説明

凝集に基づくサンプル検査装置

液体サンプル中の所定の成分の存在を検査するサンプル検査装置(100)は、(a)上流側端部と下流側端部とを有し且つ検知される前記成分との凝集を引き起こすことができる試薬組織を組み込んだ少なくとも1つの毛細管通路(検査毛細管)(120)と、(b)好ましくは、しかし、随意的に設けられ、上流側端部と下流側端部とを有する少なくとも1つの毛細管通路(制御毛細管)(121)と、(c)液体サンプルが加えられるサンプリング領域であって、このサンプリング領域からサンプルを検査毛細管(120)および存在する場合には制御毛細管(121)の上流側端部へ導入することができるサンプリング領域(114)と、(d)電源(108、109)と、(e)電源(108、109)に電気的に結合され、前記検査毛細管(120)および存在する場合には制御毛細管(121)の下流側領域で液体の存在を検知する検知装置(117、118)と、(f)前記電源(108、109)によって動作され、検査の結果を示すための表示手段(113)と、(g)電源(108、109)、検知装置(117、118)、表示手段(113)に結合され、検査の結果を評価して、表示手段上で前記結果を与える信号処理手段(112)とを含む。装置は、妊娠検査のため、特に尿中のhCGの存在を決定するために使用されても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サンプル中の所定の成分(すなわち、検体)の存在を検査するためのサンプル検査装置に関する。本発明は、特に、熟練を要しない使用者が家庭、医院または診療所で使用して例えば妊娠等の特定の状態を自己診断できるそのような装置に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
例えば尿のサンプル中の検体を検出するための携帯用(手持ち式)の装置が知られている。妊娠および受胎能の家庭検査としてのそのような装置の使用は現在において一般的であり、また、様々な検査装置およびキットが市販されている。これらの装置の多くは、毛細管作用に依存している。したがって、免疫学的検定等の特定の結合検定によって検体を検知する装置においては、毛細管作用により液体サンプルを移動させるストリップ材料(例えば薄膜)を使用することが以前から提案されてきている。一般に、液体サンプルは、ストリップ材料に加えられるとともに、ストリップ材料を透過して、検査下にある検体のための特定の結合パートナーが含浸された領域へと至る。特定の結合パートナーに結合された検体は、特定の結合パートナーに結合された検体に固有の固定剤が含浸された指標領域で固定される場合には、ストリップに沿って更に移動する。サンプル中に存在する検体が指標領域で固定される度合いは、ストリップ中に組み込まれ或いはその後にストリップに対して加えられるラベル付けされた試薬によって決定される。一般に、指標領域における固定された検体の存在は、指標領域において色変化を与え、また、ユーザによるその色変化の検知こそが、サンプル中における特定の検体の存在を示している。そのような装置は、家庭妊娠・受胎能検査として広く使用されている。
【0003】
周知の検体検定装置に伴う問題は、色変化の読み取りに関して誤差範囲があるということである。一般に、検体のための特定の結合パートナーは、視認できる着色ラベル、例えば色素が含浸されたラテックス粒子でラベル付けされる。周知の装置における検査ストリップの指標領域は、一般に、指標領域でのラベルの大きさが増大して視認できる色変化が得られるように指標領域内で検体を停止させる所定量の固定剤を含んでいる。この固定剤の存在が僅かな量の色を指標領域に与え、この色が、陽性結果が観察される際に強められる。例えば、指標領域におけるストリップが薄青であっても良い。検査が使用され且つ指標領域で固定されたラベル付けされた抗体を検体が結合すると、指標領域におけるストリップが更に濃い青色になる場合がある。色変化は、特に光が変化する状態では、容易に再現することができず、あるいは、眼で正確に読み取ることができない。
【0004】
また、眼で色変化を読み取る必要がある検査において、検体検定装置の使用者は、検定結果を読み取る際に好ましい検定結果を心の中で考える場合があり、これが色変化の観察を曇らせる場合がある。例えば、指標領域での色の強まりによって妊娠を示す妊娠検査キット(例えばhCGの検知のための抗原/抗体結合反応に基づくキット)の使用者は、自分が妊娠したいと思っている場合には、妊娠したくないと思っている場合よりも、色が強まっていると簡単に判断してしまう場合がある。これにより、検体の存在およびその検体の存在に関連する状態、この場合には妊娠の判断に誤りが生じてしまう。
【0005】
他のファクタは、最初の結果が与えられた後に実行し続ける検査から生じ得る。検査は、短い時間、すなわち1〜3分で結果を与えるように最適化される。しかしながら、検査ストリップが湿っており且つ検体が流れることができる限り、抗体−抗原結合反応は起こり続ける。女性の尿の全てのサンプルが基底レベルのhCGを含んでいるため、経時的に十分な色が検知可能となるように増大し得る。
【0006】
前述の欠点を解消するため、妊娠検査装置において電気化学検知が提案されてきた。したがって、例えば、WO−A−00 00827(Moorlodge Biotech Ventures Limited)は、検体のための特定の結合パートナーが電気化学的に直接或いは間接的に検知可能なラベルを有している装置を開示している。この装置は、電気化学的な検知装置を更に含む。電気化学的に検知可能なラベルは、例えば、PIヌクレアーゼラベルであっても良く、この場合、装置のキャリアも、PIヌクレアーゼによる触媒反応で過酸化水素を生成するために必要なPIヌクレアーゼ以外の酵素および基質の全てを組み込んでいる。電気化学的な検知装置は、過酸化水素の存在(または不存在)を検知する働きがある。WO−A−00 00827の装置は、検査結果を示すためのLEDまたはLCDディスプレイ装置を組み込んでいても良い。
【0007】
電気化学的な検知装置を使用する更なる提案がWO−A−0033063に開示されている。このWO明細書の装置は、毛細管作用によって液体が移動できる基板を含む。基板上には、異なる金属からなる少なくとも一対の電極が設けられており、これらの電極は、基板に沿って流れる液体が電極間へと進んで装置の電気化学的な検知装置を動作させるための電流を生成させるように配置されている。この場合も同様に、検査の結果は、例えばLCDディスプレイ装置上に表示されても良い。
【0008】
電子的な視覚的に読み取ることができる出力手段(例えばLCD)を組み込んだ更なる検定装置がWO−A−9506240(Metrika Laboratories, Inc.)に開示されている。このWO明細書は、血液や尿等の体液中の1または複数の検体の量を決定する際に使用するための使い捨てできる内蔵型の電子検定装置を開示している。この装置は、液体サンプルが加えられる受け領域とサンプルが流れて到達するサンプル処理領域とを有するカード状のハウジングを含む。サンプル処理領域は、検体がサンプル中に存在する(あるいは、所定の量を超えて存在する)場合には、物理的に検知可能な変化を生成することができる。この変化は、例えば、色変化であっても良い。装置は、検知器と、信号処理手段と、電子表示装置と、これらの3つの部品を動作させるための電源とを更に含む。サンプル処理領域における任意の変化(検体によって引き起こされる)は検知器によって感知され、それにより、信号処理手段は、検査結果を決定して、表示装置上で読み出しを行なうことができる。
【0009】
本発明に対する更なる背景として、液体を検査するための装置を開示するWO−A−99 35497(Bio−Diagnotics Limited)も参照する。WO−A−99 35497に具体的に開示された装置は、血液型を識別するためのものであり、多数の毛細管チャンネルを協働して形成するプレート・蓋構造を含む。この場合、各毛細管チャンネルは、検査される血液が導入される上流側端部と、下流側排出口(毛細管に沿って血液を流すことができる)とを有している。装置は、全長に沿う部位で‘指標文字’A,B,O(すなわち、血液型表示)のうちの一方または他方へと形成される3つの毛細管チャンネルを組み込んでいる。指標文字の上流側で、各毛細管チャンネルは、そのチャンネルの指標文字によって表されるタイプの血液の凝集を引き起こす凝集試薬組織を有している。したがって、例えば、‘指標文字’として‘A’が形成されたチャンネルは、血液型A(血液型B又はOではない)の凝集を引き起こす凝集試薬組織を組み込んでいる。凝集組織を含まず且つ‘指標文字’の代わりに‘チェックマーク’を有する更なる毛細管トラック(これに沿って血液が移動できる)も存在する。‘指標文字’および‘チェックマーク’(これらの全ては最初に無色である)以外に、装置は、赤色の背景も有している。
【0010】
血液型を決定するため、毛細管トラックの上流側端部に血液サンプルが導入される。血液は、装置が適切に機能しているという表示としてその後に赤色になる ‘チェックマーク’に関連付けられたトラックに沿って妨害されることなく流れなくてはならない。したがって、このトラックは、‘制御トラック’と見なすことができる。
【0011】
検査下のサンプルの血液型に応じて、血液は、他の3つのトラックのうちの1つで凝集されるようになるが、他の2つに沿って流れる。したがって、例えば、血液型がA型である場合、血液は、‘指標文字’として‘A’を有するトラックで凝集されるようになる。そのため、このトラックの血液は、‘指標文字’に達することができない。一方、血液は、他の2つのトラックに沿って流れることができるとともに、それらに関連付けられた‘指標文字’を満たす。
【0012】
したがって、検査が行なわれた後、‘指標文字’および‘チェックマーク’の2つが赤色となって、もはや装置の赤の背景に対して視認できなくなる。しかしながら、血液が凝集された通路内の残りの‘指標文字’は依然としてはっきりとしたままであり、したがって、血液型が決定される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明においては、液体サンプル中の対象の成分の存在を検査するためのサンプル検査装置であって、
(a)上流側端部と下流側端部とを有し且つ検知される前記成分との凝集を引き起こすことができる試薬組織を組み込んだ少なくとも1つの毛細管通路(検査毛細管)と、
(b)好ましくは、しかし、随意的に設けられ、上流側端部と下流側端部とを有する少なくとも1つの毛細管通路(制御毛細管)と、
(c)液体サンプルが加えられるサンプリング領域であって、このサンプリング領域からサンプルを前記検査毛細管および存在する場合には前記制御毛細管の前記上流側端部へ導入することができるサンプリング領域と、
(d)電源と、
(e)前記電源に電気的に結合され、前記検査毛細管および存在する場合には前記制御毛細管の下流側領域で液体の存在を検知する検知装置と、
(f)前記電源によって動作され、検査の結果を示すための表示手段と、
(g)前記電源、前記検知装置および前記表示手段に結合され、検査の結果を評価して、前記表示手段上で前記結果を与える信号処理手段と、
を備えるサンプル検査装置が提供される。
【0014】
本発明の装置は、携帯用(手持ち式)の装置として構成されることが好ましく、サンプルを迅速に分析して、所定の成分(ここでは、検体とも称する)がサンプル中に存在していること(あるいは、存在していないこと)を検知するとともに、表示手段により検査結果の読み出しを行なうのに役立つ。以下で十分に説明するように、本発明の特定の実施形態は、妊娠に関連するホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の尿中における存在(あるいは、不存在)を分析することができる妊娠検査装置である。しかしながら、本発明は妊娠検査装置に限定されず、多くの他の分析形式も可能である。
【0015】
本発明に係る装置は、単一の検定を行なうために使用された後に処分されても良い使い捨て装置として構成されても良い。
【0016】
毛細管通路または各毛細管通路は、キャピラリチューブの形態を成していることが好ましい。しかしながら、クロマトグラグ膜または例えばニトロセルロースからなる他の膜の形態で毛細管通路を形成することもできる。更なる可能性は、毛細管通路または各毛細管通路を多孔材料または繊維材料によって形成することである(例えば、通路が中空ファイバの形態で形成される)。
【0017】
本発明の装置は1または複数の毛細管通路を組み込んでおり、各通路は、各通路の下流側領域での液体の存在(または、不存在)を検知するための検知装置に結合されている。これらの通路のうちの一方、すなわち前記(a)として示された通路は‘検査’通路であり、他方すなわち前記(b)(存在する場合)として示された通路は‘制御’通路である。制御通路が存在する場合、当該制御通路は、通路の上流側端部に導入される液体が少なくともその通路に関連付けられた検知装置に至るまで毛管現象によって流れることができるようになっている。これは、液体が必要な程度まで制御通路に沿って移動したことを確認する信号処理手段に対して信号を供給する。これは、実質的に、装置が正常に機能していることを確認する。また、‘検査通路’は、その上流側端部に導入された液体サンプルが(少なくとも最初に)毛管現象により‘検査通路’に沿って流れることができるようになっている。しかしながら、検査通路は、検体が存在し或いは検体が所定の値を超える量で存在している場合に検体との凝集を引き起こす(装置の意図する感度に応じて)ことができる試薬組織を組み込んでいる。適切な状態が満たされると、凝集により、検査通路に沿う流れが停止されて、液体が関連する検知装置に到達せず、あるいは、凝集により、流れの速度が落ちて、検査手続きが完了する所定の時間間隔までに液体が検知装置に到達しない。
【0018】
装置の使用時、検査される液体サンプルがサンプリング領域に加えられ、このサンプリング領域から液体サンプルが両方の通路の上流側端部に入る。サンプリング領域は例えば吸収パッドを含んでいても良く、この吸収パッドに対して液体サンプルが加えられるとともに、この吸収パッドから液体サンプルが毛細管通路に入る。あるいは、サンプリング領域は、液体が外側から流入することができるが同じ経路で出ることができないように形成された逆止弁を有するリザーバであても良い。あるいは、サンプルは、ピペットまたは同様のアプリケーション装置を使用して加えることができる。
【0019】
検査通路の上流側端部に導入される液体サンプルがその通路に関連付けられた検知装置に到達する(あるいは、所定の時間内にその検知装置に到達する)ことができるか否かに関する問題は、その通路に沿って凝集が生じたか否か(すなわち、検査下にあるサンプルが、検体を含んでいるか否か或いは少なくとも所定の値を上回る量で検体を含んでいるか否か)に依存している。検査の結果は、信号処理手段が、毛細管通路に結合された検知装置から受けた入力に基づいて決定する。1つの検査通路の例では、特定の時間前に液体が検知装置に到達した場合、検査の結果が‘陰性’(すなわち、サンプル中に検体が存在せず、あるいは、必要に応じて、所定の量を超えて検体が存在しない)として決定されるとともに、適切なメッセージをディスプレイ装置上に表示することができる。検査通路および制御通路の両方を組み込んだ装置の例では、液体が制御通路および検査通路の両方に関連付けられた検知装置に到達した場合、検査結果が‘陰性’(すなわち、サンプル中に検体が存在せず、あるいは、必要に応じて、所定の量を超えて検体が存在しない)として決定されるとともに、適切なメッセージをディスプレイ装置上に表示することができる。あるいは、特定の時間内に液体が検査通路に関連付けられた検知装置に到達しなかった場合、検査結果は‘陽性’であり、この場合も、適切なメッセージが表示される(液体が制御通路に関連付けられた検知装置に到達しなかった場合、検査無効などといったメッセージが表示される)。
【0020】
凝集組織は、サンプル中の被検知成分に応じて選択される。しかしながら、凝集組織は、成分のための結合パートナー(例えば、ある場合には、抗体)を備えていても良い。凝集組織が粒子(例えば、対象となる検体のサイズおよび濃度に応じて、300nm〜10μmのサイズを有するラテックスビード − hCGの場合には、1〜10μmの粒子サイズが好ましい)を備え、その粒子上に結合パートナーが固定されていることが最も好ましい。これに代えて或いはこれに加えて、結合パートナーは、毛細管の壁上に固定されても良い。
【0021】
凝集を引き起こすため、検体の各分子は、2つ以上の粒子を結合できなければならない。検体がhCGである場合、粒子には、hCG分子上の2つの測鎖(すなわち、その1つはアルファ鎖に対するものであり、もう1つはベータ鎖に対するものである)に固有の結合パートナーが設けられていても良い。二重エピトープ組織の目的は、結合事象を空間的に分離して、これらが検体分子の異なる部分に含まれるようにすることである。これにより、高い信頼性をもって、少ない検体数で凝集複合体を形成することができる。
【0022】
凝集組織は、流速を落として毛細管通路を閉塞するために、2つの物理的原理を利用する。最適な構成においては、凝集反応が急速に起こり、液体の流れを妨げる堰を形成するプラグが形成される。あるいは、凝集複合体が、液体の流れに対して障壁を形成するとともに、毛細管圧の前方引き込みに対する反力として作用する。引き込みが前方への力と等しいと、液体前方がエネルギを使い果たし、流れが止まる。メカニズムの選択は、結合反応の動力学および凝集複合体の速度によって決まるが、実際には、両方の効果の組み合わせも見込める。凝集組織の発達は、検査トラックの早い部分で粒子−結合パートナー複合体を堆積させることにより助けられる。検査トラックが4つの180°屈曲部(4つの平行な部分を与える)を有している前述した実施形態においては、粒子−結合パートナー複合体が第1および第2の部分に置かれ、それにより、液体がこれらを通過する際に凝集体を形成することができる。
【0023】
他の手法は、流れが生じ得る前に、凝集複合体を最大化することができるように、液体の流れを妨げるが水性環境下で所定時間内に溶けてしまうダムを形成することである。約25%のカルボキシルメチルセルロースから構成される物理的な障壁は、正確な時間遅れを与える。
【0024】
凝集複合体の形成は、3次元格子のバックボーンを形成するための構造物を含ませることにより更に高めることができる。1つの例は、特定の結合パートナーが付着されたポリリシン鎖であり、これにより、何百もの粒子を1つの硬質構造体に対して結合することができる。
【0025】
また、少数の小さな対象検体のための閉塞を必要とする検定のため、プレ凝集複合体を通路に置くことができる。その場合、プレ凝集複合体は、自由に流れることができるが、少数の結合事象の存在下で、流れを妨げ或いは減速させるのに十分な凝集体を形成する。
【0026】
凝集事象を局在させることが重要な場合には、個々の分子として、あるいは、結合パートナーが付着されたポリリシン構造等の複合体として、結合パートナーを毛細管通路の表面上に結合させることができる。これは、粒子−結合パートナー−検体複合体の局在する結合を正確な場所で促進させ或いは強要する。最適な位置は、局在する結合場所に達する前に凝集反応によって最も大きい複合体を形成できる時間が存在するように、毛細管通路の最終路の最初にあると思われる。
【0027】
凝集試薬組織は、一般に、決定される検体に固有のものである。しかしながら、幅広い凝集試薬組織が当業者に知られており、それに伴って幅広く存在する検体のために個々のサンプリング装置を容易に構成することができる。本発明に係る装置は、例えば、液体サンプル中の特定のペプチドホルモンを検知するために構成されても良い。あるいは、装置は、特定の細菌またはウイルスを検体として決定するために構成されても良い。これらの可能性の全てにおいて、凝集試薬組織は、検体のための1つの抗体(または、複数の抗体)を備えていても良い。例えば、装置は、2つの異なる‘タイプ’の抗体を備える試薬組織を含むことができ、そのうちの1つは検体上の第1のエピトープを認識し、他の1つは第2のエピトープを認識する。抗体の一部がラテックスビード上に固定されても良く、残りの部分が検査通路の毛細管の内壁上に固定されても良い。
【0028】
装置の感度を高めるため(例えば、流量の変化を増すため)、検査毛細管は、毛細管の寸法を効果的に変える粒子状材料を組み込むことができる。そのような粒子状材料の例は、シリカやベントナイト等の不活性材料である。また、粒子状材料は、Sephadex G100またはG50等の隆起可能な高分子であっても良い。粒子状材料は、凝集試薬組織と混合されても良く、あるいは、一般的には凝集試薬組織の下流側の検査毛細管内に離れて置かれても良い。
【0029】
凝集を行なう「作用物質」を除き、制御通路(存在する場合)が検査通路と同じ材料を組み込んでいても良いことは言うまでもない。したがって、例えば、抗体が結合されたラテックスビードを凝集試薬組織が含んでいる場合には、制御通路は、抗体を持たないが、ラテックスビードを組み込んでいても良い。同様に、検査通路中に存在する前述した任意の粒子状材料(例えば、シリカ、ベントナイト、あるいは、Sephadex)が、理想的には同様の態様(例えば、ラテックスビードと混合される)で、制御通路内に存在していても良い。
【0030】
したがって、本発明に係る装置は、幅広い液体サンプル、例えば生物学的な起源または環境上の起源のために構成されても良い。
【0031】
本発明に係る装置の特に好ましい構成は、尿中のhCGの存在を分析する妊娠検査装置である。そのような装置において、凝集試薬組織は抗hCG抗体を含む。
【0032】
毛細管通路の入口端部と検知装置との間の毛細管通路の長さは、一般に、50〜350mmの範囲である。正確な長さは、検体のサイズ、検体分子の数、結果を読み取るために必要な速度を含むファクタの数によって決定される。通路は、直線であっても良いが、装置の全長を短くするため、その長さに沿って所定の角度にわたって曲がっていても良い。想定される装置の1つの形態は、180°曲がっていることである。その場合には、350mmの毛細管通路が4つの180°屈曲部を有し、それにより、幅が6mmで長さが70mmの5つの通路が形成される。
【0033】
検査通路は、部分的な障害物、例えばWO−A−9935497に開示されるような堰をその全長に沿って組み込んでいても良い。そのような障害物は、部分的なダムの形成の組み合わせによって、また、通路内の毛細管作用の力を変えることによって、ゆっくりとした流速または閉塞を更に助長することができる。
【0034】
毛細管通路は、協働するプレートおよび蓋体によって形成されると好都合である。上端が開口した通路がプレートに形成され、その後、蓋体が加えられることにより、実際の毛細管通路が形成されても良い。プレート(その上端開口にチャンネルを有する)は、チャンネルのための部分的な障害物を形成できるモールド工程によって形成されても良い。また、凝集組織は、蓋体が加えられる前に、検査通路を形成するチャンネル内に組み込まれても良い。プレートおよび蓋体は、毛細管作用を高めるために親水性元素に関連付けられた親水性プラスチックまたは疎水性プラスチックから成っていても良い。親水性プラスチックの表面処理は1つの選択である。あるいは、親水性の蓋の使用が好ましい解決策である。
【0035】
装置は、毛細管通路に関連付けられた液体検知装置およびディスプレイ装置に動作可能に結合された信号処理手段を組み込んでいる。これらの検知手段は例えば電極対を備えていても良く、そのような電極対のそれぞれは、各毛細管通路または任意の毛細管通路内で(あるいは、当該通路に関連付けられて)、毛細管通路の下流側端部あるいは下流側端部の方にある。液体を検知するため、各対の電極間に電位差が加えられる。任意の1つの電極対に達した液体により、電流がその電極対を横切って流れることができ、これは、検査結果を評価するために信号処理手段によって検知される。
【0036】
そのような電極からなる検知装置は、液体がそれ自体で導電性を有している場合に特に適しており、液体が導電性を有していない場合には、検知電極の上流側の毛細管通路内に(固体)電解物質が堆積され、それにより、(堆積された電解物質を用いて)液体が電極に達する時間まで液体が導電体となるようにしても良い。
【0037】
また、検知器が光学検知器であっても良い。例えば、検知器が反射率計を備えていても良い。光学的検知のため、色素または染色粒子が検知器の上流側の毛細管通路内に置かれても良い。色素または染色粒子を有する通路の部分を椎体接触面かする液体は、光学的検知のために有色となる。
【0038】
信号処理手段は、検査の開始時に作動されるタイマーを組み込んでいても良い。この場合、所定時間の間に検査が行なわれ、その時間内で液体が検査通路に関連付けられた検知装置に達するか否かが決定される。これは、‘陽性’検査において、凝集試薬組織が液体の流れを完全に止めないが液体が検知装置(所定時間内に検査通路に関連付けられた)に達することを防止するという可能性を満たす。また、タイマーは、トラックに沿う所定の部位、例えば毛細管トラックに沿う真中の部分で作動されても良い。
【0039】
電源は、分析される液体が装置に加えられることにより作動される電源であることが最も好ましい。サンプリング領域は、液体が装置に加えられる時に電流が生成されるようになっている異なる金属からなる電極に関連付けられることが特に好ましい。亜鉛および銀すなわち塩化銀からなる金属配列は、a)食塩水サンプルおよびb)尿サンプルを使用して、1.5ボルトの電圧および10ミリアンペアの電流を生成することができる。現在の技術の現状では、信号処理手段が集積回路(IC)または特定用途向け集積回路(ASIC)であっても良い。現在の市場では、高電圧で駆動されるICまたはASICを低価格で製造することができる。異なる金属からなる多数の電極を直列に設けることにより、更なる電圧を得ることができ、それにより、直列の各電極対が水を通さない障壁によって分離される。
【0040】
一方の金属からなる電極は、他方の(異なる)金属からなる電極と交互に配置されると好都合である。したがって、例えば、電極は、その歯が互いに噛み合うような‘櫛’の形態を成していても良い。そのような電極は、サンプリング領域で吸収パッドの下側に設けられると好都合である。
【0041】
また、電源は、従来のバッテリ(例えば、アルカリ電池)または太陽電池であっても構わない。この実施形態においては、検査を使用する際のユーザの相互作用が自動的に装置の給電を行なう。これは電極対を備えていても良く、そのような各電極対は吸収パッド内または吸収パッドの下側にあり、そのため、サンプルを加えてパッドを濡らすことで回路が完成し、装置が給電される。他の方法は、検査を開ける、あるいは、外側のキャップを除去する、障壁を物理的に除去して導通させるなどといったユーザによる作用である。
【0042】
本発明に係る装置の典型的な実施形態は、最大で30cmの長さの2つの平行な毛細管チャンネル(「検査毛細管」および「制御毛細管」)を有している。これらの毛細管チャンネルは、断面が50〜100μmの辺の長さを有する正三角形の形態を成していても良い。この目的のため、装置は、毛細管の2つの辺を形作るV形状の溝が形成された、例えばポリカーボネートまたはポリスチレンからなる射出成形されたベースを含むと好都合である。
【0043】
その後、毛細管構造を完成するために、ベースと同じ材料からなるトッププレートが例えば超音波溶接により加えられても良い。
【0044】
典型的な装置は、上流側のサンプル受けチャンバと、下流側の前述したタイプの検知装置とを組み込んでいる。チャンバは、サンプル検査中において溢れ又は跳ねを最小限に抑えるという利点を与えるパッドを組み込んでいても良い(しかし、必ずしもそうである必要はない)。このパッドは、繊維材料、例えばセルロースから成っていても良く、また、FiltronaまたはPorex等の供給業者から様々な材料を商業的に利用することができる。繊維パッドは、毛細管チャンネルに対して反対の毛細管力を作用させても良く、また、パッド材料の選択は、これらが毛細管力を決定するため、毛細管チャンネルの寸法によって決まる。500μm三角形毛細管チャンネルに適したパッド材料は、コードR22087の下でFiltronaから利用できる。
【0045】
検査毛細管内には、hCGに対する抗体が固定された粒子からなる凝集試薬組織が組み込まれている。一般に、毛細管チャンネルが大きくなればなるほど、粒子の直径を大きくする必要がある。500ミクロン三角形毛細管に適した粒径は5ミクロンである。適した粒子の例としては、Polymer Laboratoriesからの5μmポリスチレン球を挙げることができる。
【0046】
凝集試薬組織は、(w/v)0.08〜10%ラテックス粒子および0.08〜5% Sephadexからなるスラリーを形成するために、Sephadex G100と混合されても良い。1.6μLの混合物が検査毛細管の最初のセンチメートルにわたって堆積されて室温で培養により乾燥されても良い。これにより、凝集反応に焦点を合わせたプラグが形成されるとともに、僅かな凝集複合体の捕捉を助ける隆起材料が形成される。
【0047】
同様のスラリー(しかし、その内部ではラテックスビードがhCGに対する抗体を組み込まない)が制御毛細管内に置かれて乾燥されても良い。
【0048】
ここで、超音波溶接およびデシカントが蓄えられたアセンブリにより、トッププレートが加えられても良い。
【0049】
前述した装置は、月経停止の初日に妊娠を示す濃度(25mIU/ml)で尿中に含まれるhCGの検知に適している。
【0050】
流速に対する凝集複合体の影響を増幅させるための更なるファクタは、毛細管チャンネル内に堰を組み込むことである。これらは、毛細管寸法の減少にわたって表面張力(したがって、毛細管の引き込み)を減少させることにより機能し、これにより、溶液から凝集複合体を凝結させることができ、堰壁に対して凝集複合体を積み重ねることができる。500μm三角形毛細管においては、100μmの堰が適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
添付図面を参照しながら、単なる一例として、本発明について説明する。
【0052】
図1は、尿中におけるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の存在または不存在を決定するための妊娠検査装置1の動作原理を概略的に示している。図示の装置1は2つの毛細管通路2および3を有しており、これらの毛細管通路の上流側端部は吸収パッド4に結合されているとともに、これらの毛細管通路の下流側端部は検知電極対5および6に結合されている。図示の装置1の更なる特徴は、ディスプレイ装置(例えばLCD)8を制御する論理回路(チップ)7であり、チップ7およびLCDの両方が電源9に結合されている。各電極対5および6は、説明上、チップ7に結合されている。
【0053】
毛細管通路2を‘制御トラック’と称し、毛細管通路3を‘検査トラック’と称する。
【0054】
既に詳細に前述した検査トラック3には、例えば直径が3〜5μmのラテックスビード10からなる凝集試薬組織(図2参照)が設けられており、この凝集試薬組織上には抗hCG抗体が固定されている。また、検査トラック3には、ビード10の下流側に、検査トラック3の内壁に固定された抗hCG抗体が設けられている。
【0055】
制御トラック2には凝集試薬組織が存在しない。
【0056】
検査トラック3の更なる特徴は堰11であり、この目的については後述する。
【0057】
前述したように、各電極対5および6は論理回路7に結合されている。電極対5および6は、実質的に、必要に応じて毛細管通路2または3の下流側端部へと向かう液体が存在するか否か(ボックス12および13によって表されている)を検知する働きをする。特に、各電極対5および6の両端間に電位差が加えられる。電極対5の電極同士の間に尿が存在することにより、電流が電極5間を流れることができるとともに、論理回路7によって電流を検知することができる。同様に、論理回路7は、毛細管通路3の下流側端部における液体(尿)の存在を検知することができる。
【0058】
図示の電源9は、‘永久電源’、例えばバッテリであっても良い。また、電源は、装置が例えば光を通さないハウジングから取り出される時にだけ電力を生成する太陽電池であっても構わない。本発明において好ましい更なる可能性は、パッド4上における尿の存在によって電流を生成するようになっている異なる金属を電源9が含むということである。しかしながら、電源9の性質がどうであろうと、図示の装置1の動作は同じである。
【0059】
特に、妊娠検査を行なうため、最初にパッド4が尿で湿らされる。その結果、尿は、制御トラック2および検査トラック3の両方に沿って流れることができる。
【0060】
装置が正常に作動しているとすると、尿は、制御トラック2に沿って流れ、電極対5に達する。電極5間における尿の存在は、論理回路7によって検知される。これにより、装置が正常に作動していることが確かめられる。何らかの理由により液体が電極対5に到達しない場合、これは、装置が適切に機能していない表れであり、適切な警告がLCD装置上に表示されても良い。
【0061】
妊娠している女性からの尿サンプルは、参照符号13で示される黒く塗り潰した点で図2に表されるhCGを含んでいる。これは、通路3の壁上の抗体およびラテックスビード10上の抗体の両方に結合する。また、ビードは、異なるビード上の抗体に結合するhCGと一緒になって塊を作る。また、hCGにより、ビードが検査トラック3の内壁上に固定される場合もある(図2参照)。
【0062】
このように、妊娠している女性からの尿を用いると、ビード10は、検査トラック3の内壁上に固定されるようになりおよび/又は一緒になって塊を作るのが分かる。ビードの塊は、検査トラック3に沿って移動する場合もあるが、最終的には、トラックを横切って狭窄を形成する堰11に達する。ビードの塊は、この狭窄に保持され、実質的には、当初に検査トラック3の上流側端部に取り込まれた尿が電極対6に達することを防止し或いは少なくとも妨げるダムとしての機能を果たす。
【0063】
無論、尿サンプルが妊娠していない女性からのものである場合には、前述したビードの凝塊形成が生じず、尿が電極対6に到達し得ることは言うまでもない。
【0064】
論理回路7は、液体が電極対5および6の一方、他方、あるいは、両方に到達したか否かを検知するとともに、電極対5および6で検知された(または、検知されなかった)液体の‘パターン’に関連する表示をLCD装置上に与える。そのような‘パターン’の全てにおける可能性は、以下の表にまとめられている。この表において、‘YES’は液体が検出されたことを示しており、‘NO’は液体が検出されなかったことを示している。
【0065】
【表1】

【0066】
適切なメッセージがその後にLCD装置8上で表示されることは言うまでもない。
【0067】
ここで、本発明に係る妊娠検査装置100の実用的な実施形態を示す図3を参照する。
【0068】
装置100は、上側および下側の細長いケーシング部品101および102をそれぞれ備えており、これらのケーシング部品は、装置が組み立てられた状態では、一緒に強固にクリップされ或いはシールされる。
【0069】
使用時、装置100は、指で摘むことができる形態の窪み103がケーシング部品に設けられているその右側端部(図3から見て)が保持される。窪み103と反対側の装置の端部では、サンプリング窓を形成する細長い開口104(上側ケーシング部品101の長手方向に対して垂直に延びている)が上側ケーシング部品101に設けられている。
【0070】
開口104と窪み103との中間にあって窪み103の方に近い部位には、更なる矩形の開口105が設けられている。この目的については後述する。
【0071】
組み立てられた装置100内には、装置のほぼ全長に沿って延びるプリント回路基板(PCB)106のストリップが設けられている。開口104の下側の端部において、PCB106には、異なる金属からなる2つの‘櫛’108および109が印刷されている。一方の櫛108の歯は、他方の櫛109の歯と互いに噛み合っている。すなわち、櫛108の歯は、櫛109の歯と互い違いに配置されている(円で囲まれた図を参照)。櫛108および109は給電電極アレーを協働して形成する。
【0072】
電気トラック110および111(詳細に示されていない)は、櫛108および109を、論理回路112および(装置が組み立てられた状態で)開口105を通じて見ることができるLCD装置113に対して接続する。
【0073】
図示しないが、PCB106の両側に櫛108および109からなる配置構成があっても良く、これらの2つの配置構成は一緒に多重化される。
【0074】
吸収パッド114が設けられ、この吸収パッド114は、その上面が部分的に開口104内で露出された状態で、(装置が組み立てられた状態で)櫛108および109上に載置される。
【0075】
また、PCB106には2つの導電トラック117が形成されているが、これらは互いに直接に接続されていない。これらのトラックは、実際には、図1を参照して前述した電極対5および6の一方に対応しており、その他端が論理回路112に接続されている。同様に、一対のトラック118が延びているが、これらの端部の一方は直接に接続されておらず、また、これらの他端部は論理回路112へと延びている。電極対117および118は、これらが毛細管通路120および121の穴の真下に置かれるようにPCB上に位置されている。これらの各電極対117および118は、120および120から117および118へと液体が容易に伝わるように、吸収性の繊維材料で覆われていても良い。
【0076】
また、装置内には、その上面に2つのチャンネル120および121が形勢された略矩形のプレート119が設けられている。プレート119は、その幅方向の縁部の一方が吸収パッド114と当接するように装置内に(スタッドによって)位置している。各チャンネル120および121は、パッドと当接するプレート119の幅方向の縁部から、プレートの反対側の端部に向かって延びた後(パッドと当接する幅方向の縁部で開口している)、180°にわたって折り返し、その後、90度曲がってプレートの長手方向縁部で開口している。
【0077】
各チャンネルが90度曲がってプレートの長手方向縁部に達する各チャンネル120および121の‘床’には開口(図示せず)が設けられている。プレートがPCB基板の所定の位置に配置された状態で、前記開口は各電極対117および118の上側に配置される。
【0078】
プレート119は、プレートと協働してチャンネル120および121から毛細管通路を形成する蓋123に関連付けられる。
【0079】
毛細管通路の一方は、制御通路であり、したがって、原理的には図1に関して前述した制御トラック2に正確に対応している。他方の毛細管通路は、検査トラックであり、したがって、原理的には図1に関して前述した検査トラック3に対応している。各通路は、互いから等しい距離に位置され且つ各通路の端部から等しい距離に位置された2つの堰を有していても良い
【0080】
装置100の使用時、検査される尿が開口104を介して吸収パッドに加えられる。パッドが湿ると、互いに噛み合う櫛108および109と尿が接触し、それにより、電流が生成される。この電流は、論理回路112を動作させる働きがあるとともに、実質的には、装置を‘ON’に切り換える。また、パッドからの液体が2つの毛細管通路の上流側端部に入る。装置が適切に作動しているとすると、尿は、それがトラックの開口に達するまで制御通路120に沿って流れ、前記開口において、制御通路からの尿の少なくとも一部がPCB上に‘落ちる’。PCB上における尿の存在は、電流が117の電極対間を流れることができるという事実を考慮して、論理回路によって検知される。前述したように、117の電極上にわたって配置された吸収材料は、液体の伝達を容易にする。
【0081】
分析されるサンプルが検体を含んでいる(あるいは、所定の値を上回る量で検体を含んでいる)場合、先に十分に説明した原理にしたがって凝集が起こる。したがって、液体サンプルはトラック121の開口に達せず、そのため、電極118間に電流が流れない。その結果、検査は陰性であると決定される。逆に、検体が存在しない(あるいは、所定の値を下回って存在する)場合、液体は、通路121に沿って十分に流れず、液体が検知される118のPCB上に‘落ちる’。
【0082】
前述した実施形態の変形例として、吸収パッド114は、上側ケーシングで逆止弁に結合された囲繞液体保持リザーバに取って代えられても良い。分析される液体サンプルは、逆止弁を通過してリザーバへと流れ、そこから毛細管通路へと流れても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る妊娠検査装置の一実施形態を概略的に示している。
【図2】図1の装置の検査通路の一部を拡大して示している。
【図3】本発明に係る装置の特定の構造の分解斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプル中の対象の成分の存在を検査するサンプル検査装置であって、
(a)上流側端部と下流側端部とを有し且つ検知される前記成分との凝集を引き起こすことができる試薬組織を組み込んだ少なくとも1つの毛細管通路(検査毛細管)と、
(b)好ましくは、しかし、随意的に設けられ、上流側端部と下流側端部とを有する少なくとも1つの毛細管通路(制御毛細管)と、
(c)液体サンプルが加えられるサンプリング領域であって、このサンプリング領域からサンプルを前記検査毛細管および存在する場合には前記制御毛細管の前記上流側端部へ導入することができるサンプリング領域と、
(d)電源と、
(e)前記電源に電気的に結合され、前記検査毛細管および存在する場合には前記制御毛細管の下流側領域で液体の存在を検知する検知装置と、
(f)前記電源によって動作され、検査の結果を示すための表示手段と、
(g)前記電源、前記検知装置および前記表示手段に結合され、検査の結果を評価して、前記表示手段上で前記結果を与える信号処理手段と、
を備えることを特徴とするサンプル検査装置。
【請求項2】
前記電源は、前記サンプリング領域に設けられた異なる金属からなる電極を備え、前記電極は、液体サンプルが前記サンプリング領域に加えられる時に電流を生成するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
異なる金属からなる前記各電極は、互いに交互に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、前記サンプリング領域へと向かう液体サンプルによって開始されるタイミング装置を組み込んでおり、前記検査通路および制御通路(存在する場合)の下流側領域における液体の存在の検知は、前記タイミング装置によって管理される所定の時間内に行なわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記試薬結合組織がビードを備え、このビード上には、前記成分のための結合パートナーが固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記結合パートナーが抗体であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記凝集試薬組織は、前記検査毛細管通路の壁上に固定された前記成分のための結合パートナーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記検査毛細管通路の壁上に固定された前記結合パートナーが抗体であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記凝集試薬組織は、hCGの存在下で凝集を引き起こすことができることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記毛細管通路または前記各毛細管通路は、互いに協働するプレートおよび蓋構造によって形成され、前記プレートには、前記蓋構造の場所で毛細管通路となるチャンネルが形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
検査毛細管通路または前記各検査毛細管通路の下流側領域が開口を有し、前記検知装置または前記各検知装置が前記開口の下に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記毛細管通路または前記各毛細管通路がキャピラリチューブであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記毛細管通路または前記各毛細管通路がクロマトグラフ膜または他の膜に形成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記毛細管通路または前記各毛細管通路が多孔材料または繊維材料によって形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記検知装置または前記各検知装置は、両端間に電位差を加えることができる一対の電極を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記検査毛細管は、流速の変化を高める粒子状材料を組み込んでいることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記材料が不活性な粒子状材料であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記不活性な粒子状材料がシリカまたはベントナイトであることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記材料が隆起可能な高分子であることを特徴とする請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−520898(P2006−520898A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505991(P2006−505991)
【出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001199
【国際公開番号】WO2004/083859
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505353331)プラットフォーム・ダイアグノスティクス・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】