説明

冗長化回線システム

【課題】既存のプラントに適用することが容易な通信回線の冗長化技術を提供する。
【解決手段】多重化回線として形成された幹線1A,1Bと、少なくとも前記幹線1A,1Bの両端に設けられ、通信局STとの接続に使用する幹線1Aを選定すると共に使用中の幹線1Aの異常を検出し、当該異常を検出すると使用中の幹線1Aを他の幹線1Bに切り替える幹線切替装置2と、該幹線切替装置2に前記通信局STを接続する支線3とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントのプロセス・オートメーションに適用する冗長化回線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント制御の技術分野では、プロセス・オートメーション用のフィールドバスの仕様がIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)等の公的機関によっていくつか規格化されている。
上記IECが規格化したフィールドバスの仕様の1つとして、IEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)があるが、このIEC61784-1 CP1/1には、通信ケーブルの冗長化に関する仕様が規定されていない。
【0003】
一方、下記特許文献1には、フィールドバスを二重化することにより信頼性を向上させる技術が開示されている。すなわち、この技術は、計器室の上位計器及び外部電源をフィールドのフィールド機器と二重化伝送路で相互接続し、上位計器、外部電源あるいはフィールド機器の何れかが、使用中の伝送路の異常を検出し、当該異常を検出した場合には使用中の伝送路を他の伝送路に切り替えるものである。
【特許文献1】特開平05−076077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、IEC61784-1 CP1/1の技術では、上述したように通信ケーブルの冗長化に関する仕様が規定されていないので、通信経路にケーブルの断線や接触不良等の異常が発生した場合にマルチドロップ方式により一つの通信回線に多数の通信装置が接続されていることからプラントの制御が不能状態に陥る虞があり、よって信頼性が乏しいという問題がある。
【0005】
一方、特許文献1の技術では、上位計器、外部電源あるいはフィールド機器の何れかが使用中の伝送路の異常を検出して使用中の伝送路を他の伝送路に切り替える処理を行うので、既存のプラントに適用することが困難であるという問題がある。
すなわち、特許文献1の技術では、使用中の伝送路の異常を検出する機能及び使用中の伝送路を他の伝送路に切り替える機能を、既存の上位計器、外部電源あるいはフィールド機器に追加する工事を行う必要があるが、連続かつ安定した運転が要求されるプラントにおいて稼働中に上記機能追加の工事を行うことは好ましくなく、よって実際問題として上記機能追加は困難である。特に、プラント内に多数設けられたフィールド機器に対して機能追加を行うことは極めて困難である。
【0006】
なお、IEC61784-1 CP1/1の技術については、通信プロトコルを改変することによって上記問題点を解消することが考えられるが、この場合には、フィールド機器やコントローラ等、通信ケーブル以外の装置に機能改変を加える必要があるので、特許文献1の技術の場合と同様に、既存のプラントに適用することは困難である。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、既存のプラントに適用することが容易な通信回線の冗長化技術を提供すること、を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、多重化回線として形成された複数の幹線と、少なくとも前記幹線の両端に設けられ、通信局との接続に使用する幹線を選定すると共に使用中の幹線の異常を検出し、当該異常を検出すると使用中の幹線を他の幹線に切り替える幹線切替装置と、該幹線切替装置に通信局を接続する支線とを具備する、という手段を採用する。
第2の解決手段として、上記第1の手段において、支線は多重化回線として形成され、使用に供する支線を選定すると共に使用中の支線の異常を検出し、当該異常を検出すると使用中の支線を他の支線に切り替える支線切替装置をさらに具備する、という手段を採用する。
第3の解決手段として、上記第1または第2の手段において、幹線に接続され、通信局の動力としての直流電力を出力する電源装置をさらに備え、幹線及び支線は、通信信号に加えて直流電力を通信局に伝送する、という手段を採用する。
第4の解決手段として、上記第3の手段において、幹線切替装置あるいは支線切替装置は、直流電力の直流電流あるいは/及び直流電圧を検出することにより使用中の幹線あるいは支線の異常を検出する、という手段を採用する。
第5の解決手段として、上記第3または第4の手段において、幹線切替装置は、支線に出力される電源電流を所定値以下に制限する電流制限器を備える、という手段を採用する。
第6の解決手段として、上記第3〜第5いずれかの手段において、幹線切替装置は、内部抵抗器を備え、多重化回線の両方の幹線の異常を検出すると内部抵抗器を使用中の幹線に接続する、という手段を採用する。
第7の解決手段として、上記第3〜第6いずれかの手段において、幹線切替装置は、幹線から給電された直流電力の内部回路への給電/非給電を設定する電源接続スイッチを備え、使用中の幹線の異常を検出すると直流電力を非給電状態とする、という手段を採用する。
第8の解決手段として、上記第1〜第7いずれかの手段において、幹線切替装置は、通信信号の反射を抑制するための終端器を備え、多重化回線の両方の幹線の異常を検出すると内部抵抗器を使用中の幹線に接続する、という手段を採用する。
第9の解決手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、幹線切替装置あるいは支線切替装置は、幹線あるいは支線の異常検出の結果に基づいて幹線あるいは支線の異常を外部に報知する異常報知手段を備える、という手段を採用する。
第10の解決手段として、電源装置と、多重化回線として形成された複数の幹線と、幹線の一端に設けられ、電源装置から出力される直流電力を幹線に供給すると共に使用中の幹線とは異なる幹線に待機信号を供給し、使用中の幹線と箱となる幹線から幹線切替信号が供給されると待機信号の供給を停止する幹線切替装置と、該幹線切替装置を最上流として幹線の下流側に複数設けられ、使用中の幹線の異常を検出すると使用中の幹線とは異なる幹線を使用すると共に、使用中の幹線とは異なる幹線に幹線切替信号を供給する分岐装置と、該分岐装置に通信局を接続する支線とを具備する、という手段を採用する。
第11の解決手段として、上記第1〜第10いずれかの手段において、前記幹線及び支線は、IEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)に規定された通信方式の通信信号を伝送する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、幹線切替装置が、使用に供する幹線を選定すると共に使用中の幹線の異常を検出し、当該異常を検出すると使用中の幹線を他の幹線に切り替えるので、通信局に依存することなく幹線を切り替えることが可能であり、よって既存のプラントに適用することが容易である。
また、冗長化に関する仕様が規定されていない例えばIEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)のフィールドバスにも容易に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る冗長化回線システムの構成を示すブロック図である。なお、本冗長化回線システムは、プラント制御用のフィールドバスに本発明を適用したものである。
【0011】
周知のように、プラントには化学プラントや発電プラント等々、種々のものがあるが、一般に、複数の処理装置(一般的にプロセス機器と称する。)、これら処理装置の動作状態を規定する各種駆動装置(バルブ等)、処理装置の動作状態を検出する各種計器(温度計、流量計、圧力計等々)、及び上記各種計器の計測値に基づいて各種駆動装置を制御することによりプラントの運転を統括的に制御・監視する制御装置、また当該制御装置、上記各種駆動装置及び各種計器に電力を供給する電源装置等から構成されている。上記各種駆動装置及び各種計器は、一般的にフィールド機器と称する。このようなプラントにおいて、制御装置とフィールド機器とは、有線の通信回線(フィールドバス)で相互接続され、この通信回線を介して通信を行うと共に、上記通信回線を介して電源装置から電力供給を受ける。
【0012】
本冗長化回線システムは、通信局としての上記制御装置及びフィールド機器を相互接続する有線の通信回線システムであり、通信局間で送受信される通信信号の伝送及び電源装置から各通信局への電力供給を仲介するものである。
上記通信信号は、例えばIEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)に規定された通信方式の通信信号である。
【0013】
すなわち、本冗長化回線システムは、図1示するように、一対の幹線1A,1B、複数の幹線切替装置2、複数の支線3及び一対の電源装置a,bを備えており、複数の通信局STを相互接続する。複数の通信局STのうち、ある通信局STは上述した制御装置、また他の通信局STは上述したフィールド機器である。また、一対の幹線1A,1B及び支線3は全体として通信線路を構成している。
【0014】
制御装置(通信局ST)は、幹線1A,1B、幹線切替装置2及び支線3を介して相互接続された各種のフィールド機器(通信局ST)を制御することによりプラントの運転を統括的に制御・監視する。一方、フィールド機器(通信局ST)は、支線3を介して特定の幹線切替装置2にそれぞれ接続され、また当該幹線切替装置2及び幹線1A,1Bを介して制御装置(通信局ST)にそれぞれ接続されている。このようなフィールド機器は、計測値や自らの動作状態等を上り信号として支線3、幹線切替装置2及び幹線1A,1Bを介して制御装置(通信局ST)に送信する一方、制御装置(通信局ST)からの制御信号(下り信号)を受信してプロセス機器の動作状態を変更する。
【0015】
電源装置a,bは、幹線1A,1Bに対応して設けられており、各通信局STが必要とする動力としての直流電力を出力するものである。このような電源装置a,bは、図示するように特定(最上流側)の幹線切替装置2に所定の電力線を介して接続されている。すなわち、電源装置aは、幹線切替装置2を介して幹線1Aに接続され、一方、電源装置bは、幹線切替装置2を介して幹線1Bに接続されている。
【0016】
幹線1A,1Bは、複数の幹線切替装置2を相互接続する通信線路である。この幹線1A,1Bは、幹線切替装置2によって択一的に選択されて何れか一方が使用に供される二重化回線を構成している。このような幹線1A,1Bは、例えばツイストペア線あるいは平行2線ケーブルである。
【0017】
幹線切替装置2は、上記幹線1A,1Bの上流側(電源装置a,bにより近い側)から下流側(電源装置a,bにより遠い側)の複数箇所、つまり幹線1A,1Bの途中部位及び両端部に各々設けられ、支線3を介して通信局STに接続されている。このような幹線切替装置2は、使用中の幹線1A,1Bの状態(異常/正常)を検出し、当該状態に応じて当該使用中の幹線1A,1Bを使用していない他の幹線1A,1Bに切り替える。このような幹線切替装置2は、本冗長化回線システムの特徴的構成要件であり、詳細構成については後述する。
【0018】
支線3は、幹線切替装置2と通信局STとを相互接続する通信線路である。この支線3も、例えば上述した幹線1A,1Bと同様にツイストペア線あるいは平行2線ケーブルである。
【0019】
図2は、上記幹線切替装置2の詳細構成を示すブロック図である。この図に示すように、幹線切替装置2は、上流側幹線接続部2a、下流側幹線接続部2b、支線接続部2c、一対の異常検出部2d,2e、支線接続制御部2f及び一対の幹線支線接続スイッチ2g,2hを備えている。
【0020】
上流側幹線接続部2aは、上流側に位置する幹線1A,1Bが接続される接続端子であり、当該幹線1A,1Bに各々対応する上流側端子A1と上流側端子B1とによって構成されている。すなわち、上流側端子A1には幹線1Aが接続され、上流側端子B1には幹線1Bが接続される。下流側幹線接続部2bは、下流側に位置する幹線1A,1Bが接続される接続端子であり、当該幹線1A,1Bに各々対応する下流側端子A2と下流側端子B2によって構成されている。すなわち、下流側端子A2には幹線1Aが接続され、下流側端子B2には幹線1Bが接続される。なお、上記上流側端子A1と下流側端子A2と、また上記上流側端子B1と下流側端子B2とは、図示するように内部配線によって各々個別に相互接続されている。
【0021】
支線接続部2cは、支線3が各々に接続される所定数の接続端子C1,C2,……Cn(支線接続端子)によって構成されている。各支線接続端子C1,C2,……Cnは内部配線によって全て共通接続されている。
【0022】
異常検出部2d,2eは、上記上流側幹線接続部2a及び下流側幹線接続部2bと同様に幹線1A,1Bに対応して各々設けられており、幹線1A,1Bを流れる直流電流、つまり幹線1A,1Bを介して電源装置a,bから各通信局STに給電される電源電流に基づいて使用中の幹線1A,1Bの異常/正常を検出する。
【0023】
例えば、幹線1Aが使用中である場合において当該幹線1Aが下流側で地絡すると、上流側端子A1と下流側端子A2との間には異常に大きな直流電流が流れる。または、使用中の幹線1Aが下流側で開放すると、上流側端子A1と下流側端子A2との間には異常に小さな直流電流が流れることになる。上記異常検出部2d,2eは、使用中の幹線1A,1Bにおける上記異常な直流電流(異常電流)を検出することにより使用中の幹線1A,1Bの異常/正常を検出する。このような異常検出部2d,2eは、幹線1A,1Bの異常/正常を状態通知信号として支線接続制御部2fにそれぞれ出力する。
【0024】
支線接続制御部2fは、上記状態通知信号に基づいて幹線支線接続スイッチ2g,2hを制御するものである。幹線支線接続スイッチ2g,2hは、各幹線1A,1Bに対応して支線接続部2cと上流側幹線接続部2a及び下流側幹線接続部2bとの間に各々設けられた開閉スイッチである。一方の幹線支線接続スイッチ2gは、各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子A1及び下流側端子A2との間に設けられており、支線接続制御部2fによって制御されることにより各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子A1及び下流側端子A2との接続/開放を設定する。他方の幹線支線接続スイッチ2hは、各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子B1及び下流側端子B2との間に設けられており、支線接続制御部2fによって制御されることにより各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子B1及び下流側端子B2との接続/開放を設定する。
【0025】
次に、このように構成された本冗長化回線システムの動作、つまり幹線切替装置2による各幹線1A,1Bの切替動作について詳しく説明する。
【0026】
支線接続制御部2fは、初期状態において、例えば幹線1Aを使用に供するべく、幹線支線接続スイッチ2gを閉状態とすると共に幹線支線接続スイッチ2hを開状態とする。この状態において、通信局STは、幹線1A、幹線切替装置2及び支線3とによって相互接続され、両者間の相互通信及び電源装置a,bから通信局STへの直流電力の供給が行われる。
そして、このような状態において、何らかの原因により使用中の幹線1Aが下流側で地絡あるいは開放すると、上流側端子A1と下流側端子A2との間には、正常時の直流電流に比べて極端に大きいあるいは極端に小さい直流電流、つまり異常電流が流れる。
【0027】
使用中の幹線1Aに対応して設けられた異常検出部2dは、上流側端子A1から下流側端子A2に流れる直流電流を常時検出しており、当該検出された直流電流を所定のしきい値と比較することにより当該直流電流が異常電流に至ったと判定すると、その判定結果(つまり幹線1Aの異常)を状態通知信号として支線接続制御部2fに出力する。この結果、支線接続制御部2fは、幹線支線接続スイッチ2gを開状態に変更すると共に幹線支線接続スイッチ2hを閉状態に変更し、使用中の幹線1Aに代えて幹線1Bを使用に供する。
【0028】
一方、幹線1Bが使用に供されている場合、幹線1Bに対応する異常検出部2eは、上流側端子B1から下流側端子B2に流れる直流電流を常時検出し、当該検出された直流電流を所定のしきい値と比較することにより当該直流電流が異常電流に至ったと判定すると、その判定結果(つまり幹線1Bの異常)を状態通知信号として支線接続制御部2fに出力する。この結果、支線接続制御部2fは、幹線支線接続スイッチ2hを開状態に変更すると共に幹線支線接続スイッチ2gを閉状態に変更し、使用中の幹線1Bに代えて幹線1Aを使用に供する。
【0029】
すなわち、本冗長化回線システムによれば、幹線切替装置2が自立的に使用中の幹線1A,1Bの異常を検出して使用していない幹線1A,1Bに切り替えるので、信頼性を向上させることができると共に、通信局STに依存しないので、既存のプラントに容易に適用することができる。
また、このような本冗長化回線システムをIEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)で規定されたフィールドバスに適用することにより、当該フィールドバスの信頼性を向上させることができる。
【0030】
さらに、本冗長化回線システムによれば、幹線切替装置2が幹線1A,1Bの異常検出機能及び切替機能を備えているので、システム構成が簡単である。上記異常検出機能及び切替機能を幹線切替装置とは別体に設けた場合には、装置数が増えるので好ましくない。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態に係る冗長化回線システムは、第1実施形態の幹線切替装置2に機能追加を施した幹線切替装置4を備える点を特徴とする。以下の説明では、本第2実施形態における幹線切替装置4の詳細を説明する。
【0032】
図3は、本第2実施形態における幹線切替装置4の構成を示すブロック図である。この幹線切替装置4は、図示するように上流側幹線接続部4a、下流側幹線接続部4b、支線接続部4c、一対の異常検出部4d,4e、支線接続制御部4f、一対の幹線支線接続スイッチ4g,4hに加えて、一対の電圧監視部4i,4j、一対の電源接続スイッチ4m,4n、一対のダイオード4p,4q、DC-DCコンバータ4r、一対の内部抵抗器4s,4t、一対の終端器4u,4v、一対の負荷接続スイッチ4w、4x、幹線状態出力スイッチ4y、複数(n個)の電流制限器4z1〜4znを備えている。
【0033】
なお、これら各構成要素のうち、上流側幹線接続部4a、下流側幹線接続部4b、支線接続部4c、各異常検出部4d,4e及び各幹線支線接続スイッチ4g,4hについては、第1実施形態における上流側幹線接続部2a、下流側幹線接続部2b、支線接続部2c、各異常検出部2d,2e及び各幹線支線接続スイッチ2g,2hと同一であり、重複するので説明を省略する。
【0034】
電圧監視部4i,4jは、幹線1A,1Bに対応して設けられており、当該幹線1A,1Bに各々接続された内部配線の直流電圧(つまり幹線1A,1Bの電源電圧)をそれぞれ検出し、その検出結果を状態通知信号として支線接続制御部4fに出力する。
【0035】
使用中の幹線1A,1Bが下流側で地絡すると、当該使用中の幹線1A,1Bの直流電圧(電源電圧)は異常に低下する。一方、使用中の幹線1A,1Bが下流側で開放すると、当該使用中の幹線1A,1Bの直流電圧は、負荷が極端に軽減されるので、異常に上昇する。上記電圧監視部4i,4jは、このような使用中の幹線1A,1Bにおける直流電圧(電源電圧)の異常電圧を検出することにより、使用中の幹線1A,1Bの異常/正常を状態通知信号として支線接続制御部4fにそれぞれ出力する。
【0036】
電源接続スイッチ4m,4nは、幹線1A,1Bに対応して設けられており、同じく幹線1A,1Bに対応して設けられたダイオード4p,4qと幹線1A,1Bとの間に設けられている。電源接続スイッチ4m,4nは、支線接続制御部4fから入力される制御信号に基づいて、上流側端子A1,B1と下流側端子A2,B2とを接続する内部配線とダイオード4p,4qとの接続/開放(つまり幹線切替装置4の内部回路への給電/非給電)をそれぞれ設定する。すなわち、電源接続スイッチ4m,4nが閉状態に設定されると、幹線1A,1Bを介して電源装置a,bから給電された直流電力が幹線切替装置4の内部回路に供給され、一方、電源接続スイッチ4m,4nが開状態に設定されると、上記直流電力の幹線切替装置4の内部回路への供給が遮断される。
【0037】
ダイオード4p,4qは、アノード端子が上記電源接続スイッチ4m,4nに、またカソード端子がDC-DCコンバータ4rの入力端子にそれぞれ接続されており、アノード端子の電圧に基づいてON状態とOFF状態が自動的に切り替わる電子スイッチである。DC-DCコンバータ4rは、上記電源接続スイッチ4m,4n及びダイオード4p,4qを介して使用中の幹線1A,1Bから入力される直流電圧(電源電圧)を幹線切替装置4の各構成要素の動作電圧に変圧して当該各構成要素に給電する。
【0038】
ここで、使用中の幹線1A,1BからのDC-DCコンバータ4rへの直流電圧(電源電圧)の入力は上記電源接続スイッチ4m,4nによって設定される。DC-DCコンバータ4rは、直流電圧が入力される状態にあるときのみ、幹線切替装置4を構成する各構成要素に直流電力を供給する。
【0039】
内部抵抗器4s,4tは、幹線1A,1Bに対応して設けられており、電源装置bに対して負荷となっている抵抗器である。終端器4u,4vは、上記内部抵抗器4s,4tと同様に幹線1A,1Bに対応して設けられており、幹線1A,1Bを交流的に終端するためのものである。すなわち、この終端器4u,4vは、通信信号の反射を抑制するための回路であり、幹線1A,1Bの特性インピーダンスに応じた抵抗値の抵抗器と直流を遮断するためのコンデンサとが直列接続されたものである。
【0040】
負荷接続スイッチ4w、4xは、幹線1A,1Bに対応して設けられており、内部抵抗器4s,4t及び終端器4u,4vと上流側端子A1,B1と下流側端子A2,B2とを接続する内部配線との間にそれぞれ設けられている。負荷接続スイッチ4w、4xは、支線接続制御部4fから入力される制御信号に基づいて内部抵抗器4s,4t及び終端器4u,4vの幹線1A,1Bへの接続/開放をそれぞれ設定する。
【0041】
幹線状態出力スイッチ4yは、一対設けられた外部接続端子D1,D2にブリッジ接続されており、幹線1A,1Bの状態(正常/異常)を外部に報知するための開閉スイッチである。この幹線状態出力スイッチ4yは、支線接続制御部4fから入力される制御信号に基づいて制御されることにより、幹線1A,1Bの何れか一方が異常となったことを外部に知らせる。このような幹線状態出力スイッチ4yと外部接続端子D1,D2とは、本第2実施形態における異常報知手段を構成している。
【0042】
電流制限器4z1〜4znは、支線接続端子C1,C2,……Cnと幹線支線接続スイッチ4g,4hとの間に各支線接続端子C1,C2,……Cnに対応して設けられている。この電流制限器4z1〜4znは、支線接続端子C1,C2,……Cnから各支線3に流れる直流電流(電源電流)を所定値以下に制限するものであり、例えば自らの端子間電圧に基づいて通過電流を制限する自己復帰型ヒューズ等(例えばポリスイッチ)である。
【0043】
さらに、支線接続制御部4fは、上述したように異常検出部4d,4e及び電圧監視部4i,4jから入力される状態通知信号に基づいて幹線支線接続スイッチ4g,4h、電源接続スイッチ4m,4n及び負荷接続スイッチ4w、4xの開/閉を制御する。第1実施形態における支線接続制御部2fは異常検出部2d,2eの検出結果のみに基づいて幹線支線接続スイッチ2g,2hを制御するが、本第2実施形態の支線接続制御部4fは、異常検出部4d,4eの検出結果に電圧監視部4i,4jの検出結果をも加味して幹線支線接続スイッチ4g,4h、電源接続スイッチ4m,4n及び負荷接続スイッチ4w、4xを制御する。
【0044】
次に、このように構成された幹線切替装置4の動作について詳しく説明する。
図4は、支線接続制御部4fの動作を示す真理値表である。この真理値表において、1〜11の数字は、図3の状態通知信号及び制御信号に付した数字に対応している。また、状態通知信号1〜4における○印は直流電流(電源電流)あるいは直流電圧(電源電圧)の正常を、一方、×印はこれらの異常をそれぞれ示している。さらに、制御信号5〜11における「Open」は各スイッチを開状態とすることを、一方、「Close」は各スイッチを閉状態とすることをそれぞれ示している。
【0045】
支線接続制御部4fは、この真理値表に示すように、状態通知信号1〜4に基づいて制御信号5〜11を生成することにより、幹線支線接続スイッチ4g,4h、電源接続スイッチ4m,4n及び負荷接続スイッチ4w、4xの開/閉を制御する。
【0046】
例えば、幹線1Aに対応する幹線支線接続スイッチ4g及び幹線1Bに対応する幹線支線接続スイッチ4hは、この真理値表に示すように排他的に制御される。すなわち、支線接続制御部4fは、幹線1Aに対応する異常検出部4d及び電圧監視部4iのうち何れか一方あるいは両方が使用中の幹線1Aの異常を検出した場合にのみ幹線支線接続スイッチ4gを開状態(Open状態)とし、これ以外の場合は幹線支線接続スイッチ4gを閉状態(Close状態)とする。そして、支線接続制御部4fは、このような幹線支線接続スイッチ4gに対して排他的に、つまり幹線支線接続スイッチ4gとは異なる状態に幹線支線接続スイッチ4hを制御する。
なお、支線接続制御部4fは、上記真理値表に示されているように、幹線1A,1Bの何れについても異常が検出された場合には、幹線1Aに対応する幹線支線接続スイッチ4gを閉状態とする。
【0047】
また、支線接続制御部4fは、幹線1Aに対応する電源接続スイッチ4m及び幹線1Bに対応する電源接続スイッチ4nについて、上記真理値表に示されているように、使用中の幹線1A,1Bが全て正常な場合を除いて上記幹線支線接続スイッチ4g,4hと全く同様の制御を行う。
【0048】
ここで、図5に示すように、上流側(電源装置a,bに近い側)から下流側(電源装置a,bに遠い側)にm個の幹線切替装置4が幹線1A,1Bによって相互接続された冗長化回線システムにおいて、例えば最下流に位置する幹線切替装置4(m)と最下流から2番目に位置する幹線切替装置4(m−1)との間において使用中の幹線1Aが何らかの原因で切断された場合、最下流の幹線切替装置4(m)及び最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)は、使用中の幹線1Aにおける異常電流を検出し、当該使用中の幹線1Aに代えて幹線1Bを使用に供すると共に、電源接続スイッチ4mを開状態(Open状態)とする。この状態において、2番目の幹線切替装置4(m−1)の内部回路には、新たに使用される幹線1B及び電源接続スイッチ4nを介して直流電力が給電される。
【0049】
そして、最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)が電源接続スイッチ4mを開状態(Open状態)とすることによって、最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)は、幹線1Aから直流電力の供給を受けない状態となるので、当該幹線切替装置4(m−1)の上流に位置する最下流から3番目の幹線切替装置4(m−2)は、これによって最下流の幹線切替装置4(m)と最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)との間における使用中の幹線1Aの切断を直流電流(電源電流)に基づいて検知することができる。
【0050】
すなわち、仮に最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)における電源接続スイッチ4mが閉状態(Close状態)のままであると、最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)の内部回路は幹線1Aから直流電力の供給を受け続けるので、最下流から3番目の幹線切替装置4(m−2)は、幹線1Aの直流電流に基づいて、最下流の幹線切替装置4(m)と最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)との間における使用中の幹線1Aの切断を検知することができない。
【0051】
このことは、最下流から3番目の幹線切替装置4よりも上流側に位置する幹線切替装置4(1)〜4(3)についても、全く同様である。
なお、上記+真理値表に示すように、使用中の幹線1A,1Bが全て正常な場合については、幹線支線接続スイッチ4g,4hの何れをも閉状態とすることにより、DC-DCコンバータ4rからの電力供給が停止して動作不能をきたすことを回避している。
【0052】
さらに、幹線切替装置4の支線接続制御部4fは、上記真理値表に示すように、幹線1Aに対応する異常検出部4d及び幹線1Bに対応する異常検出部4eの何れもが異常電流を検出した場合にのみ負荷接続スイッチ4w、4xを閉状態(Close状態)とし、これ以外の場合には負荷接続スイッチ4w、4xを開状態(Open状態)とする。
【0053】
このような幹線1A,1Bの両方が異常電流となる状態としては、下流側に位置する幹線切替装置4が取り外された場合が考えられる。
このような場合において負荷接続スイッチ4w、4xが開状態から閉状態に切り替わることにより、終端器4u,4vが幹線1A,1Bに自動的に接続されて幹線1A,1Bが交流的に終端されると共に、内部抵抗器4s,4tが幹線1A,1Bに自動的に接続されて下流側に幹線切替装置4が接続された状態と同様の電源電流が幹線1A,1Bに流れる状態を模擬することができる
【0054】
例えば、図5の冗長化回線システムにおいて、最下流に位置する幹線切替装置4(m)が取り外されると、最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)における支線接続制御部4fは、負荷接続スイッチ4w、4xを開状態から閉状態に切り替える。これによって、最下流から2番目の幹線切替装置4(m−1)において終端器4u,4v及び内部抵抗器4s,4tが幹線1A,1Bに自動的に接続される。
【0055】
さらに、幹線切替装置4の支線接続制御部4fは、上記真理値表に示すように、幹線1A,1Bの直流電流(電源電流)及び直流電圧(電源電圧)が全て正常な場合にのみ幹線状態出力スイッチ4yを閉状態(Close状態)とし、これ以外の場合には幹線状態出力スイッチ4yを開状態(Open状態)とする。
【0056】
このような第2実施形態によれば、直流電流(電源電流)と直流電圧(電源電圧)の何れをも考慮して幹線1A,1Bが切り替えられるので、第1実施形態よりも的確に幹線1A,1Bの異常を検出することができる。
また、幹線1A,1Bに対応する電源接続スイッチ4m,4nが上述したように制御されることにより、使用中(正常)の幹線1A,1Bから供給された直流電力に基づいて幹線切替装置4(幹線切替装置)内の各構成要素を動作させることができる。
【0057】
また、幹線1A,1Bに対応する異常検出部4d,4eの何れもが異常電流を検出した場合(例えば、幹線1A,1Bの下流側に接続された幹線切替装置4が取り外された場合)に、内部抵抗器4s,4t及び終端器4u,4vが幹線1A,1Bに自動的に接続される。したがって、終端器4u,4vによって幹線1A,1Bが終端されると共に内部抵抗器4s,4tによって下流側の幹線切替装置4の内部抵抗分の負荷軽減が是正され、以って下流側の幹線切替装置4が取り外された場合においても幹線1A,1Bについて取り外される前と同様な異常検出を継続することができる。
【0058】
また、幹線状態出力スイッチ4yは幹線1A,1Bの直流電流(電源電流)及び直流電圧(電源電圧)の何れかが異常な場合には開状態(Open状態)となるので、幹線1A,1Bの何れか一方が異常となったことを外部接続端子D1,D2を介して外部に報知することができる。換言すると、上述したように幹線状態出力スイッチ4yが支線接続制御部4fによって開閉制御されることにより、外部接続端子D1,D2に接続された外部装置は、当該外部接続端子D1,D2を介して幹線1A,1Bに何らかの異常が発生したことを認識することができる。
【0059】
さらに、各支線接続端子C1,C2,……Cnに対応して電流制限器4z1〜4znが設けられているので、何らかの原因によって支線3側の負荷が異常に重くなる、つまり異常な直流電流が支線接続端子C1,C2,……Cnから支線3に流れる事態が発生した場合に、電流制限器4z1〜4znが自動的に上記直流電流を所定値以下に制限するので、過電流を防止して信頼性を向上させることができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態に係わる冗長化回線システムの構成を示すブロック図である。上述した第1、第2実施形態は、幹線1A,1Bのみを二重化するものであるが、本第3実施形態は、図示するように幹線1A,1Bに加えて支線3E,3Fをも二重化するものである。すなわち、本冗長化回線システムは、各々の通信局STについて一対の支線3E,3Fをそれぞれ備えると共に、当該一対の支線3E,3Fに対応する幹線切替装置5(幹線切替装置)及び複数(n個)の支線切替装置6、また各支線切替装置6と通信局STとを接続する支線3Gを備えるものである。
【0061】
幹線切替装置5は、第1実施形態における幹線切替装置2との対比において、支線接続部5cの端子構成及び一対の電流制限器5z1,5z2を備える点で相違する。以下では、この相違点についてのみ説明する。
支線接続部5cは、各支線3E,3Fに対応して各々に対をなす各支線接続端子Ce1,Cf1,……,Cen,Cfn(合計2n個)によって構成されている。このような各支線接続端子Ce1,Cf1,……,Cen,Cfnのうち、支線3Eに対応する支線接続端子Cd1,……,Cdnと支線3Fに対応する支線接続端子Ce1,……,Cenとは、図示するように内部配線によって各々個別に共通接続されている。
【0062】
電流制限器5z1,5z2は、上記支線3Eに対応する支線接続端子Cd1,……,Cdnと支線3Fに対応する支線接続端子Ce1,……,Cenとに対応して(つまり支線3E,3Fに対応して)設けられており、第2実子形態の電流制限器4z1〜4znと同様に自己復帰型ヒューズ(ポリスイッチ)である。この電流制限器5z1,5z2は、各支線接続端子Ce1,Cf1,……,Cen,Cfn及び支線3E,3Fを介してフィールド機器LSに給電される直流電流を制限する。
【0063】
各支線切替装置6は、上記幹線切替装置5と同様に第2実施形態の幹線切替装置2に類似した構成を有しており、上流側支線接続部6a、下流側支線接続部6b、一対の異常検出部6d,6e、二重化支線接続制御部6f及び一対の支線接続スイッチ6g,6hを備えている。
【0064】
上流側支線接続部6aは、上流側(電源装置a,bにより近い側)に位置する支線3E,3Fが接続される接続端子であり、当該支線3E,3Fに各々対応する上流側端子E1と上流側端子F1とによって構成されている。すなわち、上流側端子E1には支線3Eが接続され、上流側端子F1には支線3Fが接続される。下流側支線接続部6bは、下流側(電源装置a,bにより遠い側)に位置する単一の支線3Gが接続される接続端子であり、当該支線3Gに対応する単一の下流側端子Gによって構成されている。
【0065】
異常検出部6d,6eは、支線3E,3Fに対応して設けられており、当該支線3E,3Fを介して各フィールド機器LSに給電される直流電流(電源電流)に基づいて使用中の支線3E,3Fの異常/正常をそれぞれ検出し、この検出結果を状態通知信号として二重化支線接続制御部6fにそれぞれ出力する。
二重化支線接続制御部6fは、上記状態通知信号に基づいて支線接続スイッチ6g,6hを制御するものである。支線接続スイッチ6g,6hは、支線3E,3Fに対応して設けられており、上記上流側支線接続部6aと下流側支線接続部6bとの間に各々設けられた開閉スイッチである。
【0066】
すなわち、支線接続スイッチ6gは、上流側端子E1と下流側端子Gとの間に設けられており、二重化支線接続制御部6fによって制御されることにより上流側端子E1と下流側端子Gとの接続/開放を設定する。一方、支線接続スイッチ6hは、上流側端子F1と下流側端子Gとの間に設けられており、二重化支線接続制御部6fによって制御されることにより上流側端子F1と下流側端子Gとの接続/開放を設定する。
【0067】
このような第3実施形態によれば、幹線1A,1Bと支線3E,3Fの両方が二重化されており、幹線切替装置5は、使用中の幹線1A,1Bに異常が発生すると、使用に供する幹線1A,1Bを自動的に切り替える。また、支線切替装置6は、使用中の支線3E,3Fに異常が発生すると、使用に供する支線3E,3Fを自動的に切り替える。したがって、本第3実施形態によれば、上述した第1、第2実施形態のように幹線1A,1Bのみを二重化する場合より信頼性をさらに向上させることができると共に、幹線1A,1B及び支線3E,3Fの切替が通信局STに依存しないので、既存のプラントにも容易に適用することができる。
【0068】
なお、本発明は、上述した第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)第1〜第3実施形態は、幹線1A,1Bあるいは当該幹線1A,1Bと支線3E,3Fとを二重化することにより冗長性を付加するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。信頼性をさらに向上させるために、幹線及び支線をさらに多重化(三重化、四重化等)し、これに対応した幹線切替装置あるいは幹線切替装置と支線切替装置とを設けるようにしても良い。
【0069】
(2)第1、第3実施形態は、電源電流の異常を検出することによって幹線1A,1Bあるいは当該幹線1A,1Bと支線3E,3Fとの異常を検出するものであるが、電源電流に代えて電源電圧の異常を検出するようにしても良い。
(3)第2実施形態では、幹線切替装置4に異常報知手段を設けたが、第1実施形態の幹線切替装置2、第3実施形態の幹線切替装置5及び支線切替装置6に異常報知手段を設けても良い。
【0070】
〔追加実施形態〕
次に、本発明の追加実施形態について説明する。
図7は、追加実施形態に係わる冗長化回線システムの構成を示すブロック図である。なお、この図7では、上述した各実施形態と同一な構成要素には同一符号を付している。
【0071】
上述した各実施形態では、同一に構成された複数の幹線切替装置2を幹線1A,1Bの上流側から下流側に接続する構成を採用したが、本追加実施形態に係わる冗長化回線システムは、図7に示すように、最上流に幹線切替装置20を配置すると共に当該幹線切替装置20の下流に分岐装置21を順次接続し、各分岐装置21に支線3によって通信局STをそれぞれ接続する構成を採用する。
【0072】
図8は、上記幹線切替装置20の構成を示すブロック図である。この図に示すように、幹線切替装置20は、上流側接続部20a、下流側幹線接続部20b、外部接続部20c、一対の切替検出部20d,20e、待機信号発生器20f、待機信号接続スイッチ20g及び接続制御部20hを備えている。
【0073】
上流側接続部20aは、電源装置a,bが接続される接続端子であり、下流側に接続される幹線1A,1Bに各々対応する上流側端子A1と上流側端子B1とによって構成されている。すなわち、上流側端子A1には電源装置aが接続され、上流側端子B1には電源装置bが接続される。
【0074】
下流側幹線接続部20bは、下流側に位置する幹線1A,1Bが接続される接続端子であり、当該幹線1A,1Bに各々対応する下流側端子A2と下流側端子B2によって構成されている。すなわち、下流側端子A2には幹線1Aが接続され、下流側端子B2には幹線1Bが接続される。なお、上記上流側端子A1と下流側端子A2と、また上記上流側端子B1と下流側端子B2とは、図示するように内部配線によって各々個別に相互接続されている。
【0075】
外部接続部20cは、外部信号の入力及び外部への信号出力のために設けられた接続端子であり、外部出力端子H1と外部入力端子H2とによって構成されている。これら外部出力端子H1及び外部入力端子H2は、内部配線によって接続制御部20hに接続されている。外部出力端子H1には接続制御部20hからモニタ信号が入力され、一方、外部入力端子H2には、外部から強制切替信号が入力される。
【0076】
切替検出部20d,20eは、上記上流側幹線接続部20a及び下流側幹線接続部20bと同様に幹線1A,1Bに対応して2つ設けられており、幹線1A,1Bを流れる幹線切替信号(分岐装置21が出力する信号)を検出し、その検出結果を接続制御部20hに出力する。すなわち、切替検出部20dは、幹線1Aを流れる幹線切替信号を検出し、その検出結果を接続制御部20hに出力し、一方、切替検出部20eは、幹線1Bを流れる幹線切替信号を検出し、その検出結果(幹線切替検出信号)を接続制御部20hに出力する。上記幹線切替信号は、後述するように待機信号とは異なる所定周波数の信号であり、各切替検出部20d,20eは、この所定周波数を中心周波数として通過させるバンドパスフィルタを用いて幹線1A,1Bから幹線切替信号のみを抽出して検出する。
【0077】
待機信号発生器20fは、使用に供されない待機中の幹線を示す待機信号を生成する信号発生器であり、当該待機信号を図示するように待機信号接続スイッチ20gの選択端子に出力する。上記待機信号は、所定周波数の正弦波(連続波)あるいはバースト波(間欠波)である。待機信号接続スイッチ20gは、一方の選択端子が内部配線によって一方の幹線1Aに、また他方の選択端子が内部配線によって他方の幹線1Bにそれぞれ接続された選択スイッチであり、接続制御部20hから入力される選択指示信号に基づいて待機信号を幹線1Aあるいは幹線1Bの何れか一方に供給する。
【0078】
接続制御部20hは、各切替検出部20d,20eから入力される幹線切替検出信号あるいは上記強制切替信号に基づいて待機信号接続スイッチ20gを制御すると共に、幹線1A,1Bの接続状態(つまり、幹線切替信号の検出状態、待機信号接続スイッチ20gの選択状態)をモニタ信号として外部出力端子H1に出力する。すなわち、接続制御部20hは、幹線切替信号を検出した幹線とは異なる幹線、例えば切替検出部20dが幹線1Aの幹線切替信号を検出した場合は当該幹線1Aとは異なる幹線1Bに待機信号を供給するように待機信号接続スイッチ20gを制御する。
なお、強制切替信号は、接続制御部20hに対して、幹線切替検出信号に依らず待機信号の供給先(幹線1Aあるいは幹線1B)を外部から強制的に指定するための信号である。
【0079】
続いて、図9は、上記分岐装置21の構成を示すブロック図である。この図に示されているように、分岐装置21は、上流側接続部21a、下流側幹線接続部21b、支線接続部21c、一対の待機信号検出部21d,21e、一対の幹線支線接続スイッチ21f,21g、一対の電圧監視部21h,21i及び一対の幹線切替信号発生器21j,21kを備えている。
【0080】
上流側接続部21aは、上流側に位置する幹線1A,1Bに各々対応する上流側端子A1と上流側端子B1とによって構成されている。すなわち、上流側接続部21aの上流側端子A1には幹線1Aが接続され、上流側接続部21aの上流側端子B1には幹線1Bが接続される。下流側幹線接続部21bは、下流側に位置する幹線1A,1Bに各々対応する下流側端子A2と下流側端子B2によって構成されている。すなわち、下流側幹線接続部21bの下流側端子A2には幹線1Aが接続され、下流側幹線接続部21bの下流側端子B2には幹線1Bが接続される。なお、上記上流側端子A1と下流側端子A2と、また上記上流側端子B1と下流側端子B2とは、図示するように内部配線によって各々個別に相互接続されている。
【0081】
また、支線接続部21cは、支線3が各々に接続される所定数の接続端子C1,C2,……Cn(支線接続端子)によって構成されている。各支線接続端子C1,C2,……Cnは、図示するように内部配線によって全て共通接続されている。
【0082】
待機信号検出部21d,21eは、幹線1A,1Bに各々対応して設けられており、上記幹線切替装置20から幹線1A,1Bの何れか一方に供給される待機信号を検出し、その検出結果(待機検出信号)に基づいて幹線支線接続スイッチ21f,21gを制御する。すなわち、一方の待機信号検出部21dは、幹線1Aに対応するものであり、幹線1Aの待機信号を検出し、その検出結果に基づいて一方の幹線支線接続スイッチ21fを制御し、他方の待機信号検出部21eは、幹線1Bに対応するものであり、幹線1Bの待機信号を検出し、その検出結果に基づいて他方の幹線支線接続スイッチ21gを制御する。
【0083】
また、これら待機信号検出部21d,21eは、各々に対応して設けられた電圧監視部21h,21iに待機検出信号を出力する。すなわち、一方の待機信号検出部21dは、電圧監視部21hに待機検出信号を出力し、他方の待機信号検出部21eは、電圧監視部21iに待機検出信号を出力する。
なお、上記待機信号は、上述したように幹線切替信号とは異なる所定周波数の信号であり、各待機信号検出部21d,21eはは、この所定周波数を中心周波数として通過させるバンドパスフィルタを用いて幹線1A,1Bから待機信号のみを抽出して検出する。
【0084】
幹線支線接続スイッチ21f,21gは、各幹線1A,1Bに対応して支線接続部21cと各幹線1A,1Bとの間に各々設けられた開閉スイッチである。すなわち、一方の幹線支線接続スイッチ21gは、各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子A1及び下流側端子A2との間に設けられており、待機信号検出部21dによって制御されることにより各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子A1及び下流側端子A2との接続/開放を設定する。他方の幹線支線接続スイッチ21gは、各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子B1及び下流側端子B2との間に設けられており、待機信号検出部21eによって制御されることにより各支線接続端子C1,C2,……Cnと上流側端子B1及び下流側端子B2との接続/開放を設定する。
【0085】
電圧監視部21h,21iは、幹線1A,1Bに各々対応して設けられており、幹1A,1Bの直流電圧(電源電圧)を検出し、その検出結果と上記待機信号検出部21d,21eから入力される待機検出信号とに基づいて、図示するように異なる幹線1A,1B側の幹線切替信号発生器21j,21kを制御する。すなわち、一方の電圧監視部21hは、幹1Aの直流電圧(電源電圧)を検出し、その検出結果と上記待機信号検出部21dから入力される待機検出信号とに基づいて幹線1B側の幹線切替信号発生器21kを制御する。他方の電圧監視部21iは、幹1Bの直流電圧(電源電圧)を検出し、その検出結果と上記待機信号検出部21eから入力される待機検出信号とに基づいて幹線1A側の幹線切替信号発生器21jを制御する。
【0086】
幹線切替信号発生器21j,21kは、幹線1A,1Bに各々対応して設けられており、電圧監視部21h,21iから入力される制御信号に基づいて幹線切替信号を生成して幹線1A,1Bに出力する。すなわち、一方の幹線切替信号発生器21jは、上記他方の電圧監視部21iから入力される制御信号に基づいて幹線切替信号を生成して幹線1Aに出力し、他方の幹線切替信号発生器21kは、上記一方の電圧監視部21iから入力される制御信号に基づいて幹線切替信号を生成して幹線1Bに出力する。この幹線切替信号は、上述した待機信号とは異なる周波数の正弦波(連続波)あるいはバースト波(間欠波)である。
【0087】
次に、このように構成された本追加実施形態に係わる冗長化回線システムの動作について詳しく説明する。
【0088】
最初に、本冗長化回線システムでは、電源装置aから幹線切替装置20に供給される直流電力は一方の各幹線1Aを介して下流側の各分岐装置21を順次供給されると共に、電源装置bから幹線切替装置20に供給される直流電力は他方の各幹線1Bを介して下流側の各分岐装置21を順次供給される。すなわち、両方の幹線1A,1Bには電源電圧(直流電圧)が常時供給されている。
【0089】
そして、初期状態では両方の幹線1A,1Bが正常に機能するので、幹線切替装置20の接続制御部20hは、初期設定として例えば他方の幹線1Bに待機信号を供給するように待機信号接続スイッチ20gを制御する。この結果、幹線1Bのみに待機信号が流れるので、各分岐装置21では、一方の待機信号検出部21dは、待機信号を検出しないので幹線支線接続スイッチ21fを閉状態とし、一方、他方の待機信号検出部21eは、待機信号を検出するので幹線支線接続スイッチ21gを開状態とする。
【0090】
また、この初期状態では、両方の幹線1A,1Bに正常に電源電圧が供給されるので、各分岐装置21の電圧監視部21h,21iは、電源電圧の異常、つまり上流側に位置する各幹線1A,1Bの異常(断線や短絡等)を検出しない。したがって、一方の電圧監視部21hは、電源電圧の異常を検出せず、かつ、待機信号検出部21dから待機信号を検出しないことを示す待機検出信号が入力されるので、他方の幹線切替信号発生器21kに対して幹線切替信号の発生停止を指示する。この一方、他方の電圧監視部21iは、電源電圧の異常を検出せず、かつ、待機信号検出部21eから待機信号を検出したことを示す待機検出信号が入力されるので、他方の幹線切替信号発生器21jに対して幹線切替信号の発生を指示する。
【0091】
したがって、この初期状態では、一方の幹線1Aが各支線Cと接続される。つまり、各通信局STは、一方の幹線1Aを使用して通信を行うと共に、他方の各幹線1Bに待機信号が流れ、一方の各幹線1Aには幹線切替信号が流れることになる。
【0092】
このような状態において、使用されている一方の各幹線1Aの何れかが異常に至ると、各分岐装置21において、一方の幹線1Aに対応する一方の電圧監視部21hは、電源電圧の異常を検出する。例えば、ある幹線1Aが断線すると、当該断線した幹線1Aの下流側に位置する分岐装置21には電源電圧が供給されなくなるので、当該下流側に位置する分岐装置21の電圧監視部21hは、他方の幹線切替信号発生器21kに対して幹線切替信号の発生を指示する。
【0093】
この結果、幹線切替信号が断線した幹線1Aとは異なる他方の各幹線1Bに流れるので、幹線切替装置20の切替検出部20eは幹線切替検出信号を接続制御部20hに出力し、接続制御部20hは、他方の幹線1Bに代えて一方の幹線1Aに待機信号を供給するように待機信号接続スイッチ20gを制御する。この結果、他方の幹線1Bに待機信号が流れなくなるので、各分岐装置21の待機信号検出部21eは、待機信号を検出しなくなり、よって幹線支線接続スイッチ21gを閉状態に設定変更する。したがって、使用中の一方の幹線1Aが異常になると、当該一方の幹線1Aに代えて他方の幹線1Bが各支線Cと接続される。
【0094】
このような追加実施形態によれば、幹線切替装置20が何れか一方の幹線1Aに待機信号を供給することによって、各分岐装置21は、待機信号が供給されている幹線1Aとは異なる幹線1Bを選択して支線Cと接続する。そして、各分岐装置21は、使用中の幹線1Aの異常を検出すると、この異常発生を幹線切替信号を待機中の幹線1B(待機信号が供給されている幹線)に流すことによって幹線切替装置20に通知する。そして、この結果、幹線切替装置20は、待機中の幹線1Bへの待機信号の供給を停止するので、全ての分岐装置21は、待機信号が供給されなくなった幹線1Bを支線Cと接続する。
したがって、通信局STに依存することなく回線の信頼性を向上させることができると共に、既存のプラントに容易に適用することができる。
また、このような本冗長化回線システムをIEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)で規定されたフィールドバスに適用することにより、当該フィールドバスの信頼性を向上させることができる。
【0095】
なお、各分岐装置21の線切替信号発生器21j,21kが全く同一な周波数の幹線切替信号を生成するようにしても良いし、また分岐装置21毎に異なる周波数の幹線切替信号を生成するようにしても良い。分岐装置21毎に異なる周波数の幹線切替信号を生成する場合、当該幹線切替信号を検出する幹線切替装置20の切替検出部20d,20eは、周波数の違いから何れの分岐装置21が幹線切替信号を幹線1A,1Bに供給したか、つまり何れのれの幹線1A,1Bが異常となったかを判定することができる。
【0096】
また、分岐装置21毎に異なる周波数の幹線切替信号を生成する方法に代えて、断線した幹線1Aから最下流に位置する分岐装置21のみが幹線切替信号を幹線1Aとは異なる幹線1Bに出力するようにしても良い。例えば、図9には図示しなかったが、第2実施形態で説明したように、最下流に位置する分岐装置21は、幹線1A,1Bの特性インピーダンスに応じた抵抗値の抵抗器(終端器)が幹線1A,1Bに接続されるように内部設定されている。したがって、このように終端器が幹線1A,1Bに接続された分岐装置21、つまり最下流に位置する分岐装置21のみが幹線切替信号を幹線1Bに出力するようにしても良い。
【0097】
また、上述した説明では、幹線切替装置20と分岐装置21とを異なる装置として構成としたが、両者の機能を兼ね備えると共に機能選択が可能な装置(幹線切替・分岐装置)を幹線1A,1B上に複数設け、最上流側の幹線切替・分岐装置(電源装置a、bが接続されるもの)を幹線切替装置20として機能させ、それ以外の幹線切替・分岐装置を分岐装置21として機能させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる冗長化回線システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態における幹線切替装置2の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態における幹線切替装置4の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態における支線接続制御部4fの動作を示す真理値表である。
【図5】本発明の第2実施形態における幹線切替装置4の動作を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係わる冗長化回線システムの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の追加実施形態に係わる冗長化回線システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の追加実施形態における幹線切替装置20の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の追加実施形態における分岐装置21の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
ST…通信局、a,b…電源装置、1A,1B…幹線、2…幹線切替装置、2a…上流側幹線接続部、2b…下流側幹線接続部、2c…支線接続部、2d,2e…異常検出部、2f…支線接続制御部、2g,2h…幹線支線接続スイッチ、3,3E,3F,3G…支線、4…幹線切替装置、4a…上流側幹線接続部、4b…下流側幹線接続部、4c…支線接続部、4d,4e…異常検出部、4f…支線接続制御部、4g,4h…幹線支線接続スイッチ、4i,4j…電圧監視部、4m,4n…電源接続スイッチ、4p,4q…ダイオード、4r…DC-DCコンバータ、4s,4t…内部抵抗器、4u,4v…終端器、4w、4x…負荷接続スイッチ、4y…幹線状態出力スイッチ、4z1〜4zn…電流制限器、5…幹線切替装置、6…支線切替装置、6a…上流側支線接続部、6b…下流側支線接続部、6d,6e…異常検出部、6f…二重化支線接続制御部、6g,6h…支線接続スイッチ、20…幹線切替装置、20a…上流側接続部、20b…下流側幹線接続部、20c…外部接続部、20d,20e…切替検出部、20f…待機信号発生器、20g…待機信号接続スイッチ、20h…接続制御部、21…分岐装置、21a…上流側接続部、21b…下流側幹線接続部、21c…支線接続部、21d,21e…待機信号検出部、21f,21g…支線接続スイッチ、21h,21i…電圧監視部、21j,21k…幹線切替信号発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重化回線として形成された複数の幹線と、
少なくとも前記幹線の両端に設けられ、通信局との接続に使用する幹線を選定すると共に使用中の幹線の異常を検出し、当該異常を検出すると使用中の幹線を他の幹線に切り替える幹線切替装置と、
該幹線切替装置に前記通信局を接続する支線と
を具備することを特徴とする冗長化回線システム。
【請求項2】
前記支線は多重化回線として形成され、
使用に供する支線を選定すると共に使用中の支線の異常を検出し、当該異常を検出すると使用中の支線を他の支線に切り替える支線切替装置をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1記載の冗長化回線システム。
【請求項3】
前記幹線に接続され、前記通信局の動力としての直流電力を出力する電源装置をさらに備え、
前記幹線及び支線は、通信信号に加えて前記直流電力を前記通信局に伝送することを特徴とする請求項1または2記載の冗長化回線システム。
【請求項4】
前記幹線切替装置あるいは支線切替装置は、前記直流電力の直流電流あるいは/及び直流電圧を検出することにより前記使用中の幹線あるいは支線の異常を検出することを特徴とする請求項3記載の冗長化回線システム。
【請求項5】
前記幹線切替装置は、支線に出力される電源電流を所定値以下に制限する電流制限器を備えることを特徴とする請求項3または4記載の冗長化回線システム。
【請求項6】
前記幹線切替装置は、内部抵抗器を備え、多重化回線の両方の幹線の異常を検出すると前記内部抵抗器を使用中の幹線に接続することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の冗長化回線システム。
【請求項7】
前記幹線切替装置は、幹線から給電された直流電力の内部回路への給電/非給電を設定する電源接続スイッチを備え、使用中の幹線の異常を検出すると直流電力を非給電状態とすることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の冗長化回線システム。
【請求項8】
前記幹線切替装置は、通信信号の反射を抑制するための終端器を備え、多重化回線の両方の幹線の異常を検出すると前記内部抵抗器を使用中の幹線に接続することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の冗長化回線システム。
【請求項9】
前記幹線切替装置あるいは支線切替装置は、幹線あるいは支線の異常検出の結果に基づいて幹線あるいは支線の異常を外部に報知する異常報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の冗長化回線システム。
【請求項10】
電源装置と、
多重化回線として形成された複数の幹線と、
前記幹線の一端に設けられ、前記電源装置から出力される直流電力を幹線に供給すると共に使用中の幹線とは異なる幹線に待機信号を供給し、使用中の幹線とは異なる幹線から幹線切替信号が供給されると前記待機信号の供給を停止する幹線切替装置と、
該幹線切替装置を最上流として前記幹線の下流側に複数設けられ、使用中の幹線の異常を検出すると使用中の幹線とは異なる幹線を使用すると共に、使用中の幹線とは異なる幹線に前記幹線切替信号を供給する分岐装置と、
該分岐装置に通信局を接続する支線と
を具備することを特徴とする冗長化回線システム。
【請求項11】
前記幹線及び支線は、IEC61784-1 CP1/1 (Foundation Fieldbus H1)に規定された通信方式の通信信号を伝送することを特徴とする請求項1〜10いずれかに記載の冗長化回線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−118621(P2008−118621A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216086(P2007−216086)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】