説明

冷凍冷蔵庫

【課題】放熱器を流れる冷媒を効率よく熱交換することができ、かつ圧縮機を確実に冷却することのできる冷凍冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】冷蔵庫本体1の下部に、冷蔵庫本体1の一方の側板2aに外気取入口4が設けられ、他方の側板2bに排気口が設けられた機械室3を有し、この機械室3の外気取入口4側に冷却用ファン7を設けると共に、冷却用ファン7と外気取入口4とを結ぶ線の延長線上において冷却用ファン7の下流側に圧縮機8を設け、冷却用ファン7の上流側において冷却用ファン7の一部に対向して放熱器10を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍冷蔵庫に係り、より詳しくは、下部に設けた機械室の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫に、底部に圧縮機と冷却ファンが設置された機械室、及びこの機械室と連通すると共に冷却ファンにより冷却風が取り入れられる取入口を備えたダクトが設けられ、波状に折り曲げられ圧縮機によって冷却された冷媒が流れるパイプに、冷却ファンによって送風することにより放熱する細線が装着されたワイヤコンデンサの一部を積層して機械室内に設置し、大部分のワイヤコンデンサをダクトの上に平面状に設置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の冷蔵庫の冷凍サイクル等に用いられる凝縮器(放熱器)に、1本のパイプを蛇行曲成して片側に複数の放熱ワイヤを添着し、全体として平板状に形成した凝縮パイプをU字状に折り曲げ、さらにその長手方向の中間部から折り曲げてその両側部分が食い合い状態になるように組み合わせたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、冷蔵庫等の凝縮器に用いられる熱交換器(放熱器)に、蛇行状に屈曲した熱媒体流通用の一対のチューブと、各チューブに取付けた複数の伝熱用のワイヤとからなり、各チューブは蛇行部分をU字状に屈曲させて対向する一対の平面状部分を形成し、それぞれ一方の平面状部分を他方の平面状部分の間に介在させ、両チューブの端部をZ字状の接続管で溶接接合したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−207773号公報(第3,4頁、図1)
【特許文献2】実開昭57−190379号公報(第2,3頁、第1図−第5図)
【特許文献3】特開平11−270979号公報(第2頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の冷蔵庫は、ワイヤコンデンサの一部を冷却ファンの前に設置し、他の大部分をダクト上に設置しているため、ワイヤコンデンサ内を流れる冷媒の冷却効率が低い。
また、ダクトが冷蔵庫の前面側下部に設けられているため、機械室に設けた冷却ファンとの距離が遠く、機械室より温度の低いダクトから機械室に空気が流れ込んでも十分な放熱ができない。さらに、ダクトから冷却ファンに届くまでに空気の温度が高くなり、冷却ファンの本来の目的である圧縮機の冷却が不十分である。
【0007】
また、ワイヤコンデンサがダクトと直線上に配置されていないため、冷蔵庫の下面に設置されたワイヤコンデンサの付近に渦などが発生して空気の流れが悪くなり、十分な冷却ができない。
さらに、冷蔵庫の下部に平面状のワイヤコンデンサを設置するための広いスペースが必要であり、また、ワイヤコンデンサは冷蔵庫内の温度に比べて高温であるため一定以上の断熱厚さが必要となり、このため冷蔵庫が大型化するなど、多くの問題点があった。
【0008】
特許文献2の凝縮器は、片側のみに放熱ワイヤが添着されて蛇行曲成した平板状のパイプをU字状に折り曲げたのち、さらに長手方向の中間部から折り曲げて、両側部分が食い合い状態になるように構成されているので、風の通りが悪いばかりでなく、放熱不足のためパイプ内を流れる冷媒を確実に冷却することができない。
【0009】
特許文献3の熱交換器は、U字状に屈曲した一対のチューブの一方を他方のチューブの間に介在させたためコンパクトにはなるが、介在したチューブが風路の抵抗となって風の流れが悪い。
また、別々に製作した一対の熱交換器の端部を、Z字状の接続管により溶接接合しているため、溶接の工数が増加するばかりでなく、溶接不良により冷媒漏れを生じるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、放熱器を流れる冷媒を効率よく熱交換することができ、かつ圧縮機を確実に冷却することのできる冷凍冷蔵庫を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、冷蔵庫本体の下部に、該冷蔵庫本体の一方の側板に外気取入口が設けられ、他方の側板に排気口が設けられた機械室を有し、
該機械室の前記外気取入口側に冷却用ファンを設けると共に、該冷却用ファンと前記外気取入口とを結ぶ線の延長線上において前記冷却用ファンの下流側に圧縮機を設け、前記冷却用ファンの上流側において該冷却用ファンの一部に対向して放熱器を設置したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外気取入口、放熱器、冷却用ファン及び圧縮機を同一線上に配置したので、放熱器の熱交換効率を向上することができる。
また、放熱器を冷却用ファンの上流側においてその一部に対向して配置したので、圧縮機側に放熱器を通過した空気と、外気取入口から取り込まれた空気とが流入し、圧縮機を確実に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る冷凍冷蔵庫の機械室の背面側斜視図である。
【図2】図1の機械室の一部を省略した平面図である。
【図3】図2の右断面図である。
【図4】図1の放熱器の斜視図である。
【図5】図4の放熱器の製造手順の説明図である。
【図6】図4の放熱器の製造手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の一実施の形態に係る冷凍冷蔵庫の機械室の背面側斜視図、図2は図1の機械室の一部を省略した平面図、図3は図2の右断面図である。
冷蔵庫本体1の下部の背面側には機械室3が設けられており、機械室3は幅方向(図の左右方向)の中央部より一方の側(図の右側)に片寄って、大きな開口部6を有する仕切り板5が設けられており、この仕切り板5により右側にA室、左側にB室が形成されている。
【0015】
7は仕切り板5の開口部6に臨んでB室内に設置された冷却用ファンで、冷却用ファン7の下流側には圧縮機8が設置されている。なお、4は冷蔵庫本体1の一方の側(A室側)の側板2aに設けられた外気取入口であるダクトである。また、図示してないが、他方の側(B室側)の側板2bには排気口が設けられている。
10はA室内において、仕切り板5の前面側(上流側)に配設された放熱器で、冷蔵庫本体1に設けたホルダ9により、仕切り板5の開口部6の中心部より上方に設置されている。
【0016】
この放熱器10は図4に示すような構造のもので、冷媒が流れる1本のパイプ11を、図5(a)に示すように、ほぼU字状に交互に屈曲させて蛇行状態に形成し、図5(b),(c)に示すように、パイプ11の両側の上下方向にそれぞれ複数本の放熱ワイヤ12を接合する。
そして、図6(a),(b)に矢印で示すように、上下方向のほぼ中央部から逆U字状に折り曲げて形成したものである。
【0017】
上記のように構成した放熱器10は、蛇行状の屈曲部11aが交互に位置して重なることがなく、また、逆U字状に折り曲げた一方のパイプ11が他方のパイプ11内に介在することもない。さらに、放熱器10は1本のパイプ11で構成されているため、放熱器どうしを溶接により接合する必要もないので、工数が減るばかりでなく、溶接不良によって冷媒漏れを生ずることもない。
【0018】
このように構成された放熱器10は、前述のように、A室内においてホルダ9に保持されて仕切り板5の開口部6の中心部より上方、したがって、冷却用ファン7の中心部より上方に設置され、一方の端部13aは冷媒配管を介して圧縮機8に接続され、他方の端部13bは冷媒配管を介して蒸発器(図示せず)に接続される。
【0019】
上記のように冷却用ファン7や圧縮機8などが設置された機械室3は、ダクト4、放熱器10、冷却用ファン7及び圧縮機8が一直線上に配置され、かつ、放熱器10は、仕切り板5の開口部6の中心部より上方、したがって、冷却用ファン7の中心部より上方に位置している。
【0020】
上記のような機械室3を備えた冷凍冷蔵庫において、冷却用ファン7を駆動すると、外気がダクト4から機械室3のA室に吸い込まれ、冷却用ファン7の上流側の上方に設置された放熱器10を通過した一部の空気と、放熱器10を通過することなく冷却用ファン7に直線吸引された空気とがB室に流入し、圧縮機8を冷却して排気口から外部に排出される。このとき、ダクト4と冷却用ファン7とを結ぶ線上に放熱器10が配置されているので、渦等による空気のよどみがなく効率よく放熱器10が冷却される。
【0021】
また、ダクト4と放熱器10との距離が短かく、かつ両者は同一線上に位置しているので、外気の温度とほぼ等しい温度の空気が放熱器10に流入し、パイプ11内を流れる冷媒を効率よく冷却することができる。
【0022】
さらに、放熱器10は冷却用ファン7の中心部より上方に配置されているため、冷却用ファン7によってA室からB室へ流入する空気は、放熱器10との熱交換によって暖められた空気と、放熱器10を通過しない外気とほぼ等しい温度の空気とが圧縮機8に向って流れ、圧縮機8を効率よく冷却するので、圧縮機8を高能率に維持することができる。
【0023】
上記の説明では、放熱器10を冷却用ファン7の上流側において、冷却用ファン7の中心部より上方に設置した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、冷却用ファン7の中心部より下方、あるいは、冷却用ファン7の中心部より横方向(前方向又は後方向)等、冷却用ファン7の上流側において、冷却用ファン7の一部に対向して放熱器10を設置してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 冷蔵庫本体、2a,2b 側板、3 機械室、4 ダクト(外気取入口)、5 仕切り板、6 開口部、7 冷却用ファン、8 圧縮機、9 ホルダ、10 放熱器、11 パイプ、11a 屈曲部、12 放熱ワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体の下部に、該冷蔵庫本体の一方の側板に外気取入口が設けられ、他方の側板に排気口が設けられた機械室を有し、
該機械室の前記外気取入口側に冷却用ファンを設けると共に、該冷却用ファンと前記外気取入口とを結ぶ線の延長線上において前記冷却用ファンの下流側に圧縮機を設け、前記冷却用ファンの上流側において該冷却用ファンの一部に対向して放熱器を設置したことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
【請求項2】
前記放熱器を、前記冷却用ファンの上流側において、該冷却用ファンの中心部より上方に設置したことを特徴とする請求項1記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項3】
前記機械室の幅方向の中央部より前記外気取入口側に片寄って開口部を有する仕切り板を設け、該仕切り板の下流側に前記開口部に臨んで前記冷却用ファンを設置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項4】
前記放熱器を、冷媒が流れる1本のパイプをほぼU字状に交互に屈曲させて蛇行状に形成し、該蛇行状に形成されたパイプの両側の上下方向にそれぞれ複数の放熱ワイヤを接合し、前記蛇行したパイプの上下方向の中央部付近からほぼ逆U字状に折り曲げて形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷凍冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96667(P2013−96667A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241419(P2011−241419)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】