説明

再生可能な原材料に基づく発泡性コポリマー

【課題】本発明は、従来技術において知られる不具合を有さない発泡性コポリマーを提供することを目的とする。更に、発泡性コポリマー及び発泡性ポリマー構造の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的は、(a)1種以上のモノエチレン系モノマー化合物又はそれらの無水物(モノマーA1)とイタコン酸、メサコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタコン酸並びにそれらの塩、エステル及び無水物の群から選択される1種以上の化合物(モノマーA2)とのフリーラジカル共重合により得られる少なくとも1種のコポリマーを含む反応混合物と、(b)1種以上の架橋剤との反応から得られる発泡性コポリマーにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性コポリマーの製造方法、その発泡性コポリマー自身及び発泡性ポリマー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の発泡方法は公知であり、また、そのような方法中で使用するために好適な発泡性熱可塑性樹脂の組成も公知である。典型的に、発泡構造を得るための発泡方法は、熱可塑性樹脂の溶融、溶融前又は溶融後におけるガス(発泡剤)若しくはガス源(例えば、化学的発泡剤)の樹脂中への導入及びその後の溶融した熱可塑性樹脂の押出し型を通した押出し成形を含む。発泡ポリスチレン製品は、ペンタンのような物理的発泡剤を使用し、その物理的発泡剤は貯蔵の間にポリマー母材の中から拡散することができ、自然発火又は爆発性雰囲気の発生という結果を引き起こしうる。不燃性の、ポリマー結合型の及び重合可能な発泡剤は、これらの危険を回避し、リスク軽減及び経済性に関してかなりの利点がある。
【0003】
発泡剤(例えば、CO)の自発的放出は、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、オルガノポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタールフォーム及び発泡性ポリフェノールに基づく樹脂に基づくフォームの製造のために確立された方法である。多種多様の刊行物に、ポリマー母材内に結合した不安定なカルボン酸又は不安定な無水物の脱カルボキシル反応が記載されている。
【0004】
EP0850981には、吸水性フォーム型ポリマーの製造方法が記載されており、クエン酸のような有機化合物の脱カルボキシル反応を介して発泡するフォームがフッ素系ポリマー中に含まれる。
【0005】
“B.E. Tate, Advanced Polymer Science,1967年、5巻、214−232ページ”の中で、B.E.Tateは、イタコン酸及びアクリル酸から構成されるか、又はイタコン酸、スチレン及びビニルアセテートデカルボキシレートから構成されるポリマー及びコポリマーが、約100℃の穏やかな温度条件下でゆっくりと脱炭酸することを教えている。
【0006】
JP419192には、ポリアクリルアミド−及びポリアクリル酸−に基づくフォームの製造のための発泡剤として、共重合可能なイタコン酸の使用が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】JP419192
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】B.E. Tate, Advanced Polymer Science,1967年、5巻、214−232ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術において知られる不具合を有さない発泡性コポリマーを提供することである。他の目的は、発泡性コポリマー及び発泡性ポリマー構造の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
(a)1種以上のモノエチレン系モノマー化合物又はそれらの無水物(モノマーA1)とイタコン酸、メサコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタコン酸並びにそれらの塩、エステル及び無水物の群から選択される1種以上の化合物(モノマーA2)とのフリーラジカル共重合により得られる少なくとも1種のコポリマーを含む反応混合物と、
(b)1種以上の架橋剤と
の反応から得られる発泡性コポリマーにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
発泡性コポリマーの研究中に、特に、そして、驚くべきことに、本発明の発泡性コポリマーをStyroporと比較すると、これら本発明のコポリマーの材料はほぼ無限の貯蔵性を有し、必要に応じて発泡させることができることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTEAにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])で構成されたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図2】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTHEEDにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])で構成されたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図3】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTRIPAにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])で構成されたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図4】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTRIPAにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])で構成されたフォームを録画した画像を示す図である。
【図5】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTRIPAにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])からなる90質量%の発泡性コポリマーと10質量%のポリスチレンとから構成されたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図6】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTRIPAにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])からなる90質量%の発泡性コポリマーと30質量%のポリスチレンとから構成されたフォームを録画した画像を示す図である。
【図7】1質量%のタルクの存在下に30質量%のTRIPAにより架橋されたイタコン酸/アクリル酸コポリマー(1:3[質量%])からなる90質量%の発泡性コポリマーと50質量%のポリスチレンとから構成されたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
使用することができるモノマーA1は、原則として、モノマーA2とフリーラジカル共重合可能なエチレン系不飽和モノマーの何れかである。モノマーA2は、例えば、エチレン系不飽和の、特に、α,β−モノエチレン系不飽和の、C−Cの、好ましくはC若しくはCのモノ−又はジカルボン酸並びにそれらの水溶性塩、とりわけ、それらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、クロトン酸、ビニル酢酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマレイン酸並びにそれら上述の酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である。
【0014】
これらと一緒に使用することができる他のモノマーA1の例は、スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン又はビニルトルエン等のビニル芳香族モノマー;塩化ビニル又は塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビニルn−ブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート等のビニルアルコールと1〜18個の炭素原子を有するモノカルボン酸とから構成されたエステル;α,β−モノエチレン系不飽和モノ−及びジカルボン酸、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン系不飽和モノ−及びジカルボン酸、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸等と、一般的に1〜12個、好ましくは1〜8個、特に1〜4個の炭素原子を有するアルカノールとから構成されたエステルであって、特に、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、2−エチルヘキシルアクリレート及びそれらの対応するメタクリレート等のエステル;ジメチル若しくはジ−n−ブチルフマレート及びそれらに対応するマレイン酸塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等のα,β−モノエチレン系不飽和カルボン酸のニトリル;及び1,3−ブタジエン(ブタジエン)及びイソプレン等のC結合ジエンが挙げられる。使用することができる他のモノマーA1は、それらのエチレン系不飽和モノマーであって、少なくとも1種のスルホン酸基若しくはその対応するアニオンを有するか、少なくとも1種のアミノ、アミド、ウレイド若しくはN−ヘテロサイクリック基を有するか、又はその窒素源がプロトン化若しくはアルキル化された誘導体を有する。例としては、アクリルアミド及びメタクリルアミドが挙げられ、及びまた、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びそれらの水溶性塩、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノ−プロピル)メタクリルアミド、2−(1−イミダゾリン−2−オニル)エチルメタクリレート及びグリシジルアクリレートが挙げられる。
【0015】
使用されるモノエチレン系不飽和モノマー化合物、又は適宜に、それらの無水物若しくはエステルは、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルn−ブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、1,3−ブタジエン(ブタジエン)、イソプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリリック酸(β-stearylic acid)、シトラコン酸、アコニット酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン無水物及び無水マレイン酸であり、ここでは、特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン及びメチル(メト)アクリレートが提供される。
【0016】
使用することができるモノマーA2は、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタコン酸及びそれらの塩、無水物若しくはアルキルエステルである。ここで、アルキルエステルは対応するモノアルキルエステルを意味することを意図しているだけでなく、ジ−又はトリアルキルエステル、特に、対応するC−C20−アルキルエステル、好ましくは、モノ−、ジメチル又は−エチルエステルもまた意味することを意図している。また、もちろん、本発明は、上述の酸の対応する塩、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、特に、対応するナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩を含むことを意図している。本発明の好ましい一実施の形態によれば、イタコン酸又はイタコン酸無水物が使用され、しかしここで、特に好ましくは、イタコン酸が与えられる。
【0017】
反応混合物(a)は、0.1〜70質量%、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは1〜25質量%の少なくとも1種のモノマーA2を共重合された形態中に含む。
【0018】
好ましい一実施の形態によると、モノエチレン系不飽和化合物(モノマーA1)とイタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニチン酸並びにそれらの塩、エステル及び無水物の群から選択される1種以上の化合物(モノマーA2)の割合は、1〜50質量%の少なくとも1種のモノマーA2と50〜99質量%の少なくとも1種のモノマーA1の範囲であり、特に、1〜25質量%の少なくとも1種のモノマーA2と75〜99質量%の少なくとも1種のモノマーA1の範囲内であることが有利である。通常、ここでの質量%のデータは、全体のコポリマーに基づくものである。
【0019】
フィケンチャー法(15ページ参照)(1%強度の脱イオン水)により決定されるその反応混合物(a)中に含まれるコポリマーのK値は、一般的に19〜80、好ましくは30〜50、特に好ましくは32〜38である。その反応混合物(a)に含まれるコポリマーの数平均分子量は、15000〜5000000g/モル、好ましくは150000〜600000g/モル、特に好ましくは300000〜400000g/モル、とりわけ300000〜400000g/モルである。
【0020】
本発明によると、特徴である好ましい架橋剤(b)は、縮合反応中又は付加反応中に反応混合物(a)中に含まれるコポリマーの遊離した官能基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する化合物である。
【0021】
特徴である架橋剤(b)として挙げられることが多いものの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール等のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はテトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール及びソルビトールを含むポリオール;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はプロパノールアミン等のアミノアルコール;エチレンジアミン、ジエチレンテトラアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン若しくはペンタエチレンヘキサアミン、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED)、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジポアミド(THEAA)、トリイソプロパノールアミン(TRIPA)等のポリアミン化合物;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパノールグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエーテル及びアジピン酸ジグリシジルエーテル等のポリグリシジック(polyglycidic)エーテル化合物;グリシドール、ポリイソシアネート、好ましくはトルエン2,4−ジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレン−ジエチレンウレア及びジフェニルメタンビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等のポリアジリジン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン及びα−メチルエピクロロヒドリン等のハロゲンペルオキシド;1,3−ジオキソラン−2−オンエチレンカーボネート及び4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(プロピレンカーボネート)等のアルキレンカーボネート;ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物等のポリ四級アミン;ジ−、トリ−及びポリアミン;及び少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオール化合物である。
原則として、下文にてポリオールと呼ぶポリオール化合物は、その分子量が1000g/モル以下の化合物、又はその分子量が1000g/モルより大きいポリマー化合物であるものとする。少なくとも2個のヒドロキシ基を有する化合物の例としては、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、ヒドロキシアルキルアクリレート若しくはヒドロキシアルキルメタクリレートのホモ−又はコポリマー、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート及びその対応するメタクリレート又はヒドロキシプロピルアクリレート及びその対応するメタクリレートが挙げられる。他のポリマーポリオールの例としては、特に、WO97/45461中の3ページ3行目から14ページ33行目に挙げられている。
【0022】
少なくとも2個のヒドロキシ基を有し、且つ分子量が1000g/モル以下である有機化合物の何れかを、分子量が1000g/モル以下のポリオールとして使用することができる。挙げられるものの例は、エチレングリコール、プロピレン1,2−グリコール、グリセロール、1,2−若しくは1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、スクロース、グルコース、1,2−、1,3−若しくは1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2−、1,3−若しくは1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン及び好ましくはアルカノールアミン、例えば、一般式I
【0023】
【化1】

【0024】
[式中、Rは水素原子、C−C10−アルキル基又はC−C10−ヒドロキシアルキル基であり、R及びRはC−C10−ヒドロキシアルキル基である。]で表わされる化合物が挙げられる。
【0025】
特に好ましくは、R及びRはお互いに独立して、C−C−ヒドロキシアルキル基であり、Rは水素原子、C−C−アルキル基又はC−C−ヒドロキシアルキル基である。
【0026】
挙げられる一般式Iの特定の化合物は、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン又はメチルジイソプロパノールアミンである。
【0027】
分子量が1000g/モル以下である他のポリオールの例は、同様に、WO97/45461、3ページの3行目から14ページの33行目に挙げられている。
【0028】
そのポリオールは、好ましくは、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン又はメチルジイソプロパノールアミンを含む群から選択され、ここではトリエタノールアミンが特に好ましく与えられる。
【0029】
特に好ましい架橋剤はトリエタノールアミン、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン及びトリイソプロパノールアミンである。
【0030】
反応混合物(a)及び特徴である架橋剤(b)は、一般的にそして好ましくは、架橋剤に対する反応混合物の質量割合が1:10〜100:1、好都合には1:5〜50:1、特に好都合には1:1〜20:1となるようなお互いに関しての量比で使用される。
【0031】
好ましくは、架橋剤(b)の使用量は、それぞれの場合において全体のコポリマーに基づいて5〜65質量%、好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは20〜30質量%の範囲である。
【0032】
本発明の発泡性コポリマーは、一般的に少なくとも1種の成分(a)と少なくとも1種の成分(b)との反応により得ることができる。しかしながら、成分(a)と(b)の反応中に、さらに他の成分も使用することができる。一例として、核剤の存在下で成分(a)と(b)の反応を実施すると有利である。核剤の好適な選択は、それぞれのフォームの使用意図に応じてフォームの構造、細孔径及び細孔分布を変更することを可能にする。好適に使用される核剤は、タルク(マグネシウムシリケート)、マグネシウムカーボネート、カルシウムカーボネート、フンタイト、ハイドロマグネサイト及びKMgAlシリケート又はそれらの混合物である。その核剤は、特に好ましくはタルクである。
【0033】
(a)と(b)を含む反応混合物中で、核剤のような他の成分の使用量は、反応物の全質量に基づいて0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2質量%、特に好ましくは1〜1.5質量%の範囲である。
【0034】
本発明の発泡性コポリマーの有利な特徴は、架橋反応の不完全さのおかげで、カルボン酸基のいくつかがそのポリマー中に遊離の形状で残存しており、そうして本発明のコポリマーに親水性の特性を与えていることである。そのコポリマーの親水性の特性はイタコン酸含量並びに架橋剤の性質及び濃度の変化により、又は他のポリマーの混合により調整することができる。ここで、他のポリマーはポリスチレン、ポリエステル、熱可塑性樹脂、ポリアミド及び上述のポリマーの複数の混合物である。
【0035】
本発明の発泡性コポリマーの発泡中に、そのポリマー内に結合した潜在的な発泡剤が、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸又はグルタロニック酸(glutaronic acid)の遊離のカルボキシ基の脱炭酸により分解する。脱炭酸反応は、本発明のコポリマーの発泡をもたらすために十分な量のCOを遊離する。それゆえに、本発明のコポリマーはそれら自身が発泡剤を供給し、このために、“自己発泡性”である。本発明のコポリマーの発泡により得られるフォーム又はフォーム状ポリマー構造の特性は、40〜300g/l、好ましくは50〜200g/lの範囲の密度である。結果として生じるフォーム又はフォーム状ポリマー構造の熱伝導性は、一般的に0.04W/mK〜0.09W/mKの範囲である。熱伝導性が0.0467W/mK(架橋剤としてTHEED使用)、0.079W/mK(架橋剤としてTEA使用)及び0.0575W/mK(架橋剤としてTiPA使用)であるフォーム又はフォーム状ポリマー構造が、実施例に関して製造された。
【0036】
さらに、本発明は、
(i)1種以上のモノエチレン系不飽和モノマー化合物(モノマーA1)とイタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びアコニット酸並びにそれらの塩、エステル及び無水物からなる群から選択される1種以上の化合物(モノマーA2)とのフリーラジカル共重合により少なくとも1種の反応混合物(a)を製造する工程、及び
(ii)工程(i)で得られた少なくとも1種のコポリマーを1種以上の架橋剤と反応させる工程
を含む本発明の発泡性コポリマーの製造方法を提供する。
【0037】
工程(i)での反応混合物の製造は、当業者に公知のさまざまなフリーラジカル重合反応の方法により実施することができる。好ましくは、均一相フリーラジカル重合が、特に、水溶液中ではゲル重合として知られる形態が、又は有機溶媒中では重合が用いられる。他の可能性は、有機溶媒、例えばアルコールからの沈殿重合又は懸濁、エマルション若しくはマイクロエマルション重合である。メルカプトエタノールのような鎖調節剤のような他の補助剤を、重合開始剤と同じように重合反応中で使用することができる。
【0038】
工程(i)でのフリーラジカル重合は、通常フリーラジカルを形成する開始剤として知られる化合物の存在下において起こる。
【0039】
フリーラジカルを形成するこれらの化合物の使用量は、重合されるべき出発物質に基づいて通常30質量%まで、好ましくは0.05〜15質量%、とりわけ0.2〜8質量%である。多数の成分で構成された開始剤(開始剤系、例えば、酸化還元開始剤系)の場合、上述の質量データはその成分の全体量に基づく。
【0040】
好適な開始剤の例としては、有機ペルオキシド及びヒドロペルオキシドが挙げられ、及びまた、ペルオキシド硫酸塩、ペルカーボネート、ペルオキシドエステル、過酸化水素及びアゾ化合物が挙げられる。これらの開始剤の例としては、過酸化水素、ジシクロヘキシルペルオキシドジカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジアミルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(o−トルイル)ペルオキシド、スクシニルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルマレアート、tert−ブチルイソブチレート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルオクトエート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−アミルペルピバレート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブトキシ−2−エチルヘキサノエート及びジイソプロピルペルオキシジカルバメート;リチウムペルオキソジサルフェート、ナトリウムペルオキソジサルフェート、カリウムペルオキソジサルフェート及びアンモニウムペルオキソジサルフェート、並びにアゾ開始剤の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボミトリル(1-cyclohexanecarbomitrile))、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)ジヒドロクロリド及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドが挙げられ、酸化還元開始剤系は下文にて説明される。
【0041】
酸化還元開始剤系は、酸化還元共開始剤、例えば、還元作用を有するイオウ化合物(例えば、アルカリ金属若しくはアンモニウム化合物の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩及び四チオン酸塩)と結合した少なくとも1種のペルオキシド含有化合物を含む。それゆえ、ペルオキソ二硫酸塩のアルカリ金属亜硫酸水素塩との、又はアンモニウム亜硫酸水素塩との結合には、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム及び二亜硫酸アンモニウムを使用することができる。酸化還元共開始剤に関するペルオキシド含有化合物の量は、通常30:1〜0.05:1である。
【0042】
開始剤は単独で、又は相互に混合物中で使用することができ、例えば、過酸化水素及びペルオキソ二硫酸ジナトリウムで構成された混合物が挙げられる。
【0043】
その開始剤は、水溶性、不水溶性又はわずかに水溶性のうちのいずれかである。水溶性溶媒中でのフリーラジカル重合のための開始剤として、水溶性の開始剤を使用することが好ましい、すなわち、その濃度の水溶性重合溶媒中で溶解する開始剤が重合反応のために通常使用される。これらの中には、ペルオキソ二硫酸塩、荷電基を有するアゾ開始剤、6個までの炭素原子を有するヒドロペルオキシド、アセトンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンヒドロペルオキシド及び過酸化水素並びに上述の酸化還元開始剤が含まれる。
【0044】
開始剤との、又は酸化還元開始剤系との結合には、遷移金属触媒もまた使用することができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム及びマンガンの塩が挙げられる。好適な塩の例としては、硫酸鉄(I)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)又は塩化銅(I)が挙げられる。還元作用を有する遷移金属塩の使用される濃度は、モノマーに基づいて0.1ppm〜1000ppmである。それゆえ、過酸化水素の鉄塩(II)との結合には、例えば、0.5〜30%の過酸化水素及び0.1〜500ppmのモール塩を使用することができる。
【0045】
また、上述の開始剤との結合は、有機溶媒中でのフリーラジカル共重合反応に酸化還元共開始剤又は遷移金属元素の使用を伴って実施することができる。その酸化還元共重合剤又は遷移金属元素は、例えば、ベンゾイン、ジメチルアニリン及びアスコルビン酸並びに有機溶媒に溶解性である複合重金属が挙げられ、例えば、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル及びクロムが挙げられる。通常、酸化還元共開始剤及び遷移金属触媒の使用量は、モノマーの使用量に基づいてそれぞれ約0.1〜1000ppmである。
【0046】
また、フリーラジカル共重合反応は、適宜に、UV開始剤の存在下に紫外線照射により実施することができる。例えば、これらの開始剤は、ベンゾイン及びベンゾインエーテルのような化合物が挙げられ、α−メチルベンゾイン又はα−フェニルベンゾインが挙げられる。三つ組の感光剤として知られる化合物もまた使用することができ、例えば、ベンジルジケタールが挙げられる。UV放射源は、例えば、炭素アーク灯、水銀灯又はキセノンランプのような高エネルギーUVランプだけでなく、高い青色含有量の蛍光管のような低UV含量の光源もまた挙げられる。
【0047】
工程(i)におけるフリーラジカル重合反応の平均分子量を調節するために、調節剤の存在下においてフリーラジカル共重合反応を実施することがしばしば有利である。この目的のために使用することができる調節剤は、特に、有機のSH基、とりわけSH基を含む水溶性の化合物であり、例えば、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロピオン酸、システイン、N−アセチルシステイン及びさらにリン化合物(III)若しくはリン化合物(I)(例えば、次亜リン酸ナトリウムのようなアルカリ金属次亜リン酸塩又はアルカリ土類金属次亜リン酸塩)、又は亜硫酸水素ナトリウムのようなその他の亜硫酸水素塩である。通常、重合調節剤の使用量は、モノマーに基づいて0.05〜10質量%、とりわけ0.1〜2質量%である。好ましい調節剤は、SH基を有する上述の化合物、特に、SH基を有する水溶性の化合物であり、例えば、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロピオン酸、システイン及びN−アセチルシステインが挙げられる。モノマーに基づいて0.05〜2質量%、とりわけ0.1〜1質量のこれらの化合物の量の使用が、効果的であることが分かった。通常、上述のリン化合物(III)、リン化合物(I)及び亜硫酸水素塩の使用量はより多く、例えば、重合されるべきモノマーに基づいて0.5〜10質量%、とりわけ1〜8質量%である。適切な溶媒の選択を、平均分子量に影響を及ぼすために活用することができる。一例として、ベンジル又はアリル水素原子を有する希釈剤の存在下における重合は、連鎖移動反応を介した平均分子量の減少を導く。
【0048】
工程(i)におけるフリーラジカル共重合反応は、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合又は塊状重合を含む通常の重合方法により実施することができる。溶液重合法、すなわち、溶媒又は希釈剤中での重合が好ましい。
【0049】
好適な溶媒又は希釈剤の中には、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、クメン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族化合物の工業用混合物等の芳香族化合物;シクロヘキサン及び脂肪族化合物の工業用混合物等の脂肪族化合物及びシクロ脂肪族化合物;アセトン、シクロヘキサノン及びメチルエチルケトンのようなケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル及びtert−ブチルメチルエーテル等のエーテル;及びメチルアセテート及びエチルアセテート等の脂肪族のC−C−カルボン酸のC−C−アルキルエステルを含む中性溶媒、及びまた、グリコール及びグリコール誘導体、ポリアルキレングリコール及びそれらの誘導体、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、エタノール又はメタノール等のC−Cアルカノールを含むプロトン性の溶媒だけでなく、水及びイソプロパノール−水の混合物等のC−Cアルカノールと水との混合物もまた挙げられる。本発明のフリーラジカル共重合法は、好ましくは溶媒又は希釈剤として、水中で又は60質量%までのC−Cアルカノール若しくはグリコールと水とで構成された混合物中で実施される。水が唯一の溶媒として使用されることが特に好ましい。
【0050】
その共重合法は、さらに、界面活性剤の存在下にて実施することができる。使用される界面活性剤は、アニオン性の、カチオン性の、非イオン性の若しくは両性の界面活性剤又はこれらの混合物である。低分子量の界面活性剤か又はポリマーの界面活性剤の何れかを使用することができる。非イオン性の界面活性剤は、例えば、アルキレンオキシドの付加生成物、とりわけ、エチレンオキシド、プロピレンオキシド若しくはブチレンオキシドをアルコール、アミン、フェノール、ナフトール又はカルボン酸に付加したものである。少なくとも10個の炭素原子を有するアルコールへのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加物であって、そのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドがアルコール1モルあたり3〜200モルである付加物が、界面活性剤として有利に使用される。その付加物は、アルキレンオキシド単位をブロック又はランダムに分布した形状で含む。
【0051】
カチオン性界面活性剤もまた好適である。これらの例としては、6.5モルのエチレンオキシドと、1モルのオレイルアミン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルメチルアンモニウムクロリド若しくはセチルピリジニウムブロミドと、の硫酸ジメチル四級化反応生成物及びステアリン酸の硫酸ジメチル四級化トリエタノールアミンエステルが挙げられる。
【0052】
共重合組成中に含まれる界面活性剤の量は、好ましくはそれぞれの場合の組成の質量に基づいて0.01〜15質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
【0053】
工程(i)で使用することができる他の助剤は、安定剤、増粘剤、充填剤、核生成剤(cell nucleators)又はこれらの混合物である。
【0054】
工程(i)で使用される組成中の助剤の好ましく使用量は、それぞれの場合に組成の総質量に基づいて好ましくは0.01〜15質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
フリーラジカル共重合法は、好ましくは実質的に又は完全に酸素を排除して、好ましくは不活性ガス流、例えば、窒素流の中で実施される。
【0056】
本発明の方法は、重合工程に慣習的に使用される装置中で実施することができる。これらの中には、攪拌タンク、攪拌タンクカスケード、オートクレーブ、管型反応器及び捏和機が挙げられる。フリーラジカル共重合反応は、一例としては、アンカー攪拌機、羽根撹拌機、インペラ攪拌機又は多段式向流振動攪拌機(multistage countercurrent pulse agitator)を備えた攪拌タンク中で実施される。重合反応後の固体生成物の直接単離を許す装置はとりわけ好適であり、例えば、パドルドライヤーが挙げられる。得られたポリマー懸濁液は蒸発器、例えば、ベルトドライヤー、パドルドライヤー、スプレードライヤー又は流動層乾燥機中で直接乾燥させることができる。また、しかしながら、濾過又は遠心により不活性ガスの大部分を除去することができ、そして適宜に、−存在するなら−開始剤、モノマー及び保護コロイドの残留物を除去するために新しい溶媒と共に繰り返しの洗浄液を使用することができ、そしてこれがなされるまでコポリマーの乾燥を遅延させることができる。
【0057】
フリーラジカル共重合反応は、通常0〜300℃、好ましくは40〜120℃の温度範囲で実施される。重合の時間は、通常0.5〜15時間であり、とりわけ2〜6時間である。フリーラジカル共重合反応の間の一般的な圧力は、その重合反応の成功のためには相対的に重要ではなく、通常800mbar〜2barの範囲であり、しばしば大気圧である。もし揮発性の溶媒又は揮発性のモノマーが使用されるのなら、また、圧力を高めることができる。
【0058】
工程(i)で得られるコポリマーは、工程(ii)において1種以上の架橋剤と反応される。適宜に、その反応は溶媒又は希釈剤の存在下で実施される。好適な溶媒又は希釈剤の中には、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、クメン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族化合物の工業用混合物等の芳香族化合物;シクロヘキサン及び脂肪族化合物の工業用混合物等の脂肪族化合物及びシクロ脂肪族化合物;アセトン、シクロヘキサノン及びメチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル及びtert−ブチルメチルエーテル等のエーテル;並びにメチルアセテート及びエチルアセテート等の脂肪族のC−Cカルボン酸のC−C−アルキルエステルを含む中性溶媒、及びまた、グリコール及びグリコール誘導体、ポリアルキレングリコール及びそれらの誘導体、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、エタノール若しくはメタノール等のC−Cアルカノールを含むプロトン性の溶媒だけでなく、水及びイソプロパノール−水の混合物等のC−Cアルカノールと水との混合物もまた挙げられる。反応工程(ii)は、溶媒又は希釈剤として、好ましくは水中で又は水と60質量%までのC−Cアルカノール若しくはグリコールとで構成された混合物中で実施される。
【0059】
工程(ii)中の反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の範囲の温度で実施される。反応時間は、通常0.5〜15時間、とりわけ1〜2時間の範囲である。反応の間の一般的な圧力は、その反応の成功のためには相対的には重要ではなく、通常800mbar〜2barの範囲であり、しばしば大気圧である。
【0060】
工程(ii)は、工程(i)のように、上述の装置中で実施することができ、そして通常重合のための方法が使用される。ここでは、フリーラジカル共重合法に関連してなされた説明を参照する。
【0061】
また、本発明は、本発明の発泡性コポリマーからのフォームの製造を提供する。
【0062】
この目的のために、工程(ii)で得られる本発明の発泡性コポリマーはさらに様々な方法で製造することができる。本発明の一実施の形態によれば、それらは、フォームを供給するために事前の精製をすることなく、ポリマーの形状で、直接発泡させることができる。他の実施形態によれば、それらはスプレー又はフリーズドライされ、適宜に摺りつぶされ、そしてそれから発泡される。代替として、本発明の発泡性コポリマーは同様に支持体(carrier)上に薄膜を付与するためにポリマーの形状で吹き付けることができ、吹きつけ後に約40℃で何日も乾燥させた後、粉末を提供するために好適な製粉機で粉砕することができる。その後、その粉末はフォームを提供するためにさらに加工される。
【0063】
本発明の一般的な一実施の形態によれば、本発明のコポリマーは50〜300℃、好ましくは100〜250℃、特に好ましくは140〜230℃の範囲の温度で発泡される。発泡手順の持続時間は温度に応じて変化する。その温度が維持される時間は、通常約65分である。本発明の他の実施の形態によると、マイクロ波放射への曝露により発泡性コポリマーを発泡させることができる。マイクロ波放射が使用されるとき、本発明のコポリマーは、一般的には室温で6〜20分の期間にわたって360〜800Wのエネルギー入力により発泡される。
【0064】
本発明の他の実施の形態によれば、本発明の発泡性コポリマーは発泡工程に先立って他の成分と混合される。ここで使用することができる他の成分の例としては、ポリスチレン、澱粉、ポリエステル、ポリオール、ポリアミド、ポリアクリレート又はこれらの混合物(ブレンド)が挙げられる。他の成分は好ましくはポリスチレンである。上述の他の成分の添加は、それぞれの成分に関しては、本発明の発泡性コポリマーの機械的特性及び構造の調節を可能にし、結果として生じるフォーム上に配置された要求に関しては、それらコポリマーの親水性の特性の水準の調節を可能にする。
【0065】
ここで、他の成分は本発明の発泡性コポリマーと混合され、含まれるそれらの量は、それぞれの場合に組成の質量に基づいて好ましくは1〜99質量%、特に好ましくは10〜70質量%である。
【0066】
本発明の発泡性コポリマーの発泡により得られるフォームの密度は、40〜300g/l、好ましくは50〜200g/lである。その平均のフォーム気泡の大きさは、50〜500μm、好ましくは100〜200μmの範囲である。
【実施例】
【0067】
以下の実施例と図は、本発明を説明することを意図している。
【0068】
A 分析:
a)K値の決定:
そのコポリマーの水溶性溶液のK値は、“H.Fikentscher,Cellulose−Chemie,13巻、48〜64ページ及び71〜74ページ(1932年)”の方法により、pH7、25℃の水溶液中で決定し、脱イオン水中でのコポリマー濃度は1%である。
【0069】
B 1種以上のモノエチレン系不飽和モノマー化合物のイタコン酸とのフリーラジカル共重合によるコポリマーの製造
【0070】
実施例1 アクリル酸/イタコン酸で構成されたコポリマー
70gのイタコン酸を575gの脱イオン水に溶解し、羽根攪拌機を有する攪拌容器中で98℃の温度で穏やかに還流しながら加熱する。その後、初期量(initial charge)に210gのアクリル酸と380gの脱イオン水からなる給送1を5時間に亘って添加し、その後124gの脱イオン水に4gのペルオキソ二硫酸ジナトリウム(NaPS)を有する給送2を6時間に亘って添加する。給送1を通した添加の完了の後に、混合物を98℃でさらに2時間攪拌する。これにより、固体含有量25.7g、K値35.4の淡黄色の透明なポリマー溶液を得た。
【0071】
実施例2 アクリル酸/イタコン酸で構成されたコポリマー−アクリル酸は勾配(ramp)を通して計量給送されている。
その合成はA100−3 ChemSpeedシステム中のそれぞれ100ml容量の反応器中で実施した。
【0072】
その合成のパラメータを表1及び2に示す。反応時間は6〜8時間である。開始剤濃度は上記実施例1と比較して150〜200%の範囲であった。開始剤はイタコン酸の初期量に30分間に亘って添加し、その後アクリル酸を勾配を通して計量給送した。その勾配のパラメータは表2に示す。
【0073】
これにより、平均分子量38000〜175000ダルトンの淡黄色の透明なポリマー溶液を得た。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
C1 本発明の発泡性コポリマー及びそのフォームの製造
実施例1
架橋剤をイタコン酸(分子量>200000)から構成されたコポリマーに添加する。脱イオン水及び1質量%の核剤をその混合物に混合し、攪拌する。その全体の溶液をマグネチックスターラーを使用して1時間に亘って勢い良く攪拌する。フリーズ−又はスプレー−ドライにより無色の粉末を得る。その粉末を計量して型に入れ、140℃で少なくとも30分間発泡させる。使用するコポリマーを表3に記す。
【0077】
【表3】

【0078】
表4に記載したコポリマーを架橋剤として使用する:
【0079】
【表4】

【0080】
使用する核剤は、そのポリマーの総質量に基づいて1質量%の割合でタルク(マグネシウムシリケート)、マグネシウムカーボネート、カルシウムカーボネート、フンタイト/ハイドロマグネサイト、KMgAlシリケートを含んだ。
【0081】
そのフォームは、密度が50〜200g/lの範囲であり、独立気泡(closed-cell)構造を示した。
【0082】
C2
架橋剤をイタコン酸(分子量>200000)で構成されたコポリマーに添加する。脱イオン水及び1質量%の核剤をその混合物に混合し、攪拌する。その全体の溶液を1時間に亘ってマグネチックスターラーを用いて勢いよく攪拌する。フリーズ−又はスプレー−ドライにより無色の粉末を得る。そのパウダーをそれぞれ、10質量%、30質量%及び50質量%のポリスチレン又は澱粉と混合し、計量して型に入れ、140℃で少なくとも30分間発泡させる。
【0083】
図5〜7は、本発明の発泡性コポリマーとスチレンとの混合物から製造したフォームの電子顕微鏡写真を示す。そのフォームの製造の間、本発明の発泡性コポリマーを10質量%(図5)、30質量%(図6)及び50質量%(図7)のポリスチレンと混合し、その後発泡させた。そのフォームは密度がそれぞれ122g/l、280g/l及び270g/lであり、連続気泡(open-cell)構造を示す。
【0084】
実施例のフォームのいくつかの画像を図1〜7に示す。
【0085】
図1に示されたフォーム(イタコン酸/アクリル酸(1:3[質量%])、TEA(30質量%)、タルク(1質量%))は密度が109g/lであり、独立気泡構造を示す。その気泡の大きさは50〜400μmで異なる。
【0086】
図2に示されたフォーム(イタコン酸/アクリル酸(1:3[質量%])、THEED(30質量%)、タルク(1質量%))は密度が130g/lであり、独立気泡構造を示す。その気泡の大きさは100〜400μmで異なる。
【0087】
図3に示されたフォーム(イタコン酸/アクリル酸(1:3[質量%])、TRIPA(30質量%)、タルク(1質量%))は密度が100〜200g/lであり、連続気泡構造を示す。
【0088】
図4は、図3に示されたフォームの写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性コポリマーの製造方法であって、
(i)1種以上のモノエチレン系不飽和モノマー化合物(モノマーA1)とイタコン酸、メサコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタコン酸並びにそれらの塩、エステル及び無水物の群から選択される1種以上の化合物(モノマーA2)とのフリーラジカル共重合により少なくとも1種の反応混合物(a)を製造する工程、及び
(ii)前記工程(i)で得られた少なくとも1種のコポリマーを1種以上の架橋剤(b)と反応させる工程
を含む方法。
【請求項2】
前記モノエチレン系不飽和化合物(モノマーA1)が、スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、メチル(メト)アクリレート、ビニルプロピオネート、ビニルn−ブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、1,3−ブタジエン(ブタジエン)、イソプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリン酸、シトラコン酸、アコニット酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン無水物及び無水マレイン酸の群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種以上の架橋剤(b)が、
エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール等のポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はテトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール及びソルビトールを含むポリオール;
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はプロパノールアミン等のアミノアルコール;
エチレンジアミン、ジエチレンテトラアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン若しくはペンタエチレンヘキサアミン、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED)、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジポアミド(THEAA)、トリイソプロパノールアミン(TRIPA)等のポリアミン化合物;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパノールグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル化合物;
グリシドール、
ポリイソシアネート、好ましくはトルエン2,4−ジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート;
2,2−ビスヒドロメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア及びジフェニルメタンビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等のポリアジリジン化合物;
エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン及びα−メチルエピクロロヒドリン等のハロゲンペルオキシド;
1,3−ジオキソラン−2−オンエチレンカーボネート及び4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(プロピレンカーボネート)等のアルキレンカーボネート;
ジメチルアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物等のポリ四級アミン;
ジ−、トリ−及びポリアミン;及び
少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオール化合物の群から選択されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)での前記モノマーA1の使用量が50〜99質量%であり、且つ前記モノマーA2の使用量が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
架橋剤(b)に対する反応混合物(a)の質量割合が、1:10〜100:1であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
核剤が、前記反応混合物(a)の前記1種以上の架橋剤(b)との反応中に使用されることを特徴とする請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
核剤としてタルクを使用することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)において、工程(i)由来の15000〜1000000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のコポリマーが使用されることを特徴とする請求項1〜7に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡性コポリマーを、さらなる工程で発泡させることを特徴とする請求項1〜8に記載の方法。
【請求項10】
前記発泡性コポリマーを、50〜300℃の温度で発泡させることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記発泡性コポリマーを、マイクロ波放射への曝露により発泡させることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜8の何れかの方法により製造することができる発泡性コポリマー。
【請求項13】
請求項8〜11の何れかにより製造することができる、密度が40〜200g/lのポリマーフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−510146(P2011−510146A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543477(P2010−543477)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050609
【国際公開番号】WO2009/092714
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】