説明

分枝鎖状の短鎖の成分と、分枝鎖状の長鎖の成分とを含有する界面活性剤混合物

本発明は、界面活性剤混合物であって、(A)アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する短鎖の成分、この場合、該アルカノールは、8〜12個の炭素原子を有しているものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均値は0.1〜30であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノールは、少なくとも1の平均分岐度を有している、および(B)アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する長鎖の成分、この場合、該アルカノールは、15〜19個の炭素原子を有しているものであり、かつアルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均値は0.1〜30であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノールは、少なくとも2.5の平均分岐度を有している、もしくはこれらのリン酸エステル、硫酸エステル、ならびにエーテルカルボキシレートを含有する界面活性剤混合物に関する。本発明はさらに、該界面活性剤混合物を含有する調製物、該界面活性剤混合物の製造方法、ならびにその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤混合物、該界面活性剤混合物を含有する調製物、該界面活性剤混合物を製造する方法、ならびにその使用に関する。
【0002】
界面活性剤は、疎水性ならびに親水性の分子部分を有し、かつさらに荷電しているか、または荷電していない基を有していてもよい、両親媒性の界面活性な化合物である。界面活性剤は界面で配向して吸着され、かつこのことにより表面張力が低減されるので、界面活性剤は臨界ミセル形成濃度を上回る溶液中で会合コロイドを形成することができるため、水溶液中で、水不溶性の物質が可溶化される。
【0003】
この特性に基づいて、界面活性剤はたとえば固体、たとえば繊維または硬質表面を湿潤させるために使用される。この場合、界面活性剤はしばしば相互に、ならびに他の助剤と組み合わされて使用される。典型的な適用分野はテキスタイルおよび皮革のための洗浄剤およびクリーニング剤、ラッカーおよび塗料の調製物として、ならびにたとえば石油の搬送におけるものである。
【0004】
興味深い界面活性剤は特に、アルコールのアルコキシル化生成物である。この場合、このような化合物を異なった混合物として提供することが特に有利であることが判明している。この場合、特に長鎖の界面活性剤と短鎖の界面活性剤との混合物が適切である。
【0005】
このような混合物はたとえばWO−A2007/096292、US−A2008/103083、DE−A10218752、JP−A2003/336092ならびにJP−A2004/035755に記載されている。
【0006】
さらに、界面活性剤がその良好な界面活性とならんで、容易に生分解性であることが重要である。
【0007】
生分解性界面活性剤もしくは容易に生分解可能な界面活性剤を含有する洗剤はたとえばWO−A98/23566に記載されている。
【0008】
さらに高度に分岐した、長鎖のアルコールエトキシレートは、容易に生分解可能ではないことが予測される。
【0009】
従って、特に分枝鎖状のC17−アルコールアルコキシレートを含有する界面活性剤混合物に関して、良好な界面活性を有し、かつそれにもかかわらず容易に生分解可能である新規の界面活性剤混合物に対する要求が存在する。
【0010】
従って本発明の課題の1つは、生態学的な観点から、良好な界面活性を有する分枝鎖状のC17−アルコールアルコキシレートを含有する長鎖の成分を使用することが可能な界面活性剤混合物を提供することである。
【0011】
前記課題は、界面活性剤混合物であって、
(A)アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する短鎖の成分、この場合、該アルカノールは、8〜12個の炭素原子を有しているものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は0.1〜30の値であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノールは、少なくとも1の平均分岐度を有している、および
(B)アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する長鎖の成分、この場合、該アルカノールは、15〜19個の炭素原子を有しているものであり、かつアルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は0.1〜30の値であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノールは、少なくとも2.5の平均分岐度を有している、
もしくはこれらのリン酸エステル、硫酸エステル、ならびにエーテルカルボキシレートを含有する界面活性剤混合物によって解決される。
【0012】
本発明のもう1つの対象は、本発明による混合物を含有している調製物である。
【0013】
15〜19個の炭素原子を有するアルカノールからの、上記の分岐度を有する長鎖の成分を含有するアルコキシル化生成物は、さらに、上記のとおりの短鎖の成分を界面活性剤混合物として使用する場合に良好に生分解性であることが判明した。
【0014】
課題の別の部分は、良好な洗浄性能を有する界面活性剤を開発することである。ここでもまた、長鎖の成分の使用は、界面活性剤混合物の洗浄性能に肯定的な作用をもたらすことを示すことができた。特に本発明による分枝鎖状の長鎖の疎水性構成要素の使用は、意外なことに低温で改善された洗浄性能を示す。
【0015】
短鎖の成分も長鎖の成分も、アルコキシル化生成物をそのままで、または代替的に、もしくは付加的にそれらのリン酸エステル、硫酸エステル、ならびにエーテルカルボキシレートを含有していてもよい。
【0016】
(アルカノール混合物の)アルカノールの分岐度は、この場合、以下のとおりに定義される:
アルコールの分岐度は、炭素主鎖の分岐から生じる。これはあらゆるアルコール分子に関して、他の3つの炭素原子に結合している炭素原子に、他の4つの炭素原子に結合している炭素原子の数の二倍の数を足した数として定義される。アルコール混合物の平均分岐度は、個々の分子の全ての分岐度の合計を、個々の分子の数で除算することによって得られる。分岐度はたとえばNMR法によって確認される。これは炭素主鎖を適切なカップリング法(COSY、DEPT、INADE−QUATE)を用いて分析し、次いで13C−NMRにより緩和試薬を用いて定量化することによって行うことができる。しかし、その他のNMR法またはGC−MS法によっても可能である。
【0017】
アルコキシル基の平均数は、個々の分子のアルコキシル基の合計を、単独の分子の数によって割れば得られる。
【0018】
本発明による界面活性剤混合物は、分枝鎖状のアルカノールのアルコキシル化生成物を含有する短鎖の成分(A)を有しており、この場合、該アルカノールは、8〜12個の炭素原子を有している。さらに有利には、該アルカノールは、9〜11個の炭素原子を有しており、特にアルカノールが10個の炭素原子を有している場合が有利である。
【0019】
本発明による界面活性剤混合物の短鎖の成分(A)は、このようなアルカノールのみを含有していてもよいが、しかし一般にこのようなアルカノールの混合物を含有している。
【0020】
短鎖の成分(A)のために複数のアルカノールを使用する場合、アルカノールが10個の炭素原子を有しているのであれば、この混合物がC10−ゲルベアルコール混合物であることが有利である。この場合、主成分は2−プロピルヘプタノールならびに5−メチル−2−プロピルヘキサノールである。有利には短鎖の成分(A)は、少なくとも90%、有利には95%が、このような混合物からなっている。
【0021】
さらに、短鎖の成分が、イソデカノールを含有していないことが有利である。
【0022】
本発明による短鎖の成分(A)のための1もしくは複数のアルカノールのアルコキシル化度は、アルカノール1個あたり、平均して0.1〜30のアルコキシル基を有するものである。有利にはこの値は、アルコキシ基1〜30の範囲、さらに有利には3〜30、さらに有利には3〜20、特に有利には4〜15、およびとりわけ5〜10の範囲である。
【0023】
アルコキシ基はC2〜C10−アルコキシ基、つまりエトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノノキシ基およびデコキシ基である。しかし有利であるのはエトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基である。さらに有利であるのは、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基である。さらに有利であるのはエトキシ基およびプロポキシ基である。特に有利であるのは、エトキシ基である。アルコキシル化をランダムに分散させるか、またはブロック状で行うことも可能であるので、上記のアルコキシ基は、これらが異なったものである場合には、ブロック状で現れる。
【0024】
しかし、短鎖の成分(A)のためのアルコキシル化生成物が、それぞれのアルコキシル化生成物に関して少なくとも0.5であるアルコキシ基の総数に対するエトキシ基の割合を有することが有利である。さらに有利であるのは、少なくとも0.75であり、特に、アルコキシル化生成物が、アルコキシ基として、エトキシ基のみを有している場合が有利である。
【0025】
短鎖の成分(A)のアルカノール混合物が、1.0〜2.0の平均分岐度を有している場合が有利である。さらに有利であるのは、短鎖の成分(A)のアルカノール混合物が、1〜1.5の範囲の平均分岐度を有することである。
【0026】
界面活性剤混合物の短鎖の成分を形成する分枝鎖状のアルカノールのアルコキシル化生成物以外に、不飽和脂肪族アルコールのアルコキシル化生成物が含有されていることも同様に可能であり、この場合、これらは短鎖の成分(A)のためのアルカノールと同じ炭素原子数を有していてもよい。しかし、これらの化合物の基が、界面活性剤混合物の全質量に対して10質量%未満、有利には5質量%未満の質量割合を有している場合が有利である。
【0027】
さらに、界面活性剤混合物は、アルカノールが、上記の炭素原子数を有していない生成物を形成するアルコキシル化生成物を含有していてもよい。これは特に1〜7個の炭素原子を有するアルカノールならびに12個より多くの炭素原子を有するアルカノールである。しかし、これらの化合物の基が、界面活性剤混合物の全質量に対して、最大で10質量%、有利には5質量%未満の質量割合を有していることが有利である。
【0028】
さらに、アルコキシル化されていない、もしくはより高いアルコキシル化度を有する分枝鎖状のアルカノールのアルコキシル化された生成物が現れうる。この場合、特に31以上のアルコキシ基のアルコキシル化度が挙げられる。これらの化合物の群は、界面活性剤混合物の全質量に対して、30質量%未満、有利には15質量%未満含有している場合が有利である。さらに有利であるのは、10質量%未満、特に5質量%未満である。
【0029】
短鎖の成分(A)のための特に有利なアルコキシレート生成物は、一般式(I)
511CH(C37)CH2O(A)n(B)mH (I)
[式中、
Aは、エチレンオキシであり、
Bは、C3〜C10−アルキレンオキシ、有利にはプロピレンオキシ、ブチレンオキシ、ペンチレンオキシまたはこれらの混合物であり、
基AおよびBは、ランダムに分布しているか、交互に、または2以上のブロックの形で任意の順序で存在していてよく、
nは、0〜30の数であり、
mは、0〜20の数であり、
n+mは、少なくとも0.1であり、かつ最大で30である]のアルコキシレートであり、この場合、
70〜99質量%は、C511が、n−C511の意味を有するアルコキシレートA1であり、かつ
1〜30質量%は、C511が、C25CH(CH3)CH2および/またはCH3CH(CH3)CH2CH2の意味を有するアルコキシレートA2であり、
これらは混合物として存在している。
【0030】
一般式(I)中で、nは有利には0.1〜30、特に3〜12の範囲の数である。mは、有利には0〜8、特に1〜8、とりわけ有利には1〜5の範囲の数である。Bは有利にはプロピレンオキシおよび/またはブチレンオキシである。
【0031】
本発明によるアルコキシレート中で、アルコール基に引き続きまずプロピレンオキシ単位が、およびこれに引き続きエチレンオキシ単位が存在していてよい。相応するアルコキシ基は、有利にはブロック状で存在している。nおよびmは、この場合、アルコキシレートに関して平均として生じる平均値である。従って、nおよびmは、整数から逸脱することもありうる。アルカノールのアルコキシル化の際には、一般に一定の範囲で、異なったアルコキシル化触媒を使用することによって調整可能なアルコキシル化度の分布が得られる。本発明によるアルコキシレート混合物では、アルコール基に引き続きまずエチレンオキシ単位、およびこれに引き続きプロピレンオキシ単位が存在していてもよい。さらに、エチレンオキシド単位と、プロピレンオキシド単位とのランダムな混合物が存在していてもよい。3以上のブロックアルコキシル化および混合されたアルコキシル化も可能である。さらに、エチレンオキシド単位Aのみ、または単位Bのみ、特にプロピレンオキシド単位のみが存在していることも可能である。基AおよびBの適切な量を選択することにより、本発明によるアルコキシレート混合物の特性範囲を実地の要求に応じて適合させることができる。特に有利であるのは、まずプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンテンオキシドまたはこれらの混合物、および引き続きエチレンオキシドと反応させる。しかし同様に、エチレンオキシドとの反応を単独で行うことも可能である。
【0032】
特に有利には一般式(I)中で、Bはプロピレンオキシを表す。nはこの場合、特に有利には1〜20の数であり、mは特に有利には1〜8の数である。
【0033】
本発明によるアルコキシレート混合物は、基礎となっているアルコールC511CH(C37)CH2OHのアルコキシル化により得られる。出発アルコールは、個々の成分から混合されることができるので、本発明による比率が生じる。これらはバレロアルデヒドのアルドール縮合およびその後の水素化によって製造することができる。バレロアルデヒドおよび相応する異性体の製造は、たとえばUS4,287,370、Beilstein E IV 1、32 68、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A1巻、第323頁および第328頁に記載されているように、ブテンのヒドロホルミル化により行う。その後のアルドール縮合は、たとえばUS5,434,313およびRoempp、Chemie Lexikon、第9版、キーワード「アルドール付加」、第91頁に記載されている。アルドール縮合生成物の水素化は一般に水素化条件に従う。
【0034】
さらに、2−プロピルヘプタノールを、1−ペンタノール(相応するメチルブタノール−1の混合物として)をKOHの存在下に高めた温度で縮合することによって製造することができる。たとえばMarcel Guerbet、C.R.Acad.Sci.Paris 128、511、1002(1899)を参照のこと。さらに、Roempp、Chemie Lexikon、第9版、Georg Thieme Verlag Stuttgart、およびここで挙げられている引用文献ならびにTetrahedron、第23巻、第1723〜1733頁を参照されたい。
【0035】
一般式(I)中で、基C511は、n−C511、C25CH(CH3)CH2またはCH3CH(CH3)CH2CH2の意味を有していてもよい。このアルコキシレートは、
511が、n−C511の意味を有するアルコキシレートA1を70〜99質量%、有利には85〜96質量%と、
511が、C25CH(CH3)CH2および/またはCH3CH(CH3)CH2CH2の意味を有するアルコキシレートA2を1〜30質量%、有利には4〜15質量%
含有する混合物である。
【0036】
基C37は、有利にはn−C37の意味を有する。
【0037】
有利にはアルコキシル化は、強塩基によって触媒することができ、これは有利にはアルカリ金属アルコラート、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の形で、通常、アルコールR2−OHの量に対して0.1〜1質量%の量で添加される(G.Gee等、J.Chem.Soc.(1961)、第1345頁、B.Wojtech、Makromol.Chem.66(1966)、第180頁を参照のこと)。
【0038】
付加反応の酸性触媒反応も可能である。ブレンステッド酸以外に、ルイス酸、たとえばAlCl3またはBF3ジエーテラート、BF3、BF3×H3PO4、SbCl4×2H2O、ハイドロタルサイトも適切である(P.H.Plesch、The Chemistry of Cationic Polymerization、Pergamon Press、New York(1963)を参照のこと)。触媒として複金属シアン化物(DMC)化合物も適切である。
【0039】
DMC化合物として原則として、当業者に公知の全ての適切な化合物を使用することができる。
【0040】
触媒として適切なDMC化合物は、WO−A03/091192に記載されている。
【0041】
DMC化合物は、粉末、ペーストもしくは懸濁液として使用することができるか、または成形体に成形するか、成形体、発泡体もしくは類似のものの中に導入するか、または成形体、発泡体もしくは類似のものの上に施与することができる。
【0042】
アルコキシル化のために使用される触媒の濃度は、最終量の骨格に対して、一般に2000ppm未満(つまり生成物1kgあたりの触媒のmg)、有利には1000ppm未満、特に500ppm未満、特に有利には100ppm未満、たとえば50ppm未満または35ppm未満、特に有利には25ppm未満である。
【0043】
付加反応は90〜240℃、有利には120〜180℃の温度で、閉鎖された容器中で実施される。アルキレンオキシドまたは種々のアルキレンオキシドの混合物を、本発明によるアルカノール混合物からなる混合物およびアルカリに、選択された反応温度で優勢なアルキレンオキシド混合物の蒸気圧において添加する。所望であれば、アルキレンオキシドを約30〜60%までの不活性ガスにより希釈することができる。これにより、アルキレンオキシドの爆発に類似した重付加に対する付加的な安全性が与えられる。
【0044】
アルキレンオキシド混合物を使用する場合、異なったアルキレンオキシド構成要素が実質的にランダムに分布しているポリエーテル鎖が形成される。成分の異なった反応速度に基づいて、ポリエーテル鎖の長さに沿った構成要素の分布における変化が生じ、かつ任意でアルキレンオキシド混合物を連続的に供給することにより、プログラム制御された組成を達成することができる。異なったアルキレンオキシドを順次反応させる場合には、アルキレンオキシド構成要素がブロック状に分布しているポリエーテル鎖が得られる。
【0045】
ポリエーテル鎖の長さは、反応生成物中で、実質的に添加量から生じる化学量論的な値から生じる平均値でランダムに変動する。
【0046】
一般式(I)の有利なアルコキシレート混合物は、本発明によれば、一般式C511CH(C37)CH2OHのアルコールをアルコキシル化条件下にまずプロピレンオキシドと、および次いでエチレンオキシドと反応させるか、またはエチレンオキシドのみと反応させることにより得られる。適切なアルコキシル化条件は、前記のもの、およびNikolaus Schoenfeldt、Grenzflaechenaktive Aethylenoxid−Addukte(界面活性なエチレンオキシド付加物)、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart 1984に記載されている。アルコキシル化は通常、塩基性触媒、たとえばKOHの存在下に塊状で実施される。しかしアルコキシル化は溶剤の併用下で実施することもできる。これらの本発明によるアルコキシレート混合物の製造するために、アルコールをまず適切な量のプロピレンオキシドと、および次いで適切な量のエチレンオキシドと反応させるか、またはエチレンオキシドのみと反応させる。この場合、アルキレンオキシドの重合は、強制的に、その平均値が、ここでnおよびmにより記載される同族体のランダムな分布が生じるように行う。
【0047】
本発明により有利にまず実施されるプロポキシル化、およびその後のエトキシル化によって、アルコキシレート中の残留アルコールの含有率を低減することができる。というのも、プロピレンオキシドは、均一にアルコール成分に付加するからである。これとは異なり、エチレンオキシドは有利にエトキシレートと反応するので、エチレンオキシドを最初に使用すると、アルカノールとの反応につながり、幅広い同族体分布と残留アルコールの高い含有率が結果として生じる。生成物中に残留する残留アルコールの量が多くなることを回避することは、特ににおいの理由から有利である。本発明により使用されるアルコール混合物は、通常、固有臭を有しており、これは完全なアルコキシル化によりほぼ抑制することができる。慣用の方法により得られたアルコキシレートはしばしば固有臭を有しており、これは多くの適用に関して妨げとなる。
【0048】
意外なことに、この効果はすでに、少量のプロピレンオキシドを使用する際に、つまり本発明によれば、使用されるアルコールに対して1.5当量未満、特に1.2当量未満、とりわけ有利には1当量未満のプロピレンオキシドの使用の際に現れることが判明した。
【0049】
本発明によるアルコキシレート混合物は、短鎖の成分(A)に関して、残留アルコール含有率を低減するために、アルコールに直接結合している極めて鎖長の短いプロピレンオキシド(PO)ブロックを1個必要とするのみである。これは特に、生成物の生分解性がPOブロックの延長の際に低下するため、極めて有利である。従って、このようなアルコキシレート混合物によって、POブロックの長さを選択する際に、最大の自由度が可能となり、その際、この長さは、残留アルコール含有率が上昇することにより下方に、および生分解性が低下することにより上方に限定される。これは特に、POブロックに、短いエチレンオキシドブロックのみが続く場合に有利である。
【0050】
従って、本発明の範囲では、mが、0<m≦5、たとえば0<m≦2、有利には0<m≦1.5、とりわけ有利には0<m≦1.2、特に0<m≦1であることがさらに有利である。
【0051】
さらに本発明による界面活性剤混合物は、少なくとも2.5の平均分岐度および少なくとも15〜19個の炭素原子を有する、アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する長鎖の成分(B)を含有する。有利には長鎖の成分(B)のアルカノール混合物は、16〜18個、および特に17個の炭素原子を有する。
【0052】
長鎖の成分(B)は、単独のアルカノールのアルコキシル化生成物であってもよいが、しかし、これらは一般にこのようなアルコールを複数有する。
【0053】
本発明による長鎖の成分(B)のためのアルカノール混合物の平均アルコキシル化度は、アルカノール1個あたり、アルコキシ基0.1〜30の値である。有利にはこの値は、アルコキシ基1〜30の範囲、さらに有利には3〜30、さらに有利には3〜20、さらに有利には4〜15の範囲、および特に5〜10の範囲である。
【0054】
しかし、長鎖の成分(B)のためのアルコキシル化生成物は、アルコキシ基の総数に対して、それぞれのアルコキシル化生成物は少なくとも0.5であるエトキシ基の割合を有することが有利である。さらに有利にはこれは、少なくとも0.75であり、かつ特にアルコキシル化生成物が、アルコキシ基としてエトキシ基のみを含有している場合が有利である。
【0055】
長鎖の成分(B)のアルカノール混合物は、少なくとも2.5の平均分岐度を有している。有利にはこの平均分岐度は、2.5より大きい。さらに有利には平均分岐度は2.5〜4.0であるか、2.5より大きく4.0までであり、さらに有利には2.8〜3.7、さらに有利に2.9〜3.6、さらに有利には3.0〜3.5、さらに有利には3.05〜3.4、およびたとえば約3.1である。
【0056】
界面活性剤混合物の長鎖の成分(B)を形成するこのようなアルカノールのアルコキシル化生成物以外に、不飽和脂肪族アルコールのアルコキシル化生成物が含有されていることも同様に可能であり、この場合、これらは長鎖の成分(B)のためのアルカノールと同じ数の炭素原子数を有していてもよい。しかし、これらの化合物の群は、界面活性剤混合物の全質量に対して、30質量%未満、有利には15質量%未満の質量割合を有する場合が有利である。さらに有利であるのは、10質量%未満、特に5質量%未満の割合である。
【0057】
さらに界面活性剤混合物は、アルカノールが、記載の炭素原子数を有していない生成物を形成するアルコキシル化生成物を含有していてよい。これは特に、1〜12個の炭素原子を有するアルカノールならびに20より多くの炭素原子を有するアルカノールである。しかし、これらの化合物の群が、界面活性剤混合物の全質量に対して、最大で10質量%、有利には最大で5質量%の質量割合を有している場合が有利である。
【0058】
さらに、少なくとも2.5の分岐度を有し、アルコキシル化されていないか、または高いアルコキシル化度を有するアルカノールのアルコキシル化生成物が現れてもよい。この場合、特に31以上のアルコキシ基のアルコキシル化度が挙げられる。これらの化合物の群が、界面活性剤混合物の全質量に対して、30質量%未満、有利には15質量%未満を有する場合が有利である。さらに有利にはこの割合は、10質量%未満、特に5質量%未満である。
【0059】
有利には、界面活性剤混合物中の短鎖の成分(A)のモル割合対界面活性剤中の長鎖の成分(B)のモル割合の比は、99:1〜1:99の値の範囲である。さらに有利にはこの範囲は95:5〜25:75、さらに有利には90:10〜50:50、さらに有利には80:20〜50:50、およびとりわけ70:30〜50:50の範囲である。有利にはこの割合は、1より大:1である。
【0060】
界面活性剤混合物の全割合に対する成分(A)および(B)の付加される割合は、界面活性剤混合物の全質量に対して、そのつど有利には少なくとも50質量%、さらに有利には少なくとも60質量%、さらに有利には少なくとも75質量%、さらに有利には90質量%である。
【0061】
成分(A)および(B)以外に、本発明による界面活性剤混合物もしくは本発明による調製物は、成分(A)および(B)とは異なる別の界面活性剤、または他の化合物を含有していてもよい。この場合、たとえば混合物もしくは調製物を製造する際に場合により形成されるか、または添加されるポリアルキレングリコールが挙げられる。ポリアルキレングリコールの例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)、ならびにこれらの組合せである。特に有利であるのは、ポリエチレングリコールである。これらは12000g/モルまでの数平均分子量を有していてよい。ポリアルキレングリコールはたとえば200〜12000までの、200〜3000までの、300〜2000までの、400〜2000までの、300〜1000までの、400〜1000までの、400〜800までの、600〜800までの、または約700g/モルの数平均分子量を有していてよい。約700g/モルの数平均分子量を有するポリエチレングリコールの化学構造の例は、以下のものである:
HOCH2(CH2OCH2xCH2OH
[式中、xは、9〜22の自然数である]
混合物もしくは調製物の全質量に対して、ポリアルキレングリコールの割合は、有利には6〜10、さらに有利には8〜10質量%である。
【0062】
本発明の界面活性剤混合物は、成分(A)および(B)を含有しており、これらはそれぞれアルコールのアルコキシル化生成物を少なくとも1種含有している。本発明による界面活性剤混合物は、反応していないアルコールの基も含有していてよい。しかし、これらの割合が、界面活性剤混合物の全質量に対して、15質量%未満、特に有利には10質量%未満である場合が有利である。
【0063】
アルコキシル化生成物は、そのままで使用することができるか、またはこれらのリン酸エステル、硫酸エステル、またはエーテルカルボキシレート(カーボネート)を使用する。これらは中性であっても、または塩として存在していてもよい。適切な対イオンは、アルカリ金属カチオンおよびアルカリ土類金属カチオンであるか、またはアンモニウムイオン、ならびにアルキルアンモニウムイオンおよびアルカノールアンモニウムイオンである。
【0064】
特に有利には、長鎖の成分(B)は、平均分岐度が2.8〜3.7である、式R1−OHの分枝鎖状C17−アルカノールのアルコキシル化生成物を含有している。有利にはこの分岐度は、2.9〜3.6であり、さらに有利には3.01〜3.5であり、さらに有利には3.05〜3.4であり、かつさらに有利には3.1である。
【0065】
使用されるアルコールR1−OHの準備
アルコールR1−OHは、基本的にそのつど記載の分岐度を有する限り、それぞれ任意の方法で合成することができる。
【0066】
アルコールR1−OHは、たとえば分枝鎖状のC16−オレフィンから、ヒドロホルミル化、次いで得られたアルデヒドからアルコールへの水素化によって得られる。ヒドロホルミル化ならびにその後の水素化の実施は、原則として当業者に公知である。このために使用されるC16−オレフィンは、ブテンの四量化により製造することができる。
【0067】
有利にはC17−アルコール混合物を、
a)2〜6個の炭素原子を有する少なくとも1のオレフィンを含有する炭化水素原料を準備する工程、
b)前記炭化水素原料を、遷移金属含有触媒によりオリゴマー化する工程、
c)工程b)で得られたオリゴマー化生成物を、蒸留によって後処理し、C16−オレフィンが富化されたオレフィン流が得られる工程、
d)工程c)で得られた、C16−オレフィンが富化されたオレフィン流を、コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下に一酸化炭素および水素と反応させることによりヒドロホルミル化し、かつ引き続き水素化する工程
によって製造することができる。
【0068】
工程a)炭化水素混合物の準備
工程a)のために適切なオレフィン原料は原則として、2〜6個の炭素原子と、少なくとも1のエチレン性不飽和二重結合を有する全ての化合物である。有利には工程a)において、工業的に利用可能なオレフィン含有の炭化水素混合物を使用する。
【0069】
大規模工業的に利用可能な有利なオレフィン混合物は、石油の加工の際の炭化水素分解により、たとえば触媒による分解、たとえばFluid Catalytic Cracking(FCC)、熱分解または水素分解と、その後の脱水素により得られる。有利な工業用オレフィン混合物は、C4カットである。C4カットは、たとえばFCCにより、またはガス油の蒸気分解により、もしくはナフサの蒸気分解により得られる。C4カットの組成に応じて、全C4カット(粗製C4カット)は、1,3−ブタジエンの分離後に得られる、いわゆるラフィネートIならびにイソブテン分離後に得られるラフィネートIIとに区別される。もう1つの適切な工業用オレフィンは、ナフサの分解の際に得られるC5カットである。工程a)における使用にとって適切な、4〜6個の炭素原子を有するオレフィン含有炭化水素混合物はさらに、適切な大規模工業的に利用可能なパラフィン混合物の接触脱水素化により得られる。たとえばC4オレフィン混合物の製造は、液化ガス(liquified petroleum gas、LPG)および液化可能な天然ガス(liquified natural gas、LNG)から行われる。後者はLPGフラクション以外にさらに比較的大量の高分子炭化水素(軽質ナフサ)を含有しており、そのためC5オレフィンおよびC6オレフィンの混合物を製造するためにも適している。4〜6個の炭素原子を有するモノオレフィンを含有するオレフィン含有炭化水素混合物の製造は、LPG流またはLNG流から、慣用の、当業者に公知の方法によって行われ、このような方法は脱水素以外に通常、さらに1もしくは複数の後処理工程を含んでいる。これにはたとえば前記のオレフィン原料中に含有されている飽和炭化水素の少なくとも一部の分離が挙げられる。これらはたとえば改めて分解および/または脱水素によるオレフィン原料の製造のために使用することができる。しかし、工程a)で使用されるオレフィンは、オリゴマー化条件に対して不活性な飽和炭化水素の割合を含有していてもよい。この飽和成分の割合は、炭化水素原料中に含有されているオレフィンおよび飽和炭化水素の全量に対して、一般に最大で60質量%、有利には最大で40質量%、特に有利には最大で20質量%である。
【0070】
有利には工程a)で、それぞれ全オレフィン含有率に対して、C4オレフィンを20〜100質量%、C5オレフィンを0〜80質量%、C6オレフィンを0〜60質量%、および前記のオレフィンとは異なるオレフィンを0〜10質量%含有する炭化水素混合物を準備する。
【0071】
有利には工程a)で、全オレフィン含有率に対して、少なくとも80質量%、特に有利には少なくとも90質量%、およびとりわけ少なくとも95質量%の線状モノオレフィンを含有する炭化水素混合物を準備する。この場合、線状モノオレフィンは、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセンおよびこれらの混合物から選択される。イソアルカン混合物の所望の分岐度を調整するために、工程a)で使用される炭化水素混合物が、全オレフィン含有率に対して分枝鎖状のオレフィンを、20質量%まで、有利には5質量%まで、特に3質量%まで含有している場合が有利であり得る。
【0072】
特に有利には、工程a)で、C4炭化水素混合物を準備する。
【0073】
工程a)で準備されるC4炭化水素混合物中の、1−ブテン、2−ブテンおよびイソブテンに対するブテン含有率は、全オレフィン含有率に対して、有利には10〜100質量%、特に有利には50〜99質量%、およびとりわけ70〜95質量%である。有利にはこの1−ブテン対2−ブテンの比は、20:1〜1:2の範囲であり、特に約10:1〜1:1である。有利には工程a)で使用されるC4炭化水素混合物は、5質量%未満、特に3質量%未満のイソブテンを含有する。
【0074】
工程a)におけるオレフィン含有炭化水素の準備は、分枝鎖状のオレフィンの分離を含んでいてよい。適切であるのは、線状および分枝鎖状のオレフィンの異なった物性、もしくは異なった反応性に基づいて、選択的な反応を可能にする、慣用の、従来技術から公知の分離法である。たとえばイソブテンは、C4オレフィン混合物、たとえばラフィネートIから、以下の方法により分離することができる:分子ふるい分離、精留、t−ブタノールへの可逆的な水和、第三級エーテルを用いた酸性触媒によるアルコール付加、たとえばメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)へのメタノール付加、不可逆的な触媒反応による、ジイソブテンおよびトリイソブテンへのオリゴマー化、またはポリイソブテンへの不可逆的な重合。このような方法は、K.Weissermel、H.J.Arpe、Industrielle organische Chemie、第4版、第76〜81頁、VCH−Verlagsgesellschaft Weinheim、1994年に記載されており、これをここでは全範囲で引用する。
【0075】
有利には工程a)でラフィネートIIを準備する。
【0076】
方法において使用するために適切なラフィネートIIは、たとえば以下の組成を有している:イソブタン0.5〜5質量%、n−ブタン5〜20質量%、トランス−2−ブテン20〜40質量%、シス−2−ブテン10〜20質量%、1−ブテン25〜55質量%、イソブテン0.5〜5質量%、ならびにそれぞれ最大で1質量%の範囲での痕跡ガス、たとえば1,3−ブタジエン、プロペン、プロパン、シクロプロパン、プロパジエン、メチルシクロプロパン、ビニルアセチレン、ペンテン、ペンタン。
【0077】
特に適切なラフィネートIIは、以下の典型的な組成を有している:i−ブタン:3質量%、n−ブタン:15質量%、i−ブテン:2質量%、ブテン−1:30質量%、ブテン−2−トランス:32質量%、ブテン−2−シス:18質量%。
【0078】
オレフィン含有率の高い炭化水素混合物中にジオレフィンまたはアルキンが存在している場合、これらはオリゴマー化の前に、有利には100ppm未満になるまで除去することができる。これらは有利には選択的水素化、たとえばEP81041およびDE1568542の記載に従って除去され、特に有利には選択的水素化によって、50ppm未満の残留含有率になるまで除去される。
【0079】
さらに、オレフィン含有率の高い炭化水素混合物から、有利には酸素含有化合物、たとえばアルコール、アルデヒド、ケトンまたはエーテルをほぼ除去する。このためにオレフィン含有率の高い炭化水素混合物を有利には吸着剤、たとえば分子ふるいに、特に>4Å〜5Åの孔径を有する分子ふるいに通すことができる。オレフィン含有率の高い炭化水素混合物中の酸素含有、硫黄含有、窒素含有およびハロゲン含有の化合物の濃度は、有利には1質量m未満、特に0.5質量ppm未満である。
【0080】
工程b)オリゴマー化
17−アルコールに関する記載の製造方法の範囲で、「オリゴマー」という用語は、使用されるオレフィンの分解反応からの二量体、三量体、四量体、五量体およびそれ以上の生成物を含む。オリゴマーはそれ自体、オレフィン系不飽和である。オリゴマー化のために使用する炭化水素原料およびオリゴマー化触媒を、以下に記載するように、適切に選択することにより、本発明により使用されるC17−アルコール混合物へと有利にさらに加工することができるC16−オレフィンを含有するオリゴマー化生成物が得られる。
【0081】
工程b)のオリゴマー化のために、1もしくは複数の、同一もしくは異なった反応器を有する反応装置を使用することができる。最も簡単な場合では、工程b)におけるオリゴマー化のために、単独の反応器を使用する。しかし、それぞれが同じか、または異なった混合特性を有する複数の反応器を使用することもできる。個々の反応器は場合により、内部構造物によって1回もしくは複数回、分割されていてもよい。2以上の反応器が反応装置を構成している場合、これらは相互に任意の方法で接続されていてよく、たとえば並列に、もしくは直列に接続されている。適切な実施態様ではたとえば、直列に接続された2つの反応器からなる反応装置を使用する。
【0082】
オリゴマー化のために適切な耐圧反応装置は当業者に公知である。これには一般に、気−固、および気−液反応のための慣用の反応器、たとえば管型反応器、撹拌型反応器、気体循環型反応器、泡鐘塔などが挙げられ、これらは場合により内部構造物により分割されていてもよい。有利には多環式反応器またはシャフト型反応器を使用する。オリゴマー化のために、不均一系触媒を使用する場合、これは単独の、もしくは複数の触媒固定床が配置されていてもよい。この場合、異なった反応帯域で異なった触媒を使用することが可能である。しかし有利には、全ての反応帯域で同じ触媒を使用することが有利である。
【0083】
オリゴマー化反応の際の温度は一般に約20〜280℃、有利には25〜200℃、特に30〜140℃の範囲である。オリゴマー化の際の圧力は一般に、約1〜300バール、有利には5〜100バール、および特に20〜70バールの範囲である。反応装置が2以上の反応器を包含する場合は、これらの反応器は同じか、または異なった温度で、および同じか、または異なった圧力を有していてよい。従ってたとえばできる限り完全な反応率を達成するために、たとえば反応カスケードの第二の反応器は、第一の反応器におけるよりも高い温度および/または高い圧力に設定することができる。
【0084】
特別な実施態様では、オリゴマー化のために使用される温度および圧力の値は、オレフィンを含有する原料が液状であるか、または超臨界状態であるように選択される。
【0085】
工程b)における反応は有利には断熱して実施する。この用語は、以下では技術的な意味で理解すべきであり、物理化学的な意味ではない。たとえばオリゴマー化反応は通常発熱性であるので、反応混合物は反応装置、たとえば触媒床を貫流する際に、その温度が上昇する。断熱反応の実施とは、発熱反応において放出される熱量を反応器中の反応混合物によって吸収し、かつ冷却装置による冷却を適用しない方法であると理解される。従って、反応熱は、自然に生じる伝熱および放熱により反応器から周囲へと放出される残留割合以外は、反応混合物によって反応器から連行される。
【0086】
工程b)におけるオリゴマー化のために、遷移金属含有触媒を使用する。有利にはこれは不均一系触媒である。工程a)における反応のために有利な、わずかなオリゴマー分岐をもたらす公知の触媒は、当業者に周知である。これには、Catalysis Today、6、329(1990)、特に第336〜338頁、ならびにDE−A4339713(=WO−A95/14647)およびDE−A19957173に記載されている触媒が挙げられ、これらをここで明言をもって引用する。オリゴマー化に使用される供給流が分割され、かつ少なくとも2つの異なった温度で運転される反応帯域に供給される、適切なオリゴマー化法は、EP−A1457475に記載されており、これを同様に引用する。
【0087】
有利にはニッケルを含有するオリゴマー化触媒を使用する。その際、酸化ニッケルを含有する不均一系触媒が有利である。使用される不均一系ニッケルを含有する触媒は、異なった構造を有していてよい。適切であるのは、原則として、非担持触媒ならびに担持触媒である。後者が有利に使用される。担持材料はたとえばケイ酸、アルミナ、層構造を有するアルミノケイ酸塩、およびゼオライト、たとえばモルデナイト、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトYおよびZSM−5、酸処理されている酸化ジルコニウム、または硫酸処理された二酸化チタンであってよい。特にニッケル塩およびケイ酸塩、たとえばケイ酸ナトリウムと硝酸ニッケルの水溶液、および場合によりアルミニウム塩、たとえば硝酸アルミニウムとを混合し、かつか焼することにより得られる沈降触媒が適切である。さらに、Ni2+イオンをイオン交換により天然もしくは合成層状シリカ、たとえばモンモリロナイトに堆積させることにより得られる触媒を使用することができる。適切な触媒は、ケイ酸、アルミナまたはケイ酸アルミニウムを、可溶性のニッケル塩、たとえば硝酸ニッケル、硫酸ニッケルまたは塩化ニッケルの水溶液により含浸し、かつ引き続きか焼することにより得ることもできる。
【0088】
酸化ニッケルを含有する触媒が有利である。特に有利であるのは、実質的にNiO、SiO2、TiO2および/またはZrO2ならびに場合によりAl23からなる触媒である。最も有利であるのは、実質的な活性成分として、酸化ニッケル10〜70質量%、二酸化チタンおよび/または二酸化ジルコニウム5〜30質量%、酸化アルミニウム0〜20質量%、および残分として二酸化ケイ素を含有する触媒である。このような触媒は、触媒組成物をpH5〜9で、硝酸ニッケルを含有する水溶液を、二酸化チタンおよび/または二酸化ジルコニウムを含有するアルカリ水ガラス溶液に添加し、濾過し、乾燥させ、かつ350〜650℃で熱処理することにより得られる。これらの触媒を製造するために具体的にはDE4339713を参照されたい。この刊行物の開示およびここで引用されている従来技術を全ての範囲でここに引用する。
【0089】
もう1つの実施態様では、工程b)における触媒として、DE−A19957173に記載のニッケル触媒を使用する。これは、実質的にニッケル化合物および硫黄化合物によって処理された酸化アルミニウムである。有利には完成した触媒中で、0.25:1〜0.38:1の範囲の硫黄対ニッケルのモル比が存在する。
【0090】
触媒は有利には砕片状で、たとえば直径2〜6mmおよび高さ3〜5mmを有するタブレット、たとえば5〜7mmの外径、2〜5mmの高さおよび2〜3mmの穴径を有するリング、または直径がたとえば1.5〜5mmで種々の長さのストランドの形で存在する。このような形状は、それ自体公知の方法でタブレット化、または押出成形により、多くの場合、タブレット化助剤、たとえばグラファイトまたはステアリン酸の使用下で得られる。
【0091】
有利には工程b)において、C4炭化水素混合物をオリゴマー化のために使用し、かつオリゴマー化生成物の全質量に対して、1〜25質量%、有利には2〜20質量%、特に3〜15質量%のC16−オレフィンを含有するオリゴマー化生成物が得られる。
【0092】
工程c)蒸留
オリゴマー化反応の反応搬出物から、1もしくは複数の分離工程で、C16−オレフィンフラクションを単離する。C16−オレフィンが富化されたオレフィン流が得られる、工程b)で得られたオリゴマー化生成物の蒸留による単離は、この場合、連続的に行っても、回分式で(不連続的に)行ってもよい。
【0093】
適切な蒸留装置は、当業者に公知の慣用の装置である。これにはたとえば蒸留塔、たとえば所望であれば内部構造物、バルブ、側方排出部等を備えていてもよい棚段塔、蒸発器、たとえば薄膜蒸発器、流下薄膜式蒸発器、ワイパーブレード式蒸発器、サムベイ蒸発器等、およびこれらの組合せが挙げられる。有利にはC16−オレフィンフラクションの単離は、精留により行う。
【0094】
蒸留自体は、1もしくは複数の、相互に連結された蒸留塔で行うことができる。
【0095】
使用される1もしくは複数の蒸留塔は、自体公知の構成で実現することができる(たとえばSattler、Thermische Trennverfahren、第2版、1995、Weinheim、第135頁以降、Perry’s Chemical Engineering Handbook、第7版、1997、New York、セクション13を参照のこと)。使用される蒸留塔は、分離効果のある内部構造物、たとえば棚段、たとえば多孔板、泡鐘トレー、またはバルブトレー、規則充填体、たとえば板状もしくは織布状の充填体、または不規則な充填体の堆積を有していてよい。下降管を有する棚段塔を使用する場合には、シャフト滞留時間は有利には少なくとも5秒、特に有利には少なくとも7秒である。使用される塔中で必要とされる段数および還流比についての具体的な設計および運転データは、当業者が公知の方法により確認することができる。
【0096】
有利な実施態様では、蒸留のために2つの塔の組合せを使用する。この場合、16未満の炭素原子を有するオレフィンオリゴマー(つまり、C4炭化水素混合物を使用する場合には、C8−およびC12−オリゴマー)が第一の塔の塔頂生成物として取り出される。C16−オレフィンが富化されたオレフィン流は、第二の塔の塔頂生成物として生じる。16より多くの炭素原子を有するオレフィンオリゴマー(つまりC4炭化水素混合物を使用する場合には、C20−、C24−およびこれら以上のオリゴマー)が、第二の塔の塔底生成物として生じる。
【0097】
蒸発器および凝縮器として、同様に自体公知のタイプの装置が適切である。蒸発器として、このために慣用の加熱可能な容器、または強制循環式の蒸発器、たとえば流下薄膜式蒸発器を使用することができる。蒸留のために2つの蒸留塔を使用する場合、これらは同じか、または異なった蒸発器および凝縮器を備えていてよい。
【0098】
有利には蒸留の際に現れる塔底温度は最大で300℃、特に有利には最大で250℃である。この最大温度を維持するために、蒸留は所望の場合には適切な真空下で実施することができる。
【0099】
有利には工程c)で、16個の炭素原子を有するオレフィンの含有率が、C16−オレフィンが富化されたオレフィン流の全質量に対して、少なくとも95質量%、特に有利には少なくとも98質量%、とりわけ少なくとも99質量%であるC16−オレフィンが富化されたオレフィン流を単離する。特に工程c)において、実質的に(つまり99.5質量%以上が)16個の炭素原子を有するオレフィンからなる、C16−オレフィンが富化されたオレフィン流を単離する。
【0100】
工程d)ヒドロホルミル化
アルカノール混合物を製造するために、C16−オレフィンが富化されたオレフィン流をヒドロホルミル化し、かつ引き続きC17−アルコールへと水素化する。その際、アルコール混合物の製造は、一工程で、または2つの別個の反応工程で行うことができる。ヒドロホルミル化法および適切な触媒の概要は、Beller等、Journal of Molecular Catalysis A 104(1995)、第17〜85頁に記載されている。
【0101】
記載のアルコール混合物の合成に関して、ヒドロホルミル化をコバルト−ヒドロホルミル化触媒の存在下で行うことは重要ではない。この場合、ヒドロホルミル化触媒の量は、ヒドロホルミル化すべきオレフィンの量に対して、コバルト金属として計算して、一般に0.001〜0.5質量%である。
【0102】
反応温度は一般に、約100〜250℃、有利には150〜210℃の範囲である。反応は、約10〜650バール、有利には25〜350バールに高めた圧力で実施することができる。
【0103】
適切な実施では、ヒドロホルミル化を水の存在下に行う。しかしこれは水の不存在下で実施することもできる。
【0104】
一酸化炭素および水素は通常、混合物の形で、つまりいわゆる合成ガスとして使用する。使用される合成ガスの組成は広い範囲で変化することができる。一酸化炭素と水素のモル比は通常、約2.5:1〜1:2.5である。有利な比率は約1:1である。
【0105】
ヒドロホルミル化活性なコバルト触媒は、HCo(CO)4である。触媒は、ヒドロホルミル化反応器の外で、たとえばコバルト(II)塩から合成ガスの存在下にあらかじめ形成し、かつC16−オレフィンおよび合成ガスと一緒にヒドロホルミル化反応器に導入することができる。あるいは触媒前駆体からの触媒活性種の形成は、ヒドロホルミル化条件下で、つまり反応帯域で初めて行うことができる。適切な触媒前駆体は、コバルト(II)塩、たとえばカルボン酸コバルト(II)、たとえばギ酸コバルト(II)または酢酸コバルト(II)、ならびにアセチルアセトン酸コバルト(II)またはCo2(CO)8である。
【0106】
反応混合物中に均一に溶解したコバルト触媒は、適切な方法で、ヒドロホルミル化の反応搬出物をまず酸性の水溶液の存在下に酸素または空気により処理することにより、ヒドロホルミル化生成物から分離することができる。その際、コバルト触媒はコバルト(II)塩の形成下に酸化によって分解される。コバルト(II)塩は、水溶性であり、かつ水による抽出によって反応搬出物から分離することができる。これらは通常、改めてヒドロホルミル化触媒の製造のために利用し、かつヒドロホルミル化法に返送することができる。
【0107】
ヒドロホルミル化の連続的な実施のために、たとえば(i)コバルト(II)塩の水溶液を水素および一酸化炭素と緊密に接触させてヒドロホルミル化活性なコバルト触媒が形成される、(ii)コバルト触媒を含有する水相を反応帯域でオレフィンならびに水素および一酸化炭素と緊密に接触させ、その際、コバルト触媒を有機相に抽出し、かつオレフィンをヒドロホルミル化する、および(iii)反応帯域からの搬出物を、酸素により処理し、その際、コバルト触媒をコバルト(II)塩の形成下に分解し、コバルト(II)塩を水相に逆抽出し、かつ該相を分離する、ように行うことができる。次いでコバルト(II)塩の水溶液を方法に返送する。適切なコバルト(II)塩として、特に酢酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)およびエチルヘキサノン酸コバルト(II)が考えられる。有利にはコバルト触媒の形成、コバルト触媒の有機相への抽出、およびオレフィンのヒドロホルミル化は、コバルト(II)塩の水溶液、オレフィンおよび場合により有機溶剤ならびに水素および一酸化炭素を反応帯域でヒドロホルミル化条件下に、たとえば混合ノズルによって緊密に接触させることにより1工程で行うことができる。
【0108】
ヒドロホルミル化の際に得られる粗製アルデヒドもしくはアルデヒド/アルコール混合物は、水素化前に所望の場合には慣用の、当業者に公知の方法で単離し、かつ場合により精製することができる。通常、ヒドロホルミル化触媒の除去後に得られる生成物混合物はそれ以上後処理することなく、水素化で使用することができる。
【0109】
水素化
水素化のために、ヒドロホルミル化で得られた反応混合物を水素化触媒の存在下に水素と反応させる。
【0110】
適切な水素化触媒は、一般に、遷移金属、たとえばCr、Mo、W、Fe、Rh、Co、Ni、Pd、Pt、Ru等であるか、またはこれらの混合物であり、これらを活性および安定性の向上のために担体、たとえば活性炭、酸化アルミニウム、ケイソウ土等上に施与することができる。触媒活性を向上するために、Fe、Co、および有利にはNiを、ラネー触媒の形で、極めて大きな表面積を有する金属スポンジとして使用することができる。有利には本発明による界面活性剤アルコールの製造のために、Co/Mo触媒を使用する。オキソアルデヒドの水素化は、触媒の活性に依存して、有利には高温および高圧で行われる。有利には水素化温度は約80〜250℃である。有利には圧力は約50〜350バールである。
【0111】
水素化後に得られた反応混合物から、当業者に公知の慣用の精製法により、たとえば精留により後処理することができ、その際、冒頭に記載した分岐度を有するC17−アルコール混合物が純粋なものとして得られる。
【0112】
記載の方法により得られたC17−アルコール混合物は、有利には17個の炭素原子を有するアルコールを、C17−アルコール混合物の全質量に対して、少なくとも95質量%、特に有利には98質量%、とりわけ少なくとも99質量%含有している。特にこれは、実質的に(つまり99.5質量%以上、特に99.9質量%以上が)17個の炭素原子を有するアルコールからなるC17−アルコール混合物である。
【0113】
この場合、特に一般式(II)
1O−(CH2CH(R2)O)m(CH2CH2O)n−H (II)
のアルキルアルコキシレート(BA)が有利である。
【0114】
アルキルアルコキシレート(BA)は、一般式−CH2CH(R2)O−のアルコキシ基をm個、および−CH2CH2O−のエトキシ基をn個有している。アルコキシ基の式は、この場合、明らかに式−CH(R2)CH2O−の単位を包含している、つまりアルコキシ基の逆の単位が界面活性剤に包含されており、その際、界面活性剤分子は当然のことながら両方の配置を表してもよい。R2は、その基礎となっているアルコキシ基が、C3〜C10−アルコキシ基であり、その際、界面活性剤分子は複数の異なった基R2を有していてもよいように選択される。有利にはR2は、メチル基、エチル基、および/またはn−プロピル基であり、かつ特に有利にはメチル基である、つまりアルコキシ基は、プロポキシ基である。
【0115】
nおよびmの数は、この場合、公知の方法で、界面活性剤中に存在するアルコキシ単位もしくはエトキシ単位の平均値に関するものであり、この場合、この平均値は当然のことながら、自然数である必要はなく、任意の有理数であってもよい。
【0116】
nおよびmの数は、この場合、式(I)に関して記載した意味を有している。しかし混合物では、値nおよびmは、短鎖の成分および長鎖の成分と同じである必要はない。
【0117】
界面活性剤(II)中でのアルコキシ基およびエトキシ基の配置は、両方の種類の基が存在している限りにおいて、ランダムに、または交互に存在していてよく、あるいはブロック構造が存在していてもよい。有利にはブロック構造は、アルコキシ基およびエトキシ基が、実際にR1O−アルコキシブロック−エトキシブロック−Hの順序で配置されているものである。
【0118】
アルキルアルコキシレート(BA)は、原則として公知の方法でアルコール(R1−OH)のアルコキシル化によって製造することができる。アルコキシル化の実施は、原則として当業者に公知である。同様に、反応条件、特に触媒の選択によってアルコキシレートの分子量分布が影響を受けることも当業者には公知である。
【0119】
アルキルアルコキシレート(BA)は、たとえば塩基触媒によるアルコキシル化によって製造することができる。このために、アルコールR1−OHに、圧力反応器中で、アルカリ金属水酸化物、有利には水酸化カリウムまたはアルカリ金属アルコラート、たとえばナトリウムメチラートを添加することができる。減圧(たとえば<100ミリバール)または温度の上昇(30〜150℃)によって、さらに混合物中に存在する水を除去することができる。その後、アルコールは、相応するアルコラートとして存在する。引き続き不活性ガス(たとえば窒素)を用いて不活性化し、かつ1もしくは複数のアルキレンオキシドを60〜180℃の温度で、最大10バールまでの圧力で段階的に添加する。反応の終了時に触媒は酸(たとえば酢酸またはリン酸)の添加により中和することができ、かつ必要であれば濾別することができる。KOH触媒を用いて製造されたアルキルアルコキシレートは、通常、比較的幅広い分子量分布を有する。
【0120】
本発明の有利な実施態様では、アルキルアルコキシレート(BA)を、当業者に公知の技術によって合成するが、これは塩基触媒を用いた合成の場合よりも狭い分子量分布につながる。このために、触媒としてたとえば複水酸化物の粘土、たとえばDE4325237A1に記載されているものを使用する。アルコキシル化は、特に有利には複金属シアン化物触媒(DMC触媒)の使用下に行うことができる。適切なDMC触媒はたとえばDE10243361A1に、特にその段落[0029]〜[0041]に、ならびにここで引用されている文献に開示されている。たとえばZn−Coタイプの触媒を使用することができる。反応を実施するために、アルコールR1−OHに触媒を添加し、該混合物を上記のとおり脱水し、かつアルキレンオキシドを用いて、記載のとおりに反応させることができる。通常、触媒は混合物に対して250ppm未満で使用され、触媒はこのような少量であることに基づいて生成物中に残留しうる。DMC触媒により製造される、本発明による界面活性剤は、水−石油系中での界面張力を、KOH触媒を用いて製造された生成物よりも良好に低減することができることによって優れている。
【0121】
アルキルアルコキシレート(BA)は、さらに、酸触媒によるアルコキシル化によって製造することもできる。酸はブレンステッド酸またはルイス酸であってもよい。反応を実施するために、アルコールR1−OHに触媒を添加し、混合物を上記のとおりに脱水し、かつアルキレンオキシドと記載のとおりに反応させることができる。反応の終了時に、触媒は塩基、たとえばKOHもしくはNaOHの添加によって中和し、かつ必要であれば濾別することができる。触媒の選択により親水基Xの構造に影響を与えることができる。塩基性触媒による反応の場合、アルコキシ単位は主として式(Ia)で反映される配向でアルキルアルコキシレート中に組み込まれる一方、酸性触媒による反応では、これらの単位は大部分、(Ib)の配向で組み込まれる。
【0122】
【化1】

【0123】
本発明のもう1つの対象は、本発明による界面活性剤混合物を含有する調製物である。
【0124】
該調製物はたとえば水を0.01〜90質量%含有していてよい。さらに、または代替的に、該調製物は他の界面活性剤またはヒドロトロープ剤もしくはこれらの混合物を含有していてよい。その例としてここでは、式P(O−R−Aonm−Hのアルコールアルコキシレートが挙げられるが、この式中で、Pは、飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素主鎖であり、ここにm個のアルコール官能基が結合しており、該官能基はふたたび平均してそのつどn個のアルキレンオキシド単位によってエーテル化されている。
【0125】
nは、この場合、1〜4の値を有し、かつmは、1〜10の値を有する。Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Aoは、C2〜C5−アルキレンオキシドである。この例は、メチルエチレングリコール、ブチルエチレングリコール、ペンチルエチレングリコール、ヘキシルエチレングリコール、ブチルプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシレート、グリセリンエトキシレート、ペンタエリトリットエトキシレート、ビスフェノールAのエトキシレートおよびプロポキシレートである。
【0126】
本発明のもう1つの対象は、
(a)アルカノール混合物をアルコキシル化する工程、この場合、該アルカノール混合物は、8〜12個の炭素原子を有するものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は、0.1〜30の値であり、アルコキシ基はC2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノール混合物は、少なくとも1の平均分岐度を有する、
(b)アルカノール混合物をアルコキシル化する工程、この場合、該アルカノール混合物は、15〜19個の炭素原子を有するものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は、0.1〜30の値であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノール混合物は、少なくとも2.5の平均分岐度を有する、および
(c)工程(a)および(b)で得られたアルコキシル化生成物を混合する工程
を有する本発明による界面活性剤混合物の製造方法である。
【0127】
アルコキシル化度が異なっていてよいことは、当業者に自明である。
【0128】
上記の界面活性剤混合物の製造方法以外に、短鎖の成分(A)および長鎖の成分(B)のための相応するアルカノールをアルコキシル化の前に混合し、次いで該混合物をアルコキシル化に供することもできる。
【0129】
従って、本発明のもう1つの対象は、
(a)8〜12個の炭素原子および少なくとも1の平均分岐度を有する第一のアルカノールの混合物と、15〜19個の炭素原子および少なくとも2.5の平均分岐度を有する第二のアルカノールの混合物とを混合する工程、および
(b)第一の混合物と第二の混合物とからなる混合物をアルコキシル化する工程、この場合、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の数は、0.1〜30の平均値を有しており、かつアルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基である、本発明による界面活性剤混合物の製造方法である。
【0130】
さらに、本発明による界面活性剤混合物の製造方法は、以下の工程を有していてもよい:
(a)第一のアルカノール混合物のアルコキシル化。この場合、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の数は、0.1〜30の平均値であり、かつアルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基である。
(b)第二のアルカノール混合物の添加。
(c)(b)からの混合物のアルコキシル化。この場合、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の数は、0.1〜30の平均値であり、かつアルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基である。
【0131】
この場合、第一のアルカノール混合物は、8〜12個の炭素原子と、少なくとも1の平均分岐度を有しており、第二のアルカノール混合物は、15〜19個の炭素原子と、少なくとも2.5の平均分岐度を有しているか、または第一および第二の混合物が交換されている。
【0132】
従って、アルカノール混合物を添加する順序は、任意に選択することができる。
【0133】
本発明による界面活性剤混合物もしくは調製物は、たとえば硬質表面をクリーニングするための界面活性剤調製物として使用することができる。本発明による界面活性剤混合物を添加することができる適切な界面活性剤調製物は、たとえば、Formulating Detergents and Personal Care Products(Louis Ho Tan Tai、AOCS Press、2000年)に記載されている。
【0134】
これらはたとえば、その他の成分として、セッケン、アニオン性界面活性剤、たとえばLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホネート)またはパラフィンスルホネートまたはFAS(脂肪アルコールスルフェート)またはFAES(脂肪アルコールエーテルスルフェート)、酸、たとえばリン酸、アミドスルホン酸、クエン酸、乳酸、酢酸、その他の有機もしくは無機酸、溶剤、たとえばエチレングリコール、イソプロパノール、錯形成剤、たとえばEDTA(N,N,N′,N′−エチレンジアミン四酢酸)、NTA(N,N,N−ニトリロ三酢酸)、MGDA(2−メチル−グリシン−N,N−二酢酸)、ホスホネート、ポリマー、たとえばポリアクリレート、マレイン酸・アクリル酸コポリマー、アルカリ供与剤、たとえば水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、香油、酸化剤、たとえば過ホウ酸塩、過酸またはトリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸のNa塩もしくはK塩、酵素。Milton J.Rosen、Manilal DahanayakeのIndustrial Utilization of Surfactants、AOCS Press、2000年およびNikolaus SchoenfeldtのGrenzflaechenaktive Ethylenoxyaddukteも参照のこと。ここではその他の記載の適用に関する調製物も原則として記載されている。これは家庭用クリーナー、たとえばオールパーパス洗剤、手作業によるか、または自動食器洗い機による食器洗い用洗剤、金属の脱脂、工業的な適用、たとえば食料品産業のためのクリーニング剤、ボトル洗浄等であってよい。印刷産業における印刷ロールおよび印刷板の洗浄であってもよい。適切な、その他の含有成分は当業者に公知である。
【0135】
本発明による界面活性剤混合物もしくは本発明による調製物の使用は、以下のものである:
− 水分保持剤、特に印刷産業のためのもの、
− 化粧品、医薬品および農薬調製物。適切な農薬調製物はたとえばEP−A0050228に記載されている。農薬のために慣用のその他の含有成分が存在していてもよい、
− ラッカー、被覆剤、塗料、顔料調製物、ならびにラッカーおよびフィルム産業における接着剤、
− 皮革の脱脂剤、
− テキスタイル産業のための調製物、たとえばレベリング剤または糸のクリーニングのための調製物、
− 繊維加工、およびパルプおよびセルロース産業のための助剤、
− 金属加工、たとえば金属メッキおよび電気メッキ分野、
− 食料品産業、
− 水処理および飲料水の獲得、
− 発酵、
− 鉱物加工およびダストコントロール、
− 建築助剤、
− 乳化重合および分散液の製造、
− 冷却剤および潤滑剤。
【0136】
これらの調製物は通常、界面活性剤、骨格剤、香料および着色剤、錯形成剤、ポリマーのような含有成分、およびその他の含有成分を含有している。典型的な調製物はたとえばWO01/32820に記載されている。異なった適用のために適切な、その他の含有成分は、EP−A0620270、WO95/27034、EP−A0681865、EP−A0616026、EP−A0616028、DE−A4237178およびUS5,340,495およびSchoenfeldt(上記参照)に例示的に記載されている。
【0137】
一般に、本発明による組成物は、界面活性物質の作用が必要とされる全ての分野において使用することができる。
【0138】
従って本発明は、本発明による組成物、または本発明による方法により製造された組成物を含有する洗浄剤、クリーニング剤、湿潤剤、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、水分保持剤もしくはテキスタイル処理剤、または化粧品、医薬品もしくは農薬調製物に関する。この場合、これらのものは有利には、組成物を0.1〜80質量%含有している。
【0139】
本発明による洗浄剤、特にテキスタイル洗浄剤の慣用の成分には、たとえばビルダー、界面活性剤、漂白剤、酵素およびその他の含有成分、たとえば以下に記載するものが挙げられる。
【0140】
ビルダー
本発明による界面活性剤と組み合わせるために適切な無機ビルダー(A′)は、特に結晶質もしくは非晶質で、イオン交換特性を有するアルミノケイ酸塩、たとえば特にゼオライトである。種々のタイプのゼオライトが適切であるが、特にそのNa型もしくはNaが部分的に他のカチオン、たとえばLi、K、Ca、Mgもしくはアンモニウムにより置換されている型のゼオライトA、X、B、P、MAPおよびHSが適切である。適切なゼオライトはたとえばEP−A0038591、EP−A0021491、EP−A0087035、US−A4,604,224、GB−A2013259、EP−A0522726、EP−A0384070およびWO−A94/24251に記載されている。
【0141】
適切な結晶質ケイ酸塩(A′)は、たとえば二ケイ酸塩または層状ケイ酸塩、たとえばSKS−6(製造業者:Hoechst)である。ケイ酸塩はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩の形で使用することができ、ケイ酸Na、ケイ酸Liおよびケイ酸Mgとしてが有利である。
【0142】
非晶質ケイ酸塩、たとえばポリマー構造を有するメタケイ酸ナトリウム、またはBritesil(登録商標)H20(製造業者:Akzo)が、同様に使用可能である。
【0143】
炭酸塩ベースの適切な無機ビルダー物質は、炭酸塩および炭酸水素塩である。これらはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩の形で使用することができる。有利には炭酸Na、炭酸Liおよび炭酸Mgもしくは炭酸水素Na、炭酸水素Liおよび炭酸水素Mg、特に炭酸ナトリウムおよび/または炭酸水素ナトリウムを使用する。
【0144】
無機ビルダーとして慣用のリン酸塩は、ポリリン酸塩、たとえば三リン酸五ナトリウムである。
【0145】
前記の成分(A′)は、単独で、または相互に混合して使用することができる。特に興味深いのは、無機ビルダー成分として、アルミノケイ酸塩と炭酸塩とからなる混合物、特にゼオライト、とりわけゼオライトAと、アルカリ金属炭酸塩、特に炭酸ナトリウムとから、98:2〜20:80、特に85:15〜40:60の質量比でなっている混合物である。この混合物以外に、さらに、その他の成分(A′)が存在していてもよい。
【0146】
有利な実施態様では、本発明によるテキスタイル洗浄剤調製物は、0.1〜20質量%、特に1〜12質量%の有機補助ビルダー(B′)を、低分子の、オリゴマーの、または高分子のカルボン酸、特にポリカルボン酸、またはリン酸もしくはその塩、特にNa塩もしくはK塩の形で含有している。
【0147】
(B′)のために適切な低分子のカルボン酸またはリン酸は、たとえば以下のものである:
4〜C20−ジカルボン酸、C4〜C20−トリカルボン酸およびC4〜C20−テトラカルボン酸、たとえばコハク酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、およびC2〜C16−アルキル基もしくはC2〜C16−アルケニル基を有するアルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、
4〜C20−ヒドロキシカルボン酸、たとえばリンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルタル酸、クエン酸、ラクトビオン酸およびサッカロースのモノカルボン酸、ジカルボン酸およびトリカルボン酸、
アミノポリカルボン酸、たとえばニトリロ三酢酸、β−アラニン二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、セリン二酢酸、イソセリン二酢酸、メチルグリシン二酢酸およびアルキルエチレンジアミン三酢酸、
リン酸の塩、たとえばヒドロキシエタンジホスホン酸。
【0148】
(B′)のために適切なオリゴマーもしくは高分子のカルボン酸はたとえば以下のものである:
オリゴマレイン酸、たとえばEP−A451508およびEP−A396303に記載のもの、
不飽和C4〜C8−ジカルボン酸のコポリマーおよびターポリマー。この場合、コモノマーとしてモノエチレン性不飽和モノマーは、
群(i)からのものが95質量%までの量で、
群(ii)からのものが60質量%までの量で、
群(iii)からのものが20質量%までの量で
共重合されていてもよい。
【0149】
不飽和C4〜C8−ジカルボン酸として、この場合、たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびクエン酸が適切である。マレイン酸が有利である。
【0150】
群(i)は、モノエチレン性不飽和のC3〜C8−モノカルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびビニル酢酸を含む。有利には群(i)からは、アクリル酸およびメタクリル酸を使用する。
【0151】
群(ii)は、モノエチレン性不飽和のC2〜C22−オレフィン、C1〜C8−アルキル基を有するビニルアルキルエーテル、スチレン、C1〜C8−カルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリルアミドおよびビニルピロリドンを含む。有利には群(ii)からは、C2〜C6−オレフィン、C1〜C4−アルキル基を有するビニルアルキルエーテル、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルを使用する。
【0152】
群(iii)は、C1〜C8−アルコールの(メタ)アクリルエステル、(メタ)アクリロニトリル、C1〜C8−アミンの(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミドおよびビニルイミダゾールを含む。
【0153】
群(ii)のポリマーが、共重合されたビニルエステルを含有している場合、これらは部分的に、もしくは完全にビニルアルコール構造単位へと加水分解されて存在していてもよい。適切なコポリマーおよびターポリマーは、たとえばUS−A3887806ならびにDE−A4313909から公知である。
【0154】
ジカルボン酸のコポリマーとして、(B′)に関しては有利には以下のものが適切である:
質量比100:90〜95:5の、特に有利には質量比30:70〜90:10の、100000〜150000の分子量を有するマレイン酸とアクリル酸とのコポリマー、
マレイン酸、アクリル酸、およびC1〜C3−カルボン酸のビニルエステルから、10(マレイン酸):90(アクリル酸+ビニルエステル)〜95(マレイン酸):10(アクリル酸+ビニルエステル)の質量比でなるターポリマー、この場合、アクリル酸対ビニルエステルの質量比は、30:70〜70:30の範囲で変化することができる、
モル比40:60〜80:20のマレイン酸とC2〜C8−オレフィンとのコポリマー、この場合、50:50のモル比でのマレイン酸と、エチレン、プロピレンまたはイソブテンのコポリマーが特に有利である。
【0155】
低分子量の炭水化物または水素化された炭水化物に不飽和カルボン酸がグラフトされたグラフトポリマー(US−A5227446、DE−A4415623およびDE−A4313909を参照のこと)が同様に(B′)として適切である。
【0156】
グラフトされる成分に対して40〜95質量%の量でグラフトされる、適切な不飽和カルボン酸はこの場合、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびビニル酢酸、ならびにアクリル酸とマレイン酸とからなる混合物である。
【0157】
変性のためにはさらに、グラフトされる成分に対して30質量%までは他のモノエチレン性不飽和モノマーが、共重合されて存在していてよい。適切な変性モノマーは、上記の群(ii)および(iii)のモノマーである。
【0158】
グラフトベースとして、分解された多糖類、たとえば酸もしくは酵素により分解されたデンプン、イヌリンまたはセルロース、タンパク質加水分解物、および還元された(水素化された、もしくは水素化アミン化された)分解された多糖類、たとえばマンニット、ソルビット、アミノソルビットおよびN−アルキルグルカミンが適切であり、ならびにまたMw=5000までの分子量を有するポリアルキレングリコール、たとえばポリエチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドもしくはエチレンオキシド/ブチレンオキシドもしくはエチレンオキシド/プロピレンオキシド/ブチレンオキシドのブロックコポリマーおよびアルコキシル化された一価もしくは多価のC1〜C22−アルコール、たとえばUS−A5756456である。
【0159】
有利には、この群からグラフトされ、分解された、もしくは分解還元されたデンプン、およびグラフトされたポリエチレンオキシドを使用し、この場合、グラフト重合の際に、グラフト成分に対して20〜80質量%のモノマーが使用される。グラフトのためには、有利には90:10〜10:90の質量比でのマレイン酸およびアクリル酸の混合物が使用される。
【0160】
(B′)として適切なポリグリオキシル酸は、たとえばEP−B001004、US−A5,399,286、DE−A4106355およびEP−A0656914に記載されている。ポリグリオキシル酸の末端基は、種々の構造を有していてよい。
【0161】
(B′)として適切なポリアミドカルボン酸および変性されたポリアミドカルボン酸は、たとえばEP−A454126、EP−B511037、WO−A94/01486およびEP−A581452から公知である。
【0162】
(B′)として、特にポリアスパラギン酸またはアスパラギン酸と他のアミノ酸、C4〜C25−モノカルボン酸もしくはC4〜C25−ジカルボン酸および/またはC4〜C25−モノアミンもしくはC4〜C25−ジアミンとの共縮合物を使用する。特に有利にはリンを含有する酸の中で製造され、C6〜C22−モノカルボン酸もしくはC6〜C22−ジカルボン酸により、もしくはC6〜C22−モノアミンもしくはC6〜C22−ジアミンにより変性されたポリアスパラギン酸を使用する。
【0163】
(B′)として適切な、クエン酸とヒドロキシカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物との縮合生成物はたとえばWO−A93/22362およびWO−A92/16493から公知である。このようなカルボキシル基を有する縮合物は通常、10000まで、有利には5000までの分子量を有している。
【0164】
(B′)としてさらに、エチレンジアミンジコハク酸、オキシジコハク酸、アミノポリカルボキシレート、アミノポリアルキレンホスホネートおよびポリグルタメートが適切である。
【0165】
さらに、(B′)に加えて酸化されたデンプンを、有機補助ビルダーとして使用することができる。
【0166】
界面活性剤
本発明による界面活性剤混合物以外に、別の界面活性剤を使用することができる。
【0167】
適切なアニオン界面活性剤(C)は、たとえば8〜22個、有利には10〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールの脂肪アルコールスルフェート、たとえばC9〜C11−アルコールスルフェート、C12〜C14−アルコールスルフェート、セチルスルフェート、ミリスチルスルフェート、パルミチルスルフェート、ステアリルスルフェートおよび獣脂アルコールスルフェートである。
【0168】
その他の適切なアニオン性界面活性剤は、アルカンスルホネート、たとえばC8〜C24−、有利にはC10〜C18−アルカンスルホネート、ならびにセッケン、たとえばC8〜C24−カルボン酸のNa塩およびK塩である。
【0169】
その他の適切なアニオン性界面活性剤は、C9〜C20−直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)および−アルキルトルエンスルホネートである。
【0170】
さらに、アニオン性界面活性剤(C)としてC8〜C24−オレフィンスルホネートおよび−ジスルホネート(これらはアルケン−およびヒドロキシアルカンスルホネートもしくは−ジスルホネートであってもよい)、アルキルエステルスルホネート、スルホン化ポリカルボン酸、アルキルグリセリンスルホネート、脂肪酸グリセリンエステルスルホネート、アルキルフェノールポリグリコールエーテルスルホネート、約20〜約50個の炭素原子を有する(天然由来のパラフィンまたはパラフィン混合物をベースとする)パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、アシルイソチオネート、アシルタウレート、アシルメチルタウレート、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、またはこれらの半エステルもしくは半アミド、アルキルスルホコハク酸またはこれらのアミド、スルホコハク酸のモノエステルおよびジエステル、アシルサルコシネート、スルフェート化アルキルポリグリコシド、アルキルポリグリコールカルボキシレートならびにヒドロキシアルキルサルコシネートが適切である。
【0171】
アニオン性界面活性剤は有利には塩の形で洗浄剤に添加される。これらの塩における適切なカチオンは、アルカリ金属イオン、たとえばナトリウム、カリウムおよびリチウム、およびアンモニウム塩、たとえばヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩およびトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0172】
成分(C)は、本発明によるテキスタイル洗浄剤調製物中に、有利には3〜30質量%、特に5〜20質量%の量で存在している。C9〜C20−直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)を併用する場合には、これらは通常、25質量%まで、特に20質量%までの量で使用される。1のクラスのアニオン性界面活性剤を単独で使用することもでき、たとえば脂肪アルコールスルフェートのみ、アルキルベンゼンスルホネートのみを使用することもできるが、しかし異なったクラスからなる混合物、たとえば脂肪アルコールスルフェートとアルキルベンゼンスルホネートとからなる混合物を使用することもできる。アニオン性界面活性剤の個々のクラスの中で、異なった種類の混合物を使用することもできる。
【0173】
適切な界面活性剤のもう1つのクラスは、非イオン性界面活性剤Dが挙げられ、特にアルキルフェノールアルコキシレート、たとえばC6〜C14−アルキル鎖および5〜30モルのアルキレンオキシド単位を有するアルキルフェノールエトキシレートが挙げられる。
【0174】
非イオン性界面活性剤のもう1つのクラスは、アルキル鎖中に、8〜22個、有利には10〜18個の炭素原子を有するアルキルポリグリコシドまたはヒドロキシアルキルポリグリコシドである。これらの化合物は多くの場合、1〜20個、有利には1.1〜5個のグリコシド単位を有している。非イオン性界面活性剤のもう1つのクラスは、C6〜C22−アルキル鎖を有するN−アルキルグルカミドである。このような化合物は、たとえば還元アミン化糖を相応する長鎖のカルボン酸誘導体によりアシル化することによって得られる。
【0175】
さらに、非イオン性界面活性剤(D)として、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドからなるブロックコポリマー(BASFのPluronicおよびTetronicの商標)、ポリヒドロキシ−またはポリアルコキシ脂肪酸誘導体、たとえばポリヒドロキシ脂肪酸アミド、N−アルコキシ−またはN−アリールオキシ−ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、脂肪酸アミドエトキシレート、特に末端基が封鎖されたもの、ならびに脂肪酸アルカノールアミドアルコキシレートが適切である。
【0176】
成分(D)は、本発明によるテキスタイル洗浄剤調製物中で、有利には1〜20質量%、特に3〜12質量%の量で存在している。1のクラスの非イオン性界面活性剤を単独で使用することができ、特にアルコキシル化C8〜C22−アルコールのみを使用することができるが、しかしまた、異なったクラスからなる混合物を使用することもできる。非イオン性界面活性剤の単一のクラスの中で、異なった種類のものの混合物を使用することもできる。
【0177】
前記の界面活性剤の種類のバランスは本発明による洗浄剤調製物の有効性にとって重要であるので、アニオン性界面活性剤(C)および非イオン性界面活性剤(D)は、有利には95:5〜20:80、特に80:20〜50:50の質量比である。この場合、本発明による界面活性剤混合物の界面活性剤割合もまた考慮すべきである。
【0178】
さらに、カチオン性界面活性剤(E)が本発明による洗浄剤中に含有されていてもよい。
【0179】
カチオン性界面活性剤として、たとえばアンモニウム基を有する界面活性化合物、たとえばアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物および一般式
RR′R′′R′′′N+-
[式中、基R〜R′′′は、アルキル基、アリール基、アルキルアルコキシ基、アリールアルコキシ基、ヒドロキシアルキル(アルコキシ)基、ヒドロキシアリール基を表し、かつXは、適切なアニオンである]の化合物が適切である。
【0180】
本発明による洗浄剤は場合により、両性界面活性剤(F)、たとえば側鎖の一つに1のアニオン基を有する第二級もしくは第三級アミンの脂肪族誘導体、アルキルジメチルアミンオキシドまたはアルキル−もしくはアルコキシメチルアミンオキシドを含有していてもよい。
【0181】
成分(E)および(F)は、洗浄剤調製物中に、25%まで、有利には3〜15%含有されていてよい。
【0182】
漂白剤
さらに有利な実施態様では、本発明によるテキスタイル洗浄剤調製物は、さらに0.5〜30質量%、特に5〜27質量%、とりわけ10〜23質量%の漂白剤(G)を含有している。その例は、過ホウ酸アルキルまたはアルカリ金属炭酸塩ペルヒドレート、特にナトリウム塩である。
【0183】
使用可能な有機過酸の例は、過酢酸であり、これは有利には商業的なテキスタイル洗浄の際に、または商業的なクリーニングの際に使用される。
【0184】
有利に使用可能な漂白剤組成物またはテキスタイル洗浄剤組成物は、C1〜C12−ペルカルボン酸、C8〜C16−ジペルカルボン酸、イミドペルカプロン酸、またはアリールジペルカプロン酸である。使用可能な酸の有利な例は、過酢酸、線状もしくは分枝鎖状のオクタン−、ノナン−、デカン−もしくはドデカン一過酸、デカン−およびドデカン二過酸、モノ−およびジペルフタル酸、−イソフタル酸および−テレフタル酸、フタルイミドペルカプロン酸およびテレフタロイルジペルカプロン酸である。同様にポリマーの過酸を使用することができ、たとえばその中にペルオキシ官能基が存在するアシル酸基本成分を含有するものを使用することができる。ペルカルボン酸は遊離酸として、または酸の塩として、有利にはアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩として使用することができる。これらの漂白剤(G)は、場合により0〜15質量%、有利には0.1〜15質量%、特に0.5〜8質量%の漂白活性化剤(H)と組み合わせて使用される。色柄物用の洗浄剤の場合、漂白剤(G)(存在する場合には)は通常、漂白活性化剤(H)なしで使用されるが、それ以外は通常、漂白活性化剤(H)は併存している。
【0185】
漂白活性化剤(H)として以下のものが適切である:
− ポリアシル化された糖、たとえばペンタアセチルグルコース、
− アシルオキシベンゼンスルホン酸、およびこれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、たとえばナトリウムp−イソノナノイルオキシ−ベンゼンスルホネートまたはナトリウム−p−ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート、
− N,N−ジアシル化およびN,N,N′,N′−テトラアシル化アミン、たとえばN,N,N′,N′−テトラアセチルメチレンジアミンおよび−エチレンジアミン(TAED)、N,N−ジアセチルアニリン、N,N−ジアセチル−p−トルイジンまたは1,3−ジアシル化ヒダントイン、たとえば1,3−ジアセチル−5,5−ジメチルヒダントイン、
− N−アルキル−N−スルホニル−カルボンアミド、たとえばN−メチル−N−メシル−アセトアミドまたはN−メチル−N−メシルベンズアミド、
− N−アシル化された環式ヒドラジド、アシル化トリアゾールまたはウラゾール、たとえばモノアセチルマレイン酸ヒドラジド、
− O,N,N−三置換されたヒドロキシアミン、たとえばO−ベンゾイル−N,N−スクシニルヒドロキシアミン、O−アセチル−N,N−スクシニル−ヒドロキシアミンまたはO,N,N−トリアセチルヒドロキシルアミン、
− N,N−ジアシル−スルフリルアミド、たとえばN,N′−ジメチル−N,N′−ジアセチルスルフリルアミドまたはN,N′−ジエチル−N,N′−ジプロピオニル−スルフリルアミド、
− トリアシルシアヌレート、たとえばトリアセチルシアヌレートまたはトリベンゾイルシアヌレート、
− カルボン酸無水物、たとえば安息香酸無水物、m−クロロ安息香酸無水物またはフタル酸無水物、
− 1,3−ジアシル−4,5−ジアシルオキシ−イミダゾリン、たとえば1,3−ジアセチル−4,5−ジアセトキシイミダゾリン、
− テトラアセチルグリコルリルおよびテトラプロピオニルグリコルリル、
− ジアシル化2,5−ジケトピペラジン、たとえば1,4−ジアセチル−2,5−ジケトピペラジン、
− プロピレン二尿素および2,2−ジメチルプロピレン二尿素のアシル化生成物、たとえばテトラアセチルプロピレン二尿素、
− α−アシルオキシ−ポリアシル−マロンアミド、たとえばα−アセトキシ−N,N′−ジアセチルマロン−アミド、
− ジアシル−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、たとえば1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、
− アルキル基、たとえばメチル、または芳香族基、たとえばフェニルを2位に有するベンゾ−(4H)1,3−オキサジン−4−オン。
【0186】
漂白剤と漂白活性化剤とからなる記載の漂白系は、場合によりさらに漂白触媒を含有していてよい。適切な漂白触媒は、たとえば四級化されたイミンおよびスルホイミンであり、これらはたとえばUS−A5360569およびEP−A0453003に記載されている。特に有効な漂白触媒は、たとえばWO−A94/21777に記載されているマンガン錯体である。このような化合物は、洗浄剤調製物中で使用する場合には最大で1.5質量%まで、特に0.5質量%までの量で混合される。
【0187】
漂白剤、漂白活性化剤および場合により漂白触媒からなる記載の漂白系以外に、本発明によるテキスタイル洗浄剤に関して、酵素により過酸化物を放出する系か、または光活性化される漂白系の使用も考えられる。
【0188】
酵素
もう1つの有利な実施態様では、本発明によるテキスタイル洗浄剤調製物は、さらに、0.05〜4質量%の酵素(J)を含有する。有利には洗浄剤中で使用される酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、およびセルラーゼである。酵素の中でも、有利には調製済みの酵素を0.1〜1.5質量%、特に有利には0.2〜1.0質量%の量で添加する。適切なプロテアーゼはたとえばサビナーゼおよびエスペラーゼ(製造業者:Novo Nordisk)である。適切なリパーゼは、たとえばリポラーゼ(製造業者:Novo Nordisk)である。適切なセルラーゼは、たとえばセルザイム(製造業者:Novo Nordisk)である。漂白系を活性化するためにペルオキシダーゼを使用することも可能である。個々の酵素または異なった酵素の組合せを使用することができる。場合により本発明によるテキスタイル洗浄剤調製物は、さらに酵素安定剤、たとえばプロピオン酸カルシウム、ギ酸ナトリウムまたはホウ酸またはこれらの塩、および/または酸化防止剤を含有している。
【0189】
その他の含有成分
本発明による調製物は、前記の成分以外にさらに以下の慣用の添加剤を、このために慣用の量で含有していてよい:
− 再汚染防止剤およびソイル・リリースポリマー。
【0190】
洗浄剤のために適切なソイル・リリースポリマーおよび/または再汚染防止剤は、たとえば以下のものである:
エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールを有するポリエチレンオキシドと、芳香族ジカルボン酸または芳香族および脂肪族ジカルボン酸とからなるポリエステル、
二価および/または多価アルコールを有する片側の末端基が封止されたポリエチレンオキシドと、ジカルボン酸とからなるポリエステル。
【0191】
このようなポリエステルは、たとえばUS−A3,557,039、GB−A1154730、EP−A0185427、EP−A0241984、EP−A0241985、EP−A0272033およびUS−A5,142,020から公知である。
【0192】
その他の適切なソイル・リリースポリマーは、ポリアルキレンオキシド上にビニル−および/またはアシルエステルが存在する両性グラフトポリマーもしくはコポリマー(US−A4,746,456、US−A4,846,995、DE−A3711299、US−A4,904,408、US−A4,846,994およびUS−A4,849,126を参照のこと)であるか、または変性されたセルロース、たとえばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースである。
【0193】
− 色移り防止剤、たとえば15000〜100000の分子量を有するビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリドンまたは4−ビニルピリジン−N−オキシドのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらのモノマーをベースとする架橋した微粒子状のポリマー、
− 界面活性剤以外の制泡剤または消泡剤、たとえばオルガノポリシロキサンおよびこれらの微粒子状の、場合によりシラン化されたケイ酸との混合物、ならびにパラフィン、ワックス、微結晶質ワックスおよびこれらとシラン化されたケイ酸との混合物、
− 錯形成剤(有機補助ビルダーの機能も有する)、
− 蛍光増白剤、
− ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
− 香水または香料、
− フィラー、
− 無機増量剤、たとえば硫酸ナトリウム、
− 調製助剤、
− 可溶化剤、
−不透明化剤および真珠光沢剤、
− 着色剤、
− 腐食防止剤、
− 過酸化物安定剤、
− 電解質。
【0194】
本発明による洗剤調製物は、有利には固体である。つまり通常は粉末状もしくは顆粒状で存在するか、または押出成形体もしくはタブレット形で存在する。
【0195】
本発明による粉末状もしくは顆粒状洗浄剤は、無機増量剤を60質量%まで含有している。通常はこのために、硫酸ナトリウムを使用する。しかし有利には本発明による洗浄剤は、特にコンパクト洗浄剤またはウルトラコンパクト洗浄剤の場合には増量剤の含有率が低く、わずか20質量%まで、特に有利にはわずか8質量%までの増量剤を含有している。本発明による固体の洗浄剤は、300〜1300g/lの範囲、特に550〜1200g/lの範囲の異なったかさ密度を有していてもよい。最近のコンパクト洗浄剤は通常、高いかさ密度を有しており、顆粒構造を示す。洗浄剤の望ましい圧縮化のために、技術的に慣用の方法を使用することができる。
【0196】
本発明による洗浄剤調製物は、慣用の方法で製造し、かつ場合により調製することができる。
【0197】
以下にコンパクトタイプの標準的な洗浄剤および色柄物用洗浄剤のために典型的な組成を記載する(パーセンテージの記載は、以下では、ならびに実施例では、質量に対するものである。組成(a)および(b)における括弧の中の記載は、有利な範囲である):
(a)コンパクトタイプの標準的な洗浄剤(粉末状または顆粒状)の組成
本発明による界面活性剤混合物および場合により非イオン性界面活性剤(D)と組み合わせた、少なくとも1のアニオン性界面活性剤(C) 1〜60%(8〜30%)、
少なくとも1の無機補助ビルダー(A) 5〜50%(10〜45%)、
少なくとも1の有機補助ビルダー(B) 0.1〜20%(0.5〜15%)、
無機漂白剤(G) 5〜30%(10〜25%)、
漂白活性化剤(H) 0.1〜15%(1〜8%)、
漂白触媒 0〜1%(最大0.5%)、
色移り防止剤 0.05〜5%(0.1〜2.5%)、
ソイル・リリースポリマー 0.3%〜1.5%、
酵素または酵素混合物(J) 0.1〜4%(0.2〜2%)。
【0198】
その他の慣用の添加剤:
硫酸ナトリウム、錯形成剤、リン酸塩、蛍光増白剤、香料油、制泡剤、再汚染防止剤、漂白安定剤。
【0199】
(b)色柄物用洗浄剤(粉末状もしくは顆粒状)の組成
本発明による界面活性剤混合物および場合により非イオン性界面活性剤(D)と組み合わせた、少なくとも1のアニオン性界面活性剤(C) 3〜50%(8〜30%)、
少なくとも1の無機ビルダー(A) 10〜60%(20〜55%)、
無機漂白剤(G) 0〜15%(0〜5%)、
色移り防止剤 0.05〜5%(0.2〜2.5%)、
少なくとも1の有機補助ビルダー(B) 0.1〜20%(1〜8%)、
酵素または酵素混合物(J) 0.2〜2%、
ソイル・リリースポリマー 0.2〜1.5%。
【0200】
その他の慣用の添加剤:
硫酸ナトリウム、錯形成剤、リン酸塩、蛍光増白剤、香料油、制泡剤、再汚染防止剤、漂白安定剤。
【0201】
本発明を以下の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0202】
実施例
例1:界面活性剤I
平均分岐度1.15を有する短鎖の成分(A)としての2−プロピルヘプタノール(2−PH)および5−メチル−2−プロピルヘキサノールからなる混合物(BASFから工業用2−PHとして市販のもの)を、平均分岐度約3.1を有する長鎖の成分(B)としてのイソ−ヘプタデカノール(i−C17OH)と種々の質量比(A:B=2−PH:i−C17OH)で混合し、かつ引き続きKOH触媒反応によりエトキシル化し、その際、種々のエトキシル化度が可能である。
【0203】
比較例2:界面活性剤II
平均分岐度1.15を有する短鎖の成分(A)としての2−プロピルヘプタノール(2−PH)および5−メチル−2−プロピルヘキサノールからなる混合物(BASFから工業用2−PHとして市販のもの)を、平均分岐度約0を有する長鎖の成分(B)としての獣脂アルコール(C16〜C18OH)と種々の質量比(A:B=2−PH:i−C16〜C18−OH)で混合し、かつ引き続きKOH触媒反応によりエトキシル化し、その際、種々のエトキシル化度が可能である。
【0204】
比較例3:界面活性剤III
2−プロピルヘプタノール(2−PH)および5−メチル−2−プロピルヘキサノールからなる混合物(BASFから工業用2−PHとして市販のもの)を、KOH触媒反応によりエトキシル化し、その際、種々のエトキシル化度が可能である。イソ−トリデカノールは、KOH触媒反応によりエトキシル化され、その際、種々のエトキシル化度が可能である。エトキシレートは、種々の比率で混合される。
【0205】
あるいは、平均分岐度1.15を有する短鎖の成分(A)としての2−プロピルヘプタノール(2−PH)および5−メチル−2−プロピルヘキサノールからなる混合物(BASFから工業用2−PHとして市販のもの)を、平均分岐度約3を有するイソ−トリデカノール(i−C13OH)と種々の質量比(A:B=2−PH:i−C13−OH)で混合し、かつ引き続きKOH触媒反応によりエトキシル化し、その際、種々のエトキシル化度が可能である。
【0206】
例4
DIN EN1772による木綿の湿潤
以下の表は、EN 1772による、本発明による界面活性剤I2g/lソーダ、ならびに参照混合物の界面活性剤IIの湿潤時間を示している。
【0207】
【表1】

結果:界面活性剤Iに関して、より良好な湿潤性能が認められる。
【0208】
例5:起泡力
以下の表は、本発明による界面活性剤Iならびに参照混合物である界面活性剤IIの、起泡力(多孔板衝撃法、DIN EN12728、2g/l、40℃)の測定を示している。
【0209】
【表2】

結果:界面活性剤Iに関して、より良好な湿潤性能が認められる。
【0210】
例6:洗浄性能
洗浄条件は、第1表に記載されている。洗浄剤調製物は、第2表にまとめられている。
【0211】
第1表
洗浄条件
洗浄装置:Atlas社(Chicago,USA)のLaunderometer、
洗浄サイクル:汚染布のタイプあたり1回、
すすぎサイクル:1回、
洗浄温度:25℃〜60℃、
洗浄時間:30分(加熱時間を含む)、
水の硬度:2.5ミリモル/l(14゜dH)、
Ca:Mg:4:1、
浴量:250ml、
浴比:1:12.5、
洗浄剤濃度:5g/l、
汚染布:
wfk10D 木綿上の顔料/皮脂、
wfk10PF 木綿上の顔料/植物油、
試験布は、wfk−Testgewebe GmbH社製(Christenfeld 10、D−41379 Brueggen)、
木綿上のトリオレイン、
木綿上のオリーブ油、
固有の汚れ:油0.1g(スーダンレッド7B0.1%で着色)を、木綿布上にたらし、室温で20時間貯蔵した)。
【0212】
すすぎの後で脱水し、かつ織布を乾燥させるために別々に干す。
【0213】
一次洗浄効果を確認するために、汚染布の白色度を、洗浄前および洗浄後に、Datacolor AG(CH−8305 Dietikon、スイス)のフォトメーター(Elrepho)により測定した。
【0214】
反射率の値を、460nm(wfk10d、WFK10pf)もしくは520nm(トリオレイン/木綿およびオリーブ油/木綿)で確認し、その際、それぞれ汚れのタイプあたり6カ所の測定点を測定する。
【0215】
一次洗浄効果は、洗浄性能として%で記載されているが、これは以下の式に従って、測定された反射率の値から計算されたものである:
洗浄性能%=100%[界面活性剤A、BまたはCの反射]−反射[界面活性剤なし]/[Lutensol AO7の反射]−[反射[界面活性剤なし]]。
【0216】
より良好な汚れの除去は、より高い洗浄性能によって示されている。
【0217】
第2表
洗浄剤調製物(質量%で記載)
カリウム−やし油セッケン:0.5%、
ゼオライトA:30%、
炭酸ナトリウム:12%、
メタケイ酸ナトリウム×水5.5:3%、
過炭酸ナトリウム:15%、
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED):4%、
Sokalan(登録商標)CP5:5%、
カルボキシメチルセルロース(CMC):1.2%、
硫酸ナトリウム:4%、
本発明による界面活性剤:5%、
水:20.3%。
【0218】
【表3】

【0219】
洗浄性能%=100%[界面活性剤I、IIまたはIIIの反射]−反射[界面活性剤なし]/[Lutensol AO7の反射]−[反射[界面活性剤なし]]。
【0220】
【表4】

【0221】
【表5】

【0222】
洗浄性能%=100%[界面活性剤I、IIまたはIIIの反射]−反射[界面活性剤なし]/[Lutensol AO7の反射]−[反射[界面活性剤なし]]。
【0223】
【表6】

結果:
界面活性剤Iは、比較例に対して、家庭用の洗浄において、および標準的な界面活性剤(たとえばC13,15オキソアルコール×7EO、Lutensol AO7)に対してより低い温度で勝っている。
【0224】
例7
界面活性剤Iを、実際のOECD 301B法(1992年7月17日時点のもの)により試験した。
【0225】
【表7】

結果:請求されている界面活性剤混合物は、OECD法 301B(1992年7月17日時点のもの)により、完全に生分解性であると分類することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤混合物であって、
(A)アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する短鎖の成分、この場合、該アルカノールは、8〜12個の炭素原子を有しているものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は0.1〜30の値であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノールは、少なくとも1の平均分岐度を有している、および
(B)アルカノールのアルコキシル化生成物を含有する長鎖の成分、この場合、該アルカノールは、15〜19個の炭素原子を有しているものであり、かつアルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は0.1〜30の値であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノールは、少なくとも2.5の平均分岐度を有している、
もしくはこれらのリン酸エステル、硫酸エステル、ならびにエーテルカルボキシレートを含有する界面活性剤混合物。
【請求項2】
アルコキシ基は、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、およびペントキシ基からなる基から無関係に選択されていることを特徴とする、請求項1記載の界面活性剤混合物。
【請求項3】
短鎖の成分(A)および/または長鎖の成分(B)に関して、それぞれのアルコキシル化生成物のアルコキシ基の総数に対するエトキシ基の割合は、少なくとも0.5であることを特徴とする、請求項1または2記載の界面活性剤混合物。
【請求項4】
短鎖の成分(A)の少なくとも1のアルカノールは、9〜11個の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物。
【請求項5】
短鎖の成分(A)の少なくとも1のアルカノールは、1.0〜2.0の平均分岐度を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物。
【請求項6】
長鎖の成分(B)の少なくとも1のアルカノールは、16〜18個の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物。
【請求項7】
長鎖の成分(B)の少なくとも1のアルカノールは、2.5〜4.0の平均分岐度を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物。
【請求項8】
成分(A)および/または(B)に関して、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は、1〜30の値である、請求項1から7までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物。
【請求項9】
界面活性剤混合物中の短鎖の成分(A)のモル割合対界面活性剤混合物中の長鎖の成分(B)のモル割合の比率は、99:1〜1:99の範囲の値であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物を含有する調製物。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物を製造する方法であって、
(a)アルカノール混合物をアルコキシル化する工程、この場合、該アルカノール混合物は、8〜12個の炭素原子を有するものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は、0.1〜30の値であり、アルコキシ基はC2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノール混合物は、少なくとも1の平均分岐度を有する、
(b)アルカノール混合物をアルコキシル化する工程、この場合、該アルカノール混合物は、15〜19個の炭素原子を有するものであり、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の平均数は、0.1〜30の値であり、アルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基であり、かつアルカノール混合物は、少なくとも2.5の平均分岐度を有する、および
(c)工程(a)および(b)で得られたアルコキシル化生成物を混合する工程
を有する方法。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物を製造する方法であって、
(a)8〜12個の炭素原子および少なくとも1の平均分岐度を有する第一のアルカノールの混合物と、15〜19個の炭素原子および少なくとも2.5の平均分岐度を有する第二のアルカノールの混合物とを混合する工程、および
(b)第一の混合物と第二の混合物とからなる混合物をアルコキシル化する工程、この場合、アルコキシル化生成物中のアルカノール基あたりのアルコキシ基の数は、0.1〜30の平均値を有しており、かつアルコキシ基は、C2〜C10−アルコキシ基である
を有する方法。
【請求項13】
乳化剤、起泡調節剤、湿潤剤、特に硬質表面用のもの、保湿剤としての、請求項1から9までのいずれか1項記載の界面活性剤混合物または請求項10記載の調製物の使用。
【請求項14】
洗浄剤中での、硬質表面のクリーニングのための、化粧品、医薬品および農薬調製物中での、ラッカー、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤中での、テキスタイル産業、繊維加工、金属加工、食品産業、水処理、製紙工業、発酵又は鉱物加工のための、および乳化重合における請求項13記載の使用。

【公表番号】特表2012−512925(P2012−512925A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541467(P2011−541467)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067501
【国際公開番号】WO2010/070088
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】