再関連付け要求を送信する前に新しいアクセスポイントで通信資源を要求および/または割り当てる方法
【解決手段】 無線ローカルエリアネットワークの新しいアクセスポイントなど、無線通信システムの新しい定位置送受信機において、通信資源を要求し割り当てる装置およびそれに関連付けられた方法。モバイルユニットの資源要件などを識別する情報要素を含むよう構造化された資源情報コンテナが形成される。資源情報コンテナ(232)の前記情報要素には、ルートノード(233)と、1若しくはそれ以上のリーフノード(236a〜236d)と、選択可能に1若しくはそれ以上のグループノード(234)とが含まれる。新しいアクセスポイントで資源を早期に予約し、または資源の可用性を決定するため、移行手順(132)、(134a)の開始前に当該資源情報コンテナは通信される(114a)、(118a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク技術に関し、具体的には、無線通信システムのネットワークステーション間のモバイルユニット通信の移行を容易にする機構に関する。さらに具体的には、本発明は、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network:WLAN)などの無線通信システムにおける新しいネットワークステーションへの移行時に、前記モバイルユニットが利用でき、必要とし、または所望する資源を識別する資源情報コンテナまたはデータ構造を生成および利用するための装置、方法、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の進歩により、これまで多種多様な通信システムが開発および配備されてきている。通信システムは、任意多数の異種通信サービスに係るデータの通信に使用されており、データが相互通信される通信ステーションセットにより形成されている。その通信ステーションセットに含まれる少なくとも1つの通信ステーションは送信ステーションを形成し、同じ通信ステーションの少なくとも1つの別の通信ステーションは受信ステーションを形成する。これらの送信ステーションおよび受信ステーションは通信チャネルにより相互接続され、送信ステーションにより通信されるデータは、通信チャネルを介して受信ステーションへ配信される。
【0003】
無線通信システムとは、通信ステーションを相互接続するデータ通信媒体である通信チャネルが無線チャネルで形成されたタイプの通信システムである。無線チャネルは、電磁スペクトルの一部を有する無線リンク上に画成される。通信ステーション間のデータ通信に無線チャネルが使用される場合、それらの通信ステーションを有線(ワイヤーライン)すなわち固定接続で相互接続する必要はない。無線通信システムの通信ステーションの配置は、通信ステーションを相互接続する上で有線接続の可用性に依存しないため、通信ステーションは、有線通信システムでは不可能な場所および態様でも配置できる。そのため、無線通信システムを使用した通信は、有線通信ステーションを配置および使用できない場所で、またそのような場所同士で可能となっている。また無線通信システムは、データを相互通信し通信移動性を備えた通信ステーションを1若しくはそれ以上配設したモバイル通信(移動体通信)システムとしての実装(実施)が可能である。
【0004】
セルラー通信システムは、モバイル無線通信システムの代表的なタイプである。セルラー通信システムにおけるネットワークインフラストラクチャは、通信を可能にしようとする地理的領域の全体にわたり設置される。通常、このネットワークインフラストラクチャには、定位置に離間して設置された複数の送受信機(トランシーバ)が含まれ、その各々がセルを画成する。一般に、定位置送受信機の位置決めは、セルが集合的に前記地理的領域の全体を包含する態様で、セルが一部重複するよう選択される。無線送受信機は、通常、携帯と移動の双方が可能であり、定位置送受信機との通信に使用される。一般に、携帯型送受信機は、それが位置するセル内で、そのセルを画成している定位置送受信機と通信する。異なる定位置送受信機で画成されたセル間を携帯型送受信機が移動する場合は、その携帯型送受信機での通信を引き続き可能にするため、通信のハンドオフが実行される。
【0005】
他種の無線通信システムとしては、セルラー通信システムの特徴を一部備えたものが開発および配備されている。例えば、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)はセルラー通信システムの特徴を一部備えている。無線ローカルエリアネットワークにはネットワーク部分が含まれ、また通常はセルもしくはそれ以外に画成されたカバー領域をそれぞれ画成する複数の送受信機も含まれている。無線ローカルエリアネットワークで動作可能な送受信機(本明細書では「モバイルステーション(STA)」、「モバイルユニット(MU)」とも呼ぶ)は、そのSTAが位置しているカバー領域を画成するネットワーク部分の送受信機と通信する。後続ネットワーク部分の送受信機間で通信がハンドオフされることにより、異なるネットワーク部分の送受信機により画成されたカバー領域間をSTAが移動しても、通信は引き続き可能になる。
【0006】
通信ハンドオフ(本明細書では「通信の移行」とも呼ばれる)では、通信ハンドオフ中にできる限り通信サービスが中断されないようにするため、ネットワーク部分の送受信機間のハンドオフまたは移行が迅速に実行(実施)されることが望ましい。しかし、その移行には種々のシグナリングが必要とされる。
【0007】
また、実施されるデータ通信サービスがいっそうデータ量を増し、通信データ種別も通信サービスも複数になっているため、通信のハンドオフ先である定位置送受信機で無線資源を確保するための無線資源予約も必要である。予約要求は複数の要求を有することもあり、これらは異種の通信データ用であり、また予約のための第1の要求が行われなかった場合に備えた代替要求でもある。これらの要求は複雑なものであるため、通信の移行中に実行するには時間がかかり、通信移行中に通信サービスの中断を最小限に抑えるという目的に反している。
【0008】
従来の通信移行機構は、モバイルユニットにサービスを提供する十分な資源が固定ステーションで利用できるか決定する前に、そのモバイルユニットが移行を完了しなければならないという難点を抱えている。したがって、通信を移行する際、事前に通信資源を割り当てるための効率的なスキームが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、IEEE 802動作仕様の変形形態に対応して動作可能なWLANなどの無線通信システムのネットワークステーション間でモバイルユニットの通信の迅速な移行を容易にする装置、それに関連した方法、およびコンピュータ可読媒体を有利に提供する。
【0010】
資源情報コンテナ、すなわち必要とされ若しくは所望されておりモバイルユニットに利用可能となる資源を識別するデータ構造を、前記モバイルユニットが新ネットワークステーションに移行する際に生成および利用するための機構が提供される。
【0011】
前記資源情報コンテナは、構造化された態様でフォーマットされた望ましい数の情報要素で形成される。特定の前記情報要素は、前記モバイルユニットにより若しくは前記モバイルユニットを使って実施され若しくは実施されると予測される1若しくはそれ以上の通信サービスに従い、前記モバイルユニットにとり望ましく、必要で、または利用できる資源を識別する。前記資源情報コンテナは、新しいネットワークステーションへの前記モバイルユニットの通信移行前に、前記モバイルユニットにより送信される。要求された資源または必須の資源を識別するこの資源情報コンテナは、移行手順の呼び出し前に前記モバイルユニットにより送信されるため、前記移行手順の実際の実施中に同じ情報を識別する必要性は不要になる。これにより、前記新しいネットワークステーションへの通信の移行は、従来可能とされる移行より迅速に実行できるようになる。新しいネットワークステーションへの通信移行中の通信サービス中断に伴う問題は、前記移行手順の実施にかかる所要時間の短縮により軽減または回避される。
【0012】
本発明の一態様では、前記資源情報コンテナは、前記モバイルユニットが通信中のネットワークステーションへ、前記モバイルユニットにより送信される。そのネットワークステーションは、前記資源情報コンテナまたは少なくともその指標を、通信の移行先として可能性のある1若しくはそれ以上のネットワークステーションへ転送する。
【0013】
前記資源情報コンテナが潜在的移行先ネットワークステーションに配信されると、その潜在的移行先ネットワークステーションは、前記資源情報コンテナの内容と、その資源要件またはそれに含まれる要求とを検出する。前記コンテナのルーティング先である前記潜在的移行先ネットワークステーションは、前記要求された資源の可用性を決定し、前記要求された資源がそのネットワークステーションで利用可能かどうかを少なくとも識別する返信を形成する。前記要求された資源(またはその一部)が前記潜在的移行先ネットワークステーションで利用可能な場合、この潜在的移行先ネットワークステーションは、前記要求された資源を前記モバイルユニット用に選択可能に予約でき、その資源予約は、前記潜在的移行先ネットワークステーションにより生成される応答内で識別可能である。
【0014】
前記資源情報コンテナは可能性として複数の情報要素を含み、その各々は資源要求を識別するため、可能性として前記コンテナのルーティング先となる前記ネットワークステーションは、要求に対する複数の回答または応答を形成する。例えば一実施態様において、前記通信サービスは、サービス品質(通信品質、略称QoS)レベルのデータ通信により実施される。前記モバイルユニットは、最適なQoSレベルで、あるいは1若しくはそれ以上の下位QoSレベルまたは代替QoSレベルで通信サービスを実施するための通信資源を要求する。それに応答して、前記ネットワークステーションは、要求された前記代替サービスレベルに準拠するよう、利用可能または予約可能な資源を識別する。すなわち、前記最適なQoSレベルの資源が利用できないとしても、当該ネットワークステーションは、前記通信サービスを実施する上で許容範囲内の下位サービス品質レベルを満たす資源を有する可能性がある。
【0015】
本発明の別の態様では、1若しくはそれ以上の潜在的移行先ネットワークステーションにより生成され、前記モバイルユニットに戻されてきた各応答は、前記潜在的移行先ネットワークステーションが実施予定の通信サービスに利用可能または予約可能な資源を有するかどうかを前記モバイルユニットに示す。前記モバイルユニットが所望し若しくは必要とする資源を潜在的移行先ネットワークステーションが有さない場合、このモバイルユニットは、自らが要求した資源が利用不能または予約不能な前記潜在的移行先ネットワークステーションに移行しないことを選択できる。
【0016】
また、潜在的移行先ネットワークステーションへ前記資源情報コンテナを早期に送信することにより、特定の通信サービスに準拠した前記モバイルユニットに必要な資源は、移行手順が実施される際、それ以前に送信された前記資源情報コンテナへのインデックス付加が可能な識別子の送信を通じて迅速に識別される。これにより前記要求された資源は、前記潜在的移行先ネットワークステーションにとって単純かつ迅速に識別可能となり、前記移行手順に付随する遅延時間はほとんど生じない。
【0017】
1若しくはそれ以上の情報要素で形成された前記資源情報コンテナは、前記モバイルユニットによりまた前記モバイルユニットを使って実施可能な通信サービスの資源要件に関連付けられた階層型データ構造を有することができる。情報要素は、資源要件か、他の資源要件へのリンクかを示す。例示的な実施態様において、前記資源情報コンテナは集合的に資源要求メッセージを定義する記述子で形成され、この記述子はツリー状に構造化され、そのブランチはリンクと資源要求を含むエンドポイント(リーフ)とを形成する。すなわち、当該資源要求メッセージまたは資源情報コンテナはいくつかのサブコンポーネントで形成され、各サブコンポーネントは実質的に共通した構造を有する。前記資源要求メッセージは、1若しくはそれ以上のサブコンポーネントで選択可能に形成される。例示的な実施態様では、前記資源要求メッセージは、IEEE 802.11情報要素データ構造に適合したサブコンポーネントで形成される。
【0018】
IEEE 802動作仕様の変形形態に準拠して動作するWLANにおいて実施(実装)される前記モバイルユニットは、モバイルユニット(mobile unit:MU)と呼ばれることもあり、定位置設置のアクセスポイント(access point:AP)と通信する。移行手順の開始前、前記モバイルユニットは資源情報コンテナを形成し、形成されたこのコンテナを、当該モバイルユニットが通信接続している前記アクセスポイントへ送信する。当該モバイルユニットが通信中のこのアクセスポイントは、前記コンテナまたはその指標を、通信の移行先として可能性がある潜在的移行先アクセスポイントへ転送する。
【0019】
前記潜在的移行先アクセスポイントは、前記コンテナの内容を検出し、前記資源情報コンテナに記述された要求に対応する資源が前記潜在的移行先アクセスポイントで利用可能かどうかを決定する。前記潜在的移行先アクセスポイントは、前記モバイルユニット用に、要求された資源を選択可能に予約できる。この潜在的移行先アクセスポイントは、前記要求を承認または拒否する応答を形成し、前記予約が行われた場合はさらに前記資源の予約を選択可能に識別することができる。
【0020】
次いで前記モバイルユニットは、前記潜在的移行先アクセスポイントへ移行するよう選択(またはそのように命令される)する。それに後続する移行手順に従い、それ以前に送信された資源情報コンテナに含まれている前記情報要素の1つなど、前記モバイルユニットにより要求された資源は、インデックスの付加が可能な値により識別される。前記資源の割り当て要求は最小限の証印(指標)により識別され、サービスネゴシエーションは一般に不要であるため、前記移行手順はほとんど影響されない。これにより移行手順が迅速化されてサービスが中断される可能性はより小さくなり、結果として従来の手順に対し通信性能は改善される。
【0021】
したがって、以上に述べた態様等では、通信サービスに係るモバイルユニットの移行先ネットワークステーションへの通信の移行を当該モバイルユニットについて容易にする装置と、それに関連した方法と、コンピュータ可読媒体とが提供される。前記モバイルユニットでは、メッセージジェネレータが具現化される。このメッセージジェネレータは、前記通信サービスに従い前記モバイルユニットで必要な資源要件の指標を受信するようなっている。このメッセージジェネレータは、第1の情報要素を含む資源情報コンテナを生成する。前記第1の情報要素は、前記通信サービスに関連付けられた第1の資源要件に関連付けられた値を含むようフォーマットされる。前記資源情報コンテナは、移行先ネットワークステーションへの通信の移行前に生成される。
【0022】
本発明およびその範囲は、添付の図面と、現時点における本発明の好適な実施形態を記述した以下の詳細な説明と、添付の請求の範囲とにより、より完全に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下の開示では、言うまでもなく、種々の実施形態の異なる特徴を実施するため、多数の異なる実施形態または実施例を提供している。以下では、本開示を簡略化するため構成要素および配置の特定の実施例を説明している。当然のことながら、これらは単なる実施例に過ぎず、限定を意図したものではない。また、本開示では種々の実施例で繰り返し参照符号を使用している場合がある。この反復は簡潔性および明瞭性のためであり、それ自体が種々の実施形態および/または開示される構成の関係を決定するものではない。
【0024】
図1は、本明細書で開示した実施形態を優位に実装できる例示的ネットワークシステム100の簡略化したブロック図である。ネットワーク100は、IEEE 802.11規格の変形形態に準拠した無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network:WLAN)などの共用資源ネットワークの一例である。
【0025】
図示した例では、システム100は2つの基本サービスセット(basic service set:BSS)10および11を有するが、システム100にはいかなる数のBSSも含めることができる。BSS 10および11は、それぞれのカバー領域すなわちセルを提供し、それらの領域では、モバイルSTA 20などのWLANステーション(STA)が、無線媒体を介して相互通信し、またはシステム100と連動する他の外部ネットワークの他の通信装置もしくは計算装置と通信する。BSS 10および11は、分散システム(distribution system:DS)30により通信自在に相互接続されている。DS 30は、送信先マッピングのアドレス取り扱いと、複数BSSの統合とに必要な論理サービスを提供することにより、モバイル装置のサポートを可能にする。BSS10および11の各々には、DS 30へのアクセスを提供するアクセスポイント(access point:AP)40および41がそれぞれ含まれている。BSS 10および11とAP 40および41とが提供するDS 30により、任意のサイズおよび複雑度を伴う無線ネットワークの作成が容易になり、BSS 10および11とDS 30との集合は、一般に拡張サービスセットネットワークと呼ばれる。システム100と、LAN 50などの非IEEE 802.11 LANとの間の論理的な統合は、ポータル60により提供できる。ネットワーク100には、他の種々の構成が可能である。例えばBSS10および11は、部分的に重複させても、同一場所に配置してもよい。BSS 10および11の各々には、システム100内でBSS 10および11を一意に識別する基本サービスセット識別子(basic service set identifier:BSSID)がそれぞれ割り当てられている。
【0026】
システム100は、異なるアクセスポイント間の重複したカバー領域間をモバイルステーションが移動するなどの場合、アクセスポイント間でSTAに通信の移行を提供する。通信の移行は、さらにネットワークでの通信動作を容易にする他の理由で実行されることもある。通信の移行に従い、移行実施のため、種々のシグナリング動作が実行され、また種々の決定が行われなければならない。この移行工程には、数百ミリ秒もの時間が消費される場合がある。この移行手順中には、通信が中断され、またはデータが失なわれるおそれがあり、その場合モバイルステーションの通信セッションによる通信が悪影響を受ける。本発明は、AP間の高速移行のための機構を提供する。本明細書で説明する実施形態に従い高速移行を実施するようになっているAPは、高速BSS移行対応アクセスポイント(fast BSS transition enabled access points:TAP)と呼ばれ、本明細書で説明する実施形態に従い高速移行を実施するようなっているモバイルステーションは、高速移行対応ステーション(fast transition enabled)stations:TSTA)または単にステーション(STA)と呼ばれる。
【0027】
1つのAPから別のAPへの移行を正常に行うには、データ通信サービス、または望ましいデータ通信サービスに係る継続的な通信を可能にする通信資源が、移行先アクセスポイントで十分利用可能であることが好ましい。通信資源割り当てのための要求は、時間がかかり、種々のサービス品質(通信品質、略称QoS)レベルでサービスネゴシエーションを必要とする可能性がある。有利なことに、本発明の実施形態は、移行先アクセスポイントで通信資源の事前予約を容易にし、あるいは少なくとも予想される移行先アクセスポイントで資源が利用できるかどうかの指標を移行手順前に提供する機構を提供する。移行先APで資源が利用できない場合は、そのアクセスポイントに移行すべきかどうか付加的な決定が行われ、別のアクセスポイントに移行すべきか、また可能であれば移行を見送るかについて可能性が調査される。
【0028】
したがって、本発明の実施形態によれば、前記モバイルステーションは、本発明の実施形態のモジュール36を含む。モジュール36は、機能的に表され、ソフトウェア、ハードウェア、またはその組み合わせを有する機能的エンティティで形成されており、例えば処理回路で実行可能なアルゴリズムによる実施やASIC(application specific integrated circuit =特定用途向け集積回路)の実装など、望ましい任意の態様で実施(実装)可能である。このモジュール36は、前記モバイルステーションの送受信機38に通信可能に連結されている。
【0029】
モジュール36は、資源情報コンテナ(resource information container:RIC)または記述子を有する資源要求メッセージを生成するよう動作する資源情報メッセージジェネレータを含む。RICは、必須資源および任意選択資源を含む資源要求を前記STAが生成する機構をもたらすものである。STAから発行された資源要求を有するRICは、RICルートIE(RIC root IE:RRIE)やRICデータIE(RIC data IE:RDIE)など、複数の情報要素(information element:IE)を有しうる。RIC資源要求への応答は、前記目標TAPから発行されたRICと、応答IEとを有する場合がある。前記資源要求メッセージを形成する前記RICの内容は、入力証印に応答して作成される。この入力証印は、例えば送受信機38やデータソース(図示せず)から、または利用者の選択に応答して、送信される場合がある。前記RICの詳細な例示的フォーマットは、本明細書で以下説明する。生成されたRICは、前記モバイルステーションが通信接続しているシステム100ネットワーク部分に配信を行うため、無線リンク46上に定義された無線チャネルでの通信用に送受信機38の送信部分へ提供される。一実施態様では、前記モバイルステーションの現在の登録先である受信アクセスポイント(本明細書では、現在のアクセスポイントとも呼ばれる)は、通信の移行先として見込まれる予想TAPまたは目標TAPに、前記RICを転送する。この実施態様において、前記RICは、前記DSを介して前記現在のTAPから前記目標TAPへと通信される。別の実施態様では、当該モバイルステーションは、無線インターフェースを介し、前記目標TAPに直接資源情報コンテナを通信する。
【0030】
1若しくはそれ以上のAP 40および41は、本発明の実施形態に従って実装された各々のモジュール48a〜48bを含みうる。モジュール48a〜48bは、機能的に表され、ソフトウェア、ハードウェア、またはその組み合わせを含む望ましい任意の態様で実施(実装)可能である。この例示的実施態様におけるモジュール48a〜48bは、それぞれアクセスポイントにおいて具現化され、他の実施形態では、中央制御装置(図示せず)で具現化される、あるいはアクセスポイントと他のネットワークエンティティとの間で機能的に分散されるなど、別の場所で具現化される。
【0031】
モジュール48a〜48bの各々は、受信したメッセージの前記RICの値を検出するよう動作するメッセージディテクタ(検出プログラム)を含む。検出されたRICの各値は前記モジュールのコンファーマ(確認)ルーチンに提供され、そこでそのRIC内に指定されている要求された資源が利用できるかどうかが決定され、利用できる場合はどの資源が利用可能であるかが確認される。さらに前記コンファーマルーチンは、適切な場合、要求された資源の予約を確認し、前記モバイルステーションに戻す応答を形成する。目標TAPからモバイルステーションに提供された応答は、前記DS経由で、あるいは無線インターフェース経由で直接前記STAへ送信される。この応答は、RICとして構成することもできる。
【0032】
前記モバイルステーションの前記モジュール36は、当該モバイルステーションに戻されてきた応答を検出するディテクタ(検出)ルーチンと、コミッタ(確約)ルーチンをさらに含みうる。前記コミッタルーチンは、目標TAPから利用可能であると確認された資源を前記モバイルステーションが使用するようコミット(確約)する。このコミットメント(確約)は、RICとして構成することもできる。このように移行手順の開始前にRICを生成および通信することにより、通常であれば当該移行手順中に資源割り当て要求に伴う遅延が回避される。この結果、移行時間による遅延は短縮され、通信の改善が可能になる。
【0033】
本明細書で説明するように、現在のTAPとは、前記モバイルステーションの現在の登録先であり、このモバイルステーションの通信接続先であるアクセスポイントをいう。本明細書における目標TAPとは、通信の移行先となることが見込まれる(予想される)アクセスポイントをいう。図示した例において、AP 40はSTA 20の現在のTAPを有しており、またSTA 20用の目標TAPを有する。特定の位置にあるモバイルステーションに対し、いかなるアクセスポイントも現在のTAPおよび目標TAPになることができる。また、通信移行先としての目標TAPは、前記現在のアクセスポイントが含まれる同じネットワーク内のアクセスポイントであってもよい。他のシナリオでは、目標TAPは、別のネットワーク内に位置している。また、この目標TAPは、別のネットワークシステムのアクセスポイントであってもよい。例示的実施形態において、前記現在のTAPおよび目標TAPがどちらもIEEE 802.11動作仕様の変形形態の動作プロトコルを使ってネットワーク内で動作可能である場合、形成される前記RICと、確認メッセージと、コミットメント(確約)メッセージとを包含するメッセージは、MAC(メディアアクセス制御)レイヤーのメッセージなど、レイヤー2のメッセージを有することができる。
【0034】
本明細書で説明するSTA用のBSS移行機構では、移行手順の呼び出し前に、あるいは当該STAが再関連付け手順を呼び出す時点で、目標TAPでの資源を予約する方法を提供する。前記STAは、これらのSTAおよび目標TAPで終端する無線インターフェースにより前記目標TAPと直接通信でき、このSTAは、前記DSを介した現在のTAPとの通信を通じ資源を予約することができる。本明細書で説明する資源割り当て機構は、QoS環境で特定の帯域幅要求を指定するトラフィック指定子(traffic specifier:TSPEC)、安全な環境でのキー材料(鍵材料)、その他の予約可能な資源など、任意タイプの資源の割り当てに使用できる。
【0035】
共用資源ネットワーク、それが動作する装置、および共用資源ネットワーク内で行われる無線媒体送信に関する本明細書での説明はIEEE 802.11のプロトコル、機能性、および命名法に従って提供しているが、このような例は単に例示的なものであって、本発明の実施はいかなる特定のネットワーク、ネットワーク対応装置、またはネットワーク通信フォーマットまたはプロトコルにも限定されるものではない。さらに、IEEE 802対応ネットワークでの実装(実施)と関連して本明細書に提供する本発明の説明は、単に例示的なものであり、本発明の理解を助けるためだけに提供するものである。本発明の実施形態は、データ通信用に共用資源を利用する他のネットワークアーキテクチャおよび装置でも実施することができる。
【0036】
図2Aは、図1に示した通信システム100の動作中に生成されるシグナリングの代表的な実施形態のメッセージシーケンス図112aを例示したものである。このシグナリングは、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で生成および通信されるメッセージの代表的なものである。図示した例において、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で交換されるシグナリングは、現在のTAP 40を経由して、すなわちDS 30のメッセージ交換機構を経由して行われる。
【0037】
まず前記モバイルステーションにて、資源要求を指定する資源情報コンテナが生成される(工程111)。次に、その資源情報コンテナを含む資源要求メッセージが、モバイルステーション20から前記現在のTAP 40へ延在する無線インターフェースを介して送信される(工程114a)。現在のTAP 40は、前記資源情報コンテナを含んだメッセージを目標TAP 41へルーティングする(工程118a)。前記資源情報コンテナの値は目標TAP 41に配信された時点で検出され(工程122)、このRIC(またはその内容)は目標TAP 41により格納される(工程123)。前記資源情報コンテナに含まれた1若しくはそれ以上の要求に応じるため、要求された資源が目標TAP 41で利用可能かどうかが決定される(工程124)。割り当て用に資源が利用できる場合、前記目標TAPは、任意選択でその資源を事前定義された間隔または期間だけ割り当てる(工程125)。そして確認メッセージまたは資源応答が生成される(工程126)。この確認メッセージでは、要求された資源がまったく利用できない旨、要求された資源が一部利用できる旨、または要求された資源が利用できる旨を指定することができる。また、この確認メッセージでは、利用可能な資源が事前割り当てされた旨を示すことができる。他の実施態様では、この確認メッセージは、前記資源の一部または全部が利用可能だが、前記目標移行先APによる事前割り当ては行われない旨を示すことができる。この確認メッセージには、再関連付け手順を呼び出す前記STAについて、要求された資源が予約される時間長を指定する遅延間隔を含めることができる。次に、この確認メッセージは、現在のTAP 40経由で前記モバイルステーションに戻される(工程128a)。この確認メッセージは、資源情報コンテナとしても構成可能である。この確認メッセージが前記モバイルステーションに配信されると、当該メッセージに割り当てられた資源が示されている場合は、その資源についてコミット(確約)すべきかどうかが決定される(工程132)。当該モバイルステーションは、前記利用可能な資源の使用についてコミットすることを示すため、コミットメント(確約)メッセージを生成し、現在のTAP 40経由で目標TAP 41に転送する(工程134a)。このコミットメントメッセージは資源情報コンテナも有することができ、再関連付け要求に含めることができる。このコミットメントメッセージは、TAP 41が前記コミットメントに関する情報を得て前記要求と当該コミットメントとの間の関連付けを識別できるようにするため、工程114aおよび118aでTAP 41へ送信される前記RICのインデックスを有することができる。元の要求に関するこのインデックスは、例えば、図2Aの工程114aおよび118a(または図2Bの工程114b)でAP 41に送信される前記資源要求に含まれた、前記RICのシーケンス番号または他の識別子、あるいは前記RICの1若しくはそれ以上のインデックス番号または1若しくはそれ以上の情報要素の識別子を有する。
【0038】
図2Bは、図1に示した通信システム100の動作中に生成されるシグナリングの代表的な実施形態のメッセージシーケンス図112bを例示したものである。このシグナリングは、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で生成および通信されるメッセージの代表的なものである。図示した例において、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で交換されるシグナリングは、TAP 20と目標TAP 41との間の直接的な無線インターフェースを介して行われる。
【0039】
まず前記モバイルステーションにて、資源要求を指定する資源情報コンテナが生成される(工程111)。次に、その資源情報コンテナを含む資源要求メッセージが、モバイルステーション20から前記目標TAP 40へ延在する無線インターフェースを介して送信される(工程114b)。前記資源情報コンテナの値は目標TAP 41に配信された時点で検出され(工程122)、このRIC(またはその内容)は目標TAP 41により格納される(工程123)。前記資源情報コンテナに含まれた1若しくはそれ以上の要求に応じるため、要求された資源が目標TAP 41で利用可能かどうかが決定される(工程124)。そして確認メッセージまたは資源応答が生成される(工程126)。この確認メッセージでは、要求された資源がまったく利用できない旨、要求された資源が一部利用できる旨、または要求された資源が利用できる旨を指定することができる。また、この確認メッセージでは、利用可能な資源が事前割り当てされた旨を示すことができる。他の実施態様では、この確認メッセージは、前記資源の一部または全部が利用可能だが、前記目標移行先APによる事前割り当ては行われない旨を示すことができる。この確認メッセージには、再関連付け手順を呼び出す前記STAについて、要求された資源が予約される時間長を指定する遅延間隔を含めることができる。次に、この確認メッセージは、STA 20と目標TAP 41との間の無線リンクを介して前記モバイルステーションに戻される(工程128b)。この確認メッセージは資源情報コンテナとして構成することもでき、この確認メッセージには、再関連付け手順を呼び出す前記STAについて、要求された資源が予約される時間長を指定する遅延間隔を含めることができる。この確認メッセージが前記モバイルステーションに配信されると、当該メッセージに割り当てられた資源が示されている場合は、その資源についてコミット(確約)すべきかどうかが決定される(工程132)。当該モバイルステーションは、前記利用可能な資源の使用についてコミットすることを示すため、コミットメント(確約)メッセージを生成し、目標TAP 41に送信する(工程134b)。工程134bで送信される前記コミットメントメッセージは、再関連付け要求メッセージに含めることができる。このコミットメントメッセージは、TAP 41が前記コミットメントに関する情報を得て前記要求と当該コミットメントとの間の関連付けを識別できるようにするため、工程114bでTAP 41へ送信される前記RICのインデックスを有することができる。元の要求に関するこのインデックスは、例えば、前記要求に含まれた、前記RICのシーケンス番号または他の識別子を有する。
【0040】
したがって、一般には次の3工程段階による資源事前確立手順が説明される。第1段階は通知工程を有し、この工程では前記目標TAPが前記モバイルステーションの資源要件について通知を受ける。次に、確認工程が実施され、前記目標TAPの資源可用性が確認される。それに次ぐコミットメント(確約)工程では、前記資源が前記モバイルステーションに使用されることが確認される。前記モバイルステーションの要件に関する前記目標TAPへの通知は、前記移行手順の前に起こる。すなわち、この段階では、前記モバイルステーションは、アドレスコンタクトポイントなど現在のアクセスポイントを参照したアドレスと、望ましい資源のリストとを含む要求メッセージを、前記目標TAPに送信する。それに対し、当該アクセスポイントは、例えば10msといった短期間内に即時応答するか、または遅延期間を提案するなど遅延を提示する。
【0041】
上記の資源確認工程(工程128aおよび128b)も、前記移行手順前に起こる。この工程は、前記アクセスポイントから遅延が提示される通知工程の後にのみ起こる。前記確認工程中、前記目標TAPは、要求された資源を当該目標TAPが提供できるかどうか示す。前記アクセスポイントは、このアクセスポイントが前記資源を保持する最小時間を時間単位(time unit:TU)で示し、前記モバイルステーションは、前記アクセスポイントが前記資源を継続して予約することを、このモバイルステーションが所望しているかどうか示す(前記目標TAPに送信する前記コミットメントメッセージ内で)。(前記資源応答での)この確認工程は、予約された(したがってリリースされる)資源の利用を前記モバイルステーションに許可するコミット(確約)工程前に、必要に応じて繰り返される。この能力は、例えば前記モバイルステーションが前記通信移行を最後まで実施しないと決定した場合に望ましい。
【0042】
再関連付け要求メッセージなどにおける前記コミット工程は、前記移行手順中に起こる。コミット段階の正常な終了は、前記目標TAPへの移行完了と実質的に同時に起こる。そのコミットに失敗すると、前記目標TAPは、失敗応答により前記移行手順を終了し、前記モバイルステーションが前記現在のAPとの通信を再開できるようにする。
【0043】
上記の通知工程およびコミット工程は、資源情報コンテナ(RIC)の通信を通じて実施される。この資源情報コンテナには、一連の情報要素(別称「資源ノード」または「サブコンポーネント」)が含まれる。この各情報要素(IE)は、以下でも説明するように、同様な構造を有する。
【0044】
一般的な資源情報コンテナは、TAPの一部として定義され、モバイルステーションおよびアクセスポイントが移行前に資源を確立できるようにする。この資源情報コンテナは、単一のTSPECなどについて短い資源要求を生成する場合に効率的に使用できる態様でフォーマットされるが、複数の資源の場合でも資源情報コンテナで形成された単一メッセージで要求できるよう柔軟性がある。複数の要求を1つにまとめる能力により、シグナリングにかかるオーバーヘッドが軽減され、高速な資源の事前割り当てが支援される。資源情報コンテナの前記サブコンポーネントは、上記で簡単に説明したようにノードである。
【0045】
前記資源情報コンテナの各資源IEは、情報要素を形成する。これを言い換えると、各情報要素は、前記資源情報コンテナの単一ノードを含む。例示的な実施態様では、1タイプのリーフノードは、QoS(サービス品質または通信品質)コンテキストを搬送するよう定義される。このため、前記資源情報コンテナは、前記モバイルステーションにより決定された必要な資源のリストを含む。一実施形態では、前記資源情報コンテナで形成された資源リストは、目標TAPによる割り当て前に、現在のアクセスポイントにより検証される。このような検証を実施するため、現在のアクセスポイントでは適切な構造が維持される。他の実施態様では、前記資源情報コンテナは、モバイルステーションから目標TAPに直接送信される。この場合、前記目標TAPは、そのような実施態様で前記検証を実施する。
【0046】
前記資源情報コンテナの情報要素は、特定の順序で連結される。一部の実施形態では、前記情報要素は、ルートIEタイプ、グループIEタイプ、および資源IEタイプのIEを有することができる。他の実施態様では、情報要素は、ルートIEタイプおよびデータIEタイプのIEを有することができる。資源情報コンテナには、ルートノードを1つだけ含めることができる。資源情報コンテナには、ゼロ、1つ、または複数など任意数のグループノードを含めることができ、その各々は連結された資源セットを示し、任意数のデータIEを含むことができる。また、各リーフノードには、TSPECなど単一の資源記述を含めることができる。
【0047】
図3は、最小限構造の資源情報コンテナ222の実施形態を例示したものである。RIC 222は、最小限の構造においてRICルートIE(RRIE)224と、資源IE 226を有する少なくとも1つのリーフノードとを含む。各資源IE 226は、TSPECなどの資源記述子を含む。RRIE 224は、前記モバイルステーションが通信接続している前記アクセスポイント、すなわち前記現在のTAPの同一性を提供することができ、また資源情報コンテナ222内に存在するリーフノードまたは資源IEの数を示す。
【0048】
図4は、別の例示的実施形態である資源情報コンテナ228を例示したものである。ここでも、この資源情報コンテナはRRIE 229を含んでいる。資源IE 226a〜226dを有する複数のリーフノードは、資源情報コンテナ228の一部として含まれている。各リーフノードは資源要求を形成し、連続したリーフノードはRRIE 229に連結されている。
【0049】
図5は、別の例示的実施形態である資源情報コンテナ232を例示したものである。ここでも、RRIE 233は資源情報コンテナ232の先頭に配置されている。また、ここでのRIC 232は、グループIE 234と、それぞれ資源IE 236a〜236dを有する一連のリーフノードとを含む。グループIE 234は、後続配置された前記リーフノードのうちどれが関連し合っているか、そしてそれにより資源割り当てのためグループ全体をまとめて扱えるようにしているかを示すため使用される。図示した例において、図5のグループIE 234は資源IE 236a〜236cにリンクしている。例えば、グループIE 234には、資源IE 236a〜236cの各々に関連付けられた識別子を含めることができる。第4の資源IE 236dは、グループIE 234により識別されるグループの一部ではない。
【0050】
図6は、複数ノード構成におけるノードの順序付けを例示した別の例示的実施形態である資源情報コンテナ242を例示したものである。ここでも、資源情報コンテナ242はRRIE 243を含んでいる。この例では、資源情報コンテナ242には、複数のグループノード情報要素244a〜244nと、別の複数の資源IE 246a〜246xとが含まれる。資源IE 246a〜246xの各々は、開始数1で増分1といったシーケンシャルな(連続した)インデックス番号またはシーケンス番号(sequence number:SN)247a〜247xを含む。前記資源IEのグループはグループIE 244a〜244nにより定義され、このグループに含まれる最低および最高のシーケンス番号またはインデックス番号により定義される連続したサブセットとして定義できる。一実施形態では、グループ定義は重複しない。
【0051】
前記資源情報コンテナが資源情報コンテナ確認の一部として設定される場合、この資源情報コンテナの内容は、一部のみデータ投入されたものでなければならない。これにより、グループの割り当てが正常に行われた旨を示すため戻されてくる結果が制限され、この場合、前記グループ内のすべての下位資源IEについては個別に確認されず、そのグループノードの確認または成功が示される。このため、前記確認メッセージは短縮された長さである必要がある。
【0052】
図7は、別の実施形態である資源情報コンテナ250aを例示したものである。RIC 250aは、RICルート情報要素(RRIE)251と、RICデータIE(RDIE)および資源IEの対(ペア)とを1若しくはそれ以上有することができる。図示した例において、RIC 250aは、RDIEおよび資源IEの対を2つ含んでおり、これらは具体的にはRDIE 252aおよびそれに関連付けられた資源IE 253aと、RDIE 252bおよびそれに関連付けられた資源IE 253bとである。すなわち、RIC 250aは、それぞれ単一の資源要求を有する2つのRDIEを有する。
【0053】
図8は、前記目標TAPに資源の選択肢を提供する、別の実施形態である資源情報コンテナ250bを例示したものである。RIC 250bは、RRIE 251とそれに後続する単一のRDIE 252cを有する。また、資源IE 253aおよび253bにより、複数の資源要求が定義されている。この構成において、RIC 250bを受信した目標TAPは、資源IE 253aで指定された第1の資源の割り当てを試行できる。この割り当てに失敗すると、前記目標TAPは資源IE 253bに指定された資源の割り当てを試行する。RDIE 252cには、任意数の資源IEを付加することができる。資源IEを2つ伴う本実施例は、単に例示的なものである。
【0054】
図9Aは、図7および8に示したRICルートIE(RRIE)251の実施形態を例示したものである。RRIE 251は、要素ID(element ID)フィールド260と、長さ(length)フィールド261と、RRIE IDフィールド262と、RDIE数(count of RDIEs)フィールド263と、目標BSSID(target BSSID)フィールド264と、を有する。要素IDフィールド260は、情報要素251をRICルートとして指定する識別子を含む。長さフィールド261には、この長さフィールド261に後続するIE 251長をオクテット数などで指定する値を含めることができる。RRIE IDフィールド262には、前記RICを有した資源要求への応答がそれに合致できるようにする一意の識別子を含めることができる。RDIE数フィールド263は、前記RICに含まれた前記RDIEの数値識別子を含む。例えば、図示した例でRRIE 251がRIC 250aのRICルートIEである場合は、RDIE数フィールド263に数値識別子「2」が含まれる。目標BSSIDには、前記RICの送信先である前記目標APのBSSIDが含まれる。
【0055】
図9Bは、図7に示したRDIE 252bなどのRICデータ情報要素の実施形態、RICデータ情報要素252を例示したものである。RDIE 252は、要素ID(element ID)フィールド270と、長さ(length)フィールド271と、シーケンス番号(sequence number)フィールド272と、制御オプション(control options)フィールド273とを有する。要素IDフィールド270は、情報要素252をRICデータ情報要素として指定する識別子を含む。長さフィールド271には、この長さフィールド271に後続する情報要素長をオクテット数などで指定する値を含めることができる。. シーケンス番号フィールド272には、前記送信元STAにより選択される、前記RIC内の一意のシーケンス番号またはインデックス値が含まれる。例えば、シーケンス番号は、(「1」など特定の値を開始値とし、それに)増分を加算してRICの各RDIEに割り当てることができる。
【0056】
制御オプションフィールド273には、目標TAPが前記RDIEを容易に処理できるようにする種々の値を含めることができる。図9Cは、図9Bに示したRDIEの制御オプションフィールド273の実施形態を例示したものである。制御オプションフィールド273には、必須(mandatory)フィールド273aと、確認(confirm)フィールド273bと、予約済み(reserved)フィールド273cと、資源IE数(resource IE count)フィールド273dとを含めることができる。必須フィールド273aは単一ビットを有することができ、この単一ビットは、(「1」など)に設定された場合、資源IE内に指定されている関連付けられた資源の1つが、成功すると考えられる資源要求について割り当て可能である旨を示す。必須フィールド273aがアサートされない場合は、前記RICの資源IEで指定された資源のいずれも、成功すると考えられる資源要求について割り当てる必要がない旨が示される。この場合、前記目標TAPは、前記RDIEに続く前記資源IEで指定された資源に割り当て可能なものがなくとも、前記RICに含まれる残りの前記要求を処理し続けるなければならない。確認フィールド273bは、割り当ての成功または失敗を示す応答メッセージでのみ使用されるビットを有することができる。前記RICが資源要求を有する場合、確認フィールド273bは、前記要求メッセージ内でゼロに設定するか、あるいはアサートせずに残し無視されるようにすることが可能である。予約済みフィールド273cは、固定長で、目標TAPに無視されてよい。資源IE数フィールド273dは、前記RDIEに後続する資源IEの数を示す。例えば、図7に示したRIC 250aのRDIE 252aに制御オプションフィールド273が含まれる場合は、資源IE数フィールド273dにインジケータ「1」が含まれる。別の例として、図8に示したRIC 250bのRDIE 252cに制御オプションフィールド273が含まれる場合は、資源IE数フィールド273dにインジケータ「2」が含まれる。
【0057】
本明細書で説明する実施形態に従って実施(実装)できる一般的BSS移行方法には、必須BSS移行および事前予約BSS移行の2つがある。必須BSS移行は、STAが目標TAPに移行しなければならず、したがってその移行前に資源予約を必要としない場合に実行される。事前予約BSS移行は、セキュリティ資源やQoS資源などが利用可能であるという保証を、STAが移行実行前に必要とする場合に実行される。TAPは、この事前予約能力をサポートするTAPの能力およびポリシーを通知することができる。
【0058】
予約の呼び出しにあたり処理・移行能力を浪費せずに移行しなければならない場合、あるいはネットワークポリシー、加入者ポリシー、またはネットワークキャリアポリシーが必須BSS移行機構だけを実施している場合、STAは、この必須BSS移行機構により目標TAPへ移行することができる。
【0059】
前記事前予約BSS移行機構により、例えばPTKSAやQoSの資源確立に必要な交換の数が最適化される。情報要素は、PTKSAおよびQoSの資源を提供できるようにするため含まれる。
【0060】
資源事前割り当て工程は、以上説明したように提供される。一実施形態において、この工程は同じ管理ドメイン内のアクセスポイントすなわち現在のアクセスポイントへの既存の関連付けを有するモバイルステーションにより、目標移行先アクセスポイントに対し呼び出される。資源が取得されると、目標TAPで事前割り当て動作が実施可能となる。この事前割り当て工程は、例示的な実施態様では、現在の接続に加えて資源を作成するために使用されるものではないが、別の実施形態ではこのような用途が可能である。ただし、前記目標TAPは、当該目標TAPが現在の割り当てと異なるいかなる要求も拒否するポリシー、または現在の割り当てを超えるいかなる要求も拒否するが現在の割り当て未満の割り当ては許可するポリシーを有することができる。割り当てを確認するための通信は、例えばIETFのCTP(context transfer protocolの略称、「コンテキスト転送プロトコル」の意味)により実行される。
【0061】
これにより、資源情報コンテナの形成および使用を通じ、移行手順の開始前に目標TAPまたは候補TAPにおける資源を要求および予約するための構造化された態様が提供される。移行手順中に遅延が長引くことに起因する通信中断が回避されることにより、通信動作は改善される。
【0062】
以上の説明は、本発明の実施態様の好適な実施例であり、本発明の範囲はこの説明により限定されるものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本開示の態様は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより最もよく理解される。
【図1】図1は、本明細書で開示した実施形態を優位に実装できる例示的ネットワークシステムの簡略化したブロック図である。
【図2A】図2Aは、図1に示した通信システムの動作中に生成されるシグナリングの代表的な実施形態のメッセージシーケンス図を例示したものである。
【図2B】図2Bは、図1に示した通信システムの動作中に生成されるシグナリングの別の代表的な実施形態のメッセージシーケンス図を例示したものである。
【図3】図3は、最小限構造の資源情報コンテナの実施形態を例示したものである。
【図4】図4は、資源情報コンテナの別の例示的実施形態を例示したものである。
【図5】図5は、資源情報コンテナの別の例示的実施形態を例示したものである。
【図6】図6は、複数ノード構成におけるノードの順序付けを例示した資源情報コンテナの別の例示的実施形態を例示したものである。
【図7】図7は、資源情報コンテナの別の実施形態を例示したものである。
【図8】図8は、目標高速BSS移行対応アクセスポイントに資源の選択肢を提供する資源情報コンテナの別の実施形態を例示したものである。
【図9A】図9Aは、図7および8に示した資源情報コンテナルート情報要素の実施形態を例示したものである。
【図9B】図9Bは、資源情報コンテナデータ情報要素の実施形態を例示したものである。
【図9C】図9Cは、資源情報コンテナデータ情報要素の制御オプションフィールドの実施形態を例示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク技術に関し、具体的には、無線通信システムのネットワークステーション間のモバイルユニット通信の移行を容易にする機構に関する。さらに具体的には、本発明は、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network:WLAN)などの無線通信システムにおける新しいネットワークステーションへの移行時に、前記モバイルユニットが利用でき、必要とし、または所望する資源を識別する資源情報コンテナまたはデータ構造を生成および利用するための装置、方法、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の進歩により、これまで多種多様な通信システムが開発および配備されてきている。通信システムは、任意多数の異種通信サービスに係るデータの通信に使用されており、データが相互通信される通信ステーションセットにより形成されている。その通信ステーションセットに含まれる少なくとも1つの通信ステーションは送信ステーションを形成し、同じ通信ステーションの少なくとも1つの別の通信ステーションは受信ステーションを形成する。これらの送信ステーションおよび受信ステーションは通信チャネルにより相互接続され、送信ステーションにより通信されるデータは、通信チャネルを介して受信ステーションへ配信される。
【0003】
無線通信システムとは、通信ステーションを相互接続するデータ通信媒体である通信チャネルが無線チャネルで形成されたタイプの通信システムである。無線チャネルは、電磁スペクトルの一部を有する無線リンク上に画成される。通信ステーション間のデータ通信に無線チャネルが使用される場合、それらの通信ステーションを有線(ワイヤーライン)すなわち固定接続で相互接続する必要はない。無線通信システムの通信ステーションの配置は、通信ステーションを相互接続する上で有線接続の可用性に依存しないため、通信ステーションは、有線通信システムでは不可能な場所および態様でも配置できる。そのため、無線通信システムを使用した通信は、有線通信ステーションを配置および使用できない場所で、またそのような場所同士で可能となっている。また無線通信システムは、データを相互通信し通信移動性を備えた通信ステーションを1若しくはそれ以上配設したモバイル通信(移動体通信)システムとしての実装(実施)が可能である。
【0004】
セルラー通信システムは、モバイル無線通信システムの代表的なタイプである。セルラー通信システムにおけるネットワークインフラストラクチャは、通信を可能にしようとする地理的領域の全体にわたり設置される。通常、このネットワークインフラストラクチャには、定位置に離間して設置された複数の送受信機(トランシーバ)が含まれ、その各々がセルを画成する。一般に、定位置送受信機の位置決めは、セルが集合的に前記地理的領域の全体を包含する態様で、セルが一部重複するよう選択される。無線送受信機は、通常、携帯と移動の双方が可能であり、定位置送受信機との通信に使用される。一般に、携帯型送受信機は、それが位置するセル内で、そのセルを画成している定位置送受信機と通信する。異なる定位置送受信機で画成されたセル間を携帯型送受信機が移動する場合は、その携帯型送受信機での通信を引き続き可能にするため、通信のハンドオフが実行される。
【0005】
他種の無線通信システムとしては、セルラー通信システムの特徴を一部備えたものが開発および配備されている。例えば、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)はセルラー通信システムの特徴を一部備えている。無線ローカルエリアネットワークにはネットワーク部分が含まれ、また通常はセルもしくはそれ以外に画成されたカバー領域をそれぞれ画成する複数の送受信機も含まれている。無線ローカルエリアネットワークで動作可能な送受信機(本明細書では「モバイルステーション(STA)」、「モバイルユニット(MU)」とも呼ぶ)は、そのSTAが位置しているカバー領域を画成するネットワーク部分の送受信機と通信する。後続ネットワーク部分の送受信機間で通信がハンドオフされることにより、異なるネットワーク部分の送受信機により画成されたカバー領域間をSTAが移動しても、通信は引き続き可能になる。
【0006】
通信ハンドオフ(本明細書では「通信の移行」とも呼ばれる)では、通信ハンドオフ中にできる限り通信サービスが中断されないようにするため、ネットワーク部分の送受信機間のハンドオフまたは移行が迅速に実行(実施)されることが望ましい。しかし、その移行には種々のシグナリングが必要とされる。
【0007】
また、実施されるデータ通信サービスがいっそうデータ量を増し、通信データ種別も通信サービスも複数になっているため、通信のハンドオフ先である定位置送受信機で無線資源を確保するための無線資源予約も必要である。予約要求は複数の要求を有することもあり、これらは異種の通信データ用であり、また予約のための第1の要求が行われなかった場合に備えた代替要求でもある。これらの要求は複雑なものであるため、通信の移行中に実行するには時間がかかり、通信移行中に通信サービスの中断を最小限に抑えるという目的に反している。
【0008】
従来の通信移行機構は、モバイルユニットにサービスを提供する十分な資源が固定ステーションで利用できるか決定する前に、そのモバイルユニットが移行を完了しなければならないという難点を抱えている。したがって、通信を移行する際、事前に通信資源を割り当てるための効率的なスキームが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、IEEE 802動作仕様の変形形態に対応して動作可能なWLANなどの無線通信システムのネットワークステーション間でモバイルユニットの通信の迅速な移行を容易にする装置、それに関連した方法、およびコンピュータ可読媒体を有利に提供する。
【0010】
資源情報コンテナ、すなわち必要とされ若しくは所望されておりモバイルユニットに利用可能となる資源を識別するデータ構造を、前記モバイルユニットが新ネットワークステーションに移行する際に生成および利用するための機構が提供される。
【0011】
前記資源情報コンテナは、構造化された態様でフォーマットされた望ましい数の情報要素で形成される。特定の前記情報要素は、前記モバイルユニットにより若しくは前記モバイルユニットを使って実施され若しくは実施されると予測される1若しくはそれ以上の通信サービスに従い、前記モバイルユニットにとり望ましく、必要で、または利用できる資源を識別する。前記資源情報コンテナは、新しいネットワークステーションへの前記モバイルユニットの通信移行前に、前記モバイルユニットにより送信される。要求された資源または必須の資源を識別するこの資源情報コンテナは、移行手順の呼び出し前に前記モバイルユニットにより送信されるため、前記移行手順の実際の実施中に同じ情報を識別する必要性は不要になる。これにより、前記新しいネットワークステーションへの通信の移行は、従来可能とされる移行より迅速に実行できるようになる。新しいネットワークステーションへの通信移行中の通信サービス中断に伴う問題は、前記移行手順の実施にかかる所要時間の短縮により軽減または回避される。
【0012】
本発明の一態様では、前記資源情報コンテナは、前記モバイルユニットが通信中のネットワークステーションへ、前記モバイルユニットにより送信される。そのネットワークステーションは、前記資源情報コンテナまたは少なくともその指標を、通信の移行先として可能性のある1若しくはそれ以上のネットワークステーションへ転送する。
【0013】
前記資源情報コンテナが潜在的移行先ネットワークステーションに配信されると、その潜在的移行先ネットワークステーションは、前記資源情報コンテナの内容と、その資源要件またはそれに含まれる要求とを検出する。前記コンテナのルーティング先である前記潜在的移行先ネットワークステーションは、前記要求された資源の可用性を決定し、前記要求された資源がそのネットワークステーションで利用可能かどうかを少なくとも識別する返信を形成する。前記要求された資源(またはその一部)が前記潜在的移行先ネットワークステーションで利用可能な場合、この潜在的移行先ネットワークステーションは、前記要求された資源を前記モバイルユニット用に選択可能に予約でき、その資源予約は、前記潜在的移行先ネットワークステーションにより生成される応答内で識別可能である。
【0014】
前記資源情報コンテナは可能性として複数の情報要素を含み、その各々は資源要求を識別するため、可能性として前記コンテナのルーティング先となる前記ネットワークステーションは、要求に対する複数の回答または応答を形成する。例えば一実施態様において、前記通信サービスは、サービス品質(通信品質、略称QoS)レベルのデータ通信により実施される。前記モバイルユニットは、最適なQoSレベルで、あるいは1若しくはそれ以上の下位QoSレベルまたは代替QoSレベルで通信サービスを実施するための通信資源を要求する。それに応答して、前記ネットワークステーションは、要求された前記代替サービスレベルに準拠するよう、利用可能または予約可能な資源を識別する。すなわち、前記最適なQoSレベルの資源が利用できないとしても、当該ネットワークステーションは、前記通信サービスを実施する上で許容範囲内の下位サービス品質レベルを満たす資源を有する可能性がある。
【0015】
本発明の別の態様では、1若しくはそれ以上の潜在的移行先ネットワークステーションにより生成され、前記モバイルユニットに戻されてきた各応答は、前記潜在的移行先ネットワークステーションが実施予定の通信サービスに利用可能または予約可能な資源を有するかどうかを前記モバイルユニットに示す。前記モバイルユニットが所望し若しくは必要とする資源を潜在的移行先ネットワークステーションが有さない場合、このモバイルユニットは、自らが要求した資源が利用不能または予約不能な前記潜在的移行先ネットワークステーションに移行しないことを選択できる。
【0016】
また、潜在的移行先ネットワークステーションへ前記資源情報コンテナを早期に送信することにより、特定の通信サービスに準拠した前記モバイルユニットに必要な資源は、移行手順が実施される際、それ以前に送信された前記資源情報コンテナへのインデックス付加が可能な識別子の送信を通じて迅速に識別される。これにより前記要求された資源は、前記潜在的移行先ネットワークステーションにとって単純かつ迅速に識別可能となり、前記移行手順に付随する遅延時間はほとんど生じない。
【0017】
1若しくはそれ以上の情報要素で形成された前記資源情報コンテナは、前記モバイルユニットによりまた前記モバイルユニットを使って実施可能な通信サービスの資源要件に関連付けられた階層型データ構造を有することができる。情報要素は、資源要件か、他の資源要件へのリンクかを示す。例示的な実施態様において、前記資源情報コンテナは集合的に資源要求メッセージを定義する記述子で形成され、この記述子はツリー状に構造化され、そのブランチはリンクと資源要求を含むエンドポイント(リーフ)とを形成する。すなわち、当該資源要求メッセージまたは資源情報コンテナはいくつかのサブコンポーネントで形成され、各サブコンポーネントは実質的に共通した構造を有する。前記資源要求メッセージは、1若しくはそれ以上のサブコンポーネントで選択可能に形成される。例示的な実施態様では、前記資源要求メッセージは、IEEE 802.11情報要素データ構造に適合したサブコンポーネントで形成される。
【0018】
IEEE 802動作仕様の変形形態に準拠して動作するWLANにおいて実施(実装)される前記モバイルユニットは、モバイルユニット(mobile unit:MU)と呼ばれることもあり、定位置設置のアクセスポイント(access point:AP)と通信する。移行手順の開始前、前記モバイルユニットは資源情報コンテナを形成し、形成されたこのコンテナを、当該モバイルユニットが通信接続している前記アクセスポイントへ送信する。当該モバイルユニットが通信中のこのアクセスポイントは、前記コンテナまたはその指標を、通信の移行先として可能性がある潜在的移行先アクセスポイントへ転送する。
【0019】
前記潜在的移行先アクセスポイントは、前記コンテナの内容を検出し、前記資源情報コンテナに記述された要求に対応する資源が前記潜在的移行先アクセスポイントで利用可能かどうかを決定する。前記潜在的移行先アクセスポイントは、前記モバイルユニット用に、要求された資源を選択可能に予約できる。この潜在的移行先アクセスポイントは、前記要求を承認または拒否する応答を形成し、前記予約が行われた場合はさらに前記資源の予約を選択可能に識別することができる。
【0020】
次いで前記モバイルユニットは、前記潜在的移行先アクセスポイントへ移行するよう選択(またはそのように命令される)する。それに後続する移行手順に従い、それ以前に送信された資源情報コンテナに含まれている前記情報要素の1つなど、前記モバイルユニットにより要求された資源は、インデックスの付加が可能な値により識別される。前記資源の割り当て要求は最小限の証印(指標)により識別され、サービスネゴシエーションは一般に不要であるため、前記移行手順はほとんど影響されない。これにより移行手順が迅速化されてサービスが中断される可能性はより小さくなり、結果として従来の手順に対し通信性能は改善される。
【0021】
したがって、以上に述べた態様等では、通信サービスに係るモバイルユニットの移行先ネットワークステーションへの通信の移行を当該モバイルユニットについて容易にする装置と、それに関連した方法と、コンピュータ可読媒体とが提供される。前記モバイルユニットでは、メッセージジェネレータが具現化される。このメッセージジェネレータは、前記通信サービスに従い前記モバイルユニットで必要な資源要件の指標を受信するようなっている。このメッセージジェネレータは、第1の情報要素を含む資源情報コンテナを生成する。前記第1の情報要素は、前記通信サービスに関連付けられた第1の資源要件に関連付けられた値を含むようフォーマットされる。前記資源情報コンテナは、移行先ネットワークステーションへの通信の移行前に生成される。
【0022】
本発明およびその範囲は、添付の図面と、現時点における本発明の好適な実施形態を記述した以下の詳細な説明と、添付の請求の範囲とにより、より完全に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下の開示では、言うまでもなく、種々の実施形態の異なる特徴を実施するため、多数の異なる実施形態または実施例を提供している。以下では、本開示を簡略化するため構成要素および配置の特定の実施例を説明している。当然のことながら、これらは単なる実施例に過ぎず、限定を意図したものではない。また、本開示では種々の実施例で繰り返し参照符号を使用している場合がある。この反復は簡潔性および明瞭性のためであり、それ自体が種々の実施形態および/または開示される構成の関係を決定するものではない。
【0024】
図1は、本明細書で開示した実施形態を優位に実装できる例示的ネットワークシステム100の簡略化したブロック図である。ネットワーク100は、IEEE 802.11規格の変形形態に準拠した無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network:WLAN)などの共用資源ネットワークの一例である。
【0025】
図示した例では、システム100は2つの基本サービスセット(basic service set:BSS)10および11を有するが、システム100にはいかなる数のBSSも含めることができる。BSS 10および11は、それぞれのカバー領域すなわちセルを提供し、それらの領域では、モバイルSTA 20などのWLANステーション(STA)が、無線媒体を介して相互通信し、またはシステム100と連動する他の外部ネットワークの他の通信装置もしくは計算装置と通信する。BSS 10および11は、分散システム(distribution system:DS)30により通信自在に相互接続されている。DS 30は、送信先マッピングのアドレス取り扱いと、複数BSSの統合とに必要な論理サービスを提供することにより、モバイル装置のサポートを可能にする。BSS10および11の各々には、DS 30へのアクセスを提供するアクセスポイント(access point:AP)40および41がそれぞれ含まれている。BSS 10および11とAP 40および41とが提供するDS 30により、任意のサイズおよび複雑度を伴う無線ネットワークの作成が容易になり、BSS 10および11とDS 30との集合は、一般に拡張サービスセットネットワークと呼ばれる。システム100と、LAN 50などの非IEEE 802.11 LANとの間の論理的な統合は、ポータル60により提供できる。ネットワーク100には、他の種々の構成が可能である。例えばBSS10および11は、部分的に重複させても、同一場所に配置してもよい。BSS 10および11の各々には、システム100内でBSS 10および11を一意に識別する基本サービスセット識別子(basic service set identifier:BSSID)がそれぞれ割り当てられている。
【0026】
システム100は、異なるアクセスポイント間の重複したカバー領域間をモバイルステーションが移動するなどの場合、アクセスポイント間でSTAに通信の移行を提供する。通信の移行は、さらにネットワークでの通信動作を容易にする他の理由で実行されることもある。通信の移行に従い、移行実施のため、種々のシグナリング動作が実行され、また種々の決定が行われなければならない。この移行工程には、数百ミリ秒もの時間が消費される場合がある。この移行手順中には、通信が中断され、またはデータが失なわれるおそれがあり、その場合モバイルステーションの通信セッションによる通信が悪影響を受ける。本発明は、AP間の高速移行のための機構を提供する。本明細書で説明する実施形態に従い高速移行を実施するようになっているAPは、高速BSS移行対応アクセスポイント(fast BSS transition enabled access points:TAP)と呼ばれ、本明細書で説明する実施形態に従い高速移行を実施するようなっているモバイルステーションは、高速移行対応ステーション(fast transition enabled)stations:TSTA)または単にステーション(STA)と呼ばれる。
【0027】
1つのAPから別のAPへの移行を正常に行うには、データ通信サービス、または望ましいデータ通信サービスに係る継続的な通信を可能にする通信資源が、移行先アクセスポイントで十分利用可能であることが好ましい。通信資源割り当てのための要求は、時間がかかり、種々のサービス品質(通信品質、略称QoS)レベルでサービスネゴシエーションを必要とする可能性がある。有利なことに、本発明の実施形態は、移行先アクセスポイントで通信資源の事前予約を容易にし、あるいは少なくとも予想される移行先アクセスポイントで資源が利用できるかどうかの指標を移行手順前に提供する機構を提供する。移行先APで資源が利用できない場合は、そのアクセスポイントに移行すべきかどうか付加的な決定が行われ、別のアクセスポイントに移行すべきか、また可能であれば移行を見送るかについて可能性が調査される。
【0028】
したがって、本発明の実施形態によれば、前記モバイルステーションは、本発明の実施形態のモジュール36を含む。モジュール36は、機能的に表され、ソフトウェア、ハードウェア、またはその組み合わせを有する機能的エンティティで形成されており、例えば処理回路で実行可能なアルゴリズムによる実施やASIC(application specific integrated circuit =特定用途向け集積回路)の実装など、望ましい任意の態様で実施(実装)可能である。このモジュール36は、前記モバイルステーションの送受信機38に通信可能に連結されている。
【0029】
モジュール36は、資源情報コンテナ(resource information container:RIC)または記述子を有する資源要求メッセージを生成するよう動作する資源情報メッセージジェネレータを含む。RICは、必須資源および任意選択資源を含む資源要求を前記STAが生成する機構をもたらすものである。STAから発行された資源要求を有するRICは、RICルートIE(RIC root IE:RRIE)やRICデータIE(RIC data IE:RDIE)など、複数の情報要素(information element:IE)を有しうる。RIC資源要求への応答は、前記目標TAPから発行されたRICと、応答IEとを有する場合がある。前記資源要求メッセージを形成する前記RICの内容は、入力証印に応答して作成される。この入力証印は、例えば送受信機38やデータソース(図示せず)から、または利用者の選択に応答して、送信される場合がある。前記RICの詳細な例示的フォーマットは、本明細書で以下説明する。生成されたRICは、前記モバイルステーションが通信接続しているシステム100ネットワーク部分に配信を行うため、無線リンク46上に定義された無線チャネルでの通信用に送受信機38の送信部分へ提供される。一実施態様では、前記モバイルステーションの現在の登録先である受信アクセスポイント(本明細書では、現在のアクセスポイントとも呼ばれる)は、通信の移行先として見込まれる予想TAPまたは目標TAPに、前記RICを転送する。この実施態様において、前記RICは、前記DSを介して前記現在のTAPから前記目標TAPへと通信される。別の実施態様では、当該モバイルステーションは、無線インターフェースを介し、前記目標TAPに直接資源情報コンテナを通信する。
【0030】
1若しくはそれ以上のAP 40および41は、本発明の実施形態に従って実装された各々のモジュール48a〜48bを含みうる。モジュール48a〜48bは、機能的に表され、ソフトウェア、ハードウェア、またはその組み合わせを含む望ましい任意の態様で実施(実装)可能である。この例示的実施態様におけるモジュール48a〜48bは、それぞれアクセスポイントにおいて具現化され、他の実施形態では、中央制御装置(図示せず)で具現化される、あるいはアクセスポイントと他のネットワークエンティティとの間で機能的に分散されるなど、別の場所で具現化される。
【0031】
モジュール48a〜48bの各々は、受信したメッセージの前記RICの値を検出するよう動作するメッセージディテクタ(検出プログラム)を含む。検出されたRICの各値は前記モジュールのコンファーマ(確認)ルーチンに提供され、そこでそのRIC内に指定されている要求された資源が利用できるかどうかが決定され、利用できる場合はどの資源が利用可能であるかが確認される。さらに前記コンファーマルーチンは、適切な場合、要求された資源の予約を確認し、前記モバイルステーションに戻す応答を形成する。目標TAPからモバイルステーションに提供された応答は、前記DS経由で、あるいは無線インターフェース経由で直接前記STAへ送信される。この応答は、RICとして構成することもできる。
【0032】
前記モバイルステーションの前記モジュール36は、当該モバイルステーションに戻されてきた応答を検出するディテクタ(検出)ルーチンと、コミッタ(確約)ルーチンをさらに含みうる。前記コミッタルーチンは、目標TAPから利用可能であると確認された資源を前記モバイルステーションが使用するようコミット(確約)する。このコミットメント(確約)は、RICとして構成することもできる。このように移行手順の開始前にRICを生成および通信することにより、通常であれば当該移行手順中に資源割り当て要求に伴う遅延が回避される。この結果、移行時間による遅延は短縮され、通信の改善が可能になる。
【0033】
本明細書で説明するように、現在のTAPとは、前記モバイルステーションの現在の登録先であり、このモバイルステーションの通信接続先であるアクセスポイントをいう。本明細書における目標TAPとは、通信の移行先となることが見込まれる(予想される)アクセスポイントをいう。図示した例において、AP 40はSTA 20の現在のTAPを有しており、またSTA 20用の目標TAPを有する。特定の位置にあるモバイルステーションに対し、いかなるアクセスポイントも現在のTAPおよび目標TAPになることができる。また、通信移行先としての目標TAPは、前記現在のアクセスポイントが含まれる同じネットワーク内のアクセスポイントであってもよい。他のシナリオでは、目標TAPは、別のネットワーク内に位置している。また、この目標TAPは、別のネットワークシステムのアクセスポイントであってもよい。例示的実施形態において、前記現在のTAPおよび目標TAPがどちらもIEEE 802.11動作仕様の変形形態の動作プロトコルを使ってネットワーク内で動作可能である場合、形成される前記RICと、確認メッセージと、コミットメント(確約)メッセージとを包含するメッセージは、MAC(メディアアクセス制御)レイヤーのメッセージなど、レイヤー2のメッセージを有することができる。
【0034】
本明細書で説明するSTA用のBSS移行機構では、移行手順の呼び出し前に、あるいは当該STAが再関連付け手順を呼び出す時点で、目標TAPでの資源を予約する方法を提供する。前記STAは、これらのSTAおよび目標TAPで終端する無線インターフェースにより前記目標TAPと直接通信でき、このSTAは、前記DSを介した現在のTAPとの通信を通じ資源を予約することができる。本明細書で説明する資源割り当て機構は、QoS環境で特定の帯域幅要求を指定するトラフィック指定子(traffic specifier:TSPEC)、安全な環境でのキー材料(鍵材料)、その他の予約可能な資源など、任意タイプの資源の割り当てに使用できる。
【0035】
共用資源ネットワーク、それが動作する装置、および共用資源ネットワーク内で行われる無線媒体送信に関する本明細書での説明はIEEE 802.11のプロトコル、機能性、および命名法に従って提供しているが、このような例は単に例示的なものであって、本発明の実施はいかなる特定のネットワーク、ネットワーク対応装置、またはネットワーク通信フォーマットまたはプロトコルにも限定されるものではない。さらに、IEEE 802対応ネットワークでの実装(実施)と関連して本明細書に提供する本発明の説明は、単に例示的なものであり、本発明の理解を助けるためだけに提供するものである。本発明の実施形態は、データ通信用に共用資源を利用する他のネットワークアーキテクチャおよび装置でも実施することができる。
【0036】
図2Aは、図1に示した通信システム100の動作中に生成されるシグナリングの代表的な実施形態のメッセージシーケンス図112aを例示したものである。このシグナリングは、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で生成および通信されるメッセージの代表的なものである。図示した例において、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で交換されるシグナリングは、現在のTAP 40を経由して、すなわちDS 30のメッセージ交換機構を経由して行われる。
【0037】
まず前記モバイルステーションにて、資源要求を指定する資源情報コンテナが生成される(工程111)。次に、その資源情報コンテナを含む資源要求メッセージが、モバイルステーション20から前記現在のTAP 40へ延在する無線インターフェースを介して送信される(工程114a)。現在のTAP 40は、前記資源情報コンテナを含んだメッセージを目標TAP 41へルーティングする(工程118a)。前記資源情報コンテナの値は目標TAP 41に配信された時点で検出され(工程122)、このRIC(またはその内容)は目標TAP 41により格納される(工程123)。前記資源情報コンテナに含まれた1若しくはそれ以上の要求に応じるため、要求された資源が目標TAP 41で利用可能かどうかが決定される(工程124)。割り当て用に資源が利用できる場合、前記目標TAPは、任意選択でその資源を事前定義された間隔または期間だけ割り当てる(工程125)。そして確認メッセージまたは資源応答が生成される(工程126)。この確認メッセージでは、要求された資源がまったく利用できない旨、要求された資源が一部利用できる旨、または要求された資源が利用できる旨を指定することができる。また、この確認メッセージでは、利用可能な資源が事前割り当てされた旨を示すことができる。他の実施態様では、この確認メッセージは、前記資源の一部または全部が利用可能だが、前記目標移行先APによる事前割り当ては行われない旨を示すことができる。この確認メッセージには、再関連付け手順を呼び出す前記STAについて、要求された資源が予約される時間長を指定する遅延間隔を含めることができる。次に、この確認メッセージは、現在のTAP 40経由で前記モバイルステーションに戻される(工程128a)。この確認メッセージは、資源情報コンテナとしても構成可能である。この確認メッセージが前記モバイルステーションに配信されると、当該メッセージに割り当てられた資源が示されている場合は、その資源についてコミット(確約)すべきかどうかが決定される(工程132)。当該モバイルステーションは、前記利用可能な資源の使用についてコミットすることを示すため、コミットメント(確約)メッセージを生成し、現在のTAP 40経由で目標TAP 41に転送する(工程134a)。このコミットメントメッセージは資源情報コンテナも有することができ、再関連付け要求に含めることができる。このコミットメントメッセージは、TAP 41が前記コミットメントに関する情報を得て前記要求と当該コミットメントとの間の関連付けを識別できるようにするため、工程114aおよび118aでTAP 41へ送信される前記RICのインデックスを有することができる。元の要求に関するこのインデックスは、例えば、図2Aの工程114aおよび118a(または図2Bの工程114b)でAP 41に送信される前記資源要求に含まれた、前記RICのシーケンス番号または他の識別子、あるいは前記RICの1若しくはそれ以上のインデックス番号または1若しくはそれ以上の情報要素の識別子を有する。
【0038】
図2Bは、図1に示した通信システム100の動作中に生成されるシグナリングの代表的な実施形態のメッセージシーケンス図112bを例示したものである。このシグナリングは、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で生成および通信されるメッセージの代表的なものである。図示した例において、モバイルステーション20と目標TAP 41との間で交換されるシグナリングは、TAP 20と目標TAP 41との間の直接的な無線インターフェースを介して行われる。
【0039】
まず前記モバイルステーションにて、資源要求を指定する資源情報コンテナが生成される(工程111)。次に、その資源情報コンテナを含む資源要求メッセージが、モバイルステーション20から前記目標TAP 40へ延在する無線インターフェースを介して送信される(工程114b)。前記資源情報コンテナの値は目標TAP 41に配信された時点で検出され(工程122)、このRIC(またはその内容)は目標TAP 41により格納される(工程123)。前記資源情報コンテナに含まれた1若しくはそれ以上の要求に応じるため、要求された資源が目標TAP 41で利用可能かどうかが決定される(工程124)。そして確認メッセージまたは資源応答が生成される(工程126)。この確認メッセージでは、要求された資源がまったく利用できない旨、要求された資源が一部利用できる旨、または要求された資源が利用できる旨を指定することができる。また、この確認メッセージでは、利用可能な資源が事前割り当てされた旨を示すことができる。他の実施態様では、この確認メッセージは、前記資源の一部または全部が利用可能だが、前記目標移行先APによる事前割り当ては行われない旨を示すことができる。この確認メッセージには、再関連付け手順を呼び出す前記STAについて、要求された資源が予約される時間長を指定する遅延間隔を含めることができる。次に、この確認メッセージは、STA 20と目標TAP 41との間の無線リンクを介して前記モバイルステーションに戻される(工程128b)。この確認メッセージは資源情報コンテナとして構成することもでき、この確認メッセージには、再関連付け手順を呼び出す前記STAについて、要求された資源が予約される時間長を指定する遅延間隔を含めることができる。この確認メッセージが前記モバイルステーションに配信されると、当該メッセージに割り当てられた資源が示されている場合は、その資源についてコミット(確約)すべきかどうかが決定される(工程132)。当該モバイルステーションは、前記利用可能な資源の使用についてコミットすることを示すため、コミットメント(確約)メッセージを生成し、目標TAP 41に送信する(工程134b)。工程134bで送信される前記コミットメントメッセージは、再関連付け要求メッセージに含めることができる。このコミットメントメッセージは、TAP 41が前記コミットメントに関する情報を得て前記要求と当該コミットメントとの間の関連付けを識別できるようにするため、工程114bでTAP 41へ送信される前記RICのインデックスを有することができる。元の要求に関するこのインデックスは、例えば、前記要求に含まれた、前記RICのシーケンス番号または他の識別子を有する。
【0040】
したがって、一般には次の3工程段階による資源事前確立手順が説明される。第1段階は通知工程を有し、この工程では前記目標TAPが前記モバイルステーションの資源要件について通知を受ける。次に、確認工程が実施され、前記目標TAPの資源可用性が確認される。それに次ぐコミットメント(確約)工程では、前記資源が前記モバイルステーションに使用されることが確認される。前記モバイルステーションの要件に関する前記目標TAPへの通知は、前記移行手順の前に起こる。すなわち、この段階では、前記モバイルステーションは、アドレスコンタクトポイントなど現在のアクセスポイントを参照したアドレスと、望ましい資源のリストとを含む要求メッセージを、前記目標TAPに送信する。それに対し、当該アクセスポイントは、例えば10msといった短期間内に即時応答するか、または遅延期間を提案するなど遅延を提示する。
【0041】
上記の資源確認工程(工程128aおよび128b)も、前記移行手順前に起こる。この工程は、前記アクセスポイントから遅延が提示される通知工程の後にのみ起こる。前記確認工程中、前記目標TAPは、要求された資源を当該目標TAPが提供できるかどうか示す。前記アクセスポイントは、このアクセスポイントが前記資源を保持する最小時間を時間単位(time unit:TU)で示し、前記モバイルステーションは、前記アクセスポイントが前記資源を継続して予約することを、このモバイルステーションが所望しているかどうか示す(前記目標TAPに送信する前記コミットメントメッセージ内で)。(前記資源応答での)この確認工程は、予約された(したがってリリースされる)資源の利用を前記モバイルステーションに許可するコミット(確約)工程前に、必要に応じて繰り返される。この能力は、例えば前記モバイルステーションが前記通信移行を最後まで実施しないと決定した場合に望ましい。
【0042】
再関連付け要求メッセージなどにおける前記コミット工程は、前記移行手順中に起こる。コミット段階の正常な終了は、前記目標TAPへの移行完了と実質的に同時に起こる。そのコミットに失敗すると、前記目標TAPは、失敗応答により前記移行手順を終了し、前記モバイルステーションが前記現在のAPとの通信を再開できるようにする。
【0043】
上記の通知工程およびコミット工程は、資源情報コンテナ(RIC)の通信を通じて実施される。この資源情報コンテナには、一連の情報要素(別称「資源ノード」または「サブコンポーネント」)が含まれる。この各情報要素(IE)は、以下でも説明するように、同様な構造を有する。
【0044】
一般的な資源情報コンテナは、TAPの一部として定義され、モバイルステーションおよびアクセスポイントが移行前に資源を確立できるようにする。この資源情報コンテナは、単一のTSPECなどについて短い資源要求を生成する場合に効率的に使用できる態様でフォーマットされるが、複数の資源の場合でも資源情報コンテナで形成された単一メッセージで要求できるよう柔軟性がある。複数の要求を1つにまとめる能力により、シグナリングにかかるオーバーヘッドが軽減され、高速な資源の事前割り当てが支援される。資源情報コンテナの前記サブコンポーネントは、上記で簡単に説明したようにノードである。
【0045】
前記資源情報コンテナの各資源IEは、情報要素を形成する。これを言い換えると、各情報要素は、前記資源情報コンテナの単一ノードを含む。例示的な実施態様では、1タイプのリーフノードは、QoS(サービス品質または通信品質)コンテキストを搬送するよう定義される。このため、前記資源情報コンテナは、前記モバイルステーションにより決定された必要な資源のリストを含む。一実施形態では、前記資源情報コンテナで形成された資源リストは、目標TAPによる割り当て前に、現在のアクセスポイントにより検証される。このような検証を実施するため、現在のアクセスポイントでは適切な構造が維持される。他の実施態様では、前記資源情報コンテナは、モバイルステーションから目標TAPに直接送信される。この場合、前記目標TAPは、そのような実施態様で前記検証を実施する。
【0046】
前記資源情報コンテナの情報要素は、特定の順序で連結される。一部の実施形態では、前記情報要素は、ルートIEタイプ、グループIEタイプ、および資源IEタイプのIEを有することができる。他の実施態様では、情報要素は、ルートIEタイプおよびデータIEタイプのIEを有することができる。資源情報コンテナには、ルートノードを1つだけ含めることができる。資源情報コンテナには、ゼロ、1つ、または複数など任意数のグループノードを含めることができ、その各々は連結された資源セットを示し、任意数のデータIEを含むことができる。また、各リーフノードには、TSPECなど単一の資源記述を含めることができる。
【0047】
図3は、最小限構造の資源情報コンテナ222の実施形態を例示したものである。RIC 222は、最小限の構造においてRICルートIE(RRIE)224と、資源IE 226を有する少なくとも1つのリーフノードとを含む。各資源IE 226は、TSPECなどの資源記述子を含む。RRIE 224は、前記モバイルステーションが通信接続している前記アクセスポイント、すなわち前記現在のTAPの同一性を提供することができ、また資源情報コンテナ222内に存在するリーフノードまたは資源IEの数を示す。
【0048】
図4は、別の例示的実施形態である資源情報コンテナ228を例示したものである。ここでも、この資源情報コンテナはRRIE 229を含んでいる。資源IE 226a〜226dを有する複数のリーフノードは、資源情報コンテナ228の一部として含まれている。各リーフノードは資源要求を形成し、連続したリーフノードはRRIE 229に連結されている。
【0049】
図5は、別の例示的実施形態である資源情報コンテナ232を例示したものである。ここでも、RRIE 233は資源情報コンテナ232の先頭に配置されている。また、ここでのRIC 232は、グループIE 234と、それぞれ資源IE 236a〜236dを有する一連のリーフノードとを含む。グループIE 234は、後続配置された前記リーフノードのうちどれが関連し合っているか、そしてそれにより資源割り当てのためグループ全体をまとめて扱えるようにしているかを示すため使用される。図示した例において、図5のグループIE 234は資源IE 236a〜236cにリンクしている。例えば、グループIE 234には、資源IE 236a〜236cの各々に関連付けられた識別子を含めることができる。第4の資源IE 236dは、グループIE 234により識別されるグループの一部ではない。
【0050】
図6は、複数ノード構成におけるノードの順序付けを例示した別の例示的実施形態である資源情報コンテナ242を例示したものである。ここでも、資源情報コンテナ242はRRIE 243を含んでいる。この例では、資源情報コンテナ242には、複数のグループノード情報要素244a〜244nと、別の複数の資源IE 246a〜246xとが含まれる。資源IE 246a〜246xの各々は、開始数1で増分1といったシーケンシャルな(連続した)インデックス番号またはシーケンス番号(sequence number:SN)247a〜247xを含む。前記資源IEのグループはグループIE 244a〜244nにより定義され、このグループに含まれる最低および最高のシーケンス番号またはインデックス番号により定義される連続したサブセットとして定義できる。一実施形態では、グループ定義は重複しない。
【0051】
前記資源情報コンテナが資源情報コンテナ確認の一部として設定される場合、この資源情報コンテナの内容は、一部のみデータ投入されたものでなければならない。これにより、グループの割り当てが正常に行われた旨を示すため戻されてくる結果が制限され、この場合、前記グループ内のすべての下位資源IEについては個別に確認されず、そのグループノードの確認または成功が示される。このため、前記確認メッセージは短縮された長さである必要がある。
【0052】
図7は、別の実施形態である資源情報コンテナ250aを例示したものである。RIC 250aは、RICルート情報要素(RRIE)251と、RICデータIE(RDIE)および資源IEの対(ペア)とを1若しくはそれ以上有することができる。図示した例において、RIC 250aは、RDIEおよび資源IEの対を2つ含んでおり、これらは具体的にはRDIE 252aおよびそれに関連付けられた資源IE 253aと、RDIE 252bおよびそれに関連付けられた資源IE 253bとである。すなわち、RIC 250aは、それぞれ単一の資源要求を有する2つのRDIEを有する。
【0053】
図8は、前記目標TAPに資源の選択肢を提供する、別の実施形態である資源情報コンテナ250bを例示したものである。RIC 250bは、RRIE 251とそれに後続する単一のRDIE 252cを有する。また、資源IE 253aおよび253bにより、複数の資源要求が定義されている。この構成において、RIC 250bを受信した目標TAPは、資源IE 253aで指定された第1の資源の割り当てを試行できる。この割り当てに失敗すると、前記目標TAPは資源IE 253bに指定された資源の割り当てを試行する。RDIE 252cには、任意数の資源IEを付加することができる。資源IEを2つ伴う本実施例は、単に例示的なものである。
【0054】
図9Aは、図7および8に示したRICルートIE(RRIE)251の実施形態を例示したものである。RRIE 251は、要素ID(element ID)フィールド260と、長さ(length)フィールド261と、RRIE IDフィールド262と、RDIE数(count of RDIEs)フィールド263と、目標BSSID(target BSSID)フィールド264と、を有する。要素IDフィールド260は、情報要素251をRICルートとして指定する識別子を含む。長さフィールド261には、この長さフィールド261に後続するIE 251長をオクテット数などで指定する値を含めることができる。RRIE IDフィールド262には、前記RICを有した資源要求への応答がそれに合致できるようにする一意の識別子を含めることができる。RDIE数フィールド263は、前記RICに含まれた前記RDIEの数値識別子を含む。例えば、図示した例でRRIE 251がRIC 250aのRICルートIEである場合は、RDIE数フィールド263に数値識別子「2」が含まれる。目標BSSIDには、前記RICの送信先である前記目標APのBSSIDが含まれる。
【0055】
図9Bは、図7に示したRDIE 252bなどのRICデータ情報要素の実施形態、RICデータ情報要素252を例示したものである。RDIE 252は、要素ID(element ID)フィールド270と、長さ(length)フィールド271と、シーケンス番号(sequence number)フィールド272と、制御オプション(control options)フィールド273とを有する。要素IDフィールド270は、情報要素252をRICデータ情報要素として指定する識別子を含む。長さフィールド271には、この長さフィールド271に後続する情報要素長をオクテット数などで指定する値を含めることができる。. シーケンス番号フィールド272には、前記送信元STAにより選択される、前記RIC内の一意のシーケンス番号またはインデックス値が含まれる。例えば、シーケンス番号は、(「1」など特定の値を開始値とし、それに)増分を加算してRICの各RDIEに割り当てることができる。
【0056】
制御オプションフィールド273には、目標TAPが前記RDIEを容易に処理できるようにする種々の値を含めることができる。図9Cは、図9Bに示したRDIEの制御オプションフィールド273の実施形態を例示したものである。制御オプションフィールド273には、必須(mandatory)フィールド273aと、確認(confirm)フィールド273bと、予約済み(reserved)フィールド273cと、資源IE数(resource IE count)フィールド273dとを含めることができる。必須フィールド273aは単一ビットを有することができ、この単一ビットは、(「1」など)に設定された場合、資源IE内に指定されている関連付けられた資源の1つが、成功すると考えられる資源要求について割り当て可能である旨を示す。必須フィールド273aがアサートされない場合は、前記RICの資源IEで指定された資源のいずれも、成功すると考えられる資源要求について割り当てる必要がない旨が示される。この場合、前記目標TAPは、前記RDIEに続く前記資源IEで指定された資源に割り当て可能なものがなくとも、前記RICに含まれる残りの前記要求を処理し続けるなければならない。確認フィールド273bは、割り当ての成功または失敗を示す応答メッセージでのみ使用されるビットを有することができる。前記RICが資源要求を有する場合、確認フィールド273bは、前記要求メッセージ内でゼロに設定するか、あるいはアサートせずに残し無視されるようにすることが可能である。予約済みフィールド273cは、固定長で、目標TAPに無視されてよい。資源IE数フィールド273dは、前記RDIEに後続する資源IEの数を示す。例えば、図7に示したRIC 250aのRDIE 252aに制御オプションフィールド273が含まれる場合は、資源IE数フィールド273dにインジケータ「1」が含まれる。別の例として、図8に示したRIC 250bのRDIE 252cに制御オプションフィールド273が含まれる場合は、資源IE数フィールド273dにインジケータ「2」が含まれる。
【0057】
本明細書で説明する実施形態に従って実施(実装)できる一般的BSS移行方法には、必須BSS移行および事前予約BSS移行の2つがある。必須BSS移行は、STAが目標TAPに移行しなければならず、したがってその移行前に資源予約を必要としない場合に実行される。事前予約BSS移行は、セキュリティ資源やQoS資源などが利用可能であるという保証を、STAが移行実行前に必要とする場合に実行される。TAPは、この事前予約能力をサポートするTAPの能力およびポリシーを通知することができる。
【0058】
予約の呼び出しにあたり処理・移行能力を浪費せずに移行しなければならない場合、あるいはネットワークポリシー、加入者ポリシー、またはネットワークキャリアポリシーが必須BSS移行機構だけを実施している場合、STAは、この必須BSS移行機構により目標TAPへ移行することができる。
【0059】
前記事前予約BSS移行機構により、例えばPTKSAやQoSの資源確立に必要な交換の数が最適化される。情報要素は、PTKSAおよびQoSの資源を提供できるようにするため含まれる。
【0060】
資源事前割り当て工程は、以上説明したように提供される。一実施形態において、この工程は同じ管理ドメイン内のアクセスポイントすなわち現在のアクセスポイントへの既存の関連付けを有するモバイルステーションにより、目標移行先アクセスポイントに対し呼び出される。資源が取得されると、目標TAPで事前割り当て動作が実施可能となる。この事前割り当て工程は、例示的な実施態様では、現在の接続に加えて資源を作成するために使用されるものではないが、別の実施形態ではこのような用途が可能である。ただし、前記目標TAPは、当該目標TAPが現在の割り当てと異なるいかなる要求も拒否するポリシー、または現在の割り当てを超えるいかなる要求も拒否するが現在の割り当て未満の割り当ては許可するポリシーを有することができる。割り当てを確認するための通信は、例えばIETFのCTP(context transfer protocolの略称、「コンテキスト転送プロトコル」の意味)により実行される。
【0061】
これにより、資源情報コンテナの形成および使用を通じ、移行手順の開始前に目標TAPまたは候補TAPにおける資源を要求および予約するための構造化された態様が提供される。移行手順中に遅延が長引くことに起因する通信中断が回避されることにより、通信動作は改善される。
【0062】
以上の説明は、本発明の実施態様の好適な実施例であり、本発明の範囲はこの説明により限定されるものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本開示の態様は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより最もよく理解される。
【図1】図1は、本明細書で開示した実施形態を優位に実装できる例示的ネットワークシステムの簡略化したブロック図である。
【図2A】図2Aは、図1に示した通信システムの動作中に生成されるシグナリングの代表的な実施形態のメッセージシーケンス図を例示したものである。
【図2B】図2Bは、図1に示した通信システムの動作中に生成されるシグナリングの別の代表的な実施形態のメッセージシーケンス図を例示したものである。
【図3】図3は、最小限構造の資源情報コンテナの実施形態を例示したものである。
【図4】図4は、資源情報コンテナの別の例示的実施形態を例示したものである。
【図5】図5は、資源情報コンテナの別の例示的実施形態を例示したものである。
【図6】図6は、複数ノード構成におけるノードの順序付けを例示した資源情報コンテナの別の例示的実施形態を例示したものである。
【図7】図7は、資源情報コンテナの別の実施形態を例示したものである。
【図8】図8は、目標高速BSS移行対応アクセスポイントに資源の選択肢を提供する資源情報コンテナの別の実施形態を例示したものである。
【図9A】図9Aは、図7および8に示した資源情報コンテナルート情報要素の実施形態を例示したものである。
【図9B】図9Bは、資源情報コンテナデータ情報要素の実施形態を例示したものである。
【図9C】図9Cは、資源情報コンテナデータ情報要素の制御オプションフィールドの実施形態を例示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークシステムにおいて第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに移行する方法であって、
前記第1のアクセスポイントに通信可能に連結された状態で、前記第2のアクセスポイントを発見する工程と、
要求された資源を指定するデータ構造を生成する工程と、
前記第1のアクセスポイントから前記第2のアクセスポイントへの移行前に前記第2のアクセスポイントに前記データ構造を送信する工程と、
前記データ構造への応答に基づき、移行手順を呼び出すことを決定する工程と、
前記要求された資源を使用するコミットメント(確約)を示す資源情報コンテナを含む再関連付け要求を送信する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記第2のアクセスポイントを発見する工程は、前記第2のアクセスポイントからビーコン信号を受信する工程を有するものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記データ構造を生成する工程は、複数の情報要素を含む資源情報コンテナを生成する工程をさらに有するものである。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記資源情報コンテナを生成する工程は、ルート情報要素と、少なくとも1つのデータ情報要素およびそれに関連付けられた資源情報要素とを含む前記資源情報コンテナを生成する工程をさらに有するものである。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記資源情報要素は、前記要求された資源を指定するものである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記データ情報要素は、前記要求された資源が必須かどうかを指定するものである。
【請求項7】
請求項3記載の方法において、前記資源情報コンテナを生成する工程は、ルート情報要素と、それに関連付けられた複数の資源情報要素とを含む前記資源情報コンテナを生成する工程をさらに有するものである。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記複数の資源情報要素は階層的に構成され、当該複数の資源情報要素の各々は、前記要求された資源の各サービス品質(通信品質)を指定するものである。
【請求項9】
資源情報コンテナを生成する方法を実施する、処理システムで実行するための、コンピュータで実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体であって、
アクセスポイントの識別子を有するフィールドを含むルート情報要素と、
制御オプションフィールドを含むデータ情報要素と、
前記データ情報要素に関連付けられた、要求された資源を指定する資源情報要素であって、前記資源情報コンテナは前記要求された資源が必須かどうかを示すインジケータを含む、資源情報要素と
を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュータ可読媒体において、前記インジケータは、前記制御オプションフィールドに含まれる。
【請求項11】
請求項9記載のコンピュータ可読媒体において、前記資源情報コンテナは、さらに複数の資源情報要素を含み、当該資源情報要素は、前記データ情報要素に関連付けられており、それぞれ前記要求された資源の各サービス品質(通信品質)値を指定するものである。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータ可読媒体において、前記インジケータは、前記複数の資源情報要素のうち少なくとも1つが前記要求された資源に必要なサービス品質(通信品質)値を指定するかどうかを特定するものである。
【請求項13】
ネットワークシステムにおいて第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントとの間のモバイルステーションの高速移行を容易にする方法であって、
前記第2のアクセスポイントにより、前記第1のアクセスポイントから前記第2のアクセスポイントへの移行前に、要求された資源を指定する資源情報コンテナを受信する工程と、
前記要求された資源が割り当てに利用できるか評価を実施する工程と、
前記評価に基づき、前記要求された資源を割り当てるべきか決定する工程と、
前記要求された資源が割り当てられたかどうかの指標を含む応答を、前記データ構造の送信元に送信する工程と
を有する方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、この方法は、さらに、
前記要求された資源が割り当てに利用できるか決定する工程に応答して、前記要求された資源を割り当てる工程を有するものである。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、この方法は、さらに、
前記資源情報コンテナのインデックスを含む前記応答を送信したのち、前記送信元から関連付け要求を受信する工程と、
前記送信元に関連付け応答を戻す工程と
を有するものである。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記要求された資源は、当該要求された資源のサービス品質(通信品質)レベルを含むものである。
【請求項17】
ネットワークシステムにおいてモバイルステーションの高速移行を容易にする、処理システムで実行するための、コンピュータで実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体であって、
要求された資源を指定するデータ構造を受信する第1の命令と、
前記要求された資源が割り当てに利用できるか評価を実施する第2の命令と、
前記評価に基づき、前記要求された資源を割り当てるべきか決定する第3の命令と、
前記要求された資源が割り当てられたかどうかの指標を含む応答を、前記データ構造の送信元に送信する第4の命令と
を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
請求項17記載のコンピュータ可読媒体において、このコンピュータ可読媒体は、さらに、
前記要求された資源が割り当てに利用できるかを決定する前記第3の命令に応答して、前記要求された資源を割り当てる第5の命令を有するものである。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、この方法は、さらに、
前記応答を送信する前記第4の命令に次いで、前記送信元から再関連付け要求を受信する第6の命令と、
前記送信元に再関連付け応答を戻す第7の命令と
を有するものである。
【請求項20】
ネットワークシステムにおいて通信を実施するようになっているモバイルステーションであって、
無線リンクでデータを送受信するようになっている送受信機と、
前記送受信機と通信可能に連結された処理ユニットであって、要求された資源を指定するデータ構造を生成し、前記無線リンクでの送信用に前記データ構造を前記送受信機に搬送し、前記データ構造に対する応答を受信し、前記応答に基づき移行手順を呼び出すべきかを決定するよう構成された、前記処理ユニットと
を有するモバイルステーション。
【請求項21】
請求項20記載のモバイルステーションにおいて、前記データ構造は、複数の情報要素を含む資源情報コンテナをさらに有するものである。
【請求項22】
請求項21記載のモバイルステーションにおいて、前記資源情報コンテナは、ルート情報要素と、少なくとも1つのデータ情報要素およびそれに関連付けられた資源情報要素とをさらに有するものである。
【請求項23】
請求項22記載のモバイルステーションにおいて、前記資源情報要素は前記要求された資源を指定し、前記データ情報要素は前記要求された資源が必須かどうかを指定するものである。
【請求項24】
請求項21記載のモバイルステーションにおいて、前記資源情報コンテナは、ルート情報要素と、それに関連付けられた複数の資源情報要素とをさらに有するものである。
【請求項25】
請求項24記載のモバイルステーションにおいて、前記複数の資源情報要素は階層的に構成され、当該複数の資源情報要素の各々は、前記要求された資源の各サービス品質(通信品質)を指定するものである。
【請求項26】
ネットワークシステムにおいてモバイルステーションの高速移行を容易にするようになっているアクセスポイントであって、
無線リンクでデータを送受信するようになっている送受信機と、
前記送受信機と通信可能に連結された処理ユニットであって、要求された資源を指定するデータ構造を受信し、前記要求された資源が割り当てに利用できるか評価を実施し、前記評価に基づき、前記要求された資源を割り当てるべきか決定し、前記データ構造の送信元にアドレス指定された、前記要求された資源が割り当てられたかどうかの指標を含む応答を搬送するよう構成された、前記処理ユニットと
を有するアクセスポイント。
【請求項27】
請求項26記載のアクセスポイントにおいて、前記処理ユニットは、前記要求された資源が割り当てに利用できるかを決定する工程に応答して、前記要求された資源を割り当てる。
【請求項28】
請求項27記載のアクセスポイントにおいて、前記送受信機は、前記処理ユニットによる前記応答の搬送に次いで、前記送信元から再関連付け要求を受信し、前記処理ユニットは、前記送受信機による前記再関連付け要求の受信に応答して、前記送信元にアドレス指定された再関連付け応答を生成するものである。
【請求項1】
ネットワークシステムにおいて第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに移行する方法であって、
前記第1のアクセスポイントに通信可能に連結された状態で、前記第2のアクセスポイントを発見する工程と、
要求された資源を指定するデータ構造を生成する工程と、
前記第1のアクセスポイントから前記第2のアクセスポイントへの移行前に前記第2のアクセスポイントに前記データ構造を送信する工程と、
前記データ構造への応答に基づき、移行手順を呼び出すことを決定する工程と、
前記要求された資源を使用するコミットメント(確約)を示す資源情報コンテナを含む再関連付け要求を送信する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記第2のアクセスポイントを発見する工程は、前記第2のアクセスポイントからビーコン信号を受信する工程を有するものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記データ構造を生成する工程は、複数の情報要素を含む資源情報コンテナを生成する工程をさらに有するものである。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記資源情報コンテナを生成する工程は、ルート情報要素と、少なくとも1つのデータ情報要素およびそれに関連付けられた資源情報要素とを含む前記資源情報コンテナを生成する工程をさらに有するものである。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記資源情報要素は、前記要求された資源を指定するものである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記データ情報要素は、前記要求された資源が必須かどうかを指定するものである。
【請求項7】
請求項3記載の方法において、前記資源情報コンテナを生成する工程は、ルート情報要素と、それに関連付けられた複数の資源情報要素とを含む前記資源情報コンテナを生成する工程をさらに有するものである。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記複数の資源情報要素は階層的に構成され、当該複数の資源情報要素の各々は、前記要求された資源の各サービス品質(通信品質)を指定するものである。
【請求項9】
資源情報コンテナを生成する方法を実施する、処理システムで実行するための、コンピュータで実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体であって、
アクセスポイントの識別子を有するフィールドを含むルート情報要素と、
制御オプションフィールドを含むデータ情報要素と、
前記データ情報要素に関連付けられた、要求された資源を指定する資源情報要素であって、前記資源情報コンテナは前記要求された資源が必須かどうかを示すインジケータを含む、資源情報要素と
を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュータ可読媒体において、前記インジケータは、前記制御オプションフィールドに含まれる。
【請求項11】
請求項9記載のコンピュータ可読媒体において、前記資源情報コンテナは、さらに複数の資源情報要素を含み、当該資源情報要素は、前記データ情報要素に関連付けられており、それぞれ前記要求された資源の各サービス品質(通信品質)値を指定するものである。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータ可読媒体において、前記インジケータは、前記複数の資源情報要素のうち少なくとも1つが前記要求された資源に必要なサービス品質(通信品質)値を指定するかどうかを特定するものである。
【請求項13】
ネットワークシステムにおいて第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントとの間のモバイルステーションの高速移行を容易にする方法であって、
前記第2のアクセスポイントにより、前記第1のアクセスポイントから前記第2のアクセスポイントへの移行前に、要求された資源を指定する資源情報コンテナを受信する工程と、
前記要求された資源が割り当てに利用できるか評価を実施する工程と、
前記評価に基づき、前記要求された資源を割り当てるべきか決定する工程と、
前記要求された資源が割り当てられたかどうかの指標を含む応答を、前記データ構造の送信元に送信する工程と
を有する方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、この方法は、さらに、
前記要求された資源が割り当てに利用できるか決定する工程に応答して、前記要求された資源を割り当てる工程を有するものである。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、この方法は、さらに、
前記資源情報コンテナのインデックスを含む前記応答を送信したのち、前記送信元から関連付け要求を受信する工程と、
前記送信元に関連付け応答を戻す工程と
を有するものである。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記要求された資源は、当該要求された資源のサービス品質(通信品質)レベルを含むものである。
【請求項17】
ネットワークシステムにおいてモバイルステーションの高速移行を容易にする、処理システムで実行するための、コンピュータで実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体であって、
要求された資源を指定するデータ構造を受信する第1の命令と、
前記要求された資源が割り当てに利用できるか評価を実施する第2の命令と、
前記評価に基づき、前記要求された資源を割り当てるべきか決定する第3の命令と、
前記要求された資源が割り当てられたかどうかの指標を含む応答を、前記データ構造の送信元に送信する第4の命令と
を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
請求項17記載のコンピュータ可読媒体において、このコンピュータ可読媒体は、さらに、
前記要求された資源が割り当てに利用できるかを決定する前記第3の命令に応答して、前記要求された資源を割り当てる第5の命令を有するものである。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、この方法は、さらに、
前記応答を送信する前記第4の命令に次いで、前記送信元から再関連付け要求を受信する第6の命令と、
前記送信元に再関連付け応答を戻す第7の命令と
を有するものである。
【請求項20】
ネットワークシステムにおいて通信を実施するようになっているモバイルステーションであって、
無線リンクでデータを送受信するようになっている送受信機と、
前記送受信機と通信可能に連結された処理ユニットであって、要求された資源を指定するデータ構造を生成し、前記無線リンクでの送信用に前記データ構造を前記送受信機に搬送し、前記データ構造に対する応答を受信し、前記応答に基づき移行手順を呼び出すべきかを決定するよう構成された、前記処理ユニットと
を有するモバイルステーション。
【請求項21】
請求項20記載のモバイルステーションにおいて、前記データ構造は、複数の情報要素を含む資源情報コンテナをさらに有するものである。
【請求項22】
請求項21記載のモバイルステーションにおいて、前記資源情報コンテナは、ルート情報要素と、少なくとも1つのデータ情報要素およびそれに関連付けられた資源情報要素とをさらに有するものである。
【請求項23】
請求項22記載のモバイルステーションにおいて、前記資源情報要素は前記要求された資源を指定し、前記データ情報要素は前記要求された資源が必須かどうかを指定するものである。
【請求項24】
請求項21記載のモバイルステーションにおいて、前記資源情報コンテナは、ルート情報要素と、それに関連付けられた複数の資源情報要素とをさらに有するものである。
【請求項25】
請求項24記載のモバイルステーションにおいて、前記複数の資源情報要素は階層的に構成され、当該複数の資源情報要素の各々は、前記要求された資源の各サービス品質(通信品質)を指定するものである。
【請求項26】
ネットワークシステムにおいてモバイルステーションの高速移行を容易にするようになっているアクセスポイントであって、
無線リンクでデータを送受信するようになっている送受信機と、
前記送受信機と通信可能に連結された処理ユニットであって、要求された資源を指定するデータ構造を受信し、前記要求された資源が割り当てに利用できるか評価を実施し、前記評価に基づき、前記要求された資源を割り当てるべきか決定し、前記データ構造の送信元にアドレス指定された、前記要求された資源が割り当てられたかどうかの指標を含む応答を搬送するよう構成された、前記処理ユニットと
を有するアクセスポイント。
【請求項27】
請求項26記載のアクセスポイントにおいて、前記処理ユニットは、前記要求された資源が割り当てに利用できるかを決定する工程に応答して、前記要求された資源を割り当てる。
【請求項28】
請求項27記載のアクセスポイントにおいて、前記送受信機は、前記処理ユニットによる前記応答の搬送に次いで、前記送信元から再関連付け要求を受信し、前記処理ユニットは、前記送受信機による前記再関連付け要求の受信に応答して、前記送信元にアドレス指定された再関連付け応答を生成するものである。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公表番号】特表2008−522453(P2008−522453A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532462(P2007−532462)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/032944
【国際公開番号】WO2006/031974
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(399040520)ノキア コーポレーション (19)
【出願人】(507021414)ノキア インク. (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/032944
【国際公開番号】WO2006/031974
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(399040520)ノキア コーポレーション (19)
【出願人】(507021414)ノキア インク. (5)
【Fターム(参考)】
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