説明

凹凸パターンの形成方法

【課題】
凹凸パターンおよび凹凸形状の制御が行い易い凹凸パターン形成方法を提供する。
【解決手段】
基材上に硬化性成分を含む活性エネルギー線硬化性組成物を積層する工程(A)、前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物にマスクを介さずにレーザー光を照射する工程(B)、および前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物を加熱する工程(C)をこの順に有し、
前記工程(B)において、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光の照射量をパターン状に変化させ、かつ該パターンがレーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域を有することを特徴とする、凹凸パターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸パターンの形成方法に関する。特に凹凸パターンおよび凹凸形状の制御が行いやすい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光拡散や接着性向上等を目的として表面に凹凸パターンを形成することが要求されている。凹凸パターンは、特にディスプレイに代表される光学用途において、光拡散シート、光導波路シート、輝度向上シート、プリズムシート等として利用されるケースが増加してきている。
【0003】
凹凸パターンを形成する方法としては、物理的な方法により表面を粗化する方法、粒子を含有する樹脂層を表面に設ける方法等が知られている。しかしながら、これらの方法では凹凸パターンや凹凸形状を制御することは極めて難しい。
【0004】
表面に凹凸パターンを形成する方法としては、表面に凹凸形状の転写用原型を押し付けることで表面凹凸形状を形成するインプリント法、あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂層にマスクを介して活性エネルギー線を照射し未照射部分を現像液により除去するフォトリソグラフィ法が知られている。しかしながら、これらの方法は、凹凸パターンに応じた転写用原版やマスクを準備する必要があり、多様な凹凸パターンの製造には適さない。
【0005】
また活性エネルギー線硬化性樹脂層にマスクを介して、または直接描画法等により活性エネルギー線を照射して凹凸パターンを形成する方法が知られている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開1999−248909号公報
【特許文献2】特開2004−33811号公報
【特許文献3】特開2005−173340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献に記載されている方法、すなわちマスクを介して活性エネルギー線を照射する方法は、回折光や干渉光等の影響により凹凸形状を制御することが難しいという問題、作製する凹凸パターン毎にマスクを用意しなければならないという問題がある。また従来の直接描画法は描画速度が低いという問題や照射量の制御が難しく所望の凹凸パターンを得るのが難しいという問題がある。
【0008】
従って本発明の目的は、上記従来技術の課題を鑑み、凹凸パターンおよび凹凸形状の制御が行いやすい凹凸パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)基材上に硬化性成分を含む活性エネルギー線硬化性組成物を積層する工程(A)、前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物にマスクを介さずにレーザー光を照射する工程(B)、および前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物を加熱する工程(C)をこの順に有し、
前記工程(B)において、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光の照射量をパターン状に変化させ、かつ該パターンがレーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域を有することを特徴とする、凹凸パターンの形成方法。
2)前記レーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域が、レーザー光の最大照射量領域とレーザー光の最小照射量領域との間の一部もしくは全部に設けられている、前記1)の凹凸パターンの形成方法。
3)前記レーザー光の照射量を段階的に変化させる領域における段階数が3以上である、前記1)または2)の凹凸パターンの形成方法。
4)前記照射工程(B)におけるレーザー光の進路上にダイレクトミラーデバイスと縮小光学系をこの順に有する、前記1)〜3)のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
5)前記加熱する工程(C)の後に、さらに前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射する工程(D)を行う、前記1)〜4)のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
6)前記硬化性成分が分子中に1個以上のエチレン不飽和基を有する化合物である、前記1)〜5)のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
7)前記分子中に1個以上のエチレン不飽和基を有する化合物の25℃における粘度が1〜500Pa・sである、前記6)の凹凸パターンの形成方法。
8)前記活性エネルギー線硬化性組成物が、さらに活性エネルギー線照射により遊離ラジカルを発生する重合開始剤を含有する、前記1)〜7)のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、凹凸パターンおよび凹凸形状の制御が行い易い凹凸パターン形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の凹凸構造形成過程の一例を示す模式図である。
【図2】図2は本発明のレーザー光の照射量を段階的に変化させる態様を示す模式図である。
【図3】図3はストライプ状凹凸パターンの平面図と模式断面図である。
【図4】図4はストライプ状凹凸パターンを形成するときに用いられる照射パターンである。
【図5】図5は段階的に照射量を増大させる領域P1における照射量変化パターンを示す模式グラフである。
【図6】図6は本発明の照射工程(B)におけるレーザー照射装置の一例の模式図である。
【図7】図7aは実施例1のレーザー光の照射パターンであり、図7bは実施例1で形成された凹凸形状である。
【図8】図8aは比較例1のレーザー光の照射パターンであり、図8bは比較例1で形成された凹凸形状である。
【図9】図9aは実施例6のレーザー光の照射パターンであり、図9bは実施例6で形成された凹凸形状である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の凹凸パターン形成方法は、基材上に硬化性成分を含む活性エネルギー線硬化性組成物を積層する工程(A)、積層された活性エネルギー線硬化性組成物にレーザー光を、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光の照射量をパターン状に変化させて照射する工程(B)、および積層された活性エネルギー線硬化性組成物を加熱する工程(C)をこの順に有する。
【0013】
先ず、本発明の凹凸パターン形成方法における凹凸構造の生成過程を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の凹凸パターン形成過程の一例を示す模式図である。
【0014】
基材1上に活性エネルギー線硬化性組成物2が積層された積層体(図1a)に、パターン状にレーザー光の照射量を変化させて照射する(図1b)。ここで、パターン状にレーザー光の照射量を変化して照射するとは、形成する凹凸パターンに合わせて、レーザー光の照射量を相対的に大きくしたり、レーザー光の照射量を相対的に小さくしたりして照射することを意味する。
【0015】
図1bにおいて、符号3はレーザー光の照射量を相対的に大きくする領域であり、符号4はレーザー光の照射量を相対的に小さくする領域である。ここで、レーザー光の照射量を相対的に小さくする領域4には、レーザー光の照射量が0である未照射領域も含まれる。
【0016】
以下の説明では、レーザー光の照射量を相対的に大きくする領域を「照射量が大きい領域」と言い、レーザー光の照射量を相対的に小さくする領域を「照射量が小さい領域」と言う。
【0017】
上記のようにしてレーザー光を照射した後、活性エネルギー線硬化性組成物を加熱する(図1c)。図1bの段階では、照射量が大きい領域3は重合反応が促進されるので未反応の硬化性成分は比較的少なく、一方照射量が小さい領域4は未反応の硬化性成分が比較的多く存在する。このような状態で加熱することによって、照射量が小さい領域4における未反応の硬化性成分が、照射量が大きい領域3側に移動して、凹凸パターンが形成される(図1c)。ここで、照射量が大きい領域3は凸部5となり、照射量が小さい領域4は凹部6となる。
【0018】
つまり、本発明は、パターン状にレーザー光の照射量を変化させて照射することにより、未反応の硬化性成分の濃度勾配を生じさせ、次に加熱することにより濃度勾配に応じて未反応の硬化性成分が移動することを利用して、凹凸パターンを形成するものである。
【0019】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物にレーザー光を照射するに際し、マスク(フォトマスク)を介さずに照射すること、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光の照射量をパターン状に変化させて照射すること、およびレーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域を設けることを特徴とする。
【0020】
以下の説明において、レーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域を「照射量を段階的に変化させる領域」と言う。本発明における照射量を段階的に変化させる領域は、照射量を2段階以上変化させる領域である。
【0021】
本発明において、照射量を段階的に変化させる領域はレーザー光を照射する全領域の中の任意の位置に設けられる。照射量を段階的に変化させる領域を設ける位置や照射量を段階的に変化させる領域における照射量を変化させる段階数は、形成する凹凸パターンおよび凹凸形状に応じて適宜設定される。
【0022】
照射量を段階的に変化させる領域を設けることにより、加熱工程における硬化性成分の移動を段階的に制御することが可能になる。その結果、凹凸パターンの制御および凹凸形状の制御が容易になる。つまり、任意の凹凸パターンおよび凹凸形状を形成することが可能となる。
【0023】
図1bにおいて、照射量が小さい領域4には最小照射量領域が含まれ、照射量が大きい領域3には最大照射量領域が含まれる。
【0024】
本発明において、照射量を段階的に変化させる領域は最小照射量領域と最大照射量領域との間に設けることが好ましい。この態様を図2に示す。
【0025】
図2において、照射量が大きい領域3には最大照射量領域(Max)が含まれ、照射量が小さい領域4には最小照射量領域(Min)が含まれており、最大照射量領域(Max)と最小照射量領域(Min)の間に、照射量を段階的に変化させる領域(P1、P2)が設けられている。
【0026】
照射量が小さい領域4の全領域が最小照射量領域(Min)であってもよい。また、最小照射量領域(Min)は照射量0の未照射領域であってもよい。
【0027】
図2において、符号7はレーザー光の照射量の大きさを矢印の長さで示したものである。矢印の長さが大きいほど照射量が大きいことを表す。符号8はレーザー光の照射量の大きさを黒色の濃淡で示したものである。淡い部分は照射量が大きく、濃い部分は照射量が小さく、黒濃度が漸次大きくなるにつれて照射量は漸次小さくなることを表す。
【0028】
最小照射量領域(Min)と最大照射量領域(Max)との間に照射量を段階的に変化させる領域を設ける場合、全ての最小照射量領域(Min)と最大照射量領域(Max)との間に設けてもよいし、あるいは一部の最小照射量領域(Min)と最大照射量領域(Max)との間に設けてもよい。
【0029】
本発明における凹凸パターンの一例であるストライプ状凹凸パターンを図3に示す。図3aは平面図、図3bは図3aのA−A模式断面図である。図3bは、山状の凹凸形状を例示しているが、図4に示すように照射パターンを変化させることによって、凹凸形状を任意に制御することができる。
【0030】
図4は、図3aに示すようなストライプ状凹凸パターンを形成するときに用いられる照射パターンの幾つかを例示したものである。
【0031】
図4aは、照射量が小さい領域の全域が照射量0の最小照射量領域(Min)で、全ての最小照射量領域(Min)と最大照射量領域(Max)との間に照射量を段階的に変化させる領域(P1およびP2)が設けられた態様である。つまり、最大照射量領域(Max)の両側にそれぞれ照射量を段階的に変化させる領域(P1およびP2)を設けた態様である。
【0032】
図4bは、照射量が小さい領域の全域が照射量0の最小照射量領域(Min)で、一部の最小照射量領域(Min)と最大照射量領域(Max)との間に照射量を段階的に変化させる領域(P1)を設けた態様である。つまり、最大照射量領域(Max)の一方の側のみに照射量を段階的に変化させる領域(P1)を設けた態様である。
【0033】
図4cは、図4aの態様において最大照射量領域(Max)を大きくした態様である。
【0034】
図4dは、照射量が小さい領域にも照射量が小さいレーザー光が照射され、さらに照射量が小さい領域の一部に照射量が一段と小さい最小照射量領域(Min)が設けられた態様である。
【0035】
また、上記したような照射パターンを変化することに加えて、照射パターン内に設けられる照射量を段階的に変化させる領域においても照射量の変化パターンを制御することができる。これによってさらに凹凸形状を精度よく制御することができる。
【0036】
照射量を段階的に変化させる領域における照射量変化パターンは、特に限定されないが、例えば、図5のような照射量変化パターンを例示することができる。
【0037】
図5において、パターンaは直線的に変化するパターン、パターンbは前半は緩やかに後半は急速に変化するパターン、パターンcは前半は急速に後半は緩やかに変化するパターン、パターンdはS字状に変化するパターンである。
【0038】
図4に示すような照射パターン、および図5に示すような照射量を段階的に変化させる領域における照射量変化パターンは、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光を照射することによって実施できる。
【0039】
つまり、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光を照射することによって、任意の照射パターンで照射すること、および照射量を段階的に任意の照射量変化パターンで照射することができ、その結果、任意の凹凸パターンおよび凹凸形状を形成することができる。さらに、後述する縮小投影光学系(縮小投影レンズ)を用いることにより、上記の照射パターンや照射量変化パターンを緻密に制御することができる。
【0040】
本発明における凹凸パターンおよび凹凸形状は、特に限定されない。凹凸パターンとしては、例えば、格子状の凹凸パターン、ストライプ状の凹凸パターン、規則的あるいは不規則(ランダム)なドット状の凹凸パターン、およびこれらの複合パターン等が挙げられる
凹凸形状としては、例えば平面形状として円形、楕円形、多角形、曲線、直線、およびこれらの複合した形状等が挙げられ、断面形状として山状、三角形状、台形状、およびこれらの複合した形状等が挙げられる。
【0041】
本発明の凹凸パターンの形成方法は、基材上に活性エネルギー線硬化性組成物を積層する工程(A)、レーザー光をパターン状に照射する工程(B)、および加熱する工程(C)を順次に有する。
【0042】
[凹凸パターンの形成方法]
以下の説明において、基材上に活性エネルギー線硬化性組成物を積層する工程(A)を単に「積層工程(A)」と言い、レーザー光をパターン状に照射する工程(B)を単に「照射工程(B)」と言い、加熱する工程(C)を単に「加熱工程(C)」と言う。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
【0043】
[積層工程(A)]
積層工程(A)において、基材上に活性エネルギー線硬化性組成物を積層する方法としては、塗布方法、転写方法、電着方法等が挙げられる。本発明では、塗布方法が好ましく、特にウェットコーティング法が好ましく用いられる。
【0044】
ウェットコーティング法としては、公知の方法が用いられる。例えば、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、スプレー法、ロールコーティング法等が挙げられる。
【0045】
また、積層方式としては、枚葉積層方式、連続積層方式を採用することができる。
【0046】
基材としては、各種基材を用いることができる。例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板、アルミニウムや銅など金属箔、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属板等が挙げられる。
【0047】
活性エネルギー線硬化性組成物の積層厚み(乾燥後の厚み)は、凹凸構造を十分に形成するという観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、特に1μm以上が好ましい。上限の厚みは100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、特に30μm以下が好ましい。
【0048】
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物については、詳しくは後述する。
【0049】
[照射工程(B)]
照射工程(B)は、上記の積層工程(A)で基材上に積層された活性エネルギー線硬化性組成物に、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光をパターン状に変化して照射する工程である。照射工程(B)では、従来から活性エネルギー線を照射するときに用いられているマスク(フォトマスク)は用いない。
【0050】
デジタルミラーデバイスは、数万個〜数百万個の可動式ミラーが基板上にマトリクス状に集積されたデバイスである。例えばテキサスインスツルメンツ社製のDLPA200等が知られている。
【0051】
デジタルミラーデバイスは、個々の可動式ミラーの角度を個別に切り替えることができ、また角度切り替え時間の制御もできる。これらの機能を利用することによって、照射量を段階的に任意に制御することができる。
【0052】
図6は、本発明の照射工程(B)におけるレーザー照射装置の一例の模式図である。レーザー光源11から発振されたレーザー光はレンズ12でビーム形状を成形され、ミラー14で反射されてダイレクトミラーデバイス13へ入射する。ここで、デジタルミラーデバイス13に入射したレーザー光は、上記したようにデジタルミラーデバイス内の各可動式ミラー(図示せず)の向き(角度)を切り替えることによりレーザー光内の各領域の反射光量が制御され、内部に光量分布を持ったレーザー光となる。反射したレーザー光はミラー15で反射されて試料17(基材上に活性エネルギー線硬化性組成物が積層されたもの)に照射される。
【0053】
必要に応じて、ミラー15で反射されたレーザー光は、縮小投影光学系(縮小投影レンズ)16を介して試料17に照射することができる。
【0054】
本発明において、ダイレクトミラーデバイスを介して発振されたレーザー光はさらに縮小投影光学系を介して照射することが好ましい。つまり照射工程(B)において、レーザー光の進路上にダイレクトミラーデバイスと縮小光学系をこの順に有することが好ましい。
【0055】
デジタルミラーデバイスの可動式ミラーの大きさは数μm角〜数十μm角程度である。従って、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光を照射することにより数μm角〜数十μm角の面積で照射量を制御することができ、凹凸パターンの制御および凹凸形状の制御を容易に行うことができる。
【0056】
上記したように縮小投影光学系(縮小投影レンズ16)を用いることによりさらに小さい面積で照射量を制御することができるので、凹凸パターンの制御および凹凸形状の制御を緻密に行うことができる。縮小投影光学系の縮小倍率は2〜100倍の範囲が適当である。
【0057】
例えば、代表的なデジタルミラーデバイスは13μm角の可動式ミラーが48〜131万個マトリクス状に配列されており、13倍の縮小投影光学系を使用することで1μm角の面積での照射量の制御ができる。
【0058】
照射量を段階的に変化させる領域において、1つの段階の面積は13μm角以下であることが好ましい。つまり、13μm角以下の面積で照射量を制御することが好ましい。
【0059】
照射量を段階的に変化させる領域において、1つの段階の面積はさらに10μm角以下であることが好ましく、5μm角以下であることがより好ましく、特に3μm角以下であることが好ましい。下限は0.1μm角程度である。
【0060】
本発明の照射量を段階的に変化させる領域において、照射量の変化は3段階以上で行うことが好ましく、5段階以上で行うことがより好ましく、さらに10段階以上で行うことが好ましく、特に20段階以上で行うことが好ましい。上限は特に限定されないが、2000段階程度である。
【0061】
例えば、最小照射量領域(Min)と最大照射量領域(Max)との距離が130μmであるとすると、13μm角の可動式ミラーを備えたデジタルミラーデバイスを用いることによって、最大10段階で照射量を変化することができる。さらに上記デジタルミラーデバイスと13倍の縮小投影光学系を組み合わせることによって最大130段階で照射量を変化させることができる。
【0062】
最小照射量領域(Min)は、照射量0の未照射領域であってもよい。最大照射量領域(Max)における照射量は、形成する凹凸パターンの構造、凹凸形状、積層する活性エネルギー線硬化性組成物の厚み、活性エネルギー線硬化性組成物の感度、レーザー光の種類等によって適宜設定されるが、具体的には1mJ/cm以上が好ましく、10mJ/cm以上がより好ましく、さらに30mJ/cm以上が好ましく、特に50mJ/cm以上が好ましい。上限は2000mJ/cm程度である。
【0063】
レーザー光源11としては、500nm以下の光を発振するレーザー光源が好ましい。例えば、エキシマレーザー(198〜351nm)UVアルゴンガスレーザー(364nm)、固体UVレーザー(288〜380nm)、青紫半導体レーザー(390〜475nm)、アルゴンイオンレーザー(488nm)等が挙げられる。レーザー光源の波長が500nmを越える場合、その波長吸収を有する光重合開始剤・光増感剤の影響を受け、組成物の着色が顕著となるため、光学用途には適さない。
【0064】
また、レーザー光源としては波長150nm以上が好ましい。波長が150nm未満であると石英ガラスを光学系に用いた場合においても透過率が低下し、光学系の設計が困難になる。光学系の損傷、価格等を考慮すると、パイレックス(登録商標)ガラスが使用可能である350nm以上の波長のレーザー光を用いることがより好ましい。
【0065】
試料17は枚葉でも連続した帯状物であってもよい。枚葉の場合はXYステージを利用し、ステップアンドリピートにより試料を露光する。連続の場合は図2の光学系を試料の幅方向に連続的に配置の上、試料の送り速度に合わせて間欠的に露光する。
【0066】
[加熱工程(C)]
基材上に積層された活性エネルギー線硬化性組成物は、パターン状にレーザー光を照射された後、加熱工程(C)で加熱される。
【0067】
加熱工程(C)に用いられる加熱装置としては、特に限定されず、従来から公知のものを使用することができる。例えば、赤外線過熱装置、熱風過熱装置、ホットプレート等が挙げられる。
【0068】
加熱工程(C)における加熱条件(加熱温度、加熱時間)は、形成する凹凸パターン、凹凸形状、活性エネルギー線硬化性組成物の厚みや組成等に応じて適宜設定される。また、基材にダメージを与えない範囲で設定することが好ましい。
【0069】
加熱温度は、具体的には50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、特に80℃以上が好ましい。上限は250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。
【0070】
加熱時間は、5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、特に20秒以上が好ましい。上限は5分以下が好ましく、3分以下がより好ましい。
【0071】
[活性エネルギー線照射工程(D)]
加熱工程(C)の後に、さらに活性エネルギー線照射工程(D)を行うことが好ましい。活性エネルギー線照射工程(D)は、凹凸パターンが形成された活性エネルギー線硬化性組成物のほぼ全域に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程である。
【0072】
これによって、凹凸を形成するために移動した硬化性成分および照射量が小さい領域あるいは照射量を段階的に変化させる領域に残留する硬化性成分を硬化し、ほぼ完全に硬化した凹凸パターンが得られる。
【0073】
ここで用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
【0074】
[活性エネルギー線硬化性組成物]
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、各種レーザー光、紫外線、可視光、赤外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する組成物である。
【0075】
活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化性成分を含む。硬化性成分は活性エネルギー線を照射することにより重合して組成物を硬化させる成分である。
【0076】
硬化性成分としては、分子中に1個以上のエチレン不飽和基を有する化合物が好ましく用いられる。かかる化合物はモノマーあるいはオリゴマーであることが好ましい。
【0077】
以下、分子中に1個以上のエチレン不飽和基を有する化合物を例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されない。
【0078】
a−1)エチレン不飽和基を1個有する化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−フルオロエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0079】
a−2)エチレン不飽和基を2個有する化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4 −(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0080】
a−3)エチレン不飽和基を3個以上有する化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0081】
上記化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0082】
上記化合物の中でも常温で液状もしくはペースト状の化合物が好ましく、特に25℃における粘度が1〜500Pa・sの範囲の化合物が好ましく、2〜400Pa・sの範囲の化合物がより好ましく、さらに3〜300Pa・sの範囲の化合物が好ましく、特に5〜200Pa・sの範囲の化合物が好ましい。
【0083】
本発明の凹凸パターンの形成方法は、前述したようにパターン状にレーザー光の照射量を変化させ、照射量の小さい領域の硬化性成分を照射量の大きい領域に移動させることにより凹凸構造を形成するものであるが、活性エネルギー線硬化性組成物に硬化性成分として含まれる化合物の粘度が1〜500Pa・sの範囲であると、硬化性成分の移動が起こりやすく、凹凸構造が形成しやすくなる。
【0084】
特に、硬化性成分として粘度が1〜500Pa・sの範囲の化合物を用いると、照射量が小さい領域あるいは照射量を段階的に変化させる領域において、硬化性成分の移動が起こりやすくなるので好ましい。
【0085】
上記した化合物の粘度が500Pa・sより大きいと、硬化性成分(化合物)の移動が生じにくいため十分な凹凸形状が形成できない場合があり、一方、化合物の粘度が1Pa・sより小さいと、移動後にレベリングが起こりやすく、十分な凹凸形状が形成できない場合がある。
【0086】
硬化性成分の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して30〜99質量%の範囲が好ましく、50〜98質量%の範囲がより好ましい。
【0087】
活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線照射により遊離ラジカルを発生する重合開始剤(以下、単に重合開始剤と言う)を含むことが好ましい。
【0088】
重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
【0089】
重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.01〜25質量%の範囲が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましい。
【0090】
活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、熱硬化性樹脂、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤、バインダー樹脂、顔料、染料等を用いることができる。
【0091】
活性エネルギー線硬化性組成物には、上記した硬化性成分、重合開始剤、および必要に応じて添加される各種添加剤を溶解するため、あるいは、塗工液の粘度を調整するために、有機溶媒を含有してもよい。
【0092】
上記の有機溶媒としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のアセテート類、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、ブタノール、イソブチルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらは単独あるいは混合して用いてもかまわない。
【0093】
[用途]
本発明の凹凸パターン形成方法は、例えば反射防止フィルム、防眩フィルム、光拡散シート、光導波路シート、輝度向上シート、プリズムシート等の光学フィルムや光学シートの製造に適用することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本実施例における測定方法および評価方法は下記の通りである。
【0095】
(1)活性エネルギー線硬化性組成物の膜厚の測定
接触式膜厚計にて、硬化後の膜厚を計測した。
【0096】
(2)得られた凹凸パターンおよび凹凸形状の測定
(株)KEYENCE製レーザーマイクロスコープVK−9700にて倍率50倍で凹凸形状を計測した。
【0097】
(3)可視光透過率の測定
JIS R 3106に従い、(株)島津製作所製紫外可視赤外分光光度計UV3150により380nmから780nmの可視光の平均透過率を測定した。
【0098】
(実施例1)
図3aに示すようなストライプ状の凹凸パターンを以下の要領で形成した。
【0099】
<活性エネルギー線硬化性組成物1の調製>
硬化性成分として根上工業(株)製アートレジンUN−3320HA(6官能ウレタンアクリレート、40Pa・s)を49質量部、重合開始剤として4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンを1質量部と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を1質量部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを49質量部それぞれ計量し、混合撹拌し、均一な溶液を得た。
【0100】
<活性エネルギー線硬化性組成物の積層工程>
上記活性エネルギー線硬化性組成物をガラス基材上にスピンコーターにより塗布し、100℃に加熱したホットプレート上で3分間乾燥し、膜厚10μmの塗膜を得た。
【0101】
<レーザー光の照射工程>
レーザー光源としてレーザーダイオード光源(波長405nm)を用い、デジタルミラーデバイス(テキサスインスツルメンツ社製のDLPA200)、13倍の縮小投影レンズを介してレーザー光を上記の塗膜に照射した。
レーザー光の照射パターンを図7aに示す。この照射パターンは、照射量の小さい領域の全領域が最小照射量領域(照射量0の未照射領域;長さ300μm)であり、照射量が大きい領域には長さ2μmの最大照射量領域(照射量200mJ/cm)を有し、最小照射量領域と最大照射量領域との間に、照射量を段階的に変化させる領域を有する。
照射量を段階的に変化させる領域は、最大照射量領域の両側にそれぞれ49μm長さで設けられている。照射量を段階的に変化させる領域は、それぞれ1μm単位で49段階で直線的に照射量を変化させた。
【0102】
<加熱工程>
上記のようにしてレーザー光を照射した後、100℃に加熱したホットプレート上で1分間加熱し、表面に凹凸パターンを形成した。
【0103】
<活性エネルギー線照射工程>
続いて、高圧水銀灯を光源にもつ紫外線露光機にてサンプル全面に紫外線を200mJ/cmで照射して硬化させた。
【0104】
<評価>
上記のようにして得られた凹凸パターンおよび凹凸形状を観察した。凹凸形状は図7bに示すように左右がほぼ対称な綺麗な山状で、凹凸パターンはピッチ300μmのストライプ状パターンであった。凹凸の高低差は8.5μm、可視光平均透過率88%であった。
【0105】
(比較例1)
レーザー光の照射工程を以下のように変更する以外は実施例1と同様にして凹凸パターンを形成した。
<レーザー光の照射工程>
レーザー光源としてレーザーダイオード光源(波長405nm)を用いて(デジタルミラーデバイスおよび縮小投影レンズは使用せず)、図8aに示すような照射パターンでレーザー光を照射した。つまり、300μmの未照射領域と、100μmの最大照射量領域(照射量200mJ/cm)を繰り返すパターンである。
<評価>
上記のようにして得られた凹凸パターンおよび凹凸形状を観察した。凹凸形状は図8bに示すように凸部の中央部が凹んだ形状で、凹凸パターンはピッチ300μmのストライプ状パターンであった。凹凸の高低差は8.3μm、可視光平均透過率85%であった。
【0106】
(実施例2)
下記の活性エネルギー線硬化性組成物2に変更する以外は、実施例1と同様にして凹凸パターンを形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物2>
硬化性成分としてペンタエリスリトールトリアクリレート(1.1Pa・s)を49質量部、重合開始剤として、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンを1質量部と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を1質量部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを49質量部それぞれ計量し、混合撹拌し、均一な溶液を得た。
<評価>
凹凸パターンおよび凹凸形状は実施例1とほぼ同様のものが得られた。但し、凹凸の高低差は5.8μmで、可視光平均透過率は90%であった。
【0107】
(実施例3)
下記の活性エネルギー線硬化性組成物2に変更する以外は、実施例1と同様にして凹凸パターンを形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物3>
硬化性成分として根上工業(株)製アートレジンUN−3320HS(15官能ウレタンアクリレート、240Pa・s)を49質量部、重合開始剤として4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンを1質量部と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を1質量部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを49質量部それぞれ計量し、混合撹拌し、均一な溶液を得た。
<評価>
凹凸パターンおよび凹凸形状は実施例1とほぼ同様のものが得られた。但し、凹凸の高低差は5.5μmで、可視光平均透過率は率86%であった。
【0108】
(実施例4)
下記の活性エネルギー線硬化性組成物4に変更する以外は、実施例1と同様にして凹凸パターンを形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物4>
硬化性成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(0.1Pa・s)を49質量部、重合開始剤として4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンを1質量部と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を1質量部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを49質量部それぞれ計量し、混合撹拌し、均一な溶液を得た。
<評価>
凹凸パターンおよび凹凸形状は実施例1とほぼ同様のものが得られた。但し、凹凸の高低差は2.8μmで、可視光平均透過率は率90%であった。
【0109】
(実施例5)
下記の活性エネルギー線硬化性組成物5に変更する以外は、実施例1と同様にして凹凸パターンを形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物5>
硬化性成分として根上工業(株)製アートレジンUN−904(10官能ウレタンアクリレート、570Pa・s)を49質量部、重合開始剤として4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンを1質量部と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を1質量部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを49質量部それぞれ計量し、混合撹拌し、均一な溶液を得た。
<評価>
凹凸パターンおよび凹凸形状は実施例1とほぼ同様のものが得られた。但し、凹凸の高低差は2.7μmで、可視光平均透過率は率88%であった。
【0110】
(実施例6)
レーザー光の照射工程における照射パターンを図9aの照射パターンに変更する以外は、実施例1と同様にして凹凸パターンを形成した。
<照射パターン>
この照射パターンは、照射量が小さい領域は照射量が30mJ/cmの領域と照射量が10J/cmの最小照射量領域を有し、照射量が大きい領域には長さ20μm最大照射量領域(照射量200mJ/cm)を有し、最小照射量領域と最大照射量領域の間に、それぞれ長さ40μmの照射量を段階的に変化させる領域を有するパターンである。照射量を段階的に変化させる領域は、それぞれ1μm単位で照射量を変化させた。また、照射量が小さい領域における照射量が30mJ/cmの領域と照射量が10J/cmの最小照射量領域の間も、1μm単位で照射量を変化させた。
<評価>
上記のようにして得られた凹凸パターンおよび凹凸形状を観察した。凹凸形状は図9bに示すように台形上の凸形状で、凹凸パターンはピッチ300μmのストライプ状パターンであった。凹凸の高低差は7.5μm、可視光平均透過率86%であった。
【符号の説明】
【0111】
1 基材
2 活性エネルギー線硬化性組成物
3 レーザー光の照射を相対的に大きくする領域
4 レーザー光の照射量を相対的に小さくする領域
5 凸部
6 凹部
7 レーザー光の照射量の大きさを矢印の長さで示したもの
8 レーザー光の照射量の大きさを黒色の濃淡で示したもの
11 レーザー光源
12 レンズ
13 ダイレクトミラーデバイス
14、15 ミラー
16 縮小投影光学系(縮小投影レンズ)
17 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に硬化性成分を含む活性エネルギー線硬化性組成物を積層する工程(A)、前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物にマスクを介さずにレーザー光を照射する工程(B)、および前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物を加熱する工程(C)をこの順に有し、
前記工程(B)において、デジタルミラーデバイスを介してレーザー光の照射量をパターン状に変化させ、かつ該パターンがレーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域を有することを特徴とする、凹凸パターンの形成方法。
【請求項2】
前記レーザー光の照射量を段階的に変化させながら照射する領域が、レーザー光の最大照射量領域とレーザー光の最小照射量領域との間の一部もしくは全部に設けられている、請求項1の凹凸パターンの形成方法。
【請求項3】
前記レーザー光の照射量を段階的に変化させる領域における段階数が3以上である、請求項1または2の凹凸パターンの形成方法。
【請求項4】
前記照射工程(B)におけるレーザー光の進路上にダイレクトミラーデバイスと縮小光学系をこの順に有する、請求項1〜3のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
【請求項5】
前記加熱する工程(C)の後に、さらに前記積層された活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射する工程(D)を行う、請求項1〜4のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
【請求項6】
前記硬化性成分が分子中に1個以上のエチレン不飽和基を有する化合物である、請求項1〜5のいずれかの凹凸パターンの形成方法。
【請求項7】
前記分子中に1個以上のエチレン不飽和基を有する化合物の25℃における粘度が1〜500Pa・sである、請求項6の凹凸パターンの形成方法。
【請求項8】
前記活性エネルギー線硬化性組成物が、さらに活性エネルギー線照射により遊離ラジカルを発生する重合開始剤を含有する、請求項1〜7のいずれかの凹凸パターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−39731(P2013−39731A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178198(P2011−178198)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000222462)東レフィルム加工株式会社 (142)
【Fターム(参考)】