説明

凝固マトリックスのための結合剤

例えば、固体洗浄組成物又は他の技術において使用できる凝固マトリックスのための材料、組成物及び製造法の代わりとなるものが提供される。少なくとも幾つかの実施態様において、凝固マトリックスは、固体結合剤を生成するためにヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)又はその誘導体と水の使用によって形成される結合剤を含む。幾つかの実施態様においては、HEDTAと水を組み合わせて凝固し、固体組成物(固体組成物に所望の特性及び/又は機能性を提供する他の機能成分を含有してもよい)全体に分散される結合材料又は結合剤として作用させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体組成物の形態で製造することができる機能材料を結合するのに使用できる結合剤に関し、幾つかの特定の実施態様において、このような結合剤を含む固体洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
機関及び産業操作における凝固技術及び固体ブロック洗剤の使用は、Fernholzらの米国再発行特許第32,762号明細書及び同第32,818号明細書において開示及び特許請求されているSOLID POWER(登録商標)商標の技術が最初である。さらに、実質的に水和された炭酸ナトリウム材料を用いた炭酸ナトリウム水和物の注型固体製品が、Heileらの米国特許第4,595,520号明細書及び同第4,680,134号明細書において開示された。近年、炭酸ナトリウムとしても知られるソーダ灰などのより腐食性の低い材料から非常に有効な洗剤材料を生成することが注目されている。炭酸塩、有機酢酸塩又はホスホン酸塩成分と水を含む結合剤を用いて固体ブロック機能材料を作製できることが見出され、米国特許第6,258,765号明細書、同第6,156,715号明細書、同第6,150,324号明細書及び同第6,177,392号明細書において開示及び特許請求された。これらの異なる凝固技術のそれぞれは、幾つかの利点及び欠点を有する。当技術分野において他の凝固技術を提供することが必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は凝固技術に関し、幾つかの実施態様において、例えば、固体洗浄組成物又は他の技術において使用できる凝固マトリックスのための材料、組成物及び製造法の代わりとなるものを提供する。少なくとも幾つかの実施態様において、凝固マトリックスは、以下でより詳細に説明されるように、固体結合剤を生成するためにヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)又はその誘導体と水の使用によって形成される結合剤を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施態様においては、HEDTAと水を組み合わせて凝固し、固体組成物(固体組成物に所望の特性及び/又は機能性を提供する他の機能成分を含有してもよい)全体に分散される結合材料又は結合剤として作用させることができる。例えば、結合剤を用いて固体洗浄組成物を生成することができ、この固体洗浄組成物は、組成物の所望の特性及び/又は機能性に応じて、結合剤と、所望の機能特性を得るのに十分な相当な割合の1つ又は複数の活性及び/又は機能成分、例えば、キレート剤/金属イオン封鎖剤;無機洗剤又はアルカリ源;有機洗剤、界面活性剤又は洗浄剤;すすぎ補助剤;漂白剤;殺菌剤/抗菌剤;賦活剤;洗剤のビルダー又は増量剤;消泡剤、再付着防止剤;蛍光増白剤;染料/着臭剤;二次硬化剤/溶解度改質剤;殺虫剤及び/又は害虫駆除のための餌など、又は広範囲の他の機能材料を含む。機能材料の固体保全性は、HEDTAと水を含む結合成分の存在によって維持することができる。この結合成分は、固体全体に分布させることができ、他の機能成分を結合して安定な固体組成物にすることができる。
【0005】
幾つかの実施態様の上記要約は、本発明のそれぞれの開示された実施態様又はすべての実施を記載するものではない。以下の幾つかの実施態様の詳細な説明がこれらの実施態様の幾つかをより詳しく例示する。本発明は種々の変更及び代替の形態に適用でき、その詳細が詳述される。しかしながら、本発明は記載される特定の実施態様に限定されないと解されるべきである。それどころか、本発明は、本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更、同等なもの及び代わりとなるものを包含するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に規定される用語については、特許請求の範囲又は明細書の他のところにおいて別の規定が与えられない限り、これらの規定が適用される。
【0007】
すべての数値は、明示されるか否かにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると本明細書でみなされる。「約」という用語は、当業者が記載の値と同等とみなす(即ち、同じ作用又は結果を有する)数値範囲を一般に言うものである。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有意な数字に丸められる数を含むことがある。
【0008】
質量%(weight percent,percent by weight,wt%,wt−%,% by weightなど)は同義語であり、物質の質量を組成物の質量で割って100掛けたものとして物質の濃度を言うものである。
【0009】
端点による数値範囲の記載はその範囲内のすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、単数形(「a」、「an」及び「the」)は、本明細書において別段の断りがない限り複数のものを含む。本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、「又は」という用語は、本明細書において別段の断りがない限り「及び/又は」を含む意味で一般に用いられる。
【0011】
要約において示すように、幾つかの点で、本発明は、固体組成物及びこのような固体組成物を形成する方法に向けられる。このような組成物は、結合剤を有する凝固マトリックスを含み、任意選択で追加の機能成分又は組成物を含む。機能成分又は組成物は、従来の機能剤と、結合剤により形成される固体マトリックスにおいて製造される組成物のタイプによって変化する他の活性成分とを含むことができる。幾つかの実施態様は、種々の固体洗浄組成物を、例えば、注型固体、成形固体、押出固体、二次成形固体などとして調製するのに好適である。少なくとも幾つかの実施態様においては、結合剤は、HEDTAと水を含むか及び/又はそれらによって形成される。
【0012】
少なくとも幾つかの実施態様において、HEDTAと水を組み合わせて固体結合剤を形成できることが見出された。理論に束縛されることを望むものではないが、少なくとも幾つかの実施態様において、HEDTAと水を組み合わせてHEDTA水和物を形成し、この水和物は凝固して固体結合剤を与え、追加の機能材料が結合されて機能性固体組成物を形成することができる。固体結合剤を形成するためのHEDTAと水の使用に関する実験において、HEDTAと水から形成される別の種を含む固体組成物の形成に関する証拠が見出された。例えば、以下の例でさらに説明されるように、HEDTAと水の混合物だけで固体結合組成物を形成することができる。さらに、示差走査熱量測定(DSC)による幾つかの実施態様の分析では、HEDTAと水によって形成された別の種を含む固体結合剤の形成が示される。HEDTAは一般に公知の水溶性キレート剤であるが、凝固複合材料のための結合剤中の成分としては報告されていない。
【0013】
[結合剤]
上記のように、少なくとも幾つかの実施態様においては、結合剤は、HEDTA又はその誘導体などのキレート剤と水を含む。幾つかの実施態様においては、水とHEDTAの相対量は、凝固する結合剤を形成するために組成物内で制御することができる。例えば、幾つかの実施態様においては、結合剤を形成するために存在する水とHEDTAのモル比は、約20:1〜約1:1の範囲であることができる。幾つかの実施態様においては、水とHEDTAのモル比は、約14:1〜約1.3:1の範囲であることができ、幾つかの実施態様においては、約6:1〜約1.5:1の範囲であることができる。
【0014】
結合剤は、追加の成分又は物質、例えば、追加の機能材料を含む固体組成物を形成するのに使用することができる。したがって、幾つかの実施態様においては、結合剤(水とHEDTAを含む)は、例えば、追加の機能材料がほとんど又は全く入っていない実施態様において、組成物の合計質量の非常に少量のみを与えることができるか、又は組成物の合計質量の多量若しくはすべてでさえある量を与えることができる。例えば、幾つかの実施態様においては、結合剤の生成に用いられる水は、組成物の合計質量(結合剤+任意の追加成分)の最大約20質量%の範囲、又は幾つかの実施態様においては最大約10質量%の範囲、又は約1〜約8質量%の範囲、又は約2〜約7質量%の範囲で組成物中に存在することができる。さらに、幾つかの実施態様においては、結合剤の生成に用いられるHEDTAは、組成物の合計質量(結合剤+任意の追加成分)の最大約93質量%の範囲、又は約5〜約40質量%の範囲、又は約7.5〜約25質量%の範囲で組成物中に存在することができる。
【0015】
一般に、結合剤は、水とHEDTA成分(及び任意の追加の機能成分)を組み合わせ、これらの成分を相互作用させ凝固させることによって生成することができる。この材料が凝固すると、結合剤組成物が形成され、これらの成分を結合及び凝固することができる。これらの成分の少なくとも一部が結び付いて結合剤を形成し、残りの成分が固体組成物の残りの部分を形成する。
【0016】
幾つかの実施態様においては、含まれる場合のある任意選択の機能材料の少なくとも幾つかは、水に対してHEDTAと競合し凝固を妨害することがある成分を実質的に含まない。例えば、ある一般的な妨害物質としては、アルカリ性の供給源を挙げることができる。少なくとも幾つかの実施態様においては、組成物は、水に対してHEDTAと競合し凝固を妨害することがある成分を、凝固を妨害する量よりも少ない量で含む。
【0017】
本願の目的のためにこれを考慮して、特許請求の範囲に記載される水は、主として組成物に添加される水に関するものであり、組成物は、主として組成物中のHEDTAの少なくとも一部と水を含む結合剤に結合している。本発明のプロセス又は生成物に添加される水和水を有する化学物質(水和水は化学物質に結合したままであり、化学物質から解離して他の物質と結合することはない)は、結合剤を形成するために添加される水のこの説明において数に入れない。しかしながら、さらには、幾つかの実施態様において、例えば、凝固前又はその間の組成物の処理を促進するために、結合剤と結合しない過剰の水を含有することができると解されるべきである。
【0018】
本発明を具体化する固体又は凝集組成物及び方法は、種々の固体組成物を、例えば、注型、押出、成形又は二次成形の固体ペレット、ブロック、錠剤、粉末、顆粒、フレークなどとして調製するのに好適であり、又は二次成形された固体又は凝集物は、その後、粉末、顆粒、フレークなどに粉砕又は成形することができる。幾つかの実施態様においては、固体組成物は、50g以下の質量を有するよう成形することができ、他の実施態様においては、固体組成物は、50g以上、500g以上又は1kg以上の質量を有するよう成形することができる。本願の目的のために、「固体ブロック」という用語は、50g以上の質量を有する注型、二次成形又は押出材料を含む。固体組成物は、機能材料の安定した供給源を可能にする。幾つかの実施態様においては、固体組成物は、例えば、水性媒体又は他の媒体に溶解して濃縮及び/又は使用溶液を生成することができる。溶液は、その後の使用及び/又は希釈のために貯蔵容器に向けることができるか又は使用点に直接適用することができる。
【0019】
得られた固体組成物は、組成物に含まれる特定の機能材料に少なくとも幾らか依存して、任意の又は種々の用途において使用することができる。例えば、幾つかの実施態様においては、固体組成物は洗浄組成物を提供することができ、固体組成物の一部を、例えば、水性媒体又は他の媒体に溶解して濃縮及び/又は使用洗浄溶液を生成することができる。洗浄溶液は、その後の使用及び/又は希釈のために貯蔵容器に向けることができるか又は使用点に直接適用することができる。
【0020】
本発明を具体化する固体組成物は、種々の洗浄及び脱色用途で使用することができる。幾つかの例は、機械及び手作業の食器洗浄、乗り物の洗浄及び介護用途、つけおき洗剤、洗濯物及び織物の洗浄及び脱色、カーペットの洗浄及び脱色、表面の洗浄及び脱色、台所及び浴室の洗浄及び脱色、床の洗浄及び脱色、現場作業の洗浄、一般的な目的の洗浄及び脱色、産業又は家庭の洗浄剤、害虫駆除剤など、又は他の用途を含む。
【0021】
[追加の機能材料]
上記のように、結合剤を用いて固体組成物を形成することができ、この固体組成物は、固体組成物に所望の特性及び機能性を与える他の機能材料を含有することができる。本願の目的のために、「機能材料」という用語は、使用及び/又は濃縮溶液、例えば、水溶液に分散又は溶解されると、特定の用途において有利な特性を与える材料を含む。このような機能材料の例は、組成物の所望の特性及び/又は機能性に応じて、キレート剤/金属イオン封鎖剤;無機洗剤又はアルカリ源;有機洗剤、界面活性剤又は洗浄剤;すすぎ補助剤;漂白剤;殺菌剤/抗菌剤;賦活剤;洗剤のビルダー又は増量剤;消泡剤、再付着防止剤;蛍光増白剤;染料/着臭剤;二次硬化剤/溶解度改質剤;殺虫剤及び/又は害虫駆除用途のための餌など、又は広範囲の他の機能材料を含む。本明細書において開示される幾つかの実施態様の範囲内で、機能材料又は成分は、それらの機能特性のために凝固マトリックス中に任意選択で含まれる。結合剤は、機能材料を含むマトリックスを結合して一緒に固体組成物を形成するよう作用する。機能材料の幾つかのより具体的な例は以下により詳細に説明されるが、当業者であれば、説明される特定の材料は例としてのみ与えられるものであり、広範囲の他の機能材料が使用できることを理解するであろう。例えば、以下に説明される機能材料の多くは、洗浄及び/又は脱色用途で使用される材料に関するものであるが、他の実施態様では、他の用途で使用するための機能材料を含むことができると解されるべきである。
【0022】
[キレート剤/金属イオン封鎖剤]
固体組成物は、機能成分として1つ又は複数のキレート剤/金属イオン封鎖剤を任意選択で含むことができる。キレート剤/金属イオン封鎖剤としては、例えば、アミノカルボン酸、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリアクリレートなどを挙げることができる。一般に、キレート剤は、天然水の中に通常見出される金属イオンと配位(即ち、結合)して、金属イオンが洗浄組成物の他の洗剤成分の作用を妨げることを防ぐことができる分子である。キレート剤/金属イオン封鎖剤はまた、有効量において含まれると閾値物質として機能することができる。幾つかの実施態様においては、固体洗浄組成物は、最大約70質量%の範囲、又は約5〜60質量%の範囲のキレート剤/金属イオン封鎖剤を含むことができる。
【0023】
アミノカルボン酸の幾つかの例としては、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)(結合剤において使用されるHEDTAに加えて)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)などが挙げられる。
【0024】
縮合リン酸塩の幾つかの例としては、オルトリン酸ナトリウム及びカリウム、ピロリン酸ナトリウム及びカリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。縮合リン酸塩はまた、水和水として組成物中に存在する遊離水を固定することにより組成物の凝固を限られた範囲で補助することができる。
【0025】
組成物は、リン酸塩、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸CH3C(OH)[PO(OH)22;アミノトリ(メチレンホスホン酸)N[CH2PO(OH)23;アミノトリ(メチレンホスホネート)のナトリウム塩
【化1】

2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)HOCH2CH2N[CH2PO(OH)22;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(HO)2POCH2N[CH2CH2N[CH2PO(OH)222;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)のナトリウム塩C9(28-X)3Nax155(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)のカリウム塩C10(28-x)2X124(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)(HO2)POCH2N[(CH26N[CH2PO(OH)222;及びリン酸H3PO4を含むことができる。幾つかの実施態様においては、ホスホネートの組み合わせ、例えば、ATMPとDTPMPを使用することができる。ホスホネートが添加された時に中和反応によって熱又はガスがほとんど又は全く発生しないように、混合物に添加する前に、中和又はアルカリ性ホスホネート又はホスホネートとアルカリ源の組み合わせを使用することができる。
【0026】
金属イオン封鎖剤として使用するのに好適な高分子ポリカルボン酸塩の幾つかの例としては、ペンダントカルボキシル(−CO2)基があり、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィン共重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミド共重合体、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0027】
キレート剤/金属イオン封鎖剤の詳細な考察については、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第5巻,339−366頁及び第23巻,319−320頁を参照されたい。これらの開示内容はその参照により本明細書に含まれる。
【0028】
[無機洗剤又はアルカリ源]
幾つかの実施態様に従って生成される固体洗浄組成物などの固体組成物は、例えば、基材の洗浄を向上させ、組成物の汚れ除去性能を改善するために、有効量の1つ又は複数のアルカリ源を含むことができる。アルカリ性マトリックスは、HEDTAと水を含む結合剤組成物の存在によって固体に結合される。金属炭酸塩、例えば、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、それらの混合物などを使用することができる。好適なアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム又はカリウムがある。アルカリ金属水酸化物は、水溶液に溶解した固体ビーズ又はそれらの組み合わせの形態で組成物に添加することができる。アルカリ金属水酸化物は、粒子サイズが約12〜100USメッシュの範囲の混合物を有する小球化した固体又はビーズ形態の固体として、又は水溶液として、例えば、50質量%及び73質量%の溶液として商業的に入手可能である。有用なアルカリ源の例としては、金属ケイ酸塩、例えば、ナトリウム又はカリウムのケイ酸塩(例えば、M2O:SiO2比が約1:2.4〜約5:1、Mはアルカリ金属を表す)又はメタケイ酸塩;金属ホウ酸塩、例えば、ホウ酸ナトリウム又はカリウムなど;エタノールアミン及びアミン;並びに他の同様のアルカリ源が挙げられる。幾つかの実施態様においては、組成物は、最大約80質量%の範囲、又は約1〜70質量%の範囲、又は幾つかの実施態様においては約5〜60質量%の範囲のアルカリ源を含むことができる。
【0029】
[有機洗剤、界面活性剤又は洗浄剤]
組成物は、任意選択で少なくとも1つの洗浄剤、例えば、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができる。種々の界面活性剤が使用可能であり、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、及び両性イオン性界面活性剤を含み、これらは多数の業者から商業的に入手可能である。幾つかの実施態様においては、陰イオン性及び非イオン性物質が使用される。界面活性剤の考察については、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第8巻,900−912頁を参照されたい。この文献はその参照により本明細書に含まれる。幾つかの実施態様においては、洗浄組成物は、所望のレベルの洗浄を与えるのに有効な量で、幾つかの実施態様においては最大約20質量%の範囲で又は幾つかの実施態様においては約1.5〜約15質量%の範囲で洗浄剤を含む。
【0030】
洗浄組成物に有用な幾つかの陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、例えば、アルキルカルボン酸塩(カルボン酸塩)及びポリアルコキシカルボン酸塩、アルコールエトキシレートカルボン酸塩、ノニルフェノールエトキシレートカルボン酸塩など;スルホン酸塩、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホン化脂肪酸エステルなど;硫酸塩、例えば、硫酸化アルコール、硫酸化アルコールエトキシレート、硫酸化アルキルフェノール、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸塩など;並びにリン酸エステル、例えば、アルキルリン酸エステルなどが挙げられる。幾つかの特定の陰イオンは、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸塩、及び高級アルコール硫酸塩である。
【0031】
洗浄組成物に有用な非イオン性界面活性剤としては、界面活性剤分子の一部としてポリアルキレンオキシドポリマーを有するものが挙げられる。このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪アルコールの塩素−、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−及び他の同様のアルキル−キャップのポリエチレングリコールエーテル;酸化ポリアルキレンを含まない非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルポリグリコシド;ソルビタンとショ糖のエステル及びそれらのエトキシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;アルコールアルコキシレート、例えば、アルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレートなど;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテルなど;カルボン酸エステル、例えば、脂肪酸のグリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、エトキシル化及びグリコールエステルなど;カルボン酸アミド、例えば、ジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなど;酸化ポリアルキレンブロック共重合体、例えば、酸化エチレン/酸化プロピレンブロック共重合体、例えば、商標PLURONIC(BASF−Wyandotte)において商業的に入手可能なものなど;並びに他の同様の非イオン性化合物が挙げられる。シリコーン界面活性剤、例えば、ABIL B8852を使用することもできる。
【0032】
殺菌用又は生地軟化用の洗浄組成物に含めるのに有用な陽イオン性界面活性剤としては、アミン、例えば、C18アルキル又はアルケニル鎖を有する一級、二級、三級モノアミン、エトキシル化アルキルアミン、エチレンジアミンのアルコキシレート、イミダゾール、例えば、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン、2−アルキル−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリンなど;及び四級アンモニウム塩、例えば、アルキル四級アンモニウムクロリド界面活性剤、例えば、n−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、n−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ナフタレン置換四級アンモニウムクロリド、例えば、ジメチル−1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドなど;並びに他の同様の陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0033】
[すすぎ補助剤]
組成物は、結合剤を用いて作製された固体組成物中に、すすぎ補助組成物、例えば、湿潤剤又はシーティング剤を他の任意選択の成分と組み合わせて含有するすすぎ補助配合物を任意選択で含むことができる。固体すすぎ補助剤のすすぎ補助剤成分は、すすぎ水の表面張力を低下させてシーティング作用を促進し、及び/又は例えば、食器洗浄プロセスですすぎが完了した後、玉になった水によって生じる斑点又は筋を防ぐことができる水溶性又は分散性の低発泡性有機材料であることができる。このようなシーティング剤は、典型的には、特徴的な曇り点を有する有機界面活性剤に類似の材料である。界面活性剤すすぎ剤又はシーティング剤の曇り点は、温められたときに1質量%の界面活性剤水溶液が曇る温度として規定される。市販の食器洗浄機には2つの一般的なタイプのすすぎサイクルがあり、殺菌すすぎサイクルと一般にみなされる第1のタイプは、約180°F〜約80℃の範囲又はそれ以上の温度ですすぎ水を使用する。第2のタイプの非殺菌機械は、典型的には約125°F〜約50℃の範囲又はそれ以上の温度でより低温の非殺菌すすぎを使用する。これらの用途において有用な界面活性剤は、利用可能な高温給水よりも高い曇り点を有する水性すすぎ剤である。したがって、界面活性剤について測定される最も低い曇り点は約40℃であることができる。曇り点はまた、使用場所の熱水温度並びにすすぎサイクルの温度及びタイプに応じて、60℃以上、70℃以上、80℃以上などであることができる。幾つかの例のシーティング剤は、酸化エチレン、酸化プロピレンから調製されるポリエーテル化合物、又はホモポリマー、ブロック共重合体若しくはヘテロ共重合体構造中の混合物を典型的に含む。このようなポリエーテル化合物は、酸化ポリアルキレンポリマー、ポリオキシアルキレンポリマー、又はポリアルキレングリコールポリマーとして知られている。このようなシーティング剤は、分子に界面活性剤特性を与えるために相対的に疎水性の領域と相対的に親水性の領域を必要とする。このようなシーティング剤は、約500〜15,000の範囲の分子量を有することができる。ポリマー分子中に少なくとも1つのポリ(PO)ブロックと少なくとも1つのポリ(EO)ブロックとを含有する幾つかのタイプの(PO)(EO)ポリマーすすぎ補助剤が有用であることが見出された。ポリ(EO)、ポリ(PO)又はランダム重合領域の追加のブロックを分子中に形成することができる。特に有用なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック共重合体は、ポリオキシプロピレン単位の中央ブロックと、この中央ブロックの両側にポリオキシエチレン単位のブロックとを含有するものである。このようなポリマーは、以下に示される式を有する。
(EO)n−(PO)m−(EO)n
式中、mは20〜60の整数であり、各末端は独立して10〜130の整数である。別の有用なブロック共重合体は、ポリオキシエチレン単位の中央ブロックと、この中央ブロックの両側にポリオキシプロピレンのブロックとを有するブロック共重合体である。このような共重合体は以下の式を有する。
(PO)n−(EO)m−(PO)n
式中、mは15〜175の整数であり、各末端は独立して約10〜30の整数である。固体機能材料は、シーティング剤又は湿潤剤の溶解度の維持を補助するのにしばしばヒドロトロープを使用することができる。ヒドロトロープは、水溶液を改質して有機材料の溶解度を高めるのに使用することができる。幾つかの実施態様においては、ヒドロトロープは、低分子量の芳香族スルホン酸塩材料、例えば、キシレンスルホン酸塩及び酸化ジアルキルジフェニルスルホン酸塩材料である。
【0034】
[漂白剤]
組成物は任意選択で漂白剤を含むことができる。漂白剤は、基材を淡色化又は白化するのに使用することができ、活性ハロゲン種、例えば、Cl2、Br2、−OCI-及び/又は−OBr-などを、典型的には洗浄プロセスの際に受ける条件下で放出できる漂白化合物を含むことができる。使用に好適な漂白剤としては、例えば、塩素含有化合物、例えば、塩素、次亜塩素酸塩、クロラミンなどを挙げることができる。ハロゲン放出化合物の幾つかの例としては、アルカリ金属ジクロロイソシアヌル酸塩、塩素化リン酸三ナトリウム、アルカリ金属次亜塩素酸塩、モノクロラミン及びジクロラミンなどが挙げられる。封入された塩素源もまた、組成物中の塩素源の安定性を高めるのに使用することができる(例えば、米国特許第4,618,914号明細書及び同第4,830,773号明細書を参照されたい。これらの開示内容はその参照により本明細書に含まれる)。漂白剤はまた、活性酸素の供給源を含有するか又は供給源として作用する物質を含むことができる。活性酸素化合物は、活性酸素の供給源を提供するよう作用し、例えば、水溶液中に活性酸素を放出することができる。活性酸素化合物は、無機物又は有機物であることができるか又はそれらの混合物であることができる。活性酸素化合物の幾つかの例としては、過酸素化合物、過酸素化合物付加物が挙げられる。活性酸素化合物又は供給源の幾つかの例としては、過酸化水素、過ホウ酸塩、炭酸ナトリウム過酸化水和物、ホスフェート過酸化水和物、カリウム一過硫酸塩、及びテトラアセチルエチレンジアミンなどの賦活剤を含むか又は含まない過ホウ酸塩ナトリウム一及び四水和物が挙げられる。洗浄組成物は、少量であるが有効量の漂白剤を、例えば、幾つかの実施態様において最大約10質量%の範囲、幾つかの実施態様において約0.1〜約6質量%の範囲で含むことができる。
【0035】
[殺菌剤/抗菌剤]
組成物は任意選択で殺菌剤を含むことができる。抗菌剤としても知られている殺菌剤は、微生物汚染及び材料系、表面などの劣化を防ぐために固体機能材料において使用できる化学組成物である。一般に、これらの材料は、フェノール類、ハロゲン化合物、四級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アナリド(analides)、有機硫黄及び硫黄−窒素化合物、並びにその他の化合物を含む特定のクラスに含まれる。
【0036】
活性酸素化合物、例えば、漂白剤の節で記載したものは、抗菌剤としても作用し、殺菌活性を与えることさえできることも理解されたい。実際、幾つかの実施態様においては、抗菌剤として作用する活性酸素化合物の能力は、組成物中に追加の抗菌剤を使用する必要性を低下させる。例えば、過炭酸塩組成物は、優れた抗菌作用を与えることが示されている。それにもかかわらず、幾つかの実施態様では、追加の抗菌剤が含まれる。
【0037】
化学組成及び濃度に応じて、所与の抗菌剤は、微生物の数の更なる増加を単に制限することができるか又は微生物集団のすべて又は一部を破壊することができる。微生物(「microbes」及び「microorganisms」)という用語は、主として細菌、ウイルス、酵母、胞子、及び真菌微生物を典型的に意味する。使用においては、抗菌剤は、典型的に固体機能材料中に形成され、任意選択で、例えば、水流を使用して希釈及び投与されると、水性の消毒剤又は殺菌剤組成物を形成し、種々の表面と接触して、微生物集団の増殖を防ぐか又はその一部を死滅させることができる。微生物集団が3log減少することにより殺菌剤組成物が得られる。抗菌剤は、例えば、その安定性を改善するために封入することができる。
【0038】
一般的な抗菌剤の幾つかの例としては、フェノール性抗菌剤、例えば、ペンタクロロフェノール、オルトフェニルフェノール、クロロ−p−ベンジルフェノール、p−クロロ−m−キシレノールが挙げられる。ハロゲン含有抗菌剤としては、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアン酸ナトリウム(無水又は二水和物)、ヨード−ポリ(ビニルピロリジノン)複合体、臭素化合物、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、及び四級抗菌剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、コリンジヨードクロリド、テトラメチルホスホニウムトリブロミドが挙げられる。他の抗菌剤組成物、例えば、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジチオカルバメート、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、及び種々の他の材料が、その抗菌特性について当技術分野で公知である。幾つかの実施態様においては、洗浄組成物は、所望の殺菌レベルを与えるのに有効な量で殺菌剤を含む。幾つかの実施態様においては、抗菌成分、例えば、TAEDは、組成物の最大約75質量%の範囲で含まれ、幾つかの実施態様においては最大約20質量%の範囲で、幾つかの実施態様においては組成物の約0.01〜約20質量%の範囲で、又は0.05〜10質量%の範囲で含まれる。
【0039】
[賦活剤]
幾つかの実施態様においては、組成物の抗菌活性又は漂白活性は、組成物を使用するときに、活性酸素と反応して活性化された成分を形成する材料を添加することによって高めることができる。例えば、幾つかの実施態様においては、過酸又は過酸塩が形成される。例えば、幾つかの実施態様においては、テトラアセチルエチレンジアミンを組成物内に含めて活性酸素と反応させ、抗菌剤として作用する過酸又は過酸塩を形成することができる。活性酸素賦活剤の他の例としては、遷移金属及びそれらの化合物、カルボン酸、ニトリル若しくはエステル部分を含有する化合物、又は当技術分野で公知の他のこのような化合物が挙げられる。1つの実施態様においては、賦活剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン;遷移金属;カルボン酸、ニトリル、アミン若しくはエステル部分を含む化合物;又はそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
幾つかの実施態様においては、賦活剤成分は、組成物の最大約75質量%の範囲で含まれ、幾つかの実施態様においては組成物の約0.01〜約20質量%の範囲で、又は幾つかの実施態様においては組成物の約0.05〜10質量%の範囲で含まれる。幾つかの実施態様においては、活性酸素化合物のための賦活剤は、活性酸素と組み合わせて抗菌剤を形成する。
【0041】
幾つかの実施態様においては、組成物は固体ブロックを含み、活性酸素のための賦活剤材料は固体ブロックに結合される。賦活剤は、一方の固体洗浄組成物をもう一方のものに連結するための種々の方法のいずれかによって固体ブロックに連結することができる。例えば、賦活剤は、固体ブロックに結合、付着、糊付け又は他の方法で接着している固体の形態であることができる。あるいはまた、固体賦活剤は、ブロックの周りにかつこれを封入して形成することができる。更なる例として、固体賦活剤は、洗浄組成物のための容器又は包装、例えば、プラスチック又は収縮包装若しくはフィルムにより固体ブロックに結合させることができる。
【0042】
[洗剤のビルダー又は増量剤]
組成物は、それ自体は必ずしも洗浄剤として作用しないが、洗浄剤と協力して組成物の全体的洗浄能力を高める少量ではあるが有効量の1つ又は複数の洗剤増量剤を任意選択で含むことができる。好適な増量剤の幾つかの例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、C1〜C10アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールなどを挙げることができる。幾つかの実施態様においては、洗剤増量剤は、最大約20質量%の範囲、幾つかの実施態様においては約1〜15質量%の範囲の量で含まれる。
【0043】
[消泡剤]
組成物は、泡の安定性を低下させるための少量ではあるが有効量の消泡剤を任意選択で含むことができる。幾つかの実施態様においては、組成物は、最大約5質量%の範囲、幾つかの実施態様においては約0.0001〜約3質量%の範囲で消泡剤を含むことができる。
【0044】
好適な消泡剤の幾つかの例としては、シリコーン化合物、例えば、ポリジメチルシロキサン、脂肪酸アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸ソープ、エトキシレート、鉱油、ポリエチレングリコールエステル、アルキルリン酸エステル、例えば、モノステアリルリン酸などに分散されたシリカを挙げることができる。消泡剤の考察については、例えば、Martinらの米国特許第3,048,548号明細書、Brunelleらの米国特許第3,334,147号明細書、及びRueらの米国特許第3,442,242号明細書に見出すことができ、これらの開示内容はその参照により本明細書に含まれる。
【0045】
[再付着防止剤]
組成物は、洗浄溶液中の汚れの持続した懸濁を促進し、洗浄される基材上に汚れが再付着するのを防ぐことができる再付着防止剤を任意選択で含むことができる。好適な再付着防止剤の幾つかの例としては、脂肪酸アミド、フルオロカーボン界面活性剤、複合リン酸エステル、スチレン無水マレイン酸共重合体、及びセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができる。洗浄組成物は、最大約10質量%、幾つかの実施態様においては約1〜約5質量%の範囲の再付着防止剤を含むことができる。
【0046】
[蛍光増白剤]
組成物は、任意選択で蛍光増白剤を含むことができる。蛍光増白剤は、蛍光性白色化剤又は蛍光性光沢剤とも呼ばれ、生地基材の黄色の色合いに光学的な補償を提供することができる。蛍光増白剤を用いて、黄変は、黄色と範囲が同等の領域中に存在する蛍光増白剤から出る光によって置換される。蛍光増白剤によって供給される紫から青の光はその場所から反射される他の光と一緒になって、実質的に完全な又は増強された明るい白色の外観を与える。この追加の光は、蛍光発光を介して蛍光増白剤から生成される。蛍光増白剤は紫外線範囲275〜400nmの光を吸収し、紫外線の青スペクトル400〜500nmの光を出す。
【0047】
蛍光増白剤の系統群に属する蛍光化合物は、典型的にはしばしば縮合環系を含有する芳香族又は芳香族複素環材料である。これらの化合物の特徴は、芳香環に関連する共役二重結合の連続鎖の存在である。このような共役二重結合の数は、置換基並びに分子の蛍光性部分の平面性に依存している。ほとんどの光沢剤化合物は、スチルベンの誘導体又は4,4’−ジアミノスチルベン、ビフェニル、五員複素環(トリアゾール、オキサゾール、イミダゾールなど)又は六員複素環(クマリン、ナフタルアミド、トリアジンなど)である。組成物で使用するための蛍光増白剤の選択は、多くの因子、例えば、組成物のタイプ、組成物中に存在する他の成分の性質、洗浄水の温度、攪拌の程度、及び洗浄される材料とタブの大きさの比に依存している。蛍光増白剤の選択はまた、洗浄される材料のタイプ、例えば、綿、合成繊維などにも依存している。ほとんどの洗濯洗剤製品は、種々の生地を洗浄するのに使用されるため、洗剤組成物は、種々の生地に有効な光沢剤の混合物を含有することができる。当然ながら、このような光沢剤混合物の個々の成分は適合性のあるものでなければならない。
【0048】
有用な蛍光増白剤の例は商業的に入手可能であり、当業者は理解できるであろう。少なくとも幾つかの市販の蛍光増白剤は下位グループに分類され、必ずしも限定されないが、スチルベンの誘導体、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール、5−及び6−員複素環、及び他の物質を含む。これらのタイプの光沢剤の例は、「The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents」,M.Zahradnik,John Wiley & Sons,ニューヨーク(1982)において開示されており、この開示内容はその参照により本明細書に含まれる。
【0049】
有用なスチルベン誘導体としては、必ずしも限定されないが、ビス(トリアジニル)アミノ−スチルベンの誘導体;スチルベンのビスアシルアミノ誘導体;スチルベンのトリアゾール誘導体;スチルベンのオキサジアゾール誘導体;スチルベンのオキサゾール誘導体;及びスチルベンのスチリル誘導体が挙げられる。
【0050】
[染料/着臭剤]
種々の染料、香料を含む着臭剤、及び他の美観増強剤もまた、組成物中に含めることができる。染料は、組成物の外観を変えるために、例えば、Direct Blue 86(Miles)、Fastusol Blue(Mobay Chemical社)、Acid Orange 7(American Cyanamid)、Basic Violet 10(Sandoz)、Acid Yellow 23(GAF)、Acid Yellow 17(Sigma Chemical)、Sap Green(Keystone Analine and Chemical)、Metanil Yellow(Keystone Analine and Chemical)、Acid Blue 9(Hilton Davis)、Sandolan Blue/Acid Blue 182(Sandoz)、Hisol Fast Red(Capitol Color and Chemical)、Fluorescein(Capitol Color and Chemical))、Acid Green 25(Ciba−Geigy)などとして含めることができる。
【0051】
組成物に含めることができる芳香剤又は香料としては、例えば、テルペノイド、例えばシトロネロール、アルデヒド、例えば、アミルシンナムアルデヒド、ジャスミン、例えばC1S−ジャスミン又はジャスマル、バニリンなどが挙げられる。
【0052】
[二次硬化剤/溶解度改質剤]
組成物は、少量ではあるが有効量の二次硬化剤を、例えば、アミド、例えば、ステアリン酸モノエタノールアミド又はラウリン酸ジエタノールアミド、又はアルキルアミドなど;固体ポリエチレングリコール又は固体EO/POブロック共重合体など;酸又はアルカリ処理プロセスにより水溶性にされたデンプン;冷却により加熱組成物に凝固特性を付与する種々の無機物などとして含むことができる。このような化合物はまた、洗浄剤及び/又は他の活性成分を長時間にわたって固体組成物から投与できるように、使用中に水性媒体中の組成物の溶解度を変化させることができる。組成物は、二次硬化剤を最大約20質量%の範囲、又は幾つかの実施態様においては約5〜約15質量%の範囲の量で含むことができる。
【0053】
[害虫駆除剤]
害虫駆除の用途で使用される組成物においては、有効量の害虫駆除剤、例えば、殺虫剤、誘引物質などが含まれる。殺虫剤は、虫、げっ歯動物などの害虫を殺すのに使用される任意の化学物質又は生物剤である。殺虫剤としては、殺昆虫剤、殺鼠剤などを挙げることができる。殺鼠剤としては、例えば、ジフェチアロン、ブロマジオロン、ブロディファコウム又はそれらの混合物を挙げることができる。誘引物質及び/又は餌は、害虫を組成物に引きつける任意の物質であることができる。誘引物質は、食物、臭い又は他の感覚刺激物質であることができる。誘引物質は、穀物系、例えば、トウモロコシ、オート麦、又は他の動物の飼料、例えば、イヌ、ネコ、又はサカナの食物であることができる。
【0054】
幾つかの実施態様においては、殺虫剤及び/又は誘引物質及び/又はそれらの両方は、組成物中に任意の所望の有効量、例えば、固体組成物の合計質量に基づいて最大約99質量%の範囲、約0.01〜約90質量%の範囲、又は約1〜約50質量%の範囲で存在することができる。
【0055】
[他の成分]
所望の特性又は機能性を有するよう配合された特定の組成物を与えるのに有用な種々の他の成分を含むこともできる。例えば、組成物は、他の活性成分、pH緩衝液、洗浄酵素、キャリヤー、処理補助剤、液体配合物のための溶媒などを含むことができる。
【0056】
さらには、組成物は、水性の操作、例えば、水性洗浄操作で使用する際に、洗浄水が所望のpHを有するように配合することができる。例えば、つけおき洗剤組成物を与えるのに使用するよう設計された組成物は、水性洗浄操作で使用する際に、洗浄水が約6.5〜約11の範囲、幾つかの実施態様においては約7.5〜約10.5の範囲のpHを有するよう配合することができる。幾つかの実施態様における液体配合物は、約7.5〜約10.0の範囲、幾つかの実施態様においては約7.5〜約9.0の範囲のpH(10%希釈)を有する。推奨される使用レベルでpHを制御するための技術としては、緩衝液、アルカリ、酸などの使用があり、当業者に周知である。
【0057】
[水性媒体]
成分は、任意選択で、均一な混合物を得るために、凝固を助けるために、混合物を処理するための有効レベルの粘度を与えるために、及び処理された組成物に放出中及び硬化中に所望量の堅さと凝集力を与えるために、少量ではあるが有効量の水性媒体、例えば、水で処理することができる。処理中の混合物は、典型的には約0.2〜約12質量%の範囲の水性媒体、幾つかの実施態様においては約0.5〜約10質量%の範囲の水性媒体を含む。
【0058】
本発明の特有の結合剤は、洗浄組成物以外の固体機能材料を形成するのに使用することもできる。例えば、殺菌剤、すすぎ剤、水性滑剤、及び他の機能材料中の活性成分は、本発明の結合剤を使用して固体の形態で形成することができる。このような材料は、安定な固体ブロック材料を得るために十分な量のHEDTA及び水と組み合わせられる。
【0059】
[組成物の処理]
本発明はまた、固体組成物、例えば、固体洗浄組成物を処理及び/又は作製する方法に関する。結合剤の成分及び任意選択の他の成分は、有効な凝固量の成分と混合される。混合物の処理を促進するために、外部の供給源から最少量の熱を適用することができる。
【0060】
混合系は、高せん断力で成分の連続混合を可能にし、これらの成分が塊の全体に分布した実質的に均一な液体又は半固体混合物を形成する。好ましくは、混合系は、処理中に約1,000〜1,000,000cP、好ましくは約50,000〜200,000cPの粘度を有する流動性の稠度で以って、混合物を維持するのに有効なせん断力を与えるよう成分を混合するための手段を含む。幾つかの例の実施態様においては、混合系は、連続フローミキサー又は幾つかの実施態様においては一軸若しくは二軸押出機であることができる。
【0061】
混合物は、典型的には、成分の物理的及び化学的安定性を維持する温度で処理される。幾つかの実施態様においては、混合物は、約20℃〜約80℃の範囲、幾つかの実施態様においては約25℃〜約55℃の範囲の周囲温度で処理される。限定的な外部熱を混合物に適用することができるが、混合物によって達成される温度は、摩擦、周囲条件の変動、及び/又は成分間の発熱反応のために処理の際に上昇することがある。状況に応じて、混合物の温度は、例えば、混合系の入口又は出口で上昇することがある。
【0062】
成分は、液体又は固体、例えば、乾燥粒子の形態であることができ、別々に混合物に添加してもよいし、又は例えば、洗浄剤、水性媒体、及び追加の成分、例えば、第2の洗浄剤、洗剤補助剤若しくは他の添加剤、二次硬化剤などとしての別の成分との予備混合物の一部として混合物に添加してもよい。1つ又は複数の予備混合物を混合物に添加することもできる。
【0063】
成分が実質的に均一に塊内に分布している実質的に均一な稠度を形成するように、成分が混合される。次いで、混合物は、ダイ又は他の成形手段を通して混合系から排出される。次いで、かたどられた押出物は、制御された塊で以って有用な大きさに分割することができる。幾つかの実施態様においては、押出された固体はフィルムの中に包装される。混合系から排出されたときの混合物の温度は十分低く、混合物をまず冷却することなく、直接的に包装系に流し込むか又は押出すことが可能である。押出排出と包装の間の時間は、更なる処理及び包装時のより良好な取り扱いのための組成物の硬化を可能にするよう調整することができる。幾つかの実施態様においては、排出点の混合物は、約20℃〜約90℃の範囲、又は幾つかの実施態様においては約25℃〜約55℃の範囲である。次いで、組成物は、低密度、スポンジ状、展性のある、かしめ可能な稠度から高密度、融合固体、コンクリート状固体まで及ぶ固体形態に硬化される、
【0064】
任意選択で、加熱及び冷却装置を混合装置に隣接して取り付け、ミキサーにおいて所望の温度プロファイルを得るために熱を適用又は除去することができる。例えば、外部熱源をミキサーの1つ又は複数のバレル部分、例えば、成分入口部、最終出口部などに適用して、処理中の混合物の流動性を高めることができる。幾つかの実施態様においては、排出口を含む処理中の混合物の温度は、約20℃〜約90℃の範囲に維持される。
【0065】
成分の処理が完了した後、混合物は、排出ダイを介してミキサーから排出することができる。組成物は、結合剤を形成する成分の化学反応によって最終的に硬化する。凝固プロセスは、例えば、注型又は押出された組成物のサイズ、組成物の成分、組成物の温度、及び他の同様の因子に応じて、数分から約6時間又はそれ以上続けることができる。幾つかの実施態様においては、注型又は押出された組成物は、約1分から約3時間の範囲、約1分から約2時間の範囲、又は幾つかの実施態様においては約1分から約20分の範囲で硬化が生じるか又は始まって固体形態になる。
【0066】
[包装系]
組成物は、必ずではないが、包装系又は受け器に組み入れられる。包装用受け器又は容器は、硬質又は軟質であることができ、例えば、ガラス、金属、プラスチックフィルム又はシート、厚紙、厚紙複合物、紙などとして、製造された組成物を含むのに適した任意の材料を含む。
【0067】
有利には、少なくとも幾つかの実施態様においては、組成物は周囲温度で又はその付近の温度で処理されるため、処理された混合物の温度は十分低く、その結果、混合物は、材料を構造的に傷つけることなく、直接的に容器又は他の包装系に注型又は押出することができる。結果として、溶融条件下で処理及び供給される組成物に使用されるものよりも広範囲の材料が容器を製造するのに使用できる。幾つかの実施態様においては、組成物を入れるのに使用される包装は、軟質の容易に開くことができるフィルム材料から製造される。
【0068】
[処理組成物の供給]
組成物、例えば、洗浄組成物は、米国特許第4,826,661号明細書、同第4,690,305号明細書、同第4,687,121号明細書、同第4,426,362号明細書、並びに米国再発行特許第32,763号明細書及び同第32,818号明細書に開示されているような噴霧型ディスペンサーから供給され、これらの開示内容はその参照により本明細書に含まれる。簡単に説明すると、噴霧型ディスペンサーは、水のスプレーを固体組成物の露出表面に衝突させて組成物の一部を溶解させ、次いで直ちに組成物を含む濃縮溶液をディスペンサーから貯蔵容器に向けるか又は直接使用点に向けることにより機能する。特定の製品形状の例は、米国特許出願第6,258,765号明細書の図9に示されており、この文献はその参照により本明細書に含まれる。使用時、製品は、包装、例えば、フィルム(もしあれば)から取り出され、ディスペンサーに挿入される。組成物の固体形状に一致する形状のノズルによって水のスプレーを作り出すことができる。ディスペンサー筐体はまた、供給系の形状にしっかりと適合させることができ、誤った組成物の導入及び供給を防止する。
【0069】
上記の説明は、本発明の広い範囲を理解するための基礎を与えるものである。以下の例及び試験データは、本発明の幾つかの具体的な実施態様の理解を与える。本発明は、以下の詳細な例を参照してさらに説明される。これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。本発明の概念の範囲内にある変化は当業者にとって明らかである。
【実施例】
【0070】
[例1:HEDTAと水を含む結合剤を含む組成物]
本例では、HEDTAと水によって形成された結合剤を含む固体洗浄組成物を形成した。固体洗浄組成物はまた追加の機能成分を含んでいた。この配合物は、表1に与える成分及び質量%により作製した。
【0071】
【表1】

【0072】
配合物を生成するために、成分4、5、6及び7を順に混合した。その後、品目1を加え、その組み合わせが均一になるまで混合した。次いで、品目2を加え、その組み合わせが均一になるまで混合し、品目3を加え、その組み合わせが均一になるまで混合した。次いで、20〜25gの配合物を試料カップに入れ圧縮した。試料カップにプレスすると配合物は硬化し、固体組成物を形成した。この特定の洗浄組成物は、例えば、硬質表面の洗浄用途に有用な場合がある。
【0073】
[例2:配合物1のHEDTAの代わりにEDTAを使用する比較配合物]
本例では、HEDTA成分の代わりにEDTAを使用して、実施例1において上に示したものと類似の固体洗浄組成物の生成を試みた。この配合物は、表2に与える成分及び質量%により作製した。
【0074】
【表2】

【0075】
この配合物は、実施例1で上記したものと同じ成分の混合により生成したが、HEDTAの代わりにEDTAを使用した。20〜25gの配合物を試料カップに入れ圧縮した。試料カップにプレスしても配合物は硬化せず、固体組成物は形成しなかった。
【0076】
[例3:HEDTAと水から形成された結合剤を含む固体組成物の追加の例]
本例では、対照標準配合物と配合物A〜Fを含む7つの配合物を使用し、固体洗浄組成物を生成した。これらの配合物は、以下の表3に与える量の成分を使用して作製した。
【0077】
【表3】

【0078】
配合物を生成するために、トリポリリン酸ナトリウム(もしあれば)、ケイ酸ナトリウム、LAS90%フレーク、灰(もしあれば)及びHEDTA成分を順に混合した。その後、水を加え、その組み合わせが均一になるまで混合した。次いで、直鎖アルコール(直鎖C9−C11アルコール6モル)を加え、その組み合わせが均一になるまで混合し、直鎖アルコール(60〜70%)を加え、その組み合わせが均一になるまで混合した。次いで、20〜25gの配合物を試料カップに入れ圧縮した。試料カップにプレスすると配合物は硬化し、固体組成物を形成した。これらの特定の洗浄組成物は、例えば、硬質表面の洗浄用途に有用な場合がある。
【0079】
固体組成物を配合した後、以下の初期観察を行った。すべての配合物は固体錠剤を生成した。対照標準の配合物と配合物A及びEは、幾らかの表面割れを有する硬質錠剤を生成した。配合物Bは幾らかの表面割れを有する硬質錠剤を生成したが、対照標準よりも少し粘着性であった。配合物Cは混合中により大きな粒子サイズを有する固体錠剤を生成し、対照標準よりも幾分軟質であったが、表面割れはなかった。配合物Dは、対照標準よりも少し硬質で乾燥しており、対照標準よりも割れやすい固体錠剤を生成した。配合物Fは表面割れのない硬質錠剤を生成した。
【0080】
上記の配合物を使用して錠剤を押出した1日後、針の上に150gの重りを有するPrecision Scientific 626A硬度計を使用して、幾つかの試料に関する硬度計の測定値を読み取った。装置を5秒間偏向させ、次いで貫通値を測定することにより錠剤を試験した。1の値は0.1mmの貫通を示す。これらの硬度計の測定値は、硬質錠剤の凝固及び形成を示すものである。結果を表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
[例4:HEDTAと水を用いて形成された結合剤を含む追加の配合物]
本例では、HEDTAと水によって形成された結合剤を含む固体洗浄組成物を生成するために一連の配合物を使用した。固体洗浄組成物はまた追加の機能成分を含んでいた。使用した配合物は、対照標準配合物、配合物A1〜N1を含み、その成分及び質量%を表5、6、7及び8に与える。
【0083】
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
【表7】

【0086】
【表8】

【0087】
配合物を生成するために、成分4、6、7及び5を順に混合した。その後、品目1を加え、その組み合わせが均一になるまで混合した。次いで、品目2を加え、その組み合わせが均一になるまで混合し、品目3を加え、その組み合わせが均一になるまで混合した。次いで、20〜25gの配合物を試料カップに入れ圧縮した。
【0088】
対照標準並びに配合物A1、B1、F1、G1、J1、K1、L1、M1及びN1は固体錠剤を形成し、配合物C1、D1、E1、H1及びI1はこの特定の実験では硬化しなかった。配合物J1については、錠剤は24時間で試料カップから出すときにバラバラになったが、乾燥した固体のようであった。配合物K1については、錠剤は試料カップから出すと、乾燥しているが幾分軟質であった。配合物L1については、錠剤は試料カップから出すと、K1よりも少し硬質であったが、それでも幾分軟質であった。配合物M1は24時間で試料カップから出すと硬質の錠剤を生成した。配合物N1は24時間で試料カップから出すと、幾らかの小さな表面割れを有する硬質の錠剤を生成した。これらの特定の洗浄組成物は、例えば、硬質表面の洗浄用途に有用な場合がある。
【0089】
J1〜N1の配合物については、水を配合物に混合する前に初期温度を測り、水を配合物に混合した後に最終温度を測った。初期温度と最終温度を表9に与える。
【0090】
【表9】

【0091】
これらの計測温度は、試験したほとんどの実施態様において固体結合剤の形成中に有意な発熱反応がないことを示している。
【0092】
[例5:HEDTAと水から形成された固体結合剤を含む配合物の押出]
本例では、3つの配合物(配合物O〜Q)を使用し、押出法によってHEDTA/水の結合剤を有する固体組成物を生成した。これらの配合物は、以下の表10に与える量の成分を使用して作製した。
【0093】
【表10】

【0094】
トリポリリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、及びLASフレークをリボンブレンダーにおいて予備混合し、その後、水と2つの直鎖アルコール成分をブレンダー中の混合物に加え10分間混合した。次いで、押出機への第1のフィード流に約0.65ポンド/分の速度で混合物を供給できるフィーダーに混合物を加えた。HEDTAの供給量を変化させることができるように、押出機への第2のフィード流に約0.05〜約0.2ポンド/分の速度でHEDTAを供給できる第2フィーダーにHEDTA成分を加えた。
【0095】
各配合物は、30mmのWerner−Pfleider押出機アセンブリを用いて生成した。その端部付近に一連の搬送スクリューと1つの混合スクリューを有する押出機に2つの異なるフィード流を供給した。7.5%HEDTAの供給量を含む配合物Oについては、第1のフィード流は0.65ポンド/分の速度であり、第2のフィード流は0.05ポンド/分の速度に設定した。15%HEDTAの供給量を含む配合物Pについては、第1のフィード流は0.65ポンド/分の速度であり、第2のフィード流は0.10ポンド/分の速度に設定した。25%HEDTAの供給量を含む配合物Qについては、第1のフィード流は0.65ポンド/分の速度であり、第2のフィード流は0.18ポンド/分の速度に設定した。押出機を200rpmで運転するよう設定した。各配合物について、フィード流を押出機中で混合し、混合した組成物を押出機の端部からダイ部へ搬送し、半固体生成物を所望の形に成形した。ダイと押出機のバレルは、加熱及び/又は冷却機構を装備した。押出の際、ダイは約185°Fの温度で維持した。ダイを通して押出した後、成形した生成物を凝固させた。
【0096】
配合物Oの押出により固体生成物が得られ、HEDTAと水から形成された結合剤の存在が示された。配合物Pの押出によっても固体生成物が得られ、HEDTAと水から形成された結合剤の存在が示された。配合物Pの押出物は、配合物Oよりも速くかつ硬く凝固した。配合物Qの押出によっても固体生成物が得られ、HEDTAと水から形成された結合剤の存在が示された。配合物Qの押出の際、ダイの中に固体材料が幾らか蓄積したが、固体生成物は生成しなかったことが認められた。
【0097】
[例6:HEDTAと水の固体結合剤とHEDTAとメタノール混合物の比較]
本例では、一方が水とHEDTAを含み、もう一方がメタノールとHEDTAを含む2つの配合物を作製した。第1の配合物は93質量%のHEDTAと7質量%の水を含み、試料カップにおいて正しい質量%でHEDTAと水を混合することにより生成した。組成物を約30〜45秒間混合した。混合中、混合が進むにつれ、組成物が次第に硬くなることが認められた。次いで、配合物を10分間放置すると、凝固して固体錠剤が生成することがわかった。組成物を密封した試料カップ中で一晩放置した。翌朝、固体錠剤を試料カップから出した。
【0098】
第2の組成物は93質量%のHEDTAと7質量%のメタノールを含み、試料カップにおいて正しい質量%でHEDTAとメタノールを混合することにより生成した。組成物を約30〜45秒間混合した。混合中、組成物が凝固して固体錠剤にならないことが認められた。次いで、配合物を密封した試料カップ中で一晩放置した。翌朝、固体錠剤を調べると、組成物が凝固して固体錠剤になることはなく、むしろ粉末状態であることが観察された。
【0099】
[例7:HEDTA、HEDTAと水の固体結合剤、及びHEDTAと水の固体結合剤を含む組成物のDSC分析]
3つの組成物を示差走査熱量測定(DSC)により分析した。第1の組成物はHEDTA原料の5.4mg試料であった。第2の組成物は93質量%のHEDTAと7質量%の水を含む固体結合剤の6.6mg試料であった。第3の組成物は上記実施例3の配合物Aによる組成物の6.7mg試料であった。熱分析はPerkin Elmerから商業的に入手可能な示差走査熱量計を使用して行った。各分析においてステンレス鋼の皿を使用した。各分析中、試料を20℃から200℃に加熱した。試料をまず20℃で1分間保持し、その後、10℃/分の速度で20℃から200℃に加熱した。結果は、HEDTAと水を用いて形成された別の種を含む固体結合剤の形成を示す。
【0100】
上記明細書、実施例及びデータは、本発明の幾つかの例の実施態様の製造及び使用の完全な説明を提供する。本開示は多くの点で例示でしかないことを理解されたい。本発明の範囲を逸脱することなく、詳細、特に成分、組成、形状、サイズ及び工程の構成について変更が可能である。当然ながら、本発明の範囲は、特許請求の範囲に表される言葉で規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HEDTAと水を含む固体結合剤であって、それを形成するために存在する水とHEDTAのモル比が約20:1〜約1:1の範囲である固体結合剤を含み、
該結合剤の形成においてHEDTAが水と協力する、固体組成物。
【請求項2】
前記結合剤を形成するために存在する水とHEDTAのモル比が約14:1〜約1.3:1の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記結合剤を形成するために存在する水とHEDTAのモル比が約6:1〜約1.5:1の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
追加の機能成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記結合剤と1つ又は複数の機能成分を含む固体洗浄組成物を含み、該結合剤が該固体洗浄組成物全体に分布し、前記固体組成物中の機能成分を結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
キレート剤、金属イオン封鎖剤、無機洗剤、アルカリ源、有機洗剤、界面活性剤、洗浄剤、すすぎ補助剤、漂白剤、殺菌剤、抗菌剤、賦活剤、洗剤ビルダー、増量剤、消泡剤、再付着防止剤、蛍光増白剤、染料、着臭剤、二次硬化剤、溶解度改質剤、殺虫剤、害虫のための餌、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含む1つ又は複数の機能成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
キレート剤、金属イオン封鎖剤、又はそれらの混合物若しくは組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
無機洗剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
トリポリリン酸ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
直鎖アルコールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
1つ又は複数の有機洗剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
直鎖アルキレートスルホン酸塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
アルカリ源をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
アルカリ金属塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
アルカリ金属ケイ酸塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
水に対してHEDTAと競合し凝固を妨害することがある成分を、凝固を妨害する量よりも少ない量で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記結合剤の生成に用いられる水が、組成物全体の最大約20質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記結合剤の生成に用いられる水が、組成物全体の約1〜約10質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記結合剤の生成に用いられるHEDTAが、組成物全体の最大約93質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記結合剤の生成に用いられるHEDTAが、組成物全体の約5〜約40質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
押出されて固体ブロックを形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
50g以下の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
50g以上の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
500g以上の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
1kg以上の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
固体形状に注型される、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
固体形状に押出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
固体形状に成形される、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記固体がペレットの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
容器内で形成された固体ブロックの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
HEDTAを用意する工程;
結合剤を形成するために存在する水とHEDTAのモル比が約20:1〜約1:1の範囲にある水を用意する工程;
固体結合剤の形成においてHEDTAが水と協力するように、HEDTAと水を混合する工程
を含む、固体組成物を形成する方法。
【請求項33】
前記結合剤を形成するために存在する水とHEDTAのモル比が約14:1〜約1.3:1の範囲である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記結合剤を形成するために存在する水とHEDTAのモル比が約6:1〜約1.5:1の範囲である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が追加の機能成分をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、前記結合剤と1つ又は複数の機能成分を含む固体洗浄組成物を含み、該結合剤が該固体洗浄組成物全体に分布し、前記固体組成物中の機能成分を結合する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、キレート剤、金属イオン封鎖剤、無機洗剤、アルカリ源、有機洗剤、界面活性剤、洗浄剤、すすぎ補助剤、漂白剤、殺菌剤、抗菌剤、賦活剤、洗剤ビルダー、増量剤、消泡剤、再付着防止剤、蛍光増白剤、染料、着臭剤、二次硬化剤、溶解度改質剤、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含む1つ又は複数の機能成分をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、キレート剤、金属イオン封鎖剤、又はそれらの混合物若しくは組み合わせをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が無機洗剤をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物がトリポリリン酸ナトリウムをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が直鎖アルコールをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が1つ又は複数の有機洗剤をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が直鎖アルキレートスルホン酸塩をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物がアルカリ源をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記組成物がアルカリ金属塩をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物がアルカリ金属ケイ酸塩をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が、水に対してHEDTAと競合し凝固を妨害することがある成分を、凝固を妨害する量よりも少ない量で含む、請求項32に記載の方法。
【請求項49】
前記結合剤の生成に用いられる水が、組成物全体の最大約20質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項50】
前記結合剤の生成に用いられる水が、組成物全体の約1〜約10質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項51】
前記結合剤の生成に用いられるHEDTAが、組成物全体の最大約93質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項52】
前記結合剤の生成に用いられるHEDTAが、組成物全体の約5〜約40質量%の範囲で組成物中に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が押出されて固体ブロックを形成する、請求項32に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物が50g以下の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項32に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が50g以上の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項32に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物が500g以上の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が1kg以上の範囲の質量を有する固体塊に成形される、請求項32に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が固体形状に注型される、請求項32に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が固体形状に押出される、請求項32に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物が固体形状に成形される、請求項32に記載の方法。
【請求項61】
前記固体がペレットの形態である、請求項32に記載の方法。
【請求項62】
前記固体組成物が容器内で形成された固体ブロックの形態である、請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2007−512420(P2007−512420A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541293(P2006−541293)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038127
【国際公開番号】WO2005/052106
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】