説明

凝固因子Xa阻害剤として用いるための塩基−置換ベンジルアミン類似体、それらの製法および使用

本発明は、凝固因子Xa阻害剤として用いるための一般式(I)(式中、AはP−Pを表し、P=(A)およびP=(B)である)の新規な塩基−置換ベンジルアミン類似体に関する。本発明はまた、該類似体の製造と、心臓血管疾患や血栓塞栓現象の治療・予防における使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、凝固因子Xa阻害剤としての新規な塩基−置換ベンジルアミン類似体、それらの製法、並びに、心臓血管疾患および血栓塞栓現象を治療および予防するための使用に関する。
【0002】
ヘパリンタイプの抗凝固薬は臨床的に一般に用いられているが、ビタミンKアンタゴニストは「理想的な」抗血栓薬の全ての要件を満たしているわけではない。このため、これに代わるものが凝固酵素、特にトロンビンおよびXa因子(F Xa)の小さい分子阻害剤について探し求められている。トロンビン阻害剤と比較したF Xa阻害剤の特に有利なことは、各種の動物実験で見られる出血傾向がより少ないことである。従って、抗血栓に有効な投与量は出血時間への影響ができるだけ少ない投与量に限られる(J. M. Herbert et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 276, 1030-1038, 1996; K. Sato et al., Br. J. Pharmacol. 123, 92-96, 1998)。
【0003】
F Xaに対して高い親和力を有する最初の非ペプチド化合物は、対称的ビス−ベンズアミジンであった(最も効果的な化合物BABCHの場合はK=13nM)(J. Sturzebecher et al., Thromb. Res. 54, 245-252, 1998)。また、ナフタミジン誘導体であるDX−9065aは2つの塩基性基を有し、そしてK=24nMの選択的F Xa阻害剤である(T. Hara et al., Thromb. Haemost. 71, 314-319, 1994)。DX−9065aに構造的に関連のある阻害剤であるYM−60828(K. Sato et al., Eur. J. Pharmacol. 339, 141-146, 1997)はさらに効果的である(K=1.3nM)。その間に、さらなるビス塩基性化合物のシリーズ全体、例えば、2つのベンズアミジン残基がオキサゾリン環(K=18nM)(M. L. Ouan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 7, 2813-2818, 1997)またはカルボキシメチルアルキル鎖(K=34nM)(T. P. Maduskuie et al., J. Med. Chem. 41, 53-62, 1998)を経て結合している化合物が報告されている。ビス塩基性化合物に特有な欠点は、経口投与後の生物学的利用能が低いことである。
【0004】
塩基性基を1つだけ含むF Xa阻害剤も報告されている。N−置換アミジノフェノキシピリジン(BX−807834の場合はK=0.11nM)はBABCHに基づいて開発された(R. Mohan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 8, 1877-1882, 1998; G. B. Phillips et al., J. Med. Chem. 41, 3557-3562, 1998)。Nα−アダマンチルオキシカルボニル−3−アミジノフェニルアラニンのアミド(最も効果的な化合物の場合はK=74nM)は選択的F Xa阻害剤であり(S. Sperl et al., Biol. Chem. 381, 321-329, 2000)、一方、3−アミジノフェニルアラニンのNα−アリールスルホニル−アミノアシル化エステルは、阻害効果が小さい(TAPAMの場合はK=840nM)(J. Sturzebecher et al., Thromb. Res. 54, 245-252, 1998)。WO96/10022には、もはや強力な電荷をもたない阻害剤が開示されている(最も効果的な化合物の場合はK=3.0nM)。塩基性置換基をもたない効果的なXa因子阻害剤の更なるシリーズは、Choi-Sledeski et al.(J. Med. Chem. 46, 681-684, 2003)によって最近報告されている。
【0005】
現在まで、基質配列Ile−Glu−Gly−Argから誘導されるごくわずかなペプチドがF Xa阻害剤として報告されている。KettnerおよびShaw(Thromb. Res. 22, 645-652, 1981)によって報告されたクロロメチルケトンは、非可逆的F Xa阻害剤であり、in vivo用途には適さない。これに対して、ペプチドSEL2489(K=25nM)およびSEL2711(K=3nM)は極めて効果的である(J. A. Ostrem et al., Biochemistry 37, 1053-1059, 1998)。また、いくつかのペプチジル−アルギニンアルデヒドおよびペプチジル−アルギニルケトンも報告されている(Z. H. Jonathan, Bioorg. Med. Lett. 9, 3459-3464, 1999および概説:ZhuおよびScarborough Current Opinion in Cardiovascula, Pulmonary & Renal Investigational Drugs, 1999, 1, 63-88)。これらは、アルギニナルまたはアルギニルケトン誘導体、例えば、位置P3のアルギニル−ケトチアゾールに加えて、D−アルギニンまたは非天然塩基性アミノ酸、例えば、4−アミジノフェニルアラニン、3−または4−アミジノピペリジニルアラニンおよび4−グアニジノフェニルアラニンをP3に有する。WO01/96366出願には、アシル化アミジノベンジルアミンから誘導される阻害剤であって、P2における天然アミノ酸に加えて、非天然アミノ酸のD−Serエーテルまたは同等の誘導体を含む阻害剤が開示されている。この種の化合物は、F Xa(最も効果的な化合物の場合はK=30nM)およびヒト血漿の凝固を非常に効果的に阻害する。しかし、この種の化合物は、in vivoで用いるのに不適切な薬物動力学的性質を有するにすぎない;それらは経口投与後ほとんど吸収されず、実験動物における静脈内投与後、血液循環により非常に急速になくなる。
【0006】
米国特許第5,914,319号には、位置P3にd−ホモフェニルアラニンまたはd−ホモシクロヘキシルアラニンを有し、そしてマイクロモル範囲の阻害定数を有する弱いXa因子阻害も示すトロンビン阻害剤が記載されている(Xa因子の場合:Kass<5.5×10l/モル、ほぼK>0.18μMに相当する)。しかし、これらの阻害剤は、位置P2に必須のイミノ酸、すなわち、プロリンまたはN(アルキル)グリシン誘導体の類似体を有する。また、トロンビン親和力はめざましく高く、選択性比(トロンビンのK/F XaのK)は、表示された化合物について<0.08である。
【0007】
従って、本発明は、治療用途に適しており、高い活性および特異性で凝固Xa因子を阻害する、そして、好ましくは、静脈内、皮下または経口投与後に体内でできるだけ長く循環する活性成分を示すという目的に基づいている。
【0008】
請求項1に示した一般式Iのアシル化アミジノベンジルアミン
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、
AはP−Pであって、
【0011】
【化2】

【0012】
である)
、特に4−アミジノベンジルアミンの化合物は、アミジノ官能基に加えて、さらに荷電された基または極性基を導入すると、Xa因子を非常に効果的に不活性化し、また、循環によりゆっくりなくなることを意外にも見出し、一般式Iの位置PのD−ホモフェニルアラニン、D−ホモチロシンまたはD−ホモ−4−ピリジルアラニンおよびその誘導体が特に効果的であることが明らかになった。特に驚いたことには、選択されたα−アミノ酸を位置P2に用いることにより、Xa因子阻害剤としての選択性を決定的に高めることも可能であった。
【0013】
明確にするために、一般式Iの構造セグメントAにおける基PおよびPの命名法は、SchechterおよびBerger(Schechter and Berger, Biochem. Biophys. Res. Comm. 27, 157-162 (1967))によって導かれるような、セリンプロテアーゼのペプチド基質およびそれらから誘導される阻害剤におけるアミノ酸残基について、他の点では標準的に用いられる命名法を意味しないことを指摘しておく。本発明のすべての部分、すなわち、明細書および特許請求の範囲で用いる定義は次のとおりである:
通常の書体の番号1〜3と結びついた文字P、すなわち、P1、P2またはP3は、SchechterおよびBerger命名法に従って、アミノ酸残基およびそれらの誘導体に用いられる。これに対して、下付きの1または2と結びついた文字P、すなわち、P、PまたはPは、本発明の一般式Iの構造Aにおける構成要素としてのアミノ酸残基およびそれらの誘導体を表す。これに関して、構造Aにおける置換もしくは非置換の天然または非天然アミノ酸Pは、SchechterおよびBergerによるP2に相当し、構造Aにおける置換もしくは非置換の天然または非天然アミノ酸Pは、SchechterおよびBergerによるP3に相当する。
【0014】
従って、本発明の1つの側面は、一般式I
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、
AはP−Pであって、
【0017】
【化4】

【0018】
であり;
は、Hまたは−(CHCOORであって、a=0、1、2、3、4または5、好ましくはa=0、1または2であり、ここで、Rは、好ましくは1〜6個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、とりわけエチルであり、Rは特にHであり;
は、H、−CH−ORまたは−CH−OCOORであり、ここで、RはH、または1〜5個、特に1〜3個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基であるか、あるいはRは−CH−CH−COOR7*であり、ここで、R7*はH、または1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、好ましくはエチルであり;
はHであり;
は、−(CH−R(f=0または2、好ましくはf=2)、−CHNHR、−(CHNHRまたは−CH=CH−Rであり、ここで、Rはモノ置換、ポリ置換もしくは非置換のシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり、ここで、該シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は、環中に好ましくは5〜14個、特に5〜6個の炭素原子を有し、ヘテロアリール基の場合は、好ましくはヘテロ原子として1〜3個の窒素原子を有するか、あるいはRが−(CH−Rであって、Rが4〜14個、特に6〜10個、とりわけ6個の炭素原子を有するヒドロキシシクロアルキル基であるなら、f=1であり、そして一般式Iの構造A中のPは、DまたはL配置、好ましくはD配置であり;
は−(CHCOORであって、i=1、2または3、好ましくはi=1であり、Rは1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、好ましくはエチルであるか、あるいはRは、−SO9*、−SO−NH−R9*であり、ここで、R9*はH、1〜10個、好ましくは1〜6個、特に1〜4個、とりわけ1〜2個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、モノ置換、ポリ置換もしくは非置換のアリール、ヘテロアリール、アラルキル、好ましくはベンジル、ヘテロアラルキル基またはシクロヘキシルアルキル基、好ましくはシクロヘキシルメチル基であり、ここで、置換基は、−OH、−O−COOR、−CH−OCOOR(Rは上記定義どおり)、−NH、−NO、−COOR10、−CHCOOR10基またはCl、FもしくはBr原子でもよく、R10は、H、または1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、とりわけエチルであり;
Uは、フェニルまたはシクロヘキシル基、あるいは、芳香族またはヘテロ原子として少なくとも1つのN、SまたはOを有する1〜10個、好ましくは6個の環原子をもつ非芳香族複素環式基、特にピリジン、ピペリジンまたはピリミジン、あるいはチエニル基であり;
Vは(CHであって、n=0または1、好ましくは0であり;
Xは、NまたはCH、好ましくはCHであり;
Yは、NまたはCH、好ましくはCHであり;
Zは、位置2、3または4、好ましくは位置4にあり、そしてアミノメチル、グアニジノ官能基またはアミジノ基
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、R11は、H、OH、NH、−COR12または−COOR12であり、ここで、R12は1〜8個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、あるいはモノ置換、ポリ置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキル基であり、ここで、該アルキル基は、好ましくは1〜16個、特に1〜8個、とりわけ1〜4個、特に好ましくは1〜2個の炭素原子を有し、該アリールまたはヘテロアリール基は好ましくは4〜14個、特に6〜10個、とりわけ6個の炭素原子およびヘテロ原子として好ましくは1〜3個の窒素原子を有する)
である]
で表される化合物、または、プロドラッグの形態もしくは塩の形態の一般式Iで表される化合物である。
【0021】
特に適したさらなる化合物は、Uが1、2または3位置で、好ましくは、ハロゲン、特にフッ素もしくは塩素、あるいはメチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシまたはプロポキシ基によって置換されている、一般式Iの化合物である。
【0022】
同様に特に適した化合物は、少なくとも1つのカルボキシル基がエステル、好ましくはエチルエステルとして保護された形態であり、そして、プロドラッグの様式では、体内に取り込まれた後にカルボキシル基に転化される、一般式Iの化合物である。
【0023】
ごく一般的には、プロドラッグは適切な薬学的に活性のある物質の薬学的に不活性な誘導体であり、経口投与の後、自然にまたは酵素により生体内変化して薬学的に活性のある物質を遊離する。
【0024】
従って、プロドラッグは一般式Iの化合物であって、例えば、1つまたはそれより多いカルボキシル基が、1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル、好ましくはエチル、を有するそれらのアルキルエステルの形態で存在してもよく、および/または、1つまたはそれより多いヒドロキシル基が、末端基が上記定義どおりのRであるカーボネートの形態で存在してもよい、化合物を意味する。本発明の意味するプロドラッグは、例えば、また、アミジノ−またはグアニジノベンジルアミン残基がヒドロキシアミジンもしくはヒドロキシグアニジンの形態、または好ましくは1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、好ましくはエチルを有するアルキルオキシカルボニル誘導体の形態である、一般式Iのアミジノ−またはグアニジノベンジルアミン誘導体である。
【0025】
さらに特に適した化合物は、式Iの構造要素
【0026】
【化6】

【0027】
が−CH−または−NH−基、好ましくは−CH−基である化合物である。
また特に好ましい化合物は、
がHであり;
が、H、−CH−CH−COOH、−CH−CH−COOCHCHまたは−CHOHであり;
がHであり;
が、−(CH−R、−CHNHR、−(CHNHRまたは−CH−4−ヒドロキシシクロヘキシル基であり、ここで、Rはモノ置換、ポリ置換もしくは非置換のシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり、ここで、該シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は5または6個の炭素原子を有し、そしてヘテロアリール基の場合は、ヘテロ原子として1または2個の窒素原子を有し、そしてRは、好ましくはフェニル、ヒドロキシフェニル、ピリジルまたはアミノピリジル基であり;
が、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ベンジルスルホニル、n−ブチルスルホニル、アミノベンジルスルホニル、ヒドロキシベンジルスルホニル、クロロベンジルスルホニル、フルオロベンジルスルホニル、カルボキシベンジルスルホニル、エチルオキシカルボニルベンジルスルホニル、カルボキシメチルベンジルスルホニル、エチルオキシカルボニルメチルベンジルスルホニル、ピリジルメチルスルホニル、N−(オキシド)−ピリジルメチルスルホニル、−CHCOOHまたは−CHCOOCHCH基であり;
Uがフェニル基であり;
Vが(CHであって、n=0であり;
XがCHであり;
YがCHであり;
Zが位置4にあり、そしてアミジノ基
【0028】
【化7】

【0029】
(式中、R11は、H、OHまたは−COOR12であり、ここで、R12は2、4または6個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基である)
である化合物である。
【0030】
他の特に適した化合物は、Rが−CH−CH−R基であり、ここで、Rは、1または2個のヘテロ原子、好ましくは窒素原子を有する、4〜6個の環原子をもつアリールまたはヘテロアリール基であり、そして1つまたはそれより多い−NH基および/または−OH基で置換されていてもよく、好ましくは一般式Iの構造A中のPは、ホモフェニルアラニン、ホモチロシン、インダニルグリシンまたは4−ピリジルホモアラニンから誘導され、Pアミノ酸は特にD配置の化合物である。
【0031】
特に他の定義がない限り、本発明において「置換基」または「置換(された)」という用語は、好ましくは、−OH、−NH、−NO、−COOH、−COOCHCHまたはハロゲンを意味し、「ハロゲン」という用語は一般に、フッ素、塩素または臭素、特にフッ素または塩素を意味する。
【0032】
アルキル基は一般に、特に他の定義がない限り、好ましくは1〜5個の炭素原子を有する基、特にエチルを示し、そして、シクロアルキル、アリール、アラルキル基は一般に、特に他の定義がない限り、好ましくは4〜14個、特に6〜10個、とりわけ6個の炭素原子を環原子として有する基を示す。「ヘテロ」という用語は一般に、特に他の定義がない限り、好ましくはN、SまたはO、特にNを意味し、ヘテロアリール基における環の少なくとも1つの炭素原子は、ヘテロ原子で入れ代わっており、環の1、2または3個の原子は特にNで入れ代わっているのが好ましい。
【0033】
詳しくは、本発明の特に好ましい化合物は、特許請求の範囲に記載の化合物、または表1中の化合物11〜20および22〜65である。
しかし、個々の特に好ましい化合物としては、説明した構造中、構造要素
【0034】
【化8】

【0035】
を有するグリシン残基が、各場合において、構造要素
【0036】
【化9】

【0037】
を有するセリン残基で、または
構造要素
【0038】
【化10】

【0039】
を有するグルタミン酸残基で、または
構造要素
【0040】
【化11】

【0041】
を有するグルタミンγ−エチルエステルで入れ代わっている化合物も挙げられる。これらは例えばセリン残基を有する次の構造
【0042】
【化12】

【0043】
である。
本発明のさらに適する化合物は以下のとおりである:
本発明のさらなる側面は、Zがアミノ基である上記のような化合物である。そのような化合物におけるUは、フェニル基、シクロヘキシル基またはN原子−ヘテロアリール基、好ましくはピリジル基であるのが好ましい。
【0044】
本発明のさらなる側面は、Rが−(CHCONHR7*または−(CHCONHR7**であって、a=1、2または3であり、R7**がアリール基、好ましくはフェニル基、またはアラルキル基、好ましくはベンジル基、または1〜2個のN、SまたはOヘテロ原子、好ましくはNヘテロ原子を有するヘテロアリール基であることのほか、上記のような化合物である。本発明のさらなる側面は、Rが−(CHCONHR7*または−(CHCONHR7**であって、a=1、2または3であり、R7**が少なくとも1つのハロゲン、1つのメチル、1つのエチル、1つのアミノ、1つのヒドロキシル、1つのニトロ、1つの−COOH、1つの−CHCOOHまたは1つの−CHNH基で置換されている、上記のような化合物である。
【0045】
本発明のさらなる側面は、Rが−(CH−NHであって、n=1、2、3、4または5、好ましくは1または4である、上記のような化合物である。
本発明のさらなる側面は、RがHである上記のような化合物である。
【0046】
本発明のさらなる側面は、Rが−CH−SRまたは−CHCH−SR基である上記のような化合物である。そのような化合物の例は特に、Rが−SO9*または−SOCH9*基であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0およびU=フェニル基、シクロヘキシル基、N−ヘテロアリール、好ましくはピリジル基である、上記のような化合物である。
【0047】
同様に本発明の側面は、Rが−SO9*または−SOCH9*基であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0およびU=フェニル基、シクロヘキシル基、N−ヘテロアリール、好ましくはピリジル基であるか、あるいはR9*がフェニル基、シクロヘキシル基、ピリジル基またはピリジルN−オキシド基である化合物である。
【0048】
同様に本発明の側面は、Rが−SO9*または−SOCH9*基であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0およびU=フェニル基、シクロヘキシル基、N−ヘテロアリール、好ましくはピリジル基であり、そしてR9*が置換フェニルまたはシクロヘキシルまたはピリジルまたはピリジルN−オキシド基であり、置換基が−OH、−O−COOR、−CHOCOOR(Rは上記定義どおりである)、−NH、−NO、−COOR10、−CHCOOR10基またはClもしくはFもしくはBr原子である化合物である。
【0049】
同様に本発明の側面は、Rが−SO9*または−SOCH9*基であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0およびU=フェニル基、シクロヘキシル基、N−ヘテロアリール、好ましくはピリジル基であり、そしてR9*が置換フェニルまたはシクロヘキシルまたはピリジルまたはピリジルN−オキシド基であり、置換基が−OH、−O−COOR、−CHOCOOR(Rは上記定義どおりである)、−NH、−NO、−COOR10、−CHCOOR10基またはClもしくはFもしくはBr原子であり、そしてRが−(CHCONHRまたは−(CHCONHR6*であって、a=0、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、R6*がアリール基、好ましくはフェニル基である化合物である。
【0050】
同様に本発明の側面は、Rが−SO9*または−SOCH9*基であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0およびU=フェニル基、シクロヘキシル基、N−ヘテロアリール、好ましくはピリジル基であり、そしてR9*が置換フェニルまたはシクロヘキシルまたはピリジルまたはピリジルN−オキシド基であり、置換基が−OH、−O−COOR、−CHOCOOR(Rは上記定義どおりである)、−NH、−NO、−COOR10、−CHCOOR10基またはClもしくはFもしくはBr原子であり、そしてRが−CHCH−CONHR7*または−CHCHCONHR7**または−CHCHCOOR7**であって、R7*がアリール基、好ましくはベンジルまたはフェニル基である化合物である。
【0051】
同様に本発明の側面は、Rが−SO9*または−SOCH9*基であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0であるか、あるいはRが−SO9*または−SOCH9*基であり、そしてvが(CHであって、n=0およびU=フェニル基、シクロヘキシル基またはピリジル基であり、そしてR9*が置換フェニルまたはシクロヘキシルまたはピリジル基であり、置換基が−OH、−O−COOR、−CHOCOOR(Rは上記定義どおりである)、−NH、−NO、−COOR10、−CHCOOR10基またはClもしくはFもしくはBr原子であり、そしてRが−CH−SRまたは−CHCH−SR基である化合物である。
【0052】
同様に本発明の側面は、RがピリジルN−オキシド基である上記のような化合物である。
また本発明の側面は、Pがプロリル基またはアゼチジンカルボン酸残基である化合物である。
【0053】
同様に本発明の側面は、Pが4−N−オキシド−ピリジルホモアラニン残基である化合物である。また本発明の側面は、Pがリシルまたはα,β−ジアミノプロピオン酸残基である化合物である。
【0054】
同様に本発明の側面は、表1中の化合物22〜65のうち1つまたはそれより多い化合物、あるいは全ての化合物である。
Xa因子の不活性化に加えて、本発明の追加として荷電された4−アミジノベンジルアミン誘導体は、上記のように、好都合かつ意外にも、非常にゆっくりなくなるので、本発明の化合物は高度の活性のあるF Xa阻害剤の新規なグループとなる。
【0055】
かかる化合物は通常、好ましくは、鉱酸または適する有機酸、好ましくは塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、メチルスルホン酸、コハク酸、リンゴ酸またはトリフルオロ酢酸との塩の形態、特にそれらの塩酸塩、硫酸塩または酢酸塩の形態である。
【0056】
一般式Iの化合物は、原則として以下に説明するように既知の方法で製造することができ、例えば一般に、適するアミノ酸をアミジノ基上で保護されているアミジノベンジルアミンに順次結合し、N−末端アミノ酸はR基をすでにもつかあるいは後でそれに結合する。
【0057】
商業的に入手しうる4−シアノベンジルアミン(昭和電工、日本)から、Boc−保護4−アセチルオキサミジノベンジルアミンは、当業者に既知の方法によって得られる。Boc−保護基の除去後、さらなるアミノ酸および保護基R上で標準カップリング法によりN−末端保護基としてのBocと結合させる。第2のアミノ酸はN−アリールスルホニル−またはN−アラルキルスルホニル−保護アミノ酸として直接結合させることもできる。ペプチド類似体はアセチルオキサミノベンジルアミンから順次出発して組み立てられる。ほとんどの中間体は十分に結晶化するので、容易に精製することができる。阻害剤の最終精製は、好ましくは分取逆相HPLCによって、最終段階で行う。
【0058】
従って、本発明はさらに、一般式Iの化合物の製造法であって、適するアミノ酸を、アミジノ基上で保護されているアミジノベンジルアミンに、例えば4−アセチルオキサミジノベンジルアミンにまたは4−(ベンジルオキシカルボニルアミジノ)ベンジルアミンに順次結合し、N−末端アミノ酸はR基をすでにもつかあるいは後でそれに結合する製造法に関する。
【0059】
本発明はさらに、本発明の化合物と、医薬的に適する賦形剤および/または添加剤とを含む薬剤に関する。適する賦形剤および/または添加剤は、薬剤を安定化および/または防腐する働きをし、一般に、当業者によく知られている(例えば、Sucker H et al., (1991) Pharmazeutische Technologie, 第2版, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)。これらは、例えば、生理食塩溶液、リンガーデキストロース、リンガーラクテート、脱イオン水、安定剤、酸化防止剤、錯化剤、抗微生物化合物、たんぱく分解酵素阻害剤および/または不活性ガスである。
【0060】
薬剤は、例えば、非経口の形態、特に動脈内、静脈内、筋肉内もしくは皮下の形態で、腸用形態、特に経口もしくは直腸使用の形態で、または局所使用形態、特に皮膚科学的薬剤として用いることができる。静脈内または皮下使用が好ましい。
【0061】
本発明の1つの態様では、薬剤は、例えば、錠剤、被覆錠剤、カプセル、ペレット、座薬、溶液、特に注射または注入用溶液、点眼薬、点鼻および点耳薬、シロップ、カプセル、乳液または懸濁液、ペッサリー、スティック、エーロゾル、粉剤、ペースト、クリームまたは軟膏の形態で用いられる。
【0062】
本発明のXa因子阻害剤または説明した薬剤は、心臓血管疾患もしくは血栓塞栓現象を治療または予防するために、特に経口、皮下、静脈内または経皮の形態で用いられるのが好ましい。
【0063】
本発明をいくつかの態様例によって以下でさらに詳しく説明する。本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0064】
方法
分析HPLC:Shimadzu LC−10Aシステム、カラム:フェノメネックス−ルナC18、5μm(250×4mm)溶媒A:水中の0.1%TFA、B:ACN中の0.1%TFA、勾配:60分で10%B〜70%B、流量1ml/分、220または215nmで検出。
【0065】
分取HPLC:Shimadzu LC−8Aシステム、カラム:フェノメネックス−ルナC18、5μm(250×30mm)溶媒A:水中の0.1%TFA、B:ACN中の0.1%TFA、勾配:120分で5%B〜50%B、流量10ml/分、220nmで検出。
【0066】
質量分光分析:質量スペクトルはフィニガン(Finnigan)(ブレーメン、ドイツ)のESI−MS LCQで記録した。
【0067】
使用した省略記号
Ac アセチル
AcOxam N−(アセチルオキシ)アミジン
Amb アミドメチルベンゼン
4−Amba 4−アミジノベンジルアミド
Boc t−ブチルオキシカルボニル
Bzl ベンジル
Bzls ベンジルスルホニル
dCha d−β−シクロヘキシルアラニン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
IBCC イソブチルクロロカーボネート
i.v. 真空中
MS 質量分光分析
NMM N−メチルモルホリン
PyBOP ベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMS−Cl トリメチルシリルクロリド
tBu t−ブチル
【0068】
実施例1
Bzls−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−4Amba×2TFA
【0069】
【化13】

【0070】
1a)H−Gly−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HCl(H−Gly−Amb(4AcOxam))
2g(5.49mmol)のBoc−Gly−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド(WO01/96286 A2に記載のように製造)を氷酢酸中の1N HCl30mlと混合した。混合物は時々振とうした。45分後、溶媒をいくらか濃縮し、そしてジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引しながらフリット上で濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥した。
収量:1.55g(5.15mmol)、白色固体
【0071】
1b)Boc−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−4Amb(4AcOxam)
250mg(0.89mmol)のBoc−D,L−ホモAla(4−Pyr)−OH[RSPアミノ酸DBA、シャーリー(Shirley)、米国マサチューセッツ州]および308mg(1.02mmol)の生成物1aを20mlのDMF中に溶解し、0℃で531mg(1.02mmol)のPyBopおよび533μl(3.06mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温でさらに2時間攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、NaCl飽和水で1回、飽和NaHCO溶液で2回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空除去した(黄色がかった油物)。
収量:600g(粗生成物)、HPLC:27.89%B
【0072】
1c)H−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−Amb(4AcOxam)×HCl
600mgの粗生成物1bを氷酢酸中の1N HCl 10mlと混合した。混合物は時々振とうした。1時間後、溶媒をいくらか濃縮し、そしてジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引しながらフリット上で濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥した。
収量:320mg(0.69mmol)の淡黄色固体、HPLC:16.83%B
【0073】
1d)Bzls−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−Amb(4AcOxam)
75mg(0.16mmol)の粗生成物1cおよび37mg(0.19mmol)のフェニルメタンスルホニルクロリド(Bzls−Cl)[Fluka]を10mlのDMF中に溶解し、0℃で68μl(0.39mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温でさらに2時間攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、NaCl飽和水で1回、飽和NaHCO溶液で2回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空除去した(淡色油物)。
収量:約280mg(粗生成物)、HPLC:29.27%B
【0074】
1e)Bzls−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−4Amba
粗生成物1dを50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて5時間、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を真空乾燥し、分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
収量:34.6mg(0.054mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:22.97%B
MS:計算値522.20(単一同位体(monoisotopic))、実験値523.4[M+H]
【0075】
実施例2
4−PMs−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−4Amba×3酢酸塩
【0076】
【化14】

【0077】
2a)4−PMs−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−Amb(4AcOxam)
50mg(0.11mmol)の生成物1cを10mlのDCM中に懸濁し、34μl(0.28mmol)のクロロトリメチルシラン(=TMS−Cl)[Merck]および69μl(0.4mmol)のDIEAを加え、混合物を室温で15分間攪拌した。次に、41mg(0.12mmol)の4−ピリジルメチルスルホニルクロリド×トリフレート(=4−PMs−Cl)[Array Biopharma, ボルダー, 米国コロラド州]およびさらに20μl(0.11mmol)のDIEAを加え、室温で一晩攪拌を続けた。次に、溶媒を真空除去した。残留物はそれ以上精製せずに合成の次の工程に直接用いた。
【0078】
2b)4−PMs−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Gly−Amba
粗生成物2aを50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)と混合した。混合物を大気圧下、室温にて一晩、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を5mlの水に溶解し、イオン交換カラム(フラクトゲル−EMD COO−カラム、寸法16×125mm、水で平衡させた)に入れた。カラムを85mlの水で洗浄し、生成物を酢酸アンモニウム勾配で溶離した。生成物を含むフラクション(HPLCモニタリング)を一緒にし、凍結乾燥した。
収量:20mg(0.034mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:13.14%B
MS:計算値523.20(単一同位体(monoisotopic))、実験値524.3[M+H]
【0079】
実施例3
Bzls−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−4Amba×2TFA
【0080】
【化15】

【0081】
3a)Boc−4−シアノベンジルアミド
100g(0.593mol)のシアノベンジルアミン×HClを1.2Lのジオキサンおよび600mlの2N NaOHに溶解した。142.3g(0.652mol)のジ(t−ブチル)ピロカーボネートを2回に分け、0℃で10分かけて加えた。2N NaOHを加えることによってpHを9〜10に調節し、混合物をさらに4時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、5%KHSOおよびNaCl−飽和水でそれぞれ3回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空除去した(白色固体)。
収量:132.6g(0.57mol)の白色固体、HPLC:51.6%B
【0082】
3b)Boc−4−アセチルオキサミジノベンジルアミド
130g(0.56mol)の生成物3a、58.4g(0.84mol)のヒドロキシルアミン×HClおよび146mlのDIEAを1.5Lのメタノール中に溶解した。混合物を6時間、還流下で沸騰させ、そして室温で一晩攪拌した。溶媒を真空除去し、油状残留物を1.5Lの酢酸中に溶解し、160ml(1.68mol)の無水酢酸と混合し、30分間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、NaCl−飽和水で3回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空中でできるだけ除去し、生成物は酢酸エチルから結晶化させた。
収量:110.6g(0.36mol)の結晶質固体、HPLC:39.76%B
【0083】
3c)H−4−アセチルオキサミジノベンジルアミン×HCl
50g(163mmol)の生成物3bを1Lの酢酸中に溶解し、氷酢酸中の1N HCl 800mlを加えた。混合物を振とうし、数分後に生成物が沈殿し始めた。75分後、生成物を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥した。
収量:36g(147.7mmol)の白色固体、HPLC:18.97%B
【0084】
3d)Boc−Ser−4−アセチルオキサミジノベンジルアミド
25g(122mmol)のBoc−Ser−OHを750mlのDMF中に溶解し、−15℃に冷却した。13.42ml(122mmol)のN−メチルモルホリンおよび15.86ml(122mmol)のイソブチルクロロカーボネートを加え、混合物を10分間攪拌した。次に、29.74g(122mmol)の生成物3cおよび13.42ml(122mmol)のN−メチルモルホリンを加え、混合物を−15℃で1時間、そして室温で一晩攪拌した。次に、DMFを真空除去し、残留物を2Lの酢酸エチルに溶解し、300mlの飽和NaHCO溶液で2回、そして300mlのNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を真空除去した(油物)。
収量:43gの粗生成物油、HPLC:29.87%B
【0085】
3e)H−Ser−4−アセチルオキサミジノベンジルアミド×TFA
40gの油状粗生成物3dを200mlのトリフルオロ酢酸と混合し、1時間攪拌した。ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空乾燥した。
収量:27g(66mmol)の白色固体、HPLC:20.22%B
【0086】
3f)Boc−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−Amb(4AcOxam)
100mg(0.36mmol)のBoc−D,L−ホモAla(4−Pyr)−OH[RSPアミノ酸DBA, シャーリー(Shirley), 米国マサチューセッツ州]および161mg(0.4mmol)の粗生成物3eを15mlのDMFに溶解し、0℃で206mg(0.4mmol)のPyBopおよび207μl(1.2mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温でさらに2時間攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、NaCl飽和水で1回、飽和NaHCO溶液で2回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空除去した(淡色の油物)。
収量:約300mg(粗生成物)、HPLC:26.8%Bおよび27.4%B(二重ピーク、ラセミ化合物)
【0087】
3g)H−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−Amb(4AcOxam)×TFA
300mgの3fからの粗生成物を、ジクロロメタン中の50%TFA5mlと混合した。混合物は時々振とうした。45分後、溶媒を濃縮し、残留物をメタノール中に溶解し、そしてジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、フリット上で吸引濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥した。
収量:186mg(0.33mmol)の白色固体、HPLC:21.6%Bおよび22.7%B(二重ピーク、ラセミ化合物)
【0088】
3h)Bzls−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−Amb(4AcOxam)
75mg(0.13mmol)の生成物3gおよび38mg(0.2mmol)のフェニルメタンスルホニルクロリド(Bzls−Cl)[Fluka]を10mlのDMF中に溶解し、0℃で68μl(0.39mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温で一晩攪拌した。溶媒は真空除去した(油物)。
収量:約120mg(粗生成物)、HPLC:28.1%Bおよび28.6%B(二重ピーク)
【0089】
3i)Bzls−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−4Amba×2TFA
3hからの粗生成物を50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて一晩、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を真空乾燥し、分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。これによってジアステレオマーを分離することが可能であった。
HPLC:22.01%B(化合物3a)および22.6%B(化合物3b)
MS:計算値552.22(単一同位体(monoisotopic))、実験値553.5[M+H]
【0090】
実施例4
4−PMs−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−4Amba×3酢酸塩
【0091】
【化16】

【0092】
4a)4−PMs−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−Amb(4AcOxam)
55mg(0.1mmol)の生成物3gを10mlのDCM中に懸濁し、31μl(0.25mmol)のクロロトリメチルシラン(=TMS−Cl)[メルク社]および61μl(0.36mmol)のDIEAを加え、混合物を室温で15分間攪拌した。次に、36mg(0.105mmol)の4−ピリジルメチルスルホニルクロリド×トリフレート(=4−PMs−Cl)[Array Biopharma, ボルダー, 米国コロラド州]およびさらに17.5μl(0.1mmol)のDIEAを加え、室温で一晩攪拌を続けた。次に、溶媒を真空除去した。残留物はそれ以上精製せずに合成の次の工程に直接用いた。
【0093】
4b)4−PMs−D,L−ホモAla(4−Pyr)−Ser−4Amba×3酢酸塩
4aからの粗生成物を50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて一晩、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を5mlの水に溶解し、イオン交換カラム(フラクトゲル−EMD COO−カラム、寸法16×125mm、水で平衡させた)に入れた。カラムを85mlの水で洗浄し、生成物を酢酸アンモニウム勾配で溶離した。生成物を含むフラクションを一緒にし、凍結乾燥した。
収量:17.2mg(0.028mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:12.1および12.3%B(二重ピーク、ラセミ化合物)
MS:計算値553.21(単一同位体(monoisotopic))、実験値554.5[M+H]
【0094】
実施例5
Bzls−d−ホモTyr−Gly−4Amba×TFA
【0095】
【化17】

【0096】
5a)Bzls−d−ホモTyr−OH
300mg(1.09mmol)のH−d−ホモTyr−OH×HBr[Chem-Impex International, ウッドデイル, 米国イリノイ州]を20mlのDCM中に懸濁し、425μl(3.37mmol)のクロロトリメチルシラン(=TMS−Cl)[Merck]および586μl(3.37mmol)のDIEAを加え、混合物を60℃で1時間攪拌し、再び室温に冷却した。その後、229mg(1.2mmol)のフェニルメタンスルホニルクロリド(=Bzls−Cl)[Fluka]およびさらに190μl(1.09mmol)のDIEAを加え、混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、5%KHSO溶液で1回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を除去した後、生成物を酢酸エチルから結晶化した。
収量:353mg(1.01mmol)の淡黄色固体、HPLC:40.9%B
【0097】
5b)Bzls−d−ホモTyr−Gly−Amb(4AcOxam)
50mg(0.14mmol)の生成物5aおよび43mg(0.14mmol)のH−Gly−Amb(4AcOxam)(=生成物1a)を15mlのDMF中に溶解し、0℃で74.4mg(0.14mmol)のPyBopおよび74.6μl(0.43mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温でさらに2時間攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、5%KHSO溶液で1回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。淡い色の油物が残留物として残った。
収量:約200mg(粗生成物)、HPLC:39.84%B
【0098】
5c)Bzls−d−ホモTyr−Gly−4Amba
5bからの粗生成物を50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて6時間、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を真空乾燥し、さらに予備精製することなく、分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
収量:37.5mg(0.058mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:32.37%B
MS:計算値537.20(単一同位体(monoisotopic))、実験値538.4[M+H]
【0099】
実施例6
Bzls−d−ホモTyr−Ser−4Amba×TFA
【0100】
【化18】

【0101】
6a)Bzls−d−ホモTyr−Ser−Amb(4AcOxam)
50mg(0.14mmol)の生成物5aおよび58.4mg(0.14mmol)のH−Ser−Amb(4AcOxam)(=生成物3e)を15mlのDCM中に溶解し、0℃で74.4mg(0.14mmol)のPyBopおよび74.6μl(0.43mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温で一晩攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、5%KHSO溶液で1回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した(淡色の油物)。
収量:約165mg(粗生成物)、HPLC:38.49%B
【0102】
6b)Bzls−d−ホモTyr−Ser−4Amba×TFA
6aからの粗生成物を50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて6時間、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を真空乾燥し、さらに予備精製することなく、分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
収量:38mg(0.056mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:31.74%B
MS:計算値567.22(単一同位体(monoisotopic))、実験値568.5[M+H]
【0103】
実施例7
4−PMs−dホモPhe−Gly−4Amba×2TFA
【0104】
【化19】

【0105】
7a)Boc−d−ホモPhe−Gly−Amb(4AcOxam)
732mg(2.62mmol)のBoc−d−ホモPhe−OH[Bachem]および788mg(2.62mmol)のH−Gly−Amb(4AcOxam)(=生成物1a)を50mlのDCM中に溶解し、0℃で1.36mg(2.62mmol)のPyBopおよび1.37μl(7.86mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温で2時間攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、5%KHSO溶液、飽和NaHCO溶液、そしてNaCl飽和水でそれぞれ2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空除去した(淡褐色の油物)。
収量:約1.8mg(粗生成物)、HPLC:47.87%B
【0106】
7b)H−d−ホモPhe−Gly−Amb(4AcOxam)×HCl
600mgの7aからの粗生成物を氷酢酸中の1N HCl 15mlと混合した。混合物は時々振とうした。1時間後、溶媒をいくらか濃縮し、そしてジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、フリット上で吸引濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥した。
収量:1.02g(2.2mmol)の淡黄色固体、HPLC:28.11%B
【0107】
7c)4−PMs−dホモPhe−Gly−Amb(4AcOxam)
50mg(0.11mmol)の生成物7bを10mlのDCM中に懸濁し、20.5μl(0.16mmol)のクロロトリメチルシラン(=TMS−Cl)[Merck]および49μl(0.28mmol)のDIEAを加え、混合物を室温で15分間攪拌した。次に、41mg(0.12mmol)の4−ピリジルメチルスルホニルクロリド×トリフレート(=4−PMs−Cl)[Array Biopharma, ボルダー, 米国コロラド州]およびさらに20μl(0.11mmol)のDIEAを加え、室温で2時間攪拌を続けた。次に、溶媒を真空除去した。残留物はそれ以上精製せずに合成の次の工程に直接用いた。
【0108】
7d)4−PMs−dホモPhe−Gly−4Amba×2TFA
7cからの粗生成物を50mlの90%酢酸に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて一晩、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を真空乾燥し、さらに予備精製することなく、分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
収量:30mg(0.047mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:26.01%B
MS:計算値522.20(単一同位体(monoisotopic))、実験値523.3[M+H]
【0109】
実施例8
2−PMs−dホモPhe−Gly−4Amba×2TFA
【0110】
【化20】

【0111】
8a)2−PMs−dホモPhe−OH
75mg(0.42mmol)のH−dホモPhe−OH[Bachem]を10mlのDCM中に懸濁し、116μl(0.92mmol)のクロロトリメチルシラン[Merck]および160μl(0.92mmol)のDIEAを加え、混合物を60℃で15分間攪拌し、次に、再び室温に冷却した。次に、150mg(0.44mmol)の2−ピリジルメチルスルホニルクロリド×トリフレート(=2−PMs−Cl)[Array Biopharma, ボルダー, 米国コロラド州]およびさらに77μl(0.44mmol)のDIEAを加え、室温で一晩攪拌を続けた。次に、溶媒を除去した。残留物はそれ以上精製せずに合成の次の工程に直接用いた。
収量:約300mg(粗生成物)、HPLC:32.86%B
【0112】
8b)2−PMs−dホモPhe−Gly−Amb(4AcOxam)
150mg(約0.2mmol)の粗生成物8aおよび60.2mg(約0.2mmol)のH−Gly−Amb(4AcOxam)(=生成物1a)を10mlのDCM中に溶解し、0℃で104mg(0.2mmol)のPyBopおよび104.5μl(0.6mmol)のDIEAを加えた。混合物を0℃で20分間、そして室温でさらに2時間攪拌した。次に、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、飽和NaHCO溶液で2回、そしてNaCl飽和水で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒は真空除去した(淡褐色油物)。
HPLC:35.28%B
【0113】
8c)2−PMs−dホモPhe−Gly−4Amba
8bからの粗生成物を50mlの90%酢酸中に溶解し、20mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を大気圧下、室温にて5時間、水素で水素添加した。次に、触媒を濾過し、溶媒を真空濃縮した。残留物を真空乾燥し、さらに予備精製することなく分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
収量:69mg(0.11mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:31.18%B
MS:計算値522.20(単一同位体(monoisotopic))、実験値523.4[M+H]
【0114】
実施例9
3−PMs−dホモPhe−Gly−4Amba×2TFA
【0115】
【化21】

【0116】
9)3−PMs−dホモPhe−Gly−4Amba
実施例9では、3−ピリジルメチルスルホニルクロリド×トリフレート(=3−PMs−Cl)[Array Biopharma, ボルダー, 米国コロラド州]を用いる以外は、実施例8と同様に合成した。最終生成物は分取逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
収量:62mg(0.097mmol)の凍結乾燥粉末、HPLC:29.08%B
MS:計算値522.20(単一同位体(monoisotopic))、実験値523.4[M+H]
【0117】
表1:Xa因子およびトロンビンの阻害定数の測定。選択性比SR(SR=Kiトロンビン/KiXa因子)も示す。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
【表3】

【0121】
【表4】

【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
【表9】

【0127】
【表10】

【0128】
阻害効果の測定
阻害効果を測定するには、200μlのトリスバッファー(0.05M、0.154M NaCl、5%エタノール、pH8.0;阻害剤を含有する)、25μlの基質(HO中のMoc−D−Nle−Gly−Arg−pNA;Pentapharm Ltd., バーゼル, スイス)および50μlのXa因子(ウシ、Diagnostic Reagents Ltd., Thame, イギリス)を25℃でインキュベートした。3分後、25μlの酢酸(50%)を加えることによって反応を停止し、マイクロプレート・リーダー(MR 5000、Dynatech, Denkendorf, ドイツ)を用いて405nmでの吸収量を測定した。K値はコンピュータープログラムを用いて線形回帰によりDixon法(Biochem. J. 55, 170-171, 1953)によって見出した。K値は少なくとも3つの測定の平均である。トロンビン阻害は以前から報告されている方法(Sturzebecher et al., J. Med. Chem. 40, 3091-3099, 1997)と同様な方法で測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、
AはP−Pであって、
【化2】

および
【化3】

であり;
は、Hまたは−(CHCOORであって、a=0、1、2、3、4または5、好ましくはa=0、1または2であり、ここで、Rは、好ましくは1〜6個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、とりわけエチルであり、Rは、特にHであり;
は、H、−CH−ORまたは−CH−OCOORであり、ここで、Rは、H、または1〜5個、特に1〜3個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基であるか、あるいはRは、−CH−CH−COOR7*であり、ここで、R7*は、H、または1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、好ましくはエチルであり;
はHであり;
は、−(CH−R(f=0または2、好ましくはf=2)、−CHNHR、−(CHNHRまたは−CH=CH−Rであり、ここで、Rは、モノ置換、ポリ置換もしくは非置換のシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり、ここで、該シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は、環中に好ましくは5〜14個、特に5〜6個の炭素原子を有し、ヘテロアリール基の場合は、ヘテロ原子として好ましくは1〜3個の窒素原子を有するか、あるいはRが−(CH−Rであって、Rが4〜14個、特に6〜10個、とりわけ6個の炭素原子を有するヒドロキシシクロアルキル基である場合は、fは1であり、そして一般式Iの構造A中のPは、DまたはL配置、好ましくはD配置であり;
は−(CHCOORであって、i=1、2または3、好ましくはi=1であり、Rは、1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、好ましくはエチルであるか、あるいはRは、−SO9*、−SO−NH−R9*であり、ここで、R9*は、H、1〜10個、好ましくは1〜6個、特に1〜4個、とりわけ1〜2個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル、モノ置換、ポリ置換もしくは非置換のアリール、ヘテロアリール、アラルキル、好ましくはベンジル、ヘテロアラルキル基またはシクロヘキシルアルキル基、好ましくはシクロヘキシルメチル基であり、ここで、置換基は、−OH、−O−COOR、−CH−OCOOR(Rは上記定義どおりである)、−NH、−NO、−COOR10、−CH−COOR10基またはCl、FもしくはBr原子でもよく、R10は、H、または1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、とりわけエチルであり;
Uは、フェニルまたはシクロヘキシル基、あるいはヘテロ原子として少なくとも1つのN、SまたはOを有する1〜10個、好ましくは6個の環原子をもつ芳香族または非芳香族の複素環式基、特にピリジン、ピペリジンまたはピリミジン、あるいはチエニル基であり;
Vは(CHであって、n=0または1、好ましくは0であり;
XはNまたはCH、好ましくはCHであり;
YはNまたはCH、好ましくはCHであり;
Zは、2位、3位または4位、好ましくは4位にあり、そしてアミノメチル、グアニジノ基またはアミジノ基
【化4】

(式中、R11は、H、OH、NH、−COR12または−COOR12であり、ここで、R12は1〜8個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、あるいはモノ置換、ポリ置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキル基であり、ここで、該アルキル基は好ましくは1〜16個、特に1〜8個、とりわけ1〜4個、特に好ましくは1〜2個の炭素原子を有し、該アリールまたはヘテロアリール基は好ましくは4〜14個、特に6〜10個、とりわけ6個の炭素原子およびヘテロ原子として好ましくは1〜3個の窒素原子を有する)
である]
で表される化合物、またはプロドラッグの形態もしくは塩の形態である一般式Iで表される化合物。
【請求項2】
Uが1位、2位または3位でハロゲン、特にフッ素もしくは塩素、あるいはメチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシまたはプロポキシ基によって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
少なくとも1つのカルボキシル基がエステル、好ましくはエチルエステルとして保護された形態である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
プロドラッグ形態であり、ここで、1またはそれより多いカルボキシル基が、1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル、好ましくはエチルを有するそれらのアルキルエステルの形態で存在する、および/または、1またはそれより多いヒドロキシル基が、その末端基が既に定義したRに等しいカーボネートの形態である、および/または、アミジノ−またはグアニジノベンジルアミン残基が、ヒドロキシアミジンもしくはヒドロキシグアニジンの形態またはアルキルオキシカルボニル誘導体の形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
式Iの構造要素
【化5】

が−CH−または−NH−基、好ましくは−CH−基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
がHであり;
が、H、−CH−CH−COOH、−CH−CH−COOCHCHまたは−CH−OHであり;
がHであり;
が、−(CH−R、−CHNHR、−(CHNHRまたは−CH−4−ヒドロキシシクロヘキシル基であり、ここで、Rは、モノ置換、ポリ置換もしくは非置換のシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり、ここで、該シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は5または6個の炭素原子を有し、そしてヘテロアリール基の場合は、ヘテロ原子として1または2個の窒素原子を有し、そしてRは、好ましくはフェニル、ヒドロキシフェニル、ピリジルまたはアミノピリジル基であり;
が、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、ベンジルスルホニル、アミノベンジルスルホニル、ヒドロキシベンジルスルホニル、クロロベンジルスルホニル、フルオロベンジルスルホニル、カルボキシベンジルスルホニル、エチルオキシカルボニルベンジルスルホニル、カルボキシメチルベンジルスルホニル、エチルオキシカルボニルメチルベンジルスルホニル、ピリジルメチルスルホニル、N−(オキシド)−ピリジルメチルスルホニル、−CHCOOHまたは−CHCOOCHCH基であり;
Uがフェニル基であり;
Vが(CHであって、n=0であり;
XがCHであり;
YがCHであり;
Zが4位にあり、そしてアミジノ基
【化6】

(式中、R11は、H、OHまたは−COOR12であり、ここで、R12は2、4または6個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基である)
であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が−CH−CH−R基であり、ここで、Rは、1または2個のヘテロ原子、好ましくは窒素原子を有する、4〜6個の環原子をもつアリールまたはヘテロアリール基であり、そして1つまたはそれより多い−NH基および/または−OH基で置換されていてもよく、好ましくは一般式Iの構造A中のPは、ホモフェニルアラニン、ホモチロシン、インダニルグリシンまたは4−ピリジルホモアラニンから誘導され、Pアミノ酸は特にD配置であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
置換基が、−OH、−NH、−NO、−COOH、−COOCHCH、ハロゲン、好ましくはフッ素、塩素または臭素、特にフッ素または塩素であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
化合物が次の構造
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

[式中、基Rは次の基
【化46】

(式中、基PのCγ炭素原子への基Rの結合はアステリスクのついた原子から生じ、基Rが位置するアミノ酸は、DおよびL配置のいずれでも存在できるが、D配置が特に好ましい)
から選択される]
から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
化合物が請求項9に記載の構造から選択され、該構造中、構造要素
【化47】

を有するグリシン残基が、各場合において、構造要素
【化48】

を有するセリン残基、または
構造要素
【化49】

を有するグルタミン酸残基、または
構造要素
【化50】

を有するグルタミンγ−エチルエステルにより入れ代わっていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
化合物が塩の形態であって、好ましくは、鉱酸あるいは適切な有機酸、好ましくは塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、メチルスルホン酸、コハク酸、リンゴ酸またはトリフルオロ酢酸との塩の形態、とりわけそれらの塩酸塩、硫酸塩または酢酸塩の形態であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
適切なアミノ酸を、アミジノ基上で保護されているアミジノベンジルアミン上に順次結合し、N−末端アミノ酸がR基をすでにもつか、あるいは後でR基がN−末端アミノ酸に結合されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物および医薬的に適する賦形剤および/または添加剤を含む薬剤。
【請求項14】
薬剤が、錠剤、被覆錠剤、カプセル、ペレット、座薬、溶液、特に注射または注入用溶液、点眼薬、点鼻および点耳薬、シロップ、カプセル、乳液または懸濁液、ペッサリー、スティック、エーロゾル、粉剤、ペースト、クリームまたは軟膏の形態で用いられる、請求項13に記載の薬剤。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物、または請求項13もしくは14に記載の薬剤の使用であって、心臓血管疾患もしくは血栓塞栓現象を治療または予防するためのXa因子阻害剤としての、特に経口、皮下、静脈内または経皮の形態での使用。
【請求項16】
Zがアミノ基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
が−(CH−CONHR7*または−(CH−CONHR7**基であり、ここで、a=1、2または3であり、R7**は、アリール基、または、N、SもしくはOから選択される1〜2個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基である、請求項1〜7または16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
が−(CH−CONHR7*または−(CH−CONHR7**基であり、ここで、a=1、2または3であり、R7**は、アリール基、または、N、SもしくはOから選択される1〜2個の複素原子を有するヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基は、ハロゲン、メチル、エチル、アミノ、−CHNH、ニトロ、−OH、−COOH、−CHCOOHの少なくとも1つで置換されている、請求項1〜7または16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
が−(CH−NH基であって、n=1、2、3、4または5、好ましくは1または4である、請求項1〜7または16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
がHである、請求項1〜7または16〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
が−CH−SRまたは−CHCH−SR基である、請求項1〜7または16〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】

【化51】

である、請求項1〜7または16〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
定義した構造において、構造要素
【化52】

を有するグリシン残基が、各場合において、構造要素
【化53】

を有するリシル基で入れ代わっているか、あるいは構造要素
【化54】

を有するα,β−ジアミノプロピオン酸残基で入れ代わっていることを特徴とする、請求項10に記載の化合物。
【請求項24】
化合物が次の構造
【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
化合物が塩の形態であって、好ましくは、鉱酸あるいは適切な有機酸、好ましくは塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、メチルスルホン酸、コハク酸、リンゴ酸またはトリフルオロ酢酸との塩の形態、とりわけそれらの塩酸塩、硫酸塩または酢酸塩の形態であることを特徴とする、請求項16〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
適切なアミノ酸を、アミジノ基上で保護されているアミジノベンジルアミン上に順次結合し、N−末端アミノ酸がR基をすでにもつか、あるいは後でR基がN−末端アミノ酸に結合されることを特徴とする、請求項16〜25のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。
【請求項27】
請求項16〜25のいずれか1項に記載の化合物および医薬的に適する賦形剤および/または添加剤を含む薬剤。
【請求項28】
薬剤が、錠剤、被覆錠剤、カプセル、ペレット、座薬、溶液、特に注射または注入用溶液、点眼薬、点鼻および点耳薬、シロップ、カプセル、乳液または懸濁液、ペッサリー、スティック、エーロゾル、粉剤、ペースト、クリームまたは軟膏の形態で用いられる、請求項27に記載の薬剤。
【請求項29】
請求項16〜26のいずれか1項に記載の化合物、または請求項27もしくは28に記載の薬剤の使用であって、心臓血管疾患もしくは血栓塞栓現象を治療または予防するためのXa因子阻害剤としての、特に経口、皮下、静脈内または経皮の形態での使用。

【公表番号】特表2007−528363(P2007−528363A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525787(P2006−525787)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010225
【国際公開番号】WO2005/026198
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505269685)キュラサイト・ケミストリー・ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】