説明

分散アゾ染料及びこれらの分散アゾ染料を含む混合物

本発明は、式(I)の染料(式中、Raは、−C65で置換されたC1〜C4−アルキルであり、Rbは、メトキシ又はエトキシであり、Rcは、メチル又はエチルである)、その調製及び染料混合物中におけるこの染料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散アゾ染料、それらの調製方法、及び疎水性合成物質の染色及び印刷のためのそれらの使用に関する。
本発明は、分散アゾ染料混合物、それらの調製方法、並びに疎水性合成物質の染色及び印刷のためのそれらの使用にさらに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、良好な適用性を有する分散染料、及び良好な適用性を有するネイビーからブラックの分散染料混合物を提供するためにその目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
当該目的を、次の式(I):
【化1】

(式中、
aは、−C65で置換されたC1〜C4−アルキルであり、
bは、メトキシ又はエトキシであり、
cは、メチル又はエチルである)
の染料により達成した。
【0004】
式(I)の特に好ましい染料では、
aは、−C65で置換されたC1〜C2−アルキルであるが、特にベンジルであり、
bは、メトキシであり、
cは、メチルである。
本発明はまた、式(I)の染料を調製するための方法をさらに提供する。
【0005】
式(I)の新規な染料を調製するための方法は、次の式(II):
【化2】

のジアゾ化アミンを、次の式(III):
【化3】

の化合物とカップリングさせて、そしてさらなる段階において、上記ジアゾ成分中のBr置換基を、−CNで置換することを特徴とする。
【0006】
ジアゾ化及びカップリングを、公知の方法に従って実施する。ジアゾ成分中のBr置換基を−CNで置換することは、Cu(I)−ジメチルスルホキシド錯体試薬を用いて、又は文献から、そして当業者に公知の他の置換法により実施することができる。
【0007】
式(II)及び式(III)の化合物は公知であるか、又は当業者に公知の方法により、公知の化合物から容易に調製可能である。
本発明はまた、式(I)の染料少なくとも一種とさらなる分散染料とを含む染料混合物を提供する。
【0008】
今回見出された染料混合物は、少なくとも一種の式(I)の染料と、少なくとも一種の次の式(II)の染料とを含む:
【化4】

(式中、
Dは、置換された又は置換されていない芳香族アミンに由来するジアゾ成分であり、
Kは、次の式K1、K2又はK3
【化5】

の芳香族基であり、
1は、水素、塩素、C1〜2−アルキル、C1〜2−アルコキシ、ヒドロキシル又はアシルアミノであり、
2は、水素、C1〜4−アルコキシ、C1〜2−アルコキシエトキシ、塩素、臭素又はR3と一緒になった式−*CH(CH3)CH2C(CH32−基であり(*核に結合している)、
3は、水素、C1〜6−アルキル、C3〜4−アルケニル、クロロ−若しくはブロモ−C3〜4−アルケニル、C3〜4−アルキニル、フェニル−C1〜3−アルキル、C1〜4−アルコキシカルボニル−C1〜3−アルキル、C3〜4−アルキルオキシカルボニル−C1〜3−アルキル、C3〜4−アルケニルオキシカルボニル−C1〜3−アルキル、フェノキシ−C2〜4−アルキル、ハロ−、シアノ−、C1〜4−アルコキシ−、C1〜4−アルキルカルボニルオキシ−若しくはC1〜4−アルコキシカルボニルオキシで置換されたC2〜4−アルキル、又は式−CH2−CH(R8)CH2−R9基であり、
4は、水素又はC1〜2−アルキルであり、
5は、フェニル、メチル、塩素、臭素及びニトロから成る群から選択される一つ又は二つの置換基により置換されてもよいフェニル、又はc−ペンタノン又はc−ヘキサンノン環を形成するためにR4と結合し、
6は、水素又はヒドロキシルであり、
7は、水素又はメチルであり、
8は、ヒドロキシル又はC1〜4−アルキルカルボニルオキシであり、
9は、塩素、C1〜4−アルコキシ、フェノキシ、アリルオキシ又はC1〜4−アルキルカルボニルオキシであり、
Yは、C1〜3−アルキレンであり、
但し、Kが式K2又はK3の基である場合には、R3は水素以外の意味を有しない)。
【0009】
式(I)の好ましい染料群は、次の一般式(IIa)に一致する:
【化6】

(式中、
1は、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾリルであるか、又は下記式の一つに一致する:
【化7】

ここで、
(a)は、水素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ−、C1〜4−アルコキシカルボニル、C1〜3−アルキルスルホニル、好ましくは、水素、塩素、シアノ又はニトロであり、
(b)は、塩素、臭素、ニトロ、メチル、C1〜2−アルキルスルホニル、C1〜4−アルキルカルボニル、アミノスルホニル、モノ−若しくはジ−C1〜4−アルキルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、C1〜4−アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、テトラヒドロフルフリル−2−オキシカルボニル、C3〜4−アルケニルオキシカルボニル、C3〜4−アルキニルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−若しくはジ−C1〜4−アルキルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル又はフェニルアゾであり、
(c)は、水素又は塩素、あるいは(d)が、水素の場合、ヒドロキシル又はロダンであり、
(d)は、水素、塩素、臭素、キドロキシル又はシアノであり、
(e)は、ニトロ、C1〜4−アルキルカルボニル、C1〜4−アルコキシカルボニル、シアノ、アミノカルボニル、モノ−又はジ−C1〜4−アルキルアミノカルボニルであり、
(f)は、水素、塩素、臭素、C1〜2−アルキル又はフェニルであり、
(g)は、ニトロ、シアノ、ホルミル、ジシアノビニル又は式−CH=CH−NO2、−CH=C(CN)CO−OC1〜4−アルキル、H56−N=N−又は3−若しくは4−NO2−C64−N=N−の基であり、
(h)は、シアノ又はC1〜4−アルコキシカルボニルであり、
(i)は、C1〜4−アルキル又はフェニルであり、
(j)は、−CN、−CH=CH2又はフェニルであり、
(k)は、C1〜4−アルキルであり、
(l)は、水素、塩素、臭素、シアノ、ロダン、ニトロ、C1〜4−アルコキシカルボニル、又はジ−C1〜4−アルキルアミノスルホニルであり、
(p)は、水素、塩素又は臭素であり、そして
(q)は、C1〜4−アルキル又はC1〜4−アルコキシカルボニル−C1〜4−アルキルであり、
ここで、これら置換基のフェニル核は、塩素、臭素、メチル及びC1〜2−アルコキシから成る群から選択される一つ又は二つの置換基を有することができ、
R’1は、水素、メチル、塩素又はアシルアミノであり、
R’2は、水素、塩素、C1〜2−アルコキシ、C1〜2−アルコキシエトキシであり、又は式−CH(CH3)CH2C(CH32−の基を形成するためにR3と結合し、
3及びR5は、それぞれ上記規定の通りであり、
R’4は、水素又はメチルであり、そして
Yは、式−CH2CH2−又は−CH2CH(CH3)−の基である)。
【0010】
次の式(IIb)の分散染料が特に好適である:
【化8】

(式中、
2は、式2,6−ジシアノ−4−クロロ−、2,6−ジシアノ−4−ブロモ−、2,6−ジシアノ−4−メチル−、2,6−ジシアノ−4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロ−6−クロロ−、2,4−ジニトロ−6−ブロモ−若しくは2,4−ジニトロ−6−シアノフェニル、2−クロロ−4−ニトロ−6−シアノフェニル、2−ブロモ−4−ニトロ−6−シアノフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,6−ジクロロ−4−ニトロフェニル、2,6−ジブロモ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−4−ニトロ−6−ブロモフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニル、2−シアノ−4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロ−5,6−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロ−4−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、4−フェニルアゾフェニル、4−C1〜4−アルコキシカルボニルフェニル、2−C1〜4−アルコキシ−カルボニル−4−ニトロフェニル、4−ベンジルオキシカルボニルフェニル、4−(テトラヒドロフルフリル−2’−オキシカルボニル)フェニル、3,5−ジシアノ−4−クロロ−チエニル−2,3,5−ジシアノ−チエニル−2,3−シアノ−5−ニトロ−チエニル−2,3−アセチル−5−ニトロ−チエニル−2,3,5−ジニトロ−チエニル−2,3−(C1〜4−アルコキシカルボニル)−5−ニトロ−チエニル−2,5−フェニルアゾ−3−シアノ−チエニル−2,5−フェニルアゾ−3−シアノ−4−メチルチエニル−2,5−ニトロ−チアゾリル−2,5−ニトロベンズイソ−チアゾリル−3,3−メチル−4−シアノ−イソチアゾリル−5,3−フェニル−l,2,4−チアジアゾリル−2,5−(C1〜2−アルキルメルカプト)−l,3,4−チアジアゾリル−2,3−(C1〜2−アルコキシカルボニルエチルメルカプト)−1,2,4−チアジアゾリル−5,1−シアノメチル−4,5−ジシアノ−イミダゾリル−2,6−ニトロベンゾチアゾリル−2,5−ニトロベンゾチアゾリル−2,6−ロダンベンゾチアゾリル−2,6−クロロベンゾチアゾリル−2,(5),6,(7)−ジクロロベンゾチアゾリル−2、又は下記式:
【化9】

のジアゾ成分の残基であり、そして、Bは、酸素又は式=(CN)2、=CH−NO2、=(CN)−COOC1〜4アルキル又は=(CN)−COOC3〜4アルケニルであり、そして、記号R’1、R’2、R3、R’4、R5及びYは、それぞれ上記規定の通りである)。
【0011】
次の式IIの分散染料が特に好適である:
(式中、
Dは、2,4−ジニトロ−6−クロロフェニル、2,4−ジニトロ−6−ブロモフェニル、2,4−ジニトロ−6−シアノフェニル又は2,6−ジシアノ−4−ニトロフェニルから成る群から選択されるジアゾ成分であり、
Kは、式K1の基であり、
1は、臭素、塩素、ヒドロキシル、若しくはC1〜2−アルコキシ置換を有するか又は有しないC1〜2−アルキルカルボニルアミノ;フェニルアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノ、メチル又は水素であり、
2は、C1〜2−アルコキシ又は水素であり、
3は、水素、C1〜4−アルキル、シアノエチル、C1〜2−アルコキシエチル又はC3〜4−アルケニルであり、
4は、水素であり、
5は、フェニルであり、そして
Yは、式−CH2CH2−の基である。
【0012】
有用なジアゾ成分は、特に水溶性置換基、すなわち、特にスルホン酸基を除いて、慣用の分散染料置換基を有することができる芳香族特性の残基、又は単核から二核のカルボ−若しくは複素環式の有機基全てを含む。有用なジアゾ成分は、モノアゾ化合物の残基をさらに含む。ジアゾ成分の例は、好ましくは、置換したフェニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル又はベンズイソチアゾリル基である。
【0013】
上記の全てのアルキル基は、特に明記しない限り、1〜8個の及び特に1〜4個の炭素原子を含む。それらは、直鎖又は分岐鎖であることができ、そして、例えば、ハロゲン原子、好ましくは臭素若しくは塩素原子、ヒドロキシル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、シアノ、ロダン、アシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基により置換されていてもよい。
【0014】
上記Y連結は、好ましくは、式−CH2CH2−又は−CH2CH(CH3)−基、特に−CH2CH2−である。
全てのアルキル、アルキレン及びアルケニル基は、他に記載がない限り直鎖である。
【0015】
式(II)の染料を調製するための方法は、次の式(A−II)のジアゾ化アミン:
D−NH2(A−II)
を、次の式(B−II)の化合物:
H−K(B−II)
とカップリングさせることを特徴とする。
ジアゾ化及びカップリングを、公知の方法に従って実施する。
式(A−II)及び式(B−II)の化合物は公知であるか、又は当業者に公知の方法により公知の化合物から容易に調製することができる。
【0016】
さらに、少なくとも一種の式(I)の染料と、式(II)の染料に一致する少なくとも一種の式(III)の染料とを含む染料混合物を見出した。そこでは、R5は、−O−R6置換基に相当し、ここで、R6は、フェニル、又はメチル、塩素、臭素及びニトロ基から成る群から選択される一つ又は二つの置換基により置換されていてもよいフェニルであるか、又はc−ペンタノン若しくはc−ヘキサンノン環を形成するためにR4と結合する。
式(III)の染料は、例えば、英国特許第2271573号明細書、又はドイツ国特許4335261号明細書から公知である。
【0017】
少なくとも一種の式(I)の染料と少なくとも一種の次の式(IV):
【化10】

(式中、
R’aは、C1〜4−アルキル又は式−A’−O−R’bの基であり、
R’bは、フェニル、若しくはナフチル、又はC1〜4−アルキル−若しくはハロゲン置換したフェニル、又はC1〜4−アルキル−若しくはハロゲン置換したナフチルであり、
R’cは、C1〜4−アルキル若しくはフェニル、又はC1〜4−アルキル−若しくはハロゲン置換したC1〜4−アルキル若しくはフェニルであり、そして
A’は、C1〜4−アルキルである)
の染料とを含む染料混合物をさらに見出した。
【0018】
好ましくは、
R’aは、C1〜4−アルキルであり、
R’bは、フェニル若しくはナフチル、又はメチル−、エチル−若しくはハロゲン置換したフェニル、又はメチル−、エチル−若しくはハロゲン置換したナフチルであり、
R’cは、メチル若しくはエチル若しくはフェニル、又はメチル−、エチル−若しくはハロゲン置換したメチル若しくはエチル若しくはフェニルであり、そして
A’は、エチレンである。
【0019】
式(IV)の染料は、例えば、英国特許第1395022号明細書により公知である。
少なくとも一種の式(I)の染料と、少なくとも一種の次の式(V):
【化11】

(式中、
Y’は、C1〜3−アルキレンであり、
10は、フェニル、又はメチル−、エチル−若しくはハロゲン置換したフェニルであり、
11は、H、又はC1〜4−アルキル若しくはC1〜4−アルコキシであり、
12は、H、又はC1〜4−アルキル若しくはC1〜4−アルコキシであり、
13は、H、又はC1〜4−アルキル若しくはC1〜4−アルコキシであり、そして
14は、C1〜4−アルキルである)
の染料とを含む染料混合物をさらに見出した。
【0020】
11及びR12及びR13は、独立して、Hであることが好ましい。R14は、n−ブチルであるであることが好ましい。Y’は、エチレンであるであることが好ましい。
式(V)の染料は、例えば、英国特許第2300863号明細書、又はドイツ国特許19618586号明細書により公知である。
【0021】
少なくとも一種の式(I)の染料と、少なくとも一種の次の式(VI)の染料とを含む染料混合物をさらに見出した:
【化12】

(式中、
15は、
【化13】

であり、
16は、H、又はC1〜4−アルキル若しくはC1〜4−アルコキシであり、
17は、H、又はC1〜4−アルキル若しくはC1〜4−アルコキシ、又は臭素若しくは塩素であり、
18は、H、又はC1〜4−アルキル若しくはC1〜4−アルコキシ、又は臭素若しくは塩素であり、
Y’’は、C1〜4−アルキレンであり、
nは、1又は2又は3又は4であり、そして
mは、0又は1である)。
【0022】
好ましい式(VI)の化合物では、n=2である。好ましい化合物では、R16は、H又はC1〜4−アルキルであり、そして最も好ましくは、R16はHであり、そしてR16及びR17は、独立して、H又はC1〜4−アルキル又は臭素若しくは塩素であり、そして最も好ましくは、R16及びR17は、独立して、H又は臭素若しくは塩素である。Y’’は、好ましくは、エチレン基である。
【0023】
式(VI)の染料は、例えば、英国特許第2287035号明細書、又はドイツ国特許19500228号明細書により公知である。
好ましくは、ハロゲンは−塩素又は臭素であり、そして最も好ましくは、ハロゲンは塩素置換基である。
【0024】
本発明は、少なくとも一種の式(I)の染料、そしてさらに式(II)の染料、及び/又は式(III)の染料、及び/又は式(III)の染料、及び/又は式(IV)の染料、及び/又は式(V)の染料、及び/又は式(VI)の染料を含む染料混合物をさらに提供する。適切な場合には、さらなる染料が、本発明の混合物中に存在することができる。
【0025】
本発明は、少なくとも一種の式(I)の染料、そして少なくとも一種の式(II)の染料、及び/又は式(III)の染料、及び少なくとも一種の式(III)の染料、及びさらに式(III)の染料、及び/又は式(IV)の染料、及び/又は式(V)の染料、及び/又は式(VI)の染料を含む染料混合物をさらに提供する。適切な場合には、さらなる染料が、本発明の混合物中に存在することができる。
【0026】
好ましくは、本発明の染料混合物は、染料の割合の合計が100%となるような条件下で、染料の総量に基づいて、1重量%〜99重量%、そしてさらに好ましくは1重量%〜80重量%、特に5重量%〜60重量%の少なくとも一種の式(I)の染料と、1重量%〜99重量%、そしてさらに好ましくは5重量%〜60重量%、特に5重量%〜40重量%の少なくとも一種の式(II)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)の染料とを含む。
【0027】
本発明の染料混合物により、特に、上記混合比において、「良好」〜「非常に良好」な吸尽及び高い耐光堅牢度が顕著であるネイビーシェードがもたらされる。
【0028】
本発明の混合物は、優れた昇華堅牢度と、良好な吸尽とに関して特に顕著である。本発明の混合物を用いて染色した、ポリエステル−エラステーン混合布帛は、優れた洗濯堅牢度に関して特に顕著である。本発明の混合物を用いて染色したポリエステル−エラステーン混合布帛は、隣接するナイロン布帛、特に、ナイロン6.6又はアセテートを汚染することはない。本発明の混合物を用いて染色したポリエステル−エラステーン混合布帛は、繰り返しの洗浄の後に、黄色味を帯びることはない。本発明の混合物を用いて染色した生地は、50℃におけるISO105/C06洗浄条件の下、そしてまた、60℃におけるISO105/C06洗浄をうけた場合に、優れた堅牢度を示す。非常に深く暗いシェード、特により深いブラックをもたらす本発明の混合物は、高い付着能力に関して顕著である。
本発明の混合物はまた、さらなる分散染料を含むことができる。
【0029】
本発明は、(II)及び/又は(III)及び/又は(III)及び/又は(IV)及び/又は(V)及び/又は(VI)を併用した個々の染料(I)、そして適切な場合には、染料混合物のさらなる染料を、分散剤の存在下で、水中で粉砕し、続いて混合し、そして適切な場合には、乾燥することを特徴とするか、又は染料(I)を、(II)及び/又は(III)及び/又は(III)及び/又は(IV)及び/又は(V)及び/又は(VI)と混合し、そして適切な場合には、分散剤の存在下で、水中で粉砕し、そして適切な場合には、乾燥することを特徴とする本発明の混合物を調製するための方法をさらに提供する。
【0030】
(II)及び/又は(III)及び/又は(III)及び/又は(IV)及び/又は(V)及び/又は(VI)と共に、式(I)の染料、及び適切な場合には、一種又は二種以上のさらなる染料から構成されている、本発明に従う染料混合物を、当該成分を単に混合して調製することができる。上記混合は、染色液中で、完成した個々の成分を別個に混合することにより、あるいは、好ましくは、個々の成分のプレスケーキを混合し、そして合同で仕上げる(conjointly finished)ことにより実施することができる。
【0031】
仕上り品は、上記染料が、分散剤の存在の下、粉砕操作により水性分散液(すなわち、液状染料配合物)に転換されるか、又は乾燥後に粉状染料配合物に転換されることを特徴とし、個々の染料は、最初に、別個に仕上げられ、次いで混合させるか、又は個々の染料が最初に混合され、次いで合同で仕上げられうる。この粉砕は、ミルの中、例えば、ボール、スイング、ビーズ若しくはサンドミル、又はニーダー内で達成されることが好ましい。粉砕後、染料粒子の大きさは、約0.1〜10μm、特に約1μmが好ましい。
【0032】
上記粉砕を、非イオン性又はアニオン活性でありうる分散剤の存在下で実施するのが好ましい。非イオン性分散剤は、例えば、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)と、アルキル化可能な化合物(例えば、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪酸、フェノール、アルキルフェノール及びカルボキサミド)との反応生成物である。アニオン活性分散剤は、例えば、リグニンスルホネート及びその塩、アルキル−若しくはアルキルアリルスルホネート、アルキルアリールポリグリコール、エーテルスルフェート、ナフタレンスルホン酸及びホルムアルデヒドの縮合生成物のアルカリ金属塩、ポリビニルスルホネート、及びエトキシ化したノボラックである。
【0033】
従って、本発明はまた、下記;
10重量%〜60重量%の本発明の染料混合物;及び
40重量%〜90重量%の分散剤:
を含む染料配合物を提供する。
【0034】
上記染料配合物は、液体又は固体中に存在することができる。液状配合物の場合は、好ましくは水性染料分散液であり、そして固形配合物は、粉末又は顆粒として存在する。
好ましい水性染料配合物は、全て、上記染料配合物に基づいて、
水、
15重量%〜50重量%の本発明の染料混合物、及び
10重量%〜25重量%の分散剤を含む。
【0035】
上述の非イオン性及びアニオン性分散剤は、好ましい分散剤である。
本発明の染料配合物はまた、さらなる助剤、例えば、酸化剤、例えば、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、又は殺菌性薬剤、例えば、o−フェニルフェノキシドナトリウム及びペンタンクロロフェノキシドナトリウムとして作用するものを含むことができる。湿潤剤、凍結防止剤、防じん剤又は親水化剤(hydrophilicizing agent)がまた、存在することができる。
【0036】
固形配合物、例えば、粉状又は粒状種が好ましい一定の適用分野が存在する。
好ましい固形染料配合物は、下記;
30重量%〜50重量%の本発明の染料混合物;及び
70重量%〜50重量%の分散剤:
を含む。
上記固形配合物は、適切な場合には、助剤、例えば、湿潤剤、酸化剤、保存剤及び防じん剤をさらに含むことができる。
【0037】
固形染料配合物を生成するための好ましい方法は、上記液状染料配合物から、例えば、減圧乾燥、凍結乾燥により、ドラム乾燥機上の乾燥によりそれらの液体を除去することにあり、スプレードライが好ましい。
しかし、本発明の染料混合物はまた、混合した成分を合同で仕上げるにより生産できることが好ましい。
【0038】
このために、上記混合した成分は、上述の好適な混合比において、粉砕操作により水中に分散され、そして適切な場合には、水を除去することにより固形染料配合物中に転換される。
【0039】
染料配合物の特性を改良するために、粉砕の前に、混合成分に加熱処理をすることが有利である場合がある。上記加熱処理を、25〜98℃、好ましくは30〜80℃、及びさらに好ましくは40〜60℃で実施する。仕上げ操作、すなわち、市販の固形又は液状配合物に転換することにより、間にある単離を行うことなく、直接、加熱処理に従うことが有利である。この目的において、加熱処理された懸濁液は、粉砕により分散液に変換される。加熱処理において、それらの分散液と、また適切な場合には、最終固形又は液状配合物の下で存在すべき助剤との存在下で実施されることが有利である。
【0040】
これらは、上述の界面活性物質と同一である。これらの分散液及び助剤の総量を、加熱処理の際に加えなかった場合には、粉砕の前に残余を添加する。この場合、加熱処理において添加された界面活性物質の量は、概して、染料混合物に基づいて、一般的には10重量%〜400重量%、そして好ましくは20重量%〜200重量%の範囲である。
【0041】
染料液を調製するために、上記指示に従って調製された染料配合物の必要量を、染色媒体(好ましくは水)で、5:1〜50:1の範囲の液比が上記染料において生ずる範囲まで希釈する。さらに、さらなる染色助剤、例えば、キャリア、分散液及び湿潤剤を、上記液体に添加するのが一般的である。
【0042】
本発明の染料混合物が、テキスタイル印刷用に用いられるべき場合には、必要量の染料配合物を、好ましくは、増粘剤、例えば、アルカリ金属アルギネート等、そして適切な場合には、さらなる添加剤、例えば、固化促進剤、湿潤剤及び印刷ペースト形成のための水和剤(hydrating agent)と共に混練する。
【0043】
さらなる染料を付随的に含むことができる、本発明の染料混合物は、疎水性合成物質の染色及び印刷用に非常に好適である。有用な疎水性合成物質には、例えば、セルローストリアセテート及び高分子量ポリエステルが含まれる。好ましくは、本発明の染料混合物は、高分子ポリエステル、特に、ポリエチレングリコールテレフタレートに基づくもの、又はそれらの天然繊維材料、例えば、特に、羊毛若しくはセルロース、又はセルローストリアセテートから構成される物質との混合物から構成された染色及び印刷材料向けに用いられる。本発明の染料混合物は、ポリエステル−ポリウレタン交織織物及びポリエステル−ポリウレタン混合繊維布帛の染色及び/又は印刷用に非常に好適である。
【0044】
疎水性合成物質は、シート又は糸様構造体の形態で存在することができ、そして例えば、ヤーン又は織物、ループを構成するように編まれた(loop−drawingly knitted)、又はループに近づけて編まれた繊維材料に処理される。本発明の染料混合物を用いた上記繊維材料の染色は、従来様式において(好ましくは、水性分散液から)、適切な場合には、キャリア(80〜約110℃)の存在下で、吸尽法により又は110〜140℃における染色オートクレーブ中におけるHT法により、そしていわゆる熱固定法(上記布帛は、染色液を用いてパッド染色され、次いで、約180〜230℃において固定/セットされる)により実施することができる。上記材料の印刷は、本発明の染料混合物を印刷ペースト内に導入し、且つ上記染料を固定するために、適切な場合には、キャリアの存在下で、それらと共に印刷された布帛を、HT蒸気又は乾式加熱(180〜230℃の温度)することによる従来様式で実施することができる。
【0045】
これは、非常に鮮やかなオリーブ、ネイビー又はブラック、特に鮮やかなネイビー又はブラックの染色物又は印刷物であって、非常に良好な堅牢度、特に非常に良好な光、摩擦、熱固定、洗濯、水及び昇華堅牢度を有するものを提供する。本発明の染料混合物を染色及び/又は印刷しうる慣用の染色方法は、例えば、M.Peter及びH.K.Rouetteの「Grundlagen der Textilveredelung;Handbuch der Technologie,Verfahren und Maschinen」,thirteenth,revised edition,1989,Deutscher Fachverlag GmbH,Frankfurt am Main,Germany,ISBN 3−87150−277−4に記載され、その中で、下記ページが、特に関連性がある:460〜461、482〜495、556〜566及び574〜587ページ。
【0046】
本発明の染料混合物は、染色液及びパッド染色液体並びに印刷ペーストを作り上げる際に優れた湿潤特性を示し、そして高価かつ不便な手動、又は機械的な攪拌をすることなく迅速に分散することができる。上記液体及び印刷ペーストは均質であり、そしてノズルの栓をすることなく、最先端の染色工場のドラッグストアにおいて処理することが容易である。
【0047】
本発明の液状配合物は、相分離する傾向がなく、そして特に沈殿物かつ粘着性のある沈殿物を形成する傾向がない。従って、同様に、染料を除去する前の容器中の染料の高価かつ不便な均質化のための必要性がない。
【0048】
分散剤及び助剤の存在下で染料を粉砕した後の固形配合剤の生成物中に得られたミルベースは、高温においてかつ長期間にわたって安定である。上記ミルベースを、ミル内又はミルから除去後、冷却する必要がなく、そしてスプレードライする前に、収集容器中で長期間にわたって保管することができる。
【0049】
本発明の染料混合物の熱安定性はまた、スプレードライ操作を、乾燥すべき物質が凝集を受けることなく、高温において実施できるという事実から明白である。所与の乾燥出口温度において、より高い入口温度により、より高い乾燥性能、ひいては、より低い製造コストがもたらされる。
【0050】
上述の染料配合物は、印刷ペースト及び染色液を作り上げるために非常に有用である。上述の染料配合物は、例えば、染料を、作動中の装置に連続的に供給することにより、染色液の染料濃度が一定に保たれなければならならない連続法に関連して、特に優位性を提供する。
本発明の染料混合物の優位性は、当業者の商業条件の状態の下で、水性染浴から染色する場合に、特に明確である。
【0051】
当業者の商業条件の状態の下で、パッケージ中の高いパック密度及びビーム染色、低い液比、すなわち、高い染料濃度、及び高いポンプ能力に起因する染色液中の高いせん断力により特徴付けられる。これらの条件下でさえ、本発明の染料混合物は、凝集する傾向がなく、そして染色すべき繊維材料上で濾出(filter out)しない。従って、得られた染色物は均質であり、そして巻かれたパッケージのコイルの外側と内側の間には、色の濃さに相違はなく、そして当該染色物は任意の沈殿を含まない。本発明の染色混合物を用いたパッド染色物及び印刷物は、均質で、斑点を含まない外観を生じさせる。
【0052】
本発明の染料混合物はまた、公知の溶媒染色法による、有機溶媒由来の上記疎水性物質を染色するため、そして原料着色をするために有用である。
【0053】
従って、本発明はまた、疎水性合成物質、特に繊維物質を染色及びの印刷するため、そして疎水性合成物質の原料着色を行うために本発明の染料混合物を使用することを提供する。
次の例により、本発明を具体的に説明する。明細書、例、及び特許請求の範囲における「部」及び「%」は、特に記載しない限り重量である。
【実施例】
【0054】
例(I)−1
ジアゾ化
好適な反応容器に、112.3gの100%硫酸、5.7gの氷を充填し、そして52.4gの1−アミノ−2−ブロモ−4,6−ジニトロアニリンを、温度が40℃より上がらない様式(これは、約20分必要とする)で徐々に添加した。この懸濁液を、一晩中攪拌させ、そして翌日の朝、65.5gのニトロシル硫酸(40%)を40〜45℃において30分以内で添加し、そして次いで、当該混合物を、さらに一時間攪拌した。
【0055】
カップリング
64.7gの1:1エタノール/酢酸に、64.7gの3−(N−ベンジル−N−シアノエチルアミノ)−4−メトキシ−1−アセトアニリドの溶液を、スターラーを備えた2リットルのガラスビーカーに充填し、そして1.0gのアミノスルホン酸、1.6gのSurfynol 104E(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール)及び100gの氷を、−10〜−5℃の温度で、攪拌しながら混合した。
【0056】
次いで、第一の部分に由来するジアゾニウム塩溶液を、60分内に、攪拌を続けながら、そして当該温度が−5℃〜0℃の温度を保つように400gの氷を部分的に添加しながら滴下した。
ジアゾニウム塩溶液の添加が完了した際には、上記温度は、徐々に約15℃まで上昇した。
生成させた生成物をろ過し、そして当該洗浄液が硫酸塩を含まなくなるまで水で洗浄した。
【0057】
次の染料が、中間体(ZP):
【化14】

として得られた。
【0058】
シアン化(Cyanation)
220gのDMSO(ジメチルスルホキシド)を、好適な反応容器中の窒素下で反応容器中に移し、そして約75℃まで加熱した。2.45gのシアン化ナトリウムを、溶液が形成されるまでの15分間の攪拌の前に攪拌しながら添加した。次いで、4.48gのシアン化銅(I)(Cu(I)CN)を添加した。当該温度は、当該工程中に約80℃まで上昇した。
【0059】
1gの1Mリン酸塩緩衝液をこの溶液に添加した;その後、54.25gの中間体(ZP)を、90℃において、90分にわたり、攪拌し続けながら徐々に添加し、そして当該温度を、さらに1〜2時間90℃に維持した。その後、1.4gの50%硫酸を添加した;反応混合物の温度を、当該工程中で約60℃まで下げた。
【0060】
次いで、上記懸濁液をろ過し、そしてそのろ過残渣を、33.0gのDMSOと、6.0gの水とを用いて洗浄した。
上記ろ過ケーキを、55℃の温水200gと塩化鉄(III)0.81gとの混合物中に導入した。この懸濁液を、65℃において2時間攪拌し続け、次いでろ過し、そして水で洗浄した。
【0061】
これにより、式(I)の染料:
【化15】

が41.1g(85%)生成した。
【0062】
得られた染料はブルーであり、そして627nmのλMAX(DMF中で測定)(=(DMF))を有した。
下記表1は、一般式(I)のさらなる染料を列挙する;それらを、例1と同様に調製した。
【化16】

【0063】
【表1】

【0064】
例1
16.3部の2−シアノ−4−ニトロアニリンを、100部の冷やした93%硫酸に懸濁させ、そして32部のニトロシル硫酸(40%)と混合した(30分の間、0〜5℃)。これに続き、0〜5℃で3〜4時間攪拌し、次いで、得られたジアゾニウム塩溶液を、攪拌しながら、29.7g部のフェニルカルボニルメチル3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−プロピオン酸エステル、100部の氷酢酸、2部のスルファミン酸、200部の水及び300部の氷の混合物中に連続して注いだ。上記析出した染料、ろ過し、水を用いて酸フリーに洗浄し、そして減圧下、60℃で乾燥した。
得られた染料は、下記式:
【0065】
【化17】

に一致した。
【0066】
上記染料は、熱安定化の後、ポリエステル繊維材料を、優れた堅牢度、特に非常に良好な湿潤堅牢度を有するルビーシェードに染め、そして当業界の迅速染色法、例えば、Foron RD(商標)法、λMAX=530nm(DMF)の状態のために、単独又は混合物中で非常に有用であった。
【0067】
例2
26.2部の2−ブロモ−4,6−ジニトロアニリンを、15〜20℃で150部の93%硫酸に懸濁させ、そして32部の40%ニトロシル硫酸と混合した(30分の間)。これに続き2〜3時間攪拌し、そしてジアゾニウム塩溶液を、攪拌しながら、36.8部のフェニルカルボニルメチル3−(N−エチル−N−(3’−アセチルアミノ−フェニルアミノ))−プロピオン酸エステル、100部の氷酢酸、2部のスルファミン酸、100部の水及び200部の氷の混合物中に連続して注いだ。上記析出した染料をろ過し、水を用いて酸フリーに洗浄し、そして減圧下、60℃で乾燥した。
得られた染料は、下記式:
【化18】

に一致し、そして、優れた堅牢度を有するバイオレットシェードに、ポリエステル繊維材料を染色した。λMAX=559(DMF)を有する上記染料は、当業者の迅速染色法、例えば、Foron RD(商標)法のために、単独又はネイビー若しくはブラック混合物中で非常に有用であった。
【0068】
例3
64.1部の2−ブロモ−4,6−ジニトロアニリン−1−アゾ染料(例2に従って調製)、1部のヨウ化カリウムを、60℃において200部のジメチルスルホキシド中に懸濁させ、9.8部のシアン化銅(I)と混合し、そして2〜3時間攪拌した。上記反応生成物を約50℃でろ過し、50部の1:1=DMSO:水を用いて一部を洗浄し、そして減圧下、60℃で乾燥した。
得られた染料は、下記式:
【化19】

に一致し、そして、ポリエステル繊維材料を、優れた堅牢度、特に優れた湿潤堅牢度を有するブルーシェードに染色した。λMAX=604(DMF)を有する上記染料は、当業者の迅速染色法、例えば、Foron RD(商標)法のために、単独又は混合物中で非常に有用であった。
【0069】
例4
16.3部の2−アミノ−4−クロロ−5−ホルミルチアゾールを、100部の93%硫酸に溶解させ、そして32部の40%ニトロシル硫酸と混合した(30分の間、0〜15℃)。これに続き、氷浴中で3時間攪拌し、そしてジアゾニウム塩溶液を、攪拌しながら、41.0部の3−[N−アリル−N−(5’−アセチルアミノ−2’−メトキシ−フェニルアミノ)]−プロピオネン酸フェニルカルボニルメチル、100部の氷酢酸、2部のスルファミン酸及び300部の氷/水の混合物中に連続して注いだ。上記析出した染料をろ過し、水を用いて酸フリーに洗浄し、そして減圧下、60℃で乾燥した。
λMAX=625(DMF)を有する上記得られた染料は、下記式:
【化20】

に一致し、そして、ポリエステル繊維材料をグリーンシェードに染色し、そして非常に良好な堅牢度を有する、Foron RD(商標)迅速染色法のための、個々の染料又はネイビー若しくはブラック混合物として有用であった。
【0070】
例5
18.6部の2−アミノ−4−クロロ−3−シアノ−5−ホルミルチオフェンを、200部の冷やした85%硫酸中に溶解した。32部の40%ニトロシル硫酸を、0〜5℃で、30分間、攪拌しながら液滴として添加した。これに続き、氷浴中で、3時間攪拌させ、そして攪拌しながら、32.5部の3−[N−エチル−N−(3’−メチルフェニルアミノ)]−プロピオン酸フェニルカルボニルメチル、50部の5%硫酸、2部のスルファミン酸及び300部の氷の混合物中に、ジアゾニウム塩溶液を連続して注いだ。上記析出した染料をろ過し、水を用いて酸フリーに洗浄し、そして減圧下、60℃で乾燥した。
λMAX=610(DMF)を有する上記得られた染料は、下記式:
【化21】

に一致し、そして、良好な堅牢度を有する鮮やかな赤みがかったブルーシェードにポリエステル材料を染めた。
【0071】
下記表2は、さらに次の一般式(IIc):
【化22】

の染料を列挙する;それらを、例(II)−1〜(II)−5と同様に調製した。
【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
混合例
例M1
a)30.2gの例(I)−1の染料(1)と25.0gの例1の染料とを、ビーズ又はサンドミル中で、3時間、300mLの水及び53gのリグニンスルホネート(ナトリウム塩)と共に粉砕し、続いてスプレードライした(入口温度130℃、出口温度60℃)。そのようにして得られた、約0.7重量%の残留含水率を有する粉末(約100g)は、水に容易に分散した。
【0077】
b)上記で調製された0.4gの粉末を、pH4.5及び130℃において約60分間、通常のHT染色法により、10gのポリエステル繊維材料と共に処理した。洗浄、すすぎ及び乾燥後に、非常に良好な堅牢度を有するブルーポリエステル染色を得た。
【0078】
例M2
例(I)−1の染料(1)26g及び例2の染料21gを用いたことを除いて、例M1を繰返して、ポリエステル染色用のさらなる染料混合物を調製した。非常に良好な堅牢度を有するブルーポリエステル染色物が得られた。
【0079】
例M3
例(I)−1の染料(1)26g及び例3の染料21gを用いたことを除いて、例M1を繰返して、ポリエステル染色用のさらなる染料混合物を調製した。非常に良好な堅牢度を有するブルーポリエステル染色物が得られた。
例(I)−2〜例(I)−5の染料は、上述の例(I)−1の染料(1)の代わりに、混合例M1〜M3中において、上記と同様の方法で用いることができる。
【0080】
例M4
ポリエステル染色物用のさらなる染料混合物を調製するために、例M1を繰返した。
染料混合物ダークブルーからネイビー;
式(1)の染料49.7%(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化23】

の染料24.3%(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化24】

の染料24.3%(乾燥顔料で計算):
下記式:
【化25】

の染料1.7%(乾燥顔料で計算)。
非常に良好な堅牢度を有するネイビーのポリエステル染料が得られた。
【0081】
例M5
ポリエステル染色用のさらなる染料混合物を調製するために、例M1を繰返した。
染料混合物ブラック:
式(I)の染料約15%(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化26】

の染料約23%(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化27】

の染料約30%(乾燥顔料で計算):
下記式:
【化28】

の染料約32%(乾燥顔料で計算)。
非常に良好な堅牢度を有するブラックポリエステル染料が得られた。
【0082】
例M6
ポリエステル染色用のさらなる染料混合物を調製するために、例M1を繰返した。
染料混合物ダークブルー:
式(I)の染料22.3部(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化29】

の染料0.75部(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化30】

の染料11部(乾燥顔料で計算):
下記式:
【化31】

の染料11部(乾燥顔料で計算)。
非常に良好な湿潤堅牢度を有するダークブルーポリエステル染料が得られた。
【0083】
例M7
ポリエステル染色用のさらなる染料混合物を調製するために、例M1を繰返した。
式(I)の染料6.7部(乾燥顔料で計算)
下記式:
【化32】

の染料14部(乾燥顔料で計算);
下記式:
【化33】

の染料11部(乾燥顔料で計算):
下記式:
【化34】

の染料10部(乾燥顔料で計算)。
【0084】
高い付着、高い昇華堅牢度及び非常に良好な湿潤堅牢度を有するブラックのポリエステル染色物が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)の染料:
【化1】

(式中、
aは、−C65で置換されたC1〜C4−アルキルであり、
bは、メトキシ又はエトキシであり、
cは、メチル又はエチルである)。
【請求項2】
置換基Raが、−C65で置換されたC1〜C2−アルキルであり、特にベンジルであり、
bがメトキシであり、
cがメチルである
ことを特徴とする、請求項1に記載の染料。
【請求項3】
次の式(II):
【化2】

のジアゾ化アミンを、次の式(III):
【化3】

(当該置換基は、請求項1で規定した意味を有する)
の化合物とカップリングさせることを特徴とする、式(I)の染料を調製する方法であって、
さらなる段階において、前記ジアゾ成分中のBr置換基を、−CNに置換する。
【請求項4】
疎水性繊維材料、特に、ポリエステル、第二アセテート及び/又はトリアセテート繊維材料を染色及び/又は印刷するための、請求項1に記載の染料の使用。
【請求項5】
インクジェット印刷法又はホットメルトインクジェット印刷法を用いて、疎水性繊維材料を印刷するための、請求項1に記載の染料の使用。
【請求項6】
請求項1に記載の染料を少なくとも一種含む組成物。
【請求項7】
前記組成物中に、次の式(II):
【化4】

(式中、
Dは、置換された又は置換されていない芳香族アミンに由来するジアゾ成分であり、
Kは、次の式K1、K2又はK3
【化5】

の芳香族基であり、
1は、水素、塩素、C1〜2−アルキル、C1〜2−アルコキシ、ヒドロキシル又はアシルアミノであり、
2は、水素、C1〜4−アルコキシ、C1〜2−アルコキシエトキシ、塩素、臭素又はR3と一緒になった式−*CH(CH3)CH2C(CH32−基(*核に結合している)であり、
3は、水素、C1〜6−アルキル、C3〜4−アルケニル、クロロ−若しくはブロモ−C3〜4−アルケニル、C3〜4−アルキニル、フェニル−C1〜3−アルキル、C1〜4−アルコキシカルボニル−C1〜3−アルキル、C3〜4−アルキルオキシカルボニル−C1〜3−アルキル、C3〜4−アルケニルオキシカルボニル−C1〜3−アルキル、フェノキシ−C2〜4−アルキル、ハロ−、シアノ−、C1〜4−アルコキシ−、C1〜4−アルキルカルボニルオキシ−若しくはC1〜4−アルコキシカルボニルオキシで置換されたC2〜4−アルキル、又は式−CH2−CH(R8)CH2−R9基であり、
4は、水素又はC1〜2−アルキルであり、
5は、フェニル、メチル、塩素、臭素及びニトロから成る群から選択される一つ若しくは二つの置換基により置換されてもよいフェニル、又はc−ペンタノン若しくはc−ヘキサンノン環を形成するためにR4と結合し、
6は、水素又はヒドロキシルであり、
7は、水素又はメチルであり、
8は、ヒドロキシル又はC1〜4−アルキルカルボニルオキシであり、
9は、塩素、C1〜4−アルコキシ、フェノキシ、アリルオキシ又はC1〜4−アルキルカルボニルオキシであり、
Yは、C1〜3−アルキレンであり、
但し、Kが式K2又はK3の基である場合には、R3は水素以外の意味を有しない)
の少なくとも一種のさらなる染料が存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の少なくとも一種の染料を用いて印刷又は染色した繊維材料。

【公表番号】特表2008−542514(P2008−542514A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515211(P2008−515211)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062959
【国際公開番号】WO2006/131530
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】