説明

凹凸補正用コンシーラ

【課題】肌の凹凸補正効果に優れるコンシーラを提供する。
【解決手段】組成物中に次の成分(a)〜(d)を含有する凹凸補正用コンシーラ:(a)ワックスが8.9〜11質量%、ただし、ワックス中にコメヌカロウを30〜45質量%含む;(b)揮発性油分が25〜35質量%;(c)非揮発性油分が18〜25質量%;及び(d)着色顔料が0〜1質量%。(a)ワックス中、さらにパラフィンワックスを29〜40質量%含むことが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凹凸補正用コンシーラ、特にその凹凸補正効果の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛穴やしわ、あるいはきめの粗さといった肌の凹凸を目立たなくするための化粧料が望まれており、各種検討がなされている。
例えば、特許文献1には、球状ポリメタクリル酸アルキルエステル粉末と揮発性シリコーン油とを含有する凹凸隠し用油性化粧料が記載されている。
また、特許文献2には、特定組成の炭化水素系ワックスと、煙霧状シリカ及びシリコーンエラストマー粉末とを含有する凹凸補正用化粧料が記載されている。
【0003】
しかしながら、従来の凹凸補正用化粧料でもその効果は未だ十分満足と言えるものでなく、さらなる改良が望まれていた。特に、ファンデーションの前に塗布するコンシーラと呼ばれる油性化粧料では、後に塗布されるファンデーションの演色効果に影響を及ぼさないよう、着色顔料をほとんど含まないものが望まれている。
一方、特許文献3には、コメヌカロウを含有する油性固型化粧料が記載されている。しかしながら、特許文献3では凹凸補正効果については全く検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−265333号公報
【特許文献2】特開2009−184980号公報
【特許文献3】特開2009−179564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、肌の凹凸補正効果に優れるコンシーラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、コメヌカロウを含有する特定組成の油性化粧料を、肌に塗布した場合に、その塗膜がまるですりガラスは薄いベールのような役割を果たして肌の凹凸感が柔らかくぼかされ、ツヤ感のないつるんとした仕上がりとなって、非常に高い凹凸補正効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、組成物中に下記の成分(a)〜(d)を含有することを特徴とする凹凸補正用コンシーラを提供する:
(a)ワックスが8.9〜11質量%、ただし、ワックス中にコメヌカロウを30〜45質量%含む;
(b)揮発性油分が25〜35質量%;
(c)非揮発性油分が18〜25質量%;及び
(d)着色顔料が0〜1質量%。
また、本発明は、(a)ワックス中、さらにパラフィンワックスを29〜40質量%含むことを特徴とする前記凹凸補正用コンシーラを提供する。
【0008】
また、本発明は、固形化粧料であることを特徴とする前記何れかに記載の凹凸補正用コンシーラを提供する。
また、本発明は、直径が8.0〜9.5mmのスティック状であることを特徴とする前記凹凸補正用コンシーラを提供する。
また、本発明は、スポンジチップで塗布されることを特徴とする前記何れかに記載の凹凸補正用コンシーラを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、凹凸補正効果(フォギー効果)が非常に高いコンシーラが得られる。また、その密着性や塗布性にも非常に優れる。また、スティック状としたときでも高い耐衝撃性を発揮し、細身のスティック状とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ワックス組成の異なるコンシーラについてフォギー効果を比較した図である。
【図2】ワックス組成の異なるコンシーラについてフォギー効果を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のコンシーラは、肌の凹凸を目立たないようにするためのものであり、ファンデーション等でメークする場合にはその前に肌に塗布して使用される油性化粧料である。
本発明のコンシーラを肌に塗布した場合、その塗膜がまるですりガラスか薄いベールのような役割を果たして肌の凹凸感が柔らかくぼかされ、ツヤ感(テカリ)のないつるんとした仕上がりが得られる。本発明ではこのような効果を「フォギー効果」と言う。本発明のフォギー効果は、ファンデーションやおしろい等のメークアップ化粧料をその上から重ねて塗布した場合でも失われず、また、粉よれのない良好な仕上がりが得られる。
本発明のコンシーラは、下記成分(a)〜(d)を含む。
【0012】
(a)ワックス
本発明のコンシーラにおいて、ワックスは8.9〜11質量%含まれる。ワックスが少なすぎると十分なフォギー効果が得られない。また、コンシーラをスティック状などの固形化粧料としたい場合に製剤化が困難となることがある。一方、ワックスが多すぎると、肌上で広げにくいなど塗布性に劣るようになる。
【0013】
本発明においては、コメヌカロウをワックス中に30〜45質量%、好ましくは30〜40質量%含む。コメヌカロウは、本発明のフォギー効果を与える主成分であり、コメヌカロウが少なすぎるとフォギー効果が得られない。一方、多すぎる場合には、肌当たりが硬くなったり、肌へ広げにくくなって塗布性が低下したり、肌に対する密着性に劣ることがある。また、コンシーラをスティック状、特に細身のスティック状とした場合に、塗布や落下によって折れてしまうなど、耐衝撃性が不十分となることがある。
【0014】
本発明に用いるコメヌカロウは、米ヌカより抽出して得られた脱ロウを、精製することにより得られる。その精製の程度により、色は黄色から白色、酸価およびヨウ素価が異なるが、好ましくはヨウ素価および酸価が3.0以下のコメヌカロウである。市販品としては、例えば「ライスワックス TOWAX−3P3」(東亜化成株式会社)が挙げられる。
【0015】
ワックス中には、コメヌカロウ以外のワックスを含む。このようなワックスとしては、化粧料や皮膚外用剤に通常使用されるものを1種以上用いることができる。例えば、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ミツロウ、モクロウ、オゾケライト、セレシン、硬化動物油、硬化植物油などが挙げられる。
【0016】
パラフィンワックスは、本発明のコンシーラの耐衝撃性を高めることができる。パラフィンワックスはワックス中29〜40質量%であることが好ましい。少なすぎるとパラフィンワックスによる効果が十分発揮されない。一方、過剰に配合してもそれに見合った効果は得られず、他のワックス成分の配合が制限されたり、密着性などに影響を及ぼすことがある。
【0017】
(b)揮発性油分
本発明のコンシーラにおいて、揮発性油分は25〜35質量%含まれる。揮発性油分が少なすぎると肌への塗布性が悪くなり、多すぎると相対的に他の成分の配合が制限され、フォギー効果が不十分となることがある。
揮発性油分としては、化粧料や皮膚外用剤に通常使用されるものを1種以上用いることができる。例えば、低沸点(常圧における沸点260℃以下)のイソパラフィン系炭化水素油(例えば、イソドデカン)やシリコーン油(例えば、Si数4〜6の環状ジメチルポリシロキサン、Si数2〜5の鎖状ジメチルポリシロキサン)が挙げられる。
【0018】
(c)非揮発性油分
本発明のコンシーラにおいて、非揮発性油分は18〜25質量%含まれる。非揮発性油分が少なすぎると塗膜の柔軟性に欠けて使用感に劣ることがあり、多すぎると塗膜にテカリを生じてフォギー効果が損なわれることがある。
【0019】
非揮発性油分としては、化粧料や皮膚外用剤に通常使用されるものを1種以上用いることができる。例えば、炭化水素、エステル油、植物性油、動物性油、高級アルコール、高級脂肪酸等が挙げられる。
炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、ワセリン等が挙げられる。
【0020】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0021】
植物性油としては、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、落花生油、アーモンド油、大豆油、茶実油、ホホバ油、胚芽油等が挙げられる。
動物性油としては、タートル油、卵黄油、ミンク油等が挙げられる。
【0022】
高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ホホバアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール等が、高級脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0023】
(d)着色顔料
本発明のコンシーラにおいて着色顔料(非白色顔料)を配合する場合には、組成物中1質量%以下とすることが必要である。着色顔料が多くなると本発明のフォギー効果が感じられなくなる。
【0024】
このような着色顔料としては、化粧料や皮膚外用剤において色材として通常使用される1種以上が挙げられる。例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料、赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色202号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素が挙げられる。
【0025】
なお、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、着色顔料以外の粉末を必要に応じて適宜配合することができる。このような粉末としては、通常化粧料や皮膚外用剤に配合可能なものを1種以上用いることができる。
このような粉末としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等)等が挙げられる。粉末は、必要に応じて表面処理(疎水化処理、親水化処理、撥水処理など)されたものを用いてよい。
【0026】
粉末の配合量は特に制限されず、通常0.1〜45質量%であるが、さらさらとした使用感の点から、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。また、本発明においては、粉末をコンシーラ中に25質量%以上、さらには35質量%以上と高配合しても粉っぽさがなく、密着性や塗布性等にも優れるコンシーラとすることができる。
【0027】
その他成分
本発明においては、上記成分の他に、通常化粧料や皮膚外用剤に配合可能な成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、香料などの他、ビタミン類の薬剤などが挙げられる。
【0028】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の凹凸補正成分を併用することもできる。このような成分のうち、好ましい成分の一例として、球状ポリメタクリル酸アルキルエステル粉末が挙げられる。
【0029】
球状ポリメタクリル酸アルキルエステル粉末は、メタクリル酸のアルキルエステルの重合体または架橋体であり、アルキルエステルとしてはメチルエステル、エチルエステルが挙げられる。好ましくは架橋型球状ポリメタクリル酸メチル(ガンツ化成社製ガンツパールGMX−0810、松本油脂製薬社製マイクロスフェアM−306)、球状ポリメタクリル酸メチル(松本油脂製薬社製マイクロスフェアM−100)で、平均粒子径が3〜18μmである。これらの球状粉末は必要に応じて、未処理品あるいは疎水化処理品などの表面処理品を使うことができる。
球状ポリメタクリル酸アルキルエステル粉末の配合量は、通常コンシーラ中5〜45質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。
【0030】
製品形態
本発明のコンシーラの剤型は特に制限されないが、好適には固形化粧料として提供される。その形状も特に制限されるものではなく、加熱混合した原料混合物を中皿やスティック中に充填・固化して固めるなど、常法により製造することができる。
【0031】
スティック状化粧料は、その形状から肌に直接塗布したときや、塗布具に化粧料をとったとき、あるいは落下などに対して折れを生じやすい。特に、スティック状化粧料において、美しさ、使いやすさ、持ちやすさなどの点から直径8.0〜9.5mmの細身とすることが望まれることがあるが、細身にすればするほど折れを生じやすくなる。このため、成分の組成が著しく制限されてしまい、所望の効果と耐衝撃性とを兼ね備えたスティック状コンシーラ、特に細身のスティック状コンシーラを得ることは非常に困難であった。
本発明によれば、耐衝撃性にも優れるスティック状コンシーラが得られ、特に細身のスティック状とした場合でも折れにくい、高い耐衝撃性を有するコンシーラとすることが可能である。
【0032】
使用方法
本発明のコンシーラは、肌上に直接塗布したり、あるいは手で塗布することもできるが、肌にスポンジ状のチップで塗布することでより高いフォギー効果が得られる。これは、本発明のコンシーラによる塗膜が適度な表面硬さを有しており、スポンジチップで塗布することで塗膜表面に非常に微細な凹凸ができるためと考えられる。スポンジ状チップとしては、比較的安価なためファンデーション等で汎用されるNBR素材よりも目の細かいスポンジが得られる湿式製法のウレタン素材のものが本発明のコンシーラには好適である。なお、上記成分(a)〜(d)が上記範囲をはずれた場合には、スポンジ状チップでうまく塗布できなかったり、スポンジ状チップでの塗布による向上効果のが得られないことがある。
【実施例】
【0033】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は特に記載のない限り質量%で示した。コメヌカロウは「ライスワックス TOWAX−3P3」(東亜化成株式会社)を使用した。試験方法は、次の通り。
【0034】
[使用試験]
10名の女性パネルにより、手で肌に塗布したときのフォギー効果、塗布性、密着性についてアンケートを行い、下記基準で評価した。
【0035】
(フォギー効果)
○:テカリ・凹凸感がなくフォギー効果が高いとしたパネルが8名以上
△:テカリ・凹凸感がなくフォギー効果が高いとしたパネルが5〜7名
×:テカリ・凹凸感がなくフォギー効果が高いとしたパネルが5名以下
【0036】
(塗布性)
10名のパネルにより、肌への塗布のしやすさを評価した。
○:塗布しやすいとしたパネルが8名以上
△:塗布しやすいとしたパネルが5〜7名
×:塗布しやすいとしたパネルが5名以下
【0037】
(密着性)
10名のパネルにより、肌へ塗布した時の肌への密着性を評価した。
○:密着性が高いとしたパネルが8名以上
△:密着性が高いとしたパネルが5〜7名
×:密着生が高いとしたパネルが5名以下
【0038】
[耐衝撃性試験]
通常の繰り出し式スティック状化粧料容器に充填・固化して得られたサンプルを、40cmの高さから落下させた。正立、倒立、横向きでの落下を1サイクルとして、3サイクル行って折れないものを合格とした。
n=5で行った際の合格本数により、下記のように評価した。
○:合格本数が5本
△:合格本数が4本
×:合格本数が3本以下
【0039】
試験例1
【表1】

【0040】
(製造方法)
表1中のワックス、揮発性油分、非揮発性油分、界面活性剤、酸化防止剤の各成分を90℃にて均一加熱混合した後、球状粉末、粉末、着色顔料を加えて均一に分散させ分散液を得た。脱気した後、容器に充填・冷却して油性固型化粧料を製造した。
【0041】
上記基本処方Aでワックスの組成を様々に変えて、そのフォギー効果を比較した。その結果、図1〜図2からわかるように、ワックス中にコメヌカロウを含む場合に、高いフォギー効果が得られた。また、試料1〜6のように、コメヌカロウ以外のワックスの組成を変えてもフォギー効果に特段の変化は認められなかった。よって、コメヌカロウがフォギー効果に重要な成分であると考えられる。
【0042】
表2は、基本処方A(ワックス10質量%)で、コメヌカロウとそれ以外のワックスとの比率を変えて検討を行った結果である。表2において、コメヌカロウ以外のワックスの組成は図1の試料1と同じである。
表2からわかるように、ワックス中に占めるコメヌカロウの割合が30質量%以上でフォギー効果が顕著となった。ただし、ワックス中に占めるコメヌカロウの割合が多すぎると肌あたりが硬くなって肌上に広げにくく、肌への密着性も低下した。
このようなことから、ワックス中に占めるコメヌカロウの割合は30〜45質量%であることが好適であると考えられた。
【0043】
【表2】

【0044】
試験例2
表3は、前記試料1−3においてワックス合計量を変えた場合の結果である。ワックス合計量の増減は揮発性油分量で調整した。ワックスの組成は図1の試料1(ワックス中、コメヌカロウ約33.5質量%、パラフィンワックス約28.5質量%、ポリエチレンワックス約16.7質量%、マイクロクリスタリンワックス約7.8質量%、カルナバロウ約13.5質量%)と同じである。
表3からわかるように、ワックス量が少なすぎるとフォギー効果が得られず、多すぎると肌上でののびが悪くなって広げにくく塗布性が低下した。
このようなことから、本発明のコンシーラにおいては、ワックスを8.9〜11質量%含むことが好適である。
【0045】
【表3】

【0046】
試験例3
さらに、基本処方において、非揮発性油分、揮発性油分、あるいは着色顔料の配合量を変えて検討した。
下記表4からわかるように、非揮発性油分が少なすぎると塗膜が硬く柔軟性に欠け、多すぎると塗膜にテカリを生じてフォギー効果が得られない(試料3−2〜3−3)。
また、揮発性油分が少なすぎると塗布する際に重い感じがしたり、止まりが悪くなるなど塗布性が劣り、多すぎると相対的に塗布後の残存成分が少なくなるためかフォギー効果が十分得られない(試料3−4〜3−5)。
また、着色顔料が多すぎると本発明のフォギー効果が感じられなくなってしまう(試料3−6)。
このようなことから、本発明のコンシーラにおいては、揮発性油分が25〜35質量%、非揮発性油分が18〜25質量%、着色顔料が1質量%以下であることが好適である。
【0047】
【表4】

【0048】
試験例4
下記表5は、基本処方A(ワックス 10質量%)で異なる径のスティック状コンシーラについて比較した結果である。ワックス中に占めるコメヌカロウの割合は一定(35質量%)であった。
表5からわかるように、パラフィンワックスの割合が少なくなると、細身のスティック状とした場合に耐衝撃性が不十分となることがあった。一方、パラフィンワックスが多すぎると、密着性に劣る傾向があった。
【0049】
このようなことから、スティック状コンシーラとする場合にはワックスとしてコメヌカロウともにパラフィンワックスを含有することが好ましく、特に細身のスティック状コンシーラとする場合には、ワックス中にパラフィンワックスを29〜40質量%含有することが好ましい。
【0050】
【表5】

【0051】
試験例5
下記表6は、図1の試料a又は試料1について、肌に手で塗布した場合と、ウレタン製のスポンジ状チップで塗布した場合の凹凸補正効果を比較した結果である。比較は、それぞれの試料にを手で塗布した場合の効果を基準として、女性パネル10名のうち、スポンジ状チップで塗布した場合の方が効果が高いとしたパネル数により評価した。
○:スポンジ状チップで塗布した場合の方が効果が高いとしたパネルが8名以上
△:スポンジ状チップで塗布した場合の方が効果が高いとしたパネルが6〜7名
×:スポンジ状チップで塗布した場合の方が効果が高いとしたパネルが5名以下
【0052】
表6のように、コメヌカロウを配合していない試料aのコンシーラではその効果にほとんど差異はなかったが、コメヌカロウを配合した本発明のコンシーラでは、スポンジ状チップで塗布することで効果がより高くなった。
【0053】
【表6】

【0054】
以下、本発明のコンシーラの処方例を例示する。
処方1 コンシーラ
ワックス(ワックス組成は前記試料1と同じ) 10 質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 28
流動パラフィン 22
メチルフェニルポリシロキサン 3
セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.2
ポリメチルシルセスオキサン 18
シリカ・アルミナ被覆二酸化チタン 7
アルミナ被覆二酸化チタン 2.5
セリサイト 8.02
赤酸化鉄 0.06
黄酸化鉄 0.2
トコフェロール 0.02

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物中に下記の成分(a)〜(d)を含有することを特徴とする凹凸補正用コンシーラ:
(a)ワックスが8.9〜11質量%、ただし、ワックス中にコメヌカロウを30〜45質量%含む;
(b)揮発性油分が25〜35質量%;
(c)非揮発性油分が18〜25質量%;及び
(d)着色顔料が0〜1質量%。
【請求項2】
(a)ワックス中、さらにパラフィンワックスを29〜40質量%含むことを特徴とする請求項1記載の凹凸補正用コンシーラ。
【請求項3】
固形化粧料であることを特徴とする請求項1又は2記載の凹凸補正用コンシーラ。
【請求項4】
直径が8.0〜9.5mmのスティック状であることを特徴とする請求項3記載の凹凸補正用コンシーラ。
【請求項5】
スポンジチップで塗布されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の凹凸補正用コンシーラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−162463(P2011−162463A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25156(P2010−25156)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】