説明

再生表示性能にオートキャリブレーションを行うデジタルカメラシステムおよび方法

【課題】 デジタルカメラで撮影した画像をテレビに表示する際に、テレビの色再現性の影響を最小限にして安定した色バランスで表示可能とする。
【解決手段】 デジタルカメラ10内に保存されている画像データに基づくビデオ信号がケーブル54を介してテレビ51に出力され、標準テレビカラーバーなどのサンプル画像53がテレビ51に表示される。サンプル画像がデジタルカメラ10のレンズ41を介してデジタルカメラ10内に取り込まれ、表示されているサンプル画像53の色バランスがデジタルカメラ10内で解析される。デジタルカメラ10は、サンプル画像53の色バランスが最適になるようにビデオ信号を校正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、デジタルカメラおよび表示のキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは、確かに、充分発達してきており、写真を取り込んで、即座に写真をレビューできるようになっている。しかしながら、ますます多くのデジタルカメラが、デジタルカメラに保存された写真を友達や家族に見せるための共用装置として、しばしば用いられている。これは、デジタルカメラのビデオ出力ポートと、通常のテレビを用いて、行われることが多い。
【0003】
任意の主要な小売り業者(例えば、Wal−Mart、Circuit City、Best Buy)で買物をすると、どの2つのテレビとして同じものはないことが明らかである。これらの店に陳列されている多数のテレビを見て明らかであるように、色が大幅に異なることもあり、例えば、コントラストの調整を必要とすることがたびたびある。
【0004】
一般に、通常のテレビは、例えば、カラー性能(色再現性)、明るさ、コントラストの点で、著しく異なる。デジタルカメラに保存された写真またはビデオを見ているときに、できる限り、これらの変動を、キャリブレーションにより除くことが望ましいであろう。このような問題を扱う公知の従来ソリューションはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、1つのデジタルカメラの画像を異なる種類のテレビで再生したときであっても安定した色再現性、明るさ、コントラスト等が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、デジタルカメラをテレビに結合して、そのテレビに表示された画像を、協働して校正(補正、calibrate)し、かつ最適化するシステムおよび方法から成っている。このデジタルカメラは、ビデオ出力ポート、イメージセンサ、ディスプレイ、レンズ、処理回路を含む。このデジタルカメラは、テレビジョン・カラーバーを保存している。このデジタルカメラは、デジタルカメラからテレビに送られたビデオ信号を自動的に校正して、テレビが、できる限り良い画像を視聴者に見せるようにするのに利用されるユーザ・インターフェースを含むオートキャリブレーション・ファームウェア(自動校正ファームウェア、autocalibration firmware)(ソフトウェア・アルゴリズム)を有している。
【0007】
このファームウェアは、ユーザ・インターフェースを介して、デジタルカメラをテレビに向けるように、ユーザに指示する。このデジタルカメラは、表示されるカラーバーの画像を、出力ポートを介してテレビに出力する。イメージセンサは、それがテレビに向けられると、テレビに表示されたカラーバーの画像をとらえ、かつ、上記ファームウェアが、その撮像されたカラーバーの画像を自動的に検出する。このファームウェアは、最適な表示画像が得られるまで、テレビに出力されるビデオ信号を自動的に調整(校正)する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図を参照すると、図1Aおよび図1Bはそれぞれ、本発明の原理により実現される模範的なデジタルカメラ10の背面図(図1A)と前面図(図1B)である。図1Aおよび図1Bに示されるように、模範的なデジタルカメラ10は、グリップ部分20と本体部分30から成っている。グリップ部分20は、ロック・ラッチ22を有する電源ボタン21または電源スイッチ21、記録ボタン23、ストラップ連結部24、および、電池27を収納するための電池室26を含む。電池27は、デジタルカメラ10の底面47付近の開口を経て、電池室26に差し込まれることがある。
【0009】
図1Aに示されるように、本体部分30の背面31は、液晶ディスプレイ(LCD)32またはビューファインダ32、後部マイク33、ジョイスティック・パッド34、ズーム制御用ダイヤル35、カメラ10のファンクションをセットするための複数のボタン36、および、例えば、コンピュータに画像をダウンロードするためのビデオ出力ポート37を含む。図1Bに示されるように、ズームレンズ41は、デジタルカメラ10の前面42から突出する。測光素子43と前面マイク44は、デジタルカメラ10の前面42上に配置されている。ポップアップ式フラッシュ・ユニット45は、デジタルカメラ10の上面46付近に配置されている。
【0010】
イメージ・センサ11は、例えば、本体部分30の中に収められた処理回路12(破線を用いて図示される)に結合されている。処理回路12の模範的な実施形態は、マイクロコントローラ(μC)12または中央演算処理装置(CPU)12を含む。マイクロコントローラ(μC)12またはCPU12は、不揮発性(NV)記憶素子14と、例えばSDRAM(synchronous dynamic random access memory)15などの高速(揮発性)記憶素子15に結合されている。
【0011】
デジタルカメラ10内の処理回路12(マイクロコントローラ(μC)12またはCPU12)は、本発明の原理によるオートキャリブレーション・アルゴリズム13から成るファームウェア13を織り込んでいる。これは、図2と図3を参照して、さらに詳しく説明する。
【0012】
図2は、本発明の原理による模範的なシステム50を示している。模範的なシステム50は、テレビ51に結合されているデジタルカメラ10、例えば図1Aと図1Bを参照して説明されるデジタルカメラ10などを含む。テレビ51は、画面52を有する。デジタルカメラ10は、例えば、同軸ケーブルまたはコンポジット・ビデオケーブルなどのケーブル54を介して、テレビ51に結合される。
【0013】
本発明により、デジタルカメラ10は、処理回路12(マイクロコントローラ(μC)12またはCPU12)上で実行するオートキャリブレーション・ファームウェア13(すなわち、ソフトウェア・アルゴリズム13)を用いて実現されるユーザ・インターフェース55を含む。例えば、記憶された画像または写真とすることもできる標準テレビジョン・カラーバー53が、デジタルカメラ10に保存される。標準テレビジョン・カラーバー53は、例えば、不揮発性記憶素子14に記憶されることもある。
【0014】
オートキャリブレーション・ファームウェア13は、デジタルカメラ10からテレビ51に送られたビデオ信号を自動的に校正して、テレビ51が、できる限り良い画像を視聴者に見せるようにするよう設計されている。
【0015】
ファームウェア13は、ユーザ・インターフェース55を介して、デジタルカメラ10をテレビ51に向けるように、ユーザに指示する。このデジタルカメラ10は、テレビ画面52上に表示されるカラーバー53(の画像)を、出力ポート37を介してテレビ51に出力する。レンズ41とイメージセンサ11は、それらがテレビ51に向けられると、テレビ画面52上に表示されたカラーバー53(の画像)を捉え、かつ、ファームウェア13が、その映し出されたカラーバー53(の画像)を自動的に検出する。
【0016】
ファームウェア13は、カラーバー53の最適な表示画像が得られるまで、テレビ51に出力されたビデオ信号を自動的に調整する。この調整は、次の段落に述べられる。このようなオートキャリブレーション処置を完了すると、サンプル画像(例えば、保存されている写真の中から選択されたもの)を、テレビ画面52上でユーザに見せて、オートキャリブレーションの前に表示された画像からの変化を確認可能とすることもできる。
【0017】
これらの色をそれぞれ調整する。カメラ10における色は、普通、R、G、Bピクセル値で記憶される。或る時点で、このRGBデータは、TV標準YCbCrデータに変換される。このように、異なる色空間の間で変換する多くの標準的な方法がある。カラー・キャリブレーション・プロセスから得られたデータは、このような変換に際して様々なやり方で使用される。例えば、TV上の緑色をやや増したほうが良いような場合、この変換に際して、RGBの緑データの彩度増加がこの変換の前に行われるか、あるいは、YCbCr色空間内で緑色チャネルへの彩度増加がなされるであろう。この補正をYCbCrにおいて直接行うことは、これを達成する好適なやり方である。なぜなら、写真は、通常、このようにして記憶されるからである(.jpg画像は、YCbCrである)。同様に、赤色のカラーバーが、目標とするものよりも、黄色味を帯びて、またはオレンジ色味を帯びて見える場合には、この画像中のすべてのピクセルの赤色チャネルに、同一の調整を行って、テレビ51上でもっとも良く表現される赤色の値を、それぞれのピクセルに持たせることになろう。
【0018】
したがって、例えば、カラーバー53などの機構を使用し、かつ、デジタルカメラ10のレンズ41とセンサ11を使用することで、システム50のオートキャリブレーション、特に、テレビ51に供給されるビデオ信号のオートキャリブレーションを達成して、色、明度(輝度)を最適にし、かつ、できる限り良い写真・ビデオ共用体験を提供する。
【0019】
さらに、デジタルカメラ10のビデオ出力ポート37が、表示画像の(色味)変動の原因となる。本発明は、テレビに関係する変動をキャリブレーションにより除き、さらに同時に、ビデオ出力ポート37に起因する問題もキャリブレーションにより除く。一般に、ビデオ出力ポート37に起因するカメラ側の変動は、最小限であるか、あるいは、テレビに関係する変動と比較して無視できるとはいえ、それでも存在する。
【0020】
締めくくりの目的で、図3は、本発明の原理による模範的な方法60を示している。模範的な方法60は、以下のステップから成っている。
【0021】
レンズ41、イメージセンサ11、ディスプレイ32、ビデオ出力ポート37、処理回路12を含むデジタルカメラ10を用意する(61)。テレビ51を用意する(62)。デジタルカメラ10を、例えば、その出力ポート37とケーブル54を使用して、テレビ51に結合する(63)。標準テレビジョン・カラーバー53が、デジタルカメラ10に保存される(あるいは予め保存されている)(64)。
【0022】
処理回路12上で実行するオートキャリブレーション・ファームウェア13を実行させるようにデジタルカメラ10を設定する(65)。オートキャリブレーション・ファームウェア13を起動する(66)と、オートキャリブレーション・ファームウェア13は、デジタルカメラ10をテレビ51に向けるように、ユーザに指示し(67)、テレビ51上にカラーバー53を表示し(68)、テレビ51上に表示されたカラーバー53(の画像)を、イメージセンサ11で撮像し(69)、その撮像されたカラーバー53(の画像)を検出し(70)、さらに、デジタルカメラ10からテレビ51に送られるビデオ信号を自動的に校正して(71)、テレビ51上のできる限り良い画像を視聴者に見せる。必要に応じてさらに、サンプル画像をテレビ51上でユーザに対して表示する(72)こともできる。
【0023】
このように、例えば、カラーバーなどの手法を使用し、かつ、デジタルカメラのレンズとセンサを使用することで、ビデオ信号のオートキャリブレーションを容易に達成して、色、明るさを最適にし、かつ、できる限り良い写真・ビデオ共用体験を提供する。
【0024】
本発明によって提供される利点は、このソリューションが、全てのテレビに対して、まったく同一のビデオ信号を使用する公知のどのような従来ソリューションよりも優れた色再現を、所与のテレビに提供する点である。
【0025】
以上に説明したように、再生表示と再生性能に対してオートキャリブレーションを行うデジタルカメラおよび方法が開示されている。上述の実施形態は、本発明の原理の応用例を表わす多くの特定の実施形態の一部を単に例示したものにすぎないと解されるべきである。本発明の範囲から逸脱しなければ、当業者は、多数および他の構成を容易に案出できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】本発明の原理によるシステムに使用できる模範的なデジタルカメラの背面図である。
【図1B】本発明の原理によるシステムに使用できる模範的なデジタルカメラの前面図である。
【図2】本発明の原理による例示的なシステムを示す。
【図3】本発明の原理による例示的な方法を示す。
【符号の説明】
【0027】
10 デジタルカメラ
11 イメージセンサ
12 処理回路
13 オートキャリブレーション・ファームウェア
14 不揮発性記憶素子
15 SDRAM
32 ディスプレイ(ビューファインダ)
37 ビデオ出力ポート
41 レンズ
50 システム
51 テレビ
53 テレビジョン・カラーバー(サンプル画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ、イメージセンサ、ディスプレイ、ビデオ出力ポート、および処理回路を具備するデジタルカメラと、
前記デジタルカメラに保存されているテレビジョン・カラーバーと、
前記デジタルカメラに接続されるテレビと、
前記デジタルカメラを前記テレビに向けるようにユーザに指示し、前記テレビ上に前記カラーバーの画像を表示し、前記テレビ上に表示された前記カラーバーの画像を撮像し、前記撮像されたカラーバーの画像を検出し、前記デジタルカメラから前記テレビに送られる前記ビデオ信号を自動的に校正して、前記テレビ上のできる限り良い画像を見せるようにする、前記処理回路上で実行するオートキャリブレーション・ファームウェアと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記オートキャリブレーション・ファームウェアが、前記テレビ上にサンプル画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記テレビジョン・カラーバーが、記憶されている画像からなることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記デジタルカメラが不揮発性記憶素子を含み、また、前記テレビジョン・カラーバーが、前記不揮発性記憶素子に記憶されている画像からなることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
レンズ、イメージセンサ、ディスプレイ、ビデオ出力ポート、および処理回路を具備するデジタルカメラを用意するステップと、
テレビを用意するステップと、
前記デジタルカメラを前記テレビに接続するステップと、
前記デジタルカメラに保存されるテレビジョン・カラーバーを保存するステップと、
前記処理回路上で実行するオートキャリブレーション・ファームウェアを実行させるようにデジタルカメラを設定するステップと、
前記オートキャリブレーション・ファームウェアを起動するステップと、
前記デジタルカメラを前記テレビに向けるように、ユーザに指示するステップと、
前記カラーバーの画像をテレビ上に表示するステップと、
前記テレビ上に表示された前記カラーバーの画像を、前記イメージセンサで撮像するステップと、
前記撮像されたカラーバーの画像を検出するステップと、
前記テレビ上のできる限り良い画像を見せるために、前記デジタルカメラから前記テレビに送られる前記ビデオ信号を自動的に校正するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
サンプル画像を、前記テレビ上で表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2005−176351(P2005−176351A)
【公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348440(P2004−348440)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】