説明

冷凍機冷却型処理装置

【課題】本発明は被冷却部が装着される被冷却部を支持する荷重支持体を有する冷凍機冷却型処理装置に関し、装置をコンパクト化することにより空間効率の向上及び通電効率の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】 超電導コイル18と、超電導コイル18を内包すると共にこれを外部に対して熱シールドする熱シールド板16と、熱シールド板16を内包すると共に内部が真空環境とされる真空容器11と、2段目冷却シリンダ13Bが冷却ステージ15に熱的に接続されるGM冷凍機12と、超電導コイル118と冷却ステージ15との間に配設された荷重支持体26と、少なくとも超電導コイル18と冷却ステージ15との間に配設される2段電流ライン22とを有する超電導マグネット装置10Aであって、荷重支持体26にか貫通孔28を形成し、この貫通孔28内に2段電流ライン22を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍機冷却型処理装置に係り、特に被冷却部を支持する荷重支持体を有する冷凍機冷却型処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷凍機を用いて被冷却部を冷却する冷凍機冷却型処理装置の一例として、超電導コイルを被冷却部とする超電導マグネット装置が知られている(特許文献1)。図8は、冷凍機冷却型処理装置の一例である超電導マグネット装置100を示している。
【0003】
同図に示す超電導マグネット装置100は、ギフォード・マクマホン式冷凍機(以下、GM冷凍機という)を用いた冷凍機冷却型超電導マグネット装置(以下、超電導マグネット装置という)である。この超電導磁石装置100は、大略すると真空容器111,GM冷凍機112,熱シールド部材116,及び超電導コイル118等を有している。
【0004】
真空容器111は、熱シールド部材116を内包している。また、真空容器111にはGM冷凍機112が配設されている。このGM冷凍機112は、1段目冷却シリンダ112Aが熱シールド部材116に熱的に接続されると共に、2段目冷却シリンダ112Bが伝熱部材113を介して冷却ステージ115に熱的に接続されている。
【0005】
被冷却部となる超電導コイル118は、冷却ステージ115の下部に配設される。この冷却ステージ115と超電導コイル118は、高熱伝導性を有するライン冷却用部材123により熱的に接続されている。よって、超電導コイル118は、ライン冷却用部材123、冷却ステージ115、及び伝熱部材113を介してGM冷凍機112の2段目冷却シリンダ112Bに接続され、これにより超電導コイル118は臨界温度以下に冷却され超電導状態を実現する。
【0006】
超電導コイル118に電流を供給する電流ラインは、常温ブスバー119、1段電流ライン120、超電導電流リード121、2段電流ライン122等により構成されている。常温ブスバー119は装置外部に配設された電源装置に接続されており、よって超電導コイル118は電流ラインを介して電源装置から電流供給が行われる。
【0007】
ところで、超電導コイル118が発生する磁界を印加しようとする対象物によっては、超電導コイル118を冷却ステージ115から離間させた方が、対象物に対して磁界を有効に印加できる場合がある。このような場合、超電導マグネット装置100のように超電導コイル118を冷却ステージ115から離間して配置することが行われる。
【0008】
また、超電導コイル118が起動した場合、冷却ステージ115との間に図9に矢印F1で示す電磁力が発生する。また、図9に示すように超電導コイル118の近傍に外部マグネット127を配設することがあり、この構成では超電導コイル118と外部マグネット127との相互間にも電磁力F2が作用することとなる。よって、超電導コイル118と冷却ステージ115との間には、超電導コイル118による電磁力F1と、電磁力F2の垂直成分が加わった大きな力(矢印F3で示す)が作用することとなる。
【0009】
このように、超電導コイル118には強い電磁力が作用するため、これを装置内で確実に支持する必要がある。このため、超電導マグネット装置100には、超電導コイル118を支持する荷重支持体125と荷重支持体126が設けられている。具体的には、冷却ステージ115と超電導コイル118との間には荷重支持体126が配設され、真空容器111と冷却ステージ115との間には荷重支持体125が配設されている。
【0010】
また、冷却ステージ115に対して超電導コイル118を離間した配置する必要がある場合、冷却ステージ115と超電導コイル118を電気的に接続する2段電流ライン122及び熱的に接続するライン冷却部材123も、冷却ステージ115から超電導コイル118に向け長く延出させる必要がある。従来では、この2段電流ライン122及びライン冷却用部材123は、荷重支持体126の外周位置にそれぞれ個別に配置した構成としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−167923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記構成とされた冷凍機冷却型処理装置は、電磁力F1,F2が大きい場合には、荷重支持体125,126を大型化したり、配設数を増大させたりする必要が生じる。しかしながら従来の冷凍機冷却型処理装置は、荷重支持体126の外周位置に2段電流ライン122及びライン冷却用部材123が個別に配置されていたため、内部の構成物品を効率よく配置することができず、超電導マグネット装置100が大型化してしまうという問題点があった。
【0013】
また、外部マグネット127等の他の機器の都合で、超電導コイル118を狭い空間内に配置する必要がある場合、従来のように荷重支持体126の外周に2段電流ライン122、ライン冷却用部材123等が配設された構成では超電導コイル118の近傍の構造が複雑で大型化してしまうため、当該空間内に超電導コイル118を配置できなくなるという問題点があった。
【0014】
更に、従来の超電導マグネット装置100では、1段電流ライン120及び超電導電流リード121は真空容器111からの輻射熱により温度上昇し、2段電流ライン122及びライン冷却用部材123は熱シールド板116からの輻射熱(図9に矢印Qで示す)によって温度上昇してしまい、超電導コイル118に対する冷却効率及び通電効率が低下してしまうという問題点があった。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、装置をコンパクト化することにより空間効率の向上及び通電効率の向上を図った冷凍機冷却型処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題は、第1の観点からは、
被冷却部と、
前記被冷却部を内包すると共に、前記被冷却部を外部に対して熱シールドする熱シールド部材と、
前記熱シールド部材を内包すると共に内部が真空環境とされる真空容器と、
一段目が前記熱シールド部材に熱的に接続されると共に二段目が冷却ステージに熱的に接続される冷凍機と、
前記被冷却部と前記伝熱部材との間に配設された第1の荷重支持体と、
前記被冷却部と前記冷却ステージとの間に配設される第1の配線部と、前記冷却ステージと前記熱シールド部材との間に配設される第2の配線部と、前記熱シールド部材と前記真空容器との間に配設される第3の配線部とを有する接続配線とを有し、
前記第1の荷重支持体に第1の貫通孔を形成し、前記第1の配線部を前記第1の貫通孔の内部に配設したことを特徴とする冷凍機冷却型処理装置により解決することができる。
【発明の効果】
【0017】
開示の冷凍機冷却型処理装置によれば、第1の配線部を第1の荷重支持体に形成された貫通孔の内部に配設したため、被冷却部の外部に第1の配線部を配設する領域を設定する必要がなくなる。このため、被冷却部の近傍におけるスペース効率を高めることができ、よって冷凍機冷却型処理装置の小形化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る冷凍機冷却型処理装置の断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る冷凍機冷却型処理装置の2段電流ライン及びライン冷却用部材の近傍を拡大して示す断面図である。
【図3】図3は、試験片を被冷却部とした冷凍機冷却型処理装置の2段電流ライン及びライン冷却用部材の近傍を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、段電流ライン及びライン冷却用部材が配設された荷重支持体を拡大して示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図5】図5は、良熱伝導性電流ラインが配設された荷重支持体を拡大して示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る冷凍機冷却型処理装置の要部断面図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態に係る冷凍機冷却型処理装置の要部断面図である。
【図8】図8は、従来の一例である冷凍機冷却型処理装置の断面図である。
【図9】図9は、従来の一例である冷凍機冷却型処理装置の2段電流ライン及びライン冷却用部材の近傍を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0020】
図1及び図2は、本発明の第1実施形態である冷凍機冷却型処理装置を示している。本実施形態では、冷凍機冷却型処理装置の一例として、超電導コイル18を被冷却部とする冷凍機冷却型超電導マグネット装置10A(以下、超電導マグネット装置という)を例に挙げて説明する。図1は超電導マグネット装置10Aの全体構成を示す断面図であり、図2は後述する2段電流ライン22及びライン冷却用部材23の近傍を拡大して示す断面図である。
【0021】
超電導マグネット装置10Aは、大略すると真空容器11,ギフォード・マクマホン式冷凍機12(以下、GM冷凍機という),冷却ステージ15、熱シールド部材16,超電導コイル18、荷重支持体25,26、及び電流ライン等により構成されている。この超電導マグネット装置10Aは、例えば試験物に対して磁界を印加するのに用いる試験用の超電導マグネット装置10Aである。
【0022】
真空容器11は、熱シールド部材16を内包している。この真空容器11の内部は真空環境とされており、外部からの熱の侵入を遮断することにより冷却効率を高める構成とされている。GM冷凍機12は、真空容器11に配設されている。本実施形態では、真空容器11にGM冷凍機12を1台配設した構成としているが、複数のGM冷凍機12を真空容器11に配置することも可能である。
【0023】
前記のように本実施例では、冷凍機12としてギフォード・マクマホン式冷凍機を用いている。このギフォード・マクマホン式冷凍機は、冷媒の使用量が少なく構成が簡単であるため、ランニングコストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。
【0024】
GM冷凍機12は、1段目及び2段目冷却シリンダ12A,12Bに内設されたディスプレーサをモータ12Cで往復動させることにより、コンプレッサ(図示せず)から供給された高圧冷媒を膨張させ、これにより発生する寒冷により熱シールド部材16及び超電導コイル18を冷却する。
【0025】
GM冷凍機12に設けられている1段目冷却シリンダ12Aは、熱シールド板16に熱的に接続されている。よって熱シールド部材16は、この1段目冷却シリンダ12Aにより冷却される。
【0026】
熱シールド部材16は銅,アルミニウム等の高熱伝導材料により形成され、その内部に超電導コイル18を内包している。この熱シールド板16はGM冷凍機12により冷却されることにより、真空容器11の輻射熱が超電導コイル18に侵入するのを防止する機能を奏する。
【0027】
一方、GM冷凍機12の2段目冷却シリンダ13Bは、伝熱部材13を介して冷却ステージ15に熱的に接続される。冷却ステージ15は、GM冷凍機12により例えば4K程度に冷却される。
【0028】
超電導コイル18は、ライン冷却用部材23(請求項に記載の冷却用接続部材に相当する)を介して冷却ステージ15に熱的に接続されている。このライン冷却用部材23は、銅,アルミニウム等の高熱伝導材料により形成されている。よって超電導コイル18は、ライン冷却用部材23、冷却ステージ15、及び伝熱部材13を介してGM冷凍機12に熱的に接続される。これにより、超電導コイル18はGM冷凍機12により臨界温度以下に冷却され、超電導コイル18は超電導状態を実現する。
【0029】
荷重支持体25は、真空容器11と冷却ステージ15との間に配設されている。また、荷重支持体26(請求項に記載の第1の荷重支持体に相当する)は、冷却ステージ15と超電導コイル18との間に配設される。この各荷重支持体25,26は、超電導コイル18が起動することにより発生する電磁力(荷重)を支持することにより、真空容器11、熱シールド板16、及びライン冷却用部材23等に変形が発生するのを防止する機能を奏する。
【0030】
尚、本実施形態では、冷凍機冷却型処理装置として被冷却部を超電導コイル18とした超電導マグネット装置10Aを例に挙げて説明しているが、冷却部を図3に示すような試験片30とすることも可能である。この場合、冷凍機冷却型処理装置は冷却部を試験片30とする冷凍機冷却型材料特性計測装置となる。
【0031】
このような冷凍機冷却型材料特性計測装置では、試験片30の特性を計測するために試験片30の外周位置に外部マグネット27を設け、この外部マグネット27により試験片30に対して交番的に変化する磁界を印加しながら材料特性計測を行う場合がある。このような計測を行う時、試験片30を支持する金属製の基台29や冷却ステージ15に渦電流が発生し、この渦電流により基台29及び冷却ステージ15と外部マグネット27との間に大きな電磁力が発生することがある。よって、冷凍機冷却型材料特性計測装置影響においても、この電磁力による悪影響を防止する面から荷重支持体25,26が配設される。
【0032】
再び図1に戻り、説明を続ける。超電導コイル18は、電流ライン(請求項に記載の接続配線に相当する)により超電導マグネット装置10Aの外部に設けられた電流供給装置に接続されている。この電流ラインは、超電導コイル18と冷却ステージ15との間に配設される2段電流ライン22(請求項に記載の第1の配線部に相当する)と、冷却ステージ15と熱シールド板16との間に配設される超電導電流リード21(請求項に記載の第2の配線部に相当する)と、熱シールド板16と真空容器11との間に配設される常温ブスバー19(請求項に記載の第3の配線部に相当する)等により構成されている。
【0033】
真空容器11から熱シールド板16の間に配設される常温ブスバー19は、電気伝導率の大きな材料である銅,アルミニウム等により構成されている。また、熱シールド板16から冷却ステージ15の間に配設される超電導電流リード21は、熱侵入を抑制すると共に大電流の通過が可能な超電導材料(Bi2223,Bi2212,Y123,MgB2等)により構成されている。尚、超電導コイル18の臨界温度条件によっては、超電導電流リード21に代えて電気伝導度の高い材料(銅,アルミニウム等)を用いることも可能である。
【0034】
更に、冷却ステージ15と超電導コイル18との間に配設される2段電流ライン22は、大電流を流すことが可能な超電導材料により構成されている。このため、2段電流ライン22には、ライン冷却用部材23が添設された構成とされている。しかしながら、この2段電流ライン22は、超電導コイル18の臨界条件によっては電気伝導率の大きな材料である銅,アルミニウム等を用いることも可能である。
【0035】
常温ブスバー19は1段電流ライン20を介して超電導電流リード21の上端部に接続され、超電導電流リード21の下端部は接続リード32を介して2段電流ライン22の上端部に接続され、そしてこの2段電流ライン22の下端部は超電導コイル18に接続される。よって、超電導コイル18は、常温ブスバー19、1段電流ライン20、超電導電流リード21、接続リード32、及び2段電流ライン22より構成される電流ラインにより装置外部の電流供給装置に接続される。
【0036】
ここで、冷却ステージ15から超電導コイル18の間に配設される2段電流ライン22の配設位置に注目する。本実施形態では、冷却ステージ15と超電導コイル18との間に配設された荷重支持体26内に貫通孔28(請求項に記載の第1の貫通孔に相当する)を形成し、2段電流ライン22をこの貫通孔28内に配設した構成としている。
【0037】
また前記のように、冷却ステージ15と超電導コイル18との間には、GM冷凍機12と超電導コイル18とを熱的に接続するライン冷却用部材23が配設されている。本実施形態では、このライン冷却用部材23も荷重支持体26に形成された貫通孔28内に配設した構成としている。
【0038】
特に本実施形態では、図4に示すように、2段電流ライン22とライン冷却用部材23とを一体化した構成としている。このように2段電流ライン22とライン冷却用部材23とを一体化することにより、2段電流ライン22及びライン冷却用部材23の全体形状のコンパクト化を図ることができる。これにより、貫通孔28の小径化を図ることができ、荷重支持体26の小形化を図ることができる。尚、2段電流ライン22とライン冷却用部材23とを一体化する場合、2段電流ライン22とライン冷却用部材23との境界部に絶縁膜を形成することが望ましい。
【0039】
また、荷重支持体26が導電性金属により構成されている場合には、2段電流ライン22と貫通孔28の内壁との間、及びライン冷却用部材23と貫通孔28の内壁で短絡が発生しないよう、貫通孔28の内壁、2段電流ライン22の表面、或いはライン冷却用部材23の表面に絶縁材をコーティングしておくことが望ましい。
【0040】
本実施形態のように、2段電流ライン22を荷重支持体26内に配設することにより、図2に拡大して示すように、荷重支持体26の外部に超電導マグネット装置10Aの構成物品を配置する必要がなくなり、荷重支持体26の外部構造を簡単化することができる。また本実施形態では、2段電流ライン22に加えてライン冷却用部材23も荷重支持体26内に配設しているため、更に荷重支持体26の外部の構造の簡単化が図られている。
【0041】
よって、従来のように2段電流ライン122及びライン冷却用部材123が荷重支持体26の外部に配設された構成における超電導コイル118近傍の全外径L2(図8参照)に比べ、本実施形態に係る超電導マグネット装置10Aにおける超電導コイル18近傍の全外径L1を小さくすることができた。具体的には、従来ではL2=157mmであったものが、本実施形態によればL1=119mmとすることができた。
【0042】
このように、本実施形態によれば荷重支持体26の外部に2段電流ラインやライン冷却用部材等の構成物品が配設されないため、超電導コイル18を冷却ステージ15から離間させた構成としても、超電導コイル18及び荷重支持体26を含めた構成の小形化を図ることができる。よって、超電導コイル18を狭い空間内に配置する必要がある場合も、当該狭空間内に超電導コイル118を確実に配置することが可能となる。
【0043】
更に、従来の超電導マグネット装置100では、熱シールド板116からの輻射熱Q(図9参照)によって2段電流ライン122及びライン冷却用部材123の温度が上昇し超電導コイル118に対する冷却効率や通電効率が悪化するおそれがあった。しかしながら、本実施形態に係る超電導マグネット装置10Aによれば、2段電流ライン22及びライン冷却用部材23は荷重支持体26に形成された貫通孔28内に配置されている。
【0044】
よって、荷重支持体26は熱シールド板16からの輻射熱Qを遮断するシールド材としても機能するため、熱シールド板16からの輻射熱Qが2段電流ライン22及びライン冷却用部材23に影響することを抑制できる。これにより、2段電流ライン22及びライン冷却用部材23の温度上昇は防止され、超電導コイル18に対する冷却効率及び通電効率の向上を図ることができる。
【0045】
尚、上記した実施形態では2段電流ライン22を超電導材料により構成し、ライン冷却用部材23を銅,アルミニウム等の高熱伝導性部材により構成した。即ち、上記した実施形態では、2段電流ライン22とライン冷却用部材23を別部材により構成した。しかしながら、2段電流ラインとライン冷却用部材は必ずしも別体とする必要はなく、高熱伝導性を有する超電導材、若しくは高熱伝導材料と電気的に接続した超電導材からなる良熱伝導性電流ライン40を用いることも可能である。
【0046】
この良熱伝導性電流ライン40を用いることにより、図5に示すように、荷重支持体26の貫通孔28内には2本の良熱伝導性電流ライン40を配設するのみの構成となる。これにより、貫通孔28の小径化を図ることができ、荷重支持体26の小形化を図ることが可能となる。
【0047】
続いて、図6及び図7を用いて本発明の第2及び第3実施形態について説明する。尚、図6及び図7において、第1実施形態の説明に用いた図1乃至図5に示した構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0048】
図6は、第2実施形態である冷凍機冷却型処理装置となる超電導マグネット装置10Bを示している。前記した第1実施形態に係る超電導マグネット装置10Aでは、冷却ステージ15と超電導コイル18との間に配設される荷重支持体26の内部に2段電流ライン22及びライン冷却用部材23を配設することにより、超電導コイル18及び荷重支持体26の近傍の構成の小形化を図った。
【0049】
これに対して本実施形態に係る超電導マグネット装置10Bは、第1実施形態における荷重支持体25を、真空容器11と熱シールド板16との間に配設される荷重支持体35Aと、熱シールド板16と冷却ステージ15との間に配設される荷重支持体37A(請求項に記載の第2の荷重支持体に相当する)とに分離した。そして、荷重支持体37Aに貫通孔36(請求項に記載の第2の貫通孔に相当する)を形成し、冷却ステージ15と熱シールド板16との間に配設される電流ラインである超電導電流リード21を、この貫通孔36内に配設したことを特徴とするものである。
【0050】
本実施形態のように、超電導電流リード21を荷重支持体37Aの内部に配設することにより、荷重支持体37Aの近傍における構成の簡単化を図ることができる。また、荷重支持体37Aがシールド材として機能するため、超電導電流リード21に輻射熱が侵入することを防止でき、超電導電流リード21における通電効率を高めることができる。
【0051】
図7は、第3実施形態である冷凍機冷却型処理装置となる超電導マグネット装置10Cを示している。本実施形態に係る超電導マグネット装置10Cも、真空容器11と熱シールド板16との間に荷重支持体35B(請求項に記載の第3の荷重支持体に相当する)を配設すると共に、熱シールド板16と冷却ステージ15との間に荷重支持体37Bを配設した構成としている。
【0052】
そして、荷重支持体35Bに貫通孔38(請求項に記載の第3の貫通孔に相当する)を形成し、真空容器11と熱シールド板16との間に配設される電流ラインである常温ブスバー19をこの貫通孔36内に配設したことを特徴とするものである。本実施形態のように、常温ブスバー19を荷重支持体35Bの内部に配設することにより、荷重支持体35Bの近傍における構成の簡単化を図ることができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0054】
例えば、上記した各実施形態では、試験用の超電導コイル18を有する超電導マグネット装置10A〜10Cに本願発明を適用した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、鉄心付き超電導磁石を被冷却部とする冷凍機冷却型処理装置、陽子線治療装置ガントリー用偏向電磁石を被冷却部とする冷凍機冷却型処理装置、陽子線治療装置サイクロトロン用電磁石を被冷却部とする冷凍機冷却型処理装置、及び単結晶引き上げ用超電導磁石を被冷却部とする冷凍機冷却型処理装置等に広く適用が可能なものである。
【符号の説明】
【0055】
10A〜10C 超電導マグネット装置
11 真空容器
12 GM冷凍機
12A 1段目冷却シリンダ
12B 2段目冷却シリンダ
13 伝熱部材
15 冷却ステージ
16 熱シールド部材
18 超電導コイル
19 常温ブスバー
20 1段電流ライン
21 超電導電流リード
22 2段電流ライン
23 ライン冷却用部材
25,26,35A,35B,37A,37B 荷重支持体
28,36,38 貫通孔
30 試験片
40 良熱伝導性電流ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却部と、
前記被冷却部を内包すると共に、前記被冷却部を外部に対して熱シールドする熱シールド部材と、
前記熱シールド部材を内包すると共に内部が真空環境とされる真空容器と、
一段目が前記熱シールド部材に熱的に接続されると共に二段目が冷却ステージに熱的に接続される冷凍機と、
前記被冷却部と前記冷却ステージとの間に配設され、前記被冷却部と前記冷却ステージとの間に発生する荷重を支持する第1の荷重支持体と、
前記被冷却部と前記冷却ステージとの間に配設される第1の配線部と、前記冷却ステージと前記熱シールド部材との間に配設される第2の配線部と、前記熱シールド部材と前記真空容器との間に配設される第3の配線部とを有する接続配線とを有し、
前記第1の荷重支持体に第1の貫通孔を形成し、前記第1の配線部を前記第1の貫通孔の内部に配設したことを特徴とする冷凍機冷却型処理装置。
【請求項2】
前記被冷却部と前記冷却ステージとの間に、前記被冷却部と前記冷却ステージとを熱的に接続する冷却用接続部材を設け、
前記冷却用接続部材を、前記第1の荷重支持体の貫通孔内に配設したことを特徴とする請求項1記載の冷凍機冷却型処理装置。
【請求項3】
前記第1の配線部と前記冷却用接続部材とを一体的な構成としたことを特徴とする請求項2記載の冷凍機冷却型処理装置。
【請求項4】
前記第1の配線部を高熱伝導性を有する超電導材、若しくは高熱伝導材料と電気的に接続した超電導材としたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍機冷却型処理装置。
【請求項5】
前記冷却ステージと前記熱シールド部材との間に第2の荷重支持体を配設し、
前記第2の荷重支持体に第2の貫通孔を形成し、前記第2の配線部を前記第2の貫通孔の内部に配設したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の冷凍機冷却型処理装置。
【請求項6】
前記第2の配線は、超電導電流リードである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の冷凍機冷却型処理装置。
【請求項7】
前記真空容器と前記熱シールド部材との間に第3の荷重支持体を配設し、
前記第3の荷重支持体に第3の貫通孔を形成し、前記第3の配線部を前記第3の貫通孔の内部に配設したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の冷凍機冷却型処理装置。
【請求項8】
前記被冷却部は、鉄心付き超電導磁石、陽子線治療装置ガントリー用偏向電磁石、陽子線治療装置サイクロトロン用電磁石、単結晶引き上げ用超電導磁石の群から選定される一の被冷却部である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の冷凍機冷却型処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−165887(P2011−165887A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26940(P2010−26940)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】