説明

分割表示装置、分割表示方法及び分割表示プログラム

【課題】等倍表示と分割表示とで違和感がないように、モニタ画面にソース映像を表示することができる分割表示装置、分割表示方法及び分割表示プログラムを提供する。
【解決手段】映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)がモニタ機種に依存せずにほぼ一定値(映像信号の有効範囲に対して85〜90%)になっている事象に着目し、複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理する工程と、オペレータ操作によって予め設定してある映像抽出率(例えば88%)にあわせ、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出する工程と、モニタの有効表示範囲を等分割した各エリアに前記映像範囲それぞれ配置するよう映像を合成する工程とによって、複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理し、同一画面上に複数の映像を同時に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理し、同一画面上に複数の映像を表示する分割表示装置、及び分割表示方法並びに分割表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図5(a)に示すように、画像メモリなどの映像合成部から構成される分割表示装置10に、複数の映像入力装置(第1〜第nカメラ)20と一台のモニタ30(例えば、CRTまたはLCDテレビモニタ)を接続した映像表示システムにおいて、前記分割表示装置10で、複数の映像入力装置(第1〜第nカメラ)20から入力されるソース映像(第1〜第nソース映像)を縮小合成した映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号をモニタ30に入力することによって、一台のモニタ30(同一画面上)に複数の映像を同時に表示する分割表示方法が知られている。(例えば、特許文献1から4を参照)
従来技術による分割表示方法では、例えば同一画面上に4つの映像を同時に表示する場合(4分割表示)、第1カメラから入力される第1ソース映像と、第2カメラから入力される第2ソース映像と、第3カメラから入力される第3ソース映像と、第4カメラから入力される第4ソース映像との、4つのソース映像をそれぞれ垂直方向及び水平方向に1/2ずつ縮小処理するとともに(垂直方向及び水平方向の縮小率=1/m,〔m=整数〕)、これら4つの縮小映像を1つに合成した映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタ30に入力してモニタ画面に表示し、同一画面上に4つの映像(第1〜第4ソース映像の縮小映像)を同時に表示する(図5(b)を参照)。
このときモニタ30に入力される映像信号(合成映像)は、映像信号の有効範囲を4等分した各エリア(エリアA〜D)に前記4つ縮小映像(第1〜第4ソース映像)をそれぞれ配置するように合成したものである。
【特許文献1】特開平7−077965号公報
【特許文献2】特開平6−292078号公報
【特許文献3】特開平6−035436号公報
【特許文献4】特開平5−037873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
モニタ画面に映像を表示するにあたって、一般のモニタ装置(CRTまたはLCDテレビモニタなど)では、モニタに入力される映像信号の有効範囲に対してモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)が100%ではなく、映像信号の有効範囲よりモニタの有効表示範囲の方が小さい関係にある。これによって、モニタ入力された映像信号の周縁に表示欠落領域(図中の格子領域)が発生する。そしてこの映像表示率は、モニタ機種に関わらずにほぼ一定値(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)となっている事が知られている。
図6は、1台の映像入力装置(第1カメラ)20から入力されたソース映像(第1ソース映像)をそのまま映像信号としてモニタ30に入力し、モニタ画面に第1ソース映像を表示(等倍表示)したときの、映像信号の有効範囲とモニタの有効表示範囲との関係を説明するものである。図6に示すように、映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)が88%であると映像信号の周縁に6%ずつの表示欠落領域(格子領域)が発生するため、第1カメラから入力された第1ソース映像の周縁6%ずつがモニタに表示されない。
【0004】
複数の映像入力装置(第1〜nカメラ)20から入力される複数のソース映像を縮小合成して生成した映像信号(合成映像)をモニタ30に入力し、同一画面上に複数の映像を同時に表示する分割表示でも、モニタに入力された映像信号の周縁に6%ずつの表示欠落領域(格子領域)が発生する。しかしながら前記表示欠落領域が発生した映像信号は複数のソース映像を縮小合成したものであるため、映像信号に対する表示欠落領域の割合が小さくても、ソース映像を縮小処理したときの縮小比(ソース映像を垂直方向及び水平方向に1/mずつ縮小処理したときの〔m〕の値)が大きいほど、1つのソース映像に対する表示欠落領域の割合が大きくなる。
【0005】
従来技術による分割表示方法では、例えば4分割表示をする場合、図7(a)に示すように、4基の映像入力装置(第1〜第4カメラ)から入力された4つのソース映像(第1〜第4ソース映像)をそれぞれ垂直方向及び水平方向に1/2ずつ縮小処理するとともに(縮小処理された各ソース映像の大きさは、映像信号の有効範囲に対して1/4となる)、当該縮小処理した4つのソース映像を、映像信号の有効範囲を4等分(縦方向に2等分、横方向に2等分)した各エリア(エリアA〜D)にそれぞれ配置するように合成し、当該映像信号をモニタに入力して同一画面上に4つの映像を同時に表示する。そのため、モニタ装置の映像表示率(88%)にしたがって映像信号の周縁に6%ずつの表示欠落領域が発生したとき、エリアAに配置される第1ソース映像には、右側と上側にそれぞれ12%ずつの表示欠落領域が発生していた(図7(b)を参照)。
また例えば16分割表示をする場合、図8(a)に示すように、16基の映像入力装置(第1〜第16カメラ)から入力された16のソース映像(第1〜第16ソース映像)をそれぞれ垂直方向及び水平方向に1/4ずつ縮小処理するとともに(縮小処理された各ソース映像の大きさは、映像信号の有効範囲に対して1/16となる)、当該縮小処理した16のソース映像を、映像信号の有効範囲を16等分(縦方向に4等分、横方向に4等分)した各エリア(エリアA〜P)にそれぞれ配置するように合成し、当該映像信号をモニタに入力して同一画面上に16の映像を同時に表示する。そのため、モニタ装置の映像表示率(88%)にしたがって映像信号の周縁に6%ずつの表示欠落領域が発生したとき、エリアAに配置される第1ソース映像には、右側と上側にそれぞれ24%ずつの表示欠落領域が発生していた(図8(b)を参照)。
すなわち従来技術による分割表示方法では、等倍表示した時の表示映像にくらべ分割表示したときの表示映像では、ソース映像に対する表示欠落領域が大きく、また偏って発生してしまうといった問題点があった。また等倍表示と分割表示とのソース映像における表示欠落領域の差が大きいため、同一のソース映像にも拘わらず、等倍表示のときの映像と分割表示のときの映像とに大きな差が生じ、分割表示から等倍表示に切り替えたときに違和感が生じるといった問題点があった(図6、図7(b)、図8(b)を参照)。
【0006】
なお、分割表示するためにソース映像を縮小処理する際、モニタの有効表示範囲内におさまるように、各ソース映像を縮小処理(垂直方向及び水平方向の縮小率=1/m´,〔m´≠整数〕)した縮小映像を合成し、その映像信号をモニタに入力することによって、同一画面上に複数の映像を同時に表示(分割表示)した際、各ソース映像の表示欠落領域を無くすることができるが、分割画面上に等倍表示時に表示されない部分が表示されることとなり、等倍表示のときの映像と分割表示のときの映像に差があるために、違和感が生じてしまう。
つまり、第1カメラからから入力される第1ソース映像をそのまま映像信号としてモニタ画面に表示した場合(等倍表示)、映像表示率にしたがって映像信号(第1ソース映像)の周縁に僅かな表示欠落領域が発生する。これに対し、モニタの有効表示範囲内におさまるように各ソース映像を縮小合成処理して分割表示した場合、各ソース映像の周縁には表示欠落領域が無いため、等倍表示時には表示されていなかった部分(表示欠落領域)の映像が分割表示画面に表示されることとなり、等倍表示のときの映像と分割表示のときの映像とに差が生じ、違和感が生じるといった問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)がモニタ機種に依存せずにほぼ一定値(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)になっている事象に着目し、モニタ画面に表示されるソース映像の等倍表示と分割表示とに大きな差を生じさせることなく、分割表示から等倍表示に切り替えたときに違和感が生じることがない分割表示装置、分割表示方法及び分割表示プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示映像装置は、映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)がモニタ機種に依存せずにほぼ一定値(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)になっている事象に着目し、オペレータ操作によりモニタの映像表示率に対応させて映像抽出率(例えば88%)を予め設定し、当該映像抽出率を記憶(固定化)しておく手段と、複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理する手段と、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出する手段と、前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させる手段とを備え、複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理し、同一画面上に複数の映像を同時に表示させるものである。
また本発明の分割表示方法及び分割表示プログラムは、複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理した後、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出し、前記映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させることによって、同一画面上に複数の映像を同時に表示させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1カメラから入力されるソース映像をそのまま映像信号としてモニタに入力し、モニタ画面上に第1カメラからのソース映像を等倍表示する場合と、複数のカメラ(第1〜第nカメラ)から入力される複数のソース映像(第1〜第nソース映像)を縮小合成した映像信号をモニタに入力し、画面上に複数の映像を同時に表示(分割表示)する場合とでは、同一のソース映像であれば、縮小率のみが異なる同一映像がモニタに表示されるため、分割表示したときの映像と等倍表示したときの映像に違和感が発生することがない。
また同一画面上に複数の映像を同時に表示する場合(分割表示)、オペレータがモニタの映像表示率(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)に対応させて予め設定しておいた映像抽出率にしたがって各ソース映像の周縁を均等に欠落させるため、一部のソース映像に表示欠落領域が偏って形成される虞がなく、見やすい分割表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例による分割表示装置及び分割表示方法、分割表示プログラムについて図1乃至図4を参照して説明する。
【0011】
本発明による分割表示方法は、画像メモリなどの映像合成部から構成される分割表示装置10に、複数の映像入力装置(第1〜第nカメラ)20と一台のモニタ30(例えば、CRTまたはLCDテレビモニタ)を接続した映像表示システム(図5(a)を参照)などで用いられる。
前記分割表示装置10では、複数の映像入力装置(第1〜第nカメラ)20から入力された複数のソース映像(第1〜第nソース映像)を画像処理(縮小合成)して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタ30に入力することによって、同一画面上に複数の映像を同時に表示させる。
【0012】
そして本発明による分割表示装置10では、映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)がモニタ機種に依存せずにほぼ一定値(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)になっている事象に着目し、オペレータ操作によって前記モニタの映像表示率に対応させた映像抽出率(例えば88%)を予め設定し、当該映像抽出率を記憶(固定化)する手段を有する。
また複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理する手段と、縮小処理した各ソース映像から前記映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出する手段と、前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させる手段とを備え、複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理して同一画面上(一台のモニタ30)に複数の映像を同時に表示させる。
【0013】
また本発明の分割表示方法では、複数の映像入力装置20から入力した各ソース映像(第1〜第nソース映像)をモニタ30の画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理する工程と、オペレータ操作によって予め設定した映像抽出率(例えば88%)にあわせ、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出する工程と、前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させる工程とによって、複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理して同一画面上(一台のモニタ30)に複数の映像を同時に表示させる。
【0014】
さらに本発明の分割表示プログラムは、複数の映像入力装置20から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理するステップと、オペレータ操作によって予め設定した映像抽出率(例えば88%)にあわせ、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出するステップと、前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させるステップとによって、複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理して同一画面上(一台のモニタ30)に複数の映像を同時に表示させるように機能させるものである。
【0015】
映像入力装置20から入力されるソース映像の数(合成するソース映像の数)に合わせてモニタ30の画面分割数を設定するにあたって、垂直方向の分割数〔m=整数〕と水平方向の分割数〔mL=整数〕とを同じ値にすることが好ましい。つまりモニタの有効表示範囲を垂直方向及び水平方向に〔m〕ずつ等分割することが好ましい(m=m=m;整数)。
そして各ソース映像を前記画面分割数に合わせて縮小処理する。このとき各ソース映像の縮小比(垂直方向の縮小率〔1/m〕と水平方向の縮小率〔1/mL〕とにおける、〔m〕と〔mL〕の値)を整数比固定とし、かつ垂直方向の縮小率と水平方向の縮小率とを同じ値にすることが好ましい。つまり各ソース映像を、垂直方向及び水平方向に〔1/m〕ずつ縮小することが好ましい(m=m=m;整数)。
【0016】
オペレータ操作によって設定され固定化(記憶)された映像抽出率(例えば88%)によってソース映像から抽出した映像範囲を合成してなる映像信号は、映像信号の有効範囲より映像抽出率分小さく生成され、有効範囲よりも小さく合成された映像信号(有効範囲の88%)がモニタ30に入力される。
ここで、モニタに入力される映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)は完全な共通値ではないものの一般的に約85〜90%となっており、当該映像表示率に対応する値(85〜90%の何れかの数値)を映像抽出率として固定化(記憶)し、画面分割数にあわせて縮小処理した縮小映像から前記映像抽出率の映像範囲を抽出して合成した映像信号をモニタ30に入力することによって、等倍表示と分割表示との映像の違和感は殆ど無くなる。
なお、87〜88%の何れかの数値を映像抽出率として固定化(記憶)することが好ましい。例えば88%を映像抽出率として固定化した場合、前記映像抽出率(88%)とモニタ30の映像表示率(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)とが相違しても3%以下であり、複数のソース映像を合成した映像信号に対して周縁約1.5%以下の極僅かな表示欠落領域が発生するだけなので、等倍表示と分割表示との映像の違和感は殆ど無い。
【0017】
つまり対象モニタ機器別に映像表示率を正確に取得し、正確な映像表示率にあわせて映像抽出率を設定しなくても、85〜90%の何れかの数値(例えば88%)を映像抽出率として固定化(記憶)しておき、当該固定化された映像抽出率にて抽出した各映像範囲を合成処理することによって、従来技術による分割表示方法や分割表示装置と比較すれば全く問題が無い程度に分割表示することができる。
また仮に、固定化されている映像抽出率(例えば88%)をもとに複数のソース映像を合成した映像信号をモニタ(例えば映像表示率85%)に入力したときに発生する映像信号の表示欠落領域によって、モニタ画面に表示されるソース映像の等倍表示と分割表示とに違和感がある場合は、より厳密にモニタの映像表示率(85%)に一致させるようにして映像抽出率(例えば85%)を再設定(切り替え)すればよい。この場合、分割表示装置10には、映像抽出率を固定化(記憶)する手段とともに、オペレータ操作によって前記映像抽出率を再設定(切り替え)できる手段とを設けておく。
【0018】
なお、縮小処理した各ソース映像から映像抽出率(例えば88%)の映像範囲を抽出するにあたって、各ソース映像(縮小)から周縁を均一に欠落させるようにして、ソース映像中央の映像範囲をそれぞれ抽出し、さらに前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成するにあたって、生成した映像信号(映像信号の有効範囲に対して88%の範囲)が、映像信号の有効範囲の中央に配置されるように各映像範囲を合成する。
そして各映像範囲を合成した映像信号(有効範囲の88%)をモニタ30に入力して、モニタの有効表示範囲(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)に前記映像信号を表示する。
【0019】
これによって、1基の映像入力装置(例えば第1カメラ)から入力された1つのソース映像(例えば第1ソース映像)を縮小処理することなくそのまま映像信号となし、モニタに前記ソース映像を等倍表示した場合の表示映像(モニタの有効表示範囲(映像表示率85〜90%)に表示された第1ソース映像)と、4基の映像入力装置(第1〜第4カメラ)から入力された4つのソース映像(第1〜第4ソース映像)をモニタ(同一画面上)に4分割表示した場合の第1ソース映像に関する表示映像(縮小処理した第1ソース映像から映像抽出率(例えば88%)を抽出した映像範囲)とに殆ど差がなく(縮小率のみ異なる同一映像)、画像表示領域を同じによう表示することができる。
4分割表示する場合、4基の映像入力装置から入力された4つのソース映像(第1〜第4ソース映像)をそれぞれ垂直方向及び水平方向に1/2ずつ縮小処理するとともに、縮小処理した各ソース映像から映像抽出率(例えば88%)の映像範囲を抽出し、これら4つの映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成する。このとき有効範囲の88%の領域を4つに等分割した各エリア(縦×横=2×2)に、前記4つの映像範囲をそれぞれ配置するように合成して映像信号を生成し、当該映像信号(有効範囲の88%)をモニタ30に入力することによってモニタの有効表示範囲(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)に4つの映像を分割表示する。
【0020】
次に図1から図3を参照して、4基の映像入力装置(第1〜第4カメラ)から入力される4つのソース映像(第1〜第4ソース映像)を縮小合成し、同一画面上に4つの映像を同時に表示する4分割表示方法を説明する。
この実施例では、従来技術と同様に、映像信号の有効範囲を4等分した4つのエリア(エリアA〜D)に、画面分割数(4)にあわせて整数比にて縮小処理した第1〜第4ソース映像(縮小映像)をそれぞれ配置した映像信号に対し(図1(a)を参照)、各縮小映像から映像抽出率(例えば88%)の映像範囲をそれぞれ抽出し、有効範囲の88%の領域を4つに等分割した各エリア(エリアA´〜D´)に前記各映像範囲をそれぞれ配置するように合成(アドレス変換)することによって映像信号を再構築し(画像メモリへ書込み)、当該再構築した映像信号(表示用映像信号)をモニタに入力することによって、モニタ画面(モニタの有効表示範囲)に4つの映像を同時に表示するものである。
【0021】
4分割表示では、第1カメラから入力される第1ソース映像と、第2カメラから入力される第2ソース映像と、第3カメラから入力される第3ソース映像と、第4カメラから入力される第4ソース映像との、4つのソース映像をそれぞれ垂直方向及び水平方向に1/2ずつ縮小処理し、4つの縮小映像を生成した(図1(a)を参照)。なお各縮小映像の大きさは、モニタに入力される映像信号の有効範囲の1/4である。
【0022】
また本発明では、映像信号の有効範囲に対するモニタの有効表示範囲の割合(映像表示率)はモニタ機種に依存せずにほぼ一定値(映像信号の有効範囲に対して約85〜90%)となっている事象に着目し、前記モニタの有効表示範囲(映像表示率)に対応させるようにしてオペレータ操作によって映像抽出率(例えば88%)を予め設定し、その映像抽出率を固定化(記憶)しておく。
そして前記縮小処理した各ソース映像(4つの縮小映像)から、前記映像抽出率(例えば88%)の映像範囲をそれぞれ抽出するとともに(図1(a)の点線枠領域を参照)、各ソース映像から抽出された映像範囲を、有効範囲の88%の領域を4等分した各エリア(エリアA´〜D´)にそれぞれ配置することによって、前記4つの映像範囲を合成して1つの映像信号を生成する(図1(b)を参照)。
なおモニタの映像表示率が88%である場合(映像表示率と映像抽出率が同じ場合)、映像信号(合成映像)を構成する4つの映像範囲は、モニタの有効表示範囲を4等分した各エリア(エリアA´〜D´)にそれぞれ配置されるようにして表示される。(図3(a)を参照)
【0023】
図2は、映像信号の有効範囲が〔200画素×200画素〕であり、映像抽出率を88%とした場合に、4分割表示する方法を説明する図である。なお上記画素数(200画素×200画素)は本発明による分割表示方法の説明を簡便化する為の画素数であり、実際の映像信号の画素数を表すものではない。また以下の説明で用いる画素数も同様である。
この発明による分割表示方法によれば、4分割表示する場合、第1〜第4ソース映像を水平方向及び垂直方向に1/2ずつ縮小処理し、4つの縮小映像(100画素×100画素)を生成するとともに、各縮小映像それぞれから映像抽出率88%の映像範囲(88画素×88画素)を抽出し、これら4つの映像範囲を合成して1つの映像信号を生成することによって、映像信号の有効範囲の88%である映像信号(176画素×176画素)を生成する。
【0024】
図2(a)は、第1〜第4ソース映像をそれぞれ縮小処理した4つの縮小映像(100画素×100画素)を、映像信号の有効範囲(200画素×200画素)を4等分した4つのエリア(エリアA〜エリアD)に、それぞれ配置した状態を示す図である。
なお各エリア(エリアA〜エリアD)の中心と各ソース映像の中心が重なるように配置され、例えばエリアBの中心点B(座標〔H,V〕=(50,50))に第2ソース映像(縮小映像)の中心が重なるように配置される。
【0025】
そして、前記各エリア(エリアA〜D)に配置されている各縮小映像(100画素×100画素)から映像抽出率88%の映像範囲(88画素×88画素)を抽出する。図2(a)に示す実施例では、各縮小映像の周縁6%(周縁6画素)ずつが欠落する。
【0026】
図2(b)は、4つの縮小映像(100画素×100画素)から抽出した映像抽出率の映像範囲(88画素×88画素)を、有効範囲の88%の領域(176画素×176画素)を4等分した4つのエリア(エリアA´〜エリアD´)に、それぞれ配置した状態を示す図である。
なお各エリア(エリアA´〜エリアD´)の中心と各ソース映像の中心が重なるように配置され、例えばエリアB´の中心点B´(座標〔H,V〕=(44,44))に、第2ソース映像(縮小映像)の中心が重なるように配置される。
【0027】
つまり複数のソース映像が入力された画像メモリ20において、各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理した各縮小映像を、映像信号の有効範囲を4等分した4つのエリア(エリアA〜D)にそれぞれ配置した状態から、前記各縮小映像から映像抽出率の映像範囲を抽出し、当該4つの映像範囲のアドレスを、モニタ画面中心方向(映像信号の有効範囲の中心方向)に向かって一律に移動させる(アドレス変換)。4つの映像範囲のアドレスを変換することによって映像信号を再構築して画像メモリに書込み、当該再構築された映像信号(表示用映像信号)をモニタに入力することによって、同一画面上に複数の映像を同時に表示する。
【0028】
なお映像信号を再構築して画像メモリに書き込むにあたって、単純に座標変換(アドレス変換)を映像信号の有効範囲外にも適用してしまうと、帰線期間に存在する制御信号がモニタの有効範囲に配置され表示されてしまうなどの弊害が発生するため、帰線期間の画像メモリへの取り込みを禁止するように処理したり、取込み時の帰線期間に対応した領域の画像メモリ表示時にマスク処理を追加したりする。
【0029】
映像信号の有効範囲を4等分した各エリアに縮小映像を配置しただけの従来技術の4分割表示方法に対し、本発明による4分割表示方法では(図2(b)を参照)、エリアA´に配置される第1ソース映像の縮小映像から抽出された映像範囲(88画素×88画素)と、エリアB´に配置される第2ソース映像の縮小映像から抽出された映像範囲(88画素×88画素)と、エリアC´に配置される第3ソース映像の縮小映像から抽出された映像範囲(88画素×88画素)と、エリアD´に配置される第4ソース映像の縮小映像から抽出された映像範囲(88画素×88画素)とが、それぞれモニタ画面の中心方向に向かって、水平方向及び垂直方向に6画素ずつ移動する。つまり映像信号の有効範囲(200画素×200素)を4等分した各エリア(エリアA〜D)に配置された第1〜第4ソース映像の〔1/2×1/2〕縮小映像から映像抽出率88%の映像範囲をそれぞれ抽出するとともに、抽出した各映像範囲(88画素×88画素)を前記各縮小映像(100%)に対して水平方向及び垂直方向に6%ずつ有効範囲の中心(モニタ画面の中心方向)に向かって移動させることによって、映像信号の有効範囲の88%の領域(176画素×176画素)を4等分した各エリア(エリアA´〜D´)に4つの映像範囲をそれぞれ配置した映像信号を生成し、当該映像信号をモニタに入力する。
【0030】
図3は、4つの映像(第1〜4ソース映像)をモニタ画面に4分割表示した状態を示すものである。
図3(a)に示すように、モニタの有効表示範囲と映像表示率とが同じ値である場合(映像抽出率88%=映像表示率88%)、4つのソース映像を合成した映像信号に表示欠落領域が発生することなく、等倍表示と分割表示の映像に全く差が発生しない。
一方、3(b)に示すように、モニタの有効範囲と映像表示率とが同じ値でない場合(映像抽出率88%≠映像表示率86%)、4つのソース映像を合成した映像信号に表示欠落領域(格子領域)が発生するが、当該表示欠落領域が従来の分割表示方法と比較して極僅かであるため、等倍表示と分割表示の映像に殆ど違和感がない。
【0031】
図4は、映像信号の有効範囲が〔200画素×200画素〕であり、映像抽出率を88%とした場合に、16分割表示する方法を説明する図である。
この発明による分割表示方法によれば、16分割表示する場合、第1〜第16ソース映像を水平方向及び垂直方向に1/4ずつ縮小処理し、16の縮小映像(50画素×50画素)を生成するとともに、各縮小映像それぞれから映像抽出率88%の映像範囲(44画素×44画素)を抽出し、これら16の映像範囲を合成して1つの映像信号を生成することによって、映像信号の有効範囲の88%である映像信号(176画素×176画素)を生成する。
【0032】
図4(a)は、第1〜第16ソース映像をそれぞれ整数比にて縮小処理した16の縮小映像(50画素×50画素)を、映像信号の有効範囲(200画素×200画素)を16等分した16のエリア(エリアA〜エリアP)に、それぞれ配置した状態を示す図である。
なお各エリア(エリアA〜エリアP)の中心と各ソース映像の中心とが重なるように配置され、例えばエリアCの中心点C(座標〔H,V〕=(25,75))に第3ソース映像(縮小映像)の中心が重なり、エリアDの中心点D(座標〔H,V〕=(75,75))に第4ソース映像(縮小映像)の中心が重なり、エリアGの中心点G(座標〔H,V〕=(25,25))に第7ソース映像(縮小映像)の中心が重なり、エリアCの中心点C(座標〔H,V〕=(75,25))に第8ソース映像(縮小映像)の中心が重なるようそれぞれが配置される。
【0033】
そして、前記各エリア(エリアA〜P)に配置されている各縮小映像(50画素×50画素)から映像抽出率88%の映像範囲(44画素×44画素)を抽出する。図4(a)に示す実施例では、各縮小映像の周縁3画素(縮小映像100%に対して周縁6%)ずつが欠落する。
【0034】
図4(b)は、16の縮小映像(50画素×50画素)から抽出した映像抽出率の映像範囲(44画素×44画素)を、有効範囲の88%の領域(176画素×176画素)を16等分した16のエリア(エリアA´〜エリアP´)に、それぞれ配置した状態を示す図である。
なお各エリア(エリアA´〜エリアP´)の中心と各ソース映像の中心が重なるように配置され、例えばエリアB´の中心点B´(座標〔H,V〕=(44,44))に第2ソース映像(縮小映像)の中心が重なるように配置されている。
つまり、ソース映像を画面分割数にあわせて縮小処理した各縮小映像を、映像信号の有効範囲を16等分した16つのエリア(エリアA〜P)にそれぞれ配置した状態から、前記各縮小映像から映像抽出率の映像範囲を抽出し、この16の映像範囲をアドレス変換して中心方向に向かって一律に移動させる。
【0035】
有効範囲の88%の領域を16等分(縦方向に4等分、横方向に4等分)した各エリア(エリアA´〜P´)では、それぞれ中心点が映像信号の有効範囲の中心(モニタ画面の中心方向)に向かって移動する。
縦中央に配列された縦2列のエリア(エリアB,F,J,N,C,G,K,O)にそれぞれ配置される各映像範囲は、縮小映像100%に対して6%(3画素)中心方向に向かって水平方向に移動する。またその隣の縦列に配列されたエリア(エリアA,E,I,M,D,H,L,P)にそれぞれ配置される各映像範囲は、縮小映像100%に対して18%(9画素)中心方向に向かって水平方向に移動する。
横中央に配列された横2列のエリア(E,F,G,H,I,J,K,L)にそれぞれ配置される各映像範囲は、縮小映像100%に対して6%(3画素)中心方向に向かって垂直方向に移動する。またその隣の横列に配列されたエリア(A,B,C,D,M,N,O,P)にそれぞれ配置される各映像範囲は、縮小映像100%に対して18%(9画素)中心方向に向かって垂直方向に移動する。
【0036】
つまり16のソース映像が入力された画像メモリ20において、各ソース映像を画面分割数(16)にあわせて整数比にて縮小処理した16の縮小映像(水平方向及び垂直方向に1/4)を、映像信号の有効範囲を16等分した16のエリア(エリアA〜P)にそれぞれ配置した状態から、前記各縮小映像から映像抽出率(88%)の映像範囲を抽出し、当該16の映像範囲のアドレスを、映像信号の有効範囲の中心(モニタ画面の中心方向)に向かって一律に移動させる(アドレス変換)。このように、16の映像範囲のアドレスを変換することによって映像信号を再構築して画像メモリに書込み、当該再構築された映像信号(表示用映像信号)をモニタに入力することによって、同一画面上に複数の映像を同時に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による4分割表示方法の概要を説明する図である。
【図2】本発明による4分割表示方法を説明する図である。
【図3】本発明による分割表示方法によって4分割表示した状態を示す図である。
【図4】本発明による16分割表示方法を説明する図である。
【図5】映像表示システムを説明する図である。
【図6】映像信号の有効範囲とモニタの有効表示範囲との関係を説明する図である。
【図7】従来技術による4分割表示方法を説明する図である。
【図8】従来技術による16分割表示方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0038】
10 分割表示装置
20 映像入力装置
30 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータ操作によって予め設定した映像抽出率を固定化(記憶)しておく手段と、
複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理する手段と、
縮小処理した各ソース映像から前記映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出する手段と、
前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させる手段とを備え、
複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理し、同一画面上に複数の映像を同時に表示することを特徴とする分割表示装置。
【請求項2】
複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理する工程と、
オペレータ操作によって予め設定した映像抽出率にあわせ、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出する工程と、
前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させる工程とによって、
複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理し、同一画面上に複数の映像を同時に表示することを特徴とする分割表示方法。
【請求項3】
映像入力装置から入力された各ソース映像を画面分割数に合わせて縮小処理するにあたって、垂直方向と水平方向の縮小率(1/m)が同じであることを特徴とする請求項2に記載の分割表示方法。
【請求項4】
複数の映像入力装置から入力した各ソース映像を画面分割数にあわせて整数比にて縮小処理するステップと、
オペレータ操作によって予め設定した映像抽出率にあわせ、前記縮小処理した各ソース映像から映像抽出率の映像範囲をそれぞれ抽出するステップと、
前記各映像範囲を合成して1つの映像信号(合成映像)を生成し、当該映像信号(合成映像)をモニタの有効表示範囲に表示させるステップとによって、
複数の映像入力装置から入力したソース映像を画像処理し、同一画面上に複数の映像を同時に表示させるように機能させる分割表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−156094(P2007−156094A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350873(P2005−350873)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】