説明

再生装置、プログラム、再生方法

【課題】24フレーム/秒の映像出力がなされる機会を維持しつつ、商品苦情への発展を避けることができる、再生装置を提供する。
【解決手段】記録媒体1には、映像信号のフレーム周波数が第1及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が映像信号と共に記録されており、記録媒体1から付随情報を読み出して映像信号のフレーム周波数が第1及び第2フレーム周波数の何れであるかを判定するClip情報読み込み回路5と、再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを設定するモード設定部13と、連続モードに設定された場合、映像信号のフレーム周波数が第1フレーム周波数であればそのまま信号出力し、第2フレーム周波数であれば、フレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する24Hz−60Hz変換回路7及びディジタル変調回路9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像出力技術の技術分野に属する発明である。
【背景技術】
【0002】
映像出力技術とは、記録媒体に記録された映像情報や、伝送路で伝送される映像情報の再生を行い、再生装置のモード設定に応じた方式で映像信号を出力するという技術である。
従来、そのような映像出力にはテレビ受像器で再生出来るよう60フレーム/秒の映像信号を用いるのが普通であるが、近年、24フレーム/秒のフレーム周波数に対応したモニタやプロジェクタも市場投入されつつある。
【0003】
このような商品の市場投入は、次世代光ディスクであるBD-ROMに記録して販売される映画等の映像情報で、映画本編に信号源のフィルムと同じ24フレーム/秒の映像信号を用いることが増えると予想してのことである。つまり、24フレーム/秒の映像信号をそのまま映像出力することで、高画質化を求める市場の要請に応えようというものである。
映像出力技術に関しては、特許文献1、非特許文献1に記載されている先行技術がある。
【特許文献1】特開2001−223983号公報(第1図)
【非特許文献1】1999年 AVレビュー 87号(音元出版社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、BD-ROMプレーヤとモニタとの接続には、広帯域のデータ伝送が可能なHDMI規格(HDMI:High Definition Multimedia Interface)に準拠した接続が用いられることが多い。HDMI規格の接続では装置間で同期してデータを受け渡すため、映像信号のフレーム周波数を切り替えるためには、装置間で再同期が必要となる。この再同期処理は数秒間かかることがあり、その間、映像出力が停止することになる。またHDMI規格とは異なり、再同期が必要ない接続方式を用いた場合にも、映像信号のフレーム周波数に急な変化があるとモニタ側で表示が乱れたり、表示が途切れることになる。
【0005】
ここでBD-ROMのパッケージソフトでは、映画本編は24フレーム/秒の映像信号で記録されていても、メイキング等のおまけ映像やメニューといった本編以外の部分は一般にフィルム撮影されることはないので、従来の通り60フレーム/秒の映像信号で記録される。そのため、BD-ROMパッケージの再生中にメニューから本編へ移動する再生経路を選択した場合、メニューと本編とでフレーム周波数が異なり、HDMIの再同期処理のために映像出力が数秒間停止する可能性がある。
【0006】
24フレーム/秒の映像出力によっていかに高画質を実現しても、数秒間の停止が不意に発生することは、商品苦情に発展しかねない問題である。
本発明の目的は、24フレーム/秒の映像出力がなされる機会を維持しつつ、商品苦情への発展を避けることができる、再生装置、プログラム、及び再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る再生装置は、記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置であって、前記記録媒体には、前記映像信号のフレーム周波数が第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が、前記映像情報と共に記録されており、前記記録媒体から付随情報を読み出して、再生すべき映像信号が、第1フレーム周波数信号及び第2フレーム周波数信号の何れであるかを判定する映像信号判定手段と、再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、自装置の動作モードとして設定するモード設定手段と、自装置が連続モードに設定された場合、前記映像信号判定手段による判定の結果、再生すべき映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、前記映像信号判定手段による判定の結果、再生すべき映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する再生手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置に組み込まれたコンピュータが読み取ることができるプログラムであって、前記記録媒体には、前記映像信号のフレーム周波数が第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が、前記映像情報と共に記録されており、前記記録媒体から付随情報を読み出して、再生すべき映像信号が、第1フレーム周波数信号及び第2フレーム周波数信号の何れであるかを判定する映像信号判定ステップと、再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、再生装置の動作モードとして設定するモード設定ステップと、再生装置が連続モードに設定された場合、再生すべき映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、再生すべき映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する再生ステップとをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る再生方法は、記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置に組み込まれる再生方法であって、前記記録媒体には、前記映像信号のフレーム周波数が第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が、前記映像情報と共に記録されており、前記記録媒体から付随情報を読み出して、再生すべき映像信号が、第1フレーム周波数信号及び第2フレーム周波数信号の何れであるかを判定する映像信号判定ステップと、再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、再生装置の動作モードとして設定するモード設定ステップと、再生装置が連続モードに設定された場合、再生すべき映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、再生すべき映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する再生ステップとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
ユーザが表示の途切れを許容せず動作モードを連続モードに設定した際、24Hzのフレーム周波数の映像信号を60Hzに変換して出力するので、再生途中にフレーム周波数の切り替えが生じることがなく、表示の途切れも生じない。ユーザが積極的な意思をもって、再生装置の動作モードを非連続モードにした際には、24Hzのフレーム周波数での映像出力を行うので、たとえ、表示装置において、表示の途切れが生じたとしても、商品苦情に発展することは希になる。
【0011】
また再生装置は、接続相手となる表示装置が両方の表示能力を具備している場合のみ、24Hzのフレーム周波数の信号出力を実行する非連続モードをユーザに選択させるので、接続相手となる表示装置が60Hzのフレーム周波数しか表示できないのに、24Hzのフレーム周波数の信号出力を実行する非連続モードを、ユーザに選択させてしまうとの不都合の発生もなくなる。
【0012】
かかる不都合をなくすことができるので、24Hzのフレーム周波数の信号出力を存分に発揮して、高画質な映像でユーザを魅了することができる。
ここで上述したようなパッケージを再生する場合、前記モード設定手段は、グラフィクスユーザインターフェイスを介して、非連続モード及び連続モードの何れかの選択をユーザから受け付け、前記グラフィクスユーザインターフェイスは、混在タイプの映像信号を、非連続モードで出力した場合、表示装置における表示が途切れる可能性がある旨をユーザに警告することが望ましい。
【0013】
信号混在時の再生途切れの可能性をユーザに周知させた上で、非連続モードの選択を行わせるので、再生時に乱れが生じたとしても、当該途切れが商品苦情に発展することは稀有となる。24フレーム/秒の再生を実現するような環境に、再生装置が置かれた場合、再生装置及び表示装置が具備する能力を如何なく発揮することができる。
ここで前記グラフィクスユーザインターフェイスは、ユーザの操作により切り替わる2つの画像状態を有し、当該2つの画像状態とは、連続モードの選択を受け付ける画像状態、及び非連続モードの選択を受け付ける画像状態であり、前記GUI生成手段は、ユーザの操作を受ける前には、前記連続モードの選択を受け付ける画像状態で、前記グラフィクスユーザインターフェイスを生成することが望ましい。
【0014】
初期状態で連続モードの選択を受け付けるようにグラフィクスユーザインターフェイスを生成することで、非連続モードの選択には画像状態の切り替えというユーザの能動的な操作が必要となるため、表示が途切れるというデメリットの周知をより確実なものとすることができる。また、グラフィクスユーザインターフェイスが表示された際に、ユーザがその詳細を確認せず、画像表示に対して即応的に画像状態をなんら変更することなく決定操作を行ったとしても、動作モードが連続モードに設定されるため、表示の途切れが発生せず商品苦情に発展することはない。
【0015】
また、BD-ROM規格において規定されているClip情報を付随情報として用いることで、BD-ROM規格のデータ構造を改変することなく、本発明を再生装置に実装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
先ず始めに、本発明に係る再生装置の実施行為のうち、使用行為についての形態を説明する。図1は、本発明に係る再生装置の、使用行為についての形態を示す図である。図1において、本発明に係る再生装置は再生装置200であり、リモコン300、ハイブリッドモニタ400、60Hz専用モニタ500により形成されるホームシアターシステムにおいて用いられる。
【0017】
再生装置200は、光ディスク1に記録されている映像信号を再生する。再生装置による映像出力には、60フィールド/秒のインターレス映像信号(以下60Hzインターレス信号という)、24フレーム/秒のプログレッシブ映像信号(プログレッシブ映像信号)がある。この再生装置は、デジタル出力端子を有しており、HDMIコネクタを介して、これらの映像信号をハイブリッドモニタ400、60Hz専用モニタ500に送り込む。
【0018】
ハイブリッドタイプのモニタ400は、60Hzインターレス映像信号、プログレッシブ映像信号を表示することができる。
60Hz専用モニタ500は、60Hzインターレス映像信号を表示することができる。
以上が本発明に係る再生装置の使用行為についての説明である。
続いて本発明に係る再生装置の生産行為の形態について説明する。本発明に係る再生装置は、図2における内部構成図に基づき、工業的に生産することができる。
【0019】
図2は、第1実施形態に於ける再生装置のブロック図である。本図において、再生装置は、光ディスク1、光ピックアップ2、モーター3、復調回路4、Clip情報読み込み回路5、映像復調回路6、24Hz-60Hz変換回路7、スイッチ8、ディジタル変調回路9、端子10、HDMI同期制御部14、表示能力判定部11、GUI生成部12、モード設定部13、スイッチ制御回路15から構成される。これらの構成要素のうち、端子10を除く復調回路4からスイッチ制御回路15までの部分は、1つのシステムLSIとして集積される。
【0020】
<ディスク1>
ディスク1は、MPEG2方式(ITU-T勧告H.262/ISO/IEC13818-2)で圧縮された映像信号が記録されたBD-ROMである。図3は、BD-ROMの内部構成を示す図である。
本図の第4段目にBD-ROMを示し、第3段目にBD-ROM上のトラックを示す。本図のトラックは、BD-ROMの内周から外周にかけて螺旋状に形成されているトラックを、横方向に引き伸ばして描画している。このトラックは、リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とからなる。本図のボリューム領域は、物理層、ファイルシステム層、応用層というレイヤモデルをもつ。ディレクトリ構造を用いてBD-ROMの応用層フォーマット(アプリケーションフォーマット)を表現すると、図中の第1段目のようになる。この第1段目においてBD-ROMには、Rootディレクトリの下に、BDMVディレクトリがある。
【0021】
BDMVディレクトリの配下には、PLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリと呼ばれる3つのサブディレクトリが存在し、INDEX.BDMVというファイルとMovieObject.bdmvというファイルとが配置されている。
STREAMディレクトリには、いわば映像信号本体となるファイルを格納しているディレクトリであり、拡張子M2TSが付与されたファイルが存在する。
【0022】
PLAYLISTディレクトリには、拡張子MPLSが付与されたファイルが存在する。
CLIPINFディレクトリには、拡張子CLPIが付与されたファイルが存在する。
以下、これらのファイルについて説明する。

<AVClip>
先ず初めに、拡張子.M2TSが付与されたファイルについて説明する。拡張子.M2TSが付与されたファイルは、映像信号をエンコードしたAVClipを格納している。
【0023】
ディスク1に記録された映像信号には2種類の映像信号が存在する。図4は、光ディスク1に記録される2種類の映像信号を示す図である。
プログレッシブ映像信号は、フィルム撮像された映像信号が信号源となっている映像信号であり、図4の4−1段に示すような、24フレーム/秒のフレームn,n+1,n+2,n+3からなる。
【0024】
60Hzインターレス映像信号は、主にはビデオカメラで撮像された信号が信号源となっており、図4の4−2段に示すような30フレーム/秒、60フィールド/秒置きに出現するフィールドodd,even,odd,even,odd,even,odd,evenからなる。
実際の映画では、本編の他に、カットシーン、インタビュー映像、メイキング映像といったものが記録されているが、これらは、それぞれプログレッシブ映像信号、60Hzインターレス映像信号というように、種類がバラバラになっていることが殆どである。また、編集の都合上、1つの映画の本編に、プログレッシブ映像信号及び60Hzインターレス映像信号の映像が混合して存在することがある。故に、光ディスク1の再生において、プログレッシブ映像信号及び60Hzインターレス映像信号がそれぞれ混在した状態で読み出されることがありうる。

<Clip情報>
拡張子"CLPI"が付与されたファイルは、AVClipのそれぞれに1対1に対応するClip情報である。図5は、Clip情報の構成を示す図である。管理情報故に、Clip情報は、AVClipにおける映像信号の解像度や走査方式、フレームレート、アスペクト比等の情報をもっている。図5は、Clip情報の構成を示す図であり、本図の左側に示すように、Clip情報は、『ProgramInfo』を含む。ProgramInfoは、破線の矢印pi1に示すように『StreamCodingInfo』を含む。図中の破線pi2は、StreamCodingInfoの内部構成をクローズアップしている。本図に示すようにStreamCodingInfoは、対応するAVClipに含まれる映像信号の解像度や走査方式を示す『video_format』と、映像信号のフレームレートを示す『frame_rate』と、アスペクト比を示す『aspect_ratio』とからなる。
【0025】
従って、ディスク1からClip情報を読み出しframe_rateを参照することにより、対応する映像信号の種類がどのようなものであるかを、再生装置は映像信号の再生に先立って知得することができる。

<PlayList情報>
拡張子"MPLS"が付与されたファイルは、PlayList(PL)情報を格納したファイルである。PL情報は、AVClipを参照してプレイリストを定義する情報である。図6は、PL情報の構成を示す図であり、本図の左側に示すように、PL情報は、『MainPath情報』、『PLMark情報』、『SubPath情報』から構成される。
【0026】
MainPath情報(MainPath())は、破線の矢印mp1に示すように複数のPlayItem情報(PlayItem())からなる。PlayItemとはAVClip時間軸上において、In_Time,Out_Timeを指定することで定義される再生区間である。PlayItem情報を複数配置させることで、複数再生区間からなるプレイリスト(PL)が定義される。図中の破線mp2は、PlayItem情報の内部構成をクローズアップしている。本図に示すようにPlayItem情報は、対応するAVClipを示す『Clip_information_file_name』と、『In_time』と、『Out_time』とからなる。
【0027】
PL情報には複数のPlayItem情報を定義可能であるが、各PlayItem情報が指定するAVClipは、プレイリスト全体を通してエンコード条件が一定であようBD-ROM規格により規定されている。そのため、プレイリスト再生により得られる映像信号は、何れのAVClipに由来するものであっても同じフレーム周波数となっている。

<Movie Object>
MovieObject.bdmvはMovie Objectを格納している。図7は、MovieObject.bdmvの構成を示す図である。本図の左端に示すようにMovieObject.bdmvは、コード列"MOBJ"を示す『type_indicater』と、『version_number』と、1つ以上のMovieObjectである『MovieObjects()』とからなる。図中の引き出し線vh1はMovieObjectsの内部構成をクローズアップしている。MovieObjects()は、自身のデータ長である『length』と、自身に含まれるMovieObjectの個数である『number_of_mobjs』と、number_of_mobjs個のMovieObjectである『MovieObjects』とからなる。これらnumber_of_mobjs個のMovieObjectは、識別子mobj_idをもって識別される。図中の引き出し線vh2は、識別子mobj_idにより特定される任意のMovieObject[mobj_id]()の内部構成をクローズアップしている。
【0028】
この引き出し線に示すように、MovieObjectは、MenuCallがなされた際、MenuCall後の再生再開を意図しているか否かを示す『resume_intention_flag』、MenuCallをマスクするか否かを示す情報『menu_call_mask』、タイトルサーチ機能をマスクするかを示す『title_search_flag』、ナビゲーションコマンドの個数である『number_of_navigation_command』、number_of_navigation_command個の『ナビゲーションコマンド』からなる。
【0029】
ナビゲーションコマンド列は、条件分岐、再生装置における状態レジスタの設定、状態レジスタの設定値取得等を実現するコマンド列からなる。Movie Objectにおいて記述可能なコマンドを以下に示す。

PlayPLコマンド
書式:PlayPL(第1引数,第2引数)
第1引数は、プレイリストの番号で、再生すべきPLを指定することができる。第2引数は、そのPLに含まれるPlayItemや、そのPLにおける任意の時刻、Chapter、Markを用いて再生開始位置を指定することができる。
【0030】
PlayItemによりPL時間軸上の再生開始位置を指定したPlayPL関数をPlayPLatPlayItem()、
ChapterによりPL時間軸上の再生開始位置を指定したPlayPL関数をPlayPLatChapter()、
時刻情報によりPL時間軸上の再生開始位置を指定したPlayPL関数をPlayPLatSpecified Time()という。

JMPコマンド
書式:JMP 引数
JMPコマンドは、現在の動的シナリオを途中で廃棄し(discard)、引数たる分岐先動的シナリオを実行するという分岐である。JMP命令の形式には、分岐先動的シナリオを直接指定している直接参照のものと、分岐先動的シナリオを間接参照している間接参照のものがある。

Movie Objectにおけるナビゲーションコマンドの記述は、DVDにおけるナビゲーションコマンドの記述方式と良く似ているので、DVD上のディスクコンテンツを、BD-ROMに移植するという作業を効率的に行うことができる。Movie Objectについては、以下の国際公開公報に記載された先行技術が存在する。詳細については、本国際公開公報を参照されたい。
【0031】
国際公開公報W0 2004/074976

<Index.bdmv>
Index.bdmvは、再生装置へのディスク挿入後に、最初に読み込まれるファイルであり、BD-ROMにおいて再生可能となる複数のタイトルと、個々のタイトルを規定するObjectとを対応付けて示すテーブルが含まれる。以降、BD-ROMに記録され得るタイトルの類型について説明する。BD-ROMに記録され得るタイトルには、『FirstPlayTitle』、『Top_menuTitle』、『Title#1,#2,#3』といったものがある。
【0032】
『FirstPlayTitle』は、BD-ROMのローディングされた際、なによりも先に、この動的商標を再生させるという役割分担を担う。このFirstPlayTitleにより、映画作品の制作者や頒布者を表徴する動的商標を、ローディング時に再生するという慣習が実現されることになる。
『Top_menuTitle』は、BD-ROMにおけるメニュー階層において、最上位に位置するメニューを再生させるTitleである。
【0033】
『Title#1,#2,#3』とは、一般的な映画作品にあたるTitleである。これら『FirstPlayTitle』、『Top_menuTitle』、『Title#1,#2,#3』といったタイトルと、個々のMovieObjectとの対応付けを示すのがINDEX.BDMVである。
図8は、INDEX.BDMVの構成を示す図である。本図に示すようにIndex.bdmvは、『FirstPlayTitle情報』、『Top_menuTitle情報』、『Title#1情報』、『Title#2情報』、『Title#3情報』といったTitle情報からなる。個々のTitle情報は、Titleの番号と、そのタイトルを規定するMovieObjectとの対応付けを示す。以上のTitle情報により、タイトルを規定するMovieObjectを特定することができ、このMovieObjectから、再生すべきPlayList情報を導くことができる。以上がIndex.bdmvについての説明である。
【0034】
尚、Index.bdmvについては、以下の国際公開公報に詳細が記載されている。詳細については、本公報を参照されたい。
国際公開公報WO 2004/025651
以上がディスク1についての説明である。

<ピックアップ 2、モーター3、復調回路4>
ピックアップ 2は、ディスク1に記録された信号を電気的信号に変換する。
【0035】
モーター3は、ディスク1を再生に適した速度で回転させる。
復調回路4は、ピックアップ2の変換による電気信号を復調して、ビット列を得る。このビット列に対し誤り訂正などを行い、圧縮映像信号や再生に必要な付帯情報を出力する。付帯情報としては、PlayList情報、Clip情報等がある。

<Clip情報読み込み回路5>
Clip情報読み込み回路5は、復調回路4の出力から、上述したClip情報を読み込み、Clip情報のframe_rateを参照して、ディスク1から再生された映像信号が、プログレッシブ映像信号であるか、60Hzインターレス映像信号であるかを判別する。この判別結果はスイッチ制御回路15に入力される。
【0036】
Clip情報読み込み回路5による判別は、Movie Object中のコマンド等により再生対象のプレイリストが切り替わる際に、AVClip再生に先立って実行される。

<映像復調回路6>
映像復調回路6は、復調回路4から出力される圧縮映像信号を復調してディジタル映像信号を得る。映像復調回路6で復調されたデジタル映像信号はスイッチ8のa接点と、24Hz-60Hz変換回路7とに入力される。

<24Hz-60Hz変換回路7>
24Hz-60Hz変換回路7は、24フレーム/秒で記録されたプログレッシブ映像信号を60Hzインターレス映像信号に変換し、スイッチ8のb接点に出力する。図4の4−3段、4−4段は、24Hz-60Hz変換回路7の処理手順を示す。24Hz-60Hz変換回路7は、図4の4−3段に示すようなプログレッシブ映像信号の各フレームのうちフレームn,n+2を、3つのフィールドに変換する。フレームn+1,n+3を、2つのフィールドに変換する。これによって、4−4段に示すような60Hzインターレス映像信号が得られる。

<スイッチ8>
スイッチ8は、a接点,b接点のどちらかと接続することにより、映像復調回路6の出力、24Hz-60Hz変換回路7の出力を選択的にディジタル変調回路9に出力する。

<ディジタル変調回路9>
ディジタル変調回路9は、スイッチ8から入力された24Hzプログレッシブ映像信号、60Hzインターレス映像信号の何れかの映像信号に対して、HDMI形式のディジタル映像信号変調を行い、変調結果をモニタ400又は500に出力する。これにより映像信号が出画される。

<端子10>
端子10は、HDMI規格に準拠した端子であり、その中にはディジタル変調された映像信号伝送路と共に、VESA/E-DDC及びEIA/CEA 861-B両規格で規定される相互通信用のシリアル伝送路が含まれている。端子10には、モニタ400、500が接続される。モニタ内部にはROMがあり、その中に、モニタの表示可能映像規格に関する情報(EDID)が格納されているので、上述したシリアル伝送路を介して、このROMに格納された表示可能映像規格に関する情報を読み出すことが可能できる。

<表示能力判定部11>
表示能力判定部11は、"モニタの表示可能映像規格に関する情報"をモニタ内部に存在するROMから、上述したシリアル伝送路を介して取り出して、この表示可能映像規格情報に基づき接続相手となるモニタが、ハイブリッドモニタ400であるか、60Hz専用モニタ500であるかを判定する。そしてその判定結果をスイッチ制御回路15及びモード設定部13に通知する。

<GUI生成部12>
GUI生成部12は、OSD(On Screen Display)グラフィクスやBML(Broadcast Markup Languege)を用いて記述されたグラフィクスユーザインターフェイス(GUI)を生成してハイブリッドモニタ400に出力し、ハイブリッドモニタ400に表示させる。

<モード設定部13>
モード設定部13は、モード設定を受け付けるためのGUIをGUI生成部12に生成させ、ハイブリッドモニタ400に出力させる。図9は、GUI生成部12により生成されるGUIを示す図である。本図におけるボタンは、それぞれ画質優先モード、連続性優先モードの設定を受け付けるものであり、ノーマル状態、フォーカス状態、アクティブ状態といった状態をもつ。
【0037】
"連続性優先モード"とは、再生途中のフレーム周波数の変化がないモードである。
"画質優先モード"とは、再生途中のフレーム周波数の変化が発生し得る非連続モードのことである。

画質優先モードにおけるフレーム周波数の変化について説明する。図10は、プログレッシブ映像信号と60Hzインターレス映像信号の変化点の動作を示す図である。一般にディスク1に記録された本編の映像信号がフィルム撮像された映画素材の場合においては、プレイリストの切り替わりで図10の10−1段に示すように、プログレッシブ映像信号と60Hzインターレス映像信号が切り替わることがある。このような切り替えは、24フレーム/秒のフレームn,n+1,n+5,n+6で構成されている本編が、60Hzインターレス映像信号で構成されているメイキングと組み合わされているようなMovieObjectの再生で発生する。10−2段は、このMovieObjectの再生時のディジタル変調回路9への出力を示す。
【0038】
MovieObject#1では、プログレッシブ映像信号のPL#1から60Hzインターレス映像信号のPL#2へ切り替わり、その後再びプログレッシブ映像信号のPL#3へ切り替わるので、プログレッシブ映像信号→インターレス映像信号、インターレス映像信号→プログレッシブ映像信号の変化時に、モニタとの再同期が生じる。そのため、再同期中、映像出力が停止することは避け得ない。
【0039】
かかる変化が発生するものの、24Hzという表示周波数で、本編映像を再生することができるので、フィルムで撮影された映画中の人物等の動きを、きれいに再現することができる。画質優先モードにおける"画質優先"とは、24Hzという表示周波数での表示により、上述した動きをきれいに再現できるという意味である。
図9においてユーザは、リモコンにおける左右キーを押下することにより、フォーカス状態になるべきボタンを切り換えることができ、またモード設定部13は、Enterキーの押下に応じて、現在フォーカス状態にあるボタンに対応するモードを、再生装置のカレントモードとする。このGUIの最大の特徴は、再生装置を画質優先モードに設定する際のデメリットをユーザに理解させている点である。図中の警告「画質優先モードでは、映像の種類によっては、再生に途切れが生ずる場合があります」は、画質優先モードになる場合のデメリットを、表している。画質優先モードに設定する際のデメリットをユーザに理解させた上でデフォルトの設定として、連続性優先モードをフォーカス状態にしておく。これにより、プログレッシブ映像信号−インターレス映像信号が混合している場合に、表示が途切れるとのデメリットをユーザに理解させた上で、再生装置を画質優先モードにするので、たとえ画質優先モードにおいて、混在信号を再生することによる再生の乱れが発生したとしても、商品苦情に発展することはない。

<HDMI同期制御部14>
HDMI同期制御部14は、HDMIの映像信号伝送路におけるモニタとの同期を制御する機能ブロックであり、画質優先モードに設定されているときに、スイッチ制御回路15から通知されたフレーム数に応じてモニタとの再同期を実行する。

<スイッチ制御回路15>
スイッチ制御回路15は、光ディスク1に記録されているAVClipのフレーム周波数と、再生装置の接続相手となるモニタの種類と、再生装置におけるモード設定との組み合わせに応じて、スイッチ8に対する制御を行い、この制御にあわせてClip情報読み込み回路5から通知されたフレーム周波数をHDMI同期制御部14へ通知する。以下、スイッチ制御回路15におけるスイッチ制御の詳細について説明する。

<スイッチ制御回路15の詳細その1>
(接続相手がハイブリッドモニタ400であり、画質優先モードである場合)
図11は、再生装置の接続相手がハイブリッドモニタ400であり、再生装置の状態設定が画質優先モードである場合の、映像復調回路6の出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図である。
【0040】
本図における11−1段は、a接点にスルー出力されるプログレッシブ映像信号を示す。11−2段は、a接点にスルー出力される60Hzインターレス映像信号を示す。本図によると、入力が60Hzインターレス映像信号である場合は、60Hzインターレス映像信号が出力され、
入力がプログレッシブ映像信号である場合は、プログレッシブ映像信号が出力されていることがわかる。
【0041】
そして11−3段は、接続相手がハイブリッドモニタ400であり、画質優先モードに設定されている場合のスイッチ制御回路15によるスイッチ制御を示す。
映像信号が何れの場合も、スイッチ制御回路15は、スイッチ8をa接点に設定し、映像復調回路6の出力をディジタル変調回路9にスルー出力する。
従って、画質優先モードであり映像信号がプログレッシブ映像信号である場合、24フレーム/秒の映像信号が出力される。映像信号がインターレス映像信号の場合、スイッチ8をa接点に設定することにより、60Hzインターレス映像信号が出力される。
【0042】
<スイッチ制御回路15の詳細その2>
(連続性優先モードでの切り換え)
図12は、再生装置の接続相手がハイブリッドモニタ400であり、再生装置のモード設定が連続性優先モードである場合の、映像復調回路6、24Hz-60Hz変換回路7の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図である。
【0043】
本図における12−1段、12−2段は、入力信号がプログレッシブ映像信号である場合の24Hz-60Hz変換回路7の入出力を示す。この際、24Hz-60Hz変換回路7では図12の12−1段に示すようなプログレッシブ映像信号の元の24フレーム/秒の映像を各フレームを交互に2フィールドと3フィールドに変換する。これにより12−2段に示すように、60Hzインターレス映像信号が得られる。12−3段は、a接点にスルー出力される60Hzインターレス映像信号を示す。12−4段は、24Hz-60Hz変換回路7の入出力が、12−1〜12−2に示す場合のスイッチ制御回路15によるスイッチ制御を示す。
【0044】
映像信号が24Hzのプログレッシブ映像信号であると判断している場合、スイッチ8をb接点に設定し、24Hz-60Hz変換回路7の出力をディジタル変調回路9に出力する。
映像信号が60Hzインターレス映像信号である場合、スイッチをa接点に設定し、映像復調回路6の出力をディジタル変調回路9に出力する。従って、ディジタル変調回路9には、常に60フィールド/秒の映像信号が送り込まれることになる。
【0045】
<スイッチ制御回路15の詳細その3>
(再生装置の接続相手が60Hz専用モニタ500である場合)
図13は、再生装置の接続相手が60Hz専用モニタ500である場合の、映像復調回路6、24Hz-60Hz変換回路7の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図である。
【0046】
本図における13−1段、13−2段は、入力信号がプログレッシブ映像信号である場合の24Hz-60Hz変換回路7の入出力を示す。この際、24Hz-60Hz変換回路7では図13の13−1段におけるプログレッシブ映像信号の元の24フレーム/秒の映像を各フレームを交互に2フィールドと3フィールドに変換する。これにより13−2段に示すように、60フィールド/秒の信号が得られる。13−3段は、a接点にスルー出力される60Hzインターレス映像信号を示す。13−4段は、24Hz-60Hz変換回路7の入出力が、13−1〜13−2に示す場合のスイッチ制御回路15によるスイッチ制御を示す。
【0047】
映像信号がプログレッシブ映像信号であると判断している場合、スイッチ8をb接点に設定し、24Hz-60Hz変換回路7の出力をディジタル変調回路9に出力する。
映像信号が60Hzインターレス映像信号である場合、スイッチをa接点に設定し、映像復調回路6の出力をディジタル変調回路9に出力する。従って、ディジタル変調回路9には、常に60フィールド/秒の映像信号が送り込まれることになる。
【0048】
よって、連続性優先モードであって、映像信号がプログレッシブ映像信号と、60Hzインターレス映像信号とがどのように切り替わる場合においても、60フィールド/秒の映像信号が出力され続ける為、モニタとの再同期が必要なく、映像信号の出力が停止しない。
従って、使用者は、画質を優先させて再生したい時には画質優先モードを選択し、映像の連続性を優先させたい時には連続性優先モードを選択する事によって、その意図に合った映像出力が選択できる。
【0049】
以降、Clip情報読み込み回路5、表示能力判定部11、GUI生成部12、モード設定部13、スイッチ制御回路15のソフトウェアによる実装について説明する。Clip情報読み込み回路5、表示能力判定部11、GUI生成部12、モード設定部13、スイッチ制御回路15は、図14及び図15の処理手順をなすプログラムを作成してCPUに実行させることにより、再生装置内に実装することができる。
【0050】
図14は、Clip情報読み込み回路5、表示能力判定部11、GUI生成部12、モード設定部13、スイッチ制御回路15による再生装置の全体制御の手順を示すフローチャートである。本図において、本再生装置が起動されれば、ステップS1からなるループ処理に移行する。このステップS1は、モニタとの接続がなされたか否かの判定であり、このループ処理は、モニタとの接続がなされれば、ステップS2に移行する。ステップS2は、HDMI規格の相互通信用シリアル伝送路を通じて、表示可能映像規格に関する情報をモニタから取り出す処理である。ステップS3は、取り出された表示可能映像規格に関する情報に基づきステップS4〜ステップS12の処理を実行するか、図15のステップS13〜ステップS17の処理を実行するかを切り換える判定ステップである。
【0051】
接続相手となるモニタが、60Hz走査のみを可能としているなら、図15のフローチャートに移行する。接続相手となるモニタが、24Hz走査、60Hz走査の両方を可能としているなら、ステップS4〜ステップS12の処理に移行する。
ステップS4は、両方の走査が可能である場合、画質優先モード、連続性優先モードの何れかの設定を受け付けるステップである。
【0052】
ステップS5は、再生装置が画質優先モード、連続性優先モードの何れに設定されているかの判定である。再生装置が連続性優先モードに設定されている場合、図15の処理に移行する。画質優先モードであるなら、ステップS6〜ステップS12の処理に移行する。
ステップS6〜ステップS12は、ステップS6〜ステップS8の実行結果に応じて、スイッチ8をa接点に切り換える処理(ステップS10)、スイッチ8をa接点に切り換える処理(ステップS12)を実行するものである。
【0053】
ステップS10、ステップS12の何れを実行するかは、ステップS8の判定結果に従う。
ステップS7、ステップS8に先立つステップS6は、再生対象が新たなプレイリストに切り替わるか否かの判定であり、このループ処理は、再生対象のプレイリストが切り替われば、ステップS7に移行する。
【0054】
ステップS7は、ステップS6で再生の切り替えが判定された新たなプレイリストにおいて、先頭に定義されているAVClipのClip情報を読み込む処理である。
ステップS8は、読み込んだClip情報に定義されているframe_rateが24Hzを示すかどうかを判定する判定ステップであり、もし24Hzを示すのであれば、ステップS9において映像信号のフレーム周波数が24HzであることをHDMI同期制御部14へ通知し、ステップS10へ移行する。frame_rateが60Hzを示す場合、ステップS11において映像信号のフレーム周波数が60HzであることをHDMI同期制御部14へ通知し、ステップS12を実行する。以降、映像信号の入力が継続している限り、ステップS6〜ステップS12の処理を繰り返す。以上が図14のフローチャートである。
【0055】
図15は、接続相手が60Hz専用モニタ500であるか、又は、再生装置のモード設定が連続性優先モードである場合の、再生装置の処理手順を示すフローチャートである。
本フローチャートは、ステップS13〜ステップS15の実行結果に応じて、スイッチ8をb接点に切り換える処理(ステップS16)、スイッチ8をa接点に切り換える処理(ステップS17)を実行するものである。
【0056】
ステップS16、ステップS17の何れを実行するかは、ステップS15の判定結果に従う。
ステップS14、ステップS15に先立つステップS13は、再生対象が新たなプレイリストに切り替わるか否かの判定であり、このループ処理は、再生対象のプレイリストが切り替われば、ステップS14に移行する。
【0057】
ステップS14は、ステップS13で再生の切り替えが判定された新たなプレイリストにおいて、先頭に定義されているAVClipのClip情報を読み込む処理である。
ステップS14は、読み込んだClip情報に定義されているframe_rateが24Hzを示すかどうかを判定する判定ステップであり、もし24Hzを示すのであれば、ステップS16を実行する。frame_rateが60Hzを示す場合、ステップS17を実行する。以降、映像信号の入力が継続している限り、ステップS13〜ステップS17の処理を繰り返す。以上が図15のフローチャートである。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、再生されている映像信号のフレーム周波数の違いと、接続されているモニタの表示可能フレーム周波数の違いを検出し、それに応じて出力映像信号のフレーム周波数を可変でき、かつ使用者により画像品位を優先で出画するか、画像の途切れがなく再生する事を優先で出画するかを選択できるため、モニタの出画可能フレーム周波数や、映像信号のフレーム周波数の組み合わせによって、画像が出力されなかったり、最適画質でできなかったり、映像出力がとぎれたりする事がなくなるという利点がある。
【0059】
尚、本実施形態に係る再生装置200では、画質優先モードに設定すると周波数が切り替わる際に画像が途切れることを、モード設定を受け付けるためのGUI上で警告し、ユーザに周知している。そのため周波数切り替えに伴う再生途切れが発生しても、ユーザは容易にその原因を推定して対処することができる。
しかしながら動作モードを画質優先モードに設定した後、長期にわたってプログレッシブ映像信号を含まない光ディスクばかり視聴していると、ユーザが上述の警告を失念することがあり得る。このような情況で、久しぶりに60Hzインターレス信号とプログレッシブ映像信号とが混在する映画作品等を視聴し、周波数切り替えに伴う再生途切れが発生すると、ユーザはその原因を推定することができず対処に混乱をきたす恐れがある。
【0060】
以下に、周波数切り替えに伴う再生途切れが発生したときに、ユーザがその原因を推定できなくとも、モード設定を受け付けるためのGUIを表示させることができる変形例について説明する。本変形例は、図15及び図16の処理手順をなすプログラムを作成してCPUに実行させることにより、再生装置内に実装することができる。
図16において、再生処理の実行中にステップS21〜ステップS22からなるループ処理が実行される。このステップS21は、リモコン300に設けられたヘルプキーの押下が受け付けられたか否かの判定であり、ヘルプキーの押下が受け付けられれば、ステップS22の判定に移行する。ステップS22の判定では、自装置の動作モードとHDMI同期制御部14の動作履歴が検証される。
【0061】
自装置の動作モードが画質優先モードであり、且つ、ヘルプキーが押される以前の10秒間に、HDMI同期制御部14においてフレーム周波数の切り替えに伴うHDMIの再同期が実行されていれば(ステップS22:Yes)、フレーム周波数切り替えに伴う再生途切れが発生した情況で、ユーザが再生途切れの原因が分らずヘルプキーを押下したと推定される。このような場合には、再生処理を中断し(ステップS23)、図9に示すモード設定を受け付けるためのGUIをGUI生成部12に生成させ、画質優先モード、連続性優先モードの何れかの設定を受け付ける(ステップS24)。これにより、画質優先モードに設定されているため周波数が切り替わる際に画像が途切れるという警告と、その解決の手立てとをタイムリーにユーザへ提供することになる。
【0062】
S25以降は、図14に示したステップS5以下の処理と同様の処理、及び図15に示す処理を実行し、再生処理を再開する。
以上の変形例に示すようなモード設定の機会を提供することで、上述の問題に対処できる。

(第2実施形態)
第2実施形態は、モニタがマルチフレーム型モニタであることを想定した実施形態である。マルチフレーム型モニタとは、再生装置から指示された表示時の走査周波数で、表示を行うモニタをいい、本実施形態では、このマルチフレーム型モニタに、24フレーム/秒の整数倍である48Hzでの走査により、映像再生を行わせる。フィルム素材は、第1実施形態に示したような24フレーム/秒での表示に適しているが、24フレーム/秒では、フリッカが出現する可能性がある。このようなフリッカを避けるべく、映画館の映写機では、1枚のフレームに対し2回の投光を行っている。そのため、本実施形態において再生装置が48フレーム/秒での映像表示を行えば、その表示時の品質は、映画館で見る品位に準ずるものとなる。
【0063】
以降、第2実施形態に係る再生装置の内部構成について説明する。図17は、第2実施形態に係る再生装置の内部構成を示す図である。本図に示すように、第2実施形態に係る再生装置は、表示周波数指示部20、24Hz-48Hz変換回路21が新規に追加されている。また、これらの構成要素が追加されたため、表示能力判定部11及びスイッチ制御回路15は、以下に示すような第2実施形態特有の処理を行う。以上、これらの改良点と、新規な構成要素について説明する。

<第2実施形態における表示能力判定部11の改良>
表示能力判定部11は、"モニタの表示可能映像規格に関する情報"をモニタ内部に存在するROMから、上述したシリアル伝送路を介して取り出して、この表示可能映像規格情報に基づき接続相手となるモニタが、マルチフレーム型のモニタであるか否かを判定する。

<表示周波数指示部20>
表示周波数指示部20は、接続相手となるモニタが、マルチフレーム型のモニタであると表示能力判定部11が判定した場合、HDMIを介して、表示を行うべき走査周波数を、接続相手となる表示装置に通知する。ここでいう"表示を行うべき走査周波数"とは、上述の48フレーム/秒のことであり、かかる48フレーム/秒での表示を表示装置に命じた上で、画質優先モードにおいて、48フレーム/秒での信号出力を24Hz-48Hz変換回路21に行わせる。

<24Hz-48Hz変換回路21>
24Hz-48Hz変換回路21は、映像復調回路6から出力されたプログレッシブ映像信号を、48フレーム/秒に変換する。図18は、24Hz-48Hz変換回路21の入出力を現した図である。本図における17−1段は、24Hz-48Hz変換回路21への入力信号(プログレッシブ映像信号)を示し、17−2段は、24Hz-48Hz変換回路21からの出力信号を示す。本図を参照すると、17−1段のようなプログレッシブ映像信号を構成するフレームn,n+1,n+2からフレームn,n,n+1,n+1,n+2,n+2が生成されていることがわかる。

<第2実施形態におけるスイッチ制御回路15の改良>
スイッチ制御回路15は、接続相手がマルチフレーム型モニタであり、画質優先モードである場合に、第2実施形態特有の処理を行う。
【0064】
スイッチ制御回路15は、再生装置が画質優先モードに設定された場合、入力信号がプログレッシブ映像信号であれば、24Hz-48Hz変換回路21が出力する48フレーム/秒の映像信号をモニタ400へ出力するために、図19に示すように、スイッチ8の切り換えを行うよう制御する。
図19は、再生装置の接続相手がマルチフレーム型モニタであり、再生装置の状態設定が画質優先モードである場合の24Hz-48Hz変換回路21の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図である。本図における18−1、18−2段は、24Hz-48Hz変換回路21における入出力を示す。18−3段は、60Hzインターレス映像信号入力時における映像復調回路6の出力を示す。本図によると、入力が60Hzインターレス映像信号である場合は、60Hzインターレス映像信号が出力され、入力がプログレッシブ映像信号である場合は、18−2段に示すように、48Hzのプログレッシブ映像信号が出力されていることがわかる。
【0065】
そして、18−4段は、24Hz-48Hz変換回路21の入出力が、18−1段〜18−2段である場合のスイッチ制御回路15によるスイッチ制御を示す。
映像信号がプログレッシブ映像信号であると判断している時、スイッチ制御回路15は、スイッチ8をc接点に設定し、24Hz-48Hz変換回路21の出力をディジタル変調回路9に出力する。
【0066】
映像信号が60Hzインターレス映像信号であると判断している時、スイッチ制御回路15は、スイッチ8をa接点に設定し、映像復調回路6の出力をディジタル変調回路9に出力する。従って、画質優先モードであり映像信号がプログレッシブ映像信号である場合、48フレーム/秒の映像信号が出力される。映像信号が60Hzインターレス映像信号の場合、スイッチ8をc接点に設定することにより、60Hzインターレス映像信号が出力される。
【0067】
画質優先モードにおいて出力する映像信号のフレーム周波数の変化について説明する。図20は、プログレッシブ映像信号とインターレス映像信号の変化時の動作を示す図である。一般にディスク1に記録された本編の映像信号がフィルム撮像された映画素材の場合においては、再生するプレイリストが切り替わるときに図20の19−1段に示すように、プログレッシブ映像信号と60Hzインターレス映像信号が切り替わることがある。切り替わりは、24フレーム/秒のフレームn,n+1,n+5,n+6で構成されている本編が、60Hzインターレス映像信号で構成されているメイキングと組み合わされているようなMovieObjectの再生で発生する。
【0068】
本図に示すMovieObject#19では、変化点t1でプログレッシブ映像信号のPL#19-1から60Hzインターレス映像信号のPL#19-2へ切り替わり、その後、変化点t2で再びプログレッシブ映像信号のPL#19-3へ切り替わる。
この変化点t1,2でClip情報読み込み回路5によるClip情報の読み込みが作動し、c接点からa接点、その後再びc接点へのスイッチ切り換えが発生して、出力が19−2段に示すように、48Hzプログレッシブ映像信号から60Hzインターレス映像信号へ変化し、その後再び48Hzプログレッシブ映像信号へ変化する。従って、かかる変化点において映像の途切れが発生する。
【0069】
そのため、再生装置が48フレーム/秒で出力を行う場合であっても、第1実施形態の処理が必要になる。つまり接続相手となるモニタがマルチフレームである場合、モード設定部13はGUI生成部12にGUIを表示させ、ユーザが図9に示した警告にも拘らず、肯定的な回答をした場合、48フレーム/秒の出力を行うことが必要になる。
以上のように本実施形態によれば、接続されている表示装置に、48フレーム/秒での表示を行わせて、映画館のような再生品位を、ユーザに堪能させることができ、尚且つ、映像信号たる48Hzのプログレッシブ映像信号、60Hzのインターレス映像信号の切り替え時に、表示の途切れが生じたとしても、商品苦情に発展させずにすむ。

(第3実施形態)
第3実施形態は、第2実施形態同様、モニタがマルチフレーム型であることを想定した実施形態である。マルチフレーム型モニタとは、再生装置から指示された表示時の走査周波数で、表示を行うモニタをいい、本実施形態では、このモニタに、24フレーム/秒の整数倍である72Hzでの走査により、映像再生を行わせる。
【0070】
以降、第3実施形態に係る再生装置の内部構成について説明する。図21は、第3実施形態に係る再生装置の内部構成を示す図である。本図は、図17に示した、第2実施形態に係る再生装置の内部構成をベースにしている。この図17に比較して、どこが違うかというと、第3実施形態に係る再生装置は、24Hz-48Hz変換回路21が24Hz-72Hz変換回路24に置き換えられている点が異なる。また、これらの追加・改良が存在するため、表示能力判定部11及びスイッチ制御回路15は、以下に示すような第3実施形態特有の処理を行う。以上、これらの改良点と、新規な構成要素について説明する。

<第3実施形態における表示能力判定部11の改良>
表示能力判定部11は、"モニタの表示可能映像規格に関する情報"をモニタ内部に存在するROMから、上述したシリアル伝送路を介して取り出して、この表示可能映像規格情報に基づき接続相手となるモニタが、マルチフレーム型のモニタであるか否かを判定する。

<表示周波数指示部23>
表示周波数指示部23は、接続相手となるモニタが、マルチフレーム型のモニタであると表示能力判定部11が判定した場合、HDMIを介して、表示を行うべき走査周波数である72フレーム/秒を、接続相手となる表示装置に通知する。かかる72フレーム/秒での表示を表示装置に命じた上で、画質優先モードにおいて、72フレーム/秒での信号出力を、24Hz-72Hz変換回路24に行わせる。

<24Hz-72Hz変換回路24>
24Hz-72Hz変換回路24は、映像復調回路6から出力されたプログレッシブ映像信号を、72フレーム/秒に変換する。図22は、24Hz-72Hz変換回路24の入出力を現した図である。本図における21−1段は、24Hz-72Hz変換回路24への入力信号(プログレッシブ映像信号)を示し、21−2段は、24Hz-72Hz変換回路24からの出力信号を示す。本図を参照すると、21−1段のようなプログレッシブ映像信号を構成するフレームn,n+1,n+2からフレームn,n,n,n+1,n+1,n+1,n+2,n+2,n+2が生成されていることがわかる。
【0071】
以上が24Hz-72Hz変換回路24についての説明である。24Hz-48Hz変換回路21が、24Hz-72Hz変換回路24に置き換えられたため、スイッチ制御回路15は、以降のようなスイッチ切り換えを実行する。

<スイッチ制御回路15の改良>
スイッチ制御回路15は、接続相手がハイブリッドモニタ400であり、画質優先モードである場合に、第3実施形態特有の処理を行う。
【0072】
スイッチ制御回路15は、第3実施形態において図22の21−3段に示すように、スイッチ8の切り換えを行うよう制御する。21−3段は、第3実施形態に係るスイッチ制御回路15によるスイッチ制御を示す。
再生装置が画質優先モードに設定されており、入力となる映像信号がプログレッシブ映像信号であると判断している時、スイッチ制御回路15は、スイッチ8をc接点に設定し、24Hz-72Hz変換回路24の出力をディジタル変調回路9に出力する。これにより、モニタには72フレーム/秒の映像信号が出力されることになる。
【0073】
再生装置が画質優先モードに設定されており、入力となる映像信号が60Hzインターレス映像信号である場合、スイッチ8をa接点に設定し、映像復調回路6の出力をディジタル変調回路9に出力させる。
以上のように本実施形態によれば、接続されている表示装置に、72フレームでの表示を行わせることができ、尚且つ、映像信号たるプログレッシブ映像信号に、インターレス映像信号が混合している場合、表示の乱れ、途切れが生じたとしても、商品苦情に発展させずにすむ。
【0074】
(備考)
以上、本願の出願時点において、出願人が知り得る最良の実施形態について説明したが、 以下に示す技術的トピックについては、更なる改良や変更実施を加えることができる。これらの改良・変更を施すか否かは、何れも任意的であり、実施者の意思によることは留意されたい。
【0075】
(制御手順の実現)
各実施形態においてフローチャートを引用して説明した制御手順や、機能的な構成要素による制御手順は、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていることから、自然法則を利用した技術的思想の創作といえ、"プログラムの発明"としての成立要件を満たす。
・本発明に係るプログラムの生産形態
本発明に係るプログラムは、以下のようにして作ることができる。先ず初めに、ソフトウェア開発者は、プログラミング言語を用いて、各フローチャートや、機能的な構成要素を実現するようなソースプログラムを記述する。この記述にあたって、ソフトウェア開発者は、プログラミング言語の構文に従い、クラス構造体や変数、配列変数、外部関数のコールを用いて、各フローチャートや、機能的な構成要素を具現するソースプログラムを記述する。
【0076】
記述されたソースプログラムは、ファイルとしてコンパイラに与えられる。コンパイラは、これらのソースプログラムを翻訳してオブジェクトプログラムを生成する。
コンパイラによる翻訳は、構文解析、最適化、資源割付、コード生成といった過程からなる。構文解析では、ソースプログラムの字句解析、構文解析および意味解析を行い、ソースプログラムを中間プログラムに変換する。最適化では、中間プログラムに対して、基本ブロック化、制御フロー解析、データフロー解析という作業を行う。資源割付では、ターゲットとなるプロセッサの命令セットへの適合を図るため、中間プログラム中の変数をターゲットとなるプロセッサのプロセッサが有しているレジスタまたはメモリに割り付ける。コード生成では、中間プログラム内の各中間命令を、プログラムコードに変換し、オブジェクトプログラムを得る。
【0077】
ここで生成されたオブジェクトプログラムは、各実施形態に示したフローチャートの各ステップや、機能的構成要素の個々の手順を、コンピュータに実行させるような1つ以上のプログラムコードから構成される。ここでプログラムコードは、プロセッサのネィティブコード、JAVA(登録商標)バイトコードというように、様々な種類がある。プログラムコードによる各ステップの実現には、様々な態様がある。外部関数を利用して、各ステップを実現することができる場合、この外部関数をコールするコール文が、プログラムコードになる。また、1つのステップを実現するようなプログラムコードが、別々のオブジェクトプログラムに帰属することもある。命令種が制限されているRISCプロセッサでは、算術演算命令や論理演算命令、分岐命令等を組合せることで、フローチャートの各ステップを実現してもよい。
【0078】
オブジェクトプログラムが生成されるとプログラマはこれらに対してリンカを起動する。リンカはこれらのオブジェクトプログラムや、関連するライブラリプログラムをメモリ空間に割り当て、これらを1つに結合して、ロードモジュールを生成する。こうして生成されるロードモジュールは、コンピュータによる読み取りを前提にしたものであり、各フローチャートに示した処理手順や機能的な構成要素の処理手順を、コンピュータに実行させるものである。以上の処理を経て、本発明に係るプログラムを作ることができる。

・本発明に係るプログラムの使用形態
本発明に係るプログラムは、以下のようにして使用することができる。
【0079】
(i)組込プログラムとしての使用
本発明に係るプログラムを組込プログラムとして使用する場合、プログラムにあたるロードモジュールを、基本入出力プログラム(BIOS)や、様々なミドルウェア(オペレーションシステム)と共に、命令ROMに書き込む。こうした命令ROMを、制御部に組み込み、CPUに実行させることにより、本発明に係るプログラムを、再生装置の制御プログラムとして使用することができる。
【0080】
(ii)アプリケーションとしての使用
再生装置が、ハードディスク内蔵モデルである場合は、基本入出力プログラム(BIOS)が命令ROMに組み込まれており、様々なミドルウェア(オペレーションシステム)が、ハードディスクにプレインストールされている。また、ハードディスクから、システムを起動するためのブートROMが、再生装置に設けられている。
【0081】
この場合、ロードモジュールのみを、過搬型の記録媒体やネットワークを通じて、再生装置に供給し、1つのアプリケーションとしてハードディスクにインストールする。そうすると、再生装置は、ブートROMによるブートストラップを行い、オペレーションシステムを起動した上で、1つのアプリケーションとして、当該アプリケーションをCPUに実行させ、本発明に係るプログラムを使用する。
【0082】
ハードディスクモデルの再生装置では、本発明のプログラムを1つのアプリケーションとして使用しうるので、本発明に係るプログラムを単体で譲渡したり、貸与したり、ネットワークを通じて供給することができる。

(復調回路4〜スイッチ制御回路15の実現)
各実施形態に示した復調回路4〜スイッチ制御回路15は、それぞれを一個のシステムLSIとして実現することができる。また、復調回路4〜スイッチ制御回路15を一個のシステムLSIとして実現することができる。
【0083】
システムLSIとは、高密度基板上にベアチップを実装し、パッケージングしたものをいう。複数個のベアチップを高密度基板上に実装し、パッケージングすることにより、あたかも1つのLSIのような外形構造を複数個のベアチップに持たせたものも、システムLSIに含まれる(このようなシステムLSIは、マルチチップモジュールと呼ばれる。)。
ここでパッケージの種別に着目するとシステムLSIには、QFP(クッド フラッド アレイ)、PGA(ピン グリッド アレイ)という種別がある。QFPは、パッケージの四側面にピンが取り付けられたシステムLSIである。PGAは、底面全体に、多くのピンが取り付けられたシステムLSIである。
【0084】
これらのピンは、他の回路とのインターフェイスとしての役割を担っている。システムLSIにおけるピンには、こうしたインターフェイスの役割が存在するので、システムLSIにおけるこれらのピンに、他の回路を接続することにより、システムLSIは、再生装置の中核としての役割を果たす。
システムLSIにパッケージングされるベアチップは、"フロントエンド部"、"バックエンド部"、"デジタル処理部"からなる。"フロントエンド部"は、アナログ信号を、デジタル化する部分であり、"バックエンド部"はデジタル処理の結果、得られたデータを、アナログ化して出力する部分である。
【0085】
各実施形態において内部構成図として示した各構成要素は、このデジタル処理部内に実装される。
先に"組込プログラムとしての使用"で述べたように、命令ROMには、プログラムにあたるロードモジュールや、基本入出力プログラム(BIOS)、様々なミドルウェア(オペレーションシステム)が書き込まれる。本実施形態において、特に創作したのは、このプログラムにあたるロードモジュールの部分なので、プログラムにあたるロードモジュールを格納した命令ROMを、ベアチップとしてパッケージングすることにより、本発明に係るシステムLSIは生産することができる。
【0086】
具体的な実装については、SoC実装やSiP実装を用いることができ望ましい。SoC(System on chip)実装とは、1チップ上に複数の回路を焼き付ける技術である。SiP(System in Package)実装とは、複数チップを樹脂等で1パッケージにする技術である。以上の過程を経て、本発明に係るシステムLSIは、各実施形態に示した再生装置の内部構成図を基に作ることができる。
【0087】
尚、上述のようにして生成される集積回路は、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
さらに、各再生装置の構成要素の一部又は全てを1つのチップとして構成してもよい。集積回路化は、上述したSoC実装,SiP実装に限るものではなく、専用回路又は汎用プロセスで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用することが考えられる。更には、半導体技術の進歩又は派生する技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積回路化を行っても良い。例えば、バイオ技術の適応などが可能性としてありうる。
【0088】
(記録媒体の種類)
第1実施形態では、記録媒体であるディスク1は、再生専用の光ディスクを一例として説明しているが、記録方式や記録媒体の形態などは限定されるものではない。また光ピックアップ2やモーター3なども、ディスク1を前提として説明しているため必要な構成であるが、記録媒体の種類や形態が、半導体メモリカード等、他の構成になれば、必要に応じて記録媒体の駆動手段や、記録媒体に対する信号の記録再生手段は、記録媒体に適したものが用いられる。
【0089】
(フレーム周波数)
第1実施形態乃至3実施形態では、出力映像信号周波数を24Hzの整数倍と60Hzである場合について説明を行ったが、本発明は出力映像信号周波数が他の値である場合にも適用可能である。例えば、実際の映像機器で多用されている24000/1001Hzの整数倍と60000/1001Hzとに於いても、本発明の効果は同様に発揮できるものである。
【0090】
(モード設定)
第1実施形態乃至第3実施形態では、GUIを介してモード設定を受け付ける場合について説明を行ったが、本発明はモード設定を受け付けるために他の手法を用いる場合にも適用可能である。例えば、再生装置にマイク及び音声解析手段を設け、GUIに代えて音声によるナビゲーション及び音声入力を用いることでモード設定を受け付けるよう構成してもよい。
【0091】
また、再生装置前面の操作パネルに、画質優先モードと連続性優先モードとを切り替えるボタンを配置し、当該ボタンの操作により任意のタイミングでモード設定を変更する場合においても、本発明の効果は同様に発揮できるものである。同様にディップスイッチによって画質優先モードと連続性優先モードとを切り替える構成としても本発明は実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る再生装置は、上記実施形態に内部構成が開示されており、この内部構成に基づき量産することが明らかなので、資質において工業上利用することができる。このことから本発明に係る再生装置は、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る再生装置の、使用行為についての形態を示す図
【図2】第1実施形態に於ける再生装置のブロック図
【図3】BD-ROMの内部構成を示す図
【図4】光ディスク1に記録される2種類の映像信号を示す図
【図5】Clip情報の構成を示す図
【図6】PL情報の構成を示す図
【図7】MovieObject.bdmvの構成を示す図
【図8】INDEX.BDMVの構成を示す図
【図9】GUI生成部12により生成されるGUIを示す図
【図10】プログレッシブ映像信号と60Hzインターレス映像信号の変化点の動作を示す図
【図11】再生装置の接続相手がハイブリッドモニタ400であり、再生装置の状態設定が画質優先モードである場合の、映像復調回路6の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図
【図12】再生装置の接続相手がハイブリッドモニタ400であり、再生装置のモード設定が連続性優先モードである場合の、映像復調回路6、24Hz-60Hz変換回路7の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図
【図13】再生装置の接続相手が60Hz専用モニタ500である場合の、映像復調回路6、24Hz-60Hz変換回路7の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図
【図14】Clip情報読み込み回路5、表示能力判定部11、GUI生成部12、モード設定部13、スイッチ制御回路15による再生装置の全体制御の手順を示すフローチャート
【図15】接続相手が60Hz専用モニタ500であるか、又は、再生装置のモード設定が連続性優先モードである場合の、再生装置の処理手順を示すフローチャート
【図16】第1実施形態の変形例の処理手順を示すフローチャート
【図17】第2実施形態に係る再生装置の内部構成を示す図
【図18】24Hz-48Hz変換回路21の入出力を現した図
【図19】再生装置の接続相手がマルチフレーム型モニタであり、再生装置の状態設定が画質優先モードである場合の24Hz-48Hz変換回路21の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図
【図20】プログレッシブ映像信号とインターレス映像信号の変化時の動作を示す図
【図21】第3実施形態に係る再生装置の内部構成を示す図
【図22】再生装置の接続相手がマルチフレーム型モニタであり、再生装置の状態設定が画質優先モードである場合の24Hz-72Hz変換回路24の入出力と、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御と対応づけて示す図
【符号の説明】
【0094】
1 ディスク
2 光ピックアップ
3 モーター
4 復調回路
5 Clip情報読み込み回路
6 映像復調回路
7 24Hz-60Hz変換回路
8 スイッチ
9 ディジタル変調回路
10 端子
11 表示能力判定部
12 GUI生成部
13 モード設定部
14 HDMI同期制御部
15 スイッチ制御回路
20 表示周波数指示部
21 24Hz-48Hz変換回路
23 表示周波数指示部
24 24Hz-72Hz変換回路
200 再生装置
300 リモコン
400 ハイブリッドモニタ
500 60Hz専用モニタ500

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置であって、
前記記録媒体には、前記映像信号のフレーム周波数が第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が、前記映像情報と共に記録されており、
前記記録媒体から付随情報を読み出して、再生すべき映像信号が、第1フレーム周波数信号及び第2フレーム周波数信号の何れであるかを判定する映像信号判定手段と、
再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、自装置の動作モードとして設定するモード設定手段と、
自装置が連続モードに設定された場合、前記映像信号判定手段による判定の結果、再生すべき映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、前記映像信号判定手段による判定の結果、再生すべき映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する再生手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
再生処理は、少なくとも1の映像情報において再生開始点及び再生終了点を指定したプレイリストを単位として実行され、
前記プレイリストにより再生開始点及び再生終了点が指定される映像情報の全てはフレーム周波数が同一であり、
前記映像信号判定手段は、プレイリストの再生処理に際して、当該プレイリストにより再生開始点及び再生終了点が指定される何れかの映像情報に係る付随情報に基づいて判定した判定結果を、当該プレイリストにより再生開始点及び再生終了点が指定される全ての映像情報についての判定で判定結果として用いる
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記再生装置は、所定のインターフェイスを介して表示装置と接続されており、
当該所定のインターフェイスを介して、映像規格に関する情報を表示装置から取り出して、接続相手となる表示装置が第1フレーム周波数の表示能力のみを具備しているか、又は、第1フレーム周波数の表示能力、並びに、第2フレーム周波数の表示能力の両方を具備しているか判定する接続相手判定手段を更に備え、
前記モード設定手段は、表示装置が両方の表示能力を具備していると判定された場合に、前記設定を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項4】
第1フレーム周波数信号と第2フレーム周波数信号とを非連続モードで続けて出力すると、表示装置における表示に乱れが生じる可能性がある旨をユーザに警告すると共に、ユーザに動作モードの選択を求めるグラフィクスユーザインターフェイスを生成し、表示装置に表示させるGUI生成手段をさらに備え、
前記モード設定手段は、
前記グラフィクスユーザインターフェイスを介して、非連続モード及び連続モードの何れかの選択をユーザから受け付ける
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項5】
前記グラフィクスユーザインターフェイスは、ユーザの操作により切り替わる2つの画像状態を有し、
当該2つの画像状態とは、連続モードの選択を受け付ける画像状態、及び非連続モードの選択を受け付ける画像状態であり、
前記GUI生成手段は、ユーザの操作を受ける前には、前記連続モードの選択を受け付ける画像状態で、前記グラフィクスユーザインターフェイスを生成する
ことを特徴とする請求項4記載の再生装置。
【請求項6】
前記再生手段は、
自装置が非連続モードに設定された場合、前記映像信号判定手段による判定の結果、映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、
前記映像信号判定手段による判定の結果、映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、所定のフレーム周波数での表示を表示装置に命じた上で、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を、当該所定のフレーム周波数に変換して出力する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項7】
所定のフレーム周波数とは、24Hzの整数倍であり、
前記再生手段は、
自装置に入力されてくる第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を、24Hzの整数倍に変換して出力するフレーム周波数変換回路を備える、請求項6記載の再生装置。
【請求項8】
記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置であって、
再生途中に所定の動作が発生しない第1モード、前記所定の動作が発生し得る第2モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、自装置の動作モードとして設定するモード設定手段と、
第2モードで前記所定の動作が発生することにより生じる可能性があるデメリットをユーザに警告すると共に、ユーザに動作モードの選択を求めるグラフィクスユーザインターフェイスを生成し、表示装置に表示させるGUI生成手段とを備え、
前記モード設定手段は、前記グラフィクスユーザインターフェイスを介して、第1モード及び第2モードの何れかの選択をユーザから受け付けることを特徴とする再生装置。
【請求項9】
前記グラフィクスユーザインターフェイスは、ユーザの操作により切り替わる2つの画像状態を有し、
当該2つの画像状態とは、第1モードの選択を受け付ける画像状態、及び第2モードの選択を受け付ける画像状態であり、
前記GUI生成手段は、ユーザの操作を受ける前には、前記第1モードの選択を受け付ける画像状態で、前記グラフィクスユーザインターフェイスを生成する
ことを特徴とする請求項8記載の再生装置。
【請求項10】
第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置であって、
再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードで、第1フレーム周波数信号と第2フレーム周波数信号とを続けて出力すると、表示装置における表示に乱れが生じる可能性がある旨をユーザに警告すると共に、再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード及び前記非連続モードの何れかを選択するうよう、ユーザに求めるグラフィクスユーザインターフェイスを生成し、表示装置に表示させるGUI生成手段と、
前記GUI生成手段により前記グラフィクスユーザインターフェイスが生成されると、当該グラフィクスユーザインターフェイスを介して、非連続モード及び連続モードの何れかの選択をユーザから受け付け、自装置の動作モードとして設定するモード設定手段と、
ユーザによるヘルプ要求がなされた場合に、自装置の動作モードが非連続モードであり、且つ再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生していれば、前記GUI生成手段に前記グラフィクスユーザインターフェイスを生成させるヘルプ制御手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項11】
記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置に組み込まれたコンピュータが読み取ることができるプログラムであって、
前記記録媒体には、前記映像信号のフレーム周波totuika数が第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が、前記映像情報と共に記録されており、
前記記録媒体から付随情報を読み出して、再生すべき映像信号が、第1フレーム周波数信号及び第2フレーム周波数信号の何れであるかを判定する映像信号判定ステップと、
再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、再生装置の動作モードとして設定するモード設定ステップと、
再生装置が連続モードに設定された場合、再生すべき映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、再生すべき映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する再生ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
記録媒体に記録された映像情報の読み出しにより得られる映像信号を表示装置へ映像出力する再生装置に組み込まれる再生方法であって、
前記記録媒体には、前記映像信号のフレーム周波数が第1フレーム周波数及び第2フレーム周波数の何れであるかを示す付随情報が、前記映像情報と共に記録されており、
前記記録媒体から付随情報を読み出して、再生すべき映像信号が、第1フレーム周波数信号及び第2フレーム周波数信号の何れであるかを判定する映像信号判定ステップと、
再生途中のフレーム周波数の切り換えがない連続モード、再生途中のフレーム周波数の切り換えが発生し得る非連続モードの何れかを、ユーザの選択に応じて、再生装置の動作モードとして設定するモード設定ステップと、
再生装置が連続モードに設定された場合、再生すべき映像信号が第1フレーム周波数信号であれば当該第1フレーム周波数信号を第1フレーム周波数で信号出力し、再生すべき映像信号が第2フレーム周波数信号であれば、当該第2フレーム周波数信号のフレーム周波数を第1フレーム周波数に変換して出力する再生ステップと
を有することを特徴とする再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−312376(P2007−312376A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112760(P2007−112760)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】