互に無関係で、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0052】
イミダゾリニウムイオン(IIIl)として、極めて特に有利に、式中、R及びRが、相互に無関係で、水素、メチル、エチル、1−ブチル又はフェニルであり、R及びRが、相互に無関係で、水素、メチル又はエチルであり、かつR及びRは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0053】
イミダゾリニウムイオン(IIIm)又は(IIIm’)として、極めて特に有利に、式中、R及びRが、相互に無関係で、水素、メチル又はエチルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0054】
イミダゾリニウムイオン(IIIn)又は(IIIn’)として、極めて特に有利に、式中、R〜Rが、相互に無関係で、水素、メチル又はエチルであり、かつR〜Rは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0055】
チアゾリウムイオン(IIIo)又は(IIIo’)及びオキサゾリウムイオン(IIIp)として、極めて特に有利に、式中、Rが、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、かつR及びRは、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0056】
1,2,4−トリアゾリウムイオン(IIIq)、(IIIq’)又は(IIIq’’)として、極めて特に有利に、式中、R及びRが、相互に無関係で、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、かつRは、水素、メチル又はフェニルであるものを使用する。
【0057】
1,2,3−トリアゾリウムイオン(IIIr)、(IIIr’)又は(IIIr’’)として、極めて特に有利に、式中、Rが、水素、メチル又はエチルであり、かつR及びRは、相互に無関係で、水素又はメチルであり、又はR及びRは一緒に、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであるものを使用する。
【0058】
ピロリジニウムイオン(IIIs)として、極めて特に有利に、式中、Rが水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R〜Rが相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0059】
イミダゾリジニウムイオン(IIIt)として、極めて特に有利に、式中、R及びRが、相互に無関係で、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、かつR及びR並びにR〜Rが、相互に無関係で、水素又はメチルであるものを使用する。
【0060】
アンモニウムイオン(IIIu)として、極めて特に有利に、式中、R〜Rが、相互に無関係で、C〜C18−アルキルである;又はR及びRが一緒に、1,5−ペンチレン又は3−オキサ−1,5−ペンチレンであり、かつRはC〜C18−アルキル、2−ヒドロキシエチル又は2−シアノエチルであるものを使用する。
【0061】
極めて特に有利なアンモニウムイオン(IIIu)として、メチル−トリ−(1−ブチル)−アンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム及びN,N−ジメチルモルホリニウムが挙げられる。
【0062】
一般式(IIIu)の四級アンモニウムイオンが、前記の基Rでの四級化によって誘導される、三級アミンの例は、ジエチル−n−ブチルアミン、ジエチル−t−ブチルアミン、ジエチル−n−ペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル−(2−エチルヘキシル)−アミン、ジ−n−プロピルブチルアミン、ジ−n−プロピル−n−ペンチル−アミン、ジ−n−プロピルヘキシルアミン、ジ−n−プロピルオクチルアミン、ジ−n−プロピル−(2−エチルヘキシル)−アミン、ジ−イソプロピルエチルアミン、ジ−イソ−プロピル−n−プロピルアミン、ジ−イソプロピル−ブチルアミン、ジ−イソ−プロピル−ペンチルアミン、ジ−イソ−プロピルヘキシルアミン、ジ−イソプロピルイソオクチルアミン、ジ−イソ−プロピル−(2−エチルヘキシル)−アミン、ジ−n−ブチルエチルアミン、ジ−n−ブチル−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、ジ−n−ブチルヘキシルアミン、ジ−n−ブチルオクチルアミン、ジ−n−ブチル−(2−エチルヘキシル)−アミン、N−n−ブチル−ピロリジン、N−s−ブチルピロリジン、N−t−ブチルピロリジン、N−n−ペンチルピロリジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、N−n−プロピル−ピペリジン、N−イソ−プロピルピペリジン、N−n−ブチル−ピペリジン、N−s−ブチルピペリジン、N−t−ブチルピペリジン、N−n−ペンチルピペリジン、N−n−ブチルモルホリン、N−s−ブチルモルホリン、N−t−ブチルモルホリン、N−n−ペンチルモルホリン、N−ベンジル−N−エチルアニリン、N−ベンジル−N−n−プロピルアニリン、N−ベンジル−N−イソ−プロピルアニリン、N−ベンジル−N−n−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ−n−ブチル−p−トルイジン、ジエチルベンジルアミン、ジ−n−プロピルベンジルアミン、ジ−n−ブチル−ベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ−n−プロピルフェニルアミン及びジ−n−ブチルフェニルアミンである。
【0063】
有利な三級アミンは、ジ−イソ−プロピルエチルアミン、ジエチル−t−ブチルアミン、ジ−イソ−プロピルブチルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン及びペンチル異性体からの三級アミンである。
【0064】
特に有利な三級アミンは、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン及びペンチル異性体からのアミンである。3個の同一の基を有するもう1種の有利なアミンは、トリアリルアミンである。
【0065】
グアニジニウムイオン(IIIv)として、極めて特に有利に、式中、R〜Rがメチルであるものを使用する。
【0066】
極めて特に有利なグアニジニウムイオン(IIIv)として、N,N,N’,N’,N",N"−ヘキサメチルグアニジニウムが挙げられる。
【0067】
コリニウムイオン(IIIw)として、極めて特に有利に、式中、
及びRが、相互に無関係で、メチル、エチル、1−ブチル又は1−オクチルであり、かつRが、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOH又は−PO(OH)である;
が、メチル、エチル、1−ブチル又は1−オクチルであり、かつRが、−CH−CH−OR−基であり、かつR及びRが、相互に無関係で、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOH又は−PO(OH)である;又は
が、−CH−CH−OR−基であり、Rが、−CH−CH−OR−基であり、かつR〜Rが、相互に無関係で、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOH又は−PO(OH)であるものを使用する。
【0068】
特に有利なコリニウムイオン(IIIw)は、式中のRが、水素、メチル、エチル、アセチル、5−メトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−メトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサ−ノニル、14−メトキシ−5,10−オキサ−テトラデシル、5−エトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−エトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサ−ノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサ−テトラデシルから選択されるものである。
【0069】
極めて特に有利なコリニウムイオン(IIIw)として、トリメチル−2−ヒドロキシ−エチルアンモニウム、ジメチル−ビス−2−ヒドロキシエチルアンモニウム又はメチル−トリス−2−ヒドロキシエチル−アンモニウムが挙げられる。
【0070】
ホスホニウムイオン(IIIx)として、極めて特に有利に、式中、R〜Rが、相互に無関係で、C〜C18−アルキル、殊にブチル、イソブチル、1−ヘキシル又は1−オクチルであるものを使用する。
【0071】
前記の複素環陽イオンとは、ピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン及びイミダゾリニウムイオン及びイミダゾリニウムイオンが有利である。更に、アンモニウムイオン及びコリニウムイオンが有利である。
【0072】
殊に、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニクム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−ピリジニウム、1−(1−オクチル)−ピリジニウム、1−(1−ドデシル)−ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチル−ピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム及び1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ジメチル−ビス−2−ヒドロキシエチルアンモニウム及びメチル−トリス−2−ヒドロキシエチルアンモニウムが有利である。
【0073】
陰イオンとして、原則的に全ての陰イオンが使用可能である。
【0074】
イオン性液体の陰イオン[Y]n−は、例えば、次にものから選択される:
次の式のハロゲニド及びハロゲン含有化合物の群:F、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、(CFSO、CFCO、CClCO、CN、SCN、OCN
次の一般式のスルフェート、スルフィット及びスルホネートの群:SO2−、HSO、SO2−、HSO、ROSO、RSO
次の一般式のホスフェートの群:PO3−、HPO2−、HPO、RPO2−、HRPO、RPO
次の一般式のホスホネート及びホスフィネートの群:RHPO、RPO、RPO
次の一般式のホスフィットの群:PO3−、HPO2−、HPO、RPO2−、RHPO、RPO
次の一般式のホスホニット及びホスフィニットの群:
PO、RHPO、RPO、RHPO
次の一般式のカルボン酸の群:
COO
次の一般式のボレートの群:
BO3−、HBO2−、HBO、RBO、RHBO、RBO2−、B(OR)(OR)(OR)(OR、B(HSO、B(RSO
次の一般式のボロネートの群:
BO2−、RBO
次の一般式のシリケート及び珪酸エステルの群:
SiO4−、HSiO3−、HSiO2−、HSiO、RSiO3−、RSiO2−、RSiO、HRSiO2−、HSiO、HRSiO
次の一般式のアルキルシラン塩又はアリールシラン塩の群:
SiO3−、RSiO2−、RSiO、RSiO、RSiO、RSiO2−
次の一般式のカルボン酸イミド、ビス(スルホニル)イミド及びスルホニルイミドの群:
【化6】

次の一般式のメチドの群:
【化7】

【0075】
この際、R、R、R及びRは、相互に無関係で、各々、水素、C〜C30−アルキル、場合により1個以上の非隣接酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断されたC〜C18−アルキル、C〜C14−アリール、C〜C12−シクロアルキル又は5員〜6員の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する複素環を表わし、この際、そのうちの2基が共通して、不飽和、飽和又は芳香族性の、場合により1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の非置換又は置換されたイミノ基によって遮断された環を形成することができ、この際、前記の基は、各々、付加的に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されていてよい。
【0076】
この際、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって場合により置換されたC〜C18−アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル−1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロルベンジル、2,4−ジクロルベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロルメチル、トリクロルメチル、トリフルオルメチル−1,1−ジメチル−2−クロルエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル−2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオルエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル又は6−エトキシヘキシルである。
【0077】
場合により、1個以上の非隣接酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は非置換のイミノ基によって遮断されたC〜C18−アルキルは、例えば、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0078】
2個の基が1個の環を形成する場合には、これらの基は共通して、例えば、縮合構成要素として、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロペニレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C〜C−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン又は2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを表わし得る。
【0079】
非隣接酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、原則的に限定されていない、又は基又は環構成要素の大きさによって自動的に限定される。それは、各々の基中で、通例5個以下、有利に4個以下又は極めて特に有利に3個以下である。更に、2個のヘテロ原子の間に、通例少なくとも1個、有利に少なくとも2個の炭素原子が存在する。
【0080】
置換された及び非置換のイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソ−プロピルイミノ、n−ブチルイミノ又はt−ブチルイミノであってよい。
【0081】
"官能基"という概念は、例えば、次のものが解される:カルボキシ、カルボキシアミド、ヒドロキシ、ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ、C〜C−アルキルオキシカルボニル、シアノ又はC〜C−アルコキシ。この際、C〜C−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル又はt−ブチルである。
【0082】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって場合により置換されたC〜C14−アリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロルフェニル、ジクロルフェニル、トリクロルフェニル、ジフルオルフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソ−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロルナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロルフェニル、4−ブロムフェニル、2−ニトロフェニル又は4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルである。
【0083】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロルシクロヘキシル、ジクロルシクロヘキシル、ジクロルシクロペンチル及び飽和又は不飽和の二環系、例えば、ノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0084】
5員〜6員環の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する複素環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオルピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はt−ブチルチオフェニルである。
【0085】
個々の例で、様々な前記のイオン性液体の合目的に調整された混合物の使用を有利に行なうこともできることは当然のことである。本発明の範囲で、当該塩でのイミダゾリウム陽イオンを有するイオン性液体が特に有利であることが示された。この際、イミダゾリウム環の1位及び3位又は1位、2位及び3位が、(C〜C)−アルキル基で置換されている場合が極めて特に有利である。イミダゾリウム陽イオンが、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム陽イオン、1,3−ジメチルイミダゾリウム陽イオン又は1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム陽イオンである場合が、特に有利であると実証された。
【0086】
前記のイオン性液体の陽イオンは、相応する陰イオンの選択に関して、実質的には限定されない。各々の陽イオンに対する陰イオンが、ハロゲニド陰イオン、ペルクロレート陰イオン、プソイドハロゲニド陰イオン、スルフェート陰イオン、殊にヒドロゲンスルフェート陰イオン、スルフィット陰イオン、スルホネート陰イオン、ホスフェート陰イオン、アルキルホスフェート陰イオン、殊にモノアルキルホスフェート陰イオン及び/又はジアルキルホスフェート陰イオン(有利なアルキル基、メチル基、エチル基又はプロピル基)及び/又はカルボキシレート陰イオン、殊にC〜C−カルボキシレート陰イオン(有利にアセテート陰イオン又はプロピオネート陰イオン)である場合が特に有利である。ハロゲニドイオンは、クロリドイオン、ブロミドイオン及び/又はヨージドイオンとして、プソイドハロゲニドイオンは、シアニドイオン、チオシアネートイオン、シアニドイオン及び/又はシアネートイオンとして、及びC〜C−カルボキシレートイオンは、ホルミエートイオン、アセテートイオン、プロピオネートイオン、ブチレートイオン、ヘキサノエートイオン、マレエートイオン、フマレートイオン、オキサレートイオン、ラクテートイオン、ピルベートイオン、メタンスルホネートイオン、トシレートイオン及び/又はアルカンスルフェートイオンとして存在する場合が特に有利である。
【0087】
分類上、更に次の有利な陰イオンを表示する:
−COO、R−SO、RPO(ここで、R及びRは、前記のものである)、それには、殊に、式(CHO)PO及び(CO)PO及びベンゾエート陰イオン、有利に(CO)PO及びベンゾエート陰イオンが挙げられる。
【0088】
発明の各々の使用例に特に好適なイオン性液体を使用することは、当業者には容易に可能である。特に有利なイオン性液体は次のものである:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート、1,3−ジメチルイミダゾリウム−アセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−クロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ジエチルホスフェート、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム−ジメチルホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ホルミエート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−オクタノエート、1,3−ジエチルイミダゾリウム−アセテート及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−プロピオネート。この内、次のものが極めて特に有利である:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート、1,3−ジメチルイミダゾリウム−アセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ジエチルホスフェート、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム−ジメチルホスフェート、1,3−ジエチルイミダゾリウムアセテート及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−プロピオネート。
【0089】
殊に各々の陰イオン及び陽イオン部分に関しても、各々の使用目的に特に好適なイオン性液体を選択する種々の可能性があることは容易に明白である。前記の多数の可能性には、次の様々な陰イオン、陽イオン及び陰イオン対/陽イオン対が有利であることが判明される:
【0090】
陰イオン:RCOO、ここで、Rは、有利にアルキル、殊にC〜C−アルキル、及び極めて特に有利にC〜C−アルキル又はフェニル;ホスフェート、有利にジアルキルホスフェート、殊にジ−(C〜C−アルキル)ホスフェート、ここで、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート及びジ−n−プロピルホスフェートが特に有利である;ホスホネート、殊にO−アルキル−アルキルホスホネート、ここで、O−メチル−メチルホスホネート、O−メチル−エチルホスホネート、O−エチル−メチルホスホネート及びO−エチル−エチルホスホネートが特に有利である。
【0091】
陽イオン:既に前記した式IIIeの化合物、殊に1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMIM)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMIM)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム(EMMIM)及び1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム(BMMIM);前記の式IIIaの化合物、殊にN−アルキル−ピリジニウム、特に有利にN−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−メチル−2−メチルピリジニウム、N−メチル−3−メチルピリジニウム、N−エチル−2−メチルピリジニウム及びN−エチル−3−メチルピリジニウム;前記の式IIIfの化合物、殊に1,2,4−トリメチルピラゾリウム。
【0092】
特に有利な組合せ陰イオン+陽イオンについて、前記の可能性のうちで、次のものが挙げられる:RCOO+前記の式IIIeの化合物及びホスフェート+前記の式IIIeの化合物。
【0093】
更に、次の説明は、本発明の有利な実施態様、殊に詳細に前記した化合物に関することが言及される。個々の例で、特殊なイオン性液体に関連すべき場合には、この表現は他の記載されたイオン性液体にも同様に当てはまることが当業者に容易に明らかである。
【0094】
前記の陰イオンの特別な利点の可能な1つの根拠は、これらが特に強い水素結合性受容体であり、かつこのことが良好な溶解結果の1つの根拠であることにある。全てのこれらの陰イオンは、水素結合性受容体として公知であり、かつ拡大された水素結合網状結合に関与する。この際、個々の例において、溶解されかつ反応されるべき各々選択される炭水化物にとって、どの陰イオンが特に好適であるかを、簡単な試験で調べることは当業者に任せられる。
【0095】
前記の説明が示すように、本発明は、陰イオン性液体の選択において限定されない。イオン性液体がアミジニウム構造を有する陽イオンを含有することは、有利であると明らかにされ得る。この際、陽イオンは、置換された又は非置換のイミダゾリウム陽イオンであることが有利である。イオン性液体のイミダゾリウム陽イオンは、有利に、1位及び3位で、又は1位、2位及び3位において、(C〜C)−アルキル基で置換されている。イミダゾリウム陽イオンが、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム陽イオン、1,3−ジメチルイミダゾリウム陽イオン、1,3−ジエチルイミダゾリウム陽イオン又は1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム陽イオンである場合が特に有利である。
【0096】
イオン性液体の陰イオンが、ハロゲニドイオン、ペルクロレートイオン、プソイドハロゲニドイオン、スルフェートイオン、ホスフェートイオン、アルキルホスフェートイオン、殊にC〜C−カルボキシレートイオンである場合が有利である。更に、ハロゲニドイオンは、クロリドイオン、ブロミドイオン及び/又はヨージドイオンとして、プソイドハロゲニドイオンは、シアニドイオン、チオシアネートイオン及び/又はシアネートイオンとして、及びC〜C−カルボキシレートイオンは、ホルミエートイオン、アセテートイオン、プロピオネートイオン、ブチレートイオン、ヘキサノエートイオン、マレエートイオン、フマレートイオン、オキサレートイオン、ラクテートイオン及び/又はピルベートイオンとして存在する場合が有利である。次のイオン性液体が特に有利であると実証された:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート、1,3−ジメチルイミダゾリウム−アセテート、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム−クロリド、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム−アセテート、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム−ジエチルホスフェート、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム−ジメチルホスフェート、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム−ホルミエート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−オクタノエート、1,3−ジ−エチルイミダゾリウム−アセテート、1,3−ジエチルイミダゾリウム−クロリド及び/又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−プロピオネート。
【0097】
本発明の目的のために、融解イオン性液体が、融点−100〜+150℃、殊に−30〜+100℃を有する場合が有利であり、この際、−30〜+80℃の範囲が特に有利である。100℃以上の融点のイオン性液体は、その中に溶解したバイオポリマーの熱分解が妨げられ得る場合に殊に使用され得る。多数の例では、この最高値を超えないことが有利である。前記の溶液系は、任意のバイオポリマーをその中に溶解させるために、かつその中で使用される凝固剤又は凝固剤混合物の選択に関して、本発明による表面表力について前記で定義された範囲条件を厳守する凝固媒体中で再生させるために用いられる。
【0098】
バイオポリマーは、炭水化物の形で、澱粉、セルロース及び/又は澱粉及びセルロースの誘導体として存在することが有利である。誘導体はエステル又はエーテルである場合が有利である。エステルとは、セルロースアセテート及びセルロースブチレートが重要であり、かつエーテルとは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが重要である。
【0099】
溶解すべきバイオポリマーの定量化では、本発明は、実質的な限定を受けない。澱粉、セルロース及び/又はその誘導体は、溶液系中で、有利に1〜35質量%の量で、殊に約5〜20質量%の量で使用される。約1質量%の値を超える場合には、所望に値する経済性は生じない。
【0100】
再生バイオポリマーの求める品質に関して、澱粉、セルロース及び/又はその誘導体を広範に溶液系中に溶解することが有利である。このことは有利な品質を助成する。従って、溶液系中の溶解を約20〜150℃で、殊に約30〜120℃で行なう場合が有利である。
【0101】
示された溶液系中に溶解されたバイオポリマーを凝固媒体中で炭水化物形で求める再生では、溶液系の粘度を照準的に調整することが有利である。この溶液系の零粘度(回転粘度計で測定した)は、有利に約5〜150000Pa.s、殊に約10〜100000Pa.sである。更に、零粘度が約5〜10000Pa.s、殊に約10〜2500Pa.sである場合が有利であり、この際、零粘度のこの範囲で、例えば、押出機中での溶液系の加工が特に有利である。
【0102】
本発明による溶液系によるセルロース又はその誘導体の再生には、これらが平均重合度約200〜3500、殊に約300〜1500を有する場合が重要である。より高い分子のセルロース(DP800以上)の加工によって、有利な生成物特性、例えば、強度、弾性率及び剛性が達成される。
【0103】
再生すべきバイオポリマーを含有する融解イオン性液体をベースとする前記の溶液系の製法を特徴とすることは、確かに本発明の構成要素ではない。相応する方法は、既にPCT/EP2006/012748から明らかである。それにもかかわらず、本発明のより良好な実施のために、どの方法で、特に好適でかつバイオポリマーを含有する溶液系が製造され得るかが示されるべきである:それに従って、炭水化物、殊にセルロース、澱粉及び/又はそれらの誘導体の形のバイオポリマーを、前記で定義したような融解イオン性液体と、溶解が必要な範囲で実施されるまで、殊に完全となるまで混合させる。特に定量的な実施態様のために、前記の実施が参照される。
【0104】
バイオポリマーを含有する溶液系の出発成分の混合は、有利に、高剪断力の作用下に、殊に押出機により行われる。この際、二重スクリュー押出機が特に有利であると実証された。溶解は、混合の際に、マイクロ波を同時に照射することによって広範に助成され、殊に超音波が有効である。バイオポリマーの溶解は、溶液系の温度の上昇によって助成される。高められた温度は、有利に約20〜150℃、殊に約30〜120℃である。
【0105】
任意のバイオポリマーを本発明の範囲で有利に処理し、又は継続加工し、かつ反応させ得ることは既に前記された。
【0106】
本発明による方法は、セルロース出発物質の再生処理に特に有利である。セルロース出発物質は、有利に繊維状のセルロース、殊に木材パルプ、リンター、紙として、及び/又は他の天然セルロース繊維の形で存在する。天然セルロース繊維とは、麻繊維、椰子繊維、ジュート繊維、竹繊維及び/又はサイザル繊維が有利であると示し得る。再生バイオポリマー、殊に再生セルロースの求められる最適品質に関して、1種以上の前記の有利な処置を施すこと、例えば、脱ガスを行なうことばかりでなく、例えば、場合により存在する不溶解の部分、しかし又場合により形成されるミクロゲルを排除するために、バイオポリマーを含有する溶液系を、継続加工の前に、殊に加圧下に又は真空下にフィルターを介して濾過することが有利であると実証された。これは、"完全な溶解"を求めるべきであるということを意味する。この完全な溶解は、バイオポリマーの溶液を、25メッシュ以上のメッシュ幅のフィルター布で濾過させることによって得られ、濾過溶液は澄明であり、かつ流動性は構造粘性であり、従って、これはその後にゲル部分を含有せず、従って技術的に特に有利に継続加工可能である。ミクロゲルの量が2質量%以下である場合が有利である。
【0107】
求める方法生成物の品質改善のために、既に前記したように、溶液系を継続加工の前にその中に含まれるバイオポリマー、殊にセルロースの再生のために脱ガスすることが有利であり、このことは、攪拌下に及び/又は真空下に有利に実施される。これに関する特別な範囲条件はない。
【0108】
バイオポリマー、殊にセルロースの再生での本発明による考えを最適にするために、溶解バイオポリマーを有する溶液系の粘度に注意を払うことが有利である。即ち、例えば、セルロースを含有する溶液系が高い粘度を有する場合が有利である。本発明の範囲で、この際、零粘度(回転粘度計で測定した)を約5〜150000Pa.s,殊に10〜100000Pa.sに調整することが有利であり、この際、100〜90000の範囲が特に有利である。溶液系中のセルロース含量は、有利に約5〜30質量%であり、一方で平均重合度は殊に3500までであり、かつ極めて特に有利に約300〜1500であるべきである。個々の例では、最低値を約350に、かつ最高値を約1500に調整することが特に有利である。セルロースについての前記の言明は、このことは強調されるべきであるが、殊にエステル及びエーテルの形での誘導体にも同様に当てはまる。
【0109】
本発明の効果的な実現には、特殊な添加剤を強制的に包含させることは確かに不必要である。しかし、殊にセルロースのフィラメント又はステープル繊維の形で取得した沈殿物質の特性の調整のために、添加剤を添加することができる。これは本発明による方法の様々な場合で使用され得る。即ち、バイオポリマーを含有する溶液液に、凝固媒体に及び/又は後続の段階で、例えば、変性媒体中で使用され得る。添加剤とは、例えば、マイクロカプセル、孔形成剤、軟化剤、つや消し剤、防炎剤、抗菌剤、湿潤剤、疎水化剤、静電防止剤及び/又は色料であってよい。更に、アルコール、アルコールの混合物、1種以上のアルコール及び水を含む混合物が凝固媒体中に含有されている場合が有利であり、この際、その量は、本発明目的が達成されるように測定されるべきである。添加剤については、更に、それらが考慮される限り、有利に凝固媒体、溶液系及び/又は次の変性浴中で可溶であり、及び/又は微細に拡散可能であることが詳述される。これは、方法生成物がその均一性において妨げられないことに結びつく。
【0110】
バイオポリマーを含有する溶液系は、加工前に、約0℃以上、殊に約10℃以上の温度に、及び/又は凝固媒体は、約20℃以上の温度に調整されることが有利である。この際、バイオポリマーを含有する溶液系が加工前に、殊に約80〜120℃に加熱されること、又は凝固媒体は、殊に約40〜90℃の温度に調整されることが特に有利である。この処置によって、溶液の有利な粘度が調整され、かつ溶媒が有利に洗い出されるという利点が生じる。
【0111】
本発明により、バイオポリマーを溶解して含有する、イオン性液体をベースとする溶液系は、その後に、再生加工に用いられ、その際、澱粉、セルロース及び澱粉及びセルロースの誘導体の形でのバイオポリマーが特に有利となる。
【0112】
前記の方法で製造された、再生すべきバイオポリマーを含有する溶液系は、次いで、慣用法で、凝固媒体中に移され、その中にはバイオポリマーを溶解せずかつ融解イオン性液体と混合可能であるプロトン性凝固剤又はプロトン性凝固剤の混合物が存在する。プロトン性凝固剤は、表面張力についての本発明によるパラメーターに基づいて、前以て選択されている。
【0113】
プロトン性凝固剤の選択に関しては、表面張力に関する選択パラメーターの注意だけが当てはまる。この際、プロトン性溶媒が重要である。次の凝固剤が特に有利であると実証された:グリセリン、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオール。この凝固剤の混合物も重要であり、この際、本発明目的の達成がそれによって影響されない限り、それと水との混合物も使用可能である。
【0114】
後記の例の後に、表XIが続く。この中に、前記のプロトン性溶媒又は凝固剤及び本発明により好適なこの種類の更なる試剤が、ポジティブリストに包含されている。更に、表XIのネガティブリストは、プロトン性溶媒を包含する。ネガティブリストは、本発明による課題の解明には適していない非プロトン性溶媒も表示している。
【0115】
前記のように、本発明による考えが、相対的表面張力値σについて表示した範囲条件を守るプロトン性凝固剤が凝固剤中に存在していることに基づいていることが重要である。従って、非プロトン性凝固剤、例えば、アセトンの添加は、有利に回避されるべきである。更に、非プロトン性溶媒は、イオン性液体中のセルロースの溶液から、セルロースを凝固させないことが実験で示された。従って、凝固浴中のプロトン性溶媒への非プロトン性溶媒の添加は、凝固には必要ない又は有利ではない。更に、本発明の商業的利用の範囲で、非プロトン性溶媒の使用は、再循環における明らかにより高い経費を意味する。従って、非プロトン性溶媒の使用は、凝固浴への添加としては有利ではない。非拘束的規則として、非プロトン性溶媒が凝固媒体中に存在する場合に、その量はプロトン性凝固剤又は非プロトン性溶媒を含む合計に対して、できる限り15質量%以下、有利に10質量%以下及び殊に5質量%以下であることが示される。
【0116】
凝固媒体中のプロトン性凝固剤の濃度に絶対的な限定はないが、凝固媒体中のプロトン性凝固剤は、35〜100質量%、殊に40〜90質量%の量で使用されることが有利である。他のプロトン性溶媒及び/又は添加剤等の包含の可能性については既に前記され、それに引用される。
【0117】
本発明による方法の更なる経過で、バイオポリマーを含有する溶液系は、その後に凝固媒体中で沈殿する。ここで、凝固媒体の本来の成分が、溶媒の成分、殊にイオン性液体と共に含有されているが、本来溶液系中に溶解したバイオポリマーが凝固されることによって、凝固媒体中に変化した状況がこの時生じる。
【0118】
本発明による方法のこの段階で、一方で再生バイオポリマーが取り出され、他方でイオン性液体及び沈殿剤を含有する関連の混合物が、イオン性液体を回収するために、もう1回加工される。イオン性液体は、凝固媒体から、比較的問題なく、即ち、例えば、1,2−プロパンジオールの形で、揮発性プロトン性凝固剤の蒸発、ストリップ、穿孔又は逆浸透によって回収され得る。更に、イオン性液体を晶出させ、かつこの方法で液状の凝固剤から分離させる可能性がある。この際、プロトン性凝固剤は完全には除去される必要はない。完全な除去は経費がかかり、不経済である。従って、本発明は、一定割合のプロトン性凝固剤が、イオン性液体と一緒に、本発明による方法の循環に戻り又は再生バイオポリマーの溶解のために再び用いられることを可能にする。
【0119】
沈殿したバイオポリマー成形物を含有する前記の凝固媒体から、この成形物、例えば、繊維又はシート状物を様々な方法で分離することができる。これは、例えば、濾過、遠心分離又は他の好適な手段で行われ得る。繊維が生じる場合には、これを公知方法で凝固媒体から取り出す。
【0120】
個々の例で、凝固媒体から取り出した、殊にセルロース製の繊維又はフィラメントを、次の延伸浴で又は後続の加熱ダクトでも延伸させる場合が有利である。この際、延伸は、有利に少なくとも10%まで、殊に少なくとも50%まで行なわれる。本発明は、繊維又はフィラメントを少なくとも70%まで延伸するという有利な可能性を示す。この際、延伸浴は、有利に溶媒、殊にグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールの形のプロトン溶媒に基づいている。
【0121】
従って、本発明は多様に態様されていて、この態様に関しては、前記で広範に示された。この際、当然、バイオポリマーの再生後に生じる、殊に再生セルロース繊維の形の方法生成物も保護されるべきである。
【0122】
従って、本発明の目的は、湿式フィブリル化等級2以下を有する、殊に非フィブリル化である再生セルロースをベースとする紡糸繊維でもある。これは、殊に湿式強度対乾式強度の比率が、少なくとも0.55、殊に少なくとも約0.6であることを特徴とする。この値は、少なくとも約0.7であることが極めて特に有利である。更に、この紡糸繊維は、硫黄含量1mg/g以下、殊に0.75mg/g以下、及び銅含量20μg/g以下、殊に15μg/g以下を特徴とする。この際、硫黄含量は0.5mg/g以下、殊に0.25mg/g以下、及び銅含量10μg/g以下、殊に5μg/g以下であることが有利である。本発明による紡糸繊維の硫黄含量及び銅含量についての表示は、殊に凝固浴から出て、かつ洗浄されない紡糸繊維に関連する。
【0123】
本発明による紡糸繊維の特別な利点は、それが製造条件的に、N−オキシド、例えば、公知技術水準で公知のアミン−オキシド、例えば、N−ジメチル−N−ジエチル−アミン又はその他の複素環アミンのオキシド、例えば、ピリジン−オキシド、殊にN−メチル−モルホリン−N−オキシド−モノヒドレート(NMMO)を含有しないことにある。
【0124】
更に最終的に、本発明による紡糸繊維は、非フィブリル化特性を調整するために、更なる処置を必要としないことに言及することができる。殊にこれは、その後に架橋結合化学薬品によって開発された架橋結合を示さない。そのような架橋結合が存在するかどうかを確認することは、当業者には容易に可能である。これは、例えば、IR−分光器検査により行なうことができる。
【0125】
本発明による紡糸繊維は、特に有利な最高引張力、即ち、湿式最高引張強度又は乾式最高引張強度及び伸張度を示す。DIN EN ISO 2062による最高引張強度は、少なくとも6cN/tex、殊に少なくとも10cN/texである。DIN EN ISO 2062による伸張度は、有利に少なくとも4%、殊に少なくとも6%である。
【0126】
ウェット−オン−ウェット紡糸(Nass-in-Nassverspinnen)により得られる本発明による紡糸繊維は、既に説明したように、それが"非フィブリル化"であることを特徴とする。これは、更なる説明を要する:NMMO法によって製造されたリヨセル繊維は、円形〜卵円形の繊維横断面を有し、ビスコース繊維及びモーダル繊維に比べて、繊維横断面上で広範に均一である卓越したフィブリル構造を有する。0.5〜1.0μmの範囲の直径を有するマクロフィブリルが存在し、これは顕著なかつ工業上殆ど妨げになる湿潤フィブリル化及びピリングに関連する。フィブリル化の分類は、次に記載したフィブリル化試験により実施され得る:
【0127】
フィブリル化等級の評価:試験のために、長さ2.5±0.2mmの8本のフィラメントを用い、これを接着テープでポリスチロール製のU形枠上に貼り付ける。8本のフィラメントを枠上に貼り付けた後に、これを商慣習のエポキシド樹脂接着剤で固定する。この枠を、高さ50mm及び直径25mmの20ml入りガラス製筒状容器に、蒸留水4mlと共に入れ、引き続き、100個の二酸化ジルコニウム球(直径:1mm)を添加する。フィブリル化の発現のための好適な振動運動が実施可能である、装置の処理容器中に試料容器を入れる。このために、染色装置、例えば、Fa. Mathis GmbHのLabomatを使用することができる。
【0128】
装置中の処理時間は、容器の回転数50U/分及び温度30℃で3時間である。
【0129】
引き続き、本来の繊維から突出したフィブリルの顕微鏡評価を行ない、この際、枠をスライド上に移し、フィラメントをメスで枠から分離させ、そうしてこれをスライド上に平行配置で置いた。フィラメントを脱ミネラル水中に入れ、デッキガラスで覆う。評価は、位相差で、単一フィブリルの計数によって行なわれる。フィブリル化等級の評価は次の図式により行なわれる:0〜5個数えられたフィブリル=等級1;6〜10個数えられたフィブリル=等級2;11〜20個数えられたフィブリル=等級3;21〜40個数えられたフィブリル=等級4;41〜80個数えられたフィブリル=等級5;>80数えられたフィブリル=等級6.
【0130】
Rev. Prog. Color. 35(2005), 59に、K. Bredereck及びF. Hermanutzによって引用された湿式フィブリル化等級により、NMMO法により製造されたセルロース繊維は、等級4又は5を示し、一方で、標準ビスコース及びモーダルは等級1を示し、従って、非フィブリル化と段階付けできる。NMMOから得られる繊維の強い湿式フィブリル化は、織物仕上げ過程、例えば、染色における重い欠点であり、加工中の変更作業過程及び機械技術的追加処置を強要する。NMMO法により得られるフィブリル化の無いセルロース繊維の製造は、紡糸法(エアギャップを介する紡糸)の特殊性に基づき不可能であるばかりでなく、特殊な繊維後処理によってしか達成できない。NMMO溶液から紡糸されるいわゆるリヨセル繊維のフィブリル化傾向を回避するために、繊維の後処理において、公知技術水準によりセルロース鎖を架橋結合させる反応性物質を添加する。従って、フィブリル化の減少は、全く未乾燥の繊維の後処理での化学的架橋結合によって達成されることができ、変性化リヨセル繊維型Lenzing Lyocell LF (C. Rohrer, P. Retzel and H. Firgo in Man-made Fiber Yearbook (Chem. Fibers Intern.) 2001, 8(2001) 26 及びTencel A100 (P. Alwin and J. Tayler in Melliand Textilber., 82(2001)196)が得られた。例えば、標準リヨセル繊維の場合には、架橋結合橋の導入によって、最初の乾燥で明らかにより少ない不可逆的な角質化が生じる。一方で、このフィブリル化の少ない直接紡糸のセルロース繊維における問題は、架橋結合のために使用された物質が、継続過程で支配的な若干の条件を、限定的にしか克服しないという事実を生じさせる。即ち、例えば、架橋結合剤として使用されるジクロルクロルモノヒドロキシトリアジンの場合には、工業的に慣例の過酸化水素漂白中に、架橋結合剤の殆ど半分が分解され、従って再び繊維の強化されたフィブリル化が保持されることが知られている。従って、工業で、直接紡糸された非フィブリル化セルロース繊維を得ることができるならば、大きな利点となるであろう。
【0131】
ところで、本発明により、パルプ、コットンリンターなどの形で存在するセルロースを、好適な溶解慣例法(及び前以て誘導体化させずに)により、これに好適な溶媒中に溶解させ、かつ紡糸可能な溶液を得ることが可能であり、この溶液は、本発明により紡糸繊維となり、かつ前記の試験法及び評価スカラにより湿式フィブリル化等級2以下を有する。
【0132】
本発明の範囲では、紡糸繊維の製造の際に、ビスコース法の硫黄含有化学薬品又は金属、例えば、銅又はリチウム又はその塩の添加を回避することができるということが有利である。
【0133】
設定された課題を解明するための、本発明による複合的な提案と結びついた利点は多様である:
【0134】
イオン性液体をベースとする本発明による溶液系は、表示されたバイオポリマー、殊にセルロース及び澱粉又はその誘導体を、好適な溶解温度の恒温を保持する範囲で、溶解過程が最も広範に終結するまで溶解させるために特に好適である。この溶液は有利な継続加工において、濾過され、真空で脱ガスされ、紡糸装置上で紡糸ノズルを通って凝固媒体へ押し出される。この凝固媒体は適合の凝固剤を含有し、この場合、前記のようにプロトン性溶媒が重要である。生成物の固化のために、再生バイオポリマーを含有する凝固媒体からイオン性液体を完全に洗い出し、生成物、例えば、セルロース繊維を乾燥させる。
【0135】
新規使用のための回収のため、プロトン性凝固剤からイオン性液体を有利な含量まで除去する。この含量は、例えば、約6〜15質量%であってよい。その後に、溶液系はバイオポリマーの溶解のために新たに使用される。この例証的実施態様は、改善された加工、例えば、生成物特性の柔軟な調整及び特に経済的な方法実施が可能になることを示す。
【0136】
更に、本発明により得られる紡糸繊維に関して、次の更なる利点が参照され、これは本発明による特別な方法から明らかである:セルロースのために、殊に1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート(EMIM−OAc)の形での卓越した溶媒を使用することができる。EMIM−OAcは、次の利点に結びつく:室温で液体である。これは安定した紡糸溶液に結びつく。EMIM−OAcを用いて、セルロースは問題なく25質量%まで溶解され得る。紡糸溶液の製造、濾過及び脱ガスが技術的に簡単である。ゲル粒子は最も広範に排除される。空気に対する著しい感受性は確認できない。紡糸溶液は卓越的な耐熱性を有する。安定剤の添加は必要ない。紡糸溶液粘度は、広い範囲(10〜10000Pas)で調節することができ、これは紡糸法における高い柔軟性を意味する。従って、本発明は、"人造(man-made)"セルロース物質の環境に適合した生成物のための極めて重要な製法を提供する。機械的特性の広い範囲を有する高い生産柔軟性がそれと結合している。引き続いての工程、例えば、紡糸、編み又は織り、染色で、及び適用堅牢度及び製造堅牢度、殊に染色堅牢度の改善のための処理では、なんら問題は生じない。
【0137】
本発明と結びついている特別な利点を、技術的観点下に、簡潔に示すことが適切であると思われる:水中で糸又は繊維が凝固して(ウェット−オン−ウェット法、エアギャップはない)、極めて急速に沈殿が起こり、それによってその構造は固定される。それに従って結合水が生じる。このポリマー鎖の固定は、水中で、高い水素橋結合密度に基づき極めて急速に進行する。水は、いわば構造中に結合される。結合水とも言う。そのことによって繊維軸方向へのセルロース鎖の配向は不十分となり得るが、それというのも、欠損及び孔が生じ得るからであり、要するに、例えば、リヨセル繊維(エアギャップ中での高濃縮溶液の加工での高いポリマー配向)で見出され得るフィブリル構造が無いからである。得られるセルロース繊維は、確かに非フィブリル化である(正に全くフィブリル構造の欠損に基づく)が、不十分な強度を有する。湿式強度は乾式強度に比べて著しく低下する。一定の凝固媒体、例えば、グリセリン及び/又は1,2−プロパンジオールを使用する本発明の実現によって、フィブリル化傾向を強化することなく、湿式強度及び乾式強度を実際に改善し得るように、ウェット−オン−ウェット紡糸での凝固速度を遅らせることができる。改善されたポリマー鎖の配向は、凝固浴における今や可能なより高い紡糸引落及び後接される延伸浴中での繊維のより高い延伸(100%まで、水中ではほんの10%の延伸)によって可能となる。従って、本発明の範囲で、拡散経過及び凝固経過は遅延され、このことは、繊維への引張応力の同時作用で、より高い重合配向を可能とし、かつ同時により高い強度を生じさせる。従って、方法パラメーターにおけるこのより高い柔軟性は、改善された繊維特性にも直接反映する。本発明による方法の柔軟性は広範であるので、紡糸法で初めて、延伸浴の代わりに、加熱ダクトを使用することができ、この中で繊維又はフィラメントは接触せずに延伸される。
【0138】
その全体で又は有利に本発明による説明となる前記のパラメーターにより、本発明の目的を達成するために、当業者は問題なく公知技術水準の好適な装置を使用することができる。これに関連して、例えば、文献B. Falkai, "Synthesefasern-Grundlagen, Technologie, Verarbeitung und Anwendung", Verlag Chemie, Weinheim 1981, S. 87〜137) が参照される。更にこの際、例えば、本発明による方法の実施のために、どの装置が好適であるかを示すべきである:
【0139】
紡糸法では、バイオポリマー、殊にセルロース形の高重合化合物の溶液は、紡糸ポンプで導管を通って成形構成要素へ送られる。成形構成要素は、繊維の製造の場合には毛細管であり、シート状物の製造の場合にはスロットダイ又はロールである。第二段階で、紡糸溶液はダイ孔又はスロットを通って圧押され、排出口を通って円錐状にされ、一部は既に配向もされる。本発明の範囲での湿式紡糸では、拡散制御された溶媒交換法によって、紡糸溶液中に溶解されたバイオポリマーの、例えば、繊維又はシート状物への凝固が行なわれる。凝固した繊維は、例えば、回転機関(ゴデット)によって補足され、ダイから排出する。紡糸溶液の射出速度は、時間単位で射出される紡糸物の容量対紡糸ダイの内横断面、即ち全孔の全面に対する比率によって決められる。この際、繊維形成は、拡散工程及び凝固工程を通過してダイからの排出直後に行なわれる。十分な凝固のために、いわゆる沈殿時間の長さによって決められる、糸への十分な接触時間が成立されなければならない。沈殿時間の長さは、その時間の終了時に凝固が完了する時間間隔を意味する。従って、この沈殿時間の長さは、物質的拡散過程の要求時間及び取出速度及び射出速度の比率に依る。取出速度は、所望の繊維度、搬送量、紡糸物かつ凝固浴の組成に従う。
【0140】
本発明の有利な更なる展開は、前記のように、本発明により凝固媒体から取出される成形体、殊に繊維を、次の過程で延伸させることにある。延伸は、例えば、延伸浴中で行われ得る。延伸工程を有利にするために、バイオポリマーに使用される溶媒を凝固媒体中で完全には除去しない場合が有利であり、従って、広範な延伸及びポリマー配向の再度の上昇が次の延伸浴中で可能にされる。延伸浴の代わりに、加熱ダクトを用いることができる。加熱ダクトは、例えば、延長管であってよく、延伸すべき繊維又はシート状物がこれを通過して送られ、この際、その中に含まれる大気は、高められた温度に調節されている。加熱ダクト中の最適な延伸温度は、各々の材料に依り調整される。多数の例では、この温度は、殊に約120℃〜180℃である。延伸度は、有利に5〜200%、殊に10〜120%に調整される。次の例で示すように、これによって繊維特性は合目的に調整され得る。即ち、僅少な延伸度では、高い伸展を有する繊維が得られ、かつ高い延伸度では、高い強度を有する繊維が得られる。様々な延伸装置中での滞在時間は、有利に1〜60秒間であり、かつ延伸装置の長さ及び有利に6〜20m/分である先決の紡糸速度に依存する。延伸装置の長さは絶対的ではなく、それは殊に10cm〜6mである。
【0141】
凝固及び延伸の処置の間に、洗浄することができる。通例上、延伸後に洗浄される。洗浄工程は、技術的に確立された方法、例えば、回転ロール、ウィンチ又は有孔運搬ベルトを備えた洗浄槽中で行われ、この上に水又は他の好適な洗浄液が散布される。
【0142】
次に、本発明を様々な例につき詳説する。例中、"質量%"について言及される場合には、これは最終溶液の全質量に関する。
【0143】
例1:実験室用混合機中1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(EMIM-OAc)中のセルロース溶液の製造
空気循環炉中で90℃(溶解温度)に恒温保持された実験室用混合機中に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(EMIM-OAc)900gを前以て装入させ、セルロース(BW-Linters DP600)100gを加える。段階2に1分間混合させ、空気循環炉中に90℃で45分間貯蔵する。その後に、新規に段階2に混合させ、更に45分間90℃に調温する。
【0144】
セルロース溶液を吸引ヌッチェ(濾布15μm)で濾過する。溶液を室温で貯蔵する。
【0145】
例2:グリセリン中の繊維製造(本発明の定義による表面張力σ:90.5%)
例1からの溶液を、慣例的湿式紡糸装置で加工した。紡糸装置は、次のモジュールから構成されている:溶液容器、紡糸ポンプ、フィルター、紡糸ダイ、凝固浴、延伸浴、洗浄浴、乾燥ゴデット、巻取機。実質的な方法パラメーターを、次の表Iに示す:
【表1】

【0146】
紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表2】

【0147】
例3:1,4−ブタンジオール中の繊維製造(本発明の定義による表面張力σ:61.4%)
例1からのセルロース溶液を例2により加工した。グリセリンの代わりに、1,4−ブタンジオールを使用した。紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表3】

【0148】
例4:1,2−プロパンジオール中の繊維製造(本発明の定義による表面張力σ:48.7%)
例1からのセルロース溶液を例2により加工した。グリセリンの代わりに、1,2−プロパンジオールを使用した。紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表4】

【0149】
例5:グリセリン50質量%及び1,2−プロパンジオール50質量%を含む混合物中の繊維製造
例1からのセルロース溶液を例2により加工した。凝固媒体及び延伸浴溶液として、グリセリン50質量%及び1,2−プロパンジオール50質量%を含む混合物を使用した。紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表5】

【0150】
例6:エチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート20質量%及び1,2−プロパンジオール80質量%を含む混合物中の繊維製造
例1からのセルロース溶液を例2により加工した。凝固媒体及び延伸浴溶液として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート20質量%及び1,2−プロパンジオール80質量%を含む混合物を使用した。紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表6】

【0151】
例7:加熱ダクト中での延伸を伴うグリセリン中の繊維製造
例1からの溶液を慣例的な湿式紡糸装置で加工した。紡糸装置は次のモジュールから構成されている:溶液容器、紡糸ポンプ、フィルター、紡糸ダイ、凝固浴、加熱ダクト(200cm)、洗浄浴、乾燥ゴデット、巻上機。実質的な方法パラメーターを次の表に示す:
【表7】

【0152】
方法パラメーターの変化により、紡糸強度及び延伸度は、次の繊維特性を明らかにした:
【表8】

【0153】
例8:攪拌容器中での1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(EMIM-Cl)中のセルロース溶液の製造
羽根付き攪拌器、攪拌モーター及び還流冷却器を備えた恒温可能な二重壁反応容器中で、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド900gを80℃に加熱し、セルロース(BW-Linters DP599)100gを攪拌下に15分間で添加する。その後に、80℃で2時間攪拌する。セルロース溶液を吸引ヌッチェ(濾布15μm)中で濾過する。溶液を室温で貯蔵する。
【0154】
例9:加熱ダクト中での延伸を伴うグリセリン中の繊維製造
例8からのセルロース溶液を例7により加工した。凝固媒体として、グリセリンを使用した。紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表9】

【0155】
例10:攪拌容器中での1,3−ジエチル−イミダゾリウムアセテート(DEIM-OAc)中のセルロース溶液の製造
羽根付き攪拌器、攪拌モーター及び還流冷却器を備えた恒温可能な二重壁反応容器中で、1,3−ジエチル−イミダゾリウムアセテート900gを80℃に加熱し、セルロース(BW-Linters DP599)100gを攪拌下に15分間で添加する。その後に、80℃で2時間攪拌する。セルロース溶液を吸引ヌッチェ(濾布15μm)中で濾過する。溶液を室温で貯蔵する。
【0156】
例11:加熱ダクト中での延伸を伴うグリセリン中の繊維製造
例10からのセルロース溶液を例7により加工した。凝固媒体として、グリセリンを使用した。紡糸引落及び延伸度の方法パラメーターの変化により、次の繊維特性が明らかになった:
【表10】

【0157】
【表11】

【0158】
【表12】

【0159】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭水化物、殊に澱粉、セルロース及び/又は澱粉及びセルロースの誘導体の形で再生バイオポリマーを、バイオポリマーを溶解して含有する溶液系を使用して製造する方法であって、その溶液系は融解イオン性液体及び場合によりプロトン性溶媒又はその混合物を基礎とし、前記溶液系中に溶解されたバイオポリマーは凝固媒体中で沈殿され、その凝固媒体中にはプロトン性凝固剤又はプロトン性凝固剤の混合物が存在する前記製造方法において、前記プロトン性凝固剤又はプロトン性凝固剤の混合物の表面張力σは、水の表面張力σの99%〜30%(各々の表面張力は、ASTM D 1590−60により、温度50℃で測定される)であることを特徴とする、再生バイオポリマーの製法。
【請求項2】
プロトン性凝固剤又は凝固剤の混合物の表面張力は、99%〜35%、殊に99%〜40%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イオン性液体は、アミジニウム構造を有する陽イオンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
陽イオンは、置換された又は非置換のイミダゾリウム陽イオンであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
イオン性液体のイミダゾリウム陽イオンは、(C〜C)−アルキル基によって、1位及び3位で、又は1位、2位及び3位で置換されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
イミダゾリウム陽イオンは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム陽イオン、1,3−ジメチルイミダゾリウム陽イオン、1,3−ジエチルイミダゾリウム陽イオン又は1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム陽イオンであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
イオン性液体の陰イオンは、ハロゲニドイオン、ペルクロレートイオン、プソイドハロゲニドイオン、スルフェートイオン、ホスフェートイオン、アルキルホスフェートイオン、殊にC〜C−カルボキシレートイオンであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ハロゲニドイオンは、クロリドイオン、ブロミドイオン及び/又はヨージドイオンとして、プソイドハロゲニドイオンは、シアニドイオン、チオシアニドイオン及び/又はシアネートイオンとして及びC〜C−カルボキシレートイオンは、ホルミエートイオン、アセテートイオン、プロピオネートイオン、ブチレートイオン、ヘキサノエートイオン、マレエートイオン、フマレートイオン、オキサレートイオン、ラクテートイオン及び/又はピルベートイオンとして存在することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
融解イオン性液体は、融点−100〜+150℃、殊に−30〜+80℃を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
イオン性液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−アセテート、1,3−ジメチルイミダゾリウム−アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−クロリド、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム−アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ジエチルホスフェート、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム−ジメチルホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ホルミエート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−オクタノエート、1,3−ジエチルイミダゾリウム−アセテート、1,3−ジエチルイミダゾリウム−クロリド及び/又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムプロピオネートとして存在することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
澱粉及びセルロースの誘導体として、そのエステル又はエーテルを使用することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
澱粉、セルロース及び/又はその誘導体は、溶液系中で、約1質量%より多い、殊に約5質量%より多い量で使用されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
澱粉、セルロース及び/又はその誘導体は、溶液系中で、約1〜35質量%の量で、殊に約5〜20質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶液系は零粘度(回転粘度計で測定した)約5〜150000Pa.s、殊に約10〜100000Pa.sを有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
セルロース又はその誘導体は溶液系中に溶解されていて、前記セルロース又はその誘導体は、平均重合度約200〜3500、殊に約300〜1500を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
バイオポリマーを含有する溶液系は、凝固媒体への導入の前に脱ガスされることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
溶液系の脱ガスは真空下に実施されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
バイオポリマーを含有する溶液系は濾過して使用され、前記濾過は、殊に圧力下に又は真空で実施されることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
バイオポリマーを溶解して含有する溶液系は湿式紡糸されることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
バイオポリマーを含有する溶液系は、非フィブリル化繊維の製造のための紡糸溶液として使用されることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
紡糸法は、連続フィラメント又はステープル繊維が生じるように構成されることを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
セルロースを含有する溶液系は、高粘度、殊に零粘度約10〜150000Pa.sを有し、前記セルロースの含量は、殊に約5〜30質量%であることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
取得した沈殿物質、殊に繊維物質の特性を調整するために、添加剤を添加し、前記添加剤は、殊に溶解して又は微細に分散して、凝固媒体、溶液系及び/又は後続の変性浴に添加されることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
添加剤は、マイクロカプセル、孔形成剤、軟化剤、つや消し剤、防炎剤、抗菌剤、湿潤剤、疎水化剤、静電防止剤及び/又は色料の形で添加されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
凝固媒体中のプロトン性凝固剤として、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール及び/又は1,6−ヘキサンジオール及び/又は水を含むその混合物を使用することを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
プロトン性凝固剤は、凝固媒体中で、30〜100質量%、殊に50〜100質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
バイオポリマーを含有する溶液系は、加工の前に、約0℃より高い、殊に約10℃より高い温度に、及び/又は凝固媒体は、約20℃より高い温度に調整されることを特徴とする、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
バイオポリマーを含有する溶液系は、加工の前に、約20〜140℃、殊に約80〜120℃の温度に、及び/又は凝固媒体は約40〜90℃の温度に調整されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
凝固媒体中に沈殿したバイオポリマーは、炭水化物、殊に澱粉、セルロース及び/又は澱粉及びセルロースの誘導体の形で分離され、かつ残留する液相は、場合により部分的に蒸発後に、本来の溶液系の製造のために回収され、かつ再び、バイオポリマーを炭水化物の形で含有する溶液系の製造のために使用されることを特徴とする、請求項1から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
凝固媒体から引き出された繊維又はフィラメントを、後続の延伸浴中で、又は後続の加熱ダクト中で延伸させることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
繊維又はフィラメントは、少なくとも10%まで、殊に少なくとも50%まで延伸されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
繊維又はフィラメントは、少なくとも70%まで延伸されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
延伸浴は、凝固剤として、殊に、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール及び/又は1,6−ヘキサンジオール及び/又は水を含むその混合物の形の、凝固媒体の成分である溶媒を基礎としていることを特徴とする、請求項30から32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
凝固媒体及び/又は延伸浴から引き出された繊維又はフィラメントは洗浄されることを特徴とする、請求項1から33までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
延伸浴で集められたイオン性液体は回収されることを特徴とする、請求項30から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
殊に再生セルロースをベースとする、繊維又はフィラメント又はシート状物の形で、請求項1から35までのいずれか1項に記載の方法により得られることを特徴とする、炭水化物の形の再生バイオポリマー。
【請求項37】
湿式フィブリル化等級2以下を有しかつ湿式強度対乾式強度の比率少なくとも0.55、殊に少なくとも約0.6を有する、殊に非フィブリル化である再生セルロースを基礎とする紡糸繊維。
【請求項38】
湿式強度対乾式強度の比率は少なくとも約0.7であることを特徴とする、請求項37に記載の紡糸繊維。
【請求項39】
硫黄含量1mg/g未満、殊に0.75mg/g未満、及び銅含量20μg/g未満、殊に15μg/g未満を特徴とする、請求項38に記載の紡糸繊維。
【請求項40】
硫黄含量0.5mg/g未満、殊に0.25mg/g未満、及び銅含量10μg/g未満、殊に5μg/g未満を特徴とする、請求項39に記載の紡糸繊維。
【請求項41】
硫黄含量及び銅含量についての表示は、凝固媒体から排出した、非洗浄の紡糸繊維に関連することを特徴とする、請求項39又は40に記載の紡糸繊維。
【請求項42】
製造条件的にN−メチルモルホリン−N−オキシド−モノヒドレート(NMMO)を含有しないことを特徴とする、請求項37から41までのいずれか1項に記載の紡糸繊維。
【請求項43】
追加的に架橋結合化学薬品で形成される架橋結合を有しないことを特徴とする、請求項37から42までのいずれか1項に記載の紡糸繊維。

【公表番号】特表2011−505435(P2011−505435A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533497(P2010−533497)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009623
【国際公開番号】WO2009/062723
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】