説明

分散設計ネットワークを管理するためのシステム及び方法

分散設計ネットワークを、特にデータが複数のアプリケーション内にあり、複雑な相互関係によってリンクされているドメインに対して、管理するために用いられる、システム、アーキテクチャ及びデータ構造が開示される。発明によって統合される設計ネットワークは、新製品を設計及び開発するために共同している、複数のサイトにある複数の会社を含むことができる。発明の目的は、設計に関係する相互にリンクされたデータを含む、既存の様々なレガシーアプリケーションをシームレス及び公明に統合し、よって分散設計ネットワーク管理の要件に対処することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソフトウエアの分野に関する。特に、本発明は製品設計の管理を支援するために異種要素からの情報を統合するプロジェクトソフトウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
共同設計プロジェクトでは複雑さが倍加する。ハードウエア及びソフトウエア設計のような事業において、そのようなプロジェクトには、様々な所在地及び時間帯にわたって分散する数千の共同者がかかわり得る。設計及び開発業務には多数の会社もかかわり、設計プロセスをさらに細分化し得る。さらに、そのようなプロジェクトの進捗状況を追うために必要な情報は、課題トラッキングツール、プロジェクトトラッキングツール、電子設計ツール、eメール交信及び製品仕様書のようなより通常の設計ソフトウエアに加えて、ヒューマンリソース、会計及びプロジェクトリソースプランニングソフトウエアも含む、共同作業を対象としていない数多くのレガシーアプリケーション内に存在し得る。これらの様々なツール内にある該当データの間には複雑な相互関係があることが多く、設計プロセスの首尾一貫した全容を把握するための作業がさらに複雑になる。したがって、
・ 分散したアプリケーション及びデータを統合し、分散デシジョンメーキングを支援する、真の分散プロジェクト設計環境のための平常サポート、
・ 設計プロセスにおけるユーザ選択アプリケーションの、組織及び所在地にわたる公明な統合、
・ インターネットを通じるユーザ選択アプリケーション内にあるデータのコピーは作らないが、代わりに、メタデータを維持し、別の設計ネットワークアプリケーション内にある情報とリンクさせる包括化エンジン、
・ ローカルエリアネットワーク及び広域ネットワークにわたる内蔵アプリケーション統合及びアプリケーション搬送、
・ 設計ネットワーク参与者の迅速な差換え、
・ 広範なデータソースをサポートするためのユニフォームアダプタフレームワーク、
が必要とされている。
【0003】
設計ネットワーク管理に望ましい上記及びその他の特徴が本発明で扱われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は共同設計プロジェクトの遂行にかかわる分散設計ネットワークを管理するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分散設計ネットワークを管理するために用いられる、特にデータが複数のアプリケーション内にあり、複雑な相互関係によってリンクされているドメインのための、システム、アーキテクチャ及びデータ構造を含む。本発明によって統合される設計ネットワークは新製品を設計及び開発するために共同している多数のサイトの多数の会社を含むことができる。本発明の目的は、設計に関係する相互にリンクされたデータを有する、既存の様々なレガシーアプリケーションをシームレス及び公明に統合し、よって上掲の要求に対処することである。
【0006】
本発明によって統合される情報は、様々なヒューマンソース及び、ヒューマンリソース、会計、プロジェクトリソースプランニング(EPR)、電子設計オートメーション(EDA)、既存のプロジェクトプランニング及びトラッキングツール、及びその他の様々なソースのような、ドメインのための既存のレガシーアプリケーションを含む、アプリケーションソース内に存在し得る。この統合は、異種のソース内にあるデータ間の関係の捕捉、肝要なメタデータの総集及び様々なユーザの情報要求に基づくレポートの発行によって達成される。本発明は、ユーザクエリーのようなイベントに、これらの異種リソースからの実時間データ検索及び統合により、高い信頼度で応答する。本発明の実施形態は、設計プロセスの履歴も捕捉し、例外、データの不一致の発生について、また実時間警告に値する設計ネットワークにおけるその他のイベントの発生についても、ユーザに警告する。様々なデータソースを統合することにより、本発明は、最良のユーザ選択アプリケーション内のデータの存在を可能にする。さらに、そのような統合を容易にするために用いられるデータ構造及び方法が本明細書で説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に提示される例及び実施形態は説明目的のために過ぎず、当業者には多くの改変、等価物及び代替物が容易に明らかであろう。
【0008】
設計ネットワークモニタリングのための異種アプリケーションの統合
本発明は、図1に簡略に示されるように、分散設計ネットワークをモニタするために異種要素アプリケーションセットを、クエリー、モデル構築及びモニタするためのシステム100を含む。要素アプリケーション102〜116は、時間/請求アプリケーション、プロジェクトプランニングアプリケーション、EDAツール、設計文書、課題トラッキングソフトウエア、コードレジスタ及びERPシステムのような異種情報源を含むことができる。これらのシステムのクエリー及び/または実時間モニタにより、本発明は、設計プロセスの実時間全容把握、設計データ間の不一致の警告、スケジュールまたは目標あるいは設計プロセスにおけるその他の時間的に厳しいイベントの達成困難の警告、設計欠陥の修正及び設計プロセスのためのその他のタイプのサポートを提供する。
【0009】
システム100の様々な原子的要素間には複雑な関係が存在する。説明のための非限定的例として、課題トラッカー104に含まれる課題はプロジェクトプラン102内のタスクと関係することができるであろう。同様に、設計データ108はプロジェクトプラン102内の特定のタスクと関係することができる。設計プロセスにおいて生じる要素ツール102〜106間におけるデータ間の関係の別の例が、当業者には容易に明らかなはずである。
【0010】
設計ネットワーク管理システムに用いられるデータ構造:「データオブジェクト」
本明細書に説明されるサービスを容易にするため、本発明は、「伝送時」様式を定義し、そのような様式において記録されるデータを維持するために汎用の格納、検索及び更新方法を用いることによる、データを維持するための新規な方法及びデータ構造を含む。本発明の実施形態は、そのような能力を実施し、システム100によって統合されるクライアント102〜116のいずれもがアクセス可能なアプリケーションサーバの下で実行され得る、抽象化されたサービスをサポートする。
【0011】
本発明の実施形態において、設計管理システム100のコアプラットフォームは、本明細書で「データオブジェクト」と称される、データ及びメタデータを含む汎用オブジェクトの操作によって動作する。データオブジェクトにより、設計管理システム100内でのデータの通信及び操作が容易になる。本発明の実施形態において、データオブジェクトは以下のフィールドまたは特徴、
・ 本発明のいくつかの実施形態において、データオブジェクトは明確にタイプ分けすることができ、それぞれのデータオブジェクトのタイプは対応するフィールドにリストアップされる、
・ 1つまたはそれより多くのネーム値対、すなわち属性。本発明の実施形態において、そのような属性のそれぞれはいずれかのタイプに対応する;
・ 親データオブジェクトに再帰的に埋め込まれた1つまたはそれより多くの別のデータオブジェクト;
・ データオブジェクトのタイプに対応するデータ;
の内の1つまたはそれより多くをさらに含む、再帰構造である。
【0012】
本発明の実施形態において、データオブジェクトは対応するXML様式にしたがって作成することができ、あるいは対応するXML様式に変換することができる。説明のための非限定的例として、(本明細書でさらに定義される)「タスク」プロジェクトのためのデータオブジェクトについてのXML様式が下の表1に提示される。
【表1】

【0013】
タスクデータオブジェクトにおける「タイプ」属性は、「文字列」タイプであり、「計画」、「課題」及び「雑」の、3つの値をとることができる。表1のタスクデータオブジェクトはさらに、「計画データ」及び「予測データ」に対する、再帰的に埋め込まれた2つの別のデータオブジェクトを含む。下の表2及び3に説明の目的のために提示される、これらの再帰的に埋め込まれたオブジェクトは、表2及び3に示されるように、別に属性を有する。
【表2】

【表3】

【0014】
本発明の実施形態はさらに、「システム」データオブジェクト及び「ユーザ」データオブジェクトを含む、異なるタイプのデータオブジェクトを含む。システムデータオブジェクトはシステム関連特性を格納し、通常はカスタムクラスから導かれる。ユーザデータオブジェクトは一般に設計ネットワークに関する有用な情報片を表す。いくつかの実施形態において、そのようなユーザデータオブジェクトは伝送時に構成される。説明のための例として、下の表4,5及び6は、設計ネットワーク管理プロセスにおける重要なタイプのデータオブジェクトをそれぞれが含み、以下でさらに説明される、「タスク」,「計画データ」及び「予測データ」についてのXML様式を示す。
【表4】

【表5】

【表6】

【0015】
本発明の実施形態にしたがう、そのようなデータオブジェクトとともに用いられる方法の例が、2003年2月24日に出願された、名称を「設計ネットワークを実施するためのシステム及び方法(System and Method for Implementing Design Chains)」とする、米国仮特許出願第60/449750号の明細書にさらに説明されている。上記明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0016】
説明のための例:タスク
「タスク」はリソース(一般には人)が設計ネットワークにおいて実行する作業の原子的単位と定義される。タスクは再帰的にサブタスクに分割され、設計プロジェクト全体は1つの大きな「ロールアップタスク」と等価であると見なすことができる。タスクは一般に以下の性質、
・ タスクは、プロジェクトプラン102(計画タスク)、割込みベースで出現するランダムな作業(雑)及び課題/バグトラッカー104から生じるタスク(課題タスク)を含む、様々なソースから生じる、
・ 計画タスクは、プロジェクトプランニングアプリケーション104において維持される計画開始日付及び完了日付を有する、
・ 計画タスクは、プロジェクトトラッキングアプリケーションまたはプロセスにおいて一般に補足される、予測されるかまたは実際の完了日付を有する、
の内の1つまたはそれより多くを有する。
【0017】
タスクデータオブジェクトは下の表7に示されるように定義することができる。
【表7】

【0018】
上に示された実施形態において、タスクタイプ属性は文字列タイプであって、「計画」、「課題」及び「雑」の3つの値をとることができる。計画データ及び予測データはさらに、下の表8及び9に定義される属性を含む。リソースについてのデータオブジェクトは、表10に定義されるように、このタスクに対して計画された(または既に仕事にかかっている)、リソースネームセットを含む。
【表8】

【表9】

【表10−1】

それぞれのリソースはネームを有し、複数のプロジェクトへの割当てが可能である。
【0019】
説明のための例:データ総集及び役割固有表示画像
上述したデータオブジェクトの使用をさらに説明するため、本発明の実施形態にしたがうデータ総集及び役割固有表示画像生成の非限定的例が本節に提示される。さらに詳しくは、本節の例は、いずれもが一般にエンジニア/個人の寄与者に提供される、ToDoList及びStatusEntryと称される設計管理システムの表示画像にかかわる。これらの表示画像の生成にかかわる工程は、
・ プロジェクトのセットが本システムにおいて定義される。設計管理システム内の担当領域を画像表示する「ドメイン」のセットが定義される。ドメインはさらに、プロジェクト、スーパープロジェクト、ポートフォリオ及び関数として定義することができる、
・ システムにユーザが加えられ、それぞれのユーザが1つまたはそれより多くのドメイン(プロジェクト)にマッピングされる、
・ ドメインの内のいくつかまたは全てにプロジェクトプランがアップロードされる、
・ ユーザがプロジェクトプラン内のタスクに割り当てられる、
を含む。
【0020】
ToDoList/StatusEntry表示画像はリソースが作業すると期待される全てのタスクの統合表示画像を含む。図2はToDoList200及び対応するトラッキングページ202の生成を示す。StatusEntryページの生成は同様であるが、それぞれのユーザインターフェースに応じて異なる。ToDoList200のそれぞれの項目は、タスクについて上述した属性を有する、設計プロジェクトのタスクに対応する。
【0021】
設計ネットワーク管理システム100は、上述した、ユーザが作業するタスクの3つの種別を認識し、それぞれのタイプのタスクが抽出されるデータソースも認識する。例えば、「計画」タイプのタスクについては、計画されたデータ及びリソース割当が適切なプロジェクト管理ファイル102から抽出される。予測値は数多くのソースから得ることができ、これらのソースの非限定的例にはeメール状況レポートがあり、当業者には設計プロセスにおける予測値のためのその他のソースが容易に明らかであろう。本発明の実施形態において、2つのソースにあるタスクはタスクを一意的に識別するUniqueIDを用いて関係付けられる。
【0022】
本発明の実施形態において、ToDoListは以下の工程、
・ 設計ネットワーク管理システム100のコアプラットフォームは、それぞれのToDoListを要求しているユーザのリソースネーム及びIDで開始される、
・ 管理システム100はそれぞれのリソースがどのプロジェクトに属するかを決定する、
・ それぞれのプロジェクトに対し、管理システム100は対応するプロジェクトプランから計画タスクデータオブジェクトを抽出し、対応するタスクネーム及び計画終了日付を表示する、
・ 一般に、雑タスクがリソースによって入れられる。これらのタスクはプロジェクトに対して管理システム100のためのデータベースに維持され、このデータベースから処理のために検索される、
・ 課題は個々の課題トラッカーに維持され、特定のユーザに対応する課題が作成されてToDoListに表示される、
・ 与えられたユーザが割り当てられるプロジェクトのそれぞれについてこのプロセスが繰り返される、
・ 本発明の実施形態において、タスクはプライオリティを表すためか、そうではなくともユーザの注意を引くために、反転表示するか、または色を変えて表示することができる、
の内の1つまたはそれより多くの実行により生成される。
【0023】
タスクトラッキングページ202は、ユーザによるタスクに関する情報の入力を可能にし、計画投入労力、計画開始日及びその他のパラメータを含む、タスクに関するさらなる詳細をユーザに提供する。
【0024】
本発明の実施形態は、プロジェクトの原子的タスク要素に対する計画値及び予測値に関係し、識別されたこれらの値にある不一致を反転表示する「スケジュールスクリーン」200の使用によって、設計ネットワークにおける不一致を反転表示するための手法も含む。いくつかの実施形態において、表示画像200はプロジェクトプランニングアプリケーション102からプロジェクトに対して計画された全てのタスクを抽出することによって生成される。いくつかの実施形態において、不一致は色を変えて表示することができる。次いで、不一致を反転表示するために特定の規則が適用される。説明のための非限定的例として、タスクのための以下のような代表的な規則、
> If(expected_end_date-plan_end_date)>x% color code red,;
> If(expected_end_date-plan_end_date)<=0 color code green;
> If(expected_end_date<today) and task_comletion percent<100% =>
color code red;
> Color cod yellow otherwise;
が提示される。
【0025】
当業者には容易に明らかであろうように、計画投入労力及び予測投入労力のフィールドにも同様の規則を適用することができる。当業者には製品設計ネットワークにおける計画パラメータと予測パラメータの間の不一致を識別するためのその他の規則が容易に明らかなはずである。
【0026】
設計プロジェクトの履歴のキャッシュ及び格納
本発明の実施形態は設計プロジェクトの履歴の格納を可能にする。いくつかの実施形態においては、下の表10a及び10bに示される「スナップショット」データオブジェクト及び「プロジェクト」データオブジェクトのような、特定のデータオブジェクトの使用により、スナップショットがとられ、記録され得る。
【表10−2】

【表10−3】

表示画像生成手順の概要
これまで説明したような表示画像を生成するための手順は、
・ 固定様式または伝送時様式を用いて原子的要素及び特性を定義する、
・ 本明細書で以降に説明されるような、ビューフローを用いて、それぞれのアプリケーションからそれぞれの原子的要素の特性を抽出する、
・ 不一致を識別するためにこれらの特性に規則を適用する、
・ これらの特性に基づいて該当する表示画像を生成する、
・ 高速検索のためにデータをキャッシュする、
・ 傾向及び履歴情報を提供するために履歴メタデータを格納する、
のようにまとめることができる。
【0027】
設計ネットワーク管理システムの実施のためのデータ構造及びアーキテクチャ:セル及びビューフロー
本発明の設計ネットワーク管理システムは、本明細書で以降に説明されるような「セル」及び「ビューフロー」を用いる、コアオブジェクトモデル及びアーキテクチャを採用する。
【0028】
コアオブジェクトモデル:セル
本発明は、先に説明した「データオブジェクト」を基にして、設計管理システム100のコアプラットフォームを支援する、「セル」及び「ビューフロー」を実施する。セルは設計ネットワークにおいて注目する特定の情報を定め、ビューフローを含む。続いて、ビューフローは親セルを生成するための制御情報を含む。ビューフローはさらに、一層複雑な表示画像を生成する規則を用いて、本システムの相異なる表示画像を結合することができる。完了に向かう設計フローの間、表示画像は設計ネットワークを通して流れ、視認性及び設計フローにわたる制御を提供する。表示画像内の情報はXMLファイルを用いて構成することができ、特定のセルを生成するためのデータ及び規則をさらに含むことができる。
【0029】
これらの概念は、集積回路の設計における「エリア」の決定にかかわる、図3aに示される非限定的例によって示される。ビューフロー342は、他のセルから情報を抽出して総集するために用いられる演算子を含む。詳しくは、「エリア」セル340には、(1)2つのソース344からエリア情報を抽出するため、(2)そのような情報を総集するため及び(3)所望のエリア(すなわち、設計目標で指定されたエリア)に対して実際のエリアをチェックするための比較規則を起動するための、命令シーケンス342が埋め込まれる。本発明の実施形態において、ユーザは、次に、あらかじめ定められた閾値に基づいて警告されることがある。
【0030】
図3bは、本発明の実施形態にしたがう、複雑なセル312,314を生成するための簡単なセル302〜310の結合の例を示す。本例にあるセル302〜314を生成するための設計情報は、EDAアプリケーション(エリア、パワー)、タイムカードシステム(請求時間)、HRシステム(対時間率)及び購買システム(装置経費)から得られる。これらは、本発明のコアプラットフォーム100内にコード化されている命令及び規則を用いて、開発経費314及び製品経費312を推定するために結合される。いくつかの実施形態において、設計管理システムによってサポートされる原子的命令には、「抽出」、「総集」、「ファイル取出」及び「規則適用」基素がある。いくつかの実施形態において、セル生成プロセスは再帰的であり得る。
【0031】
コアオブジェクトモデル:ビューフロー
ビューフローは、定められた順序で実行される、ノードのシーケンスからなる(ノードは、続いて、命令またはビューフローを含むことができる)。そのようなノードにより、分岐及びブール規則結果の評価のいずれにもよる、実行パスにおける次のノードの選択が可能になる。本発明の実施形態において、ビューフロー内のノードは有向非輪グラフに配列される。本発明の実施形態において、ビューフロー内のノードは1つまたはそれより多くの入力ノード及び1つより多くはない出力ノードを有することができる。
【0032】
本発明の実施形態において、そのようなノードのそれぞれは、
・ そのノードを実行するためのピア、
・ 実行に用いられるべきリソース(ファイル/データベース)、
・ 入力及び出力のデータオブジェクトタイプ、
・ 不定のユーザが定義できるパラメータ、
の内の1つまたはそれより多くを示す。
【0033】
説明のための非限定的例として、図4は、ある時点における設計プロジェクトの総経費の比率をその時点における設計の進捗度と比較する(408)、ビューフロー400を示す。
【0034】
ビューフロー400をコード化する様式の例を表10cに提示する。
【表10−4】

【表10−5】

【表10−6】

【表10−7】

本例において、ビューフローは7つのノードを有し、ノードはすべて命令である。それぞれの命令は、
・ “D”:一般にビューフローシーケンサによって与えられるドメインを示す。このパラメータはどのプロジェクトがどれに対して命令を実行するかを示す、
・ “I”:シーケンス内の前の命令からシーケンサによって与えられる入力データオブジェクトを示す;
・ “O”:命令によって与えられる出力データオブジェクトを示す;
のような、タイプを示すParamTypeによって指定される複数の入力パラメータを有する。
【0035】
ビューフローによって用いられるリソースもXMLベースの様式によって構成することができる。そのような様式の非限定的例を表11に提示する。
【表11−1】

【表11−2】

構成プロセスの最終段階として、マッピングテーブルによってリソースが命令にマッピングされる。XML様式をそのようなマッピングに用いることができ、そのような様式の説明のための非限定的例を表12に提示する。
【表12】

【0036】
本発明の実施形態において、マッピングは与えられたリソースが利用可能であるピアも示す。あるいは、リソースの一部としてピアを構成することができよう。リソースを構成するための他の方法が当業者には明らかなはずである。
【0037】
ビューフローを起動するイベント
本発明の実施形態において、ビューフローは、同期または非同期のイベントであり得る、イベントによって起動される。非同期起動イベントの例は、クエリーのような、システムデータベースまたはクライアントUIイベントへの入力であり得る。あるいは、予定された同期イベントもビューフローの実行を起動することができ、その多くの例が当業者には容易に明らかなはずである。いずれの場合にも、イベントはクエリーにマッピングされ、クエリーは続いてセル及びビューフローにマッピングされて実行される。セルは、対応するビューフローを実行することにより、イベントに応答してつくられる。
【0038】
設計ネットワーク管理システムにおけるその他のノード
上記のタイプのノード(ビューフロー及び命令)に加えて、本発明の実施形態は別のタイプのノード、
・ 分岐または規則ノード、
・ アイテレータノード、
・ ORまたは同期ノード、
をサポートする。これらのタイプのノードの中で、分岐ノードは結果に基づいて条件または分岐実行フローを評価する。ビューフローは単一のノードで終わるから、ビューフローにおける分岐は結果的に同期または「OR」ノードである。さらに、本発明の実施形態において、ビューフローはドメインにわたって繰り返すことができる。したがって、ユーザはあるドメインセットのクエリーを行うことができ、応答して、全てのドメインに対する結果が総集されて、提示されるであろう。ビューフローノードの上記及びその他の特徴は、本明細書に参照として含まれる、上掲の米国仮特許出願明細書にさらに詳述されている。
【0039】
設計ネットワーク管理システムのシステムアーキテクチャ
図5は、ビューフローの実行を通して設計ネットワークのモデルを構築するために本明細書の実施形態で用いられるシステムアーキテクチャを示す。システムは、以下に詳述される実行技法にしたがってビューフローを処理するビューフローエンジン502を備える。エクストラクタ504は、
・ ビューフローエンジン502からの同期リクエスト。この場合抽出リクエスト後に戻される出力はデータオブジェクトの形態にある、
・ イベント待ち行列506からの非同期リクエスト。エクストラクタ504は抽出がなされた後にイベント待ち行列に抽出完了/失敗イベントを記録する。抽出が無事に完了すれば、戻されるデータオブジェクトはイベントオブジェクトの形態にある、
のようなリクエストを同期または非同期で受け取ることができる。
【0040】
図5に示される設計ネットワーク管理アーキテクチャの他のコンポーネントにはビューフロー及びデータオブジェクトのためのデータベースがある。本発明の実施形態にはさらに様々なソースから情報を集めるためのアグリゲータがある。ビューフローエンジン502は複数の先行ノードから結果を自動的に総集して、総集結果を後続ノードに供給する。本発明の実施形態は、複数のデータオブジェクトからのデータが単一のデータオブジェクトに入れられる、より複雑な総集操作もサポートする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態にしたがう本発明のシステム及びアーキテクチャを示す
【図2】本発明の実施形態に用いられるディスプレイ画面を示す
【図3a】本発明の実施形態にしたがうビューフローの一例を示す
【図3b】本発明の実施形態にしたがうマルチプルビューフローを示す
【図4】本発明の実施形態にしたがう例示的クエリーを示す
【図5】本発明の実施形態にしたがうビューフロー処理のためのアーキテクチャを示す
【符号の説明】
【0042】
100 設計ネットワーク管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終製品の設計を容易にするためのコンピュータネットワークシステムにおいて、前記コンピュータネットワークシステムが、
1つまたはそれより多くの電子フォーマットにコード化された、前記最終製品のための設計を1つまたはそれより多く含む第1のソフトウエアツール、
プロジェクトリソースプランニング(ERP)ソフトウエアを含み、前記製品の設計にかかる実経費を示す1つまたはそれより多くのフィールドを含む第2のソフトウエアツール、
前記最終製品のためのプロジェクトプランニングを支援する第3のソフトウェアツールであって、前記最終製品を設計するためのスケジュールを作成する第3のソフトウエアツール、及び
前記第1のソフトウエアツール、前記第2のソフトウエアツール及び前記第3のソフトウエアツールから受け取る現況に基づいて前記最終製品の設計の進捗度を測るために動作することができるように、前記第1,第2及び第3のソフトウエアツールと実時間で交信するソフトウエアを含むモニタリングエンジン、
を備えることを特徴とするコンピュータネットワークシステム。
【請求項2】
前記第1のソフトウエアツールが標準のコンピュータ支援設計(CAD)ツールを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項3】
前記CADツールがハードウエア設計ツールであり、前記最終製品がコンピュータハードウエアを含むことを特徴とする請求項2に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項4】
前記1つまたはそれより多くの電子フォーマットがハードウエア設計言語を含むことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項5】
前記ハードウエア設計言語がVERILOGを含むことを特徴とする請求項4に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項6】
前記最終製品がソフトウエア製品を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項7】
前記モニタリングエンジンが完了に向けての前記最終製品の前記設計の進捗度を測ることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項8】
前記モニタリングエンジンがさらに前記最終製品の設計の計画された進捗度に対して前記最終製品の設計の実進捗度を比較するように適合されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項9】
前記モニタリングエンジンが前記計画された進捗度に対する前記実進捗度の比較のための基準を有することを特徴とする請求項8に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項10】
1つまたはそれより多くの電子フォーマットにコード化されている製品設計の状況をモニタするためのコンピュータネットワークシステムにおいて、前記コンピュータネットワークシステムが、
階層的順序で配列された複数のノードであって、前記階層的順序の最下位レベルにある複数のノードが複数のソフトウエアリソースから前記製品設計に関するデータを取得し、前記複数のソフトウエアリソースが、ヒューマンリソースツール、課題トラッキングツール及びプロジェクトプランニングツールを含むものである複数のノード、
前記ノードの内の1つまたはそれより多くにおいて実行され得る、前記複数のノードにおいて受け取られるデータを総集するための総集命令、前記複数のソフトウエアリソースからデータを検索するための抽出命令及び1つまたはそれより多くのノードから受け取られるデータに条件規約を適用するための規則命令を含む複数の命令基素、及び
イベントに応答して前記ノードの内の1つまたはそれより多くにおいて前記複数の命令基素の内の1つまたはそれより多くの実行を起動するためのイベントモニタ、
を備え、
前記階層的順序の最高位にある単一のノードが前記イベントの発生時に前記製品設計の前記状況を提示することを特徴とするコンピュータネットワークシステム。
【請求項11】
前記階層的順序が有向非輪グラフを含むことを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項12】
前記複数のソフトウエアリソースのそれぞれが複数のサーバの相異なるサーバ上で動作し、前記複数のサーバがネットワークを介して交信していることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項13】
前記ネットワークが少なくとも一部にローカルエリアネットワークを含むことを特徴とする請求項12に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項14】
前記ネットワークが少なくとも一部に広域ネットワークを含むことを特徴とする請求項12に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項15】
前記広域ネットワークがTCP/IPを介して交信していることを特徴とする請求項14に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項16】
前記複数のノードが前記複数のサーバの間で分散されていることを特徴とする請求項12に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項17】
前記イベントモニタが非同期イベントを検出するように構成されることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項18】
前記非同期イベントが前記ソフトウエアリソースの内の1つまたはそれより多くに対する更新を含むことを特徴とする請求項17に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項19】
前記イベントモニタが同期イベントを検出するように構成されることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項20】
階層の最高位にある前記単一のノードがユーザインターフェースと、前記起動イベントの発生後に前記製品設計の前記状況が前記ユーザインターフェース上に表示されるように、交信していることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項21】
前記ユーザインターフェースがウエッブブラウザを含むことを特徴とする請求項20に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項22】
前記ソフトウエアリソースが、EPRツール、課題トラッキングツール、プロジェクト管理ツール及び電子設計オートメーション(EDA)ツールの内の1つまたはそれより多くを含むことを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項23】
前記製品設計がハードウエア製品設計であることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項24】
前記ハードウエア製品設計が1つまたはそれより多くの集積回路のための設計であることを特徴とする請求項23に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項25】
前記製品設計がハードウエア設計言語にコード化されることを特徴とする請求項24に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項26】
前記ハードウエア設計言語がVERILOGであることを特徴とする請求項25に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項27】
前記製品設計がソフトウエア製品のための設計であることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項28】
電子設計プロジェクトをモニタする方法において、前記方法が、
1つまたはそれより多くの起動イベントの発生時に、課題トラッキングツール、プロジェクト管理ツール及びEPRツールを含む2つまたはそれより多くのソフトウエアリソースから前記電子設計プロジェクトに関するパラメータを抽出する工程、
前記パラメータの抽出に応答して、前記電子設計プロジェクトの実開発経費を決定する工程、
前記パラメータの抽出時に、前記設計プロジェクトの推定経費を決定し、前記抽出されたパラメータの内の1つまたはそれより多くから前記設計プロジェクトの進捗度を%として決定する工程、及び
前記実開発経費を、前記推定経費の%として、前記設計プロジェクトの前記進捗度の%と比較する工程、
を有してなることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記実開発経費の前記比較の結果をユーザインターフェース上に表示する工程をさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法、

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−524886(P2007−524886A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503847(P2006−503847)
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/005516
【国際公開番号】WO2004/077264
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501206921)コーラブネット・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】