説明

再生紙を含むテープ

再生消費財廃棄物(PCW)紙を含むクレープ紙裏材を有するマスキングテープ。紙裏材は少なくとも約30重量%のPCW紙を含有し、少なくとも40重量%の増加した乾燥含浸剤負荷量を選択することにより、PCW非含有マスキングテープの、望ましい縦引き裂き耐性を保持する。これにより、少なくとも40グラム重量(gf)(0.4N)の横方向(CD)引き裂き値が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレープ紙裏材を用いて製造される感圧性接着剤テープ(例えばマスキングテープ)に関する。詳細には、本発明は、望ましい物理的性質を保持しつつ、クレープ紙裏材の構成成分として再生消費財廃棄物(PCW)紙を含むテープに関する。
【背景技術】
【0002】
紙裏材は、多くの感圧性接着剤テープに慣例的に使用される。紙は、紙繊維を互いに結合して紙の強度を上げ、それによりテープが分裂したり層状に剥離したりする傾向を低減することができる材料で浸透させることができる。感圧性接着剤は、典型的には紙シートの片側に塗布され、一方剥離剤コーティングは、典型的には反対側に塗布される。剥離剤コーティングのベースとして紙の片側にバリア層を塗布でき、接着剤の付着を促進するため、紙のもう一方側にプライマーを任意に塗布してよい。続いて、コーティングされたシートを巻き、ロール状に切断して接着剤テープを形成する。
【0003】
多くの用途において、テープに延伸性があり、テープの最低剛性を備えつつ柔軟性があることが重要である。例えば、湾曲した、不規則な形状の表面を覆うのに用いるテープは、好ましくは破断することなく、そのような表面にぴったり一致する。延伸性及び柔軟性があることに加え、表面を覆うのに必要とする接着剤及び剥離剤コーティング量を最小限にし、マスキングテープの縁部下での(例えば塗装の)漏出を最低限にするために、このようなテープが比較的滑らかな表面を有することが好ましい。また、改善された塗装縁部をもたらすようできるだけ薄いテープも望ましい。
【0004】
従来、テープの伸展性及び柔軟性は、含浸剤を塗布する前又は後のいずれかに、紙ウェブに隆起部を付与するためにクレーピングブレードを用い、テープ裏材に使用される紙を機械的にしわ形成することにより達成されている。例えば、米国特許第2,214,006号(Ziegler)を参照されたい。伸展性の程度は、ゴム樹脂含浸剤を添加し、クレープ加工された裏材の繊維を結合することにより、更に制御できる。例えば、米国特許第2,410,078号(Kellgren)を参照されたい。
【0005】
塗装後に表面からマスキングテープを外すとき、縁部引き裂き(「縦引き裂き」としても知られる)の数が最も少なく、テープの迅速な除去を容易にすることが望ましい。縦引き裂きの割合は、紙裏材の横方向(CD)引き裂き強さと相関することが知られており、CD引き裂き値が高いほど、縦引き裂き率の低減につながる。
【0006】
更に、マスキングテープに用いられるクレープ紙裏材が、大量生産を可能にする製造設備で製造できることが重要である。紙供給業者、並びにテープ製造施設の製造設備で要求される物理的性質を、考慮しなければならない。例えば、不十分な縦方向(MD)引き裂き強さ又は横方向(CD)引き裂き強さは、紙の破断と、設備の詰まりの原因となる。したがって、紙の物理的性質に影響を及ぼす変更を行うとき、設備の要件を考慮することが重要である。
【0007】
再生紙材料を一定量で含む紙製品は、環境保護の観点から望ましく、消費者の需要がある。したがって、クレープ紙裏材に一定割合の再生消費財廃棄物(PCW)パルプを含む、マスキングテープ組成物を製造することが望ましいだろう。再生紙製品として表示されるためには、一般には少なくとも30%の再生繊維含量が必要である。製品の環境に優しいという魅力を増すためには、製品中の化学物質の使用、特に溶媒系含浸剤の使用を削減又は排除することが更に望ましいであろう。
【0008】
歴史的に、マスキングテープの製造に用いられるクレープ紙は、紙特性に対する厳しい基準を使用して、バージンさらしパルプ、半ざらしパルプ、及び未ざらしパルプから製造されている。異なる種によるパルプは加工性及び物理的性質が顕著に異なる原因となるため、紙製造に用いられる木の種類、及びパルプの地理的源でさえも、厳重に機密にされている。したがって業界では、テープ裏材用クレープ紙に任意の量のPCWパルプを含有することは、最終製品特性に対して好ましくないと考えられている。PCWを含有するクレープ紙が、必要とされる物理的性質、例えば、MD及びCD引き裂き強さ、含浸剤取り込み、伸長などを有するかどうかは不明である。ゆえに、PCW含有クレープ紙を含む市販のテープ製品はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、消費者が望む特性、特に低い縁部引き裂き発生率、及び大量生産に必要な特性を維持する、クレープ紙裏材内に再生PCWパルプを含む改良されたマスキングテープ組成物の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、マスキングテープ組成物であって、紙の乾燥重量に基づき少なくとも約30重量%の量で消費財廃棄物(PCW)パルプを含むクレープ紙と、紙に吸収され、飽和紙を形成する、マスキングテープ内での使用に好適なポリマー含浸剤と、飽和紙の第1の側面上の接着剤と、飽和紙の第1の側面の反対側の第2の側面上の剥離剤と、を含み、飽和紙は、紙の乾燥重量に基づき少なくとも40重量%の負荷量の乾燥含浸剤を有し、少なくとも40gf(0.4N)の横方向(CD)引き裂き値を有する、マスキングテープ組成物が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によると、マスキングテープ組成物であって、紙の乾燥重量に基づき少なくとも約30〜50重量%の量で消費財廃棄物(PCW)パルプを含むクレープ紙と、紙に吸収され、飽和紙を形成する、ポリマー含浸剤と、飽和紙の第1の側面上の接着剤と、飽和紙の第1の側面の反対側の第2の側面上の剥離剤と、を含み、飽和紙は、紙の乾燥重量に基づき少なくとも40〜60重量%の負荷量の乾燥含浸剤を有する、マスキングテープ組成物が提供される。
【0012】
本発明のマスキングテープ組成物は、飽和後、クレープ紙裏材の一方の主表面の少なくとも一部上に接着剤をコーティングすることにより調製してよい。接着剤の裏材への付着を促進するため、裏材にプライマーを任意に塗布してよい。接着剤が裏材の側面の片方だけにコーティングされるとき、シートをロール形状で分配できるように、接着剤の反対側の裏材上に剥離剤コーティングを任意に用いてよい。剥離剤コーティングのベースとして裏材にバリア層を塗布することもできる。また、剥離ライナーを任意に含み、接着剤表面を保護してもよい。マスキングテープは、好ましくは大量生産用の製造設備を用いて製造される。
【0013】
本発明の更に別の態様によると、ワークピース表面を覆い、表面の第1の領域の塗装を容易にする方法が提供される。この方法には、本発明のマスキングテープを表面の第2の領域に適用する工程が含まれる。この方法により、望ましくは、異なる乾燥含浸剤負荷量を有する他の同等のテープ組成物(特に紙のPCW含量に関連して)と比較して、塗装後の表面から剥がす際にテープ組成物の縁部引き裂きの数が減少する結果となる。
【0014】
有利には、本発明は、所望の物理的性質、特にCD引き裂き及び縁部引き裂きの発生率を保持しつつも、少なくとも約30%のPCWパルプをクレープ紙裏材に含むマスキングテープ組成物を提供する。
【0015】
本発明について要約したが、これから、本発明の好ましい実施形態について、添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】PCW非含有対照に対して、30重量% PCW含有紙の様々な品質管理パラメーターについての比較。
【図2a】PCW非含有対照と比べて、2種類の異なる含浸剤負荷量で30重量% PCW紙を含むテープについて、3日間のガラス接着試験の結果。
【図2b】図2aに示すテープについて、3日間巻き戻し試験の結果。
【図2c】図2aに示すテープについて、引張り試験の結果。
【図2d】図2aに示すテープについて、伸長試験の結果。
【図3】異なる含浸剤負荷量を有する紙のロットについて、記載される縦引き裂き試験を用いた縁部引き裂き数。
【図4】紙の種類に対するグラム重量(gf)(N)で表したCD引き裂きのプロットを示しており、エラーバーは平均に対する95%信頼区間(CI)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましくは、クレープ紙裏材に用いられる紙は、35〜60g/m2(又はgsm)、より好ましくは42〜50g/m2、例えば約42、45、又は50g/m2の乾燥坪量を有する。この紙は、本質的にセルロース繊維からなってよい。あるいは、他の繊維、充填剤、着色剤など、当該技術分野において既知のものなどを含有してよい。紙は、4〜20%、好ましくは5〜18%、より好ましくは6〜14%の破断点伸びを有してよい。紙の厚さは、3〜7ミル(0.08〜0.18mm)であってよい。
【0018】
クレープ紙は、クレープ紙の製造に用いるのに好適な消費財廃棄物(PCW)パルプを紙の乾燥重量に基づき、少なくとも約30重量%含む。PCWパルプは、さらし又は半ざらしである。30% PCWで製造された紙は、好ましくは以下の典型的な特性、すなわち、45gsmの公称坪量、厚さ目標4.1ミル(0.10mm)、1枚重ね100ccの気孔率目標1.25秒、MD引張り目標14.5ポンド/インチ(2.59kg/cm)、MD伸長目標11%、MD湿潤引張り目標3.1ポンド/インチ(0.55kg/cm)、及びCD引張り6.4ポンド/インチ(1.14kg/cm)を有する。製紙の観点から言えば結局のところ、紙中のPCWパルプ量が増えると、紙が製造設備で製造できる速度が低減するといった、好ましくない物理的性質につながる。したがって、大量生産に好適なクレープ紙は、好ましくは紙の乾燥重量に基づき最大約50重量%の消費財廃棄物(PCW)パルプを含むことがわかっている。再生材料の性質により、正確かつ一貫した特徴づけを困難にすることは当業者によって理解され、したがってこの文脈においては、用語「約」は、PCW含有材料の製造及び測定許容誤差、例えば紙の乾燥重量に基づき+/−2〜3重量%の許容範囲を含むことを意味する。
【0019】
ポリマー含浸剤は、製造中にクレープ紙裏材に吸収される、又は浸透する。含浸剤は、好ましくは、約10℃未満、及びより好ましくは約0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。好適な含浸剤として、例えば、合成又は天然イソプレン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、粗ゴム、アクリレート、可塑化エラストマー、又は好適な繊維滑りを提供するエラストマーの組み合わせが挙げられる。テープ組成物の環境に優しい特徴を強めるために、溶媒系含浸剤よりも水系含浸剤を使用することが好ましい。ラテックスゴム含浸剤は、水系含浸剤の種類の一例である。好ましい含浸剤は、ラテックスSBR含浸剤である。
【0020】
含浸剤は、PCW含有クレープ紙と従来のクレープ紙との間のCD引き裂き強さの差を、縦引き裂きにおいて有意差がみられない量まで縮めるのに好適な量で提供される。経費を節減するために含浸剤負荷量を最小限に削減することが、経済的観点から好ましい。更に、溶媒系か水系かといった含浸剤の選択は、必要とされる含浸剤負荷量並びにコストに影響を及ぼす。大量生産において、水系含浸剤における経済的な含浸剤負荷量は、典型的には、紙の乾燥重量に基づき60%未満である。
【0021】
しかしながら、驚くべきことに、本発明では、一定の最小値を超える少なくとも水系含浸剤における含浸剤負荷量は、紙の所望の物理的性質、特にCD引き裂き強さに対して重大な影響を及ぼすことが見出されている。したがって、本発明に関連して、紙の乾燥重量に基づき少なくとも40重量%、より好ましくは紙の乾燥重量に基づき少なくとも46重量%の好ましい含浸剤負荷量が用いられる。紙の乾燥重量に基づき最大60重量%の含浸剤負荷量を用いることもできるが、好ましい範囲は、乾燥紙の重量に基づき40〜60重量%、より好ましくは乾燥紙の重量に基づき46〜52重量%である。
【0022】
消費者の観点から言えば、テープ組成物は、人造壁板表面に接着させた後の縁部引き裂きが最低限であることが望ましい。縁部引き裂きの発生率は、飽和紙のCD引き裂き強さに相関する。少なくとも40グラム重量(gf)(0.4N)、好ましくは(preferrably)少なくとも44gf(0.43N)のCD引き裂き強さを有する飽和PCW含有紙は、所望の縁部引き裂き性能を得るのに好適であることが実験的に確認されている。この結果は、同程度の縦引き裂き性能を実現する飽和した従来の(PCW非含有)クレープ紙のCD引き裂き強さが、飽和PCW紙よりも統計的に有意に高いという点において驚くべきことである。したがって、同程度の縦引き裂き性能は、従来の紙よりも低いCD引き裂き強さの飽和PCW含有紙を用いて実現できる。
【0023】
本発明のテープ及びアセンブリの調製に有用な接着剤として、溶媒、熱、又は放射線活性化系などの感圧性接着剤及び非感圧性接着剤が挙げられる。感圧性接着剤(PSA)は、本発明で用いるのに好ましい種類の接着剤である。PSAは、通常は室温で粘着性があり、多くは軽く指で圧迫することにより、表面に接着できる。
【0024】
有用な接着剤は、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ジエン含有ゴム(例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、及びポリイソブチレン)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ブタジエンアクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、ブロックコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー、並びにスチレン−ブタジエンポリマー)、ポリ−αオレフィン、非晶質ポリオレフィン、シリコーン、エチレン含有コポリマー(例えば、エチレンビニルアセテート、エチルエチルアクリレート、及びエチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドンコポリマー、ポリエステル、並びにこれらの混合物の、組成物に基づくものであってよい。有用な感圧性接着剤の一般的な説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley−Interscience Publishers(New York,1988)に見つかる場合がある。有用な感圧性接着剤の更なる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers(New York,1964)に見つかる場合がある。
【0025】
本発明のテープ組成物に特に好適なPSA組成物は、エラストマー成分と、粘着付与樹脂成分と、を含み、粘着付与成分は、100重量部のエラストマー成分に対し約20〜約300重量部、好ましくは約50〜約150重量部の量で存在する。好ましいPSAとして、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)の両方、又はこれらの混合物を含む、アクリレート又はゴム樹脂であるエラストマー成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明のテープ組成物及びアセンブリを形成するため、裏材に接着剤を移し、かつ裏材により接着剤を保持する結果となる任意の方法によって、裏材紙の第1の側面に接着剤を塗布することができる。例えば、溶媒コーティング、水由来のエマルションコーティング、ホットメルトコーティング、又は任意の他の好適なコーティング法によって、接着剤を紙裏材に塗布してよい。また、例えば、熱、eビーム、又は紫外線(uv)硬化などの任意の従来の方法により、接着剤を硬化してもよい。
【0027】
テープ組成物をロール形状で分配できるように、接着剤の反対側の裏材紙の第2の側面上で剥離剤を任意に用いてもよい。剥離剤又は剥離剤コーティングは、感圧性接着剤により強く接着されない表面を提供する。従来の感圧性接着剤の剥離剤コーティングは、長鎖アルキル基、例えばオクタデシルイソシアネート又はオクタデシルアクリレートに基づく。他の剥離剤コーティングは、フルオロカーボン、有機シリコーン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、又はメラミン材料を含む。剥離剤コーティングは、典型的には、裏材平方メートルあたり0.01〜2.0グラムの重量範囲で塗布される。
【0028】
剥離剤コーティングの塗布前にバリア層を塗布してよい。バリア層は、好ましくは、コーティングされた裏材に、ある程度の溶媒耐性を与える。バリア層は、−5℃〜75℃のガラス転移温度(Tg)を有するエラストマーを含んでよい。有用なバリア層として、アクリレート、ポリエステル、スチレンブタジエン、スチレンブタジエンアクリロニトリル、メラミン、ポリアミド、又は尿素ホルムアルデヒド樹脂に基づくものが挙げられる。バリア層は、典型的には、裏材平方メートルあたり2〜10グラムの重量範囲で塗布される。あるいは、熱可塑性層をバリア層として用いてよい。これらの材料の代表例として、ポリアミド(例えばナイロン)及びポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリ−4−メチルペンテン、及び他のポリオレフィン)、ポリスチレン、ポリエステル、コポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、コポリマー(例えばエチレン/プロピレンコポリマー、プロピレン/ブチレンコポリマー、エチレン/プロピレン/ブチレンコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、及びエチレン/ブチルアクリレートコポリマー)、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性ゴムブロックコポリマー、並びにこれらの配合物及び混合物が挙げられる。
【0029】
接着剤の塗布前に、プライマーコーティングを裏材紙に塗布してよい。プライマー組成物は、反応性及び/又は非反応性であり、並びに充填剤である樹脂と配合される、天然ゴム、SBR、若しくはネオプレンゴム、又はこれらの混合物を含んでよい。プライマーコーティングは、典型的には、裏材平方メートルあたり2〜8グラムの重量範囲で適用される。
【0030】
最終テープ組成物の厚さは、0.01〜1mm、0.05〜0.5mm、又は0.10〜0.20mmの範囲であってよい。このような薄いシートが、マスキング用途において改善された塗装縁部をもたらす。
【0031】
本発明によるマスキングテープ組成物を、ロール状で、又は接着剤シートとして提供してよい。ロール状で提供されるとき、テープの幅は約0.5〜約20cmであってよく、約2〜約10cmの内径を有する紙ロール又はプラスチックロールで提供されてよい。接着剤シートとして提供されるとき、湾曲した及び/又は非平面的な表面への適用を促進するために、シートをダイカットしてよい。通常は、積み重ね、輸送、及び取り扱いを容易にするために、接着剤シートは剥離ライナーと共に提供される。
【0032】
本発明の更なる実施形態及び特徴について、ここで以下の実施例を参照して説明するが、これらは非限定的な意味と解釈されることを意図する。
【実施例】
【0033】
実施例1−紙特性の比較
紙の供給元により試験が実施され、製造プロセスに悪影響を与えずに、どの程度PCWパルプがクレープ紙に組み込むことができるかが決定された。紙の乾燥重量に基づき最大約50重量%のPCWパルプが、設備性能に悪影響を与えずに組み込みできることが実験的に決定された。しかしながら、表示される要件に合致し、一方テープの大量生産設備及び最終製品特性への影響を最小限にするために、乾燥重量に基づく30重量%のPCW含量が選択された。
【0034】
乾燥紙重量に基づく30重量% PCWパルプを含有するクレープ紙を供給元から入手し、標準(PCW非含有)対照クレープ紙(対照1と呼ぶ)と比較した。品質管理の測定基準、すなわち、坪量(g/m2)、キャリパー厚さミル(mm)(TAPPI T−411)、気孔率(s)(TAPPI T−460)、MD伸長(%)(TAPPI T−494)、MD引張りポンド/インチ(kg/cm)(TAPPI T−494)、MD湿潤引張りポンド/インチ(kg/cm)(TAPPI T−456)、MD/CD引張り比(TAPPI T−494)について、カッコ内に示す標準法に従って、供給された状態の非飽和紙を試験した。これらの試験の結果は図1に示す。PCW含有紙は、全ての品質管理の測定基準について対照紙と同等の性能を有していた。
【0035】
実施例2−テープ特性
供給された状態の紙に対する当初の品質管理試験に合格したものについて、製造設備においてマスキングテープ組成物を30重量% PCW紙で製造し、標準的なテープ試験を行った。製品に環境に優しい面を強化するため、水系含浸剤のみを使用した。テープの組成を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
驚くべきことに、機械速度、設備の詰まり、PCW紙の飽和又はコーティングの点で、製造中に重要な問題は起こらなかった。これは、製造プロセスに対する紙の変更が及ぼす影響について、これまでの経験を反証するものである。
【0038】
上の表において含浸剤負荷量は、公称紙重量(45gsm)及び目標含浸剤重量を用い、以下の式により算出した。
含浸剤負荷量(%)=目標含浸剤重量(gsm)/公称紙重量(gsm)×100
【0039】
この計算法を適用して、裏材及び含浸剤重量の典型的変動を説明し、このような試験を実施する際に、当業者により用いられる方法を反映した。
【0040】
PCW含有テープと平行して、従来の紙(対照Aと呼ぶ)を用いて製造されたテープ組成物を検査した。最終テープ組成物における標準試験の結果を図2a〜2dに示す。目標値並びに仕様の上限及び下限値は、各図において横線で示す。テープを清浄なガラス基材に貼付し、サンプルを押し付けた後に、テープの接着値を決定した。サンプルを180°の角度、90インチ/分(2.2メートル/分)(ipm)の速度で剥がした。90ipmの速度におけるテープロールを巻き戻す抵抗力を測定することにより、ロール巻き戻り値を決定した。
【0041】
対照と比較すると、テープ組成物内にPCWを含めることにより、試験した全ての変数に対して影響があったが、試験したテープの特定のPCW含量及び含浸剤負荷量について、その影響は仕様限界を超えなかった。
【0042】
実施例3−縦引き裂き性能
これらの予備試験をうまく完了させた後、従来の裏材紙(対照Bと呼ぶ)で製造された対照テープに対して、様々なレベルの含浸剤負荷量で製造された30重量% PCW裏材を有するテープサンプルの縦引き裂き性能について比較した。アクリルラテックス含浸剤を使用した。含浸剤負荷量が縦引き裂き性能に影響を及ぼすと仮定したため、以前の試験よりも広い範囲の含浸剤量を試験した。試験したサンプルの特性を表2に示す。含浸剤量は乾燥紙重量に基づいて示す。
【0043】
【表2】

【0044】
「Wallboard Testing」という3Mの社内試験法に従ってテープを試験した。この試験は、人造壁板に対するマスキングテープの実際の適用を模したものである。試験手順には、プライマーを有する人造壁板の作製を必要とする。プライマーを乾燥させ、続いて白色ベースコートを塗布して乾燥させる。次いで、ベースコーティングに対して制御された方法でマスキングテープサンプルを貼付する。続いて、より濃色の塗装をマスキングテープ及びベース塗装上に塗布する。これを乾燥させる。4時間、8時間、24時間、及び72時間の定時に、マスキングテープの小区画を引っ張る。製造したマスキングテープの、塗装線の品質、人造壁板の引き裂き、及び任意の縁部引き裂きなど、接着測定及び目視観察を行う。典型的には、この評価では、4種類の異なる塗装組み合わせを用いる。
【0045】
縁部引き裂きの発生率について、特定の半光沢ラテックス塗装(Pittsburgh PaintsのSunproof Exterior(商標))を用いて、試験した4つのサンプル間の有意差を記録した。縁部引き裂きは、一般には当業者に「縦引き裂き」と呼ばれる。これらの結果を図3に示す。
【0046】
図3を参照すると、飽和量が上がるにつれて、縁部引き裂きの数が有意に下がることがわかる。ロット3サンプルは、8時間を超える任意の時間において、縁部引き裂きが許容できないほどの高値であった。少なくとも40重量%の含浸剤負荷量を有するロット2サンプルは、ロット3と比較して、縁部引き裂きの発生率が有意に低下することを示した。24時間において、縁部引き裂きの発生が1回であり、消費者に許容されやすいと考えられる。しかしながら、ロット2サンプルは、対照サンプルと同程度であったロット1よりも、72時間後の縁部引き裂き発生率が依然として高かった。72時間後の縁部引き裂きの発生が1回であることは好ましい性能基準であると考えられ、これは、含浸剤負荷量が少なくとも46重量%(46.4重量%の端数切り捨て)の30重量% PCW含有サンプルで達成された。
【0047】
実施例4−CD引き裂き
人造壁板試験でみられた結果に基づいて、追加試験を実施し、表2に示すロットB1及び対照Bサンプルに相当する飽和紙のCD引き裂き値を決定して非飽和紙と比較した。CD引き裂きは縦引き裂き性能と相関することが知られており、標準的なTAPPI法を用いて測定できる。
【0048】
本明細書で用いるとき、用語「CD引き裂き」は、TAPPI法T414に従ってElmendorf Tear Testerで測定される横方向引き裂き試験の結果の平均を意味する。TAPPI試験法T496(specimen preparation for cross directional internal tearing resistance for paper,paperboard and related materials)を、未加工紙サンプルの調製に使用した。
【0049】
CD引き裂きの結果を表3及び図4にまとめる。
【0050】
【表3】

【0051】
引き裂き結果は、対照とPCW含有サンプルとの間の平均CD引き裂きの差が、飽和前の17.6gf(0.17N)から飽和後の9.8gf(0.09N)まで減少したことを示す。これは統計的に有意な減少であった。CD引き裂きの差が減少したことは、選択した含浸剤負荷量において、PCW含有サンプルの縦引き裂きの可能性の低下が観察されたことと相関するように思われる。PCW含有サンプルの許容できる縦引き裂き性能において、少なくとも40gf(0.4N)、好ましくは少なくとも44gf(0.43N)(端数切り捨て)のCD引き裂きが必要とされることが、上記から決定できる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、一定の変化物及び等価物により、本発明が機能する方法から逸脱することなく本明細書に記載した要素を置換できることが、当業者には理解されるであろう。本明細書に記載される特徴の全てのサブコンビネーションが、たとえ明示的に特許請求されなかったとしても、特許請求される本発明の範囲に含まれ、ある実施形態に関連して記載される特徴が別の実施形態と共に利用され得ることが、発明者により意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスキングテープ組成物であって、
a.紙の乾燥重量に基づき少なくとも約30重量%の量で消費財廃棄物(PCW)パルプを含むクレープ紙と、
b.前記紙に吸収され、飽和紙を形成する、マスキングテープ内での使用に好適なポリマー含浸剤と、
c.前記飽和紙の第1の側面上の接着剤と、
d.前記飽和紙の第1の側面の反対側の第2の側面上の剥離剤と、を含み、
前記飽和紙は、紙の乾燥重量に基づき少なくとも40重量%の負荷量の乾燥含浸剤を有し、少なくとも40gf(0.4N)の横方向(CD)引き裂き値を有する、マスキングテープ組成物。
【請求項2】
前記紙が、紙の重量に基づき最大約50重量%の量でPCWパルプを含む、請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
前記含浸剤が、乾燥紙の重量に基づき少なくとも46重量%の乾燥含浸剤負荷量で前記紙に吸収される、請求項1又は2に記載のテープ。
【請求項4】
前記含浸剤が、乾燥紙の重量に基づき40〜60重量%の乾燥含浸剤負荷量で前記紙に吸収される、請求項1又は2に記載のテープ。
【請求項5】
前記含浸剤が、乾燥紙の重量に基づき46〜52重量%の乾燥含浸剤負荷量で前記紙に吸収される、請求項4に記載のテープ。
【請求項6】
前記含浸剤がラテックスゴムを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のテープ。
【請求項7】
前記テープが少なくとも44gf(0.43N)の横方向引き裂き値を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のテープ。
【請求項8】
前記クレープ紙が37〜55g/m2の坪量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のテープ。
【請求項9】
マスキングテープ組成物であって、
a.紙の乾燥重量に基づき約30〜約50重量%の量で消費財廃棄物(PCW)パルプを含むクレープ紙と、
b.前記紙に吸収され、飽和紙を形成するポリマー含浸剤と、
c.前記飽和紙の第1の側面上の接着剤と、
d.前記飽和紙の第1の側面の反対側の第2の側面上の剥離剤と、を含み、
前記飽和紙は、紙の乾燥重量に基づき40〜60重量%の乾燥含浸剤負荷量を有する、マスキングテープ組成物。
【請求項10】
前記テープが少なくとも40gf(0.4N)の横方向引き裂き値を有する、請求項9に記載のテープ。
【請求項11】
前記テープが少なくとも44gf(0.43N)の横方向引き裂き値を有する、請求項9に記載のテープ。
【請求項12】
前記含浸剤が、乾燥紙の重量に基づき46〜52重量%の乾燥含浸剤負荷量で前記紙に吸収される、請求項9〜11のいずれか一項に記載のテープ。
【請求項13】
前記含浸剤がラテックスゴムを含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のテープ。
【請求項14】
前記含浸剤がラテックスSBRゴムを含む、請求項13に記載のテープ。
【請求項15】
前記クレープ紙が37〜55g/m2の坪量を有する、請求項9〜14のいずれか一項に記載のテープ。
【請求項16】
ワークピース表面を覆い、前記表面の第1の領域の塗装を容易にする方法であって、前記表面の第2の領域にマスキングテープ組成物を適用する工程を含み、前記マスキングテープ組成物が、
a.紙の乾燥重量に基づき約30〜約50重量%の量で消費財廃棄物(PCW)パルプを含むクレープ紙裏材と、
b.前記紙に吸収され、飽和紙を形成するポリマー含浸剤と、
c.前記飽和紙の第1の側面上の接着剤と、
d.前記飽和紙の第1の側面の反対側の第2の側面上の剥離剤と、を含み、
前記飽和紙は、紙の乾燥重量に基づき40〜60重量%の乾燥含浸剤負荷量を有し、
該方法は、異なる乾燥含浸剤負荷量を有する他の同等のテープ組成物と比較して、塗装後に表面から剥がす際に前記テープ組成物の縁部引き裂き数が減少する結果となる、方法。
【請求項17】
前記テープが少なくとも40gf(0.4N)の横方向引き裂き値を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記テープが少なくとも44gf(0.43N)の横方向引き裂き値を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記含浸剤が、乾燥紙の重量に基づき46〜52重量%の乾燥含浸剤負荷量で前記紙に吸収される、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記含浸剤がラテックスゴムを含む、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516382(P2012−516382A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548271(P2011−548271)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/022309
【国際公開番号】WO2010/088322
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】