説明

分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法

【課題】表面弾性波素子を用いて反応容器に保持した液体試料を攪拌する場合、液体試料を所定温度に簡易に保持することが可能な分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法を提供すること。
【解決手段】検体と試薬を含む液体試料を保持した複数の反応容器9を収容し、液体試料を所定温度に保温する恒温槽6を備え、表面弾性波素子が発する音波によって液体試料を攪拌し、反応液を分析する分析装置1と分析装置における液体試料の温度制御方法。分析装置1は、恒温槽6の温度を表面弾性波素子の駆動信号から予測される液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、液体試料を所定温度に保温する温度制御回路16cが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分析装置、例えば、血液等の生体試料を分析する自動分析装置は、検体と試薬とを保持した複数の反応容器を収容する反応ホイールを備え、検体と試薬とが反応した反応液を光学的に測定することにより検体の成分濃度等を分析している。このとき、自動分析装置は、恒温槽内の温度を温度センサによってモニタし、このモニタした温度に基づいてヒータをオン,オフ制御することによって槽内の温度、従って液体試料を所定温度に保温している。また、液体試料を攪拌する攪拌装置として、音波によって先鋭的な音場によって音響流を生成し、この音響流によって液体を攪拌するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第10325307号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された攪拌装置は、圧電基板上に櫛型電極(IDT)を形成した表面弾性波(SAW)素子を用い、駆動制御回路によって表面弾性波素子を駆動している。このため、特許文献1の攪拌装置は、攪拌に用いた表面弾性波(音波)のエネルギーが最終的に熱エネルギーに変化して液体試料の温度を上昇させる。従って、自動分析装置において特許文献1の攪拌装置を使用すると、反応容器に保持された液体試料の温度が攪拌によって所定温度以上に上昇して分析精度が低下し、場合によっては検体が変質することがある等の問題があった。この場合、反応容器に保持された液体試料の温度を直接測定することは、検体の少量化、コンタミネーションの防止、温度センサの感度等の観点から技術的に難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表面弾性波素子を用いて反応容器に保持した液体試料を攪拌する場合、液体試料を所定温度に簡易に保持することが可能な分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る分析装置は、検体と試薬を含む液体試料を保持した複数の反応容器を収容し、前記液体試料を所定温度に保温する恒温槽を備え、表面弾性波素子が発する音波によって前記液体試料を攪拌し、反応液を分析する分析装置であって、前記恒温槽の温度を前記表面弾性波素子の駆動信号から予測される前記液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、前記液体試料を所定温度に保温する温度制御手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項2に係る分析装置における液体試料の温度制御方法は、検体と試薬を含む液体試料を保持した複数の反応容器を収容し、前記液体試料を所定温度に保温する恒温槽を備え、表面弾性波素子が発する音波によって前記液体試料を攪拌し、反応液を分析する分析装置における液体試料の温度制御方法であって、前記恒温槽の温度を前記表面弾性波素子の駆動信号から予測される前記液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、前記液体試料を所定温度に保温することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分析装置は、恒温槽の温度を表面弾性波素子の駆動信号から予測される液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、前記液体試料を所定温度に保温する温度制御手段を設け、本発明の分析装置における液体試料の温度制御方法は、恒温槽の温度を表面弾性波素子の駆動信号から予測される液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、液体試料を所定温度に保温する。従って、本発明の分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法は、表面弾性波素子を駆動して液体試料を攪拌することによって熱が発生しても、恒温槽の温度を目標温度よりも低く制御するので、液体試料を所定温度に簡易に保持することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、図1に示す自動分析装置の反応ホイールを拡大して分注装置及び攪拌装置の概略構成と共に示す図である。
【0010】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、反応ホイール6及び試薬テーブル13が互いに離隔してそれぞれ周方向に沿って回転、かつ、位置決め自在に設けられ、攪拌装置20を備えている。また、自動分析装置1は、検体テーブル3と反応ホイール6との間に検体分注機構5が設けられ、反応ホイール6と試薬テーブル13との間には試薬分注機構12が設けられている。
【0011】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0012】
検体分注機構5は、反応容器9に試薬よりも少量の尿,血液等の検体を分注する手段であり、図1及び図2に示すように、分注ノズル5aによって検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次反応ホイール6のホルダ6bに収納された反応容器9に分注する。検体分注機構5は、図2に示すように、分注ノズル5aによる反応容器9へ検体を分注する分注タイミングを制御する分注制御部5bを備えている。
【0013】
反応ホイール6は、図1に示すように、検体テーブル3とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、隔壁6aによって周方向に沿って等間隔で区画されるホルダ6bが複数設けられている。隔壁6aは、下部が開放され、隣接するホルダ6bが周方向に連通している。このように下部で周方向に連通している複数のホルダ6bの一つには、図1に示すように、複数のホルダ6b内の温度を検知する温度センサ7が設けられている。各ホルダ6bには、攪拌容器として検体を試薬と反応させる反応容器9が着脱自在に収納され、半径方向両側に光が透過する開口が形成されている。そして、反応ホイール6は、周方向に連通している複数のホルダ6b内を所定温度(例えば、37℃)に保持する面ヒータ8を設けた端子基板22が下部に配置されている(図2参照)。従って、反応ホイール6は、複数のホルダ6bに収容した反応容器9に保持された液体試料を前記所定温度に保持する恒温槽を兼ねている。また、各ホルダ6bは、図2及び図3に示すように、反応ホイール6の底壁6cを上下に貫通した引き出し電極6dが半径方向に設けられている。反応ホイール6は、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4分回転し、四周期で反時計方向に反応容器9の1個分回転する。反応ホイール6には、測定光学系10及び排出装置11が設けられている。
【0014】
反応容器9は、容量が数nL〜数十μLと微量な容器であり、光源10aから出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器9は、図4及び図5に示すように、側壁9aと底壁9bとによって上部に開口9cを有する四角筒状に成形され、検体や試薬等の液体を保持する内面には液体に対する親和性処理が施されている。反応容器9は、平行に対向する一組の側壁9aの一部が分析光を透過させる窓として利用される。反応容器9は、図5に示すように、底壁9bの下面に音響整合層を介して表面弾性波素子21が取り付けられている。
【0015】
測定光学系10は、試薬と検体とが反応した反応容器9内の液体を分析するための分析光(340〜800nm)を光源10aから出射する。光源10aから出射された分析用の光ビームは、反応容器9内の液体を透過し、光源10aと対向する位置に設けた受光素子10bによって受光される。一方、排出装置11は、排出ノズルを備えており、反応容器9から反応終了後の液体を前記排出ノズルによって吸引し、排出容器(図示せず)に排出する。ここで、排出装置11を通過した反応容器9は、図示しない洗浄装置に移送されて洗浄された後、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0016】
試薬分注機構12は、試薬を分注する手段であり、図1に示すように、試薬テーブル13の所定の試薬容器14から試薬を順次反応ホイール6のホルダ6bに収納した反応容器9に分注する。
【0017】
試薬テーブル13は、図1に示すように、検体テーブル3及び反応ホイール6とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室13aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室13aは、試薬容器14が着脱自在に収納される。複数の試薬容器14は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0018】
ここで、試薬テーブル13の外周には、読取装置15が設置されている。読取装置15は、試薬容器14に貼付した前記バーコードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する。
【0019】
制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御する装置制御部16aと、分注制御部5bと駆動制御回路24の制御作動を連携させる連携部16bと、面ヒータ8の作動を制御する温度制御回路16cとを有しており、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、検体分注機構5、受光素子10b、排出装置11、読取装置15、分析部17、入力部18、表示部19及び攪拌装置20等と接続され、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記バーコードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を規制するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0020】
このとき、温度制御回路16cは、駆動制御回路24が出力した信号発生器23の作動を制御する制御信号が連携部16bを介して入力され(図6参照)、この制御信号から表面弾性波素子21の駆動信号を求める。そして、温度制御回路16cは、反応ホイール6の温度が表面弾性波素子21の駆動信号から予測される反応容器9内の液体試料の温度上昇の予測値分だけ反応ホイール6の目標温度よりも低くなるように面ヒータ8を制御し、液体試料を所定温度に保温する。例えば、温度制御回路16cは、表面弾性波素子21の駆動信号から、表面弾性波素子21に印加される電力量を求め、この電力量と反応容器9内の液体試料の温度上昇との関係を予め求めておく。温度制御回路16cは、この関係と連携部16bを介して駆動制御回路24から入力される表面弾性波素子21の駆動信号とをもとに液体試料の温度上昇の予測値を求める。また、温度制御回路16cには、温度センサ7が検知した反応ホイール6における複数のホルダ6b内の温度情報が入力される(図6参照)。
【0021】
分析部17は、制御部16を介して受光素子10bに接続され、受光素子10bが受光した光量に基づく反応容器9内の液体の吸光度から検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0022】
攪拌装置20は、反応容器9に保持される液体を音波によって攪拌する装置であり、反応容器9に取り付けられる表面弾性波素子21の他、図2に示すように、端子基板22、信号発生器23及び駆動制御回路24を備えている。
【0023】
表面弾性波素子21は、図5に示すように、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の圧電素材からなる圧電基板21a上に櫛型電極(IDT)からなる振動子(発音部)21bが形成されている。
【0024】
端子基板22は、図2に示すように、反応ホイール6の下部に配置されるリング状の絶縁板であり、回転しない。端子基板22は、複数のホルダ6bにおける検体分注機構5の分注ノズル5aが反応容器9に検体Sを分注する反応ホイール6の回転方向におけるホルダ6bの位置をPNとすると、位置PNの1つ手前から2つ先までの位置PN-1〜PN+2の範囲と対応する攪拌領域に引き出し電極6dと接触して振動子21bに電力を分注する接触電極22a,22bが設けられている。ここで、攪拌領域は、位置PN-1〜PN+2の4箇所の範囲に限られるものではなく、少なくとも分注ノズル5aが検体Sを分注する位置PNを含んでいれば必要に応じて4箇所以上の広い範囲に設定し、或いは4箇所未満の狭い範囲に設定してもよい。
【0025】
信号発生器23は、図2に示すように、接触電極22a,22bとの間が配線23aによって接続され、駆動制御回路24からの制御信号に基づいて数十MHz〜数百MHz程度の高周波信号を表面弾性波素子21に出力し、振動子21bに音波を発振させる。駆動制御回路24は、メモリとタイマを内蔵した電子制御手段(ECU)が使用され、表面弾性波素子21の駆動信号を制御する。
【0026】
駆動制御回路24は、図2に示すように、連携部16bを介して分注制御部5bと接続され、信号発生器23の作動を制御すると共に、分注制御部5bとの制御作動が連携されている。駆動制御回路24は、信号発生器23の作動を制御する制御信号を信号発生器23に出力すると共に、連携部16bを介して温度制御回路16cに出力する(図6参照)。駆動制御回路24は、例えば、表面弾性波素子21が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。また、駆動制御回路24は、内蔵したタイマに従って信号発生器23が発振する発振信号の周波数を切り替えることができる。
【0027】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応ホイール6によって周方向に沿って搬送されてくる反応容器9に試薬分注機構12が所定の試薬容器14から試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器9は、反応ホイール6の回転によって検体分注機構5の近傍へ搬送され、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体が順次分注される。そして、検体が分注された反応容器9は、反応ホイール6によって周方向に沿って搬送される間に攪拌装置20によって試薬と検体とが攪拌されて反応し、光源10aと受光素子10bとの間を通過する。このとき、反応容器9内の試薬と検体とが反応した反応液は、受光素子10bによって測光され、分析部17によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器9は、排出装置11によって反応液が排出されて図示しない洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0028】
このとき、自動分析装置1は、以下に説明する温度制御方法により、反応容器9に保持された液体試料を所定温度に制御する。自動分析装置1は、温度制御回路16cの制御の下、温度センサ7から入力される反応ホイール6におけるホルダ6b内の温度情報をもとに反応ホイール6内が目標温度THとなるように制御する。図7において、点線は反応ホイール6の目標温度THを示し、実線は温度センサ7が検知した反応ホイール6の実測温度を示している。
【0029】
このとき、自動分析装置1においては、検体の分析を開始すると、温度制御回路16cが、図7に示すように、少なくとも表面弾性波素子21の駆動時間twの間、面ヒータ8をオフし、反応ホイール6の温度を表面弾性波素子21の駆動信号から予め求めておいた関係に基づいて予測される液体試料の温度上昇の予測値分だけ反応ホイール6の目標温度THよりも低く制御する。これにより、自動分析装置1は、温度制御回路16cの制御の下に、表面弾性波素子21による液体試料の攪拌によって熱が発生しても、反応容器9に保持された液体試料を目標温度TLに保温し(図8参照)、検体の変質等を防止している。ここで、表面弾性波素子21の駆動時間twは、攪拌領域の4箇所の位置PN-1〜PN+2における表面弾性波素子21の駆動時間の総和として表わしている。
【0030】
このとき、自動分析装置1は、温度制御回路16cを設けないと従来の自動分析装置と同様に、面ヒータ8のオン,オフによって反応ホイール6内が目標温度THとなるように制御するので、反応ホイール6内の温度は、図9に実線で示すように、点線で示す目標温度THを挟んで高温側と低温側の間で変動する。このため、表面弾性波素子21によって反応容器9内の液体試料を攪拌すると、面ヒータ8による加熱と表面弾性波素子21による攪拌に起因した熱により、図10に示すように、反応容器9に保持された液体試料の温度が目標温度TLを簡単に超えてしまう。しかも、反応ホイール6は、恒温槽を兼ねていることから熱容量が大きいので、面ヒータ8をオフしても温度が下がり難い。このため、反応容器9に保持された液体試料は、図10に示すように、駆動時間tw後における温度の低下が非常に遅く、目標温度TLの維持が難しい。
【0031】
ここで、自動分析装置1において、反応ホイール6は、上述のように熱容量が大きいので、面ヒータ8をオフする時間は表面弾性波素子21の駆動時間twよりも長くする必要がある。また、面ヒータ8は、必要に応じて分割することにより、反応ホイール6における複数のホルダ6b内の温度低下が著しく加熱を要する部分に重点的に配置するようにしてもよい。一方、反応容器9は、前述のように容量が数nL〜数十μLと微量である。このため、温度制御回路16cは、液体試料の温度上昇の予測値分だけ反応ホイール6の温度を目標温度よりも低く制御すればよく、液体試料の温度上昇の予測値、容量並びに反応容器9の数の積に関する熱量までは考慮しない。
【0032】
(実施の形態2)
次に、本発明の分析装置と分析装置における液体試料の温度制御方法にかかる実施の形態2を図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の自動分析装置は、駆動制御回路が反応ホイールとは独立して設けられていたのに対し、実施の形態2の自動分析装置は、駆動制御回路が反応ホイールに設けられている。図11は、実施の形態2の自動分析装置の要部を示す模式図である。ここで、実施の形態2の自動分析装置は、駆動制御回路の配置を除いて実施の形態1の自動分析装置と構成が同じであるので、同一構成要素には同一の符号を付して説明している。
【0033】
実施の形態2の自動分析装置1は、駆動制御回路24を反応ホイール6に設けることによって、表面弾性波素子21の駆動に伴って駆動制御回路24が発生する熱を反応ホイール6内の加熱に利用する。これにより、実施の形態2の自動分析装置1は、反応容器9に保持された液体試料を目標温度TLに制御する効果に加え、駆動制御回路24が発生する熱を利用することによる面ヒータ8の使用の抑制により省電力を達成している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す自動分析装置の反応ホイールを拡大して分注装置及び攪拌装置の概略構成と共に示す図である。
【図3】反応ホイールのA部を拡大して引き出し電極を示す断面図である。
【図4】実施の形態1の自動分析装置で使用する反応容器の斜視図である。
【図5】図4の反応容器の底面図である。
【図6】実施の形態1の自動分析装置の要部を示す模式図である。
【図7】実施の形態1の自動分析装置における反応ホイールの目標温度と実測温度を示す温度制御図である。
【図8】実施の形態1の自動分析装置における反応容器に保持された液体試料の目標温度と実測温度を示す温度制御図である。
【図9】従来の自動分析装置における反応ホイールの目標温度と実測温度を示す温度制御図である。
【図10】従来の自動分析装置における反応容器に保持された液体試料の目標温度と実測温度を示す温度制御図である。
【図11】実施の形態2の自動分析装置の要部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応ホイール
6b ホルダ
7 温度センサ
8 面ヒータ
9 反応容器
10 測定光学系
11 排出装置
12 試薬分注機構
13 試薬テーブル
14 試薬容器
15 読取装置
16 制御部
16a 装置制御部
16b 連携部
16c 温度制御回路
17 分析部
18 入力部
19 表示部
20 攪拌装置
21 表面弾性波素子
22 端子基板
23 信号発生器
24 駆動制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬を含む液体試料を保持した複数の反応容器を収容し、前記液体試料を所定温度に保温する恒温槽を備え、表面弾性波素子が発する音波によって前記液体試料を攪拌し、反応液を分析する分析装置であって、
前記恒温槽の温度を前記表面弾性波素子の駆動信号から予測される前記液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、前記液体試料を所定温度に保温する温度制御手段を設けたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
検体と試薬を含む液体試料を保持した複数の反応容器を収容し、前記液体試料を所定温度に保温する恒温槽を備え、表面弾性波素子が発する音波によって前記液体試料を攪拌し、反応液を分析する分析装置における液体試料の温度制御方法であって、
前記恒温槽の温度を前記表面弾性波素子の駆動信号から予測される前記液体試料の温度上昇の予測値分だけ目標温度よりも低く制御することにより、前記液体試料を所定温度に保温することを特徴とする分析装置における液体試料の温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−303963(P2007−303963A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132556(P2006−132556)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】