説明

処理設備

【課題】被処理物に対して処理を行って処理物を得る複数の工程室と、被処理物または処理物からなる被搬送物を搬送容器に収納して搬送し、これら工程室に対して搬送容器の受け渡しを行う搬送領域とが設けられた処理設備において、工場の配置レイアウトの自由度が大きい処理設備を提供する。
【解決手段】複数の工程室21が平面的に配置された処理フロア1の階上に、搬送容器Cの搬送を行う物流フロアを設けると共に、処理フロアと物流フロアとの間の天井面11に受け渡し口を形成し、物流フロアを走行する搬送車5により受け渡し口を介して処理フロアと物流フロアとの間において搬送容器Cの受け渡しを行う。そして、物流フロアにおいて、搬送車5の走行する搬送路に沿って、搬送容器Cを載置するための棚71を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物に対して処理を行う工程室が複数設けられた処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品などの固形製剤を製造する工場などの処理設備には、図15に示すように、例えば作業者が処理装置を用いて処理を行うための工程室102が複数箇所に設けられており、各々の工程室102において、被処理物である粉体原料やこの粉体原料から得られた中間生成物などの処理物に対して、秤量、造粒、篩過、錠剤への成形(打錠)、検査あるいは包装などの処理が行われる。これらの被処理物、中間生成物及び処理物は、コンテナなどの搬送容器内に収納された状態で例えばスタッカークレーン100と呼ばれる搬送機構により各工程室102間において受け渡される。そのため各工程室102は、スタッカークレーン100が配置された搬送室101の両側に沿って並べられる。図15中、105は搬送口、104は未内装(未使用)のエリア(部屋)であり、この未内装エリア104は、工場を建設した後の増産時などにおいて、内装工事、搬送口105の形成及び処理装置の搬入などの改造工事が行われて工程室102として使用される。また、図15において103は作業者が工程室102に出入りするための作業者用通路、107は処理装置の部材や配電盤を設置するための機械室であり、これら作業者用通路103及び機械室107は搬送室101に干渉しないように配置される。
【0003】
しかしながら、このようにスタッカークレーン100を用いる場合には、既述のように搬送室101と工程室102との間の位置関係が決まっているので、工場内の各領域の配置レイアウトの自由度が小さい。そのため、この工場では、新規設備(処理装置)の導入や工場建設後の増産などに柔軟に対応できなかったり、あるいは工場の建設コストが高くなったりする配置レイアウトを取らざるを得ない。即ち、例えば工程室102内に新しい処理装置を機械室107から搬入する場合には、これら機械室107と工程室102との間における作業者用通路103の壁面を取り壊すことになる。この時、作業者用通路103の内部雰囲気が汚染されないように、工事する領域106を作業者用通路103から区画しようとすると、作業者用通路103が領域106により途中で遮られて作業者が行き来できなくなる。その場合には、工場の一部または工場全体の操業を停止する必要があるので、この工場では新規設備を導入しにくい(工程室102と機械室107とが隣接していない)配置レイアウトを採っていると言える。また、未内装エリア104に搬送口105を形成する時において、搬送室101内の雰囲気が汚染されないように当該搬送口105の周囲における搬送室101を区画する場合には、スタッカークレーン100の移動が妨げられてしまう。従って、未内装エリア104に予め搬送口105を形成しておく必要があるので、当該未内装エリア104には、この搬送口105の位置に対応できる処理装置しか導入できない。そのため、増設できる工程室102の種類が限られてしまい、工場建設後の増産に柔軟に対応できない。
【0004】
また、作業者用通路103を通行する作業者の例えば衣服などを介したコンタミを防止するために、工程室102に入室する作業者の通路と工程室102から退室する作業者の通路とを別々に設ける場合には、これら2つの通路は作業者の作業性の面から工程室102と同じフロアに各々設けられることが好ましい。しかし、各々の工程室102が側方側から別の工程室102、搬送室101及び作業者用通路(入室用通路)103により囲まれているので、これら通路の一方(退室用通路)は、例えば搬送室101と工程室102との間において、当該搬送室101に沿って設けられることになる。そのため、搬送容器は、退室用通路の例えば上方位置を介して、当該上方位置に設けられたベルトコンベアなどの水平搬送機構を利用して、搬送室101から工程室102内に搬入されることになる。この場合には、各工程室102には、搬送容器の搬入される高さ位置と、作業者が処理を行う高さ位置(例えば工程室102の床面の高さレベル)との間において、搬送容器を昇降させるリフタなどの昇降装置が必要になるので、コストアップに繋がってしまう。
また、搬送室101が工場を2分するように配置されるので、例えば各工程室102内の大気の給排気を行うためのダクトや、各工程室102内を見学するための見学者通路を設ける場合には、配置できるスペースが限られてしまう。更に、処理に要する時間が当該処理の種別に応じてまちまちである場合には、処理が済んだ処理物(搬送容器)については、続いて搬送される工程室102での処理が終わっていない時に、バッファである例えば棚や保管倉庫に一時的に保管(載置)しておく必要がある。また、工場に入荷した原料粉末や最終製品が収納された梱包容器についても同様に、処理が開始されるまでの間あるいは工場から出荷されるまでの間には、保管倉庫などに一時的に保管しておく必要がある。しかし、このような保管倉庫に対してスタッカークレーン100を用いてアクセスするためには、当該保管倉庫を既述の搬送室101に沿って配置することになるので、工場内の各領域の配置レイアウトの自由度がより一層小さくなってしまうし、また保管倉庫の配置場所についても自由度が小さい。
【0005】
特許文献1には、粉体を機器40に投入する粉粒体投入システムについて記載されているが、既述の課題については何ら検討されていない。また、特許文献2には、スタッカークレーン1やフォークリフトについて記載されているが、フォークリフトの移動路(搬送軌道12の上方領域)が2階の床面を貫通するように1階及び2階に亘って形成されると共に複数のヤード3〜9を環状に囲むように形成されているので、既述の課題を解決できるものではない。また、このようなフォークリフトを用いて物(搬送容器)の動線と人(作業者)の動線とを分離しようとすると、既述のスタッカークレーン100を用いた工場と同様のレイアウトとなってしまう。更に、特許文献3には基板処理装置について記載されているが、既述の課題は検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−30914
【特許文献2】特開平4−25572(743頁下段左欄14行目〜同18行目、同頁下段右欄15行目〜同16行目)
【特許文献3】特開平9−275127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、被処理物に対して処理を行って処理物を得る複数の工程室と、被処理物または処理物からなる被搬送物を搬送してこれら工程室に対して被搬送物の受け渡しを行う搬送領域とが設けられた処理設備において、工場の配置レイアウトの自由度が大きい処理設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の処理設備は、
被処理物に対して処理を行って処理物を得る工程室が複数設けられ、被処理物または処理物を含む被搬送物を工程室に搬送する処理設備において、
複数の工程室が平面的に配置された第1の階と、
この第1の階の階上に設けられ、前記被搬送物を搬送するための第2の階と、
複数の工程室のうち少なくとも一つの工程室の天井部に形成され、前記第1の階と前記第2の階との間において前記被搬送物の受け渡しを行うための受け渡し口と、
これら受け渡し口を介して前記工程室に対して被搬送物の受け渡しをするために前記第2の階に設けられ、水平に移動する移動体と、この移動体に設けられ、被搬送物を保持して昇降する受け渡し機構と、を有する搬送機構と、を備えたことを特徴とする。
前記移動体は、例えば走行車本体であり、前記搬送機構は搬送車である。
【0009】
前記被搬送物は、例えば被処理物または処理物を搬送容器に収納したものである。
【0010】
また本発明は、前記搬送機構の動作を制御する制御部と、
前記第2の階に、被搬送物を保管するために設けられ、前記搬送機構により被搬送物の受け渡しが行われる保管領域と、を備え、
前記保管領域は、前記制御部により位置が管理されている構成とすることができる。この場合、前記保管領域は、前記第2の階において、例えば前記搬送機構が走行する走行路に沿って配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の工程室が配置された第1の階の階上に、被処理物または処理物を含む被搬送物の搬送を行う第2の階を設けると共に、第1の階と第2の階との間の天井部に受け渡し口を形成し、第2の階を走行する搬送機構によりこの受け渡し口を介して第2の階と工程室との間で被搬送物の受け渡しを行っている。そのため、工程室が配置された第1の階と被搬送物の搬送を行う第2の階とを上下に区画できるので、工場の配置レイアウトの自由度を大きく取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の生産工場の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の生産工場の要部を概略的に示す縦側断面図である。
【図3】前記工場を示す平面図である。
【図4】本発明における搬送車の一例を示す側面図である。
【図5】前記搬送車を示す正面図である。
【図6】前記搬送車を示す正面図である。
【図7】前記工場において被処理物が収納される搬送容器の一例を示す斜視図である。
【図8】前記工場における物流フロアの一例を示す平面図である。
【図9】前記工場の一例を示す縦側断面図である。
【図10】前記工場における工程室の一例を示す縦側断面図である。
【図11】前記工場における各フロア間での搬送容器の受け渡しを示す説明図である。
【図12】前記工場における各領域の配置レイアウトの他の例を示す平面図である。
【図13】前記工場における各領域の配置レイアウトの他の例を示す縦側断面図である。
【図14】前記工場における搬送容器の搬送機構についての他の例を示す縦側断面図である。
【図15】従来の工場の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の処理設備の一例として、被処理物である原料粉末から製品(処理物)である医薬品の固形製剤を製造する医薬品製造工場を例に挙げて、図面を参照して説明する。図1及び図2はこの工場の一部を示している。工場は、工程室21が平面的に複数配置された第1の階をなす処理フロア1と、この処理フロア1の階上に設けられ、搬送容器Cを搬送して工程室21に対して受け渡すための第2の階である物流フロア2と、を備えている。搬送容器Cは、被処理物または処理物が内部に収納された被搬送物に相当する。
【0014】
処理フロア1には、例えば図2において紙面に直交する方向に複数の工程室21が一列に配置されている。また各工程室21の両側には作業者用の通路62、62が夫々工程室21の並びに沿って設けられている。
【0015】
処理フロア1及び物流フロア2にどのような設備、部屋を設置し、それらのレイアウトをどのように設定するかについては限定されるものではないが、処理フロア1には複数の工程室が平面的に配列されていること、物流フロア2には、搬送室が設けられていることが必要である。図1及び図2では、紙面の制約のため、工場の一部だけを記載してあるが、図1、図2に記載されている単位部分が実際には例えばY方向に複数配列され、かつ配列された単位部分の群がX方向に2列配置されて構成される。更にこのような平面的な設備層が複数積層されている。
【0016】
図3に、工程室などの平面的レイアウトの一例について示しておく。この例では、複数個例えば6個の工程室21が前後方向(図1中Y方向)に一列に配置されており、この工程室21の列が左右方向(図1中X方向)に平行に互いに離間するように複数列例えば2列配置されている。各々の工程室21内には、既述の処理を行うための処理装置27が設けられている。工程室21の天井部11(物流フロア2の床面部)には、搬送容器Cの受け渡しを行うための受け渡し口22が形成されている。61は機械室であり、機械室については後述する。62は作業者用通路であり、63は見学者用通路である。図3の配置レイアウトは図1及び図2の構成に対応するものではない。
【0017】
説明の理解を容易にするために実施形態に係る医薬製造工場の概要について簡単に述べれば、次のようにまとめられる。
(1)一の工程室に原料が搬入され、当該工程室にて原料に対して処理がなされ、中間品が得られる。
(2)中間品は他の工程室に搬入され、当該他の工程室で更なる処理がなされ、中間品が得られる。
(3)中間品に対して更に他の工程室に搬入され、最終製品が得られる。なお通常は中間品に対して複数の工程室を順次経ることにより複数の処理がなされて最終製品とされる。なおここでいう「処理」とは加工の他、検査、粒状体の包装なども含む意味として使用する。
(4)工程室に対する原料、中間品あるいは最終製品の搬入出は、工程室の天井部に形成された受け渡し口を介して、物流フロア2の搬送室内の後述の搬送機構により行われ、原料等は搬送容器に収納した状態で搬送、保管がされる。
【0018】
以下に工場内について詳述する。
工程室21は、原料粉末やこの原料粉末から得られる中間生成物などの処理物に対して、例えば保管、秤量、後述の搬送容器Cへの原料粉末の充填、造粒、篩過、錠剤への成形(打錠)、コーティング、検査及び包装などの処理を行うことができるように構成されている。処理フロア1と物流フロア2との間の天井部11には、搬送容器Cの受け渡しを行うための受け渡し口22が複数箇所に形成されている。物流フロア2には、搬送容器Cを一時的に保管(載置)しておくための保管領域である棚71が配置されている。なお前記「検査」及び「包装」もこの明細書では「処理」という用語に含まれるものとする。
【0019】
続いて、工場の各部の詳細について説明する。水平方向の寸法が例えば50m×40m程度の大きさである物流フロア2には、図4に示すように、搬送容器Cを搬送して工程室21との間において受け渡しを行うために、例えばAGF(Auto Guided Forklift)などである搬送機構をなす搬送車5が複数台配置されており、各々の搬送車5は、水平方向に走行(移動)する走行車本体5aと、搬送容器Cを昇降自在に保持する受け渡し機構と、を備えている。
【0020】
受け渡し機構について図4から図6を参照しながら説明する。受け渡し機構は例えば走行車本体5aの後部に設けられる。51はアウターフレームであり、このアウターフレーム51は走行車本体5aの底部から後方に伸びだしている水平支持枠50に垂直に設けられている。アウターフレーム51は走行車本体5aの幅方向に互いに平行に離間した2本の支柱511とこれら支柱511の上端同士を連結する横枠512とを備えている。また前記水平支持枠50には、走行車本体5aの幅方向に互いに平行に離間して垂直方向に伸びる2本の第1の油圧シリンダ52が支持されており、これら油圧シリンダ52の上端は、アウターフレーム51の上端から、走行車本体5aの前方側に伸び出す部分に固定されている。
【0021】
53はミドルフレームであり、互いに走行車本体5aの幅方向に平行に延びる2本の支柱の上端を横枠で連結し、2本の支柱の下端部を左右方向外側に屈曲させた形状に成形されている。このミドルフレーム53は、下端部が油圧シリンダ52に連結されており、油圧シリンダ52により昇降できるようになっている。そしてミドルフレーム53の左右上端部には、滑車541が設けられている。542はワイヤ、55はインナーフレームであり、ワイヤ542の一端はアウターフレーム51の下端部に固定され、ワイヤ542の他端側は滑車541に巻き掛けされてインナーフレーム55の上端に固定されている。インナーフレーム55は、長方形の輪郭に沿った形状に作られている。従って油圧シリンダ52を伸長させてミドルフレーム53を下降させると、インナーフレーム55も連動して下降する。
【0022】
インナーフレーム55の下端側の横枠には第2の油圧シリンダ551が上方側に伸長、縮退するように設けられており、この油圧シリンダ551の上端には滑車552が取り付けられている。56は、インナーフレーム55の支柱部分に沿ってガイドされながら昇降する昇降部である。図5において、第2の油圧シリンダ551の裏側には、ワイヤ553の一端側がインナーフレーム55の下端側の横枠に固定され、このワイヤ553の他端側は滑車552に巻き掛けされて昇降部56に固定されている。従って第2の油圧シリンダ551を昇降させることにより昇降部56が昇降することになる。昇降部56は走行車本体5aの幅方向に伸びるガイド部561と、このガイド部561にガイドされる2本の保持部材であるフォーク562と、フォーク562をガイド部561にガイドされながら走行車本体5aの幅方向に進退させる図示しない駆動部と、を備えている。フォーク562は、図5において、紙面の表裏方向に2本設けられている。従ってフォーク562の進退により図7に示すように、例えば箱型の容器である搬送容器Cは高さ方向における概略中央位置において左右両側から支持される。
【0023】
搬送車5の下面には、マグネット、磁気棒などのマーカーが設けられ、搬送車5は下面に設けられた図示しないセンサーなどによりマーカーからの磁場を検出する。また後述の制御部10は、この磁場の検出により搬送車5を停止させる。一方、制御部10は搬送車5の走行用モータに連結されたエンコーダのパルスをカウントしていることから、マーカーの位置も認識でき、搬送車5がどの場所を走行し、どの位置で停止しているかを知ることができると共に、目的とする位置に停止させることができる。搬送車5の走行については、後述の搬送路6に沿って配置された磁石ラインの磁場を、搬送車5の左右に設けたセンサーで検出し、両者の磁場が同じになるようにハンドルを操作することで、搬送路6に沿って搬送車5が走行する。
また搬送車5は、処理フロア1に対して搬送容器Cの受け渡しを行うときに受け渡し口22を跨ぐ構成を採用する場合、受け渡し口22の両側に磁石ラインを配置し、搬送車5が受け渡し口22を跨ぐときには、この磁石ラインをセンサーで検出して受け渡し口22上を移動するように構成すればよい。なお、搬送車5を搬送容器の受け渡し位置に停止させるにあたって、その停止位置は、受け渡し口22を跨がない位置あるいは多少跨ぐ位置に設定してもよい。この停止位置は搬送車の車輪と受け渡し機構との位置関係で決定すればよい。
【0024】
物流フロア2の床面部11(工程室21の天井部)には、搬送容器Cの受け渡しを行うための四角形の受け渡し口22が形成され、図2に示すようにこの受け渡し口の上方領域を囲むように区画壁が221が設けられている。即ち、受け渡し口22の4辺の各々から物流フロアまで垂直に壁が配置された構造となっている。この区画壁221における互いに対応する両面側には、扉222により開閉される開口部223(搬送車5が搬入するための開口部と搬出するための開口部)が形成されている。この例では扉222は搬送車5の走行方向に形成されていることから図2では見えないが、理解を容易にするために便宜上図2中に記載してある。これら扉222は、受け渡し口22の上方領域と物流フロア2の搬送領域の雰囲気との間において、気流が行き来しにくいようにこれら領域を区画するためのものである。従って、扉222は、当該扉222と開口部223との間に形成された隙間を介して、これら両側の領域の間に形成された圧力差に応じて、これら領域の一方側から他方側に雰囲気が少しずつ通流するように構成されている。なお、受け渡し口22の上方領域と物流フロア2の搬送領域の雰囲気との間を気密に区画するように扉222の開閉構造を構築してもよい。後述の処理フロア1側の区画壁22aについても同様である。
【0025】
更に受け渡し口22を開閉するために水平方向(図2では紙面の表裏方向)にスライド可能なシャッタ20が設けられている。このシャッタ20は、搬送車5により処理フロア1との間で搬送容器Cの搬送を行うとき以外には閉じられている。なおシャッタ20を設けなくともよい。
【0026】
物流フロア2の床面11には、図8に示すように、搬送車5が走行するための例えば磁気テープなどの搬送路6が付設されており、この搬送路6に沿うように、保管領域をなす棚71が当該搬送路6に沿って配置されている。図8では、受け渡し口22を囲む区画壁221は省略してある。搬送路6としてエンドレスの主搬送路を示しているが、この主搬送路から分岐する分岐路を設け、この分岐路に搬送車5が退避できるようにしてもよい。このように分岐路を設けることにより、複数台の搬送車5を効率よく運転することができる。
【0027】
棚71は、例えば既述の処理に要する時間が処理の種別に応じてまちまちである場合において、処理の済んだ処理物や中間処理物について、続いて搬送される工程室21での処理が終わっていない時あるいは当該工程室21においてメンテナンスが行われている時に、工程室21が空く(処理またはメンテナンスが終了する)までの間、これら処理物や中間生成物が収納された搬送容器Cを一時的に保管しておくためのバッファ領域である。
【0028】
従って、搬送容器Cは、後述するように、続いて搬送される工程室21における受け渡し口22の近傍に位置する棚71に保管される。また、この棚71は、工場に入荷した原料粉末に対して処理が開始されるまでの間において、あるいは最終製品が工場から出荷されるまでの間において、これらの原料粉末や最終製品が収納された搬送容器C(または梱包容器)を同様に一時的に保管しておくために用いられる領域である。更に、処理後の処理物や中間生成物について、続く処理を開始するまでにある程度の養生時間または反応時間を取る必要のある場合に、棚71が用いられる場合もある。従って、梱包容器や搬送容器Cが棚71に保管されている時間(期間)は様々であり、一時的に棚71に載置される場合であっても、以下の説明では「保管」という用語を用いている。
【0029】
この棚71は、既述の搬送車5(フォーク562)により搬送容器Cを受け渡しできるように、また搬送車5の走行及び例えば工程室21に対する搬送容器Cの受け渡し動作に干渉しないように、フォーク562のストローク長(伸張長さ)よりも短い距離だけ搬送路6から離間するように配置されている。棚71は、仕切り板によって上下に仕切られて、複数段例えば2段に搬送容器Cが積層される構成とすることができる。
【0030】
保管領域は、棚であることに限られず、床面11であってもよいが、搬送車5を制御する制御部10により位置が管理されている領域である。搬送車5は、既述のように搬送路6に沿って移動するが、制御部10は、搬送車5の搬送用モータに接続されたエンコーダのパルス数により、搬送車5の位置を管理している。従って制御部10のメモリに、各保管領域と位置とを対応付けたデータを記憶しておくことにより、保管領域の位置が管理されている。保管領域の位置とは、搬送車5の停止位置と、停止した搬送車5に対する水平方向の位置と、床面からの高さ位置と、を含む。
【0031】
保管領域を設ける利点の一つについて述べる。物流フロア2は、実際には複数の工程室の階上に位置することから、かなり広い領域である場合が多い。このため処理フロア1に形成された受け渡し口22について、物流フロア2の床面の投影領域の近傍に保管領域を設けることが好ましい。「近傍」とは、例えば受け渡し口22を介して工程室21に搬送容器Cを受け渡すときの搬送車5の位置から、例えば10m以内、好ましくは1m以内の位置を意味する。この場合、保管領域にて保管される搬送容器Cは、当該受け渡し口22を介して工程室21に搬入される搬送容器Cである。このように構成すれば、搬送車5によりこの搬送容器Cを保管領域から受け取って直ぐに受け渡し口22を介して処理フロア1に受け渡すことができる。仮に処理フロア1に保管領域を設けると、搬送車5を介して搬送容器Cを目的とする工程室21に搬送するまでの時間が長くなる。この利点は搬送車5の移動速度が遅い場合に特に顕著になる。
【0032】
図9には、処理フロア1と物流フロア2とからなる階層構造体3が複数階層例えば2層積層された構成例を示している。上下の階層の物流フロア2、2同士の間で搬送容器Cを搬送するために、バーチカルリフターやエレベータなどの昇降装置、この例ではスタッカークレーン12が工場に外部側から隣接して設けられている。このスタッカークレーン12は、工場の端部例えば後述の打錠室25に隣接する位置において、複数階層の物流フロア2に亘って設けられた昇降室13内に配置されている。この昇降室13と物流フロア2との間の壁面には、図9に示すように、これら昇降室13と物流フロア2との間において搬送容器Cの受け渡しを行うための搬入出口14、14が各々形成されている。物流フロア2においてこの搬入出口14に臨む位置には、スタッカークレーン12と搬送車5との間において搬送容器Cを受け渡すための受け渡し部材15が設けられている。
【0033】
続いて、処理フロア1について詳述する。各々の工程室21内には、図3及び図9に示すように既述の処理を行うための処理装置27が設けられている。工程室21の天井部11には、搬送容器Cの受け渡しを行うための四角形の受け渡し口22が形成され、この受け渡し口の下方領域を囲むように区画壁22aが設けられている。即ち、受け渡し口22の4辺の各々から処理フロア1の床面まで垂直に壁が配置された構造となっている。この区画壁22aにおける一面側には、扉22bにより開閉される開口部22cが形成されている。
【0034】
この扉22bは、受け渡し口22の下方領域と工程室21内の雰囲気との間において、気流が行き来しにくいようにこれら領域を区画するためのものである。従って、扉22bは、当該扉22bと開口部22cとの間に形成された隙間を介して、これら両側の領域の間に形成された圧力差に応じて、これら領域の一方側から他方側に雰囲気が少しずつ通流するように構成されている。なお、受け渡し口22の下方領域と工程室21内の雰囲気との間を気密に区画するように扉22bの開閉構造を構築してもよい。後述の扉48a及び搬入出口24についても同様である。
搬送車5により搬送容器Cの受け渡しを行う時には、後述の制御部10からの指示により、あるいは作業者により前記扉222及び22bが各々開閉される。
【0035】
この例では、区画壁221及び互いに対向する2つの扉222により囲まれた、物流フロア2における受け渡し口22の上方領域と、区画壁22a及び扉22bにより囲まれた、処理フロア1における受け渡し口22の下方領域とは、予備清浄室であるエアーロック室をなしている。このエアーロック室が存在しなければ、シャッター20を開くことにより、受け渡し口22を介して物流フロア2の雰囲気と工程室21の雰囲気とが連通してしまうが、エアーロック室の存在により、物流フロア2の雰囲気から工程室に粉塵などの汚染物質が流入することが避けられる。エアーロック室には、図示していないが、清浄気体であるクリーンエアーを供給する供給機構が備えられていてもよい。なお、図9ではエアーロック室は図示の煩雑化をさけるために省略してある。
また処理フロア1側に区画壁22aを設けずに、物流フロア2側の区画雰囲気(区画壁221、扉222で囲まれた雰囲気)だけでエアーロック室を構成してもよい。本発明は、エアーロック室を設けることに限定されないが、エアーロック室を設けない場合であっても、処理フロア1側における受け渡し口22の下方側領域を区画壁22a及び扉22bにより区画する構成または物流フロア2側にて、受け渡し口22の上方側領域を区画壁221及び扉222により区画する構成を採用することが好ましい。
【0036】
ここで、既述の受け渡し口22は、図3に示すように、各々の工程室21毎に個別に設けられている場合もあるし、一つの受け渡し口22が互いに隣接する複数例えば2つの工程室21、21において共用されている場合もある。例えば受け渡し口22の形成された工程室21を第1の工程室21a、この第1の工程室21aに隣接すると共に受け渡し口22の形成されていない工程室21を第2の工程室21bと呼ぶと、第1の工程室21aの受け渡し口22は、第2の工程室21bに近接配置されている。そして、第1の工程室21aと第2の工程室21bとの間の壁面には、搬送容器Cの受け渡しを行うための搬入出口24が形成されている。
【0037】
また、この搬入出口24は例えばドアなどの開閉機構24aにより開閉されるように構成されており、搬送容器Cは、第2の工程室21bに対して、受け渡し口22、第1の工程室21a及び搬入出口24を介して搬送車5により搬送される。従って、既述の処理装置27は、第1の工程室21aでは受け渡し口22に近接して配置されており、第2の工程室21bでは搬入出口24に近接する位置に設けられている。
【0038】
以上、工場全体のイメージ、物流フロア2と工程室21との間で搬送容器Cを搬送する搬送機構5の構成、物流フロア2及び処理フロア1における受け渡し口22に対応した領域の構成について記述してきたが、ここで工程室21のより具体的な構成例を示しておく。
【0039】
図10は、工程室の一つとして打錠処理を行う工程室を示している。工程室21である打錠室25は、間仕切り26によって投入区域25aと処理区域25bとの上下2層に区画されている。この打錠室25には、物流フロア2と処理フロア1との間の床面11(処理区域25bの床面)及び間仕切り26を上下に亘って貫通するように、既述の受け渡し口22が各々形成されている。即ち、投入区域25a及び処理区域25bには、夫々専用の受け渡し口22、22が形成されており、この例ではこれら2つの受け渡し口22、22は平面で見た時の位置が重なっていると言える。投入区域25a及び処理区域25bにおいて受け渡し口22、22の外縁から投入区域25a側及び処理区域25b側に夫々離れた位置には、既述の区画壁22aが各々設けられており、この区画壁22aの搬送口22cは、扉22bにより各々開閉される。
【0040】
処理区域25bには、被処理物に対して打錠処理を行うための処理装置(打錠機)27が設けられており、この処理装置27の上方位置における間仕切り26には、開口部26aが形成されている。投入区域25aには、当該投入区域25aから開口部26aを介して下方の処理装置27に被処理物を投入するための管状の投入路27aの一端側が開口している。この投入区域25aには、処理装置27の上方位置と扉22bに近接する位置との間で搬送容器Cの受け渡しを行うための受け渡し部28が設けられている。
【0041】
受け渡し部28は、投入区域25aへの搬送容器Cの搬送方向に沿って互いに離間するように配置された例えば2組のコンベアなどであり(もしくはローラーコンベアなどの水平搬送機構であってもよい)、搬送車5との間において搬送容器Cの受け渡しを行う受け渡し位置と、処理装置27の上方位置と、の間において搬送容器Cを水平に搬送するように構成されている。また、処理区域25bにおいて、処理装置27の側方位置には、処理装置27において打錠処理が行われた処理物を収納するための搬送容器Cが載置されている。図10中27bは、処理装置27において打錠処理が終了した処理物を取り出して、処理区域25bに載置された搬送容器Cに収納するための搬送部材である。なお図3においては、この打錠室25を簡略化して示している。
【0042】
また、工程室21としては、例えば図3に未使用エリア31として示すように、内壁面や床面に内装が施されていない領域(部屋)が設けられている場合がある。この未使用エリア31は、工場を建設した後に、例えば医薬品を増産するために工程室21を増設する場合などに、当該工程室21として使用される領域であり、そのため工場を建設した時点では使用されていない領域である。この未使用エリア31においては、受け渡し口22が形成されておらず、隣接する工程室21の受け渡し口22を共用することになる。また、処理装置27の種類により搬送容器Cの設置される高さ位置が異なる場合があるので、この未使用エリア31には搬入出口24が形成されておらず、工程室21を増設する時に、当該工程室21(未使用エリア31)内に設けられる処理装置27の種類などに応じて、搬入出口24が工事により形成されることになる。また、工程室21を増設する時には、この搬入出口24の工事と共に、内装工事や処理装置27を搬入する工事などが行われることになる。尚、予めドアなどにより開閉される搬入出口24を形成しておいても良い。
【0043】
工程室21の列の左側の側面及び右側の側面の一方側及び他方側には、図3及び図9に示すように各々機械室61及びこの工程室21内において作業を行う作業者が当該工程室21内に出入りするための作業者用通路62が当該工程室21の列に沿うように設けられている。この例においては、工場の外壁に沿うように処理フロア1の両側に機械室61、61が配置され、2つの工程室21、21の列に挟まれるように(内側に)作業者用通路62、62が設けられている。この機械室61において工場の外部に面する壁面(外壁)には、既述の処理装置27の搬入出を行うための図示しないドアが形成されている。作業者用通路62の天井面は、工程室21の天井面よりも所定の高さだけ低くても良い。
【0044】
この機械室61は、例えば、工程室21内の処理装置27に関連する部材例えば集塵機や空調機あるいは配電盤などの機械設備61aを設置するための領域であり、工程室21や物流フロア2、あるいは作業者用通路62などよりも清浄度が低いレベルに設定されている。これらの工程室21と機械室61との間の壁面には、処理装置27と機械設備61aとを接続する配線や配管を引き回すための図示しない開口部が形成されている。また、この機械室61は、後述するように、工場の外部と工程室21との間において処理装置27を例えば入れ替える場合に、工場の外壁(機械室61の側面)に形成された図示しないドアから当該機械室61を介して処理装置27を搬送するための領域である。このように処理装置27を入れ替える(交換する)例としては、例えば工程室21内の古い処理装置27を新しい処理装置27に切り替える場合、あるいは当該工程室21内における処理の種類が変更になる場合などがある。
【0045】
この時、処理装置27の入れ替えを行わない場合もあるし、また処理装置27の大きさも処理の種類に応じて様々である。そのため、機械室61と工程室21との間において処理装置27を搬入出する場合には、例えば工事を行うことにより、機械室61と工程室21との間の壁面にその都度開口部が形成されることになる。尚、この壁面に予め開口部を形成しておき、処理装置27の搬送を行わない時には扉等で塞ぐようにしても良い。また、この機械室61は、工程室21に面する壁面以外の3つの側面のうちのいずれかの側面が工場の外壁に接するように配置されていれば良い。尚、図3においては、既述の機械設備61aを模式的に1つだけ描画している。
【0046】
そして図3及び図9の例では、作業者用通路62の側面における工程室21とは反対側の面には、例えば作業者用通路62の側壁及び工程室21の側壁に形成された図示しない窓を介して見学者が工程室21内を見学するための見学者用通路63が作業者用通路62(工程室21)に沿って配置されている。この見学者用通路63の天井面は、作業者用通路62の天井面と同じ程度の高さレベルに設定されている。この例では、見学者用通路63を介して左右両側の作業者用通路62、工程室21及び機械室61が左右対称となるように配置されている。図3中29は、作業者用通路62から工程室21内に作業者が出入りするためのドアである。また、これらの作業者用通路62、物流フロア2及び工程室21内は、コンタミの発生を抑えるために清浄な雰囲気に保たれている。
【0047】
作業者用通路62及び見学者用通路63の上方には、工程室21の側面の上部側に隣接するように、例えば天井面が工程室21の天井面と同程度の高さレベルとなるように配置された通気路(ダクト)35が設けられており、この通気路35は、前後方向に並ぶ工程室21に沿って長く形成されている。この通気路35は、工程室21の雰囲気を工場の外部に排気したり、あるいは工場の外部などから清浄な大気を吸引したりするための領域であり、各工程室21から例えば工場の外部に伸びる図示しない給気路や排気路が引き回されている。
【0048】
この工場は、図8に示すように、スタッカークレーン12及び搬送車5の搬送動作や扉22bの開閉動作を制御する制御部10を備えている。この制御部10は、CPU、メモリ及びプログラム格納部を備えており、被処理物に対して処理を行って処理物が得られるように、工場の各部(搬送車5やスタッカークレーン12)に対して搬送容器Cの搬送動作を行うための制御信号を出力するように構成されている。
【0049】
次に、この工場の作用について説明する。先ず、原料粉末が収納された図示しない梱包容器である被搬送物を棚71(図2、図8及び図9)から搬送車5により受け取る。この梱包容器は、搬送車5によって工程室21の一つに搬入され、開梱されて内部の原料粉末が搬送容器Cに移される。続いて、例えば500kg程度の重量となるように原料粉末が収納された搬送容器Cは、図11(a)に示すように、搬送車5によってこの搬送容器C内の被処理物に対して処理が行われる工程室21に向かって搬送される。
【0050】
即ち、搬送車5が既述の搬送路6における軌道を検出しながら搬送路6に沿って移動する。次いで、搬送車5は工程室21の受け渡し口22に臨む位置において停止して、所定の受け渡し動作を行う。搬送車5の停止制御は、既述のように走行モータに連結されたエンコーダパルス数により制御部側で行うことができ、更に搬送路6に沿って位置確認のためのマーカ、例えばバーコードやICチップなどを設けるようにしてもよい。
【0051】
具体的には、図2に示す物流フロア2のエアーロック室の扉222(既述のように図2の扉222は実際には紙面の裏側に位置している)が開き、搬送車5がこのエアーロック室内に入る。次いで扉222を閉じた後、シャッター20が開き、既述のように受け渡し機構をなすフォーク562が受け渡し口22を介して処理フロア1側に降下する。続いて処理フロア1側の扉22bを開き、フォーク562を前進させ、搬送容器Cを工程室21内に受け渡す(図11(b))。
【0052】
しかる後、フォーク562が物流フロア2側に上昇すると共に物流フロア2側の扉222が閉じ、またシャッター20も閉じられる。続いて搬送車5から見て進行方向側の搬出用の扉222(図2において紙面の表側に位置する扉)が開き、搬送車5がエアーロック室から退出する。その後、搬出用の扉222が閉じられる
一方、作業者は作業者用通路62からこの工程室21内に入室すると共に、通気路35を介して当該工程室21内あるいは処理装置27の内部の雰囲気を調整して、この処理装置27を用いて搬送容器C内の被処理物に対して処理を行う。その後、この工程室21内において処理が行われた処理物は、例えば搬送容器C内に収納されて、搬入された順番と逆の順序で搬送車5により物流フロア2へと搬出される。この搬送容器Cは、例えば次の処理を行うための工程室21に、搬送路6に沿って搬送車5により搬送される。この搬送容器C内の処理物は、続く工程室21においては被処理物として処理が行われる。
【0053】
そして、この搬送容器Cは、搬送車5により次の処理が行われる工程室21の近傍位置に到達する。この時、当該工程室21において先の処理が終わっていない場合やメンテナンスを行っている場合には、あるいは処理を行った後に養生時間または反応時間を置く場合などには、制御部10の指示により、搬送容器Cを保管する棚71に向かって搬送車5が移動する。この棚71の位置は、前記次の処理を行う工程室21に対して搬送車5により受け渡しを行う位置(受け渡し口22の上方位置)の近傍に設定される。即ち、この次の処理を行う工程室21が空いた時、あるいは養生時間や反応時間が経過した時、速やかに棚71から搬送容器Cを搬入できるように、搬送容器Cは当該工程室21の近傍の棚71に保管される。この「近傍」とは、搬送容器Cが搬入される工程室21の受け渡し口22にできるだけ近いことが好ましいが、他の搬送容器Cが保管されている場合には、当該受け渡し口22の上方位置から水平方向に例えば10m以内好ましくは例えば1m以内の領域の棚71となる。
【0054】
この搬送車5は、別の搬送を行うために移動していき、その後当該工程室21が空いた時に速やかに棚71の搬送容器Cをこの工程室21内に搬入できるように、制御部10の指示により、この工程室21が空くタイミングよりも少し前にこの棚71にアクセスできる位置に戻ってくる。次いで、この搬送車5は、棚71から搬送容器Cを取り出して、当該搬送容器Cが搬入される工程室21の近傍、具体的には図9の説明の箇所で述べた分岐路(図示せず)で待機する。そして、この搬送車5は、工程室21において先の処理が終わって別の搬送車5により当該工程室21から搬送容器Cが搬出されると直ぐに、または工程室21のメンテナンスが終わると直ぐに、例えば分岐路から主搬送路(本線)に戻って当該工程室21内に搬送容器Cを搬入する。こうして工程室21における無駄な時間(搬送容器Cが搬入されてくるのを待っている時間)の発生が抑えられて、速やかに順次処理が行われていく。また、養生時間や反応時間が経過する場合にも、当該時間が経過するタイミングよりも少し前に搬送車5が棚71にアクセスできる位置に戻ってきて、同様に前記時間が経過すると搬送容器Cが速やかに回収されて工程室21内に搬入される。 なお、工程室21内における処理装置27や作業者に干渉しない位置に棚71などの保管領域を設けてもよい。
【0055】
そして、次の処理を行う工程室21が例えばこの物流フロア2の上層側の階層構造体3(図9参照)に配置されている場合には、搬送車5が受け渡し部材15を介してスタッカークレーン12に受け渡す。スタッカークレーン12は、上層側の階層構造体3における物流フロア2の受け渡し部材15に臨む位置に搬送容器Cを上昇させる。次いで、スタッカークレーン12は、この受け渡し部材15を介して搬送車5に搬送容器Cを受け渡す。こうして下層側の物流フロア2(搬送車5)から上層側の物流フロア2に対して搬送容器Cが搬送され、続く処理が順次行われていくことになる。また、上層側の物流フロア2から下層側の物流フロア2に搬送容器Cが搬送される場合も、同様に搬送車5及びスタッカークレーン12により搬送容器Cが受け渡されることになる。なお、スタッカークレーン12は、荷物用エレベーター、バーチカルリフター、またはバーチカルコンベア等の昇降装置であってもよい。
【0056】
また、図10に示した打錠処理を行う工程室21(打錠室25)の投入区域25aに搬送容器Cを搬送する場合には、投入区域25aの受け渡し口22を介して、搬送車5が搬送容器Cを投入区域25aと同じ高さ位置まで下降させて、受け渡し部28に載置する。この搬送容器Cは、受け渡し部28により受け渡し位置から処理装置27の上方位置に搬送されていく。また例えば別の搬送車5は、受け渡し口22から処理物を収納する空の搬送容器Cを打錠室25側に上昇させる。この搬送容器Cは、搬送口22cを介して処理区域25b内に搬入される。そして、作業者がこの打錠室25内に設けられた図示しない階段を上って、投入区域25aの搬送容器Cの下面に設けられた図示しない投入口に投入路27aの開口端を接続し、この搬送容器Cから被処理物を処理装置27に投入する。この被処理物は、処理装置27において打錠処理が行われて、搬送部材27bにより処理区域25bの搬送容器C内に処理物として収納される。
【0057】
打錠処理を所定の時間行うと、搬送車5により、処理物が収納された搬送容器Cが打錠室25(処理区域25b)から搬出される。また、例えば別の搬送車5により再度空の搬送容器Cが処理区域25bに搬入されて、打錠処理が続けられる。そして、例えば投入区域25aの搬送容器C内の被処理物がなくなるか少なくなるまで、搬送車5による処理区域25bへの搬送容器Cの搬入出が行われる。その後、投入区域25aの搬送容器Cが空になったり被処理物が少なくなったりした場合には、搬送車5により当該搬送容器Cが搬出されることになる。
以上の工程室21における例えば処理装置27や作業者の動作は、例えば見学者用通路63を通行する見学者により見学(点検)される。そして、例えば複数の階層の工程室21において被処理物に対して複数の処理を順次行うことにより、最終製品である医薬品が製造される。この最終製品は、工場から出荷されるまで、既述の棚71において保管される。
【0058】
次に、図3及び図9に示すレイアウトを採用した場合において、工程室21内の処理装置27を取り替える(入れ替える)場合について説明する。工事により工程室21内に発生する粉塵などが当該工程室21から物流フロア2や作業者用通路62あるいは他の工程室21に出て行かないように、受け渡し口22あるいは搬入出口24を例えば板状の覆い部材密閉すると共に、ドア29を閉じる。次いで工事を行って機械室61と工程室21との間の壁面を取り壊す。また、受け渡し口22の周囲の区画壁22aについても、処理装置27の搬送に干渉する場合には取り壊す。この工事により粉塵などが発生するが、工程室21を閉じているので、粉塵はこの工程室21から物流フロア2や作業者用通路62あるいは当該工程室21に隣接する工程室21には出て行かない。
【0059】
そして、工程室21から処理装置27を機械室61を介して工場の外部に搬出し、例えば新しい処理装置27を当該工程室21内に搬入する。この時、機械室61が2階以上の高さの階層に配置されている場合には、処理装置27は例えば工場の外部からクレーンなどを用いて搬送される。その後、この工程室21内の清掃及び工程室21と機械室61との間の壁面が形成されて(修復されて)、必要に応じて区画壁22aを再度形成すると共に覆い部材65を取り外して既述のように処理が再開される。
【0060】
また、図2に示す未使用エリア31に対して新たに工程室21を設置する場合には、この未使用エリア31と受け渡し口22を共用する(隣接する)工程室21において、同様に受け渡し口22を覆い部材65により塞ぎ、また必要に応じて区画壁22aを取り壊し、未使用エリア31とこの工程室21との間の壁面を工事により取り壊して搬入出口24を形成する。この搬入出口24の位置は、例えば当該未使用エリア31に設置される処理装置27の種類に応じて設定される。そして、例えばこの未使用エリア31に対して、内装工事及び機械室61との間の壁面を取り壊して新たに処理装置27を搬入する工事を行うことにより、この未使用エリア31に対して新たな工程室21が設けられることになる。
【0061】
この場合においても、工事を行っている時には、粉塵などは未使用エリア31及びこの未使用エリア31と受け渡し口22を共用する工程室21から、物流フロア2や作業者用通路62あるいは他の工程室21には出て行かない。そして、同様に清掃や機械室61との間の壁面の修復を行い、次いで区画壁22aを形成した後、この未使用エリア31は工程室21として使用されることになる。
【0062】
上述の実施の形態によれば、複数の工程室21が平面的に配置された処理フロア1の階上に、搬送容器Cの搬送を行う搬送領域が形成された物流フロア2を設けると共に、処理フロア1と物流フロア2との間の床面11に受け渡し口22を形成し、物流フロア2を走行する搬送車5により受け渡し口22を介して工程室21と物流フロア2との間において搬送容器Cの受け渡しを行っている。そして、物流フロア2に搬送容器Cを保管するための棚71を設けている。
【0063】
このように、本発明では、従来から用いられていた工程室21への側方側からの搬送容器Cの搬送という考え方に対して、階上の物流フロア2と階下の処理フロア1とにおいて搬送容器Cを受け渡すといった新規な考え方を採っている。そのため、処理フロア1には搬送容器Cの搬送を行う搬送路を設けなくて済むので、いわば物の動線である物流フロア2と人の動線である作業者用通路62とを上下に区画して別個に配置できるので、棚71を設けながら、処理フロア1の各領域(工程室21、機械室61、作業者用通路62及び見学者用通路63)の配置レイアウトの自由度を大きく取ることができる。
【0064】
また、棚71についても、物流フロア2において搬送路6に沿って自由に配置できるので、例えばスタッカークレーンの搬送路に沿って棚71を配置する場合に比べて、当該棚71の配置レイアウトの自由度を大きく取ることができる。更に、物流フロア2に設けられた搬送容器Cを保管する棚71の位置として、当該搬送容器Cが次に搬入される工程室21における受け渡し口22の近傍位置に設定すると共に、工程室21が空く時には、この搬送容器Cを保持した状態で当該工程室21の近傍にて搬送車5を待機させている。そのため、この工程室21が空いた時、搬送容器Cを速やかに搬入できるので、即ち搬送車5による搬送時間が処理の流れ(原料から製品に加工されるまでの間)における律速となることを抑えることができるので、工程室21における無駄な時間が短縮され、製品を速やかに得ることができる。
【0065】
従って、例えば工程室21と機械室61とを隣接させることができる。通常、機械室61が工場の外壁に面していることから、工場を建設した後に工程室21内の処理装置27を入れ替える場合には、機械室61を介して工場の外部と工程室21との間で処理装置27等の機器を運搬することになる。そのため、工程室21と機械室61とが隣接していると、例えば作業者用通路62を塞ぐ工事などを行うことなく、また他の工程室21に影響を及ぼすことなく、工事を行う工程室21における処理を停止するだけで処理装置27を導入できる。この結果、処理装置27を容易に且つ速やかに交換でき、そのため新規設備の導入に柔軟に対応できる。また、例えば別途作業者用通路62を引き回すなど、工事を想定したレイアウトを採る必要がないので、工場の設計を行いやすい利点もあるし、また工場の設置面積を抑えることができる。
【0066】
更に、未使用エリア31に対して工程室21を増設する場合においても、この未使用エリア31と受け渡し口22を共用する工程室21の処理を停止するだけで工事を行うことができるので、例えば医薬品の増産などにも容易に対応することができる。また、未使用エリア31に対して工程室21を増設する場合には、当該未使用エリア31(工程室21)に設置される処理装置27の種類に合わせて搬入出口24の形成場所を設定できるので、未使用エリア31を様々な工程室21に対応させることができる。
従って、工場を建設した後に例えば医薬品の新しい製造方法や処理装置27などの新技術が開発された場合でも、これらの新技術を工場に容易に導入できるので、また増産などにも容易に対応できるので、自由度の高い工場を得ることができる。
【0067】
また、搬送車5に水平移動と搬送容器Cの昇降動作とを行わせていることから、各々の工程室21毎に搬送容器Cの受け渡し位置の高さレベルがまちまちであっても、各々の工程室21には昇降装置が不要になり、そのため工場を安価に建設できる。即ち、例えばコーティングを行う工程室21では、処理装置27が大型のため、搬送容器Cの載置される高さ位置が処理フロア1の床面11から例えば2.5m程度高い位置となったりする場合もある。しかし、その場合であっても当該工程室21には昇降装置を設けることなく、この工程室21に搬送容器Cが載置される高さ位置に対して搬送車5により搬送容器Cを直接受け渡しできる。
【0068】
更に、搬送車5により階上から階下へ搬送容器Cを受け渡していることから、隣接する工程室21、21間において受け渡し口22を共用できるので、受け渡し口22の設置数を抑えることができる。更にまた、物流フロア2と作業者用通路62とを別個に設けていることから、搬送車5と作業者との衝突を防ぐことができるし、作業者による搬送容器Cや被処理物あるいは処理物への干渉を防止できる。また、見学者用通路63を工程室21の側方位置に設けることができるので、例えば工程室21の上方に設ける場合よりも例えば処理装置27の動作などを確実に見学(点検)することができる。
【0069】
更に、水平な物流フロア2において搬送車5により搬送容器Cを搬送していることから、例えば複数階層の工程室21に沿って高さ方向にスタッカークレーンの搬送室を設ける場合に比べて、当該物流フロア2内を例えば作業者が容易に清掃することができる。また、物流フロア2には複数の搬送車5を設けているので、例えば1台が故障した場合やメンテナンスを行う場合でも、当該搬送車5の受け持つ搬送を他の搬送車5が肩代わりすることができる。
【0070】
また、受け渡し口22の周囲において、物流フロア2の雰囲気と処理フロア1の雰囲気とを区画する区画壁22aを設けることによって、例えば各工程室21と物流フロア2との間におけるコンタミの流入出を抑えることができるので、複数の工程室21間における物流フロア2を介したクロスコンタミを抑えることができる。この時、例えば工程室21から物流フロア2へのコンタミの流出のおそれがない場合あるいは少ない場合には、区画壁22aを設けなくても良い。 また、図3において、2つの隣接する工程室21a、21b間で受け渡し口22を共有する例について説明したが、隣接する3つの工程室21の中央の工程室21aに受け渡し口22を形成し、この受け渡し口22を当該工程室21aに隣接する2つの工程室21b、21cで共有しても良い。この時、例えば受け渡し口22と工程室21c(21b)の搬入出口24とが離れている場合には、受け渡し口22と当該搬入出口24との間にコンベアを設けても良い。
【0071】
更に、工程室21の一例として既述の図10の例では、打錠室25に対して搬送容器Cの受け渡しを行うにあたって、投入区域25aに対して搬送容器Cの受け渡しを行う受け渡し口22と、処理区域25bに対して搬送容器Cの受け渡しを行う受け渡し口22とを平面的に同じ位置に設けている。しかし工程室21のレイアウトの他の例として、これらの受け渡し口22、22を夫々平面的に別の位置に設けても良い。
【0072】
また、処理フロア1と物流フロア2とを設けることによって工場の各領域の配置レイアウトの自由度が大きいことは既に述べたが、既述の例とは異なるレイアウトの工場について、図12を参照して説明する。この工場には、既述の機械室61に代えて、工程室21の並びに沿うように作業者用通路95が設けられており、この作業者用通路95と各工程室21との間の側面には、作業者のためのドア29が各々設けられている。この作業者用通路95は、工程室21に出入りする作業者の例えば衣服を介したコンタミを防止するために、各々の工程室21に入室する作業者の通路と退室する作業者の通路とを別々にするために設けたものである。従って、作業者用通路62、95のうち一方は各々の工程室21に入室する作業者のための通路であり、作業者用通路62、95のうち他方はこれら工程室21から退室する作業者のための通路である。
【0073】
このように2つの作業者用通路62、95を工程室21に各々隣接するように配置した場合であっても、工程室21には物流フロア2から搬送容器Cを搬入できるので、各々の工程室21には、搬送容器Cを昇降させるためのリフタなどの昇降装置が不要である。従って、処理フロア1と物流フロア2とを上下に区画しているので、建設費のコストアップを抑えながら処理フロア1及び棚71のレイアウトを自由に設定できる。
なお、既述の機械室61に代えて工程室21に隣接するように、搬送容器Cの内部または外部を洗浄するための洗浄室を設けてもよい。
【0074】
図13は、工場のレイアウトの一例であり、物流フロア2において工程室21の上方に機械室61が位置している。201は空気の吸い込み口を有する吸い込みユニットであり、工程室21の底部付近の壁に設けられている。202は空調機であり、機械室61に設けられている。203は空気の吹き出し口を有する吹き出し口ユニットであり、工程室21の天井部に設けられている。204は例えばダクトなどの通気路部材である。このようなレイアウトにすれば、物流フロア2および機械室61が工程室21の階下に有る場合に比べ、空調機202が工程室21のいわば天井裏に設けられ、ここから天井面に通気路を配置すればよいので、工程室21の天井部に吹き出し口ユニット203を設けるためのダクトを這わせなくて(引き回さなくて)済み、レイアウトがコンパクトになる。また工程室21のある階には天井の高さが異なる部屋があり、例えば天井の比較的低い作業者用通路の上などに物流フロアを配置することにより、物流フロアが工程室21の下方に有る場合に比べ天井裏の空間を有効利用できるため、建家全体の高さを低くできる利点がある。
【0075】
更に受け渡し口22を介して物流フロア2と処理フロア1との間で搬送容器Cを搬送する搬送機構としては、自動搬送車に限らず、図14に示すように物流フロア2の天井部に形成されたガイドレール300に沿って移動する移動体301と、この移動体301に設けられた搬送容器Cの受け渡し機構302と、を備えたものであってもよい。この場合、受け渡し機構は、搬送容器Cを支持するフォークを進退させる進退機構と、この進退機構を昇降させる昇降機構と、を備えた構成となる。
【0076】
また、既述の各例では、工程室21を前後方向に一列に配置したが、搬送車5により下方側から搬送容器Cの受け渡しを行っていることから、ある一つの工程室21から側方側を見た時に、周囲の全ての4つの面に別の工程室21が配置されているレイアウトも採ることができる。具体的には、処理フロア1において工程室21が配置される領域を縦横夫々3つの領域に壁面を用いて区画して、当該領域を夫々工程室21として用いても良い。この場合には、例えば各々工程室21には、天井部に受け渡し口22が各々形成される。即ち、工程室21が配置された処理フロア1の階上に物流フロア2を設けることによって、当該処理フロア1には搬送容器Cの搬送用の搬送軌道を設ける必要がないので、例えば既述のスタッカークレーン100だけに頼って搬送容器Cの搬送を行う場合と比べて、処理フロア1のレイアウトの自由度を極めて高くすることができる。
【0077】
ここで、受け渡し口22を共有する工程室21a、21bをこの処理フロア1内に配置したが、いずれの工程室21についても受け渡し口22を形成しても良い。その場合には、未使用エリア31については隣接する工程室21と受け渡し口22と共用しても良いし、あるいはこの未使用エリア31に予め受け渡し口22を形成しても良い。また、隣接する工程室21a、21bにおいて受け渡し口22を共用する場合には、工程室21aにおける受け渡し口22をこれらの工程室21a、21bの間の壁面に沿って長く形成しても良い。このように受け渡し口22を形成することにより、搬入出口24を形成する位置について、高さ位置だけでなく横方向についても自由度が高くなる。
【0078】
また、既述の例では固形製剤を製造する医薬品工場を例に本発明について説明したが、例えばこのような固形製剤以外にも、被処理物に対して処理を行う工程室21が複数設けられた処理設備例えば食品、化学品を製造する工場などに本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0079】
C 搬送容器
1 処理フロア
2 物流フロア
5 搬送車
5a 走行車本体
51 アウターフレーム
53 ミドルフレーム
55 インナーフレーム
562 フォーク
6 搬送路
10 制御部
11 物流フロアの床面(処理フロアの天井面)
20 受け渡し口のシャッター
21 工程室
22 受け渡し口
22a 処理フロアにおける区画壁
22b 処理フロアにおける扉
22c 処理フロアにおける開口部
221 物流フロアにおける区画壁
222 物流フロアにおける扉
223 物流フロアにおける開口部
25 打錠室
27 処理装置
28 受け渡し部
61 機械室
62、95 作業者用通路
71 棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に対して処理を行って処理物を得る工程室が複数設けられ、被処理物または処理物を含む被搬送物を工程室に搬送する処理設備において、
複数の工程室が平面的に配置された第1の階と、
この第1の階の階上に設けられ、前記被搬送物を搬送するための第2の階と、
複数の工程室のうち少なくとも一つの工程室の天井部に形成され、前記第1の階と前記第2の階との間において前記被搬送物の受け渡しを行うための受け渡し口と、
これら受け渡し口を介して前記工程室に対して被搬送物の受け渡しをするために前記第2の階に設けられ、水平に移動する移動体と、この移動体に設けられ、被搬送物を保持して昇降する受け渡し機構と、を有する搬送機構と、を備えたことを特徴とする処理設備。
【請求項2】
前記移動体は、走行車本体であり、前記搬送機構は搬送車であることを特徴とする請求項1記載の処理設備。
【請求項3】
前記被搬送物は、被処理物または処理物を搬送容器に収納したものであることを特徴とする請求項1または2記載の処理設備。
【請求項4】
前記搬送機構の動作を制御する制御部と、
前記第2の階に、被搬送物を保管するために設けられ、前記搬送機構により被搬送物の受け渡しが行われる保管領域と、を備え、
前記保管領域は、前記制御部により位置が管理されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の処理設備。
【請求項5】
前記保管領域は、前記第2の階において、前記搬送機構が走行する走行路に沿って配置されていることを特徴とする1ないし4のいずれか一項に記載の処理設備。
【請求項6】
前記保管領域は、前記第2の階において前記受け渡し口の投影領域に近接して設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の処理設備。
【請求項7】
前記第1の階及び前記第2の階からなる階層構造体は、複数積層されていることを特徴とする1ないし6のいずれか一項に記載の処理設備。
【請求項8】
前記工程室内に出入りする作業者用通路が前記工程室の側壁を介して当該工程室に隣接して設けられていることを特徴とする1ないし7のいずれか一項に記載の処理設備。
【請求項9】
前記工程室内の処理装置に関連する機械設備が配置された機械室を備え、
この機械室は、前記工程室における前記作業者用通路とは反対側の側壁を介して当該工程室に隣接して設けられていることを特徴とする1ないし8のいずれか一項に記載の処理設備。
【請求項10】
前記工程室における前記作業者用通路とは反対側の側壁を介して当該工程室に隣接して別の作業者用通路が設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−12165(P2012−12165A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150131(P2010−150131)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004411)日揮株式会社 (94)
【Fターム(参考)】