説明

処理対象物のプラズマ溶融分解処理における前処理方法及び前処理設備

【課題】汚泥、ウェス、感圧複写紙、蛍光灯安定器、廃活性炭などのPCBに汚染された処理対象物をプラズマ溶融分解処理する前に、処理対象物を性状に応じて分類し、分類された処理対象物の重量を管理して、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から所定の投入用詰替容器に詰め替える前処理を、密閉状態を維持しながら効率よく実施することができる処理対象物のプラズマ溶融分解処理における前処理方法及びその設備を提供する。
【解決手段】処理対象物をプラズマ溶融分解炉で溶融分解して無害化処理する際に、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から、処理対象物をPCB溶融分解炉に投入する投入用詰替容器に詰め替える前処理方法であって、処理対象物の性状に応じて分類を行い、分類された群毎に定められた密閉室内に搬入し、搬入保管容器からプラズマ溶融分解炉で処理可能な所定の質量を投入用詰替容器に詰め替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCB廃棄物処理施設において蛍光灯安定器、汚泥等のPCBに汚染された処理対象物をプラズマ溶融分解して無害化処理するに先だって、処理対象物を仕分けし、PCB廃棄物処理施設に搬入された搬入保管容器から、プラズマ溶融分解炉へ投入する投入用詰替容器にプラズマ溶融分解処理に適するように詰め替える、処理対象物のプラズマ溶融分解処理における前処理方法及び前処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器等の電気機器の絶縁油、ボイラ等の熱媒体等に使用されていたが、毒性があり且つ残留性があるため蓄積して人の健康や生活環境に大きな被害を及ぼすことから、PCB廃棄物処理施設で無害化処理されている。
【0003】
従来のPCBの分解技術としては、高温焼却法、アルカリ剤によってPCBから塩素を脱離する脱塩素分解法、紫外線と触媒による光分解法及びPCBをプラズマによって、溶融分解するプラズマ溶融分解法が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−121801号公報
【特許文献2】特開2007−296415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PCB廃棄物のうち、高圧トランス、高圧コンデンサ及びこれらと同程度の大型の電気機器はPCB廃棄物の大部分を占め、その無害化処理は、その技術的条件及び環境・安全対策について整理されており、これを踏まえて各地における拠点的広域処理施設の整備が進められている。
【0006】
しかしながら、上記の大型の電気機器を除く、汚泥、ウェス、感圧複写紙、蛍光灯安定器、排気浄化用として使用される廃活性炭などのPCB汚染物の無害化については、個々のPCB汚染物によって性状等が大きく異なることから、処理方法が確立されておらず、開発が行われている段階である。
【0007】
そこで、本発明は、大型電気機器を除く、汚泥、ウェス、感圧複写紙、蛍光灯安定器、廃活性炭などのPCBに汚染された処理対象物をプラズマ溶融分解処理する前に、処理対象物を性状に応じて分類し、分類された処理対象物の重量を管理して、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から所定の投入用詰替容器に詰め替える前処理を、密閉状態を維持しながら効率よく実施することができる処理対象物のプラズマ溶融分解処理における前処理方法及びその設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、汚泥、ウェス、感圧複写紙、蛍光灯安定器、排気浄化用として使用された廃活性炭などの処理対象物を性状に応じた分類を行い、分類された処理対象物群毎の前処理内容に応じた密閉室(グローブボックスあるいはドラフトチャンバ)を用い、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から所定のプラズマ溶融分解炉への投入用詰替容器への詰め替え及び塩基度調整剤の投入等を実施することが可能な前処理方法である。本発明では、処理対象物の投入重量を詰替容器単位で管理することが重要である。また、プラズマ溶融分解炉へ投入されるまで密閉状態を維持し、投入後は処理対象物のガス化膨張前に確実に膨張ガスを抜くことができるようにする。
【0009】
請求項1のプラズマ溶融分解処理における前処理方法は、PCB廃棄物処理施設において処理対象物をプラズマ溶融分解炉で溶融分解して無害化処理する際に、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から、処理対象物をプラズマ溶融分解炉に投入する投入用詰替容器に詰め替える前処理方法であって、処理対象物の性状に応じて分類を行い、分類された群毎に定められた密閉室内に搬入し、搬入保管容器からプラズマ溶融分解炉で処理可能な所定の質量を投入用詰替容器に詰め替えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、1種類以上の塩基度調整剤を投入用詰替容器に詰めることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、1種類以上の処理対象物を所定の質量で搬入保管容器から投入用詰替容器に詰め替えることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、搬入保管容器に封入された液状物を吸着材が投入されている投入用詰替容器に投入して吸着材により液状物を固形化することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、投入用詰替容器の蓋に穴加工を行い、可溶性の栓で密閉することを特徴とする。
【0014】
請求項6のプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備は、PCB廃棄物処理施設において処理対象物をプラズマ溶融分解炉で溶融分解して無害化処理する際に、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から、処理対象物をプラズマ溶融分解炉に投入する投入用詰替容器に詰め替える前処理設備において、処理対象物の性状に応じて分類された群毎に定められた密閉室(例えばグローブボックスまたはドラフトチャンバ内)に、処理対象物を収納した搬入保管容器を傾斜させる傾斜機と、傾斜した搬入保管容器から掻き出された処理対象物を秤量する秤量器と、秤量されて所定の質量を詰め替えた投入用詰替容器を搬出するコンベアを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、感圧複写紙を含水させる水槽を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、投入用詰替容器へ塩基度調整剤を供給する塩基度調整剤供給装置を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、搬入保管容器に封入された液状物を吸着材が投入されている投入用詰替容器に投入する詰替用ポンプを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、投入用詰替容器へ廃活性炭を供給する廃活性炭供給装置を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、傾斜した搬入保管容器から掻き出された処理対象物を受ける詰替ホッパを備え、ロードセルと底部に開閉可能なフラップダンパを備えた第1段目ホッパの上方に、第1段目ホッパの上部の開口に対して前進後退可能に移動式スクリーンが配置され、第1段目ホッパの下方に、第1段目ホッパの底部に対して前進後退可能な第2段目のホッパが配置され、第2段目のホッパは底部にフラップダンパを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明では、処理対象物を搬入保管容器から所定の詰め替え仕様にプラズマ溶融分解炉への投入用詰替容器に詰替えることにより、投入用詰替容器単位のバッチ投入が可能となりプラズマ溶融分解炉の安定した運転とを可能とする。また、密閉室内で詰め替え作業を実施することにより作業員のPCB暴露を防止できる。詰め替え前に搬入保管容器内の検査(内容物検査)を行い、危険物の混入を発見し、除去できる。処理対象物の性状による分類を行うことにより処理作業が類似となり、作業の効率化が図れる。
【0021】
請求項2、3の発明により、処理対象物の溶融時間特性により、二つ以上の処理対象物を混合することで溶融時間の節約、溶融性状の改質等のプラズマ溶融分解炉の操業効率を改善することができる。
【0022】
請求項4の発明により、吸着材により液状物を固形化することで取り扱いやすくなる。
【0023】
請求項5の発明により、処理対象物は、可燃性のものや揮発性のものも含まれており、プラズマ溶融分解処理を行う際にその熱によりガス化し投入用詰替容器内で膨張し投入用詰替容器が破裂する危険性があるが、上記可溶栓付蓋を利用した投入用詰替容器を使用することによりそれを防止することができる。
【0024】
請求項3、5の発明により、多種多様の処理対象物に対して、最適な詰め替え仕様を操業実績データに基づき変更することで最適なプラズマ溶融分解処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による蛍光灯安定器類の前処理工程のブロック図である。
【図2】本発明による蛍光灯安定器類の前処理工程のレイアウトである。
【図3】本発明による汚泥の前処理工程のブロック図である。
【図4】(a)は本発明による汚泥の前処理工程のレイアウトの平面図、(b)は同正面図である。
【図5】汚泥の詰め替えホッパの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の前処理について図により説明する。
【実施例1】
【0027】
別工程で処理される大型のPCB電気機器やPCB含有廃油など以外の、安定器、小型トランス・コンデンサ(小型トラコン)、感圧複写紙、塗料、シーリング材、汚泥、ウェスなどのPCBに汚染された処理対象物は、その種類、充填する投入用詰替容器の容量、塩基度調整剤の添加の有無に応じて分類される。本実施例では蛍光灯安定器、小型トラコン、感圧複写紙はグループAに、汚泥、ウェスはグループBに、廃活性炭はグループCなどに分類される。
【0028】
次いで分類された処理対象物ごとに前処理される。
【0029】
図1は本発明による安定器類の前処理工程のブロック図である。図2は本発明による安定器類の前処理工程のレイアウトである。
【0030】
(1)蛍光灯安定器、小型トラコン、感圧複写紙、塗料・シーリング材、殺虫剤含浸蚊取りマット(グループA)の前処理
【0031】
(a)蛍光灯安定器、小型トラコン
処理対象物である蛍光灯安定器が収納され、蓋がされた搬入保管容器(ドラム缶)2(ドラム缶:200リットル)がクレーン等で入側供給装置1に搬入される。搬入された搬入保管容器(ドラム缶)2は、コンベヤ等でエアロック可能な前室3を経て負圧に維持されたグローブボックス4内へ搬入される。
【0032】
作業者はグローブボックス4内にグローブを介してエアーインパクトドライバーなどの手工具を用いて搬入保管容器(ドラム缶)2から蓋を取り外す(図1の蓋外し)。
【0033】
次いで、搬入保管容器(ドラム缶)2を反転エリアの反転装置5に移動させて反転させ、内容物(処理対象物)をテーブル6に掻き出し、プラズマ溶融分解炉で爆発する危険物などの異物を除去する。
【0034】
異物を除去した処理対象物は、秤量エリアの秤量器7で秤量しながら、新しい投入用詰替容器(ドラム缶)8(ドラム缶:100リットルまたは200リットル)に詰め替える。重量管理することにより、後工程のプラズマ溶融分解炉で効率よく溶融分解処理することが可能となる。
【0035】
さらに、投入用詰替容器(ドラム缶)8には、廃活性炭が施設に搬入されていれば、必要に応じて廃活性炭を廃活性炭ホッパ9から秤量して併せて充填する。さらに、次工程のプラズマ溶融分解の際に溶融物の流動性を良好にするために、珪砂や石灰石などの塩基度調整剤を塩基度調整剤ホッパ10から秤量して必要量を充填する。
【0036】
投入用詰替容器(ドラム缶)8に詰める処理対象物、廃活性炭、塩基度調整剤の混合割合などの重量管理は、操業管理データに基づいて適正な量に調整する。
【0037】
充填後の投入用詰替容器(ドラム缶)8にエアーインパクトドライバーなどの手工具を用いて蓋を取り付ける。
【0038】
なお、処理対象物には、可燃性のものや揮発性のものも含まれており、プラズマ溶融分解処理を行う際にその熱によりガス化し投入用詰替容器(ドラム缶)8内で膨張し投入用詰替容器(ドラム缶)8が破裂する危険性があるので、可溶栓付蓋を利用した投入用詰替容器を使用することによりそれを防止することができる。また、可溶栓の材質は、処理対象物がガス化する前に溶解するPE樹脂等を用いる。
【0039】
蓋をした投入用詰替容器(ドラム缶)8は、エアロックされた後流側の前室11を経て出側搬出装置12に送られる。出側搬出装置12により後工程のプラズマ溶融分解工程へと送られる。
【0040】
蛍光灯安定器と同じ分類の小型トラコンは、蛍光灯安定器と同様の手順により処理される。
【0041】
表1に蛍光灯安定器等の詰替内容の例を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
処理対象物の詰替質量は、表1に示す質量の±10%の範囲がよい。
【0044】
(b)感圧複写紙
感圧複写紙については、グローブボックス内でダンボール等で搬入された感圧複写紙を取り出して、かごに入れて水槽13に浸漬し含水させた後、秤量器7で秤量する。水槽13に浸けて含水させることにより、感圧複写紙がプラズマ溶融分解炉で燃焼により発生した灰が飛散して炉から排出されるのを防止する。含水後に秤量し、その後蛍光灯安定器と同様の手順で処理する。ただし、感圧複写紙単独で処理する場合にはプラズマ溶融分解炉でガス化させるので、塩基度調整剤の添加は必要としない。感圧複写紙の詰替内容の例は、表1のとおりである。
【0045】
感圧複写紙の他、塗料・シーリング材、殺虫剤含浸蚊取りマットも同様の手順で処理することが可能である。
【0046】
(2)汚泥、ウェス(グループB)の前処理
汚泥やウェスの前処理は、負圧に維持されたドラフトチャンバにおいて外側からゴム手袋をした手を入れて安全に作業を行うことができる。
【0047】
図3は本発明による汚泥の前処理工程のブロック図、図4(a)は本発明による汚泥の前処理工程のレイアウトの平面図、(b)は正面図、図5は詰め替えホッパの概略図である。
【0048】
(a)汚泥
汚泥は含有する油分などの性状に応じてプラズマ溶融分解炉への投入量が異なるので、投入用詰替容器は、200リットルのドラム缶と、これより容量の小さいペール缶(例えば、20リットル)を使用する。
【0049】
処理室には固形物を前処理する固形物用ドラフトチャンバ14と液状物を前処理する液状物用ドラフトチャンバ15が配置されている。
【0050】
有機質汚泥を除く汚泥については、扉を開けて搬入コンベヤ16で固形物用ドラフトチャンバ14へ汚泥が収納された搬入保管容器(ドラム缶)が搬入される。
【0051】
作業者はエアーインパクトドライバーなどの手工具を用いて搬入保管容器(ドラム缶)から蓋を取り外す。
【0052】
搬入保管容器(ドラム缶)の内部を点検し、遊離水があれば吸着材により吸着する。吸着後の吸着材は吸着材用ペール缶へ入れる。
【0053】
次いで、搬入保管容器(ドラム缶)を反転装置27に移動させて反転させ、内容物を詰め替えホッパ17へ掻き出す。
【0054】
図5に示す詰め替えホッパ17は、第1段目ホッパ18の上方に、メッシュからなる移動式スクリーン19が第1段目ホッパ18の開口に対して前進後退可能に配置される。第1段目ホッパ18の底部には開閉可能なフラップダンパ20が設けられている。第1段目ホッパ18は移動式スクリーン19を通過した汚泥の量を秤量する秤量器としてロードセルを備えている。フラップダンパ20を開けることにより汚泥は投入用詰替容器(ドラム缶)21に移される。
【0055】
第1段目ホッパ18の下方に第1段目ホッパ18の底部に対して前進後退可能な第2段目ホッパ22が配置されている。第2段目ホッパ22の底部には開閉可能なフラップダンパ23が設けられ、フラップダンパ23を開けることにより汚泥が投入用詰替容器(ペール缶)24に移される。
【0056】
搬入保管容器(ドラム缶)2より掻き出された汚泥は、詰め替えホッパの第1段目ホッパ18上の移動式スクリーン19のメッシュ上に掻き出して、約50mm以上の比較的大型の異物を除去する。除去した異物は、異物用ペール缶へ入れる。異物のうち、スプレー缶など危険物はプラズマ溶融分解炉での爆発を防止するため、孔開けなどの前処理をする。
【0057】
搬入保管容器(ドラム缶)2から掻き出される汚泥は、移動式スクリーン19を通過し、第1段目ホッパ18に落下し、底部に溜まる。所定重量になると、掻き出しを停止する。その後、フラップダンパ20を開いて汚泥を第1段目ホッパ18の下方に配置した投入用詰替容器(ドラム缶)21へ落とす。このとき、第2段目ホッパ22は待機位置に後退している。
【0058】
汚泥の種類は予め分かっているので、有機汚泥の場合は、投入用詰替容器(ペール缶)24へ移すので、第1段目のホッパで有機汚泥の重量を測定した後、フラップダンパを開いて第1段目のホッパの下方へ位置している第2段目ホッパ22へ落とす。次いで第2段目ホッパ22を後退させて投入用詰替容器(ペール缶)24の上に位置させ、フラップダンパ23を開いて有機汚泥を投入用詰替容器(ペール缶)24に移す。
【0059】
さらに、投入用詰替容器(ドラム缶)21には、廃活性炭が施設に搬入されていれば廃活性炭を廃活性炭ホッパ9から秤量して充填する。さらに、次工程のプラズマ溶解時の流動性を調整するために、珪砂や石灰石などの塩基度調整剤を塩基度調整剤ホッパ10から秤量して必要量を充填する。
【0060】
充填後の投入用詰替容器(ドラム缶)21及び投入用詰替容器(ペール缶)24へエアーインパクトドライバーなどの手工具を用いて蓋を取り付ける。蓋をした投入用詰替容器(ドラム缶)21又は投入用詰替容器(ペール缶)24は、コンベヤ16cでドラフトチャンバから搬出され、プラズマ溶融分解工程へ送られる。
【0061】
表2に汚泥等の詰替内容の例を示す。
【0062】
【表2】

【0063】
液状物用ドラフトチャンバ15では、液状物の封入された搬入保管容器(ドラム缶)2は搬入コンベヤ16aによりドラフトチャンバ15内に搬入され、ドラフトチャンバ15の搬送コンベヤ16b上で待機する投入用詰替容器(ドラム缶)21に詰替用ポンプ25を介して液状物は詰め替えられる。詰め替えられた投入用詰替容器(ドラム缶)21はプラズマ処理待機室へ搬送される。また、投入用詰替容器(ドラム缶)21には液状物を擬似固形化する吸着材を投入しており、液状物が詰替用ポンプにより投入用詰替容器(ドラム缶)21に投入されると吸着材により液状物は固形化される。
【0064】
また、PCB廃棄物処理施設内の別工程で発生した液状物は、パイプライン26によりドラフトチャンバ15内に運ばれ、投入用詰替容器(ドラム缶21)内に投入される。
【0065】
(a)ウェス
汚泥と同じ分類のウェスについては、汚泥を処理する固形物用ドラフトチャンバにコンベヤ16により搬入保管容器(ドラム缶)が搬入される。
【0066】
作業者はエアーインパクトドライバーなどの手工具を用いて搬入保管容器(ドラム缶)の蓋を取り外す。
【0067】
搬入保管容器(ドラム缶)の内部を点検後、搬入保管容器(ドラム缶)を反転装置27に移動させて反転させ、詰め替えホッパの第1段目のホッパ上の移動式スクリーンのメッシュ上に掻き出して、異物を除去する。除去した異物は、異物用ペール缶へ入れる。
【0068】
充填後の投入用詰替容器(ドラム缶)へエアーインパクトドライバーなどの手工具を用いて蓋を取り付ける。蓋をした投入用詰替ドラム缶は、コンベヤ16cでドラフトチャンバから搬出され、プラズマ溶融分解工程へ送られる。ウェスの詰替内容の例は、表2のとおりである。
【符号の説明】
【0069】
1:入側供給装置
2:搬入保管容器(ドラム缶)
3:前室
4:グローブボックス
5:反転装置
6:テーブル
7:秤量器
8:投入用詰替容器(ドラム缶)
9:廃活性炭ホッパ
10:塩基度調整剤ホッパ
11:前室
12:出側搬出装置
13:水槽
14:固形物用ドラフトチャンバ
15:液状物用ドラフトチャンバ
16:投入コンベヤ
16a:搬入コンベヤ
16b:搬送コンベヤ
16c:搬送コンベヤ
17:詰め替えホッパ
18:第1段目ホッパ
19:移動式スクリーン
20:フラップダンパ
21:投入用詰替容器(ドラム缶)
22:第2段目ホッパ
23:フラップダンパ
24:投入用詰替容器(ペール缶)
25:詰替用ポンプ
26:パイプライン
27:反転装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB廃棄物処理施設において処理対象物をプラズマ溶融分解炉で溶融分解して無害化処理する際に、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から、処理対象物をプラズマ溶融分解炉に投入する投入用詰替容器に詰め替える前処理方法であって、
処理対象物の性状に応じて分類を行い、分類された群毎に定められた密閉室内に搬入し、搬入保管容器からプラズマ溶融分解炉で処理可能な所定の質量を投入用詰替容器に詰め替えることを特徴とするプラズマ溶融分解処理における前処理方法。
【請求項2】
1種類以上の塩基度調整剤を投入用詰替容器に詰めることを特徴とする請求項1記載のプラズマ溶融分解処理における前処理方法。
【請求項3】
1種類以上の処理対象物を所定の質量で搬入保管容器から投入用詰替容器に詰め替えることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマ溶融分解処理における前処理方法。
【請求項4】
搬入保管容器に封入された液状物を吸着材が投入されている投入用詰替容器に投入して吸着材により液状物を固形化することを特徴とする請求項1記載のプラズマ溶融分解処理における前処理方法。
【請求項5】
投入用詰替容器は本体と蓋の構成であり、その蓋に穴加工を行い、可溶性の栓で密閉することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ溶融分解処理における前処理方法。
【請求項6】
PCB廃棄物処理施設において処理対象物をプラズマ溶融分解炉で溶融分解して無害化処理する際に、PCB廃棄物処理施設へ搬入された搬入保管容器から、処理対象物をプラズマ溶融分解炉に投入する投入用詰替容器に詰め替える前処理設備において、
処理対象物の性状に応じて分類された群毎に定められた密閉室内に、
処理対象物を収納した搬入保管容器を傾斜させる傾斜機と、
傾斜した搬入保管容器から掻き出された処理対象物を秤量する秤量器と、
秤量されて所定の質量を詰め替えた投入用詰替容器を搬出するコンベアを備えたことを特徴とするプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備。
【請求項7】
感圧複写紙を含水させる水槽を備えたことを特徴とする請求項6に記載のプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備。
【請求項8】
投入用詰替容器へ1種類以上の塩基度調整剤を供給する塩基度調整剤供給装置を備えたことを特徴とする請求項6に記載のプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備。
【請求項9】
搬入保管容器に封入された液状物を吸着材が投入されている投入用詰替容器に投入する詰替用ポンプを備えたことを特徴とする請求項6に記載のプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備。
【請求項10】
投入用詰替容器へ廃活性炭を供給する廃活性炭供給装置を備えたことを特徴とする請求項6に記載のプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備。
【請求項11】
傾斜した搬入保管容器から掻き出された処理対象物を受ける詰替ホッパを備え、ロードセルと底部に開閉可能なフラップダンパを備えた第1段目ホッパの上方に、第1段目ホッパの上部の開口に対して前進後退可能に移動式スクリーンが配置され、第1段目ホッパの下方に、第1段目ホッパの底部に対して前進後退可能な第2段目のホッパが配置され、第2段目のホッパは底部にフラップダンパを備えていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ溶融分解処理設備における前処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−179239(P2010−179239A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24960(P2009−24960)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】