説明

冷蔵庫

【課題】減圧することなく、食品の脱水処理を行い、冷蔵庫内に保存する食品を高品質に維持する冷蔵庫を提供する。
【解決手段】開閉可能な扉201を有し、食品を保存する切替室200と、切替室200内を冷却する低温空気を生成する冷却手段と、切替室200に投入された食品に高周波を照射する高周波照射手段(高周波給電装置14,アンテナ13)と、切替室200に低温空気を送風する送風ファン5と、を備え、高周波照射手段と送風ファン5との両方を駆動して切替室200内の食品の脱水処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を高品質に保存することができる冷蔵庫に関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、食品のまとめ買い、食品の多様化、作り置き、食品ストックなどをする家庭は増加傾向にあり、家庭用冷蔵庫のニーズとして、大容量化が求められている。また一方では、食品のおいしさ、安全性、保存品質への消費者意識の高まりから、食品の保存状態に対する要求は増している。食品を高品質に保存する方法として、保存前に脱水処理を行う方法が知られている。食品中の水分をある程度除くことで、食品を冷凍する場合には、氷結晶による細胞の損傷を抑制することができ、食品を高品質に維持することができる。また、ドリップに相当する余分な水分を脱水することによって、冷凍時や冷蔵時におけるドリップの発生も抑えることができる。
【0003】
従来、このような脱水処理が可能な乾燥手段を備えた貯蔵庫として、特許文献1が挙げられる。特許文献1は、凍結工程において食品と接する気体空間の圧力を凍結雰囲気変動させることにより、食品表面の水分の気化を促進し、食品の水分を減少させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−39000号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、食品を置くケース全体を密閉構造化して減圧するため、乾燥させる食品のみを置く専用室となる。よって、乾燥させたくない食品や、減圧に不向きな食品などを、一緒に保存することができなかった。このため、大容量化が望まれているにもかかわらず、他の食品を保存できないデッドスペースができてしまい、使い勝手が悪かった。
【0006】
本発明は、上記に示すような問題を解決するためになされたものであり、減圧することなく食品の脱水処理を行い、冷蔵庫内に保存する食品を高品質に維持することが可能な冷蔵庫を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る冷蔵庫は、開閉可能な扉を有し、食品を保存する貯蔵室と、貯蔵室内を冷却する低温空気を生成する冷却手段と、貯蔵室に投入された食品に高周波を照射する高周波照射手段と、貯蔵室に低温空気を送風する送風手段と、を備え、高周波照射手段と送風手段との両方を駆動して貯蔵室内の食品の脱水処理を行うものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食品に高周波を照射しながら送風を行うことにより、食品全体から均一に水分を奪って脱水することができ、食品を高品質に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る切替室部分の側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の制御系統概略図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の運転制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る切替室部分の側断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る冷蔵庫の制御系統概略図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る冷蔵庫の運転制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1、2に係る切替室部分の側断面図である(その1)。
【図10】本発明の実施の形態1、2に係る切替室部分の側断面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。
冷蔵庫本体1は、冷蔵室100と、切替室200と、製氷室300と、冷凍室400と、野菜室500等を備えている。冷蔵室100は、冷蔵庫本体1の最上部に配置されている。切替室200は、冷蔵室100の下方に配置され、冷凍温度帯(−18℃)から冷蔵、野菜、チルド、ソフト冷凍(約−5、−7、−9℃)などの各温度帯に切り替え可能な部屋である。製氷室300は、切替室200と並列に配置されている。冷凍室400は、切替室200と製氷室300の下方に配置されている。野菜室500は、冷蔵庫本体1の最下部に配置されている。冷蔵室100は開閉式の扉101により開閉され、切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500はそれぞれ引き出し式の扉201,301,401,501により開閉される。また、冷蔵室100の正面の扉101表面には、各室の温度や設定を調節する操作スイッチと、各室の温度などを表示する液晶表示部などとから構成される操作パネル1aが設けられている。なお、操作パネル1aは冷蔵庫の中、例えば冷蔵室の側面に設置されていても構わない。また、各貯蔵室100,200,300,400,500にはそれぞれ、各貯蔵室内の温度を検知する例えばサーミスタで構成された温度センサ16(後述の図3、図4参照)が備えられている。
【0011】
図2は、図1の冷蔵庫の側断面図である。
冷凍室400には収納ケース402が設置されており食品を収納することができる。切替室200にも収納ケース202が設置されており食品を収納することができる。野菜室500にも同様に収納ケース502が設置されており、食品を収納することができる。なおケース数は1個でもよいが、冷蔵庫全体の容量からして整理性などが向上する場合には2個以上あっても構わない。
【0012】
冷蔵庫本体1の背面上部には、制御装置2が配置されている。また、冷蔵庫本体1の背面下部に、冷却器3、圧縮機4及び送風ファン5が配置されている。冷却器3と圧縮機4等で構成される冷却手段の冷却器3により冷却された冷気(低温空気)は、風路6内に設けた送風ファン5により冷蔵室100と、切替室200と、製氷室300と、冷凍室400と、野菜室500へと送風され、各貯蔵室を冷却する。各貯蔵室100,200,300,400,500を冷却し終えた冷気は、冷却器3の元へ戻り再び冷却され、送風ファン5により各貯蔵室100,200,300,400,500へ供給される。また、詳細図示していないが、冷蔵室100には冷蔵室用帰還風路が連通しており、冷蔵室100内を冷却し終えた冷気を冷蔵室用帰還風路から風路6を介して冷蔵室100に戻す循環風路が形成されている。また、野菜室500にも同様に、野菜室用帰還風路が連通しており、野菜室500内を冷却し終えた冷気を冷蔵室用帰還風路から風路6を介して野菜室500に戻す循環風路が形成されている。また、風路6内には、開閉可能なダンパ7(後述の図4参照)が設けられている。
【0013】
制御装置2は、各貯蔵室に設置された温度センサ16により各貯蔵室の温度を検知し、予め設定された温度になるように、風路6に設置されたダンパ7の開度や圧縮機4の出力および送風ファン5の送風量を調整する。
【0014】
図3は、本発明の実施の形態1に係る切替室200部分の側断面図である。図3において、図2と同一部分には同一符号を付す。
切替室200の背面には、冷却器3からの冷気が切替室200内部に吹き出される吹き出し口10と、切替室200内部を冷却後の冷気が戻される戻り口11とが開口されている。吹き出し口10と戻り口11には、金属のパンチングメタルなどで構成される微小格子板(高周波漏洩防止板)12が配置されている。送風ファン5から風路6を通って運ばれてきた冷気は、微小格子板12を介して切替室200に流入・流出される。
【0015】
微小格子板12は、後述の高周波給電装置14に接続されたアンテナ13より放射された高周波が圧縮機4や冷却器3などの装置が配置された背面や、他の貯蔵室に伝播するのを遮断するもので、複数の開口穴を有する金属のパンチングメタルなどで構成される。
【0016】
切替室200の下部には、高周波給電装置14を収容した収納ボックス15が配置されており、その収納ボックス15上には、食品を置くことができる収納ケース202が配置されている。また、切替室200内には、庫内の空気温度(以下、庫内温度という)を検出する温度センサ16が配置されている。
【0017】
高周波給電装置14は、半導体素子やマグネトロンにより高周波を給電する装置であり、収納ボックス15に収容されて切替室200内に配置されている。高周波給電装置14は食品の脱水処理を行うためのもので、食品中の水分に高周波エネルギーを与えることで食品の脱水処理を行うものである。高周波給電装置14にアンプやアイソレータを装着することで、高周波出力を高めたり、反射波による装置の自己発熱を防止することも可能である。
【0018】
高周波給電装置14にて発生した高周波は、同軸ケーブルや導波管などの送電手段を介してアンテナ13に送電され、アンテナ13から切替室200内部に放射される。アンテナ13は、放射部の長さを波長の1/2に設定した金属製のダイポールアンテナにて構成する。放射面を収納ケース201に向けて設置することで、貯蔵された食品に対して高周波を放射することが可能となる。なお、アンテナ13の形状例はあくまで一例であり、放射する出力や指向性、設置寸法により適宜選択して使用する。アンテナ13は、モータや動力伝達装置により構成されたアンテナ用駆動装置13a(後述の図4参照)に連結され、アンテナ用駆動装置13aの制御により、アンテナ13から放射される高周波の放射方向を変化させることが可能となっている。この構成により、収納ケース201内に満遍なく高周波を放射させたり、一部分を狙って放射させたりすることが可能となっている。高周波給電装置14と高周波給電装置14からの高周波を放射するアンテナ13により高周波照射手段が構成されている。
【0019】
上記のような構成により、切替室200内では、収納ケース201に置かれた食品に送風ファン5による風が送風されると共に、高周波給電装置14にて発生した高周波が照射される。これにより、低温低湿の空気が送風ファン5により食品表面に送られ、食品表面から水分を奪う。また、食品中の水分は高周波エネルギーを吸収して分子運動が励起されているため食品表面に移動する。よって、送風と高周波照射を同時に行うことにより、結果的に食品全体から均一に水分を奪うことができ、食品の脱水処理を行うことができる。また、高周波により食品の水分にエネルギーを与えるが、低温空気の送風を行うことで、食品温度は変質する温度まで上昇することはない。高周波給電装置14で発生する高周波としては、高周波を食品中の水分に効率的に吸収させる必要があり、例えば、915MHz付近や2450MHz付近が好適である。
【0020】
また、水は、マイクロ損失係数が氷のそれよりも大きく、マイクロ波を吸収しやすい。そのため、高周波をマイクロ波とすると、切替室200内に凍結温度以下の食品と凍結温度よりも高温の食品が貯蔵されている場合には、凍結温度よりも高温の食品のみが高周波を吸収する。よって、切替室200内の雰囲気温度が食品の凍結温度以下である場合、あらかじめ保存されて凍結している食品には高周波が吸収されず、新規に投入された食品のみが高周波を吸収する。このため、他の食品に影響を与えることなく、脱水処理を行うことができる。
【0021】
また、アンテナ13の向きを調整するアンテナ用駆動装置13aの制御により、上述したように高周波を一部分に狙って放射することが可能であるため、脱水処理を行うエリアを選択可能にすることができる。よって、切替室200内の雰囲気温度が凍結点以上の場合、または、凍結点以下であっても凍らない状態である過冷却状態の場合であっても、他の食品に影響を与えることなく脱水を行いたい食品だけを脱水することができる。エリア選択方法は、例えば、操作パネル1a上にエリア選択ボタンを設け、使用者により任意に選択可能とする。
【0022】
また、切替室200内には含水率検知装置17が設けられ、収納ケース201に置かれた食品の含水率を検知することができる。これにより、食品が所望の含水率に到達することを検知することができ、脱水のしすぎなど、脱水により食品が劣化することを防ぐことができる。含水率検知装置17には従来公知の装置を採用でき、例えば、近赤外線などによる非接触方式により含水率を検知する装置を採用する。非接触方式は、食品から発生する赤外線量を検出する赤外線検出手段により、予め設定された時間内における赤外線の変化量を算出し、その算出結果に基づいて食品の含水率を算出するものである。また、含水率検知装置17として、収納ケース201の下部に重量センサを配置し、食品の重量の変化から含水率の変化を算出するようにしてもよい。
【0023】
扉201の近傍には、扉201の開閉を検知する扉開閉検知スイッチ18が設けられている。この扉開閉検知スイッチ18は、例えばマイクロスイッチから構成され、高周波給電装置14へ電源を供給する回路を導通/遮断するのに利用される。すなわち、扉201の閉状態にて扉開閉検知スイッチ18が閉じられて電源供給回路が導通し、扉201の開状態にて扉開閉検知スイッチ18が開かれて電源供給回路が遮断状態となる。これにより、扉201が開かれる瞬間、直ちに高周波給電装置14への通電が解除され、切替室200外への高周波漏洩が防止される。
【0024】
切替室200の開口部端面と扉201との当接部には、切替室200の開口部端面の周囲全体に渡って導電性のパッキン(以下、導電パッキン19という)が配置されている。なお、導電パッキン19は切替室200と扉201のいずれか一方に設けられていればよい。この導電パッキン19は、切替室200と扉201とを空間的にも電気的にも密閉する効果を有し、冷気の漏洩と高周波の漏洩の双方を防止する。
【0025】
導電パッキン19は、弾性ゴム部材に金属を練りこんだり、パッキン表面を金属で塗装することにより導電性が付与されたものである。なお、導電性が高いほうが、高周波漏洩の防止効果が高くなる。また、切替室200の内面は高周波を反射し易くするため導電性を付与して構成する。このため、切替室200の内面は、ステンレス、アルミ、鋼板などで構成するのが好ましい。樹脂の表面に対して金属蒸着などを実施することによって導電性を付与することもできる。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の制御系統概略図である。
制御装置2はマイクロコンピュータで構成され、CPUと、各種データを記憶するRAMと、運転制御を行うためのプログラム等を記憶するROM(何れも図示せず)とを備えており、ROM内のプログラムに従って冷蔵庫全体を制御する。
【0027】
制御装置2には、各貯蔵室に設置された温度センサ16、圧縮機4、送風ファン5、ダンパ7及び操作パネル1aが接続されている。また、制御装置2には更に、高周波給電装置14、高周波給電装置14のアンテナ13の向きを調整するアンテナ用駆動装置13a、含水率検知装置17及び扉開閉検知スイッチ18が接続されている。
【0028】
図5は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の運転制御の一例を示すフローチャートである。
操作パネル1a上に設けられた脱水処理ボタンがONされると(S101)、制御装置2は含水率検知装置17にて食品の含水率検知を行い、初期含水率W0を取得する(S102)。扉開閉検知スイッチ18により扉201が開放されていないことを検知したら(S103のno)、制御装置2は、高周波給電装置14の出力をONにし、切替室200内の食品に高周波照射を行う(S104)。それと同時に、制御装置2は送風ファン5の回転数Wを、通常運転時のw0よりも上昇させる(S105)。
【0029】
そして、再び含水率検知を行い(S106)、含水率Wが目標含水率Wxに到達したかを判断する(S107)。目標含水率Wxに到達していなければ、ステップS103に戻って(S107のno)、脱水処理を継続する。目標含水率Wxに到達したら(S107のyes)、高周波給電装置14の出力をOFFにし(S108)、送風ファン5の回転数Wを、通常運転時のw0に戻して(S109)、脱水処理を終了する。脱水処理中に、扉201が開放された場合(S103のyes)は、ただちに高周波給電装置14の出力をOFFにし(S110)、扉201が閉められたら、引き続き、脱水処理を行う。
【0030】
脱水処理終了の判定は、含水率検知結果のみに限るものではなく、あらかじめ設定した所定時間の経過により判定してもよい。
【0031】
以上説明したように本実施の形態1によれば、食品に高周波を照射しながら送風を行うことにより、食品全体から均一に水分を奪って効率的に脱水することができ、食品を高品質に維持することができる。
【0032】
また、アンテナ13の向きを調整するアンテナ用駆動装置13aを設け、アンテナ用駆動装置13aを制御してアンテナ13から放射される高周波の放射方向を変更可能とした。これにより、収納ケース201内に満遍なく高周波を放射させたり、一部分を狙って放射させたりすることが可能である。
【0033】
また、高周波を一部分に狙って放射させるようにし、その放射方向を操作パネル1a等により選択的に切り替え可能とすることで、切替室200内に、含水率を低下させる食品を置くエリアを選択可能に設けることが可能である。よって、乾燥させたくない食品が一緒に切替室200内に貯蔵されていても、その中で乾燥させたい食品を狙って脱水処理を行うことができ、使い勝手の良い冷蔵庫を得ることができる。また、乾燥させたくない食品も一緒に切替室200内に保存することが可能なため、脱水処理用の専用室とする必要が無く、切替室200内のスペースを効率的に使用することができる。
【0034】
また、切替室200に空気が流入するための流入口と流出するための流出口に、高周波漏洩防止板としての微小格子板12を設けたので、アンテナ13より放射された高周波が圧縮機4や冷却器3などの装置が配置された背面や、他の貯蔵室に伝播するのを遮断することができる。
【0035】
また、扉開閉検知スイッチ18により扉201が開放されたことを検知した場合には、高周波照射を停止させるようにしたので、切替室200外へ高周波が漏洩することを防止できる。
【0036】
また、切替室200内に設けた含水率検知装置17により食品の含水率をチェックし、所定の含水率に到達したとき高周波照射を停止するようにしたので、食品を所望の脱水状態まで脱水することができる。よって、食品の含水率を、食味に影響のない程度、数パーセント低下させることができ、高品質な食品保存が可能である。
【0037】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る切替室200部分の側断面図である。また、図7は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の制御系統概略図である。なお、図6及び図7において、図2及び図3に示した実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付す。
切替室200内には、新たに投入された食品の位置を検知することができる位置検知手段20が設けられている。位置検知手段20は、冷気の影響を受けにくい切替室200の天井面付近に設置される。位置検知手段20は、例えば赤外線センサ等の表面温度測定装置であり、切替室200内に収納した食品の表面温度を検出し、温度の変化から新たに投入された食品の位置を検知するものである。
【0038】
図6において、切替室200内に食品Aが新たに投入されると、位置検知手段20により食品Aの位置を検知し、その位置に高周波を集中させるように、高周波の放射方向を変化させる。これにより、脱水処理を行うエリアを自動的に選択することができ、切替室200内に保存されている他の食品に影響を与えることなく、新規投入品のみに脱水処理を行うことができる。
【0039】
図8は、本発明の実施の形態2に係る冷蔵庫の運転制御の一例を示すフローチャートである。
操作パネル1a上に設けられた脱水処理ボタンがONされると(S201)、制御装置2は位置検知手段20にて食品の位置検知を行い(S202)、取得した位置情報に高周波が照射されるようにアンテナ用駆動装置13aを制御し、高周波の放射方向を調整する(S203)。扉開閉検知スイッチ18により、扉201が開放されていないことを検知したら(S204のno)、高周波給電装置14の出力をONにし、高周波照射を行う(S205)とともに、時間積算を開始する。また同時に、送風ファン5の回転数Wを、通常運転時のw0よりも上昇させる(S206)。そして、所定時間が経過したか否かを判断し(S207)、所定時間が経過していなければ、ステップS204に戻って(S207のno)、脱水処理を継続する。所定の時間が経過していれば(S207のyes)、制御装置2は高周波給電装置14の出力をOFFにし(S208)、送風ファン5の回転数Wを、通常運転時のw0に戻して(S209)、脱水処理を終了する。脱水処理中に、扉201が開放された場合(S204のyes)は、ただちに高周波給電装置14の出力をOFFにし(S210)、扉が閉められたら、引き続き、脱水処理を行う。
【0040】
以上説明したように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の構成部分による同一の効果が得られるとともに、位置検知手段20により新たに投入された食品の位置を検知し、その検知位置に向けて高周波照射を行うため、脱水処理を行うエリアを自動的に選択することができる。また、切替室200内に保存されている他の食品に影響を与えることなく、新規投入品のみに脱水処理を行うことができる。
【0041】
なお、以上の説明では、実施の形態1及び実施の形態2においてそれぞれ別の実施の形態として説明したが、実施の形態1及び実施の形態2の両方を実施できる冷蔵庫としてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態1又は実施の形態2の構成に、更に、図9に示すような冷気の流れ方向を可変にする電動のガイド板21を設けてもよい。これにより、新規投入品に送風する冷気量を増やすことができ、より効率的に脱水処理が可能となる。
【0043】
また、上記実施の形態1又は実施の形態2において、高周波は、超音波でもよい。超音波の場合は、超音波振動により水分の移動を促進するものであり、送風と組み合わせることで、効率的に脱水処理が可能となる。超音波を用いる場合、高周波漏洩防止のための微小格子板12などの構造が不要となるため、簡単な構成にすることができる。
【0044】
また、上記実施の形態1又は実施の形態2の構成に、更に、図10に示すように、風路6内または吹き出し口10に吸湿材22を設けてもよい。これにより、切替室200内に流入する冷気に含まれる水分を吸着することができ、より湿度の低い冷気を切替室200内に送風することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 冷蔵庫本体、1a 操作パネル、2 制御装置、3 冷却器、4 圧縮機、5 送風ファン、6 風路、7 ダンパ、10 吹き出し口、11 戻り口、12 微小格子板、13 アンテナ、13a アンテナ用駆動装置、14 高周波給電装置、15 収納ボックス、16 温度センサ、17 含水率検知装置、18 扉開閉検知スイッチ、19 導電パッキン、20 位置検知手段、21 ガイド板、22 吸湿材、100 冷蔵室、101 扉、200 切替室、201 扉、202 収納ケース、300 製氷室、301 扉、302 収納ケース、400 冷凍室、401 扉、402 収納ケース、500 野菜室、501 扉、502 収納ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な扉を有し、食品を保存する貯蔵室と、
前記貯蔵室内を冷却する低温空気を生成する冷却手段と、
前記貯蔵室に投入された食品に高周波を照射する高周波照射手段と、
前記貯蔵室に前記低温空気を送風する送風手段と、
を備え、
前記高周波照射手段と前記送風手段との両方を駆動して前記貯蔵室内の食品の脱水処理を行うことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記高周波照射手段から放射される高周波の放射方向を任意の方向に変えることができる駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室内に新たに投入された食品の位置を検知する位置検知手段を備え、該位置検知手段により検知された食品に高周波が放射されるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室は、空気が流入するための流入口と空気を流出するための流出口とを有し、前記流入口と前記流出口に、複数の開口穴を有する金属製の高周波漏洩防止板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記扉の開閉状態を検知する扉開閉検知手段を設け、前記扉が開放されたときには、前記高周波照射手段からの高周波照射を停止させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貯蔵室に投入された食品の含水率を検知する含水率検知装置を備え、所定の含水率に到達したとき、前記高周波照射手段からの高周波照射を停止させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−182690(P2011−182690A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50359(P2010−50359)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】