説明

冷凍味付け竹の子

【課題】冷凍味付け竹の子とその製造方法の提供。
【解決手段】竹の子を水中で100℃になるまでボイルした後、水温18℃で竹の子の品温が25℃以下になるまで流水冷却し、水切りを行った後、トレハロース8.5gから17.5g、ソルビトール11gから22.5gを500gから1000gの水に溶解させた調味液内に竹の子1000gを1時間浸漬し、かつおだし等を加えて調味液の沸騰後に7分間加熱し、醤油等調味料を加えて糖度が11から22となるように加熱し、味醂11gから22.1g、酒11gから22.1gを加えて2分間加熱し、2時間放置後に竹の子の中心温度が70℃になるまで1分以上再加熱して竹の子に味付けを行い、味付け後の竹の子を調味液内から取り出し、真空冷却後に−20℃以下において1時間以内でバラ凍結して冷凍味付け竹の子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹の子を味付け後の竹の子をバラ凍結して製造した冷凍味付け竹の子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バラ凍結して製造した冷凍味付け食品の一例として、特開平10−313807号公報には冷凍煮豆およびその製造方法の発明が開示されている。
【0003】
前記公報には、次のことが記載されている。「本発明の他の目的は、調味濃度が低く、過度の加熱を行わず、保存性を高める為の食品添加物(合成保存料、PH調整剤、酸味料等)の使用を除去ないし低減することにより、原料豆が本来有する味、新鮮な味を活かした煮豆、およびその製造方法を提供することにある。(中略)本発明においては、水炊きしたものではなく、ある程度の調理・加工(一次加工)した煮豆を冷凍することに特徴がある。本発明においては、このように原料豆の一次加工(多少の調理、加工)を行った後に冷凍するため、水炊き後単に冷凍した豆に生じるような、豆の「割れ」や「皮むけ」が効果的に防止される。加えて、本発明においては、完成品たる煮豆の最初の味付け(一次調味)は、原料豆の収穫時から、かなりの早い段階(例えば、収穫後未乾燥の状態)に行うことが可能となるため、「生き物」である原料豆が新鮮なうちに加工(一次加工)して、バラ凍結(IQF)することにより、原料豆の風味、新鮮味の保持が著しく容易となる。したがって、本発明によれば、豆の素材(原料豆)が本来有する味を保持し、且つ、新鮮な形で長期保存できる。(中略)更に、本発明によれば、原料豆を必要なときに(一次加工後)凍結保存し、必要なときに調理、加工(二次加工)できるため、煮豆生産業務の負荷を平準化したり、あるいは閑のあるときに生産するというようなコントロールを年間を通して行うことが可能となる。しかも、完成品の調味(二次加工)は、該完成品の「賞味期限」を考慮して適切な時期に行えばよいため、本来必要となる以上には保存用の食品添加物を加える必要がなくなり、この面からも、原料豆の風味、新鮮味の保持が容易となる(公報第2頁右欄3行乃至第3頁左欄26行を参照)。
【0004】
さらに、出願人が先に出願した後に特許された特許第3795908号には、調味液内に竹の子を浸漬して味付けを行い、味付け後の竹の子をバラ凍結して製造した冷凍味付け竹の子の発明が開示されている。前記特許の発明者は、前記冷凍味付け竹の子の製造工程において適用される調味料、調味液、糖度の数値、バラ凍結の温度および時間の数値に関して鋭意研究した結果、さらに、これらの数値を適宜に変更することにより冷凍味付け竹の子の発明をすることができることを見出した。
【特許文献1】特開平10−313807号公報
【特許文献2】特許第3795908号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の発明である冷凍煮豆の製造方法とは異なる特定の製造工程を経て完成され、かつ、前記の特許発明により適用される調味料、調味液、糖度の数値、バラ凍結の温度および時間の数値とは異なる数値により製造される冷凍味付け竹の子を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、竹の子を水煮し、水温18℃で一晩流水し、選別して水で2分間洗浄し、水中で100℃になるまでボイルした後、水温18℃で竹の子の品温が25℃以下になるまで流水冷却し、水切りを行った後、トレハロース8.5から17.5g、ソルビトール11gから22.5gを500gから1000gの水に溶解させた調味液内に竹の子1000gを1時間浸漬し、かつおだし12.2gから24.5g、砂糖34.2gから68.5gを加えて調味液の沸騰後に7分間加熱し、醤油55.1gから110g、食塩1gから1.9g、グルタミン酸ナトリュウム1.8gから3.7gを加えて糖度が11から22となるように加熱し、味醂11gから22.1g、酒11gから22.1gを加えて2分間加熱し、2時間放置後に竹の子の中心温度が70℃になるまで1分以上再加熱して竹の子に味付けを行い、味付け後の竹の子を調味液内から取り出し真空冷却後に−20℃以下において1時間以内でバラ凍結して冷凍味付け竹の子を製造したものである。
【0007】
本発明を実施する際に適用されるトレハロースおよびソレビトールは甘味料である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバラ凍結により製造した冷凍味付け竹の子は、バラ凍結の前に竹の子に調味液を染み込ませることにより、十分に味付けができ、また、冷凍味付け竹の子を袋詰等した後に冷凍保管すれば、冷凍味付け竹の子を食する場合は、一つの袋に多数の竹の子が入っていても、バラ凍結されているので、必要な分だけ取り出した竹の子だけを解凍することにより食べることができ、袋詰された残りの冷凍味付け竹の子は冷凍されたままであり、袋詰食品の無駄のない利用ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による冷凍味付け竹の子は、竹の子を水煮し、水温18℃で一晩流水し、選別して水で2分間洗浄し、水中で100℃になるまでボイルした後、水温18℃で竹の子の品温が25℃以下になるまで流水冷却し、水切りを行った後、トレハロース8.5から17.5g、ソルビトール11gから22.5gを500gから1000gの水に溶解させた調味液内に竹の子1000gを1時間浸漬し、かつおだし12.2gから24.5g、砂糖34.2gから68.5gを加えて調味液の沸騰後に7分間加熱し、醤油55.1gから110g、食塩1gから1.9g、グルタミン酸ナトリュウム1.8gから3.7gを加えて糖度が11から22となるように加熱し、味醂11gから22.1g、酒11gから22.1gを加えて2分間加熱し、2時間放置後に竹の子の中心温度が70℃になるまで1分以上再加熱して竹の子に味付けを行い、味付け後の竹の子を調味液内から取り出し真空冷却後に−20℃以下において1時間以内でバラ凍結して冷凍味付け竹の子を製造したものである。
【実施例1】
【0010】
冷凍味付け竹の子の製造工程を具体的に説明する。
【0011】
(1)原材料
乱切りし、水煮した竹の子を冷凍味付食品の原材料とした。
(2)水さらし
竹の子を水温18℃で一晩流水した。
(3)選別および洗浄
製造に適する竹の子と、製造に適さない竹の子との選別を行い、その後、水
で約2分間洗浄した。
(4)ボイル
洗浄後の竹の子を、100℃の沸騰水になるまで水中でボイルした。
(5)流水冷却
水温18℃で竹の子の品温が25℃以下になるまで流水冷却した。
(6)水切り
冷却後の竹の子の水切りを行った。
(7)浸漬
トレハロース8.5gから17.5g、ソルビトール11gから22.5g
を500gから1000gの水に溶解させた調味液内に、水切り後の竹の子
1000gを1時間浸漬した。
(8)かつおだし、砂糖の添加および加熱
かつおだし12.2gから24.5g、砂糖34.2gから68.5gを加
え、調味液の沸騰後に7分間加熱した。
(9)醤油、塩、グルタミン酸ナトリュウムの添加および加熱
醤油55.1gから110g、食塩1gから1.9g、グルタミン酸ナト
リュウム1.8gから3.7gを加えて屈折糖度計を使用して糖度が11か
ら22となるように調整して加熱した。
(10)味醂、酒の添加および加熱
味醂11gから22.1g、酒11gから22.1gを加えて2分間加熱
した。
(11)放置
加熱後の竹の子を2時間、放置した。
(12)再加熱
放置後の竹の子の中心温度が70℃となるように1分間以上再加熱して竹
の子の味付けを行った。
(13)真空冷却
味付けした竹の子を調味液内から取り出し、真空冷却設備内で真空冷却を
実施した。
(14)バラ凍結
真空冷却後の竹の子をトンネルフリーザー内で20℃以下において1時
間以内で凍結して、本発明の冷凍味付け竹の子を製造した。
(15)袋詰、個数のカウント、包装
バラ凍結後の竹の子を袋詰して、包装した。
(16)検査
バラ凍結した竹の子をすべて金属検査探知機に通し、金属検査を実施し
た。
(17)冷凍保管
バラ凍結した竹の子を冷凍保管庫で−18℃以下になるように保管した。
【0012】
上記の製造工程を、下記(表1)にまとめて示す。
【0013】
【表1】

【0014】
比較例として、実施例1の製造工程(1)乃至(6)は同一とし、製造工程(7)乃至(12)に替えて、竹の子を蒸煮釜に入れて味付けする味付煮の製造工程を採用してバラ凍結して製造した冷凍味付け竹の子は食感が極めて悪く、食品として提供できないものであった。
【0015】
なお、本発明において、各種の調味料の数値および調味液を構成する水、トレハロース、ソルビトール、糖度の数値は、実施例の値に限定されず、冷凍味付け竹の子の品質を変更しない範囲内において適宜に変更できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹の子を水煮し、水温18℃で一晩流水し、選別して水で2分間洗浄し、水中で100℃になるまでボイルした後、水温18℃で竹の子の品温が25℃以下になるまで流水冷却し、水切りを行った後、トレハロース8.5gから17.5g、ソルビトール11gから22.5gを500gから1000gの水に溶解させた調味液内に竹の子1000gを1時間浸漬し、かつおだし12.2gから24.5g、砂糖34.2gから68.5gを加えて調味液の沸騰後に7分間加熱し、醤油55.1gから110g、食塩1gから1.9g、グルタミン酸ナトリュウム1.8gから3.7gを加えて糖度が11から22となるように加熱し、味醂11gから22.1g、酒11gから22.1gを加えて2分間加熱し、2時間放置後に竹の子の中心温度が70℃になるまで1分以上再加熱して竹の子に味付けを行い、味付け後の竹の子を調味液内から取り出し真空冷却後に−20℃以下において1時間以内でバラ凍結して製造した冷凍味付け竹の子。

【公開番号】特開2008−154545(P2008−154545A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348996(P2006−348996)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(305040444)株式会社 ニッセン (8)
【出願人】(305040433)栗木食品株式会社 (8)
【Fターム(参考)】