説明

出力管理サーバおよびデータ出力システム

【課題】既に投入したジョブの出力先装置の変更を簡易なユーザ操作で実現可能なデータ出力システムおよび出力管理サーバを提供する。
【解決手段】情報処理端末20から第1出力装置10aを出力先に指定した出力指示と出力対象データとをサーバ30に送信すると(P1)、サーバ30はこれらを指定された出力先に関連付けて内部で保持し、指定された第1出力装置10aに出力予約を行なう(P2、P3)。通常は、第1出力装置10aは予約ジョブの処理を実行可能になると、その旨をサーバ30に通知し、該通知に応じてサーバ30は第1出力装置10aにデータを転送するが、該転送の前に情報処理端末20から出力先変更要求を受けると(P11)、サーバ30は保持しているデータの内部管理情報を変更して、出力先の変更に対応する(P12、P13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末から出力装置へのデータの転送をネットワークに接続された出力管理サーバ経由で行なうデータ出力システムおよび出力管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
事業所内のLAN(Local Area Network)などのネットワークにプリンタや複写機、ファクシミリ装置といった出力装置やパーソナルコンピュータなどの情報処理端末が多数接続された環境においては、個々の情報処理端末から任意の出力装置を使用して印刷ジョブやファクシミリ送信ジョブを行なわせることができる。しかしながら、ネットワーク環境の規模拡大に伴い、装置名の一覧などから出力装置を選択するような方法では、各装置名が事業所内のどの出力装置に対応しているのかを把握し難く、ユーザの意図しない場所の出力装置に出力されることがあるなどの不便が生じていた。
【0003】
このような不便を解消するべく、各機器の配置を示すためのレイアウト画像を表示し、各機器を示すアイコンを、該レイアウト画像上の各機器の実際の配置に対応する位置に表示し、このアイコンを指定することで、そのアイコンに対応する機器をジョブの実行先として選択できるようにした機器指定システムがある(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−320344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術では、レイアウト画像上のアイコンを選択することにより出力装置を指定して印刷ジョブなどを投入できるが、ユーザの指定した出力装置において先行する他ジョブの予約が多数あったり、前のジョブでジャムなどの障害が発生し出力装置が待機中のままになっていたりする場合には、今回投入した印刷ジョブがなかなか実行されない。このようなとき、出力先を変更したくなるが、投入したジョブのデータは既に出力装置に送信され、出力装置内で出力待ちの状態にあるので、出力先を変更するためには、ユーザは、先の出力装置から、一旦、ジョブを削除し、他の出力装置に対して同じジョブを再投入するという方法でしか問題を回避することができず、ジョブの削除と再投入という煩雑な操作により、ユーザに大きなストレスを与えていた。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、既に投入したジョブの出力先の変更などを簡易なユーザ操作で実現可能なデータ出力システムおよび出力管理サーバを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0008】
[1]情報処理端末および複数の出力装置がネットワークを介して接続された出力管理サーバにおいて、
前記情報処理端末から出力対象データと、その出力先の出力装置を指定した出力指示とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した前記出力対象データを、前記出力指示で出力先に指定された出力装置を示す出力先情報に関連付けて保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている前記出力対象データに関連付けされた前記出力先情報が示す出力装置において前記出力対象データに対する処理が実行可能となる時期に応じて、前記出力装置への前記出力対象データの転送を制御する転送制御手段と
を有する
ことを特徴とする出力管理サーバ。
【0009】
上記発明では、指定された出力先で実行可能になるまでジョブのデータを出力管理サーバで保持し、実行可能になる時期に応じて、その保持しているデータを出力管理サーバから出力先装置へ転送する。このように、出力先の装置で実際に出力可能となるタイミングが到来するまでジョブのデータを出力管理サーバで保持するので、保持期間内であれば、出力管理サーバ側でデータを操作することにより、出力先の変更指示などに対応可能になる。実行可能となる時期は、出力装置から出力管理装置へ通知されてもよいし、出力管理サーバ側でデータ量や出力装置の処理側などに基づいて予測してもよい。
【0010】
[2]情報処理端末から、前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先を第1の出力装置から第2の出力装置に変更する旨の出力先変更指示を受信する変更指示受信手段と、
前記変更指示受信手段によって前記出力先変更指示を受信した場合に、前記保持手段に保持されている前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態に変更する出力先変更手段と
を有する
ことを特徴とする[1]に記載の出力管理サーバ。
【0011】
上記発明では、出力管理サーバ内で、保持手段に保持している出力対象データと出力先情報との関連付けを変更することにより出力先が変更される。
【0012】
[3]出力装置別に作成されたフォルダを出力先情報とし、出力対象データを前記フォルダ内に保持することで前記出力対象データと出力先情報との関連付けを行なうようにし、
前記出力先変更手段は、前記第1の出力装置に対応するフォルダから前記第2の出力装置に対応するフォルダに前記出力対象データを移動もしくは複製することで、前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態にする
ことを特徴とする[2]に記載の出力管理サーバ。
【0013】
上記発明では、出力装置毎に設けられた専用フォルダ内にジョブのデータを保持することで、出力先とジョブとの関連付けが行なわれると共に、出力先の変更は、ジョブのデータを変更元の出力装置に対応するフォルダから変更後の出力先に対応するフォルダに移動もしくは複製するといった内部処理により行なわれる。
【0014】
[4]前記出力先変更手段によって前記第1の出力装置に対応したフォルダから前記第2の出力装置に対応したフォルダへ前記出力対象データの移動もしくは複製がなされたとき、前記第1の出力装置に対応するフォルダにおいて前記出力対象データに対して設定されていたジョブを削除する
ことを特徴とする[3]に記載の出力管理サーバ。
【0015】
上記発明では、出力先を変更したとき、変更前のフォルダにあったジョブが削除される。ジョブの削除は、実際にジョブのデータを変更前のフォルダから消去するほか、ジョブの状態情報を「キャンセル」に変更するようにしてもよい。
【0016】
[5]前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先の出力装置に対して、前記出力対象データに関する出力予約を行なう予約手段をさらに有する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【0017】
上記発明では、出力管理サーバにジョブを保持したとき、そのジョブの出力先の装置に対して出力予約を行なう。これにより、出力管理サーバ側でジョブのデータを保持する(未転送)の状態のままで、出力先装置での出力順位を確保することができる。
【0018】
[6]前記転送制御手段は、前記出力装置での第1の出力対象データに関する出力処理が完了するタイミングで 前記出力装置に対して第2の出力対象データの転送が終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【0019】
上記発明では、前ジョブの出力処理が完了するタイミングで、次ジョブのデータの転送が完了するように、次ジョブのデータの転送が制御される。これにより、出力装置においては前ジョブの印刷完了後、タイムラグなく次ジョブの処理を開始することができる。上記のようなタイミングで転送を完了させるための転送制御方法は任意でよく、たとえば、転送速度、転送開始タイミング、転送の一時中断などの制御で行なうことができる。
【0020】
[7]前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段を有し、
前記転送制御手段は、前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの転送を前記予測終了時刻の前に開始させると共に、該転送が前記第1算出手段によって算出された前記予測終了時刻もしくは前記予測終了時刻の後に終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【0021】
上記は発明では、出力装置における前ジョブの処理が終了する時刻を予測し、次ジョブの転送を、該予測終了時刻の前から転送を開始して予測終了時刻の後(できるだけ直後)に転送が終了するように制御する。
【0022】
[8]前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段と、
前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの前記出力装置への予測転送時間を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段で算出した前記予測終了時刻から前記第2算出手段で算出した前記予測転送時間だけ手前の時刻を前記第2の出力対象データの転送開始時刻に設定する転送開始時刻設定手段とを有し、
前記転送制御手段は、前記転送開始時刻設定手段によって設定された前記転送開始時刻に応じて前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送開始を制御する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【0023】
上記発明では、出力装置における前ジョブの処理が終了する時刻を予測すると共に、次ジョブの転送にかかる時間を予測し、これらを基に定めた転送開始時刻に応じて、次ジョブの転送開始を制御する。
【0024】
[9]前記第1算出手段は、前記第1の出力対象データに対する前記出力装置での展開処理に要する第1予測時間と他の処理に要する第2予測時間との合計から前記予測終了時刻を算出し、
前記出力装置から前記第1の出力対象データの展開処理完了通知を受けた時刻が前記第1予測時間に基づく展開処理の完了予定時刻より遅い場合は、前記展開処理完了通知を受けた時刻と前記完了予定時刻との差の時間だけ、前記転送開始時刻を遅延もしくは転送動作を中断させる
ことを特徴とする[8]に記載の出力管理サーバ。
【0025】
上記発明では、出力装置からデータの展開終了通知を出力管理サーバに通知するようにしておき、次ジョブの転送開始時刻を求める際に予測したデータの展開時間と、出力装置における実際のデータの展開時間との差に基づいて、次ジョブの転送開始時刻を修正する。
[10]前記各出力装置に対応する端末識別情報を表示し、出力対象データに対応するデータ識別情報を前記端末識別情報へドラッグ&ドロップするといったユーザ操作に基づいて前記出力指示もしくは前記出力先変更指示を発生させる操作画面を前記情報処理端末に表示させるための表示データを前記情報処理端末に送信する画面表示制御手段をさらに有する
ことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【0026】
上記発明では、出力管理サーバから情報処理端末に提供した操作画面上でのドラッグ&ドロップといったユーザインターフェースにより、出力指示や出力変更指示を発行することができる。
【0027】
[11]前記操作画面は、前記各出力装置の配置を表わすためのレイアウト画像を表示し、該レイアウト画像に前記端末識別情報をアイコン表示したものである
ことを特徴とする[10]に記載の出力管理サーバ。
【0028】
上記発明では、レイアウト画像上で、各出力装置の配置を確認しながら出力指示や出力変更指示を出すことができ、操作性・利便性が向上する。
【0029】
[12]情報処理端末と複数の出力装置と出力管理サーバとがネットワークを介して接続されたデータ出力システムにおいて、
前記情報処理端末は、出力対象データと、その出力先の出力装置を指定した出力指示とを前記出力管理サーバに送信する出力指示送信手段を有し、
前記出力管理サーバは、
前記情報処理端末から出力対象データと、その出力先の出力装置を指定した出力指示とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した前記出力対象データを前記出力指示で指定された出力装置を示す出力先情報に関連付けて保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている前記出力対象データに関連付けされた前記出力先情報が示す出力装置において前記出力対象データに対する処理が実行可能となる時期に応じて、前記出力装置への前記出力対象データの転送を制御する転送制御手段と
を有する
ことを特徴とするデータ出力システム。
【0030】
[13]前記情報処理端末は、前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先を第1の出力装置から第2の出力装置に変更する旨の出力先変更指示を前記出力管理サーバに送信する変更指示送信手段をさらに有し、
前記出力管理サーバは、
前記出力先変更指示を受信する変更指示受信手段と、
前記変更指示受信手段によって前記出力先変更指示を受信した場合に、前記保持手段に保持されている前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態に変更する出力先変更手段と
を有する
ことを特徴とする[12]に記載のデータ出力システム。
【0031】
[14]前記出力管理サーバは、出力装置別に作成されたフォルダを出力先情報とし、出力対象データを前記フォルダ内に保持することで前記出力対象データと出力先情報との関連付けを行ない、
前記出力先変更手段は、前記第1の出力装置に対応するフォルダから前記第2の出力装置に対応するフォルダに前記出力対象データを移動もしくは複製することで、前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態にする
ことを特徴とする[12]に記載のデータ出力システム。
【0032】
[15]前記出力管理サーバは、前記出力先変更手段によって前記第1の出力装置に対応したフォルダから前記第2の出力装置に対応したフォルダへ前記出力対象データの移動もしくは複製がなされたとき、前記第1の出力装置に対応するフォルダにおいて前記出力対象データに対して設定されていたジョブを削除する
ことを特徴とする[14]に記載のデータ出力システム。
【0033】
[16]前記出力管理サーバは、前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先の出力装置に対して、前記出力対象データに関する出力予約を行なう予約手段をさらに有する
ことを特徴とする[12]乃至[15]のいずれかに記載のデータ出力システム。
【0034】
[17]前記出力装置は、前記出力管理サーバから前記出力予約の依頼を受信し、予約ジョブとして登録し、該予約ジョブの予約IDを前記出力管理サーバに返送する予約受付手段を有し、
前記出力管理サーバは、前記出力装置から返送された前記予約IDを前記出力対象データに関連付けて保持し、
前記出力装置は、前記予約ジョブに対する処理の実行が可能となったとき、前記予約IDを含むジョブ情報送付要求を前記出力管理サーバに送信するジョブ情報要求手段を有し、
前記出力管理サーバは、前記出力装置から前記ジョブ情報送付要求を受信したとき、該ジョブ情報送付要求に含まれる前記予約IDに関連付けされている前記出力対象データを前記出力装置に転送する
ことを特徴とする[16]に記載のデータ出力システム。
【0035】
上記発明では、予約時に出力装置で発行されたジョブIDに基づいて、実行対象のジョブの転送対象のデータが管理される。
【0036】
[18]前記転送制御手段は、前記出力装置での第1の出力対象データに関する出力処理が完了するタイミングで 前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの転送が終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする[12]乃至[17]のいずれかに記載のデータ出力システム。
【0037】
[19]前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段を有し、
前記転送制御手段は、前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの転送を前記予測終了時刻の前に開始させると共に、該転送が前記第1算出手段によって算出された前記予測終了時刻もしくは前記予測終了時刻の後に終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする[12]乃至[17]のいずれかに記載のデータ出力システム。
【0038】
[20]前記出力管理サーバは、
前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段と、
前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの前記出力装置への予測転送時間を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段で算出した前記予測終了時刻から前記第2算出手段で算出した前記予測転送時間だけ手前の時刻を前記第2の出力対象データの転送開始時刻に設定する転送開始時刻設定手段とを有し、
前記転送制御手段は、前記転送開始時刻設定手段によって設定された前記転送開始時刻に応じて前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送開始を制御する
ことを特徴とする[19]に記載のデータ出力システム。
【0039】
[21]前記出力装置は、前記第1の出力対象データに対する展開処理の完了を前記出力管理サーバに通知する通知手段を有し、
前記出力管理サーバは、前記第1の出力対象データに対する前記出力装置での展開処理に要する第1予測時間と他の処理に要する第2予測時間との合計から前記予測終了時刻を算出し、
前記出力装置から前記第1の出力対象データの展開処理完了の通知を受けた時刻が前記第1予測時間に基づく展開処理の完了予定時刻より遅い場合は、前記展開処理完了通知を受けた時刻と前記完了予定時刻との差の時間だけ、前記転送開始時刻を遅延もしくは転送動作を中断させる
ことを特徴とする[20]に記載のデータ出力システム。
【0040】
[22]前記情報処理端末の画面上に前記各出力装置に対応する端末識別情報を表示し、出力対象データに対応するデータ識別情報を前記端末識別情報へドラッグ&ドロップするといったユーザ操作に基づいて前記出力指示もしくは前記出力先変更指示を発生させる
ことを特徴とする[12]乃至[21]のいずれかに記載のデータ出力システム。
【0041】
上記発明では、情報処理装置に表示された画面上でのドラッグ&ドロップといったユーザインターフェースにより出力指示や出力変更指示を発行することができる。
【0042】
[23]前記情報処理端末の画面上に前記各出力装置の配置を表わすためのレイアウト画像を表示し、該レイアウト画像に前記端末識別情報をアイコン表示する
ことを特徴とする[22]に記載のデータ出力システム。
【0043】
上記発明では、レイアウト画像上で、各出力装置の配置を確認しながら出力指示や出力変更指示を出すことができ、操作性・利便性が向上する。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係わるデータ出力システムおよび出力管理サーバによれば、出力先に指定した出力装置において処理可能な状態となるまで、出力対象データを出力管理サーバ上で保持するようにしたので、出力対象データが出力管理サーバに保持されている間は、その出力対象データに関する各種の変更を出力管理サーバ上の処理で行なうことができる。たとえば、出力先の変更においては、出力済みのジョブを出力先の装置から一旦削除し、別の出力装置へジョブを再投入するといった煩雑な操作は不要となり、情報処理端末を操作するユーザから見れば既に出力装置へ出力されているジョブに対して、出力先の変更を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
【0046】
図1は、本発明の実施の形態に係わるデータ出力システム5の構成例を示している。データ出力システム5は、複数の出力装置10と、情報処理端末20と、出力管理サーバ30とがLANなどのネットワーク2を介して接続して構成される。
【0047】
出力装置10は、プリンタやファクシミリ装置、複合機など、画像データに係わる出力処理(ボックス保存なども含む)を行なう装置である。図1の例では、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能など複数の機能を備えた所謂、デジタル複合機(MFP)を出力装置10としている。情報処理端末20は、パーソナルコンピュータなどで構成され、印刷やファクシミリ送信などのジョブを外部端末へ送信して出力処理の実行を依頼する機能を備えた情報処理装置である。出力管理サーバ30は通信機能、蓄積機能などを備えたサーバである。図1では、情報処理端末20は1台のみを示したが、複数台でもかまわない。また、出力装置10として第1、第2、第3の出力装置10a、10b、10cを例示したが、任意の複数台でよい。
【0048】
データ出力システム5において出力管理サーバ30は、情報処理端末20から送られてくるジョブ(たとえば、印刷ジョブ)を受信し、その出力先に指定された出力装置10が当該ジョブに対する処理を実行可能になるまで、該ジョブに係わるデータを出力管理サーバ30内に保持すると共に、出力先に指定された出力装置10が当該ジョブを実施可能な状態になるまでの同期を取るための制御(転送タイミングなどの制御)を行なう。また、ジョブに係わるデータを保持している間は、情報処理端末20から出力先装置の変更を受けることができるようになっている。
【0049】
図2は、データ出力システム5の主要な機能構成を示している。出力管理サーバ30は、受信手段31と、保持手段32と、予約手段33と、転送制御手段35と、変更指示受信手段36と、出力先変更手段37と、画面表示制御手段38と、レイアウト情報記憶部39としての機能を備えている。また、情報処理端末20は出力指示送信手段21と、変更指示送信手段22としての機能を備えている。出力装置10は予約管理部11を有し、該予約管理部11は予約受付手段12とジョブ情報要求手段13としての機能を果たす。
【0050】
なお、図示省略するが、各装置は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを用いて構成されると共に、表示装置や操作部などを備えている。さらに出力装置10は、プリンタ部、ファクシミリ制御部、スキャナ部、データ記憶部などを備えている。
【0051】
情報処理端末20の出力指示送信手段21は、出力対象データ(たとえば文書データや画像データ)とその出力先の出力装置10を指定する情報を含む出力指示(さらに、ジョブタイプ(プリント、ファクシミリ送信など)や出力に関する設定情報などの設定データを含む)とを出力管理サーバ30に送信する。出力管理サーバ30の受信手段31は、情報処理端末20から出力対象データと出力指示とを受信し、保持手段32は受信手段31によって受信した出力指示に基づく設定データと出力対象データとを、その指定された出力先の出力装置10を示す出力先情報に関連付けて保持する機能を果たす。保持手段32は、たとえば、ハードディスク装置とその制御部などで構成される。
【0052】
予約手段33は、保持手段32に保持させたジョブの出力先に指定されている出力装置10に対して、該ジョブの出力予約を行なう。出力装置10が有する予約管理部11の予約受付手段12は、出力管理サーバ30からの出力予約を受け付けて、予約キューなどにジョブを内部登録する。ジョブ情報要求手段13は、出力予約されたジョブに対する処理が実行可能となったとき、そのジョブに関する設定データや出力対象データの送付を出力管理サーバ30に要求する機能を果たす。
【0053】
出力管理サーバ30の転送制御手段35は、保持手段32に保持されている出力予約済みの各ジョブについて、該ジョブに対する処理がその出力先の出力装置10にて実行可能となる時期を判定し、該実行可能時期に応じて、保持手段32に保持されている設定データや出力対象データを指定の出力装置への転送を制御する。たとえば、ジョブ情報要求手段13からの通知や、出力管理サーバ30側で求めた出力装置10における処理時間の予測などに基づいて、ジョブの実行可能時期を判定する。
【0054】
情報処理端末20の変更指示送信手段22は、出力管理サーバ30の保持手段32に保持されているジョブの出力先の変更を指示する出力先変更指示を出力管理サーバ30に送信する機能を果たす。出力管理サーバ30の変更指示受信手段36は、出力先変更指示を情報処理端末20から受信し、出力先変更手段37は、この出力先変更指示で指定されたジョブに係わる設定データや出力対象データが、変更後の出力先装置を表わす出力先情報に関連付けされて保持されるように、内部データを操作する機能を果たす。
【0055】
出力管理サーバ30の画面表示制御手段38は、出力指示を出すための操作画面を情報処理端末20に表示させるための制御を行ない、レイアウト情報記憶部39は、出力装置10の設置場所に関するレイアウト情報(地図情報のようなもの)を記憶している。画面表示制御手段38はレイアウト情報記憶部39に記憶されているレイアウト情報や保持手段32でのジョブの保持状況などに応じて、情報処理端末20に表示させる操作画面の表示データを生成するようになっている。
【0056】
図3は、情報処理端末20から印刷を指示する際に情報処理端末20の表示装置に表示される出力操作画面50の一例を示している。出力操作画面50は、出力管理サーバ30の画面表示制御手段38が提供するWebページを情報処理端末20のブラウザ機能を利用して表示したものである。
【0057】
出力操作画面50には、各出力装置10a、10b、10cの配置を表わすためのレイアウト画像51が表示される。レイアウト画像51には、フロア内に設置された机52などの目標物が実際の配置に従って表示されており、さらに実際の出力装置10a、10b、10cの設置位置に応じた位置にその出力装置10に対応したアイコン(装置アイコン)53が表示されている。
【0058】
各装置アイコン53には、対応する出力装置10のID情報(ここでは、MFP1、MFP2などの機械番号)が付されている。図3では、図1に示す第1の出力装置10aが装置アイコン53aに、第2の出力装置10bが装置アイコン53bに、第3の出力装置10cが装置アイコン53cにそれぞれ対応している。
【0059】
出力操作画面50にはさらに、出力可能なデータファイルに対応したアイコンであるデータアイコン54が表示されている。データアイコン54にはデータファイルのファイル名(図中のDoc1など)が付加表示されている。また、この出力操作画面50を表示している情報処理端末20の位置(同図では、斜線を施した机52a)も明示される。
【0060】
ユーザが、レイアウト画像51上の装置アイコン53をクリックするか、もしくは装置アイコン53の上にいずれかのデータアイコン54をドラッグすると、図4に示すように、その装置アイコン53に対応した出力装置10に関するアクティブジョブリスト60がポップアップ表示される。アクティブジョブリスト60は、その出力装置10を出力先に指定して投入され、かつ出力未完了となっているジョブに関する情報を一覧表示したものであり、各ジョブのジョブ番号61、ユーザ名62、ファイル名63、状態(プリント中、待機中など)64、ジョブタイプ(プリント、ファクシミリ送信など)65などが表示される。
【0061】
情報処理端末20において、図示省略のマウス(ポインティングデバイス)などを使用して装置アイコン53にデータアイコン54をドラッグしてドロップすると、該データアイコン54に対応するデータファイルをその装置アイコン53に対応する出力装置10で印刷する旨の印刷指示(出力指示)が情報処理端末20から出力管理サーバ30へ送付されるようになっている。ユーザから見れば、該ドラッグ&ドロップ操作により、出力装置へ実際にジョブを送信したように見える。
【0062】
図5は、出力管理サーバ30の保持手段32内のデータ構造を示している。保持手段32の中には当該データ出力システム5に接続されている各出力装置10に対応したフォルダである出力先フォルダ71が生成されており、該出力先フォルダ71の中に、その出力先フォルダ71に対応する出力装置10を出力先に指定したジョブ毎にジョブフォルダ72が作成される。出力先フォルダ71は、対応する出力装置10の名称(MFP1やMFP2など)やIP(Internet Protocol)アドレスをフォルダ名にして作成される。出力先フォルダ71は、たとえば、ある出力装置10がデータ出力システム5に最初に接続されたときに、その出力装置10に対応する出力先フォルダ71が自動生成される。
【0063】
各ジョブフォルダ72には、そのジョブの設定データや出力対象データなどが保存される。図5の例では、ジョブフォルダ72の中に、ジョブの依頼元である情報処理端末20のIPアドレス73や予約時に出力装置10から通知されたジョブID74、当該ジョブの状態情報75、ジョブタイプ76、設定情報77、出力対象データ78(image)などが保存されている。
【0064】
次に、情報処理端末20から出力装置10へ出力指示(印刷指示)を送付した際の内部制御について説明する。
【0065】
図6は、システム構成図を用いて上記内部制御におけるデータの推移を示したものであり、図7は同じくデータの推移をシーケンスで表したものである。図6と図7においてP1からP4の符号の付された各処理は、両図面において対応している。なお、ここでは、出力先を、第1の出力装置10aとし、ファイル「Sample2.txt」を出力対象データとした場合を例に説明する。
【0066】
まず、図3に示すような操作方法により生成された出力指示とその出力対象データとが情報処理端末20から出力管理サーバ30へ送信される(P1)。出力管理サーバ30は情報処理端末20から受信した設定データや出力対象データなどを保持手段32に保持する。たとえば、図5に示すデータ構造では、出力先に指定された第1の出力装置10aに対応する出力先フォルダ71aの中に新たにジョブフォルダ72aを生成し、その中に、今回受信した出力指示に係わる設定データや出力対象データを保存する。
【0067】
出力管理サーバ30はさらに、情報処理端末20からの受信データからジョブタイプと送信元の情報処理端末20のIPアドレスとを取得し、出力先に指定された第1の出力装置10aに対して予約ジョブ情報(IPアドレスとジョブタイプなどを示す情報)を送信して出力予約を行なう(P2)。予約ジョブ情報を受信した第1の出力装置10aは、そのジョブタイプに該当する機能(プリント、ファクシミリ送信、ボックス保存など)のアクティブジョブとしてジョブを登録する。
【0068】
情報処理端末20はジョブの登録時に当該ジョブに対してジョブIDを付与し、該ジョブIDを出力管理サーバ30へ返送する(P3)。ジョブIDを受信した出力管理サーバ30は、予約ジョブ情報を発行したジョブのジョブフォルダ72内にこのジョブIDを登録する。図5の例では、「Sample2.txt」のジョブに対応するジョブフォルダ72aの中にジョブID「003」(図中の74a)が登録される。また、ジョブの状態情報として出力待ちを示す「Wait」(図中の75a)が登録されている。
【0069】
第1の出力装置10aは、アクティブジョブとして登録されている中のいずれかのジョブが新たに実行可能状態になると、そのジョブのジョブIDを含むジョブ情報送付要求を出力管理サーバ30に送信する。これにより、当該ジョブの設定データや出力対象データの送信を出力管理サーバ30に要求する(P4)。たとえば、前の印刷ジョブの実行が終了したとき、予約順位が次の印刷ジョブが実行可能状態となり、該印刷ジョブに係わるデータの送付要求(ジョブ情報送付要求)が出力管理サーバ30に送信される。
【0070】
出力管理サーバ30は第1の出力装置10aからジョブ情報送付要求を受信すると、第1の出力装置10aに対応する出力先フォルダ71aの中で該当するジョブIDが登録されているジョブフォルダ72を検索し、そのジョブフォルダ72に保存されている設定データや出力対象データを第1の出力装置10aに送信する(P5)。たとえば、図5に示す保持状態において、第1の出力装置10aからジョブID「003」を含むジョブ情報送付要求を受信すると、ジョブフォルダ72aに保存されている設定データおよび出力対象データを第1の出力装置10aに転送する。
【0071】
出力管理サーバ30から設定データや出力対象データの転送を受けた出力装置10は、受信したデータに従って印刷処理などのジョブを実行する。
【0072】
次に、情報処理端末20から出力管理サーバ30へ既に送信したジョブの出力先を他の出力装置に変更する場合について説明する。
【0073】
たとえば、指定した出力先において先行するジョブが多数存在する場合や、ジャムもしくは紙切れなどの障害が発生してジョブが実行されていないような場合には、情報処理端末20から送信した出力指示に対するジョブの実行が長時間待機中となることがある。このような場合、本データ出力システム5では、図8の出力操作画面50bに示すような、ドラッグ&ドロップ操作により出力先を変更することができるようになっている。
【0074】
すなわち、レイアウト画像51上の装置アイコン53をクリックして、その出力装置10のアクティブジョブリスト60bを表示させ、その中から目的のジョブを選択して他の装置アイコン53上にドラッグ&ドロップすると、そのジョブの出力先がドロップ先の装置アイコン53に対応する出力装置10に変更されると共に、元の出力装置10においてはそのジョブがキャンセルされる。図7の例では、データアイコン74aを装置アイコン53b上にドラッグ&ドロップすることで、「Doc1」のジョブを第1の出力装置10aから第2の出力装置10bへ移動させている。
【0075】
次に、第1の出力装置10aから第2の出力装置10bへジョブを移動させる際の内部制御について説明する。
【0076】
図9は、情報処理端末20から第1の出力装置10aを出力先に指定した出力指示を送信した後、そのジョブの出力先を第2の出力装置10bに変更する場合におけるデータの推移を示すシーケンス図である。図中のP1〜P3の示す処理は、図7に示すものと同一でありそれらの説明は省略する。
【0077】
図8に示すようなドラッグ&ドロップ操作により出力先の変更操作がなされると、情報処理端末20から出力管理サーバ30に対してその変更内容を示す出力先変更指示が送信される(P11)。出力先変更指示にはジョブIDや変更前と変更後の出力装置のIPアドレスなどが含まれる。
【0078】
出力先変更指示を受けた出力管理サーバ30は、図10に示す出力先変更処理を実行する。すなわち、出力先変更指示で受けた変更前と変更後の出力装置が相違するか否かによりジョブの移動の有無を判断し(ステップS101)、ジョブの移動がない場合は(ステップS101;N)そのまま処理を終了する(エンド)。
【0079】
ジョブの移動がある場合は(ステップS101;Y)、変更後(移動先)の出力装置10に対応する出力先フォルダ71の中に当該ジョブ用のジョブフォルダ72を新規に作成し(ステップS102)、このジョブフォルダ72へ移動対象のジョブに関する各種情報(設定データや出力対象データなど)を複製する(ステップS103)。さらに移動元のジョブフォルダ72に登録されているジョブの状態情報を「キャンセル」に変更して(ステップS104)処理を終了する(エンド)。
【0080】
図11は、保持手段32内の登録データの状態をジョブ移動前と移動後について対比して示している。同図では「Sample2.txt」のジョブの出力先を第1の出力装置10aから第2の出力装置10bへ変更する場合を例示している。移動後は、第2の出力装置10bに対応する出力先フォルダ71bの中に「Sample2.txt」のジョブに対応したジョブフォルダ72bが新規作成され、その中に移動前のジョブフォルダ72aに登録されていた設定データや出力対象データが複製されている。移動前のジョブフォルダ72aにおいては、ジョブの状態情報75aが「wait」から「Cancel」に変更される。
【0081】
その後は出力指示の場合と同様に、第2の出力装置10bに対して予約ジョブ情報(IPアドレスとジョブタイプを示す情報)を送信して出力予約を行ない(図9、P12)、第2の出力装置10bから返送されてくるジョブIDを該当するジョブフォルダ72内に登録する(P13)。図11の移動後のジョブフォルダ72bではジョブID「001」(74b)が登録され、ジョブの状態情報は「wait」(75b)になっている。
【0082】
出力管理サーバ30は第2の出力装置10bからジョブID「001」を含むジョブ情報送付要求を受信すると(図9、P14)、該当するジョブフォルダ72bに保存されている設定データおよび出力対象データを第2の出力装置10bに転送する(P15)。
【0083】
一方、出力管理サーバ30は、変更前の出力先である第1の出力装置10aからジョブID「003」を含むジョブ情報送付要求を受信すると(P16)、該当するジョブフォルダ72a(図11の移動後、参照)ではジョブの状態情報が「Cancel」(75a)になっているので、このジョブフォルダ72aに保存されたままになっていた各種の情報(設定データや出力対象データ)およびジョブフォルダ72a自体を保持手段32から消去し削除する。さらに第1の出力装置10aに対してジョブのキャンセル通知を送信する(図9、P17)。
【0084】
キャンセル通知を受信した第1の出力装置10aは、先のジョブ情報送付要求に対応するジョブに対するキャンセル処理を実行し、次のジョブの処理へ移行する。たとえば、第1の出力装置10aでのキャンセル処理には、アクティブジョブリストの履歴をキャンセルに変更するなどがある。
【0085】
このように、出力先に指定された出力装置10において実行可能になるまで、ジョブに係わるデータ(設定データや出力対象データ)を出力管理サーバ30の保持手段32に保持しているので、出力管理サーバ30に保持している間であれば、出力管理サーバ30の内部的なデータ処理によって出力先を変更することができる。これにより、ユーザから見れば、出力装置へ既にジョブを投入したにもかかわらず、そのジョブを一旦削除して、新たに変更後の出力装置へ投入するといった煩雑な操作は不要となり、ドラッグ&ドロップといった簡易な操作で出力先を変更することができる。したがって、最初に指定した出力装置でジャムや紙切れなどによって前ジョブが実行されない状況となった場合でも、ジョブを他の出力装置へ容易に移動させることができると共に、レイアウト画像上で出力先を確認できるので、目的の出力装置へジョブを簡単に移動させることができ、操作性・利便性の高い出力環境をユーザに提供することができる。
【0086】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0087】
第1の実施の形態では、出力装置10での実行可能時期を出力装置10から送られてくるジョブ情報送付要求に基づいて判定したが、第2の実施の形態では、出力装置10において次ジョブが実行可能になる時期を出力管理サーバ30側で予測し、該予測に基づいて出力管理サーバ30から出力装置10へのデータ転送を制御するようになっている。
【0088】
図12は、出力装置10から前ジョブの印刷終了通知を受けてから次ジョブのデータを出力管理サーバ30から出力装置10へ転送する場合の処理の流れを時間経過で表したものである。前ジョブAの印刷終了を確認した後で出力装置10へ次ジョブBのデータ転送を開始したのでは、出力装置10での次ジョブBに対する印刷処理開始までにタイムラグDが発生してしまい、印刷効率が低下する。
【0089】
そこで、第2の実施の形態に係わるデータ出力システム5では、図13に示すように、出力装置10でのジョブAの印刷処理が終了するタイミングTeに、丁度、次ジョブBのデータ転送Sbが終了するように、データ転送Sbの開始時期を出力管理サーバ30にて制御するようになっている。
【0090】
図14は、第2の実施の形態に係わる出力管理サーバ30bの構成を示している。第1の実施の形態で示した出力管理サーバ30と同一部分には同一の符号を付してある。第2の実施の形態に係わる出力管理サーバ30bは、第1の実施の形態で示したものに加えて転送タイミング管理部40を有している。
【0091】
転送タイミング管理部40は、出力装置10へ転送した第1の出力対象データに対する出力処理(印刷処理)が、その出力先の装置で終了する時刻の予測値である予測終了時刻を算出する第1算出手段41と、第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データを出力管理サーバ30から出力装置10へ転送するための所要時間の予測値である予測転送時間を算出する第2算出手段42と、第1算出手段41で算出した予測終了時刻から第2算出手段42で算出した予測転送時間だけ手前の時刻を、第2の出力対象データの転送開始時刻に設定する転送開始時刻設定手段43と、転送開始時刻設定手段43が算出した転送開始時刻を補正したり、転送を途中で一時中断することなどにより、予測値のずれを修正する修正手段44とを有している。
【0092】
図13の例に基づいて、転送タイミング管理部40の動作を説明する。出力管理サーバ30bは、ジョブAのファイル(印刷データなどを含む)を情報処理端末20から受け取った際に、このファイルのサイズfaと、印刷設定とを、算出の基礎データとして蓄えておく。出力管理サーバ30bの転送タイミング管理部40は、出力管理サーバ30bと出力装置10との間の転送レートrを一定の間隔で計測しており、第1算出手段41は、fa/rでジョブAの転送時間tAを求める。また、そのファイルの印刷設定と、当該ファイルの印刷を行なう出力装置10の性能とから、該出力装置10での印刷処理時間tPを求める。
【0093】
ここで、印刷処理時間tPは、データの展開時間と、データの印刷時間の双方を含むものである。データの展開に係わる処理時間の予測値(第1予測時間tL)は、ファイルのサイズfと出力装置10のCPUの能力(データ展開性能)とから展開の平均処理時間として求める。また、その展開されたデータと出力装置10の印刷性能(印刷スピード)と印刷設定(両面/片面等)とから印刷時間を演算する。第1算出手段41は、現在時刻と(tA+tP)とから出力装置10におけるジョブAでの印刷処理が終了する時刻の予測値である予測終了時刻を求める。
【0094】
ここで、次ジョブ(ジョブB)が待機している場合は、第2算出手段42により、次ジョブBの転送時間tBをさらに求める。次ジョブBの転送時間tBの演算は、ジョブAの転送時間の演算と同様に、ジョブBのファイルサイズをfbとすると、tB=fb/r により求めることができる。
【0095】
転送開始時刻設定手段43は、第1算出手段41で求めたジョブAの予測終了時刻(tA+tP)から第2算出手段42の求めたジョブBの転送時間tBを差し引くことで、ジョブBのデータに関する転送開始時刻tCを算出する。こうして求めた転送開始時刻tCが到来したとき、次ジョブBに係わるデータ転送を開始することで、出力装置10にてジョブAの印刷が丁度終了するタイミングTeで次ジョブBのデータ転送が完了し、出力装置10では、タイムラグなくジョブBの印刷処理を開始することができる。
【0096】
また、このようなタイミングで転送を開始することで、タイムラグの生じない範囲内で次ジョブBのデータを出力管理サーバ30b側に最も長く保持しておくことができ、第1の実施の形態で示した出力先の変更要求への対応が容易になる。
【0097】
なお、出力装置10において、前ジョブの印刷終了前に次ジョブの展開処理を始めることができないなどの制約があって、前ジョブの印刷終了前に次ジョブのデータ転送が終了しないようにするという条件下では、転送開始時刻設定手段43で求めた転送開始時刻(tC)が最も早い転送開始タイミングになる。
【0098】
次に転送開始時刻設定手段43による修正動作を説明する。
【0099】
前述したようにデータの展開時間は平均値を用いるため、転送開始時刻tCが必ずしも正しく求まるとは限らない。特にジョブAの展開時間が予測値より長くなってしまった場合は、前ジョブの印刷が終了する前に次ジョブのデータ転送が終了しないようにするという上記条件に反するので、何らかの対処を行なう必要がある。
【0100】
図15は、予測した展開時間と実際の展開時間との相違に基づいて転送の開始時刻や転送の一時中断を補正制御する様子を例示したものである。図15(a)は、予測した転送状態を示したものであり、同図(b)は、予測した展開時間(tL)より、実際のジョブAの展開時間がtxだけ長くなった場合における実際の転送状態を示している。展開時間がtxだけ長くなったにも係わらず、次ジョブBのデータ転送を同図(a)に示すように当初求めた転送開始時刻tCに開始すると、ジョブAの印刷が実際に終了する前(時刻tPe)に、ジョブBのデータ転送が終了してしまう。
【0101】
そこで、ジョブAの展開処理が実際に終了したとき、出力装置10から展開処理完了通知を出力管理サーバ30bへ送信するようにしておき、予測した展開時間(tL)を超えてもジョブAから展開終了通知が到来しないとき、その差分に応じた補正を行なうようにする。
【0102】
すなわち、予測した展開時間(tL)を超えても出力装置10からジョブAの展開終了通知が到来せず、しかもこの時点でジョブBの転送がまだ開始されていない場合は、当初の転送開始時刻tCを一旦無効し、その後、展開処理完了通知が到来したとき、実際の展開時間と予測した展開時間(tL)との差の時間(tx)だけ、当初の転送開始時刻tCを遅延させるように修正し、この修正された転送開始時刻tCrにジョブBのデータ転送を開始するようにする。
【0103】
一方、図15(c)に示すように、予測した展開時間(tL)を超えてもジョブAから展開終了通知が到来せず、しかもその時点が当初予測した転送開始時刻tCを超えており、既にジョブBのデータ転送が開始されている場合は、同図(d)に示すように、当初予測した展開時間(tL)を超えた時点で出力管理サーバ30bから出力装置10へのデータ転送を即座に中断し(図中の斜線部M)、その後、出力装置10からジョブAの展開処理完了通知が来た時点tLeで、中断されているジョブBのデータ転送を再開する。
【0104】
このように修正することで、実際にジョブAの印刷処理が完了する時点でジョブBのデータ転送が完了し、ジョブAの印刷終了前にジョブBのデータ転送が完了してしまうことが防止されると共に、ジョブAの印刷終了後、タイムラグなくジョブBの印刷処理を開始させることができる。
【0105】
次に、図16を参照して、予測したジョブBの転送開始時刻tCが、ジョブAの転送完了時刻tAeより手前になる場合、すなわち、ジョブBの転送時間が長いために、ジョブAの転送が完了する前にジョブBの転送を開始しなければジョブAの印刷終了と同時にジョブBの印刷処理を開始できない場合における転送の修正制御を説明する。
【0106】
この場合、図16(a)に示すように、ジョブAのデータ転送とジョブBのデータ転送が重複することになる。出力装置10では通常、両データを同時に受信して処理することはできないので、ジョブBに関する転送開始時刻を当初予測したものから同図(b)に示すように修正する。すなわち、ジョブAのデータ転送が完了した時点tAeを次ジョブBのデータ転送開始時刻tCrに補正する。これにより、ジョブAの印刷終了からジョブBの印刷処理開始までの間に多少のタイムラグが生じることになるが、複数ジョブの同時転送を行なえない環境下では、タイムラグを最小にして印刷することができる。
【0107】
図17は、上記のような動作を行なうために出力管理サーバ30bが行なう転送制御処理の流れを示している。新たなジョブBが投入されたとき(ステップS201)、それに先行するジョブAが処理中(転送中)または処理予定かを判断し(ステップS202)、先行するジョブAが処理中または処理予定でなければ(ステップS202;N)、ジョブBの転送を即座に開始して(ステップS212)処理を終了する(エンド)。
【0108】
先行するジョブAが処理中または処理予定の場合は(ステップS203;Y)、ジョブAが処理中になるのを待ち(ステップS203;Y)、ジョブAが処理中の場合または処理予定から処理中となったとき(ステップS203;N)、ジョブBの転送開始時刻を図13で示したようにして算出する(ステップS204)。
【0109】
ジョブAの転送中に、ジョブBの転送開始時刻になったときは(ステップS205;Y、図16に相当)、ジョブBの転送開始時刻をジョブAの転送終了時刻に修正する(ステップS206)。
【0110】
さらに、予測よりジョブAの印刷処理時間(展開処理時間)がtx時間だけ長引いた場合は(ステップS207;Y)、ジョブBが既に転送中であれば(ステップS208;Y、図15(c)、(d)に相当)、tx時間だけジョブBの転送を一時中断する(ステップS209)。一方、ジョブBの転送開始前であれば(ステップS208;N、図15(b)に相当)、当初の転送開始時刻にtx時間加算した時刻へ転送開始時刻を修正する(ステップS210)。
【0111】
すでにジョブBの転送を開始している場合を除き、上記のようにして設定あるいは修正した転送開始時刻が到来するのを待ち(ステップS211;N)、転送開始時刻に達したら(ステップS211;Y)、ジョブBのデータ転送を開始して(ステップS212)処理を終了する(エンド)。
【0112】
図18は、第2の実施の形態に係わるデータ出力システム5において複数のジョブを処理する場合のシーケンスを示している。第1の情報処理端末20aからジョブAに係わる印刷指示(出力指示)を出力管理サーバ30bに送信すると(P21)、出力管理サーバ30bは情報処理端末20aから受信したジョブAに関する設定データや出力対象データなどを保持手段32に保持する。さらに出力管理サーバ30bは、ジョブAの出力先に指定された出力装置10に対して予約ジョブ情報を送信してジョブAの出力予約を行なう(P22)。
【0113】
出力装置10は出力管理サーバ30bから受信した予約ジョブ情報に基づいてジョブAをアクティブジョブとして登録し、このジョブに割り当てたジョブIDを出力管理サーバ30bに返信する(P23)。
【0114】
出力管理サーバ30bは、ジョブAより前のジョブIDを持つ待機中のジョブがない場合は、ジョブAが次ジョブとなるので、前ジョブの印刷処理時間と、ジョブAのジョブ情報(出力対象データのデータ量など)、転送レート、出力装置10の性能などから、ジョブAに関する転送開始時刻を求める(P24)。出力装置10においては、やがてジョブAの前ジョブの印刷が開始される(P25)。
【0115】
その後、第2の情報処理端末20bからジョブAと同じ出力先を指定したジョブBに係わる印刷指示(出力指示)が出力管理サーバ30bへ送信されると(P26)、出力管理サーバ30bは該ジョブBに関する設定データや出力対象データなどを保持手段32に保持し、さらにジョブBの出力先装置に対して予約ジョブ情報を送信してジョブBの出力予約を行なう(P27)。
【0116】
出力装置10は出力管理サーバ30bから受信した予約ジョブ情報に基づいてジョブBをアクティブジョブとして登録し、該ジョブに割り当てたジョブIDを出力管理サーバ30bに返信する(P28)。
【0117】
出力管理サーバ30bは、ジョブAの転送開始時刻が到来したら、ジョブAに関するデータ転送を出力装置10に対して開始すると共に(P29)、ジョブBに関する転送開始時間の算出を行なう(P30)。
【0118】
出力装置10においては、前ジョブの印刷処理が終了するとほぼ同時にジョブAに関するデータ転送が完了し、タイムラグなくジョブAの印刷処理が行なわれる(P31)。図中の斜線部分TrはジョブAに関するデータ転送期間を示している。
【0119】
その後、ジョブAの印刷中にジョブBの転送開始時刻が到来すると、ジョブBに関するデータ転送が開始される(P32)。なお、先に説明したように、転送開始時刻は必要に応じて修正される。
【0120】
このように、前ジョブの印刷処理が終了するタイミングで次ジョブのデータ転送が終了するように、次ジョブに関するデータ転送の開始時刻や転送の一時中断などを制御するので、出力先の変更などに備えて出力管理サーバ30bにデータをできるだけ長く保持しつつ、出力装置10においては、前ジョブの印刷終了後、タイムラグなく次ジョブの印刷を開始することができる。
【0121】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0122】
たとえば、実施の形態では、出力装置10毎に出力先フォルダ71を設け、その中にジョブフォルダ72を設けることでジョブと出力装置10とを関連付けるようにしたが、他の方法で関連付けを行なってもよい。たとえば、ジョブフォルダ72の中にそのジョブの出力先の装置IDを登録するようにしてもかまわない。
【0123】
また、第1の実施の形態では、出力先を変更したとき、元の出力先のジョブの状態情報を「Cancel」に変更しておき、後で出力装置10からジョブ情報送付要求を受けたときに、ジョブの削除を行なうようにしたが、出力先を変更する際に、出力管理サーバ30から出力先の装置に対してジョブのキャンセルを通知し、出力管理サーバ30内で元の出力先に対するジョブを削除するように構成されてもよい。この場合、元の出力先に対応する出力先フォルダ71内にあったジョブフォルダ72を変更後の出力先に対応する出力先フォルダ71へ移動し、ジョブIDなどを新たな出力先から通知されたものに変更する、といった手順で出力先の変更処理が可能になる。
【0124】
さらに、実施の形態では、レイアウト画像上でのドラッグ&ドロップ操作によってジョブの出力指示や出力先変更指示を出すように構成したが、情報処理端末20での操作はこれに限定されるものではなく、たとえば、装置名のリストから出力先を選択するような操作であってもかまわない。
【0125】
また、第2の実施の形態のように、出力管理サーバ30側でデータの転送タイミングを演算する場合には、出力装置10に対して出力予約を行なう必要はなく、出力管理サーバ30b側でジョブの出力順序、出力タイミングなどをすべて管理するように構成されてもよい。
【0126】
さらに、第2の実施の形態では、転送開始時刻や転送の一時中断などによって、次ジョブのデータの転送完了が前ジョブの印刷処理終了前に終了せず、しかも前ジョブの印刷終了からできるだけ少ないタイムラグで完了するように制御したが、たとえば、転送速度を制御することによって転送終了のタイミングを調整してもよい。すなわち、転送開始時刻設定手段43は転送開始時刻を遅延させたり、転送を一時中断させたりするtx時間だけ転送の終了時刻が当初より遅れるように、転送レートを遅くするような制御を行なってもよい。また、転送開始時期は適宜に設定し(たとえば、前ジョブの転送終了直後など)、転送対象のデータの最後の一部のみを転送保留にし、出力装置10から前ジョブの印刷終了通知を受けたとき、保留にしておいた少量のデータを出力装置10へ送信するようにしてもよい。このようにすれば、当該少量のデータの転送時間分のタイムラグで済む。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施の形態に係わるデータ出力システムの構成例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるデータ出力システムの主要な機能構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理端末から印刷を指示する際に情報処理端末の表示装置に表示される出力操作画面の一例を示す説明図である。
【図4】アクティブジョブリストの一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる出力管理サーバの保持手段におけるデータ構造を示す説明図である。
【図6】出力指示に係わるデータの推移を示す説明図である。
【図7】出力指示に係わるデータの推移を示すシーケンス図である。
【図8】出力先を変更する際の出力操作画面の一例を示す説明図である。
【図9】出力変更指示に係わるデータの推移を示すシーケンス図である。
【図10】出力変更指示を受けた出力管理サーバが行なう出力先変更処理の処理手順を示す流れ図である。
【図11】保持手段内の登録データの状態をジョブ移動前と移動後について対比して示す説明図である。
【図12】出力装置から前のジョブの印刷終了通知を受けてから次のジョブのデータを出力管理サーバから出力装置へ転送するときの処理を時間経過に従って表した説明図である。
【図13】第2の実施形態に係わるデータ出力システムの出力管理サーバが転送開始タイミングを制御した場合の処理を時間経過に従って表した説明図である。
【図14】第2の実施の形態に係わる出力管理サーバbの機能構成を示すブロック図である。
【図15】予測した展開時間(第1予測時間tL)と実際の展開時間との相違に基づいて転送の開始時刻や転送の一時中断を補正する様子を時間経過に従って表した説明図である。
【図16】予測した次ジョブの転送開始時刻が、前ジョブの転送完了より手前になる場合における補正制御を時間経過に従って表わした説明図である。
【図17】第2の実施の形態に係わる出力管理サーバが行なう転送制御処理の処理手順を示す流れ図である。
【図18】第2の実施の形態に係わるデータ出力システムにおいて複数のジョブを処理する場合のデータの推移を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0128】
2…ネットワーク
5…データ出力システム
10…出力装置
10a…第1の出力装置(MFP1)
10b…第2の出力装置(MFP2)
10c…第3の出力装置(MFP3)
11…予約管理部
12…予約受付手段
13…ジョブ情報要求手段
20…情報処理端末
21…出力指示送信手段
22…変更指示送信手段
30…出力管理サーバ
31…受信手段
32…保持手段
33…予約手段
35…転送制御手段
36…変更指示受信手段
37…出力先変更手段
38…画面表示制御手段
39…レイアウト情報記憶部
40…転送タイミング管理部
41…第1算出手段
42…第2算出手段
43…転送開始時刻設定手段
44…修正手段
50…出力操作画面
51…レイアウト画像
52…机
53…装置アイコン
54…データアイコン
60…アクティブジョブリスト
71…出力先フォルダ
72…ジョブフォルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末および複数の出力装置がネットワークを介して接続された出力管理サーバにおいて、
前記情報処理端末から出力対象データと、その出力先の出力装置を指定した出力指示とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した前記出力対象データを、前記出力指示で出力先に指定された出力装置を示す出力先情報に関連付けて保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている前記出力対象データに関連付けされた前記出力先情報が示す出力装置において前記出力対象データに対する処理が実行可能となる時期に応じて、前記出力装置への前記出力対象データの転送を制御する転送制御手段と
を有する
ことを特徴とする出力管理サーバ。
【請求項2】
情報処理端末から、前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先を第1の出力装置から第2の出力装置に変更する旨の出力先変更指示を受信する変更指示受信手段と、
前記変更指示受信手段によって前記出力先変更指示を受信した場合に、前記保持手段に保持されている前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態に変更する出力先変更手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の出力管理サーバ。
【請求項3】
出力装置別に作成されたフォルダを出力先情報とし、出力対象データを前記フォルダ内に保持することで前記出力対象データと出力先情報との関連付けを行なうようにし、
前記出力先変更手段は、前記第1の出力装置に対応するフォルダから前記第2の出力装置に対応するフォルダに前記出力対象データを移動もしくは複製することで、前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態にする
ことを特徴とする請求項2に記載の出力管理サーバ。
【請求項4】
前記出力先変更手段によって前記第1の出力装置に対応したフォルダから前記第2の出力装置に対応したフォルダへ前記出力対象データの移動もしくは複製がなされたとき、前記第1の出力装置に対応するフォルダにおいて前記出力対象データに対して設定されていたジョブを削除する
ことを特徴とする請求項3に記載の出力管理サーバ。
【請求項5】
前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先の出力装置に対して、前記出力対象データに関する出力予約を行なう予約手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【請求項6】
前記転送制御手段は、前記出力装置での第1の出力対象データに関する出力処理が完了するタイミングで 前記出力装置に対して第2の出力対象データの転送が終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【請求項7】
前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段を有し、
前記転送制御手段は、前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの転送を前記予測終了時刻の前に開始させると共に、該転送が前記第1算出手段によって算出された前記予測終了時刻もしくは前記予測終了時刻の後に終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【請求項8】
前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段と、
前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの前記出力装置への予測転送時間を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段で算出した前記予測終了時刻から前記第2算出手段で算出した前記予測転送時間だけ手前の時刻を前記第2の出力対象データの転送開始時刻に設定する転送開始時刻設定手段とを有し、
前記転送制御手段は、前記転送開始時刻設定手段によって設定された前記転送開始時刻に応じて前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送開始を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【請求項9】
前記第1算出手段は、前記第1の出力対象データに対する前記出力装置での展開処理に要する第1予測時間と他の処理に要する第2予測時間との合計から前記予測終了時刻を算出し、
前記出力装置から前記第1の出力対象データの展開処理完了通知を受けた時刻が前記第1予測時間に基づく展開処理の完了予定時刻より遅い場合は、前記展開処理完了通知を受けた時刻と前記完了予定時刻との差の時間だけ、前記転送開始時刻を遅延もしくは転送動作を中断させる
ことを特徴とする請求項8に記載の出力管理サーバ。
【請求項10】
前記各出力装置に対応する端末識別情報を表示し、出力対象データに対応するデータ識別情報を前記端末識別情報へドラッグ&ドロップするといったユーザ操作に基づいて前記出力指示もしくは前記出力先変更指示を発生させる操作画面を前記情報処理端末に表示させるための表示データを前記情報処理端末に送信する画面表示制御手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の出力管理サーバ。
【請求項11】
前記操作画面は、前記各出力装置の配置を表わすためのレイアウト画像を表示し、該レイアウト画像に前記端末識別情報をアイコン表示したものである
ことを特徴とする請求項10に記載の出力管理サーバ。
【請求項12】
情報処理端末と複数の出力装置と出力管理サーバとがネットワークを介して接続されたデータ出力システムにおいて、
前記情報処理端末は、出力対象データと、その出力先の出力装置を指定した出力指示とを前記出力管理サーバに送信する出力指示送信手段を有し、
前記出力管理サーバは、
前記情報処理端末から出力対象データと、その出力先の出力装置を指定した出力指示とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した前記出力対象データを前記出力指示で指定された出力装置を示す出力先情報に関連付けて保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている前記出力対象データに関連付けされた前記出力先情報が示す出力装置において前記出力対象データに対する処理が実行可能となる時期に応じて、前記出力装置への前記出力対象データの転送を制御する転送制御手段と
を有する
ことを特徴とするデータ出力システム。
【請求項13】
前記情報処理端末は、前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先を第1の出力装置から第2の出力装置に変更する旨の出力先変更指示を前記出力管理サーバに送信する変更指示送信手段をさらに有し、
前記出力管理サーバは、
前記出力先変更指示を受信する変更指示受信手段と、
前記変更指示受信手段によって前記出力先変更指示を受信した場合に、前記保持手段に保持されている前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態に変更する出力先変更手段と
を有する
ことを特徴とする請求項12に記載のデータ出力システム。
【請求項14】
前記出力管理サーバは、出力装置別に作成されたフォルダを出力先情報とし、出力対象データを前記フォルダ内に保持することで前記出力対象データと出力先情報との関連付けを行ない、
前記出力先変更手段は、前記第1の出力装置に対応するフォルダから前記第2の出力装置に対応するフォルダに前記出力対象データを移動もしくは複製することで、前記出力対象データを、前記第2の出力装置を示す出力先情報に関連付けされた状態にする
ことを特徴とする請求項12に記載のデータ出力システム。
【請求項15】
前記出力管理サーバは、前記出力先変更手段によって前記第1の出力装置に対応したフォルダから前記第2の出力装置に対応したフォルダへ前記出力対象データの移動もしくは複製がなされたとき、前記第1の出力装置に対応するフォルダにおいて前記出力対象データに対して設定されていたジョブを削除する
ことを特徴とする請求項14に記載のデータ出力システム。
【請求項16】
前記出力管理サーバは、前記保持手段に保持されている出力対象データの出力先の出力装置に対して、前記出力対象データに関する出力予約を行なう予約手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のデータ出力システム。
【請求項17】
前記出力装置は、前記出力管理サーバから前記出力予約の依頼を受信し、予約ジョブとして登録し、該予約ジョブの予約IDを前記出力管理サーバに返送する予約受付手段を有し、
前記出力管理サーバは、前記出力装置から返送された前記予約IDを前記出力対象データに関連付けて保持し、
前記出力装置は、前記予約ジョブに対する処理の実行が可能となったとき、前記予約IDを含むジョブ情報送付要求を前記出力管理サーバに送信するジョブ情報要求手段を有し、
前記出力管理サーバは、前記出力装置から前記ジョブ情報送付要求を受信したとき、該ジョブ情報送付要求に含まれる前記予約IDに関連付けされている前記出力対象データを前記出力装置に転送する
ことを特徴とする請求項16に記載のデータ出力システム。
【請求項18】
前記転送制御手段は、前記出力装置での第1の出力対象データに関する出力処理が完了するタイミングで 前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの転送が終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載のデータ出力システム。
【請求項19】
前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段を有し、
前記転送制御手段は、前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの転送を前記予測終了時刻の前に開始させると共に、該転送が前記第1算出手段によって算出された前記予測終了時刻もしくは前記予測終了時刻の後に終了するように、前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送を制御する
ことを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載のデータ出力システム。
【請求項20】
前記出力管理サーバは、
前記出力装置へ転送した第1の出力対象データに対する前記出力装置での出力処理の予測終了時刻を算出する第1算出手段と、
前記出力装置に対して前記第1の出力対象データの次に転送する第2の出力対象データの前記出力装置への予測転送時間を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段で算出した前記予測終了時刻から前記第2算出手段で算出した前記予測転送時間だけ手前の時刻を前記第2の出力対象データの転送開始時刻に設定する転送開始時刻設定手段とを有し、
前記転送制御手段は、前記転送開始時刻設定手段によって設定された前記転送開始時刻に応じて前記出力装置への前記第2の出力対象データの転送開始を制御する
ことを特徴とする請求項19に記載のデータ出力システム。
【請求項21】
前記出力装置は、前記第1の出力対象データに対する展開処理の完了を前記出力管理サーバに通知する通知手段を有し、
前記出力管理サーバは、前記第1の出力対象データに対する前記出力装置での展開処理に要する第1予測時間と他の処理に要する第2予測時間との合計から前記予測終了時刻を算出し、
前記出力装置から前記第1の出力対象データの展開処理完了の通知を受けた時刻が前記第1予測時間に基づく展開処理の完了予定時刻より遅い場合は、前記展開処理完了通知を受けた時刻と前記完了予定時刻との差の時間だけ、前記転送開始時刻を遅延もしくは転送動作を中断させる
ことを特徴とする請求項20に記載のデータ出力システム。
【請求項22】
前記情報処理端末の画面上に前記各出力装置に対応する端末識別情報を表示し、出力対象データに対応するデータ識別情報を前記端末識別情報へドラッグ&ドロップするといったユーザ操作に基づいて前記出力指示もしくは前記出力先変更指示を発生させる
ことを特徴とする請求項12乃至21のいずれかに記載のデータ出力システム。
【請求項23】
前記情報処理端末の画面上に前記各出力装置の配置を表わすためのレイアウト画像を表示し、該レイアウト画像に前記端末識別情報をアイコン表示する
ことを特徴とする請求項22に記載のデータ出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−40838(P2008−40838A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215055(P2006−215055)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】