説明

再生可能な化学物質を調製するための統合的方法

および/またはCオレフィンの混合物から、脱水素化によりイソブテン、イソプレン、およびブタジエンを取得する。該Cおよび/またはCオレフィンは、CおよびCアルコール、例えば、バイオマスから熱化学プロセスまたは発酵プロセスにより調製される再生可能なCおよびCアルコールを脱水して取得できる。イソプレンまたはブタジエンを重合させることによりポリイソプレン、ポリブタジエン、合成ゴム(ブチルゴム等)等の重合体を形成でき、加えて、ブタジエンはメタクリル酸メチル、アジピン酸、アジポニトリル、1,4−ブタジエン等の単量体に変換でき、こうした単量体を重合させてナイロン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル等を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、全体が参照により本明細書にあらゆる目的で組み込まれる、2010年1月8日出願の米国仮出願第61/293,459号に対する優先権を主張する。
【0002】
従来の輸送燃料および化学製品(例えば単量体、重合体、可塑剤、接着剤、増粘剤、芳香族溶剤、脂肪族溶剤等)は、一般に、石油などの再生不能原料に由来する。しかし、輸送燃料および化学製品を提供するための石油の生産、輸送、精製、および分離には、いくつか重要な点で問題がある。
【0003】
例えば、石油(例えば原油および/または天然ガス)の生産は、いくつかの環境問題を呈する。第一に、石油生産の歴史において、探査および生産(掘削等)作業時に原油を無制御に排出するという事例が多数発生してきた。こうした事例の多くは比較的小規模であるが、規模と環境影響の面で重大な事例もいくつか発生している(例えば、BP社のディープウォーター・ホライズン事故、ミシシッピキャニオン、2010年のメキシコ湾)。
【0004】
世界の石油供給量には限りがある。ゆえに、世界の石油需要の増加に伴い(米国エネルギー情報局によると2009年は世界全体で84,337Mbpd)、容易にアクセスできる埋蔵量が枯渇してきている。したがって、石油探査および生産作業は、遠隔地域および/または環境上脆弱な地域(例えば、沖合の深海、北極地帯、湿地帯、野生生物保護地区等)で行われる頻度が高くなる。遠隔地の場合、石油埋蔵位置を特定し産出するには、(低温、水深等の理由で)高度に複雑で技術的に困難な解決策が必要とされる場合がある。したがって、こうした複雑で技術的に困難な探査および生産作業の実施中に石油が無制限に排出される結果、大規模な環境損害を引き起こす可能性が実質的に上昇する。
【0005】
加えて、遠隔地、および/または石油を有用製品に加工するインフラストラクチャー(精製所等)を持たない地域で石油を産出する場合、産出した石油を、石油製品を精製および/または加工できるターミナル地点まで(例えば、パイプライン、鉄道、バージ船、船舶等により)輸送しなければならない。しかも、多くの場合、長距離輸送となる。石油輸送も、偶発的に環境に石油を排出し、それに付随して環境被害を起こすリスクを伴う作業であり、これまで重大な事例がいくつか発生している(1989年アラスカ州プリンスウィリアム湾でのエクソンのバルディーズタンカー流出等)。さらに、埋蔵が証明されている世界の石油埋蔵地の多くは、政情の不安定な地域にある。したがって、こうした地域では石油の産出や輸送が中断する可能性があるため、こうした地域からの石油供給は不確実であるといえる。
【0006】
石油は、複数の化学化合物からなる複雑な混合物である。原油には、非常に単純な化学物質(例えば、天然ガスに含まれるヘリウムやメタン)から、複雑な化学物質(例えば、重質で硫黄分の多い原油に含まれるアスファルテンやヘテロ環式有機化合物)まで、さまざまな化学物質が含まれている。さらに、通常、原油の産出時にさまざまな量の地層水(石油産出場所の岩石層から出る水など)も産出される。この地層水は、多くの場合安定な乳濁液状であり、地層水に溶けた塩、金属、および他の水溶性化合物を含有する。原油は、さまざまな量の特定の塩、金属、沈殿物等も含有する。したがって、通常は、原油流を脱塩した後に沈降させ、原油部分と水部分に分相する。これにより、原油に含まれる水を減らし、場合によっては原油中に存在する塩、金属、沈泥、沈殿物等の不要成分のレベルを低減する。一般に、このような不要成分が存在すると、その後、商業的に有用な部分へと加工および/または精製する際に問題となる。例えば、精製プロセスのいくつかの単位操作は、水、塩、または沈殿物の影響を受けやすい。さらに、石油の輸送、貯蔵、加工に用いられるパイプ、貯蔵所、プロセス容器は腐食する傾向があるが、石油供給原料中に塩および/または水が存在することで、その傾向はさらに加速および/または悪化する可能性がある。
【0007】
脱塩プロセスでは、通常、場合によっては加熱もされる大量の水を使用して、原油から塩および溶解性金属を抽出する。さらに、脱塩する原油流も通常は加熱して、抽出水と混合させる。乳濁液を得た後、場合によっては抗乳化剤で処理し、沈降させてから次の処理に移行する。こうした脱塩(および沈降)は時間を要し、(i)不要成分を抽出するための大量の水、(ii)水および/または原油流を加熱して混合するための大量のエネルギー、および(iii)原油を処理するための相当な量の化学剤(抗乳化剤等)の使用を必要とする場合がある。その結果、脱塩作業時に大量の汚染水が生成されるため、この汚染水から残油、溶解塩、金属、水溶性有機物、抗乳化剤等を除去するように汚染水を処理しなければならない。
【0008】
さらに、原油の採掘地域や、同一地域内の地下貯留層によって、あるいは同一油田内の異なる油層によっても、原油の化学組成が異なる場合がある。例えば、原油は広い範囲の油を含み、概して容易に流れ、比較的低分子量の炭化水素を含有し、硫黄などの汚染物質が少ない「軽く、甘い(sweet)」油から、高分子量の炭化水素の多くを含有し、塩、硫黄、金属、および/または他の汚染物質を大量に含有し、粘性が非常に高く、加熱しなければ流れない重く、酸っぱい(sour)油までに渡ることがある。さらに、各種成分の相対量(例えば、軽い低分子量の炭化水素と重い高分子量の炭化水素の相対量)は、原油の多様な等級や種類によって大きく異なる。このように、精製所に送られる供給原料の化学組成は大きく異なるため、結果として、生成される炭化水素流の相対量も、原油供給量に応じて変化する場合がある。
【0009】
粗供給原料を十分に処理して不要な不純物や汚染物質を除去した後、さらに処理および/または精製を行うことがある。粗供給原料は通常、最初に蒸留を行って、原油のさまざまな部分を沸点範囲に基づく蒸留留分に分離する。この分離は、一般に大規模に実施され、多くの場合、供給原料の大部分または全部を単一または複数の蒸留ユニット内で加熱し、多様な蒸留留分を生成することから、特に大量のエネルギーを消費するプロセスである。さらに、原油の組成はきわめて複雑であり、(少なくとも)数百の化合物を含有するため、各留分は多種類の化合物を含有する可能性があり、よって各蒸留留分の組成および収率も、粗供給原料の種類と組成によって異なる場合がある。精製作業の最終段階で所望される生成物分布によっては、必要に応じて追加の精製ステップをいくつか実施することにより、留出物流をさらに精製および/または分離する。こうした各精製ステップにおいて、追加の設備とエネルギーインプットが必要とされる場合がある。
【0010】
例えば、場合によっては、最初の蒸留で得た高沸点留分をさらに(真空下等で)蒸留して、混合物をさらに分離する。あるいは、最初の蒸留で得た重質留分を高温で「クラッキング」して(触媒を用いた接触分解等)、供給流の各種成分の平均分子量を低減する。一般に、比較的軽質の炭化水素留分(例えば、炭素原子20個未満を含有)の方が、比較的重質の留分(例えば、炭素原子20個超を含有する留分)より商業的価値および有用性が高いので、最初の蒸留で生じた留出物流の価値および/または有用性を高めるため、クラッキングを行う場合がある。しかし、こうしたクラッキング作業では、高分子量の炭化水素を低分子量の成分に分解する際に一般に高温(例えば500℃)が必要とされるため、多くの場合、非常に多くのエネルギーを消費する。さらに、こうしたクラッキング作業からのアウトプットも複雑な混合物であるため、追加の分離(例えば蒸留)を行って、目的の規格値(例えば、沸点または化学組成に基づく規格値)を有する有用な、および/または所望される留分をアウトプット流から分離する場合もある。
【0011】
よって、石油の精製および/または処理で生成される各種成分の生成物流は、概して混合物である。こうした混合物の均一性または不均一性が、粗供給原料の特性、分離実施時の条件、分解流の特性、および生成物流の純度に関するエンドユーザーの規定値に影響する要因となる場合がある。しかし、実際問題として、類似の沸点を持つ複数の関連化合物(例えば、沸点が互いに20、10、または5℃の範囲内にある化合物)から目的の化合物を単離するには、高純度流に対してさらに厳格な分離条件を課す必要がある。このような厳格な分離の場合、より密接に関連し合う化合物(例えば、互いに沸点が近い化合物)を分離するには、一般に、大型のプロセス装置(比較的大型の蒸留塔等)が必要とされる。
【0012】
さらに、石油の生産および精製に関連する上記の環境問題およびエネルギー/インフラストラクチャーコストに加えて、化学供給原料および燃料の生産で基本原料として石油を使用することが、炭素酸化物の生成および/または放出による環境劣化(地球温暖化等)に寄与するという懸念が高まっている。例えば、典型的なガソリン1ガロンが燃焼すると、19ポンドを超える二酸化炭素が発生する。精製所では二酸化炭素をまったく消費せずにガソリンを製造するので、石油由来のガソリン1ガロンの燃焼で生じる二酸化炭素の正味量は、当該燃料に含まれる炭素量と少なくとも同じであるが、精製所への電源供給(例えば、石油を分離してガソリンを生産する場合等)、および燃料を市場に運搬する輸送車両、パイプライン沿いのポンプ、船舶等への電源供給に必要な追加の石油が燃焼することを考慮すると、一般に、当該炭素量より多くなる。同様に、石油から基礎化学物質(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、および、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物)を生成する場合も二酸化炭素を消費せず、こうした化学物質を製造する精製所への電力供給、および、これらの化学物質を配送するための輸送車両への電力供給に必要なエネルギーからも二酸化炭素が発生する。
【0013】
化石燃料および石油由来の化学物質とは対照的に、バイオ燃料もしくはバイオ燃料ブレンド1ガロンの燃焼、またはバイオマス由来の化学物質の生成で生じる二酸化炭素の正味量は、ガソリン由来の燃料1ガロンの燃焼、または石油由来の化学物質の生成で生じる二酸化炭素の正味量より少ない。加えて、バイオマス由来の燃料は掘削作業が不要であることから、バイオマス由来の化学物質および燃料の生産に伴う環境災害ははるかに少ない。さらに、石油精製所と比べて、バイオマス由来の化学物質および燃料向けの施設は多様な場所に設置でき、適切な供給原料を使用できる場所(例えば、十分な量の適切な植物関係物を供給できる場所)であれば、本質的にあらゆる場所に設置できる。よって、供給原料を輸送するための要求を最小化でき、同様に、供給原料の輸送に関連するエネルギーコストも最小化される。さらに、原料を輸送する必要がある場合でも、典型的なバイオマス供給原料(トウモロコシ等)の流出による環境災害は無視できるほど少ない。さらに、バイオマス由来の生成物流は通常、石油精製作業から生じる生成物流と比べて、はるかに単純な混合物である。したがって、高純度生成物を取得するために必要なエネルギー量は、バイオマス由来の化学物質の生産作業の方がはるかに少ないといえる。
【0014】
しかし、大部分のバイオ燃料およびバイオマス由来の有機化学物質は、(石油と比べて)比較的高価な供給原料から製造されるか、または、比較的柔軟性に欠けるプロセスや、原料コストや製品価格の変動に容易に適応できないプロセスで製造されている。その結果、バイオマスベースの多くのプロセスは、石油ベース(例えば精製所)のプロセスと経済的に競合する上で困難をきたしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、再生可能なバイオ燃料および/またはバイオ燃料前駆体の混合物を生産するための統合的プロセス、ならびに、再生可能エタノールおよび再生可能イソブタノールから多様な再生可能化学物質を生産するための統合的プロセスを指向している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
さまざまな実施形態において、本発明は、再生可能イソブタノールおよび再生可能エタノールから再生可能炭化水素を調製するための、統合的プロセスを指向している。このプロセスは、
再生可能イソブタノールを脱水し、それにより、1つ以上の再生可能直鎖状ブテンおよび再生可能イソブテンを含む再生可能ブテン混合物を形成することと;
再生可能エタノールを脱水し、それにより、再生可能エチレンを形成することと;
この再生可能ブテン混合物の少なくとも一部分と、この再生可能エチレンの少なくとも一部分を反応させて、1つ以上の再生可能C−C16オレフィンを形成することと;
を含む。
【0017】
他の実施形態では、この統合的プロセスは、以下の1つ以上により再生可能水素を形成することをさらに含む。
(i)再生可能イソブタノールを脱水して形成した直鎖状ブテンの少なくとも一部分を脱水素化して、かつ/または、再生可能ブテン混合物の少なくとも一部分と再生可能エチレン流の少なくとも一部分を反応させて再生可能C−C16オレフィンを形成し、このオレフィンから単離した1つ以上の再生可能C−C16オレフィンを脱水素化して、それにより、1つ以上の再生可能C−C16ジエンおよび再生可能水素を形成すること;
(ii)再生可能ブテン混合物の少なくとも一部分と再生可能エチレン流の少なくとも一部分を反応させて再生可能C−C16オレフィンを形成し、このオレフィンから単離した1つ以上の再生可能C−C16オレフィンの少なくとも一部分を脱水素環化して、それにより、1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物および再生可能水素を形成すること;
(iii)再生可能イソブタノールを脱水して直鎖状ブテンを形成し、この直鎖状ブテンの少なくとも一部分を脱水素化して再生可能C−C16ジエンを形成し、このジエンから再生可能C−C16ジエンを単離し、このジエンの少なくとも一部分を脱水素環化して、かつ/または、再生可能ブテン混合物の少なくとも一部分と再生可能エチレン流の少なくとも一部分を反応させて再生可能C−C16オレフィンを形成し、このオレフィンから単離した再生可能C−C16オレフィンの1つ以上を脱水素環化して、1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物および再生可能水素を形成すること。
また、この統合的プロセスは、再生可能C−C16オレフィン流の少なくとも一部分を再生可能水素で水素化し、それにより、再生可能な飽和炭化水素燃料または燃料添加物を形成することを含めてもよい。
【0018】
さらに他の実施形態では、本発明のプロセスは、生成する再生可能水素の全量が、再生可能C−C16オレフィンの水素化で消費されるように、上記の脱水素化および/または脱水素環化で生成する再生可能水素の総量を制御することをさらに含む。
【0019】
他の実施形態では、本発明のプロセスは、1つ以上の再生可能C−C16オレフィンの形成を、不均化、メタセシス、オリゴマー化、異性化、アルキル化、およびこれらの組み合わせにより行うことをさらに含む。
【0020】
本発明の統合的プロセスは、バイオマス由来の化学物質、燃料、および/または燃料ブレンドを生産するための、柔軟で環境に優しい方法またはシステムを提供する。本発明の統合的プロセスは、さまざまなバイオマス供給原料に容易かつ柔軟に適応できる生成物流を提供でき、かつ、市場需要に基づき、さまざまな再生可能生成混合物を生産できる。また、本発明の統合的プロセスは、明確に定義され予測可能な化学組成物を有する生成物流を有利に提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、イソブタノールの脱水から得るブテン異性体の形成を示す概略図である。
【図2】図2は、イソブタノールからイソブテン(イソブチレン)に脱水する単位操作を示す概略図である。
【図3】図3は、脱水温度の関数としてブテン異性体の平衡組成を示したグラフである。
【図4】図4は、プリンス(Prins)反応によりCオレフィン(イソブテン等)からCジエン(イソプレン等)を調製する方法を示す概略図である。
【図5】図5は、n−ブタンの脱水素化を示す概略図である。
【図6】図6は、1−ブテンから1,3−ブタジエンへの脱水素化を示す概略図である。
【図7】図7は、酸触媒によるイソブテンの転位を示す概略図である。
【図8】図8は、再生可能プロピレンからのベンゼン、アセトン、酸化プロピレン、フェノール、およびビスフェノールAの形成を示す概略図である。
【図9】図9は、プロピレンおよびエチレンからのブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、および2−エチルヘキサン酸の形成を示す概略図である。
【図10】図10は、再生可能イソブタノールから再生可能p−キシレンに変換する統合的プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本発明の詳細な説明)
本明細書で引用するすべての文書は、各個別文書が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示すのと同程度に、あらゆる目的で、参照によりその全体が組み込まれる。
【0023】
(定義)
「再生ベース」または「再生可能」という語は、再生可能アルコール(およびオレフィン、ジオレフィン等、または再生可能アルコール、オレフィン、ジオレフィン等から調製される本明細書に記載の後続生成物)の炭素分が「新たな炭素」源に由来し、参照により全体が本明細書に組み込まれるASTM試験方法D6866−05「Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」により、この炭素分が測定されていることを表す。この試験方法は、試料中の14C/12C同位体比を測定し、これを標準の100%バイオベース物質の14C/12C同位体比と比較して、試料のバイオベース含有量(%)を得る。「バイオベース物質」とは、太陽光エネルギーを使用(光合成)して(ヒトのタイムスケールで)近年に固定された、大気中に存在するCOに由来する炭素を含む有機物質である。陸上では、植物生命体(例えば農作物や林業材料)によって、このCOを捕捉または固定する。海洋では、光合成細菌または植物プランクトンによってCOを捕捉または固定する。例えば、バイオベース物質は0より大きい14C/12C同位体比を有する。これに対して、化石ベース物質は約0の14C/12C同位体比を有する。アルコール、炭化水素などの化合物(オレフィン、ジオレフィン、重合体等)に関して使用する「再生可能」という語は、熱化学的方法(例えばフィッシャー−トロプシュ触媒)、生体触媒(例えば発酵)、または、例えば本明細書に記述するような他のプロセスを使用してバイオマスから調製した化合物も表す。
【0024】
大気中の二酸化炭素の炭素原子のうち少量は、放射性同位体14Cである。この14C二酸化炭素は次のようにして生じる。大気窒素が宇宙線で生じた中性子と衝突し、その結果、窒素が陽子を失い、原子質量14の炭素(14C)を形成し、これが直ちに酸化されて二酸化炭素となる。大気炭素のうち、少量ではあるが測定可能な一部分が14COの形で存在する。大気二酸化炭素は緑色植物によって処理され、光合成として知られるプロセス中に有機分子を産生する。地球上の事実上すべての形態の生命体が、この緑色植物による有機分子の産生に依存して、成長および生殖を促進する化学エネルギーを生成している。したがって、大気中に形成される14Cは、最終的に、すべての形態の生命体およびその生物学的産生物の一部となり、バイオマスを豊富にし、かつ14Cを含むバイオマスを常食とする有機体を豊富にしている。これに対して、化石燃料由来の炭素は、大気二酸化炭素に由来する再生可能有機分子に固有の14C:12C比を持たない。また、COに生物分解する再生可能有機分子は、大気に排出する炭素を正味量では増加させないため、地球温暖化に寄与しない。
【0025】
物質中の再生ベースの炭素含有量は、放射性炭素および同位体比質量分析の使用などの標準の試験方法で評価することができる。物質中のバイオベース含有量を評価する標準の方法がASTM International(正式名称:American Society for Testing and Materials)により設定され、ASTM−D6866と指定されている。
【0026】
ASTM−D6866を利用した「バイオベース含有量」の推定は、放射性炭素年代測定法と同じ概念に基づいているが、年齢方程式は使用しない。バイオベース含有量の分析では、未知の試料中の放射性炭素(14C)の量と、現代の標準試料(modern reference standard)の放射性炭素(14C)の量を比較して、比率を導く。この比率を単位「pMC」(percent modern carbon)のパーセント値で報告する。分析対象物質が、現在の放射性炭素と(ごく低レベルの放射性炭素を含有する)化石炭素の混合物である場合は、取得したpMC値を、試料中に存在するバイオマス物質の量と直接相関させる。
【0027】
本明細書全体で、アルコール、オレフィン、ジオレフィン等、およびこれらの化合物から作られる比較的高分子量の物質(例えばイソオクテン/イソオクタン、重合体、共重合体等)に言及しているものは、別段の指示がない限り、「再生可能」アルコール、「再生可能」オレフィン、再生可能「ジオレフィン」等、および「再生可能」物質(例えば、「再生可能」イソオクテン/イソオクタン、「再生可能」重合体、「再生可能」共重合体等)と同義である。特に指定しない限り、本明細書に記述する統合的プロセスで生成されるこれらの化学物質はすべて、別段の明示的な記載がない限り、再生可能である。
【0028】
本明細書全体を通じて、「オレフィン」および「アルケン」という語は区別なく使用され、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素を指す。2つの炭素−炭素二重結合を有するアルケンまたはオレフィンは、ジエンと称することができ、この2つの炭素−炭素二重結合が分子中で隣り合っている場合(例えば、4つの隣り合うsp炭素原子)、この分子を共役ジエンと称することができる。
【0029】
本発明の再生可能なアルコール、オレフィン、ジオレフィン、重合体、脂肪族有機化合物、および芳香族有機化合物等は、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100のpMC値を有する(これらのすべての値および値と値の間の部分範囲を含む)。
【0030】
本明細書全体を通じて、「約」という語は数値および/または範囲とともに使用できる。「約」という語は、挙げられている値に近い値を意味するものと理解される。例えば「約40[単位]」とは、40の±25%(例えば30〜50)、±20%、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±1%未満以内、または、これらの値の範囲内もしくはこれらの値より小さい他の値もしくは範囲を意味する。さらに、「約[値]より小さい」や「約[値]より大きい」という語句は、本明細書で規定する「約」の定義を考慮して理解するべきである。
【0031】
本明細書全体を通じて、いくつか一定の数量に対して数値範囲を記載する。これらの範囲は、その中の部分範囲のすべてを含むものと理解すべきである。したがって、「50〜80」には、この範囲に入ることのできるすべての範囲が含まれる(例えば51〜79、52〜78、53〜77、54〜76、55〜75、60〜70等)。さらに、所与の範囲内のすべての値は、その範囲に囲まれる範囲の端点となることができる(例えば、範囲50〜80は、55〜80、50〜75などの端点を有する範囲を含む)。
【0032】
本明細書全体を通じて、明示的に別段の記載がない限り、「a」または「an」は、「one or more」(1つ以上の)を意味するものと理解される。さらに、「a」または「an」という語と「one or more」という語句は、区別なく使用できるものとする。
【0033】
(全体のプロセス)
さまざまな実施形態において、本発明は、再生可能エタノールおよび再生可能イソブタノールから各種の再生可能炭化水素を調製するための統合的プロセスを指向する。再生可能なエタノールおよびイソブタノールは、汎用化学製品としてそのまま販売でき、あるいは脱水してそれぞれのオレフィン(例えば、エチレン、イソブテン、および1つ以上の再生可能直鎖状ブテン(通常はイソブテン、1−ブテン、およびシス/トランス−2−ブテンの混合物)等)を生成することもできる。また、生成した再生可能エチレンと再生可能ブテンも、そのまま販売でき、あるいは多様な方法でさらに処理して(例えば分離または反応させて)、再生可能な多種多様な炭化水素生成物を生成することができる。いくつかの実施形態では、さらなる処理として、再生可能なエチレンおよび/またはブテンと、従来の方法(例えば石油クラッキング)で生成されたエチレンおよび/またはブチレンとを混合して、再生可能炭素を含む数々の炭化水素化合物を生成することが含まれる場合がある。よって、このような化合物は、再生可能炭素のみから構成されるのではないが、少なくとも多少の再生可能炭素は含むため、本明細書に記述する環境上の利点が付随する。
【0034】
例えば、再生可能な炭化水素生成物流の1つは、再生可能エタノールの脱水で生成される再生可能エチレンである。このようにして生成された再生可能エチレンは、概して純度が非常に高い。また、反応空間から生成エチレンをガス流として除去することにより、脱水反応の未反応供給原料(通常は水性エタノールと触媒)から簡単にエチレンを分離できる。この再生可能エチレンは、供給原料としてそのまま販売するか、以下のような後続処理により、より価値の高い再生可能炭化水素に変換できる。例えば、オリゴマー化反応により高分子量のオレフィン(例えば、二量体、三量体等)に変換する、重合させて再生可能ポリエチレンを形成する、酸化させて再生可能酸化エチレンを形成する(次いで、この酸化エチレンの重合により再生可能酸化ポリエチレンを形成したり、他の再生可能な酸化ポリエチレン誘導体に変換したりできる)、ジクロロエタンに変換する(次いで、塩化ビニルに変換し、それを重合させる)、他のオレフィンまたは芳香族化合物をアルキル化するための再生可能な供給原料として使用する(例えば、ベンゼンをアルキル化してエチルベンゼンを生成する)、といった処理ができる。
【0035】
別の再生可能な炭化水素生成物流としては、再生可能イソブタノールの脱水で生成する再生可能ブテンがある。このようにして形成された再生可能ブテンは、多くの場合、調整可能なブテン異性体混合物である。この混合物は、脱水反応に供給されるイソブタノールから容易に分離でき、混合物としてそのまま販売できるほか、混合物として反応させて他の炭化水素(例えばポリブテン)を形成することもできる。あるいは、再生可能ブテン異性体の混合物を個別のブテン異性体に分離することもできる(例えば、蒸留、選択的変換等により分離する)。得られた個別のブテン異性体は、供給原料として個別に販売できるほか、重合させる(例えば、再生可能ポリイソブチレンまたはブテン共重合体を形成する)、オリゴマー化(例えば、二量体形成、三量体形成等)して、より高分子量のオレフィン(イソオクテン、ペンタメチルヘプテン等)を形成する、異性化する(例えば、イソブテンを直鎖状ブテンに異性化する、1−ブテンを2−ブテンに異性化する、2−ブテンを1−ブテンに異性化する等)、脱水素化する(例えばブタジエンを形成する)、および、これらのプロセスを組み合わせるなどの処理ができる。特に、イソブテンの二量体および三量体を水素化すると、例えば再生可能イソオクタンと再生可能ペンタメチルヘプテンが得られ、この両方とも、再生可能輸送燃料、または輸送燃料用の再生可能添加物として有用である。
【0036】
加えて、本明細書に記述する統合的プロセスで提供する複数の再生可能オレフィンを一緒に反応させて(例えば不均化反応)、炭素数の異なるオレフィン(例えば3、5、7等)を得ることもできる。例えば、本明細書に記載のように生成した再生可能エチレンと再生可能2−ブテンを適切な条件(例えば、適切なメタセシス触媒)で不均化すると、再生可能プロピレンが得られる。このような不均化プロセスで生成した再生可能プロピレンは、供給原料としてそのまま販売するか、以下のような後続処理により、より価値の高い再生可能炭化水素に変換できる。例えば、オリゴマー化反応により高級オレフィン(例えば、二量体、三量体等)に変換する、重合させてポリプロピレンを形成する、酸化させて酸化プロピレンを形成する(次いで、この酸化プロピレンを重合させて再生可能酸化ポリプロピレンを形成したり、他の再生可能な酸化ポリプロピレン誘導体に変換したりできる)、酸化させてアクリル酸を形成する(このアクリル酸をさらに反応させて、商業的に重要なさまざまなアクリル酸エステルを形成できる)、アンモニアおよび酸素と反応させてアクリロニトリルを形成する、(クメン法などにより)ベンゼンと反応させてアセトンとフェノールを生成する、といった処理ができる。
【0037】
同様に、エチレン、ブテン、プロピレン、およびこれらのオリゴマーの不均化反応および/またはオリゴマー化反応を多様な方法で組み合わせることにより、所望の炭素原子数を有するさまざまなオレフィンを生成できる。このような反応で生成した各種モノオレフィンを脱水素化して、ジエンその他のポリエン(トリエン等)を形成でき、かつ価値ある副産物として再生可能水素を形成できる。加えて、これらの反応で生成したオレフィンおよび/またはポリエンを脱水素環化して、環式オレフィン(シクロヘキセン等)や環式芳香族化合物(ベンゼン、キシレン等)を形成することも可能であり、この場合も、さらに再生可能水素を生成できる。さらに、オレフィンの反応性は、上記オレフィンへのヘテロ原子の選択的導入に適しているので(例えば酸素、窒素、ハロゲン等)、数々の広範な誘導体へのアクセスが可能になる。
【0038】
このように、本発明の統合的プロセスは、単純な再生可能エタノールおよびイソブタノール供給原料から開始して、石油化学精製所で現在製造されている、商業的に重要な本質的にすべての炭化水素を提供できる(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、p−キシレン等のキシレン、トルエン、ベンゼン)。また、追加のプロセスと組み合わせれば、事実上あらゆる燃料または化学物質を製造することができる。特に本発明は、膨大な数の中間体および最終生成物からの基本単位となる汎用化学製品である、ベンゼンおよびキシレンを生成する方法を提供する。さらに、エタノールおよびイソブタノール供給原料がバイオマスその他の生物学的起源から生成され、再生可能であれば、本発明の統合的プロセスは、従来の石油精製所で製造されている石油由来の炭化水素と比較して、より環境に優しく持続可能な方法で、対応する再生可能炭化水素を生成できる。さらに、完全に再生可能な供給原料を使用することが実現可能でなく、かつ/または経済的でない場合でも、従来の石油由来の炭化水素供給原料(例えば、エチレン、ブテン等)を、化学物質の統合的な処理および/または製造作業内の再生可能な供給原料で補うことにより、従来の「石油のみ」の作業と比べて相当大きな利点が得られる(例えば、環境影響や二酸化炭素排出量が低減する等)。
【0039】
本発明の方法とは対照的に、石油由来のエチレン、ブテン、および/またはプロピレンは、通常、比較的高分子量の炭化水素を触媒で接触分解することにより、炭化水素の複合混合物の構成成分として製造される。こうした混合物には、通常、さまざまな生成化合物が含まれるが、とりわけ低分子量のプロピレン、ブテン、ブタジエン等のオレフィンが含まれ、これらは、沸点が類似しているため分離が困難な場合がある。したがって、こうした生成物流を精製して、エチレン、プロピレン、ブテン、またはブタジエンの高純度留分を生成する作業は、一般に多くのエネルギーを消費するプロセスとなる。実際、エチレン、プロピレン、ブテン、およびブタジエンの混合物は、個々の留分に分離するのでなく、そのまま液化混合物として商品として精製所から販売されることも多い。これは、混合物の各種成分を分離するには設備コストとエネルギーがかかるためである。しかし、本発明の統合的プロセスであれば、精製所のクラッキングプロセスで提供される混合物と類似の混合物を必要に応じて提供できるので、こうした混合供給原料に依存するエンドユーザーに対して、精製所の典型的な製品を供給することができる。さらに、本発明の方法で生成される炭化水素混合物は、一般に、明確に定義された組成を有する。これは、存在可能な生成物の数が個々のプロセスまたは反応ステップごとに限定されているからである。よって、本発明の統合的方法は、必要とされる追加の処理および/または分離エネルギーを削減しながら、より高純度の生成物を提供できる可能性がある。あるいは、本発明の統合的プロセスは、より単純で、明確に定義された組成の混合流を提供できる可能性がある。
【0040】
本明細書に記述するプロセスで生成される生成物アウトプットは、さまざまな方法で柔軟に相対量を調整できるので、例えば、特定の生成物流に対する市場需要の変化に応じて調整したり、生成する生成物の全体的価値を最大化したりできる。例えば、本発明のプロセスに供給するエタノールとイソブタノールの相対量や、各種単位操作に供給するエチレンとイソブテン等(および/または直鎖状ブテン等)の相対量を調整して、生成物構成を変更でき、それにより、生成する生成物の経済的価値を最大化することができる。再生可能エタノールおよび再生可能イソブタノールの生成で使われる、本明細書に記載の触媒は、類似のバイオマス原料を使用しているため、バイオマスの所与の単位インプットからの相対アウトプットを必要に応じて調整して、エタノールまたはイソブタノールの割合を増減することができる。その結果、下流で生成される生成物の需要が変化した場合は、エタノールとイソブタノール(および中間体および/または後続工程でこれらから形成される生成物)の相対的な生成量を調節することで対応できる。
【0041】
例えば、エチレン(またはエチレンから形成する生成物)の市場需要および/または市場価格が高い場合は、供給原料であるエタノールの相対量を増加し、それに応じて、エタノールを脱水して生成するエチレンの量を増加することができる。同様に、ブチレン(またはブチレンから形成する生成物)の市場需要および/または市場価格が高い場合は、供給原料であるイソブタノールの相対量を増加し、それに応じて、イソブタノールを脱水して生成するブチレンの量を増加することができる。別の例では、プロピレン(またはプロピレンから調製する生成物)の市場需要および/または市場価格が上昇した場合は、プロセスに供給する再生可能なエタノールおよびイソブタノールの相対量を調節して、後続のプロピレンへの不均化反応の供給原料となるエチレンおよび2−ブテンの相対量を最適化することができる。同様に、燃料価格および/または燃料需要が高い状況では、本発明のプロセスに供給するイソブタノールのエタノールに対する相対量を増加して、イソオクテンおよび/またはペンタメチルヘプテン(イソブチレンの二量体と三量体)の生成量を最大化できる。また任意で、イソオクテンおよび/またはペンタメチルヘプテンをイソオクタン、ペンタメチルヘプタンにそれぞれ還元するために必要な水素を供給する目的で、脱水素環化に供給するオレフィンの相対量を増加することもできる。
【0042】
あるいは、芳香族化合物およびブタジエン等のジエンの生成量を最大化するのが望ましい場合には、ブタジエンおよびベンゼン、キシレン(および/またはスチレン、クメン等の下流生成物)等の芳香族化合物の生成量を最大化するようにプロセスを調整できる。直鎖状ブテンからブタジエンへの脱水素化、または芳香族を形成する脱水素環化で生成された余剰水素は、販売するか、イソオクテンおよび/またはペンタメチルヘプテンからイソオクタン(例えばガソリン用)および/またはペンタメチルヘプタン(例えばジェット燃料用)への水素化に利用できる。このように、本発明の統合的プロセスに送る供給原料の量および組成、ならびに、本明細書に記述する多様な単位操作で生成される生成物の相対数量を増減することにより、生成物の全体的価値を最大化でき、同時に、統合プロセスで生成される再生可能な炭素および水素(任意)を完全に利用することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、供給原料であるエタノールおよびイソブタノール中の炭素の大部分または全部と、脱水素化および/または脱水素環化で生成される再生可能水素の大部分または全部を利用して、再生可能飽和炭化水素燃料または燃料性生成物流、および1つ以上の追加の高価値生成物流を形成する。このプロセスで生成される炭素および水素を完全利用する上での制約の範囲内で、飽和炭化水素燃料または燃料添加物の量、および他の高価値生成物流の選択と量を調節でき、それにより、さまざまな生成物流に対する市場需要および市場価値の変動に対応することができる。
【0044】
(アルコールの生成)
本明細書に記述するように、再生可能組成物を生成するための本発明のプロセスは、概して、バイオマス等からの再生可能アルコール(例えば、再生可能エタノールや再生可能イソブタノール)の形成から始まる。「バイオマスからの形成」という語には、発酵、熱化学(例えばフィッシャー−トロプシュ法)、光合成等を含む複数の方法の任意の組み合わせが含まれる。再生可能アルコール(例えばエタノールとイソブタノール)流をバイオマスから調製するには、同一方法を使用しても、複数の異なる方法を使用してもよい。あるいは、複数の異なる方法を組み合わせてエタノールおよび/またはイソブタノールの一部分を調製することもできる。本明細書に記述する統合的プロセスでは、さまざまな再生可能アルコール、例えばエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール等(および対応する再生可能オレフィンその他の化学物質)を生成し、利用することができる。
【0045】
発酵により再生可能エタノールと再生可能イソブタノールを形成する場合は、発酵プロセス用の供給原料には、当該技術分野で公知となっている任意の好適な発酵性供給原料を使用できる。例えば、サトウキビ、トウモロコシ等の農作物に由来する糖類を使用できる。あるいは、リグノセルロース系バイオマス(例えば木質、トウモロコシ茎葉、スイッチグラス、牧草、海洋バイオマス等)などのバイオマスを加水分解することにより、発酵性供給原料を調製することもできる。リグノセルロース系バイオマスを発酵性糖類に変換する方法としては、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素加水分解、またはこれらの組み合わせなど、当該技術分野で公知となっているさまざまなプロセスを使用できる。このようなプロセスでは、バイオマスの炭水化物成分(セルロース、ヘミセルロース等)を加水分解により構成糖に分解して、得られた構成糖を、本明細書に記述する好適な微生物で発酵させることにより、エタノールまたはイソブタノールを得ることができる。
【0046】
木質植物は、通常、セルロース約40〜50%、ヘミセルロース20〜30%、およびリグニン20〜28%のほか、少量の無機物および他の有機抽出物を含む。セルロース成分は、β−1,4−グリコシド結合で結合したグルコース単量体を含む多糖である。ヘミセルロース成分も多糖であるが、さまざまな五炭糖(通常はキシロースとアラビノース)、六炭糖(ガラクトース、グルコース、およびマンノース)、ならびに4−O−メチルグルクロン酸およびガラクツロン酸の残基を含む点が異なる。セルロース成分とヘミセルロース成分を加水分解すると発酵性の五炭糖と六炭糖が得られ、本明細書に記述する発酵の供給原料として使用可能になる。残りの炭素化合物、リグニン(複雑な分枝状のポリフェノール性物質)、および有機抽出物(ワックス、オイル、アルカロイド、タンパク質、樹脂、テルペン等)は、加水分解プロセスのさまざまな段階で糖から分離でき、多様な方法で利用できる。例えば、燃焼により、発酵プロセスおよび/または後続プロセス(例えば、脱水、オリゴマー化、脱水素化等)で使用するエネルギー/熱を提供する燃料が得られる。
【0047】
一実施形態では、本明細書に記述するように、1つ以上の発酵ステップでエタノールとイソブタノールの両方を形成する。再生可能なエタノールおよびブタノールを調製するには、任意の好適な微生物を使用できる。エタノールの生成は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)など当該技術分野で公知となっている微生物を使用できる。ブタノールの生成には、例えば、米国特許公開番号第2007/0092957号、第2008/0138870号、第2008/0182308号、第2007/0259410号、第2007/0292927号、第2007/0259411号、第2008/0124774号、第2008/0261230号、第2009/0226991号、第2009/0226990号、第2009/0171129号、第2009/0215137号、第2009/0155869号、第2009/0155869号、第2008/02745425号等に記述されている微生物を使用できる。加えて、ブタノールその他の高級アルコールは、糖の発酵によるエタノール生成時に酵母菌により生成される。これらのフーゼルアルコールは、ビールおよびワインを製造する工業発酵の技術分野で公知となっており、こうした製品の味覚と安定性に及ぼす効果が広範に試験されている。最近では、操作された(engineered)微生物を使用したフーゼルアルコールの生成が報告されている(米国特許出願番号第2007/0092957号およびNature 2008(451)86−89)。
【0048】
大部分の実施形態では、発酵による再生可能エタノールおよび再生可能イソブタノールの調製は、発酵槽内および/または各アルコールの発酵に最適な条件下で実施する。すなわち、再生可能エタノールの生成で使われる1つ以上の発酵槽は、エタノール生成用に最適化され、エタノール生成用に最適化された条件下で操作される(例えば、エタノールを高収率で生成する微生物、エタノール生成微生物に最適な好適栄養素を有する発酵性供給原料、エタノール生成用に最適化された温度条件とエタノール回収単位操作を使用するなど)。同様に、再生可能イソブタノールも、イソブタノール生成用に最適化された条件下の1つ以上の発酵槽内で生成される(例えば、イソブタノールを高収率で生成する微生物、イソブタノール生成微生物に最適な好適栄養素を有する発酵性供給原料、イソブタノール生成用に最適化された温度条件とイソブタノール回収単位操作を使用するなど)。いくつか特定の実施形態では、エタノールは従来のエタノール発酵プラントで生成し、イソブタノールは、例えばUS2009/0171129に記述されているように、エタノール発酵プラントをイソブタノール生成用に改造したプラントで生成する。
【0049】
一実施形態では、改良したエタノールプラントには、任意の前処理装置、複数の発酵装置、およびイソブタノールを生成するためのビール蒸留器が含まれる。イソブタノールの生成では、供給原料(すりつぶしたトウモロコシ等)を任意で前処理して、前処理装置内に発酵性糖を形成する。本明細書に記述するような好適な微生物を、1つ以上の発酵装置内の発酵性糖を含む発酵培地で培養して、イソブタノールを生成する。イソブタノールは、本明細書およびUS2009/0171129に記述されているように発酵培地から回収できる。
【0050】
また、熱化学的方法によるバイオマス変換などの他のさまざまな方法でも、再生可能なエタノールとブタノールを生成できる。熱化学的方法では、例えば、バイオマスを気化して合成ガスを生成し、次いで、各種元素(銅、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、その他の金属、およびリチウム、ナトリウム、および/またはカリウムなどのアルカリ金属など)を含有する触媒の存在下で、合成ガスからアルコールに触媒転換する(Energy and Fuels 2008(22)814−839)。エタノール、ブタノールなどの各種アルコールは蒸留により混合物から分離でき、本明細書に記述する再生可能エチレン、再生可能ブテン、または再生可能エチレンおよび/または再生可能ブテンに由来する化合物の調製に使用できる。エタノールおよびイソブタノール以外のアルコールは、回収して、他のプロセスの供給原料として利用する、燃料として燃焼する、燃料添加物として使用するなどの用途で利用できる。
【0051】
あるいは、再生可能なエタノールとブタノールを光合成的に生成することもできる。例えば、イソブタノール、イソペンタノール、および/または他のアルコール類を生成するように操作された藍藻類または藻類を使用する(例えばSynechococcus属elongatus PCC7942、Synechocystis属PCC6803など。Angermayrら,Energy Biotechnology with Cyanobacteria,Curr Opin Biotech 2009(20)257−263;Atsumi and Liao,Nature Biotechnology 2009(27)1177−1182;Dexterら,Energy Environ.Sci.2009(2),857−864,およびこれらの各文献で引用されている文献を参照)。光合成的に生成する場合、再生可能アルコールを得るための「供給原料」は、光合成生物(例えば藍藻類、藻類)に与えられる光、水、およびCOである。
【0052】
発酵中(または、再生可能なエタノールおよびブタノールを調製する、本明細書に記載の他のプロセス中)に生成される、ブタノールとペンタノール以外の高級アルコールは、後続の単位操作(脱水など)を実施する前にエタノールまたはブタノールから除去してよい。ブタノール(イソブタノール等)またはペンタノール(1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、分枝状または環式ペンタノール等)からこれらの高級アルコールを分離する操作は、蒸留、抽出等の公知の方法を使って実施できる。あるいは、これらの高級アルコールをブタノールまたはペンタノール中に混合したままにしておき、後続処理の後に除去することもできる。例えば、イソブタノールと混合している任意の高級アルコールをイソブタノール流で脱水して、対応するオレフィンを得た後、混合ブテンから分離できる。こうした高級アルコールを脱水前に除去するか、それとも脱水後、対応するオレフィン(または対応する脱水素副生成物/副産物)から除去するかの判断は、一般に、各分離操作の相対的な容易さとコスト、および副生成物/副産物の相対的価値によって決まる。場合によっては、こうした副生成物は十分少量であるため、副生成物を除去するのは非経済的であることもある。この場合、後続生成物がこうした不純物を許容するのであれば、この少量不純物を有した生成物オレフィン流を直接使用してよい。例えば、後続の生成物混合ブテン流の重合(および、それにより生成される生成物重合体の特定化)において、少量のペンテンまたは他のオレフィン等が許容可能であるため、こうした少量成分の分離は不要な場合がある。あるいは、いくつかのケースでは、ペンタノールなどの高級アルコール(1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、分枝状または環式ペンタノール等)を、本発明の統合的プロセスで使用するのに十分な量で生成してもよい。例えば、直鎖状ペンタノール等の高級アルコールを十分な量で生成し、後続の反応/処理を行って、本発明の統合的プロセスのための追加の供給原料(ペンテン、ペンタジエン等)を供給してもよい。必要に応じて、他の高級アルコールも同様に生成、分離、処理、反応等を行ってよい。
【0053】
(発酵からのアルコールの単離)
発酵により再生可能なエタノールおよびイソブタノールを調製する場合は、当該技術分野で公知の方法、例えばスチームストリッピング、蒸留、浸透気化法等を使用して発酵槽からエタノールを除去できる(Perry & Chilton,Chemical Engineer’s Handbook,4th等を参照)。
【0054】
イソブタノールも、分別蒸留、溶媒抽出(例えば、本明細書に記述するように調製された、再生可能なオリゴマー化炭化水素、再生可能な水素化炭化水素、再生可能な芳香族炭化水素等の再生可能溶媒を用いる)、ガスストリッピング、吸着、浸透気化法などの各種方法や、これらの方法の組み合わせにより、脱水の前に発酵槽から除去できる。いくつかの実施形態では、減圧下の発酵槽から蒸気相におけるエタノールおよびブタノールを除去する(例えば、米国特許出願公開番号第2009/0171129号に記載のように、水との共沸混合物として除去する)。このような実施形態のいくつかでは、発酵槽自体を、減圧下で、追加の加熱なく(微生物に最適発酵条件を与えるために使用する熱を除く)、かつ蒸留設備を使用せずに操作し、生成したイソブタノールを水蒸気(または共沸混合物)として発酵槽から除去する。このような実施形態の他のいくつかでは、発酵槽をほぼ大気圧下、または(例えば、発酵時のCO等のガス発生のため)少し上昇した圧力下で操作し、イソブタノールを含有する供給原料の一部分を、減圧下で操作するフラッシュタンクに連続的に再循環させる。これにより、フラッシュタンクのヘッドスペースから、イソブタノールを水蒸気または水との共沸混合物として除去する。後者の実施形態は、エネルギーや機器を大量に使用する単位操作(蒸留等)なしにイソブタノールを分離でき、さらに、発酵の代謝性副生成物を連続的に除去することにより、発酵プロセスの生産性を向上するという利点がある。取得した含水イソブタノール(wet isobutanol)は、乾燥してから脱水するか、(本明細書に記載のように)脱水後に乾燥できる。
【0055】
炭水化物の発酵により再生可能イソブタノールを生成した場合、通常、少量(<5% w/w)の3−メチル−1−ブタノールと2−メチル−1−ブタノール、および、これよりはるかに少量レベルの他の燃料アルコールが一緒に生成される。これらの副産物を形成する1つの機構として、操作により宿主微生物に導入されたイソブタノール生成代謝経路が、疎水性アミノ酸生合成における中間体を使用することが挙げられる。3−メチル−1−ブタノールと2−メチル−1−ブタノールに変換される中間体の生成に関与する遺伝子は公知となっており、この遺伝子を操作することにより、上記の発酵で生成される3−メチル−1−ブタノールの量を制御することができる(例えばConnor and Liao,Appl Environ Microbiol 2008(74)5769を参照)。この遺伝子を除去すると、3−メチル−1−ブタノールおよび/または2−メチル−1−ブタノールの生成を無視できる量まで減少可能であり、他方、典型的な発酵において任意の量の3−メチル−1−ブタノールを生成するように、この遺伝子の過剰発現を調整することができる。代わりの方法としてバイオマスから熱化学的に混合アルコールへと変換する場合は、イソブタノールと、これらのペンタノールの両方が生成される。したがって、バイオマスを熱化学的に変換する場合は、特定の触媒および/または反応条件(例えば、温度、圧力等)を使用することにより、これらのアルコール類の相対量を調整できる。
【0056】
(エチレンおよびブテンへの脱水)
本明細書に記述する生化学的または熱化学的生成ルートで再生可能なエタノールおよびブタノールを取得した後は、適切な条件下で脱水触媒を介して当該アルコールを反応させることにより、それぞれ対応するオレフィンに変換することができる(例えば図1を参照)。エタノール、イソブタノール等のアルコールをエチレンやブテンに変換する代表的な脱水触媒には、各種の酸処理および未処理アルミナ(例えばγ−アルミナ)、ゼオライト(例えば、β型ゼオライト、ZSM−5またはY型ゼオライト、フッ化物処理したβゼオライト触媒、フッ化物処理した粘土触媒等)を含むシリカ触媒および粘土、スルホン酸樹脂(例えば、Amberlyst(登録商標)15等のスルホン化スチレン樹脂)、リン酸、硫酸等の強酸、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム等のルイス酸、ならびに、金属酸化物(例えば、酸化ジルコニウム、二酸化チタン)、金属塩化物等の多くの多様な金属塩が含まれる(例えばLatshaw BE,Dehydration of Isobutanol to Isobutylene in a Slurry Reactor,Department of Energy Topical Report, February 1994)。
【0057】
脱水反応は、多くのさまざまな反応器構成において、不均一系、均一系両方の触媒システムを用いて、気相、液相の両方で実施できる(例えば図2を参照)。多くの場合、使用する触媒は、反応で生成される水に対して安定である。この水は通常、生成物と共に反応領域(reaction zone)から除去される。得られたアルケンは、反応器の状態に応じて気相または液相の状態で反応器を出る。そして、下流で分離および/または精製されてもよく、あるいは本明細書に記述するように、反応器内でさらに別の化合物(例えば異性体、二量体、三量体等)に変換されてもよい。脱水反応で生成された水は、未反応のアルコールおよびアルケン生成物と共に反応器を出て、蒸留または相分離により分離されてよい。脱水ステップでは大量の水が発生するため、使用される脱水触媒は一般に、水に対する耐性を有する。よって基質と生成物から水を除去するプロセスを、脱水ステップを有する任意のプロセスの一部に含めてよい。こうした理由から、含水アルコール(wet alcohol)(例えば最大約95または98重量%の水)を脱水反応の基質として使用することが可能であり、アルコールと共に反応器供給流内に入った水を、脱水反応中または脱水反応後に、脱水反応で生成された水と一緒に除去することが可能である(例えば、米国特許番号第4,698,452号および第4,873,392号に記述されているようなゼオライト触媒を使用する)。加えて、中性のアルミナおよびゼオライトを使用してアルコールからアルケンへと脱水できるが、これらに対応する酸性触媒と比べて、概して高温、高圧で脱水する。いくつかの実施形態では、脱水ステップの後、脱水反応で生成したアルケンをあらかじめ単離してから、後続プロセスのステップ(例えばオリゴマー化、脱水素化、不均化等)の供給原料として使用する。プロセスの個々の構成によっては、脱水反応器で形成したアルケンを単離すると、いくつか利点が得られる場合がある。例えば、脱水を気相の状態で実施して、後続プロセスのステップは液相で実施できる。しかし、本発明のプロセスのいくつか別の実施形態では、アルケンを単離することなく、脱水反応器の生成物流からそのまま使用することができる(例えば、脱水と後続プロセスのステップを類似の温度・圧力条件下で実施する場合、および/または後続のステップが水に対して比較的無反応である場合など)。
【0058】
再生可能エチレンは、再生可能エタノールの脱水により直接的に生成してよい。しかし、1−ブタノール、2−ブタノール、またはイソブタノールを脱水すると、4つのCオレフィン、すなわち1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、およびイソブテンの混合物が形成され得る。各ブテン異性体の生成物流中の正確な濃度は、各異性体の構造の熱力学により決定される。ゆえに、生成物流中のブテン異性体の分布に影響するように、反応条件と使用触媒を操作することができる。このように、特定の異性体が豊富なブテン混合物を取得できる。しかし、脱水により単一のブテン異性体を生成するのは概して困難である。例えば、イソブタノールをγ−アルミナ触媒を介して280℃で脱水する場合、この温度で予想される平衡濃度は〜57%であるが(図3を参照)、最大97%のイソブテンを生成するように最適化することができる。しかし、現在のところ、イソブタノールから99+%イソブテンへと円滑に脱水する公知の方法は存在しない(Saad L and Riad M,J Serbian Chem Soc 2008(73)997)。
【0059】
本発明のプロセスでは、イソブタノールの脱水条件は変更可能であり、その結果、所望の生成混合物に適したさまざまなブテン異性体組成を提供できる。例えば、本発明のプロセスで生成するプロピレンのレベルを(例えば本明細書に記載のようにエチレンと2−ブテンの不均化により)増加させるのが望ましい場合には、イソブタノール脱水反応条件(例えば、反応器温度、圧力、滞留時間、触媒同定等)を調整して、脱水生成物流中の2−ブテンの相対量を増加させることができる。
【0060】
あるいは、脱水反応と異性化反応を(本明細書に記述する適切な触媒および条件を使用して)さまざまな方法で組み合わせて、所望のブテン異性体分布を効果的に得ることもできる。例えば、2−ブテンの量を増加させたい場合は、本プロセスのさまざまな段階で(例えばイソブタノールの脱水後、および/または1−ブテンもしくはイソブテンを含有する供給原料を利用した他の単位操作の後)、1−ブテンおよびイソブテン異性体を一回以上異性化反応に再循環させて、追加の2−ブテンを生成し、これにより、2−ブテンの生成量を効果的に増加することができる。
【0061】
(メタセシスによるプロピレン生成)
プロピレンは、高級炭化水素類のクラッキング処理、および石油精製所の他のプロセスで生じる副生成物として、従来から生成されている。イソプロパノールやn−プロパノールなどの再生可能プロパノールを脱水して再生可能プロピレンを生成することも可能であるが(例えば、「ABE」と称される発酵プロセスで供給される再生可能アセトンや、熱化学プロセスによりバイオマスから生成するプロパノールから誘導する)、こうした「ABE」プロセスは概して比較的非効率であり、よって、得られる再生可能プロパノールは、石油化学由来のプロパノール(例えば、石油由来エチレンのヒドロホルミル化により生成)に対するコスト競争力がない。しかし、再生可能エチレンと再生可能2−ブテンの不均化により、より効率的に再生可能プロピレンを生成できる。本明細書に記述するように、エチレンは、エタノールの脱水により容易に生成でき、2−ブテンは、適切な条件下でのイソブタノールの脱水、および/または、イソブタノールの脱水で生成した再生可能なイソブテンもしくは1−ブテンの異性化により生成できる。
【0062】
再生可能プロピレンの調製に用いる具体的な単位操作は、出発物質の性質と、所望される最終生成物によって異なる。例えば、再生可能プロピレンの調製方法として、本明細書に記述するように、エタノールとブタノールを別々に脱水した後、生成したエチレンとブテンの少なくとも一部分を不均化する方法(例えば、エチレンとブテンの残りの部分は他の単位操作で使用する)や、イソブタノールとエタノールの混合物を脱水してエチレンとブチレンの混合物を得た後、少なくともその一部分を適切なメタセシス触媒の存在下で不均化して、プロピレンを得る方法がある。イソブタノールの脱水では、一般にブテン異性体の混合物が生成され、イソブタノールとエタノールの最適な脱水条件は、一般に多少異なる。このため、さまざまな実施形態において、イソブタノールとエタノールの脱水は別々に行う(例えば、別個の脱水反応器を使用するか、または同一の脱水反応器で時間を変えて実施する)。特定のいくつかの実施形態では、イソブタノールとエタノールの脱水は、1つ以上の個別のイソブタノール脱水反応器と1つ以上の個別のエタノール脱水反応器で行い、次いで、得られたエチレンと2−ブテンを、適切なメタセシス触媒の存在下で、1つ以上のメタセシス反応器内で反応させる。
【0063】
イソブタノールの脱水後に形成される個々のブテン混合物、および特定の中間体または生成物の価値によっては、各種ブテンの一部分にさまざまな追加の単位操作を加えることができる。例えば、未反応イソブテンの一部分を直鎖状ブテン(1−ブテンと2−ブテン)へと異性化し、この直鎖状ブテン(特に2−ブテン)を前の不均化ステップに再循環させる、イソブテンをアルコールまたは水と反応させて、例えばtert−ブチルエーテルまたはtert−ブタノールに変換する、オリゴマー化し水素化して、燃料用途に適した高級アルカン/アルケン(イソオクタン/イソオクテン等)を生成する、脱水素環化して芳香族化合物(o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン等のキシレンなど)を生成する、などの操作ができる。イソブテンの異性化は、別の異性化ステップで実施するか(例えば、個別の異性化反応器内で実施)、または不均化反応時に、適切に選ばれた触媒により、メタセシス反応器内においてその場で実施できる。
【0064】
いくつかの実施形態では、U.S.7,214,841に記載の方法と類似の方法で再生可能プロピレンを調製する。ここでは、本明細書に記述する方法で調製した再生可能ブテン(例えば、1−ブテン、2−ブテン、および/またはイソブテンを含む混合物)と再生可能エチレンを、メタセシス触媒の存在下で反応させる。メタセシス触媒の存在下では、イソブテンは再生可能1−ブテンまたは2−ブテンとも反応する可能性がある(例えばペンテンとヘキセンの混合物を生成する)ため、さまざまな実施形態において、メタセシスステップの前にブテン混合物からイソブテンを除去して、ペンテンとヘキセンの形成を最小化する。しかし、ペンテンとヘキセンは簡単にエチレンとプロピレンから分離でき、本発明のプロセスのその後の単位操作の化学中間体や、燃料ブレンドストック(fuel blend stocks)等として使用できる。したがって、いくつかの実施形態では、メタセシス反応の供給原料からイソブテンを除去せずに、得られたペンテンとヘキセンをその後除去して、本明細書に記載のように利用し、同時に、エチレンを供給原料としてメタセシス反応に再循環させることができる(そしてプロピレンを回収できる)。メタセシス生成混合物中にイソブテンが残っている場合は、このイソブテンを除去して、別の転位ステップに再循環させるか(例えば直鎖状ブテンを生成する)、または、本明細書に記載のように他のプロセスに転用することができる(例えば、オリゴマー化、酸化等によりバイオ燃料、アクリル酸塩、芳香族化合物等を生成する)。
【0065】
さまざまな実施形態において、メタセシス反応器内で、本明細書に記述する適切なメタセシス触媒の存在下で、再生可能エチレンと再生可能2−ブテンの約1.3:1モル混合物を反応させることにより、再生可能プロピレンを形成する。再生可能エチレンと再生可能2−ブテンの約1.3:1モル混合物を形成するには、再生可能エタノールの脱水で形成した再生可能エチレンの適切な一部分と、再生可能イソブタノールの脱水で形成したブテン異性体混合物から単離した再生可能2−ブテンの一部分を混合する。再生可能2−ブテンを得る方法については、イソブタノールの脱水後に形成されるブテン異性体の混合物から、分留、吸収等の適切な方法を使用した分離により、再生可能2−ブテンを得ることができる。他の実施形態では、メタセシス供給原料流の組成および/またはメタセシス反応条件(例えば、温度、圧力、滞留時間等)に応じて、再生可能エチレンと再生可能2−ブテンのモル比を調整することができる。これにより、所望のメタセシス生成物(プロピレン等)の生成量を最大化でき、あるいは後続単位操作の生成物流の組成を調整できる。例えば、供給原料にプロピレン、イソブテン、および直鎖状ブテンの混合物が含まれる場合、副反応が生じて、エチレンと反応する2−ブテンの量が減少することがある。これを補うため(その結果、例えばプロピレンの生成量を最大化するため)、供給原料中の2−ブテンのモル比を増加するのが望ましい場合がある。あるいは、メタセシス反応器内で1−ブテンおよび/またはイソブテンから2−ブテンへの異性化を促進するようにメタセシス条件(例えば、酸化マグネシウム等の異性化触媒の追加)が選択されている場合、供給原料に含まれる2−ブテンのレベルを下げることができ、その結果、供給原料に最初に存在している2−ブテンから最適レベルの2−ブテンが供給され、メタセシス反応中のイソブテンおよび/または1−ブテンの異性化により2−ブテンがその場で生成される。
【0066】
さらに別の実施形態では、選択的にイソブテンをイソオクテンに変換する条件下で(例えば、Kamathら,Ind Engr Chem Res 2006(45)1575−1582の方法を使用して)、酸性イオン交換樹脂を介して混合ブテンをオリゴマー化し、かつ直鎖状ブテンは実質的に未反応のままとすることにより、実質的にイソブテンのない直鎖状ブテン混合物が得られる(例えば、約10%、5%、4%、3%、2%、1%未満、または、これらの値の範囲内もしくはこれらの値より小さい他の任意の値もしくは範囲内のイソブテンを含有する)。混合直鎖状ブテンからイソオクテンを分離した後は、この実質的にイソブテンのない再生可能直鎖状ブテンを再生可能エチレンと合わせ、メタセシス触媒の存在下で反応させて、再生可能プロピレンを形成できる。
【0067】
エチレンと直鎖状ブテン(例えば1−および/または2−ブテン)の不均化/メタセシスは、1つ以上の好適なメタセシス触媒の存在下で実施できる。この1つ以上のメタセシス触媒には、本明細書に記載のようにイソブテンから直鎖状ブテン(特に2−ブテン)への転位を触媒する可能性のある1つ以上の成分が含まれてもよい。好適なメタセシス触媒の非限定的リストには、例えば、タングステン、モリブデン、レニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、鉄、カリウム、クロム、オスミウム等の金属の酸化物、水酸化物、または硫化物が含まれる。これらの金属酸化物/水酸化物/硫化物は、シリカ、γ−アルミナ、チタニア等、触媒技術分野で公知となっている高表面積(例えば10m/g以上)の無機担体上に担持することができる。また、触媒活性および/または特異性を高めるため、メタセシス触媒はプロモーター化合物(promoter compound)を含有することもできる。例えば、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物、セシウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、亜鉛化合物、イットリウム化合物を含有できる(例えば、Banks RL and Kukes SG,J Molec Cat 1985(28)117−1311;米国特許公開第2008/0312485号;および米国特許第4,575,575号および第4,754,098号に記述されているような元素形態および酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩等)。または、ハイドロタルサイト等のプロモーターを含む無機化合物を含有でき、あるいは、特定の実施形態では、(例えば、米国特許第7,214,841号に記述されているような)シリカ担持酸化タングステンおよび酸化マグネシウムを含有できる。他の実施形態では、アルミナ担持酸化レニウムを含む触媒の存在下で、(本明細書に記述するように再生可能イソブタノールの脱水により生成された)再生可能直鎖状ブテンを再生可能エチレンと反応させる。
【0068】
好適なメタセシス反応条件には、U.S.3,261,879に記載されている条件が含まれる。すなわち、温度範囲は約250°F〜約550°Fであり、圧力範囲は約0〜1500psigであり、WHSV値の範囲は約0.5〜20hr−1であり、エチレンの過剰モルは最低30%(例えば、エチレンのモル数はブテンの少なくとも約1.3倍)である。あるいは、好適なメタセシス反応条件には、米国特許出願公開番号第2008/0312485号に記載されている条件が含まれる。すなわち、触媒は、シリカ担持酸化タングステンとハイドロタルサイトの混合物を含み、反応温度は約200℃であり、反応圧力は約3.5MPaである。
【0069】
大部分の実施形態では、メタセシス供給原料中の再生可能なブテンおよびエチレンを精製することにより、メタセシス触媒を「被毒する」可能性のある不純物を除去する。例えば、精製で除去する物質には、水;二酸化炭素、アルコール、アルデヒド、酸等の酸素化物;窒素または窒素含有化合物;硫化水素、硫化エチル、硫化ジエチル、エチル硫化メチル等の硫黄含有化合物;アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン;ブタジエン等のジエン等が含まれる。いくつかの実施形態では、精製処理には(本明細書に記述するような)イソブテンの除去が含まれる場合がある。さまざまな実施形態において、メタセシス供給原料中のこれらの不純物のレベルは約10ppm未満に維持され、大部分の実施形態では、1ppm未満に維持される。精製処理は、従来の方法、例えば米国特許番号第3,261,875号および第7,214,841号または米国特許出願公開番号第2008/0312485号に記述されている方法で実施できる。これらの方法では、メタセシス供給原料を、アルミナ、ゼオライト、マグネシウム、および他の金属酸化物を含む吸収剤床(absorbent bed)上に通過させる。大部分の実施形態では、「被毒」したメタセシス触媒を約>1000°Fの空気中で再生できる。特定の実施形態では、本明細書に記述するように、酸素(例えば空気)の存在下でメタセシス触媒を加熱することにより、メタセシス触媒を周期的に再生する。例えば、本発明のプロセスは、2つ以上のメタセシス反応器を用いることができ、いずれかのメタセシス反応器が稼働中のとき、残りのメタセシス反応器の少なくとも1つが再生されるようにして、プロセスの継続動作を可能にする。
【0070】
(イソブテンおよび直鎖状ブテン)
本明細書に記述するように、イソブタノールを脱水すると、通常、イソブテンと直鎖状ブテンを含むブテン異性体混合物が得られる。使用する脱水条件により、イソブタノール脱水生成物流中のブテン混合物に含まれるイソブテンの量が変化し得る。例えば、比較的低温で脱水した場合、一般に、ブテン生成物流の比較的高い割合をイソブテンが構成する(図3を参照)。したがって、(例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム、その他のブテン共重合体、キシレン等を生産する目的で)比較的高レベルのイソブテンの生成が所望される場合には、イソブタノール脱水プロセス条件を調整して、イソブタノール脱水生成物流中の生成イソブテンの割合を増加させることができる。残りの直鎖状ブテンは、(例えば別の異性化反応器中で)異性化して追加のイソブテンを形成し、このイソブテンを、脱水で生成したイソブテンと組み合わせるか、他のプロセスに転用することができる。例えば、オリゴマー化、脱水素化、脱水素環化、直鎖状ブテンへの異性化(この直鎖状ブテンをエチレンと不均化してプロピレンを形成する)などの転用ができる。
【0071】
あるいは、(例えばエチレンと不均化してプロピレンを形成する、脱水素化してブタジエンを形成する等の目的で)比較的高レベルの直鎖状ブテンが所望される場合には、直鎖状ブテンが形成される割合を増加するようにイソブタノール脱水プロセス条件を調整し(例えば、脱水プロセスの温度を高くする)、イソブタノール脱水生成物流からイソブテンを分離し、(例えば別の異性化反応器中で)異性化して追加の直鎖状ブテンを形成し、この直鎖状ブテンと当初形成された直鎖状ブテンとを合わせることができる。あるいは、所望される生成物がブタジエンである場合には、直鎖状ブテンとイソブテンの混合物を脱水素化して、イソブテンとブタジエンの混合物を形成できる。イソブテンは、直鎖状ブテンからブタジエンを形成する脱水素化条件に対して実質的に反応しないため、未反応のまま生成物流中に残り、容易にブタジエンから分離できる。分離した未反応のイソブテンは、再循環させ異性化して追加の直鎖状ブテンを形成するか、または他のプロセスステップに転用することができる。
【0072】
(ブタジエン)
ブタジエン等のジオレフィン(ジエン)は、石油化学精製所において、石油化学用途用にC含有オレフィン流を生成するクラッキング反応により従来から製造されている。追加のジオレフィンが必要な場合は、Cモノオレフィンの脱水素化により生成できる。例えば、ラフィネート2を脱水素化触媒上に通過させることでブタジエンを生成できる。
【0073】
脱水素化触媒により、有機分子中の飽和炭素−炭素結合が不飽和二重結合に変換される(図4を参照)。代表的な脱水素化触媒としては、特定のオレフィンに対する多様な選択性を有する金属酸化物の混合物が挙げられる。例えば、いくつかの酸化的脱水素化では、鉄−亜鉛酸化物の混合物は1−ブテンの脱水素化に有利に作用し、コバルト−鉄−ビスマス−モリブデン酸化物の混合物は2−ブテンの脱水素化に有利に作用する(例えばJungら,Catalysis Letters 2008(123),239を参照)。脱水素化触媒の他の例には、バナジウムおよびクロム含有触媒(例えばToledo−Antonioら,Applied Catalysis A 2002(234)137を参照)、フェライト触媒(例えばLopez Nietoら,J Catalysis 2000(189)147を参照)、酸化マグネシウム添加モレキュラーシーブ(例えばKrishnan VV and Suib SL,J Catalysis 1999(184)305を参照)、銅−モリブデン触媒(例えばTiwariら,J Catalysis 1989(120)278を参照)、およびビスマス−モリブデンベースの触媒(例えばBatistら,J Catalysis 1966(5)55を参照)などがある。
【0074】
オレフィン分子が1つ以上の追加の二重結合に適応できる場合、オレフィンの脱水素化でジオレフィンまたはポリオレフィンが生成される。例えば、1−ブテンを脱水素化してブタジエンが得られる(図5を参照)。概して骨格転位が不要であるとき(1つ以上の水素移動による転位等)、脱水素化触媒は、分子中のオレフィン結合を転位して第2のオレフィン結合に適応する能力も有するが、こうした脱水素化触媒は通常、脱水素化条件下では骨格転位(C−C結合の切断と再形成等)を触媒しない。例えば、2−ブテンを脱水素化してブタジエンを生成できるが、イソブテンについては、骨格転位と脱水素化の両方を促進するように反応条件/触媒が選択されていない限り、通常、同一プロセスで脱水素化してブタジエンが生成されることはない。代わりに、1つ以上のプロセス単位を用いて、イソブテン含有流を異性化条件下におき、直鎖状ブテン(例えば本明細書に記述する直鎖状ブテン)の形成を促進して骨格転位を生じさせ、次いで、脱水素化条件下におき、混合ブテン流からのブタジエンの生成を最大化することができる。
【0075】
従来より、飽和物質からオレフィンを生成する目的で、主に2種類の脱水素化反応が使われている(例えばBuyanov RA,Kinetics and Catalysis 2001(42)64を参照)。第1のタイプである吸熱脱水素化反応では、脱水素化触媒(例えば、クロミア−アルミナベース、スピネル担持白金ベース、リン酸塩ベース、および酸化鉄ベースの触媒)、高熱(一般に480〜700℃)、および、水素ガスの形成に有利に作用して反応を前進させる反応器構成(一般に固定床および流動床反応器)を使用する。また、供給原料をヘリウム、窒素、蒸気等の気体で希釈して、反応物中に形成される水素の分圧を低下させる。あるいは、生成物の形成を促進するため、減圧下(例えば0.1〜0.7atm)で反応させて反応物中の水素の分圧を低下させる場合もある。脱水素化の第2のタイプである発熱脱水素化反応では、一般に、酸素の非存在下で触媒が機能して、酸化生成物の形成を最小化する(例えば、供給原料にブテンが含まれる場合のメタクロレインおよびメタクリラート)。酸化的脱水素化は、一般に、混合金属酸化物ベースの脱水素化触媒(一般にモリブデン、バナジウム、またはクロムを含有)、比較的低い温度(300〜500℃)、および固定床または流動床反応器構成を使用する。反応を促進するため、プロセスにおいて反応物に酸素を添加する場合がある。導入した酸素は、生成された水素と反応して水を形成し、それにより反応器内の水素の分圧を低下させ、追加の生成物の形成に有利に作用する。どちらのタイプの脱水素化反応も、本明細書に記述する本発明に適用できる。水素の生成が所望されるいくつかの実施形態では、吸熱脱水素化を使用でき、反応条件を最適化して、(例えば、本明細書に記述する水素化反応や単位操作でその後使用するために)水素の捕捉を最大化できる。
【0076】
第2のオレフィン結合に適応できる脱水素化触媒のオレフィンに対する選択性を用いて、ジエン(ブタジエン等)を調製できる。あるいは、この選択性を、オレフィン混合物を精製する方法として使用することもできる(例えば、非反応性モノオレフィンからのジエンの分離を促進する)。例えば、本明細書に記述するように、イソブタノールを脱水すると、通常はイソブテンおよび1−ブテンと2−ブテンが生成される。この生成混合物を脱水素化触媒で処理すると、1−ブテンと2−ブテンが選択的にブタジエンに変換されるが、イソブテンは変換されない。脱水素化反応時にイソブテンの何らかの骨格転位が発生する可能性があるが、この転位物質は一般に、脱水素化されてブタジエンを形成する。完全に脱水素化した後は(完全な脱水素化には、場合によっては未反応ブテンを前の脱水素化供給原料へ再循環させる必要がある)、ブタジエンの抽出蒸留により、ブタジエンと未反応イソブテンを容易に分離できる。これにより、重合用の単量体供給原料としての用途等に適した、高純度(約80〜100%、例えば>約80%、>約85%、>約90%、>約95%、>約98%、>約99%、または>約99.8%)のイソブテン流とブタジエン流が生成される。
【0077】
再生可能直鎖状ブテンは、再生可能ブタジエンへと容易に脱水素化することができる。よって、本発明のプロセスでは、再生可能イソブテンの脱水で生成した直鎖状ブテンの一部分を脱水素化して、1,3−ブタジエンを生成できる。直鎖状ブテンの典型的な脱水素化条件の下では、イソブテンは比較的不活性である。よって、本プロセスのさまざまな実施形態において、直鎖状ブテンとイソブテンの両方を含有するブテン混合物を脱水素化して、ブタジエンを生成できる。いくつかの実施形態では、脱水反応の前に、脱水生成物/脱水素化供給原料からイソブテンを除去するのが望ましい場合がある(例えば、それにより、脱水供給原料が本質的に直鎖状ブテンだけを含むようにする)。直鎖状ブテンとイソブテンの混合物を脱水素化した場合、脱水素化生成物流には、ブタジエン、未反応イソブテン、および任意で未反応にされた直鎖状ブテン(低変換条件で生成された場合等)が含まれる。いくつかの実施形態では、未反応直鎖状ブテンの少なくとも一部分を前の脱水素化反応器に再循環させ、直鎖状ブテンをさらにブタジエンに変換できる(それによりブタジエンの全収率を向上させる)。かつ/または、未反応直鎖状ブテンの一部分をエチレンの少なくとも一部分と反応させて、(本明細書に記述するように)プロピレンを生成することができる。未反応のイソブテンは、ブタジエンから分離でき、未反応のイソブテンの少なくとも一部分を、別の異性化ステップに再循環させることができる(例えば、図6に示すように直鎖状ブテンを生成する)。あるいは、本明細書に記述するように、未反応イソブテンの一部分を他のプロセスに転用することもできる(例えば、オリゴマー化、酸化等によりバイオ燃料、アクリル酸塩、芳香族化合物等を生成する)。未反応イソブテンを直鎖状ブテンに異性化する場合、直鎖状ブテンの少なくとも一部分を前の脱水素化ステップに再循環させて、追加のブタジエンを生成できる。あるいは、エチレンを用いた不均化等の他のプロセスに転用して、追加のプロピレンや、アルキル化した芳香族化合物等を生成することができる。
【0078】
さらに別の実施形態では、混合ブテンを、酸性イオン交換樹脂を介して、選択的にイソブテンをイソオクテンに変換する条件下で(例えば、Kamath RSら,Industrial Engineering and Chemistry Research 2006,45,1575−1582の方法を使用して)オリゴマー化し、かつ直鎖状ブテンは本質的に未反応のままにして、実質的にイソブテンのない直鎖状ブテン混合物を得ることができる(例えばイソブテンの含有率は、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.7%未満、約0.6%未満、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、または約0.1%未満であり、これらの値の範囲および部分範囲を含む)。得られた本質的にイソブテンのない再生可能直鎖状ブテンの一部または全部を、脱水素化触媒の存在下で反応させ、再生可能ブタジエンを生成できる。さらに他のいくつかの実施形態では、混合ブテン流から、混合流中のイソブテンの選択的酸化等によりイソブテンを除去し、tert−ブタノールおよび/またはメチルtert−ブチルエーテル等を形成することができる。
【0079】
別の実施形態では、イソブタノールの脱水で生成される1−ブテンおよび2−ブテンの量を、反応温度で到達可能な平衡量(equilibrium amount)まで増加することができる(例えば図3を参照)。例えば、いくつかの実施形態では、350℃のとき、イソブタノールの脱水で約50%のイソブテンと約50%の1−および2−ブテンを含む混合物が生成されるように、脱水触媒を選択する。得られた混合物の少なくとも一部分を脱水素化触媒で処理すると、イソブタノールから最大約50%の収率でブタジエンを生成できる。
【0080】
さまざまな実施形態において、脱水素化の前に、直鎖状ブテン混合物からイソブテンを除去できる。あるいは、イソブテンの不要な副反応を最小化するように脱水素化条件と触媒を選択した場合は、脱水素化反応ステップの後で生成物からイソブテンを除去できる。他のいくつかの実施形態では、イソブテンの一部分または全部を転用して、他の価値ある炭化水素を形成できる(例えば、オリゴマー化してバイオ燃料用のイソオクテン/イソオクタンを形成する、脱水素環化して燃料、フタル酸類用の芳香族化合物を形成するなど)。また、イソブテンを転位して直鎖状ブテン(1−および2−ブテン)を得て、この直鎖状ブテンを前の脱水素化反応ステップに再循環させて追加のブタジエンを形成し、それにより、供給イソブタノールに対するブタジエンの有効収率を50%超に上昇させることができる。イソブテンの全部を再循環させた場合、本発明のさまざまなプロセスにおいて、ブタジエンの有効収率は約100%に近づき得る。しかし、脱水素化中に何らかのクラッキングまたは「コーキング」が発生する可能性があるため、本発明のプロセスのブタジエンの収率は約90%以上になり得る(例えば、約95%以上、もしくは約98%以上、またはこれらの値の範囲内もしくはこれらの値より大きい他の任意の値もしくは範囲)。脱水素化生成物からブタジエンを除去した後、別の異性化ステップ(例えば別の異性化反応器内)でイソブテンの転位を発生させることができる。あるいは、脱水素化反応時に、適切に選択された触媒により(または好適な触媒混合物を使用して)、脱水素化反応器内のその場で発生させることもできる。例えば、イソブテンから直鎖状イソブテンへの転位も触媒する脱水触媒を選択したり、脱水触媒を異性化触媒と混合したりできる。イソブテンの転位に好適な代表的な酸触媒をいくつか挙げると、CBV−3020、ZSM−5、β Zeolite CP 814C、ZSM−5 CBV 8014、ZSM−5 CBV 5524 G、YCBV 870等のゼオライト;フッ素化アルミナ;酸処理シリカ;酸処理シリカ−アルミナ;酸処理チタニア;酸処理ジルコニア;ジルコニア、チタニア、アルミナ、シリカ担持ヘテロポリ酸、およびこれらの組み合わせ等がある。
【0081】
いくつか特定の実施形態では、実質的にイソブテンのない脱水素化反応ステップ(例えば、脱水素化供給流のブテン成分は、実質的に直鎖状ブテンのみを含む)に供給流を送るため、脱水反応ステップの後、生成物流からイソブテンを実質的に除去する。「実質的に除去」という語は、表示されている供給流または生成物流からイソブテンを除去する結果、除去後、供給流または生成物流中のイソブテンは、表示されている供給流または生成物流中のブテンの約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満、またはこれらの値の範囲内もしくはこれらの値より小さい他の値もしくは範囲)を構成することを意味する。脱水素化供給流の組成に関して使用する「実質的に〜のみ」という語は、直鎖状ブテンが、脱水素化供給流中のブテンの少なくとも約95%(例えば、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、またはこれらの値の範囲内もしくはこれらの値より大きい他の任意の値もしくは範囲)を構成することを意味する。
【0082】
一実施形態では、本明細書に記述する発酵により生成した再生可能イソブタノールから、再生可能ブタジエンを調製できる。イソブタノールは、このように生成された後、(本明細書に記述するように)直鎖状ブテンの収率を最大化する条件下で脱水される(例えば、約350℃で、γ−アルミナなどの不均一系の酸性触媒を使用する)。得られた〜1:1の直鎖状ブテン/イソブテンの混合物を脱水素化触媒に接触させて(例えば、酸化クロム処理したアルミナ、白金およびスズを含有するゼオライト、アルミナ、コバルトを含有するアルミナおよびモリブデンを含有するアルミナ等を約450〜600℃で接触させる)、ブタジエンおよび未反応イソブテンの混合物を形成する。ある特定の実施形態では、脱水素環化触媒は、アルミナ担持酸化クロムを含む市販の触媒である。残りのイソブテンは、本明細書に記述するように直鎖状ブテンに異性化して、脱水素化に再循環させて追加のブタジエンを生成する(これによりブタジエンの有効収率を高める)か、本明細書に記述するように、他のプロセスや材料の原料として使用できる。
【0083】
高級オレフィン
また、炭素数5及びより高分子量オレフィンは、個々に又は組み合わせて使用する様々な異なる反応を用いて、様々な方法によって再生可能なイソブタノール、及び/又は、再生可能なエタノールから本発明のプロセスによって調製することができる。再生可能なブテンは、例えば、酸触媒の存在下で、再生可能なブテン類(例えば、再生可能なイソブテン)をホルムアルデヒド(再生可能なホルムアルデヒド、例えば、熱化学プロセスによりバイオマスから生成されるメタノールから調製される)、又は、CO、及びHと反応することによるヒドロホルミル化により、再生可能な炭素数5のオレフィンに転換することができる(例えば、プリンス反応によって行われる。図6を参照のこと)。また、再生可能なペンテン類、ヘキセン類、及び高分子量オレフィンが、本明細書に記載されている通り、エチレンとブテンの混合のメタセシスからの副生成物として調製され得る(イソブテン及び1−ブテンを不均一化して、エチレン及びメチルペンテン類を形成することによって、2等量のイソブテンを不均一化して、ジメチルブテン類を形成すること等によって調製される等)。メタセシス反応、及びメタセシス反応条件(例えば、温度、圧力、触媒、滞留時間等)に加えるためのエチレンの相対量、及び様々なブテン異性体を変えることによって、メタセシス生成物流を、適宜調節して、所望の量のエチレン、プロピレン、ブテン、及び炭素数5のオレフィン、並びに高級オレフィンを提供することができる。特に、メタセシス供給原料における高濃度のイソブテン、及び/又は1−ブテンには、炭素数5の高レベルのオレフィン、及び高分子量オレフィンが好まれるであろう。
【0084】
次に、再生可能な炭素数5のオレフィンは(例えば、イソペンテン、3−メチル−1−ブテン、及び2−メチル−2−ブテン等)、例えば、脱水素触媒を用いて、上記の通り、ブテン類をブタジエンに転換するのに使われる条件と類似の条件下で、イソプレンに転換させることができる。
【0085】
別の方法として、又は本明細書に記載されたオレフィン類を調製するプロセスに加えて、高分子量オレフィンを低分子量オレフィンのオリゴマー化によって調製することができる。「オリゴマー化」、又は「オリゴマー化する」という用語は、活性化したオレフィンが、触媒の助けを受けて結合され、オリゴマー類と呼ばれるより大きな分子を形成するプロセスを指す。オリゴマー化とは、同一のオレフィン類を互いに結合すること(例えば、エチレン、イソブテン、プロピレン、ペンテン類、ヘキセン類等)と同様に異なるアルケン類のカップリング(例えば、イソブテン、及びプロピレン)、又は不飽和オリゴマーをオレフィンに結合することを指す。例えば、イソブテンを酸触媒でオリゴマー化して、イソオクテン(例えば、トリメチルペント−1−エン類、及びトリメチルペント−2−エン類)等の炭素数8のオリゴマー類(二量体類)、及び/又は、2,2,4,6,6−ペンタメチル−3−ヘプテン、2,4,4,6,6−ペンタメチル−1−ヘプテン等の炭素数12のオリゴマー類(三量体類)を形成することができる。同様に、他のモノマーのオリゴマー類は、高分子量オリゴマー類を生成することができる。他の実施形態において、制御されたプロピレンのオリゴマー化は、二量体類(例えば、ヘキセン類)、三量体類(例えば、ノネン類)等を生成することができる。同様に、ペンテン類、ヘキセン類、又は他のモノマー類を制御された様式で結合して、所望の炭素数を有するオリゴマー類を提供してもよい。更にまた、混合系のクロスカップリング、又はオリゴマー化も可能である。例えば、プロピレン、及びブテン類をオリゴマー化して、例えば、ヘプテン類、デセン類を提供してもよい。
【0086】
不均一系、又は均一系のオリゴマー化触媒を、本発明のプロセスにおいて用いることができる(例えば、G. Busca, “Acid Catalysts in Industrial Hydrocarbon Chemistry” Chem Rev 2007 (107) 5366−5410を参照)。燃料及びファインケミカルの生産に最も関連のあるプロセスが、一般にアルミナ、及びゼオライトのような酸性の固相触媒を使用する(例えば、米国特許第3,997,621号;米国特許第4,663,406号;米国特許第4,612,406号;米国特許第4,864,068号;米国特許第5,962,604号を参照)。
【0087】
様々な方法が、得られたオリゴマー類の分子量分布を制御するために用いられ、イソオクテン(例えば、米国特許第6,689,927号を参照)等の二量体類、三量体類(例えば、国際公開第2007/091862号を参照)、並びに四量体類、及び五量体類(例えば、米国特許第6,239,321号を参照)を主に形成する方法が含まれる。オリゴマー分子量を制御する一般的な方法には、t−ブタノール等のアルコール類、及びパラフィン類などの希釈剤の添加が含まれる。したがって、より高分子量のオリゴマー類、及びポリマー類は、異なる条件下で反応する類似の触媒を用いて形成され得る。例えば、低分子量ポリイソブチレン(20,000ダルトンまで)を、三フッ化ホウ素複合体の触媒を用いて生成することができる(例えば、米国特許第5,962,604号を参照)。
【0088】
本明細書に記載された任意のプロセスで生成された、異なるオレフィンの混合物をオリゴマー化する場合、得られたオリゴマー混合物は、2以上のオレフィン類の添加により形成された、対応する付加生成物を含み、同一であるか、又は異なり得る。例えば、プロペン、及びブテン類の混合物がオリゴマー化される場合、生成物は、ヘキセン類、ヘプテン類、オクテン類等の「二成分」、又は「二量体」の付加生成物;ノネン類、デセン類、ウンデセン類、ドデセン等の「三成分」、又は「三量体」の付加生成物を含む。
【0089】
本発明のプロセスにおけるオリゴマー化により調製された再生可能な不飽和脂肪族化合物は、一般的に、平均で、1分子当たり1つの炭素−炭素二重結合を有する。しかし、適切な反応条件(例えば、触媒の同一性、滞留時間、温度、圧力等)の選択によって、形成されるオリゴマー類は、例えば、脱水素二量化によって、2つ以上の炭素−炭素二重結合を有することができる。平均して、本発明のプロセスのうちオリゴマー化するステップの生成物は、1分子当たり約2未満の二重結合を有する。いくつかの実施形態において、オリゴマー生成物は、1分子当たり約1.5未満の二重結合を有する。ほとんどの実施形態において、不飽和脂肪族化合物(アルケン類)は、平均して1つの二重結合を有する。本発明のプロセスによって生成された任意のオレフィン類は、別の化合物に転換することができ、例えば、水素化して対応する飽和炭化水素を形成し、また、炭素−炭素二重結合を他の官能基へ転移するために、技術分野における公知の方法を用いて、対応するアルコール、アルデヒド、カルボン酸、ヘテロ原子とホモログ化したもの等に酸化される。
【0090】
また、「オリゴマー化」という用語は、さらにオリゴマー化触媒の存在下でオレフィン類が芳香族炭化水素と反応することを含むことができる(また、「アルキル化」とも呼ばれる)。また、芳香族のアルキル化のために、特異的に意図された、又は最適化した触媒を、アルキル化触媒、又はアルキル化する触媒と呼び、アルケン類のオリゴマー化のために、特異的に意図された、又は最適化された触媒を、オリゴマー化触媒と呼ぶ。オリゴマー化、及びアルキル化は、いくつかの実施形態において、両反応を触媒することのできる単一触媒の存在下で同時に行われ、又、他の実施形態において、別のオリゴマー化触媒及び別のアルキル化触媒を用いて、別の反応として行われる。例えば、ベンゼンは、本明細書に記載されたオリゴマー化触媒の存在下でイソブチレンと反応して、t−ブチルベンゼン類、又はジ−t−ブチルベンゼン類を形成することができる。同様に、トルエンは、オリゴマー化触媒とイソブチレンの存在下で反応して、t−ブチルメチルベンゼン類等を形成することができる。
【0091】
芳香族のアルキル化は、鉱酸等(例えば、リン酸)、及びフリーデル−クラフツ触媒(例えば、AlCl−HCl)等の産業上利用可能な触媒を用いて、例えば、(本明細書で記載された通りに調製した)再生可能ベンゼンを再生可能エチレン、又は再生可能プロピレンとアルキル化して、それぞれ、再生可能エチルベンゼン、及びクメンを生成することができる。次に、再生可能なエチルベンゼン及びクメンは、例えば、Catalysis Review 2002 (44) 375に記載された方法を用いて、再生可能なフェノール及び再生可能なスチレンの生成の出発物質として使用することができる。別の方法として、ゼオライトベース触媒等の固体酸触媒は、再生可能ベンゼンが再生可能プロピレン、又はエチレンと直接的にアルキル化するのを触媒するのに用いることができる。
【0092】
より高い反応性のオレフィン(反応性は、一般的に、オレフィン鎖の長さが増加するにつれて、増加する)については、オレフィンのオリゴマー化は芳香族のアルキル化と競合することができ、したがって、いくつかの実施形態では、オレフィンの割合に対して高い芳香族を使用して、オレフィンオリゴマー類(ここでは、そのようなオリゴマー類は望まれていない)の形成を最小化し、アルキル化芳香族の生成に好都合になるようにしても良い。再生可能なベンゼン、トルエン、及びキシレンを再生可能なプロピレン、又はイソブチレンでアルキル化して、再生可能なジェット燃料に適した、より重い芳香族化合物を生成することができる(例えば、Ind. Eng. Chem. Res. 2008 (47) 1828を参照)。
【0093】
更に、芳香族のアルキル化の条件が、オリゴマー化条件に一般的に似ているため、両方のステップは、適切な触媒の存在下で、再生可能な芳香族流を再生可能なアルケン類と反応することによって、1つの反応器、又は1つの反応域で行ない、輸送燃料(例えば、「JetA」型燃料)で使用するに適している、オレフィンオリゴマー類とアルキル芳香族との混合物を提供することができる。過剰なオレフィンの条件低芳香族(例えば、低芳香族/オレフィン比率)、芳香族のアルキル化、及びオリゴマー化の両方は起こるであろう。別の方法として、アルコールもまた、酸触媒の条件下で、アルキル化剤として働くことができることは周知である。従って、他の実施形態において、芳香族を、過剰なアルコール条件下で、再生可能エタノール、又は再生可能イソブタノールでアルキル化することができる(例えば、アルコール、及び後のオリゴマー化の脱水が、芳香族の存在下で起こり、その結果として芳香族のアルキル化が生じる)。また、更に別の実施形態において、1つの反応域、又は2つ以上の反応域を有する1つの反応器中の酸触媒の存在下において、プロピレン、又はブテン類、及び1以上の芳香族を用いたオリゴマー化/芳香族アルキル化を進めることができる。特定の実施形態において、において、エタノール、又はイソブタノールは、1つの反応域での酸触媒の存在下で、芳香族のためのアルキル化剤として用いることができる。
【0094】
芳香族化合物
再生可能な芳香族化合物を生成して、例えば、米国特許第3,830,866号、米国特許第3,830,866号、及び米国特許第6,600,081号に記載された方法を用いて、再生可能なアルコール類、及びオレフィン類を形成することができる。具体的には、再生可能な芳香族化合物を、脱水素環化により、再生可能なオレフィン類から容易に生成することができる。例えば、本明細書に記載した通りに生成した再生可能なプロピレン二量体類(炭素数6のオレフィン類)を脱水素環化して、再生可能なベンゼンを形成することができる。同様に、本明細書に記載した通りに生成した再生可能なブテン二量体類を、キシレン類(特に、米国特許公開第12/899,285号に記載のp−キシレン)等の炭素数8の芳香族化合物、及びエチルベンゼンに脱水素環化することができる。オレフィン類が、芳香族化合物を生成するため石油精製所で伝統的に用いられた、第一級の飽和アルカン類よりも反応性が高いため、より緩やかな反応条件を、本発明のプロセスにおいて使用することができ、その結果として、所望の単一生成物のための選択性を改善することができる(例えば, p−キシレン)。アルキル置換芳香族は、別の方法として、適切なアルキル化触媒を用いて、未置換芳香族化合物、又は置換芳香族化合物(例えば、ベンゼン、又はトルエン)を低分子量オレフィン類(例えば、エチレン)とアルキル化することによって調製され得る。
【0095】
本統合プロセスにおいて、例えば、出発物質として再生可能なイソオクテンを用いると、他の芳香族生成物に関連する芳香族留分中におけるp−キシレンに対する選択性は、約90%超になり得る(例えば、約95%超、約98%超、又は任意の他の値、その値の範囲若しくはその値を超える範囲)。得られた生成物は、無視できる量だけの再生可能なベンゼン、及びトルエンを含んでおり、キシレン類を優位に含み、再生可能なp−キシレンは非常に高純度で回収することができる。(例えば、約90%超、約95%超、約98%超、又は任意の他の値、その値の範囲若しくはその値を超える範囲)。本明細書で前述したように、適切な条件(例えば、触媒の同一性、温度、圧力、滞留時間等)は、例えば、p−キシレン、他のキシレン異性体の全ての形成を有利にするように選択してもよい。
【0096】
本発明のプロセスの別の実施形態において、再生可能な芳香族−ベンゼン、トルエン、及びキシレン(BTX)は、−水素化処理触媒と反応する再生可能なアルコール類から調製された再生可能なアルカン類の、脱水素環化二量化、及び脱水によって生成してもよい(例えば、水素化処理触媒と反応するイソブタノールから調製されたイソブタンの脱水)。水素化脱酸素プロセスは、例えば、適温(例えば、〜150℃)で水素の存在の下、Co/Mo、Ni/Mo、又は、双方の触媒上で行われる。イソブタノールがこの反応における出発物質として使用されるとき、反応は、高い(例えば、95%以上)転換を有するイソブタンに対して高選択性の可能性がある(〜90%)。
【0097】
再生可能なアルケン類、例えば、本発明のプロセスによって形成されるプロピレン、又はイソブチレンは、様々な触媒、例えば、ゼオライト触媒、H−ZSM−5(Ind. Eng. Chem. Process Des. Dev. 1986 (25) 151)、又はGaH−ZSM−5(Applied Catalysis 1988 (43) 155)を用いて芳香族化し、順次に、原材料のオレフィン類をオリゴマー化して、オリゴマー化したオレフィン類をナフテン類に環化させ、ナフテン類を対応する芳香族化合物に脱水する。別の方法として、金属酸化物触媒は、酸素分子の存在下で使用することができる。この後者のタイプの触媒は、オレフィンを対応するジエンに二量化し、更に対応する芳香族化合物に環化する。このような芳香族化の条件が、オリゴマー化の条件より厳しいため、これら2つのプロセスは別の工程段階として一般に行われる。
【0098】
いくつかの実施形態において、再生可能なプロピレン、又はイソブチレンからの再生可能な芳香族の生成は、次のプロセスのいずれかに従って成される:
【0099】
ゼオライト類、例えば、H−ZSM−5、又はGaH−ZSM−5:を用いた、軽質オレフィン類の芳香族化:
(化1)
→C−C芳香族
(化2)
→C−C芳香族
【0100】
金属酸化物/Oを用いた、軽質オレフィン類の酸化脱水素二量化:
(化3)
2C→C10→ベンゼン+H
(化4)
2C→C14→p−キシレン+H
【0101】
イソブチレンをイソオクテンに二量化し、続いてCr、Zr、及び他の元素と添加したηアルミナを用いた芳香族化:
(化5)
2i−C→i−C16→p−キシレン+3H
【0102】
しかし、殆どの実施形態において、副生成物として水素を生成するために、還元条件下で脱水素環化することが望ましい。その場合、脱水素環化反応で生成した水素は、オレフィン類、特に、イソオクテン、又はトリメチルヘプテン類を、対応する飽和炭化水素に還元するのに使用することができ、輸送燃料、又は燃料添加剤として有用である。
【0103】
水素化
多くの水素化触媒が有効で、主成分として、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ニッケル、ルテニウム、白金、レニウム、それらの合成物、それらの組み合わせ、及びそれらの担持した変形を含む触媒が挙げられる(が、それに限定されない)。
【0104】
水素化触媒が金属であるとき、金属触媒は、担持触媒、又は非担持触媒であってもよい。担持触媒は、活性触媒剤が、例えば、噴霧、浸漬、又は物理的な混合をし、続いて乾燥、か焼、必要ならば、還元、又は酸化等の方法を経て活性化することによって、支持材上に堆積されたものである。担持体として頻繁に使用される材料は、高い総表面積(外部と内部)を備えた、多孔性の固体で、触媒の単位重量当たり、高い濃度の活性部位を提供することができる。触媒担持体は、触媒剤の機能を高める可能性があって;活性金属触媒がより効率的に使用されるため、担持触媒は、一般的に好まれる。触媒担持物質上で担持されない触媒は、非担持触媒である。
【0105】
触媒担持体は、任意の固体の不活性物質で、これらに限定されないが、シリカ等の酸化物、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、及び炭素等が挙げられる。触媒担持体は、粉末、顆粒、ペレットなどの形状にすることができる。本発明の好ましい担持物質は、炭素、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、チタニア−アルミナ、チタニア−シリカ、バリウム、カルシウム、その化合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。適切な支持物には、炭素、SiO、CaCO、BaSO TiO、及びAlが含まれる。更に、担持触媒金属は、同じ担持物質、又は異なる担持物質を有してもよい。
【0106】
ある実施形態において、担持体は炭素である。更に有用な担持体は、炭素を含む、100〜200m/g以上の表面積を有するものである。他の有用な担持体は、炭素等の、少なくとも300m/gの表面積を有するものである。使用してもよい、商業的に利用可能な炭素は、次の商標で販売されたものを含む:Bameby & Sutcliffe(商標)、Darco(商標)、Nuchar(商標)、Columbia JXN(商標)、Columbia LCK(商標)、Calgon PCB(商標)、Calgon BPL(商標)、Westvaco(商標)、Norit(商標)、及びBarnaby Cheny NB(商標)。また、炭素は、Calsicat C、Sibunit C、又はCalgon C等の、商業的に利用可能な炭素も可能である(登録商標Centaurの下で商業的に利用可能である)。
【0107】
本発明の方法における使用に適した触媒金属、及び担持系の特定の組み合わせには、ニッケル−炭素、ニッケル−Al、ニッケル−CaCO、ニッケル−TiO、ニッケル−BaSO、ニッケル−SiO、白金−炭素、白金−Al、白金−CaCO、白金−TiO、白金−BaSO、白金−SiO、パラジウム−炭素、パラジウム−Al、パラジウム−CaCO、パラジウム−TiO、パラジウム−BaSO、パラジウム−SiO、イリジウム−炭素、イリジウム−Al、イリジウム−SiO、イリジウム−CaCO、イリジウム−TiO、イリジウム−BaSO、レニウム−炭素、レニウム−Al、レニウム−SiO、レニウム−CaCO、レニウム−TiO、レニウム−BaSO、ロジウム−炭素、ロジウム−Al、ロジウム−SiO、ロジウム−CaCO、ロジウム−TiO、ロジウム−BaSO、ルテニウム−炭素、ルテニウム−Al、ルテニウム−CaCO、ルテニウム−TiO、ルテニウム−BaSO、及びルテニウム−SiOが含まれる。
【0108】
ラネー金属、又はスポンジ金属は、本発明に有益な触媒の1つの種類である。スポンジ金属は、溶解したアルミニウムを備えた、広範囲の「骨格」、又は「スポンジ状の」金属の構造を有し、助触媒を任意に含む。また、スポンジ金属は、表面水酸化物、吸収された水和ラジカル、及び細孔内の水素気泡を含んでもよい。スポンジ金属触媒は、米国特許第1,628,190号に記載のプロセスによって製造することができ、この開示は本明細書に組み入れられたものとする。
【0109】
様々な実施例において、スポンジ金属には、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、及び白金が含まれる。スポンジニッケル又はスポンジコバルトが触媒として特に有用である。スポンジ金属は、IA族(リチウム、ナトリウム、及びカリウム)、IB族(銅、銀、及び金)、IVB族(チタン及びジルコニウム)、VB族(バナジウム)、VIB族(クロム、モリブデン、及びタングステン)、VIIB族(マンガン、レニウム)、並びにVIII族(鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金)金属からなる群より選択される1、又は複数の助触媒によって促進されてもよい。助触媒は、所望の結果に有用な量で使用することができる。例えば、助触媒の量は、スポンジ金属の50重量%未満の任意の量、0〜10重量%、1〜5重量%、又は任意の他の値、その値の範囲であってもよい。
【0110】
スポンジニッケル触媒は、主としてニッケル及びアルミニウムを含む。アルミニウムは、一般的に、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、及び/又は、水酸化アルミニウムの形である。また、鉄及び/又はクロム等の少量の他の金属も元素の形または化学的に結合した形で存在してよく、スポンジニッケルに加えて、ある特定の化合物群の水素化に対する活性及び選択性を高めてもよい。ある実施形態において、スポンジニッケルを促進させる、クロム及び/又は、鉄は、触媒として使用される。
【0111】
また、スポンジコバルト触媒もアルミニウムを含み、助触媒を含んでもよい。ある実施形態において、助触媒は、例えば、触媒の重量に基づいて約2重量%の量の、ニッケル、及びクロムである。適切なスポンジ金属触媒の例には、Degussa BLM 112W、W.R.Grace Raney(登録商標)2400、Activated Metals A−4000(商標)、及びW.R.Grace Raney(登録商標)2724が挙げられる。
【0112】
上述のとおり、有用な触媒金属には、構成要素のイリジウム、パラジウム、ロジウム、ニッケル、ルテニウム、プラチナ、レニウムを含み、また、有用な担持物質には、炭素、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、チタニア−アルミナ、チタニア−シリカ、バリウム、カルシウム、特に炭素、SiO、CaCO、BaSO、及びAlが含まれる。担持触媒は、上記の指定された金属、及び担持物質の任意の組み合わせから作ってもよい。しかしながら、担持触媒も、上記のリストで述べられるような全グループから、任意の1以上の部材を取り除くことによって形成した上述の例のサブグループから選択される、様々な金属、及び/又は、様々な担持物質の組み合わせから作られてもよい。その結果、担持触媒は、このような実例でのみ、上記のリストで述べられるようなグループ全体から形成される、任意の大きさのサブグループから選択される、1以上の金属、及び/又は、担持物質から作られるだけでなく、サブグループを形成する全グループから取り除いた部材が無い場合にも作られる。上記リストの全グループから様々な部材を取り除くことにより形成されたサブグループは、更に、サブグループを形成するために除外されたグループ全体の部材がサブグループにないように、任意の数の全グループの部材を含んでもよい。例えば、炭素上のパラジウムから形成された触媒がない状態で、プロセスを実行することが、ある実例では、望まれるかもしれない。
【0113】
担持触媒中の最適量の金属は、蒸着方法、金属の表面積、及び意図した反応条件等の、多くの要因に依存するが、多くの実施形態において、担持触媒の全体(触媒の重量に担体の重量を加えた)の約0.1wt%〜約20wt%までを変えることができる。特定の実施形態において、触媒の金属含有量の範囲は、担持触媒の全体の重量の約0.1wt%〜約10wt%である。更に他の実施形態において、触媒の金属含有量の範囲は、担持触媒の全体の重量の約1wt%〜約7wt%である。任意に、金属促進剤は、本発明の方法において触媒金属と共に使用してもよい。適切な金属促進剤には、1)周期表の第1族、及び第2族の元素;2)スズ、銅、金、銀、及びそれらの組み合わせ;並びに3)周期表の第8族金属のより少ない量での組み合わせ、が含まれる。
【0114】
温度、溶剤、触媒、圧力、及び混合率は全て、水素化に影響する可能性のあるパラメーターである。これらのパラメーターの関係を、プロセスの反応における、所望の転換、反応速度、及び選択性を成し遂げるように調節するとよい。
【0115】
一実施例において、水素化の温度は、約25℃〜350℃である(例えば、約50℃〜約250℃、又は、他の任意の値、若しくはそれらの値の範囲)、また、ある実施形態においては、約50℃〜200℃である。水素圧は、約0.1〜約20MPa、又は約0.3〜10MPaで、また、ある実施形態においては、約0.3〜約4MPaになり得る。反応は、未希釈で又は溶媒の存在下において行われ得る。有用な溶剤には、炭化水素類、エーテル類、及びアルコール類等の水素化の技術分野において公知のものが含まれる(ここでアルコール類、及びエーテル類、又は炭化水素溶媒は再生可能であり得る)。特定の実施形態において、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びペンタノールのような低級アルカノール類等のアルコールが有用である。少なくとも70%の範囲の選択性が、本発明のプロセスにおいて達成可能であり、たとえば、少なくとも85%、少なくとも90%、又は任意の他の値、その値の範囲若しくはその値を超える範囲の選択性が達成可能である。選択性は、飽和炭化水素である転換物質の重量パーセントで、ここで転換物質とは、水素化反応に関与する出発物質の部分である。
【0116】
水素化反応が完了すると、得られた生成物の混合物は、例えば、蒸留、結晶化、または分取液体クロマトグラフィー等の、従来方法によって、分離してもよい。
【0117】
生成物
また、本発明の実施形態は、再生可能な炭化水素供給原料、及び本明細書に記載した統合プロセスに従って生成した生成物に関連する。本プロセスに従って生成された、ある代表的な再生可能な炭化水素供給物質、及び本明細書に記載した統合方法にしたがって形成された生成物を、下記に記載する。
【0118】
エチレン
本発明のプロセスによって生成した再生可能なエチレンは、本明細書に記載されたように、プロピレン、スチレン(例えば、ベンゼンのアルキル化)等の、他の炭化水素類を調製するのに用いることができる。別の方法として、少なくともエチレンの一部は、ポリエチレン(例えば、ポリエチレンの単一重合体類及びポリエチレンの共重合体類、ワックス類等);エチレンオキサイド(それ自体は、酸化ポリエチレン類及びポリエチレンの共重合体類、エチレングリコール、界面活性剤、洗剤等のエチレン酸化物含有特殊化学品等の他の生成物を調製するのに使用することができる);二塩化エチレン、塩化エチレン、二臭化エチレン、塩化ビニル、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、並びに、これらハロゲン化炭化水素類由来の重合体類及び共重合体類(例えば、PVC、PVdC等);プロパナール(例えば、ヒドロホルミル化による)、又はプロピレン(例えば、本明細書に記載されたメタセシスによる)等の、他の付加価値のある生成物を調製するのに使用することができる。
【0119】
プロピレン
本発明のプロセスによって生成した再生可能なプロピレンは、再生可能なポリプロピレン、再生可能なエチレン・プロピレンのゴム類;再生可能なプロピレンオキサイド、並びに、ポリプロピレンオキサイド、及びポリプロピレンオキサイド/酸化ポリエチレンの共重合体類、ポリオキシプロピレンポリオール等の、再生可能なプロピレンオキサイドからポリウレタン類等を調製する、再生可能な重合体類;再生可能なアルデヒド類、及び、プロパナール、アセトン、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド等のケトン;2−エチルヘキサノール、及び2−エチルヘキサン酸;クメン、及びフェノール等の芳香族;アクリル酸、アクリロニトリル、及びアジポニトリル等のモノマー類(及びそれらの誘導体、同様のアジピン酸、1,6−ジアミノヘキサン)等の、様々な再生可能な生成物を調製するのに使用することができる。
【0120】
再生可能なポリプロピレンは、当該技術分野において公知の方法、及び重合触媒(例えば、Hansjorg Sinn及びWalter Kaminskyによる“Ziegler−Natta Catalysis”、Advances in Organometallic Chemistry 1980 (18) 99−148、及び米国特許第7,563,836号に記載された触媒及び方法)を用いて、本明細書の記載通りに調製された再生可能なプロピレンから直接調製することができる。得られた再生可能なポリプロピレンは、使用する触媒の性質、及び重合条件に応じて、任意の適切な立体規則性(例えば、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、eutactic)を有し得る。更に、本明細書の記載通りに調製された再生可能なプロピレンは、エチレン、及び/又は、他のオレフィン類等の、他の適切なモノマー類と共重合して、熱可塑性高分子類(例えば、熱可塑性エラストマー類)を調製することができ、少なくともその一部が再生可能であってもよい。例えば、本明細書の記載通りに調製された再生可能なプロピレンで調製した共重合体類は、米国特許第5,272,236号に記載された方法によって調製することができる。
【0121】
再生可能なポリプロピレンは、石油由来のポリプロピレンの置換として特に有用で、オムツ類に使われる基布、及び不織布繊維シート、ホットメルト接着剤の構成成分として(例えば、ポリオレフィンのホットメルト接着剤におけるコモノマー類)、押出/熱成形/射出成形品、繊維類、インフレーションフィルム類、キャストフィルム類、発砲材料等における、感圧接着剤の構成成分として、包装(フィルム類、クロージャーキャップ類、ボトル類、コンテナー類等)、繊維類(例えば、不織布シート類、カーペット繊維類、織物、ストラッピングテープ、ステープルファイバー類、バルク連続フィラメント等)における、構成成分、及び/又は、共重合体類として、玩具、家庭用品(例えば、プラスチック家庭用品、カップ、貯蔵容器等)として、包装用の絶縁発泡材、自動車部品(例えば、内装トリム及び外装トリム、バンパーフェイシア等)、工具類(例えば、ハンドル、電動工具の筐体、取っ手等)、電子機器筐体(例えば、携帯電話、テレビ、電槽等)、ロープ類及びケーブル類、クラッディング用ワイヤ、パイプ等の構成部品として、類の種々様々な製品に使用される。
【0122】
また更に、別の方法として、本明細書の記載通りに調製された再生可能なポリプロピレンは、プロピレンオキサイド等の他のモノマー類を調製するのに使用することができる。再生可能なプロピレンオキサイドは、クメンヒドロペルオキシドを用いる酸化(例えば、欧州特許第1382602号、又は米国特許第7,273,941号の記載の通り)、又は過酸化水素を用いる酸化(例えば、米国特許第7,273,941号、又は国際公開第97/47613号に記載の、チタン、又はバナジウムシリカライト触媒の存在下)等の、様々な方法によって、調製することができる。また、当該分野において周知の、プロピレンをプロピレンオキサイドに酸化する他の方法も使用することができる。次に、このように形成した再生可能なプロピレンオキサイドは、従来の方法を使用して、重合又は共重合して(例えば、アルコール、エチレングリコール等の単機能性の開始剤、又はグリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどのような多機能性の開始剤を使用して、サレンコバルト触媒等とKOH等の塩基で塩基‐触媒重合することによって)、再生可能なポリプロピレンオキサイド、又は再生可能なポリプロピレンオキサイド共重合体類(例えば、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体類)を、少なくとも部分的に提供することができる。
【0123】
クメンヒドロペルオキシドは、プロピレンオキサイドを調製するための酸化剤として使用する場合、クメンヒドロペルオキシド自体を再生可能なプロピレンから調製し、本明細書に記載した、本発明のプロセスに組み込むことができる。例えば、再生可能なクメンヒドロペルオキシドを再生可能なクメンの酸化によって調製することができ、本明細書に記載した、オレフィンオリゴマー化、脱水素環化、及び/又はアルキル化のステップの様々な組み合わせにより、順番に調製することができる。例えば、再生可能なプロピレンを二量化し、次いで、脱水素環化して、再生可能なベンゼンを形成し、次いで、等量の再生可能なプロピレンを付加してアルキル化し、再生可能なクメンを形成することができる(例えば、米国特許第2,860,173号、及び米国特許第4,008,290号に記載された通り)。別の方法として、再生可能なプロピレンを三量化して、脱水素環化を直接行い、再生可能なクメンを形成することができる(例えば、Ind. Eng. Chem. Process Des. Dev. 1986 (25) 151に記載された方法と同様に;Applied Catalysis 1988 (43) 155;又は米国特許第3,879,486号に記載された通り)。次いで、生成物の再生可能なクメンは、公知の方法を用いて、再生可能なクメンヒドロペルオキシドに酸化することができる。
【0124】
再生可能なクメンヒドロペルオキシドは、再生可能なプロピレンをプロピレンオキサイドに酸化する酸化剤として使用することができ(例えば、欧州特許第1382602号に記載の通り)、且つ/又は分解して、再生可能なフェノール、及び再生可能なアセトンを(例えば、米国特許第5,254,751号、又は米国特許第2,663,735号に記載された方法を用いて)形成することができる。いくつかの実施形態において、再生可能なプロピレンからの再生可能なクメンヒドロペルオキシドの生成を、再生可能なプロピレンオキサイド、再生可能なフェノール、及び再生可能なアセトンを調製するプロセスに組み入れることができる(例えば、再生可能なプロピレンのオリゴマー化−脱水素環化−アルキル化して再生可能なクメンを調製し、次いで再生可能なクメンを酸化して再生可能なクメンヒドロペルオキシドを形成し、次いで再生可能なプロピレンを再生可能なクメンヒドロペルオキシドで付加して再生可能なプロピレンオキサイドを形成し、再生可能なクメンヒドロペルオキシドを分解して再生可能なフェノール及び再生可能なアセトンを形成することによって)、図8に示す通りである。
【0125】
次いで、再生可能なクメンヒドロペルオキシドの分解によって調製された再生可能なアセトンは、例えば、メタクリル酸メチルモノマーの前駆体として(シアン化水素との反応によって)、ビスフェノールAの前駆体(フェノールとの反応によって、例えば、再生可能なクメンヒドロペルオキシドの分解で生成した再生可能なフェノール)として使用することができ、又、再生可能な工業溶剤として直接使用することができる。再生可能なビスフェノールAの他に、再生可能なクメンヒドロペルオキシドの分解によって生成した再生可能なフェノールは、例えば、アスピリン、除草剤、化粧品、日焼け止め剤等の、調整における合成中間体として、及び/又は合成樹脂(ベークライト等のフェノール/ホルムアルデヒド樹脂)の調整におけるモノマーとして使用することができる。
【0126】
また、本明細書に開示された方法で調製された再生可能なプロピレは、再生可能なアクリル酸などの酸化されたモノマー類に転換することができる、例えば、国際公開第2009/017074号に開示した方法等の、固相触媒の存在化で気相中のプロピレンを反応することによって、例えば、異なる2つの触媒床上での2段階反応:第1の段階において、プロピレンは、モリブデン酸ビスマス触媒を用いて、強い発熱反応で(約370°Cで)、アクロレインに酸化される;第2の段階において、更に、アクロレインガスをモリブデン・バナジウムの酸化物触媒の気相中のアクリル酸に酸化させる。別の方法として、再生可能なプロピレンは、米国特許第6,281,384号の方法を用いて(例えば、Mo12Co3.5Bi1.1Fe0.80.5Si1.40.05等のモリブデン酸ビスマス多成分金属酸化物触媒、又はMo124.8Sr0.52.4Cu2.2Ox等のモリブデン・バナジウム酸の多金属酸化物を用いて);混合金属酸化物触媒、水、及び酸素の存在下で、欧州特許第1201636号の方法を用いて;又は特開平07−053448、若しくは国際公開第2000/09260号に記載された混合金属酸化物触媒の存在化での酸化によって、アクリル酸に転換することができる。次いで、得られた再生可能なアクリル酸は、重合、又は共重合して、再生可能なポリアクリル酸、及びポリアクリル酸共重合体類を形成し、重合架橋して、例えば、オムツ類の超吸収性ゲルを形成し、エステル化して少なくとも部分的に再生可能な(又は、再生可能なアルコール類とエステル化した場合には、完全に再生可能な)アクリル酸エステル類を形成することができる。同様に、少なくとも部分的に再生可能なアクリル酸エステル類は、再生可能なアクリル酸エステル重合体類、又は共重合体類に、重合、又は共重合することができる。
【0127】
また、再生可能なメタクリル酸は、例えば、再生可能なプロピレンのオキシカルボニル化によって、再生可能なプロピレンから形成することができ、例えば、米国特許第3,907,882号の触媒プロセスを用いて、プロピレン、CO、及びOをレニウム(V)塩化物、塩化アルミニウム、塩化リチウム、及び酢酸ナトリウムから調製されるレニウム化合物の存在下で反応させる。本明細書に記載された再生可能なアクリル酸に類似して、再生可能なメタクリル酸は、エステル化、及び/又は重合(若しくは共重合)して、少なくとも部分的に再生可能なメタクリル酸(エステル)重合体、又は共重合体を形成することができる。
【0128】
再生可能なアクリロニトリルは、例えば、再生可能なプロピレンをアンモ酸化触媒(例えば、Bi、Mo、P、及び/又はFe酸化物を含む多成分金属酸化物触媒)酸素、及びアンモニアの存在下で反応させることによって調製することができ、例えば、欧州特許第1201636号、米国特許第4,230,640号、米国特許第4,267,385号、米国特許第3,911,089号、及び米国特許第5,134,105号に記載された通りである。次いで、得られた再生可能なアクリロニトリルを、重合、又は共重合する(例えば、再生可能なポリアクリロニトリルを形成する)。
【0129】
また、再生可能なアクリロニトリルは、例えば、英国特許公開第1089707号、及び米国特許第4,155,818号に記載された方法を用いて、電気化学的に二量化して、アジポニトリルを形成し、また、米国特許第4,841,087号に記載された方法を用いて(例えば、1,4−ジシアノブテンがアジポニトリルに還元される)、触媒作用によって二量化することができる。得られた再生可能なアジポニトリルは、加水分解して、再生可能なアジピン酸を形成し、及び/又は還元して、再生可能なヘキサメチレンジアミン(1,6−ジアミノヘキサン)を形成することができる。再生可能なアジピン酸、又は再生可能なヘキサメチレンジアミンは、それぞれ適切なジアミン、若しくは二酸(若しくは、それらの合成等価体)と別々に重合し、又は、供に重合して、すべて再生可能なナイロン6、6を形成することができる。別の方法として、再生可能なアジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンは、ポリウレタン、又は可塑剤等の、貴重で有益な他の物質の調製において、架橋剤(例えば、エポキシ樹脂類)等として、使用され得る。
【0130】
また、本明細書に記載された統合方法によって調製された再生可能なプロピレンは、周知の方法を用いた酸化により、再生可能なアセトン、又はプロパナールに転換され、又は、例えば、米国特許第3,274,263号、又は米国特許第2,327,066号の方法を用いたヒドロホルミル化によって、再生可能な炭素数4のアルデヒド類、アルコール類、及び/又は、酸類に転換され得る。
【0131】
高級アルコール類、及び2−エチルヘキサノール、又は2−エチルヘキサン酸等の酸は、類似の方法を用いて、例えば、再生可能なポリプロピレン、一酸化炭素、水素、及び酢酸(例えば、再生可能エタノールの酸化によって調製される)を、適切な触媒(例えば、酢酸コバルト)の存在下で、米国特許第2,691,674号の方法を用いて反応させることによって、再生可能なプロピレンから調製できる。2−エチルヘキサノールアセテートは、温度約250°C〜約290°C、圧力約500−1500気圧、及びCO/H比0.75−1.5の同様の条件下で選択的に調製することができる。再生可能な2−エチルヘキサノールアセテートは、加水分解して、反応中で使用される酢酸を再生し、得られた2−エチルヘキサノールは、周知の方法を用いて2−エチルヘキサン酸に酸化され得る。別の方法として、2−エチルヘキサノールは、米国特許第5,144,089号の方法を用いて、n−ブチルアルデヒドの塩基触媒アルドール縮合によって調製され得る。様々な実施形態において、再生可能な炭素数4及び炭素数6のアルデヒド類、アルコール類、酸類、酸誘導体類(例えば、アミド類、ニトリル類、酸塩化物類、エステル等)は、図9に示す適切な中間体のヒドロホルミル化、及び/又は塩基触媒アルドール縮合、及び/又は還元、及び/又は酸化等の、周知のプロセスによって、再生可能なプロピレンから調製され得る。
【0132】
得られた再生可能な炭素数4及び炭素数6のアルデヒド類、アルコール類、酸類、酸誘導体類は、例えば、フタル酸エステル系可塑剤類(2−エチルヘキサノール)、工業溶剤類(ブタノール類)、特殊化学物質(2−エチルヘキサン酸の金属塩)等の合成において、様々な応用に使用できる。
【0133】
更に別の実施形態においては、本統合方法によって生成した再生可能なエチレン、ブテン類、プロピレン、及び/又は高級オレフィンは、オリゴマー化して、例えば、米国特許出願公開第12/327,723号に記載したように、再生可能な輸送燃料、例えば、ガソリン、ジェット燃料、及び/又はディーゼル燃料を提供してもよい。
【0134】
炭素数4の酸化型炭化水素類
上記の通り、本発明のプロセスは、バイオマス、又はCOから、例えば、発酵、又は熱化学的方法によって、イソブタノールを提供する。再生可能なイソブタノールは、例えば、イソブタノールの転移によって、他のブタノール異性体に転換することができ、且つ/又は、対応するアルコールの適切な酸化、又は反応によって、様々なブチルアルデヒド、酪酸、及び/又は、酪酸誘導体に転換することができる。しかし、いくつかの場合において(例えば、再生可能なプロピレンの完全な利用を確実にするために、本発明の方法によって提供される再生可能なプロピレンの所定の部分を、様々な再生可能な炭素数4のアルデヒド類、アルコール類、及び/又は酸類に、ヒドロホルミル化によって、転換することが望ましいであろう。
【0135】
ブテン類
本明細書で論じられているように、本発明のプロセスによって生成された、再生可能なイソブテン、及び直鎖ブテンは、再生可能な燃料および燃料添加剤として、又は、様々な応用分野での使用に適したポリブテン、及びポリイソブチレン等の、重合体及び共重合体類の生成のためのモノマー類として有用な、より高い分子量の再生可能なオレフィン類、及びアルカン類、を生成するために出発原料として、例えば、エンジンオイル、燃料添加剤、及びグリースの調製のための化学的中間物質;ポリブテニル無水コハク酸等の分散剤の調製での中間物質;充填材、及び接着剤の調製での中間物質として;ポリエチレン、及び粘着性ポリマー用の粘着性付与剤等のポリマーのための調節剤;並びに化粧品処方の構成成分として水素化された形などとして、使用することができる。
【0136】
ブタジエン
次に、かくして得られた再生可能ブタジエンは、例えば、最も知られた方法および多くの市販アプリケーションにより広範な再生可能ポリマー類およびコポリマー類に変換することができる。本明細書中で記載されるように、再生可能ブタジエンは他のモノマー類(それら自体が再生可能なモノマー類または通常の再生できない原料から得られたモノマー類)とともに重合または共重合することができる。例えば、超低分子量ポリマーおよび短鎖重合体または液状ポリブタジエンと呼ばれるブタジエンのコポリマー類は、米国特許第4,331,823号および米国特許第3,356,754号に記載のようにn−ブチルリチウム等のイニシエータを、頻繁にカリウムtert−ブトキシドまたはtert−アミン類等のコイニシエータとともに使用してアニオン重合により調製し得る。これらの低分子量ポリマー類(例えば、分子量500から3000)は感圧接着剤および熱硬化性ゴムのアプリケーションに利用し得る。ブタジエンは、乳化プロセスにおいてビニルピリジンおよび/または他のモノマー類(例えば、再生可能なビニルモノマー類)と共重合および三元共重合して、床磨き剤、繊維薬品および自動車タイヤ用配合ゴム組成物に有用なポリマー類を形成することもできる。ブタジエンは、米国特許第3,891,721号に教示されているように、スチレン(例えば、再生可能スチレン類)およびビニルピリジンとアニオン重合して、フィルムおよび他のゴムアプリケーションに有用なトリブロックポリマーを形成することもできる。
【0137】
ブタジエンとスチレンは、ヘキサン等の非極性溶媒中で逐次、アニオン重合して、高スチレン含量の硬質プラスチック類から高ブタジエン含量の熱可塑性エラストマー類まで、SBエラストマー類とも呼ばれるジブロックおよびトリブロックポリマー類を形成し得る。これらのポリマー類は、透明な成型カップ、ビン類、脆性プラスチック用衝撃性改良剤、射出成形がん具および接着剤の成分用に有用である。溶液状のポリブタジエンは、コモノマーを使用せずに非極性溶媒中でn‐ブチルリチウム等のイニシエータを用いてアニオン重合によってもブタジエンから調製可能である。これらのエラストマー類は重合の間架橋せず、高衝撃ポリスチレン中の衝撃改良剤、バルク重合ABS樹脂、および粘着剤およびコークとして使用することができる。溶液状の重合ポリブタジエンは、加硫前に他のエラストマー類および添加剤と配合もでき、自動車タイヤにも使用できる。乳化(ラテックス)重合は、ブタジエン、必要に応じスチレン、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル等の他のモノマーへの変換に、および他のビニルモノマー類の独特な化学構造および特定の最終用途応用に適する指定された物理的構造の両方を有するポリマー類への変換にも使用できる。
【0138】
乳化重合は、重合用の連続相、成長を安定させるための界面活性剤、分散ポリマー粒子および重合を開始するためのフリーラジカルを生成する配合剤として水を使用する。自動車タイヤに使用されるスチレン‐ブタジエンエマルジョンゴムはこのプロセスにより作ることができる。アクリル酸およびメタクリル酸等の再生可能なビニル酸類は(本明細書中で記載されるように)、スチレンブタジエンゴムに共重合し得る。低濃度(0.5〜3%)のビニル酸はラテックスの安定性を改善し、タイヤ等の処方されたゴム製品、特に極性の充填剤を含有する場合に有利に使用できる。カルボキシル化ラテックスと頻繁に呼ばれるゴムラテックス中の高濃度の酸は、紙のコーティングに有利に使用される。ラテックス重合は、ゴム強靭化プラスチックおよび衝撃性改良剤の生産に使用することもできる。ラテックス重合により作られる衝撃改良剤は、重合中に形成される構造がそのポリマーを含むモノマー類であることからコア‐シェル改良剤とも呼ばれる。
【0139】
MBS樹脂は、例えば米国特許第6,331,580号に教示されているように、ブタジエン(B)およびスチレン(S)が最初に重合して、直径0.1〜0.5マイクロメーターのゴム粒子コアが形成され、次に、メチルメタクリレート(M)が重合して、化学的にグラフトされたシェルがSBゴムコアの外面に形成される逐次乳化プロセスにより作られる。この衝撃改良剤はラテックスから単離され、プラスチック類とブレンドされて強靭性が改良される。メチルメタクリレートの代わりにアクリロニトリル(A)が使用される場合は、米国特許第3,509,237号および米国特許第4,385,157号に開示されているように、プロセスがわずかに変更されてエマルジョンABSが製品となる。ABS中のこれらの各組成物(アクリロニトリルを包含する)は再生可能であり、本明細書中で開示される方法により生産され得る。ABSは射出成型および押出加工によりがん具、自動車部品、電子機器筐体および家庭用品の生産に使用される。ブタジエンおよびアクリロニトリルが共重合して、各種溶媒に非常に耐性な極性エラストマーが生産される場合、ニトリルゴムは同様の乳化重合プロセスで生産される。高ブタジエン含量によりこのエラストマーはより柔軟に、よりフレキシブルになる一方、高アクリロニトリル含量は溶媒に対しより抵抗性になる。このゴムは凝固によりラテックスから単離されて、各種溶媒に対する高い抵抗性が利点である手袋、自動車ホース、およびガスケットに加工することができる。
【0140】
本明細書中に記載されるプロセスにより調製される再生可能なブタジエンは、再生可能な1,4−ブタンジオール(BDO)および/または再生可能なテトラヒドロフラン(THF)に変換ができ、例えば、日本特許第10−237017号および日本特許第2001002600号(以下のスキーム1に図示される)に記載のプロセスを使用して、ブタジエンは、パラジウム触媒存在下、酢酸および酸素と反応(液相、約70℃、70バール、Sb、Bi、SeまたはTe等のプロモーターを使用)して1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを、次に水素化(液相、Pd/C等の通常の水素化触媒上で約50℃、50バール)して1,4−ジアセトキシブタンを形成する。1,4−ジアセトキシブタンの酸加水分解(例えば、酸性イオン交換樹脂を使用)によりBDOおよびTHFを高収率で得る。
スキーム1:
【化6】

【0141】
再生可能なBDOおよびTHFは広範な再生可能な製品に変換し得る。例えば、再生可能なBDOは、適切なジイソシアネート類と反応して再生可能なライクラTMおよびスパンデックスTM製品ならびに熱可塑性ウレタンエラストマー類を形成し得る。再生可能なBDOは、テレフタール酸またはテレフタール酸エステル類と反応して再生可能なポリブチレン■テレフタレートの形成にも使用でき、またはアジピン酸またはコハク酸等の再生可能な脂肪族二酸と共重合して再生可能なポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネート等の再生可能な脂肪族ポリエステル類を形成し得る。幾つかの実施態様において、
テレフタール酸またはテレフタール酸エステル類は、例えば、米国特許第12/327,723号および米国特許第61/295,886号に記載の方法によって作られる再生可能なキシレンの酸化により調製されて、再生可能となり得る。再生可能なBDOは、以下のスキーム2に図示するように、再生可能なγ−ブチロラクトン(GBL)、N−メチルピロリジノン(NMP)、再生可能なN−ビニルピロリジノン(NVP)等の再生可能なピロリドン溶媒の調製にも使用できる。
スキーム2:
【化7】

【0142】
再生可能なGBLおよびNMPは溶媒として使用でき、再生可能なNVPはヘアスプレー等のパーソナルケア製品に使用できる。
【0143】
本明細書中で記載されるプロセスにより調製される再生可能なブタジエンは、
再生可能なドデカン二酸(DDDA)の形成、または中間体シクロドデカノンのオキシムを形成し、次にこのオキシムをラウリルラクタムに置き換える(例えば、米国特許第6,649,757号の方法を使用)ことによって、再生可能なラウリルラクタムの形成にも使用できる。ラウリルラクタムは、以下のスキーム3に示すように、次に重合して再生可能なナイロン‐12を形成し得る。
スキーム3:
【化8】

【0144】
本明細書中に記載のプロセスにより調製される再生可能なブタジエンは、再生可能なクロロプレンの調製にも使用でき、このクロロプレンは重合して再生可能な合成ゴムを形成することができる。再生可能なクロロプレンは、再生可能なブタジエンを塩素化することにより(例えば、フリーラジカル、250℃1〜7バール、Clで気相塩素化してシス‐およびトランス‐1,4−DCBおよび3,4−DCBを得る)調製することができる。10〜25%のブタジエン変換において、このDCB類混合物の選択性は85〜95%であり得る。3,4−ジクロロ−1−ブテン(3,4−DCB)は、以下のスキーム4に示すように、脱塩化水素化してクロロプレンを形成できる(例えば、希釈したアルカリ系触媒を85℃で使用)。この副産物1,4−DCBは銅触媒を用い、3,4−DCBに異性化し得る。さらに、本反応中に3,4−DCBを留去することにより(これらの1,4−異性体の沸点123℃対155℃)、本反応平衡は95〜98%の選択性にシフトさせることができる。
スキーム4:
【化9】

【0145】
本明細書中に記載のプロセスにより調製される再生可能なブタジエンは再生可能なナイロン−6,6の調製にも使用できる(スキーム5)。例えば、再生可能なナイロン−6,6はアジポニトリルを供給するゼロ価ニッケル触媒の存在下に再生可能なブタジエンをHCNと反応させることにより調製し得る。アジポニトリルは水素化されてヘキサメチレンジアミン(HMD)を形成し、加水分解をうけてアジピン酸を形成し得る。このHMDおよびアジピン酸は次に、重合してナイロン−6,6を形成し得る。
スキーム5:
【化10】

【0146】
別法として、スキーム6に示すように、再生可能なアジポニトリルは、ヒドロシアン化および閉環化して再生可能なカプロラクタム(CL)とする、例えば、ドープしたラネーニッケルを用い(米国特許第5,801,286号の方法を使用)、水の存在下でCLに閉環(米国特許第5,693,793号の方法を使用)することができる。再生可能なこのカプロラクタムは、次に当業者に周知の方法を用いて重合し、再生可能なナイロン−6,6を形成することができる。
スキーム6:
【化11】

【0147】
本明細書中で記載されるプロセスにより調製される再生可能なブタジエンは、スキーム7に図示する方法を用いて再生可能なスルホレンおよびスルホランの調製にも使用できる。
スキーム7:
【化12】

【0148】
本明細書中に記載のプロセスにより調製される再生可能なブタジエンは、再生可能なスチレン、再生可能なポリスチレン、および再生可能なスチレン系ポリマー類(例えば、再生可能なSBRゴム)の調製に使用もできる。再生可能なスチレンは、例えば、再生可能なブタジエンを二量化してビニルシクロヘキセンを形成し、これを段階的に脱水素化してエチルベンゼンを形成し(例えば、国際公開番号第2003/070671号の方法を使用)、次にスチレン(例えば米国特許番号第4,229,603号の方法を使用)を形成し得る。別法として、ビニルシクロヘキセンはスチレンを直接脱水素化して形成することができる。再生可能なスチレンは単独重合して再生可能なポリスチレンを形成し、再生可能なブタジエンと共重合してSBRゴム等を形成することができる。
【0149】
本明細書中に記載のプロセスにより調製された再生可能なブタジエンは、完全にまたは部分的に再生可能なエチレン‐プロピレン‐ジエンゴムの生産用の再生可能なエチリデンノルボルネン(ENB)の調製にも使用できる(再生可能なエチレンおよび/またはプロピレンが使われるかどうかに依存する)。再生可能なエチレンは、再生可能なエタノールを脱水素化することにより調製でき(例えば、発酵法または熱化学的方法により生産)、再生可能なプロピレンは、例えば、米国特許番号第61/155,029号に記載の方法により調製できる。再生可能なENBは、例えば、再生可能なブタジエンおよびジシクロペンタジエンを4段階のプロセスで反応させることにより調製することができる。第一段階では、ジシクロペンタジエンは、シクロペンタジエンにデカップルされ、再生可能なブタジエンと反応し、ディールス・アルダー縮合を経由して、ビニルノルボルネン(VNB)を形成する。これを蒸留して精練VNBを取得後、触媒的にENBに異性化する(米国特許第4,720,601号)。
【0150】
本明細書中に記載のプロセスにより調製されるブタジエンは、例えば、米国特許第4,396,787号の方法等を使用して、熱的に二量化されて再生可能な1,5−シクロオクタジエン(COD)を形成することもできる。再生可能なCODは、Ni(COD)等の再生可能なエチレンオリゴマー化触媒の調製に使用することもできる。ブタジエンは二量化して1−オクテンおよび1−オクタノールの生産に使用することもできる。
【0151】
他の実施態様では、3−メチル−1−ブタノールの脱水によりメチルブテン類および少量の他のペンテン類の混合物が生産され、脱水素触媒処理によりメチルペンテン類(例えば、2−メチル−1ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン)から主にイソプレンが、例えば、他のペンテン類から3−メチル−1−ブテンおよび1,3−ペンタジエン等の他のペンタジエン類が形成される。このペンタジエン類は蒸留により互いに分離される。脱水触媒と種々の条件は異なる量の特定のオレフィン類の生産のために最適化され、その結果、脱水素触媒処理によりジオレフイン類が生産される。
【0152】
上記のようにイソブテンの精製により現在の工業規格のすべてを満たす再生可能なイソブテンが生産され、例えば、通常の石油ベースのイソブテンから現在生産されているすべての化学品および材料の製造に使用することができる。例えば、再生可能または部分的に再生可能なポリイソブチレン、ブチルゴム、メチルメタクリレート、イソプレン、および他の化学品は本発明の方法により生産し得る。再生可能なイソブテンは適切な条件下で酸化されて、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類を供給することもできる(スキーム8)。イソブテンは約300〜500℃、適切な金属酸化触媒上で(例えば、日本特許番号第2005−253415号に記載の方法を使用)メタクロレイン(MAL)に酸化され、次に約350〜500℃でさらにメタクリル酸(MMA)にまで酸化することができる(国際公開番号第2003053570号)。生じたメタクリル酸はさらにメチルメタクリレートにエステル化することができる。本イソブテンのMMAへの酸化は一段階で達成することも可能である(例えば、国際公開番号第2003053570号に記載)。
スキーム8:
【化13】

【0153】
MMA調製のための別プロセスとして、Pd/Pb/Mg−Al(例えば、日本特許番号第2006306731号に記載のように)およびPdBiFe/CaCO等の触媒を用いたMALの酸化エステル化によるMMAの調製(例えば、米国特許第4,518,796号に記載のように)がある(スキーム9)。
スキーム9:
【化14】

【0154】
さらに、合成ゴムおよびナイロン等のブタジエンから現在生産されているすべての材料は、本発明の方法にしたがって再生可能なブテン類の脱水素化により生産される再生可能なブタジエンから製造することができる。例えば、ブタジエンは、合成ゴムの生産用にモノマーおよびコモノマーとして直接使用される。ブタジエンは、本明細書中に記載のようにポリエステル材料およびナイロン材料の生産用に1,4−ブタンジオール、アジポニトリル、およびアジピン酸等の「酸化」モノマー類にも変換される(例えば、アジピン酸は適切な触媒、COおよび水の存在下でブタジエンのヒドロカルボキシル化により生産される;例えば、アジポニトリルは、適切な触媒存在下でブタジエンのヒドロシアン化により生産される)。メチルブテン類脱水素化または再生可能なイソブテンのヒドロホルミル化および脱水からの再生可能なイソプレンの生産は、イソプレンから生産されるすべての化学品および材料、特に合成ゴムおよび他のポリマー類の再生可能版および一部再生可能版の調製を可能にする。
【0155】
自動車タイヤに主に使用されるブチルゴムの生産は、産業によるイソブテンの主な産業利用の1つである。ブチルゴムは、ブタジエンまたはイソプレン等のジオレフィン類が架橋した高純度イソブテンを含む高性能ポリマーである(例えば、米国特許番号第2,984,644号; Dhaliwal GK, Rubber Chemistry and Technology 1994 (67) 567)。典型的には、1〜3%のジオレフィンをイソブテンとブレンドし、塩化アルミニウムおよび他の金属塩等の重合触媒存在下で共重合する。
【0156】
幾つかの実施態様では、再生可能なイソプレンは、3−メチル−1−ブタノールまたは2−メチル−1−ブタノールを、再生可能なブタジエン調製のために本明細書中に記載の方法と同様の条件下で脱水触媒および脱水素触媒と接触して生産する。かくして形成された再生可能なイソプレンを、次に、上記の方法、またはイソブチレンのt−ブタノールへの水和反応およびその後のイソブテンへの脱水等の通常の方法により得られた再生可能なイソブテンとブレンドして、再生可能なブチルゴム生産用の再生可能なモノマー原料を形成することが可能である。石油ベースのイソプレンおよびイソブテンは、本再生可能なイソプレンおよび/またはイソブテンとともに使用されて、部分的に再生可能なブチルゴムを形成することもできる。精製イソプレンを精製イソブテンとブレンドしてブチルゴムを形成することに加えて、再生可能なイソブテンとイソプレンのブレンドは、イソブタノールと3−メチル−1−ブタノール(または2−メチル−1−ブタノール)の混液と脱水触媒を接触させてイソブチレンと3−メチル−ブテン(または2−メチル−ブテン)を形成し、次にイソブテンおよびイソプレンを形成するために、このオレフィン混液を脱水素触媒と接触させて生産することもできる。ブタジエンおよび他のCオレフィン類ならびにジオレフィン類等の副産物は、抽出蒸留により除去して、イソブテンおよびイソプレンのみを含有する混液を得る。この混液中のイソプレンの量は、宿主微生物における3−メチル−1−ブタノール生産経路の操作、またはバイオマスの熱化学的な変換における触媒の適切な選択により制御し得る。幾つかの実施態様では、生じるイソブテン/イソプレン混液がブチルゴム生産に直接使用できるように、3−メチル−1−ブタノール(または2−メチル−1−ブタノール)の濃度を、生産されるイソブタノールの1−3%に調節する。別法として、他の実施態様では、イソブテンおよびイソプレン混液を形成するためにより高濃度の3−メチル−1−ブタノールが生産され、次に純イソブテンで希釈して、ブチルゴム生産を最適化する。イソブタノールを含有する3−メチル−1−ブタノール(または2−メチル−1−ブタノール)から生産されるこのイソプレンは個別に除去もされ、イソブテンと適切な濃度にブレンドされる。別法として、1−および2−ブテン類の脱水素化により生産される本ブタジエンは、ブチルゴム生産用の架橋剤として使用される。
【0157】
前述に記載の観点から、単純かつ再生可能なエタノールおよびイソブタノール原料から出発して、現在得られるまたは石油原料から生産される基本的すべての製品は、本明細書中に記載の統合されたプロセスによって生産し得ることが理解されるであろう。一定の再生可能なモノオレフィン類およびポリオレフィン類、非置換および置換芳香族化合物、それらの誘導体(例えば、酸類、エステル類、酸誘導体類、ヘテロ置換化合物、その他)ならびにポリマー類およびそれから得られる製品を生産する規範的な方法をこれまで記載してきた。ある化合物について本明細書中で記載される方法および/または変換は、一般に他の同様な化合物と類似し、かつ適用可能であり、かつ、かかる転換及び製品は、本明細書に記載の統合された方法の範囲内にあることが理解されるであろう。
【0158】
本明細書に記載の統合されたプロセスが以下の非限定的な実施例を参考にさらに記載される。
【0159】
実施例1:リグノセルロース物質からのイソブタノール生産
45%セルロース、25%ヘミセルロース、22%リグニンおよび8%の他の材料からなるセルロース系材料を約4%の不溶性リグニン、1%グルコース、40g/Lキシロース、2g/Lマンノース、2g/Lガラクトース、1g/Lアラビノース、5g/L酢酸の溶液で前処理して8%不溶性セルローススラリーを得る。このスラリーを撹拌した糖化および発酵容器に送り込み、80%セルロースを72時間で加水分解するのに十分なセルラーゼ酵素を投入する。グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびアラビノースを発酵してイソブタノールを生産することで知られる微生物を発酵に加え、この容器を72時間撹拌する。発酵によって生産されたイソブタノールは蒸留によって発酵培地から分離される。最初のイソブタノール含有留分は20%w/wイソブタノールおよび80%w/w水を含有し、濃縮して2つの相を形成する‐85%イソブタノールと15%水を含有する軽い相および8%イソブタノールと92%水を含む重い相である。軽い相を2回蒸留して、水の少ない2つのイソブタノール留分を得る。1つの留分は99.5%イソブタノールと0.5%水、もう一方の2回目の留分は98.8%イソブタノール、1%3−メチル−1−ブタノール、および0.2%水からなる。
【0160】
実施例2:イソブタノールの脱水
実施例1で得られたイソブタノールは、プレヒーターを介して市販の脱水触媒(BASF AL3996)を充填した固定床管型反応器に送り込んだ。内部反応器の温度は300℃に維持し、反応器圧は大気圧であった。イソブタノールのWHSVは6hr−1であった。主にイソブテンと水がこの反応器中で生産され、20℃の気液分離器中で分離された;分離された水は1%の未反応イソブタノールを有し、変換は99.8%であった。GC−MSの分析結果はガス相流出物が96%イソブテン、2.5%2−ブテン(シスおよびトランス)および1.5%1−ブテンであることを示した。
【0161】
実施例3:イソブタノールの脱水
実施例1で得られたイソブタノールは、プレヒーターを介して市販の脱水触媒(例えば、X型ゼオライト)を充填した固定床管型反応器に送り込む。内部反応器の温度は370℃を維持し、反応器圧は大気圧である。イソブタノールのWHSVは3hr−1である。反応器中でCオレフィン類と水が生産され、20℃の気液分離器で分離する;分離される水は1%未満の未反応イソブタノールを有し、変換99.8%超である。GC−MSの結果は、ガス層溶出物が50%イソブテン、40%2−ブテン(シスおよびトランス)および10%1−ブテンであることを示す。
【0162】
実施例4:エタノールおよびイソブタノールの共脱水
60gの市販γ‐アルミナ脱水触媒(BASF AL−3996)を固定床管型反応器に負荷する。250mLのエタノールと750mLのイソブタノールを混合してフィード混合物を調製する。このフィード混合物をポンプでプレヒーターを介し、触媒床にフィード速度2.5mL/分で送り込む。内部反応器の温度は350℃に維持し、圧力は大気圧、および混合アルコールフィードの重量時間空間速度(WHSV)は〜2/時間である。この産物は気液分離機で分離する。分離された水は0.9wt%エタノールおよび0.3wt%イソブタノールを含有し、変換はそれぞれ99%、99.9%であることを示す。気相流出物は35%エチレンおよび65%ブテン類(モルベース)である。このブテン類は55%イソブテン、13%1−ブテン、12%シス‐2−ブテン、および20%トランス‐2−ブテンであることが判明している。
【0163】
実施例4A:乾燥イソブタノールの脱水
実施例1で得られた乾燥イソブタノール(水1wt%未満)は、プレヒーターを介して、市販のγ‐アルミナ脱水触媒(BASF AL−3996)を充填した固定床管型反応器に送り込んだ。内部反応器の温度は325℃に維持し、反応器圧は大気圧とした。イソブタノールのWHSVは5hr−1であった。反応器中で主にイソブテンと水が生産され、20℃の気液分離機で分離した;分離された水は1%未満の未反応のイソブタノール、変換は99.8%超であった。気相流出物のGC−FID分析の結果は95%イソブテン、3.5%2−ブテン(シスおよびトランス)及び1.5%1−ブテンを示した。
【0164】
実施例5:ブテン類の脱水素化によるイソブテンの精製
実施例2からの96%イソブテン、2.5%2−ブテン類(シスおよびトランス)、および1.5%1−ブテンを含有する混合ブテンの気流を空気と相対フィード率10:1(ブテン類:空気)で混合する。生じた混合物は1.9%酸素および3.6%直鎖ブテン類である。この混合物を400℃に予熱し、2種の触媒床を順に装填した固定床管型反応器にGHSV300hr−1で送り込んだ;最初の触媒はZnFeを、2番目の触媒はCoFeBiMoO51を含有する。反応器からの流出物は水を除去する分子篩カラムで乾燥した。窒素および酸素はC流を気液分離器に−78℃(ドライアイス浴)で通過させて除去する。C産物はGC−MS経由で分析する。この組成は、96%イソブテン、3.9%ブタジエン、および0.1%直鎖ブテン類であることが判明している。ブタジエンはアセトニトリルでの抽出により気流から取り除く。生じた気流は99.9%イソブテンおよび微量のブタジエン(0.01%未満)を伴う0.1%直鎖ブテン類である。
【0165】
実施例6:ブテン類の脱水素化によるイソブテンの精製
実施例3で得られた50%イソブテン、40%2−ブテン類(シスおよびトランス)、及び10%1−ブテンを含有する混合ブテン流を相対フィード率4:5(ブテン類:空気)で空気と混合する。生じる混合物は11.7%酸素および22.2%直鎖ブテン類である。この混合物を400℃に予熱し、GHSV300hr−1で2種類の触媒床を順に充填した固定床管型反応器に送り込む;最初の触媒はZnFeを、2番目の触媒はCoFeBiMoO51を含有する。反応器からの流出物は水を除去する分子篩カラムで乾燥する。窒素および酸素はC気流を−78℃(ドライアイス浴)で気液分離器に通過させて除去する。C産物はGC−MS経由で分析する。組成は、50%イソブテン、49.9%ブタジエン、および0.1%直鎖ブテン類であることが判明している。ブタジエンはアセトニトリルでの抽出により気流から取り除く。生じる気流は99.9%イソブテンおよび微量のブタジエン(0.01%未満)を伴う0.1%直鎖ブテン類である。
【0166】
実施例7:ブテン類からのブタジエンの調製
120sccmの窒素および120sccmの2−ブテン(シスおよびトランスの混合)はプレヒーターを介して、アルミナ脱水素触媒(BASF Snap触媒)上で15gの市販Crを充填した固定床管型反応器に送り込んだ。内部反応器の温度は600℃に維持し、反応器圧は大気圧とした。2−ブテンのWHSVは約1hr−1であった。GC−FIDによる気相流出物の分析結果は74%直鎖ブテン類(1−、シス−2−、およびトランス−2−体の混合)、16%ブタジエン、2.5%n−ブタン、および7.5%C−C炭化水素類を示した。生じた2−ブテンの変換(1−ブテンへの転移を無視すれば)は26%、%炭素ベースでブタジエンへの選択性は61.5%であった。
【0167】
実施例9:イソブタノールからのブタジエンの統合的調製
発酵により得られた再生可能な湿性イソブタノール(15%水および〜4%エタノール含有)はプレヒーターを介して市販γ−アルミナ脱水触媒(BASF Snap触媒)を充填した固定床管型反応器に送り込んだ。内部反応器の温度は400℃に維持し、反応器圧は大気圧とした。イソブタノールのWHSVは〜0.1hr−1であった。産物は20℃の気相分離器で分離し、比較的純粋な水を液体産物として除去した。気相産物を分子篩床上で乾燥した。GC−FIDによる分析の結果、脱水反応器からの気相流出物は82%イソブチレン、13%直鎖ブテン類(1−ブテン、ならびにシス−およびトランス−2−ブテンの混合)、4.5%エチレン、および0.5%プロピレンであることが判明した。気相流の流量は〜120sccmであった。この気相流を120sccmの窒素と混合し、プレヒーターを介して、アルミナ脱水素触媒上で15gの市販Cr脱水素触媒を充填した固定床管型反応器に送り込んだ。内部反応器の温度は600℃に維持し、反応器圧は大気圧とした。混合ブテン流のWHSVは約1hr−1であった。GC−FIDによる分析結果は、気相流出物が2.5%イソブタンを伴う78.5%イソブチレン、7.5%直鎖ブテン類、0.6%エタンを伴う3.7%エチレン、2.9%ブタジエン、および残る4.4%はメタンおよびプロピレンであることが判明した。このことから、脱水素反応器に送り込んだ直鎖ブテン類ベースでブタジエンの収率は約22%であることが判明した。
【0168】
実施例10:エチレンおよび2−ブテン類からのプロピレンの調製
0.83gのメタタングステン酸アンモニウムを100mLの蒸留水に溶解し、この溶液を5gシリカゲル(300m/g、細孔容積1mL/g)とともに撹拌し、水を留去し、次に、生じる固形物を550℃、6時間焼成してメタセシス触媒を調製する。次に、生じる担持酸化タングステン触媒をヒドロタルサイトと重量比約1:5(酸化タングステン触媒/ヒドロタルサイト)で混合する。次に酸化タングステン触媒/ヒドロタルサイト触媒を固定床管型反応器に加えてメタセシス反応器を調製する。
【0169】
固定床管型反応器にほぼ等量のヒドロタルサイトおよびγ‐アルミナを逐次負荷してエチレンガードカラムを調製し、ブテンガードカラムは固定床管型反応器に酸化タングステン触媒(上記のように調製)および約2倍量(重量にして)のヒドロタルサイトを逐次負荷して調製する。
【0170】
不均化反応は、最初にガードカラム、次にメタセシス反応器を約100mL/分の流量、大気圧で窒素をパージして実施する。次にパージした反応器およびガードカラムを窒素流を1時間持続しながら500℃で加熱する。この反応器およびガードカラムを500℃に維持する;次に約100mL/分の水素ガスを大気圧で窒素パージに加え、2時間維持する。次にこの反応器を200℃にまで冷却し、ガードカラムを50℃に冷却、窒素ガス流および水素ガス流を50mL/分に減じる。これらの各ガードカラムで精製後、液化した再生可能な2−ブテンを次にブテンガードカラムに0.10g/分の流速で導入し、液化した再生可能なエチレンをエチレンガードカラムに64.5mL/分の流速および3.5MPaで導入する。次にエチレン、2−ブテン、および水素(7.0mL/分、3.5MPa)をメタセシス反応器に投入する(200℃にまで予熱後)。メタセシス反応器からの流出ガス中に含有されるトランス‐2−ブテン、シス‐2−ブテンおよび1−ブテンの全量を差し引いて得られたブテン変換率は71%である。ブテンベースのプロピレン選択性は90%である。少量のプロパン、ペンテン、およびヘキセンも生産される。
【0171】
実施例11:イソブテンのオリゴマー化
実施例4aで生産された気流を分子篩状で乾燥し、60psigに加圧し、20℃に冷却してイソブテンを濃縮、液化し、容積移送式真空ポンプを用いて市販ZSM−5触媒(CBV2314)を充填した固定床オリゴマー化反応器に送り込んだ。この反応器は175℃、圧力750psigに維持した。イソブテンが豊富な気流のWHSVは15hr−1であった。反応器からの流出流は10%未反応ブテン類、60%イソオクテン類(主に2,4,4−トリメチルペンテン類)、28%三量体、および2%四量体であった。
【0172】
実施例12:イソブテンのオリゴマー化
実施例4aで生産された気流を50%イソブタンとともにコンプレッサーにコフィードし、濃縮し、アンバーリスト35(Rohm & Haas社から入手可能な強酸性イオン交換樹脂)を充填した固定床オリゴマー化反応器にポンプで送りこんだ。この反応器を120℃、圧力500psigに維持した。イソブテンが豊富な気流のWHSVは100hr−1である。生産物の気流は、約50%イソブタン(希釈剤)、約3%未反応ブテン類、約44%イソオクテン類(主に2,4,4−トリメチルペンテン類)、および約3%三量体である。
【0173】
実施例13:イソオクテンの脱水素環化
実施例11で得られたイソオクテンを蒸留して三量体および四量体を除去し、次にモル比1.3:1モル窒素希釈ガスを市販酸化クロムドープアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8“)含有固定床反応器に送り込んだ。反応は、大気圧、温度550℃、WHSV1.1hr−1で実施した。反応器の反応物を濃縮し、GC−MSで分析した。キシレン分画の内、p−キシレンは80%超の選択性で生産された。ASTM D6866−08法による分析でp−キシレンが96%バイオベースマテリアルを含有することが明らかとなった。
【0174】
実施例14:イソオクテンの水素化
パラジウム/炭素(0.5%Pd/C、2g)触媒を2000mLのステンレス鋼製バッチ撹拌反応器中に投入した。1000mLのイソオクテン異性体類を含む炭化水素分画をこの反応器に投入した。次にこの反応器に窒素を流入し、100psig水素で加圧した。反応混合物を1時間撹拌し、温度を室温から80〜100℃に上げた。その後、反応器を室温迄冷却し、反応器内の過剰の水素を開放し、少量の窒素で反応器から取り除いた。生産物から触媒をろ去し、生産物をGCで分析した結果、100%の水素化が明らかとなった。
【0175】
実施例15:再生可能なp−キシレンのテレフタール酸への酸化
300mLのParr反応器に、氷酢酸、ブロモ酢酸、酢酸コバルト4水和物、および実施例13で得られたp−キシレンを投入した。氷酢酸、ブロモ酢酸、酢酸コバルト4水和物、p−キシレンのモル比はそれぞれ1:0.01:0.025:0.03とした。反応器には、熱電対、メカニカルスターラー、酸素吸入口、コンデンサー、圧力計、および圧力安全弁が装備されていた。反応器を密封し、150℃に加熱した。反応器の内容物を撹拌し、酸素で溶液を泡立てた。反応系の圧力を50〜60psiに維持し、これらの反応条件を4時間維持した。4時間後反応器を室温迄冷却した。テレフタール酸を溶液からろ過し、新しい氷酢酸で洗浄した。
【0176】
実施例16:再生可能なテレフタール酸の精製
実施例15で得られたテレフタール酸と10%Pd/C触媒をモル比4.5:1(テレフタール酸:10%Pd/C)で300mLのParr反応器に投入した:脱イオン水を反応器に投入して13.5wt%テレフタール酸を含有するスラリーを作製した。反応器には、熱電対、メカニカルスターラー、窒素吸入口、水素吸入口、圧力計、および圧力安全弁が装備されていた。Parr反応器を密封し、窒素を流入した。このParr反応器に水素を反応器の内圧が600psiに到達するまで満たした。この反応器を285℃に加熱し、内圧を1000psiに到達させた。これらの条件で内容物を6時間撹拌した。6時間後内容物を室温まで冷却し、ろ過した。残渣をバイアルに移動し、N,N−ジメチルアセトアミドをモル比5:1(N,N−ジメチルアセトアミド:テレフタール酸)でバイアルに加えた。このバイアルを80℃、30分間加熱して、テレフタール酸を溶解した。内容物を直ちにろ過した;Pd/Cをテレフタール酸から効率的に除去した。結晶化したテレフタール酸のろ液を収集フラスコから除去し、清浄なフィルターへ移動し、新しいN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄し、乾燥させた。精製テレフタール酸の収率60%が得られた。
【0177】
実施例17:再生可能なPET作製のためのテレフタール酸の重合
実施例16で得られた精製テレフタール酸(PTA)およびエチレングリコールを300mLのParr反応器にPTA:エチレングリコールのモル比1:0.9で投入する:酸化アンチモン(III)をモル比1:0.00015(PTA:酸化アンチモン(III))で投入する。反応器には、熱電対、メカニカルスターラー、窒素吸入口、真空吸入口、コンデンサー、圧力計、および圧力安全弁が装備されている。このParr反応器を密封し、窒素を流入し、240℃まで加熱し、窒素で4.5バールまで加圧する。内容物をこれらの条件で3時間撹拌する。3時間後、温度を280℃まで上昇させ、反応器を真空ポンプにつないで20〜30mmに反応器の圧力を減じる。内容物をこれらの条件で3時間撹拌する。3時間後、真空バルブを閉じ、反応系の内容物に窒素を流入する。反応器を開放し、内容物を直ちに冷水に注ぎ込んでPETペレットを形成する。
【0178】
実施例18:イソブタノールからのジイソブチレンの調製
発酵によって生産されたイソブタノールを蒸留により発酵培地から分離した。16%水を含有するこのイソブタノールを、310℃に加熱した市販γ‐アルミナ触媒を含有する化学反応器に〜10psigおよびWHSV6hr−1で通過させた。この反応器の底から排出した水は0.1M未満のイソブタノールを含有し、イソブチレン(ガス)は99%超の変換で収集した。このイソブチレンガスを分子篩に通して乾燥させ、次にZSM−5触媒を含有し、140〜160℃、大気圧、およびWHSV=1.5hr−1に維持した第2の反応器に送り込んで〜60%の変換を達成し、約80%のジイソブチレン異性体類、約20%トリイソブチレン異性体類および少量のより高分子量の生産物の混合物を得た。
【0179】
実施例19:イソブタノールからのイソドデカンの調製
発酵によって生産されたイソブタノール(例えば、実施例1による)を蒸留して発酵培地から分離した。16%水を含有するこのイソブタノールを310℃に加熱した酸性の市販γ‐アルミナ触媒を含有する化学反応器に、〜10psigおよびWHSV6hr−1で通過させた。反応器の底から排出した水は0.1M未満のイソブタノールを含有し、イソブチレン(ガス)は99%超の変換で収集された。このイソブチレンガスを分子篩に通して乾燥させ、次に100〜120℃に維持したアンバーリスト(登録商標)35を含有する二番目の化学反応器に、大気圧およびWHSV=2.5hr−1で送り込んで、〜90%の変換を達成し、約15%のジイソブチレン異性体類、75%トリイソブチレン異性体および10%テトラマー類の混合物を得た。この液体産物は、市販のアルミナ触媒上の0.5%Pdを充填したトリクルベッド水素化反応器にポンプで送りこみ、10%過剰水素をコフィードした。99%超のオレフィン類の水素化が150℃、150psig、およびWHSV=3hr−1で生じた。この飽和炭化水素産物を全プロセスの収率〜90%で収集した。
【0180】
実施例20:イソブチレン二量体および三量体からのガソリンの調製
約80%ジイソブチレン異性体類および約20%トリイソブチレン異性体類ならびに少量の高分子量産物の混合物を150℃、150psiで維持するアルミナ触媒上の0.5%Pdを含有する水素化反応器に送り込み、得られた飽和炭化水素産物を大気圧で蒸留し、ジイソブチレン、トリイソブチレン、および少量の高分子量産物を含有する3つの分画を得た。この3つの分画は分離されて航空機用ガソリンおよび自動車用ガソリンに使用することができる。
【0181】
実施例21:イソブチレンからのメチルウンデセンの調製
90gの再生可能なイソブチレンを2,4,6−トリメチルピリジンで処理しておいた10gのZSM−5触媒(Si:Al比=80)とともに350mLバッチ反応器に負荷した。この反応器を密封して220℃に加熱し、約40時間反応させた。75mLの産物を収集し、サンプルをGC/MSで分析した。その組成は約30%C12またはより大きな分子であり、主な化合物はメチルウンデセンの異性体類であった。
【0182】
実施例22:メチルウンデセンからのディーゼル燃料の調製
実施例21で得られた不飽和化合物を1gの5%Pd/C触媒を含有する350mLバッチ反応器に負荷した。この反応器に窒素を吹き込み、200psigの水素で加圧した。この反応器を100℃に加熱し、この温度で1時間保持した。70mLの産物を収集し、GC/MSで分析した。この産物は完全に飽和していることが判った。70mLのこの水素化混合物を次に蒸留してC12+分画(例えば、C12またはより高級な炭化水素類を包含する分画)を濃縮した。約50mLの混合物を留去(主にC炭化水素類)し、20mLのC12+炭化水素が残った。最終産物の発火点は51℃、得られたセタン価はASTM D6890−07により68と測定された。この産物は#1ディーゼル燃料のASTM規格に適合することが決定された。
【0183】
実施例23:イソブチレンからのジェット燃料
再生可能なイソブチレンは管状炉ハウジングSS316リアクター(OD5/16inx12in)、気流計、HPLCポンプ、蒸発圧力調整弁、および気液分離器を装備した固定床連続流システムを用いて三量体化した。典型的な三量体化手順では、反応器にβゼオライトCP814C(ゼオリストインターナショナル社)を負荷し、イソブチレンを反応温度140〜180℃、大気圧、WHSV1〜3hr−1で送り込んだ。イソブチレン変換は85%、産物の分布は約29%二量体異性体類、58%三量体異性体類、および11%四量体異性体類であった。生じたオリゴマーブレンドの水素化を150℃、150psiで実施して炭化水素産物を取得し、これを分画して、ジェット燃料の原料として使用される飽和C12炭化水素類(三量体)およびC16(四量体)炭化水素類のブレンドを得た。
【0184】
実施例24:イソブチレンからのBTEXの調製
管状炉ハウジングSS316リアクター(OD5/16inx12in)、気流計、HPLCポンプ、蒸発圧力調整弁、および気液分離器を装備した固定床連続流システムにZSM−5CBV8014ゼオライト触媒を負荷した。この触媒は反応開始前に窒素下540℃で8時間焼成した。イソブチレン(例えば、本明細書中に記載のように調製)を上記反応器にWHSV1.0hr−1で送り込み、反応条件は400〜550℃、大気圧に維持した。芳香族産物は約45%の収率で形成され、BTEX(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン)の選択性は80%であった。この芳香族産物を分離し、燃料および他の製品に使用した。
【0185】
実施例25:ジイソブチレンからのBTEXおよび水素の調製
固定床連続流反応器にZSM−5CBV8014ゼオライト触媒を負荷した。反応開始前に、この触媒を窒素下540℃で8時間焼成した。イソブチレンを上記反応器にWHSV1.6hr−1で送り込み、反応条件は大気圧で400〜550℃を維持した。芳香族産物は収率約38%で形成され、BTEXの選択性は80%であった。芳香族産物を単離し、燃料および他の製品に使用した。水素も本反応の副産物として生産された;形成される芳香環1モル当たり約3モルの水素が生産された。
【0186】
実施例26:イソブチレンからの統合的オリゴマー類の生産
発酵(例えば、本明細書中に記載のように)により生産されたイソブタノールは蒸留により発酵培地から分離した。16%水を含有するこのイソブタノールは1気圧、350℃で加熱したペレット状SPA触媒を含有する化学反応器に通過させた。水を化学反応器の底から排出し、イソブチレンを99%の変換で収集した。このイソブチレンガスは分子篩を通過させて乾燥し、次に120〜140℃および大気圧に維持したアンバーリスト(登録商標)35(Rohm&Haas)触媒を含有する2番目の反応器に送り込んで、90%変換、約27%のジイソブチレン異性体類および約70%トリイソブチレン異性体類、および少量のより高分子量の産物を得た。
【0187】
実施例27:イソブチレンからの統合的飽和オリゴマー類の生産
発酵(例えば、本明細書中に記載のように)により生産されたイソブタノールは蒸留により発酵培地から分離した。16%水を含有するこのイソブタノールは、1気圧、350℃で加熱したペレット状SPA触媒を含有する化学反応器に通過させた。水を化学反応器の底から排出し、イソブチレンは99%の変換で収集した。このイソブチレンガスは分子篩を通過させて乾燥し、次に120〜140℃、大気圧に維持したアンバーリスト(登録商標)35(Rohm&Haas社)触媒を含有する2番目の反応器に送り込んで、90%変換、約27%のジイソブチレン異性体類および約70%トリイソブチレン異性体類、および少量の高分子量産物を得た。このオリゴマー類のブレンドは3番目の反応器に送り込み、150℃、150psi水素、アルミナ中で支持された0.5%Pd上でオレフィン類を水素化した。生じた産物を分画して、ジェット燃料の原料として使用されるイソブチレン三量体および四量体のブレンドを単離した。
【0188】
実施例28:イソブタノールからのp−キシレンの統合的生産
図10に図示したプロセスを用いて再生可能なイソブタノールを再生可能なp−キシレンに変換する。再生可能なイソブタノール(例えば、本明細書中に記載のように)はプレヒーターを介して市販のy‐アルミナ触媒(BASF AL−3996)を充填した固定床触媒反応器にWHSV10hr−1にて湿ったまま(15wt%水)送り込む。この脱水反応器は290℃、圧力60psigに維持する。脱水反応器からの流出物(3)を液/液分離機に送り込み、水を除去する。分析の結果は有機相(4)が95%イソブチレン、3%直鎖ブテン類、および2%の未反応のイソブタノールであることを示している。この有機相を、イソブタン、イソオクタン、および未反応のブテンを含有するリサイクル気流(11)と混合して、容積移送式真空ポンプ(P2)に送り込み、ここでHZSM−5触媒(CBV2314)を充填したオリゴマー化反応器にWHSV100hr−1にてポンプで送り込む。この反応器を170℃、750psigに維持する。オリゴマー化反応器からの流出物(6)を分析して、60%の未反応の供給物(イソブタン、イソオクタン、およびブテン類)、39%イソオクテン、および1%三量体であることを示す。オリゴマー化反応器からの流出物をリサイクルしたイソオクテン(15)と混合し、プレヒーターを介して、市販の酸化クロムドープアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器にWHSV1hr−1で送り込む。この脱水素環化反応容器を550℃、5psiaに維持する。送り込まれたCアルケン類に対する反応器からのキシレン類の収率は42%、p−キシレンに対する選択性は90%である。流出物(8)は気/液分離器で分離する。気相は60psigに圧縮(C1)してイソブタンおよびブテン類を濃縮する。2番目の気/液分離器は水素(および少量のメタンまたは他の軽質炭化水素類)の回収に使用する。C液類はリサイクル(11)し、脱水反応器(4)からの有機相と混合する。脱水素環化反応器からの液体産物(12)はポンプ(P3)で大気圧をわずかに超える圧力で一連の蒸留カラムに送り込む。すべての副産物である軽い芳香族類(ベンゼンおよびトルエン)および重い化合物類(C9+芳香族類またはイソオレフィン類)を除去する。キシレンおよびイソ‐C化合物類が豊富な副流は2番目の蒸留カラムに送り込む。このC化合物類(イソオクテンおよびイソオクタン)は、脱水素環化反応器に送り込んで、リサイクルする(15)。キシレン分画(16)は、精製プロセスに送り込み、99.99%の純粋なp−キシレン産物および副産物のo‐キシレンが豊富な小流を得る。
【0189】
前述の実施例により記載および図示される本明細書中の実施態様は、本発明の図解のためであることを理解するべきであり、限定するものとして解釈されるべきものではない。反対に、添付の特許請求の範囲によって記載されるように、本発明の開示は、その代替物およびその相当物を包括する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能な炭化水素を調製するための統合的プロセスであって、
(a)再生可能イソブタノールおよび再生可能エタノールを供給することと;
(b)前記再生可能イソブタノールを脱水し、それにより、1つ以上の再生可能直鎖状ブテンおよび再生可能イソブテンを含む再生可能ブテン混合物を形成することと;
(c)前記再生可能エタノールを脱水し、それにより再生可能エチレンを形成することと;
(d)前記再生可能ブテン混合物の少なくとも一部分と前記再生可能エチレンの少なくとも一部分を反応させて、1つ以上の再生可能C−C16オレフィンを形成することと;
を含む、統合的プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載の統合的プロセスであって、
(e)以下の1つ以上により再生可能水素を形成することと;
(e1)ステップ(b)で形成した前記直鎖状ブテンの少なくとも一部分、および/またはステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した1つ以上の再生可能C−C16オレフィンを脱水素化し、それにより、1つ以上の再生可能C−C16ジエンおよび再生可能水素を形成すること;
(e2)ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した1つ以上の再生可能C−C16オレフィンの少なくとも一部分を脱水素環化し、それにより、1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物および再生可能水素を形成すること;
(e3)ステップ(e1)で形成した前記再生可能C−C16ジエンから単離した1つ以上の再生可能C−C16ジエンの少なくとも一部分を脱水素環化して、1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物および再生可能水素を形成すること;
(f)前記再生可能C−C16オレフィンの少なくとも一部分を、ステップ(e)で形成した前記再生可能水素で水素化し、それにより、再生可能な飽和炭化水素燃料または燃料添加物を形成することと;
をさらに含む、統合的プロセス。
【請求項3】
ステップ(e)の前記脱水素化および/もしくは前記脱水素環化の量、ならびに/またはステップ(f)の前記水素化の量を、ステップ(e)で形成した前記再生可能水素の量がステップ(f)で本質的に完全に消費されるように制御する、請求項2に記載の統合的プロセス。
【請求項4】
前記再生可能イソブタノールおよび前記再生可能エタノールは発酵により供給される、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項5】
ステップ(b)の前記脱水およびステップ(c)の前記脱水は別個に実施する、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項6】
前記1つ以上の再生可能直鎖状ブテンは2−ブテンを含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項7】
前記1つ以上の再生可能直鎖状ブテンは1−ブテン、シス2−ブテン、およびトランス−2−ブテンを含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項8】
ステップ(d)の前記反応は、不均化、メタセシス、オリゴマー化、異性化、アルキル化、脱水素二量化、脱水素環化、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つ以上の反応を含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項9】
ステップ(d)の前記反応は、前記再生可能イソブテンの少なくとも一部分を二量化し、それにより、再生可能イソブテン二量体混合物を形成することを含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項10】
前記再生可能イソブテン二量体混合物は、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセン、2,5−ジメチルヘキサジエン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのC炭化水素を含む、請求項9に記載の統合的プロセス。
【請求項11】
ステップ(d)の前記反応は、前記再生可能イソブテンの少なくとも一部分を三量化し、それにより、再生可能イソブテン三量体混合物を形成することを含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項12】
前記再生可能イソブテン三量体混合物は1つ以上のペンタメチルヘプテンを含む、請求項11に記載の統合的プロセス。
【請求項13】
前記1つ以上のペンタメチルヘプテンは2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプテンを含む、請求項12に記載の統合的プロセス。
【請求項14】
ステップ(d)の前記反応は、前記再生可能イソブテンの少なくとも一部分を四量化し、それにより、再生可能イソブテン四量体混合物を形成することを含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項15】
前記再生可能イソブテン四量体混合物は1つ以上のヘプタメチルノネンを含む、請求項14に記載の統合的プロセス。
【請求項16】
前記再生可能イソブテン四量体混合物は2,2,4,6,6,8,8−ヘプタメチルノネンを含む、請求項14に記載の統合的プロセス。
【請求項17】
ステップ(d)の前記反応は、ステップ(b)の前記再生可能イソブテンの少なくとも一部分を異性化して、再生可能2−ブテンを含むイソブテン異性化混合物を形成することを含む、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項18】
ステップ(d)の前記反応は、ステップ(c)で形成した前記再生可能エチレンの少なくとも一部分と、ステップ(b)で形成した前記2−ブテンの少なくとも一部分を不均化し、それにより再生可能プロピレンを形成することを含む、請求項6に記載の統合的プロセス。
【請求項19】
ステップ(d)の前記反応は、ステップ(c)で形成した前記再生可能エチレンの少なくとも一部分と、ステップ(b)の前記イソブテンの少なくとも一部分を異性化することにより形成した前記再生可能2−ブテンの少なくとも一部分を不均化し、それにより再生可能プロピレンを形成することをさらに含む、請求項17に記載の統合的プロセス。
【請求項20】
ステップ(d)の前記反応は、ステップ(c)で形成した前記再生可能エチレンの少なくとも一部分と、ステップ(b)で形成した前記再生可能2−ブテンおよびステップ(b)で形成した前記再生可能イソブテンを異性化することにより形成した再生可能2−ブテンの少なくとも一部分を不均化し、それにより再生可能プロピレンを形成することを含む、請求項6に記載の統合的プロセス。
【請求項21】
ステップ(e)はステップ(e1)を含む、請求項2に記載の統合的プロセス。
【請求項22】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンは、再生可能直鎖状ブテンを含む、請求項21に記載の統合的プロセス。
【請求項23】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンは、再生可能1−ブテン、再生可能シス−2−ブテン、および再生可能トランス−2−ブテンの混合物を含む、請求項22に記載の統合的プロセス。
【請求項24】
ステップ(e1)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16ジエンはブタジエンを含む、請求項23に記載の統合的プロセス。
【請求項25】
ステップ(e)はステップ(e2)を含む、請求項2に記載の統合的プロセス。
【請求項26】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから1つ以上の再生可能C−Cオレフィンを単離する、請求項25に記載の統合的プロセス。
【請求項27】
ステップ(e2)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物は、再生可能ベンゼン、再生可能トルエン、再生可能キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる再生可能芳香族化合物を含む、請求項25に記載の統合的プロセス。
【請求項28】
前記再生可能キシレンは再生可能p−キシレンを含む、請求項27に記載の統合的プロセス。
【請求項29】
ステップ(e)はステップ(e1)およびステップ(e2)を含む、請求項2に記載の統合的プロセス。
【請求項30】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンは、再生可能直鎖状ブテンを含む、請求項29に記載の統合的プロセス。
【請求項31】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンは、再生可能1−ブテン、再生可能シス−2−ブテン、および再生可能トランス−2−ブテンの混合物を含む、請求項30に記載の統合的プロセス。
【請求項32】
ステップ(e1)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16ジエンはブタジエンを含む、請求項29に記載の統合的プロセス。
【請求項33】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから1つ以上の再生可能C−Cオレフィンを単離する、請求項29に記載の統合的プロセス。
【請求項34】
ステップ(e2)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物は、再生可能ベンゼン、再生可能トルエン、再生可能キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる再生可能芳香族化合物を含む、請求項29に記載の統合的プロセス。
【請求項35】
前記再生可能キシレンは再生可能p−キシレンを含む、請求項34に記載の統合的プロセス。
【請求項36】
ステップ(e)はステップ(e1)およびステップ(e3)を含む、請求項2に記載の統合的プロセス。
【請求項37】
ステップ(e1)で1つ以上の再生可能C−Cジエンが形成される、請求項36に記載の統合的プロセス。
【請求項38】
前記1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物は、再生可能ベンゼン、再生可能トルエン、再生可能キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる再生可能芳香族化合物である、請求項36に記載の統合的プロセス。
【請求項39】
前記再生可能キシレンは再生可能p−キシレンを含む、請求項38に記載の統合的プロセス。
【請求項40】
ステップ(e)はステップ(e1)、ステップ(e2)、およびステップ(e3)を含む、請求項2に記載の統合的プロセス。
【請求項41】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンは、再生可能直鎖状ブテンを含む、請求項40に記載の統合的プロセス。
【請求項42】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから単離した前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンは、再生可能1−ブテン、再生可能シス−2−ブテン、および再生可能トランス−2−ブテンの混合物を含む、請求項40に記載の統合的プロセス。
【請求項43】
ステップ(e1)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16ジエンはブタジエンを含む、請求項40に記載の統合的プロセス。
【請求項44】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから1つ以上の再生可能C−Cオレフィンを単離する、請求項40に記載の統合的プロセス。
【請求項45】
ステップ(e2)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物は、再生可能ベンゼン、再生可能トルエン、再生可能キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる再生可能芳香族化合物である、請求項40に記載の統合的プロセス。
【請求項46】
前記再生可能キシレンは再生可能p−キシレンを含む、請求項45に記載の統合的プロセス。
【請求項47】
ステップ(d)で形成した前記再生可能C−C16オレフィンから1つ以上の再生可能C−Cオレフィンが単離され、かつステップ(e2)で形成した前記1つ以上の再生可能C−C16芳香族化合物は、再生可能ベンゼン、再生可能トルエン、再生可能キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項40に記載の統合的プロセス。
【請求項48】
前記再生可能キシレンは再生可能p−キシレンを含む、請求項47に記載の統合的プロセス。
【請求項49】
前記再生可能イソブテン二量体混合物の少なくとも一部分はステップ(f)で水素化され、それにより、前記再生可能な飽和炭化水素燃料または燃料添加物はイソオクタンを含む、請求項10に記載の統合的プロセス。
【請求項50】
前記再生可能イソブテン二量体混合物はステップ(f)で水素化され、それにより、前記再生可能な飽和炭化水素燃料または燃料添加物はイソオクタンを含む、請求項49に記載の統合的プロセス。
【請求項51】
前記再生可能イソブテン三量体混合物の少なくとも一部分はステップ(f)で水素化され、それにより、前記再生可能な飽和炭化水素燃料または燃料添加物は1つ以上のペンタメチルヘプタンを含む、請求項12に記載の統合的プロセス。
【請求項52】
前記再生可能イソブテン三量体混合物はステップ(f)で水素化され、それにより、前記再生可能な飽和炭化水素燃料または燃料添加物は1つ以上のペンタメチルヘプタンを含む、請求項51に記載の統合的プロセス。
【請求項53】
前記再生可能イソブテン二量体混合物の少なくとも一部分はステップ(e2)で脱水素環化され、それにより、再生可能なp−キシレンおよび水素を含む脱水素環化生成物を形成する、請求項9に記載の統合的プロセス。
【請求項54】
前記再生可能プロピレンを二量化することをさらに含む、請求項18、19、20のいずれか一項に記載の統合的プロセス。
【請求項55】
前記再生可能プロピレン二量体の少なくとも一部分を脱水素環化し、それにより再生可能ベンゼンを形成することをさらに含む、請求項54に記載の統合的プロセス。
【請求項56】
ステップ(d)の前記反応は、前記再生可能混合物および/または前記再生可能エチレンと、再生不能のブテンおよび/またはブテン混合物および/または再生不能の再生可能エチレンの少なくとも一部分を混合して、1つ以上のC−C16オレフィンを形成することをさらに含み、該1つ以上のC−C16オレフィンの少なくとも1部分は再生可能である、請求項1に記載の統合的プロセス。
【請求項57】
ステップ(d)の前記反応は、前記再生可能ブテン混合物および前記再生可能エチレンおよび/または再生可能プロピレンまたはこれらの混合物をオリゴマー化して、前記1つ以上の再生可能C−C16オレフィンを形成することを含む、請求項8に記載の統合的プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−516487(P2013−516487A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548174(P2012−548174)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020549
【国際公開番号】WO2011/085223
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(510153973)ジーヴォ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】