再送信装置
【課題】汎用性の高い再送信装置を提供することにある。
【解決手段】前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段から出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し出力する局部発振信号発生手段と，前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で制御するための周波数制御手段と，前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，を備える。
【解決手段】前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段から出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し出力する局部発振信号発生手段と，前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で制御するための周波数制御手段と，前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は，主に地上デジタル放送を再送信する再送信装置に関し，特に同一周波数を使って再送信する再送信装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来，妨害波除去装置として，高周波信号が加わる入力端と，上記入力端に加わる信号を発振器からの局部発振信号で周波数変換して入力信号よりも周波数の低い中間周波信号を作り出す第１のミキサと，上記中間周波信号を上記発振器からの局部発振信号で周波数変換して元の信号の周波数帯に戻す第２のミキサと，該第２のミキサ出力を出力する出力端と，上記第１のミキサと上記第２のミキサとの間に介設された受信希望の高周波信号分を通過するフィルタ要素と，上記発振器と，上記発振器の発振周波数を制御するための周波数制御手段と，を備えたものが提案されている。
従来の回路構成によれば，受信した高周波信号を該高周波信号より低く取り扱いの容易な中間周波数帯に周波数変換する事によって，例えばＳＡＷ（Ｓｕｒｆａｃｅ Ａｃｏｕｓｔｉｃ Ｗａｖｅ：弾性表面波）フィルタ等のフィルタ手段を使って，希望する信号成分以外の不要信号を簡単且つ高性能に除去することができる。更には，フィルタ手段によって抽出された希望信号を同じ発振器から出力された局部発振信号によって元の周波数に確実に戻すことができる。（例えば，特許文献１参照）
【０００３】
【特許文献１】特開昭６１−２５６８３０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし，このような回路構成のものを地上デジタル放送の再送信に用いようとすると，前記フィルタ手段を介在させたことによって生じる位相の遅延時間が無視できなくなり位相雑音が劣化し，同一周波数を用いた再送信に悪影響が生じると言った問題があった。更には，局部発振信号発生回路において発生する高調波等の雑音成分が第２の周波数変換手段を介して出力端から出力されてしまう可能性がある。
そこで本願においては，こうした問題点を解決するためになされたものであり，
その目的は，同一周波数を用いて，安価に且つ高性能に実現できる再送信装置を提供する事にある。
他の目的は，汎用性の高い再送信装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するために，請求項１の発明は，受信したテレビ信号を信号処理して再送信する再送信装置において，複数のテレビ信号が加わる入力端と，前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段の出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号発生手段と，前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で可変する制御するための周波数制御手段と，前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，前記第２の周波数変換手段から出力される希望波のテレビ信号を出力する出力端と，を備えたことを特徴とした。
【発明の効果】
【０００６】
請求項１の発明によれば，受信したテレビ信号を信号処理して再送信する再送信装置において，複数のテレビ信号が加わる入力端と，前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段の出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号発生手段と，前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で可変する制御するための周波数制御手段と，前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，前記第２の周波数変換手段から出力される希望波のテレビ信号を出力する出力端と，を備えるように構成したしたので，
入力端から入力されたテレビ信号を，第１の周波数変換手段によって前記テレビ信号より低い中間周波数帯に変換するので，この中間周波数帯の信号から再送信を希望するテレビ信号成分を抽出しそれ以外の成分を阻止する，狭帯域な第１のフィルタ手段が安価に且つ高性能に実現できる。
また，第１のフィルタ手段で抽出したテレビ信号成分を第２の周波数変換手段１３で元の周波数帯に戻すために，局部発振信号発生手段において生成された局部発振信号を分配して用いるので，正確に戻すことができる。
更に，第２の周波数変換手段に供給される局部発振信号は，第２のフィルタ手段を介して供給されることにより，第１のフィルタ手段によって発生する位相の遅延時間分を補正することによって同じ位相で供給されるので位相雑音の発生が相殺される。
そして，局部発振信号発生手段から出力される局部発振信号は周波数制御ができると共に，それに対応するように第２のフィルタ手段を広帯域に構成したので，複数のテレビ信号の中から再送信を希望するチャンネルが自在に設定でき，例えば複数の再送信装置を備えたシステムにおける予備機として設置しておけば，何れかのチャンネルを再送信する再送信装置が故障したとしても素早く対応できるし，また，地域ごとの異なるチャンネル配置に対しても，チャンネルごとの再送信装置を準備することなく１つの再送信装置で対応できるといった，汎用性の高い再送信装置が提供できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下に，本発明を具体化した実施形態の例を，図面を基に詳細に説明する。
図１は本発明に係る実施形態の再送信装置を示す概略構成図である。
【実施例１】
【０００８】
図において１０は本発明の実施形態の再送信装置である。１は受信アンテナ，２は入力端，１１は第１の周波数変換手段，１２は第１のフィルタ手段，１３は第２の周波数変換手段，３は出力端，４は送信アンテナである。２０は局部発振信号発生手段，２１は局部発振信号の発振周波数を制御する周波数制御手段，２２は第２のフィルタ手段である。
【０００９】
本発明の実施例ではＵＨＦ帯の電波を受信して同一周波数にて再送信する再送信装置１０について説明する。受信アンテナ１で受信した信号は入力端２から再送信装置１０に入力される。入力された信号は第１の周波数変換手段１１と局部発振信号発生手段２０において生成される局部発振信号によって，入力された信号より低い周波数帯の中間周波数に変換される。
この局部発振信号発生手段２０はＶＣＯ（Ｖｏｌｔａｇｅ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｄ Ｏｓｃｉｌｌａｔｏｒ：電圧制御発振器）であり，電圧入力端２０ａに加わる電圧の大きさに対応した周波数の局部発振信号を出力する。この制御電圧は周波数制御手段２１としての可変電圧源において外部からの設定に対応して出力される。尚，局部発振信号発生手段２０と周波数制御手段２１はＰＬＬ（Ｐｈａｓｅ Ｌｏｃｋ Ｌｏｏｐ：位相同期ループ）を用いたシンセサイザー方式で構成してもよい。
【００１０】
次に，前記第１の周波数変換手段１１において周波数変換された中間周波数の信号は，第１のフィルタ手段１２に入力される。この第１のフィルタ手段１２は例えばバンドパスフィルタからなり，前記中間周波数の信号から再送信を希望するのテレビ信号成分以外の隣接チャンネル信号成分や不要信号を阻止する。このバンドパスフィルタ１２は例えばＳＡＷフィルタが用いられる。
【００１１】
次に第１のフィルタ手段１２において選択的に出力された希望のテレビ信号成分は，第２の周波数変換手段１３と局部発振信号発生手段２０において生成される局部発振信号によって，元のテレビ信号の周波数帯に周波数変換される。
本発明の実施例では，局部発振信号発生手段２０と第２の周波数変換手段１３との間には，局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段２１によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段２２が設けられている。この第２のフィルタ手段２２は例えば広帯域なＳＡＷフィルタから構成されており，前記第１のフィルタ手段１２と略同じ遅延時間を有するものである。尚，本発明の実施例では第２のフィルタ手段２２はＳＡＷフィルタを使用しているが，前記第１のフィルタ手段１２と略同じ遅延時間を有するものであれば特にＳＡＷフィルタ等のフィルタ手段に限定されるものではなく，他の信号遅延手段（例えば，光ファイバなど）で構成してもよい事は言うまでもない。
そして，第２の周波数変換回路１３において前記受信したテレビ信号の周波数帯に変換されてた出力は，出力端３を介して送信アンテナ４より送出される。
【００１２】
本発明の実施例においては，入力される信号はＵＨＦ帯である４７３乃至７６７ＭＨｚ（中心周波数）であり，例えば再送信を希望する信号が４７３ＭＨｚ（ｃｈ１３の中心周波数），それに対して局部発振信号発生手段２０において生成される局部発振信号を４３５．８５ＭＨｚとすれば，第１の周波数変換手段１１から出力される中間周波数帯の信号は差の成分である３７．１５ＭＨｚである。また，再送信を希望する信号が７６７ＭＨｚ（ｃｈ６２の中心周波数），それに対して局部発振信号を７２９．８５ＭＨｚとすれば，第１の周波数変換手段１１から出力される中間周波数帯の信号は差の成分は上記の例と同様に３７．１５ＭＨｚである。つまり，ＳＡＷフィルタ１２は中心周波数３７．１５ＭＨｚで，帯域幅６ＭＨｚを有したものであり再送信を希望するテレビ信号成分のみを抽出する。
また，第２の周波数変換手段１３では，ｃｈ１３を再送信したいなら中間周波数３７．１５ＭＨｚと第１の周波数変換手段１１と同じ局部発振信号４３５．８５ＭＨｚの和成分とで４７３ＭＨｚに，ｃｈ６２を再送信したいなら中間周波数３７．１５ＭＨｚと第１の周波数変換手段１１と同じ局部発振信号７２９．８５ＭＨｚの和成分とで７６７ＭＨｚになり，それぞれもとのテレビ信号の周波数帯に正確に戻る。
つまり，局部発振信号発生手段２０から出力される局部発振信号は，少なくとも４３５．８５ＭＨｚ乃至７２９．８５ＭＨｚの範囲で発振周波数を可変できるように構成されている。それに対して第２のフィルタ手段２２は少なくとも４３５．８５ＭＨｚ乃至７２９．８５ＭＨｚの周波数帯を通過しそれ以外は阻止すると共に，その遅延時間は前記第１のフィルタ手段１２と略同じに成るように構成されている。
【００１３】
以上，本発明によれば，入力端から入力されたテレビ信号を，第１の周波数変換手段１１によって前記テレビ信号より低い中間周波数帯に変換するので，この中間周波数帯の信号から再送信を希望するテレビ信号成分を抽出しそれ以外の成分を阻止する狭帯域な第１のフィルタ手段１２が安価に且つ高性能に実現できる。
また，第１のフィルタ手段１２で抽出したテレビ信号成分を第２の周波数変換手段１３で元の周波数帯に戻すために，局部発振信号発生手段２０において生成された局部発振信号を分配して用いるので，正確に戻すことができる。
更に，第２の周波数変換手段１３に供給される局部発振信号は，第２のフィルタ手段２２を介して供給されることにより，第１のフィルタ手段によって発生する位相の遅延時間分を補正することによって同じ位相で供給されるので位相雑音の発生が相殺される。
また，局部発振信号が第２の周波数変換手段に入力されることがない。
そして，局部発振信号発生手段２０から出力される局部発振信号は周波数制御ができると共に，それに対応するように第２のフィルタ手段２２を広帯域に構成したので，複数のテレビ信号の中から再送信を希望するチャンネルが自在に設定でき，例えば複数の再送信装置を備えたシステムにおける予備機として設置しておけば，何れかのチャンネルを再送信する再送信装置が故障したとしても素早く対応できるし，また，地域ごとの異なるチャンネル配置に対しても，チャンネルごとの再送信装置を準備することなく１つの再送信装置で対応できるといった，汎用性の高い再送信装置が提供できるのである。
尚，本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく，本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明に係る実施形態の再送信装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【００１５】
１…受信アンテナ，２…入力端，３…出力端，４…送信アンテナ，１０…再送信装置，１１…第１の周波数変換手段，１２…第１のフィルタ手段，１３…第２の周波数変換手段，２０…局部発振信号発生手段，２１…周波数変換手段，２２…第２の周波数変換手段，
【技術分野】
【０００１】
本発明は，主に地上デジタル放送を再送信する再送信装置に関し，特に同一周波数を使って再送信する再送信装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来，妨害波除去装置として，高周波信号が加わる入力端と，上記入力端に加わる信号を発振器からの局部発振信号で周波数変換して入力信号よりも周波数の低い中間周波信号を作り出す第１のミキサと，上記中間周波信号を上記発振器からの局部発振信号で周波数変換して元の信号の周波数帯に戻す第２のミキサと，該第２のミキサ出力を出力する出力端と，上記第１のミキサと上記第２のミキサとの間に介設された受信希望の高周波信号分を通過するフィルタ要素と，上記発振器と，上記発振器の発振周波数を制御するための周波数制御手段と，を備えたものが提案されている。
従来の回路構成によれば，受信した高周波信号を該高周波信号より低く取り扱いの容易な中間周波数帯に周波数変換する事によって，例えばＳＡＷ（Ｓｕｒｆａｃｅ Ａｃｏｕｓｔｉｃ Ｗａｖｅ：弾性表面波）フィルタ等のフィルタ手段を使って，希望する信号成分以外の不要信号を簡単且つ高性能に除去することができる。更には，フィルタ手段によって抽出された希望信号を同じ発振器から出力された局部発振信号によって元の周波数に確実に戻すことができる。（例えば，特許文献１参照）
【０００３】
【特許文献１】特開昭６１−２５６８３０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし，このような回路構成のものを地上デジタル放送の再送信に用いようとすると，前記フィルタ手段を介在させたことによって生じる位相の遅延時間が無視できなくなり位相雑音が劣化し，同一周波数を用いた再送信に悪影響が生じると言った問題があった。更には，局部発振信号発生回路において発生する高調波等の雑音成分が第２の周波数変換手段を介して出力端から出力されてしまう可能性がある。
そこで本願においては，こうした問題点を解決するためになされたものであり，
その目的は，同一周波数を用いて，安価に且つ高性能に実現できる再送信装置を提供する事にある。
他の目的は，汎用性の高い再送信装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するために，請求項１の発明は，受信したテレビ信号を信号処理して再送信する再送信装置において，複数のテレビ信号が加わる入力端と，前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段の出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号発生手段と，前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で可変する制御するための周波数制御手段と，前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，前記第２の周波数変換手段から出力される希望波のテレビ信号を出力する出力端と，を備えたことを特徴とした。
【発明の効果】
【０００６】
請求項１の発明によれば，受信したテレビ信号を信号処理して再送信する再送信装置において，複数のテレビ信号が加わる入力端と，前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段の出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号発生手段と，前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で可変する制御するための周波数制御手段と，前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，前記第２の周波数変換手段から出力される希望波のテレビ信号を出力する出力端と，を備えるように構成したしたので，
入力端から入力されたテレビ信号を，第１の周波数変換手段によって前記テレビ信号より低い中間周波数帯に変換するので，この中間周波数帯の信号から再送信を希望するテレビ信号成分を抽出しそれ以外の成分を阻止する，狭帯域な第１のフィルタ手段が安価に且つ高性能に実現できる。
また，第１のフィルタ手段で抽出したテレビ信号成分を第２の周波数変換手段１３で元の周波数帯に戻すために，局部発振信号発生手段において生成された局部発振信号を分配して用いるので，正確に戻すことができる。
更に，第２の周波数変換手段に供給される局部発振信号は，第２のフィルタ手段を介して供給されることにより，第１のフィルタ手段によって発生する位相の遅延時間分を補正することによって同じ位相で供給されるので位相雑音の発生が相殺される。
そして，局部発振信号発生手段から出力される局部発振信号は周波数制御ができると共に，それに対応するように第２のフィルタ手段を広帯域に構成したので，複数のテレビ信号の中から再送信を希望するチャンネルが自在に設定でき，例えば複数の再送信装置を備えたシステムにおける予備機として設置しておけば，何れかのチャンネルを再送信する再送信装置が故障したとしても素早く対応できるし，また，地域ごとの異なるチャンネル配置に対しても，チャンネルごとの再送信装置を準備することなく１つの再送信装置で対応できるといった，汎用性の高い再送信装置が提供できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下に，本発明を具体化した実施形態の例を，図面を基に詳細に説明する。
図１は本発明に係る実施形態の再送信装置を示す概略構成図である。
【実施例１】
【０００８】
図において１０は本発明の実施形態の再送信装置である。１は受信アンテナ，２は入力端，１１は第１の周波数変換手段，１２は第１のフィルタ手段，１３は第２の周波数変換手段，３は出力端，４は送信アンテナである。２０は局部発振信号発生手段，２１は局部発振信号の発振周波数を制御する周波数制御手段，２２は第２のフィルタ手段である。
【０００９】
本発明の実施例ではＵＨＦ帯の電波を受信して同一周波数にて再送信する再送信装置１０について説明する。受信アンテナ１で受信した信号は入力端２から再送信装置１０に入力される。入力された信号は第１の周波数変換手段１１と局部発振信号発生手段２０において生成される局部発振信号によって，入力された信号より低い周波数帯の中間周波数に変換される。
この局部発振信号発生手段２０はＶＣＯ（Ｖｏｌｔａｇｅ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｄ Ｏｓｃｉｌｌａｔｏｒ：電圧制御発振器）であり，電圧入力端２０ａに加わる電圧の大きさに対応した周波数の局部発振信号を出力する。この制御電圧は周波数制御手段２１としての可変電圧源において外部からの設定に対応して出力される。尚，局部発振信号発生手段２０と周波数制御手段２１はＰＬＬ（Ｐｈａｓｅ Ｌｏｃｋ Ｌｏｏｐ：位相同期ループ）を用いたシンセサイザー方式で構成してもよい。
【００１０】
次に，前記第１の周波数変換手段１１において周波数変換された中間周波数の信号は，第１のフィルタ手段１２に入力される。この第１のフィルタ手段１２は例えばバンドパスフィルタからなり，前記中間周波数の信号から再送信を希望するのテレビ信号成分以外の隣接チャンネル信号成分や不要信号を阻止する。このバンドパスフィルタ１２は例えばＳＡＷフィルタが用いられる。
【００１１】
次に第１のフィルタ手段１２において選択的に出力された希望のテレビ信号成分は，第２の周波数変換手段１３と局部発振信号発生手段２０において生成される局部発振信号によって，元のテレビ信号の周波数帯に周波数変換される。
本発明の実施例では，局部発振信号発生手段２０と第２の周波数変換手段１３との間には，局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段２１によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段２２が設けられている。この第２のフィルタ手段２２は例えば広帯域なＳＡＷフィルタから構成されており，前記第１のフィルタ手段１２と略同じ遅延時間を有するものである。尚，本発明の実施例では第２のフィルタ手段２２はＳＡＷフィルタを使用しているが，前記第１のフィルタ手段１２と略同じ遅延時間を有するものであれば特にＳＡＷフィルタ等のフィルタ手段に限定されるものではなく，他の信号遅延手段（例えば，光ファイバなど）で構成してもよい事は言うまでもない。
そして，第２の周波数変換回路１３において前記受信したテレビ信号の周波数帯に変換されてた出力は，出力端３を介して送信アンテナ４より送出される。
【００１２】
本発明の実施例においては，入力される信号はＵＨＦ帯である４７３乃至７６７ＭＨｚ（中心周波数）であり，例えば再送信を希望する信号が４７３ＭＨｚ（ｃｈ１３の中心周波数），それに対して局部発振信号発生手段２０において生成される局部発振信号を４３５．８５ＭＨｚとすれば，第１の周波数変換手段１１から出力される中間周波数帯の信号は差の成分である３７．１５ＭＨｚである。また，再送信を希望する信号が７６７ＭＨｚ（ｃｈ６２の中心周波数），それに対して局部発振信号を７２９．８５ＭＨｚとすれば，第１の周波数変換手段１１から出力される中間周波数帯の信号は差の成分は上記の例と同様に３７．１５ＭＨｚである。つまり，ＳＡＷフィルタ１２は中心周波数３７．１５ＭＨｚで，帯域幅６ＭＨｚを有したものであり再送信を希望するテレビ信号成分のみを抽出する。
また，第２の周波数変換手段１３では，ｃｈ１３を再送信したいなら中間周波数３７．１５ＭＨｚと第１の周波数変換手段１１と同じ局部発振信号４３５．８５ＭＨｚの和成分とで４７３ＭＨｚに，ｃｈ６２を再送信したいなら中間周波数３７．１５ＭＨｚと第１の周波数変換手段１１と同じ局部発振信号７２９．８５ＭＨｚの和成分とで７６７ＭＨｚになり，それぞれもとのテレビ信号の周波数帯に正確に戻る。
つまり，局部発振信号発生手段２０から出力される局部発振信号は，少なくとも４３５．８５ＭＨｚ乃至７２９．８５ＭＨｚの範囲で発振周波数を可変できるように構成されている。それに対して第２のフィルタ手段２２は少なくとも４３５．８５ＭＨｚ乃至７２９．８５ＭＨｚの周波数帯を通過しそれ以外は阻止すると共に，その遅延時間は前記第１のフィルタ手段１２と略同じに成るように構成されている。
【００１３】
以上，本発明によれば，入力端から入力されたテレビ信号を，第１の周波数変換手段１１によって前記テレビ信号より低い中間周波数帯に変換するので，この中間周波数帯の信号から再送信を希望するテレビ信号成分を抽出しそれ以外の成分を阻止する狭帯域な第１のフィルタ手段１２が安価に且つ高性能に実現できる。
また，第１のフィルタ手段１２で抽出したテレビ信号成分を第２の周波数変換手段１３で元の周波数帯に戻すために，局部発振信号発生手段２０において生成された局部発振信号を分配して用いるので，正確に戻すことができる。
更に，第２の周波数変換手段１３に供給される局部発振信号は，第２のフィルタ手段２２を介して供給されることにより，第１のフィルタ手段によって発生する位相の遅延時間分を補正することによって同じ位相で供給されるので位相雑音の発生が相殺される。
また，局部発振信号が第２の周波数変換手段に入力されることがない。
そして，局部発振信号発生手段２０から出力される局部発振信号は周波数制御ができると共に，それに対応するように第２のフィルタ手段２２を広帯域に構成したので，複数のテレビ信号の中から再送信を希望するチャンネルが自在に設定でき，例えば複数の再送信装置を備えたシステムにおける予備機として設置しておけば，何れかのチャンネルを再送信する再送信装置が故障したとしても素早く対応できるし，また，地域ごとの異なるチャンネル配置に対しても，チャンネルごとの再送信装置を準備することなく１つの再送信装置で対応できるといった，汎用性の高い再送信装置が提供できるのである。
尚，本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく，本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明に係る実施形態の再送信装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【００１５】
１…受信アンテナ，２…入力端，３…出力端，４…送信アンテナ，１０…再送信装置，１１…第１の周波数変換手段，１２…第１のフィルタ手段，１３…第２の周波数変換手段，２０…局部発振信号発生手段，２１…周波数変換手段，２２…第２の周波数変換手段，
【特許請求の範囲】
【請求項１】
受信したテレビ信号を信号処理して再送信する再送信装置において，
複数のテレビ信号が加わる入力端と，
前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，
前記第１の周波数変換手段の出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，
前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，
前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号発生手段と，
前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で制御するための周波数制御手段と，
前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，
前記第２の周波数変換手段から出力される希望波のテレビ信号を出力する出力端と，
を備えたことを特徴とした再送信装置。
【請求項１】
受信したテレビ信号を信号処理して再送信する再送信装置において，
複数のテレビ信号が加わる入力端と，
前記入力端に加わるテレビ信号を中間周波数に周波数変換する第１の周波数変換手段と，
前記第１の周波数変換手段の出力の中から希望のテレビ信号成分を選択的に通過させる第１のフィルタ手段と，
前記フィルタ手段の出力を前記受信したテレビ信号の周波数帯に周波数変換する第２の周波数変換手段と，
前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段の周波数変換のための局部発振信号を発生し，前記第１の周波数変換手段及び前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号発生手段と，
前記局部発振信号発生手段の発振周波数を所定範囲内で制御するための周波数制御手段と，
前記局部発振信号発生器から前記第２の周波数変換手段へ出力する局部発振信号を通過するフィルタであって，少なくとも，前記周波数制御手段によって制御される発振周波数の制御範囲を通過帯域とする第２のフィルタ手段と，
前記第２の周波数変換手段から出力される希望波のテレビ信号を出力する出力端と，
を備えたことを特徴とした再送信装置。
【図１】
【公開番号】特開２００７−２７４５１７（Ｐ２００７−２７４５１７Ａ）
【公開日】平成１９年１０月１８日（２００７．１０．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−９９５３３（Ｐ２００６−９９５３３）
【出願日】平成１８年３月３１日（２００６．３．３１）
【出願人】（０００１１３６６５）マスプロ電工株式会社 (395)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１０月１８日（２００７．１０．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月３１日（２００６．３．３１）
【出願人】（０００１１３６６５）マスプロ電工株式会社 (395)
【Ｆターム（参考）】
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