説明

分別コンテナ

【課題】前後移動時の仕切板の揺れを少なくして容易に位置決めすることが可能な分別コンテナの提供。
【解決手段】後方に開閉可能な扉を有するコンテナ本体10と、このコンテナ本体10を前後複数室に区画する仕切板12と、コンテナ本体10の左右両側壁上部に橋渡されて前後方向に移動可能に支持されるとともに、仕切板12を下部に回動可能に支持するフレーム13と、このフレーム13をコンテナ本体10の左右両側壁上部にロックおよびロック解除する上部ロック機構18と、仕切板12をコンテナ本体10の左右両側壁下部にロックおよびロック解除する下部ロック機構20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築廃材、産業廃棄物、粗大ゴミ、スクラップ、流通物資、農産物、畜産物、リサイクル資源などの荷物を種類別に収容し、車両にて輸送するための分別コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分別コンテナは、例えば特許文献1,2に記載のように、荷箱本体を前室、中室、後室に区画形成する仕切板を設けて、各室に異なる種類の廃棄物を積み込めるようにしている。また、この分別コンテナは、荷箱本体に前後移動可能に設けられた断面コ字型のガイド部材と、ガイド部材の上部に設けられ仕切板上部に設けた係合ピンを支持するとともに操作レバーの回動操作にて係合ピンを回動可能な状態にてロックおよびロック解除しうる支持部材と、操作レバーに設けられ、操作レバーが係合ピンをロック保持しうる回動範囲内にてガイド部材の前後移動を規制および規制解除しうる規制部材とを備えている。
【0003】
これにより、この分別コンテナでは、操作レバーの回動操作のみで、支持部材のロックおよびロック解除と、ガイド部材の前後移動の規制および規制解除とを行うことを可能にしている。さらに、この分別コンテナは、仕切板が荷箱本体の両側壁上部に揺動可能に設けられており、側壁を貫通して仕切板の揺動を規制しうる脱着可能な揺動規制部材と、揺動規制部材に設けられた抜止部材と、側壁側に形成し、揺動規制部材を所定の回転位置のときのみ抜止部材とともに通過させうる抜止孔とを備え、これらにより仕切板の揺動を規制している。
【0004】
【特許文献1】特許第3749794号公報
【特許文献2】特開2000−109203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1,2に記載の分別コンテナでは、仕切板の揺動軸が荷箱本体の両側壁上部で直接回動支持されているため、仕切板を前後に移動させる際に仕切板の揺れが大きくなり、仕切板の位置調整が難しくなる。
【0006】
そこで、本発明においては、前後移動時の仕切板の揺れを少なくして容易に位置決めすることが可能な分別コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の分別コンテナは、後方に開閉可能な扉を有するコンテナ本体と、このコンテナ本体を前後複数室に区画する仕切板と、コンテナ本体の左右両側壁上部に橋渡されて前後方向に移動可能に支持されるとともに、仕切板を下部に回動可能に支持するフレームと、このフレームをコンテナ本体の左右両側壁上部にロックおよびロック解除する上部ロック機構と、仕切板をコンテナ本体の左右両側壁下部にロックおよびロック解除する下部ロック機構とを有するものである。
【0008】
本発明の分別コンテナによれば、コンテナ本体の左右両側壁上部に橋渡されたフレームの下部に仕切板が回動可能に支持されているので、従来の荷箱本体の両側壁上部で直接回動支持された仕切板と比較して重心位置が低くなり、フレームを前後に移動させた際の仕切板の揺れが少なくなる。また、仕切板を回動可能に支持したフレームを上部ロック機構によりコンテナ本体の左右両側壁上部にロックして容易に仕切板を位置決めすることができる。さらに、仕切板を下部ロック機構によりコンテナ本体の左右両側壁下部にロックすることで、上部ロック機構とともに仕切板を確実に固定することができる。
【0009】
ここで、上部ロック機構は、コンテナ本体の左右両側壁上部に設けられたピン穴と、フレームのピン穴に対応する位置に設けられたピン保持孔と、ピン保持孔を通じてピン穴に係脱される固定ピンとから構成されるものであることが望ましい。これにより、ピン穴から固定ピンを引き抜くとフレームの固定が解除され、フレームとともに仕切板を前後に移動させることができる。また、ピン保持孔を通じてピン穴に固定ピンを係合させることで、フレームを確実に固定することができる。
【0010】
また、下部ロック機構は、仕切板の左右両側壁下部に設けられたストッパ穴と、コンテナ本体の左右両側壁下部に設けられた支持軸に対して回動可能に軸支されたレバーと、コンテナ本体の左右両側壁下部のストッパ穴に対応する位置に設けられたストッパ保持孔と、レバーの支持軸と平行に配置されたストッパ支持軸に軸支され、レバーの回動動作に伴ってストッパ保持孔を通じて仕切板の左右両側壁下部のストッパ穴に係脱されるストッパとから構成され、レバーは、ストッパ支持軸を軸支する長孔であって、レバーの支持軸とストッパ支持軸とを結ぶ方向に長孔を有するものであることが望ましい。
【0011】
この構成により、ストッパ穴からストッパが離れる方向にレバーを回動させるとストッパがストッパ穴から引き抜かれ、仕切板下部の固定が解除される。これにより、仕切板はフレームの下部で回動可能となり、分別コンテナのダンプアップ時には自重により回動して荷物を排出することができる。また、この仕切板下部の固定の解除とともに上部ロック機構によるフレームの固定の解除を行うことで、仕切板を前後に移動させることができる。
【0012】
一方、仕切板下部を固定する際には、ストッパ穴にストッパが近付く方向にレバーを回動させ、ストッパ保持孔を通じて仕切板の左右両側壁下部のストッパ穴に係合させる。このとき、ストッパはレバーの回動動作とともに弧状の軌跡を描きながらストッパ保持孔に向かうが、このストッパはレバーの支持軸とストッパ支持軸とを結ぶ方向に長孔に軸支されているため、ストッパ保持孔およびストッパ穴の深さ方向に真っ直ぐ進行させることができるので、こじったりせずにスムーズに抜き差しすることが可能となる。
【0013】
また、本発明の分別コンテナは、ストッパがストッパ穴に係合された状態でレバーの回動動作を規制するレバー規制機構を有し、このレバー規制機構は、レバーに設けられた規制穴と、コンテナ本体の左右両側壁側に設けられたピン保持孔と、このピン保持孔を通じて規制穴に係脱される規制ピンと、この規制ピンの頭部に設けられた抜け防止板と、規制ピンの回転角度によって抜け防止板に一部被る抜け規制部材と、抜け防止板が抜け規制部材に被る回転角度に規制ピンを維持するための回転規制部材とから構成されるものであることが望ましい。
【0014】
この構成では、ストッパがストッパ穴に係合された状態で、レバーに設けられた規制穴にピン保持孔を通じて規制ピンを係合させる。そして、規制ピンの頭部に設けられた抜け防止板が抜け規制部材に被る角度に配置されるように規制ピンを回転させる。これにより、レバーの回動動作が規制ピンにより規制され、仕切板下部の固定が不意に解除されることを防止することができる。また、規制ピンは回転規制部材により回転が規制されるため、この規制ピンの頭部の抜け防止板が抜け規制部材に被る角度に維持され、規制ピン自体もレバーの規制穴から抜け落ちなくなる。
【発明の効果】
【0015】
(1)後方に開閉可能な扉を有するコンテナ本体と、このコンテナ本体を前後複数室に区画する仕切板と、コンテナ本体の左右両側壁上部に橋渡されて前後方向に移動可能に支持されるとともに、仕切板を下部に回動可能に支持するフレームと、このフレームをコンテナ本体の左右両側壁上部にロックおよびロック解除する上部ロック機構と、仕切板をコンテナ本体の左右両側壁下部にロックおよびロック解除する下部ロック機構とを有することにより、仕切板は従来の荷箱本体の両側壁上部で直接回動支持された仕切板と比較して重心位置が低くなり、フレームを前後に移動させた際の仕切板の揺れが少なくなるとともに、容易に仕切板を位置決めし、確実に固定することが可能となる。
【0016】
(2)上部ロック機構が、コンテナ本体の左右両側壁上部に設けられたピン穴と、フレームのピン穴に対応する位置に設けられたピン保持孔と、ピン保持孔を通じてピン穴に係脱される固定ピンとから構成されるものであることにより、ピン穴から固定ピンを引き抜くとフレームの固定が解除されるので、フレームとともに仕切板を前後に移動させることが容易にできる。また、ピン保持孔を通じてピン穴に固定ピンを係合させることで、フレームを確実かつ容易に固定することができる。
【0017】
(3)下部ロック機構が、仕切板の左右両側壁下部に設けられたストッパ穴と、コンテナ本体の左右両側壁下部に設けられた支持軸に対して回動可能に軸支されたレバーと、コンテナ本体の左右両側壁下部のストッパ穴に対応する位置に設けられたストッパ保持孔と、レバーの支持軸と平行に配置されたストッパ支持軸に軸支され、レバーの回動動作に伴ってストッパ保持孔を通じて仕切板の左右両側壁下部のストッパ穴に係脱されるストッパとから構成され、レバーは、ストッパ支持軸を軸支する長孔であって、レバーの支持軸とストッパ支持軸とを結ぶ方向に長孔を有するものであることにより、ストッパ穴からストッパが離れる方向にレバーを回動させるとストッパがストッパ穴から引き抜かれ、仕切板下部の固定が解除されるので、分別コンテナのダンプアップ時には仕切板が自重により回動し、分別コンテナ内の荷物を排出することが可能となる。また、この仕切板下部の固定の解除とともに上部ロック機構によるフレームの固定の解除を行うことで、仕切板を前後に移動させることができる。一方、仕切板下部を固定する際には、ストッパがレバーの支持軸とストッパ支持軸とを結ぶ方向に長孔に軸支されているため、レバーを回動させてストッパ保持孔およびストッパ穴の深さ方向に真っ直ぐ進行させることができるのでこじったりせずにスムーズに抜き差しすることが可能となり、ストッパ保持孔を通じて仕切板の左右両側壁下部のストッパ穴に係合させることができる。
【0018】
(4)ストッパがストッパ穴に係合された状態でレバーの回動動作を規制するレバー規制機構を有し、このレバー規制機構が、レバーに設けられた規制穴と、コンテナ本体の左右両側壁側に設けられたピン保持孔と、このピン保持孔を通じて規制穴に係脱される規制ピンと、この規制ピンの頭部に設けられた抜け防止板と、規制ピンの回転角度によって抜け防止板に一部被る抜け規制部材と、抜け防止板が抜け規制部材に被る回転角度に規制ピンを維持するための回転規制部材とから構成されるものであることにより、レバーの回動動作が規制ピンにより規制され、仕切板下部の固定が不意に解除されることを防止することができる。また、規制ピンは回転規制部材により回転が規制されるため、この規制ピンの頭部の抜け防止板が抜け規制部材に被る角度に維持され、規制ピン自体もレバーの規制穴から抜け落ちなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態における分別コンテナを搭載した車両の側面図、図2は平面図、図3は背面図、図4は図1の分別コンテナの側面図、図5は平面図、図6は図4のA−A断面図、図7は図4のB部拡大図である。
【0020】
図1〜図3において、本発明の実施の形態における分別コンテナ1は、車両2上に搭載されて輸送されるものである。車両2は、シャーシ3上に、運転室4と、分別コンテナ1を積み降ろしするための積込装置5とを備える。積込装置5は、上端部に分別コンテナ1を係合するフック6を有する略L字状のアーム7と、伸縮することによってアーム7を持ち上げおよび引き下げるためのリフトシリンダ(図示せず。)と、伸縮することによってアーム7を前進および後進させるためのスライドシリンダ(図示せず。)とを備えている。
【0021】
上記車両2では、地上に置かれた分別コンテナ1に対し(図1の(A)の位置)、アーム7をスライドシリンダの収縮により後進させ、さらにリフトシリンダの伸長により後方へ回動させ、フック6に係合させる。そして、リフトシリンダを収縮させて分別コンテナ1をシャーシ3上に引き上げ(図1の(B)の位置)、スライドシリンダの伸長によりアーム7を前進させる。これにより、分別コンテナ1は車両2上に搭載され、輸送可能となる。また、この車両2ではリフトシリンダのみを伸縮させることにより、分別コンテナ1をダンプ動作させることが可能となっている(図1の(C)の位置)。
【0022】
図4および図5に示すように分別コンテナ1は、底板10a、前壁10b、側壁10c,10dおよび開閉可能な後方観音扉10eから構成されるコンテナ本体10を有している。また、コンテナ本体10内には、コンテナ本体10を前室11a、中室11bおよび後室11cの複数室に区画する仕切板12を有しており、各室11a,11b,11cには異なる種類の荷物を種類別に収容できるようになっている。なお、図示例では仕切板12を2つ設けているが、いくつ設けても良い。
【0023】
コンテナ本体10の左右両側壁10c,10dの上部には、この左右両側壁10c,10dの上部に橋渡されて車両2の前後方向に移動可能に支持されるフレーム13が設けられている。図6に示すようにフレーム13は、コンテナ本体10の左右両側壁10c,10dの内側に配置される断面長方形の中空筒状の支持部13aと、左右両側壁10c,10d上で前後方向に摺動するスライダ部13bと、支持部13aおよびスライダ部13bの上面同士を連結する肩掛け部13cとから構成される。また、スライド部13bの内側には、スライドを容易にするためのパッド13dが設けられている。仕切板12は、支持部13aの下部に複数のヒンジ14を介して回動可能に吊り下げられている。
【0024】
図7に示すようにコンテナ本体10の左右両側壁10c,10dの上部には、断面正方形の中空筒状のレール部15が前後方向に伸びて形成されている。フレーム13のスライダ部13bは、このレール部15の上面を前後方向に摺動する。また、レール部15には、仕切板12の前後位置を決めるためのピン穴15aが所定間隔で複数箇所設けられている。スライダ部13bには、このピン穴15aに対応する位置にピン保持孔16が設けられている。固定ピン17はピン保持孔16を通じてピン穴15aに係脱されるものであり、上部には吊環17aが、下部にはピン孔17bがそれぞれ設けられている。これらのピン穴15a、ピン保持孔16および固定ピン17により、仕切板12の上部ロック機構18が構成されている。
【0025】
仕切板12はフレーム13とともに車両2の前後方向へ移動させた際に、スライダ部13bのピン保持孔16をレール部15のピン穴15aと一致させる。そして、スライダ部13bの上方より固定ピン17を、ピン保持孔16を通じてピン穴15aに挿入して係合させることで、仕切板12はフレーム13とともにコンテナ本体10の左右両側壁10c,10dに位置決めされる。固定ピン17はレール部15を貫通し、下部のピン孔17bがレール部15の下方へ突出する。このピン孔17bにロックピン(図示せず。)などを装着することで、固定ピン17はピン穴15aから確実に抜けなくなる。
【0026】
なお、本実施形態におけるピン穴15aはレール部15を貫通する貫通孔であるが、貫通しない有底穴とすることも可能である。要するに、ピン保持孔16を通じてフレーム13のスライダ部13bとコンテナ本体10の左右両側壁10c,10dのレール部15とが固定できれば良い。また、ピン孔17bについても固定ピン17がピン孔15aから抜けなくなるように規制できれば良く、貫通孔でなくても良い。なお、以下の説明においては、「孔」は主に貫通孔の場合に使用し、「穴」は貫通孔または有底穴のいずれでも良い場合に使用している。
【0027】
一方、コンテナ本体10の左右両側壁10c,10dの下部には、上述のようにフレーム13が固定ピン17により固定される位置に対応して、仕切板12の下部ロック機構20が構成されている。図8は図7の下部ロック機構20の拡大図、図9はその左側面図である。図10は図4のC−C矢視図であって、(a)はロック時を示す図、(b)はロック解放時を示す図である。
【0028】
下部ロック機構20は、主に左右両側壁10c,10dの下部に回動可能に軸支されたレバー21と、レバー21に軸支されたストッパ22と、左右両側壁10c,10dに形成されたストッパ保持孔23と、仕切板12に形成されたストッパ穴24とから構成されている。ストッパ保持孔23はストッパ穴24に対応する位置に設けられており、レバー21の回動動作に伴ってストッパ22がストッパ保持孔23を通じ、仕切板12のストッパ穴24に係脱されるようになっている。
【0029】
レバー21は、コンテナ本体10の左右両側壁10c,10dの下部に固定されたブラケット25に支持された支持軸26に対して回動可能に軸支されている。また、このブラケット25にはピン保持孔27が設けられている。ピン保持孔27は、レバー21に設けられた規制穴28とともに、規制ピン29が係脱されるためのものである。ピン保持孔27、規制穴28および規制ピン29は、ストッパ22がストッパ穴24に係合された状態でレバー21の回動動作を規制するレバー規制機構30を構成する。
【0030】
また、規制ピン29の頭部には抜け防止板31が設けられている。一方、ブラケット25には、規制ピン29の回転角度によって抜け防止板31に一部被るように配置されたL字状の抜け規制部材32が設けられている。規制ピン29は、ピン保持孔27および規制穴28への係脱時には、抜け防止板31が下方を向くように回転させることで、抜け規制部材32に規制されることがなく、係脱させることができる。
【0031】
一方、抜け防止板31が上方を向くように回転させると、抜け防止板31が抜け規制部材32に被るようになるため、規制ピン29は脱落しなくなる。また、規制ピン29には、抜け防止板31が抜け規制部材32に被る回転角度を維持するための回転規制部材としての錘36を備えている。この錘36の自重により抜け防止板31は下側を向くことなく常時上方に維持され、抜け規制部材32に被る状態となる。また、規制ピン29は、チェーン33によりブラケット25と連結されており、規制ピン29を取り外した際の落下が防止されている。
【0032】
また、ストッパ22は、レバー21の支持軸26と平行に配置されたストッパ支持軸34に軸支されている。レバー21には、このストッパ支持軸34を軸支する長孔35が形成されている。長孔35は、レバー21の支持軸26とストッパ支持軸34とを結ぶ方向に長い孔である。これにより、ストッパ支持軸34は、長孔35内で回転するとともに、支持軸26とストッパ支持軸34とを結ぶ方向に移動するので、レバー21を回動させた際に、ストッパ22をストッパ保持孔23およびストッパ穴24の深さ方向に真っ直ぐ進行させることができるようになっている。
【0033】
ストッパ保持孔23は、コンテナ本体10の左右両側壁10c,10dに形成された貫通孔と、この貫通孔が形成された左右両側壁10c,10dの外側に取り付けられた円筒状のガイド部材23aによって形成されている。同様に、仕切板12のストッパ穴24は、仕切板12の外側に取り付けられた円筒状のガイド部材24aによって形成されている。これらのガイド部材23a,24aの内径はストッパ22の外径に対応している。
【0034】
上記構成の分別コンテナ1では、車両2に搭載された状態での走行中においては、上部ロック機構18および下部ロック機構20により仕切板12の上部のフレーム13および仕切板12の下部がそれぞれロックされた状態にある。そして、図1の状態で荷物の収集場所まで移動し、アーム7の回動動作により分別コンテナ1を地上へ降ろす。この状態で建築廃材、産業廃棄物、粗大ゴミ、スクラップ、流通物資、農産物、畜産物、リサイクル資源などの荷物を前室11a、中室11bおよび後室11cに種類別に収容する。こうして荷物を分別収容後、分別コンテナ1をアーム7により車両2に積み込み、輸送する。
【0035】
前室11a、中室11bおよび後室11cに収容した荷物の排出作業は、まずコンテナ本体10の後方観音扉10eを開放し、リフトシリンダを伸長させてコンテナ本体10をダンプアップさせる。このとき、2つの仕切板12は、いずれも仕切板12の上部のフレーム13および仕切板12の下部がそれぞれ上部ロック機構18および下部ロック機構20によりロックされた状態にあるので、前室11aおよび中室11bの荷物が排出されることはなく、後室11cの荷物のみが排出される。
【0036】
後室11cの荷物を排出すると、リフトシリンダを収縮させてコンテナ本体10をダンプダウンさせる。そして、別の場所に移動して後方の仕切板12の左右両側の下部ロック機構20によるロックを解除する。ロック解除は、まず、規制ピン29の抜け防止板31が抜け規制部材29に被らない回転角度へ規制ピン29を回転させる。そして、規制ピン29をピン保持孔27および規制穴28から引き抜き、レバー21を引き上げると、ストッパ22がストッパ保持孔23およびストッパ穴24から引き抜かれる。
【0037】
これにより、後方の仕切板12は揺動可能な状態となる。この状態からリフトシリンダを伸長させてコンテナ本体10をダンプアップさせると、後方の仕切板12が揺動して中室11bの後方が開放され、中室11bの荷物が排出される。続いて、前室11aの荷物を排出する場合には、一旦コンテナ本体10をダンプダウンさせ、上述と同様の操作により前方の仕切板12の下部ロック機構20によるロックを解除した後、コンテナ本体10をダンプアップさせると、前方および後方の仕切板12が揺動して前室11aの後方が開放され、前室11aの荷物が排出される。
【0038】
また、この分別コンテナ1では、仕切板12の位置を移動して各室11a〜11cの区画位置を変更したり、仕切板12を脱着して区画数を変更したりすることが可能である。この場合、まず前述のように仕切板12の下部ロック機構20によるロックを解除した後、上部ロック機構18により仕切板12の左右両側の上部のフレーム13のロックを解除する。フレーム13のロック解除は、まず、固定ピン17のピン孔17bからロックピンを引き抜き、固定ピン17をピン保持孔16およびピン穴15aから引き抜く。これにより、フレーム13のスライダ部13bは、レール部15の上面を前後方向に摺動可能となる。
【0039】
この状態からフレーム13を車両2の前後方向に移動させて仕切板12の位置を変更すし、各室11a〜11cの区画位置を変更したり、仕切板12を脱着して区画数を変更したりすることが可能である。仕切板12の位置の調整は、レール部15に所定間隔で複数箇所設けられているピン穴15aとスライダ部13bのピン保持孔16が一致する位置で行うことが可能である。そして、仕切板12の位置を調整した後に、固定ピン17をピン保持孔16を通じてピン穴15aへ挿入して係合させ、ピン孔17bへロックピンを取り付ける。これにより、仕切板12の上部のフレーム13が上部ロック機構18により確実にロックされる。
【0040】
次いで、下部ロック機構20による仕切板12のロックを行う。仕切板12のロックは、仕切板12の左右両側のストッパ穴24とコンテナ本体10の左右両側壁10c,10dのストッパ保持孔23とを一致させ、レバー21を押し下げてストッパ22をストッパ保持孔23を通じてストッパ穴24へ挿入し、係合させることにより行う。そして、規制ピン29を抜け防止板31が抜け規制部材32に被らない位置に回転して、ピン保持孔27を通じて規制穴28へ挿入する。
【0041】
そして、規制ピン29を抜け防止板31が抜け規制部材32に被る位置へ回転させ、チェーン33により規制ピン29とブラケット25とを連結し、規制ピン29の回転を規制する。これにより、規制ピン29は規制穴28から脱落しなくなり、仕切板12の下部が下部ロック機構20により確実にロックされる。
【0042】
本実施形態における分別コンテナ1では、仕切板12がコンテナ本体10の左右両側壁10c,10d上部に橋渡されて前後方向に移動可能に支持されたフレーム13の下部に回動可能に支持されているため、従来の荷箱本体の両側壁上部で直接回動支持された仕切板と比較して重心位置が低い。したがって、フレーム13を前後に移動させた際の仕切板12の揺れが少なく、容易に仕切板12を位置決めし、固定することが可能である。
【0043】
また、本実施形態における上部ロック機構18では、ピン穴15aから固定ピン17を引き抜くとフレーム13の固定が解除されるので、フレーム13とともに仕切板12を前後に移動させることが容易にできる。また、ピン保持孔16を通じてピン穴15aに固定ピン17を係合させることで、フレーム13を容易に固定することができ、操作が簡単である。
【0044】
また、本実施形態における下部ロック機構20では、ストッパ22はレバー21の回動動作とともに弧状の軌跡を描きながらストッパ保持孔23に向かうが、このストッパ22はレバー21の支持軸26とストッパ支持軸34とを結ぶ方向に長孔35に軸支されているため、レバー21を回動動作させた際にストッパ保持孔23およびストッパ穴24の深さ方向に真っ直ぐ前進または後進させることができるので、こじったりせずにスムーズに抜き差しすることが可能になるとともに、ストッパ保持孔23を通じて仕切板12の左右両側壁10c,10d下部のストッパ穴24に容易に係脱させることができる。
【0045】
また、この下部ロック機構20はレバー規制機構30を有しているので、レバー21の回動動作がこのレバー規制機構30の規制ピン29により規制されており、仕切板12下部のロックが不意に解除されることが防止されている。また、規制ピン29はチェーン33により回転が規制されるため、この規制ピン29の頭部の抜け防止板31が抜け規制部材32に被る角度に維持され、規制ピン29自体もレバー21の規制穴28から抜け落ちることがない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の分別コンテナは、建築廃材、産業廃棄物、粗大ゴミ、スクラップ、流通物資、農産物、畜産物、リサイクル資源などの荷物を種類別に収容し、車両にて輸送するための装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態における分別コンテナを搭載した車両の側面図である。
【図2】図1の車両の平面図である。
【図3】図1の車両の背面図である。
【図4】図1の分別コンテナの側面図である。
【図5】図1の分別コンテナの平面図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】図4のB部拡大図である。
【図8】図7の下部ロック機構の拡大図である。
【図9】図7の下部ロック機構の左側面図である。
【図10】図4のC−C矢視図であって、(a)はロック時を示す図、(b)はロック解放時を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 分別コンテナ
2 車両
3 シャーシ
4 運転室
5 積込装置
6 フック
7 アーム
10 コンテナ本体
10a 底板
10b 前壁
10c,10d 側壁
10e 後方観音扉
11a 前室
11b 中室
11c 後室
12 仕切板
13 フレーム
13a 支持部
13b スライダ部
13c 肩掛け部
13d パッド
14 ヒンジ
15 レール部
15a ピン穴
16 ピン保持孔
17 固定ピン
17a 吊環
17b ピン孔
18 上部ロック機構
20 下部ロック機構
21 レバー
22 ストッパ
23 ストッパ保持孔
23a ガイド部材
24 ストッパ穴
24a ガイド部材
25 ブラケット
26 支持軸
27 ピン保持孔
28 規制穴
29 規制ピン
30 レバー規制機構
31 抜け防止板
32 抜け規制部材
33 チェーン
36 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に開閉可能な扉を有するコンテナ本体と、
このコンテナ本体を前後複数室に区画する仕切板と、
前記コンテナ本体の左右両側壁上部に橋渡されて前後方向に移動可能に支持されるとともに、前記仕切板を下部に回動可能に支持するフレームと、
このフレームを前記コンテナ本体の左右両側壁上部にロックおよびロック解除する上部ロック機構と、
前記仕切板を前記コンテナ本体の左右両側壁下部にロックおよびロック解除する下部ロック機構と
を有する分別コンテナ。
【請求項2】
前記上部ロック機構は、
前記コンテナ本体の左右両側壁上部に設けられたピン穴と、
前記フレームの前記ピン穴に対応する位置に設けられたピン保持孔と、
前記ピン保持孔を通じて前記ピン穴に係脱される固定ピンと
から構成されるものである請求項1記載の分別コンテナ。
【請求項3】
前記下部ロック機構は、
前記仕切板の左右両側壁下部に設けられたストッパ穴と、
前記コンテナ本体の左右両側壁下部に設けられた支持軸に対して回動可能に軸支されたレバーと、
前記コンテナ本体の左右両側壁下部の前記ストッパ穴に対応する位置に設けられたストッパ保持孔と、
前記レバーの支持軸と平行に配置されたストッパ支持軸に軸支され、前記レバーの回動動作に伴って前記ストッパ保持孔を通じて前記仕切板の左右両側壁下部のストッパ穴に係脱されるストッパとから構成され、
前記レバーは、前記ストッパ支持軸を軸支する長孔であって、前記レバーの支持軸とストッパ支持軸とを結ぶ方向に長孔を有するものである
請求項1または2に記載の分別コンテナ。
【請求項4】
前記ストッパが前記ストッパ穴に係合された状態で前記レバーの回動動作を規制するレバー規制機構を有し、
このレバー規制機構は、前記レバーに設けられた規制穴と、前記コンテナ本体の左右両側壁側に設けられたピン保持孔と、このピン保持孔を通じて前記規制穴に係脱される規制ピンと、この規制ピンの頭部に設けられた抜け防止板と、前記規制ピンの回転角度によって前記抜け防止板に一部被る抜け規制部材と、前記抜け防止板が前記抜け規制部材に被る回転角度に前記規制ピンを維持するための回転規制部材とから構成されるものである
請求項3記載の分別コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−76798(P2010−76798A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246457(P2008−246457)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】