説明

冷凍装置のインバータ基板

【課題】安価かつ簡単な手法により、確実にモータへの電源供給を遮断すること。
【解決手段】インバータ部21aは、モータM21A〜M21Cを駆動する。電源スイッチ22は、リレーコイル22aとリレースイッチ22b,22cとを有し、モータM21A〜M21Cへの電力供給をオン/オフさせる。リレーコイル22aは、外部の状態変化スイッチS15〜S17とコネクタ24を介して電気的に直列に接続される。リレースイッチ22b,22cは、商用電源51とモータM21A〜M21Cとの間に配置されている。コイル電力スイッチ23aは、リレーコイル22aと直列に接続されており、該コイル22aへの電源供給をオン/オフする。状態変化スイッチS15〜S17がオフ状態を採るかまたはコイル電力スイッチ23aがオフである場合のリレーコイル22aの両端電圧に基づき、リレースイッチ22b,22cがオフとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置のインバータ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置などの冷凍装置には、圧縮機やファン等のさまざまな機器が備えられている。これらの各機器の駆動源としては、モータがよく用いられている。モータは、商用電源から供給される電力により駆動する。
【0003】
ところで、冷凍装置においては、上記機器の異常を含め冷凍装置において何らかの異常が生じた場合、冷凍装置の運転を停止する制御が行われており、冷凍装置に関する異常の有無を検知する構成が採用されている。この一例としては、例えば特許文献1(特開平11−83211号公報)に開示されているものがある。特許文献1に係る冷凍装置には、高圧側圧力の異常上昇による不具合の発生を防止するための高圧保護制御機構として、冷媒の圧力が所定値以上となると動作する高圧スイッチが設けられている。高圧スイッチが動作すると、商用電源とモータとの間の電源スイッチがオフとなり、モータへの電力供給が遮断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、高圧スイッチが動作することにより電源スイッチをオフにする機構として、フォトカプラ等の半導体素子の他、多数の素子が使用される。このため、特許文献1においては、当該機構を構成する素子が高価であり、更には素子数が必然的に多くなってしまう。従って、特許文献1においては、高圧スイッチが動作することにより電源スイッチをオフにする機構の構成自体が複雑化し、全体としてコストがかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明の課題は、安価かつ簡単な手法により、確実にモータへの電源供給を遮断できる冷凍装置のインバータ基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、インバータと、電源スイッチと、コイル電力スイッチとを備える。インバータは、冷凍装置に含まれる機器の駆動源であるモータを駆動する。電源スイッチは、リレーコイルとリレースイッチとを有し、モータへの電力供給をオン/オフさせる。リレーコイルは、外部の状態変化スイッチと電気的に直列に接続される。状態変化スイッチは、冷凍装置に関する異常がある場合にはオフ状態を採り、冷凍装置に関する異常がない場合にはオン状態を採る。リレースイッチは、商用電源とモータとの間に配置されている。コイル電力スイッチは、リレーコイルと直列に接続されており、リレーコイルへの電源供給をオン/オフする。そして、状態変化スイッチがオフ状態を採るかまたはコイル電力スイッチがオフである場合のリレーコイルの両端電圧に基づき、リレースイッチがオフとなる。
【0007】
ここで、冷凍装置に関する異常としては、冷凍装置に含まれる圧縮機の圧力異常や、冷凍装置の運転異常といった冷凍装置そのものの異常等が挙げられる。このインバータ基板によると、電源スイッチは、外部の接点である状態変化スイッチの採り得る状態、または該状態変化スイッチとは別のコイル電力スイッチの採り得る状態により、商用電源からモータへの電力供給を遮断する。なお、コイル電力スイッチは、例えば冷凍装置に関する異常がない場合において、サーモオフの指示に基づき電源スイッチをオフにすることができるスイッチであることができる。すると、状態変化スイッチは、冷凍装置に関する異常がある場合において電源スイッチをオン/オフさせる役割を担うものであり、コイル電力スイッチは、冷凍装置に関する異常がない場合(つまり、正常である場合)において電源スイッチをオン/オフさせる役割を担うものであるとも言うことができる。このため、本発明に係る電源スイッチのリレーコイルは、冷凍装置に関する異常がある場合、及び冷凍装置に関する異常がない場合のいずれにおいても、リレースイッチの状態を直接的に変化させるものとして共通して用いられる構成要素となっている。従って、インバータ基板は、簡単かつ安価な構成で、冷凍装置に関する異常がある場合及びない場合のいずれにおいても、モータに供給される電源を確実に遮断することができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、第1観点に係る冷凍装置のインバータ基板において、異常検知部と、電力印加制御部とを更に備える。異常検知部は、リレーコイルの両端電圧値を用いて、冷凍装置に関する異常の有無を検知する。電力印加制御部は、異常検知部による検知結果に基づいて、コイル電力スイッチのオン/オフを制御する。
【0009】
このインバータ基板によると、冷凍装置に関する異常がある場合、リレースイッチは、状態変化スイッチがオフ状態を採ることでオフとなる。更に、冷凍装置に関する異常がある場合には、例えばコイル電力スイッチもオフとなることができる。従って、冷凍装置に関する異常がある場合には、リレーコイルに直列接続された2つのスイッチがオフになることで、より確実に電源スイッチをオフにすることができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、第1観点または第2観点に係る冷凍装置のインバータ基板において、状態変化スイッチは、異常検知スイッチと共に電力制御基板に実装されている。異常検知スイッチは、冷凍装置に関する異常がある場合にはオフ状態を採り、冷凍装置に関する異常がない場合にはオン状態を採る。そして、状態変化スイッチは、異常検知スイッチの動作に連動してオン状態/オフ状態を採る。
【0011】
このインバータ基板には、電力制御基板が接続されている。電力制御基板における状態変化スイッチは、本発明に係るインバータ基板と電気的に接続されると共に、異常検知スイッチと連動してオン状態/オフ状態を採る。このため、電源スイッチは、電力制御基板側の異常検知スイッチの状態に連動して、オン/オフされるようになる。
【0012】
本発明の第4観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、第3観点に係る冷凍装置のインバータ基板において、電力制御基板には、遅延部が更に実装されている。遅延部は、異常検知スイッチがオン状態からオフ状態へと変化した後にリレースイッチがオンからオフへと変化するように、状態変化スイッチがオン状態からオフ状態へと変化するタイミングを遅延させる。
【0013】
このインバータ基板に接続されている電力制御基板側には、遅延部が設けられている。この遅延部により、異常検知スイッチがオン状態からオフ状態へと変化するのと同時に状態変化スイッチがオン状態からオフ状態へと変化するのではなく、異常検知スイッチがオン状態からオフ状態へと変化した後に、状態変化スイッチがオン状態からオフ状態へと変化するようになる。これにより、インバータ基板は、例えば異常検知信号を電源スイッチがオフしてしまう前に電力制御基板から取得することができ、インバータは、電源スイッチがオフしてしまう前に駆動電圧のモータへの出力を停止することができる。そのため、インバータを構成するトランジスタや電源スイッチのリレースイッチにおいて溶着が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0014】
本発明の第5観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、第3観点または第4観点に係る冷凍装置のインバータ基板において、異常検知スイッチには、約30Vよりも低い電圧が印加されている。
【0015】
このインバータ基板に接続されている電力制御基板側では、異常検知スイッチに約30Vよりも低い電圧が印加される、いわゆる弱電回路の構成が採られている。従って、特に上述した遅延部として、耐圧の比較的高くない弱電用のコンデンサを使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、簡単かつ安価な構成で、冷凍装置に関する異常がある場合及びない場合のいずれにおいても、モータに供給される電源を確実に遮断することができる。
【0017】
本発明の第2観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、冷凍装置に関する異常がある場合には、リレーコイルに直列接続された2つのスイッチがオフになることで、より確実に電源スイッチをオフにすることができる。
【0018】
本発明の第3観点に係る冷凍装置のインバータ基板によると、電源スイッチは、電力制御基板側の異常検知スイッチの状態に連動して、オン/オフされるようになる。
【0019】
本発明の第4観点に係る冷凍装置のインバータ基板は、例えば異常検知信号を電源スイッチがオフしてしまう前に電力制御基板から取得することができ、インバータは、電源スイッチがオフしてしまう前に駆動電圧のモータへの出力を停止することができる。そのため、インバータを構成するトランジスタや電源スイッチのリレースイッチにおいて溶着が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の第5観点に係る冷凍装置のインバータ基板によると、該インバータ基板に接続された電力制御基板における遅延部として、耐圧の比較的高くない弱電用のコンデンサを使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るモータ駆動システムの構成図。
【図2】本実施形態に係る電力制御基板に実装されている回路構成を概略的に示す図。
【図3】本実施形態に係るインバータ基板に実装されている回路構成を概略的に示す図。
【図4】インバータ部の回路構成を概略的に示す図。
【図5】電力制御基板及び各インバータ基板おける動作(特に、異常時)の流れを示すフロー図。
【図6】電力制御基板及び各インバータ基板における動作(特に、正常時)の流れを示すフロー図。
【図7】空気調和装置に関する異常が生じていない場合の、電力制御基板及び各インバータ基板上の各スイッチ及び回路の動作の一例を示すタイミングチャート。
【図8】3つのうち1つの圧縮機において異常が生じた場合の、電力制御基板及各インバータ基板上の各スイッチ及び回路の動作の一例を示すタイミングチャート。
【図9】変形例Bに係る電力制御基板に実装されている回路構成を概略的に示す図。
【図10】変形例Fに係るインバータ基板に実装されている回路構成を概略的に示す図。
【図11】変形例Fに係るインバータ基板に実装されている回路構成を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る冷凍装置のインバータ基板について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るインバータ基板P21A,P21B,P21Cを備えたモータ駆動システム101の構成図である。モータ駆動システム101は、複数のモータM21A,M21B,M21Cと、複数のインバータ基板P21A〜P21Cと、1つの電力制御基板P1とを備える。
【0024】
ここで、モータM21A〜M21Cについて説明する。モータM21A〜M21Cは、冷凍装置の一例である空気調和装置の室外機に備えられた圧縮機の駆動源であって、例えば3相のブラシレスDCモータであることができる。図示はしていないが、モータM21A〜M21Cは、複数の駆動コイルで構成されるステータと、永久磁石で構成されるロータと、ステータに対するロータの位置を検出するためのホール素子等を有している。
【0025】
特に、本実施形態に係るモータ駆動システム101では、複数台の室内機に対し1台の室外機が冷媒配管を介して接続されているタイプの空気調和装置において用いられている場合を例に取る。従って、1台の室外機には、複数の圧縮機が設けられており、モータ駆動システム101には、複数の圧縮機それぞれに対応して複数のモータM21A〜M21Cが備えられている。なお、本実施形態では、圧縮機の台数は3台であり、従ってモータM21A〜M21Cも3台である場合を例に取る。
【0026】
インバータ基板P21A〜P21Cは、各モータM21A〜M21Cそれぞれを駆動するための基板であって、モータM21A〜M21Cの数にあわせて該システム101内に3つ備えられている。各インバータ基板P21A〜P21Cは、対応するモータM21A〜M21Cそれぞれとハーネスを介して電気的に接続されている。電力制御基板P1は、商用電源から各インバータ基板P21A〜P21Cへの電力の供給及び遮断を制御する基板であって、各インバータ基板P21A〜P21Cとハーネスを介して電気的に接続されている。
【0027】
(2)詳細構成
以下では、各基板に実装されている回路構成について詳述する。
【0028】
(2−1)電力制御基板
図2は、電力制御基板P1に実装されている回路構成を概略的に示した図である。図2に示すように、電力制御基板P1は、主として、3つの第1インターフェース11a,11b,11c、3つの異常検知スイッチS11,S12,S13、漏洩電流検知回路14、1つの漏洩電流用スイッチS14、3つの状態変化スイッチS15,S16,S17、1つの遅延対策用コンデンサC11(遅延部に相当)、2つの逆流防止用ダイオードD11,D12、及び3つの第2インターフェース18a,18b,18cを備える。
【0029】
(2−1−1)第1インターフェース
第1インターフェース11a〜11cは、電力制御基板P1を各インバータ基板P21A〜P21Cと電気的に接続するためのものであって、1枚の電力制御基板P1上に3つ設けられている。つまりは、本実施形態のモータ駆動システム101では、インバータ基板P21A〜P21Cが3つ含まれているから、第1インターフェース11a〜11cも該インバータ基板P21A〜P21Cの数に対応して3つ設けられている。第1インターフェース11a〜11cは、それぞれ各インバータ基板P21A〜P21Cから延びる2本のハーネスの先端部分が接続されるコネクタで構成されており、後に述べる状態変化スイッチS15〜S17とも配線によって電気的に接続されている。
【0030】
(2−1−2)異常検知スイッチ
3つの異常検知スイッチS11〜S13は、約16Vの電源ラインL11上に設けられたソケットS11a,S12a,S13aを介して、直列に接続される。異常検知スイッチS11〜S13は、室外機の圧縮機の数に対応して3つ設けられており、対応する各圧縮機の異常を検知する。具体的に、対応する圧縮機によって圧縮された後の冷媒の圧力が、該圧縮機に関する何らかの原因によって正常な圧力範囲を外れてしまい、該圧力範囲の高圧側の所定値よりも高い高圧状態となってしまった場合、異常検知スイッチS11〜S13は動作して該スイッチ自身の状態が変化する。つまり、本実施形態に係る異常検知スイッチS11〜S13は、高圧圧力スイッチ(即ち、HPS:High Pressure Switch)である。
【0031】
ここで、本実施形態では、各異常検知スイッチS11〜S13としては、常閉接点が採用されている。つまり、各異常検知スイッチS11〜S13は、対応する圧縮機に異常がない場合には(即ち、正常の場合)、オン状態を採る。逆に、各異常検知スイッチS11〜S13は、対応する圧縮機に異常がある場合には、オフ状態を採る。特に、本実施形態における異常検知スイッチS11〜S13には、弱電の電圧として、約30Vよりも低い電圧(ここでは、約16V)が印加されている。
【0032】
従って、3つの圧縮機のうち、少なくとも1つの圧縮機において異常があれば、直列接続された異常検知スイッチS11〜S13の少なくとも1つがオフ状態となるため、図2の約16Vの電源ラインL11は遮断されることとなる。
【0033】
なお、電源ラインL11に印加される約16Vの電圧は、同じく電力制御基板P1上に実装されているスイッチング電源等(図示せず)によって生成される。
【0034】
(2−1−3)漏洩電流検知回路及び漏洩電流用スイッチ
漏洩電流検知回路14は、コンパレータ等で構成されている。漏洩電流検知回路14は、モータM21A〜M21Cまたは圧縮機からの様々な信号が入力され、これらの信号に基づきモータM21A〜M21Cまたは圧縮機における漏洩電流の値を検知する。漏洩電流検知回路14によって検知された漏洩電流の値は、漏洩電流用スイッチS14に出力される。
【0035】
漏洩電流用スイッチS14は、Pchのバイポーラトランジスタで構成されており、異常検知スイッチS11〜S13とGND側に位置する抵抗R13との間に直列に接続されている。具体的に、漏洩電流用スイッチS14のエミッタは異常検知スイッチS13に、ベースは漏洩電流検知回路14の出力に、コレクタは抵抗R11に接続されている。なお、以下では、説明の便宜上、漏洩電流用スイッチS14のコレクタと抵抗R11との接続部分を“接続ポイントsa”と言う。
【0036】
漏洩電流用スイッチS14は、漏洩電流検知回路14によってモータM21A〜M21Cまたは圧縮機における漏洩電流が検知されると、該電流の値に基づいてオンまたはオフをする。具体的に、漏洩電流が基準値よりも高い場合には、漏洩電流検知回路14からは漏洩電流用スイッチS14をオフにする約16Vの電圧(即ち、“H”)が出力されることで、漏洩電流用スイッチS14はオフとなる。逆に、漏洩電流が基準値よりも低い場合には、漏洩電流検知回路14からは漏洩電流用スイッチS14をオンにする約0Vの電圧(即ち、“L”)が出力されることで、漏洩電流用スイッチS14はオンとなる。
【0037】
従って、本実施形態に係る電力制御基板P1においては、異常検知スイッチS11〜S13による圧縮機の異常検知のみならず、漏洩電流の検知によっても、図2の約16Vの電源ラインL11が遮断されることとなる。特に、異常検知スイッチS11〜S13が故障しており異常検知ができない状態にあっても、漏洩電流の検知結果によって約16Vの電源ラインL11が遮断されるため、安全性が増していると言える。
【0038】
(2−1−4)状態変化スイッチ
状態変化スイッチS15〜S17は、第1インターフェース11a〜11cそれぞれを介して各インバータ基板P21A〜P21Cの電源スイッチ22(図3参照)と電気的に接続される。状態変化スイッチS15〜S17は、異常検知スイッチS11〜S13のオン/オフに応じてオン/オフすることで、各インバータ基板P21A〜P21Cの電源スイッチ22をオン状態またはオフ状態に変化させる。言い換えると、状態変化スイッチS15〜S17は、異常検知スイッチS11〜S13の動作に連動してオン状態またはオフ状態を採る。
【0039】
各状態変化スイッチS15〜S17は、1つのリレーコイルS15a,S16a,S17a及び1つのリレースイッチS15b,S16b,S17bで構成されている。各リレーコイルS15a〜S17aは、互いに並列に接続されている。そして、各リレーコイルS15a〜S17aは、一端が接続ポイントsaを介して異常検知スイッチS11〜S13に直列に接続されており、他端がGNDに接続されている。リレースイッチS15b〜S17bは、対応するリレーコイルS15a〜S17aの両端電圧に基づき、個々にオン状態/オフ状態を採ることができる。具体的には、各リレースイッチS15b〜S17bは、対応するリレーコイルS15a〜S17aの両端に電圧が印加されている場合にはオン状態、対応するリレーコイルS15a〜S17aの両端に電圧が印加されていない場合にはオフ状態を採る。
【0040】
このような状態変化スイッチS15〜S17によると、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14全てがオンしている場合、各リレーコイルS15a〜S17aの一端には電源ラインL11を介して約16Vの電圧が印加され、他端にはGNDが印加された状態となる。このため、各リレーコイルS15a〜S17aの両端には電圧が印加されている状態となり、各リレースイッチS15b〜S17bはオン状態を採る。この場合、電気的に接続された各インバータ基板P21A〜P21C側の電源スイッチ22もオン状態を採る。逆に、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14の少なくとも1つがオフしている場合、電源ラインL11は遮断される。そのため、各リレーコイルS15a〜S17aには約16Vの電圧が印加されず、各リレーコイルS15a〜S17aの両端には電圧が印加されていない状態となる。従って、リレースイッチS15b〜S17bはオフ状態を採る。この場合、電気的に接続された各インバータ基板P21A〜P21C側の電源スイッチ22も、オフ状態を採る。
【0041】
まとめると、本実施形態に係る状態変化スイッチS15〜S17は、電源ラインL11に接続されたスイッチS11〜S14全てがオンしている場合には、インバータ基板P21A〜P21C全ての電源スイッチ22をオン状態にする。逆に、電源ラインL11に接続されたスイッチS11〜S14の少なくとも1つがオン状態からオフ状態となった時、状態変化スイッチS15〜S17は、オフ状態へと変化した異常検知スイッチS11〜S13に対応するインバータ基板P21A〜P21Cのみならず、全てのインバータ基板P21A〜P21Cの電源スイッチ22をオフ状態にする。即ち、いずれか1つの圧縮機に異常がある場合には、異常である圧縮機のみを駆動停止させるのではなく、より確実な安全性を保つべく、3台の圧縮機全ての駆動が停止される。
【0042】
特に、本実施形態においては、状態変化スイッチS15〜S17は、1つではなく、インバータ基板P21A〜P21Cの数に対応して3つ設けられている。そして、各状態変化スイッチS15〜S17のオン/オフの状態、つまりは異常検知スイッチS11〜S13のオン/オフの状態は、各第1インターフェース11a〜11cを介してインバータ基板P21A〜P21Cへと送られる。この構成により、各インバータ基板P21A〜P21Cの対応電圧が異なっている場合においても対応することが可能となっている。
【0043】
(2−1−5)遅延対策用コンデンサ
遅延対策用コンデンサC11は、一端が接続ポイントsa側に接続され、他端がGND側に接続されている。遅延対策用コンデンサC11は、各リレーコイルS15a〜S17aに対し並列に接続されている。
【0044】
異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14全てがオンしている場合、遅延対策用コンデンサC11には、電源ラインL11を介して約16Vが印加される。そのため、遅延対策用コンデンサC11には、該コンデンサC11の容量と印加電圧(約16V)とに応じた電荷が溜まり、充電されることなる。
【0045】
その後、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14の少なくとも1つがオフとなると、各リレーコイルS15a〜S17aだけではなく遅延対策用コンデンサC11においても、電源ラインL11からの約16Vの電圧印加が遮断される。しかし、各リレーコイルS15a〜S17aの両端には、遅延対策用コンデンサC11に充電された電荷に伴う電圧が印加されるようになる。これにより、遅延対策用コンデンサC11は、溜まった電荷を放電し、各リレースイッチS15b〜S17bは、遅延対策用コンデンサC11から放電された電荷量が所定量以下となるまでオンし続ける。
【0046】
従って、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14の少なくとも1つがオン状態からオフ状態へと変化したことによって電源ラインL11が断たれたとしても、直ちにリレースイッチS15b〜S17b全てがオンからオフに変化することはなく、遅延対策用コンデンサC11に溜まった電荷によってリレースイッチS15b〜S17b全てがオン状態からオフ状態に変化するのが遅れる。そして、既に述べたように、状態変化スイッチS15〜S17と各インバータ基板P21A〜P21Cの電源スイッチ22とは連動しているため、遅延対策用コンデンサC11は、電源スイッチ22がオン状態からオフ状態になるタイミングを遅らす役割を担うのである。即ち、このような遅延対策用コンデンサC11は、異常検知スイッチS11〜S13がオン状態からオフ状態へと変化した後に、各インバータ基板P21A〜P21C側の電源スイッチ22がオン状態からオフ状態へと変化するように、状態変化スイッチS15〜S17がオン状態からオフ状態へと変化するタイミングを遅延させるためのものであると言える。
【0047】
ここで、全てがオンの状態であった異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14のうち少なくとも1つがオフとなってから、各インバータ基板P21A〜P21Cの電源スイッチ22がオンからオフへと変化するまでの遅延時間は、遅延対策用コンデンサC11の容量によって調整されることができる。実際に用いられる遅延対策用コンデンサC11の容量は、所望する遅延時間と電源ラインL11に印加される電圧(ここでは約16V)とに基づき、机上計算やシミュレーション、実験によって適宜決定される。例えば、遅延時間を約38msec以上(例えば、47msec等)としたい場合、遅延対策用コンデンサC11としては、容量が約330μF〜470μFの電解コンデンサを用いることができる。
【0048】
なお、本実施形態において、所望する遅延時間とは、異常検知スイッチS11〜S13が圧縮機の異常を検知または漏洩電流用スイッチS14が漏洩電流に伴いオフとなってから、各インバータ基板P21A〜P21Cのインバータ用MPU21(後述)が接続ポイントsaにおける電圧値に基づき各モータM21A〜M21Cへの駆動電圧SU,SV,SWの出力を停止するのに必要な時間であることができる。
【0049】
また、遅延対策用コンデンサC11として利用されるコンデンサの種類としては、電解コンデンサの他、タンタルコンデンサ、セラミックコンデンサ等が挙げられる。また、本実施形態に係る遅延対策用コンデンサC11は、最大でも約16Vの電圧が印加されることとなるため、比較的弱電仕様のコンデンサを利用することができ、コストダウンを図ることができる。
【0050】
(2−1−6)逆流防止用ダイオード
逆流防止用ダイオードD11は、異常検知スイッチS11〜S13と状態変化スイッチS15〜S17との間に接続されている。具体的には、逆流防止用ダイオードD11のアノード側は接続ポイントsaに接続されており、カソード側は遅延対策用コンデンサC11とリレーコイルS15a〜S17aとの接続ポイントsbに接続されている。即ち、逆流防止用ダイオードD11は、リレーコイルS15a〜S17aに直列に接続されている。
【0051】
逆流防止用ダイオードD12のアノード側は、GNDに接続され、カソード側は、接続ポイントsbに接続されている。つまり、逆流防止用ダイオードD12は、遅延対策用コンデンサC11及び各リレーコイルS15a〜S17aに並列に接続されている。
【0052】
このような逆流防止用ダイオードD11,D12は、所定電圧以上の電圧の印加時には、アノード側からカソード側への電流の流れを許容し、所定電圧以上の電圧が印加されなかった時には、アノード側からカソード側への電流の流れを遮断する。
【0053】
つまり、逆流防止用ダイオードD11は、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14全てがオンしている時には、アノード側には所定電圧(例えば約0.7V)以上である約16Vの電圧が印加されることとなるから、接続ポイントsaから状態変化スイッチS15〜S17側への電流の流れを許容することとなる。しかし、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14の少なくとも1つがオフしている時には、逆流防止用ダイオードD11のアノード側には抵抗R11を介してGNDの電圧“約0V”が印加され、カソード側は遅延対策用コンデンサC11のプラス側の電圧が印加されることとなる。従って、逆流防止用ダイオードD11のアノード側の電圧よりもカソード側の電圧が高くなり、接続ポイントsaから状態変化スイッチS15〜S17側へは電流が流れないようになる。
【0054】
また、逆流防止用ダイオードD12は、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14全てがオンしている時には、カソード側には約16Vの電圧が印加され、アノード側はGNDの電圧“約0V”が印加される。そのため、逆流防止用ダイオードD12のカソード側の電圧はアノード側の電圧より高くなり、該ダイオードD11はオフした状態となる。異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14の少なくとも1つがオフしている時には、逆流防止用ダイオードD12は、リレーコイルS15a〜S17aの両端電圧が所定電圧(例えば、約0.7V)以下であればオンしないが、リレーコイルS15a〜S17aの両端電圧が所定電圧以上となれば、オンして電流がアノード側からカソード側へと流れないようにする。
【0055】
特に、電源ラインL11上のスイッチS11〜S14の少なくとも1つがオン状態からオフ状態へと変化した際、各リレーコイルS15a〜S17aの両端電圧の状態は遅延対策用コンデンサC11の放電に応じて変化し、逆起電力が発生してしまう。しかし、この逆起電力による電流は、逆流防止用ダイオードD11によって接続ポイントsb側から接続ポイントsa側へは流れず、逆流防止用ダイオードD12によって該ダイオードD12を通じてGNDへは流れない。即ち、逆流防止用ダイオードD11,D12は、電源ラインL11上のスイッチS11〜S14(例えば、異常検知スイッチS11〜S13)がオン状態からオフ状態へと変化した時に、各リレーコイルS15a〜S17aに発生する逆起電力による電流の逆流を防ぐ役割を担う。
【0056】
(2−1−7)第2インターフェース
第2インターフェース18a〜18cは、第1インターフェース11a〜11cと同様、電力制御基板P1を各インバータ基板P21A〜P21Cと電気的に接続するためのものであって、1つの電力制御基板P1上に3つ設けられている。第2インターフェース18a〜18cは、第1インターフェース11a〜11c及びインバータ基板P21A〜P21C間のハーネスとは別途、各インバータ基板P21A〜P21Cから延びる1本のハーネスの先端部分と接続されるべく、コネクタで構成されている。第2インターフェース18a〜18cは、接続ポイントsaの電圧値を各インバータ基板P21A〜P21Cに送信するための、電力制御基板P1とインバータ基板P21A〜P21Cとのインターフェースである。
【0057】
なお、接続ポイントsaの電圧値は、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14のオン/オフの状態に基づく値となっている。具体的に、圧縮機における異常及び圧縮機やモータM21A〜M21Cにおける漏洩電流が発生していない場合には、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14全てがオンしているため、接続ポイントsaの電圧値は“約16V”となっている。圧縮機における異常及び圧縮機やモータM21A〜M21Cにおける漏洩電流の少なくとも1つが発生した場合には、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14の少なくとも1つがオフしているため、接続ポイントsaの電圧値は“約0V”となっている。このように、接続ポイントsaの電圧値は、各圧縮機における異常の発生の有無ならびに漏洩電流の発生の有無を含む、空気調和装置の異常の有無を示す異常信号であると言える。
【0058】
(2−2)インバータ基板
図3は、本実施形態に係るインバータ基板P21A〜P21Cに実装されている回路構成を概略的に示した図である。ここで、本実施形態においては、3つのインバータ基板P21A〜P21Cは、全て同じ回路構成を有している。そのため、図3では、各インバータ基板P21A〜P21Cの詳細な構成に対してはインバータ基板P21A〜P21C毎に異なる符号を付すのではなく、同じ符号を付している。
【0059】
図3に示すように、インバータ基板P21A〜P21Cは、主として、インバータ用MPU21と、電源スイッチ22と、スイッチ制御回路23と、異常検知回路25(異常検知部に相当)とを備える。
【0060】
(2−2−1)インバータ用MPU
インバータ用MPU21は、コネクタIF21A,IF21B,IF21C(図4参照)を介して対応するモータM21A〜M21Cに接続されている。インバータ用MPU21は、電源スイッチ22の一端、異常検知回路25の出力、及びスイッチ制御回路23の入力とも接続されている。インバータ用MPU21は、商用電源51からの電力を受けてモータの駆動制御等を行う半導体チップであり、主として、インバータ部21a及び電圧印加制御部21bとして機能する。
【0061】
インバータ部21aは、接続されたモータM21A〜M21Cに3相の駆動電圧SU〜SWを出力することで、モータM21A〜M21Cを駆動する。具体的に、インバータ部21aは、図4に示すように、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタQ31a,Q31b,Q32a,Q32b,Q33a,Q33b(以下、単にトランジスタという)及び複数の還流用ダイオードD31a,D31b,D32a,D32b,D33a,D33bで構成される出力回路31と、ゲート制御部34とを含む。トランジスタQ31aとQ31b、Q32aとQ32b、Q33aとQ33bは、それぞれ互いに直列に接続されており、各ダイオードD31a〜D33bは、各トランジスタQ31a〜Q33bに並列接続されている。ゲート制御部34は、各トランジスタQ31a〜Q33bのゲートに接続されており、各トランジスタQ31a〜Q33bへのゲート電圧の印加制御を行うことで、各トランジスタQ31a〜Q33bをオン及びオフさせる。このようなインバータ部21aは、各トランジスタQ31a〜Q33bが所定のタイミングでオン及びオフを行うことで、モータM21A〜M21Cを駆動するための駆動電圧SU〜SWを生成し、該電圧SU〜SWを対応するモータM21A〜M21Cに出力する。この駆動電圧SU〜SWにより、モータM21A〜M21Cは回転することができる。
【0062】
特に、このインバータ部21aは、電力制御基板P1の各第2インターフェース18a〜18cを介して送られてきた接続ポイントsaの電圧値に基づき、駆動電圧SU〜SWを出力したり出力を停止したりすることができる。具体的には、接続ポイントsaの電圧値が、各スイッチS11〜S14全てがオンしていることを示す約16Vである場合には、インバータ部21aは、電源スイッチ22を介して電力が供給されている限り、駆動電圧SU〜SWをモータM21A〜M21Cに出力する。逆に、接続ポイントsaの電圧値が約16Vより低い場合には、圧縮機の異常または漏洩電流が生じているために各スイッチS11〜S14の少なくとも1つがオフしていると判断し、インバータ部21aは、電源スイッチ22を介して電力が未だ供給された状態にあるとしても、駆動電圧SU〜SWの出力を停止する。なお、駆動電圧SU〜SWの出力が停止される際には、ゲート制御部34は、全てのトランジスタQ31a〜Q33bのゲートに対し“約0V”を出力することで、全てのトランジスタQ31a〜Q33bをオフにする。
【0063】
電圧印加制御部21bは、図3に示すように、スイッチ制御回路23上のコイル電力スイッチ23aのオン/オフを制御する。電圧印加制御部21bは、コイル電力スイッチ23aのオン/オフを、異常検知回路25による空気調和装置の異常検知の結果に基づき行う他、空気調和装置自体には異常が発生しておらず正常である場合においても、サーモオン/サーモオフに基づき行う。具体的に、電圧印加制御部21bは、空気調和装置における異常が発生している場合、及び空気調和装置が正常であってもサーモオフするべき場合には、コイル電力スイッチ23aをオフにする。逆に、電圧印加制御部21bは、空気調和装置が正常であってもサーモオンするべき場合には、コイル電力スイッチ23aをオンにする。なお、サーモオン及びサーモオフの指示は、インバータ用MPU21が、該MPU21とは別のマイクロコンピュータ(図示せず)から取得してもよいし、インバータ用MPU21自体が判断してもよい。以下では、インバータ用MPU21が別のマイクロコンピュータからサーモオン及びサーモオフの指示を取得する場合を例に取る。
【0064】
(2−2−2)電源スイッチ
電源スイッチ22は、モータM21A〜M21Cへの電力供給をオン/オフさせるためのものである。電源スイッチ22は、1つのリレーコイル22aと2つのリレースイッチ22b,22cとで構成されている。
【0065】
2つのリレースイッチ22b,22cは、共に商用電源51とモータM21A〜M21Cとの間の電源ラインL21上に設置されている。より具体的には、各リレースイッチ22b,22cの一端は、インバータ基板P21A〜P21C上に実装されている図示しないコネクタを介して商用電源51と接続され、他端は、インバータ用MPU21に接続されている。2つのリレースイッチ22b,22cは、互いに異なる状態を採るものではなく、同じ状態を採るものであって、リレーコイル22aの両端電圧が所定電圧値以上である場合には共にオン状態、リレーコイル22aの両端電圧が所定電圧値以下である場合には共にオフ状態を採る。即ち、リレースイッチ22b、22cは、リレーコイル22aの両端電圧の値に基づきオン/オフする。
【0066】
ここで、本実施形態においては、リレースイッチ22b,22cがオンする条件となる所定電圧が“約9V”である場合を例に取る。
【0067】
尚、リレーコイル22aについては、以下の「スイッチ制御回路23」にて説明する。
【0068】
(2−2−3)スイッチ制御回路
スイッチ制御回路23は、インバータ基板P21A〜P21Cに対しては外部の接点である電力制御基板P1側の状態変化スイッチS15〜S17と、コネクタ24を介して電気的に接続される。スイッチ制御回路23は、状態変化スイッチS15〜S17のオン状態またはオフ状態に基づいて、電源スイッチ22によるモータM21A〜M21Cへの電力供給のオン/オフ、つまりはリレースイッチ22b,22cのオン/オフを制御する。具体的に、スイッチ制御回路23は、状態変化スイッチS15〜S17がオン状態を採る場合には、リレースイッチ22b,22cをオンにする。逆に、スイッチ制御回路23は、状態変化スイッチS15〜S17がオフ状態を採る場合には、リレースイッチ22b,22cをオフにする。
【0069】
このようなスイッチ制御回路23は、主として、コイル電力スイッチ23a、リレーコイル22a、ダイオード23c及びコンデンサ23dで構成されている。
【0070】
コイル電力スイッチ23aは、Pchのバイポーラトランジスタで構成されている。コイル電力スイッチ23aは、エミッタには約15Vの電源、ベースにはインバータ用MPU21の電圧印加制御部21bの出力、コレクタには抵抗R23を介してリレーコイル22aの一端scが接続されている。コイル電力スイッチ23aは、ベースに電圧印加制御部21bから約0V(即ち、出力“L”)が印加されることでオンし、リレーコイル22aの一端scに約15Vの電圧を印加させる。逆に、コイル電力スイッチ23aは、ベースに電圧印加制御部21bから約15V(即ち、出力“H”)が印加されることでオフし、リレーコイル22aの一端scに約15Vの電圧が印加しないようにする。つまり、コイル電力スイッチ23aは、電圧印加制御部21bによってオン/オフが制御され、直列接続されたリレーコイル22aへの電源供給をオン/オフする。
【0071】
リレーコイル22aは、一端scが抵抗R23に直列接続され、他端sdが電力制御基板P1における状態変化スイッチS15〜S17用のコネクタ24の一端と電気的に接続されている。そして、リレーコイル22aの他端sdは、コネクタ24の他端を介してGNDに接続されている。即ち、リレーコイル22aは、電力制御基板P1における状態変化スイッチS15〜S17とコネクタ24を介して電気的に直列に接続される。
【0072】
このようなリレーコイル22aには、状態変化スイッチS15〜S17及びコイル電力スイッチ23aが共にオンである場合には、一端scには約15Vの電圧が印加され、他端sdには約0Vの電圧が印加されることとなる。この場合、リレーコイル22aの両端の電圧差は約15Vとなり、該電圧差は所定電圧である約9Vを越えている。そのため、リレースイッチ22b,22cは、共にオンする。逆に、状態変化スイッチS15〜S17及びコイル電力スイッチ23aの少なくとも1つがオフしている場合には、リレーコイル22aの端部sc,sdのいずれか1つには電圧(具体的には、約15V及び/または約0V)が印加されず、リレーコイル22aの両端の電圧差が約9Vを越えないこととなる。そのため、リレースイッチ22b,22cは、共にオフする。
【0073】
つまり、本実施形態では、圧縮機の異常や漏洩電流を含む空気調和装置の異常の発生に伴い状態変化スイッチS15〜S17がオフとなる機構、及び空気調和装置は正常であるがサーモオフによってコイル電力スイッチ23aがオフとなる機構、のいずれにおいても、リレースイッチ22b,22cをオフにするのに、1つのリレーコイル22aが共通して用いられている。
【0074】
ダイオード23c及びコンデンサ23dは、共にリレーコイル22aに対し並列に接続されている。特に、ダイオード23cのアノードは、GND側となるようにリレーコイル22aの端部sdに接続され、カソードは、約15Vの電源側となるようにリレーコイル22aの端部scに接続されている。ダイオード23cは、コイル電力スイッチ23a及び状態変化スイッチS15〜S17のいずれか1つがオンからオフへと変化した時にリレーコイル22aに逆起電力が発生し、該電力に伴う電流の逆流を防ぐために設けられている。コンデンサ23dは、コイル電力スイッチ23a及び/または状態変化スイッチS15〜S17がオンからオフへと変化した際に、リレーコイル22aによって電圧が瞬時に上昇しスイッチ制御回路23上をスパイク電流が流れることを防ぐ、いわゆるスナバ回路の役割を担っている。
【0075】
なお、スイッチ制御回路23に印加される約15Vの電圧は、同じくインバータ基板P21A〜P21Cそれぞれに実装されているスイッチング電源等(図示せず)によって生成される。
【0076】
(2−2−4)異常検知回路
異常検知回路25は、リレーコイル22aの両端電圧の値を用いて、圧縮機の異常や漏洩電流を含む空気調和装置の異常の有無を検知するためのものある。異常検知回路25は、主として、フォトカプラ25a及び2つの抵抗R25a,R25bで構成されている。
【0077】
フォトカプラ25aは、投光部である発光ダイオード25aaと、受光部であるNchのフォトトランジスタ25abとを有している。発光ダイオード25aaのアノードは、抵抗R23とコイル電力スイッチ23aのコレクタとの間に接続され、カソードは抵抗R25aを介してリレーコイル22aの端部sdと状態変化スイッチS15〜S17との間に接続されている。フォトトランジスタ25abは、コレクタが約5Vの電源に接続され、エミッタが抵抗R25bを介してGNDに接続され、ベースには発光ダイオード25aaの発光に伴う電圧が入力される。このフォトカプラ25aによると、コイル電力スイッチ23a及び状態変化スイッチS15〜S17の両方がオンしていることによって、リレーコイル22aの両端に電圧が印加されている場合には、発光ダイオード25aaはオン状態となって発光する。この場合、フォトトランジスタ25abは、発光ダイオード25aaの発光を受けてオン状態となり、インバータ用MPU21の電圧印加制御部21bには、空気調和装置の異常がないことを示す電圧値“約5V”が入力される。逆に、コイル電力スイッチ23a及び/または状態変化スイッチS15〜S17がオフしていることによって、リレーコイル22aの両端または一端に電圧が印加されていない場合には、発光ダイオード25aaはオフ状態となる。この場合、発光ダイオード25aaは発光しないため、フォトトランジスタ25abはオフ状態となり、インバータ用MPU21の電圧印加制御部21bには、空気調和装置に異常があることを示す電圧値“約0V”が入力される。
【0078】
なお、フォトトランジスタ25abに印加される約5Vの電圧は、同じくインバータ基板P21A〜P21Cそれぞれに実装されているスイッチング電源等(図示せず)によって生成される。
【0079】
(3)動作
次に、本実施形態に係る電力制御基板P1及びインバータ基板P21A〜P21Cにおける各スイッチの動作及びモータの動作について説明する。
【0080】
(3−1)動作の流れ
図5,6は、各基板P1,P21A〜P21Cにおける動作の流れを示すフロー図であり、それぞれ空気調和装置に異常がある場合、及び空気調和装置に異常がない場合を示している。ここで、まずは、3つの圧縮機全ては正常であり、漏洩電流は生じておらず、かつサーモオンの状態で空気調和装置が運転をしているとする。つまり、各基板P1,P21A〜P21C上のスイッチS11〜S17,22,23a全てはオンしており、モータM21A〜M21Cは、駆動電圧SU〜SWに基づき駆動しているとする。
【0081】
ステップsp1〜sp5:電力制御基板P1に係る各異常検知スイッチS11〜S13に対応する3つの圧縮機の少なくとも1つにおいて異常が生じ、該スイッチS11〜S13がオンからオフへと変化した場合(ステップsp1〜sp3のYes)、接続ポイントsaの電圧値は、約16Vから約0Vへと変化する。または、電力制御基板P1に係る漏洩電流検知回路14によって漏洩電流が検知され、漏洩電流用スイッチS14がオンからオフへと変化した場合も(ステップsp4のYes)、接続ポイントsaの電圧値は、約16Vから約0Vへと変化する。これにより、逆流防止用ダイオードD11よりも異常検知スイッチS11〜S13側の回路は、状態変化スイッチS15〜S17側の回路から切断された状態となる。電力制御基板P1に係る各リレーコイルS15a〜S17aには、それまでに充電されていた遅延対策用コンデンサC11の電荷量に伴う電圧が印加され、遅延対策用コンデンサC11は放電を開始する(ステップsp5)。
【0082】
ステップsp6:一方、各インバータ基板P21A〜P21Cに係るインバータ用MPU21のインバータ部21aは、電力制御基板P1から送られてきた該基板P1上の接続ポイントsaの電圧値が約16Vから約0Vへと変化したことを受けて、モータM21A〜M21Cへの駆動電圧SU〜SWの出力を停止する。
【0083】
ステップsp7〜sp8:電力制御基板P1に係る各リレーコイルS15a〜S17aの両端電圧値は、少なくとも1つのスイッチS11〜S14がオンからオフへと変化した直後は、約16Vであるが、遅延対策用コンデンサC11の放電に伴い除々に下がっていく。遅延対策用コンデンサC11の放電が進み、全ての状態変化スイッチS15〜S17のリレーコイルS15a〜S17aの両端電圧が約9V以下となると(ステップsp7のYes)、全ての状態変化スイッチS15〜S17のリレースイッチS15b〜S17bは、オンからオフへと変化する(ステップsp8)。
【0084】
ステップsp9:全てのインバータ基板P21A〜P21C側においては、電力制御基板P1側の状態変化スイッチS15〜S17がオンからオフへと変化するのに伴い、スイッチ制御回路23におけるリレーコイル22aのGND側の端部sdが切断されることとなり、該端部sdは“Hiz”の状態となる。これにより、電源スイッチ22のリレースイッチ22b,22cはオンからオフへと変化する。また、異常検知回路25のフォトカプラ25aもオフとなり、インバータ用MPU21へは、空気調和装置に異常があることを示す電圧値“約0V”が異常検知回路25から入力される。このため、インバータ用MPU21の電圧印加制御部21bは、コイル電力スイッチ23aのゲートに“約5V”の電圧を印加し、該スイッチ23aはオンからオフへと変化する。これらの動作により、スイッチ制御回路23においては、リレーコイル22aの両端(具体的には、各端部sc,sd側)が、共に約15Vの電源ライン側及びGND側から切断された状態となる。
【0085】
ステップsp10〜sp13:また、ステップsp1〜sp4において、電力制御基板P1側の異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14全てがオンのままである場合には(ステップsp4のNo)、電力制御基板P1側の状態変化スイッチS15〜S17は、全てオンのままとなる。この場合、各基板P1,P21A〜P21Cは、空気調和装置が正常であるとして、以下の動作を行う。即ち、各インバータ用MPU21がサーモオフの指示を外部から取得した場合には(ステップsp10のYes)、該MPU21の電圧印加制御部21bは、コイル電力スイッチ23aのゲートに約5Vの電圧を印加し、該スイッチ23aはオンからオフへと変化する(ステップsp11)。これにより、スイッチ制御回路23におけるリレーコイル22aの端部scは切断され、該端部scは電圧が印加されていない“Hiz”の状態となる。従って、電源スイッチ22のリレースイッチ22b,22cはオンからオフへと変化し(ステップsp12)、インバータ用MPU21のインバータ部21aは、モータM21A〜M21Cへの駆動電圧SU〜SWの出力を停止する(ステップsp13)。
【0086】
ステップsp14〜sp17:ステップsp13の後、各インバータ用MPU21がサーモオンの指示を外部から取得した場合には(ステップsp14のYes)、該MPU21の電圧印加制御部21bは、コイル電力スイッチ23aのゲートに約0Vの電圧を印加し、該スイッチ23aはオフからオンへと変化する(ステップsp15)。これにより、スイッチ制御回路23におけるリレーコイル22aの端部scは約15Vの電源ラインと接続されることとなり、リレーコイル22aの両端には約15Vの電圧差が生じる。従って、電源スイッチ22のリレースイッチ22b,22cはオフからオンへと変化し(ステップsp16)、インバータ用MPU21のインバータ部21aは、モータM21A〜M21Cへの駆動電圧SU〜SWを出力し出す(ステップsp17)。
【0087】
(3−2)具体例
(3−2−1)正常時の一例
図7は、空気調和装置に異常が生じていない場合(つまり、正常時)の、各基板P1,P21A〜P21C上の各スイッチ及び回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0088】
空気調和装置が正常である場合には、異常検知スイッチS11〜S13及び漏洩電流用スイッチS14は全てオンのままであるため、状態変化スイッチS15〜S17も全てオン状態を保つ。つまり、電力制御基板P1側では、サーモオン/サーモオフの指示をインバータ基板P21A〜P21Cが外部から取得したとしても、各スイッチS11〜S17の状態変化は起こらない。
【0089】
しかし、図7に示すように、例えばインバータ基板P21Aがサーモオフの指示を該基板P21Aの外部から受けた場合には、該基板P21Aにおけるコイル電力スイッチ23aはオフとなり、これに連動して該基板P21Aにおける電源スイッチ22(具体的には、リレースイッチ22b,22c)がオフとなる。これより、サーモオフの指示を受けたインバータ基板P21Aにおいては、該基板P21Aに対応するモータM21Aへの駆動電圧SU〜SWの出力が停止され、モータM21Aの駆動が停止する。なお、インバータ基板P21Aにおけるコイル電力スイッチ23aがオフとなることで、該基板P21Aの異常検知回路25の出力もオフを表す“約0V”となる。一方で、サーモオフの指示を受けていない他のインバータ基板P21B,P21Cでは、各スイッチ23a,22の状態変化は起こらない。従って、他のインバータ基板P21B,P21Cは、インバータ基板P21Aに関係なく、モータM21B,M21Cに駆動電圧SU〜SWを出力し続ける。
【0090】
また、上記インバータ基板P21Aがサーモオンの指示を外部から受けた場合には、該基板P21Aにおけるコイル電力スイッチ23aはオンし、該基板P21A側の電源スイッチ22がオンとなる。これより、サーモオンの指示を受けたインバータ基板P21Aは、モータM21Aに駆動電圧SU〜SWを出力するので、モータM21Aが駆動する。
【0091】
(3−2−2)異常時の一例
図8は、3つのうち1つの圧縮機において異常が生じた場合の、各基板P1,P21A〜P21C上の各スイッチ及び回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0092】
3つの圧縮機のうち、インバータ基板P21Aに対応する圧縮機において異常が発生すると、異常検知スイッチS11はオンからオフへと変化する。なお、他の異常検知スイッチS12,S13及び漏洩電流用スイッチS14は、オンのままである。この瞬間、接続ポイントsaの電圧値は約16Vから約0Vに下がるため、全てのインバータ基板P21A〜P21C側では、各モータM21A〜M21Cへの駆動電圧SU〜SWの出力が停止される。また、異常検知スイッチS11がオンからオフへと変化した瞬間から、電力制御基板P1の状態変化スイッチS15〜S17に係る各リレーコイルS15a〜S17aには、電源ラインL11からの約16Vの電圧に代えて遅延対策用コンデンサC11の電荷量に伴う電圧が印加され、該コンデンサC11は放電を行う。やがて遅延対策用コンデンサC11及びリレーコイルS15a〜S17a全ての両端電圧が約9V以下となると、全ての状態変化スイッチS15〜S17におけるリレースイッチS15b〜S17bがオンからオフへと変化する。当該リレースイッチS15b〜S17bの状態変化によって、全てのインバータ基板P21A〜P21C側では、電源スイッチ22のリレースイッチ22b,22cがオンからオフ、異常検知回路25の出力が“約5V”から“約0V”、コイル電力スイッチ23aがオンからオフへと変化している。
【0093】
このような動作によって、図8に示すように、異常検知スイッチS11がオンからオフに変化してから、状態変化スイッチS15〜S17全てがオンからオフに変化するまでの間、遅延対策用コンデンサC11による遅延時間が生じている。
【0094】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係るインバータ基板P21A〜P21Cによると、電源スイッチ22は、該基板P21A〜P21Cに対しては外部の接点となる状態変化スイッチS15〜S17の採り得る状態、または該スイッチS15〜S17とは別のコイル電力スイッチ23aの採り得る状態により、商用電源51からモータM21A〜M21Cへの電力供給を遮断する。なお、コイル電力スイッチ23aは、上述したように、例えば空気調和装置に関する異常がない場合において、サーモオフの指示に基づき電源スイッチ22をオフにすることができるスイッチである。すると、外部の接点である状態変化スイッチS15〜S17は、空気調和装置に関する異常がある場合において電源スイッチ22をオン/オフさせる役割を担うものであり、コイル電力スイッチ23aは、空気調和装置に関する異常がない場合(つまり、正常である場合)において電源スイッチ22をオン/オフさせる役割を担うものであるとも言うことができる。このため、電源スイッチ22のリレーコイル22aは、空気調和装置に関する異常がある場合、及び空気調和装置に関する異常がない場合のいずれにおいても、リレースイッチ22b,22cの状態を直接的に変化させるものとして共通して用いられる構成要素となっている。従って、インバータ基板P21A〜P21Cは、簡単かつ安価な構成で、空気調和装置に関する異常がある場合及びない場合のいずれにおいても、モータM21A〜M21Cに供給される電源を確実に遮断することができる。
【0095】
(4−2)
また、本実施形態に係るインバータ基板P21A〜P21Cによると、空気調和装置に関する異常がある場合、リレースイッチ22b,22cは、状態変化スイッチS15〜S17がオフ状態を採ることでオフとなる。更に、空気調和装置に関する異常がある場合には、例えばコイル電力スイッチ23aもオフとなることができる。従って、空気調和装置に関する異常がある場合には、リレーコイル22aの各端部に直列接続された2つのスイッチ23a,S15〜S17全てがオフになることで、より確実に電源スイッチ22をオフにすることができる。
【0096】
(4−3)
また、本実施形態に係るインバータ基板P21A〜P21Cには、電力制御基板P1が接続されている。特に、電力制御基板P1における状態変化スイッチS15〜S17は、インバータ基板P21A〜P21Cと電気的に接続されると共に、異常検知スイッチS11〜S13と連動してオン状態/オフ状態を採る。このため、電源スイッチ22は、電力制御基板P1側の異常検知スイッチS11〜S13の状態に連動して、オン/オフされるようになる。
【0097】
(4−4)
また、本実施形態に係るインバータ基板P21A〜P21Cに接続されている電力制御基板P1側においては、遅延対策用コンデンサC11が設けられている。この遅延対策用コンデンサC11により、異常検知スイッチS11〜S13の少なくとも1つがオン状態からオフ状態へと変化するのと同時に状態変化スイッチS15〜S17全てがオン状態からオフ状態へと変化するのではなく、異常検知スイッチS11〜S13の少なくとも1つがオン状態からオフ状態へと変化した後に、状態変化スイッチS15〜S17全てがオン状態からオフ状態へと変化するようになる。これにより、インバータ基板P21A〜P21Cは、接続ポイントsaの電圧値を電源スイッチ22がオフしてしまう前に電力制御基板P1から取得することができ、インバータ部21aは、電源スイッチ22がオフしてしまう前に駆動電圧SU〜SWのモータM21A〜M21Cへの出力を停止することができる。そのため、インバータ部21aのトランジスタQ31a〜Q33bや電源スイッチ22のリレースイッチ22b,22cにおいて溶着が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0098】
(4−5)
また、本実施形態に係るインバータ基板P21A〜P21Cに接続されている電力制御基板P1側では、異常検知スイッチS11〜S13に約30Vよりも低い電圧として、約16Vの電圧が印加される、いわゆる弱電回路の構成が採られている。従って、特に上述した遅延対策用コンデンサC11として、耐圧の比較的高くない弱電用のコンデンサを使用することが可能となる。
【0099】
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0100】
(5−1)変形例A
上記実施形態では、圧縮機の台数が3台である場合について説明した。しかし、圧縮機の台数はこれに限定されず、何台であってもよい。
【0101】
また、本実施形態では、圧縮機の台数が3台であるため、異常検知スイッチS11〜S13、状態変化スイッチS15〜S17、及びインバータ基板P21A〜P21Cがそれぞれ3つずつ設けられている場合について説明した。しかし、異常検知スイッチ及びインバータ基板は、それぞれ3つに限定されるものではなく、複数であればよい。なお、状態変化スイッチの数は、3つに限定されるものではなく、複数であっても1つであってもよい。
【0102】
また、第2インターフェース18a〜18cの数も、3つに限定されず、1または複数であることができる。
【0103】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、電力制御基板P1の遅延対策用コンデンサC11が、3つの状態変化スイッチS15〜S17に対し1つ設けられている場合について説明した。しかし、遅延対策用コンデンサは、3つの状態変化スイッチS15〜S17それぞれに対応するようにして3つ設けられていても良い。この場合の電力制御基板P1の回路構成の一例を、図9に示す。
【0104】
図9では、遅延対策用コンデンサC111,C112,C113が各リレーコイルS15a,S16a,S17aに並列に接続されている。なお、図9では、遅延対策用コンデンサC111〜C113の他に、漏洩電流用スイッチS141,S142,S143,抵抗R111,R112,R113,逆流防止用ダイオードD111,D112,D113,D121,D122,D123も、各リレーコイルS15a,S16a,S17aに対応するようにして3つずつ設けられている。1つの漏洩電流検知回路14の出力は、各漏洩電流用スイッチS141〜S143のゲートに接続されており、各漏洩電流用スイッチS141〜S143のエミッタは、図2の漏洩電流用スイッチS14と同様、まとめて異常検知スイッチS13の一端に接続されている。各漏洩電流用スイッチS141〜S143のコレクタは、各抵抗R111〜S113を介してGNDに接続されている。また、各漏洩電流用スイッチS141〜S143の接続ポイントsaより後段の回路構成については、図2の漏洩電流用スイッチS14の接続ポイントsaより後段の回路構成と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
図9のような回路構成は、例えばインバータ基板P21A〜P21C毎に電源スイッチ22を切断する際の遅延時間を異ならせたい場合に好適である。なぜならば、各遅延対策用コンデンサC111〜C113の容量をインバータ基板P21A〜P21C毎に異なる値にすることができるためである。
【0106】
また、上記実施形態では、遅延部がコンデンサC11によって構成されている場合について説明した。しかし、遅延部は、異常検知スイッチS11〜S13の少なくとも1つがオンからオフへと変化した後に各インバータ基板P21A〜P21Cの電源スイッチ22をオン状態からオフ状態へと変化させることができればよく、コンデンサ以外の構成であってもよい。
【0107】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、異常検知スイッチS11〜S13が圧縮機の異常を検出する場合について説明した。しかし、異常検知スイッチS11〜S13が検出する異常は、空気調和装置を構成する機器に関する異常であればよく、圧縮機の異常に限定されない。異常検知スイッチS11〜S13が検出する異常の他の例としては、例えば室外ファンの回転異常や、室外機の発火による室内機全体の熱異常等が挙げられる。
【0108】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、冷凍装置が空気調和装置である場合を例に採り説明した。しかし、冷凍装置は、例えばヒートポンプ装置等であることができ、空気調和装置以外であってもよい。
【0109】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、図3に示すように、各インバータ基板P21A〜P21C側のインバータ部21a及び電圧印加制御部21bが、1つのインバータ用MPU21で構成される場合について説明した。しかし、インバータ部21a及び電圧印加制御部21bは、1つのMPUで構成されていなくともよく、機能毎に別々のMPUで構成されていてもよい。
【0110】
(5−6)変形例F
上記実施形態では、図3に示すように、コイル電力スイッチ23aと状態変化スイッチS15〜S17のコネクタ24との間に、電源スイッチ22のリレーコイル22aが電気的に接続される場合について説明した。しかし、コイル電力スイッチ23a及び状態変化スイッチS15〜S17のコネクタ24は、リレーコイル22aに対し電気的に直列に接続されていればよく、リレーコイル22aを挟むように電気的に接続されていなくともよい。
【0111】
例えば、図10では、状態変化スイッチS15〜S17のコネクタ24が、コイル電力スイッチ23aと同じく、リレーコイル22aの端部sc側に接続されているインバータ基板P21A’〜P21C’の回路構成を示している。また、図11では、コイル電力スイッチ23aが、状態変化スイッチS15〜S17のコネクタ24と同じく、リレーコイル22aの端部sd側に接続されているインバータ基板P21A’’〜P21C’’の回路構成を示している。
【0112】
また、図示してはいないが、コイル電力スイッチ23aと状態変化スイッチS15〜S17の配置は、図3とは逆であってもよい。つまり、コイル電力スイッチ23aがリレーコイル22aの端部sd側に接続され、状態変化スイッチS15〜S17がリレーコイル22aの端部sc側に接続されていてもよい。
【0113】
(5−7)変形例G
上記実施形態では、異常検知回路25がフォトカプラ25a等によって構成されている場合について説明した。しかし、異常検知回路25は、スイッチ制御回路23に電気的に接続された状態変化スイッチS15〜S17の状態変化に基づいて空気調和装置の異常の発生を検知できればよく、具体的な構成は図3に限定されない。
【0114】
(5−8)変形例H
上記実施形態では、スイッチ制御回路23及び異常検知回路25に供給される電源がそれぞれ約15V,約5Vである場合について説明した。しかし、スイッチ制御回路23及び異常検知回路25に供給される電源は、これらの値に限定されず、例えば約10V,約3Vなどであることができる。
【符号の説明】
【0115】
101 モータ駆動システム
M21A,M21B,M21C モータ
P1 電力制御基板
S11,S12,S13 異常検知スイッチ
S14 漏洩電流用スイッチ
14 漏洩電流検出回路
C11 遅延対策用コンデンサ
D11,D12 逆流防止用ダイオード
S15,S16,S17 状態変化スイッチ
S15a,S16a,S17a リレーコイル
S15b,S16b,S17b リレースイッチ
P21A,P21B,P21C インバータ基板
21 インバータ用MPU
21a インバータ部
21b 電圧印加制御部
22 電源スイッチ
22a リレーコイル
22b,22c リレースイッチ
23 スイッチ制御回路
23a コイル電力スイッチ
24 状態変化スイッチとスイッチ制御回路とを繋ぐコネクタ
25 異常検知回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【特許文献1】特開平11−83211号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍装置に含まれる機器の駆動源であるモータ(M21A〜M21C)を駆動するインバータ(21a)と、
前記冷凍装置に関する異常がある場合にはオフ状態を採り前記冷凍装置に関する異常がない場合にはオン状態を採る外部の状態変化スイッチ(S15〜S17)と電気的に直列に接続されるリレーコイル(22a)、及び商用電源と前記モータとの間に配置されたリレースイッチ(22b,22c)を有し、前記モータへの電力供給をオン/オフさせる電源スイッチ(22)と、
前記リレーコイルと直列に接続されており、前記リレーコイルへの電源供給をオン/オフするコイル電力スイッチ(23a)と、
を備え、
前記状態変化スイッチがオフ状態を採るかまたは前記コイル電力スイッチがオフである場合の前記リレーコイルの両端電圧に基づき、前記リレースイッチがオフとなる、
冷凍装置のインバータ基板(P21A〜P21C)。
【請求項2】
前記リレーコイルの両端電圧値を用いて、前記冷凍装置に関する異常の有無を検知する異常検知部(23)と、
前記異常検知部による検知結果に基づいて前記コイル電力スイッチのオン/オフを制御する電力印加制御部(21b)と、
を更に備える、
請求項1に記載の冷凍装置のインバータ基板(P21A〜P21C)。
【請求項3】
前記状態変化スイッチは、
前記冷凍装置に関する異常がある場合にはオフ状態を採り、前記冷凍装置に関する異常がない場合にはオン状態を採る異常検知スイッチ(S11〜S13)と共に電力制御基板(P1)に実装されており、
前記異常検知スイッチの動作に連動してオン状態/オフ状態を採る、
請求項1または2に記載の冷凍装置のインバータ基板(P21A〜P21C)。
【請求項4】
前記電力制御基板には、
前記異常検知スイッチがオン状態からオフ状態へと変化した後に前記リレースイッチがオンからオフへと変化するように、前記状態変化スイッチがオン状態からオフ状態へと変化するタイミングを遅延させる遅延部(C11)、
が更に実装されている、
請求項3に記載の冷凍装置のインバータ基板(P21A〜P21C)。
【請求項5】
前記異常検知スイッチには、約30Vよりも低い電圧が印加されている、
請求項3または4に記載の冷凍装置のインバータ基板(P21A〜P21C)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−70595(P2012−70595A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215453(P2010−215453)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】