説明

分娩台における児受け台支持構造

【課題】 基枠に対する児受け支持部31(ひいては、児受け台)の前後進方向におけるロック解除を行うときに、ロック解除用操作部を操作する力を特に強くする必要がないために、児受け台を前後進させる操作を比較的容易に行うことができるとともに、児受け台を軽快に前後進させることができる、分娩台における児受け支持構造を提供する。
【解決手段】 児受け支持部側と基枠側とのうちの一方に設けられた前後一対の爪部材44、46の前後一対の係合用凸部44a、46aが、児受け支持部側と上記基枠側とのうちの他方に設けられた第2の係合部34の係合用突出部35の前後両側面35a、35bにそれぞれ当接することによって、係合用突出部35が、前後一対の爪部材44、46に対して、前後方向における相対的な移動を阻止される。そして、ロック解除用操作部の操作によって、前後一対の爪部材44、46と係合用突出部35との上記当接による相互の係合が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分娩によって患者から生まれ出てくる新生児を受けるための児受け台と、上記児受け台を支持するための児受け支持部と、上記児受け支持部を前後進可能に支持している基枠と、上記児受け支持部と上記基枠とのうちの一方に設けられた第1の係合部と、上記児受け支持部と上記基枠とのうちの他方に設けられた第2の係合部と、上記第1の係合部と上記第2の係合部との相互の係合を解除するために操作されるロック解除用操作部とを備え、上記第1の係合部と上記第2の係合部との相互の係合と係合解除とによって、上記基枠に対する上記児受け支持部の前後進方向におけるロックとロック解除とがそれぞれ行われるように構成された、分娩台における児受け台支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上述のような児受け台支持構造を備えている分娩台(以下、「特許文献1の分娩台」という。)が開示されている。そして、この特許文献1の分娩台の児受け台支持構造においては、昇降基枠の側に対する児受け支持機構の側の前後進方向におけるロックとロック解除とがそれぞれ行われるようにするために、市販のロック機構が用いられている。そして、この市販のロック機構は、上記第1の係合部としての円筒状係合部材を児受け支持部側に備えるとともに、上記第2の係合部としての長手状でロッド状の係合部材を昇降基枠側に備えている。そして、上記ロッド状係合部材は、上記円筒状係合部材の中空部分を貫通して延在している。また、上記円筒状係合部材には、クラッチ用ばねが設けられている。そして、上記ロック解除用操作部を操作していないときには、上記クラッチ用ばねが上記ロッド状係合部材をクランプしているので、上記円筒状係合部材は、上記ロッド状係合部材にロックされている。なお、上記ロック解除用操作部を操作したときには、上記クラッチ用ばねが上記ロッド状係合部材のクランプを解除するので、上記ロックは解除される。このために、上記児受け支持部側を上記昇降基枠側に対して前後進させることが可能になるので、上記児受け台を、手動などによって、上記基枠に対して前後進させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように構成された特許文献1の分娩台の児受け台支持構造においては、児受け台の前後進位置を正確にかつ確実に規制するためには、上記ロッド状係合部材を上記クラッチ用ばねによってクランプする力を、強くする必要がある。このために、上記ロック解除を行うときには、上記ロック解除用操作部を操作する力を、同様に強くする必要がある。そして、上記児受け台を前後進させている間には、上記操作力を継続して強くしておく必要がある。さらに、上記児受け台を前後進させている間にも、上記クラッチ用ばねによる抵抗力が、上記ロッド状係合部材に作用するので、児受け台を軽快に前後進させることができない。
【0005】
本発明は、特許文献1の分娩台の児受け台支持構造における上述のような欠点を、比較的簡単な構成でもって、効果的に是正し得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分娩によって患者から生まれ出てくる新生児を受けるための児受け台と、上記児受け台を支持するための児受け支持部と、上記児受け支持部を前後進可能に支持している基枠と、上記児受け支持部と上記基枠とのうちの一方に設けられた第1の係合部と、上記児受け支持部と上記基枠とのうちの他方に設けられた第2の係合部と、上記第1の係合部と上記第2の係合部との相互の係合を解除するために操作されるロック解除用操作部とを備え、上記第1の係合部と上記第2の係合部との相互の係合と係合解除とによって、上記基枠に対する上記児受け支持部の前後進方向におけるロックとロック解除とがそれぞれ行われるように構成された、分娩台における児受け台支持構造において、上記第1の係合部が、前後一対の係合用凸部を有する前後一対の爪部材を備え、上記第2の係合部が、ほぼ前後方向に延在するように上記他方に設けられていて、ほぼラック形状であり、上記前後一対の係合用凸部が上記第2の係合部の係合用突出部の前後両側面にそれぞれ当接することによって、上記係合用突出部が上記前後一対の爪部材に対して前後方向における相対的な移動を阻止されるように構成され、上記ロック解除用操作部の操作によって、上記前後一対の爪部材と上記係合用突出部との上記当接による相互の係合が解除されるように構成されていることを特徴とする児受け台支持構造に係るものである。
【0007】
そして、本発明は、その第1の実施態様においては、上記児受け支持部がリンク機構であるのが好ましい。また、本発明は、その第2の実施態様においては、上記第1の係合部が、上記児受け支持部に設けられた可動側の係合機構であり、上記可動側係合機構が、上記児受け支持部に対して回動可能に構成されている作動部材と、上記作動部材の回動中心とは異なる共通の回動中心を有する前後一対の連結レバーと、上記前後一対の連結レバーがそれぞれ連結されかつ上記児受け支持部に対して回動可能に構成されている上記前後一対の爪部材とを備え、上記前後一対の連結レバーと上記前後一対の爪部材との上記連結のそれぞれが、係合用軸部と、上記係合用軸部が挿入されている長孔とを有する連結機構によって行われているのが好ましい。さらに、本発明は、その第3の実施態様においては、上記第2の係合部の上記係合用突出部の上記前後両側面のそれぞれが、上記前後一対の爪部材の回動中心を円の中心とするほぼ円弧状に構成された領域を有し、上記前後一対の爪部材の上記前後一対の係合用凸部が、上記ほぼ円弧状の領域において、上記第2の係合部の上記係合用突出部の上記前後両側面のそれぞれに当接するように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基枠に対する児受け支持部(ひいては、児受け台)の前後進方向におけるロック解除を行うときに、ロック解除用操作部を操作する力を、特に強くする必要がないので、児受け台を前後進させる操作を、比較的容易に行うことができるとともに、児受け台を軽快に前後進させることができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明によれば、下降位置(例えば、本来の児受け台として機能し得る位置)と上昇位置(例えば、分娩台のベッド状態におけるベッド部分の補助台として機能し得る位置)との間での児受け台の昇降動作を、比較的簡単な構成でもって、容易にかつ軽快に行うことができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明によれば、比較的簡単な構成でもって、児受け台の前後進操作を、比較的容易に行うことができるとともに、児受け台を円滑にかつ軽快に前後進させることができる。
【0011】
さらに、請求項4に係る発明によれば、前後一対の爪部材の前後一対の係合用凸部を、第2の係合部の係合用突出部の前後両側面に、円滑に当接させることができるので、第1の係合部と第2の係合部との相互の係合と係合解除とを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した一実施例における分娩台のベッド状態での概略的な斜視図である。(実施例1)
【図2】図1の分娩台の、図1と同様のベッド状態での右側面図である。(実施例1)
【図3】図1の分娩台の、図1と同様のベッド状態での平面図である。(実施例1)
【図4】図1の分娩台の支脚器使用状態での右側面図である。(実施例1)
【図5】図1の分娩台の、図4と同様の支脚器使用状態でかつ第2の児受け台使用状態での平面図である。(実施例1)
【図6A】図2に示す児受け台支持構造の、図2と同様のベッド状態での右側面図である。(実施例1)
【図6B】図6Aの児受け台支持構造の第1の児受け台使用状態での右側面図である。(実施例1)
【図6C】図6Aの児受け台支持構造の児受け台収納状態での右側面図である。(実施例1)
【図7】図6Aに示す児受け台支持構造のロック機構のロック状態での拡大右側面図である。(実施例1)
【図7A】図7に示すロック機構の要部の拡大図である。(実施例1)
【図8】図7のロック機構のロック解除状態での右側面図である。(実施例1)
【図9】図8のロック機構の、図8に示すロック解除状態から図7に示すロック状態に移行する第1の移行段階での右側面図である。(実施例1)
【図10】図8のロック機構の、図8に示すロック解除状態から図7に示すロック状態に移行する第2の移行段階での右側面図である。(実施例1)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明を適用した一実施例を、「1、分娩台の概略的な構成」、「2、児受け台支持構造の構成」、「3、分娩台の概略的な動作」、「4、児受け台支持構造の動作」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
1、分娩台の概略的な構成
分娩台1は、図1、図2および図4に示すように、産科などの分娩室の床面上などに設置される第1の基枠としてのキャスタ付き下側基枠2を備えている。したがって、この下側基枠2は、例えばその四隅にそれぞれキャスタ3を有している。そして、これらのキャスタ3は、上記床面上などに配置されるように構成されている。さらに、キャスタ付き下側基枠2上には、第2の基枠としての昇降基枠4が例えば前後一対の周知の昇降機構5a、5bを介して配設されている。なお、これらの昇降機構5a、5bは、例えば、モータ駆動される送りねじ機構であってよい。そして、昇降基枠4は、扁平な箱型形状の基枠本体(図示せず)を有していてよく、また、この基枠本体をそれぞれ被覆している上側カバー部6aおよび下側カバー部6bが互いに一体化されているカバー部材6を有していてよい。
【0015】
前側の昇降機構5aには、図2および図4に示すように、昇降基枠4の前側部分が前側の支軸7によって回動可能に軸支されている。また、後側の昇降機構5bには、昇降基枠4の後側部分が後側の支軸(図示せず)によって回動可能にかつ前後方向に移動可能に軸支されている。したがって、前側の支軸7は、昇降基枠4の前側部分に設けられたほぼ円形状の孔に挿入されている。また、上記後側支軸は、昇降基枠4の後側部分にほぼ水平方向に延在するように設けられた長孔(図示せず)に挿入されている。
【0016】
昇降基枠4の前側部分の上端付近には、図1〜図5に示すように、患者の背部を支持するための背もたれ11の前端部が、支軸(図示せず)によって、回動可能に軸支されている。そして、昇降基枠4の後側部分には、背もたれ11を傾動させるための油圧シリンダなどの作動手段(図示せず)が、取り付け固定されている。また、上記作動手段の作動アームの先端部は、別の支軸によって、背もたれ11の前後方向におけるほぼ中間の部分に軸支されている。さらに、昇降基枠4の前端部付近には、図1〜図5に示すように、患者の臀部を支持するための座板10が、取り付け固定されている。
【0017】
昇降基枠4には、図1〜図5に示すように、2種類で合計3個の患者用ガードがそれぞれ取り付けられている。そして、1種類目のガードは、患者の頭部(換言すれば、背もたれ11の後端部)に対向するように、昇降基枠4の後端部に取り付けられた取り外し自在のヘッドボード12である。なお、このヘッドボード12は、患者が使用する枕などが背もたれ11から後方に落下するのを防止する機能を有している。そして、2種類目のガードは、患者の上半身の左右両側部(換言すれば、背もたれ11の左右両側部)に対向するように、昇降基枠4の左右両側部のうちの前後方向における中間部から後方部にかけて取り付けられた左右両側のサイドフェンス13a、13bである。なお、これら左右両側のサイドフェンス13a、13bは、患者などが分娩台(特に、ベッド状態にある分娩台)1から左側または右側に落下するのを防止する機能を有しているが、この場合には、特に取り外し自在には構成されてはいない。さらに、昇降基枠4の左右両側には、左右一対のフェンスガイド機構14が取り付けられている。そして、これら左右一対のフェンスガイド機構14は、左右一対のサイドフェンス13a、13bをそれぞれ上昇位置(図1に示す状態)または下降位置に選択的に位置保持させることができる。
【0018】
分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態であるときには、座板10の前方には、後側の児受け台16および前側の児受け台15が、この座板10の前端付近に隣接して、順次配置される。そして、これらの後側児受け台16および前側児受け台15から成る児受け台17は、分娩台使用状態においては、下方に移動しているので、分娩によって患者から生まれ出てくる新生児を受けることができる。なお、この児受け台17の支持構造の構成については、次項の「2、児受け台支持構造の構成」において詳述する。また、分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態であるときには、児受け台17の左右両側には、左右一対の支脚器21、22が、この児受け台17に隣接して、それぞれ配置される。さらに、図1〜図5における符号20は、左右一対の支脚器21、22を昇降基枠4にそれぞれ取り付けるための左右一対の支脚器用支持アームを示している。そして、これら左右一対の支持アーム20のそれぞれの先端部には、左右一対の支脚器21、22がそれぞれ取り付けられている。なお、これら左右一対の支脚器21、22の支持構造の構成および動作は、本発明の要旨ではないので、本文においては、それらの説明は適宜省略する。しかし、上記支脚器支持構造の構成および動作は、特許文献1の分娩台の場合と実質的に同一であることができる。
【0019】
分娩台1は、図1〜図5に示すように、座板10の左右両側にそれぞれ隣接している左右一対のグリップ装置23、24を備えている。そして、これら左右一対のグリップ装置23、24のそれぞれは、図4に示すように、昇降基枠4に円筒状などの取り付け部材28を介して取り付け固定される円筒状などの被取り付け部材27と、この被取り付け部材27に連結機構25を介して回動可能に連結されているグリップ部材26とを備えていてよい。なお、これら左右一対のグリップ部材26は、図4に示す起立状態においては、患者のための怒責グリップとして機能する。また、これら左右一対のグリップ部材26のそれぞれは、図1〜図3および図5に示すように、取扱者が座板10の左側また右側に収納された倒伏状態まで手動でもって回動させることができるように構成されている。
【0020】
2、児受け台支持構造の構成
児受け台支持構造は、図1〜図5および図6A〜図6Cに示すように、昇降基枠4のほぼ内部において昇降基枠4に対してほぼ水平方向に往復動し得るように配設された下側児受け支持部としての左右一対の下側児受け支持部材31を備えている。そして、これら左右一対の下側児受け支持部材31は、部材支持機構(図示せず)によって、昇降基枠4にほぼ水平方向に往復動可能(換言すれば、前後進可能)に支持されている。また、左右一対の下側児受け支持部材31のそれぞれには、上側児受け支持部としての児受け用枠体30が、左右一対の下側児受け支持部材31のそれぞれのほぼ上方において、左右一対の前側および後側の支持アーム32、33によって支持されている。さらに、前側の児受け台17の後端部は、左右一対の下側児受け支持部材31のそれぞれの前方側のほぼ上方において、児受け用枠体30に支軸(図示せず)によって回動可能に軸支されている。したがって、前側児受け台15は、上記支軸を回動中心として図6Aにおける反時計方向に回動可能なように、児受け用枠体30に取り付けられている。また、児受け用枠体30には、後側児受け台16が、前側児受け台15の後側に隣接するように、取り付け固定されている。
【0021】
左右一対の下側児受け支持部材31のそれぞれは、児受け用枠体30に対して、ほぼ平行に延在している。また、左右一対の後側支持アーム33のそれぞれは、左右一対の前側支持アーム32のそれぞれに対して、ほぼ平行に延在している。したがって、左右一対の下側児受け支持部材31、児受け用枠体30、左右一対の前側支持アーム32および左右一対の後側支持アーム33のそれぞれによって、児受け支持部としての左右一対のリンク機構41がそれぞれ構成されている。このために、児受け用枠体30(ひいては、児受け台17)は、左右一対のリンク機構41の往復動によって、下側児受け支持部材31に対して上昇位置(図6Aの状態)になったり、下降位置(図6Bおよび図6Cの状態)になったりすることができる。
【0022】
昇降基枠4には、図6A〜図6Cに示すように、左側の下側児受け基材31にほぼ対向している長手状固定側係合部としての長手状のほぼラック形状で固定側の係合部材34が、ほぼ前後方向に延在して配設されている。そして、固定側係合部材34には、図6A〜図6Cおよび図7〜図10に示すように、ほぼ二等辺三角形状であってよくかつ先端部が丸みを帯びていてよい多数個の係合用突出部35が、長手状係合部材34の長さ方向に沿ってほぼ等間隔でそれぞれ形成されている。また、互いに隣接する係合用突出部35の間には、ほぼ倒立台形状であってよい多数個の凹部36が、長手状係合部材34の長さ方向に沿って、ほぼ等間隔でそれぞれ形成されている。さらに、左側の下側児受け支持部材31の後端部付近には、可動側係合部としての可動側の係合機構37が、固定側係合部材34にほぼ対向するように、配設されている。そして、この可動側係合機構37と固定側係合部材34とによって、下側児受け支持部31のためのロック手段としてのロック機構42が構成されている。
【0023】
下側児受け支持部材31には、図6A〜図6Cおよび図7〜図10に示すように、
(a)下側児受け支持部材31の上端部付近に適当な固定手段(図示せず)によって固定されている支持部としての支持板(図示せず)、
(b)下側児受け支持部材31に支軸43によって回動可能に取り付けられている前側爪部としての前側の爪部材44、
(c)下側児受け支持部材31に支軸45によって回動可能に取り付けられている後側爪部としての後側の爪部材46、
がそれぞれ配設されている。そして、上記(a)項に記載の支持板には、作動部としてのほぼ逆U字状の作動部材47が、支軸48を支点として回動可能なように取り付けられている。
【0024】
作動部材47には、図7〜図10に示すように、前後一対の連結レバー51、52の基端部が、共通の支軸53によって、それぞれ回動可能に取り付けられている。さらに、前後一対の連結レバー51、52の先端部には、前後一対の係合用軸部54、55がそれぞれ突設されている。そして、これら前後一対の係合用軸部54、55は、ほぼ上下方向に延在するように前側および後側の爪部材44、46にそれぞれ形成されている長孔56、57に、それぞれ摺動可能に挿入されている。また、前側および後側の爪部材44、46のそれぞれの係合用凸部44a、46aは、ロック機構42のロック状態においては、固定側係合部材34の前後方向において互いに隣接している前後一対の凹部36にそれぞれ挿入されていて、共通の係合用突出部35を前後両側から挟んでいる。なお、ロック機構42が図7に示すロック状態のときには、前側および後側の爪部材44、46、前側および後側の係合用突部44a、46a、支軸43、45、連結レバー51、52、前側および後側の係合用軸部54、55および長孔56、57のそれぞれは、支軸53の軸心を通ってほぼ上下方向に延在する線分Lを対称軸としてほぼ線対称になるように、構成されていてよい。そして、長孔56、57は、前側および後側の爪部材44、46のうちの線分Lに隣接する側端部付近でかつ上端部付近にそれぞれ設けられていてよい。また、前側および後側の係合用突部44a、46aは、上記側端部の下端部付近によって構成されていてよい。さらに、支軸43、45は、上記側端部とは反対側の側端部付近に設けられていてよい。
【0025】
長手状固定側係合部材34のそれぞれの係合用突出部35は、図7Aに示すように、前後両側面としての前側および後側の傾斜面35a、35bをそれぞれ備えている。そして、これら前側および後側の傾斜面35a、35bには、前側および後側の爪部材44、46の係合用凸部44a、46aのそれぞれが、自重によってまたはばねなどの弾性付勢手段(図示せず)の弾性付勢力によって、当接している。なお、前側および後側の傾斜面35a、35bは、少なくとも部分的には、直線ではなくて曲線であるのが好ましい。そして、図示の実施例においては、前側および後側の傾斜面35a、35bは、図7Aに示すようにこれらの傾斜面35a、35bにそれぞれ当接している前側および後側の爪部材44、46の回動中心(換言すれば、支軸43、45の軸心)を円の中心とするほぼ円弧状に構成されている。なお、図7Aにおいては、前側および後側の傾斜面35a、35bのうちの、第1の線分Lと第2の線分Lとの成す角度θの部分(すなわち、領域)が、上記円弧状に構成されている。
【0026】
児受け台17の前側児受け台15の前端部付近の下方には、図1および図6A〜図6Cに示すように、ほぼU字形状の把手部61が配設されている。そして、前側児受け台15の前端部付近の下方には、この児受け台17を図6Aに示す上昇状態から図6Bに示す下降状態に移動させるときや、児受け台17を前後進させるときに、予め操作されるロック解除用操作部62が、把手部61の下方に隣接して配設されている。なお、この操作部62には、児受け台17の下方をほぼ前後方向に延在している第1の長手状作動部としての第1の長手状作動部材63の前端部が、前後進可能に結合されている。また、昇降基枠4には、この昇降基枠4のほぼ内部をほぼ前後方向に延在している第2の長手状作動部としての第2の長手状作動部材(図示せず)が、前後進可能に配設されている。そして、この第2の長手状作動部材の後端部は、可動側係合機構37の作動部材47に結合されている。また、第1の長手状作動部材63の後端部には、第1の連結部(図示せず)が結合されている。そして、上記第2の長手状作動部材の前端部には、第2の連結部(図示せず)が結合されている。また、児受け台17が図6Aに示す上昇位置から図6Bに示す下降位置(換言すれば、第1の児受け台使用状態)へと移動したときには、上記第1の連結部が上記第2の連結部に連結される。
【0027】
上述のように上記第1および第2の連結部が相互に連結している状態において操作部62を操作したときには、作動部材47が、第1の長手状作動部材63、上記第1の連結部、上記第2の連結部および上記第2の長手状作動部材のそれぞれを介して、図7における右方向に牽引される。また、上記牽引によって、作動部材47が、支軸48を支点として、図7における反時計方向に回動する。この点は、児受け台17が図5に示す第2の児受け台使用状態の場合や、図6Cに示す児受け台収納状態の場合も、同様である。しかし、児受け台17が図6Bに示す下降位置から図6Aに示す上昇位置へと移動したときには、上記第1および第2の連結部の相互の連結は、上述の場合とは逆に、解除される。
【0028】
3、分娩台の概略的な動作
分娩台1が図1〜図3に示す通常のベッド状態にあるときには、背もたれ11は、ほぼ水平な状態に倒伏している。この場合、取扱者が所定のスイッチ(図示せず)を操作することによって、前記作動手段の前記作動アームが次第に伸長するので、背もたれ11を前方に向かって任意の角度で傾斜した起立位置まで持ち来すことができる。また、取扱者は、所定のスイッチ(図示せず)を操作することによって、この起立動作とは逆の倒伏動作を背もたれ11に行わせることもできる。
【0029】
分娩台1が図1〜図3に示す通常のベッド状態にあるときに、取扱者は、左右一対の支脚器21、22のそれぞれを、図4において鎖線で示すように、順次または同時に支脚器使用状態に移行させることができる。この場合、取扱者が、まず、支脚器21、22のそれぞれを手で持って、これらの支脚器21、22の長さ方向にほぼ沿って延在している第1の回動中心を支点としてほぼ90°往回動させると、支脚器21、22は、第1の移行段階に移行する。ついで、取扱者が、支脚器用支持アーム20の先端部においてほぼ左右方向に延在している第2の回動中心を支点として、支脚器21、22を自重などにより図2における時計方向に往回動させると、支脚器21、22は、第2の移行段階に移行する。ついで、取扱者が、左右一対の支脚器21、22のそれぞれを手で持ち上げると、支脚器用支持アーム20がこの支持アーム20の回動中心を支点として図4の反時計方向に往回動するので、これらの支脚器21、22のそれぞれは、図4において実線または鎖線に示すように、適当な高さの支脚器使用状態に持ち来される。なお、ベッド部分の補助台状態から支脚器使用状態への支脚器21、22の上述のような往動とは逆の復動も、ロック解除操作手段(図示せず)の操作を行ってから、同様に行うことができる。
【0030】
一方、取扱者は、分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態にあるときにはベッド部分の補助台として機能している児受け台17を、本来の児受け台として機能させることができる。この場合、取扱者が、ロック解除用操作部62を操作状態にしたままで、図1〜図4および図6Aに示す上昇位置にある児受け台17の上面を手で下方に押して左右一対のリンク機構41を作動させると、児受け台17が下降位置まで往動して図6Bに示す第1の児受け台使用状態になる。そして、取扱者が、ロック解除用操作部62を操作状態にしたままで、前方位置にある児受け台17を後方に向かって手で押すことにより児受け台17を後進させれば、後側児受け台16が昇降基枠4内に移動するので、児受け台17は、第2の児受け台使用状態になる。また、児受け台17のベッド部分の補助台状態から第2の児受け台使用状態への上述のような往動とは逆の復動も、同様に行うことができる。なお、この児受け台17の支持構造の動作については、次項の「4、児受け台支持構造の動作」において、さらに詳述する。また、本項(すなわち、「3、分娩台の概略的な動作」の項)においてそれぞれ上述した背もたれ11および左右一対の支脚器21、22のそれぞれの動作は、特許文献1の分娩台の場合と実質的に同一の構成でもって、同様に行われるものであってよい。
【0031】
図1〜図3および図5においては、左右一対のグリップ装置23、24のそれぞれのグリップ部材26は、倒伏した状態(換言すれば、収納された状態であって、グリップ不使用状態)で示されている。そして、この倒伏状態にある左右一対のグリップ部材26は、連結部25からほぼ水平な状態で前方に向かって延在しているので、分娩台1のベッド状態においては、このベッド部分(具体的には、座板10)の左側面および右側面にそれぞれ隣接している。したがって、患者が分娩台1に乗ったり分娩台1から降りたりするときに、グリップ部材26(換言すれば、グリップ装置23、24)を跨いでも、患者の衣服類がグリップ部材26に引っ掛かるおそれがない。
【0032】
図1〜図3および図5に示すグリップ不使用状態において、患者、看護師などの取扱者が、グリップ部材26を手で握ってから、連結機構25を支点として図2における反時計方向に往回動させると、グリップ装置23は、図4に示すグリップ使用状態へと移行する。なお、図4においては、グリップ部材26は、起立した状態(換言すれば、本来のグリップ部材26の状態であって、グリップ使用状態)になっている。そして、左右一対のグリップ装置23、24の左右一対のグリップ部材26は、分娩台1(具体的には、座板10)の左右両側に起立状態でそれぞれ隣接している。したがって、分娩台1を使用する患者は、左右一対のグリップ部材26を怒責グリップなどとして有効に利用することができる。また、取扱者がロック解除したときには、取扱者は、左右一対のグリップ部材26のそれぞれを、自重などによって、起立状態から倒伏状態に復動させることができる。
【0033】
4、児受け台支持構造の動作
図4に示す支脚器使用状態(背もたれ11が傾斜状態などに起立している場合を含む。)、その他の任意の状態において、ベッド部分64の補助台として機能している児受け台17を本来の児受け台として、機能させることができる。このためには、取扱者は、ロック解除用操作部62を手で操作することによって、このロック解除用操作部62を操作状態にする。なお、このロック解除用操作部62をこのように操作状態にすると、後述のように、ストッパ機構(図示せず)によるリンク機構41のロックが解除されるので、図6Aに示すリンク機構41が作動可能な状態になる。
【0034】
ついで、取扱者は、ロック解除用操作部62を上述のように操作状態にしたままで、図6Aに示すように上昇位置にある児受け台17の上面を手で下方に押してリンク機構41を作動させることによって、この児受け台17を図6Bに示す下降位置まで往動させて、第1の児受け台使用状態にする。ついで、取扱者は、ロック解除用操作部62を操作状態にしたままで、または、新たに操作状態にして、図6Bに示す前方位置にある児受け台17(例えば、前側児受け台15の前側面)を手で後方に押すことによって、リンク機構41を昇降基枠4に対して後進(換言すれば、後方に移動)させる。これによって、児受け台17の後側部分(例えば、後側児受け台16)は、昇降基枠4の上側部分のほぼ下方に移動して、図5に示す後方位置に或る程度往動するので、児受け台17は、第2の児受け台使用状態になる。なお、この第2の児受け台使用状態において、取扱者がロック解除用操作部62から手を離して、その操作状態を解除すると、後述のように、リンク機構41が作動できない状態になるので、昇降基枠4に対する後側児受け台16の位置が固定される。
【0035】
本来の児受け台使用状態のうちの、図6Bに示す上記第1の児受け台使用状態においては、児受け台17は、平面的に見て、座板10から前方に約80cm突き出ている。これに対し、本来の児受け台使用状態のうちの、図5に示す上記第2の児受け台使用状態においては、児受け台17は、平面的に見て、座板10から前方に約40cm突き出ている。したがって、上記第2の児受け台使用状態が、通常の児受け台使用状態に相当している。なお、児受け台17がベッド使用状態(換言すれば、ベッド部分64の補助台として機能している状態)としての上記上昇位置から上記下降位置まで下降する上下方向の長さは、図示の実施例においては、約18cmである。そして、上記上下方向の長さは、実用性の観点から見て一般的に、12〜26cmの範囲であるのが好ましく、14〜22cmの範囲であるのがさらに好ましい。また、上記第2の児受け台使用状態において、児受け台17が、平面的に見て、座板10から前方に突き出ている長さは、図示の実施例においては、上述のように約40cmである。そして、この突出長さは、実用性の観点から見て一般的に、30〜50cmの範囲であるのが好ましく、35〜45cmの範囲であるのがさらに好ましい。さらに、上記第1の児受け台使用状態において、児受け台17が、平面的に見て、座板10から前方に突き出ている長さは、図示の実施例においては、上述のように約80cmである。そして、この突出長さは、実用性の観点から見て一般的に、60〜100cmの範囲であるのが好ましく、70〜90cmの範囲であるのがさらに好ましい。また、児受け台17の前後方向の長さは、図示の実施例においては、約75cmである。そして、この児受け台17の前後方向の長さは、実用性の観点から見て一般的に、55〜95cmの範囲であるのが好ましく、65〜85cmの範囲であるのがさらに好ましい。また、後側児受け台16および前側児受け台15のそれぞれの前後方向の長さ(換言すれば、上述のような実際の値、好ましい範囲およびさらに好ましい範囲)は、児受け台17の前後方向の長さの約1/2であってよい。
【0036】
ついで、取扱者は、ロック解除用操作部62を操作状態にしたままで、または、新たに操作状態にして、図5に示す第2の児受け台使用状態にある児受け台17(例えば、前側児受け台15の前側面)を手で押すことによって、リンク機構41を昇降基枠4に対してさらに後進させる。これによって、児受け台17のほぼ全体は、昇降基枠4の上側部分のほぼ下方に移動して、図6Cに示す後方位置にほぼ完全に往動するので、児受け台17は、収納状態になる。なお、この収納状態においても、取扱者がロック解除用操作部62から手を離してその操作状態を解除すると、昇降基枠4に対する後側児受け台16の位置が固定される。
【0037】
児受け台17を図6Cに示す収納位置から図5に示す或る程度後方の位置または図6Bに示す前方位置に復動させたいときや、児受け台17を図5に示す或る程度後方の位置から図6Bに示す前方位置に復動させたいときには、取扱者は、ロック解除用操作部62を上述のように操作状態にしてから、上記前方位置から上記後方位置に往動させる場合とは実質的にちょうど逆の操作を行えばよい。また、児受け台17を図6Bに示す下方位置から図6Aに示す上方位置に復動させるときには、取扱者は、ロック解除用操作部62を操作状態にすることなく、児受け台17を手で持ち上げることにより上記下方位置から上記上方位置に復動させればよい。この場合、児受け台17が図6Bに示す上記前方位置にほぼ完全に復動していない限り、児受け台17を上方に向かって復動させることができないように、ストッパ機構(図示せず)を設けることもできる。
【0038】
図4および図5に示す支脚器使用状態(背もたれ11が傾斜状態などに起立している場合などを含む。)、その他の任意の状態において、ベッド部分64の補助台として機能している児受け台17のうちの前側児受け台15を足乗せ台として機能させることができる。このためには、取扱者は、第2の操作部(図示せず)を手で操作状態にする。なお、上記第2の操作部をこのように操作状態にすると、ストッパ機構(図示せず)がロック解除されるので、前側児受け台15を手で持って前記支軸を支点として図6Aの反時計方向に往回動させると、前側児受け台15を図6Aにおけるほぼ水平な状態から任意の角度の傾斜位置まで或る程度起立させることができる。なお、上述のように前側児受け台15が傾斜状態などの起立位置まで往回動すると、前側児受け台15は、後方から前方に向かって上方へ傾斜している。そして、この傾斜している前側児受け台15は、左右一対の支脚器21、22とは別に、患者の足乗せ台として使用されることができる。この場合、患者は、左右両方の足を揃えて、足の裏側からこの足乗せ台15に乗せることができるから、リラックスした状態で、左右一対の足をこの足乗せ台15に乗せることができる。
【0039】
前側児受け台15を上記起立位置から図6Aに示す倒伏位置に復動させるときには、取扱者は、前記第2の操作部を上述のように操作状態にしてから、上記倒伏状態から上記起立位置に往動させた場合とは実質的にちょうど逆の操作を行えばよい。この場合、前側児受け台15側の被ストッパ部(図示せず)が児受け台用枠体30のストッパ部(図示せず)に当接するまで、前側児受け台15を後側児受け台16に対して復回動させれば、前側児受け台15は、ほぼ水平な状態に復元される。なお、このような被ストッパ部およびストッパ部は、前側児受け台15が後側児受け台16に対して往回動する場合にも、設けられることができる。
【0040】
つぎに、ロック解除用操作部62およびロック機構42ならびにこれらに関連した機構の動作について、さらに詳述する。この場合、図6Bおよび図7に示す第1の児受け台使用状態において、ロック解除用操作部62を操作状態にすると、前記「2、児受け台支持構造の構成」の項において説明したように、可動側係合機構37の作動部材47が、支軸48を支点として、図7における反時計方向に回動する。この回動によって、支軸53が、図8に示すように、ほぼ上昇するので、前後一対の爪部材44、45は、前後一対の連結レバー51、52および前後一対の係合用軸部54、55をそれぞれ介して、前後一対の長孔56、57の上端面をほぼ上方に引っ張る力を加えられ、このために、支軸43を支点として時計方向および反時計方向にそれぞれ往回動する。この場合、前後一対の爪部材44、46の係合用凸部44a、46aは、ほぼ円弧状の傾斜面35a、35bに沿って、これらの傾斜面35a、35b上を摺動するので、前後一対の爪部材44、46の上述の往回動は、軽快にかつ正確にかつ確実に行われる。なお、図7Aに示す第1の児受け台使用状態においては、前後一対の係合用凸部44a、46aのほぼ円弧状の当接面は、傾斜面35a、35bのうちの、線分Lと線分Lとの成す角度θの部分において、これらの線分L、Lなどのような支軸43の軸心を通る線分に対してほぼ直角な傾斜面35a、35bにそれぞれ当接している。したがって、上記第1の児受け台使用状態においては、前後一対の係合用凸部44a、46aは、係合用突出部35に確実にかつ強固に係合している。
【0041】
前後一対の爪部材44、46が上述のように往回動すると、前後一対の係合用凸部44a、46aが、図8に示すように、長手状固定側係合部材34の係合用凹部36から離脱して、係合用突出部35との係合を解除する。したがって、ロック機構42による左右一対のリンク機構41(ひいては、児受け台17)のロックが解除されるので、前述のように、児受け台17を軽快に前進させることができる。なお、取扱者が上述のような操作状態にあるロック解除用操作部62を非操作状態にすると、可動側係合機構37は、図7に示すロック状態に復動しようとする。しかし、長手状固定側部材34のいずれか1つの係合用突出部35が前後一対の爪部材44、46の前後一対の係合用凸部44a、46aのほぼ中間の下方(換言すれば、図8に示す状態)に常時位置しているとは限らず、両者が図9に示すように前後方向に位置ずれしている場合がある。このような場合でも、児受け台17を前後にゆすってやれば、ロック機構42は、図10に示す状態を経由して、図7に示すロック状態に容易になることができる。なお、長手状係合部材34に対する可動側係合機構37(換言すれば、リンク機構41および児受け台17)の最前方位置および最後方位置は、ロック機構42によって規制しなくても、昇降基枠4などに配設した前後一対のストッパ手段(図示せず)によって規制することができる。
【0042】
上述のように構成されたロック機構42によれば、児受け台17の前後方向におけるロックを正確にかつ確実に行うことができる。また、ロック機構42によるロック状態の解除を比較的小さな力で正確かつ確実に行うことができる。さらに、長手状固定側係合部材34に対する可動側係合機構37の往復動には比較的小さい抵抗力しか生じないから、この往復動を軽快にかつ確実に行うことができる。
【0043】
以上において、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0044】
例えば、上述の実施例においては、児受け台17を後側児受け台16と前側児受け台15とから構成したが、後側児受け台16と前側児受け台15とが互いに一体化された単一の児受け台から構成することもできる。この場合、この単一の児受け台17の前後方向における長さは、必要に応じて任意の長さにすることができる。
【0045】
また、上述の実施例においては、児受け台17は、図6Aに示す上昇位置と図6Bに示す下降位置との間での昇降動作と、図6Bに示す第1の前進位置と図5に示す第2の前進位置との間での第1の前後進動作と、図5に示す第2の前進位置と図6Cに示す収納位置との間での第2の前後進動作とを、それぞれ行うことができる。しかし、児受け台17は、上記昇降動作を行うように構成されている必要は必ずしもなく、また、上記第1および第2の前後進動作のうちのいずれか一方の前後進動作のみを行うように構成されていてもよい。そして、児受け台17が上記昇降動作を行わないように構成されている場合には、第1の長手状作動部材63と可動側係合機構37の作動部材47との間に介在している前記第1および第2の連結部ならびに前記第2の長手状作動部材をそれぞれ省略して、その長さが後方側に延長された第1の長手状作動部材63の後端部を作動部材47に直結することができる。
【0046】
また、上述の実施例においては、第2の基枠としての昇降基枠4に長手状係合部としての長手状係合部材34を設けるとともに、児受け支持部としてのリンク機構41の下側児受け支持部としての下側児受け支持部材31に、可動側係合部としての可動側係合機構37を設けた。しかし、これとは逆に、上記可動側係合機構37に相当する係合機構を昇降基枠4の側に設けるとともに、長手状係合部材34を児受け支持部の側に設けてもよい。
【0047】
さらに、上述の実施例においては、背もたれ11、前側児受け台15などを倒伏状態から傾斜状態などの起立状態に往回動させるようにした。しかし、往回動以外の他の往復動作(例えば、カムとカム溝とを用いた倣い動作)を行わせるようにしてもよい。また、背もたれ11および前側児受け台15は倒伏状態から起立状態に往動する必要は必ずしもなく、さらに、背もたれ11は、起立状態のままで、倒伏状態にならないように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 分娩台
4 昇降基枠(基枠)
17 児受け台
34 長手状固定側係合部材(長手状固定側係合部、第2の係合部)
35 係合用突出部
35a 前側傾斜面
35b 後側傾斜面
37 可動側係合機構(可動側係合部、第1の係合部)
41 リンク機構(児受け支持部)
44 前側爪部材(前側爪部)
44a 係合用凸部
46 後側爪部材(後側爪部)
46a 係合用凸部
47 作動部材(作動部)
51 前側連結レバー
52 後側連結レバー
54 前側係合用軸部
55 後側係合用軸部
56 長孔
57 長孔
62 ロック解除用操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分娩によって患者から生まれ出てくる新生児を受けるための児受け台と、
上記児受け台を支持するための児受け支持部と、
上記児受け支持部を前後進可能に支持している基枠と、
上記児受け支持部と上記基枠とのうちの一方に設けられた第1の係合部と、
上記児受け支持部と上記基枠とのうちの他方に設けられた第2の係合部と、
上記第1の係合部と上記第2の係合部との相互の係合を解除するために操作されるロック解除用操作部とを備え、
上記第1の係合部と上記第2の係合部との相互の係合と係合解除とによって、上記基枠に対する上記児受け支持部の前後進方向におけるロックとロック解除とがそれぞれ行われるように構成された、分娩台における児受け台支持構造において、
上記第1の係合部が、前後一対の係合用凸部を有する前後一対の爪部材を備え、
上記第2の係合部が、ほぼ前後方向に延在するように上記他方に設けられていて、ほぼラック形状であり、
上記前後一対の係合用凸部が上記第2の係合部の係合用突出部の前後両側面にそれぞれ当接することによって、上記係合用突出部が上記前後一対の爪部材に対して前後方向における相対的な移動を阻止されるように構成され、
上記ロック解除用操作部の操作によって、上記前後一対の爪部材と上記係合用突出部との上記当接による相互の係合が解除されるように構成されていることを特徴とする児受け台支持構造。
【請求項2】
上記児受け支持部がリンク機構であることを特徴とする請求項1に記載の児受け台支持構造。
【請求項3】
上記第1の係合部が、上記児受け支持部に設けられた可動側の係合機構であり、
上記可動側係合機構が、上記児受け支持部に対して回動可能に構成されている作動部材と、上記作動部材の回動中心とは異なる共通の回動中心を有する前後一対の連結レバーと、上記前後一対の連結レバーがそれぞれ連結されかつ上記児受け支持部に対して回動可能に構成されている上記前後一対の爪部材とを備え、
上記前後一対の連結レバーと上記前後一対の爪部材との上記連結のそれぞれが、係合用軸部と、上記係合用軸部が挿入されている長孔とを有する連結機構によって行われていることを特徴とする請求項1または2に記載の児受け台支持構造。
【請求項4】
上記第2の係合部の上記係合用突出部の上記前後両側面のそれぞれが、上記前後一対の爪部材の回動中心を円の中心とするほぼ円弧状に構成された領域を有し、
上記前後一対の爪部材の上記前後一対の係合用凸部が、上記ほぼ円弧状の領域において、上記第2の係合部の上記係合用突出部の上記前後両側面のそれぞれに当接するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の児受け台構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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