再生専用型光ディスク、再生専用型光ディスク製造方法
【課題】一般的なDVDプレーヤにおいてPID等の追加的付加情報を利用できるようにする。
【解決手段】追記マーク列とピット列とにより、追記マーク列で記録された追加的付加情報が、通常のDVDプレーヤに読み込ませることを指示するコマンド情報の形式で記録されているようにする。いわゆるDVDシステムにおけるナビゲーションコマンドのように、再生装置が対応できる情報の記録において追加的付加情報を用いることで、追加的付加情報を現行の再生装置において利用できる。
【解決手段】追記マーク列とピット列とにより、追記マーク列で記録された追加的付加情報が、通常のDVDプレーヤに読み込ませることを指示するコマンド情報の形式で記録されているようにする。いわゆるDVDシステムにおけるナビゲーションコマンドのように、再生装置が対応できる情報の記録において追加的付加情報を用いることで、追加的付加情報を現行の再生装置において利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生専用型光ディスクとその製造方法に関する。特に製造される再生専用型光ディスク媒体において追加的付加情報を付与できるようにする技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−310847号公報
【特許文献2】特開2001−135021号公報
【特許文献3】国際公開第01/008145号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/101733号パンフレット
【背景技術】
【0003】
例えば再生専用すなわちROM(Read Only Memory)型のCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray disc:登録商標)等の光ディスク媒体では、その光ディスク上には内周側から外周側に向かってリードインエリア、主データエリア、リードアウトエリアが形成される。
そして音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム、そのほかの情報データは、主データエリアに、所定の記録変調方式により記録されている。また、リードインエリアには、主データエリアに記録された情報データの再生管理のための情報やディスクの物理情報など各種の管理情報が記録されている。
例えばこれらの再生専用型光ディスク媒体は、その優れた量産性による低い生産コストにより多くのコンテンツホルダーがコンテンツの提供手段として利用している。
【0004】
再生専用型光ディスク媒体の製造工程は、DVD(DVD−ROM)を例に挙げると、大きく分けて、光ディスクの原盤をレーザビームによって作製するマスタリング工程と、光ディスク原盤から作製されたスタンパを使用して多数のディスク基板を作製し、ディスク基板上へ膜を形成する成形成膜工程と、対となる2枚の0.6mm厚の光ディスクを所定の厚みを有する接着剤で貼り合わせて1.2mm厚のDVDディスク媒体とする貼り合せ工程とがある。
【0005】
上記成形成膜工程において、スタンパを用いて大量生産されるディスク基板は、スタンパに形成された凹凸パターンが転写されたものである。即ち情報記録面となる部分に凹凸形状のパターンとしてのエンボスピット/ランドによる記録データ列(ピット列)が形成され、この記録データ列がスパイラル状もしくは同心円状の記録トラックと成るようにされている。そしてピット/ランドが形成される情報記録面には、その凹凸形状に対して金属合金反射膜が被覆される。
ディスク完成後は、この反射膜により、再生装置から照射されるレーザ光がピット/ランドの部分で反射されるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
再生専用型光ディスクは、製造された後に、追加的な情報記録を行うことは想定されていない。ところが近年では、所定の情報データを記録した再生専用型光ディスクの管理等のために、製造される再生専用型光ディスクの1枚ごとにユニークな識別番号や記録したコンテンツに応じた識別情報などの追加的な情報(追加的付加情報)を記録する方法が要望されている。
【0007】
追加的な情報記録を行う場合、光ディスク上にピット列を形成しないエリアを追記エリアとして設けておき、その追記エリアに追記マークを形成して情報記録を行うことが考えられる。ところが、単純に識別情報等の追加的付加情報を記録するのみでは追記は実現できない。
DVD−ROMを考えると、追記エリアに追加的付加情報を記録した状態で、DVD−ROMのデータフォーマットに適合する状態となっていなければならない。
例えばDVD−ROMのデータフォーマットにおいて、エラー訂正ブロック(ECCブロック)を考える。エラー訂正ブロックは複数のセクタデータと、エラー訂正コードとしての列方向パリティ(以下、POパリティ)と行方向パリティ(以下、PIパリティ)が含まれる。さらにセクターデータ内には主データ(ユーザデータ)と、主データを対象としたエラー検出コード(EDC)が含まれている。
【0008】
ここで、セクタ内のユーザデータの一部の領域に相当する光ディスク上の領域が追記エリアとされ、その追記エリアに追加的付加情報を記録することを考える。
すると、追加的付加情報の書込によって当然セクタ内のEDCの値は書込前から変化する。またECCブロック単位で見れば、PIパリティ、POパリティの値も変化する。
ピット列でデータが記録される再生専用型光ディスクは、当然ながら書き換え不能であるため、結局、追加的付加情報の書込によって値が変化するEDC,PIパリティ、POパリティについては、追加的付加情報の書込の際に書き込まなければならない。
つまり、ピット列形成後の光ディスクに対して追加的な情報書込を行う場合、書き込むべき追加情報としては、識別情報等の追加的付加情報に加えて、追加的付加情報に影響を受けるEDC,PIパリティ、POパリティも含まれる。
このため、エラー検出コードやエラー訂正用パリティなども考慮して、効率的な追加記録が実行されるようにすることが求められる。
さらには、追記エリアに書き込んだ追記マークによるデータ列が、DVD方式で規定されているランレングス条件を満たしてることなど、データフォーマット上の制約を満たしたうえで、適切な追記マークを形成することが求められる。
【0009】
このため発明者らは先に、上記特許文献1に示す手法を開発した。上記特許文献1の発明によれば、このような点を考慮して、適切に、再生専用型光ディスクにおいて個体毎の識別情報等の追加的付加情報の記録を行うことができる。
【0010】
一方で、エンボスピット列の一部に追記エリアを形成して追加的付加情報を追記することや、上記のようにEDCやパリティ等までを含めた追記の必要性などから、追記は、DVD上に記録される本来のコンテンツに影響の無い領域で行うことが好ましい。このため、追記エリアはDVD上のファイルシステムで管理されない領域に行うことが考えられる。
しかしながら、現在普及している一般的なDVDプレーヤでは、そのようなファイルシステム管理外の追加的付加情報を読み込んで処理する機能はない。
つまり、ファイルシステム管理外の情報にアクセスできるようにした専用の装置や、専用のプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータなどでは追加的付加情報を利用することはできるが、通常のDVDプレーヤで、広く利用することができない。
【0011】
そこで本発明では、通常のDVDプレーヤ等、一般の再生装置でも、追加的付加情報を読み込むことができるようにし、追加的付加情報をより多様に利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の再生専用型光ディスクは、エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクである。そして、少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットの記録データについて、或るエラー訂正ブロックでは、そのエラー訂正ブロック内の位置として上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置が設定されている記録データに基づいて上記ピット列が形成される。このピット列が形成されないエリアに、少なくとも、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報が、追記マーク及びランドから成る追記マーク列で記録されている。さらに上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録されている。
また上記データフォーマットは、DVD方式の再生専用型光ディスクのデータフォーマットであり、上記コマンド情報は、DVD再生装置に上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するナビゲーションコマンドである。
また、上記追記マーク列が形成されるエラー訂正ブロックは、ディスク上の固定の半径位置に記録されるデータファイルに含まれるエラー訂正ブロックである。
【0013】
本発明の再生専用型光ディスク製造方法は、エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクの製造方法である。そして、少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットにおける或るエラー訂正ブロック内で、上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置を設定し、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報を記録するための追記エリアが形成される状態で、上記ピット列を形成された追記前ディスクを製造する追記前ディスク製造工程と、上記追記前ディスク製造工程で製造された上記追記前ディスクにおける上記追記エリアに、上記追加情報の記録を行い、上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録された再生専用型光ディスクを製造する追記工程とが行われる。
また、上記追記前ディスク製造工程では、上記追記エリアに上記追加的付加情報を記録することで、上記コマンド情報の記録データ列が形成されるように、上記コマンド情報の一部を上記ピット列により形成する。
また上記追記前ディスク製造工程では、上記ピット列は、光ディスク上で反射膜が被覆された凹凸形状として形成されるとともに、上記追記エリアは反射膜が被覆された平面形状領域として形成され、上記追記工程では、上記追加情報は、上記追記エリアの反射膜を消失又は減少させて形成する追記マークと反射膜が被覆された平面部としてのランドによる追記マーク列により記録する。
【0014】
このような本発明では、追記マーク列とピット列とにより、追記マーク列で記録された追加的付加情報を再生装置(例えば通常のDVDプレーヤ)に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録されているようにする。
いわゆるDVDシステムにおけるナビゲーションコマンドのように、再生装置が対応できる情報の記録において追加的付加情報を用いることで、追加的付加情報を現行の再生装置において利用できるようにすることができる。
なお、追加的付加情報とは、再生専用型光ディスクの1枚ごとにユニークな識別番号や記録したコンテンツに応じた識別情報などの情報である。
また、追加情報とは、識別情報等の追加的付加情報に加えて、追加的付加情報の記録に伴って記録すべきEDC,PIパリティ、POパリティ等も含む用語として用いる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の再生専用型光ディスクによれば、再生専用型光ディスクに追記された、個別の識別情報などの追加的付加情報を一般の再生装置(DVDプレーヤ等)において読み込ませて利用させることができる。このためDVDプレーヤ等において、追加的付加情報を用いた動作を実行させることができ、追加的付加情報の有効利用を図ることができる。
また本発明の再生専用型光ディスク製造方法によれば、このような再生専用型光ディスクを適切に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のディスク製造工程の説明図である。
【図2】実施の形態の製造過程の貼り合わせ済光ディスクの段階の説明図である。
【図3】実施の形態の再生専用型光ディスクの部分拡大図と模式的断面図である。
【図4】実施の形態の再生専用型光ディスクの追記エリアを含む部分拡大図と模式的断面図である。
【図5】実施の形態の再生専用型光ディスクの追加情報記録前の追記エリアを含む部分拡大図と模式的断面図である。
【図6】実施の形態の再生専用型光ディスクの追加情報記録部分のSEM写真を用いた説明図である。
【図7】実施の形態の追加情報記録装置のブロック図である。
【図8】DVDのセクタ構造及びECCブロック構造の説明図である。
【図9】インターリーブ後のECCブロック構造の説明図である。
【図10】実施の形態のECCブロック内における追加的付加情報の配置位置の説明図である。
【図11】実施の形態のレコーディングセクタにおける追記エリアの説明図である。
【図12】ピット列に続く追記エリアの先頭部分の非適切な状況の説明図である。
【図13】実施の形態でデータシンボル「54」を追記エリア直前に記録した場合の説明図である。
【図14】EFM+変調のメイン変換テーブルの説明図である。
【図15】EFM+変調のサブ変換テーブルの説明図である。
【図16】DVDのシンクコードの説明図である。
【図17】DVDのシンクコードの種別の説明図である。
【図18】実施の形態の追記エリア終端部の記録の様子の説明図である。
【図19】実施の形態の追記エリア終端部の記録の様子の説明図である。
【図20】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図21】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図22】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図23】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図24】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図25】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図26】実施の形態のDVD上のPIDエリアの説明図である。
【図27】DVDに記録されるファイル例の説明図である。
【図28】実施の形態のファイル配置の説明図である。
【図29】実施の形態のディスクを再生する再生装置の処理のフローチャートである。
【図30】実施の形態で用いるDVDのナビゲーションコマンドの説明図である。
【図31】実施の形態のディスクに対する再生装置のPID取り込みの説明図である。
【図32】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【図33】実施の形態のディスク製造段階のナビゲーションコマンドパターンの説明図である。
【図34】実施の形態のオーサリング段階のナビゲーションコマンド挿入例の説明図である。
【図35】実施の形態のオーサリング段階のナビゲーションコマンド書換例の説明図である。
【図36】実施の形態のディスクの追記に関する製造工程のフローチャートである。
【図37】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【図38】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【図39】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態として、DVD方式の再生専用型光ディスクを例に挙げて説明する。特にDVD−ROMとしての再生専用型光ディスクについて、個別IDなどの比較的容量の少ない情報を追加的付加情報として記録する場合を述べる。説明は次の順序で行う。
[1.再生専用型光ディスクの製造工程及び追記マークによる追記]
[2.ECCブロック構成と追加的付加情報の配置]
[3.追記エリアの開始部分の整合]
[4.追記エリアの終端部分の整合]
[5.PO補償シンボルの配置]
[6.DVDのナビゲーションコマンドへの適用]
[7.追記に関するディスク製造段階の処理]
【0018】
[1.再生専用型光ディスクの製造工程及び追記マークによる追記]
まず、実施の形態の再生専用型光ディスク90の製造工程を図1で説明する。
図1は本実施の形態のDVDとしての再生専用型光ディスクを製造する工程を示している。本例のディスク製造工程は、図示するように大きく分けて、マスタリング工程と、成形成膜工程と、貼り合せ工程と、追記工程とを有する。
マスタリング工程は、光ディスク原盤をレーザビームによって作製する。成形成膜工程は、光ディスク原盤から作製されたスタンパを使用して多数のディスク基板を作製し、ディスク基板上へ膜を形成する。貼り合せ工程は、対となる2枚の0.6mm厚の光ディスクを所定の厚みを有する接着剤で貼り合わせて1.2mm厚の光ディスクとする。追記工程は、貼り合わせ済の個々の光ディスクに対して追加情報を記録する。
追加情報としては、例えば識別情報などディスク個別に付加したい情報としての追加的付加情報と、その追加的付加情報の記録に応じて記録が必要となるエラー検出コード(EDC)やエラー訂正パリティなどを含む。
【0019】
以下、各工程を詳細に説明していく。
マスタリング工程は、マスターディスク191に記録された情報データに基づいて、光ディスク原盤192を製造する工程である。この工程では、記録変調信号生成部100とレーザビームレコーダ110を有するマスタリング装置が用いられる。
記録変調信号生成部100は、マスターディスク191を再生して、記録する情報データ(マスターデータ)を読み込む。そして読み込んだ情報データの信号に対してスクランブルやEFM+(Eight to Fourteen Modulation plus)変調を行って生成したEFM+信号をレーザビームレコーダ110へ出力する。
【0020】
光ディスク原盤192はガラス板に感光物質であるフォトレジストが塗布されたものである。レーザビームレコーダ110は、供給されたEFM+信号に応じてレーザ光を光ディスク原盤192に照射し、EFM+信号に基づいたピットパターンの露光を行う。その後、フォトレジスト膜が現像処理されると、ポジ型レジストの場合では、露光された箇所が溶けて凹凸パターンがフォトレジスト膜状に形成される。即ち、所定のフォーマットに従ったピットパターン(ピット/ランドの凹凸形状)が光ディスク原盤192表面に形成される。
【0021】
なお、上記のように記録変調信号生成部100はマスターディスク191から読み出した信号に基づいてEFM+信号を生成し、レーザビームレコーダ110に送出するが、追記管理部160からの指示に基づいて、連続的に送出するEFM+信号の一部の特定の期間に無変調信号を挿入する。
無変調信号のタイミング期間では、レーザビームレコーダ110におけるレーザ光はオフ期間となる。つまりEFM+信号において無変調信号が挿入されることで、光ディスク原盤192上で露光されない区間が形成される。この区間は全てランドとなって凹凸形状が形成されない平面形状領域となり、これが後述する追記エリアとなる。
【0022】
このような光ディスク原盤192に基づき、この光ディスク原盤192のピットパターンが反転転写されたスタンパ193と称される金型が製作される。当然、スタンパ193にも追記エリアとなる平面形状領域が形成される。
【0023】
次に成形成膜工程においては、まず成形装置120がスタンパ193を用いて光ディスク基板194を作製する。光ディスク基板194には光ディスク原盤192に形成された凹凸パターンが転写されてピットパターンが形成される。
光ディスク基板194の作製方法としては、圧縮成形、射出成形、光硬化法等が知られている。
スタンパ193からピットパターンが転写された光ディスク基板194に対しては、続いて成膜装置130で、反射膜等の被覆膜が被着されることによって、反射膜形成済み光ディスク基板195が形成される。
【0024】
次に貼り合せ工程では、上記の反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合せ基板196との貼り合せが行われる。
貼り合せ基板196としては、上記同様の工程で作製した反射膜形成済み光ディスク基板か、あるいは、半透過反射膜形成済み光ディスク基板か、反射膜を被覆していないダミー用光ディスク基板が用いられる。
基板貼り合せ装置140は、反射膜形成済光ディスク基板195に対して、上記のいずれかの貼り合せ基板196を貼り合せ、貼り合せ済光ディスク197を製造する。
貼り合せの際の接着手法としては、紫外線硬化樹脂を用いる手法や、粘着剤付きシートによる手法等が知られている。
【0025】
従来のDVDでは、上記貼り合せ済光ディスク197が、完成品としてのDVDとなる。ところが、本例の場合、上述のようにピットパターン(エンボスピットとランドによるピット列)が形成された記録トラック上の一部区間に、ピットパターンが形成されていない追記エリアが設けられている。
図2に、貼り合せ済光ディスク197を模式的に示している。ディスク上のエリア構成として、内周側から、管理情報が記録されたリードインエリアLI、コンテンツデータが記録された主データエリアMA、及びリードアウトエリアLOが形成される。
これらのリードインエリアLI、主データエリアMA、リードアウトエリアLOは、基本的にはエンボスピットとランドによるピット列により情報が記録される領域である。即ちEFM+信号に基づいたピット/ランドによる記録データ列が、例えばスパイラル状の記録トラックとして形成されている。
【0026】
ここで、主データエリアMA内の或るトラックTKとして、一部に追記エリア10が形成されている状態を示している。あくまでも説明のための模式図であり、追記エリア10の配置や線方向サイズなどは実際には必ずしも図示するとおりではないが、このようにピット列による記録トラックの一部に、反射膜が形成された平面形状領域として追記エリア10が形成される。
なお、追記エリア10を主データエリアMA内のどの位置に形成するかは特に限定されない。また、追記エリア10をリードインエリアLIやリードアウトエリアLO内に形成してもよい。さらには、追記エリア10をリードインエリアLIより内周側、あるいはリードアウトエリアLOより外周側に設けるということも考えられる。
但し後述する図26の例では、追記エリア10を含むPID領域を、主データエリアMA内であってリードアウトエリアLOに近い半径位置に設定している。
【0027】
本例の場合、貼り合せ済光ディスク197は、このように追記エリア10として未記録領域が残されているという点で、完成品のDVDとはならない。そこで、このような貼り合せ済光ディスク197に対して追記工程が行われることになる。
追記工程では、追加情報記録装置150が、上記貼り合せ済光ディスク197における追記エリアに追加情報を書き込む。例えば光ディスク個体毎に異なる識別情報等の追加的付加情報(PID)やエラー検出コード、エラー訂正パリティなどを追加情報として書き込む。
この場合、追加情報記録装置150は、追記管理部160から追記エリアの位置情報(アドレス)を指示され、また書き込む追加情報が提供されて、追加情報の書込を行う。
追加情報記録装置150は、追加情報をEFM+変調するとともに、そのEFM+信号に基づいて記録用の高出力レーザパルスを照射し、追記エリアにおける反射膜を消失又は低減させることで追記マークを形成するという手法で書き込みを行う。
なお、この追加情報記録装置150の構成は後に図7で述べる。
【0028】
このような追記工程が完了することで、再生専用型光ディスク90の製造が完了される。そして以上の工程で大量生産される再生専用型光ディスク90は、同一内容のコンテンツ(音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等)を記録した光ディスクでありながら個々に固有の追加的付加情報(PID)が記録された光ディスクとすることができる。
【0029】
なお、追記工程は、成形成膜工程や貼り合わせ工程を実行する製造工場内で行われてもよいし、他の施設、店舗等で行われてもよい。
例えばコンテンツホルダー(コンテンツを提供してディスク作成を依頼した業者など)が、貼り合わせ済光ディスク197の時点で納品されるようにし、コンテンツホルダーが自社の追加情報記録装置150で追加情報の記録を行うようにしてもよい。
さらには、店舗において、貼り合わせ済光ディスク197の状態で販売用に展示し、客が購入する際に、店舗に設置された追加情報記録装置150で追加情報の書込を行って客に受け渡すようなことも考えられる。
【0030】
以上のように製造される再生専用型光ディスク90において形成されているエンボスピット列及び追記マークについて説明する。
図3(a)はディスク上の記録面の一部を拡大し、通常のエンボスピット/ランドによるピット列として記録トラックが生成された部分を示しており、また、この図3(a)の破線部分の模式的な断面図を図3(b)に示している。
図3(b)からわかるように、この再生専用型光ディスク90は、それぞれが例えばポリカーボネートより成る厚さ0.6mmの反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合わせ基板(ダミー用光ディスク基板)196が接着剤5により張り合わされて、1.2mm厚とされる。接着剤5は例えば紫外線硬化樹脂や接着シートが用いられる。
この場合、反射膜形成済光ディスク基板195の一主面が情報記録面L0とされ、この情報記録面L0は、ピット2およびランド3による凹凸パターンとして形成されている。また、このピット2およびランド3は、その表面に反射膜4が形成されている。
なお、ピット2とランド3の凹凸関係は逆である場合もある。
【0031】
反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合わせられる貼り合わせ基板196は、図3(b)ではダミー用光ディスク基板(反射膜が被覆されていないディスク基板)としている。これは、上述したように、反射膜形成済光ディスク基板や、半透過反射膜形成済光ディスク基板を貼り合わせ基板196として用いても良い。
接着剤5は光透過性であるのが一般的であるが、構造によっては光透過性でなくてもよい。反射膜形成済み光ディスク基板195と接着された貼り合わせ基板196が、反射膜あるいは半透過反射膜を有している場合は、その接着面は反射膜あるいは半透過反射膜が形成されている面となる。
【0032】
次に図4(a)に追記マークが形成された部分の拡大図を示し、また図4(a)の破線部分の模式的な断面図を図4(b)に示す。
図4(a)の例では、エンボスピットとランドのピット列で形成される1トラック内の一部の領域が追記エリア10とされ、ここに上述の追記工程で形成された追記マーク6による記録データ列が形成されている。つまりディスク固有の追加的付加情報などの追加情報が追記マーク6による記録データ列として記録されたものである。
なお、説明上、エンボスピット2とランド3によるピット列との区別のため、追記マーク6とランド3による記録データ列を「追記マーク列」と呼ぶこととする。
【0033】
追記マーク列が形成された部分は、図4(b)に示すように、基本的な層構造は図3(b)と同様となるが、情報記録面L0の一部に追記マーク6が形成されている。即ち追記マーク6は、金属合金反射膜4が消失又は低減されて、ほとんど存在しない状態となるようにして形成されたものである。
【0034】
図5(a)(b)は、上述した追記工程で追加情報が記録される前の様子を図4(a)(b)に対応させて示したものである。
図5(a)に示すように、追記エリア10は、無変調区間としてピット2、ランド3による凹凸パターンが形成されていない平面形状領域とされている。図5(b)からわかるように、この追記エリア10は、ランド3と同一平面上に存在し、反射膜4が被覆されていわゆるミラー部となっている。
このような追記エリア10に対して、追記工程において追加情報が記録される。
上述した追加情報記録装置150は、例えば高出力赤色半導体レーザを用いた専用の記録装置として用意され、所望の区間で記録用の高出力レーザパルスを発光させる機能とを有する。そして図5の状態の追記エリア10に対して記録を行って、図4のように追記マーク6を形成する。その際の発光パターンの変調は、エンボスピット列に対応した変調と同じ変調方式として、EFM+信号が用いられる。
【0035】
図6は再生専用型光ディスク90における追記エリア10への追加情報の記録として、高出力レーザを入射して追記マーク6を形成したサンプルの様子を示している。これは、追記マーク6が形成された追記エリア10のSEM(走査型電子顕微鏡)観察写真である。
SEM観察時には反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合わせ基板196(ダミー用光ディスク基板)とを接着面で剥がし、反射膜4がむき出しになった部分へ電子線を入射して観察した。反射膜4としては、Alを基合金としてFeを約1原子%、Tiを約5原子%含有したAl合金を用いた。
この図6からわかるとおり、追記エリア10に形成されている金属合金反射膜が追加情報の変調信号に応じて消失或いは減少されて楕円形状に穴が空き、ピットに対応した追記マーク6が綺麗に形成されていることがわかる。
【0036】
このような追記マーク6による追記マーク列の記録を行う追加情報記録装置150の構成例を図7で説明する。
図7は追加情報記録装置のブロック図である。追加情報記録装置150は、追記制御演算部21、書込ピックアップ22、読取ピックアップ23、スピンドルモータ24、書込制御部25、読取制御部26、操作入力部27を有する。
【0037】
追記工程で追加情報を書き込む貼り合わせ済光ディスク197は、図示しないターンテーブルに載置され、スピンドルモータ24によって回転駆動される。
この貼り合わせ済光ディスク197に対しては、書込ピックアップ22により追加情報の記録が行われ、また読取ピックアップ23により、記録したデータの読出が行われる。
書込ピックアップ22は、例えば波長660nmのレーザを出力する。レーザパワーは書込制御部25からの指示により変更可能とされ、例えば最大100mW程度の出力とされる。この書込ピックアップ22からのレーザにより、貼り合わせ済光ディスク197乗に、反射膜4を消失又は低減させた追記マーク6が形成される。
読取ピックアップ23は、例えば波長635又は650nmのレーザを出力する。レーザパワーは0.2mW程度とされる。読取ピックアップ23は、出力したレーザの反射光を受光し、受光した反射光情報から、貼り合わせ済光ディスク197から読み出した情報の信号を得る。
【0038】
書込制御部25は、供給されたデータを書込ピックアップ22により貼り合わせ済光ディスク197に書き込むために書込ピックアップ22の動作を制御する。即ち供給されたデータ(追加情報のエンコードデータ)に基づいてレーザ駆動信号を生成し、書込ピックアップ22のレーザ出力を実行させる。またその際に、追記制御演算部21からの指示に基づいてレーザパワーを制御する。また書込制御部25は書込ピックアップ22の書込位置の制御やフォーカス制御等を行って、追記制御演算部21からの指示に基づいた所定位置に追記マーク6の記録を実行させる。
読取制御部26は、読取ピックアップ23に、貼り合わせ済光ディスク197からの情報読取のためのレーザ出力を実行させるとともに、反射光情報として読み取られた情報のデコード処理を行って、追加情報としてのデコードデータを得る。また読取制御部26は読取ピックアップ23の読取位置の制御やフォーカス制御等を行って、貼り合わせ済光ディスク197からの情報の読み取りを実行させる。
【0039】
追記制御演算部21は、追加情報記録装置150として実行する試し書き及び追加情報の記録動作の制御として、スピンドルモータ24の駆動制御、書込制御部25に対する動作制御、読取制御部26に対する動作制御を行う。
図1で述べたように、追記管理部160からは、追記エリア10に書き込むべき追加情報やエリア情報が供給されるが、追記制御演算部21は、これらを取り込んで、追記工程の動作を実行制御する。この場合、エリア情報とは、追記エリア10の位置情報(アドレス)となる。
追記制御演算部21は、このように追記管理部160からの情報と、操作入力部27によるオペレータの操作入力に基づいて、試し書き記録及び追加情報の記録動作を実行制御する。
【0040】
追加情報の記録を行う際には、追記制御演算部21は、書込制御部25に追記エリア10へのアクセスを指示し、書込ピックアップ22を追記エリア10に移送させる。そして追加情報をエンコードしてエンコードデータを書込制御部25に供給する。さらに、書込の際のレーザパワー等の記録条件も指示する。これにより、書込制御部25は追加情報としてのエンコードデータに基づいて、追記エリア10に追記マーク6を形成していくように書込ピックアップ22を駆動することになる。
また、この追加情報の記録の際には、追記制御演算部21は、読取制御部26にも追記エリア10へのアクセスを指示し、読取ピックアップ23による再生を指示する。即ち書込ピックアップ22で記録した追記マーク6の部分の再生を指示する。これにより、読取ピックアップ23により追加情報の読取が行われ、読取制御部26によってデコードされたデータが追記制御演算部21に取り込まれる。追記制御演算部21は、デコードデータについてエラーレートを検出するなどの評価を行い、追加情報が適切に記録されたか否かを判定する。
【0041】
[2.ECCブロック構成と追加的付加情報の配置]
以上のように追加情報が記録されたDVDとして再生専用型光ディスクが製造されるわけであるが、以下、DVD方式のデータフォーマットを考慮して、このような追加情報の記録を適切に実現するための手法を述べていく。
まずここでは、ECCブロック構成と追加的付加情報の配置について説明する。
【0042】
図8にDVDデータフォーマットにおけるデータ構造の最小単位であるセクタの構造を図8(a)に示す。
セクタは172バイト×12行(row)としての2064バイトのデータ単位とされる。そしてこの1つのセクタには、12バイトのセクタヘッダと、2048バイトのユーザデータと、4バイトのEDC(エラー検出コード)が含まれる。
12バイトのセクタヘッダには、セクタフォーマットタイプ、トラッキング方式、エリア情報(リードインエリアLI、主データエリアMA、リードアウトエリアLOの別)、データタイプ、レイヤナンバなどの属性情報や、アドレス情報などが記録される。
2048のユーザデータの領域は、主たる記録データの記録に用いられる。
4バイトのEDCは、セクタ内のエラー検出コードとされる。
【0043】
このようなセクタが16セクタ集められて、1つの記録単位であるECCブロックが形成される。図8(b)にECCブロック構造を示す。
セクタSC0、SC1・・・SC15の16セクタに対して、列方向のパリティとして172バイト×16行のPOパリティが付加される。
さらに、セクタSC0、SC1・・・SC15及びPOパリティの各行について、それぞれ10バイトの行方向のパリティ(PIパリティ)が付加される。
この182バイト×208行でECCブロックが形成される。
【0044】
このECCブロックは、図9のようにインターリーブされる。即ち、16行のPOパリティの各行が、図の斜線部として示すように、各セクタSC0〜SC15の最終行に組み込まれる。そしてPOパリティの行が組み込まれた182バイト×13行の各セクタが、レコーディングセクタrSC0、rSC1・・・rSC15とされる。
【0045】
さらに、図11にはレコーディングセクタrSC0の部分を示しているが、各レコーディングセクタrSC0、rSC1・・・rSC15は、182バイトの1行が91バイトづつに分けられ、91バイト単位で32ビットの同期信号SY(SY0〜SY7)が付加される。
この図11の状態が、最終的にディスクに記録されるデータ構造となる。即ち、この図11のデータ構造の各1バイト(8ビット)のデータシンボルが、EFM+変調により16ビットに変換され、そのEFM+変調信号に対してNRZI方式の論理反転に基づいてピット列が形成されることに成る。
【0046】
なお、図11の構造は、光ディスク上のトラック線方向に、各行が順番に連続するものとなる。つまり、光ディスク上では、トラック線方向に、1行目の同期信号SY0→1行目のセクタヘッダを含む91バイト→1行目の同期信号SY5→1行目のPIパリティを含む91バイト→2行目の同期信号SY1→2行目の91バイト→2行目の同期信号SY5→2行目のPIパリティを含む91バイト→3行目の同期信号SY2→・・・というようにデータが記録される。
【0047】
ここで本例における、ECCブロック内での追加的付加情報の配置を述べる。図8(b)のECCブロック構成を、バイト位置で示したものが図10である。
182バイト×208行のECCブロックは、バイト位置としてB0,0〜B207,181を有する。
ECCブロック内の最初のセクタSC0のデータは、PIパリティを含めてバイト位置B0,0〜B11,181に配置される。
B0,0〜B0,11がセクタヘッダとされる。
またB0,12〜B0,171、B1,0〜B1,171、B2,0〜B2,171、・・・B10,0〜B10,171、B11,0〜B11,167の2048バイトがユーザデータとされる。
またB11,168〜B11,171がEDCとされる。
そしてB0,172・・・B11,181として、各行に10バイトづつのPIパリティが配置される。
【0048】
バイト位置B12,0以降は、これと同様の構造でセクタSC1〜SC15が配置される。そしてバイト位置B192,0〜B207,171に、各列に対して16バイトづつのPOパリティが配置される。
【0049】
本例では、1又は複数の或るセクタのユーザデータ内において、追加的付加情報の記録領域を確保するものであるが、その場合、追加的付加情報の記録領域を、図10における斜線部内で確保する。この斜線部は、168列〜171列の範囲であり、つまりECCブロック内の各セクタ(SC0〜SC15)において、それぞれEDC(エラー検出コード)の配置位置と同列となる位置である。
この斜線部内で追加的付加情報の記録を行うようにする理由は以下のとおりである。
【0050】
まず、ECCブロックの構造上、ユーザデータの領域であれば、任意のデータを記録することが可能である。
ところが、仮に記録しようとする追加的付加情報が100バイト程度であったとしても(もちろん100バイト程度に限られないが)、実際には追加的付加情報の記録に応じて、EDCやエラー訂正パリティPI,POの書き換えの必要が生ずる。もちろん一旦エンボスピットパターンを形成してしまえば書き換えはできないため、追加的付加情報を記録しようとする場合、その記録によって影響を受けるパリティ等も、追記として上述した追記マーク6により記録することになる。
【0051】
例えば或るセクタ内で、ユーザデータとしての或るバイト位置に追加的付加情報の追記を行うとする。
すると、そのセクタの4バイトのEDCが影響を受ける。このため4バイトのEDCの部分は追記エリアに設定し(エンボスピットパターンを形成せず)、EDCを追記として記録する必要がある。
また、追加的付加情報を記録したバイト位置やEDCと同列のPOパリティも、影響を受けるため、これも追記として記録する必要がある。
さらに、追加的付加情報を記録したバイト位置及びEDCと同行のPIパリティと、POパリティの行のPIパリティも、影響を受けるため、これも追記として記録する必要がある。
【0052】
このように、ユーザデータの一部に相当する部分を追記エリア10として追加的付加情報を追記マークで記録する場合、その追加的付加情報に加えて、それによって影響を受けるセクタのEDC、POパリティ、PIパリティの部分も追記エリア10として形成し、追記マークにより記録する必要がある。
【0053】
ここで、追記する箇所を最小にすることを考える。
仮に、図10のセクタSC0内で斜線部以外の例えばバイト位置B2,0などに追記することを考える。
すると、POパリティとしては、バイト位置B2,0と同じ列である0列(B192,0〜B207,0)の16バイトを追記として記録する必要が生じる。さらに、セクタSC0のEDCも追記記録となるが、それによってPOパリティの168列〜171列の各16バイトも追記記録となる。
【0054】
つまり、POパリティは、追加的付加情報の記録位置と同じ列と、EDCと同じ列が影響を受け、これらの列は追記マークで追記する必要が生じる。ところが逆に考えれば、追加的付加情報の記録位置をEDC列と同じ列にすれば、POパリティは、EDCと同列の168列〜171列のみが影響をうけることになる。つまり、斜線部として示すようにEDCと同じ列となる範囲内において追加的付加情報の記録領域を設定すれば、POパリティとしては影響を受ける範囲を最小化することができる。具体的には、POパリティは、セクタのEDCと同じ列の範囲として、破線で囲ったB192,168・・・B207,171の4×16バイトのみが影響を受ける範囲とすることができる。
【0055】
即ち、追加的付加情報の記録を行うセクタでは、それをEDCと同じ列において記録するようにすることで、ECCブロック内での影響を受ける箇所を少なくできる。
そしてその場合、1セクタ内では、斜線部として4バイト×11行で最大44バイトの追加的付加情報の記録が可能となる。
1ECCブロックで考えれば、44×16セクタで、最大704バイトの追加的付加情報が記録可能となる。
【0056】
なお実際には、追加的付加情報として記録する識別情報等のデータサイズ(バイト数)によって、追加的付加情報の配置位置を設定すればよく、1セクタ内の斜線部の44バイトを全て追加的付加情報の記録に当てる必要はない。例えば1セクタ内で4バイト(1行)だけ追加的付加情報の記録に当て、これを16セクタにより1ECCブロックで64バイト記録するような形式としてもよい。
もちろん、ECCブロック内で、追加的付加情報の記録を行うセクタ数も任意である。さらに、追加的付加情報を複数のECCブロックにまたがって記録を行うことも可能である。
どのようなデータサイズの追加的付加情報を、どのようにセクタを用いて記録するかは全く任意であるが、いずれにしても、各セクタにおいてEDCと同列の範囲のバイト位置を用いて、追加的付加情報を記録するようにすればよい。
【0057】
[3.追記エリアの開始部分の整合]
次に、追記エリア10の開始部分での整合を考える。
上述したように、追記工程に供される貼り合わせ済光ディスク197には、すでにエンボスピットパターンとしてのピット列が形成されており、その一部が追記エリア10として平面形状領域とされている。
ここで考慮しなければならないのは、追記エリア10に隣接する既設のピット列の状況(つまり追記エリア10の直前の隣接部がランドかピットか、また、ランド/ピットの変換点か)に対し、任意の追記マークを常に問題なく追記するには追記情報のデータをどのように形成すればよいか、と言うことである。
【0058】
図11には、或るレコーディングセクタrSC0において、EDCと同列の各行4バイトを全て追加的付加情報の記録に用いると仮定した場合における追記エリア10に相当する位置を示している。
この場合、図11の斜線部に相当することになる光ディスク(貼り合わせ済光ディスク197)上の領域が、追記エリア10とされることになる。
即ち第1行目から第12行目までの各行のユーザデータのうちのEDCと同列の4バイトと、第12行目のEDCの4バイトと、インターリーブで第13行目となるPOパリティのうちのEDCと同列の4バイトのPOパリティと、第1行目から第13行目までの各行の各10バイトのPIパリティの部分が、追記エリア10に含まれ、これらが追記マーク6による追記マーク列で記録される。
なお、後述するが、PIパリティの直後に続く同期信号SYの一部(10ビットのシンクID)の位置も追記エリア10に含まれるようにされ、この10ビットも追記マーク6による記録が行われる。
従って、1つの追記エリア10は、4バイトのユーザデータ(又はEDC、又はPOパリティ)と、10バイトのPIパリティと、10ビットのシンクIDを記録する領域となり、EFM+変調により1シンボル(セクタ構造内の1バイト)は16ビットとして記録されるため、光ディスク上としては234ビットの領域となる。
【0059】
ここで、追記エリア10の開始部分の直前とは、図中「54」と付した位置となる。
本例では、追記エリア10の直前のピット列、つまりピット列から追記エリア10に至部分の最後のピットパターンは、データシンボル「54」もしくは「47」のコードワードによるものとする。このため図では斜線部としての追記エリア10の直前に「54」と記載しているが、これは「47」としてもよい。
以下、この理由について説明する。
【0060】
まず追記エリア10に追記する場合には、その直前のエンボスピット列がランド3で終了しており、ランド3のつながりを持って追記マーク列の記録を開始したいという事情がある。
仮に図12(a)のような状況を考える。
図12(a)では、或るデータシンボルをEFM+変調したコードワード「0010000010000100」がエンボスピットパターンとしてのピット列の終端であるとし、図のようにピット2,ランド3によるピット列が形成されていたとする。
ここで追記エリア10には或るコードワード「0100・・・・」から記録が開始されることとなったとする。
この場合、NRZI方式の論理反転に基づくと、図のように追記エリア10の先頭で、ピット2と連続した追記マーク6を形成しなければならない。さらに、「1」で論理反転するため、その追記マーク6は2Tの長さとしなければならない。
【0061】
例えばこのような状況として、追記エリア10の書き始めで、直前のピット2と連続する追記マーク6を形成する場合がある。
この図12(a)の例では最初の追記マーク6は2Tの長さとしているが、長さが2T以下であろうと3T以上であろうと、ピット2に連続して追記マーク6を形成する場合、その繋ぎ目をうまく処理することが必要である。例えば直前のピット2と重なり部分を生じさせるように、やや早めにレーザ発光を開始させるような、専用のライトストラテジを用意する必要がある。
ところが、追記エリア10の書き始めに専用のライトストラテジを実行しなければならないことでの処理の煩雑化が生ずることや、そもそも重なり部分を生じさせるような書込により、ピット2と追記マーク6がきれいにつながるかは完全には保証できない。
【0062】
またこの図12(a)のように、最初の追記マーク6を2Tの長さで形成しなければならない場合、追記エリア10での書き始めに2T以下のレーザ発光させることになる。ところが、追記において1Tや2Tのように短い時間の追記マーク/ランド形成を正確に制御することは難しい。
もし追記エリア10の書き始めで2T以下のレーザ発光が発生しないようにするためには、書き始めのシンボルとして先頭3ビットで反転しないものを選択する必要がある。ところがそのためには非常に複雑な処理が必要となる。
【0063】
これらのことから、追記エリア10において追記マーク6から記録を開始することは避けることが望まれる。従って、追記エリア10に追記する場合には、その直前のエンボスピット列がランド3で終了しており、ランド3のつながりを持って追記マーク列の記録を開始したいということになる。例えば図12(b)のように、追記エリア10の直前がランド3で終了していれば、追記エリア10の書き始めをランド3で開始することができる。
例えばこのようなランド繋がりとすれば、専用のライトストラテジを用意する必要もなく、また追記エリア10の書き始めのシンボルとして先頭3ビットで反転しないものを選択したいということも不問となる。
【0064】
そこで次に、追記エリア10の先頭を、ランド繋がりで開始されるようにすることを考える。換言すれば、追記エリア10の直前のピット列がランド3で終了するようにすることを考える。
さらに言えば、追記エリア10の直前のエンボスピット列の最後のコードワードとしてランド3で終わる状況を選択できるようにする。
【0065】
追記エリア10をランド3で開始するには、追記エリア10の直前のデータシンボルのコードワードによるピット列がランド3で終わっていればよい。ところが、追記エリア10の直前のコードワードの終わり方は、さらにその直前のデータシンボルのコードワードの終わり方に影響される。つまり「1」でH/L論理が反転するNRZI方式であるため、追記エリア10の直前のコードワードの最初がHであるかLによって(即ちさらにその直前のコードワードがHで終わるかLで終わるかによって)、最後がピット2となるかランド3となるかが不定である。これは各データシンボルによりコードワードの極性反転回数が異なり、回数が奇数か偶数かで終わりの極性が変わる為である。
【0066】
この場合に、追記エリア10の直前が必ずランド3で終わるようにするには、追記エリア10の直前のデータシンボルは、そのコードワードが、さらにその前のデータシンボルに応じて極性反転の回数の偶数奇数を選択できるものが適切となる。つまり、EFM+変調の際に、反転回数が偶数のコードワードと反転回数が奇数のコードワードとを任意に選択できる(ポラリティ操作できる)データシンボルであることが必要である。
【0067】
ここでEFM+変調の変換テーブルを検討する。
DVDデータフォーマットでは、EFM+変調に関して、図14に一部抜粋して示すメイン変換テーブルと、図15に一部抜粋して示すサブ変換テーブルが規定されている。
【0068】
まず図14のメイン変換テーブルについて説明する。
メイン変換テーブルでは8ビット(1バイト)のデータ値としてのデータシンボル「0」〜「255」を、EFM+変調で変換する16ビットのコードワードが規定されている。
また1つのデータシンボルに対応するコードワードとしてはステート1,ステート2,ステート3,ステート4の4種類のコードワードが規定されている。
さらに各コードワードについては、ネクストステートとして、「1」〜「4」のいずれかが決められている。
ネクストステートは、次のデータシンボルについて、どのステートのコードワードを用いるかを示したものである。
【0069】
例えばデータシンボル「0」「88」「49」「255」というデータ列をEFM+変調する場合を考える。
最初にデータシンボル「0」をステート1のコードワード「0010000000001001」に変換したとする。なお、記録データの一番最初のデータシンボルについて、どのステートのコードワードを用いるかは任意である。
このデータシンボル「0」のステート1のコードワードは、ネクストステートが「1」とされている。そのため次のデータシンボル「88」は、ステート1のコードワード「0001000100010000」に変換する。
またデータシンボル「88」のステート1のコードワードは、ネクストステートが「3」とされている。そのため次のデータシンボル「49」は、ステート3のコードワード「1000000010001000」に変換する。
またデータシンボル「49」のステート3のコードワードは、ネクストステートが「2」とされている。そのため次のデータシンボル「255」は、ステート2のコードワード「0100001000010010」に変換する。
EFM+変調では、このように、ネクストステートで規定されるステートで、各データシンボルのコードワードが選択されていく。これは、各データシンボルのつなぎ目がランレングス制限に適応するようにするためである。
【0070】
ここでデータシンボル「0」〜「87」に関しては、図15に示すサブ変換テーブルが規定されている。
サブ変換テーブルも、1つのデータシンボルに対応するコードワードとしてはステート1,ステート2,ステート3,ステート4の4種類のコードワードが規定されている。
さらに各コードワードについては、ネクストステートとして、「1」〜「4」のいずれかが決められている。
データシンボル「0」〜「87」については、このサブ変換テーブルが設けられることで、合計8個のコードワードが選択可能とされる。そしてサブ変換テーブルのコードワードはメイン変換テーブルと合わせて用いることができる。
例えば上記のように、データシンボル「88」のコードワードでネクストステート「3」が指定され、次にデータシンボル「49」となる場合は、メイン変換テーブルのステート3のコードワード「1000000010001000」の他に、サブ変換テーブルのステート3のコードワード「1001000000010001」を選択してもよいことになっている。
【0071】
このサブ変換テーブルは、ピット/ランドの平均的な比を調節することで、再生RF信号のDCオフセット成分を調整するために設けられているものである。
即ち同じデータシンボルと同じステートで見ると、必ずメイン変換テーブルとサブ変換テーブルでは、反転回数(「1」の数)が偶数/奇数で異なるようにされている。これによって例えばメイン変換テーブルのみを使用すると、記録トラック上でピット2の領域がランド3の領域に比べて多くなるような記録データの場合、部分的にサブ変換テーブルを利用して論理反転回数を調節し、ランド部分とピット部分が同等となるようにすることができる。
【0072】
EFM+変調は、このメイン変換テーブルとサブ変換テーブルを用いて行われるが、ここで上述した、ポラリティ操作ができるデータシンボルを考える。
追記エリア10の直前のピット列がランド3で終了するには、直前のピット列の最後のコードワードが、論理反転回数(「1」の数)として偶数、奇数を選択できるものであればよい。つまりこれは、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルのうちからコードワードを選択できるものであればよいことを意味する。
従って直前のピット列の最後のデータシンボルが「0」〜「87」の範囲内の値であればよいということになる。
【0073】
ここでステート情報のことをさらに考慮する。
上述のようにEFM+変換の際には、データシンボルのコードワードは、直前のコードワードのネクストステートによって、ステートが規定されて選択される。
これは、当然エンボスピット列の最後のコードワードと、追記マーク6と最初のコードワードの間にも適用されなければならない。
すると、追記エリア10に書込を行おうとする際には、追加情報記録装置150は、既に形成されている直前のエンボスピット列の最後のコードワードのネクストステートの情報を把握し、それに基づいてステートを選択してEFM+変換を行わなければならないことになる。これは、全体の製造システム的にも処理が煩雑化するとともに、例えば追加情報記録装置150を、図1の製造工程を行う工場内ではなく、別の場所、別の時点で用いるような汎用的な使用が困難になる。
ところが、追記エリア10の最初のコードワードを、必ず特定のステートとしてよいこととすれば、追加情報記録装置150は、直前のエンボスピット列の最後のコードワードのネクストステートの情報を考慮する必要はなくなる。
【0074】
すると、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルにおける8個のステートにおいて、ネクストステートが全て同じものがあればよいということになる。
これに該当するものが、図14,図15において枠で囲って示した「47」と「54」である。この「47」と「54」は、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルに示されるコードワードの全てでネクストステート「1」が指定されている。
そして、追記エリア10の直前のデータシンボルが「47」又は「54」のいずれかであれば、追記エリア10の書き始めのコードワードは、必ずステート1を選択すればよいものとなる。
【0075】
このように追記エリア10の始まりのステートがステート1として統一されていれば、各追記エリア10の開始部分のステート情報を追加情報記録装置150に伝達する必要が無いことになる。例えば、追記エリア10の直前のピット列の最後が「54」又は「47」以外であると、追加情報記録装置150は、そのピット列の最後のコードワードのネクストステートの情報を取得しなければ、適切にステートを選択することができない。ところが、ステート1として統一されていることで、ネクストステートとしての指定情報を追記管理部160から受け取ることは必要なくなる。
これは追加情報記録装置150の処理を簡易化させるだけでなく、システムの拡張にも好適である。
【0076】
結局、追記エリア10の直前のピット列の最後が「47」又は「54」のデータシンボルとされているようにすれば、特に複雑な処理やステート情報の転送を行うことなく、追記エリア10の開始部分で直前のピット列と整合のとれたデータ記録を行うことができ、かつランド3を先頭として形状の安定した追記マーク列を形成できるということになる。
なお、EFM+変換のメイン変換テーブル及びサブ変換テーブルにおいて、全てのデータシンボルのステート1のコードワードは、先頭2ビットが「00」であるため、追記エリア10の先頭は必ず2T以上のランド3から開始されることになる。
【0077】
データシンボル「54」のコードワードを、追記エリア10の直前のピット列の最後のコードワードとした状態を、図13(a)(b)に示す。
図13(a)(b)は、「54」のデータシンボルについて、ステート1のコードワードが選択された場合を示している。これは、さらにその前のコードワードにおいてステート1が指定されていた場合である。もちろんこの「54」についてはステート2〜ステート4のコードワードが選択される場合もあり得る。
ここで、図13(a)は、「54」のコードワードが、さらにその直前のコードワードの最後が「L」とされていたことから、「L」論理で開始された場合を示している。
一方、図13(b)は、「54」のコードワードが、さらにその直前のコードワードの最後が「H」とされていたことから、「H」論理で開始された場合を示している。
もし、「L」論理で開始される場合、ピット列をランド3で終わらせるためには、「54」のコードワードをメイン変換テーブルから選択すればよい。「54」のメイン変換テーブルのステート1のコードワードは「0010000010010010」であり、反転回数が偶数である。このため、図示するようにピット2,ランド3が形成され、終端はランド3となる。
一方、「H」論理で開始される場合、ピット列をランド3で終わらせるためには、「54」のコードワードをサブ変換テーブルから選択すればよい。「54」のサブ変換テーブルのステート1のコードワードは「0000001000100001」であり、反転回数が奇数である。このため、図示するようにピット2,ランド3が形成され、終端はランド3となる。
このようにメイン変換テーブルとサブ変換テーブルで選択可能で、反転回数の偶数/奇数を選択できることが、上記したポラリティ操作ができるデータシンボルであり、これによって、それまでのデータシンボルにかかわらず、ピット列をランド3で終了できる(つまり追記エリア10の記録をランド繋がりの状態で開始できる)ということになる。
もちろんこの「54」として、その直前のコードワードによりステート2,ステート3、ステート4のいずれかが指定されていたとしても、開始する論理に応じて、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルのうちでコードワードを選択し、終端がランド3で終わるようにすればよい。
【0078】
ここではデータシンボル「54」について例示したが、「47」についても同様である。
従って、図11に示したように、斜線部として示す追記エリア10の直前のピット列が、データシンボル「54」又は「47」とされることで、追記エリア10の開始部分で適切な追記が可能となる。
より具体的に言えば、例えば図10のバイト位置B0,168や、B1,168などを追記エリア10の先頭とする場合、それらの直前のバイト位置B0,167や、B1,167などが、データシンボル「54」又は「47」とされるようにセクタデータを設定すればよいものとなる。
【0079】
また、追記エリア10において追記マーク6をレーザ等の発光で記録する場合、始まりのデータシンボルの極性がランドからであると、2T以下の発光が抑制され、追加情報記録装置150のレーザ駆動回路の周波数特性、光学系のMTF設計に余裕が生まれると共に、1T、2Tのライトストラテジの検討が不要となるという利点も得られる。
【0080】
[4.追記エリアの終端部分の整合]
続いて追記エリア10の終端部分の整合について述べる。
図11に示したように、レコーディングセクタの構造としては、91バイト単位毎に同期信号SYが付加されている。
そして同期信号SYとしては、SY0〜SY7の8種類が規定され、図11に示す順序(SY0→SY5→SY1→SY5→SY3→SY5→SY4→・・・)で91バイト単位のデータに対して付加される。
この各同期信号SY0〜SY7の並び順はセクタ内でユニークである。例えば「SY0→SY5」「SY5→SY1」「SY1→SY5」というそれぞれの並びはセクタ内で1カ所しか表れない。このため前後の同期信号SYの並びによってセクタ内の位置が検出できるものとされている。
【0081】
ここでセクタ内で、追加的付加情報及びEDCと、影響を受けるPOパリティ、PIパリティを追加情報として書き込むと、図11の斜線部が追記エリア10となると先に述べた。
そしてPIパリティに続いては同期信号SYが配置されるため、各追記エリア10の直後は同期信号SYとなる。ここで本例では、図11の斜線部で示すように同期信号SYの最初の10ビットの部分も、追記エリア10に含めるようにし、追記マーク列により記録するようにして、追記エリア10の終端部分で適切に整合がとれるようにする。
【0082】
ここでDVDデータフォーマットにおける同期信号SYについて説明する。
同期信号SYは、図16に示すように32ビットのシンクコードで形成される。そして32ビットのうちの最初の10ビットがシンクIDとされ、残りの22ビットがシンクボディとされる。
シンクIDは、同期信号SY1〜SY7を区別する識別コードである。またシンクボディは同期信号SY1〜SY7において共通の22ビットパターン「0001000000000000010001」とされる。即ち同期信号特有の14Tパターンを含むコードである。
【0083】
そして各同期信号SY1〜SY7は、それぞれ図17に示すように4パターンが規定されている。
まず、同期信号SYの直前のコードワードにおいて、ネクストステートが「1」又は「2」と指定されている場合は、図17の上段に示すプライマリシンクコードか、セカンダリシンクコードが用いられる。
また、同期信号SYの直前のコードワードにおいて、ネクストステートが「3」又は「4」と指定されている場合は、図17の下段に示すプライマリシンクコードか、セカンダリシンクコードが用いられる。
プライマリシンクコードとセカンダリシンクコードの関係は、上述したメイン変換テーブルとサブ変換テーブルの関係と同様に、論理反転回数が奇数/偶数で選択できるものとされている。
【0084】
この図17からもわかるように、全てのシンクコードにおいて22ビットのシンクボディは共通であり、先頭10ビットのシンクIDとして、各同期信号SY1〜SY7は、それぞれ4パターンが規定されていることになる。
【0085】
ここで追記エリア10の終端部分を、適切にピット列に繋げることを考える場合、シンクIDとシンクボディを切り離して考慮することが好適となる。
つまり、シンクIDの部分は、その直前のコードワードのネクストステートの指定に応じて選択されることになるため、結局追加情報を記録した後でなければ選択できない。
一方、シンクボディの部分は、どのシンクコードが選択されようともコードパターンは同じである。
このことから、追記エリア10の終端をシンクIDで終了させ、追記エリア10に続くピット列は、シンクボディの部分から開始されるようにすればよいことが理解される。
つまり図1の貼り合わせ済光ディスク197の段階では、平面形状領域としての追記エリア10として、シンクIDの部分まで含むように形成し、その平面形状領域に続いて、シンクボディのエンボスピットパターンを形成しておくようにする。
【0086】
但しその場合、シンクボディのエンボスピット列の最初が、ランド3で始まるかピット2で始まるかがわからなければ、シンクボディを形成できないことになるが、逆に言えば、シンクボディの先頭をランド3とするかピット2とするかを予め決定しておけば、シンクIDのパターンの選択(プライマリシンクコードかセカンダリシンクコードかの選択)により整合を取ることができる。
例えば追記エリア10の直後のシンクボディの先頭(つまりシンクコードの11ビット目)はランド3とすると規定しておけば、11ビット目〜32ビット目までのシンクボディは、14ビット目から27ビット目を14Tピットとして作成しておけばよい。
また逆に、追記エリア10の直後のシンクボディの先頭はピット2とすると規定しておけば、11ビット目〜32ビット目までのシンクボディは、14ビット目から27ビット目を14Tランドとして作成しておけばよい。
【0087】
追記エリア10の直後のシンクボディは、ランドから始めると規定した場合について、追記エリア10の終端部分の様子を図18に示す。
図18(a)は、追記エリア10が未記録の状態(つまり貼り合わせ済光ディスク197の段階)であり、追記エリア10に続くピット列としては、シンクコードの11ビット目以降がランド3から開始されて14Tのピット2が形成されている様子を示している。
このような場合に、追記エリア10に追記マーク列を記録し、その終端部に同期信号SY1のシンクIDを記録するとする。
またこのとき、同期信号SY1の直前に追記したコードワードにおいてネクストステートが「1」又は「2」であったとする。すると、図17上段の同期信号SY1のシンクコードを選択することになる。ここで、ピット列はランド3で開始されている状態で既に形成されているため、シンクIDの部分がランド3でシンクボディに連続するようにすればよい。
即ち、もしシンクIDの書き始めにおいて「H」論理であったとしたら、図18(b)のように、同期信号SY1のプライマリシンクコード「0000010000」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
一方、シンクIDの書き始めが「L」論理であったとしたら、図18(c)のように、同期信号SY1のセカンダリシンクコード「0000010001」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、この場合も直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
【0088】
また、追記エリア10の直後のシンクボディは、ピットから始めると規定してもよいが、その場合の追記エリア10の終端部分の様子を図19に示す。
図19(a)は、追記エリア10が未記録の状態(つまり貼り合わせ済光ディスク197の段階)であり、追記エリア10に続くピット列としては、シンクコードの11ビット目以降がピット2から開始されて14Tのランド3が形成されている様子を示している。
このような場合に、上記図18と同じく追記エリア10の終端部に同期信号SY1のシンクIDを記録するとする。また同期信号SY1の直前に追記したコードワードにおいてネクストステートは「1」又は「2」であり、図17上段の同期信号SY1のシンクコードを選択することになったとする。
この場合、ピット列はピット2で開始されている状態で既に形成されているため、シンクIDの部分がピット2でシンクボディに連続するようにすればよい。
即ち、もしシンクIDの書き始めにおいて「H」論理であったとしたら、図19(b)のように、同期信号SY1のセカンダリシンクコード「0000010001」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
一方、シンクIDの書き始めが「L」論理であったとしたら、図19(c)のように、同期信号SY1のプライマリシンクコード「0000010000」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、この場合も直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
【0089】
つまり、追記エリア10においてシンクIDまでを追加記録するようにするとともに、その直後のピット列としてのシンクボディがランドで始まるかピットで始まるかのどちらかに規定しておけば、シンクボディをエンボスピットパターンで予め形成できるとともに、追記の際に、追記エリア10の終端部分で適切にシンクIDを選択することで、追記エリア10の終端部分と、それに続くピット列との整合を取ることができる。
【0090】
[5.PO補償シンボルの配置]
次に、PO補償シンボルについて説明する。
上述のように、追記エリア10の直前には、エンボスピット列によるコードワード「54」又は「47」を配置する。以降、コードワード「54」又は「47」を、「ポラリティ制御シンボル」という。
PO補償シンボルは、ポラリティ制御シンボルを配置することに応じて、POパリティの整合のために必要になるシンボルである。
【0091】
図20〜図25にECCブロックにおける各種のPO補償シンボル配置例を示す。
図20〜図25においては、追加的付加情報としてPID(ディスク個別の識別情報)がEDCと同列の4バイトに追記記録される場合のECCブロックを示している。
斜線を付した部分が追記マークによるPID、EDC、POパリティ、PIパリティ等の追加情報の記録部分である。
ポラリティ制御シンボルは「54」で表している。なお、以降の説明では全てポラリティ制御シンボルは「54」と表すがコードワード「47」でも良いことは上述のとおりである。
また「X」はPO補償シンボルを表している。
【0092】
図20では、PIDをセクタSC15におけるEDCと同列の4バイトに記録する例としている。つまりPIDを最終セクタから上方に配置するものである。5バイト以上の追加的付加情報を記録する場合は、順次EDCと同列の4バイトを上方に向かって用いる。
斜線を付した追記マーク記録部分の直前は、全てポラリティ制御シンボル「54」が配置される。
【0093】
この場合において、ECCブロック内で、ポラリティ制御シンボルと同列となる16カ所の位置にPO補償シンボルが配置される。
例えば16行の範囲のPOパリティの部分では、各行で、追記マーク記録部分の直前にポラリティ制御シンボル「54」が配置される。つまりこの列では、16個のPOパリティが「54」に固定されてしまうことになる。従って、POパリティが、このような値になるように補償されなければならない。このため、同列に16個のPO補償シンボル「X」が配置されるようにする。
この場合、セクタSC0からSC1の途中までにPO補償シンボル「X」が16個連続して配置されるようにしている。
【0094】
なお、この図20の場合は、PID、EDCの追記部分の直前のポラリティ制御シンボル「54」に応じて、同列のPOパリティとしてPO補償シンボル「X」が形成されるが、これは追記マークとして記録される。
この図20の例の場合は、セクターSC0,SC1におけるPO補償シンボル「X」がPID直前のポラリティ制御シンボル「54」の配置列の1つ前の列であるたため、PID等の追加的付加情報を最大704バイト記録することが可能である。つまり1セクタは12行であり、EDCを除く11行において各4バイトを追記に用いることができる。従って11×4(バイト)×16(セクター)=704バイトとなる。
【0095】
図21は、PO補償シンボル「X」を、PID等の直前のポラリティ制御シンボル「54」と同列とした例である。
PID、EDC、POパリティの各追記部分の直前はポラリティ制御シンボル「54」が配置される。このポラリティ制御シンボル「54」と同列において、先頭のセクタSC0〜SC1の範囲に16個のPO補償シンボル「X」が連続して配置される。
この場合はセクタSC0〜SC1においてPO補償シンボル「X」が配置される行は、追記エリアとして4バイトは確保できない。1バイトはポラリティ制御シンボル「54」として確保しなければならないため、セクタSC1の11行とセクタSC2の4行では最大3バイトとなる。従って、追加的付加情報の記録は最大689バイトとなる。
【0096】
図22は、PIDを任意のセクターに記録する例である。ここではセクターSC1の或る行にPIDを書き込む例としている。
PO補償シンボル「X」は、最終セクターSC15からセクターSC14の途中まで16個連続して配置することとしている。
PID等の追加的付加情報は最大704バイト記録することが可能である。
【0097】
図23は、PIDを任意のセクターに記録し、またPO補償シンボル「X」も列の前端や終端ではなく中間に16個連続して置く例である。一例としてPID記録を行うセクターSC1にも、PO補償シンボル「X」が配置されるようにしている。
【0098】
図24は16個のPO補償シンボル「X」を複数に分けて配置する例である。
例えばセクターSC1とセクターSC15において、分けて配置している。
図25は、16個のPO補償シンボル「X」を複数に分け、さらにポラリティ制御シンボル「54」と同列に配置する例である。
【0099】
例えば以上のように各種のPO補償シンボル「X」の配置例が考えられる。もちろんこれ以外の例も各種想定される。
そして、これらのように、追記エリアの直前(特にPOパリティ部分)にポラリティ制御シンボル「54」を配置することが必要なことにより、同列にPO補償シンボル「X」を配置しなければならない。このことは、当該ECCブロックは、PID等の追加的付加情報の記録のために専用に割り当てられたECCブロック、つまりDVDに収録する本来のコンテンツの記録に用いる領域以外のECCブロックであることが適切となることを意味する。
【0100】
[6.DVDのナビゲーションコマンドへの適用]
追記マークによる追加的付加情報の記録を再生専用DVDに行う場合、一般のDVDプレーヤにおいて、PID等の追加的付加情報を利用できるようにすることが望ましい。例えばプレーヤがDVDが装填されたときにPIDを読み取り、各種の対応処理を行うようにすることで、適切な動作やユーザへの新たな再生態様の提供ができる。
例えばPIDに基づいた著作権保護のための動作や、特定のPIDが付されたディスクに対するスペシャルタイトルの再生動作などが考えられる。
【0101】
このような動作を実現するためには、DVDシステムにおけるナビゲーションコマンドを利用することが考えられる。
本実施の形態では、追加的付加情報としてのPIDを、ナビゲーションコマンドの構造に組み込み、これによってDVDプレーヤがディスクからPIDを読み込むことができるようにする。
【0102】
図26、図27で本実施の形態の再生専用型光ディスクとしてのDVDに記録されるファイル構造例について説明する。
図26(a)は、図2に示したエリア構造を半径方向に示したものである。図2でも述べたように、内周側からリードインエリアLI、主データエリアMA、リードアウトエリアLOとなる。
ユーザデータとして実コンテンツ等が記録される主データエリアMAはセクターナンバ「30000h」から開始される。
本例のディスクでは、実コンテンツを構成するファイルについては、セクターナンバ「230000h」(半径位置55.837mm)までの範囲に記録するものとする。
そしてこのコンテンツ制限としての半径位置以降、リードアウトエリアLOの開始位置までの間に、PIDエリアが形成されることになる。リードアウトエリアLOの開始位置はセクターナンバ「232100h」(半径位置55.999mm)である。
ここでいうPIDエリアとは、追加的付加情報を記録するECCブロックを含むファイルが記録されるエリアである。このPIDエリアは例えばセクターナンバ「231000h」(半径位置55.952mm)を開始位置とする。
なお、リードアウトエリアLO内の所定位置には、PIDエリアでの追記のための試し書きエリアが設けられる場合がある。
【0103】
図27に、DVD収録コンテンツとしてのファイル構造例を示す。
DVDの主データエリアMAには、図27(a)に示すように管理情報としてのファイル群を含むVMGと、実コンテンツを構成するファイル群を含むVTS(Video Title Set)が記録される。
本例の場合、例えばVTS#1、VTS#2を実際のコンテンツのファイル群であるとし、VTS#3は、PID記録に用いられるものとしている。
【0104】
管理情報としてのVMGは、例えば図27(b)のように、コントロールデータ、ビデオオブジェクト、バックアップとしてのファイル「VIDEO_TS.IFO」「VIDEO_TS.VOB」「VIDEO_TS.BUP」を有する。
コントロールデータのファイル「VIDEO_TS.IFO」には、各VTSの管理や再生制御情報等が記録される。
ビデオオブジェクトのファイル「VIDEO_TS.VOB」には、再生時のメインメニュー画面等のビデオオブジェクトが記録される。
バックアップファイル「VIDEO_TS.BUP」は、コントロールデータのファイル「VIDEO_TS.IFO」のバックアップとして同一内容が記録される。
【0105】
VTS(ビデオタイトルセット)は、図27(c)のようにコントロールデータ、ビデオオブジェクト、バックアップとしてのファイルを有する。
コントロールデータのファイルには、当該ビデオタイトルセットの再生管理情報等が記録される。
ビデオオブジェクトは実際のコンテンツ映像等を構成するファイルである。コンテンツ映像等に加えてタイトルメニューなどの映像ファイルが加わる場合もある。
バックアップのファイルには、コントロールデータのバックアップとして同一内容が記録される。
説明上、VTS#3の場合、これらのファイルとして、コントロールデータのファイル「VTS_03_0.IFO」、ビデオオブジェクトのファイル「VTS_03_0.VOB」、バックアップファイル「VTS_03_0.BUP」を有するものとする。図示していないが、ビデオオブジェクトのファイルが2つとなる場合、「VTS_03_1.VOB」等も含まれる。
【0106】
また、VTS#1の場合、これらのファイルとして図26(b)に示すように、コントロールデータのファイル「VTS_01_0.IFO」、ビデオオブジェクトのファイル「VTS_01_0.VOB」、バックアップファイル「VTS_01_0.BUP」を有するものとする。同様にVTS#2の場合、コントロールデータのファイル「VTS_02_0.IFO」、ビデオオブジェクトのファイル「VTS_02_0.VOB」、バックアップファイル「VTS_02_0.BUP」を有するものとする。VTS#1、#2もビデオオブジェクトのファイルはタイトルメニュー等の映像ファイルを加えて複数となる場合もある。
【0107】
これらのVTSにおけるコントロールデータとしては、図27(c)に例示するように、「VTSI_MAT」「VTS_PTT_SRPT」「VTS_PGCIT」「VTSM_PGCI_UT」・・・等の情報を含む。
例えば「VTSI_MAT」はビデオタイトルセットの情報管理テーブル、「VTS_PTT_SRPT」はビデオタイトルセットのサーチポインタのテーブル、「VTS_PGCIT」はビデオタイトルセットのプログラムチェインの情報のテーブルである。
ここで、上述したナビゲーションコマンドは、プログラムチェインの情報内に記述されるものとなる。
【0108】
図27(d)に「VTS_PGCIT」の構造を示す。「VTS_PGCIT」は、8バイト固定長のテーブルインフォメーション「VTS_PGCITI」、8の倍数のバイト数で可変長のPGCIサーチポインタ「VTS_PGCI_SRP#1-#n」、及び所要数のプログラムチェインインフォメーション「VTS_PGCI」を含む。
プログラムチェインインフォメーション「VTS_PGCI」は、図27(e)のように、ジェネラルインフォメーション「PGC_GI」、コマンドテーブル「PGC_CMDT」、プログラムマップ「PGC_PGMAP」、セルプレイバック「C_PBIT」、セルポジションテーブル「C_POSIT」を含む。
【0109】
本例のディスクにおいて、例えば図27(a)のように、VMG、VTS#1〜#3が記録されるものとし、VTS#3がPID記録に用いられるとした場合、ディスク上において物理的には、図26(b)のように各ファイルの記録が行われる。
主データエリアMAには、内周側からVMG、VTS#1、VTS#2の各ファイルが連続して記録される。
【0110】
一方、VTS#3を構成する各ファイルは、PIDエリアに記録される。
VTS#3は、そのコントロールデータである「VTS_03_0.IFO」内に、追記エリア10を形成し、PIDがナビゲーションコマンドの形式で追記されるようにするものである。
PID等の追記のためにVTS#3を用いることや、VTS#3をPIDエリアに配置するのは、次の理由による。
【0111】
まずVTS#3として、実コンテンツとしてのVTS#1,#2とは別のビデオタイトルセットを設定するのは、上述したPO補償シンボルを記録する必要性が1つの理由である。
追加情報の追記のためのポラリティ制御シンボルをエンボスピット列で配置することにより、ECCブロック内の所定位置(図20〜図25参照)にPO補償シンボル「X」を配置しなければならない。このため、セクター内を或る程度自由に使用できることが好ましい。一方で、実コンテンツとしてのファイルによって構成されるVTS#1,#2では、追記エリアの設定やポラリティ制御シンボル「54」の配置に応じた所要位置にPO補償シンボル「X」を配置することが困難である。コンテンツデータを壊してしまう可能性があるからである。
【0112】
このような事情から、実コンテンツとしてのVTS#1、#2とは別に、PID追記のためのVTS#3を設けることが適切と考えられる。
もちろんDVDタイトル毎にいくつのVTSが収録されるかは不定である。例えばVTS#1〜#4が実コンテンツとして収録される場合は、VTS#5としてPID追記のためのVTSを設ければよいし、VTS#1のみが実コンテンツとして収録される場合は、VTS#2としてPID追記のためのVTSを設ければよい。
なお、複数のVTSのうちでどのVTSを用いるかは任意であるが、最後のVTSをPID追記のためのVTSとすることが望ましい。
【0113】
また、PID追記のためにVTSを用いるもう一つの理由は、VTSがVMGによって管理されるファイルによって構成されるものであることによる。つまり一般的なDVDプレーヤがアクセス可能なファイルにおいてPID追記を行うということである。
例えばVMGによって管理されないファイルにおいてPID追記を行うようにすると、一般のDVDプレーヤでは、アクセスできないことになる。
当該ファイルをアクセスするには、非管理領域である当該ファイルにアクセスするような専用のプログラムをDVDプレーヤに実装しなければならず、現実的ではない。
【0114】
ここで通常のDVDプレーヤは、ディスクが装填された場合の再生動作に際して、リードインエリアLIの情報を読み込んだ後、最初にVMGを読んで、メインメニューの表示再生などコンテンツ再生動作を行う。またユーザの操作に応じて所要のコンテンツ(VTS#1等)の再生を行う。
VMGには、各VTSの再生のための管理情報や、ファーストプレイ指示(再生時に最初にアクセスすべきファイルの指示)などの再生制御情報が記述されている。
すると、DVDプレーヤが特別な制御ソフトウエアが実装されていなくても、VMG管理下にあるファイルで構成されるVTS#3にアクセスさせることができる。例えばVMGにおいて「ファーストプレイ」とされるファイルとしてVTS#3のファイルが指定されるようにすれば、DVDプレーヤは、VMGを読んだ直後にVTS#3をアクセスし、そこに記述されたナビゲーションコマンドを読み込むことができる。
ナビゲーションコマンドについては後述するが、DVDプレーヤはナビゲーションコマンドを読み、そのコマンド内容を実行することで、追記されたPIDを読み込むことができる。
即ち本実施の形態では、一般的なDVDプレーヤにPID等の追加的付加情報を読み込ませることを目的とするため、DVD上のファイルシステム管理下に置かれるVTSを用いてPID追記を行うものである。
【0115】
以上の理由から或るVTS(例えばVTS#3)をPID追記のために用いる。そしてVTS#3を、PIDエリアに記録する。
PIDエリアを、例えば半径位置55.952mmなどのように固定的に配置するのはディスク製造上の都合が1つの理由である。
追記マーク6は図4〜図6で説明したように、エンボスピット列が形成されていない追記エリア10において、反射膜4を消失又は低減させることで形成する。すると、良質な追記マーク6の形成には、反射膜4の膜厚は大きく影響する。
【0116】
ここで、反射膜は図1に示した成形成膜工程において成膜装置130によって形成されるが、予め追記エリア10を形成するエリア(半径位置)を固定的に決めておけば、その半径位置において、反射膜4の膜厚が一定になるように制御することが比較的容易となる。反射膜4の膜厚は、ディスク全面にわたって均一に形成するものであるが、完全均一化は困難であり、厚み誤差が生ずる。ただし、特定の半径位置においてということであれば、比較的高精度に厚みを制御できる。
このことからPIDエリアを固定しておき、ディスク製造時に、PIDエリアにおいて反射膜4の膜厚精度を上げることが適切である。
【0117】
なお、以上のことは、PIDエリアが固定されていればよいものであって、必ずしも図26に示した位置に固定されることが必要となるものではない。
一方で、PIDエリアを固定するということは、その位置は、本来のコンテンツとしてのファイル(VTS#1、#2等)としての記録に用いられないようにすることも必要となる。そこで図26のように、コンテンツ制限を設定し、本来のコンテンツファイルは例えば半径55.837mmまでの領域に記録されるようにするなどの規則を設けることが適切となる。
【0118】
PIDエリアを、図26のように固定し、最後の実コンテンツ(図26の場合VTS#2)とは物理的に離れた位置にPID追記を行うVTS#3を記録するようにする、もう一つの理由を図28で説明する。
図28は、ECCブロック単位での物理的な配置を模式的に示している。
<移動前>として示しているのは、VTS#3を構成するファイル「VTS_03_0.IFO」「VTS_03_0.VOB」「VTS_03_1.VOB」「VTS_03_0.BUP」が、VTS#2の最後のファイル「VTS_02_0.BUP」から物理的に連続したECCブロックで記録された場合である。
通常、再生専用型光ディスクでは、ファイルは離散的に記録する必要がなく、また記録容量も考慮して、物理的に連続して記録される。
従って、VTS#1〜#3を収録するDVDを製造する場合、通常は、このようにVTS#3のファイルはVTS#2のファイルの後に連続して記録される。
また、同じECCブロック内に、同じVTSに属するコントロールデータファイルとバックアップファイル(例えば「VTS_03_0.IFO」と「VTS_03_0.BUP」)は配置してはならないとされるが、1つのECCブロックに異なるVTSのファイルが並存することには制限はない。このため図のECCブロックBKaのように、1つのECCブロック内に、「VTS_02_0.BUP」の後半と、「VTS_03_0.VOB」と、「VTS_03_1.VOB」の先頭部分のデータが含まれることもある。
【0119】
ここで、本実施の形態においてPID追記を行うのは、VTS#3におけるコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」内である。
そして図20に示したように、ECCブロックの先頭セクターSC0からセクターSC1にかけて行方向にPO補償シンボル「X」を配置するとする。
ところが、この<移動前>の場合、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」を含むECCブロックBKaの先頭セクターは、VTS#2のバックアップファイル「VTS_02_0.BUP」である。
このため、もしECCブロックBKaのセクターSC0からセクターSC1にPO補償シンボル「X」を配置すると、VTS#2のバックアップファイル「VTS_02_0.BUP」を壊してしまうことになり適切でない。
このことから、PID追記を行うコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」は、VTS#2から物理的に離れたECCブロックに記録することが適切となる。さらに、そのECCブロック内でPO補償シンボル「X」を形成して、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」自体も壊されないことが必要である。
【0120】
このような理由から、<移動後>として示しているように、VTS#3を構成するファイルが、VTS#2のファイルを含むECCブロックとは別のECCブロックを構成するように、VTS#3をVTS#2とは物理的に離して配置する。
図31の<移動後>では、例えばECCブロックBKb以降に、VTS#3のファイル「VTS_03_0.IFO」「VTS_03_0.VOB」「VTS_03_1.VOB」「VTS_03_0.BUP」が配置されるようにしている。
【0121】
まずコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」については、ECCブロックBKbに含まれるようにする。このとき、ECCブロックBKbの先頭で2セクタ以上の空きを確保する。この2セクタは、図20のようにPO補償シンボル「X」を配置するセクターとして確保するものである。
このように「VTS_03_0.IFO」を、或るECCブロックBKbに移動させ、かつ、2セクタ以上の空きを確保して配置することで、PO補償シンボル「X」によって、前のVTS#2のデータが壊されることも、「VTS_03_0.IFO」自体が壊されることも無くなる。
【0122】
コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」に続くビデオオブジェクトファイル「VTS_03_0.VOB」「VTS_03_1.VOB」については、例えばECCブロックBKc以降のように、連続して配置していけばよい。
【0123】
但しバックアップファイル「VTS_03_0.BUP」については、さらに離れた例えばECCブロックBKdに配置する。
バックアップファイルは、コントロールデータファイルと全く同一のデータ内容であることが要請される。
従って、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」においてPID追記を行う場合は、バックアップファイル「VTS_03_0.BUP」でも同じ値のPID追記を行うことになる。またバックアップファイル「VTS_03_0.BUP」を含むECCブロックにはポラリティ制御シンボル「54」が記録されることになる。
ここでDVDのスクランブル方式は、16ECCブロックで一周りする。これは、バックアップファイルを、コントロールデータファイルから16ECC離して配置すれば、スクランブルによってもポラリティ制御シンボル「54」のスクランブル前の値が変動しないことを意味する。
換言すれば、16ECCブロック分を離さないと、ポラリティ制御シンボル「54」のスクランブル前の値がコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」とバックアップファイル「VTS_03_0.BUP」とで異なるものとなってしまい、バックアップファイルの規定を満たさなくなる。
そこで、図のように、バックアップファイル「VTS_03_0.BUP」は、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」から16ECCブロック分だけ離して配置するものとする。
【0124】
なお、ECCブロックBKaとBKbは、図示の都合上、連続して示しているが、<移動後>においては物理的に連続したものである必要はない。
以上の事情は、VTS#3が、VTS#2とは物理的に離れた位置とされる理由の1つ、即ち図26のようにPIDエリアでVTS#3が記録される理由の1つとなるものである。従って、図28における<移動後>におけるECCブロックBKb〜BKdは、図26のPIDエリア内の或るECCブロックと考えればよいものである。
【0125】
PID等の追記のためにVTS#3を用いること、及びVTS#3をPIDエリアに配置するのは、以上述べてきた理由による。
そしてPIDエリアに記録されたVTS#3におけるナビゲーションコマンドによって、一般のDVDプレーヤがPID等の追加的付加情報を読み込むことができるが、その場合のDVDプレーヤの処理は図29のようになる。
【0126】
本実施の形態の再生専用型光ディスク(DVD)が装填されたDVDプレーヤでは、まず図29のステップS1として、初期立ち上げ処理を行う。即ちスピンドルモータ起動、フォーカスサーチ/フォーカスサーボ引き込み、トラッキングサーボオン等を行い、ディスクから情報読出可能な状態とする。そして初期立ち上げ処理を完了したら、まずリードインエリアLIの情報読出を行う。
続いてステップS2で、VMGリードを行う。先に述べたように、VMGにおいてファーストプレイとしてVTS#3が指定されていれば、ステップS3として、DVDプレーヤはPIDエリアに記録されているVTS#3にアクセスすることになる。
ステップS4で、DVDプレーヤはVTS#3をリードする。このVTS#3のコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」には、後述するように追記されたPIDを含むナビゲーションコマンドが記録されている。
このナビゲーションコマンドが読み込まれることによって、DVDプレーヤはPIDを内部レジスタに取り込む動作を行う。
その後、ステップS5としてDVDプレーヤは、VMGの再生管理にしたがった再生動作を行うが、読み込んだPIDを用いた各種の処理も可能となる。
【0127】
このような動作を実現するために、PIDをナビゲーションコマンドの形式で追記する具体例を、以下説明していく。
図30(a)はナビゲーションコマンドの構造を示している。ナビゲーションコマンドは8バイト固定長(ビットb0〜B63)とされ、2バイトのオペレーションコードと6バイトのオペランドセットから成る。
なおDVDフォーマットにおいてナビゲーションコマンドの構造は各種規定されているが、ここではPIDをDVDプレーヤのレジスタに取り込ませるためのナビゲーションコマンド(セットコマンド)についてのみ述べる。
【0128】
この場合、オペランドセットにおいてb0〜b15の2バイトはリザーブとされている。
b16〜b31の2バイトは代入値を示すSSとされる。
b32〜b47の2バイトはレジスタナンバを示すSDGとリザーブビットとされる。
この8バイトのナビゲーションコマンドが図30(b)のように、「71・00・00・03・FF・FF・00・00」の場合は次の意味となる。
2バイトのオペレーションコードが「71・00」であるときは、代入命令を意味する。
SDGが「03」であることは、「レジスタ番号3」を示す。
SSの「FF・FF」は代入値である。
従って、この図30(b)のナビゲーションコマンドは、「レジスタ番号「3」に「FF・FF」を代入せよ」という意味のコードとなる。
【0129】
このようなナビゲーションコマンドを利用することで、PIDを構成する1バイトをDVDプレーヤの所定のレジスタに取り込ませることができる。
例えば「71・00・00・03・FF・FF・00・00」のうち、下位4バイトの部分が、ECCブロックにおいてEDCと同列となるようにする。
そして下位3バイト「FF・00・00」の部分を追記マーク6により記録する。このとき、「FF」の部分は、実際にPIDを構成する或る1バイトの値に変換して追記する。
ナビゲーションコマンドの上位5バイト「71・00・00・03・FF」はエンボスピット列で記録する。但し、最後の「FF」は、追記エリア10の直前のシンボルとなるため、ポラリティ制御シンボル「54」に置き換えて、マスタリング(ピット列形成)を行う。
なお、マスタリング前にマスターデータとしての記録信号内で「FF」に置き換えてセットするポラリティ制御シンボル「54」の値は、スクランブル後に「54」となる値であることに注意されたい。つまり、光ディスク原盤192上で「54」のパターンとなるようにする。
ちなみに、スクランブルを掛ける処理も、スクランブルをほどく処理も、同じ計算で或る値とEX−OR演算することになる。
【0130】
具体的には図32のような記録を行う。
この図32には、図20の形式でPO補償シンボル「X」を配置する例に準拠したものとしている。
このECCブロックは、例えば図31の<移動後>のECCブロックBKbに相当するブロックとなり、例えばセクターSC(N)〜SC15に、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」が記録されるものとしている。
そして、PID追記は、セクターSC(M)で行うとする。
斜線を付した部分は、PID、EDC、PIパリティ、POパリティ等の追加情報の記録を行う部分である。
セクターSC(M)において追記されるPIDを構成するバイトを「●」で示している。これは3バイトで構成されるPIDをナビゲーションコマンド形式で追記する場合の一例である。なお図示の都合上、セクターSC(M)のみを他のセクターより拡大して示している。
セクターSC(M)において追記を行う各行では、EDCと同列の3バイトと、PIパリティ10バイトとの13バイトの追記を行うことになる。
【0131】
即ち、図30(b)のようにナビゲーションコマンドの下位4バイト部分「FF・FF・00・00」をEDC同列とし、これを「54・●・00・00」として記録すると、図32のようになる。EDCと同列の4バイトは、先頭がポラリティ制御シンボル「54」としてエンボスピット列で形成され、続くバイトで「●」としてPID構成値が追記される。続く2バイトは、ナビゲーションコマンド上でリザーブビットであり、将来的な使用を考慮すれば値の置き換えは不適切なため、「00・00」をそのまま追記する。
また、ナビゲーションコマンドにおける上位の4バイト、例えば図30(b)の「71・00・00・03」は、「54」の前の4バイトにエンボスピット列で形成する。
【0132】
このようにすることで、セクターSC(M)内で、1行につき1バイトのPIDを、ナビゲーションコマンド形式で記録できる。従って図示のように3行を用いれば、3バイトのPIDを追記できることになる。
【0133】
3バイトのPIDを書き込む場合、例えば図31のように3つのナビゲーションコマンドNV1、NV2、NV3を、それぞれ図32に各行に記録するようにすればよい。
ナビゲーションコマンドNV1は「71・00・00・00・54・WW・00・00」とする。
ナビゲーションコマンドNV2は「71・00・00・02・54・YY・00・00」とする。
ナビゲーションコマンドNV3は「71・00・00・04・54・ZZ・00・00」とする。
なお、WW、YY、ZZは3バイトのPIDの各値であるとする。
【0134】
例えばこのようなナビゲーションコマンドNV1、NV2、NV3が、図32のセクターSC(M)の3つの行に記録されたとすると、DVDプレーヤでは、これらのナビゲーションコマンドをリードすることで、図31のように値をレジスタに取り込むことになる。
ナビゲーションコマンドNV1はレジスタ番号「0」に「54・WW」をセットすることを指示するコマンドであるため、DVDプレーヤのレジスタ0に「54・WW」が取り込まれる。(但し「54」はこの段階ではデスクランブルされた値。以下同様)
ナビゲーションコマンドNV2はレジスタ番号「2」に「54・YY」をセットすることを指示するコマンドであるため、DVDプレーヤのレジスタ2に「54・YY」が取り込まれる。
ナビゲーションコマンドNV3はレジスタ番号「4」に「54・ZZ」をセットすることを指示するコマンドであるため、DVDプレーヤのレジスタ4に「54・ZZ」が取り込まれる。
この場合、DVDプレーヤ側では、各レジスタの下位バイトを取り出すことで、3バイトのPID=「WW・YY・ZZ」を認識できるようになる。
【0135】
以上のように、例えば図32の形式で、ナビゲーションコマンドにPID値を含む状態でディスクに記録できる。
すると、このコントロールデータファイルをアクセスしたDVDプレーヤは、PID値を取り込むことができ、PIDを用いた処理が実現可能となる。
【0136】
[7.追記に関するディスク製造段階の処理]
例えば図32のように、或るECCブロックに記録するコントロールデータファイル内で、ナビゲーションコマンドの形式でPIDを追記するようにする本例の光ディスクの製造段階の処理について説明する。
【0137】
図27で説明したように、VTSのコントロールデータファイル(例えばVTS#3の「VTS_03_0.IFO」)には、「VTSI_MAT」「VTS_PTT_SRPT」「VTS_PGCIT」「VTSM_PGCI_UT」・・・等の各種の情報が記述される。これらの情報はロジカルブロックアラインで配置される。そしてナビゲーションコマンドは、プログラムチェインの情報のテーブルである「VTS_PGCIT」内の「VTS_PGCI」へ記録される。ここで図27(d)に示したように、「VTS_PGCI」の直前に位置する「VTS_PGCI_SRP」の個数はVTSに含まれる「VTS_PGCI」の個数により決まる。また、各「VTS_PGCI」中の、図27(e)に示した「PGC_PGMAP」、「C_PBIT」、「C_POSIT」の有無や個数はタイトルの作り方に依存する。
これはナビゲーションコマンドを構成する8バイトのコマンド群「PGC_CMDT」を含む「VTS_PGCI」の開始位置がDVDタイトル毎に不定であることを意味する。
ここで、図32のように、或るECCブロックにおける或るセクター範囲(例えばセクターSC(N)〜SC15)にコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」を記録するとした場合、PID追記を行うナビゲーションコマンドのファイル内位置が問題となる。
即ち、ナビゲーションコマンドにおけるPID値を挿入する1バイト(図30(b)の下位から3バイト目の「FF」の位置)が、少なくともEDCと同列となるようにしなければならない。
このようにするためには、オーサリングの段階から工夫が必要となる。
【0138】
ナビゲーションコマンドは8バイトであり、ECCブロックの1行はPIパリティを除いて172バイトである。
8バイトのナビゲーションコマンドをECCブロック内に繰り返し記述したとして、1行の最後の8バイト、つまり165バイト目〜172バイト目に配置されるナビゲーションコマンドのパターンは次のパターンPT1〜PT8の8通りである。
例えばナビゲーションコマンドを「71・00・00・01・FF・FF・00・00」とすると、
・パターンPT1:「71・00・00・01・FF・FF・00・00」
・パターンPT2:「00・71・00・00・01・FF・FF・00」
・パターンPT3:「00・00・71・00・00・01・FF・FF」
・パターンPT4:「FF・00・00・71・00・00・01・FF」
・パターンPT5:「FF・FF・00・00・71・00・00・01」
・パターンPT6:「01・FF・FF・00・00・71・00・00」
・パターンPT7:「00・01・FF・FF・00・00・71・00」
・パターンPT8:「00・00・01・FF・FF・00・00・71」
となる。
ただし、規格上「VTS_PGCIT」を構成するデータはすべて2の倍数で構造定義されており(「PGC_PGMAP」のように1バイトデータでは要素数が奇数となるときはパディングして偶数にするとされている)、ナビゲーションコマンドがパターンPT2(PT6)、PT8(PT4)並びとなることはない。しかしここでは本方式の柔軟性を示すため、すべてのパターンについて検証する。
【0139】
EDCと同列となるのは169バイト目〜172バイト目の4バイトである。パターンPT1の場合、「FF・FF・00・00」の部分に相当する。
上述のように、「FF・FF」の部分をエンボスピット列による「54」と、追記マークによるPID値とすると、下位から3バイト目の「FF」が、少なくともEDCと同列になっていなければならない。
すると、その条件に合致するのは、パターンPT1,PT2,PT3,PT8の4つとなる。
【0140】
上述のようにナビゲーションコマンドを含む「VTS_PGCI」の開始位置は不定である。するとECCブロックの或る行において何バイト目からナビゲーションコマンド「PGC_CMDT」が記述されるかは不定である。しかし、1行が172バイトで、172バイトごとに追記可能な位置が出現することと、ナビゲーションコマンドが8バイトであることにより、172/8=21.5であるので、43個ナビゲーションコマンドを記述すれば、2行に1回は、EDC列の部分が、上記パターンPT1,PT2,PT3,PT8のいずれかとなることになる。
【0141】
図33で説明する。
図33(a)は、ECCブロック内の或る行r1において、仮に、第1バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。172バイトの1行には21.5個のナビゲーションコマンドが記述されるので、43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2の2行にわたって配置されることになる。
ここで、各行においてEDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT5になっており、行r2ではパターンPT1になっている。
すると、この場合、パターンPT1である行r2の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、図示しないが、行r1の9バイト目、17バイト目、25バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様に、行r2の最後の8バイトはパターンPT1となる。
【0142】
図33(b)は、ECCブロック内の或る行r1において、第2バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2,r3にわたって配置される。
ここで、EDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT6になっており、行r2ではパターンPT2になっている。
すると、この場合、パターンPT2である行r2の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、行r1の10バイト目、18バイト目、26バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様となる。
【0143】
図33(c)は、ECCブロック内の或る行r1において、第3バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2,r3にわたって配置される。
ここで、EDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT7になっており、行r2ではパターンPT3になっている。
すると、この場合、パターンPT3である行r2の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、行r1の11バイト目、19バイト目、27バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様となる。
【0144】
図33(d)は、ECCブロック内の或る行r1において、第4バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2,r3にわたって配置される。
ここで、EDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT8になっており、行r2ではパターンPT4になっている。
すると、この場合、パターンPT8である行r1の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、行r1の12バイト目、20バイト目、28バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様となる。
【0145】
例えば以上のように、或る行の何バイト目の位置からナビゲーションコマンドが記述される場合でも、43個連続して記述すれば、2行のうち1行は、その行の最後の8バイトがパターンPT1,PT2,PT3,PT8のいずれかとなる。
なお上記した図32は、パターンPT1となる行においてPID追記を行った場合の例となる。即ちパターンPT1の「71・00・00・01・FF・FF・00・00」の「FF・FF」を「54」と「●(PID値)」とし、「●(PID値)・00・00」をEDCと同列の3バイトに追記したときの例である。
【0146】
以上のことから、3バイトのPIDを追記する場合、オーサリング段階で、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」内に3種類のナビゲーションコマンドをそれぞれ43個連続して記述するようにしておけばよい。すると、マスタリングの段階で、特定の行のEDC同列を追記エリア10に設定し、追記工程でPID値を追記でいることになる。
【0147】
具体例で説明する。オーサリング段階でコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」内に記述する3種類のナビゲーションコマンドnv1,nv2,nv3を次のようにする。
nv1:「71・00・00・00・FF・FF・00・00」・・・(レジスタ0に「FF・FF」代入)
nv2:「71・00・00・02・FF・FF・00・00」・・(レジスタ2に「FF・FF」代入)
nv3:「71・00・00・04・FF・FF・00・00」・・(レジスタ4に「FF・FF」代入)
【0148】
そして或るECCブロックにおいて、図34のように、行r1の途中(例えば第153バイト目)からナビゲーションコマンドを記述するとする。
まずナビゲーションコマンドnv1を43個連続して配置する。続いてナビゲーションコマンドnv2を43個連続して配置する。さらに続いてナビゲーションコマンドnv3を43個連続して配置する。
その状態が図34に示されるものであるが、この場合、行r2の最後の8バイトは、ナビゲーションコマンドnv1についてパターンPT1となっている。
また行r4の最後の8バイトは、ナビゲーションコマンドnv2についてパターンPT1となっている。
さらに行r6の最後の8バイトは、ナビゲーションコマンドnv3についてパターンPT1となっている。
【0149】
オーサリング段階では、例えばこのような状態でマスターデータを作成する。そのマスターデータは、ディスク製造のため、図1のマスタリング工程に供される。
ここで、追記エリア10を形成するため、マスターデータの一部が書き換えられるようにする。
図35において行r2,r4,r6におけるAM部分は、その直後のPIパリティ部分を含めて、追記エリア10とされる部分である。従って図35のAM部分は、すべてランドとなる無変調信号値に変換する。
例えば図34の時点では「FF・00・00」であったものが「00・00・00」に変換される。
またAM部分の直前は、図34の時点では「FF」であるが、これをポラリティ制御シンボル「54」のシンボルに変換する。なお上述のようにマスターデータ上ではスクランブル後に「54」となる値に変換することになる。
【0150】
さらに、オーサリング段階で、ナビゲーションコマンドをそれぞれ43個連続させたことに対する処理を行う。
例えばこの図35では、AM部分のナビゲーションコマンドを、DVDプレーヤに読ませたいものとなる。ところが、オーサリング後のマスターデータの段階では、そのナビゲーションコマンドに後続して、同じナビゲーションコマンドが繰り返されている。例えば図34の行r1の第153バイト目から、行r3の第152バイト目まで、ナビゲーションコマンドnv1が配置されている。すると行r2の最後のナビゲーションコマンドnv1の部分でPID値をレジスタ「0」に読み込ませたとしても、行r3に続くナビゲーションコマンドnv1で、またレジスタ「0」に「FF・FF」を代入する命令が発生してしまい、レジスタ上で、一旦取り込んだPID値に上書きされてしまうことになる。
【0151】
そこで、図35の斜線部として示すように、後続するナビゲーションコマンドの書換を行う。例えば斜線部はナビゲーションコマンドのオペレーションコードとして「71」が記述されている部分であるが、これをNOP命令(無効命令:「何もしない」というコマンド)の値に書き換える。或はジャンプ命令としてもよい。例えば行r3におけるナビゲーションコマンドnv1によるオペレーションを、ナビゲーションコマンドnv2の記録開始位置(例えば行r3における第153バイト目)へのジャンプ指示に書き換える。
このように、AM部分以降も連続配置したナビゲーションコマンドを無効化することで、DVDプレーヤがAM部分を含むナビゲーションコマンドを読み込んだ後、PID値がレジスタに保存される状態とすることができる。
【0152】
以上のようにAM部分のランド化、ポラリティ制御シンボル「54」(スクランブル後に「54」となる値)への置き換え、後続ナビゲーションコマンドの命令変更という処理を、マスターデータに施した上で、図1で説明したマスタリング工程を行う。
そして成形成膜工程、貼り合わせ工程を経ることで、上述したように追記エリア10が形成されたディスクが製造される。
この段階で、図32の斜線部が追記エリア10となっていることになる。
【0153】
追記工程では、図32に斜線部に追記マーク6の記録を行う。即ち、例えば図32のセクターSC(M)の3つの行の各第170〜172バイト目に「WW・00・00」「YY・00・00」「ZZ・00・00」を書き込む。もちろん、この際に、当該各行のPIパリティ、セクターSC(M)のEDC、及びPOパリティの追記も行う。
この時点で、図35に示すように、AM部分にそれぞれ「WW・00・00」「YY・00・00」「ZZ・00・00」が書き込まれたことになる。
即ち当該ECCブロック内のデータでは、オーサリング段階でナビゲーションコマンドnv1、nv2、nv3として記述されたものが、次のナビゲーションコマンドNV1、NV2,MV3のようになる。
NV1:「71・00・00・00・54・WW・00・00」・・・(レジスタ0に「54・WW」代入)
NV2:「71・00・00・02・54・YY・00・00」・・・(レジスタ2に「54・YY」代入)
NV3:「71・00・00・04・54・ZZ・00・00」・・・(レジスタ4に「54・ZZ」代入)
【0154】
従って、このように追記されたディスク(DVD)を再生するDVDプレーヤでは、図31で説明した動作が実現され、PID値を取り込めることになる。
【0155】
以上の、ディスク製造におけるナビゲーションコマンドによるPID書込のための処理をまとめると、図36のようになる。
ステップF101として、オーサリング段階で、ナビゲーションコマンドnv1、nv2、nv3を設定し、それぞれ43回連続配置するようにコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」を作成する。つまりVTS#3のファイルデータとして、このようなコントロールデータファイルを含むマスターデータを作成する。
【0156】
ステップF102として、マスタリング工程の直前の段階で、ECCブロック内における追記位置を決定する。即ちナビゲーションコマンドが、上記パターンPT1,PT2,PT3,PT8のいずれかとなっている部分をPID追記位置として設定する。図35のAM部分を決定する処理である。
ステップF103で、追記位置(AM部分)のナビゲーションコマンドの値の書換を行う。即ち、AM部分をすべてランド相当の無変調信号値とする。またその直前バイトをポラリティ制御シンボル「54」となる値に置き換える。
ステップF104で、43回連続配置したうちの後続(AM部分以降)のナビゲーションコマンドの命令内容を書き換える。例えばNOP命令やジャンプ命令に書き換える。
【0157】
例えば以上のデータ置き換えを、図1の追記管理部160がマスターディスク191で供給されるマスターデータに対して行う。
その後ステップF105でマスタリング工程を行う。
またステップF106で成形成膜工程、ステップF107で貼り合わせ工程を行う。
最後にステップF108で追記工程として、PID値の追記と、必要部分のPIパリティ、EDC、及びPOパリティの追記を行う。
以上の手順で、本実施の形態の再生専用型光ディスク(DVD)が製造される。
【0158】
なお、図32,図34,図35は、或る行の最後でナビゲーションコマンドが上記パターンPT1となる場合を例に挙げて説明したが、パターンPT2,PT3,PT8となる場合の例を以下に示す。
或る行の最後の8バイトがパターンPT2「00・71・00・00・01・FF・FF・00」となり、その部分でPID追記を行うこととする場合、図37のようになる。
即ち「FF・FF・00」が第170〜172バイト目となるため、第170バイトに位置する「FF」をポラリティ制御シンボル「54」とする。そして第171,172バイト目に位置する「FF・00」を無変調信号に変換して追記エリア10を形成する。
従って追記マーク記録部分は、セクターSC(M)の所定行においては、2バイト+PIパリティ10バイト=12バイトとなる。2バイトの追記部分には、例えばPID値「WW」と「00」等を追記する。
【0159】
或る行の最後の8バイトがパターンPT3「00・00・71・00・00・01・FF・FF」となり、その部分でPID追記を行うこととする場合、図38のようになる。
即ち「FF・FF」が第171〜172バイト目となるため、第171バイトに位置する「FF」をポラリティ制御シンボル「54」とする。そして第172バイト目に位置する「FF」を無変調信号に変換して追記エリア10を形成する。
従って追記マーク記録部分は、セクターSC(M)の所定行においては、1バイト+PIパリティ10バイト=11バイトとなる。1バイトの追記部分には、例えばPID値「WW」等を追記する。
【0160】
或る行の最後の8バイトがパターンPT8「00・00・01・FF・FF・00・00・71」となり、その部分でPID追記を行うこととする場合、図39のようになる。
即ち「FF・FF・00・00・71」が第168〜172バイト目となる。このときは、第168バイトに位置する「FF」をポラリティ制御シンボル「54」とする。そして第169バイト〜172バイト目に位置する「FF・00・00・71」を無変調信号に変換して追記エリア10を形成する。
従って追記マーク記録部分は、セクターSC(M)の所定行においては、4バイト+PIパリティ10バイト=14バイトとなる。4バイトの追記部分には、例えばPID値「WW・00・00・qq」等を追記する。qqの部分は、後続のナビゲーションコマンドの一部となるため、例えばNOP命令値等を追記するようにすればよい。
【0161】
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、例えば通常のDVDプレーヤによってPID等の追加的付加情報を読み込ませることができる。
また、上記の製造方法により、容易かつ適切にナビゲーションコマンドを利用してPID等を追記した光ディスクを製造できる。
【0162】
なお、図32等の例では、3バイトのPIDを記録する場合を例に挙げたが、「VTS_PGCI」を複数使用することで4バイト以上の追加的付加情報の記録を行うことももちろん可能である。
また、実施の形態ではDVD方式の再生専用型光ディスク90として、本発明を実現した例を述べたが、他のディスク方式の再生専用型光ディスク媒体及び製造方法としても、そのデータフォーマットに応じて本発明の考え方を適用できる。
さらに、再生専用型光ディスク媒体に限られず、色素膜が形成され、色素変化マーク列によりデータ記録が行われるライトワンス型光ディスクや、相変化膜が形成され相変化マークによりデータ記録が行われるリライタブル型光ディスクなどにおける、追加的付加情報を含む追加情報の記録においても好適である。
【符号の説明】
【0163】
2 ピット、3 ランド、4 反射膜、5 接着剤、6 追記マーク、10 追記エリア、90 再生専用型光ディスク、150 追加情報記録装置、197 貼り合わせ済光ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は再生専用型光ディスクとその製造方法に関する。特に製造される再生専用型光ディスク媒体において追加的付加情報を付与できるようにする技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−310847号公報
【特許文献2】特開2001−135021号公報
【特許文献3】国際公開第01/008145号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/101733号パンフレット
【背景技術】
【0003】
例えば再生専用すなわちROM(Read Only Memory)型のCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray disc:登録商標)等の光ディスク媒体では、その光ディスク上には内周側から外周側に向かってリードインエリア、主データエリア、リードアウトエリアが形成される。
そして音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム、そのほかの情報データは、主データエリアに、所定の記録変調方式により記録されている。また、リードインエリアには、主データエリアに記録された情報データの再生管理のための情報やディスクの物理情報など各種の管理情報が記録されている。
例えばこれらの再生専用型光ディスク媒体は、その優れた量産性による低い生産コストにより多くのコンテンツホルダーがコンテンツの提供手段として利用している。
【0004】
再生専用型光ディスク媒体の製造工程は、DVD(DVD−ROM)を例に挙げると、大きく分けて、光ディスクの原盤をレーザビームによって作製するマスタリング工程と、光ディスク原盤から作製されたスタンパを使用して多数のディスク基板を作製し、ディスク基板上へ膜を形成する成形成膜工程と、対となる2枚の0.6mm厚の光ディスクを所定の厚みを有する接着剤で貼り合わせて1.2mm厚のDVDディスク媒体とする貼り合せ工程とがある。
【0005】
上記成形成膜工程において、スタンパを用いて大量生産されるディスク基板は、スタンパに形成された凹凸パターンが転写されたものである。即ち情報記録面となる部分に凹凸形状のパターンとしてのエンボスピット/ランドによる記録データ列(ピット列)が形成され、この記録データ列がスパイラル状もしくは同心円状の記録トラックと成るようにされている。そしてピット/ランドが形成される情報記録面には、その凹凸形状に対して金属合金反射膜が被覆される。
ディスク完成後は、この反射膜により、再生装置から照射されるレーザ光がピット/ランドの部分で反射されるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
再生専用型光ディスクは、製造された後に、追加的な情報記録を行うことは想定されていない。ところが近年では、所定の情報データを記録した再生専用型光ディスクの管理等のために、製造される再生専用型光ディスクの1枚ごとにユニークな識別番号や記録したコンテンツに応じた識別情報などの追加的な情報(追加的付加情報)を記録する方法が要望されている。
【0007】
追加的な情報記録を行う場合、光ディスク上にピット列を形成しないエリアを追記エリアとして設けておき、その追記エリアに追記マークを形成して情報記録を行うことが考えられる。ところが、単純に識別情報等の追加的付加情報を記録するのみでは追記は実現できない。
DVD−ROMを考えると、追記エリアに追加的付加情報を記録した状態で、DVD−ROMのデータフォーマットに適合する状態となっていなければならない。
例えばDVD−ROMのデータフォーマットにおいて、エラー訂正ブロック(ECCブロック)を考える。エラー訂正ブロックは複数のセクタデータと、エラー訂正コードとしての列方向パリティ(以下、POパリティ)と行方向パリティ(以下、PIパリティ)が含まれる。さらにセクターデータ内には主データ(ユーザデータ)と、主データを対象としたエラー検出コード(EDC)が含まれている。
【0008】
ここで、セクタ内のユーザデータの一部の領域に相当する光ディスク上の領域が追記エリアとされ、その追記エリアに追加的付加情報を記録することを考える。
すると、追加的付加情報の書込によって当然セクタ内のEDCの値は書込前から変化する。またECCブロック単位で見れば、PIパリティ、POパリティの値も変化する。
ピット列でデータが記録される再生専用型光ディスクは、当然ながら書き換え不能であるため、結局、追加的付加情報の書込によって値が変化するEDC,PIパリティ、POパリティについては、追加的付加情報の書込の際に書き込まなければならない。
つまり、ピット列形成後の光ディスクに対して追加的な情報書込を行う場合、書き込むべき追加情報としては、識別情報等の追加的付加情報に加えて、追加的付加情報に影響を受けるEDC,PIパリティ、POパリティも含まれる。
このため、エラー検出コードやエラー訂正用パリティなども考慮して、効率的な追加記録が実行されるようにすることが求められる。
さらには、追記エリアに書き込んだ追記マークによるデータ列が、DVD方式で規定されているランレングス条件を満たしてることなど、データフォーマット上の制約を満たしたうえで、適切な追記マークを形成することが求められる。
【0009】
このため発明者らは先に、上記特許文献1に示す手法を開発した。上記特許文献1の発明によれば、このような点を考慮して、適切に、再生専用型光ディスクにおいて個体毎の識別情報等の追加的付加情報の記録を行うことができる。
【0010】
一方で、エンボスピット列の一部に追記エリアを形成して追加的付加情報を追記することや、上記のようにEDCやパリティ等までを含めた追記の必要性などから、追記は、DVD上に記録される本来のコンテンツに影響の無い領域で行うことが好ましい。このため、追記エリアはDVD上のファイルシステムで管理されない領域に行うことが考えられる。
しかしながら、現在普及している一般的なDVDプレーヤでは、そのようなファイルシステム管理外の追加的付加情報を読み込んで処理する機能はない。
つまり、ファイルシステム管理外の情報にアクセスできるようにした専用の装置や、専用のプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータなどでは追加的付加情報を利用することはできるが、通常のDVDプレーヤで、広く利用することができない。
【0011】
そこで本発明では、通常のDVDプレーヤ等、一般の再生装置でも、追加的付加情報を読み込むことができるようにし、追加的付加情報をより多様に利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の再生専用型光ディスクは、エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクである。そして、少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットの記録データについて、或るエラー訂正ブロックでは、そのエラー訂正ブロック内の位置として上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置が設定されている記録データに基づいて上記ピット列が形成される。このピット列が形成されないエリアに、少なくとも、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報が、追記マーク及びランドから成る追記マーク列で記録されている。さらに上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録されている。
また上記データフォーマットは、DVD方式の再生専用型光ディスクのデータフォーマットであり、上記コマンド情報は、DVD再生装置に上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するナビゲーションコマンドである。
また、上記追記マーク列が形成されるエラー訂正ブロックは、ディスク上の固定の半径位置に記録されるデータファイルに含まれるエラー訂正ブロックである。
【0013】
本発明の再生専用型光ディスク製造方法は、エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクの製造方法である。そして、少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットにおける或るエラー訂正ブロック内で、上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置を設定し、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報を記録するための追記エリアが形成される状態で、上記ピット列を形成された追記前ディスクを製造する追記前ディスク製造工程と、上記追記前ディスク製造工程で製造された上記追記前ディスクにおける上記追記エリアに、上記追加情報の記録を行い、上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録された再生専用型光ディスクを製造する追記工程とが行われる。
また、上記追記前ディスク製造工程では、上記追記エリアに上記追加的付加情報を記録することで、上記コマンド情報の記録データ列が形成されるように、上記コマンド情報の一部を上記ピット列により形成する。
また上記追記前ディスク製造工程では、上記ピット列は、光ディスク上で反射膜が被覆された凹凸形状として形成されるとともに、上記追記エリアは反射膜が被覆された平面形状領域として形成され、上記追記工程では、上記追加情報は、上記追記エリアの反射膜を消失又は減少させて形成する追記マークと反射膜が被覆された平面部としてのランドによる追記マーク列により記録する。
【0014】
このような本発明では、追記マーク列とピット列とにより、追記マーク列で記録された追加的付加情報を再生装置(例えば通常のDVDプレーヤ)に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録されているようにする。
いわゆるDVDシステムにおけるナビゲーションコマンドのように、再生装置が対応できる情報の記録において追加的付加情報を用いることで、追加的付加情報を現行の再生装置において利用できるようにすることができる。
なお、追加的付加情報とは、再生専用型光ディスクの1枚ごとにユニークな識別番号や記録したコンテンツに応じた識別情報などの情報である。
また、追加情報とは、識別情報等の追加的付加情報に加えて、追加的付加情報の記録に伴って記録すべきEDC,PIパリティ、POパリティ等も含む用語として用いる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の再生専用型光ディスクによれば、再生専用型光ディスクに追記された、個別の識別情報などの追加的付加情報を一般の再生装置(DVDプレーヤ等)において読み込ませて利用させることができる。このためDVDプレーヤ等において、追加的付加情報を用いた動作を実行させることができ、追加的付加情報の有効利用を図ることができる。
また本発明の再生専用型光ディスク製造方法によれば、このような再生専用型光ディスクを適切に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のディスク製造工程の説明図である。
【図2】実施の形態の製造過程の貼り合わせ済光ディスクの段階の説明図である。
【図3】実施の形態の再生専用型光ディスクの部分拡大図と模式的断面図である。
【図4】実施の形態の再生専用型光ディスクの追記エリアを含む部分拡大図と模式的断面図である。
【図5】実施の形態の再生専用型光ディスクの追加情報記録前の追記エリアを含む部分拡大図と模式的断面図である。
【図6】実施の形態の再生専用型光ディスクの追加情報記録部分のSEM写真を用いた説明図である。
【図7】実施の形態の追加情報記録装置のブロック図である。
【図8】DVDのセクタ構造及びECCブロック構造の説明図である。
【図9】インターリーブ後のECCブロック構造の説明図である。
【図10】実施の形態のECCブロック内における追加的付加情報の配置位置の説明図である。
【図11】実施の形態のレコーディングセクタにおける追記エリアの説明図である。
【図12】ピット列に続く追記エリアの先頭部分の非適切な状況の説明図である。
【図13】実施の形態でデータシンボル「54」を追記エリア直前に記録した場合の説明図である。
【図14】EFM+変調のメイン変換テーブルの説明図である。
【図15】EFM+変調のサブ変換テーブルの説明図である。
【図16】DVDのシンクコードの説明図である。
【図17】DVDのシンクコードの種別の説明図である。
【図18】実施の形態の追記エリア終端部の記録の様子の説明図である。
【図19】実施の形態の追記エリア終端部の記録の様子の説明図である。
【図20】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図21】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図22】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図23】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図24】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図25】実施の形態の追記のためのシンボル配置例の説明図である。
【図26】実施の形態のDVD上のPIDエリアの説明図である。
【図27】DVDに記録されるファイル例の説明図である。
【図28】実施の形態のファイル配置の説明図である。
【図29】実施の形態のディスクを再生する再生装置の処理のフローチャートである。
【図30】実施の形態で用いるDVDのナビゲーションコマンドの説明図である。
【図31】実施の形態のディスクに対する再生装置のPID取り込みの説明図である。
【図32】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【図33】実施の形態のディスク製造段階のナビゲーションコマンドパターンの説明図である。
【図34】実施の形態のオーサリング段階のナビゲーションコマンド挿入例の説明図である。
【図35】実施の形態のオーサリング段階のナビゲーションコマンド書換例の説明図である。
【図36】実施の形態のディスクの追記に関する製造工程のフローチャートである。
【図37】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【図38】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【図39】実施の形態のPID書込ディスクの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態として、DVD方式の再生専用型光ディスクを例に挙げて説明する。特にDVD−ROMとしての再生専用型光ディスクについて、個別IDなどの比較的容量の少ない情報を追加的付加情報として記録する場合を述べる。説明は次の順序で行う。
[1.再生専用型光ディスクの製造工程及び追記マークによる追記]
[2.ECCブロック構成と追加的付加情報の配置]
[3.追記エリアの開始部分の整合]
[4.追記エリアの終端部分の整合]
[5.PO補償シンボルの配置]
[6.DVDのナビゲーションコマンドへの適用]
[7.追記に関するディスク製造段階の処理]
【0018】
[1.再生専用型光ディスクの製造工程及び追記マークによる追記]
まず、実施の形態の再生専用型光ディスク90の製造工程を図1で説明する。
図1は本実施の形態のDVDとしての再生専用型光ディスクを製造する工程を示している。本例のディスク製造工程は、図示するように大きく分けて、マスタリング工程と、成形成膜工程と、貼り合せ工程と、追記工程とを有する。
マスタリング工程は、光ディスク原盤をレーザビームによって作製する。成形成膜工程は、光ディスク原盤から作製されたスタンパを使用して多数のディスク基板を作製し、ディスク基板上へ膜を形成する。貼り合せ工程は、対となる2枚の0.6mm厚の光ディスクを所定の厚みを有する接着剤で貼り合わせて1.2mm厚の光ディスクとする。追記工程は、貼り合わせ済の個々の光ディスクに対して追加情報を記録する。
追加情報としては、例えば識別情報などディスク個別に付加したい情報としての追加的付加情報と、その追加的付加情報の記録に応じて記録が必要となるエラー検出コード(EDC)やエラー訂正パリティなどを含む。
【0019】
以下、各工程を詳細に説明していく。
マスタリング工程は、マスターディスク191に記録された情報データに基づいて、光ディスク原盤192を製造する工程である。この工程では、記録変調信号生成部100とレーザビームレコーダ110を有するマスタリング装置が用いられる。
記録変調信号生成部100は、マスターディスク191を再生して、記録する情報データ(マスターデータ)を読み込む。そして読み込んだ情報データの信号に対してスクランブルやEFM+(Eight to Fourteen Modulation plus)変調を行って生成したEFM+信号をレーザビームレコーダ110へ出力する。
【0020】
光ディスク原盤192はガラス板に感光物質であるフォトレジストが塗布されたものである。レーザビームレコーダ110は、供給されたEFM+信号に応じてレーザ光を光ディスク原盤192に照射し、EFM+信号に基づいたピットパターンの露光を行う。その後、フォトレジスト膜が現像処理されると、ポジ型レジストの場合では、露光された箇所が溶けて凹凸パターンがフォトレジスト膜状に形成される。即ち、所定のフォーマットに従ったピットパターン(ピット/ランドの凹凸形状)が光ディスク原盤192表面に形成される。
【0021】
なお、上記のように記録変調信号生成部100はマスターディスク191から読み出した信号に基づいてEFM+信号を生成し、レーザビームレコーダ110に送出するが、追記管理部160からの指示に基づいて、連続的に送出するEFM+信号の一部の特定の期間に無変調信号を挿入する。
無変調信号のタイミング期間では、レーザビームレコーダ110におけるレーザ光はオフ期間となる。つまりEFM+信号において無変調信号が挿入されることで、光ディスク原盤192上で露光されない区間が形成される。この区間は全てランドとなって凹凸形状が形成されない平面形状領域となり、これが後述する追記エリアとなる。
【0022】
このような光ディスク原盤192に基づき、この光ディスク原盤192のピットパターンが反転転写されたスタンパ193と称される金型が製作される。当然、スタンパ193にも追記エリアとなる平面形状領域が形成される。
【0023】
次に成形成膜工程においては、まず成形装置120がスタンパ193を用いて光ディスク基板194を作製する。光ディスク基板194には光ディスク原盤192に形成された凹凸パターンが転写されてピットパターンが形成される。
光ディスク基板194の作製方法としては、圧縮成形、射出成形、光硬化法等が知られている。
スタンパ193からピットパターンが転写された光ディスク基板194に対しては、続いて成膜装置130で、反射膜等の被覆膜が被着されることによって、反射膜形成済み光ディスク基板195が形成される。
【0024】
次に貼り合せ工程では、上記の反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合せ基板196との貼り合せが行われる。
貼り合せ基板196としては、上記同様の工程で作製した反射膜形成済み光ディスク基板か、あるいは、半透過反射膜形成済み光ディスク基板か、反射膜を被覆していないダミー用光ディスク基板が用いられる。
基板貼り合せ装置140は、反射膜形成済光ディスク基板195に対して、上記のいずれかの貼り合せ基板196を貼り合せ、貼り合せ済光ディスク197を製造する。
貼り合せの際の接着手法としては、紫外線硬化樹脂を用いる手法や、粘着剤付きシートによる手法等が知られている。
【0025】
従来のDVDでは、上記貼り合せ済光ディスク197が、完成品としてのDVDとなる。ところが、本例の場合、上述のようにピットパターン(エンボスピットとランドによるピット列)が形成された記録トラック上の一部区間に、ピットパターンが形成されていない追記エリアが設けられている。
図2に、貼り合せ済光ディスク197を模式的に示している。ディスク上のエリア構成として、内周側から、管理情報が記録されたリードインエリアLI、コンテンツデータが記録された主データエリアMA、及びリードアウトエリアLOが形成される。
これらのリードインエリアLI、主データエリアMA、リードアウトエリアLOは、基本的にはエンボスピットとランドによるピット列により情報が記録される領域である。即ちEFM+信号に基づいたピット/ランドによる記録データ列が、例えばスパイラル状の記録トラックとして形成されている。
【0026】
ここで、主データエリアMA内の或るトラックTKとして、一部に追記エリア10が形成されている状態を示している。あくまでも説明のための模式図であり、追記エリア10の配置や線方向サイズなどは実際には必ずしも図示するとおりではないが、このようにピット列による記録トラックの一部に、反射膜が形成された平面形状領域として追記エリア10が形成される。
なお、追記エリア10を主データエリアMA内のどの位置に形成するかは特に限定されない。また、追記エリア10をリードインエリアLIやリードアウトエリアLO内に形成してもよい。さらには、追記エリア10をリードインエリアLIより内周側、あるいはリードアウトエリアLOより外周側に設けるということも考えられる。
但し後述する図26の例では、追記エリア10を含むPID領域を、主データエリアMA内であってリードアウトエリアLOに近い半径位置に設定している。
【0027】
本例の場合、貼り合せ済光ディスク197は、このように追記エリア10として未記録領域が残されているという点で、完成品のDVDとはならない。そこで、このような貼り合せ済光ディスク197に対して追記工程が行われることになる。
追記工程では、追加情報記録装置150が、上記貼り合せ済光ディスク197における追記エリアに追加情報を書き込む。例えば光ディスク個体毎に異なる識別情報等の追加的付加情報(PID)やエラー検出コード、エラー訂正パリティなどを追加情報として書き込む。
この場合、追加情報記録装置150は、追記管理部160から追記エリアの位置情報(アドレス)を指示され、また書き込む追加情報が提供されて、追加情報の書込を行う。
追加情報記録装置150は、追加情報をEFM+変調するとともに、そのEFM+信号に基づいて記録用の高出力レーザパルスを照射し、追記エリアにおける反射膜を消失又は低減させることで追記マークを形成するという手法で書き込みを行う。
なお、この追加情報記録装置150の構成は後に図7で述べる。
【0028】
このような追記工程が完了することで、再生専用型光ディスク90の製造が完了される。そして以上の工程で大量生産される再生専用型光ディスク90は、同一内容のコンテンツ(音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等)を記録した光ディスクでありながら個々に固有の追加的付加情報(PID)が記録された光ディスクとすることができる。
【0029】
なお、追記工程は、成形成膜工程や貼り合わせ工程を実行する製造工場内で行われてもよいし、他の施設、店舗等で行われてもよい。
例えばコンテンツホルダー(コンテンツを提供してディスク作成を依頼した業者など)が、貼り合わせ済光ディスク197の時点で納品されるようにし、コンテンツホルダーが自社の追加情報記録装置150で追加情報の記録を行うようにしてもよい。
さらには、店舗において、貼り合わせ済光ディスク197の状態で販売用に展示し、客が購入する際に、店舗に設置された追加情報記録装置150で追加情報の書込を行って客に受け渡すようなことも考えられる。
【0030】
以上のように製造される再生専用型光ディスク90において形成されているエンボスピット列及び追記マークについて説明する。
図3(a)はディスク上の記録面の一部を拡大し、通常のエンボスピット/ランドによるピット列として記録トラックが生成された部分を示しており、また、この図3(a)の破線部分の模式的な断面図を図3(b)に示している。
図3(b)からわかるように、この再生専用型光ディスク90は、それぞれが例えばポリカーボネートより成る厚さ0.6mmの反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合わせ基板(ダミー用光ディスク基板)196が接着剤5により張り合わされて、1.2mm厚とされる。接着剤5は例えば紫外線硬化樹脂や接着シートが用いられる。
この場合、反射膜形成済光ディスク基板195の一主面が情報記録面L0とされ、この情報記録面L0は、ピット2およびランド3による凹凸パターンとして形成されている。また、このピット2およびランド3は、その表面に反射膜4が形成されている。
なお、ピット2とランド3の凹凸関係は逆である場合もある。
【0031】
反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合わせられる貼り合わせ基板196は、図3(b)ではダミー用光ディスク基板(反射膜が被覆されていないディスク基板)としている。これは、上述したように、反射膜形成済光ディスク基板や、半透過反射膜形成済光ディスク基板を貼り合わせ基板196として用いても良い。
接着剤5は光透過性であるのが一般的であるが、構造によっては光透過性でなくてもよい。反射膜形成済み光ディスク基板195と接着された貼り合わせ基板196が、反射膜あるいは半透過反射膜を有している場合は、その接着面は反射膜あるいは半透過反射膜が形成されている面となる。
【0032】
次に図4(a)に追記マークが形成された部分の拡大図を示し、また図4(a)の破線部分の模式的な断面図を図4(b)に示す。
図4(a)の例では、エンボスピットとランドのピット列で形成される1トラック内の一部の領域が追記エリア10とされ、ここに上述の追記工程で形成された追記マーク6による記録データ列が形成されている。つまりディスク固有の追加的付加情報などの追加情報が追記マーク6による記録データ列として記録されたものである。
なお、説明上、エンボスピット2とランド3によるピット列との区別のため、追記マーク6とランド3による記録データ列を「追記マーク列」と呼ぶこととする。
【0033】
追記マーク列が形成された部分は、図4(b)に示すように、基本的な層構造は図3(b)と同様となるが、情報記録面L0の一部に追記マーク6が形成されている。即ち追記マーク6は、金属合金反射膜4が消失又は低減されて、ほとんど存在しない状態となるようにして形成されたものである。
【0034】
図5(a)(b)は、上述した追記工程で追加情報が記録される前の様子を図4(a)(b)に対応させて示したものである。
図5(a)に示すように、追記エリア10は、無変調区間としてピット2、ランド3による凹凸パターンが形成されていない平面形状領域とされている。図5(b)からわかるように、この追記エリア10は、ランド3と同一平面上に存在し、反射膜4が被覆されていわゆるミラー部となっている。
このような追記エリア10に対して、追記工程において追加情報が記録される。
上述した追加情報記録装置150は、例えば高出力赤色半導体レーザを用いた専用の記録装置として用意され、所望の区間で記録用の高出力レーザパルスを発光させる機能とを有する。そして図5の状態の追記エリア10に対して記録を行って、図4のように追記マーク6を形成する。その際の発光パターンの変調は、エンボスピット列に対応した変調と同じ変調方式として、EFM+信号が用いられる。
【0035】
図6は再生専用型光ディスク90における追記エリア10への追加情報の記録として、高出力レーザを入射して追記マーク6を形成したサンプルの様子を示している。これは、追記マーク6が形成された追記エリア10のSEM(走査型電子顕微鏡)観察写真である。
SEM観察時には反射膜形成済光ディスク基板195と貼り合わせ基板196(ダミー用光ディスク基板)とを接着面で剥がし、反射膜4がむき出しになった部分へ電子線を入射して観察した。反射膜4としては、Alを基合金としてFeを約1原子%、Tiを約5原子%含有したAl合金を用いた。
この図6からわかるとおり、追記エリア10に形成されている金属合金反射膜が追加情報の変調信号に応じて消失或いは減少されて楕円形状に穴が空き、ピットに対応した追記マーク6が綺麗に形成されていることがわかる。
【0036】
このような追記マーク6による追記マーク列の記録を行う追加情報記録装置150の構成例を図7で説明する。
図7は追加情報記録装置のブロック図である。追加情報記録装置150は、追記制御演算部21、書込ピックアップ22、読取ピックアップ23、スピンドルモータ24、書込制御部25、読取制御部26、操作入力部27を有する。
【0037】
追記工程で追加情報を書き込む貼り合わせ済光ディスク197は、図示しないターンテーブルに載置され、スピンドルモータ24によって回転駆動される。
この貼り合わせ済光ディスク197に対しては、書込ピックアップ22により追加情報の記録が行われ、また読取ピックアップ23により、記録したデータの読出が行われる。
書込ピックアップ22は、例えば波長660nmのレーザを出力する。レーザパワーは書込制御部25からの指示により変更可能とされ、例えば最大100mW程度の出力とされる。この書込ピックアップ22からのレーザにより、貼り合わせ済光ディスク197乗に、反射膜4を消失又は低減させた追記マーク6が形成される。
読取ピックアップ23は、例えば波長635又は650nmのレーザを出力する。レーザパワーは0.2mW程度とされる。読取ピックアップ23は、出力したレーザの反射光を受光し、受光した反射光情報から、貼り合わせ済光ディスク197から読み出した情報の信号を得る。
【0038】
書込制御部25は、供給されたデータを書込ピックアップ22により貼り合わせ済光ディスク197に書き込むために書込ピックアップ22の動作を制御する。即ち供給されたデータ(追加情報のエンコードデータ)に基づいてレーザ駆動信号を生成し、書込ピックアップ22のレーザ出力を実行させる。またその際に、追記制御演算部21からの指示に基づいてレーザパワーを制御する。また書込制御部25は書込ピックアップ22の書込位置の制御やフォーカス制御等を行って、追記制御演算部21からの指示に基づいた所定位置に追記マーク6の記録を実行させる。
読取制御部26は、読取ピックアップ23に、貼り合わせ済光ディスク197からの情報読取のためのレーザ出力を実行させるとともに、反射光情報として読み取られた情報のデコード処理を行って、追加情報としてのデコードデータを得る。また読取制御部26は読取ピックアップ23の読取位置の制御やフォーカス制御等を行って、貼り合わせ済光ディスク197からの情報の読み取りを実行させる。
【0039】
追記制御演算部21は、追加情報記録装置150として実行する試し書き及び追加情報の記録動作の制御として、スピンドルモータ24の駆動制御、書込制御部25に対する動作制御、読取制御部26に対する動作制御を行う。
図1で述べたように、追記管理部160からは、追記エリア10に書き込むべき追加情報やエリア情報が供給されるが、追記制御演算部21は、これらを取り込んで、追記工程の動作を実行制御する。この場合、エリア情報とは、追記エリア10の位置情報(アドレス)となる。
追記制御演算部21は、このように追記管理部160からの情報と、操作入力部27によるオペレータの操作入力に基づいて、試し書き記録及び追加情報の記録動作を実行制御する。
【0040】
追加情報の記録を行う際には、追記制御演算部21は、書込制御部25に追記エリア10へのアクセスを指示し、書込ピックアップ22を追記エリア10に移送させる。そして追加情報をエンコードしてエンコードデータを書込制御部25に供給する。さらに、書込の際のレーザパワー等の記録条件も指示する。これにより、書込制御部25は追加情報としてのエンコードデータに基づいて、追記エリア10に追記マーク6を形成していくように書込ピックアップ22を駆動することになる。
また、この追加情報の記録の際には、追記制御演算部21は、読取制御部26にも追記エリア10へのアクセスを指示し、読取ピックアップ23による再生を指示する。即ち書込ピックアップ22で記録した追記マーク6の部分の再生を指示する。これにより、読取ピックアップ23により追加情報の読取が行われ、読取制御部26によってデコードされたデータが追記制御演算部21に取り込まれる。追記制御演算部21は、デコードデータについてエラーレートを検出するなどの評価を行い、追加情報が適切に記録されたか否かを判定する。
【0041】
[2.ECCブロック構成と追加的付加情報の配置]
以上のように追加情報が記録されたDVDとして再生専用型光ディスクが製造されるわけであるが、以下、DVD方式のデータフォーマットを考慮して、このような追加情報の記録を適切に実現するための手法を述べていく。
まずここでは、ECCブロック構成と追加的付加情報の配置について説明する。
【0042】
図8にDVDデータフォーマットにおけるデータ構造の最小単位であるセクタの構造を図8(a)に示す。
セクタは172バイト×12行(row)としての2064バイトのデータ単位とされる。そしてこの1つのセクタには、12バイトのセクタヘッダと、2048バイトのユーザデータと、4バイトのEDC(エラー検出コード)が含まれる。
12バイトのセクタヘッダには、セクタフォーマットタイプ、トラッキング方式、エリア情報(リードインエリアLI、主データエリアMA、リードアウトエリアLOの別)、データタイプ、レイヤナンバなどの属性情報や、アドレス情報などが記録される。
2048のユーザデータの領域は、主たる記録データの記録に用いられる。
4バイトのEDCは、セクタ内のエラー検出コードとされる。
【0043】
このようなセクタが16セクタ集められて、1つの記録単位であるECCブロックが形成される。図8(b)にECCブロック構造を示す。
セクタSC0、SC1・・・SC15の16セクタに対して、列方向のパリティとして172バイト×16行のPOパリティが付加される。
さらに、セクタSC0、SC1・・・SC15及びPOパリティの各行について、それぞれ10バイトの行方向のパリティ(PIパリティ)が付加される。
この182バイト×208行でECCブロックが形成される。
【0044】
このECCブロックは、図9のようにインターリーブされる。即ち、16行のPOパリティの各行が、図の斜線部として示すように、各セクタSC0〜SC15の最終行に組み込まれる。そしてPOパリティの行が組み込まれた182バイト×13行の各セクタが、レコーディングセクタrSC0、rSC1・・・rSC15とされる。
【0045】
さらに、図11にはレコーディングセクタrSC0の部分を示しているが、各レコーディングセクタrSC0、rSC1・・・rSC15は、182バイトの1行が91バイトづつに分けられ、91バイト単位で32ビットの同期信号SY(SY0〜SY7)が付加される。
この図11の状態が、最終的にディスクに記録されるデータ構造となる。即ち、この図11のデータ構造の各1バイト(8ビット)のデータシンボルが、EFM+変調により16ビットに変換され、そのEFM+変調信号に対してNRZI方式の論理反転に基づいてピット列が形成されることに成る。
【0046】
なお、図11の構造は、光ディスク上のトラック線方向に、各行が順番に連続するものとなる。つまり、光ディスク上では、トラック線方向に、1行目の同期信号SY0→1行目のセクタヘッダを含む91バイト→1行目の同期信号SY5→1行目のPIパリティを含む91バイト→2行目の同期信号SY1→2行目の91バイト→2行目の同期信号SY5→2行目のPIパリティを含む91バイト→3行目の同期信号SY2→・・・というようにデータが記録される。
【0047】
ここで本例における、ECCブロック内での追加的付加情報の配置を述べる。図8(b)のECCブロック構成を、バイト位置で示したものが図10である。
182バイト×208行のECCブロックは、バイト位置としてB0,0〜B207,181を有する。
ECCブロック内の最初のセクタSC0のデータは、PIパリティを含めてバイト位置B0,0〜B11,181に配置される。
B0,0〜B0,11がセクタヘッダとされる。
またB0,12〜B0,171、B1,0〜B1,171、B2,0〜B2,171、・・・B10,0〜B10,171、B11,0〜B11,167の2048バイトがユーザデータとされる。
またB11,168〜B11,171がEDCとされる。
そしてB0,172・・・B11,181として、各行に10バイトづつのPIパリティが配置される。
【0048】
バイト位置B12,0以降は、これと同様の構造でセクタSC1〜SC15が配置される。そしてバイト位置B192,0〜B207,171に、各列に対して16バイトづつのPOパリティが配置される。
【0049】
本例では、1又は複数の或るセクタのユーザデータ内において、追加的付加情報の記録領域を確保するものであるが、その場合、追加的付加情報の記録領域を、図10における斜線部内で確保する。この斜線部は、168列〜171列の範囲であり、つまりECCブロック内の各セクタ(SC0〜SC15)において、それぞれEDC(エラー検出コード)の配置位置と同列となる位置である。
この斜線部内で追加的付加情報の記録を行うようにする理由は以下のとおりである。
【0050】
まず、ECCブロックの構造上、ユーザデータの領域であれば、任意のデータを記録することが可能である。
ところが、仮に記録しようとする追加的付加情報が100バイト程度であったとしても(もちろん100バイト程度に限られないが)、実際には追加的付加情報の記録に応じて、EDCやエラー訂正パリティPI,POの書き換えの必要が生ずる。もちろん一旦エンボスピットパターンを形成してしまえば書き換えはできないため、追加的付加情報を記録しようとする場合、その記録によって影響を受けるパリティ等も、追記として上述した追記マーク6により記録することになる。
【0051】
例えば或るセクタ内で、ユーザデータとしての或るバイト位置に追加的付加情報の追記を行うとする。
すると、そのセクタの4バイトのEDCが影響を受ける。このため4バイトのEDCの部分は追記エリアに設定し(エンボスピットパターンを形成せず)、EDCを追記として記録する必要がある。
また、追加的付加情報を記録したバイト位置やEDCと同列のPOパリティも、影響を受けるため、これも追記として記録する必要がある。
さらに、追加的付加情報を記録したバイト位置及びEDCと同行のPIパリティと、POパリティの行のPIパリティも、影響を受けるため、これも追記として記録する必要がある。
【0052】
このように、ユーザデータの一部に相当する部分を追記エリア10として追加的付加情報を追記マークで記録する場合、その追加的付加情報に加えて、それによって影響を受けるセクタのEDC、POパリティ、PIパリティの部分も追記エリア10として形成し、追記マークにより記録する必要がある。
【0053】
ここで、追記する箇所を最小にすることを考える。
仮に、図10のセクタSC0内で斜線部以外の例えばバイト位置B2,0などに追記することを考える。
すると、POパリティとしては、バイト位置B2,0と同じ列である0列(B192,0〜B207,0)の16バイトを追記として記録する必要が生じる。さらに、セクタSC0のEDCも追記記録となるが、それによってPOパリティの168列〜171列の各16バイトも追記記録となる。
【0054】
つまり、POパリティは、追加的付加情報の記録位置と同じ列と、EDCと同じ列が影響を受け、これらの列は追記マークで追記する必要が生じる。ところが逆に考えれば、追加的付加情報の記録位置をEDC列と同じ列にすれば、POパリティは、EDCと同列の168列〜171列のみが影響をうけることになる。つまり、斜線部として示すようにEDCと同じ列となる範囲内において追加的付加情報の記録領域を設定すれば、POパリティとしては影響を受ける範囲を最小化することができる。具体的には、POパリティは、セクタのEDCと同じ列の範囲として、破線で囲ったB192,168・・・B207,171の4×16バイトのみが影響を受ける範囲とすることができる。
【0055】
即ち、追加的付加情報の記録を行うセクタでは、それをEDCと同じ列において記録するようにすることで、ECCブロック内での影響を受ける箇所を少なくできる。
そしてその場合、1セクタ内では、斜線部として4バイト×11行で最大44バイトの追加的付加情報の記録が可能となる。
1ECCブロックで考えれば、44×16セクタで、最大704バイトの追加的付加情報が記録可能となる。
【0056】
なお実際には、追加的付加情報として記録する識別情報等のデータサイズ(バイト数)によって、追加的付加情報の配置位置を設定すればよく、1セクタ内の斜線部の44バイトを全て追加的付加情報の記録に当てる必要はない。例えば1セクタ内で4バイト(1行)だけ追加的付加情報の記録に当て、これを16セクタにより1ECCブロックで64バイト記録するような形式としてもよい。
もちろん、ECCブロック内で、追加的付加情報の記録を行うセクタ数も任意である。さらに、追加的付加情報を複数のECCブロックにまたがって記録を行うことも可能である。
どのようなデータサイズの追加的付加情報を、どのようにセクタを用いて記録するかは全く任意であるが、いずれにしても、各セクタにおいてEDCと同列の範囲のバイト位置を用いて、追加的付加情報を記録するようにすればよい。
【0057】
[3.追記エリアの開始部分の整合]
次に、追記エリア10の開始部分での整合を考える。
上述したように、追記工程に供される貼り合わせ済光ディスク197には、すでにエンボスピットパターンとしてのピット列が形成されており、その一部が追記エリア10として平面形状領域とされている。
ここで考慮しなければならないのは、追記エリア10に隣接する既設のピット列の状況(つまり追記エリア10の直前の隣接部がランドかピットか、また、ランド/ピットの変換点か)に対し、任意の追記マークを常に問題なく追記するには追記情報のデータをどのように形成すればよいか、と言うことである。
【0058】
図11には、或るレコーディングセクタrSC0において、EDCと同列の各行4バイトを全て追加的付加情報の記録に用いると仮定した場合における追記エリア10に相当する位置を示している。
この場合、図11の斜線部に相当することになる光ディスク(貼り合わせ済光ディスク197)上の領域が、追記エリア10とされることになる。
即ち第1行目から第12行目までの各行のユーザデータのうちのEDCと同列の4バイトと、第12行目のEDCの4バイトと、インターリーブで第13行目となるPOパリティのうちのEDCと同列の4バイトのPOパリティと、第1行目から第13行目までの各行の各10バイトのPIパリティの部分が、追記エリア10に含まれ、これらが追記マーク6による追記マーク列で記録される。
なお、後述するが、PIパリティの直後に続く同期信号SYの一部(10ビットのシンクID)の位置も追記エリア10に含まれるようにされ、この10ビットも追記マーク6による記録が行われる。
従って、1つの追記エリア10は、4バイトのユーザデータ(又はEDC、又はPOパリティ)と、10バイトのPIパリティと、10ビットのシンクIDを記録する領域となり、EFM+変調により1シンボル(セクタ構造内の1バイト)は16ビットとして記録されるため、光ディスク上としては234ビットの領域となる。
【0059】
ここで、追記エリア10の開始部分の直前とは、図中「54」と付した位置となる。
本例では、追記エリア10の直前のピット列、つまりピット列から追記エリア10に至部分の最後のピットパターンは、データシンボル「54」もしくは「47」のコードワードによるものとする。このため図では斜線部としての追記エリア10の直前に「54」と記載しているが、これは「47」としてもよい。
以下、この理由について説明する。
【0060】
まず追記エリア10に追記する場合には、その直前のエンボスピット列がランド3で終了しており、ランド3のつながりを持って追記マーク列の記録を開始したいという事情がある。
仮に図12(a)のような状況を考える。
図12(a)では、或るデータシンボルをEFM+変調したコードワード「0010000010000100」がエンボスピットパターンとしてのピット列の終端であるとし、図のようにピット2,ランド3によるピット列が形成されていたとする。
ここで追記エリア10には或るコードワード「0100・・・・」から記録が開始されることとなったとする。
この場合、NRZI方式の論理反転に基づくと、図のように追記エリア10の先頭で、ピット2と連続した追記マーク6を形成しなければならない。さらに、「1」で論理反転するため、その追記マーク6は2Tの長さとしなければならない。
【0061】
例えばこのような状況として、追記エリア10の書き始めで、直前のピット2と連続する追記マーク6を形成する場合がある。
この図12(a)の例では最初の追記マーク6は2Tの長さとしているが、長さが2T以下であろうと3T以上であろうと、ピット2に連続して追記マーク6を形成する場合、その繋ぎ目をうまく処理することが必要である。例えば直前のピット2と重なり部分を生じさせるように、やや早めにレーザ発光を開始させるような、専用のライトストラテジを用意する必要がある。
ところが、追記エリア10の書き始めに専用のライトストラテジを実行しなければならないことでの処理の煩雑化が生ずることや、そもそも重なり部分を生じさせるような書込により、ピット2と追記マーク6がきれいにつながるかは完全には保証できない。
【0062】
またこの図12(a)のように、最初の追記マーク6を2Tの長さで形成しなければならない場合、追記エリア10での書き始めに2T以下のレーザ発光させることになる。ところが、追記において1Tや2Tのように短い時間の追記マーク/ランド形成を正確に制御することは難しい。
もし追記エリア10の書き始めで2T以下のレーザ発光が発生しないようにするためには、書き始めのシンボルとして先頭3ビットで反転しないものを選択する必要がある。ところがそのためには非常に複雑な処理が必要となる。
【0063】
これらのことから、追記エリア10において追記マーク6から記録を開始することは避けることが望まれる。従って、追記エリア10に追記する場合には、その直前のエンボスピット列がランド3で終了しており、ランド3のつながりを持って追記マーク列の記録を開始したいということになる。例えば図12(b)のように、追記エリア10の直前がランド3で終了していれば、追記エリア10の書き始めをランド3で開始することができる。
例えばこのようなランド繋がりとすれば、専用のライトストラテジを用意する必要もなく、また追記エリア10の書き始めのシンボルとして先頭3ビットで反転しないものを選択したいということも不問となる。
【0064】
そこで次に、追記エリア10の先頭を、ランド繋がりで開始されるようにすることを考える。換言すれば、追記エリア10の直前のピット列がランド3で終了するようにすることを考える。
さらに言えば、追記エリア10の直前のエンボスピット列の最後のコードワードとしてランド3で終わる状況を選択できるようにする。
【0065】
追記エリア10をランド3で開始するには、追記エリア10の直前のデータシンボルのコードワードによるピット列がランド3で終わっていればよい。ところが、追記エリア10の直前のコードワードの終わり方は、さらにその直前のデータシンボルのコードワードの終わり方に影響される。つまり「1」でH/L論理が反転するNRZI方式であるため、追記エリア10の直前のコードワードの最初がHであるかLによって(即ちさらにその直前のコードワードがHで終わるかLで終わるかによって)、最後がピット2となるかランド3となるかが不定である。これは各データシンボルによりコードワードの極性反転回数が異なり、回数が奇数か偶数かで終わりの極性が変わる為である。
【0066】
この場合に、追記エリア10の直前が必ずランド3で終わるようにするには、追記エリア10の直前のデータシンボルは、そのコードワードが、さらにその前のデータシンボルに応じて極性反転の回数の偶数奇数を選択できるものが適切となる。つまり、EFM+変調の際に、反転回数が偶数のコードワードと反転回数が奇数のコードワードとを任意に選択できる(ポラリティ操作できる)データシンボルであることが必要である。
【0067】
ここでEFM+変調の変換テーブルを検討する。
DVDデータフォーマットでは、EFM+変調に関して、図14に一部抜粋して示すメイン変換テーブルと、図15に一部抜粋して示すサブ変換テーブルが規定されている。
【0068】
まず図14のメイン変換テーブルについて説明する。
メイン変換テーブルでは8ビット(1バイト)のデータ値としてのデータシンボル「0」〜「255」を、EFM+変調で変換する16ビットのコードワードが規定されている。
また1つのデータシンボルに対応するコードワードとしてはステート1,ステート2,ステート3,ステート4の4種類のコードワードが規定されている。
さらに各コードワードについては、ネクストステートとして、「1」〜「4」のいずれかが決められている。
ネクストステートは、次のデータシンボルについて、どのステートのコードワードを用いるかを示したものである。
【0069】
例えばデータシンボル「0」「88」「49」「255」というデータ列をEFM+変調する場合を考える。
最初にデータシンボル「0」をステート1のコードワード「0010000000001001」に変換したとする。なお、記録データの一番最初のデータシンボルについて、どのステートのコードワードを用いるかは任意である。
このデータシンボル「0」のステート1のコードワードは、ネクストステートが「1」とされている。そのため次のデータシンボル「88」は、ステート1のコードワード「0001000100010000」に変換する。
またデータシンボル「88」のステート1のコードワードは、ネクストステートが「3」とされている。そのため次のデータシンボル「49」は、ステート3のコードワード「1000000010001000」に変換する。
またデータシンボル「49」のステート3のコードワードは、ネクストステートが「2」とされている。そのため次のデータシンボル「255」は、ステート2のコードワード「0100001000010010」に変換する。
EFM+変調では、このように、ネクストステートで規定されるステートで、各データシンボルのコードワードが選択されていく。これは、各データシンボルのつなぎ目がランレングス制限に適応するようにするためである。
【0070】
ここでデータシンボル「0」〜「87」に関しては、図15に示すサブ変換テーブルが規定されている。
サブ変換テーブルも、1つのデータシンボルに対応するコードワードとしてはステート1,ステート2,ステート3,ステート4の4種類のコードワードが規定されている。
さらに各コードワードについては、ネクストステートとして、「1」〜「4」のいずれかが決められている。
データシンボル「0」〜「87」については、このサブ変換テーブルが設けられることで、合計8個のコードワードが選択可能とされる。そしてサブ変換テーブルのコードワードはメイン変換テーブルと合わせて用いることができる。
例えば上記のように、データシンボル「88」のコードワードでネクストステート「3」が指定され、次にデータシンボル「49」となる場合は、メイン変換テーブルのステート3のコードワード「1000000010001000」の他に、サブ変換テーブルのステート3のコードワード「1001000000010001」を選択してもよいことになっている。
【0071】
このサブ変換テーブルは、ピット/ランドの平均的な比を調節することで、再生RF信号のDCオフセット成分を調整するために設けられているものである。
即ち同じデータシンボルと同じステートで見ると、必ずメイン変換テーブルとサブ変換テーブルでは、反転回数(「1」の数)が偶数/奇数で異なるようにされている。これによって例えばメイン変換テーブルのみを使用すると、記録トラック上でピット2の領域がランド3の領域に比べて多くなるような記録データの場合、部分的にサブ変換テーブルを利用して論理反転回数を調節し、ランド部分とピット部分が同等となるようにすることができる。
【0072】
EFM+変調は、このメイン変換テーブルとサブ変換テーブルを用いて行われるが、ここで上述した、ポラリティ操作ができるデータシンボルを考える。
追記エリア10の直前のピット列がランド3で終了するには、直前のピット列の最後のコードワードが、論理反転回数(「1」の数)として偶数、奇数を選択できるものであればよい。つまりこれは、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルのうちからコードワードを選択できるものであればよいことを意味する。
従って直前のピット列の最後のデータシンボルが「0」〜「87」の範囲内の値であればよいということになる。
【0073】
ここでステート情報のことをさらに考慮する。
上述のようにEFM+変換の際には、データシンボルのコードワードは、直前のコードワードのネクストステートによって、ステートが規定されて選択される。
これは、当然エンボスピット列の最後のコードワードと、追記マーク6と最初のコードワードの間にも適用されなければならない。
すると、追記エリア10に書込を行おうとする際には、追加情報記録装置150は、既に形成されている直前のエンボスピット列の最後のコードワードのネクストステートの情報を把握し、それに基づいてステートを選択してEFM+変換を行わなければならないことになる。これは、全体の製造システム的にも処理が煩雑化するとともに、例えば追加情報記録装置150を、図1の製造工程を行う工場内ではなく、別の場所、別の時点で用いるような汎用的な使用が困難になる。
ところが、追記エリア10の最初のコードワードを、必ず特定のステートとしてよいこととすれば、追加情報記録装置150は、直前のエンボスピット列の最後のコードワードのネクストステートの情報を考慮する必要はなくなる。
【0074】
すると、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルにおける8個のステートにおいて、ネクストステートが全て同じものがあればよいということになる。
これに該当するものが、図14,図15において枠で囲って示した「47」と「54」である。この「47」と「54」は、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルに示されるコードワードの全てでネクストステート「1」が指定されている。
そして、追記エリア10の直前のデータシンボルが「47」又は「54」のいずれかであれば、追記エリア10の書き始めのコードワードは、必ずステート1を選択すればよいものとなる。
【0075】
このように追記エリア10の始まりのステートがステート1として統一されていれば、各追記エリア10の開始部分のステート情報を追加情報記録装置150に伝達する必要が無いことになる。例えば、追記エリア10の直前のピット列の最後が「54」又は「47」以外であると、追加情報記録装置150は、そのピット列の最後のコードワードのネクストステートの情報を取得しなければ、適切にステートを選択することができない。ところが、ステート1として統一されていることで、ネクストステートとしての指定情報を追記管理部160から受け取ることは必要なくなる。
これは追加情報記録装置150の処理を簡易化させるだけでなく、システムの拡張にも好適である。
【0076】
結局、追記エリア10の直前のピット列の最後が「47」又は「54」のデータシンボルとされているようにすれば、特に複雑な処理やステート情報の転送を行うことなく、追記エリア10の開始部分で直前のピット列と整合のとれたデータ記録を行うことができ、かつランド3を先頭として形状の安定した追記マーク列を形成できるということになる。
なお、EFM+変換のメイン変換テーブル及びサブ変換テーブルにおいて、全てのデータシンボルのステート1のコードワードは、先頭2ビットが「00」であるため、追記エリア10の先頭は必ず2T以上のランド3から開始されることになる。
【0077】
データシンボル「54」のコードワードを、追記エリア10の直前のピット列の最後のコードワードとした状態を、図13(a)(b)に示す。
図13(a)(b)は、「54」のデータシンボルについて、ステート1のコードワードが選択された場合を示している。これは、さらにその前のコードワードにおいてステート1が指定されていた場合である。もちろんこの「54」についてはステート2〜ステート4のコードワードが選択される場合もあり得る。
ここで、図13(a)は、「54」のコードワードが、さらにその直前のコードワードの最後が「L」とされていたことから、「L」論理で開始された場合を示している。
一方、図13(b)は、「54」のコードワードが、さらにその直前のコードワードの最後が「H」とされていたことから、「H」論理で開始された場合を示している。
もし、「L」論理で開始される場合、ピット列をランド3で終わらせるためには、「54」のコードワードをメイン変換テーブルから選択すればよい。「54」のメイン変換テーブルのステート1のコードワードは「0010000010010010」であり、反転回数が偶数である。このため、図示するようにピット2,ランド3が形成され、終端はランド3となる。
一方、「H」論理で開始される場合、ピット列をランド3で終わらせるためには、「54」のコードワードをサブ変換テーブルから選択すればよい。「54」のサブ変換テーブルのステート1のコードワードは「0000001000100001」であり、反転回数が奇数である。このため、図示するようにピット2,ランド3が形成され、終端はランド3となる。
このようにメイン変換テーブルとサブ変換テーブルで選択可能で、反転回数の偶数/奇数を選択できることが、上記したポラリティ操作ができるデータシンボルであり、これによって、それまでのデータシンボルにかかわらず、ピット列をランド3で終了できる(つまり追記エリア10の記録をランド繋がりの状態で開始できる)ということになる。
もちろんこの「54」として、その直前のコードワードによりステート2,ステート3、ステート4のいずれかが指定されていたとしても、開始する論理に応じて、メイン変換テーブルとサブ変換テーブルのうちでコードワードを選択し、終端がランド3で終わるようにすればよい。
【0078】
ここではデータシンボル「54」について例示したが、「47」についても同様である。
従って、図11に示したように、斜線部として示す追記エリア10の直前のピット列が、データシンボル「54」又は「47」とされることで、追記エリア10の開始部分で適切な追記が可能となる。
より具体的に言えば、例えば図10のバイト位置B0,168や、B1,168などを追記エリア10の先頭とする場合、それらの直前のバイト位置B0,167や、B1,167などが、データシンボル「54」又は「47」とされるようにセクタデータを設定すればよいものとなる。
【0079】
また、追記エリア10において追記マーク6をレーザ等の発光で記録する場合、始まりのデータシンボルの極性がランドからであると、2T以下の発光が抑制され、追加情報記録装置150のレーザ駆動回路の周波数特性、光学系のMTF設計に余裕が生まれると共に、1T、2Tのライトストラテジの検討が不要となるという利点も得られる。
【0080】
[4.追記エリアの終端部分の整合]
続いて追記エリア10の終端部分の整合について述べる。
図11に示したように、レコーディングセクタの構造としては、91バイト単位毎に同期信号SYが付加されている。
そして同期信号SYとしては、SY0〜SY7の8種類が規定され、図11に示す順序(SY0→SY5→SY1→SY5→SY3→SY5→SY4→・・・)で91バイト単位のデータに対して付加される。
この各同期信号SY0〜SY7の並び順はセクタ内でユニークである。例えば「SY0→SY5」「SY5→SY1」「SY1→SY5」というそれぞれの並びはセクタ内で1カ所しか表れない。このため前後の同期信号SYの並びによってセクタ内の位置が検出できるものとされている。
【0081】
ここでセクタ内で、追加的付加情報及びEDCと、影響を受けるPOパリティ、PIパリティを追加情報として書き込むと、図11の斜線部が追記エリア10となると先に述べた。
そしてPIパリティに続いては同期信号SYが配置されるため、各追記エリア10の直後は同期信号SYとなる。ここで本例では、図11の斜線部で示すように同期信号SYの最初の10ビットの部分も、追記エリア10に含めるようにし、追記マーク列により記録するようにして、追記エリア10の終端部分で適切に整合がとれるようにする。
【0082】
ここでDVDデータフォーマットにおける同期信号SYについて説明する。
同期信号SYは、図16に示すように32ビットのシンクコードで形成される。そして32ビットのうちの最初の10ビットがシンクIDとされ、残りの22ビットがシンクボディとされる。
シンクIDは、同期信号SY1〜SY7を区別する識別コードである。またシンクボディは同期信号SY1〜SY7において共通の22ビットパターン「0001000000000000010001」とされる。即ち同期信号特有の14Tパターンを含むコードである。
【0083】
そして各同期信号SY1〜SY7は、それぞれ図17に示すように4パターンが規定されている。
まず、同期信号SYの直前のコードワードにおいて、ネクストステートが「1」又は「2」と指定されている場合は、図17の上段に示すプライマリシンクコードか、セカンダリシンクコードが用いられる。
また、同期信号SYの直前のコードワードにおいて、ネクストステートが「3」又は「4」と指定されている場合は、図17の下段に示すプライマリシンクコードか、セカンダリシンクコードが用いられる。
プライマリシンクコードとセカンダリシンクコードの関係は、上述したメイン変換テーブルとサブ変換テーブルの関係と同様に、論理反転回数が奇数/偶数で選択できるものとされている。
【0084】
この図17からもわかるように、全てのシンクコードにおいて22ビットのシンクボディは共通であり、先頭10ビットのシンクIDとして、各同期信号SY1〜SY7は、それぞれ4パターンが規定されていることになる。
【0085】
ここで追記エリア10の終端部分を、適切にピット列に繋げることを考える場合、シンクIDとシンクボディを切り離して考慮することが好適となる。
つまり、シンクIDの部分は、その直前のコードワードのネクストステートの指定に応じて選択されることになるため、結局追加情報を記録した後でなければ選択できない。
一方、シンクボディの部分は、どのシンクコードが選択されようともコードパターンは同じである。
このことから、追記エリア10の終端をシンクIDで終了させ、追記エリア10に続くピット列は、シンクボディの部分から開始されるようにすればよいことが理解される。
つまり図1の貼り合わせ済光ディスク197の段階では、平面形状領域としての追記エリア10として、シンクIDの部分まで含むように形成し、その平面形状領域に続いて、シンクボディのエンボスピットパターンを形成しておくようにする。
【0086】
但しその場合、シンクボディのエンボスピット列の最初が、ランド3で始まるかピット2で始まるかがわからなければ、シンクボディを形成できないことになるが、逆に言えば、シンクボディの先頭をランド3とするかピット2とするかを予め決定しておけば、シンクIDのパターンの選択(プライマリシンクコードかセカンダリシンクコードかの選択)により整合を取ることができる。
例えば追記エリア10の直後のシンクボディの先頭(つまりシンクコードの11ビット目)はランド3とすると規定しておけば、11ビット目〜32ビット目までのシンクボディは、14ビット目から27ビット目を14Tピットとして作成しておけばよい。
また逆に、追記エリア10の直後のシンクボディの先頭はピット2とすると規定しておけば、11ビット目〜32ビット目までのシンクボディは、14ビット目から27ビット目を14Tランドとして作成しておけばよい。
【0087】
追記エリア10の直後のシンクボディは、ランドから始めると規定した場合について、追記エリア10の終端部分の様子を図18に示す。
図18(a)は、追記エリア10が未記録の状態(つまり貼り合わせ済光ディスク197の段階)であり、追記エリア10に続くピット列としては、シンクコードの11ビット目以降がランド3から開始されて14Tのピット2が形成されている様子を示している。
このような場合に、追記エリア10に追記マーク列を記録し、その終端部に同期信号SY1のシンクIDを記録するとする。
またこのとき、同期信号SY1の直前に追記したコードワードにおいてネクストステートが「1」又は「2」であったとする。すると、図17上段の同期信号SY1のシンクコードを選択することになる。ここで、ピット列はランド3で開始されている状態で既に形成されているため、シンクIDの部分がランド3でシンクボディに連続するようにすればよい。
即ち、もしシンクIDの書き始めにおいて「H」論理であったとしたら、図18(b)のように、同期信号SY1のプライマリシンクコード「0000010000」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
一方、シンクIDの書き始めが「L」論理であったとしたら、図18(c)のように、同期信号SY1のセカンダリシンクコード「0000010001」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、この場合も直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
【0088】
また、追記エリア10の直後のシンクボディは、ピットから始めると規定してもよいが、その場合の追記エリア10の終端部分の様子を図19に示す。
図19(a)は、追記エリア10が未記録の状態(つまり貼り合わせ済光ディスク197の段階)であり、追記エリア10に続くピット列としては、シンクコードの11ビット目以降がピット2から開始されて14Tのランド3が形成されている様子を示している。
このような場合に、上記図18と同じく追記エリア10の終端部に同期信号SY1のシンクIDを記録するとする。また同期信号SY1の直前に追記したコードワードにおいてネクストステートは「1」又は「2」であり、図17上段の同期信号SY1のシンクコードを選択することになったとする。
この場合、ピット列はピット2で開始されている状態で既に形成されているため、シンクIDの部分がピット2でシンクボディに連続するようにすればよい。
即ち、もしシンクIDの書き始めにおいて「H」論理であったとしたら、図19(b)のように、同期信号SY1のセカンダリシンクコード「0000010001」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
一方、シンクIDの書き始めが「L」論理であったとしたら、図19(c)のように、同期信号SY1のプライマリシンクコード「0000010000」を選択する。これにより図のように追記マーク6及びランド3が形成され、この場合も直後のシンクボディに対して論理矛盾無くつながることになる。
【0089】
つまり、追記エリア10においてシンクIDまでを追加記録するようにするとともに、その直後のピット列としてのシンクボディがランドで始まるかピットで始まるかのどちらかに規定しておけば、シンクボディをエンボスピットパターンで予め形成できるとともに、追記の際に、追記エリア10の終端部分で適切にシンクIDを選択することで、追記エリア10の終端部分と、それに続くピット列との整合を取ることができる。
【0090】
[5.PO補償シンボルの配置]
次に、PO補償シンボルについて説明する。
上述のように、追記エリア10の直前には、エンボスピット列によるコードワード「54」又は「47」を配置する。以降、コードワード「54」又は「47」を、「ポラリティ制御シンボル」という。
PO補償シンボルは、ポラリティ制御シンボルを配置することに応じて、POパリティの整合のために必要になるシンボルである。
【0091】
図20〜図25にECCブロックにおける各種のPO補償シンボル配置例を示す。
図20〜図25においては、追加的付加情報としてPID(ディスク個別の識別情報)がEDCと同列の4バイトに追記記録される場合のECCブロックを示している。
斜線を付した部分が追記マークによるPID、EDC、POパリティ、PIパリティ等の追加情報の記録部分である。
ポラリティ制御シンボルは「54」で表している。なお、以降の説明では全てポラリティ制御シンボルは「54」と表すがコードワード「47」でも良いことは上述のとおりである。
また「X」はPO補償シンボルを表している。
【0092】
図20では、PIDをセクタSC15におけるEDCと同列の4バイトに記録する例としている。つまりPIDを最終セクタから上方に配置するものである。5バイト以上の追加的付加情報を記録する場合は、順次EDCと同列の4バイトを上方に向かって用いる。
斜線を付した追記マーク記録部分の直前は、全てポラリティ制御シンボル「54」が配置される。
【0093】
この場合において、ECCブロック内で、ポラリティ制御シンボルと同列となる16カ所の位置にPO補償シンボルが配置される。
例えば16行の範囲のPOパリティの部分では、各行で、追記マーク記録部分の直前にポラリティ制御シンボル「54」が配置される。つまりこの列では、16個のPOパリティが「54」に固定されてしまうことになる。従って、POパリティが、このような値になるように補償されなければならない。このため、同列に16個のPO補償シンボル「X」が配置されるようにする。
この場合、セクタSC0からSC1の途中までにPO補償シンボル「X」が16個連続して配置されるようにしている。
【0094】
なお、この図20の場合は、PID、EDCの追記部分の直前のポラリティ制御シンボル「54」に応じて、同列のPOパリティとしてPO補償シンボル「X」が形成されるが、これは追記マークとして記録される。
この図20の例の場合は、セクターSC0,SC1におけるPO補償シンボル「X」がPID直前のポラリティ制御シンボル「54」の配置列の1つ前の列であるたため、PID等の追加的付加情報を最大704バイト記録することが可能である。つまり1セクタは12行であり、EDCを除く11行において各4バイトを追記に用いることができる。従って11×4(バイト)×16(セクター)=704バイトとなる。
【0095】
図21は、PO補償シンボル「X」を、PID等の直前のポラリティ制御シンボル「54」と同列とした例である。
PID、EDC、POパリティの各追記部分の直前はポラリティ制御シンボル「54」が配置される。このポラリティ制御シンボル「54」と同列において、先頭のセクタSC0〜SC1の範囲に16個のPO補償シンボル「X」が連続して配置される。
この場合はセクタSC0〜SC1においてPO補償シンボル「X」が配置される行は、追記エリアとして4バイトは確保できない。1バイトはポラリティ制御シンボル「54」として確保しなければならないため、セクタSC1の11行とセクタSC2の4行では最大3バイトとなる。従って、追加的付加情報の記録は最大689バイトとなる。
【0096】
図22は、PIDを任意のセクターに記録する例である。ここではセクターSC1の或る行にPIDを書き込む例としている。
PO補償シンボル「X」は、最終セクターSC15からセクターSC14の途中まで16個連続して配置することとしている。
PID等の追加的付加情報は最大704バイト記録することが可能である。
【0097】
図23は、PIDを任意のセクターに記録し、またPO補償シンボル「X」も列の前端や終端ではなく中間に16個連続して置く例である。一例としてPID記録を行うセクターSC1にも、PO補償シンボル「X」が配置されるようにしている。
【0098】
図24は16個のPO補償シンボル「X」を複数に分けて配置する例である。
例えばセクターSC1とセクターSC15において、分けて配置している。
図25は、16個のPO補償シンボル「X」を複数に分け、さらにポラリティ制御シンボル「54」と同列に配置する例である。
【0099】
例えば以上のように各種のPO補償シンボル「X」の配置例が考えられる。もちろんこれ以外の例も各種想定される。
そして、これらのように、追記エリアの直前(特にPOパリティ部分)にポラリティ制御シンボル「54」を配置することが必要なことにより、同列にPO補償シンボル「X」を配置しなければならない。このことは、当該ECCブロックは、PID等の追加的付加情報の記録のために専用に割り当てられたECCブロック、つまりDVDに収録する本来のコンテンツの記録に用いる領域以外のECCブロックであることが適切となることを意味する。
【0100】
[6.DVDのナビゲーションコマンドへの適用]
追記マークによる追加的付加情報の記録を再生専用DVDに行う場合、一般のDVDプレーヤにおいて、PID等の追加的付加情報を利用できるようにすることが望ましい。例えばプレーヤがDVDが装填されたときにPIDを読み取り、各種の対応処理を行うようにすることで、適切な動作やユーザへの新たな再生態様の提供ができる。
例えばPIDに基づいた著作権保護のための動作や、特定のPIDが付されたディスクに対するスペシャルタイトルの再生動作などが考えられる。
【0101】
このような動作を実現するためには、DVDシステムにおけるナビゲーションコマンドを利用することが考えられる。
本実施の形態では、追加的付加情報としてのPIDを、ナビゲーションコマンドの構造に組み込み、これによってDVDプレーヤがディスクからPIDを読み込むことができるようにする。
【0102】
図26、図27で本実施の形態の再生専用型光ディスクとしてのDVDに記録されるファイル構造例について説明する。
図26(a)は、図2に示したエリア構造を半径方向に示したものである。図2でも述べたように、内周側からリードインエリアLI、主データエリアMA、リードアウトエリアLOとなる。
ユーザデータとして実コンテンツ等が記録される主データエリアMAはセクターナンバ「30000h」から開始される。
本例のディスクでは、実コンテンツを構成するファイルについては、セクターナンバ「230000h」(半径位置55.837mm)までの範囲に記録するものとする。
そしてこのコンテンツ制限としての半径位置以降、リードアウトエリアLOの開始位置までの間に、PIDエリアが形成されることになる。リードアウトエリアLOの開始位置はセクターナンバ「232100h」(半径位置55.999mm)である。
ここでいうPIDエリアとは、追加的付加情報を記録するECCブロックを含むファイルが記録されるエリアである。このPIDエリアは例えばセクターナンバ「231000h」(半径位置55.952mm)を開始位置とする。
なお、リードアウトエリアLO内の所定位置には、PIDエリアでの追記のための試し書きエリアが設けられる場合がある。
【0103】
図27に、DVD収録コンテンツとしてのファイル構造例を示す。
DVDの主データエリアMAには、図27(a)に示すように管理情報としてのファイル群を含むVMGと、実コンテンツを構成するファイル群を含むVTS(Video Title Set)が記録される。
本例の場合、例えばVTS#1、VTS#2を実際のコンテンツのファイル群であるとし、VTS#3は、PID記録に用いられるものとしている。
【0104】
管理情報としてのVMGは、例えば図27(b)のように、コントロールデータ、ビデオオブジェクト、バックアップとしてのファイル「VIDEO_TS.IFO」「VIDEO_TS.VOB」「VIDEO_TS.BUP」を有する。
コントロールデータのファイル「VIDEO_TS.IFO」には、各VTSの管理や再生制御情報等が記録される。
ビデオオブジェクトのファイル「VIDEO_TS.VOB」には、再生時のメインメニュー画面等のビデオオブジェクトが記録される。
バックアップファイル「VIDEO_TS.BUP」は、コントロールデータのファイル「VIDEO_TS.IFO」のバックアップとして同一内容が記録される。
【0105】
VTS(ビデオタイトルセット)は、図27(c)のようにコントロールデータ、ビデオオブジェクト、バックアップとしてのファイルを有する。
コントロールデータのファイルには、当該ビデオタイトルセットの再生管理情報等が記録される。
ビデオオブジェクトは実際のコンテンツ映像等を構成するファイルである。コンテンツ映像等に加えてタイトルメニューなどの映像ファイルが加わる場合もある。
バックアップのファイルには、コントロールデータのバックアップとして同一内容が記録される。
説明上、VTS#3の場合、これらのファイルとして、コントロールデータのファイル「VTS_03_0.IFO」、ビデオオブジェクトのファイル「VTS_03_0.VOB」、バックアップファイル「VTS_03_0.BUP」を有するものとする。図示していないが、ビデオオブジェクトのファイルが2つとなる場合、「VTS_03_1.VOB」等も含まれる。
【0106】
また、VTS#1の場合、これらのファイルとして図26(b)に示すように、コントロールデータのファイル「VTS_01_0.IFO」、ビデオオブジェクトのファイル「VTS_01_0.VOB」、バックアップファイル「VTS_01_0.BUP」を有するものとする。同様にVTS#2の場合、コントロールデータのファイル「VTS_02_0.IFO」、ビデオオブジェクトのファイル「VTS_02_0.VOB」、バックアップファイル「VTS_02_0.BUP」を有するものとする。VTS#1、#2もビデオオブジェクトのファイルはタイトルメニュー等の映像ファイルを加えて複数となる場合もある。
【0107】
これらのVTSにおけるコントロールデータとしては、図27(c)に例示するように、「VTSI_MAT」「VTS_PTT_SRPT」「VTS_PGCIT」「VTSM_PGCI_UT」・・・等の情報を含む。
例えば「VTSI_MAT」はビデオタイトルセットの情報管理テーブル、「VTS_PTT_SRPT」はビデオタイトルセットのサーチポインタのテーブル、「VTS_PGCIT」はビデオタイトルセットのプログラムチェインの情報のテーブルである。
ここで、上述したナビゲーションコマンドは、プログラムチェインの情報内に記述されるものとなる。
【0108】
図27(d)に「VTS_PGCIT」の構造を示す。「VTS_PGCIT」は、8バイト固定長のテーブルインフォメーション「VTS_PGCITI」、8の倍数のバイト数で可変長のPGCIサーチポインタ「VTS_PGCI_SRP#1-#n」、及び所要数のプログラムチェインインフォメーション「VTS_PGCI」を含む。
プログラムチェインインフォメーション「VTS_PGCI」は、図27(e)のように、ジェネラルインフォメーション「PGC_GI」、コマンドテーブル「PGC_CMDT」、プログラムマップ「PGC_PGMAP」、セルプレイバック「C_PBIT」、セルポジションテーブル「C_POSIT」を含む。
【0109】
本例のディスクにおいて、例えば図27(a)のように、VMG、VTS#1〜#3が記録されるものとし、VTS#3がPID記録に用いられるとした場合、ディスク上において物理的には、図26(b)のように各ファイルの記録が行われる。
主データエリアMAには、内周側からVMG、VTS#1、VTS#2の各ファイルが連続して記録される。
【0110】
一方、VTS#3を構成する各ファイルは、PIDエリアに記録される。
VTS#3は、そのコントロールデータである「VTS_03_0.IFO」内に、追記エリア10を形成し、PIDがナビゲーションコマンドの形式で追記されるようにするものである。
PID等の追記のためにVTS#3を用いることや、VTS#3をPIDエリアに配置するのは、次の理由による。
【0111】
まずVTS#3として、実コンテンツとしてのVTS#1,#2とは別のビデオタイトルセットを設定するのは、上述したPO補償シンボルを記録する必要性が1つの理由である。
追加情報の追記のためのポラリティ制御シンボルをエンボスピット列で配置することにより、ECCブロック内の所定位置(図20〜図25参照)にPO補償シンボル「X」を配置しなければならない。このため、セクター内を或る程度自由に使用できることが好ましい。一方で、実コンテンツとしてのファイルによって構成されるVTS#1,#2では、追記エリアの設定やポラリティ制御シンボル「54」の配置に応じた所要位置にPO補償シンボル「X」を配置することが困難である。コンテンツデータを壊してしまう可能性があるからである。
【0112】
このような事情から、実コンテンツとしてのVTS#1、#2とは別に、PID追記のためのVTS#3を設けることが適切と考えられる。
もちろんDVDタイトル毎にいくつのVTSが収録されるかは不定である。例えばVTS#1〜#4が実コンテンツとして収録される場合は、VTS#5としてPID追記のためのVTSを設ければよいし、VTS#1のみが実コンテンツとして収録される場合は、VTS#2としてPID追記のためのVTSを設ければよい。
なお、複数のVTSのうちでどのVTSを用いるかは任意であるが、最後のVTSをPID追記のためのVTSとすることが望ましい。
【0113】
また、PID追記のためにVTSを用いるもう一つの理由は、VTSがVMGによって管理されるファイルによって構成されるものであることによる。つまり一般的なDVDプレーヤがアクセス可能なファイルにおいてPID追記を行うということである。
例えばVMGによって管理されないファイルにおいてPID追記を行うようにすると、一般のDVDプレーヤでは、アクセスできないことになる。
当該ファイルをアクセスするには、非管理領域である当該ファイルにアクセスするような専用のプログラムをDVDプレーヤに実装しなければならず、現実的ではない。
【0114】
ここで通常のDVDプレーヤは、ディスクが装填された場合の再生動作に際して、リードインエリアLIの情報を読み込んだ後、最初にVMGを読んで、メインメニューの表示再生などコンテンツ再生動作を行う。またユーザの操作に応じて所要のコンテンツ(VTS#1等)の再生を行う。
VMGには、各VTSの再生のための管理情報や、ファーストプレイ指示(再生時に最初にアクセスすべきファイルの指示)などの再生制御情報が記述されている。
すると、DVDプレーヤが特別な制御ソフトウエアが実装されていなくても、VMG管理下にあるファイルで構成されるVTS#3にアクセスさせることができる。例えばVMGにおいて「ファーストプレイ」とされるファイルとしてVTS#3のファイルが指定されるようにすれば、DVDプレーヤは、VMGを読んだ直後にVTS#3をアクセスし、そこに記述されたナビゲーションコマンドを読み込むことができる。
ナビゲーションコマンドについては後述するが、DVDプレーヤはナビゲーションコマンドを読み、そのコマンド内容を実行することで、追記されたPIDを読み込むことができる。
即ち本実施の形態では、一般的なDVDプレーヤにPID等の追加的付加情報を読み込ませることを目的とするため、DVD上のファイルシステム管理下に置かれるVTSを用いてPID追記を行うものである。
【0115】
以上の理由から或るVTS(例えばVTS#3)をPID追記のために用いる。そしてVTS#3を、PIDエリアに記録する。
PIDエリアを、例えば半径位置55.952mmなどのように固定的に配置するのはディスク製造上の都合が1つの理由である。
追記マーク6は図4〜図6で説明したように、エンボスピット列が形成されていない追記エリア10において、反射膜4を消失又は低減させることで形成する。すると、良質な追記マーク6の形成には、反射膜4の膜厚は大きく影響する。
【0116】
ここで、反射膜は図1に示した成形成膜工程において成膜装置130によって形成されるが、予め追記エリア10を形成するエリア(半径位置)を固定的に決めておけば、その半径位置において、反射膜4の膜厚が一定になるように制御することが比較的容易となる。反射膜4の膜厚は、ディスク全面にわたって均一に形成するものであるが、完全均一化は困難であり、厚み誤差が生ずる。ただし、特定の半径位置においてということであれば、比較的高精度に厚みを制御できる。
このことからPIDエリアを固定しておき、ディスク製造時に、PIDエリアにおいて反射膜4の膜厚精度を上げることが適切である。
【0117】
なお、以上のことは、PIDエリアが固定されていればよいものであって、必ずしも図26に示した位置に固定されることが必要となるものではない。
一方で、PIDエリアを固定するということは、その位置は、本来のコンテンツとしてのファイル(VTS#1、#2等)としての記録に用いられないようにすることも必要となる。そこで図26のように、コンテンツ制限を設定し、本来のコンテンツファイルは例えば半径55.837mmまでの領域に記録されるようにするなどの規則を設けることが適切となる。
【0118】
PIDエリアを、図26のように固定し、最後の実コンテンツ(図26の場合VTS#2)とは物理的に離れた位置にPID追記を行うVTS#3を記録するようにする、もう一つの理由を図28で説明する。
図28は、ECCブロック単位での物理的な配置を模式的に示している。
<移動前>として示しているのは、VTS#3を構成するファイル「VTS_03_0.IFO」「VTS_03_0.VOB」「VTS_03_1.VOB」「VTS_03_0.BUP」が、VTS#2の最後のファイル「VTS_02_0.BUP」から物理的に連続したECCブロックで記録された場合である。
通常、再生専用型光ディスクでは、ファイルは離散的に記録する必要がなく、また記録容量も考慮して、物理的に連続して記録される。
従って、VTS#1〜#3を収録するDVDを製造する場合、通常は、このようにVTS#3のファイルはVTS#2のファイルの後に連続して記録される。
また、同じECCブロック内に、同じVTSに属するコントロールデータファイルとバックアップファイル(例えば「VTS_03_0.IFO」と「VTS_03_0.BUP」)は配置してはならないとされるが、1つのECCブロックに異なるVTSのファイルが並存することには制限はない。このため図のECCブロックBKaのように、1つのECCブロック内に、「VTS_02_0.BUP」の後半と、「VTS_03_0.VOB」と、「VTS_03_1.VOB」の先頭部分のデータが含まれることもある。
【0119】
ここで、本実施の形態においてPID追記を行うのは、VTS#3におけるコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」内である。
そして図20に示したように、ECCブロックの先頭セクターSC0からセクターSC1にかけて行方向にPO補償シンボル「X」を配置するとする。
ところが、この<移動前>の場合、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」を含むECCブロックBKaの先頭セクターは、VTS#2のバックアップファイル「VTS_02_0.BUP」である。
このため、もしECCブロックBKaのセクターSC0からセクターSC1にPO補償シンボル「X」を配置すると、VTS#2のバックアップファイル「VTS_02_0.BUP」を壊してしまうことになり適切でない。
このことから、PID追記を行うコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」は、VTS#2から物理的に離れたECCブロックに記録することが適切となる。さらに、そのECCブロック内でPO補償シンボル「X」を形成して、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」自体も壊されないことが必要である。
【0120】
このような理由から、<移動後>として示しているように、VTS#3を構成するファイルが、VTS#2のファイルを含むECCブロックとは別のECCブロックを構成するように、VTS#3をVTS#2とは物理的に離して配置する。
図31の<移動後>では、例えばECCブロックBKb以降に、VTS#3のファイル「VTS_03_0.IFO」「VTS_03_0.VOB」「VTS_03_1.VOB」「VTS_03_0.BUP」が配置されるようにしている。
【0121】
まずコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」については、ECCブロックBKbに含まれるようにする。このとき、ECCブロックBKbの先頭で2セクタ以上の空きを確保する。この2セクタは、図20のようにPO補償シンボル「X」を配置するセクターとして確保するものである。
このように「VTS_03_0.IFO」を、或るECCブロックBKbに移動させ、かつ、2セクタ以上の空きを確保して配置することで、PO補償シンボル「X」によって、前のVTS#2のデータが壊されることも、「VTS_03_0.IFO」自体が壊されることも無くなる。
【0122】
コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」に続くビデオオブジェクトファイル「VTS_03_0.VOB」「VTS_03_1.VOB」については、例えばECCブロックBKc以降のように、連続して配置していけばよい。
【0123】
但しバックアップファイル「VTS_03_0.BUP」については、さらに離れた例えばECCブロックBKdに配置する。
バックアップファイルは、コントロールデータファイルと全く同一のデータ内容であることが要請される。
従って、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」においてPID追記を行う場合は、バックアップファイル「VTS_03_0.BUP」でも同じ値のPID追記を行うことになる。またバックアップファイル「VTS_03_0.BUP」を含むECCブロックにはポラリティ制御シンボル「54」が記録されることになる。
ここでDVDのスクランブル方式は、16ECCブロックで一周りする。これは、バックアップファイルを、コントロールデータファイルから16ECC離して配置すれば、スクランブルによってもポラリティ制御シンボル「54」のスクランブル前の値が変動しないことを意味する。
換言すれば、16ECCブロック分を離さないと、ポラリティ制御シンボル「54」のスクランブル前の値がコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」とバックアップファイル「VTS_03_0.BUP」とで異なるものとなってしまい、バックアップファイルの規定を満たさなくなる。
そこで、図のように、バックアップファイル「VTS_03_0.BUP」は、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」から16ECCブロック分だけ離して配置するものとする。
【0124】
なお、ECCブロックBKaとBKbは、図示の都合上、連続して示しているが、<移動後>においては物理的に連続したものである必要はない。
以上の事情は、VTS#3が、VTS#2とは物理的に離れた位置とされる理由の1つ、即ち図26のようにPIDエリアでVTS#3が記録される理由の1つとなるものである。従って、図28における<移動後>におけるECCブロックBKb〜BKdは、図26のPIDエリア内の或るECCブロックと考えればよいものである。
【0125】
PID等の追記のためにVTS#3を用いること、及びVTS#3をPIDエリアに配置するのは、以上述べてきた理由による。
そしてPIDエリアに記録されたVTS#3におけるナビゲーションコマンドによって、一般のDVDプレーヤがPID等の追加的付加情報を読み込むことができるが、その場合のDVDプレーヤの処理は図29のようになる。
【0126】
本実施の形態の再生専用型光ディスク(DVD)が装填されたDVDプレーヤでは、まず図29のステップS1として、初期立ち上げ処理を行う。即ちスピンドルモータ起動、フォーカスサーチ/フォーカスサーボ引き込み、トラッキングサーボオン等を行い、ディスクから情報読出可能な状態とする。そして初期立ち上げ処理を完了したら、まずリードインエリアLIの情報読出を行う。
続いてステップS2で、VMGリードを行う。先に述べたように、VMGにおいてファーストプレイとしてVTS#3が指定されていれば、ステップS3として、DVDプレーヤはPIDエリアに記録されているVTS#3にアクセスすることになる。
ステップS4で、DVDプレーヤはVTS#3をリードする。このVTS#3のコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」には、後述するように追記されたPIDを含むナビゲーションコマンドが記録されている。
このナビゲーションコマンドが読み込まれることによって、DVDプレーヤはPIDを内部レジスタに取り込む動作を行う。
その後、ステップS5としてDVDプレーヤは、VMGの再生管理にしたがった再生動作を行うが、読み込んだPIDを用いた各種の処理も可能となる。
【0127】
このような動作を実現するために、PIDをナビゲーションコマンドの形式で追記する具体例を、以下説明していく。
図30(a)はナビゲーションコマンドの構造を示している。ナビゲーションコマンドは8バイト固定長(ビットb0〜B63)とされ、2バイトのオペレーションコードと6バイトのオペランドセットから成る。
なおDVDフォーマットにおいてナビゲーションコマンドの構造は各種規定されているが、ここではPIDをDVDプレーヤのレジスタに取り込ませるためのナビゲーションコマンド(セットコマンド)についてのみ述べる。
【0128】
この場合、オペランドセットにおいてb0〜b15の2バイトはリザーブとされている。
b16〜b31の2バイトは代入値を示すSSとされる。
b32〜b47の2バイトはレジスタナンバを示すSDGとリザーブビットとされる。
この8バイトのナビゲーションコマンドが図30(b)のように、「71・00・00・03・FF・FF・00・00」の場合は次の意味となる。
2バイトのオペレーションコードが「71・00」であるときは、代入命令を意味する。
SDGが「03」であることは、「レジスタ番号3」を示す。
SSの「FF・FF」は代入値である。
従って、この図30(b)のナビゲーションコマンドは、「レジスタ番号「3」に「FF・FF」を代入せよ」という意味のコードとなる。
【0129】
このようなナビゲーションコマンドを利用することで、PIDを構成する1バイトをDVDプレーヤの所定のレジスタに取り込ませることができる。
例えば「71・00・00・03・FF・FF・00・00」のうち、下位4バイトの部分が、ECCブロックにおいてEDCと同列となるようにする。
そして下位3バイト「FF・00・00」の部分を追記マーク6により記録する。このとき、「FF」の部分は、実際にPIDを構成する或る1バイトの値に変換して追記する。
ナビゲーションコマンドの上位5バイト「71・00・00・03・FF」はエンボスピット列で記録する。但し、最後の「FF」は、追記エリア10の直前のシンボルとなるため、ポラリティ制御シンボル「54」に置き換えて、マスタリング(ピット列形成)を行う。
なお、マスタリング前にマスターデータとしての記録信号内で「FF」に置き換えてセットするポラリティ制御シンボル「54」の値は、スクランブル後に「54」となる値であることに注意されたい。つまり、光ディスク原盤192上で「54」のパターンとなるようにする。
ちなみに、スクランブルを掛ける処理も、スクランブルをほどく処理も、同じ計算で或る値とEX−OR演算することになる。
【0130】
具体的には図32のような記録を行う。
この図32には、図20の形式でPO補償シンボル「X」を配置する例に準拠したものとしている。
このECCブロックは、例えば図31の<移動後>のECCブロックBKbに相当するブロックとなり、例えばセクターSC(N)〜SC15に、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」が記録されるものとしている。
そして、PID追記は、セクターSC(M)で行うとする。
斜線を付した部分は、PID、EDC、PIパリティ、POパリティ等の追加情報の記録を行う部分である。
セクターSC(M)において追記されるPIDを構成するバイトを「●」で示している。これは3バイトで構成されるPIDをナビゲーションコマンド形式で追記する場合の一例である。なお図示の都合上、セクターSC(M)のみを他のセクターより拡大して示している。
セクターSC(M)において追記を行う各行では、EDCと同列の3バイトと、PIパリティ10バイトとの13バイトの追記を行うことになる。
【0131】
即ち、図30(b)のようにナビゲーションコマンドの下位4バイト部分「FF・FF・00・00」をEDC同列とし、これを「54・●・00・00」として記録すると、図32のようになる。EDCと同列の4バイトは、先頭がポラリティ制御シンボル「54」としてエンボスピット列で形成され、続くバイトで「●」としてPID構成値が追記される。続く2バイトは、ナビゲーションコマンド上でリザーブビットであり、将来的な使用を考慮すれば値の置き換えは不適切なため、「00・00」をそのまま追記する。
また、ナビゲーションコマンドにおける上位の4バイト、例えば図30(b)の「71・00・00・03」は、「54」の前の4バイトにエンボスピット列で形成する。
【0132】
このようにすることで、セクターSC(M)内で、1行につき1バイトのPIDを、ナビゲーションコマンド形式で記録できる。従って図示のように3行を用いれば、3バイトのPIDを追記できることになる。
【0133】
3バイトのPIDを書き込む場合、例えば図31のように3つのナビゲーションコマンドNV1、NV2、NV3を、それぞれ図32に各行に記録するようにすればよい。
ナビゲーションコマンドNV1は「71・00・00・00・54・WW・00・00」とする。
ナビゲーションコマンドNV2は「71・00・00・02・54・YY・00・00」とする。
ナビゲーションコマンドNV3は「71・00・00・04・54・ZZ・00・00」とする。
なお、WW、YY、ZZは3バイトのPIDの各値であるとする。
【0134】
例えばこのようなナビゲーションコマンドNV1、NV2、NV3が、図32のセクターSC(M)の3つの行に記録されたとすると、DVDプレーヤでは、これらのナビゲーションコマンドをリードすることで、図31のように値をレジスタに取り込むことになる。
ナビゲーションコマンドNV1はレジスタ番号「0」に「54・WW」をセットすることを指示するコマンドであるため、DVDプレーヤのレジスタ0に「54・WW」が取り込まれる。(但し「54」はこの段階ではデスクランブルされた値。以下同様)
ナビゲーションコマンドNV2はレジスタ番号「2」に「54・YY」をセットすることを指示するコマンドであるため、DVDプレーヤのレジスタ2に「54・YY」が取り込まれる。
ナビゲーションコマンドNV3はレジスタ番号「4」に「54・ZZ」をセットすることを指示するコマンドであるため、DVDプレーヤのレジスタ4に「54・ZZ」が取り込まれる。
この場合、DVDプレーヤ側では、各レジスタの下位バイトを取り出すことで、3バイトのPID=「WW・YY・ZZ」を認識できるようになる。
【0135】
以上のように、例えば図32の形式で、ナビゲーションコマンドにPID値を含む状態でディスクに記録できる。
すると、このコントロールデータファイルをアクセスしたDVDプレーヤは、PID値を取り込むことができ、PIDを用いた処理が実現可能となる。
【0136】
[7.追記に関するディスク製造段階の処理]
例えば図32のように、或るECCブロックに記録するコントロールデータファイル内で、ナビゲーションコマンドの形式でPIDを追記するようにする本例の光ディスクの製造段階の処理について説明する。
【0137】
図27で説明したように、VTSのコントロールデータファイル(例えばVTS#3の「VTS_03_0.IFO」)には、「VTSI_MAT」「VTS_PTT_SRPT」「VTS_PGCIT」「VTSM_PGCI_UT」・・・等の各種の情報が記述される。これらの情報はロジカルブロックアラインで配置される。そしてナビゲーションコマンドは、プログラムチェインの情報のテーブルである「VTS_PGCIT」内の「VTS_PGCI」へ記録される。ここで図27(d)に示したように、「VTS_PGCI」の直前に位置する「VTS_PGCI_SRP」の個数はVTSに含まれる「VTS_PGCI」の個数により決まる。また、各「VTS_PGCI」中の、図27(e)に示した「PGC_PGMAP」、「C_PBIT」、「C_POSIT」の有無や個数はタイトルの作り方に依存する。
これはナビゲーションコマンドを構成する8バイトのコマンド群「PGC_CMDT」を含む「VTS_PGCI」の開始位置がDVDタイトル毎に不定であることを意味する。
ここで、図32のように、或るECCブロックにおける或るセクター範囲(例えばセクターSC(N)〜SC15)にコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」を記録するとした場合、PID追記を行うナビゲーションコマンドのファイル内位置が問題となる。
即ち、ナビゲーションコマンドにおけるPID値を挿入する1バイト(図30(b)の下位から3バイト目の「FF」の位置)が、少なくともEDCと同列となるようにしなければならない。
このようにするためには、オーサリングの段階から工夫が必要となる。
【0138】
ナビゲーションコマンドは8バイトであり、ECCブロックの1行はPIパリティを除いて172バイトである。
8バイトのナビゲーションコマンドをECCブロック内に繰り返し記述したとして、1行の最後の8バイト、つまり165バイト目〜172バイト目に配置されるナビゲーションコマンドのパターンは次のパターンPT1〜PT8の8通りである。
例えばナビゲーションコマンドを「71・00・00・01・FF・FF・00・00」とすると、
・パターンPT1:「71・00・00・01・FF・FF・00・00」
・パターンPT2:「00・71・00・00・01・FF・FF・00」
・パターンPT3:「00・00・71・00・00・01・FF・FF」
・パターンPT4:「FF・00・00・71・00・00・01・FF」
・パターンPT5:「FF・FF・00・00・71・00・00・01」
・パターンPT6:「01・FF・FF・00・00・71・00・00」
・パターンPT7:「00・01・FF・FF・00・00・71・00」
・パターンPT8:「00・00・01・FF・FF・00・00・71」
となる。
ただし、規格上「VTS_PGCIT」を構成するデータはすべて2の倍数で構造定義されており(「PGC_PGMAP」のように1バイトデータでは要素数が奇数となるときはパディングして偶数にするとされている)、ナビゲーションコマンドがパターンPT2(PT6)、PT8(PT4)並びとなることはない。しかしここでは本方式の柔軟性を示すため、すべてのパターンについて検証する。
【0139】
EDCと同列となるのは169バイト目〜172バイト目の4バイトである。パターンPT1の場合、「FF・FF・00・00」の部分に相当する。
上述のように、「FF・FF」の部分をエンボスピット列による「54」と、追記マークによるPID値とすると、下位から3バイト目の「FF」が、少なくともEDCと同列になっていなければならない。
すると、その条件に合致するのは、パターンPT1,PT2,PT3,PT8の4つとなる。
【0140】
上述のようにナビゲーションコマンドを含む「VTS_PGCI」の開始位置は不定である。するとECCブロックの或る行において何バイト目からナビゲーションコマンド「PGC_CMDT」が記述されるかは不定である。しかし、1行が172バイトで、172バイトごとに追記可能な位置が出現することと、ナビゲーションコマンドが8バイトであることにより、172/8=21.5であるので、43個ナビゲーションコマンドを記述すれば、2行に1回は、EDC列の部分が、上記パターンPT1,PT2,PT3,PT8のいずれかとなることになる。
【0141】
図33で説明する。
図33(a)は、ECCブロック内の或る行r1において、仮に、第1バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。172バイトの1行には21.5個のナビゲーションコマンドが記述されるので、43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2の2行にわたって配置されることになる。
ここで、各行においてEDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT5になっており、行r2ではパターンPT1になっている。
すると、この場合、パターンPT1である行r2の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、図示しないが、行r1の9バイト目、17バイト目、25バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様に、行r2の最後の8バイトはパターンPT1となる。
【0142】
図33(b)は、ECCブロック内の或る行r1において、第2バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2,r3にわたって配置される。
ここで、EDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT6になっており、行r2ではパターンPT2になっている。
すると、この場合、パターンPT2である行r2の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、行r1の10バイト目、18バイト目、26バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様となる。
【0143】
図33(c)は、ECCブロック内の或る行r1において、第3バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2,r3にわたって配置される。
ここで、EDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT7になっており、行r2ではパターンPT3になっている。
すると、この場合、パターンPT3である行r2の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、行r1の11バイト目、19バイト目、27バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様となる。
【0144】
図33(d)は、ECCブロック内の或る行r1において、第4バイト目から、ナビゲーションコマンドを43個連続して記述した場合である。43個のナビゲーションコマンドは行r1,r2,r3にわたって配置される。
ここで、EDCと同列4バイトを含む最後の8バイト部分を見ると、行r1ではパターンPT8になっており、行r2ではパターンPT4になっている。
すると、この場合、パターンPT8である行r1の最後の8バイト部分をPID追記に用いることができる。
なお、行r1の12バイト目、20バイト目、28バイト目・・・からナビゲーションコマンドが連続して記述される場合も同様となる。
【0145】
例えば以上のように、或る行の何バイト目の位置からナビゲーションコマンドが記述される場合でも、43個連続して記述すれば、2行のうち1行は、その行の最後の8バイトがパターンPT1,PT2,PT3,PT8のいずれかとなる。
なお上記した図32は、パターンPT1となる行においてPID追記を行った場合の例となる。即ちパターンPT1の「71・00・00・01・FF・FF・00・00」の「FF・FF」を「54」と「●(PID値)」とし、「●(PID値)・00・00」をEDCと同列の3バイトに追記したときの例である。
【0146】
以上のことから、3バイトのPIDを追記する場合、オーサリング段階で、コントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」内に3種類のナビゲーションコマンドをそれぞれ43個連続して記述するようにしておけばよい。すると、マスタリングの段階で、特定の行のEDC同列を追記エリア10に設定し、追記工程でPID値を追記でいることになる。
【0147】
具体例で説明する。オーサリング段階でコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」内に記述する3種類のナビゲーションコマンドnv1,nv2,nv3を次のようにする。
nv1:「71・00・00・00・FF・FF・00・00」・・・(レジスタ0に「FF・FF」代入)
nv2:「71・00・00・02・FF・FF・00・00」・・(レジスタ2に「FF・FF」代入)
nv3:「71・00・00・04・FF・FF・00・00」・・(レジスタ4に「FF・FF」代入)
【0148】
そして或るECCブロックにおいて、図34のように、行r1の途中(例えば第153バイト目)からナビゲーションコマンドを記述するとする。
まずナビゲーションコマンドnv1を43個連続して配置する。続いてナビゲーションコマンドnv2を43個連続して配置する。さらに続いてナビゲーションコマンドnv3を43個連続して配置する。
その状態が図34に示されるものであるが、この場合、行r2の最後の8バイトは、ナビゲーションコマンドnv1についてパターンPT1となっている。
また行r4の最後の8バイトは、ナビゲーションコマンドnv2についてパターンPT1となっている。
さらに行r6の最後の8バイトは、ナビゲーションコマンドnv3についてパターンPT1となっている。
【0149】
オーサリング段階では、例えばこのような状態でマスターデータを作成する。そのマスターデータは、ディスク製造のため、図1のマスタリング工程に供される。
ここで、追記エリア10を形成するため、マスターデータの一部が書き換えられるようにする。
図35において行r2,r4,r6におけるAM部分は、その直後のPIパリティ部分を含めて、追記エリア10とされる部分である。従って図35のAM部分は、すべてランドとなる無変調信号値に変換する。
例えば図34の時点では「FF・00・00」であったものが「00・00・00」に変換される。
またAM部分の直前は、図34の時点では「FF」であるが、これをポラリティ制御シンボル「54」のシンボルに変換する。なお上述のようにマスターデータ上ではスクランブル後に「54」となる値に変換することになる。
【0150】
さらに、オーサリング段階で、ナビゲーションコマンドをそれぞれ43個連続させたことに対する処理を行う。
例えばこの図35では、AM部分のナビゲーションコマンドを、DVDプレーヤに読ませたいものとなる。ところが、オーサリング後のマスターデータの段階では、そのナビゲーションコマンドに後続して、同じナビゲーションコマンドが繰り返されている。例えば図34の行r1の第153バイト目から、行r3の第152バイト目まで、ナビゲーションコマンドnv1が配置されている。すると行r2の最後のナビゲーションコマンドnv1の部分でPID値をレジスタ「0」に読み込ませたとしても、行r3に続くナビゲーションコマンドnv1で、またレジスタ「0」に「FF・FF」を代入する命令が発生してしまい、レジスタ上で、一旦取り込んだPID値に上書きされてしまうことになる。
【0151】
そこで、図35の斜線部として示すように、後続するナビゲーションコマンドの書換を行う。例えば斜線部はナビゲーションコマンドのオペレーションコードとして「71」が記述されている部分であるが、これをNOP命令(無効命令:「何もしない」というコマンド)の値に書き換える。或はジャンプ命令としてもよい。例えば行r3におけるナビゲーションコマンドnv1によるオペレーションを、ナビゲーションコマンドnv2の記録開始位置(例えば行r3における第153バイト目)へのジャンプ指示に書き換える。
このように、AM部分以降も連続配置したナビゲーションコマンドを無効化することで、DVDプレーヤがAM部分を含むナビゲーションコマンドを読み込んだ後、PID値がレジスタに保存される状態とすることができる。
【0152】
以上のようにAM部分のランド化、ポラリティ制御シンボル「54」(スクランブル後に「54」となる値)への置き換え、後続ナビゲーションコマンドの命令変更という処理を、マスターデータに施した上で、図1で説明したマスタリング工程を行う。
そして成形成膜工程、貼り合わせ工程を経ることで、上述したように追記エリア10が形成されたディスクが製造される。
この段階で、図32の斜線部が追記エリア10となっていることになる。
【0153】
追記工程では、図32に斜線部に追記マーク6の記録を行う。即ち、例えば図32のセクターSC(M)の3つの行の各第170〜172バイト目に「WW・00・00」「YY・00・00」「ZZ・00・00」を書き込む。もちろん、この際に、当該各行のPIパリティ、セクターSC(M)のEDC、及びPOパリティの追記も行う。
この時点で、図35に示すように、AM部分にそれぞれ「WW・00・00」「YY・00・00」「ZZ・00・00」が書き込まれたことになる。
即ち当該ECCブロック内のデータでは、オーサリング段階でナビゲーションコマンドnv1、nv2、nv3として記述されたものが、次のナビゲーションコマンドNV1、NV2,MV3のようになる。
NV1:「71・00・00・00・54・WW・00・00」・・・(レジスタ0に「54・WW」代入)
NV2:「71・00・00・02・54・YY・00・00」・・・(レジスタ2に「54・YY」代入)
NV3:「71・00・00・04・54・ZZ・00・00」・・・(レジスタ4に「54・ZZ」代入)
【0154】
従って、このように追記されたディスク(DVD)を再生するDVDプレーヤでは、図31で説明した動作が実現され、PID値を取り込めることになる。
【0155】
以上の、ディスク製造におけるナビゲーションコマンドによるPID書込のための処理をまとめると、図36のようになる。
ステップF101として、オーサリング段階で、ナビゲーションコマンドnv1、nv2、nv3を設定し、それぞれ43回連続配置するようにコントロールデータファイル「VTS_03_0.IFO」を作成する。つまりVTS#3のファイルデータとして、このようなコントロールデータファイルを含むマスターデータを作成する。
【0156】
ステップF102として、マスタリング工程の直前の段階で、ECCブロック内における追記位置を決定する。即ちナビゲーションコマンドが、上記パターンPT1,PT2,PT3,PT8のいずれかとなっている部分をPID追記位置として設定する。図35のAM部分を決定する処理である。
ステップF103で、追記位置(AM部分)のナビゲーションコマンドの値の書換を行う。即ち、AM部分をすべてランド相当の無変調信号値とする。またその直前バイトをポラリティ制御シンボル「54」となる値に置き換える。
ステップF104で、43回連続配置したうちの後続(AM部分以降)のナビゲーションコマンドの命令内容を書き換える。例えばNOP命令やジャンプ命令に書き換える。
【0157】
例えば以上のデータ置き換えを、図1の追記管理部160がマスターディスク191で供給されるマスターデータに対して行う。
その後ステップF105でマスタリング工程を行う。
またステップF106で成形成膜工程、ステップF107で貼り合わせ工程を行う。
最後にステップF108で追記工程として、PID値の追記と、必要部分のPIパリティ、EDC、及びPOパリティの追記を行う。
以上の手順で、本実施の形態の再生専用型光ディスク(DVD)が製造される。
【0158】
なお、図32,図34,図35は、或る行の最後でナビゲーションコマンドが上記パターンPT1となる場合を例に挙げて説明したが、パターンPT2,PT3,PT8となる場合の例を以下に示す。
或る行の最後の8バイトがパターンPT2「00・71・00・00・01・FF・FF・00」となり、その部分でPID追記を行うこととする場合、図37のようになる。
即ち「FF・FF・00」が第170〜172バイト目となるため、第170バイトに位置する「FF」をポラリティ制御シンボル「54」とする。そして第171,172バイト目に位置する「FF・00」を無変調信号に変換して追記エリア10を形成する。
従って追記マーク記録部分は、セクターSC(M)の所定行においては、2バイト+PIパリティ10バイト=12バイトとなる。2バイトの追記部分には、例えばPID値「WW」と「00」等を追記する。
【0159】
或る行の最後の8バイトがパターンPT3「00・00・71・00・00・01・FF・FF」となり、その部分でPID追記を行うこととする場合、図38のようになる。
即ち「FF・FF」が第171〜172バイト目となるため、第171バイトに位置する「FF」をポラリティ制御シンボル「54」とする。そして第172バイト目に位置する「FF」を無変調信号に変換して追記エリア10を形成する。
従って追記マーク記録部分は、セクターSC(M)の所定行においては、1バイト+PIパリティ10バイト=11バイトとなる。1バイトの追記部分には、例えばPID値「WW」等を追記する。
【0160】
或る行の最後の8バイトがパターンPT8「00・00・01・FF・FF・00・00・71」となり、その部分でPID追記を行うこととする場合、図39のようになる。
即ち「FF・FF・00・00・71」が第168〜172バイト目となる。このときは、第168バイトに位置する「FF」をポラリティ制御シンボル「54」とする。そして第169バイト〜172バイト目に位置する「FF・00・00・71」を無変調信号に変換して追記エリア10を形成する。
従って追記マーク記録部分は、セクターSC(M)の所定行においては、4バイト+PIパリティ10バイト=14バイトとなる。4バイトの追記部分には、例えばPID値「WW・00・00・qq」等を追記する。qqの部分は、後続のナビゲーションコマンドの一部となるため、例えばNOP命令値等を追記するようにすればよい。
【0161】
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、例えば通常のDVDプレーヤによってPID等の追加的付加情報を読み込ませることができる。
また、上記の製造方法により、容易かつ適切にナビゲーションコマンドを利用してPID等を追記した光ディスクを製造できる。
【0162】
なお、図32等の例では、3バイトのPIDを記録する場合を例に挙げたが、「VTS_PGCI」を複数使用することで4バイト以上の追加的付加情報の記録を行うことももちろん可能である。
また、実施の形態ではDVD方式の再生専用型光ディスク90として、本発明を実現した例を述べたが、他のディスク方式の再生専用型光ディスク媒体及び製造方法としても、そのデータフォーマットに応じて本発明の考え方を適用できる。
さらに、再生専用型光ディスク媒体に限られず、色素膜が形成され、色素変化マーク列によりデータ記録が行われるライトワンス型光ディスクや、相変化膜が形成され相変化マークによりデータ記録が行われるリライタブル型光ディスクなどにおける、追加的付加情報を含む追加情報の記録においても好適である。
【符号の説明】
【0163】
2 ピット、3 ランド、4 反射膜、5 接着剤、6 追記マーク、10 追記エリア、90 再生専用型光ディスク、150 追加情報記録装置、197 貼り合わせ済光ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクであって、
少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットの記録データについて、或るエラー訂正ブロックでは、そのエラー訂正ブロック内の位置として上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置が設定されている記録データに基づいて上記ピット列が形成されるとともに、
上記ピット列が形成されないエリアに、少なくとも、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報が、追記マーク及びランドから成る追記マーク列で記録されており、
さらに上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録されている再生専用型光ディスク。
【請求項2】
上記データフォーマットは、DVD方式の再生専用型光ディスクのデータフォーマットであり、
上記コマンド情報は、DVD再生装置に上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するナビゲーションコマンドである請求項1に記載の再生専用型光ディスク。
【請求項3】
上記追記マーク列が形成されるエラー訂正ブロックは、ディスク上の固定の半径位置に記録されるデータファイルに含まれるエラー訂正ブロックである請求項1に記載の再生専用型光ディスク。
【請求項4】
エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクの製造方法であって、
少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットにおける或るエラー訂正ブロック内で、上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置を設定し、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報を記録するための追記エリアが形成される状態で、上記ピット列を形成された追記前ディスクを製造する追記前ディスク製造工程と、
上記追記前ディスク製造工程で製造された上記追記前ディスクにおける上記追記エリアに、上記追加情報の記録を行い、上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録された再生専用型光ディスクを製造する追記工程と、
が行われる再生専用型光ディスク製造方法。
【請求項5】
上記追記前ディスク製造工程では、上記追記エリアに上記追加的付加情報を記録することで、上記コマンド情報の記録データ列が形成されるように、上記コマンド情報の一部を上記ピット列により形成する請求項4に記載の再生専用型光ディスク製造方法。
【請求項6】
上記追記前ディスク製造工程では、上記ピット列は、光ディスク上で反射膜が被覆された凹凸形状として形成されるとともに、上記追記エリアは反射膜が被覆された平面形状領域として形成され、
上記追記工程では、上記追加情報は、上記追記エリアの反射膜を消失又は減少させて形成する追記マークと反射膜が被覆された平面部としてのランドによる追記マーク列により記録する請求項4に記載の再生専用型光ディスク製造方法。
【請求項1】
エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクであって、
少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットの記録データについて、或るエラー訂正ブロックでは、そのエラー訂正ブロック内の位置として上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置が設定されている記録データに基づいて上記ピット列が形成されるとともに、
上記ピット列が形成されないエリアに、少なくとも、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報が、追記マーク及びランドから成る追記マーク列で記録されており、
さらに上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録されている再生専用型光ディスク。
【請求項2】
上記データフォーマットは、DVD方式の再生専用型光ディスクのデータフォーマットであり、
上記コマンド情報は、DVD再生装置に上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するナビゲーションコマンドである請求項1に記載の再生専用型光ディスク。
【請求項3】
上記追記マーク列が形成されるエラー訂正ブロックは、ディスク上の固定の半径位置に記録されるデータファイルに含まれるエラー訂正ブロックである請求項1に記載の再生専用型光ディスク。
【請求項4】
エンボスピット及びランドから成るピット列により情報が記録される再生専用型光ディスクの製造方法であって、
少なくとも主データと、エラー検出コードと、エラー訂正用パリティが含まれるn行m列のエラー訂正ブロックが形成されるデータフォーマットにおける或るエラー訂正ブロック内で、上記エラー検出コードの配置位置と同列となる位置に追加的付加情報の配置位置を設定し、上記追加的付加情報と、上記追加的付加情報の記録に応じて記録が必要なエラー検出コード及びエラー訂正用パリティとを含む追加情報を記録するための追記エリアが形成される状態で、上記ピット列を形成された追記前ディスクを製造する追記前ディスク製造工程と、
上記追記前ディスク製造工程で製造された上記追記前ディスクにおける上記追記エリアに、上記追加情報の記録を行い、上記追記マーク列と上記ピット列とにより、上記追記マーク列で記録された上記追加的付加情報を再生装置に読み込ませることを指示するコマンド情報が記録された再生専用型光ディスクを製造する追記工程と、
が行われる再生専用型光ディスク製造方法。
【請求項5】
上記追記前ディスク製造工程では、上記追記エリアに上記追加的付加情報を記録することで、上記コマンド情報の記録データ列が形成されるように、上記コマンド情報の一部を上記ピット列により形成する請求項4に記載の再生専用型光ディスク製造方法。
【請求項6】
上記追記前ディスク製造工程では、上記ピット列は、光ディスク上で反射膜が被覆された凹凸形状として形成されるとともに、上記追記エリアは反射膜が被覆された平面形状領域として形成され、
上記追記工程では、上記追加情報は、上記追記エリアの反射膜を消失又は減少させて形成する追記マークと反射膜が被覆された平面部としてのランドによる追記マーク列により記録する請求項4に記載の再生専用型光ディスク製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図6】
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【図24】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図6】
【公開番号】特開2011−14180(P2011−14180A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154930(P2009−154930)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】
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