説明

分析装置

【課題】分析装置から排気される気体からミストを分離して、ミストの拡散による生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止する分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】自動分析装置1は、反応容器と、分析部と、洗浄装置とを備え、洗浄装置が、反応容器に挿入され、かつ、反応容器内の反応液および/または洗浄液を吸引排出する吸引排出部材30a〜37a,30c〜35cと、吸引排出部材30a〜37a,30c〜35cに接続され、吸引排出部材30a〜37a,30c〜35cに負圧を供給する真空ポンプ42と、真空ポンプ42により吸引排出部材30a〜37a,30c〜35cを通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離するマニホールド41と、マニホールド41により分離された気体からミストを分離するミスト分離装置43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析装置においてはサンプルや試薬が注入される反応容器を検出終了後に洗浄するための洗浄装置が設けられており、この反応容器を洗浄する技術として特開平10−062431号公報に開示されている洗浄装置がある。
【0003】
特許文献1に開示されている分析装置は、生体サンプルと複数の試薬とを反応ターンテーブルの反応容器内で反応させてその反応状態を検出器で検出し、検出が終了すると、その反応容器は洗浄位置に送られ、洗浄装置により洗浄されるようになっている。この洗浄作業では、反応容器内の生体サンプルと複数の試薬とが排出された後、洗浄液すなわちアルカリ性洗剤、酸性洗剤、純水等により反応容器内が数回洗浄されるようになっている。洗浄が終了した反応容器は汚れがひどいものを除き、再び次の生体サンプルの測定に使用されるようになっている。
【特許文献1】特開平10−062431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サンプルと試薬との反応液や洗浄液などを排水するに際して真空ポンプ等の負圧発生手段によって吸引する構造とすると、例えば、核酸をサンプルとした検査を行った場合、洗浄液等を吸引するために真空ポンプによって吸引された空気中に核酸が含まれる可能性があり、さらに、この核酸が検査室内に拡散する可能性がある。ひとたび核酸が拡散してしまうと、検査過程にある他のサンプルに対して核酸のコンタミネーションを引き起こすことになり、遺伝子検査結果を誤らせる原因となりうる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、分析装置から排気される気体からミストを分離して、ミストの拡散による生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止する分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、生体サンプルと所定の試薬とを反応させる反応容器と、該反応容器内の反応液を分析する分析部と、前記反応容器の洗浄を行う洗浄部とを備え、該洗浄部が、前記反応容器に挿入され、かつ、分析後の前記反応容器内の反応液および/または前記反応容器に供給される反応容器洗浄用の洗浄液を吸引排出する吸引排出部材と、該吸引排出部材に接続され、該吸引排出部材に負圧を供給する負圧発生部と、該負圧発生部により前記吸引排出部材を通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離する気液分離部と、該気液分離部により分離された気体からミストを分離するミスト分離部とを備える分析装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、反応容器内に投入された生体サンプルと試薬とが反応させられ、その反応液が分析部により分析される。分析後においては、反応容器内に洗浄液が供給され、洗浄部による洗浄動作が行われる。洗浄部においては、反応容器内に挿入された吸引排出部材に負圧発生部からの負圧が供給されることにより、分析後の反応液および/または反応容器に供給される洗浄液が吸引排出部材を通して吸引排出され、これによって反応容器が洗浄される。
【0008】
吸引された反応液および/または洗浄液は、気液分離部により、気体と分離されて排出される。また、反応液および/または洗浄液と分離された気体は、ミスト分離部を通過することにより、ミストと分離されて排気される。したがって、ミストの拡散による生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止することができる。
【0009】
上記発明においては、前記吸引排出部材が、一端を前記負圧発生部に接続され、他端を前記反応容器の底壁近くまで挿入される中空管状部材を備え、該中空管状部材と前記反応容器の内壁および底壁との間隙が、該反応容器の内壁および/または底壁に付着した液体を吸引する流速の気流を生じさせる寸法に設定されていてもよい。
【0010】
このように構成することで、中空管状部材が反応容器に挿入されて、反応容器内の洗浄水がほぼ吸引されると、外部からの空気が中空管状部材と反応容器の内壁および底壁との間隙を通って、負圧発生部により吸引排出部材を通して吸引される。この場合において、前記間隙が、反応容器の内壁および/または底壁に付着した液体を吸引する流速の気流を生じさせる寸法に設定されているので、負圧発生部により、外部の空気を吸入するとともに反応容器の内面に付着している水滴を吸入することができる。これにより、反応容器内の液体を十分に排出させることが可能となる。
【0011】
また、上記発明においては、前記ミスト分離部が、気体に含まれる反応液および/または洗浄液を冷却効果により凝集分離させることとしてもよい。
このように構成することで、排気される気体がミスト分離部によって冷却されることにより、気体に含まれる反応液および/または洗浄液が凝集して気体から分離する。したがって、排気される気体から生体サンプルを含むミストを凝集分離して、クリーンな空気のみを排気することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記ミスト分離部が、気体に含まれる反応液および/または洗浄液をフィルタにより分離除去することとしてもよい。
このように構成することで、排気される気体がミスト分離部を通過する際に、フィルタによって、気体に含まれる反応液および/または洗浄液が気体から分離される。したがって、フィルタを通過させるだけの簡易な方法により、排気される気体から生体サンプルを含むミストを分離して、クリーンな空気のみを排気することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記ミスト分離部に、DNA分解酵素が含まれていることとしてもよい。
このように構成することで、ミスト分離部によって気体と分離されたミストに含まれるDNAを、DNA分解酵素の作用により分解することができる。したがって、DNAの拡散を抑制することができ、DNAによる生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記ミスト分離部がスクラバーであってもよい。
このように構成することで、排気される気体が、スクラバーを通過することにより、ミストと分離される。この場合において、気体から分離されたミストは、スクラバー内で排ガス浄化処理を受けて清浄化されるので、ミストに有害物が含まれていた場合であっても、廃液を無害化して処理することができる。したがって、生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止することができる。
【0015】
本発明は、生体サンプルと所定の試薬とを反応させる反応容器と、該反応容器内の反応液を分析する分析部と、前記反応容器の洗浄を行う洗浄部とを備え、前記洗浄部が、前記反応容器に挿入され、かつ、分析後の前記反応容器内の反応液および/または前記反応容器に供給される反応容器洗浄用の洗浄液を吸引排出する吸引排出部材と、該吸引排出部材に接続され、該吸引排出部材に負圧を供給する負圧発生部と、該負圧発生部により前記吸引排出部材を通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離する気液分離部とを備え、前記反応容器と前記分析部と前記洗浄部とが閉鎖空間内に配置され、前記負圧発生部の排気口が前記閉鎖空間外に設けられている分析装置を提供する。
【0016】
本発明によれば、反応容器内に投入された生体サンプルと試薬とが反応させられ、その反応液が分析部により分析される。分析後においては、反応容器内に洗浄液が供給され、洗浄部による洗浄動作が行われる。洗浄部においては、反応容器内に挿入された吸引排出部材に負圧発生部からの負圧が供給されることにより、分析後の反応液および/または反応容器に供給される洗浄液が吸引排出部材を通して吸引排出され、これによって反応容器が洗浄される。
【0017】
吸引された反応液および/または洗浄液は、気液分離部により、気体と分離されて排出される。この場合において、反応容器と分析部と洗浄部とが閉鎖空間内に配置され、負圧発生部の排気口が閉鎖空間外に設けられているので、反応液および/または洗浄液から分離された気体は、閉鎖空間外に排気される。これにより、排気された気体に含まれるミストが閉鎖空間内に混入して拡散するのを防ぐことができる。その結果、生体サンプルのコンタミネーショの発生を確実に防止することが可能となる。
【0018】
本発明は、生体サンプルと所定の試薬とを反応させる反応容器と、該反応容器内の反応液を分析する分析部と、前記反応容器の洗浄を行う洗浄部とを備える分析装置であって、該洗浄部が、前記反応容器に挿入され、かつ、分析後の前記反応容器内の反応液および/または前記反応容器に供給される反応容器洗浄用の洗浄液を吸引排出する吸引排出部材と、該吸引排出部材に接続され、該吸引排出部材に負圧を供給する負圧発生部と、該負圧発生部により前記吸引排出部材を通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離する気液分離部と、該気液分離部により分離された反応液および/または洗浄液を廃液として排水する排水口とを備え、該排水口に廃液の排水を制御する廃液弁が設けられ、前記負圧発生部の排気口が前記排水口の廃液弁の下流側に接続されている分析装置を提供する。
【0019】
本発明によれば、反応容器内に投入された生体サンプルと試薬とが反応させられ、その反応液が分析部により分析される。分析後においては、反応容器内に洗浄液が供給され、洗浄部による洗浄動作が行われる。洗浄部においては、反応容器内に挿入された吸引排出部材に負圧発生部からの負圧が供給されることにより、分析後の反応液および/または反応容器に供給される洗浄液が吸引排出部材を通して吸引排出され、これによって反応容器が洗浄される。
【0020】
吸引された反応液および/または洗浄液は、気液分離部により、気体と分離され、排水口の廃液弁が開放されることによって、液体が廃液として排水される。また、気液分離部によって分離された気体は、負圧発生部の排気口が接続されている排水口を介して排気される。これにより、廃液と空気に含まれるミストとを1の排水口によって排出することができる。また、負圧発生部の排気口を排水口の廃液弁の下流側に接続することにより、廃液弁によって制御されることなく気体を排気することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分析装置から排気される気体からミストを分離して、ミストの拡散による生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る自動分析装置(分析装置)1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る自動分析装置1は、生体サンプルと第1の試薬および第2の試薬との反応が行われる反応容器9と、該反応容器9内の反応液を分析する分析部23と、前記反応容器9の洗浄を行う反応容器洗浄装置(洗浄部)20とを備えている。
【0023】
反応容器9は、円形に形成され、中心軸周りに回転可能な反応ターンテーブル10の円周に沿って複数隣接してセットされている。
分析部23は、反応容器9に生体サンプルを注入するサンプリングピペット14と、分析に用いる生体サンプルを入れておくサンプル容器2と、複数の該サンプル容器2がセットされるサンプルラック3と、該サンプルラック3を複数収容するサンプルフィーダ4と、第1試薬をそれぞれ検査項目毎に入れた複数の第1の試薬容器5がセットされる第1の試薬ターンテーブル6と、第2試薬をそれぞれ検査項目毎に入れた複数の第2の試薬容器7がセットされる第2の試薬ターンテーブル8とを備えている。
【0024】
サンプリングピペット14は、図示しないサンプリングピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、サンプルラック3にセットされたサンプル容器2と反応ターンテーブル10にセットされた反応容器9との間で左右の回動により往復動するようになっている。
【0025】
上記サンプルラック3は、サンプルフィーダ4に収容された複数個の内の1つが、図示しない駆動装置により、図中矢印の方向、すなわち、サンプリングピペット14によってサンプル容器2内の生体サンプルが吸引される吸引位置に順次送られるようになっている。
【0026】
サンプリングピペット14は、上記のように吸引位置に配置されたサンプルラック3の所定位置において上下動によりサンプル容器2にアクセスしたとき、図示しないサンプル用ポンプが作動して所定量の生体サンプルを吸引するようになっている。そして、反応ターンテーブル10の所定位置において上下動により反応容器9にアクセスしたとき、吸引した生体サンプルを反応容器9に注入するようになっている。
【0027】
反応ターンテーブル10の周囲には、サンプリングピペット14の他に、第1の試薬ピペット15、第2の試薬ピペット16、第1の反応撹拌装置17、第2の反応撹拌装置18、多波長光度計21、恒温槽19および反応容器洗浄装置20が配置されている。
【0028】
これらの各装置の反応容器9への作業位置はそれぞれ一定位置に決められている。
第1の試薬ピペット15は、図示しない第1の試薬ピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、反応ターンテーブル10と第1の試薬ターンテーブル6との間で左右の回動による往復動するようになっている。
【0029】
そして、第1の試薬ピペット15は、第1試薬を反応容器9内に分注するとき、第1の試薬ターンテーブル6の所定位置において上下動により第1の試薬容器5にアクセスし、図示しない第1の試薬用ポンプが作動して所定量の第1試薬を吸引した後、反応ターンテーブル10の方へ回動し、反応ターンテーブル10の所定位置において上下動により反応容器9にアクセスして、吸引した第1試薬を反応容器9に注入するようになっている。
【0030】
第1の反応撹拌装置17は図示しない撹拌装置上下・回動駆動機構により上下に駆動および1方向へ回動されるとともに、図示しない撹拌棒が回転運動および上下方向の往復動をするようになっている。そして、生体サンプルと第1試薬が収容された所定の反応容器9内に撹拌棒が挿入され、この撹拌棒が回転および上下運動(反応ターンテーブル10の回転軸方向の直進往復運動)させられることにより、生体サンプルの第1試薬による反応が均一にかつ確実に行われるようになっている。
【0031】
第2の試薬ピペット16は、図示しない第2の試薬ピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、反応ターンテーブル10と第2の試薬ターンテーブル8との間で左右の回動による往復動するようになっている。そして、第2の試薬ピペット16は、第2試薬を反応容器9内に分注するとき、第2の試薬ターンテーブル8の所定位置において上下動により第2の試薬容器7にアクセスし、図示しない第2の試薬用ポンプが作動して所定量の第2試薬を吸引した後、反応ターンテーブル10の方へ回動し、反応ターンテーブル10の所定位置において上下動により反応容器9にアクセスし、吸引した第2試薬を反応容器9に注入するようになっている。
【0032】
第2の反応撹拌装置18も、同様に図示しない撹拌装置上下・回動駆動機構により上下に駆動および1方向に回動されるとともに、図示しない撹拌棒が回転運動および上下方向の往復動をするようになっている。そして、希釈サンプルと第2試薬が収容された所定の反応容器9内に撹拌棒が挿入され、この撹拌棒が回転および上下運動させられることにより、生体サンプルの第2試薬による反応が均一にかつ確実に行われるようになっている。
【0033】
多波長光度計21は、反応容器9内の生体サンプルの吸光度等を測定して反応容器9内での生体サンプルの反応状態を検出するようにしている。
恒温槽19は、反応ターンテーブル10の反応容器9を常時一定の温度に保持するようになっている。
【0034】
反応容器洗浄装置20は、図2および図3に示すように支持台22に上下動可能に支持されたアーム39に、給水チューブ30b,31b,32b,33b,34b,35bと、吸引排出部材、すなわち、排水チューブ30a,31a,32a,33a,34a,35a,36a,37aとオーバフローチューブ30c,31c,32c,33c,34c,35cとが保持されている。
【0035】
また、排水チューブ37aの下端に吸込み部(中空管状部材)38が保持され、排水チューブ30a〜37a、給水チューブ30b〜35bおよびオーバフローチューブ30c〜35cの内の少なくとも1のチューブを含む洗浄単位WD1〜WD8を形成した反応容器洗浄装置20全体が協働して、反応容器9の段階的な洗浄工程を実施するようになっている。
【0036】
排水チューブ30a,31a,32a,33a,34a,35a,36a,37aと、オーバフローチューブ30c,31c,32c,33c,34c,35cは、図4に示すように、吸入した液体と気体とを分離するマニホールド(気液分離部)41を介して、負圧発生手段としての真空ポンプ42と接続されている。さらに、真空ポンプ42の排気口46には、気体中の水分を除去するミスト分離装置(ミスト分離部)43が接続されている。一方、給水チューブ30b,31b,32b,33b,34b,35bは、図示しない洗浄液ポンプにより洗浄液を反応容器9内に供給するようになっている。
なお、図4において、符号44は大気開放弁、符号45は廃液弁を示している。
【0037】
図3を用いて、本実施形態に係る反応容器洗浄装置20の動作を説明する。
反応容器9は反応ターンテーブル10によって洗浄単位WD1からWD8に向かって順次移動されながら洗浄される。以下、各工程を追って洗浄動作を説明する。
【0038】
先ず反応容器9に対して洗浄単位WD1によって第1洗浄が行われる。この第1洗浄では、反応容器9内の生体サンプルと第1試薬との反応液が真空ポンプ42によって排水チューブ30aを通して吸引されて図示しない排水タンクに排出される。このとき真空ポンプ42からの排気は排気口46から排出される。
【0039】
次いで、洗浄液としてのアルカリ性洗剤を含む洗浄水が給水チューブ30bを通して反応容器9内に所定量注入される。この場合、洗浄水の供給量が多すぎてオーバフローした場合には、そのオーバフローした洗浄水が真空ポンプ42によりオーバフローチューブ30cを通して排水タンクに吸引排出される。これにより、洗浄水が反応容器9から溢れ出て反応容器9の周囲を汚すことが防止される。
この洗浄水による反応容器9の洗浄が終了すると、反応容器9内の洗浄水が真空ポンプ42により排水チューブ30aを通して吸引されて排水タンクに排出される。
【0040】
次いで、反応容器9は次の位置に移動され、この位置において、洗浄単位WD2によって第2洗浄が行われる。この第2洗浄では、洗浄液としての酸性洗剤を含む洗浄水が給水チューブ31bを通して反応容器9内に所定量注入される。前述と同様に、洗浄水がオーバフローした場合には、そのオーバフローした洗浄水がオーバフローチューブ31cを通して排水タンクに吸引排出される。
【0041】
この洗浄水による反応容器9の洗浄が終了すると、反応容器9内の洗浄水が排水チューブ31aを通して吸引されて排水タンクに排出される。これら排出は上記第1洗浄と同様、真空ポンプ42により行われる。以下の各洗浄工程における排出も同様に真空ポンプ42により行われる。
【0042】
次いで、反応容器9は次の位置に移動され、この位置において洗浄単位WD3によって第3洗浄が行われる。この第3洗浄では、洗浄液としての純水が給水チューブ32bを通して反応容器9内に所定量注入される。前述と同様に、純水がオーバフローした場合には、そのオーバフローした純水がオーバフローチューブ32cを通して排水タンクに吸引排出される。
この純水による反応容器9の洗浄が終了すると、反応容器9内の純水が排水チューブ32aを通して吸引されて排水タンクに排出される。
【0043】
次いで、反応容器9は次の位置に移動され、この位置において洗浄単位WD4によって第4洗浄が行われる。この第4洗浄では、洗浄液としての純水が給水チューブ33bを通して反応容器9内に所定量注入される。前述と同様に、オーバフローした純水はオーバフローチューブ33cを通して排水タンクに吸引排出される。
この純水による反応容器9の洗浄が終了すると、反応容器9内の純水が排水チューブ33aを通して吸引されて排水タンクに排出される。
【0044】
次いで、反応容器9は次の位置に移動され、この位置において、洗浄単位WD5によって第5洗浄が行われ、この後、次の位置に移動されて洗浄単位WD6により第6洗浄が行われる。これらは、上述の第4洗浄と同様である。
【0045】
次いで、反応容器9は次の位置に移動され、この位置において、洗浄単位WD7によって第7洗浄が行われる。この第7洗浄では、反応容器9内に残存する純水が排水チューブ36aを通して吸引されて排水タンクに排出される。
【0046】
最後に、反応容器9は次の位置に移動され、この位置において、洗浄単位WD8によって第8洗浄が行われる。この第8洗浄では、上記第7の洗浄後に反応容器9内に残存する純水が排水チューブ37aを通して吸引されて排水タンクに排出される。
【0047】
ここで、排水チューブ37aの下端に保持された吸込み部38は、上端が閉塞されかつ下端が開口された比較的平たい角筒状に形成されている。そして、吸込み部38の厚みと幅とは反応容器9内に進入可能な大きさとされているとともに、その長さは反応容器9の内部空間の深さとほぼ同じ大きさに形成されている。
【0048】
そして、この吸込み部38が反応容器9内に進入して所定位置にセットされたときは反応容器9の内側壁面と吸込み部38の外側壁面との間および反応容器9の底面と吸込み部38の下面との間には所定の間隙が形成され、これらの間隙により反応容器9の上端開口部と吸込み部38の下端開口部とを連通する流通路40が構成されるようになっている。
【0049】
したがって、反応容器9に対して第8洗浄を行う際は、真空ポンプ42により、反応容器9の内壁に付着した残存洗浄水が吸込み部38から吸い込まれ、排水チューブ37aを通って排水タンクに排出される。このとき、反応容器9内に残る洗浄水は上記所定の間隙からなる流通路40を通って吸込み部38の吸込み口に向かってスムーズに流れるようになる。
【0050】
すなわち、反応容器9内の洗浄水がほぼなくなると、反応容器9の内側壁および底面に洗浄水の水滴が付着するが、反応容器9の上端開口部から外部の空気が吸入されて、この空気が流通路40を通って吸込み部38の吸込み口に向かって流れるようになる。このとき、流通路40を流れる気流は所定流速以上のかなり速いものとなっているため、反応容器9の内側壁に付着している水滴がこの大きな流速で流れる空気によって吹き飛ばされることとなる。
【0051】
そして、吹き飛ばされた水滴は、吸入された空気とともに吸込み部38の吸込み口に向かって流通路40を流れ、更に吸込み部38から排水チューブ37aを通って排水タンクに流出される。こうして、第8洗浄における反応容器9の洗浄が行われ、この洗浄が終了したときは、反応容器9には水滴もほとんど残らなくなる。
【0052】
このとき、排水チューブ37aを含む吸引排出部材の配管内は気体と水が混在する状態となり、細かな水滴が霧状に気体中に浮遊した状態となる。ここで発生したミストを含んだ気体は、マニホールド41を通り、真空ポンプ42によって吸引される。さらに、この気体は、真空ポンプ42によって排気口43から排気される際に、ミスト分離装置43を通過することによって気体中のミストと分離されて、ミストを含まないクリーンな空気のみが配管外部に排気される。
【0053】
一方、マニホールド41によって気体と分離された液体は、適当なタイミングで大気開放弁44を開放し、廃液弁45を開放することで、廃液として反応容器洗浄装置20の外部に排出される。
【0054】
なお、上記ミスト分離装置43としては種々のものを使用しうるが、例えば(1)冷却効果を使用して気体中の水分を凝集する装置、(2)フィルタを使用して気体中の水分を除去する装置、(3)スクラバー等が用いられる。
【0055】
具体的には、(1)としては特開2004−337694号公報に記載の公知の装置を用いてもよい。
この装置を用いることにより、ミスト分離装置43の冷却効果により、排気される気体から生体サンプルを含むミストを凝集分離して、ミストを含まないクリーンな空気のみを排気することができる。
【0056】
また、(2)としては特開平7−204440号公報に記載の公知の装置を用いてもよい。この装置を用いることにより、ミスト分離装置43に設けた図示しないフィルタを通過させるだけの簡易な方法により、排気される気体から生体サンプルを含むミストを分離して、ミストを含まないクリーンな空気のみを排気することができる。
【0057】
また、(3)としては特開2006−187709号公報に記載の公知の装置を用いてもよい。この装置を用いることにより、スクラバー内で排ガス浄化処理して気体を清浄化するので、ミストに有害物が含まれていた場合であっても、廃液を無害化して処理することができる。
【0058】
以上説明してきたように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、反応容器9内の洗浄時に、吸引した気体中のミストをミスト分離装置43を通過させることによって気体から分離しているので、配管外部へのミストの拡散を防止することができる。
【0059】
したがって、例えば、核酸を生体サンプルとして検査して、吸引された気体中に核酸が含まれていた場合であっても、排気される気体から核酸が分離されるので、核酸による生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止することができる。
さらに、本実施形態においては、全ての工程を自動化することによって安定した検査結果をえることが可能になる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態においては、複数の反応容器9を有し自動的に検査を実施する自動分析装置1を例に挙げ説明したが、これに限られるわけではなく、単一の反応容器を使用し、これを洗浄する場合にも適用できる。
【0061】
また、例えば、本実施形態に示した種々のミスト分離装置43において空気経路の壁やフィルタ素材表面に核酸分解酵素を塗布しておくこととしてもよい。これにより、核酸分解酵素の働きによって核酸を分解して、核酸の拡散をさらに抑制することができる。したがって、核酸による生体サンプルのコンタミネーションの発生を防止することができる。
【0062】
また、例えば、本実施形態においては、真空ポンプ42の排気口46にミスト分離装置43を接続する構成を説明したが、これに代えて、反応容器9と分析部23と洗浄装置20とを閉鎖空間内に配置し、排気口46を閉鎖空間外に設けることとしてもよい。
【0063】
このようにすることで、排気口46から排気される気体を閉鎖空間外に排気して、気体に含まれるミストが閉鎖空間内に混入するのを防止することができる。この結果、ミスト分離装置43を設けない場合であっても、ミストの拡散による生体サンプルコンタミネーションの発生を防止することができる。
【0064】
また、例えば、本実施形態においては、真空ポンプ42の排気口46にミスト分離装置43を接続する構成を説明したが、これに代えて、図5に示すように、反応容器洗浄装置20がマニホールド41により分離された液体を廃液として排水する排水口47を備え、廃液弁45の下流側に排気口42を接続することとしてもよい。
【0065】
このようにすることで、マニホールド41により分離された液体および気体が排水口47を介して排水および排気されるので、廃液と気体に含まれるミストとを1の排水口47によって排出することができる。また、排気口46を廃液弁45の下流側に接続することにより、廃液弁45によって制御されることなく気体を排気することができる。
【0066】
また、例えば、本実施形態においては、生体サンプルと反応させる試薬として第1の試薬および第2の試薬を例示して説明したが、これに代えて、1の試薬のみ用いてもよいし、3以上の複数の試薬を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の反応容器および支持台を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の排水チューブ、給水チューブおよびオーバフローチューブ示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る真空ポンプおよびミスト分離装置周りを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る真空ポンプおよびミスト分離装置周りの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 自動分析装置(分析装置)
9 反応容器
20 反応容器洗浄装置(洗浄部)
23 分析部
30a〜37a,30c〜35c 吸引排出部材
42 真空ポンプ(負圧発生部)
43 ミスト分離装置(ミスト分離部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルと所定の試薬とを反応させる反応容器と、
該反応容器内の反応液を分析する分析部と、
前記反応容器の洗浄を行う洗浄部とを備え、
該洗浄部が、前記反応容器に挿入され、かつ、分析後の前記反応容器内の反応液および/または前記反応容器に供給される反応容器洗浄用の洗浄液を吸引排出する吸引排出部材と、該吸引排出部材に接続され、該吸引排出部材に負圧を供給する負圧発生部と、該負圧発生部により前記吸引排出部材を通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離する気液分離部と、該気液分離部により分離された気体からミストを分離するミスト分離部とを備える分析装置。
【請求項2】
前記吸引排出部材が、一端を前記負圧発生部に接続され、他端を前記反応容器の底壁近くまで挿入される中空管状部材を備え、
該中空管状部材と前記反応容器の内壁および底壁との間隙が、該反応容器の内壁および/または底壁に付着した液体を吸引する流速の気流を生じさせる寸法に設定されている請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記ミスト分離部が、気体に含まれる反応液および/または洗浄液を冷却効果により凝集分離させる請求項1または請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記ミスト分離部が、気体に含まれる反応液および/または洗浄液をフィルタにより分離除去する請求項1または請求項2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記ミスト分離部に、DNA分解酵素が含まれている請求項1から請求項4のいずれかに記載の分析装置。
【請求項6】
前記ミスト分離部がスクラバーである請求項1または請求項2に記載の分析装置。
【請求項7】
生体サンプルと所定の試薬とを反応させる反応容器と、
該反応容器内の反応液を分析する分析部と、
前記反応容器の洗浄を行う洗浄部とを備え、
該洗浄部が、前記反応容器に挿入され、かつ、分析後の前記反応容器内の反応液および/または前記反応容器に供給される反応容器洗浄用の洗浄液を吸引排出する吸引排出部材と、該吸引排出部材に接続され、該吸引排出部材に負圧を供給する負圧発生部と、該負圧発生部により前記吸引排出部材を通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離する気液分離部とを備え、
前記反応容器と前記分析部と前記洗浄部とが閉鎖空間内に配置され、前記負圧発生部の排気口が前記閉鎖空間外に設けられている分析装置。
【請求項8】
生体サンプルと所定の試薬とを反応させる反応容器と、
該反応容器内の反応液を分析する分析部と、
前記反応容器の洗浄を行う洗浄部とを備え、
該洗浄部が、前記反応容器に挿入され、かつ、分析後の前記反応容器内の反応液および/または前記反応容器に供給される反応容器洗浄用の洗浄液を吸引排出する吸引排出部材と、該吸引排出部材に接続され、該吸引排出部材に負圧を供給する負圧発生部と、該負圧発生部により前記吸引排出部材を通して吸引した前記反応液および/または前記洗浄液と気体とを分離する気液分離部と、該気液分離部により分離された反応液および/または洗浄液を廃液として排水する排水口とを備え、
該排水口に廃液の排水を制御する廃液弁が設けられ、
前記負圧発生部の排気口が前記排水口の廃液弁の下流側に接続されている分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−128662(P2008−128662A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310414(P2006−310414)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】