説明

分析装置

【課題】発生させた超音波によって反応容器内の液体を攪拌する分析装置において、反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出することができる分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、圧電基板に複数の櫛歯状電極(IDT)23bからなる振動子が形成された音波発生素子23を有する反応容器5を使用し、音波発生素子23に電力を供給して超音波を発生させ反応容器内の液体を攪拌する分析装置1において、音波発生素子23による超音波発生前に液面で反射または液面を透過した光量である攪拌前光量と、音波発生部材による超音波発生中に液面で反射または液面を透過した光量である攪拌中光量との変化量をもとに、音波発生素子による超音波発生中に反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、超音波の透過状態を検出しなくとも反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電基板に複数の櫛歯状電極からなる振動子が形成された音波発生部材を有する容器を使用し、音波発生部材に電力を供給して超音波を発生させ前記容器内の液体を攪拌する分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析装置は、検体と試薬とを攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定することにより、検体中の成分濃度等を分析している。近年、いわゆるキャリーオーバーを回避するために、反応容器内の液体に超音波を発することによって非接触で容器内の液体を攪拌する分析装置が提案されている。このような分析装置として、恒温槽内の恒温液を介して反応容器側面側から反応容器内の気液界面に超音波を発し音響インピーダンスの差を利用して液面に揺れを発生させることによって反応容器内の液体を攪拌する分析装置(たとえば特許文献1参照)、および、櫛歯状電極(IDT)からなる振動子が形成された圧電基板を反応容器の底壁面に取り付けて液体内に超音波を供給し音圧の差をもとに音響流を発生させることによって反応容器内の液体を攪拌する分析装置(たとえば特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−338113号公報
【特許文献2】特開2006−90791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、反応容器内の検体と試薬とを正常に反応させるためには、反応容器内の液体が正常に攪拌されている必要がある。そこで、特許文献1に記載の分析装置においては、超音波が気体中で伝播しないことを利用し、反応容器の一方の側面側に設けられたアレイ状の音源と対向させて反応容器の他方の側面側に受音素子をアレイ状に設け、反応容器内の気液界面を透過した超音波強度の反応容器側面に沿った減衰分布をもとに、反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出している。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の分析装置においては、特許文献1に記載の分析装置と異なり、気液界面ではなく攪拌対象の液体内に超音波を供給しているため、そもそも音源からの対向面に超音波が透過しない構成を有していることから、特許文献1と同様の検出方法では反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出することができなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発生させた超音波によって反応容器内の液体を攪拌する分析装置において、反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出することができる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、圧電基板に複数の櫛歯状電極からなる振動子が形成された音波発生部材を有する容器を使用し、前記音波発生部材に電力を供給して超音波を発生させ前記容器内の液体を攪拌する分析装置において、前記音波発生部材による超音波発生前に前記容器内の液体の液面で反射または前記液面を透過した光量である攪拌前光量と、前記音波発生部材による超音波発生中に前記液面で反射または前記液面を透過した光量である攪拌中光量とを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記攪拌前光量と前記攪拌中光量との変化量をもとに、前記音波発生部材による超音波発生中に前記容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定し、出力する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、前記検出手段は、前記液面に対して所定波長の光を照射する光源と、前記液面で反射または前記液面を透過した前記所定波長の光を受光し、該受光した光の光量を検出する受光手段と、を備え、前記判定手段は、前記受光手段によって検出された前記攪拌中光量が前記攪拌前光量をもとに設定された閾値を超えた場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記受光手段によって検出された前記攪拌中光量が前記閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記検出手段は、前記液面に対して所定波長の光を照射する光源と、前記液面で反射または前記液面を透過した前記所定波長の光を受光し、該受光した光の光量を検出する受光手段と、を備え、前記判定手段は、前記受光手段によって検出された前記攪拌中光量と前記攪拌前光量との差分値が所定の閾値を超えた場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記差分値が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記光源は、前記容器内の液体の反応に寄与しない波長または前記容器内の液体における非吸収帯域の波長の光を発することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記光源は、レーザ光を発することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記光源は、前記容器の開口上または前記容器の側面側に設けられ、前記受光手段は、前記容器の開口上に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記検出手段は、前記液面に光を発する光源と、前記音波発生部材による超音波発生前および超音波発生中に前記容器側面から前記容器内の液体の液面を含む領域を撮像する撮像手段と、を備え、前記判定手段は、超音波発生前および超音波発生中に前記撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を求め、前記移動量が所定の閾値を超える場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記移動量が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる分析装置は、前記検出手段は、前記音波発生部材による超音波発生前および超音波発生中に前記容器上方から前記容器内の液体の液面を撮像する撮像手段を備え、前記判定手段は、超音波発生前および超音波発生中に前記撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量を求め、前記変化量が所定の閾値を超える場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記変化量が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる分析装置は、前記検出手段は、前記液面のうち所定の照射領域に光を照射する光源と、前記音波発生部材による超音波発生前および超音波発生中に前記容器上方から前記容器内の液体の液面を撮像する撮像手段を有し、前記判定手段は、超音波発生前および超音波発生中に前記撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量を求め、前記変化量が所定の閾値を超える場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記変化量が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる分析装置は、前記光源は、前記容器の開口上または前記容器側面側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電基板に複数の櫛歯状電極からなる振動子が形成された音波発生部材を有する容器を使用し、音波発生部材に電力を供給して超音波を発生させ容器内の液体を攪拌する分析装置において、音波発生部材による超音波発生前に液面で反射または液面を透過した光量である攪拌前光量と、音波発生部材による超音波発生中に液面で反射または液面を透過した光量である攪拌中光量との変化量をもとに、音波発生部材による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、超音波の透過状態を検出しなくとも反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、反応容器内に分析対象の液体を分注して所定の試薬と反応させて生化学検査を行なう分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0019】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本発明の反応容器を使用する実施の形態の分析装置を示す概略構成図である。図2は、実施の形態1にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態1の分析装置で使用され、音波発生部材が一体に設けられた反応容器の斜視図である。
【0020】
分析装置1は、図1および図2に示すように、試薬テーブル2,3、反応テーブル4、試薬分注機構6,7、検体容器移送機構8、検体分注機構11、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15、入力部16、表示部17、電力供給部19、攪拌装置20、攪拌動作検出部24および攪拌動作判定部25を備える。
【0021】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列され、試薬テーブル2,3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器5を搬送する。反応テーブル4は、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4周回転し、四周期で(1周−1反応容器)周回転する。
【0022】
反応容器5は、容量が数nL〜数百μLと微量な容器であり、分析光学系12の発光部12aから出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、側壁と底壁とによって液体を保持する水平断面が四角形の液体保持部が形成され、液体保持部の上部に開口を有する四角筒形状の反応容器である。また、反応容器5は、図3に示すように、音波発生素子23が底壁5dに接着剤などで取り付けられた状態で反応テーブル4にセットされる。反応容器5の底壁5dに取り付けられる音波発生素子23とともに攪拌装置20を構成しており、液体保持部の内面には検体や試薬等の液体に対する親和性処理などが施されている。反応容器5は、反応テーブル4の近傍に設けられた試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。
【0023】
ここで、試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム6a,7aに試薬を分注するプローブ6b,7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0024】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、フィーダ9に配列した複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック10を歩進させながら移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。ここで、検体容器10aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック10の歩進が停止するごとに、水平方向に回動する駆動アーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0025】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、発光部12a,分光部12bおよび受光部12cを有している。発光部12aから出射された分析光は、反応容器5内の液体を透過し、分光部12bと対向する位置に設けた受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15と接続され、受光した分析光の光量信号を制御部15へ出力する。
【0026】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の液体を吸引して排出した後、ノズル13aから洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入し、吸引する動作を複数回繰り返すことにより、分析光学系12による測光が終了した反応容器5内を洗浄する。
【0027】
制御部15は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1および図2に示すように、分析装置1の各構成部と接続されてこれらの作動を制御するとともに、発光部12aの出射光量と受光部12cが受光した光量に基づく反応容器5内の液体の吸光度に基づいて検体の成分濃度等を分析する。制御部15は、キーボード等の入力部16から入力される分析指令に基づいて分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させるとともに、分析結果や警告情報の他、入力部16から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部17に表示する。そして、制御部15は、攪拌動作判定部25と接続する。
【0028】
電力供給部19は、制御部15の制御のもと、分析装置1の各構成部位である試薬テーブル2,3、反応テーブル4、試薬分注機構6,7、検体容器移送機構8、検体分注機構11、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15、入力部16、表示部17および攪拌装置20に駆動電力を供給する。電力供給部19は、送電体21を介して、攪拌装置20に数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電力を供給する。
【0029】
攪拌装置20は、電力を供給されることによって音波発生素子23を駆動して、音波発生素子23が発生した超音波によって反応容器5に保持された液体を攪拌するもので、反応容器5の他に、図1および図2に示すように、送電体21と、反応容器5の底壁5dに取り付けられた音波発生素子23とを有している。
【0030】
攪拌動作検出部24は、制御部15の制御のもと、音波発生素子23による超音波発生前に液面で反射または液面を透過した光量である攪拌前光量と、音波発生素子23による超音波発生中に液面で反射または液面を透過した光量である攪拌中光量とを検出する。攪拌動作検出部24は、検出した攪拌前光量と攪拌中光量とを制御部15に送出する。
【0031】
攪拌動作判定部25は、攪拌動作検出部24によって検出された攪拌前光量と攪拌中光量との変化量をもとに、音波発生素子23による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定し、出力する。
【0032】
図1、図3に示すように、送電体21は、反応テーブル4に配置される反応容器5の底壁5dに対向するように反応テーブル4下に配置される。そして、送電体21は、音波発生素子23側の特性インピーダンスに整合された数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電力を、音波発生素子23に送電する。送電体21は、駆動回路とコントローラとを備えており、図3に示すように、音波発生素子23の電気端子23dに当接するブラシ状の接触子21aを有している。このとき、送電体21は、図1に示すように、配置決定部材22に支持されており、反応テーブル4の回転が停止したときに接触子21aから電気端子23dに電力を送電する。
【0033】
配置決定部材22は、送電体21から電気端子23dに電力を送電する送電時に、送電体21を移動させて送電体21と電気端子23dとの相対配置を調整するもので、たとえば2軸ステージが使用される。具体的には、配置決定部材22は、反応テーブル4が回転し、送電体21から電気端子23dに電力を送電していない非送電時は作動を停止し、送電体21と電気端子23dとの間を一定の距離に保持している。
【0034】
そして、反応テーブル4が回転を停止すると、配置決定部材22は、制御部15の制御の下に送電体21を移動させ、送電体21と電気端子23dとが対向するように送電体21の位置を調整するとともに、相対配置を決定する。これにより、反応テーブル4が回転を停止すると、送電体21は、接触子21aが電気端子23dに接触し、接触子21aから電気端子23dに電力を送電する。音波発生素子23は、電気端子23dを介して送電体21から高周波交流電力を供給されることによって、超音波を発生する。音波発生素子23が発生した超音波によって反応容器5に保持される液体が攪拌される。
【0035】
以上のように構成される分析装置1は、制御部15の制御の下に作動し、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6,7が試薬容器2a,3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器5は、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。
【0036】
そして、試薬と検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、攪拌装置20によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応テーブル4が再び回転したときに分析光学系12を通過する。このとき、反応容器5内の反応液は、受光部12cで側光され、制御部15によって成分濃度等が分析される。そして、反応液の測光が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0037】
つぎに、反応容器5に取り付けられる音波発生素子23について説明する。音波発生素子23は、図4に示すように、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等からなる圧電基板23aの一方の面に、Auなどによって形成される複数の対の電極からなる櫛歯状電極(IDT)23bからなる振動子と、Auなどの金属材料で形成され各IDT23bと接続する電気端子23dとが設けられた音波発生部材である。音波発生素子23は、各IDT23bからなる振動子および電気端子23dを外側に向け、エポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂等の接着剤を介して反応容器5の底壁5dに取り付けられる。この音波発生素子23は、振動子としてIDTを使用するので、構造が簡単で小型な構成とすることができる。
【0038】
IDT23bからなる振動子は、電気端子23dを介して送電体21から高周波交流電力を送電されることによって超音波を発生する。図5および図6に示すように、反応容器5の底壁5dに取り付けられた音波発生素子23から発生した超音波は、反応容器5の液体L内に供給される。そして、供給された超音波の音圧の差によって音響流Cuが発生し、この音響流Cuによって液体Lを攪拌させることができる。なお、図5は、IDTの各電極指の延伸方向から見た反応容器液体内の音響流Cuを示す図であり、図6は、IDTの各電極指の延伸方向と平行する方向から見た反応容器5内の音響流Cuを示す図である。
【0039】
ところで、反応容器内の検体と試薬とを正常に反応させるためには、反応容器内の液体が正常に攪拌されている必要がある。分析装置1においては、攪拌前における反応容器5内の液面状態と攪拌中における反応容器5内の液面状態とが異なり、攪拌前における反応容器5内の液面および攪拌中における反応容器5内の液面での光の反射状態が異なることを利用して、音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。分析装置1においては、攪拌動作検出部24によって音波発生素子23による超音波発生前に液面で反射した攪拌前光量と、音波発生素子23による超音波発生中に液面で反射した攪拌中光量とを検出させることによって、音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。
【0040】
まず、音波発生素子23による超音波発生前に液面で反射した光量である攪拌前光量と、音波発生素子23による超音波発生中に液面で反射した光量である攪拌中光量とを検出する攪拌動作検出部24について説明する。
【0041】
攪拌動作検出部24は、図7に示すように、所定の攪拌位置に到達した反応容器5の液体Lの液面に対して光L11を照射する光源24aと、液体Lの液面で反射した光を受光し、この受光した光の光量を検出する受光部24bとを備える。光源24aおよび受光部24bは、反応容器5の開口上に設けられている。
【0042】
この光源24aは、反応容器5内の液体Lの反応に寄与しない波長のレーザ光を発する。このため、反応容器5内の液体Lに光源24aによって光が照射された場合であっても、分析装置1における分析処理に何ら影響を及ぼさず、分析装置1の分析精度を維持することが可能である。また、光源24aは、反応容器5内の液体Lにおける非吸収帯域の波長のレーザ光を発する。光源24aからは液体L内に吸収されにくい光が発せられるため、光源24aから発せられた光は、高い割合で液面にて反射されることとなる。また、光源24aは光束が絞られた強度の高いレーザ光を発するため、受光部24bによる反射光の受光精度を高めることができる。また、受光部24bは、光源24aから発せられた波長の光を受光できるフォトダイオードなどによって構成されている。
【0043】
ここで、非攪拌時および正常攪拌時における反応容器5内の液体Lの液面について説明する。音波発生素子23によって超音波が発せられていない非攪拌時には、反応容器5内の液体Lの液面は、図7に示す液面Seのように、反応容器5の底壁に対して平行となる。なお、上述した光源24aは、非攪拌時における平らな液面Seの中心部分に対し、斜め方向からレーザ光L11を照射できるように反応容器5の開口上の所定位置に設けられている。そして、受光部24bは、非攪拌時において、レーザ光L11のうち平らな液面Seで反射した反射光L21のほとんどを受光できるように反応容器5の開口上の所定位置に設けられている。
【0044】
そして、正常攪拌時には、図8に示すように、IDT23bから発せられた超音波によって音響流Cuが発生することにより、反応容器5内の液体Lが音響流Cuによって攪拌される。この結果、反応容器5内の液体Lの液面は、正常攪拌時には、たとえば液面Saのように非攪拌時の液面Seと比較して著しく傾斜する。このため、正常攪拌時においては、光源24aから照射されたレーザ光L11のほとんどは、反射光L22のように、傾斜した液面Saによって非攪拌時における反射光L21とは異なる方向に反射してしまう。この結果、受光部24bは、非攪拌時ではレーザ光L11のほとんどが反射した高い強度の反射光L21を受光できるのに対し、正常攪拌時では、レーザ光L11のほとんどが反射光L21とは異なる方向に反射してしまうため非攪拌時と比べ強度の低い反射光L21しか受光できない。
【0045】
実際に、非攪拌時と正常攪拌時における受光部24bが受光した反射光の光量の違いについて、図9を参照して説明する。図9は、非攪拌時と正常攪拌時とにおいて、受光部24bが受光した反射光の光量の時間依存性を示す図である。図9においては、時間t11にIDT23bに電力が供給され超音波の発生が開始し攪拌処理が正常に行われた後、時間t12にIDT23bへの電力の供給が停止し超音波が停止する。図9においては、期間T11,T13においては、攪拌処理は行われておらず、期間T12に攪拌処理が行われていることとなる。
【0046】
この図9に示すように、期間T13に示す正常攪拌時においては、傾斜した液面Saによってレーザ光L11が受光部24b方向とは異なる方向に反射してしまうため、受光部24bが受光した反射光の光量は、期間T11,T13に示す非攪拌時における光量E11よりも格段に低い光量E12となる。
【0047】
これに対し、IDT23bに電力が供給されているにも係らず音響流Cuが適正に発生せず攪拌処理が正常に行われていない攪拌不良時には、反応容器5内の液体Lが攪拌されないため、反応容器5内の液体Lの液面は、正常攪拌時とほぼ同様の平らな状態のままである。したがって、攪拌不良時にはレーザ光L11が平らな液面Seによって受光部24b方向に反射してしまうため、受光部24bが受光した反射光の光量は、非攪拌時における光量E11とほぼ同等の値となってしまう。
【0048】
このように、正常攪拌時では液面形状が大きく変化するため、正常攪拌時と非攪拌時および攪拌不良時とでは、反応容器5内の液体Lの液面の角度が大きく異なる。この結果、受光部24bが受光する反射光の光量は、正常攪拌時と非攪拌時および攪拌不良時とでは大きく異なるものとなる。分析装置1においては、正常攪拌時と非攪拌時および攪拌不良時とで受光部24bが受光する反射光の光量が大きく異なる傾向を示すことを利用して、音波発生素子23による超音波発生中に反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。具体的には、攪拌前に受光部24bによって受光された反射光の光量である攪拌前光量をもとに正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値を設定し、攪拌処理中に受光部24bによって受光された反射光の光量である攪拌中光量を検出し、この閾値と比較することによって、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定している。
【0049】
つぎに、図10を参照して、分析装置1における攪拌動作の判定処理について説明する。まず、制御部15は、反応テーブル4の搬送処理によって、攪拌装置20による攪拌位置に攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断する(ステップS2)。制御部15は、攪拌位置に攪拌対象の反応容器5が到達するまでステップS2の判断処理を繰り返し、攪拌位置に攪拌対象の反応容器5が到達したと判断した場合(ステップS2:Yes)、攪拌動作検出部24に対して攪拌開始前状態検出処理を行なわせる(ステップS4)。この攪拌開始前状態検出処理として、攪拌動作検出部24においては、制御部15の制御のもと、攪拌前の反応容器5内の液体Lに対して、光源24aがレーザ光を発し、受光部24bが液体Lの液面で反射した反射光を受光し、受光した反射光の光量を検出して制御部15に送出する。この攪拌開始前状態検出処理では、図7に例示するように、攪拌処理が行われていない平らな液面Seで反射した強度の高い反射光L21の光量が攪拌前光量として検出される。
【0050】
次いで、制御部15は、攪拌装置20に対して攪拌処理を開始させる(ステップS6)。具体的には、攪拌対象の反応容器5に取り付けられたIDT23bに電力を供給して、IDT23bから超音波を発生させる。そして、制御部15は、攪拌動作検出部24に対して攪拌状態検出処理を行なわせる(ステップS8)。この攪拌状態検出処理として、攪拌動作検出部24においては、制御部15の制御のもと、攪拌中の反応容器5内の液体Lに対して、光源24aがレーザ光を発し、受光部24bが液体Lの液面で反射した反射光を受光し、受光した反射光の光量を検出して制御部15に送出する。この攪拌状態検出処理では、攪拌処理が正常に行われている場合には図8に例示するように、傾斜した液面Saで反射した強度の低い反射光L21の光量が攪拌中光量として検出される。
【0051】
攪拌動作判定部25は、攪拌動作検出部24によって検出された攪拌前光量と攪拌中光量とをもとに音波発生素子23による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定する判定処理を行なう(ステップS10)。そして、攪拌動作判定部25は、判定結果を制御部15に出力する(ステップS12)。なお、制御部15は、出力された判定結果を、攪拌対象の反応容器5に対する分析結果などに対応づけるなどの処理を行なう。たとえば、制御部15は、攪拌動作判定部25によって攪拌が正常に行われたと判定された反応容器5内の液体の分析結果に対しては、攪拌が正常に行なわれたため攪拌不良による処理異常は認められない旨を対応づけ、攪拌動作判定部25によって攪拌不良であると判定された反応容器5内の液体の分析結果に対しては、攪拌不良のため分析結果の信頼性は低い旨を対応づけて、分析結果の信頼性を管理する。また、制御部15は、攪拌動作判定部25によって攪拌不良であると判定された反応容器5は、IDT23bなどの損傷などがあるものとして、以降の分析処理では使用しないように制御してもよい。また、制御部15は、攪拌動作判定部25によって攪拌不良であると判定された反応容器に対しIDT23bなどの損傷によって交換が必要である旨を示すエラーメッセージを、この反応容器5の位置情報とともに表示部17に表示出力させてもよい。
【0052】
そして、制御部15は、攪拌処理に対する判定が終了した反応容器5に対する攪拌処理を終了し(ステップS14)、分析装置1における分析処理が終了したか否かを判断する(ステップS16)。制御部15は、分析処理が終了したと判断した場合(ステップS16:Yes)、各処理を終了し、分析処理が終了していないと判断した場合(ステップS16:No)、ステップS2に戻り、次の攪拌対象の反応容器5が攪拌位置に攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断して(ステップS2)、次の攪拌対象の反応容器5に対する判定処理を続ける。
【0053】
次に、図11を参照して、図10に示す判定処理について説明する。図11に示すよう、攪拌動作判定部25は、攪拌開始前状態検出結果を取得する(ステップS22)。この場合、攪拌動作判定部25は、攪拌動作検出部24によって検出された攪拌前光量を取得する。
【0054】
そして、攪拌動作判定部25は、取得した攪拌前光量をもとに、攪拌中光量と比較するための閾値を設定する(ステップS24)。この閾値は、正常攪拌時と攪拌不良時とを切り分け可能な値であり、光源24aおよび受光部24bの設置位置、光源24aのレーザ光の出力量などをもとに設定される。たとえば、正常攪拌時および攪拌不良時において攪拌前光量と攪拌中光量とをそれぞれ複数回検出しておき、これらの各攪拌前光量と各攪拌中光量とをもとに、正常攪拌時と攪拌不良時とを切り分け可能である光量を閾値として設定しておく。そして、分析装置1は、予め設定された各閾値を各攪拌前光量にそれぞれ対応づけた閾値一覧表を記憶しておき、攪拌動作判定部25は、この閾値一覧表を参照して、取得した攪拌前光量に対応した閾値を設定する。図9に示すように、正常攪拌中に受光部24bが受光する反射光の光量が非攪拌時における反射光の受光量よりも格段に下回る場合には、攪拌動作判定部25は、攪拌異常時に相当する反射光の光量E11と攪拌時の反射光の光量E12とを切り分け可能である閾値として、光量E11と光量E12との中央の値に光量E12のばらつきを加味した値T1を閾値として設定する。
【0055】
攪拌動作判定部25は、攪拌状態検出結果を取得する(ステップS26)。この場合、攪拌動作判定部25は、攪拌動作検出部24によって検出された攪拌中光量を取得する。なお、攪拌動作判定部25は、受光部24bが複数回検出した攪拌中光量を取得し、取得した各攪拌中光量の平均値を求めてもよい。
【0056】
攪拌動作判定部25は、取得した攪拌状態検出結果である攪拌中光量は設定した閾値を超えるか否かを判断する(ステップS28)。正常攪拌中に受光部24bが受光する反射光の光量が非攪拌時における反射光の受光量よりも格段に下回る場合には、攪拌動作判定部25は、取得した攪拌中光量は閾値T1を下回るか否かを判断する。
【0057】
攪拌動作判定部25は、取得した攪拌状態検出結果である攪拌中光量は閾値を超えると判断した場合(ステップS28:Yes)、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し(ステップS30)、判定処理を終了する。図8および図9に示す場合には、攪拌動作判定部25は、攪拌中光量が設定した閾値T1を下回ると判断した場合、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定する。攪拌処理が正常に行われている場合には音響流Cuによる攪拌によって図8の液面Saのように液体Lの液面が傾斜するため、光源24aから照射されたレーザ光L11は、非攪拌時における平らな液面Seで反射した場合と異なる方向で受光部24b側以外の方向に反射し、受光部24bによる反射光の受光量が少なくなる。このため、攪拌中光量がたとえば図9に示す閾値T1を下回る場合には、反応容器5内の液体Lが正常に攪拌されていると判断できる。
【0058】
これに対し、攪拌動作判定部25は、取得した攪拌状態検出結果である攪拌中光量は閾値を超えないと判断した場合(ステップS28:No)、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は不良であると判定し(ステップS32)、判定処理を終了する。図8および図9に示す場合には、攪拌動作判定部25は、取得した攪拌状態検出結果である攪拌中光量は設定した閾値T1を下回らない、すなわち攪拌中光量は閾値T1を上回ると判断した場合、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われておらず攪拌不良であると判定する。音響流Cuが正常に発生せず液体Lが攪拌されない場合には、液体Lの液面は、図7の液面Seのように平らな状態を維持することとなる。この場合、光源24aから平らな液面Seに照射されたレーザ光L11は、受光部24b方向に反射し、受光部24bによる反射光の受光量が高くなる。このため、攪拌中光量がたとえば図9に示す閾値T1を上回る大きな値を示す場合には、音響流が発生していないため液面が平らなままであると考えられるため、この反応容器5内では攪拌不良が起こっているものと判断できる。
【0059】
このように、実施の形態1にかかる分析装置1は、音波発生素子23による超音波発生前に液面で反射した光量である攪拌前光量と、音波発生素子23による超音波発生中に液面で反射した光量である攪拌中光量との変化量をもとに、音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを検出することができる。したがって、分析装置1によれば、攪拌対象の液体内に超音波を供給する構成であって音源からの対向面に超音波が透過しない構成であっても、反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定することができる。
【0060】
さらに、実施の形態1によれば、攪拌動作検出部24を反応容器5外部に設けており、反応容器5内の液体と接触することなく攪拌前光量および攪拌中光量を検出できるため、コンタミネーション問題が発生することもない。
【0061】
なお、実施の形態1においては、受光部24bによる反射光の受光量が非攪拌時と攪拌時とで閾値によって明確に区別できる程度に差があれば、攪拌処理が正常に行われているか否かを正確に判断することができる。実施の形態1においては、図7および図8に示すように、光源24aを非攪拌時における平らな液面Seの斜め方向に光を照射できる位置および角度で配置し、受光部24bを非攪拌時に光源24aから照射されたレーザ光のうち液面Seで反射する反射光L21のほとんどを受光できる位置および角度で配置することによって、受光部24bによる非攪拌時の液面Seを介した場合の反射光の受光量と、攪拌時の傾斜した液面Saを介した場合の反射光の受光量とに大きな差ができるようにしている。さらに、実施の形態1においては、攪拌時に液面の傾きが著しく傾斜するなど液面の状態が大きく変化する領域にレーザ光が照射される位置および角度で光源24aを設置することによって、受光部24bによる非攪拌時の液面Seを介した場合の反射光の受光量と、攪拌時の傾斜した液面Saを介した場合の反射光の受光量とに大きな差ができるようにしている。音響流Cuによって反応容器5の中央付近の液面が大きく変化するようにIDT23bが反応容器5に設置されている場合には、反応容器5の中央付近にレーザ光が照射するように光源24aを設置すればよく、音響流Cuによって反応容器5の一つの側壁近傍の液面が大きく変化するようにIDT23bが反応容器5に設置されている場合には、この側壁近傍の領域にレーザ光が照射するように光源24aを設置すればよい。
【0062】
また、実施の形態1においては、図7〜図9に示す場合のように受光部24bによる反射光の受光量が非攪拌時よりも攪拌時の方が格段に減少するように非攪拌時における反射光のほとんどを受光できる位置および角度で受光部24bを設置した場合を例に説明したが、受光部24bによる反射光の受光量が非攪拌時と攪拌時とで閾値によって明確に区別できる程度に差があれば足りるため、受光部24bの設置位置および設置角度は図7〜図9に示す場合に限らない。
【0063】
たとえば、受光部24bによる反射光の受光量が非攪拌時よりも攪拌時の方が格段に増加するように、攪拌時における反射光のほとんどを受光できる位置および角度で受光部24bを設置してもよい。この場合、図12に示すように、攪拌時における傾斜した液面Saによって反射したレーザ光L11の反射光L22のほとんどを受光できるように、反応容器5の開口上の所定位置に受光部24bを設置する。非攪拌時では平らな液面にレーザ光L11が照射されることからレーザ光L11は受光部24bが受光できない方向に反射してしまい、非攪拌時における受光部24bによる反射光の受光量は、攪拌時と比べて小さくなる。したがって、図13のように時間t21に攪拌処理が開始され時間t22に攪拌処理が終了した場合には、受光部24bによる反射光の受光量は、非攪拌時である期間T21,T23よりも攪拌時である期間T22の方が格段に増加する。
【0064】
そして、攪拌動作判定部25は、攪拌前光量である非攪拌時の反射光の光量E22をもとに正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値T2を設定し、攪拌処理中に受光部24bによって受光された反射光の光量である攪拌中光量が、この閾値T2と比較することによって、実際に攪拌処理が正常に行われているか否かを判定している。この場合、正常に攪拌されていたときには攪拌中光量は閾値T2を上回るため、攪拌動作判定部25は、図11のステップS28において攪拌中光量が閾値T2を上回るか否かを判断する。攪拌動作判定部25は、攪拌中光量が閾値T2を上回ると判断した場合には攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し、攪拌中光量が閾値T2を上回らないと判断した場合には攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理に正常に行われておらず攪拌不良であると判定する。
【0065】
また、図7、図8、図12に示すように、光源24aは、反応容器5の開口上に設けられるほか、図14に示すように反応容器5の側面側に設けられてもよい。この場合、透明な反応容器5を介して、光源24aから発せられたレーザ光L11が非攪拌時における反応容器5内の液体Lの液面に斜め下方向から照射される位置および角度で光源24aを設置すればよい。そして、非攪拌時において光源24aから照射されたレーザ光L11のうち反応容器5内の液体Lの液面を透過した透過光L24のほとんどを受光できる位置および角度で受光部24bを設置する。攪拌時には液体の液面は図14に示す液面Saのように著しく傾斜するため、レーザ光L11の透過光の透過方向も透過光L23のように変化してしまい、レーザ光L11の透過光のうち受光部24bの設置方向に透過する透過光L24の光量も格段に減ってしまう。
【0066】
図14に示すように、非攪拌時の液面を透過した透過光の受光量と、攪拌時の傾斜した液面Saを介した場合の透過光の受光量とに大きな差ができるようにした場合も同様に、分析装置1は、正常攪拌時における液面を透過した透過光と攪拌不良時における液面を透過した透過光とを切り分け可能である閾値を設定して、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。この場合、受光部24bは、非攪拌時におけるレーザ光L11の透過光の光量を攪拌前光量として検出し、攪拌時におけるレーザ光L11の透過光の光量を攪拌中光量として検出する。そして、攪拌動作判定部25は、攪拌中光量が閾値を下回ると判断した場合には攪拌対象の反応容器5に対して攪拌処理は正常に行われていると判定し、攪拌中光量が閾値を下回らないと判断した場合には攪拌対象の反応容器5に対して攪拌処理は正常に行われておらず攪拌不良であると判定する。
【0067】
また、反応容器5側面側に光源24aを設けた場合も、受光部24bによる反射光の受光量が非攪拌時よりも攪拌時の方が格段に増加するように、攪拌時における反射光のほとんどを受光できる位置および角度で受光部24bを設置してもよい。この場合、攪拌動作判定部25は、攪拌不良時における液面を透過した透過光と正常攪拌時における液面を透過した透過光とを切り分け可能である閾値を設定して、攪拌中光量が閾値を上回ると判断した場合には攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し、攪拌中光量が閾値を上回らないと判断した場合には攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われておらず攪拌不良であると判定する。
【0068】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態1においては、攪拌中光量の絶対値を閾値と比較した場合について説明したが、実施の形態2においては、攪拌中光量と攪拌前光量との差分値を所定の閾値と比較している。
【0069】
図15は、実施の形態2にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。図15に示すように、実施の形態2にかかる分析装置201は、図1に示す攪拌動作判定部25に代えて、攪拌動作判定部225を備える。
【0070】
攪拌動作判定部225は、攪拌動作検出部24を構成する受光部24bによって検出された攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が所定の閾値を超えた場合には反応容器5内の液体が正常に攪拌されていると判定し、攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が所定の閾値を超えない場合には反応容器5内の液体が正常に攪拌されていないと判定する。
【0071】
図16に示すように、攪拌処理中では、反応容器5内の液体Lの液面は、音響流Cuによってさざ波が立っているような状態となり、液面Sa1,Sa2のように不規則に角度が変動している。このため、正常に攪拌されている場合には、光源24aから照射されたレーザ光L11は不規則に角度が変動する液面Sa1,Sa2で反射し、多方向に散乱する。したがって、非攪拌時において反射光のほとんどを受光する受光部24bは、正常に攪拌されている場合には、この散乱した反射光の一部、たとえば反射光L211,L212しか受光できず、受光部24bによる反射光の受光量は不規則に変化する。このことを利用し、攪拌動作判定部225は、攪拌時における各反射光の受光量と、攪拌前における反射光の光量との差分値をそれぞれ演算し、この各差分値を用いて、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0072】
実際に、非攪拌時における反射光の光量と攪拌時の反射光の光量の差分値について、図17を参照して説明する。図17は、非攪拌時と正常攪拌時における受光部24bが受光した反射光の光量をもとに、非攪拌時の所定時における反射光の光量と正常攪拌時における各反射光の光量との差分値の絶対値を求め、この差分値の時間依存性を示す図である。図17においては、時間t31にIDT23bに電力が供給され超音波の発生が開始し、時間t32にIDT23bへの電力の供給が停止し超音波が停止する。図17においては、期間T31,T33においては、攪拌処理は行われておらず、期間T32に攪拌処理が行われていることとなる。
【0073】
図17に示すように、期間T31,T33においては、光源24aから照射されたレーザ光はほぼ平らな液面で反射するため、各検出時において反射光の光量に大きく差は現れず、非攪拌時の所定時における反射光の光量に対する差分値はほぼ0となる。これに対し、期間T23においては、光源24aから照射されたレーザ光は著しく傾斜した液面で反射するため、各検出時において反射光の光量が不規則に変動し、非攪拌時における所定時の反射光の光量に対して明らかな差が現れる。このため、攪拌時である期間T23における各検出時における反射光の光量と非攪拌時における所定時の反射光の光量との差分値は、差分値D32のように、判別可能な程度に十分大きな値を示すことが分かる。一方、IDT23bに電力が供給されているにも係らず音響流Cuが適正に発生せず攪拌処理が正常に行われていない攪拌不良時には、反応容器5内の液体Lが攪拌されないため、反応容器5内の液体Lの液面は正常攪拌時とほぼ同様の平らな状態のままである。このため、攪拌不良時には、レーザ光L11のほとんどが平らな液面Seによって受光部24b方向に反射してしまうため、受光部24bが受光した反射光の光量は非攪拌時における光量E11とほぼ同等の値となってしまい、差分値も大きな値とはならない。
【0074】
分析装置201においては、正常に攪拌処理が行われている場合における反射光の光量と非攪拌時における反射光の光量との差分値が判別可能な程度に大きな値を示すことを利用して、攪拌処理が音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。具体的には、分析装置201は、予め検出された正常攪拌時における反射光の光量と非攪拌時における反射光の光量との差分値をもとに正常攪拌時と攪拌不良時とを切り分け可能である閾値を設定し、攪拌前に実際に受光部24bによって受光された反射光の光量と攪拌処理中に実際に受光部24bによって受光された反射光の光量との差分値を、この閾値と比較することによって、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定している。
【0075】
つぎに、図18を参照して、分析装置201における攪拌動作の判定処理について説明する。制御部15は、図10に示すステップS2〜ステップS6と同様に、攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断する判断処理(ステップS202)、攪拌開始前状態検出処理(ステップS204)、攪拌開始処理(ステップS206)を行なう。そして、制御部15は、攪拌動作検出部24に対して攪拌状態検出処理を行なわせる(ステップS208)。この場合、制御部15は、光源24aによるレーザ光照射処理および受光部24bによる反射光検出処理を複数回行なわせて、複数の攪拌中光量を取得してもよい。次いで、攪拌動作判定部25は、攪拌動作検出部24によって検出された攪拌前光量と攪拌中光量との差分値をもとに音波発生素子23による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定する判定処理を行ない(ステップS210)、判定結果を制御部15に出力する(ステップS212)。そして、制御部15は、図10に示すステップS14およびステップS16と同様に、攪拌処理に対する判定が終了した反応容器5に対する攪拌処理を終了し(ステップS214)、分析処理終了判断処理を行なう(ステップS216)。
【0076】
つぎに、図19を参照して、図18に示す判定処理について説明する。図19に示すように、攪拌動作判定部225は、図11のステップS22に示す攪拌開始前状態検出結果取得処理と同様に、攪拌開始前状態検出結果として攪拌前光量を取得する(ステップS222)。
【0077】
そして、攪拌動作判定部225は、閾値を設定する(ステップS224)。この閾値は、正常攪拌時における攪拌前光量と攪拌中光量との差分値、および、攪拌不良時における攪拌前光量と攪拌中光量との差分値を切り分け可能な値であり、光源24aおよび受光部24bの設置位置、光源24aのレーザ光の出力量などをもとに設定される。たとえば、正常攪拌時および攪拌不良時において攪拌前光量と攪拌中光量とを複数回検出しておき、これらの各攪拌前光量と各攪拌中光量とのそれぞれの差分値をもとに複数の閾値を予め設定しておく。そして、分析装置1は、設定された閾値の一覧表を記憶しておき、攪拌動作判定部25は、この閾値一覧表を参照して、攪拌対象である反応容器5の分析項目などに対応させて閾値を設定する。図17に示すように、正常攪拌中に受光部24bによる攪拌中の反射光の光量と非攪拌時の反射光の光量との差分値が差分値D32のように明らかに求められる場合には、攪拌動作判定部225は、差分値D32と非攪拌時における差分値との中央の値に各差分値のばらつきを加味した値T3を閾値として設定する。
【0078】
そして、攪拌動作判定部225は、攪拌状態検出結果を取得する(ステップS226)。この場合、攪拌動作判定部225は、攪拌動作検出部24によって検出された攪拌中光量を取得する。なお、攪拌動作判定部225は、受光部24bが複数回検出した攪拌中光量を取得してもよい。
【0079】
次いで、攪拌動作判定部25は、取得した攪拌中光量と攪拌前光量との差分値を演算する演算処理を行なう(ステップS227)。なお、攪拌動作判定部225は、複数の攪拌中光量を取得した場合には、各攪拌中光量と攪拌前光量との差分値をそれぞれ求め、これらの差分値の平均値を演算してもよい。
【0080】
攪拌動作判定部225は、演算結果である攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が、設定した閾値を上回るか否かを判断する(ステップS228)。図17に示すT3が閾値として設定されていた場合には、攪拌動作判定部25は、演算した差分値は閾値T3を上回るか否かを判断する。
【0081】
攪拌動作判定部225は、演算結果である攪拌中光量と攪拌前光量との差分値は閾値を上回ると判断した場合(ステップS228:Yes)、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し(ステップS230)、判定処理を終了する。具体的には、攪拌動作判定部225は、攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が、図17に示す閾値T3を上回ると判断した場合、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定する。攪拌処理が正常に行われている場合には、光源24aから照射されたレーザ光L11は、不規則に変化する液体Lの液面で反射するため、非攪拌時の場合と異なる方向で反射することから、非攪拌時における反射光の受光量と大きく異なる値となる。このため、攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が、たとえば図17に示す閾値T3を上回る場合には、液面形状が不規則に変化した結果、攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が正常攪拌時に対応する傾向を示すものと考えられるため、反応容器5内の液体Lが正常に攪拌されていると判断できる。
【0082】
これに対し、攪拌動作判定部225は、演算結果である攪拌中光量と攪拌前光量との差分値は閾値を上回らないと判断した場合(ステップS228:No)、すなわち、差分値が設定した閾値を下回ると判断した場合、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は不良であると判定し(ステップS232)、判定処理を終了する。たとえば、攪拌動作判定部25は、演算結果である攪拌中光量と攪拌前光量との差分値が図17に示す閾値T3を下回ると判断した場合、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われておらず攪拌不良であると判定する。音響流Cuが正常に発生せず液体Lが攪拌されない場合には、液体Lの液面は平らな状態を維持することとなる。この場合には、光源24aから平らな液面に照射されたレーザ光L11は、非攪拌時における平らな液面Seで反射した場合と同様の方向で反射するため、非攪拌時における反射光の受光量とほぼ同等の値となる。このため、攪拌中光量と攪拌前光量との差分値がたとえば図17に示す閾値T3を下回る小さな値を示す場合には、液面が平らなままであると考えられるため、反応容器5内の液体Lが正常に攪拌されていると判断できる。
【0083】
このように、実施の形態2にかかる分析装置201は、音波発生部材による超音波発生前に液面で反射した光量である攪拌前光量と、音波発生部材による超音波発生中に液面で反射した光量である攪拌中光量との差分値をもとに、音波発生部材による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0084】
さらに、実施の形態2においては、攪拌中光量の絶対値ではなく、攪拌対象である液体が実際に攪拌されている場合における反射光の光量である攪拌中光量と、この攪拌対象である液体が攪拌される前における反射光の光量である攪拌前光量との差分を演算し、この差分値と閾値とを比較して、攪拌処理に対する判定を行なっている。すなわち、攪拌動作判定部225は、受光部24bが安定して反射光を受光できる攪拌前の反射光の光量を基準として、攪拌時における反射光量の相対量を取得しており、攪拌処理によって実際に変動した反射光の変化量そのものを用いて攪拌処理を判定することから、さらに正確に攪拌処理に対する判定を行なうことができる。
【0085】
なお、本実施の形態2においては、正常に攪拌処理が行われている場合における反射光の光量と非攪拌時における反射光の光量との差分値が判別可能な程度に大きな値であれば、攪拌処理が正常に行われているか否かを正確に判断することができるため、図12に示す位置および角度で受光部24bを設置してもよい。また、本実施の形態2においては、非攪拌時および攪拌時において受光した反射光の光量の差分値をもとに判定を行う場合を例に説明したが、正常に攪拌処理が行われている場合における透過の光量と非攪拌時における透過光の光量との差分値が判別可能な程度に大きな値となるように、図14に示す位置および角度で光源24aおよび受光部24bを設置して、非攪拌時および攪拌時において受光した透過光の光量の差分値をもとに判定を行なってもよい。
【0086】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、反応容器側面から攪拌処理前および攪拌処理中の液面を撮像し、各画像を処理して攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0087】
図20は、実施の形態3にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。図20に示すように、実施の形態3にかかる分析装置301は、図1に示す攪拌動作検出部24に代えて攪拌動作検出部324を備え、図1に示す攪拌動作判定部25に代えて攪拌動作判定部325を備える。
【0088】
攪拌動作検出部324は、図21に示すように、反応容器5の開口上に設けられ反応容器5内の液体Lの液面に光を発する光源324aと、反応容器5の側面側に設けられ、音波発生素子23のIDT23bによる超音波発生前および超音波発生中に、反応容器5側面から反応容器5内の液体Lの液面を含む領域を撮像する撮像部324bとを備える。撮像部324bは、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどによって構成され、反応容器5内の液体Lの液面を含む領域を撮像した画像を制御部15に送出する。攪拌動作判定部325は、撮像部324bが撮像した反応容器5内の液体Lの液面を含む領域の画像を処理し、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0089】
実際に反応容器5側面側から反応容器5内の液面を見た場合について図22を参照して説明する。非攪拌時においては、反応容器5内の液体の液面は、図22(1)に示す液面Seのようにほぼ平らな形状を維持する。これに対し、正常攪拌時には、図22(2)に示すように、IDT23bから発せられた超音波によって音響流Cuが発生することにより、反応容器5内の液体Lが音響流Cuによって攪拌されるため、反応容器5内の液体Lの液面は、たとえば液面Sa1,Sa2のように非攪拌時の液面Seと比較して著しく傾斜した状態となるとともに不規則に変化する。図22(2)に示すように、正常攪拌時における液面は、非攪拌時における液面Seよりも上部の領域を不規則に移動するものといえる。一方、IDT23bに電力が供給されているにも係らず音響流Cuが適正に発生せず攪拌処理が正常に行われていない攪拌不良時には、反応容器5内の液体Lが攪拌されないため、反応容器5内の液体Lの液面は、図22(1)に示す正常攪拌時とほぼ同様の平らな状態のままである。
【0090】
さらに非攪拌時および正常攪拌時における反応容器5内の液体Lの液面の相違について、図23を参照して詳細に説明する。図23は、非攪拌時および正常攪拌時において、反応容器5側面から液体の液面を撮像した画像を示す図である。図23(1)は非攪拌時の画像であり、図23(2)、(3)は正常攪拌時における画像である。図23(1)に示す非攪拌時における領域A3の画像と比較し、正常攪拌時においては、図23(2)、(3)に示すように液面Sa1,Sa2が不規則に移動している。特に、正常攪拌時には、液面Sa1,Sa2に例示するように、非攪拌時において液面が位置しない上部領域、すなわち非攪拌時における液面Seよりも上部の領域に液面が位置している。さらに、正常攪拌時においては、非攪拌時における平らな液面Seよりも上部の領域において、図23(3)の矢印Y3のように液面Sa1からたとえば液面Sa2からのように、液面が左右に不規則に移動している。
【0091】
分析装置301においては、正常攪拌時においては、非攪拌時および攪拌不良時と比較して、正常攪拌時における液面Seよりも上部の領域で液面が移動することを利用して、音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。攪拌動作判定部325は、超音波発生前および超音波発生中に撮像部324bによって撮像された画像をもとに、超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を求め、移動量が所定の閾値を超える場合には反応容器5内の液体が正常に攪拌されていると判定し、移動量が所定の閾値を超えない場合には反応容器5内の液体が正常に攪拌されていないと判定する。
【0092】
具体的には、攪拌動作判定部325は、図23に示すように、非攪拌時における液面Seおよび液面Se上部の領域を含む領域A3を、非攪拌時の液面Seよりも上部の領域A31,A32と、非攪拌時に液体が占める領域A33,A34とに分割する。そして、攪拌動作判定部325は、超音波発生前および超音波発生中に撮像部324bによって撮像された各画像のうち上部の領域A31,A32を処理して、上部の領域A31,A32に位置した液面に相当する面積を積分することによって求める。ここで、反応容器5側面から液面を撮像した場合、液面と液面以外の領域とではコントラストに違いが出るため、液面に相当する領域が影となって現れる。このため、攪拌動作判定部325は、領域A31,A32における影部分の面積をそれぞれ求めることによって、液面に相当する面積を求めることができる。また、攪拌動作判定部325は、液面部分とそれ以外の部分における輝度の差によって、液面に相当する部分の面積を求めてもよい。攪拌動作判定部325は、分割した領域A31,A32のそれぞれの画素に基準を設けて二値化、または数値的な重み付けを行なうなどして、各画素の明暗を数値化する。攪拌動作判定部325は、この数値が所定値よりも暗い画素は影部分に含まれると判断し、影部分に含まれると判断した全ての画素に相当する面積を影部分の面積として取得する。
【0093】
攪拌動作判定部325は、たとえば、図23(2)の画像においては、液面Sa1に相当する影部分の面積のうち、領域A31,A32に位置する液面に相当する影部分の面積Aa1を求める。そして、攪拌動作判定部325は、図23(3)の画像においては、液面Sa2に相当する影部分の面積のうち、領域A31,A32に位置する液面Sa2に相当する影部分の面積Aa2を求める。
【0094】
そして、攪拌動作判定部325は、非攪拌時に撮像された画像のうち領域A31,A32に位置する液面に相当する影部分の面積を求め、さらに、攪拌処理中に撮像された各画像の領域A31,A32に移動した液面に対応する影部分の面積を求める。そして、攪拌動作判定部325は、非攪拌時における影部分の面積と、攪拌時における影部分の面積との差分値をそれぞれ取得する。さらに、攪拌動作判定部325は、それぞれ取得した各差分値を積算して、超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の全移動量を求める。
【0095】
次いで、攪拌動作判定部325は、予め取得した正常攪拌時と攪拌不良時とにおける液面の移動量をもとに設定された正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値と、攪拌処理中に撮像部324bに撮像された各画像をもとに演算した液面の移動量とを比較することによって、実際に攪拌処理が正常に行われているか否かを判定している。
【0096】
つぎに、図24を参照して、分析装置301における攪拌動作の判定処理について説明する。制御部15は、図10に示すステップS2と同様に、攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断する判断処理(ステップS302)を行なう。そして、制御部15は、攪拌動作検出部324に対して攪拌開始前状態検出処理(ステップS304)を行わせる。この攪拌前状態検出処理として、光源324aは液面に対して光を照射し、撮像部324bは、反応容器5側面から図22に示す領域A3を撮像し、撮像した画像を攪拌前画像として制御部15に出力する。
【0097】
そして、制御部15は、攪拌装置20に対して攪拌処理を開始させる(ステップS306)。このとき、制御部15は、攪拌動作検出部324に対して攪拌状態検出処理を行なわせる(ステップS308)。この場合、撮像部324bは、光源324aが液面を照射した状態で、反応容器5側面から領域A3を複数回撮像し、撮像した各画像を攪拌中画像として制御部15に出力する。
【0098】
次いで、攪拌動作判定部325は、撮像部324bによって撮像された攪拌前画像と攪拌中画像とを処理し、超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を求め、この移動量と所定の閾値とを比較することによって、音波発生素子23による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定する判定処理を行ない(ステップS310)、判定結果を制御部15に出力する(ステップS312)。そして、制御部15は、図10に示すステップS14およびステップS16と同様に、攪拌処理に対する判定が終了した反応容器5に対する攪拌処理を終了し(ステップS314)、分析処理終了判断処理を行なう(ステップS316)。
【0099】
つぎに、図25を参照して、図24に示す判定処理について説明する。図25に示すよう、まず、攪拌動作判定部325は、攪拌開始前状態検出結果として攪拌前画像を取得する(ステップS322)。そして、攪拌動作判定部325は、攪拌前画像を処理して、攪拌中画像において液面の移動量を取得すべき領域を設定する移動量取得範囲設定処理を行なう(ステップS324)。攪拌動作判定部325は、たとえば図23(1)に示す画像を攪拌前画像として取得した場合には、非攪拌時の液面Seよりも上部の領域A31,A32と、非攪拌時に液体が占める領域を含む領域A33,A34とに分割し、非攪拌時の液面Seよりも上部の領域A31,A32を、移動量取得範囲として設定する。なお、画像に対する分割パターンは予め複数設定されており、攪拌動作判定部325は、超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を演算しやすいように、設定された複数のパターンの中から下部領域に非攪拌時の液面のほとんどが含まれるパターンを選択すればよい。
【0100】
そして、攪拌動作判定部325は、攪拌状態検出結果として複数の攪拌中画像を取得する(ステップS326)。次いで、攪拌動作判定部325は、取得した各攪拌中画像を処理し、超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を演算する画像処理を行なう(ステップS327)。
【0101】
攪拌動作判定部325は、演算した液面の移動量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を超えるか否かを判断する(ステップS328)。正常攪拌時の液面は、非攪拌時における平らな液面よりも上部の領域で不規則に移動するため、攪拌処理が正常である場合には液面の移動量は大きなものとなる。したがって、ステップS328において、攪拌動作判定部325は、演算した液面の移動量が攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を上回るか否かを判断する。
【0102】
攪拌動作判定部325は、演算した液面の移動量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を上回って超えると判断した場合(ステップS328:Yes)、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し(ステップS330)、判定処理を終了する。これに対し、攪拌動作判定部325は、演算した液面の移動量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を超えず下回ると判断した場合(ステップS328:No)、音響流が発生せず液面が移動しない場合であると考えられるため、反応容器5に対する攪拌処理は不良であると判定し(ステップ332)、判定処理を終了する。
【0103】
このように、実施の形態3にかかる分析装置301は、音波発生部材による超音波発生前に液面を含む領域を撮像した攪拌前画像と、音波発生部材による超音波発生中に液面を含む画像を撮像した攪拌中画像とを処理して得られた超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量をもとに、音波発生部材による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0104】
なお、実施の形態3においては、複数枚の攪拌中画像を処理した場合を例に説明したが、もちろんこれに限らず、1枚の攪拌中画像のみを処理して、超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を求め、判定処理を行なってもよい。
【0105】
また、実施の形態3においては、単位時間ごとに判定処理を行なって判定結果に応じて音波発生素子23の出力量を調節して攪拌処理を正常化してもよい。具体的には、図26に示すように、分析装置301は、図24のステップS302からステップS306と同様に、攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断する判断処理(ステップS342)、攪拌開始前状態検出処理(ステップS344)、攪拌開始処理(ステップS346)を行なう。制御部15は、撮像部324bに対して、攪拌状態検出処理(ステップS348)として継続して撮像処理を行なわせる。攪拌動作判定部325は、図24に示すステップS310と同様に、撮像部324が撮像した単位時間当たりの攪拌中画像を処理する判定処理を行ない(ステップS350)、判定結果を出力する(ステップS352)。
【0106】
この場合、制御部15は、出力された攪拌処理に対する判定結果をもとに音波発生素子23へ供給する電力量を調整し、音波発生素子23による超音波の出力量を制御する(ステップS353)。たとえば、制御部15は、攪拌動作判定部325によって攪拌処理が正常に行われていないと判定された場合には、音響流が十分に発生していない場合であると考えられるため、音波発生素子23による超音波の出力量を高めて液体内へ供給する超音波を増やし、音響流を確実に発生させて攪拌処理を正常化させる。また、制御部15は、音波発生素子23による超音波の出力量を意図的に変動させ、攪拌動作判定部325による次の判定処理(ステップS350)において、変動させた音波発生素子23の出力量に応じた移動量で液面が移動しているかを確認し、音波発生素子23の出力量と攪拌強度とが適切に対応しているかを判断してもよい。
【0107】
そして、制御部15は、攪拌処理が正常に行われた時間および攪拌開始からの経過時間を勘案して、攪拌処理を終了するか否かを判断する(ステップS354)。制御部15は、攪拌処理を終了せず継続すると判断した場合には(ステップS354:Yes)、ステップS348に戻り、攪拌動作判定部325による判定処理を再度行わせるため、攪拌動作検出部324に対して、攪拌状態検出処理を行わせる。一方、制御部15は、攪拌処理を終了すると判断した場合には(ステップS354:No)、図24に示すステップS316と同様に、分析処理終了判断処理を行なう(ステップS356)。
【0108】
さらに、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値のほかに、複数の閾値を設けて攪拌状態の強弱を判定してもよい。たとえば、攪拌が適正な強度で行われている場合と攪拌強度が弱い場合とを切り分け可能である閾値、および、攪拌が適正な強度で行われている場合と、攪拌強度が強すぎる場合とを切り分け可能である閾値をさらに設ける。そして、図23(2)に示す領域A31,A32における液面の移動量が、攪拌が適正な強度で行われている場合と攪拌強度が強すぎる場合とを切り分け可能である閾値を上回る場合には、設定よりも強い強度で攪拌されているために、液面が激しく移動しているものと考えられる。この場合には、攪拌動作判定部325は、攪拌強度が強い旨を判定し、制御部15は、この判定結果に基づき、攪拌強度を弱めるために、音波発生素子23へ供給する電力量を下げて超音波発生強度などを弱める。一方、図23に示す領域A31,A32における液面の移動量が、攪拌が適正な強度で行われている場合と攪拌強度が弱い場合とを切り分け可能である閾値を下回る場合には、設定よりも弱い強度で攪拌されているために、液体が十分に攪拌されず、液面の移動が少ないものと考えられる。この場合には、攪拌動作判定部325は、攪拌強度が弱い旨を判定し、制御部15は、この判定結果に基づき、攪拌強度を高めるために、音波発生素子23へ供給する電力量を上げて超音波発生強度などを高める。このように、判定結果に応じて音波発生素子23の出力量を調節して攪拌処理を正常化することによって攪拌不良によるエラー低減を図ってもよい。また、図23に示した場合のように画像を4分割した場合に限らず、さらに細かく分割し各領域ごとに液面の分布および液面の移動量を演算することによって、攪拌状態の強弱を判定してもよい。
【0109】
また、本実施の形態3においては、反応容器5の開口上に光源324aを設けた場合を例に説明したが、図27に示すように光源324aを反応容器5の底面側に設けた場合や図28に示すように光源324aを側面側に設けた場合であっても、反応容器5の開口上に設けた場合と同様に、液面に対応する影部分のコントラストを強くすることができる。
【0110】
また、実施の形態3においては、液面を含む領域を撮像した画像をもとに液面の移動量を取得した場合を例に説明したが、もちろんこれに限らない。分析装置301は、たとえば反応容器5上に設けられた光源324aから液面を含む領域に光を照射し、反射した反射光を一点ではなく面で受光できる受光部を反応容器5側面側に設けた場合も同様に判定することができる。この場合、攪拌動作判定部325は、受光部によって得られた液面を含む領域における反射光分布をもとに攪拌処理に対する判定を行なう。攪拌動作判定部325は、受光部によって得られた攪拌前および攪拌中における各反射光分布から、反射光量の差をもとに液面に相当する部分の面積を求めることによって超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を求めればよい。そして、攪拌動作判定部325は、液面の移動量と、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である所定の閾値とを比較することによって、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定すればよい。
【0111】
(実施の形態4)
つぎに、実施の形態4について説明する。実施の形態4においては、反応容器上面から攪拌処理前および攪拌処理中の液面を撮像し、各画像を処理して攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0112】
図29は、実施の形態4にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。図29に示すように、実施の形態4にかかる分析装置401は、図1に示す攪拌動作検出部24に代えて攪拌動作検出部424を備え、図1に示す攪拌動作判定部25に代えて攪拌動作判定部425を備える。
【0113】
攪拌動作検出部424は、図30に示すように、反応容器5の開口上に設けられ、音波発生素子23のIDT23bによる超音波発生前および超音波発生中に、反応容器5上方から反応容器5内の液体Lの液面を撮像する撮像部324bを備える。攪拌動作判定部425は、撮像部324bが撮像した反応容器5内の液体Lの液面の画像を処理し、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0114】
図30のように反応容器5上方から反応容器5内の液面を撮像した場合、反応容器5内の液体の液面は、非攪拌時においては、図31(1)に示すように、液面は静かなままであるため、波がない状態である。そして、正常攪拌時においては、音響流Cuによる攪拌によって液面が動き、波立つ。正常攪拌時においては、液面に生じた波紋に相当する部分は、撮像分析装置324bによる画像においては、図31(2)に示すように影K3として反映される。一方、攪拌不良時には、音響流が発生せず液体が攪拌されないため、非攪拌時と同様に液面は静かなままであるため、影がない状態である。
【0115】
分析装置401においては、正常攪拌時においては、非攪拌時および攪拌不良時と比較して、液面が波立つことによって波紋に相当する部分が影となって画像に表れることを利用して、攪拌前画像および攪拌中画像における波紋に相当する影部分の面積の変化量をもとに、音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。攪拌動作判定部425は、超音波発生前および超音波発生中に撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量を求め、変化量が所定の閾値を超える場合には容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、変化量が所定の閾値を超えない場合には容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定する。
【0116】
まず、攪拌動作判定部425は、攪拌処理前の液面を撮像した攪拌前画像を処理して、超音波発生前の液面に発生した波紋面積の面積を求める。具体的には、攪拌動作判定部425は、反応容器5の側壁の影が影響しない図31の領域A4に対して波紋の面積を求める。反応容器5上方から液面を撮像した場合、波紋相当する部分が影となって現れるため、攪拌動作判定部425は、領域A4に含まれるそれぞれの画素に基準を設けて二値化、または数値的な重み付けを行なうなどして、各画素の明暗を数値化した後、この数値が所定値よりも暗い画素は影部分に含まれると判断し、影部分に含まれると判断した全ての画素に相当する面積を影部分の面積として取得する。
【0117】
そして、攪拌動作判定部425は、攪拌処理中の液面を撮像した攪拌中画像を処理して、超音波発生中の液面に発生した波紋面積の面積を求める。この場合も同様に、攪拌動作判定部425は、領域A4に対して波紋に相当する影部分の面積を求める。次いで、攪拌動作判定部425は、超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量を求める。なお、攪拌動作判定部425は、攪拌処理中に複数の画像が撮像された場合には、各画像ごとに領域A4の影部分の面積をそれぞれ演算し、これらの影部分の平均値を超音波発生中の液面に発生した波紋面積としてもよい。
【0118】
攪拌動作判定部425は、予め取得した正常攪拌時と攪拌不良時とにおける波紋に相当する影部分の面積をもとに設定された正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値と、超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量とを比較することによって、実際に攪拌処理が正常に行われているか否かを判定している。
【0119】
つぎに、図32を参照して、分析装置401における攪拌動作の判定処理について説明する。制御部15は、図10に示すステップS2と同様に、攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断する判断処理(ステップS402)を行なう。そして、制御部15は、攪拌動作検出部424に対して攪拌開始前状態検出処理(ステップS404)を行わせる。この攪拌前状態検出処理として、撮像部324bは、反応容器5側上方から液面を撮像し、撮像した画像を攪拌前画像として制御部15に出力する。
【0120】
そして、制御部15は、攪拌装置20に対して攪拌処理を開始させる(ステップS406)。このとき、制御部15は、攪拌動作検出部424に対して攪拌状態検出処理を行なわせる(ステップS408)。この場合、撮像部324bは、反応容器5上方から液面を撮像し、撮像した各画像を攪拌中画像として制御部15に出力する。
【0121】
次いで、攪拌動作判定部425は、超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量を求め、求めた変化量と所定の閾値とを比較することによって、音波発生素子23による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定する判定処理を行ない(ステップS410)、判定結果を制御部15に出力する(ステップS412)。そして、制御部15は、図10に示すステップS14およびステップS16と同様に、攪拌処理に対する判定が終了した反応容器5に対する攪拌処理を終了し(ステップS414)、分析処理終了判断処理を行なう(ステップS416)。
【0122】
そして、図33を参照して、図32に示す判定処理について説明する。図33に示すよう、まず、攪拌動作判定部425は、攪拌開始前状態検出結果として攪拌前画像を取得する(ステップS422)。そして、攪拌動作判定部425は、たとえば図31の領域A4のように反応容器5の側壁の影が影響しない領域を画像処理の領域として設定する画像処理領域設定処理を行なう(ステップS424)。
【0123】
そして、攪拌動作判定部425は、攪拌状態検出結果として攪拌中画像を取得する(ステップS426)。次いで、攪拌動作判定部425は、取得した攪拌前画像および攪拌中画像を処理し、画像処理領域設定処理において設定した領域内における超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量を演算する画像処理を行なう(ステップS427)。
【0124】
攪拌動作判定部425は、演算した波紋面積の変化量が攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を超えるか否かを判断する(ステップS428)。正常攪拌時の液面には、非攪拌時における液面よりも多くの波が発生して波紋に相当する影部分の面積は非攪拌時と比較して格段に大きなものとなるため、超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量は大きなものとなる。したがって、ステップS428において、攪拌動作判定部425は、演算した波紋面積の変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を上回るか否かを判断する。
【0125】
攪拌動作判定部425は、波紋面積の変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を上回って超えると判断した場合(ステップS428:Yes)、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し(ステップS430)、判定処理を終了する。これに対し、攪拌動作判定部425は、波紋面積の変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を超えず下回ると判断した場合(ステップ428:No)、音響流によって液面に波紋が生成していない場合であると考えられるため、反応容器5に対する攪拌処理は不良であると判定し(ステップ432)、判定処理を終了する。
【0126】
このように、実施の形態4にかかる分析装置401は、超音波発生前および超音波発生中に撮像手段によって撮像された画像を処理して得られた超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量をもとに、音波発生部材による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0127】
(実施の形態5)
つぎに、実施の形態5について説明する。実施の形態5においては、反応容器5内の液体の液面の一部に光を照射した状態で反応容器上面から攪拌処理前および攪拌処理中の液面を撮像し、各画像のうち光照射領域を処理して攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0128】
図34は、実施の形態5にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。図34に示すように、実施の形態5にかかる分析装置501は、図1に示す攪拌動作検出部24に代えて攪拌動作検出部524を備え、図1に示す攪拌動作判定部25に代えて攪拌動作判定部525を備える。
【0129】
攪拌動作検出部524は、図35に示すように、反応容器5の側面側から反応容器5内の液体Lの液面に光E5を照射する光源524aと、反応容器5の開口上に設けられ、音波発生素子23のIDT23bによる超音波発生前および超音波発生中に、反応容器5上方から反応容器5内の液体Lの液面を撮像する撮像部324bとを備える。図35(2)に示すように、光源524aは、反応容器5側面側から、IDT23bの各電極指と直交する方向と平行となるように、液面に対して光を絞って照射することによって、図35(1)に示す領域A51のように液面に対して広い領域に光を照射している。また、光源524aは、IDT23bの超音波発生に起因して発生する音響流によって液面が顕著に変化する領域に光を照射する。攪拌動作判定部525は、撮像部324bが撮像した反応容器5内の液体Lの液面の画像のうち、光源524aによる光照射領域に対応した領域を処理し、攪拌処理が正常に行われているか否かを判定する。
【0130】
ここで、正常に攪拌されている場合には、非攪拌時における平らな液面Seから、液面Saのように大きく傾斜するように液面状態が変化する。この結果、反応容器5の側面から照射された光が液面で反射する反射経路は、正常攪拌時と非攪拌時とにおいて異なるため、液面から撮像部324bに投射される光量も正常攪拌時と非攪拌時とで異なるものとなる。
【0131】
実際に、図36(1)〜(3)に、図35のように領域A51に光E5を照射した場合における液面を撮像した画像を示す。図36(1)は、攪拌前の液面の画像であり、図36(2)は、攪拌中の液面の画像であり、図36(3)は、攪拌後の液面の画像である。
【0132】
図36(1),(3)の下図に示すように、攪拌前および攪拌後においては、音響流が発生していないため、反応容器5内の液体Lの液面は平らな液面Seのままである。このため、反応容器5側面から照射された光E5は、平らな液面Seとほぼ平行に入射するため液面Seでほとんど反射しない。したがって、液面から撮像部324bに対する投射光の光量も小さい。この結果、図36(1),(3)の上図に示すように、攪拌前および攪拌後の非攪拌時における液面の画像には、液面から撮像部324bに光がほとんど投射されないため、影部分が多くを占める。
【0133】
これに対し、図36(2)の下図に示すように、攪拌中においては、音響流が発生し、反応容器5内の液体Lの液面は、液面Saのように傾斜する。このため、反応容器5側面から照射された光E5は、傾斜した液面Saによって反射するため、液面から撮像部324bに対する投射光の光量も大きくなる。このように正常攪拌時においては液面から撮像部324bに投射される光量が非攪拌時よりも多くなるため、図36(2)の上図に示すように、正常攪拌時における液面の画像のうち領域A51における明部Ab51の面積は、図36(1)に示す非攪拌時における明部Aa51の面積より大きくなる。一方、IDT23bに電力が供給されているにも係らず音響流Cuが適正に発生せず攪拌処理が正常に行われていない攪拌不良時には、反応容器5内の液体Lが攪拌されないため、反応容器5内の液体Lの液面は、図36(1)の下図に示す正常攪拌時とほぼ同様の平らな状態のままである。したがって、攪拌不良時には、液面から撮像部324bに対する投射光の光量も非攪拌時と同様に小さなものとなり、領域A51における明部の面積も非攪拌時と同様に小さくなる。
【0134】
分析装置501においては、正常攪拌時と、非攪拌時および攪拌不良時とにおいて、撮像部324bに投射される光量が異なることを利用して、攪拌前画像および攪拌中画像における明部の面積の変化量をもとに、音波発生素子23による超音波発生中に容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定している。攪拌動作判定部525は、超音波発生前および超音波発生中に撮像部324bによって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量を求め、変化量が所定の閾値を超える場合には容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、変化量が所定の閾値を超えない場合には容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定する。
【0135】
攪拌動作判定部525は、攪拌処理前の液面を撮像した攪拌前画像のうち光が照射される領域A51の明部の面積を求める。なお、攪拌動作判定部525は、領域A51に含まれるそれぞれの画素に基準を設けて二値化、または数値的な重み付けを行なうなどして、各画素の明暗を数値化した後、この数値が所定値よりも明るい画素と判断した全ての画素に相当する面積を明部の面積として取得する。
【0136】
そして、攪拌動作判定部525は、攪拌処理中に撮像された攪拌中画像の領域A51における明部の面積を求める。次いで、攪拌動作判定部525は、超音波発生前の液面における領域A51内の明部面積と超音波発生中の液面における領域A51内の明部面積との変化量を求める。なお、攪拌動作判定部525は、攪拌処理中に複数の画像が撮像された場合には、各画像ごとに領域A51の明部の面積をそれぞれ演算し、明部の平均値を求めてもよい。
【0137】
そして、攪拌動作判定部525は、予め取得した正常攪拌時と、攪拌不良時とにおける各明部の面積をもとに設定された正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値と、攪拌前画像および攪拌中画像における波に対応する明部の面積の変化量とを比較することによって、実際に攪拌処理が正常に行われているか否かを判定している。
【0138】
つぎに、図37を参照して、分析装置501における攪拌動作の判定処理について説明する。制御部15は、図10に示すステップS2と同様に、攪拌対象の反応容器5が到達したか否かを判断する判断処理(ステップS502)を行なう。そして、制御部15は、攪拌動作検出部524に対して攪拌開始前状態検出処理(ステップS504)を行わせる。この攪拌前状態検出処理として、光源524aが液面に対して光を照射した状態で、撮像部324bは、反応容器5側上方から液面を撮像し、撮像した画像を攪拌前画像として制御部15に出力する。
【0139】
そして、制御部15は、攪拌装置20に対して攪拌処理を開始させる(ステップS506)。このとき、制御部15は、攪拌動作検出部524に対して攪拌状態検出処理を行なわせる(ステップS508)。この場合、撮像部324bは、反応容器5上方から液面を撮像し、撮像した各画像を攪拌中画像として制御部15に出力する。
【0140】
次いで、攪拌動作判定部525は、攪拌前画像の領域A51における明部の面積と、攪拌中画像の領域A51における明部の面積との変化量を光量変化量として求め、求めた変化量と所定の閾値とを比較することによって、音波発生素子23による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定する判定処理を行ない(ステップS510)、判定結果を制御部15に出力する(ステップS512)。そして、制御部15は、図10に示すステップS14およびステップS16と同様に、攪拌処理に対する判定が終了した反応容器5に対する攪拌処理を終了し(ステップS514)、分析処理終了判断処理を行なう(ステップS516)。
【0141】
つぎに、図38を参照して、図37に示す判定処理について説明する。図38に示すよう、まず、攪拌動作判定部525は、攪拌開始前状態検出結果として攪拌前画像を取得する(ステップS522)。そして、攪拌動作判定部525は、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値を設定する画像処理領域設定処理を行なう(ステップS524)。この閾値は、光源524aによる光の照射領域、光源524aによる照射光の光量、IDT23bの設置位置などに応じてそれぞれ設定されている。
【0142】
そして、攪拌動作判定部525は、攪拌状態検出結果として攪拌中画像を取得する(ステップS526)。次いで、攪拌動作判定部525は、取得した攪拌前画像および攪拌中画像を処理し、攪拌前画像の領域A51における明部の面積と、攪拌中画像の領域A51における明部の面積との変化量を光量変化量として演算する画像処理を行なう(ステップS527)。
【0143】
攪拌動作判定部525は、演算した光量変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を超えるか否かを判断する(ステップS528)。正常攪拌時の液面は、非攪拌時における液面よりも多くの光を撮像部324bに投射するため、攪拌処理が正常である場合には、非攪拌時よりも明部の面積は大きいため、光量変化量は大きなものとなる。したがって、ステップS528において、攪拌動作判定部525は、演算した光量変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を上回るか否かを判断する。
【0144】
攪拌動作判定部525は、光量変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を上回って超えると判断した場合(ステップS528:Yes)、攪拌対象の反応容器5に対する攪拌処理は正常に行われていると判定し(ステップS530)、判定処理を終了する。これに対し、攪拌動作判定部525は、光量変化量が、攪拌不良時と正常攪拌時とを切り分け可能である所定の閾値を超えず下回ると判断した場合(ステップ528:No)、反応容器5に対する攪拌処理は不良であると判定し(ステップ532)、判定処理を終了する。
【0145】
このように、実施の形態5にかかる分析装置501は、超音波発生前および超音波発生中に撮像手段によって撮像された画像を処理して得られた超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量をもとに、音波発生部材による超音波発生中に反応容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定するため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0146】
なお、本実施の形態5においては、図35に示すように光源524aを設けた場合を例に説明したが、もちろんこれに限らず、光源IDT23bの超音波発生に起因して発生する音響流によって、液面が顕著に変化する領域に光を照射できる位置に光源524aを設ければよい。
【0147】
たとえば、図39(1)に示す領域A53のように液面を含め深い領域にまで光を照射したい場合には、図39(2)に示すように、光源524aは、反応容器5側面側から、液面の高さ方向に照射角を広げて光E53を照射する。この場合、図40(1),(3)の下図に示すように、攪拌前および攪拌後においては、反応容器5内の液体Lの液面は平らな液面Seであるため、反応容器5側面から照射された光E53は液面Seでほとんど反射せず、液面から撮像部324bに対する投射光の光量も小さい。そして、攪拌中においては、図40(2)の下図に示すように反応容器5内の液体Lの液面は、液面Saのように傾斜するため、反応容器5側面から照射された光E53は、傾斜した液面Saで反射し、液面から撮像部324bに対する投射光の光量は大きくなる。このため、図40(1)〜(3)の上図に示すように、正常攪拌時における液面の画像のうち領域A53における明部の面積は、非攪拌時における明部の面積より大きくなる。このように図39に示すように光源524aから光E53を照射した場合も同様に、攪拌動作判定部525は、超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量と、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値とを比較することによって、反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定することができる。
【0148】
また、図41(2)に示すように、光源524aを反応容器5の開口上に設け、図41(1)に示す領域A55に斜め上方から光E55を照射してもよい。この場合、図42(1),(3)の下図に示すように、攪拌前および攪拌後においては、反応容器5斜め上方から照射された光E55は、平らな液面Seで入射角度と同じ角度で反射するため、撮像部324bの撮像範囲外に反射してしまい、撮像部324bに対する投射光の光量は小さくなる。そして、攪拌中においては、図42(2)の下図に示すように反応容器5内の液体Lの液面は、液面Saのように傾斜するため、反応容器5側面から照射された光E55は、傾斜した液面Saで不規則に反射する。このため、正常攪拌時においては、液面から撮像部324bの撮像範囲にも反射する光があることから、撮像部324bに対する投射光の光量は大きくなる。したがって、図42(1)〜(3)の上図に示すように、正常攪拌時における液面の画像のうち領域A55における明部の面積は、非攪拌時における明部の面積より大きくなる。このように、図41に示すように光源524aを配置した場合も同様に、攪拌動作判定部525は、超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量と、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値とを比較することによって、反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定することができる。
【0149】
また、図43(1)に示すように、光源524aを反応容器5の開口上に設け、図43(2)に示す反応容器側壁近辺の領域A57に斜め上方から光E57を照射してもよい。この場合、図44(1),(3)の下図に示すように、攪拌前および攪拌後においては、反応容器5斜め上方から照射された光E57は、平らな液面Seで入射角度と同じ角度で反射するため、撮像部324bの撮像範囲外に反射してしまい、撮像部324bに対する投射光の光量は小さくなる。そして、攪拌中においては、図44(2)の下図に示すように反応容器5内の液体Lの液面は、液面Saのように傾斜するため、反応容器5側面から照射された光E55は、傾斜した液面Saで不規則に反射する。このため、正常攪拌中においては、液面から撮像部324bに対しても光が反射することから、撮像部324bに対する投射光の光量は大きくなる。したがって、図44(1)〜(3)の上図に示すように、正常攪拌時における液面の画像のうち領域A57における明部の面積は、非攪拌時における明部の面積より大きくなる。このように、図43に示すように光源524aを配置した場合も同様に、攪拌動作判定部525は、超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量と、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値とを比較することによって、反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定することができる。
【0150】
また、図45(2)に示すように、光源524aを反応容器5の中央部分の直上に設け、図45(1)に示す液面中央の領域A59に直上から光E59を照射してもよい。この場合、図46(1),(3)の下図に示すように、攪拌前および攪拌後においては、反応容器5直上から照射された光E59は、非攪拌時における平らな液面Seで反射し、そのまま反応容器5直上の撮像部324bに入射することから、撮像部324bに対する投射光の光量は大きくなる。そして、攪拌中においては、図46(2)の下図に示すように反応容器5内の液体Lの液面は、液面Saのように傾斜するため、反応容器5側面から照射された光E59は、傾斜した液面Saで不規則に反射する。このため、正常攪拌中においては、液面から撮像部324bに対して投射する反射光の光量は小さくなる。したがって、図46(1)〜(3)の上図に示すように、正常攪拌時における液面の画像のうち領域A59における明部の面積は、非攪拌時における明部の面積より小さくなる。このように、図43に示すように光源524aを配置した場合も同様に、攪拌動作判定部525は、超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量と、正常攪拌時および攪拌不良時を切り分け可能である閾値とを比較することによって、反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定することができる。
【0151】
また、実施の形態1〜5においては、音波発生素子23を反応容器5の底壁5dに取り付けた場合を例に説明したが、もちろんこれに限らず、たとえば図47に示すように、反応容器5の側壁5cに音波発生素子を取り付けてもよい。側壁5cに音波発生素子23を取り付けた場合も攪拌処理中には音波発生素子23から発生した音響流によって非攪拌時における平らな液面から液面が傾斜するように変化するため、攪拌動作判定部25,225,325,425,525は、実施の形態1〜5で説明した処理手順と同様の処理手順を行なうことによって、攪拌前光量と攪拌中光量との変化量をもとに、音波発生素子23による超音波発生中に反応容器5内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定することができる。なお、側壁5cにおける音波発生素子23の取付部分の下部側の点線によって囲まれた部分が分析光を透過させる測光用の窓5bとして利用される。このため、含めて音波発生素子23は、分析光学系12による測光を妨げないように、図47に示すように、測光用の窓5bを避けて側壁5cに取り付けることが望ましい。
【0152】
また、本発明の分析装置として、2つの試薬テーブル2,3を有するものについて説明したが、試薬テーブルは1つであってよい。更に、本発明の分析装置は、1つの分析装置をユニットとして複数ユニット備えたものであってもよい。
【0153】
また、本発明として、反応容器5の底壁または側壁に直接取り付けた音波発生素子23を用いて反応容器5内の液体を攪拌する分析装置を例に説明したが、もちろんこれに限らず、恒温層の恒温液を介して反応容器外部から反応容器内部の液体に超音波を供給して液体を攪拌する分析装置に対しても適用可能である。
【0154】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1,201,301,401,501は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】実施の形態にかかる分析装置を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。
【図3】音波発生素子が取り付けられ、実施の形態の分析装置で使用される反応容器を送電体とともに示す斜視図である。
【図4】実施の形態の分析装置で使用される攪拌装置の音波発生素子と、音波発生素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。
【図5】図4に示す反応容器内において発生する音響流を説明する図である。
【図6】図4に示す反応容器内において発生する音響流を説明する図である。
【図7】図2に示す攪拌動作検出部の構成を説明する図である。
【図8】正常攪拌時における反応容器内の液体の液面状態を説明する図である。
【図9】図7に示す受光部が非攪拌時と正常攪拌時とにおいて受光した反射光の光量の時間依存性を示す図である。
【図10】図1に示す分析装置における攪拌動作の処理手順を説明するフローチャートである。
【図11】図10に示す判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図2に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図13】図12に示す受光部が非攪拌時と正常攪拌時とにおいて受光した反射光の光量の時間依存性を示す図である。
【図14】図2に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図15】実施の形態2にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示す攪拌動作検出部の構成を説明する図である。
【図17】図16に示す受光部によって検出された非攪拌時の所定時における反射光の光量と正常攪拌時における各反射光の光量との差分値の時間依存性を示す図である。
【図18】図15に示す分析装置における攪拌動作の処理手順を説明するフローチャートである。
【図19】図18に示す判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】実施の形態3にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示す攪拌動作検出部の構成を説明する図である。
【図22】非攪拌時および正常攪拌時における反応容器内の液体の液面状態を説明する図である。
【図23】非攪拌時および正常攪拌時において反応容器5側面から液体の液面を撮像した画像を示す図である。
【図24】図20に示す分析装置における攪拌動作の処理手順を説明するフローチャートである。
【図25】図24に示す判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図26】図20に示す分析装置における攪拌動作の他の処理手順を説明するフローチャートである。
【図27】図20に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図28】図20に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図29】実施の形態4にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。
【図30】図29に示す攪拌動作検出部の構成を説明する図である。
【図31】非攪拌時および正常攪拌時において反応容器上方から反応容器内の液面を撮像した画像を示す図である。
【図32】図29に示す分析装置における攪拌動作の処理手順を説明するフローチャートである。
【図33】図32に示す判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図34】実施の形態5にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。
【図35】図34に示す攪拌動作検出部の構成を説明する図である。
【図36】攪拌前、正常攪拌中および攪拌後において図35に示す撮像部によって撮像された反応容器内の液面の画像を示す図である。
【図37】図34に示す分析装置における攪拌動作の処理手順を説明するフローチャートである。
【図38】図37に示す判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図39】図34に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図40】攪拌前、正常攪拌中および攪拌後において図39に示す撮像部によって撮像された反応容器内の液面の画像を示す図である。
【図41】図34に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図42】攪拌前、正常攪拌中および攪拌後において図41に示す撮像部によって撮像された反応容器内の液面の画像を示す図である。
【図43】図34に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図44】攪拌前、正常攪拌中および攪拌後において図43に示す撮像部によって撮像された反応容器内の液面の画像を示す図である。
【図45】図34に示す攪拌動作検出部の他の構成を説明する図である。
【図46】攪拌前、正常攪拌中および攪拌後において図45に示す撮像部によって撮像された反応容器内の液面の画像を示す図である。
【図47】実施の形態1〜5にかかる分析装置で使用される攪拌装置の音波発生素子と、音波発生素子を取り付けた反応容器との他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0156】
1,201,301,401,501 分析装置
2,3 試薬テーブル
4 反応テーブル
5 反応容器
5c 側壁
5d 底壁
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
11 検体分注機構
12 分析光学系
13 洗浄機構
15 制御部
16 入力部
17 表示部
19 電力供給部
20 攪拌装置
21 送電体
22 配置決定部材
23 音波発生素子
23a 圧電基板
23b IDT
23d 電気端子
24,324,424,524 攪拌動作検出部
25,225,325,425,525 攪拌動作判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板に複数の櫛歯状電極からなる振動子が形成された音波発生部材を有する容器を使用し、前記音波発生部材に電力を供給して超音波を発生させ前記容器内の液体を攪拌する分析装置において、
前記音波発生部材による超音波発生前に前記容器内の液体の液面で反射または前記液面を透過した光量である攪拌前光量と、前記音波発生部材による超音波発生中に前記液面で反射または前記液面を透過した光量である攪拌中光量とを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記攪拌前光量と前記攪拌中光量との変化量をもとに、前記音波発生部材による超音波発生中に前記容器内の液体が正常に攪拌されているか否かを判定し、出力する判定手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記液面に対して所定波長の光を照射する光源と、
前記液面で反射または前記液面を透過した前記所定波長の光を受光し、該受光した光の光量を検出する受光手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記受光手段によって検出された前記攪拌中光量が前記攪拌前光量をもとに設定された閾値を超えた場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記受光手段によって検出された前記攪拌中光量が前記閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記検出手段は、
前記液面に対して所定波長の光を照射する光源と、
前記液面で反射または前記液面を透過した前記所定波長の光を受光し、該受光した光の光量を検出する受光手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記受光手段によって検出された前記攪拌中光量と前記攪拌前光量との差分値が所定の閾値を超えた場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記差分値が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記光源は、前記容器内の液体の反応に寄与しない波長または前記容器内の液体における非吸収帯域の波長の光を発することを特徴とする請求項2または3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記光源は、レーザ光を発することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
前記光源は、前記容器の開口上または前記容器の側面側に設けられ、
前記受光手段は、前記容器の開口上に設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項7】
前記検出手段は、
前記液面に光を発する光源と、
前記音波発生部材による超音波発生前および超音波発生中に前記容器側面から前記容器内の液体の液面を含む領域を撮像する撮像手段と、
を備え、
前記判定手段は、超音波発生前および超音波発生中に前記撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面に対する超音波発生中の液面の移動量を求め、前記移動量が所定の閾値を超える場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記移動量が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記音波発生部材による超音波発生前および超音波発生中に前記容器上方から前記容器内の液体の液面を撮像する撮像手段を備え、
前記判定手段は、超音波発生前および超音波発生中に前記撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面に発生した波紋面積と超音波発生中の液面に発生した波紋面積との変化量を求め、前記変化量が所定の閾値を超える場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記変化量が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項9】
前記検出手段は、
前記液面のうち所定の照射領域に光を照射する光源と、
前記音波発生部材による超音波発生前および超音波発生中に前記容器上方から前記容器内の液体の液面を撮像する撮像手段を有し、
前記判定手段は、超音波発生前および超音波発生中に前記撮像手段によって撮像された画像をもとに超音波発生前の液面における照射領域内の明部面積と超音波発生中の液面における照射領域内の明部面積との変化量を求め、前記変化量が所定の閾値を超える場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていると判定し、前記変化量が前記所定の閾値を超えない場合には前記容器内の液体が正常に攪拌されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項10】
前記光源は、前記容器の開口上または前記容器側面側に設けられることを特徴とする請求項7または9に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図37】
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【図38】
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【図40】
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【図42】
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【図44】
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【図46】
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【図47】
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【図35】
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【図36】
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【図39】
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【図41】
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【図43】
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【図45】
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【公開番号】特開2009−156792(P2009−156792A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337609(P2007−337609)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】