説明

冷却システム及びそれを備えた電子機器

【課題】
冷媒の沸騰・凝縮を利用した冷却システムを備えた電子機器に関し、特に冷却性能を安定化させるとともに沸騰・凝縮の相変化に伴う振動が電子機器に与える影響を低減する。
【解決手段】
発熱素子等の発熱体から発生した熱を冷媒の沸騰を利用して冷却するための前記発熱素子等の発熱体に熱的に接続された冷却部と、前記冷却部で前記冷媒に吸収された熱を凝縮によって放熱する放熱部と、凝縮した前記冷媒を再度冷却部に送液するための冷媒駆動部と、およびそれらを流体的に接続する配管からなる冷却システムを備えた電子機器であって、前記冷媒駆動部と前記冷却部の間に、前記冷媒駆動部から前記冷却部に向かう冷媒を加熱するための予備加熱手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の沸騰・凝縮を利用した冷却システム及びそれを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器内部の発熱部品を冷却する従来の技術として、例えばCPU等の発熱部品から発生する熱を液媒体に伝熱してポンプで放熱部に輸送して放熱を行う、いわゆる液冷式の冷却装置が知られている。この液冷式冷却装置の従来技術としては特許文献1や特許文献2等がある。
【0003】
特許文献1はコンピュータ、特許文献2は液晶プロジェクタを対象としたものである。上記液冷方式は、発熱部品から液体に熱を輸送する冷却部、液体から熱を放熱する放熱部および冷却部と放熱部で液を循環させるポンプから構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−64186号公報
【特許文献2】特開2007−41413号公報 これらに示されている液冷方式においては、主にエチレングリコール等の不凍液が液体として用いられ、冷却システム内で循環する際には常に液が単相流状態となっている。従って冷却部で吸熱した液体は高温となって放熱部にポンプで輸送され、放熱部で低温に冷却される。すなわち発熱部品からの発生熱は液温の変化として放熱部に輸送される。
【0005】
これに対し、同様に冷却部と放熱部および液体を循環させるためのポンプからなる冷却方式において、不凍液として比較的低沸点の液(以下冷媒と呼ぶ)を用い、冷媒の沸騰・凝縮を利用して熱を輸送する方法が考えられる。すなわち、冷却部において冷媒を沸騰させることで、冷媒を液相から蒸気相へ相変化させ、発熱部品で発生した熱を蒸発潜熱の形で冷媒に吸熱させるものである。
【0006】
吸熱し蒸気となった冷媒は放熱部に輸送され、放熱部で凝縮潜熱として熱を放出することにより再度液相に戻る。液相となった冷媒は再度ポンプ等の液駆動手段により冷却部へ輸送される。すなわち、発熱部品からの発生熱は相変化による潜熱として放熱部に輸送される(以下、この沸騰・凝縮による冷却方式を相変化冷却方式という)。
【0007】
相変化冷却方式では、潜熱を利用するために、単位液量あたりの熱輸送量が非常に大きく、単相流を用いた場合と比較して、冷却に必要な液流量を大幅に低減することが可能となる。このためポンプが小型化され、冷却システム及びそれを備えた電子機器をコンパクトにすることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、相変化冷却方式では以下に示す課題がある。
第1に、冷却部で安定した沸騰を起こす事が難しいため冷却性能が安定しない。このため、電子機器の冷却に適用した場合において発熱体である部品の動作状態によっては、沸騰が生じずその結果部品が高温にさらされてしまう恐れがある。特に、発熱体の発熱量が変動する場合に沸騰状態が不安定となりやすい。
【0009】
第2に、液相から蒸気相の変化によって、冷媒の体積が大きく変化するため、これが振動発生源となり、冷却部に熱的に接続された電子部品等の発熱体に振動を引き起こす。特に単相状態から沸騰状態に移行する際に局所的に突沸が生じると振動を引き起こしやすい。
【0010】
本発明の目的は、安定した冷却性能を備えた相変化冷却を実現し、相変化冷却方式によって安定した発熱部品の冷却を行うとともに、振動が発熱部品に与える影響を低減した冷却システム及びそれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、発熱素子から発生した熱を沸騰する冷媒で冷却する冷却部と、この冷却部と前記発熱素子を熱的に接続して前記冷媒に吸収された熱を凝縮によって放熱する放熱部と、この放熱部で凝縮した前記冷媒を再度冷却部に送液するための冷媒駆動部と、この冷媒駆動部と前記冷却部と前記放熱部を接続する配管を備えた冷却システムにおいて、前記冷媒駆動部と前記冷却部との間に前記冷媒駆動部から前記冷却部に向かう冷媒を加熱するための加熱手段を備えたことにより達成される。
【0012】
また上記目的は、前記加熱手段は加熱量が変動可能であって、前記冷却部に熱的に接続された前記発熱体の動作状態によって前記加熱手段による加熱量を制御する加熱制御手段を備えたことにより達成される。
【0013】
また上記目的は、前記加熱手段は電子機器の起動時に一時的な加熱量の増加を行うことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、電子機器は光源と光の変調・反射・吸収等による発熱を伴う少なくとも1個以上の映像表示素子からなる映像表示素子ユニットを備える透写型画像プロジェクタであって、前記映像素子ユニットが前記冷却部と熱的に接続され、前記映像素子ユニットの冷却を行うことにより達成される。
【0015】
また上記目的は、電子機器はマザーボードに装着された演算処理を行うCPU及びチップセットを有するコンピュータであって、前記CPUが前記冷却部と熱的に接続され、前記CPUの冷却を行うことにより達成される。
【0016】
また上記目的は、発熱素子から発生した熱を沸騰する冷媒で冷却する冷却部と、この冷却部と前記発熱素子を熱的に接続して前記冷媒に吸収された熱を凝縮によって放熱する放熱部と、この放熱部で凝縮した前記冷媒を再度冷却部に送液するための冷媒駆動部と、この冷媒駆動部と前記冷却部と前記放熱部を接続する配管を備えた冷却システムにおいて、前記冷却部は複数の発熱素子それぞれに熱的に接続するため少なくとも2箇所以上設けられ、前記冷媒駆動部と前記冷却部との間に前記冷媒駆動部から前記冷却部に向かう冷媒を加熱するための加熱手段を備えたことにより達成される。
【0017】
また上記目的は、前記複数の冷却部に熱的に接続される前記複数の発熱体の中で許容動作温度が相対的に低い発熱体を前記複数の冷却部を前記冷媒駆動部から始まり、冷媒の送液方向に従って順序付けしたとき少なくとも2番目以降の冷却部に熱的に接続させたことにより達成される。
【0018】
また上記目的は、電圧と電流を電子部品に供給するための電源ユニットと、光源の光の変調と反射と吸収等による発熱を伴う少なくとも1個以上の映像表示素子ユニットとを備えた透写型画像プロジェクタの電子機器であって、前記複数の冷却部のうち1個が前記表示素子ユニットであり、残りの冷却部のうち1個が前記光源あるいは前記電源ユニットのいずれかにそれぞれ熱的に接続され、前記表示素子ユニットと前記光源あるいは前記電源の冷却を行うことにより達成される。
【0019】
また上記目的は、前記映像表示素子ユニットが、前記複数の冷却部を前記冷媒駆動部から始まって冷媒の送液方向に従って順序付けしたとき少なくとも2番目以降の冷却部に熱的に接続され、前記映像表示素子ユニットの冷却を行うことにより達成される。
【0020】
また上記目的は、所定の電圧と電流を電子部品に供給するための電源ユニットと、マザーボードに装着された演算処理を行うCPU及びチップセットを有するコンピュータであって、前記CPUが前記複数の冷却部を前記冷媒駆動部から始まって冷媒の送液方向に従って順序付けしたとき少なくとも2番目以降の冷却部に熱的に接続され、前記CPUの冷却を行うことにより達成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安定した冷却性能を備え、相変化によって生じる振動の影響を低減した電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図1〜図8を参照して一実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例における電子機器は、光源と液晶パネルおよび偏光素子等で構成される映像表示素子ユニットを備える透写型液晶プロジェクタである。
図1は、本実施の形態における透写型液晶プロジェクタを上部から見た概略構成図である。
図1において、筐体10の内部には光を発生させるための光源ランプ11が設けられている。光源ランプ11から発生した白色光はレンズアレイ12,偏光変換素子13,集光レンズ14を経て光量が均一化され、光軸が大よそ揃えられた偏光となってダイクロイックミラー17,18および全反射ミラー19,20,21によって赤色光22,緑色光23,青色光24に分解される。分解された3色の光は赤色光液晶パネルモジュール1,緑色光液晶パネルモジュール2,青色光液晶パネルモジュール3およびプリズム4から構成される映像表示素子ユニットにそれぞれ異なる方向から入射する。
【0024】
光の迷光および塵埃の付着を防止するためにレンズアレイ12,ダイクロイックミラー17,18等の光学部品は光学部品カバー16内に配置されている。液晶パネルモジュール1〜3(赤,緑,青)を透過した3色の光はプリズム4によって合成され、透写レンズ5を透過して所望の画像となって透写されて図示しないスクリーンに映像が表現される。また、筐体10の内部には光源ランプ11等の部品に電力を供給するための電源ユニット35と、この電源ユニット35と光源ランプ11を冷却するためのファン36とが設けられている。ファン36の動作によって、筐体10に設けられた入気口31から空気が流入し、電源ユニット35と光源ランプ11が流入した空気により冷却されて排気口33から空気が排出される。また図示しないが、筐体10の内部には外部から映像信号を取り込み、液晶パネルモジュール,ファン等の動作を制御する制御回路を備えた制御基板(図示せず)が設けられている。この制御基板は例えば映像表示素子ユニットと筐体上面の隙間に配置される。
【0025】
赤色光液晶パネルモジュール1,緑色光液晶パネルモジュール2,青色光液晶パネルモジュール3およびプリズム4から構成される映像表示素子ユニットは、相変化冷却システムによって冷却される。相変化冷却システムは赤色光液晶パネルモジュール1,緑色光液晶パネルモジュール2,青色光液晶パネルモジュール3およびプリズム4の下部に設けられた放熱部40,図中に斜線で示した冷媒を循環させる冷媒配管41,冷媒を循環させるためのポンプ42からなる冷媒駆動部,冷却部で発生した蒸気を凝縮させるための凝縮器43とファン44からなる放熱部、蒸気と液を分離しポンプ42に蒸気が流入することを防止するための気液分離部45およびポンプ42からなる冷媒駆動部と冷却部の間に設けられた予備加熱部46から構成されている。
【0026】
ポンプ42の動作によって冷媒はポンプから予備加熱部46,放熱部40,凝縮器43,気液分離部45を順に通りポンプによって循環される。また、ファン44の動作によって入気口31から空気が流入し、ポンプ42,気液分離部45を冷却しながら流れ、凝縮器43を冷却して排気口33より排気される。すなわちポンプ42,気液分離部45は冷却空気の流れからみて凝縮部の上流側に配置されている。
【0027】
図2から図4を用いて映像表示素子ユニット周辺の構成を説明する。
図2と図3は映像表示素子ユニット周辺の斜視図である。
図2,図3において、赤色光液晶パネルモジュール1,緑色光液晶パネルモジュール2、青色光液晶パネルモジュール3およびプリズム4から構成される映像表示素子ユニットは、図1に示した放熱部40上に熱的に接続されて設置されている。
なお、本発明においては熱的に接続されているとは、固体同士が接触或いは固体同士の間の隙間を埋めるために相対的に柔らかい樹脂・グリース等の材料が充填されていることを表し、又は柔軟性のあるシート等が固体間の隙間を埋めるように挟みこまれていることを表す。
【0028】
冷媒配管は図3に示すように放熱部40の裏面側に設けられた溝50の内部に埋め込まれている。本実施の形態において放熱部40は溝に冷媒配管が埋め込まれているが、例えば放熱部40自体の内部に冷媒が流れる流路が形成されていても良い。
【0029】
図4は赤色光液晶パネルモジュール,プリズムおよび青色光液晶パネルモジュールを通過する断面図である。
図4において、3色の液晶パネルモジュールは構成が同じであるため、赤色光液晶パネルモジュール1を用いてその内部構成を説明すると、液晶パネルモジュールは液晶パネル55とその前後に配置された入射偏光板56,出射偏光板57および入射偏光板56を保持し熱的に接続された入射側フレーム58,出射偏光板57を保持し熱的に接続された出射側フレーム59から構成されている。液晶パネル55はフレキシブルコネクタ60によって制御基板(図示せず)に接続されている。また、入射偏光板56上には入射偏光フィルム56a,出射偏光板57上には出射偏光フィルム57bがそれぞれ貼り付けられている。液晶パネル55はその光透過部55aの両側がそれぞれ入射偏光板56,出射偏光板57と熱的に接続している。液晶パネルは画素を構成する多数のライトバルブ素子を内部に備え、画素毎に透過光の偏光状態を変化させる。
【0030】
入射側偏光フィルム,出射側偏光フィルムはそれぞれ特定の偏光成分のみを透過させるためのものであり、入射側偏光フィルム,液晶パネル,出射側偏光フィルムを組み合わせライトバルブ素子を制御基板で制御する事により、所望の画像を得る事が出来る。また入射偏光フィルム,液晶パネル,出射偏光フィルムで発生した熱は、入射偏光板56,入射偏光板57に熱伝導で伝えられた後に、さらに入射側フレーム58,出射側フレーム59を熱伝導で伝わり、さらに放熱部40に伝えられる。放熱部40に伝えられた熱は冷媒配管41に伝わり、内部を流れる冷媒によって放熱部に輸送される。
【0031】
入射偏光板56,出射偏光板57は入射偏光フィルム,液晶パネル,出射偏光フィルムで発生した熱を入射側フレーム,出射側フレームに伝えるため、熱伝導の良好な材料で構成されている必要があるとともに、光透過性を備えていなければならない。両者を同時に満たす材料としては、サファイア,水晶が上げられる。入射側フレーム,出射側フレームは光透過性の必要性はないが、放熱部40に熱を伝えるために熱伝導性の良好な材料で構成されている必要があり、例えば銅,アルミニウム等で構成される。
【0032】
以上、赤色光液晶パネルモジュール1,緑色光液晶パネルモジュール2,青色光液晶パネルモジュール3、およびプリズム4から構成される映像表示素子ユニットで発生した熱は、熱伝導によって放熱部40により冷媒配管41に伝えられる。
【0033】
なお本実施の形態では光透過型の液晶パネルを用いた光学系を想定しているが、本発明は例えば反射型の液晶パネル(LIQUID CRYSTAL ON SILICON)や微小の可動ミラー(DIGITAL MICROMIRROR DEVICE)を利用した他の光学系の冷却にも適用可能である。
【0034】
また、本実施の形態のように映像表示素子ユニットを相変化冷却する場合は、冷却空気を映像表示素子ユニットにあてる必要がないので、映像表示素子ユニットを光学部品カバー16と同様の手法でカバーしても良い。これにより、映像表示素子ユニットへの塵埃の付着が防止される効果がある。
【0035】
次に、図1および図5,図6を用いて相変化冷却システムの構成を説明する。
図5は本発明の一実施例を備えた予備加熱部の斜視図である。
図6は本発明の一実施例を備えた予備加熱部の構造を示す断面図である。
図1および図5,図6において、図1に示したポンプ42によって液状の冷媒は予備加熱部46に送液される。図5に予備加熱部46の構成図、図6に内部構造を示す断面図を示すと、図中の点線の矢印は冷媒の流れを表す。予備加熱部46は図5に示すように内部に冷媒が流れる流路が形成されており、外側に加熱ヒータ65が設けられている。また、冷媒が流れる流路上には沸騰開始を促進させるための沸騰促進手段66が設けられている。また、加熱ヒータ65には加熱量を制御するための予備加熱制御手段67が接続されており、加熱量が制御できるように構成されている。更に予備加熱制御手段67は外部から映像信号を取り込み、液晶パネルモジュール,ファン等の動作を制御する前述の制御回路37に接続されている。
【0036】
予備加熱部46に流入した液状の冷媒は加熱ヒータ65によって加熱され、沸騰が開始され一部が蒸気となった2相流状態となる。予備加熱部46によって2相状態となった冷媒は放熱部40へ送られ映像表示素子ユニットから発生した熱を受けて更に沸騰する。冷媒は沸騰し蒸気となる際の気化熱として熱を吸収し、放熱部へ輸送される。沸騰によって熱が奪われることによって放熱部40が冷却される。
【0037】
加熱ヒータ65は予備加熱制御手段67によって以下のように制御される。
まず、起動時において予備加熱制御手段67は制御回路37から起動信号を受けて加熱ヒータ65を加熱させて予備加熱部46を高温にする。予備加熱部46が沸騰を起こすのに必要な程度まで高温になった後に予備加熱制御手段67は加熱ヒータ65の加熱量を減少させる。すなわち制御回路37からの起動信号を受けて起動時のみ一時的に加熱量を増加させる制御を行う。また、その後の動作時においては制御回路37から表示している画像状態を示す信号を受け、映像表示素子ユニットの発熱量を推定しながら加熱量を増減させる。前述のように映像表示素子ユニットは光の一部を吸収するために発熱するが、光の吸収量は画像によって変化する。
【0038】
本実施例の形態で示すような透過型液晶パネルを用いた光学系では黒色の画像を透写する際には光を遮断するために大きくなり、逆に白色の画像を透写する際には小さくなる。このため発生熱量が画像によって大きく変動する。この変動に対応し、映像表示素子ユニットの発熱量が小さい時には加熱ヒータ65の加熱量を増大させ、逆に映像表示素子ユニットの発熱量が大きい時には加熱量を減少させる。
【0039】
沸騰促進手段66は例えば、図6に示すように流路上に多数の凹形状を備えたものが望ましい。これによって、凹形状の内部で冷媒の流れが緩やかになり、沸騰開始初期に発生する微細な気泡核が成長して沸騰状態に遷移しやすくなる。また、あるいは超音波振動子によって強制的な振動を予備加熱部に与え沸騰を促進しても良い。
【0040】
放熱部へ輸送された2相状態の冷媒は凝縮器43で凝縮され液となる。凝縮によって発生した凝縮熱はファン44によって空気に放熱される。再び液状となった冷媒は気液分離部を通りポンプによって再度循環される。
【0041】
本実施例の形態によれば、ポンプ42と放熱部40の間に予備加熱制御手段46を設けることによって沸騰を安定化させ、冷却性能を向上する事が出来る。
【0042】
図7は映像表示素子ユニットの変わりに模擬発熱体を用いた場合の実験結果を示すグラフ図である。
図8はその際の実験条件である。
図7において、図7は模擬発熱体の発熱量と模擬発熱体温度の関係を示すものであり、まず予備加熱手段を設けない場合は図中に黒塗りの点で示すように、模擬発熱体の発熱量の増加すると温度が急激に上昇する。これは発熱量が小さい時は沸騰が生じず、単相の液体によって冷却が行われているためである。10W程度の発熱量に達した時点で沸騰が生じ始め、発熱量に対する温度上昇は緩やかになるが、温度上昇は大きくばらついている事が分かる。これは冷却部における沸騰が部分的に生じているためである。
【0043】
これに対し、予備加熱部を設けた場合は冷却部で沸騰が安定し生じるため、予備加熱部による追加の入熱があるにもかかわらず全体にわたり冷却部の温度上昇が小さく、また温度のばらつきも小さい。すなわち、予備加熱手段を設け冷却部に冷媒が流入する前に予め沸騰状態を作り出しておく事で、冷却部をより冷却できる。また温度上昇のばらつきも小さく、映像表示素子ユニットのように発熱量が変動するような発熱体を冷却する場合においても安定した冷却性能が実現できる。
【0044】
また、予備加熱制御手段を設け予備加熱部の加熱量を制御することによって、少ない加熱量で沸騰状態を作り出す事ができ、消費電力を低減することが出来る。また特に起動時は予備加熱部が低温であるため、沸騰が開始するまでに時間を要するが、起動時の入熱量を一時的に高くすることで、より短時間で沸騰状態を作りだす事ができ、短時間で冷却性能を安定化し、起動時に冷却部が高温になる事を防ぐ事ができる。また、制御回路37から表示している画像状態を示す信号を受け、映像表示素子ユニットの発熱量を推定しながら加熱量を増減させることにより冷却性能を安定化しながらより加熱量を低減することができる。その結果消費電力を低減することができる。
【0045】
また、さらには予備加熱部を設けることによって、冷却部における振動を低減することができる。すなわち、相変化冷却システムにおいては、沸騰によって蒸気が発生するが、その際の内部における急激な体積変化によって振動が生じる。特に冷媒の沸騰が開始する時点においては、部分的に始まった沸騰が全体に広がる過程或いは部分的な沸騰の位置・程度が変動する過程で強い振動が生じる。
【0046】
予備加熱部がない場合は沸騰は冷却部で開始されるため、沸騰開始によって生じた振動が冷却したい発熱体に伝わりやすい。特に本実施の形態の映像表示素子ユニットは集光された光を拡大して投影するために映像表示素子ユニットでの小さな振動も画像の振動や赤色光・緑色光・青色光の間の色ずれを引き起こし悪影響を与える。予備加熱部を設けることによって、沸騰開始による振動は予備加熱部で発生するため、予備加熱部から離れた位置にある冷却部の振動が低減される。特に、本実施の形態の場合は映像表示素子ユニットの振動に伴う画像の振動や色ずれを低減することができる。
【0047】
また、予備加熱部に沸騰促進手段を設けることによって、より低い加熱ヒータの入熱量で沸騰状態を作り出す事ができ、消費電力を低減することができる。
【0048】
またポンプ42、及び気液分離部45は、冷却空気の流れからみて凝縮部の上流側に配置されているが、これにより、ポンプ42、および気液分離部45は、凝縮部を通過する前の相対的に冷たい空気によって冷却される事になる。仮にポンプ42が高温にさらされると、ポンプ内で沸騰が生じる恐れがある。ポンプ内で蒸気が発生すると、ポンプの機能が低下し、最悪の場合送液が出来なくなってしまう。ポンプ42、及び気液分離部45は、冷却空気の流れからみて凝縮部の上流側に配置することで、ポンプ42を相対的に低い温度に保つ事ができ、ポンプ内における蒸気の発生を抑制し、安定した送液を実現する事ができる。
次に、他の実施形態による相変化冷却システムとそれを備えた電子機器を図9で説明する。本実施の形態における電子機器は、前述の実施形態と同じ透写型液晶プロジェクタである。
図9は、本実施の形態における透写型液晶プロジェクタを上部から見た概略構成図である。
図9において、本実施例の形態は図1で示した実施の形態に対し、予備加熱手段が設けられていない点、映像表示素子ユニットを冷却する放熱部40に加えて、電源ユニット35上の電源部品351を冷却するために電源部品351と熱的に接続した放熱部40bと光源ランプ11とを冷却するために、光源ランプ11と熱的に接続した放熱部40cが設けられている点を除いて同様の構成である。放熱部40b,放熱部40c及び放熱部40は冷媒配管41によって順次直列に接続されており、映像表示素子ユニットを冷却する放熱部40は放熱部40b,40cよりも冷媒の送液方向に対し下流側に配置されている。
【0049】
本実施例の形態で示す映像表示素子ユニットは液晶パネル,入射偏光板,出射偏光板から構成されているが、液晶パネルや入射偏光板,出射偏光板上に貼り付けられる偏光フィルムは有機物質が用いられているため、おおむね70〜80℃程度の高温になると光学特性や寿命の低下を引き起こす。これに対し、電源部品351は例えば、電源ユニットに供給される交流電力を所定の電圧の直流電流に変換するレギュレータであるが、このような電源部品は通常125〜150℃程度までの動作が許容されている。また光源ランプに用いられている水銀ランプは150℃乃至それ以上での動作が可能である。すなわち本実施例の形態においては、複数の部品ないしユニットを冷却する上で、動作許容温度の相対的に低い映像表示素子ユニットの放熱部40を放熱部40bないし放熱部40cより下流側に配置している。
【0050】
ポンプ42によって液状の冷媒はまず電源部品351を冷却するための放熱部40bへ送液される。電源部品351は例えば、電源ユニットに供給される交流電力を所定の電圧の直流電流に変換するレギュレータである。放熱部40bに流入した液状の冷媒は、電源部品351が発熱する熱によって加熱され、沸騰が開始され一部が蒸気となった2相流状態となる。この際電源部品351は、冷媒が沸騰し蒸気となる際の気化熱として熱を吸収することで冷却される。2相状態となった冷媒は次に放熱部40cに輸送される。放熱部40cに流入した液状の冷媒は、光源ランプ11が発熱する熱によって加熱され、さらに沸騰し、光源ランプ11を冷却する。次に冷媒は放熱部40に輸送されて映像表示素子ユニットを冷却する。
【0051】
放熱部へ輸送された2相状態の冷媒は凝縮器43で凝縮されて液となる。凝縮によって発生した凝縮熱はファン44によって空気に放熱される。再び液状となった冷媒は気液分離部を通りポンプによって再度循環される。
【0052】
最上流側の放熱部40bでは液状の冷媒が流入し沸騰が開始するので、部分的な沸騰が生じ沸騰が安定せず冷却性能も低い。しかしながら電源部品351は動作許容温度が高いため、多少冷却性能が悪くても許容する事ができる。また、本実施例の形態ではもともと電源ユニットを空冷するファンが設けられているため、電源部品は十分許容温度まで冷却可能となる。あるいは逆に空冷の効果が高く電源部品351の温度が低くなりすぎると、放熱部40bに流入した液状の冷媒に沸騰開始に必要な熱が供給されない場合もある。このような場合には例えば発熱量の多い電源部品に対し放熱部40bを接続するか、或いは空冷の効果によって冷えすぎないように電源部品と放熱部40bの周囲を断熱しても良い。
【0053】
光源ランプ11を冷却する放熱部40cや映像表示素子ユニットを冷却する放熱部40においては、流入する冷媒は既に放熱部40bにおいて沸騰状態となっているため、安定した冷却性能が得られる。
【0054】
また、本実施の形態では、電源部品351を冷却する放熱部40bと光源ランプを冷却するための放熱部40cが設けられているが、いずれか一方のみでも良い。この場合でも映像表示素子ユニットの放熱部40には既に沸騰状態となった冷媒が流入するため、放熱部40において安定した冷却性能を得る事ができる。
【0055】
本実施例の形態によれば、少なくとも2箇所以上の複数の冷却部を備えたことで、複数の発熱体を冷却できるだけでなく、冷媒の送液方向にそって下流側に配置された発熱体をより冷却する事ができる。本実施の形態でいえば、映像表示素子ユニットを冷却する冷却部だけを備えた場合は、液状の冷媒が映像表示素子ユニットの冷却部に流入するため、沸騰状態が部分的に生じ冷却性能が安定しない。これに対し電源部品,光源等の冷却部を追加することで、複数の部品ないしユニットが冷却できるだけでなく、映像表示素子ユニットの冷却性能自体が安定化し向上する。
【0056】
また、複数の部品ないしユニットを冷却する上で、動作許容温度の相対的に低い映像表示素子ユニットの放熱部40を、放熱部40bないし放熱部40cより下流側に配置している。放熱部40には既に沸騰状態となった冷媒が流入するため、動作許容温度の低い映像表示素子ユニットを冷却する放熱部40において安定した冷却性能を得る事ができる。また、図1で示した実施の形態に比較すると、加熱ヒータによる入熱を行わないため、消費電力を低減することができる。また、同じく図1で示した実施の形態と比較して、電源部品351や光源ランプの冷却を相変化冷却システムで行うために電源ユニットや光源ランプを冷却するファン36を小型化することができる。また図1に示した実施の形態と同様に映像表示素子ユニットに対する振動を低減し、画像の振動や色ずれを低減することができる。
【0057】
次に、他の実施例による相変化冷却システムとそれを備えた電子機器を説明する。
本実施の形態における電子機器は、マザーボード上に演算処理を行うCPU及びチップセットを有するコンピュータである。
【0058】
図10は本実施の形態におけるコンピュータの概略構成図である。
図10において、筐体110の内部には演算処理を行うCPU102および必要なチップセット103を搭載したマザーボード101,マザーボード101及びハードディスク115や他の部品ないしモジュールに電源を供給するための電源ユニット135が設けられている。
【0059】
本実施例の形態においても図1に示した実施の形態と同様に、ポンプ142,冷媒配管141,予備加熱部146,冷却部140,凝縮器143,気液分離部145およびファン144からなる相変化冷却システムが筐体110の内部に設けられている。また、ファン144の動作によって、入気口131から空気が流入し、ポンプ142からなる冷媒駆動部,気液分離部145,ハードディスク115,電源ユニット135の上を冷却しながら流れた後、図9に示した凝縮器43を冷却して排気口133より排気される。すなわちポンプ42,気液分離部45は冷却空気の流れからみて凝縮部の上流側に配置されている。
【0060】
図11は冷却部140周辺の斜視図である。
図11において、冷却部140はマザーボード101上のCPUの上部に熱的に接続されている。また、図1に示した実施の形態と同様に冷媒配管141は冷却部140に設けられた溝150の内部に埋め込まれており、CPUで発生した熱は熱伝導によって冷却部140より冷媒配管141に伝えられる。本実施の形態において冷却部140は溝150に冷媒配管141が埋め込まれているが、例えば冷却部140自体の内部に冷媒が流れる流路が形成されていても良い。
【0061】
本実施例の形態の相変化冷却システムの構成は図1に示した実施の形態と同様であり、ポンプ142によって液状の冷媒は予備加熱部146に送液される。予備加熱部146は予備加熱制御手段(図示せず)によって加熱量が制御される。予備加熱部で沸騰が開始し2相状態となった冷媒は冷却部140へ送られ、CPUから発生した熱を受けて更に沸騰してCPUを冷却する。放熱部へ輸送された2相状態の冷媒は凝縮器143で凝縮され液となる。凝縮によって発生した凝縮熱はファン144によって空気に放熱される。再び液状となった冷媒は気液分離部を通りポンプによって再度循環される。
【0062】
本実施例の形態によれば、まず、図1に示した実施の形態と同様にポンプ142と冷却部140の間に予備加熱制御手段146を設けることによって沸騰を安定化させ、冷却性能を向上する事が出来る。特に本実施例の形態で示すようなコンピュータのCPUは、演算量の変動により発熱量が大きく変動する。これに対し図7の実験結果で示したように、予備加熱手段を設け、冷却部に冷媒が流入する前に予め沸騰状態を作り出しておく事で沸騰が安定化し、温度上昇のばらつきも小さくなるため安定したCPUの冷却性能が実現できる。
【0063】
さらにまた、予備加熱部を設けることによって冷却部における振動を低減することができる。特に本実施例の形態のCPUはマザーボード上に実装されているが、近年のCPUはマザーボードと電気的に接続するためにCPU裏面に設けられたピン数が膨大となっており、それらは通常は微小なはんだボールによってマザーボードにはんだ付けで接続されている。このためCPUに振動が加わると、半田ボールの界面において亀裂が発生し、最悪の場合導通が取れなくなってしまう恐れがある。したがって、予備加熱部を設けることによって、沸騰開始による振動は予備加熱部で発生し、離れた位置にある冷却部の振動が低減されためCPUの実装信頼性を向上する事ができる。
【0064】
次に、別の実施形態による相変化冷却システムとそれを備えた電子機器を説明する。
本実施の形態における電子機器は、演算処理を行うCPU及びチップセットを有するコンピュータである。
図12は本実施例の形態におけるコンピュータの概略構成図である。
図12において、本実施の形態は図10で示した実施の形態に対し、予備加熱手段が設けられていない点、CPUを冷却する冷却部140に加えて電源ユニット135上の電源部品1351を冷却するために電源部品1351と熱的に接続した冷却部140bが設けられている点を除いて同様の構成である。
【0065】
冷却部140b,1放熱部40は冷媒配管41によって順次直列に接続されており、CPUを冷却する冷却部140は冷却部140bよりも下流側に配置されている。CPUは通常85℃程度までの動作が保証されている。また、これより許容温度が高い場合もあるが、近年のCPUは発熱量の増大に伴い、温度が制限因子となり高温になった場合は動作周波数を低下或いは動作モードを省電力モードに移行させて動作させる場合もあり、この点からも許容動作温度は低いほど望ましい。
【0066】
これに対し、電源部品1351は例えば、電源ユニットに供給される交流電力を所定の電圧の直流電流に変換するレギュレータであるが、このような電源部品は通常125〜150℃程度までの動作が保証されている。すなわち本実施の形態においては、複数の部品ないしユニットを冷却する上で動作許容温度の相対的に低いCPUの冷却部140を冷却部140bより下流側に配置している。
【0067】
ポンプ42によって、液状の冷媒はまず電源部品1351を冷却するための冷却部140bへ送液される。電源部品351は例えば、電源ユニットに供給される交流電力を所定の電圧の直流電流に変換するレギュレータである。冷却部140bに流入した液状の冷媒は電源部品1351が発熱する熱によって加熱され、沸騰が開始され一部が蒸気となった2相流状態となる。この際電源部品1351は、冷媒が沸騰し蒸気となる際の気化熱として熱を吸収することで冷却される。2相状態となった冷媒は冷却部140に輸送されてCPUを冷却する。
【0068】
放熱部へ輸送された2相状態の冷媒は凝縮器143で凝縮され液となる。凝縮によって発生した凝縮熱はファン144によって空気に放熱される。再び液状となった冷媒は気液分離部を通りポンプによって再度循環される。
【0069】
上流側の冷却部140bでは液状の冷媒が流入し沸騰が開始するので、部分的な沸騰が生じ沸騰が安定せず冷却性能も低い。しかしながら電源部品1351は動作許容温度が高いため、多少冷却性能が悪くても許容する事ができる。また、本実施例の形態ではもともと電源ユニットを冷却するファンが設けられているため、電源部品は十分許容温度まで冷却可能となる。
【0070】
また本実施例の形態では、もともと電源ユニットを空冷するファンが設けられているため電源部品は十分許容温度まで冷却可能となる。あるいは逆に空冷の効果が高く電源部品351の温度が低くなりすぎると、冷却部140bに流入した液状の冷媒に沸騰開始に必要な熱が供給されない場合もある。このような場合には例えば発熱量のより多い電源部品に対し冷却部140bを接続するか、或いは空冷の効果によって冷えすぎないように電源部品と冷却部140bの周囲を断熱しても良い。CPUを冷却する冷却部140においては、流入する冷媒は既に冷却部140bにおいて沸騰状態となっているため安定した冷却性能が得られる。
【0071】
本実施例の形態によれば、少なくとも2箇所以上の複数の冷却部を備えたことで、複数の発熱体を冷却できるだけでなく、冷媒の送液方向にそって下流側に配置された発熱体をより冷却する事ができる。本実施の形態でいえば、CPUを冷却する冷却部だけを備えた場合は、液状の冷媒がCPUの冷却部に流入するため、沸騰状態が部分的に生じ冷却性能が安定しない。これに対し電源部品,光源等の冷却部を追加することで、複数の部品ないしユニットが冷却できるだけでなく、CPUの冷却性能自体が安定化し向上する。
【0072】
また、複数の部品ないしユニットを冷却する上で、動作許容温度の相対的に低いCPUの冷却部140を、冷却部140bより下流側に配置している。冷却部140には既に沸騰状態となった冷媒が流入するため、動作許容温度の低いCPUを冷却する冷却部140において安定した冷却性能を得る事ができる。また、図10で示した実施の形態に比較すると、加熱ヒータによる入熱を行わないため、消費電力を低減することができる。
【0073】
また図10に示した実施の形態と同様にCPUに対する振動を低減し、実装信頼性を向上する事ができる。
【0074】
以上、述べたように本発明によれば、予備加熱手段を設けるあるいは、複数の冷却部を備え、また特に複数の冷却部を送液方向に従って適正に配置する事により、安定した冷却性能を備え、相変化によって生じる振動の影響を低減した電子機器を実現する事が出来る。特に冷却性能を安定化させるとともに沸騰・凝縮の相変化に伴う振動が電子機器に与える影響を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による一実施の形態に係る透写型映像プロジェクタの概略構成図である。
【図2】一実施の形態に係る映像表示素子ユニットの斜視図である。
【図3】一実施の形態に係る映像表示素子ユニットの斜視図である。
【図4】一実施の形態に係る映像表示素子ユニットの構造を示す断面図である。
【図5】一実施の形態に係る予備加熱部の斜視図である。
【図6】一実施の形態に係る予備加熱部の構造を示す断面図である。
【図7】予備加熱部の効果を示す実験結果である。
【図8】予備加熱部の効果を示す実験の条件である。
【図9】本発明による一実施の形態に係る透写型映像プロジェクタの概略構成図である。
【図10】本発明による一実施の形態に係るコンピュータの概略構成図である。
【図11】本発明による一実施の形態に係るCPU冷却部周辺の斜視図である。
【図12】本発明による一実施の形態に係るコンピュータの概略構成図である。
【符号の説明】
【0076】
1 赤色光液晶パネルモジュール
2 緑色光液晶パネルモジュール
3 青色光液晶パネルモジュール
4 プリズム
5 透写レンズ
10,110 筐体
11 光源ランプ
12 レンズアレイ
13 偏光変換素子
14 集光レンズ
17,18 ダイクロイックミラー
19,20,21 全反射ミラー
22,23,24 赤色光,緑色光,青色光のそれぞれの進行方向を示す矢印
40,40b,40c 放熱部
41,141 冷媒配管
42,142 ポンプ
43,143 凝縮器
44,144 ファン
45,145 気液分離部
46,146 予備加熱部
50,150 溝
65 加熱ヒータ
66 沸騰促進手段
67 予備加熱制御手段
101 マザーボード
102 CPU
103 チップセット
115 ハードディスク
140,140b 冷却部
351 電源部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子から発生した熱を沸騰する冷媒で冷却する冷却部と、この冷却部と前記発熱素子を熱的に接続して前記冷媒に吸収された熱を凝縮によって放熱する放熱部と、この放熱部で凝縮した前記冷媒を再度冷却部に送液するための冷媒駆動部と、この冷媒駆動部と前記冷却部と前記放熱部を接続する配管を備えた冷却システムにおいて、
前記冷媒駆動部と前記冷却部との間に前記冷媒駆動部から前記冷却部に向かう冷媒を加熱するための加熱手段を備えたことを特徴する冷却システム。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却システムにおいて、
前記加熱手段は加熱量が変動可能であって、前記冷却部に熱的に接続された前記発熱体の動作状態によって前記加熱手段による加熱量を制御する加熱制御手段を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記加熱手段は電子機器の起動時に一時的な加熱量の増加を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器において、
電子機器は光源と光の変調・反射・吸収等による発熱を伴う少なくとも1個以上の映像表示素子からなる映像表示素子ユニットを備える透写型画像プロジェクタであって、前記映像素子ユニットが前記冷却部と熱的に接続され、前記映像素子ユニットの冷却を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器において、
電子機器はマザーボードに装着された演算処理を行うCPU及びチップセットを有するコンピュータであって、前記CPUが前記冷却部と熱的に接続され、前記CPUの冷却を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
発熱素子から発生した熱を沸騰する冷媒で冷却する冷却部と、この冷却部と前記発熱素子を熱的に接続して前記冷媒に吸収された熱を凝縮によって放熱する放熱部と、この放熱部で凝縮した前記冷媒を再度冷却部に送液するための冷媒駆動部と、この冷媒駆動部と前記冷却部と前記放熱部を接続する配管を備えた冷却システムにおいて、
前記冷却部は複数の発熱素子それぞれに熱的に接続するため少なくとも2箇所以上設けられ、前記冷媒駆動部と前記冷却部との間に前記冷媒駆動部から前記冷却部に向かう冷媒を加熱するための加熱手段を備えたことを特徴する冷却システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記複数の冷却部に熱的に接続される前記複数の発熱体の中で許容動作温度が相対的に低い発熱体を前記複数の冷却部を前記冷媒駆動部から始まり、冷媒の送液方向に従って順序付けしたとき少なくとも2番目以降の冷却部に熱的に接続させたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6又は7のいずれかに記載の電子機器において、
電圧と電流を電子部品に供給するための電源ユニットと、光源の光の変調と反射と吸収等による発熱を伴う少なくとも1個以上の映像表示素子ユニットとを備えた透写型画像プロジェクタの電子機器であって、前記複数の冷却部のうち1個が前記表示素子ユニットであり、残りの冷却部のうち1個が前記光源あるいは前記電源ユニットのいずれかにそれぞれ熱的に接続されて前記表示素子ユニットと前記光源あるいは前記電源の冷却を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項7記載の電子機器において、
前記映像表示素子ユニットが、前記複数の冷却部を前記冷媒駆動部から始まって冷媒の送液方向に従って順序付けしたとき少なくとも2番目以降の冷却部に熱的に接続されて前記映像表示素子ユニットの冷却を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項6又は7のいずれかに記載に電子機器において、
所定の電圧と電流を電子部品に供給するための電源ユニットと、マザーボードに装着された演算処理を行うCPU及びチップセットを有するコンピュータであって、前記CPUが前記複数の冷却部を前記冷媒駆動部から始まって冷媒の送液方向に従って順序付けしたとき少なくとも2番目以降の冷却部に熱的に接続されて前記CPUの冷却を行うことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−267181(P2009−267181A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116563(P2008−116563)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】