説明

冷媒マニホールド及び冷媒供給方法並びに冷媒排出方法

【課題】燃料電池スタックに取り付けることで、燃料電池スタックを効率的に冷却可能とする冷媒マニホールド及び冷媒供給方法並びに冷媒排出方法を提供する。
【解決手段】複数の単セル51が積層して構成され、その積層方向において、複数の冷媒供給用連通孔50eと、冷媒排出用連通孔50fとを有し、冷媒が、複数の冷媒供給用連通孔50e、複数の単セル51、冷媒排出用連通孔50fの順に流れる燃料電池スタック50に取り付けられ、複数の冷媒供給用連通孔50eに冷媒を分配する冷媒マニホールド1であって、複数の冷媒供給用連通孔50eに連通するマニホールド室11を有するマニホールド本体10と、マニホールド室11と外部とを連通させる外部連通孔21を有する外部連通部20と、を備え、外部連通孔21の中心を通る軸線A1と各冷媒供給用連通孔50eの中心を通る軸線A2とは、非平行かつ非垂直である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに取り付けられ、冷媒を分配又は集合させる冷媒マニホールド及び冷媒供給方法並びに冷媒排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)等の燃料電池(単セル)が積層して構成される燃料電池スタックは、その発電により発熱する。そこで、燃料電池スタックの過昇温を防止すると共に、発電好適温度に維持するため、燃料電池スタックを経由するように、エチレングリコールを主成分とするラジエータ液等の冷媒を流通させ、燃料電池スタックを適宜に冷却する技術がある(特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−164238号公報(図1、図4参照)
【特許文献2】特開2005−5196号公報(図1、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような燃料電池スタックの冷却については、さらに効率的に冷却可能な技術の開発が望まれている。
そこで、本発明は、燃料電池スタックに取り付けることで、燃料電池スタックを効率的に冷却可能とする冷媒マニホールド及び冷媒供給方法並びに冷媒排出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、複数の単セルが積層して構成され、その積層方向において、複数の冷媒供給用連通孔と、冷媒排出用連通孔とを有し、冷媒が、前記複数の冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに取り付けられ、前記複数の冷媒供給用連通孔に冷媒を分配する冷媒マニホールドであって、前記複数の冷媒供給用連通孔に連通し、当該複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を有するマニホールド本体と、前記マニホールド室と外部とを連通させる外部連通孔を有する外部連通部と、を備え、前記外部連通孔の中心を通る軸線と各前記冷媒供給用連通孔の中心を通る軸線とは、非平行かつ非垂直であることを特徴とする冷媒マニホールドである。
【0005】
このような冷媒マニホールドを燃料電池スタックに取り付ければ、外部連通孔の軸線と各冷媒供給用連通孔の軸線とが、非平行かつ非垂直(ねじれの関係)であることにより、冷媒が、外部連通孔から各冷媒供給用連通孔に、直接的に流れ込みにくくなる。すなわち、外部連通孔からの冷媒は、複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室で旋回流等となった後、各冷媒供給用連通孔に均等に流れ込みやすくなる。これにより、複数の冷媒供給用連通孔に連通する各単セルの冷媒流路に、冷媒を均等に分配して供給することができ、その結果として、単セル、つまり、燃料電池スタックを効率的に冷却することができる。
【0006】
また、本発明は、複数の単セルが積層して構成され、その積層方向において、冷媒供給用連通孔と、複数の冷媒排出用連通孔とを有し、冷媒が、前記冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記複数の冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに取り付けられ、前記複数の冷媒排出用連通孔からの冷媒を集合させる冷媒マニホールドであって、前記複数の冷媒排出用連通孔に連通し、当該複数の冷媒排出用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を有するマニホールド本体と、前記マニホールド室と外部とを連通させる外部連通孔を有する外部連通部と、を備え、前記外部連通孔の中心を通る軸線と各前記冷媒排出用連通孔の中心を通る軸線とは、非平行かつ非垂直であることを特徴とする冷媒マニホールドである。
【0007】
このような冷媒マニホールドを燃料電池スタックに取り付ければ、外部連通孔の軸線と各冷媒排出用連通孔の軸線とが、非平行かつ非垂直(ねじれの関係)であることにより、冷媒が、各冷媒排出用連通孔から外部連通孔に、直接的に流れ込みにくくなる。すなわち、各冷媒排出用連通孔からの冷媒は、複数の冷媒排出用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室に略同一の流量で流れ込んで集合すると共に、このマニホールド室で旋回流等となった後、外部連通孔を介して外部に排出される。
これにより、各単セルの冷媒流路から複数の冷媒排出用連通孔に、冷媒が略同一流量で流れ込みやすくなり、その結果として、前記冷媒流路に熱交換後の高温の冷媒が残留しにくくなる。よって、前記冷媒流路全体にわたって、冷媒を流通させることができ、ゆえに、単セル(燃料電池スタック)を効率的に冷却することができる。
【0008】
また、前記外部連通孔と前記燃料電池スタック内の複数の連通孔(冷媒供給用連通孔、又は、冷媒排出用連通孔)との間において、冷媒が直接的に流通しにくくさせるべく、前記マニホールド室を取り囲む内周面に立設したリブを備えたことを特徴とする冷媒マニホールドであることが好ましい。
【0009】
このような冷媒マニホールドを燃料電池スタックに取り付ければ、マニホールド室を取り囲む内周面に立設したリブを備えたことにより、外部連通孔と燃料電池スタック内の複数の連通孔との間において、冷媒がさらに直接的に流通しにくくなる。これにより、単セル(燃料電池スタック)を効率的に冷却することができる。
【0010】
また、前記配列方向において、前記外部連通孔と、前記燃料電池スタック内の複数の連通孔とは、ずれていることを特徴とする冷媒マニホールドであることが好ましい。
このような冷媒マニホールドによれば、燃料電池スタック内の供給用又は排出用の複数の連通孔の配列方向において、外部連通孔とこの複数の連通孔とがずれており重なっていないので、外部連通孔と燃料電池スタック内の複数の連通孔との間において、冷媒を直接的に流通しにくくすることができる。
【0011】
また、前記配列方向において、前記外部連通孔は、前記燃料電池スタック内の複数の連通孔のうちの最外側の2つの連通孔の間に配置されていることを特徴とする冷媒マニホールドであることが好ましい。
このような冷媒マニホールドによれば、配列方向において、外部連通孔は、燃料電池スタック内の複数の連通孔うちの最外側の2つの連通孔の間に配置されているので、冷媒を外部連通孔から燃料電池スタック内の複数の連通孔に均等に供給する、又は、冷媒を燃料電池スタック内の複数の連通孔から外部連通孔に均等に排出することができる。
【0012】
また、前記外部連通部は、前記マニホールド室を挟んで前記燃料電池スタックとは反対側に配置されると共に、外側に開いていることを特徴とする冷媒マニホールドであることが好ましい。
このような冷媒マニホールドによれば、外部連通部が、前記マニホールド室を挟んで、燃料電池スタックとは反対側に配置されているので、外部連通部に冷媒を供給又は排出するためのホース等を接続しやすくなる。
そして、外部連通部が、外側に開いているので、さらに、外部連通部にホース等を容易に接続することができる。ここで、外側とは、燃料電池スタックを構成する単セルの面方向において、燃料電池スタックから遠ざかる方向を意味する。
【0013】
また、前記燃料電池スタック内の複数の連通孔の配列方向は鉛直方向であって、前記マニホールド室は鉛直下方に向かうほど小さくなっていることを特徴とする冷媒マニホールドであることが好ましい。
このような冷媒マニホールドによれば、マニホールド室が鉛直下方に向かうほど小さくなっているので、重力の影響によって、冷媒が、鉛直方向に配列した複数の連通孔のうち、鉛直下方側の連通孔に多量に供給、又は、鉛直下方側の連通孔から多量に排出されることを防止できる。
【0014】
また、前記マニホールド本体が前記燃料電池スタックの内側にオフセットしていることを特徴とする冷媒マニホールドであることが好ましい。
このような冷媒マニホールドによれば、マニホールド本体が燃料電池スタックの内側にオフセットしているので、マニホールド本体が燃料電池スタックからはみ出しにくくなる。これにより、冷媒マニホールドが取り付けられた燃料電池スタックを、デッドスペースをつくることなく、容易にレイアウト可能となる。ここで、燃料電池スタックの内側とは、燃料電池スタックを構成する単セルの面方向において、燃料電池スタックの中心側を意味する。
【0015】
また、本発明は、複数の単セルが積層して構成され、その積層方向において、複数の冷媒供給用連通孔と、冷媒排出用連通孔とを有し、冷媒が、前記複数の冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに対して、冷媒を、1つの外部連通孔から、前記複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を介して、前記複数の冷媒供給用連通孔に分配して供給する冷媒供給方法であって、前記マニホールド室において冷媒の旋回流を発生させながら、前記複数の冷媒供給用連通孔に供給することを特徴とする冷媒供給方法である。
このような冷媒供給方法によれば、マニホールド室において冷媒の旋回流を発生させながら、複数の冷媒供給用連通孔に略均等に供給することができる。
【0016】
また、本発明は、複数の単セルが積層して構成され、その積層方向において、冷媒供給用連通孔と、複数の冷媒排出用連通孔とを有し、冷媒が、前記冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記複数の冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに対して、冷媒を、前記複数の冷媒排出用連通孔から、前記複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室で集合させ、外部に通じる1つの外部連通孔に排出する冷媒排出方法であって、前記マニホールド室において冷媒の旋回流を発生させながら、前記1つの外部連通孔に排出することを特徴とする冷媒排出方法である。
このような冷媒排出方法によれば、マニホールド室で冷媒の旋回流を発生させることにより、複数の冷媒用排出孔から略均等に冷媒を排出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料電池スタックに取り付けることで、燃料電池スタックを効率的に冷却可能とする冷媒マニホールド及び冷媒供給方法並びに冷媒排出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
≪第1実施形態≫
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図12を参照して説明する。
第1実施形態に係る冷媒マニホールドが取り付けられた燃料電池スタック、及びこれが組み込まれた燃料電池システム、並びにこのシステムを搭載した燃料電池自動車について説明する。
【0019】
図1に示すように、燃料電池自動車200は、燃料電池システム100を搭載している。燃料電池システム100は、燃料電池スタック50と、水素タンク101と、コンプレッサ102と、加湿器103と、ラジエータ104(放熱器)とを主に備えている。燃料電池スタック50の出力端子には、コンタクタやDC−DCコンバータ等の昇降圧回路を介して、電動式の走行モータ(図示しない)が接続されており、燃料電池スタック50が発電すると、前記走行モータが駆動し、これを動力として、燃料電池自動車200が走行するようになっている。
【0020】
燃料電池スタック50及び加湿器103は、燃料電池自動車200のフロアパネル下のセンタートンネル内に配置されると共に、クロスメンバ等のサブフレームに固定されており、低床化が図られている。そして、水素が、燃料電池自動車200の後方に横置きされた水素タンク101から、燃料電池スタック50の後側に供給されるようになっている。また、酸素を含む外部の空気が、ボンネット下のコンプレッサ102によって加湿器103に送られ、この加湿器103で加湿された後、燃料電池スタック50の後側に供給されるようになっている。
【0021】
また、燃料電池自動車200のフロントグリル裏に配置されたラジエータ104と、燃料電池スタック50との間で、ポンプ(図示しない)等を動力源として、冷媒が循環するようになっている。これにより、発電によって自己発熱する燃料電池スタック50が適宜に冷却されると共に、燃料電池スタック50は好適運転温度(例えば70〜80℃)に維持されるようになっている。
【0022】
≪燃料電池スタック≫
次に、燃料電池スタック50について、具体的に説明する。
図2に示すように、燃料電池スタック50は、その外形が略直方体である。図3に示すように、燃料電池スタック50は、複数(例えば、200〜400)の単セル51と、剛性の高いフロントプレート71及びリアプレート72と、を主に備えている。複数の単セル51は、その厚み方向に積層されており、フロントプレート71とリアプレート72とに挟まれている。フロントプレート71とリアプレート72とは、ボルト73によって締結されており、これにより、単セル51の積層状態が維持されている。なお、単セル51の積層方向と、燃料電池自動車200の前後方向(走行方向)とは、一致している。そして、後方に向かって、燃料電池スタック50は、正面視において、縦長となっている。
【0023】
図3に示すように、単セル51は、MEA52(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟んでいる板状のアノードセパレータ61及びカソードセパレータ62と、を主に備えている。
【0024】
MEA52は、1価の陽イオン交換膜である固体高分子膜53と、これを挟んでいるアノード54及びカソード55とを主に備えている。アノード54は固体高分子膜53の前方に配置され、カソード55は固体高分子膜53の後方に配置されている。因みに、アノード54及びカソード55は、カーボンペーパ等を主に構成され、その固体高分子膜53側に電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
【0025】
1つの単セル51において、アノードセパレータ61は、MEA52のアノード54側に配置されている。カソードセパレータ62は、MEA52のカソード55側に配置されている。また、アノードセパレータ61及びカソードセパレータ62は、金属製であり、導電性を有している。これにより、複数の単セル51が直列に接続されている。そして、直列に接続された複数の単セル51のプラス端子及びマイナス端子(ともに図示しない)は、フロントプレート71の貫通孔71c、又は、リアプレート72の貫通孔72cを介して、外部に引き出されている。
【0026】
<燃料電池スタック内の水素の流路>
次に、燃料電池スタック50内の水素の流路について説明する(図1〜図3参照)。
単セル51の積層方向である燃料電池自動車200の前後方向において、後方に向かって、燃料電池スタック50の左上部には、水素タンク101からの水素を、各単セル51に供給するための水素供給用連通孔50aが形成されている。なお、水素供給用連通孔50aは、アノードセパレータ61、固体高分子膜53及びカソードセパレータ62に形成された連通孔が重なることで構成されている。
同じく後方に向かって、燃料電池スタック50の右下部には、各単セル51から排出された未反応の水素等を、外部に排出するための水素排出用連通孔50bが形成されている。
また、各単セル51のアノードセパレータ61の後面(アノード54側の面)には、アノード54の全面に水素が供給されるように溝状の水素流路61aが形成されている。
そして、水素は、水素供給用連通孔50aから、各単セル51の水素流路61aに流れ込み、各アノード54に供給された後、未反応の水素が水素排出用連通孔50bを介して外部に排出されるようになっている。
【0027】
<燃料電池スタック内の空気の流路>
次に、燃料電池スタック50内の空気の流路について説明する(図1〜図3参照)。
後方に向かって、燃料電池スタック50の右上部には、加湿器103からの加湿された酸素を含む空気を、各単セル51に供給するための空気供給用連通孔50cが形成されている。燃料電池スタック50の左下部には、各単セル51から排出された空気等を、外部に排出するための空気排出用連通孔50dが形成されている。
また、各単セル51のカソードセパレータ62の前面(カソード55側の面)には、カソード55の全面に空気が供給されるように溝状の空気流路62aが形成されている。
そして、空気は、空気供給用連通孔50cから、各単セル51の空気流路62aに流れ込み、各カソード55に供給された後、未反応の酸素等を含む空気が空気排出用連通孔50dを介して外部に排出されるようになっている。
【0028】
<燃料電池スタック内の冷媒の流路>
次に、燃料電池スタック50内の冷媒の流路について説明する(図1〜図4参照)。
単セル51の積層方向(前後方向)において、後方に向かって、燃料電池スタック50の左側部には、冷媒供給側の冷媒マニホールド1を介して送られる冷媒を、各単セル51に供給するための4本の冷媒供給用連通孔50eが形成されている。
燃料電池スタック50の右側部には、各単セル51から排出された冷媒を、冷媒排出側の冷媒マニホールド1に排出するための4本の冷媒排出用連通孔50fが形成されている。
また、各単セル51のカソードセパレータ62の前面には、冷媒が流通する溝状の冷媒流路62bが形成されている(図4参照)。
そして、冷媒は、4本の冷媒供給用連通孔50eから、各単セル51の冷媒流路62bに流れ込み、単セル51を冷却した後、冷媒排出用連通孔50fを通って、外部に排出されるようになっている。
【0029】
さらに説明すると、燃料電池スタック50の正面視において、4本の冷媒供給用連通孔50eと、4本の冷媒排出用連通孔50fとは、燃料電池スタック50の両側部に振り分けられている。そして、4本の冷媒供給用連通孔50eと、4本の冷媒排出用連通孔50fとは、燃料電池スタック50の両側部において、鉛直方向に沿って直線状で配列されている。つまり、第1実施形態において、4本の冷媒供給用連通孔50eと4本の冷媒排出用連通孔50fとの配列方向は、鉛直方向である。
【0030】
このように、各単セル51の冷媒流路62bに対して、4本の冷媒供給用連通孔50eによる4系統で冷媒を供給し、4本の冷媒排出用連通孔50fによる4系統で冷媒を排出することにより、各冷媒流路62bの全体に、冷媒をむらなく流通させることができるようになっている。これにより、各単セル51を全体的に冷却することができ、各単セル51が局所的に昇温しにくくなっている。
【0031】
≪冷媒マニホールド≫
次に、このような燃料電池スタック50に取り付けられる冷媒マニホールド1、1について説明する。
図5に示すように、燃料電池スタック50の正面視において、その左側の冷媒マニホールド1は冷媒供給側のマニホールドであり、その右側の冷媒マニホールド1は冷媒排出側のマニホールドである。すなわち、図5において、左側の冷媒マニホールド1は、ラジエータ104からの冷媒を、燃料電池スタック50内の4本の冷媒供給用連通孔50eに、分配供給するものである。これに対し、右側の冷媒マニホールド1は、燃料電池スタック50内の4本の冷媒排出用連通孔50fから排出された冷媒を集合させ、ラジエータ104に導くものである。そして、冷媒供給側の冷媒マニホールド1と、冷媒排出側の冷媒マニホールド1とは、燃料電池スタック50のフロントプレート71に、車幅方向(図5における左右方向)において、対称に取り付けられている。
ここで、冷媒供給側の冷媒マニホールド1と、冷媒排出側の冷媒マニホールド1とは、同一形状であるので、以下、冷媒供給側の冷媒マニホールド1について、主に説明する。
【0032】
<冷媒供給側の冷媒マニホールドの構成>
冷媒マニホールド1は、合成樹脂製の一体成型品であって、図5から図8に示すように、その両端が閉じられた筒状のマニホールド本体10と、1つの外部連通部20と、4つの脚部30、30、30、30と、を主に備えている。
【0033】
[マニホールド本体]
マニホールド本体10は、その内部に、マニホールド室11を有している(図6、図7参照)。このマニホールド室11は、4本の冷媒供給用連通孔50eの配列方向である鉛直方向(図7の紙面を貫通する方向)に伸びており、冷媒マニホールド1が燃料電池スタック50に取り付けられた状態(以下、「取付状態」と略称する)において、4本の冷媒供給用連通孔50eに対して、垂直となるように設計されている。
【0034】
マニホールド本体10の内周面10aには、図7に示すように、その軸方向(鉛直方向)断面視において、中心角が略90°の扇形を呈する凸条12が、その中心側を突出させるように形成されている。すなわち、マニホールド室11は、その軸方向断面視において、中心角が略270°の扇形を呈している。凸条12は脚部30側に配置されており、脚部30の後記する脚部連通孔31は、凸条12内を伸びて、マニホールド室11に開口している。
【0035】
そして、凸条12の一部を構成すると共に、脚部連通孔31を取り囲み、内周面10aに立設した土手状の堤部13(特許請求の範囲における「リブ」に相当)は、外部連通孔21からの冷媒が、マニホールド室11を介して、脚部連通孔31に直接的に流れ込みにくくさせる「じゃま部」として機能している。
ここで、直接的に流通するとは、外部連通孔21から冷媒が、マニホールド室11を取り囲む内周面10aで反射等せず、流れが急激に変化しないまま、脚部連通孔31に流れ込むことを意味する。
【0036】
これにより、外部連通孔21からの冷媒は、図7及び図8に示すように、土手状の堤部13によって、4つの脚部連通孔31に直接的に流れ込むことがじゃまされるようになっている。その結果として、マニホールド室11では、鉛直方向断面視において、右回りの旋回流や、渦流や、乱流等が発生するようになっている。次いで、このように旋回流等で流れる冷媒が、各脚部連通孔31に均等に流れ込むようになっている。
【0037】
また、マニホールド本体10は、冷媒供給用連通孔50eに対して、燃料電池スタック50の内側にオフセットしており(図5、図7参照)、その幅方向(車幅方向)において、マニホールド本体10が燃料電池スタック50からはみ出ていない。これにより、冷媒マニホールド1が取り付けられた燃料電池スタック50を、デッドスペースをつくることなく、容易にレイアウト可能となっている。
さらに、マニホールド室11の軸線も、冷媒供給用連通孔50eに対して、燃料電池スタック50の内側にオフセットしている(図5、図7参照)。これにより、外部連通孔21からの冷媒が、冷媒供給用連通孔50eに、直接的に流れ込みにくくなっている。
【0038】
[脚部]
4つの脚部30は、フロントプレート71の4つの取付孔71aに差し込まれる部分である。各脚部30は、その内部に脚部連通孔31を有している。そして、取付状態において、マニホールド室11は、4つの脚部連通孔31を介して、燃料電池スタック50の4本の冷媒供給用連通孔50eと、それぞれ連通するようになっている。
また、各脚部連通孔31の中心を通る軸線と、対応する冷媒供給用連通孔50eの軸線A2とは、一致している。
【0039】
[外部連通部]
外部連通部20は、円筒状であって、ラジエータ104に接続するホース110等が外嵌する部分であり(図7参照)、その内部に外部連通孔21を有している。そして、このようにラジエータ104と外部連通部20とが前記ホース110等を介して接続されると、ラジエータ104とマニホールド室11とは、外部連通孔21を介して連通するようになっている。
【0040】
外部連通孔21の中心を通る軸線A1は、取付状態において、燃料電池スタック50内の冷媒供給用連通孔50eの軸線A2と、非平行かつ非垂直の関係、つまり、ねじれの関係となるように設計されている。これにより、冷媒が、外部連通孔21からマニホールド室を介して脚部連通孔31に、直接的に流れ込みにくくなっていると共に、前記したように、マニホールド室11で冷媒の旋回流等が発生するようになっている。
【0041】
さらに説明すると、外部連通孔21の軸線A1上には、マニホールド本体10の内周面10aが位置するように設計されている。これにより、外部連通孔21からマニホールド室11に流れ込んだ冷媒が軸線A1上の内周面10aに当たり、これにより、マニホールド室11で、冷媒の旋回流、渦流、乱流等が発生し、4つの脚部連通孔31に直接的に流れにくくなっている。
【0042】
また、外部連通孔21の軸線A1(外部連通部20)は、4本の冷媒供給用連通孔50eの配列方向(鉛直方向)において、冷媒供給用連通孔50eからずれていると共に、この4本の冷媒供給用連通孔50eに冷媒が分配供給されるように、中間に配置されている(図5、図6参照)。すなわち、外部連通孔21は、4本の冷媒供給用連通孔50eの配列方向(鉛直方向)において、最外側の2つの冷媒供給用連通孔50e(連通孔(1)と連通孔(4)、図5参照)の間に配置されている。
【0043】
さらに、外部連通部20は、マニホールド室11に対して燃料電池スタック50の反対側に配置されると共に、燃料電池スタック50の外側に開いている。これにより、外部連通部20にホース110を着脱容易となっている。
そして、外部連通孔21の軸線A1は、フロントプレート71の表面と4本の冷媒供給用連通孔50eを通る仮想面との両面に対して垂直な面(第1実施形態では水平面)内において、冷媒供給用連通孔50eの軸線A2とのなす角度θが、10〜70°の範囲内となるように設計されている。
【0044】
<冷媒供給側の冷媒マニホールドの作用効果>
このような冷媒供給側の冷媒マニホールド1によれば、次の作用効果を主に得ることができる。
ラジエータ104から送られる冷媒は、1つの外部連通孔21を通って、マニホールド室11で冷媒の旋回流等が発生し、4つの脚部連通孔31に直接的に流れ込みにくくなる。また、堤部13によっても、脚部連通孔31への直接的な冷媒の流れ込みは防止される。
そして、このように旋回流等となった冷媒は、4つの脚部連通孔31に均等に流れ込む。これにより、燃料電池スタック50内の4本の冷媒供給用連通孔50eには、同流量で冷媒が流通する(図9参照)。なお、図9は、4本の冷媒供給用連通孔50eを便宜的に、鉛直上方に向かって、連通孔(1)、連通孔(2)、連通孔(3)、連通孔(4)とした場合において(図5、図6参照)、連通孔(1)〜(4)を通流する冷媒の流量を示すグラフである。
その結果として、各カソードセパレータ62の冷媒流路62b(図4参照)の全体に、冷媒が行き届きやすくなり、各単セル51を効率的に冷却することができる。よって、燃料電池スタック50は局所的に昇温することはなく、燃料電池スタック50の温度分布は均一となり、その温度管理がしやすくなる。
【0045】
これに対し、図10(a)に示すように、外部連通部20がマニホールド本体10の鉛直下方に配置されており、その外部連通孔21の軸線A1と、燃料電池スタック50内の冷媒供給用連通孔50eの軸線A2とが、垂直の関係にある場合(θ=90°)、マニホールド室11で、冷媒の旋回流等は発生しない。そうすると、図10(b)に示すように、外部連通部20に最も近い連通孔(1)を通る冷媒流量が最も多くなり、遠ざかるにつれて徐々に少なくなる。
したがって、カソードセパレータ62の冷媒流路62b(図4参照)の全体にわたって、冷媒が流通しにくくなる。よって、単セル51が局所的に高温となりやすく、燃料電池スタック50に例えば複数の温度センサを設けないと、その温度管理がしにくくなる。
【0046】
また、図11(a)に示すように、外部連通部20がマニホールド本体10の前側に配置されており、その外部連通孔21の軸線A1と、燃料電池スタック50内の冷媒供給用連通孔50eの軸線A2とが、平行の関係にある場合も(θ=0°)、同様に、マニホールド室11で、冷媒の旋回流等は発生しない。そうすると、図11(b)に示すように、外部連通部20に近い連通孔(2)及び連通孔(3)を通る冷媒流量が多くなり、遠い連通孔(1)及び連通孔(4)を通る冷媒流量は少なくなってしまう。
【0047】
<冷媒排出側の冷媒マニホールド>
図5及び図7等に示すように、後方に向かって、右側に配置される冷媒排出側の冷媒マニホールド1では、左側の冷媒供給側の冷媒マニホールド1と比較して、冷媒の流れの向きが逆になるものの、同様の作用効果を得ることができる。
すなわち、図7に示すように、4本の冷媒排出用連通孔50fの中心を通る軸線A3と、外部連通孔21の軸線A1とは、非平行かつ非垂直の関係、つまり、ねじれの関係にあるため、4本の冷媒排出用連通孔50fから、4つの脚部30の脚部連通孔31を介して、マニホールド室11に送り込まれた冷媒は、このマニホールド室11で旋回流等を発生させる。これにより、冷媒が、脚部連通孔31から外部連通孔21に、直接的に流れ込みにくくなる。
【0048】
したがって、各脚部連通孔31からマニホールド室11に流れ込む冷媒の流量は略同一となる。よって、カソードセパレータ62の冷媒流路62bから4本の冷媒排出用連通孔50fに流れ込む冷媒の流量は略同一となる(図4参照)。すなわち、冷媒流路62bの全体から冷媒排出用連通孔50fに冷媒が流れ込む。つまり、冷媒流路62bには、単セル51との熱交換によって昇温した冷媒が残留しにくくなる。その結果として、冷媒が冷媒流路62bの全体に亘って流通しやすくなり、単セル51の全体を好適に冷却することができる。
【0049】
<冷媒マニホールドの製造方法>
次に、冷媒供給側の冷媒マニホールド1の製造方法について、図12を参照して説明する。
図12に示すように、冷媒マニホールド1の外形に対応した金型301、301内に、中子302と、中子303とを配置する。中子302はマニホールド室11を形成するためのものであり、中子303は脚部連通孔31を形成するためのものである(図7参照)。
ここで、中子302と中子303とは、図12に示すように、平面で相互に当接させることができるため、曲面で相互に当接する場合と比較して、中子302に対して中子303の位置決めを容易とすることができる。これにより、マニホールド室11及び脚部連通孔31が精密な位置に形成された冷媒マニホールド1を得ることができる。
【0050】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態について、図13及び図14を参照して説明する。
図13及び図14に示すように、第2実施形態に係る冷媒マニホールド2は、第1実施形態に係る冷媒マニホールド1の凸条12及び堤部13(図7、図8参照)を備えていない。ただし、前記したように、外部連通孔21と脚部連通孔31との間で、冷媒が直接的に流通しにくくさせるため、堤部13を備えることが好ましい。
【0051】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態について、図15から図18を参照して説明する。
図15から図17に示すように、第3実施形態に係る冷媒マニホールド3、3のマニホールド本体14、14は、その外形が鉛直下方に向かうほど細くなっている。そして、各冷媒マニホールド3内に形成されたマニホールド室15も、鉛直下方に向かうほど、細く(小さく)なっている。
【0052】
このような冷媒マニホールド3によれば、冷媒の供給側では、重力の影響を受けている冷媒が、マニホールド本体14の中間に配置される外部連通孔21から、マニホールド室15の下方に流れ込もうとするが、このようにマニホールド室15の鉛直下方が細くなっているので、冷媒がマニホールド室15の全体に流れ込む。これにより、マニホールド室15から、4つの脚部連通孔31を介して、4つの冷媒供給用連通孔50eに、冷媒を均等に供給することができる。
【0053】
一方、冷媒の排出側では、重力の影響を受けている冷媒が、4つの冷媒排出用連通孔50fのち、鉛直下方側の冷媒排出用連通孔50fからマニホールド室15に排出されにくくなる。これにより、冷媒の供給側において、冷媒が鉛直下方側の冷媒排出用連通孔50fに供給されにくくなる。したがって、重力の影響を受ける冷媒が鉛直下方側の冷媒排出用連通孔50fに流れ込もうとするが、このように鉛直下方側の冷媒排出用連通孔50fに供給されにくいので、冷媒を4つの冷媒供給用連通孔50eに均等に供給することができる。
【0054】
そして、図18に示すように、このようなマニホールド室15を形成する中子304は、その鉛直下方に向かうほど細くなるテーパの外周面を有している。このようなテーパ外周面を有する中子によれば、冷媒マニホールド3の製造過程において、マニホールド本体14の胴部分となる筒状の胴体16から、容易に抜き取ることができる。これにより、冷媒マニホールド3の製造が容易となる。
【0055】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のような変更をすることができる。
前記した実施形態では、前記した実施形態では、冷媒マニホールド1、1が取り付けられる燃料電池スタック50は、4本の冷媒供給用連通孔50eと、4本の冷媒排出用連通孔50fを備えたが、これに限定されず、冷媒供給用連通孔50e及び冷媒排出用連通孔50fの少なくとも一方が、複数本であればよい。そして、冷媒マニホールド1の脚部30及び脚部連通孔31の数は、これに対応させればよい。
【0056】
前記した実施形態では、マニホールド室11は、切り欠かれた円柱状であり、燃料電池スタック50内の冷媒供給用連通孔50e及び冷媒排出用連通孔50fに対して垂直な関係であるとしたが、冷媒を分配又は集合させることができれば、この位置関係及び形状に限定されない。
また、前記した実施形態では、外部連通部20及び外部連通孔21が1つである場合を例示したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、これに限定されず、複数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態に係る燃料電池自動車の斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る燃料電池スタックの斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る燃料電池スタックの分解斜視図である。
【図4】図3に示すカソードセパレータを後方から見た斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る燃料電池スタック及び冷媒マニホールドの正面図である。
【図6】第1実施形態に係る燃料電池スタック及び冷媒マニホールドの図2に示すX1方向からの矢視図である。
【図7】第1実施形態に係る冷媒マニホールドの図6におけるY1−Y1線断面図である。
【図8】第1実施形態に係る冷媒マニホールドの斜視図である。
【図9】第1実施形態に係る冷媒マニホールドの一効果を示すグラフである。
【図10】(a)は比較例1に係る冷媒マニホールドの正面図であり、(b)はその冷媒流量を示すグラフである。
【図11】(a)は比較例2に係る冷媒マニホールドの正面図であり、(b)はその冷媒流量を示すグラフである。
【図12】第1実施形態に係る冷媒マニホールドの製造方法を示す断面図である。
【図13】第2実施形態に係る冷媒マニホールドの断面図である。
【図14】第2実施形態に係る冷媒マニホールドの斜視図である。
【図15】第3実施形態に係る燃料電池スタック及び冷媒マニホールドの正面図である。
【図16】第3実施形態に係る燃料電池スタック及び冷媒マニホールドの図2に示すX1方向からの矢視図である。
【図17】(a)は、第3実施形態に係る冷媒マニホールドの図15におけるY2−Y2線断面図であり、(b)はY3−Y3線断面図である。
【図18】第3実施形態に係る冷媒マニホールドの製造工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 冷媒マニホールド
10 マニホールド本体
11 マニホールド室
12 凸条
13 堤部(リブ)
20 外部連通部
21 外部連通孔
30 脚部
31 脚部連通孔
50 燃料電池スタック
50e 冷媒供給用連通孔
50f 冷媒排出用連通孔
51 単セル
52 MEA
53 固体高分子膜
54 アノード
55 カソード
61 アノードセパレータ
62 カソードセパレータ
62b 冷媒流路
A1 外部連通孔の軸線
A2 冷媒供給用連通孔の軸線
A3 冷媒排出用連通孔の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単セルが積層して構成され、
その積層方向において、複数の冷媒供給用連通孔と、冷媒排出用連通孔とを有し、
冷媒が、前記複数の冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに取り付けられ、前記複数の冷媒供給用連通孔に冷媒を分配する冷媒マニホールドであって、
前記複数の冷媒供給用連通孔に連通し、当該複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を有するマニホールド本体と、
前記マニホールド室と外部とを連通させる外部連通孔を有する外部連通部と、
を備え、
前記外部連通孔の中心を通る軸線と各前記冷媒供給用連通孔の中心を通る軸線とは、非平行かつ非垂直であることを特徴とする冷媒マニホールド。
【請求項2】
複数の単セルが積層して構成され、
その積層方向において、冷媒供給用連通孔と、複数の冷媒排出用連通孔とを有し、
冷媒が、前記冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記複数の冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに取り付けられ、前記複数の冷媒排出用連通孔からの冷媒を集合させる冷媒マニホールドであって、
前記複数の冷媒排出用連通孔に連通し、当該複数の冷媒排出用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を有するマニホールド本体と、
前記マニホールド室と外部とを連通させる外部連通孔を有する外部連通部と、
を備え、
前記外部連通孔の中心を通る軸線と各前記冷媒排出用連通孔の中心を通る軸線とは、非平行かつ非垂直であることを特徴とする冷媒マニホールド。
【請求項3】
前記外部連通孔と前記燃料電池スタック内の複数の連通孔との間において、冷媒が直接的に流通しにくくさせるべく、前記マニホールド室を取り囲む内周面に立設したリブを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷媒マニホールド。
【請求項4】
前記配列方向において、前記外部連通孔と、前記燃料電池スタック内の複数の連通孔とは、ずれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷媒マニホールド。
【請求項5】
前記配列方向において、前記外部連通孔は、前記燃料電池スタック内の複数の連通孔のうちの最外側の2つの連通孔の間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の冷媒マニホールド。
【請求項6】
前記外部連通部は、前記マニホールド室を挟んで前記燃料電池スタックとは反対側に配置されると共に、外側に開いていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷媒マニホールド。
【請求項7】
前記燃料電池スタック内の複数の連通孔の配列方向は鉛直方向であって、
前記マニホールド室は鉛直下方に向かうほど小さくなっていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷媒マニホールド。
【請求項8】
前記マニホールド本体が前記燃料電池スタックの内側にオフセットしていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の冷媒マニホールド。
【請求項9】
複数の単セルが積層して構成され、
その積層方向において、複数の冷媒供給用連通孔と、冷媒排出用連通孔とを有し、
冷媒が、前記複数の冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに対して、
冷媒を、1つの外部連通孔から、前記複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を介して、前記複数の冷媒供給用連通孔に分配して供給する冷媒供給方法であって、
前記マニホールド室において冷媒の旋回流を発生させながら、前記複数の冷媒供給用連通孔に供給することを特徴とする冷媒供給方法。
【請求項10】
複数の単セルが積層して構成され、
その積層方向において、冷媒供給用連通孔と、複数の冷媒排出用連通孔とを有し、
冷媒が、前記冷媒供給用連通孔、前記複数の単セル、前記複数の冷媒排出用連通孔の順に流れる燃料電池スタックに対して、
冷媒を、前記複数の冷媒排出用連通孔から、前記複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室で集合させ、外部に通じる1つの外部連通孔に排出する冷媒排出方法であって、
前記マニホールド室において冷媒の旋回流を発生させながら、前記1つの外部連通孔に排出することを特徴とする冷媒排出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−273447(P2007−273447A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347573(P2006−347573)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】