説明

冷暖房パネル用配管装置

【課題】薄型で床下地材の上に容易に施工可能であり、施工性が良くコストも安価な冷暖房パネル用配管装置を提供する。
【解決手段】熱交換用流体が流れる熱交換パイプ26と、熱交換パイプ26における熱交換用流体の供給側と戻り側に各々各々接続された扁平管30を備えた輻射冷暖房パネル14を有する。扁平管30に一端が接続され熱交換用流体の流路の屈曲部に配置された長さの異なる複数の柔軟なホース32を備える。扁平管30は、各ホース32の他端部が接続される接続口30a,30bを備えるとともに、輻射冷暖房パネル14の厚み内に位置する。複数のホース32は、屈曲部の内側に長さの短い方のホースが位置して、輻射冷暖房パネル14の厚み内に配置され、熱交換パイプ26は複数のホース32及び扁平管30を介して外部の熱源と連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の床面や壁面等に輻射冷暖房用の熱交換パイプを施工する冷暖房パネル用配管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の床冷暖房用のパネルを一体化して床下に施工した装置として、特許文献1に示されるように、室内の床面に複数の熱放熱パイプから成る冷暖房用のパネルユニットを一体に設けて、床冷暖房を行う装置がある。この冷暖房用パネルユニットは、樹脂等により形成され、断面形状が扁平に形成され熱交換用流体の供給側及び戻り側のメインパイプと、各メインパイプ間に端部が溶着されて連通した複数の細い熱交換パイプとからなるパイプユニットを有している。各メインパイプおよび熱交換パイプは、床の化粧板の下地材となる収納板に収納され、熱交換流体の流量を確保するための主配管の太いパイプは床下に配置され、連結ホースや主配管との接続部が床下に設けられているものである。また、メインパイプにつながる各配管のコーナー部には、連結具とエルボが設けられ、直線状の配管と接続している。
【特許文献1】特開2002−13749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の技術の場合、床下地材をパイプ収納用の専用の収納板により構成し、主配管や配管の接続部を床下に設けているので、設備コストがかかるとともに、配管が面倒であり、新築家屋にしか施工できなかったり、施工工数が掛かることから、施工コストや施工期間が長くなると言う問題があった。また、冷暖房パネル間の接続部分は、流路抵抗が小さくなるように、できるだけ内径の大きい管が好ましく、太い配管は床下にしか配置できないものであった。さらに、配管の接続において、コーナー部には専用のエルボや接続口を必要とし、部品点数が多く、この面でも施工工数及びコストが掛かるものであった。
【0004】
この発明は、上記従来技術の問題に鑑みて成されたもので、薄型で床下地材の上に容易に施工可能であり、施工性が良くコストも安価な冷暖房パネル用配管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、熱交換用流体が流れる熱交換パイプと、この熱交換パイプにおける熱交換用流体の供給側と戻り側に各々各々接続された扁平管を備えた輻射冷暖房パネルを有し、前記扁平管に一端が接続され熱交換用流体の流路の屈曲部に配置された長さの異なる複数の柔軟なホースを備え、前記扁平管は、前記各ホースの他端部が接続される接続口を備えるとともに、前記輻射冷暖房パネルの厚み内に位置し、前記複数のホースは、屈曲部の内側に長さの短い方のホースが位置して、前記輻射冷暖房パネルの厚み内に配置され、前記熱交換パイプは前記複数のホース及び前記扁平管を介して外部の熱源と連結される冷暖房パネル用配管装置である。
【0006】
前記ホース及び扁平管は、輻射冷暖房パネルとスペーサとの間の収納溝等の空間内に位置したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の冷暖房パネル用配管装置は、薄く形成され、床下地材等の上に冷暖房用パネルを施工可能であり、さらに、外部への接続や配管も床下地材等の上で行うことができ、施工性が極めて良いものである。しかも、扁平管を用いることにより、熱交換用流体の流量は、十分に流すことができ、十分な冷暖房効果を得ることができる。扁平管の接続部においても、床下地材等の上に冷暖房用パネルを施工可能である。これにより、既存住宅への施工が容易となり、施工期間も短く、コストも安価に提供可能なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の冷暖房パネル用配管装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の冷暖房パネル用配管装置は、屋内床下地材の上に施工されるもので、図1〜図6は、この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置10を示す。この実施形態の冷暖房パネル用配管装置10は、図1〜図3に示すように、構造用合板等により形成された床下地材12の上に施工される。床下地材12は、図示しない根太の上に敷設され、床下地材12の表面側には、薄いパネル状に一体化された輻射冷暖房パネル14が設けられ、この輻射冷暖房パネル14の互いに対向する辺の両端側に位置した一対の配管接続部16には、後述する熱交換用流体の配管同士を接続するゴムホース32が接続されている。
【0009】
輻射冷暖房パネル14は、長方形の収納板18を備え、長方形の一対の短辺側には、後述する各メインパイプ20,22を収容する収納部24を有している。また、輻射冷暖房パネル14の各メインパイプ20,22には、その間を結び直角方向に設けられた細い複数の熱交換パイプ26が設けられている。そして、各メインパイプ20,22と熱交換パイプ26により、一体のパイプユニット25を構成している。
【0010】
各メインパイプ20,22は、樹脂製の扁平な断面形状の扁平管であり、供給側メインパイプ20と、この供給側メインパイプ20とほぼ平行に位置し同様に形成された扁平な形状である戻り側メインパイプ22とから成る。各メインパイプ20,22は、樹脂製の中空パイプであって断面が長方形で、断面形状の長辺と短辺の比が例えば1:3程度に形成されている。この比率は、適宜1:2〜1:4程度であれば好ましい。熱交換パイプ26は、収納板18の両端部の収納部24から直角方向に一定間隔で延びた収納溝28に嵌合している。
【0011】
パイプユニット25を収容し位置決めされた収納板18の表面側には、熱交換パイプ26を覆って表面に貼付された図示しないアルミニウムのラミネートシート等の均熱シート29が貼られて、一枚の輻射冷暖房パネル14が一体的に設けられている。
【0012】
輻射冷暖房パネル14の両端部の各メインパイプ20,22の端部に位置した配管接続部16は、厚みを薄くしつつ流量を稼ぐために、図4に示すように、複数の接続口16a,16bが並べて設けられている。接続口16a,16bは、既存のカップリング部材や専用に複数の口金を一体化したものでも良く、Oリング等を用いて液密状態で配管同士を接続可能なものであれば良い。
【0013】
輻射冷暖房パネル14は、外部との接続に柔軟なホースであるゴムホース32が用いられ、輻射冷暖房パネル14の接続口16a,16bには、一対のゴムホース32の嵌合部32a,32bが嵌合され、図2,図5,図6に示すように、ゴムホース32が90°または180°方向に湾曲されている。このとき、短い方のゴムホース32を湾曲の内側に配置する。ゴムホース32の他端の嵌合部32a,32bには、樹脂製で断面が長方形の扁平な扁平管30の接続口30a,30bが接続されている。扁平管30は、樹脂製の中空パイプであって断面が長方形であり、断面形状の長辺と短辺の比は、各メインパイプ20,22と同様に、例えば1:3程度に形成されている。この比率は、適宜1:2〜1:4程度であれば好ましい。
【0014】
なお、扁平管30と各メインパイプ20,22は同じ断面形状の管を兼用しているが、複数の各メインパイプ20,22に連結された扁平管30は流量を確保するために、断面の短辺が同じで長辺をより長い形状の扁平管にして、断面積が大きいものにしても良い。また、扁平管であるメインパイプ間に、熱交換パイプが蛇行したパイプユニットでも良い。
【0015】
輻射冷暖房パネル14の各メインパイプ20,22の各接続口16a,16bに接続された供給側及び戻り側の各扁平管30は、図2に示すように輻射冷暖房パネル14の一側縁部の隣接する箇所に導かれ、コネクタ34を介して外部の配管と接続される。また、床下地材12の表面で、輻射冷暖房パネル14が位置しない部分には、高さを合わせて扁平管30やゴムホース32を収容して保護するための収納溝31を形成するスペーサ15が設けられている。
【0016】
この実施形態の輻射冷暖房パネル14は、床下地材12の表面側に施工可能であり、さらにその表面側には、化粧板40が貼り付けられる。また、施工においては、図2に示すように、輻射冷暖房パネル14を複数並べて、各配管接続部16同士を複数のゴムホース32で連結し、必要な枚数連結した両端部のうちの一方を閉鎖し、他方の配管接続部16にゴムホース32を連結して、扁平管30を介して外部接続部であるコネクタ34に繋ぐ。このとき、輻射冷暖房パネル14の互いに反対側のメインパイプ20,22は、対角になる位置に配管接続部16を設ける。
【0017】
この実施形態の冷暖房パネル用配管装置10は、全体として熱交換用流体の配管が、輻射冷暖房パネル14の厚みの範囲内に薄く形成され、床下地材12の上に輻射冷暖房パネル14、扁平管30、及びゴムホース32を施工可能であり、さらに、外部への接続や各輻射冷暖房パネル14の配管も床下地材12の上で、2本のゴムホース32を用いて行うことができ、極めて薄い空間内に施工可能である。しかも、熱交換用流体の流量を十分に得ることができる。さらに、床下地材12の上で全ての作業が可能であり、施工性が極めて良いものである。これにより、既存住宅への施工が容易となり、施工期間も短く、コストも安価なものである。同様に、図1の扁平管30とコネクタ34との屈曲した接続部においても、長さの異なるゴムホース32を用いて湾曲させて接続することにより、同様の効果を得ることができる。
【0018】
なおこの発明の冷暖房用パネル装置は、床暖房以外に壁面や天井面を利用したものでも良く、冷房用に用いても良い。扁平管はメインパイプと兼用した同形状のものの他、輻射冷暖房パネルの厚さ内に収まるものであれば、異なる断面積のものでも良い。また、熱交換パイプは、メインパイプに多数接続された細いパイプの他、蛇行させた1又は複数の熱交換パイプでも良く、輻射冷暖房パネルの表面側と熱交換可能なものであればよい。また、供給側メインパイプの上流側と戻り側メインパイプの下流側に接続される管路は、扁平管の他、フレキシブルなホースでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置を施工した状態の外部との接続部を示す概略斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置を施工した状態の平面図である。
【図3】この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置を施工した状態の部分破断斜視図である。
【図4】この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置の配管接続部を示す部分破断横断面図である。
【図5】この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置のゴムホースを90°湾曲させて配置した状態を示す平面図である。
【図6】この発明の一実施形態の冷暖房パネル用配管装置のゴムホースを180°湾曲させて配置した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 冷暖房パネル用配管装置
12 床下地材
14 輻射冷暖房パネル
16 配管接続部
16a,16b,30a,30b 接続口
18 収納板
20 供給側メインパイプ
22 戻り側メインパイプ
24 収納部
25 パイプユニット
26 熱交換パイプ
28,31 収納溝
30 扁平管
32 ゴムホース
32a,32b 嵌合部
34 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換用流体が流れる熱交換パイプと、この熱交換パイプにおける熱交換用流体の供給側と戻り側に各々接続された扁平管とを備えた輻射冷暖房パネルを有し、前記扁平管に一端が接続され熱交換用流体の流路の屈曲部に配置された長さの異なる複数の柔軟なホースを備え、前記扁平管は、前記各ホースの他端部が接続される接続口を備えるとともに、前記輻射冷暖房パネルの厚み内に位置し、前記複数のホースは、屈曲部の内側に長さの短い方のホースが位置して、前記輻射冷暖房パネルの厚み内に配置され、前記熱交換パイプは前記複数のホース及び前記扁平管を介して外部の熱源と連結されることを特徴とする冷暖房パネル用配管装置。
【請求項2】
前記ホース及び扁平管は、輻射冷暖房パネルとスペーサとの間の空間内に位置したことを特徴とする請求項1記載の冷暖房パネル用配管装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−121726(P2009−121726A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294241(P2007−294241)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000134534)株式会社トヨックス (122)
【Fターム(参考)】