分注装置
本発明は、分注される成分を収容するための少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)と、前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能なように固定できるアプリケータ(3、30;108)と、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に前記アプリケータ(3、30;108)を解放可能に固定する結合手段(4、18;106)と、を備える分注装置に関する。前記結合手段(4、18;106)は、前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)の定位置にロックするための径方向に旋回可能な自由端部(19)を有する少なくとも1つのばねアーム(18)と、移動可能なロック・リング(4;107)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注される成分を収容するための少なくとも1つの容器と、容器に解放可能なように固定できるアプリケータと、アプリケータを容器に解放可能なように固定する結合手段とを備える分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロック可能なように取り付けられたロック・アームにより結合手段が形成された上記のタイプの分注装置が知られている(特許文献1)。ロック・アームは、ロック要素を軸方向に移動させることによって、ミキサを解放する位置から定位置にロックする位置に動かすことができる。それによってミキサの信頼性のあるロックと解放が可能になるが、超小型カートリッジの場合には、この分注装置が複数回の使用に十分な量の成分が収容されるカートリッジに特に適するように、ロック・リングの操作をさらに改良できることが分かる。
【0003】
ミキサを使用前すなわち工場でダブル・カートリッジの遠位出口領域に装着し、そのミキサと一体部品に設計された環状取付部品を回転させることによってミキサをバヨネット・ロック式に定位置にロックできる、使い捨て分注装置が知られている(特許文献2)。特許文献2の他の実施形態に、ミキサがキャッチ・フックによってダブル・カートリッジの定位置に固定される分注装置が示されている。ミキサがダブル・カートリッジから少し引き離され、ダブル・カートリッジに押さえ付けられる位置から外れると、カートリッジに収容された成分を吐出させるために、ダブル・カートリッジの吐出開口から封止プラグが解放される。ダブル・カートリッジの定位置へのミキサの固定は、この処理中にミキサがダブル・カートリッジから抜けなくなるようなものが選択されている。ミキサの完全な取り外しと交換はできず、むしろミキサは、破壊的な力を用いなければカートリッジから分離できなくなるような形で固定される。
【0004】
ミキサと一体部品であるキャップがダブル・カートリッジの吐出端にクリック止めされる上記と同様の装置も知られている(特許文献3)。成分を押し出すときの圧力の結果、閉鎖キャップをミキサと共に、カートリッジ吐出開口が閉鎖解除されるところまで遠位方向に前進させることができる。
【0005】
さらに、特許文献4に、ミキサがダブル・チャンバ・シリンジの定位置に固定される使い捨ての分注開口についても記載されている。ミキサはこの場合、第1段階でまず、ダブル・チャンバ・シリンジに、その吐出開口が封止され、そこから外れることができないような形で固定される。このとき、ミキサをダブル・チャンバ・シリンジの方向に前進させ、定位置に固定すると、ダブル・チャンバ・シリンジの両方の吐出開口が同時に閉鎖解除される。この周知の装置の場合さらに、封止に改良の余地があることが分かる。
【0006】
ミキサが定位置への固定によって容器に保持されている上記で説明した各分注装置には、ミキサを交換する方法を設けなければ、通常使い捨てにしか適さないという不利な点が見られる。大部分の使用事例では、互いに混合された成分は短時間であってもミキサの中で硬化してしまうので、新しいミキサを装着できないと、容器の残った内容物をまるごと廃棄しなければならない。
【0007】
ミキサを交換できるようにするために、多数の使用事例でバヨネット・ロックが設けられている。このバヨネット・ロックを使用すると、ミキサを容器の定位置にロックし、再び解放することができる。このタイプの機構は、ダブル・カートリッジに取り付けできるミキサについて記載した特許文献5から知られている。このミキサはさらに、バヨネットの舌片を担持する回転可能なロック・リングを備え、そのロック・リングをダブル・カートリッジに対して回転させることによって、舌片を容器のバヨネットの爪と係合させることができる。その結果、ミキサはダブル・カートリッジに確実に保持される。ロック・リングを逆回転させると、ダブル・カートリッジからミキサを再び解放することができる。
【0008】
しかしながら、このタイプのバヨネット・ロックは、一般に、比較的流動性のある成分の分注のみに適しているという不利な点を有する。より多様な成分をそれに対応してより高い吐出圧力で分注すると、容器のバヨネットの爪が径方向外向きに広がる恐れがあり、その結果、ミキサが操作中に外れる可能性がある。さらに、バヨネット・ロックはしばしば固着してしまい、したがってある程度、成分を望ましくない形で漏らすことなく開放することは困難である。
【0009】
さらに、再使用可能なシステムは通常、最初の使用前に使用者が取り外す別個の閉鎖キャップを付けて納入しなければならない。これにより、生成時、操作時共に、追加の手間が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ国特許第102005002850号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/005213号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第1430959A2号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1389448A1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0723807B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ミキサを容器に解放可能な形で確実にロックできるようにすると同時に、特に操作が簡単であることで優れている、上記のタイプの分注装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は基本的に、本発明によると、分注される1つの成分が充填され、少なくとも1つの封止要素によって周囲に対して封止するように閉鎖された、少なくとも1つの基本的に剛性を有する容器と、それぞれの上記容器内の内部圧力に応じて上記少なくとも1つの封止要素を規定された形で開通させる(すなわち内部圧力によって規定された開通が行われる)開通手段と、アプリケータを上記少なくとも1つの容器に解放可能なように固定する結合手段と、該結合手段によって解放可能なように固定されるアプリケータとを備える分注装置を提供することで達成される。本発明によるこのタイプの分注装置は、追加の作動段階および/または取り付け段階を行わずに直ちに使用できることから、操作が著しく改良されたことによって、周知の装置よりも優れている。つまり、本発明による装置ならば、別個の段階にて、例えばミキサなどとして構成されるアプリケータを容器に装着する必要も、容器を開通させる必要もなくなる。さらに、本発明による装置の場合、別個の閉鎖キャップも必要ない。それにも関わらず、少なくとも1つの容器に含まれている成分が初回の使用で完全に使用されていない場合は、アプリケータを交換することも可能である。
【0013】
上記の目的は、上記の特徴の代替方法または追加で、上記結合手段が、上記アプリケータを容器の定位置にロックするための径方向に旋回可能な自由端部を有する少なくとも1つのばねアームと、移動可能なロック・リングとを備える、上記のタイプの分注装置において、上記ロック・リングが、少なくとも1つの容器に回転可能だが軸方向に移動可能ではないように固定され、上記ロック・リングが、該ロック・リングのの回転の結果生じる上記ばねアームの旋回運動を制御するように、上記ばねアームと共に機能する(協働する)溝(ガイドおよび/または操舵部)を有する、分注装置によってよりいっそう達成される。つまり、ロック・リングを回転させると、ばねアームが、ミキサまたは同様のアプリケータに、それを少なくとも1つの容器の定位置にロックするような形で押し付けられて配置されるか、あるいは、アプリケータから径方向外向きに離れるように規定された形で案内され、その結果アプリケータが解放される。この、アプリケータを定位置にロックする、または解放するための回転運動は、分注装置が非常に小型の場合でも、特に操作が簡単であることで優れている。
【0014】
本発明の第1の実施形態によると、分注装置は、ニードル(中空)、吐出開口、スポンジまたはブラシがアプリケータとして解放可能なように固定される容器を1つだけ備える。この代替形態として、複数の容器を設けることも可能である。少なくとも2つの容器を備える分注装置の場合、各容器にミキサ、ニードル(中空)、吐出開口、スポンジまたはブラシをアプリケータとして解放可能なように固定することができる。本発明の他の有利な構造について、以下に、例として少なくとも2つの容器とアプリケータとしてミキサとを備える実施形態を参照して説明する。ただし、これらの例示的実施形態では各場合とも、そして本発明によると、設ける容器は1つだけでもよく、かつ/またはミキサを他の適当なアプリケータと交換することもできる。
【0015】
本発明による分注装置では、上記容器は各場合とも、遠位吐出開口およびそれと反対側にある近位開口と、上記遠位吐出開口と上記近位開口の間で移動させることができる吐出プランジャとを有すると好ましく、その結果、1つの成分を、上記吐出プランジャの軸方向の移動によって上記容器から上記吐出開口を通して吐出することができる。このとき、入口開口およびその反対側に出口開口を備える上記ミキサは、上記容器側に固定端部を有することができ、上記容器に固定されている状態では各場合とも上記入口開口が上記吐出開口と流体接続するような形で、上記容器に解放可能なように固定可能にすることができる。本発明の好ましい実施形態によると、上記結合手段が2つの互いに向かい合うばねアームを備え、上記ミキサを上記容器の定位置にロックするために、上記ロック・リングを回転させた結果、上記アームの上記自由端部を互いに向かって径方向に旋回させることができる。逆に、ロック・リングを逆回転させることによってミキサを解放することができる。ロック・リング逆回転させた結果、ばねアームの自由端部は互いに径方向外向きに旋回される。ミキサは、2つの互いに向かい合うばねアームによって、容器の定位置に特にしっかりとロックすることができる。
【0016】
本発明による分注装置の、互いに連結される構成部品の数が少ない特に簡易な設計は、上記少なくとも1つのばねアームの、上記自由端部とその反対側にある端部が、少なくとも1つの容器および/または容器の遠位端壁と一体的に連結されることから実現することができる。したがって、この分注装置の構成の場合、ミキサは、容器に一体的に連結されたばねアームによって、容器の定位置に直接ロックされる。
【0017】
上記少なくとも1つのばねアームが、上記ロック・リングを固定するための少なくとも1つのキャッチを有すると、ロック・リングを特に簡単に容器に係止することができる。ここで、上記ロック・リングが、少なくとも1つの陥凹部および/または少なくとも1つのキャッチ突出部を備え、この上記陥凹部および上記キャッチ突出部が、上記ロック・リングが回転できるが軸方向に移動できないように上記少なくとも1つのばねアームに固定されることによって上記容器に固定されるような形で、上記ばねアームの上記キャッチの幾何形状に適合されると好ましい。したがって、ばねアームは、一方ではロック・リングを係止する機能と、他方ではミキサを固定または解放する機能の、2つの機能を実行する。
【0018】
ミキサが定位置に十分にロックされ、成分の吐出中に容器から望ましくない形で外れないという確信を使用者が得るために、ロック・リングが、そのロック・リングを容器に対して少なくとも1箇所の回転位置にロックする(定位置に係止かつ/またはクリック止めする)、つまり解放可能に固定するためのロック手段(ブロック手段および/またはクランプ手段)を有すると好ましい。この場合、ロック手段は、ロック・リングが固定位置から望ましくない形で解放されないようにするだけでなく、さらに、所望のロックまたは解放位置に達したという触覚フィードバックを使用者に与える。
【0019】
本発明の考えを発展させると、上記ロック・リングが、そのロック・リングを上記容器に対して2箇所の回転位置にロックするための少なくとも1つのキャッチ突出部またはキャッチ陥凹部を、上記陥凹部内部に有し、上記2箇所の回転位置が、上記ミキサを上記容器に固定する位置と、上記ミキサを解放する位置とに対応するとされる。つまり、キャッチ状のキャッチ突出部が例えばロック・リングのスロット形の陥凹部に形成されることから、ロック・リングのロックを特に簡単に実現することができる。ばねアームのキャッチは、ミキサの定位置へのロックとミキサの解放とをそれぞれ実現する2つの目標位置のうちの一方に達するために、この突出部を通過しなければならない。
【0020】
上記少なくとも1つのばねアームが、詳細にはその自由端部の上記領域に、径方向内向きに向いているリブを有し、上記ミキサが、少なくとも1つの径方向外向きに向いているキャッチを有することから、ミキサを容器の定位置に特に簡単にロックすることができる。ばねアームが、ロック・リングの回転によって径方向内向きつまりロック・リングの回転軸の方向に押し動かされると、ばねアームのリブがミキサのキャッチの後方に配置され、その結果、ミキサは容器の定位置にロックされる。ばね要素のリブがミキサのキャッチを後方からこの形で把持すると、ロック・リングが絶えずばねアームのリブをミキサに押し付けて保持しているので、ミキサが容器から外れることなく、ミキサに特に大きな軸方向力を作用させることができる。したがって、単純なキャッチまたはスナップ連結の場合ではあり得るような望ましくない形で、ばねアームが外向きに押し動かされることはない。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によると、上記ロック・リングが少なくとも1つの案内溝を有し、上記少なくとも1つのばねアームが、詳細にはその自由端部に配置された、上記案内溝に係合するための案内突出部を有し、上記案内溝が、上記ロック・リングの、その回転軸からの距離が一定でない曲線に沿って延びる。スライドガイドに類似した案内溝と案内突出部の組合せは、ばねアームをミキサに対して位置決めする効果を有し、ばねアームをミキサから離す移動が、ロック・リングの回転によって規定された形で制御される。キャッチまたはスナップ連結の場合と異なり、定位置へのロックがばねアーム自体のばね動作に依存せず、その結果、ばねアーム材料の疲労が生じても、機能は低下しないはずである。むしろ、ばねアームの動きを能動的に制御することによって、ロック・リングを回転するとミキサが定位置にロックまたは解放されるように規定された形で、ばねアームが確実に動くようになる。
【0022】
ばねアームがすでに内向きに旋回している場合に、ミキサを容器のロック・リングの位置に配置しないようにするために、ミキサはロック・リング内に挿入できる区画を有するが、その区画が、ミキサのロック・リングへの挿入がそのロック・リングに対して2箇所の回転位置にしかできないような形で、ロック・リングの開口の輪郭形状に合致する外側輪郭形状を有すると好ましい。
【0023】
ミキサがそれ自体で、ロック・リングへの挿入が、そのロック・リングに対してちょうど1箇所の位置にだけにできるようになっていると特に好ましい。それによってまた、ミキサの入口開口と容器の吐出開口が互いに正確に位置合わせされた形で互いに接触するようになる。これは、容器の出口流路等とそれに対応するミキサの入口流路等との上記のタイプの規定された割り当てが行われた、交換可能なミキサまたは同様のアプリケータを用いる、繰り返し使用に適した容器の場合に特に利点である。これは、例えば欧州特許第0598965号、欧州特許第0723807号または欧州特許第0730913号で提案されているように構成できるコーディングおよび/または位置合わせによって行うことができる。つまり、ミキサと容器とで互いに合致する突出部と陥凹部とによってコーディングが行われると好ましい。これの代替方法または追加で、容器の出口連結部分および/または出口流路の輪郭形状と、それに対応するミキサの対向輪郭形状すなわち入口流路により、容器に対して1箇所のみ位置合わせしてミキサを取り付けることが可能になることから、ミキサと容器の互いに規定された位置合わせも実現することができる。
【0024】
容器とミキサの間に流体接続を形成するために、吐出開口は各場合とも、容器から遠位方向に突出させることができ、その吐出開口にミキサの入口開口を挿入することができる。入口開口と吐出開口はこの場合、吐出される成分が容器とミキサの間で制御できない形で漏れることがないように、一定の封止が達成されるような形で互いに適合されると好ましい。
【0025】
容器に成分を輸送かつ貯蔵するために、容器は密閉されていると好ましい。同時に、容器の開通はできる限り簡易になるようにすべきである。これは本発明によると、上記容器が各場合とも吐出開口を有し、該吐出開口に各場合とも封止プランジャが割り当てられ、該プランジャを、吐出される上記成分の圧力によって、上記吐出開口を封止する位置から、上記吐出開口を開通させる位置に移動させることができることから達成される。つまり、封止プランジャは、例として成分の吐出中に発生する圧力によって、吐出開口から押し出されるような形で配置される。これにより、シールまたは同様の閉鎖具を別個の作業ステップで取り外す必要なく、容器を直感的に開通させることが可能になる。
【0026】
本発明による分注装置を、適切な場合は交換可能なミキサも用いて、繰り返し使用するために、各成分は、容器またはその出口流路内ではまだ互いに作用できないように、ミキサ内で初めて互いに接触させるようにすべきである。このために、異なる成分を収容するための2つ以上のチャンバを備える上記容器では、各チャンバが、少なくとも上記容器の開通状態で、各場合とも1つの成分をミキサまたはアプリケータへ別個に通過させるための独立した流路に割り当てられる。したがって、各成分は常にミキサに別々に運ばれ、そこで初めて互いに接触する。
【0027】
上記封止プランジャを移動させて上記容器を開通状態にするだけで、上記流路が互いに分離されることから、これが実現できると好ましい。したがって、容器を開通する前はまだ、流路は完全な構造を有している必要も、互いに分離されている必要もない。したがって、容器の吐出領域と封止プランジャは、容器が開通した後に、流路を互いに分離している封止プランジャの周りを各成分が流れなければならないような形で構成することができる。
【0028】
容器が各場合とも、栓形の突出部を内部に部分的に備える、管で形成された吐出開口を有する場合、各成分を吐出するための環状の空間が、栓形の突出部と管の内側壁の間に残っている。この場合、上記封止プランジャが、上記吐出開口および/または環状の空間を封止するために、その栓形の突出部に封止する形で配置されるリングとして構成され、該リングが、上記栓形の突出部から遠位方向に、上記吐出開口を開通させる位置へと移動させることができると好ましい。このとき、容器内で各成分を輸送、貯蔵している間、容器は、その近位端は吐出プランジャによって、その遠位端は封止プランジャによって、封止するように閉鎖される。この環状の封止プランジャは、栓形の突出部と吐出開口を画成する管の内側壁との間にある環状の空間を封止する。吐出手続きの始めに、封止プランジャが、吐出される成分の圧力の結果、栓形の突出部から外れるように遠位方向に移動する。これにより、成分が、まず、栓形の突出部と管の内側壁の間の環状の空間を通り、その後、封止プランジャの中心開口を通ってミキサの方向に流れることが可能になる。
【0029】
ここで、上記栓形の突出部と上記封止プランジャを合わせた長さは、上記管の長さよりも短いと好ましい。それによって、封止プランジャを遠位方向に十分前方へ押し動かすことができ、その結果、各成分を妨げずに排出することができる。封止プランジャの前進運動は、例えば吐出開口に挿入されたミキサの入口開口によって制限することができる。
【0030】
上記開通手段が封止要素として封止プランジャを有し、該封止プランジャを、上記それぞれ容器内の分注される成分の内部圧力によって、封止された輸送/貯蔵位置から、開通した使用位置に移動させることができる場合、本発明による分注装置は、別個の閉鎖キャップなどを輸送または貯蔵中に設ける必要なく、特に簡単に直感的に開通させることができる。この場合、上記封止プランジャに開口、詳細には軸方向に延びる開口を、上記少なくとも1つの分注される成分が上記封止プランジャの上記使用位置でのみ流れることができるような形で設けることができる。したがって、この、封止プランジャの内部へ軸方向に延びていると好ましい開口を介して、成分の分注が行われる。これの代替方法または追加で、上記封止プランジャの使用位置で、少なくとも1つの流路状の開口が、上記封止プランジャと上記吐出開口の間に形成されるように、上記封止プランジャが、吐出開口の内側輪郭形状よりも規定された形で小さい外側輪郭形状を有する。したがって、上記少なくとも1つの分注される成分がこの流路状の開口を通って流れる。つまり、この流路状の開口は、成分が上記封止プランジャを側方から迂回する迂回路の形で機能する。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態によると、上記分注装置が、互いに一体的に連結された2つの容器と、各吐出プランジャを上記容器内で同時に前進させるためのプランジャ・ロッド機構とを備える、ダブル・チャンバ・シリンジとして構成される。このタイプのダブル・シリンジは特に、歯科分野で使用される硬化可能な2つの成分システムの吐出に適している。ミキサが交換可能であることから、初回の使用の後に容器の残りの内容物を処分する必要はまだなく、いくつかの異なる用途で容器に収容された成分を吐出することが可能になる。本発明による分注装置は基本的に、特に追加の作業ステップなしに直感的に開通させることが可能であることから、使い捨て用途にも適している。
【0032】
上記で説明した特徴とは別に、本発明による分注装置は、他の問題も解決する。「u−TAH(商標)nano」という名称の容器が、TAH Industries Inc.社(Robbinsville、USA)から販売され、同軸方向に基本的に前後に配置された鉢(pot)状の移送プランジャによって内容物を排出することができる、2つのチャンバを有する。この容器は、適切な場合は、別個のミキサまたは同様のアプリケータを固定するために、初回の使用の前に取り外さければならない閉鎖キャップ付きで供給される。「u−TAH(商標)nano」容器は、例として「Centrix(登録商標)」という名称でCentrix、Inc.社(Shelton、USA)から販売されている吐出ガンへの連結に適した保持区画を有する。このタイプのガンについては、欧州特許第1256389A2号にも記載されている。
【0033】
このタイプの吐出ガンは、1成分の歯科用複合材料を吐出するための事前装填チップ(PLT)として知られているもの用の手動ディスペンサとして、あらゆる歯科業務の大部分にみられる。したがって、経済的な観点から、こういった既存のディスペンサまたはガンが、でるだけ多数の歯科用材料群に、詳細には2成分システムにも、使用されることが望ましい。
【0034】
したがって、本発明によると、高いユーザーフレンドリー性を提供すると同時に、成分の確実な貯蔵を可能にする容器が提案される。これは基本的に、成分を収容するための少なくとも2つのチャンバと、上記少なくとも2つのチャンバから各成分を同時に吐出するプランジャ手段と、容器に事前取り付けされた、上記少なくとも2つのチャンバから吐出された各成分を混合するためのミキサと、上記ミキサを取り外すことなく開通させることができる、上記少なくとも2つのチャンバを封止する封止手段とを有する、少なくとも2つの成分を貯蔵かつ、詳細には吐出ガンなどによって、吐出するための容器により実現される。この場合、プランジャ手段は、プランジャに割り当てられた少なくとも1つのプランジャ・ロッドを有し、このプランジャ・ロッドは、成分の吐出前はミキサと反対側にある容器の保持区画の前面と基本的に同じ高さに設けられるように、その保持区画内に案内される形で移動可能なように収容される。本発明は、納入状態で事前取り付けされたミキサを備える容器と、上記ミキサを取り外すことなく開通させることができる封止手段と、容器が輸送または貯蔵中に望ましくない形で開通されないようにする輸送固定装置との組合せであることから特に優れている。
【0035】
最後に述べた機能は、プランジャ手段に割り当てられたプランジャ・ロッドが、ミキサと反対側にある容器の保持区画の外へ著しく突出しないように、その保持区画に案内される形で移動可能なように収容されることから実現される。つまり、プランジャ・ロッドの端部は基本的に、意図せず圧力をかけることができないように、ミキサと反対側にある保持区画の前面と同じ高さになっている(すなわち、プランジャ・ロッドの端部と保持区画の前面は基本的に共通平面内にある)。プランジャ・ロッドの端部をミキサと反対側にある容器の保持区画の前面と同じ高さに設けるということは、厳密に同じ高さの配置だけでなく、むしろプランジャ・ロッドが保持区画の前面をよりも2、3ミリメートル(ほぼ1〜ほぼ2mm以下であると好ましい)突出することも意味すると、下記から理解されよう。この構造の場合、容器はまた、例えば「Centrix(登録商標)」ガンなどの、上記のタイプの吐出ガンまたはディスペンサでの使用にも適する。これに対し、プランジャ・ロッドがミキサと反対側にある保持区画の前面に対してわずかに引っ込んでいるかどうかは、輸送固定装置の機能にとって重要なことではない。わずかに引っ込んでいても、せいぜい、容器を完全に空にする可能性が制限される程度である。
【0036】
ミキサが本発明に従って容器に事前取り付けされている場合、容器を、時間のかかる取り付けステップなしで、直ちに使用状態にすることができる。この事前取り付けされたミキサとは、容器の納入状態にすでに、その容器上の、やはり成分の吐出に基本的に適した位置に設けられたミキサ、詳細には静的ミキサであると理解されよう。このことは、適切な場合、容器を初回の使用前に開通させるために、ミキサまたはミキサの混合管および/または吐出管を容器に対してわずかに回転かつ/または移動させなければならない可能性は除外されない。ただし、ミキサが、成分の吐出に適した目標位置にすでに位置しているような形で、容器に事前取り付けされると好ましい。
【0037】
上記で説明した特徴とは別に、本発明の他の基本的な態様が、容器のプランジャ手段が、容器の保持区画内で案内されるプランジャ・ロッドと、連結されたチャンバから成分を吐出するための作動区画とを有する、移送タペットを有する点にある。作動区画は各場合とも、チャンバ内で移動できるプランジャと相互作用することができる。本発明の特に好ましい実施形態によると、移送タペットは、容器の各チャンバがプランジャ・ロッドからミキサの方向に突出している別々の作動区画に割り当てられるように、構成される。それによって、移送タペットのプランジャ・ロッド1本の前進によって2つ以上の作動区画を同時に前方へ押し動かすことができ、その結果全てのチャンバを同時に空にすることができるため、本発明による容器の操作はさらに簡略化される。このことによりまた、移動可能なタペットを1つだけ備える、例えば吐出ガンなどの吐出装置における、本発明による容器の使用も簡略化される。この本発明の考えを発展させると、移送タペットのプランジャ・ロッドと作動区画を一体的に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態による分注装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図3】図1による分注装置を示す概略分解図である。
【図4】閉鎖状態にある図1による分注装置を示す他の概略縦断面図である。
【図5】開通状態にある図4による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図6】図1による分注装置の容器の遠位端の概略図である。
【図7】ミキサが取り外された図1による分注装置を示す概略斜視図である。
【図8】図1による分注装置のロック・リングを示す概略斜視図である。
【図9】ロック・リングが無い図1による分注装置の拡大概略図である。
【図10a】ミキサを解放する位置にある図1による分注装置を部分的に示す概略縦断面図である。
【図10b】ミキサを定位置にロックする位置にある図1による分注装置を部分的に示す概略縦断面図である。
【図11a】ミキサを解放する位置にある図1による分注装置のロック・リングを示す概略断面図である。
【図11b】ミキサを定位置にロックする位置にある図11aによる本発明の分注装置のロック・リングを示す概略断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による分注装置を示す概略部分断面分解図である。
【図13a】アプリケータを解放する位置にある図12による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図13b】アプリケータを定位置にロックする位置にある図12による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図15】図14による分注装置を示す概略分解図である。
【図16】本発明の第4の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図17】図16による分注装置を示す概略分解図である。
【図18】本発明の第5の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図19】図18による分注装置を示す概略分解図である。
【図20】ミキサが取り外された図18による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図22】図21による分注装置を示す概略分解図である。
【図23】ミキサが取り外された図21による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図24】本発明の第7の実施形態による分注装置を示す概略斜視図である。
【図25】図24による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図26】図24による分注装置を示す概略分解図である。
【図27】ミキサが取り外された図24による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図28a】閉鎖状態にある図24による分注装置の一部分を示す概略縦断面図である。
【図28b】開通状態にある図24による分注装置の一部分を示す概略縦断面図である。
【図29】図24による分注装置の封止プランジャを示す概略斜視図である。
【図30】本発明の第8の実施形態による容器を示す概略斜視図である。
【図31】図30による容器を示す概略分解図である。
【図32】図30による容器を示す概略断面図である。
【図33】本発明の第9の実施形態による容器を示す概略分解図である。
【図34】図33による容器を示す概略断面図である。
【図35】本発明の第10の実施形態による容器を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明について、例示的実施形態に基づき、図面を参照して詳細に説明する。説明かつ/または図示する特徴は全て、各請求項の組合せまたはその従属関係によらず、単独でも任意の所望の組合せでも本発明の対象になる。
【0040】
図1〜11bに示されている分注装置1は、基本的に、2つの容器2aおよび2bと、それらの容器に交換可能なように固定できるミキサ3と、ミキサ3をロックするためのロック・リング4と、プランジャ・ロッド機構5とからなる。以下の説明では、分注装置1のミキサ側の端部を遠位端と呼び、その反対側の、分注装置1のプランジャ・ロッド機構5が設けられている端部を近位端と呼ぶ。
【0041】
異なる断面を有し、ひいては異なる容積を有することができる2つの容器2aおよび2bは、この場合、プランジャ・ロッド機構5と共に、ダブル・チャンバ・シリンジを形成する。このシリンジを用いると、プランジャ・ロッド機構を前進させることによって、容器に収容された成分、好ましくは硬化可能な歯科用製品を生成するための成分を、それ自体周知の形で吐出することができる。図示されている実施形態では、容器2aおよび2bは基本的に、円筒形のカートリッジとして構成され、このカートリッジは、その近位端にあるハンドル6と遠位端にある共通フェースプレート7とによって互いに連結される。容器2aおよび2bはそれぞれ、近位端に開口を有し、その開口から、プランジャ・ロッド機構5が容器2aおよび2b内に差し込まれる。その反対側つまり遠位端に、各容器は、フェースプレート7よりも遠位方向に延びる管として構成される吐出開口8aおよび8bを備える。
【0042】
プランジャ・ロッド機構5は、2本のプランジャ・ロッド5aおよび5bを有し、それらのプランジャ・ロッドは互いに一体的に連結され、それぞれの遠位端に吐出プランジャ9aまたは9bを担持している。吐出プランジャ9aおよび9bは、この場合、円筒形の容器2aおよび2b内で、同期して封止的に移動可能である。例えば図1および2から分かるように、複数の切欠きを備える制御ロッド10が、2つのプランジャ・ロッド5aおよび5bの間に設けられ、プランジャ・ロッド5aおよび5bと平行して、容器2aおよび2bの間を通って延びる。先端部付きのキャッチ・フック11が、ハンドル6の2つの容器2aと2bの間に設けられる。キャッチ・フック11は、その先端部が制御ロッド10の切欠きと係合するような形でハンドル6および容器2a、2bに固定され、その次の切欠きにロックするために制御ロッド機構5を前進させると、制御ロッド10の切欠きから押し出される。これにより、プランジャ・ロッド機構5の容器2a、2bに対する不注意な移動を防止する一定のセーフガードが可能になる一方で、プランジャ・ロッド機構が移動した場合は、使用者が触感および/または音によるフィードバックを受ける。このフィードバックにより、成分を容器2a、2bから定量吐出させることが可能になる。さらに、容器2a、2bからすでに吐出された成分の量および/またはその容器に含まれている残量を、制御ロッド10の位置によって読み取ることができるような形で、制御ロッド10に割り当てられた目盛(図示せず)を、容器2a、2bに設けることもできる。
【0043】
図1〜3では、制御ロッド10の切欠きとその間の突起部分は、均一に構成、つまりそれぞれ同じ深さ、同じ高さを有する。図1〜3の実施形態の変更形態では、取付許容範囲をより大きくする一方で、容器から成分を吐出する最初の抵抗を低減するために、分注装置1の初回の使用時にキャッチ・フック11の先端が通過しなければならない最初の突起部分を、より低くなるように、または制御ロッド10から省くように構成することができる。このタイプの構成が図35に示されており、それについて下記に詳細に説明する。この考えを発展させると、容器から成分を吐出するための最初の大きな力に、抵抗力によって対向するために、分注装置1の初回の使用時にキャッチ・フック11の先端が通過しなければならない2つ目の突起部分を、より急勾配にまたはより大きくなるように制御ロッド10に構成することができる。この形にすると、分注装置1の初回の使用時に吐出プランジャ9a、9bが急激に解放された場合に、過大な量の成分が意図せず容器から吐出されるのを防止することができる。
【0044】
図4、5から詳細に分かるように、栓形の突出部12が各場合とも、吐出開口8aおよび8bに設けられ、容器2a、2bおよび吐出開口8a、8bを形成する管と一体的に構成される。この場合、栓形の突出部12は吐出開口8a、8bの小さな近位領域だけに延び、吐出開口8a、8bの管の残りの遠位領域は最初は空になっている。それによって、環状の空間が、吐出開口8a、8bの管の内壁と栓形の突出部12の外側表面の間に形成され、この空間を通して、容器2a、2bに収容された成分を吐出することができる。
【0045】
輸送および貯蔵中に容器2a、2bを封止することができるように、封止プランジャ13が、各栓形の突出部12に配置される。封止プランジャ13は、栓形の突出部12の外側表面と吐出開口8a、8bの管の内側表面の間の環状の空間を封止するように閉鎖するリング、または小さな管として構成される。同時に、封止プラグ13は、吐出開口8a、8bの管内に移動可能なように取り付けられる。それによって、封止プランジャ13は、図4の容器2a、2bを封止する位置から、図5の開位置へと、遠位方向に移動させることが可能になる。
【0046】
この封止プラグ13の移動は、プランジャ・ロッド機構5および吐出プランジャ9a、9bによって容器2a、2bに収容されている成分に圧力がかけられることにより行われる。この圧力が十分高くなると、封止プラグ13が、栓形の突出部12から遠位方向に押し動かされて、その結果、成分が、まず栓形の突出部12の周りの環状の空間を通り、封止プランジャ13の中心開口を通って、容器2a、2bから流出することができる。吐出開口8a、8bを形成する管の長さは、この場合、栓形の突出部12と封止プランジャ13を合わせた長さより長くなるような形で寸法決めされる。これにより、封止プランジャ13を栓形の突出部12から完全に取り外し、遠位方向に移動させることができるようになる。
【0047】
ミキサ3は、図の実施形態では、静的ミキサとして構成され、基本的にハウジング14とミキサ螺旋体15からなる。ただし、本発明による分注装置1は基本的に、動的ミキサを有することもできる。
【0048】
ミキサ3のハウジング14は、例えばミキサ螺旋体15が収容される混合チャンバを画成する円筒形の管14aからなり、その遠位端に、出口開口16が形成される。ハウジング14の円筒形の管14aは、フランジ14bを介して、ロック・リング4に挿入してミキサ3を容器2a、2bと連結できる楕円形の区画14cに結合する。
【0049】
ハウジング14に収容されるミキサ螺旋体15は、容器2a、2bから吐出される成分のための入口開口を画成する、2つの円筒形の連結部分17a、17bと一体的に構成される。入口開口17a、17bのサイズはこの場合、入口開口の連結部分17a、17bを吐出開口8a、8bの管内に封止する形で挿入することができるような形で、吐出開口8a、8bのサイズに適合される。あるいは、上記入口開口内に管8a、8bを挿入することもできる。この場合の連結部分17a、17bは、封止プラグ13が栓形の突出部12から完全に外れることができるように、吐出開口8a、8bの管内の小さな領域にのみ延びる。入口開口の連結部分17a、17bはこの場合、封止プラグ13の遠位方向への移動を制限するために、封止プラグ13のためのストッパを形成することもできる。
【0050】
入口開口の連結部分(ソケット)17a、17bおよびミキサ螺旋体15は、容器2a、2bから吐出される成分が、ハウジングの円筒形の管14a内まで互いに別々に運ばれるように、それ自体周知の形で構成される。2つの成分がハウジングの円筒形の管の混合空間で、ミキサ螺旋体15の多数のミキサ渦巻部によって互いに混合されてから、互いに混合された成分がミキサ3から出口開口16を通って流出する。
【0051】
図9の描写から特にはっきりと分かるように、2つのばねアーム18が、容器2a、2bのフェースプレート7に形成され、吐出開口8a、8bの管と基本的に平行に遠位方向に延びている。ばねアーム18はこの場合、容器2a、2bおよびフェースプレート7と一体的に構成される。ばねアーム18の長さはこの場合、ミキサ3のハウジング14の楕円形の区画14cの高さにほぼ一致する。ばねアーム18は各場合とも、フェースプレート7としっかり連結されるが、フェースプレート7と反対側にある自由端部19は径方向に弾性的に旋回できるような形で構成される。つまり、ばねアーム18の自由端部19は、径方向内向きつまり互いに向かって、または径方向外向きつまり互いに反対向きに旋回することができる。
【0052】
各ばねアーム18は、その自由端部19の領域で、径方向内向きに向いているリブ20を担持している。リブ20は、容器の方、つまり近位方向に向いたストッパ面を画成する。それに対応するキャッチ21が、ミキサ3のハウジング14の楕円形の区画14cの互いに対向する2つの側部に形成され、遠位方向に向いたストッパ面を画成する。ハウジング14の寸法とばねアーム18の寸法はこの場合、図9、10aおよび11aに示されているばねアーム18の無荷重状態で、ミキサ3を容器2a、2bに装着でき、キャッチ21が、ばねアーム18を変形させることなく、ばねアーム18のリブ20を通過できるようなものに選択される。この状態では、ばねアーム18のリブ20は、ミキサ3のキャッチ21と接触しないので、ミキサ3は容器2a、2bから再び外れる可能性がある。
【0053】
キャッチ22が各場合とも、フェースプレート7の領域の、各ばねアーム18の外側側面に設けられる。このキャッチはこの場合、近位方向を向いているストッパ面を画成するような形で構成される。これらのばねアーム18のキャッチ22は、ロック・リング4を容器2a、2bに固定する働きをする。
【0054】
ロック・リング4はこのために、例えば図8、10a、10bの描写から分かるように、ロック・リング4をばねアーム18に係止できるような形で構成、配置された、2つのスロット形の陥凹部23を有する。ばねアーム18を規定された形で取り付けるための挿入表面24が、溝状の凹みの形でロック・リング4に構成される。挿入表面24は、ロック・リング4の近位前面から、側方に隣接するスロット形の陥凹部23まで延び、キャッチ22のための案内表面を形成する。図10aおよび10bに示されているように、ばねアーム18のキャッチ22は、ロック・リング4にあるスロット形の陥凹部23の中に係合する。それによって、ロック・リング4は、容器2a、2bに軸方向に固定式つまり係留式に保持され、容器2a、2bに対して回転することができる。最大限可能な回転移動量はこの場合、スロット形の陥凹部23の長さとキャッチ22の幅によって規定される。示されている実施形態では、スロット形の陥凹部23の長さは、キャッチ22の倍の幅にほぼ対応する。したがって、ロック・リング4をほぼ90°回転させることが可能である。
【0055】
図8に示されているように、キャッチ突出部25が、スロット形の陥凹部23の中心に設けられる。このキャッチ突出部25は、容器2a、2bに対するロック・リング4の回転を妨げるロックを形成する。しかしながら、ばねアーム18のキャッチ22はキャッチ突出部25を通り抜けることができ、そこで、使用者は、ロック・リング4が2つの回転終了位置の一方に達したことを示す触覚フィードバックを受け取る。スロット形の陥凹部23がこの示されている実施形態のものより長く構成されている場合は、ロック・リング4の2つの回転終了位置を規定する2つのキャッチ突出部25を設けてもよい。
【0056】
図8、9および図11a、11bからも分かるように、ガイド・ウェブ26が、容器2a、2bのフェースプレート7に形成され、各場合とも2つのばねアーム18の間にほぼ弓状に延びる。これらの円弧状に延びるガイド・ウェブ26は、ロック・リング4の内径にほぼ一致する外径を有する。この形で、ロック・リング4は、ばねアーム18の下側区画に加えて、ガイド・ウェブ26によっても、容器2a、2bのフェースプレート7に回転式に案内される形で保持される。ガイド・ウェブ26はこの場合、ロック・リング4が径方向内向きにばねアーム18同士の間の領域に押し込まれるのを防止する。ロック・リング4はそのように押し込まれると、ばねアーム18から望ましくない形で外れるような形で変形する可能性がある。したがって、ガイド・ウェブ26により、ロック・リング4を容器2a、2bに捕捉式に固定することが可能になる。
【0057】
組立ロックが、図8、9および図11a、11bに示されている。この組立ロックは、ロック・リング4が、容器2a、2bへ取り付けた後に、非破壊的に取り外されるのを防止する。組立ロックは、各場合とも容器2a、2bのフェースプレート7から軸方向に延びるような形でガイド・ウェブ26の端部に形成された、2つの分解フィンガ27を有する。組立ロックはさらに、挿入表面24に隣接してロック・リング4の内側側面に設けられた2つの分解リブ28を備える。2つの分解リブ28は、この場合基本的に楔形に構成され、径方向内向きに延びるロック表面が、各場合とも挿入表面24の、スロット形の陥凹部23と反対側の縁のすぐ隣に設けられる。このロック表面から始まる分解リブ28の面取りされた表面は、徐々に、一定の領域で円筒形になっているロック・リング4の内側輪郭形状に近づく。
【0058】
ロック・リング4をばねアーム18に装着すると、そのキャッチ22付きのばね表面が挿入表面24に摺動し、分解リブ28が、ばねアーム18と分解フィンガ27の間の空間に配置される。このとき、ロック・リング4を回転させると、分解フィンガ27が分解リブの面取りされた表面の上を摺動し、その後方でスナップ動作し、同時に、ばねアーム18のキャッチ22がスロット形の陥凹部23内に摺動する。ロック・リング4の非破壊的な逆回転が、分解リブ28のロック表面によって防止され、そのロック表面は分解フィンガ27に接触する。したがって、ロック・リング4は、容器に捕捉式に固定される。
【0059】
案内溝29が各場合とも、ロック・リング4の遠位端の領域にある内側の互いに向かい合う側面に設けられる。これらの案内溝29は、弧状に延び、その弧の、ロック・リング4の回転軸からの距離は一定ではない。ばねアーム18の自由端部19が各場合とも、上記案内溝29に嵌合する形状をした突出部として構成される。
【0060】
図10a、11a、10b、11bの描写から分かるように、ばねアーム18の自由端部19の突出部は、ロック・リング4がばねアーム18に係止されると、ロック・リング4のそれぞれ案内溝29と係合する。図10aおよび11aに、この場合ばねアーム18の自由端部19が案内溝29の最も径方向外側の領域と係合するロック・リング4の位置が示されている。
【0061】
このときロック・リング4を容器2a、2bに対して回転、したがってばねアーム18に対して回転させると、ばねアーム18の自由端部19が径方向内向きに押し動かされて案内溝29の内部に入る。これは図10bおよび11bに示されている。それによって、ばねアーム18のリブ20は、キャッチ21の後方でミキサ3を把持する。したがって、ミキサ3は、容器2a、2bに軸方向にしっかりと保持される。案内溝29内でばねアーム18の自由端部19を制御することによりさらに、リブ20がキャッチ21との係合から抜け出るような形で、ばねアーム18が径方向外向きに押し動かされることが防止される。それによって、ミキサと容器の間の連結の意図的でない解放を防止することができる。
【0062】
反対方向へのロック・リング4の回転によってのみ、ばねアーム18の自由端部19が再び、径方向外向きに、図10aおよび11aに示されている位置へ移動して、ミキサ3が解放される。したがって、容器2a、2bに対してロック・リング4を回転させることにより、ミキサ3が容器に非常に信頼性がある形でロックされ、あるいは、ミキサが解放されて、それを容器2a、2bから取り外すことができる。ロック・リング4はこの場合、ばねアーム18で定位置に係止されることにより、容器2a、2b上に留まる。
【0063】
ロック・リング4は、中心開口を有し、そこをミキサハウジング14の楕円形の区画14cが通過することができる。この開口は、ロック・リング4が図10aおよび11aに示されている位置の向きにある場合に限ってミキサ3を容器2a、2bに装着することができるような形で、楕円形の区画14の外側輪郭形状に適合される。この位置で、入口開口17a、17bもまた、吐出開口8a、8b内に係合する。
【0064】
本発明の他の実施形態が図12〜29に示されている。分注装置1の上記構成部品と同様の部品は、同じ参照番号で示される。
【0065】
本発明による分注装置1の他の実施形態が、図12、13aおよび13bに示されているが、容器2は1つだけ設けられている。中心吐出開口8がこの容器2のフェースプレート7に設けられ、その開口に、封止プランジャ13が、図13aに示されている位置で容器2を封止するために、栓形の突出部12に保持される。封止プランジャ13は、容器2に含まれている成分の内部圧力によって、軸方向前方に移動させて図13bに示されている位置にすることができ、それによって容器が開通する。
【0066】
図12〜13bによる分注装置の結合手段は基本的に、図1〜11bを参照して説明した上記のものと同一の構造を有する。それに対応して、ロック・リング4を、回転できるが軸方向に解放しないように容器2に固定するために、ばねアーム18およびガイド・ウェブ26とやはり分解フィンガ27が、容器2の前面に設けられる。ミキサの代わりに、アプリケータ30が、図12〜13bによる実施形態に吐出開口の形で設けられる。アプリケータ30は、上記でミキサ3について図1〜11bを参照して説明したように、ロック・リング4によって容器2に固定することができる。
【0067】
本発明による分注装置の第3の実施形態が図14および15に示されている。この実施形態では、やはり2つの容器2aおよび2bが設けられる。容器2aおよび2bはこの場合、上記で図1〜11bを参照して説明したように互いに隣接して配置されず、互いに同心に配置される。2つの容器2a、2bの吐出開口はこの場合、共通の吐出連結部分31に通じ、この吐出連結部分に、上記で説明した実施形態のものと同様の形で、封止プランジャ13が1つだけ設けられる。この封止プランジャは、図14に示されている状態で容器2a、2bの吐出開口を両方共封止し、外側環状容器2aにある成分の内部圧力によって、その両方の吐出開口が解放されるような形で、軸方向前方に押し動かすことができる。
【0068】
図14および15に示されているミキサ3は基本的に、その構造の点からも、ロック・リング4による結合手段を用いた容器2a、2bとの連結の点からも、上記で図1〜11bを参照して説明した構造に対応する。ただし、図14および15によるミキサ3は、吐出連結部分31との連結に適合された入口開口17を1つだけ有する。
【0069】
図14〜15による分注装置はさらに、プランジャ・ロッド機構(図示せず)を有し、この機構によって、容器2aおよび2bから各成分を同時に分注することができる。
【0070】
分注装置はまた、図16および17に示されている実施形態にある2つの容器2a、2bを備える。ただし、この容器は、互いに隣接して配置され、各場合とも断面がほぼ半円の形状をしている。したがって、2つの容器2a、2bは合わさってハウジングを形成する。そのハウジングは断面がほぼ円形で、分離壁32によって分割される。
【0071】
2つの容器2a、2bの吐出開口は、共通の吐出連結部分31に通じ、この吐出連結部分に、2つの容器を封止するための単一の封止プランジャ13が設けられる。ミキサ3の連結は、上記で図1〜11bおよび図14、15を参照して説明した実施形態に対応する。
【0072】
上記で説明した実施形態で示されている分注装置は基本的にシリンジとして構成されるが、カプセル形の小型カートリッジ、PLT(事前充填チップ)として知られているものとして構成される実施形態について下記に説明する。このタイプの小型カートリッジは、それに含まれている成分を吐出するための前進可能なプランジャ(タペット)を有する吐出装置で使用するのに特に適している。
【0073】
図18〜20に、本発明による分注装置の他の実施形態が示されている。この実施形態は、基本的に軸方向に見て前後に配置される2つの容器2a、2bを有する。第1の容器2aは、部分的に円筒形であるプランジャ33と、吐出挿入体34とによって形成される。第2の容器2bは基本的に、円筒形のプランジャ33がやはり移動可能な形で案内される分注装置自体のハウジングと、吐出挿入体34を環状に取り囲むプランジャ35とによって画成される。
【0074】
2つの容器2a、2bの吐出開口が、共通の吐出連結部分(ソケット)31に通じている。この吐出連結部分に封止プランジャ13が設けられ、図18による位置で吐出開口を封止する。容器2aおよび2bの吐出開口を両方とも開通させるために、吐出連結部分31内部で封止プランジャ13を軸方向前方に、つまりミキサ3の方へ、容器2bに含まれている成分の圧力によって押し動かすことができる。
【0075】
ミキサ3は、この実施形態では、上述のようにロック・リング4を備える結合手段によって容器に固定される。
【0076】
容器2a、2bに含まれている成分を分注するために、円筒形のプランジャ33が、ミキサ3の方向に前方へ押し動かされる。それによって、容器2aに収容されている成分を吐出挿入体34を通して吐出連結部分31へ送出するために、容器2aの容積が縮小される一方、それと同時に容器2bの容積も縮小し、そこに収容されている成分を同様に吐出連結部分31へ送出するために、円筒形のプランジャ33の軸方向前方の前面によってプランジャ35が前方へ押し動かされる。
【0077】
図18および20で詳細に分かるように、プランジャ35は、封止リングによって、2つの容器の外側円筒形のハウジング壁に対して封止される。同じ形で、吐出挿入体34が、封止リングによって、円筒形のプランジャ33に対して封止される。
【0078】
分注装置の構造の観点から上記の実施形態に類似している実施形態が、図21〜23に示されている。ただし、前後に配置される2つの容器2a、2bの吐出開口は、共通の吐出連結部分31に通じておらず、むしろ、図1〜11bによる実施形態に類似した形で、2つの別個の封止プランジャ13によってそれぞれ封止される2つの別個の吐出開口8a、8bが設けられる。吐出挿入体34を中心に配置していることから、容器2bに収容された成分のための吐出開口8bが偏心して配置される。ミキサ3もまたそれに対応して、2つの容器に偏心式に配置される。ミキサ3を解放可能なように連結するための結合機構もまた、同じ形で偏心式に配置される。
【0079】
小型カートリッジとして構成された分注装置の他の実施形態が、図24〜29に示されている。小型カートリッジはやはり、基本的に円筒形のハウジングと、そのハウジングを後方で封止し、ハウジングの定位置にロックできる蓋とで構成される。それぞれほぼ半円形の断面を有し、容器2aおよび2bを画成する、2つのチャンバが、ハウジング内部に形成される。この容器の容積は、ハウジングの定位置に係止される蓋を部分的に貫いて延び、2つの容器2a、2b内に部分的に突出するプランジャ・ロッド機構5によって、規定された形で縮小させることができる。ミキサ3を解放可能なように固定するためのロック・リング4を備える結合手段が、蓋と反対側にある、容器2a、2bの前面に設けられる。この結合手段は基本的に、ロック・リングを回転させることによって径方向内向きと径方向外向きに動かすことができるばねアーム18による、上記で説明した構造および機能を有する。
【0080】
隣接して配置された2つの容器2a、2bはそれぞれ吐出開口8a、8bを有し、これらの吐出開口は、示されている実施形態ではほぼ楕円形の断面を有するように構成された共通吐出連結部分31に通じている。ミキサ17はそれに対応して、同様に吐出連結部分31内に挿入できるように基本的に楕円形になっている入口開口を備える。入口開口17は、下記に詳細に説明するように、容器2a、2bから吐出される成分をミキサのミキサ螺旋体15のところまで別々に案内できるように、分離要素によって2つの区画に小分割される。
【0081】
図25に示されている納入状態では、2つの容器2a、2bは、封止プランジャ13’によって封止されている。図29に詳細に示されている封止プランジャ13’は、横断壁から後方に突出する、つまりミキサ3と反対の方を向いている、2つの封止ブロック36を有する。封止ブロックの外側輪郭形状は、吐出開口8a、8bの内側輪郭形状と合致する。図28aによる描写では、封止ブロック36は、吐出開口8a、8b内に突出し、それらを封止する。間隙状の空間が、2つの封止ブロック36の間に形成され、吐出連結部分31内部の2つの吐出開口8a、8bの間に設けられた分離壁37の矩形の輪郭形状と合致する。したがって、封止プランジャ13’は、分離壁37上を図28aに示されている閉位置から、軸方向前方へ図28bに示されている開位置まで案内される形で移動させることができ、それによって、2つの吐出開口8a、8bが解放される。したがって、成分が、容器2a、2bから吐出開口8a、8bを通って封止プランジャ13’を通過し、吐出連結部分31へと流れることができる。
【0082】
封止プランジャ13’を分離壁37上で移動させるために、通気口が、封止プランジャ13’の横断壁に設けられ、半円形の通気路が同様に、閉鎖状態で分離壁37を収容する空間に隣接する封止ブロック36に形成される。つまり、封止プランジャ13’を分離壁37に載置し押し付けることができる。容器2a、2bから吐出される成分をミキサ3のミキサ螺旋体15へ別々に方向付けるような形でミキサ3の入口開口17と相互作用する突出部が、封止プランジャ13’の2つの封止ブロック36と反対側の側面に形成される。
【0083】
上記に説明した実施形態は、対応する数の容器に収容された1つまたは2つの成分のための分注装置を示している。原則的に、より多数の様々な成分を吐出するために、3つ以上の容器を設けることもできる。様々な容器の機構を互いに組み合わせてもよい。
【0084】
本発明の他の実施形態が図30〜32に示されている。容器の基本的な構造は、図19〜28によるものに対応する。図30〜32には、小型カートリッジとして構成される容器100が示されている。小型カートリッジはやはり、内側および外側が基本的に円筒形のハウジング102と、ハウジングを後方で封止し、ハウジングの定位置に係止できる蓋103とで構成される。ほぼ半円形の断面をそれぞれ有する2つのチャンバ104aおよび104b(図34)が、ハウジング内部に形成される。このチャンバの容積は、ハウジング102の定位置に係止される蓋103を部分的に貫いて延び、2つのチャンバ104a、104b内に部分的に突出するプランジャ・ロッド機構115によって、規定された形で縮小させることができる。
【0085】
ミキサ108を解放可能に固定するためのロック・リング107を含んだ結合手段106が、蓋103と反対側の、チャンバ104a、104bの前面に設けられる。ロック・リング107は、容器100の定位置に確実に係止され、図1〜29を参照して上記に詳細に説明したように、ミキサ108の取り付け/取り外しのための結合手段106を解放する位置と、ミキサ108が容器100の定位置に確実にロックされる、結合手段106をブロックする位置との間で、容器100に対して回転させることができる。
【0086】
ミキサ108は、示されている実施形態では、ミキサ螺旋体108bを備える吐出管108a、つまり静的ミキサとして構成される。図30に示されている容器100の納入状態で、ミキサ108はすでに、追加の取り付けステップなしで容器を使用状態にできるような形で、容器100に事前取り付けされている。
【0087】
隣接して配置された2つのチャンバ104a、104bはそれぞれ、共通吐出連結部分(ソケット)110に通じる吐出開口109a、109bを有し、共通吐出連結部分は、示されている実施形態では、ほぼ楕円形の断面を有するように構成される。ミキサ108はそれに対応して、吐出連結部分110に挿入できるように、同様に基本的に楕円形の入口開口を備える。入口開口は、下記に詳細に説明するように、チャンバ104a、104bから吐出される成分をミキサのミキサ螺旋体108bのところまで別々に案内できるように、分離要素によって2つの区画に小分割される。
【0088】
納入状態では、2つのチャンバ104a、104bは封止プランジャ111によって封止されている。封止プランジャは、横断壁から後方に突出する、つまりミキサ108と反対の方を向いている、2つの封止ブロックを有する。ブロックの外側輪郭形状は、吐出開口109a、109bの内側輪郭形状と合致する。間隙状の空間が、2つの封止ブロックの間に形成され、吐出連結部分110内部の2つの吐出開口109a、109bの間に設けられた分離壁112の矩形の輪郭形状と合致する。したがって、封止プランジャ111は、分離壁112上を閉位置から、軸方向前方へ吐出連結部分110を通って開位置まで案内される形で移動させることができ、それによって、2つの吐出開口109a、109bが解放される。したがって、成分が、図18〜29を参照して説明したように、チャンバ104a、104bから吐出開口109a、109bを通って封止プランジャ111を通過し、吐出連結部分110に入ってミキサ108へと流れることができる。この場合、成分は、ミキサに達するまで、封止プランジャ111に沿ってチャンバに別々に案内される。これによって流路内部での成分同士の混合が防止され、したがって容器の再使用が可能になる。
【0089】
容器100の蓋103は保持区画113を備え、保持区画113は、示されている実施形態ではミキサ108と反対側の側面の中心に位置し、容器から突出している。保持区画は、第1のほぼ円筒形の領域113aと、ミキサ108と反対側にある、第1の領域113aに対してフランジ状に広がった外径を有する第2の領域113bとを有する。したがって、保持区画113は、欧州特許第1256389A2号による吐出ガン内の容器の固定に適している。
【0090】
保持区画113は、貫通開口を備え、この貫通開口に、納入状態で第2の領域113bの前面と同じ高さにプランジャ・ロッド114が設けられるような形で、移送タペット115のプランジャ・ロッド114が移動可能なように案内される。移送タペット115は、2つの作動区画116を有し、この作動区画はそれぞれ、チャンバ104a、104bに割り当てられる。2つの作動区画116は、互いに一定の距離を隔てたところにあり、プランジャ・ロッド114からミキサ108の方向に、チャンバ内に突出する。そのチャンバ内に、吐出プランジャ117が移動可能な形で収容されている。移送タペット115は、プランジャ・ロッド114が保持区画113の貫通開口内に押し込まれると同時に、両方のチャンバ104a、104bの吐出プランジャ117を前方へ押し動かす作用を有する。
【0091】
窓122が、この実施形態では不透明な材料からなるハウジング102の、ミキサ108と反対側にある後部領域に設けられ、容器の軸方向に延びる。移送タペット115上にて、例えば色付きの点や突起などのマーキング要素123が、外から窓122を透かして見えるような形で窓122に割り当てられる。このとき、移送タペット115が、容器100内に成分を吐出するために押し動かされると、窓122でマーキング要素123の位置が変化し、それによって容器の充填レベルを監視することが可能になる。このために、窓122は目盛を備える。
【0092】
例えば感光性の成分などが収容されるチャンバでは、窓122の方向が吐出プランジャ117によって封止されるので、窓122が成分の貯蔵安定性に悪影響を及ぼすことはない。
【0093】
移送タペット115の移動経路全体にわたって窓122でマーキング要素123を点検できるようにするために、ハウジング102への蓋103の固定が、図18〜28による実施形態と比較すると、蓋103がハウジングを把持するのではなく、蓋103をハウジングの中に押し込み、そこで定位置に係止できるような形に変更される。
【0094】
ミキサ108は、追加の吐出管108cを備える。この管により、例えば歯科用にミキサ108から出てくる混合物の塗布が容易になる。
【0095】
タペット124によって容器100からシリンジのように成分を吐出することは、図33および34による実施形態に示されているように蓋103がフランジ状の縁部125を有すると、特に簡易な形で可能になる。タペット124とプランジャ・ロッド114は、蓋103のスリーブ状の案内区画で同時に案内できるように、互いに合致する輪郭形状を有する。成分を吐出するために、タペット124は、各作動区画116を連結している移送タペット115の壁に、プランジャ・ロッド114を把持するような形で支持される。
【0096】
図24〜29の実施形態の変更形態では、封止プランジャ113は、図35に示されているように、通気口なしで構成することもできる。この場合、容器100は、充填前に封止プランジャ113によって封止され、次いで、ミキサと反対側にある側面から充填される。吐出プランジャ117はそれぞれ、容器100内に挿入されたときに、残留空気が吐出プランジャ117を通って抜けることができるように、通気口129を備える構造を有する。吐出プランジャ117の通気口129を封止するために、プランジャ・ロッドの、吐出プランジャに連結された作動区画116の前面に環状突出部130を形成することができる。突出部130は基本的に、吐出プランジャ117の方向が開いている中空131を取り囲む、閉鎖された周囲壁からなる。通気口129を封止するために、各突出部130の壁は、吐出プランジャ117の対応する後部の壁と、封止する形で相互作用する。場合によっては存在し、通気口29から出てきた過剰な材料は、中空131に収容することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注される成分を収容するための少なくとも1つの容器と、容器に解放可能なように固定できるアプリケータと、アプリケータを容器に解放可能なように固定する結合手段とを備える分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロック可能なように取り付けられたロック・アームにより結合手段が形成された上記のタイプの分注装置が知られている(特許文献1)。ロック・アームは、ロック要素を軸方向に移動させることによって、ミキサを解放する位置から定位置にロックする位置に動かすことができる。それによってミキサの信頼性のあるロックと解放が可能になるが、超小型カートリッジの場合には、この分注装置が複数回の使用に十分な量の成分が収容されるカートリッジに特に適するように、ロック・リングの操作をさらに改良できることが分かる。
【0003】
ミキサを使用前すなわち工場でダブル・カートリッジの遠位出口領域に装着し、そのミキサと一体部品に設計された環状取付部品を回転させることによってミキサをバヨネット・ロック式に定位置にロックできる、使い捨て分注装置が知られている(特許文献2)。特許文献2の他の実施形態に、ミキサがキャッチ・フックによってダブル・カートリッジの定位置に固定される分注装置が示されている。ミキサがダブル・カートリッジから少し引き離され、ダブル・カートリッジに押さえ付けられる位置から外れると、カートリッジに収容された成分を吐出させるために、ダブル・カートリッジの吐出開口から封止プラグが解放される。ダブル・カートリッジの定位置へのミキサの固定は、この処理中にミキサがダブル・カートリッジから抜けなくなるようなものが選択されている。ミキサの完全な取り外しと交換はできず、むしろミキサは、破壊的な力を用いなければカートリッジから分離できなくなるような形で固定される。
【0004】
ミキサと一体部品であるキャップがダブル・カートリッジの吐出端にクリック止めされる上記と同様の装置も知られている(特許文献3)。成分を押し出すときの圧力の結果、閉鎖キャップをミキサと共に、カートリッジ吐出開口が閉鎖解除されるところまで遠位方向に前進させることができる。
【0005】
さらに、特許文献4に、ミキサがダブル・チャンバ・シリンジの定位置に固定される使い捨ての分注開口についても記載されている。ミキサはこの場合、第1段階でまず、ダブル・チャンバ・シリンジに、その吐出開口が封止され、そこから外れることができないような形で固定される。このとき、ミキサをダブル・チャンバ・シリンジの方向に前進させ、定位置に固定すると、ダブル・チャンバ・シリンジの両方の吐出開口が同時に閉鎖解除される。この周知の装置の場合さらに、封止に改良の余地があることが分かる。
【0006】
ミキサが定位置への固定によって容器に保持されている上記で説明した各分注装置には、ミキサを交換する方法を設けなければ、通常使い捨てにしか適さないという不利な点が見られる。大部分の使用事例では、互いに混合された成分は短時間であってもミキサの中で硬化してしまうので、新しいミキサを装着できないと、容器の残った内容物をまるごと廃棄しなければならない。
【0007】
ミキサを交換できるようにするために、多数の使用事例でバヨネット・ロックが設けられている。このバヨネット・ロックを使用すると、ミキサを容器の定位置にロックし、再び解放することができる。このタイプの機構は、ダブル・カートリッジに取り付けできるミキサについて記載した特許文献5から知られている。このミキサはさらに、バヨネットの舌片を担持する回転可能なロック・リングを備え、そのロック・リングをダブル・カートリッジに対して回転させることによって、舌片を容器のバヨネットの爪と係合させることができる。その結果、ミキサはダブル・カートリッジに確実に保持される。ロック・リングを逆回転させると、ダブル・カートリッジからミキサを再び解放することができる。
【0008】
しかしながら、このタイプのバヨネット・ロックは、一般に、比較的流動性のある成分の分注のみに適しているという不利な点を有する。より多様な成分をそれに対応してより高い吐出圧力で分注すると、容器のバヨネットの爪が径方向外向きに広がる恐れがあり、その結果、ミキサが操作中に外れる可能性がある。さらに、バヨネット・ロックはしばしば固着してしまい、したがってある程度、成分を望ましくない形で漏らすことなく開放することは困難である。
【0009】
さらに、再使用可能なシステムは通常、最初の使用前に使用者が取り外す別個の閉鎖キャップを付けて納入しなければならない。これにより、生成時、操作時共に、追加の手間が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ国特許第102005002850号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/005213号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第1430959A2号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1389448A1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0723807B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ミキサを容器に解放可能な形で確実にロックできるようにすると同時に、特に操作が簡単であることで優れている、上記のタイプの分注装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は基本的に、本発明によると、分注される1つの成分が充填され、少なくとも1つの封止要素によって周囲に対して封止するように閉鎖された、少なくとも1つの基本的に剛性を有する容器と、それぞれの上記容器内の内部圧力に応じて上記少なくとも1つの封止要素を規定された形で開通させる(すなわち内部圧力によって規定された開通が行われる)開通手段と、アプリケータを上記少なくとも1つの容器に解放可能なように固定する結合手段と、該結合手段によって解放可能なように固定されるアプリケータとを備える分注装置を提供することで達成される。本発明によるこのタイプの分注装置は、追加の作動段階および/または取り付け段階を行わずに直ちに使用できることから、操作が著しく改良されたことによって、周知の装置よりも優れている。つまり、本発明による装置ならば、別個の段階にて、例えばミキサなどとして構成されるアプリケータを容器に装着する必要も、容器を開通させる必要もなくなる。さらに、本発明による装置の場合、別個の閉鎖キャップも必要ない。それにも関わらず、少なくとも1つの容器に含まれている成分が初回の使用で完全に使用されていない場合は、アプリケータを交換することも可能である。
【0013】
上記の目的は、上記の特徴の代替方法または追加で、上記結合手段が、上記アプリケータを容器の定位置にロックするための径方向に旋回可能な自由端部を有する少なくとも1つのばねアームと、移動可能なロック・リングとを備える、上記のタイプの分注装置において、上記ロック・リングが、少なくとも1つの容器に回転可能だが軸方向に移動可能ではないように固定され、上記ロック・リングが、該ロック・リングのの回転の結果生じる上記ばねアームの旋回運動を制御するように、上記ばねアームと共に機能する(協働する)溝(ガイドおよび/または操舵部)を有する、分注装置によってよりいっそう達成される。つまり、ロック・リングを回転させると、ばねアームが、ミキサまたは同様のアプリケータに、それを少なくとも1つの容器の定位置にロックするような形で押し付けられて配置されるか、あるいは、アプリケータから径方向外向きに離れるように規定された形で案内され、その結果アプリケータが解放される。この、アプリケータを定位置にロックする、または解放するための回転運動は、分注装置が非常に小型の場合でも、特に操作が簡単であることで優れている。
【0014】
本発明の第1の実施形態によると、分注装置は、ニードル(中空)、吐出開口、スポンジまたはブラシがアプリケータとして解放可能なように固定される容器を1つだけ備える。この代替形態として、複数の容器を設けることも可能である。少なくとも2つの容器を備える分注装置の場合、各容器にミキサ、ニードル(中空)、吐出開口、スポンジまたはブラシをアプリケータとして解放可能なように固定することができる。本発明の他の有利な構造について、以下に、例として少なくとも2つの容器とアプリケータとしてミキサとを備える実施形態を参照して説明する。ただし、これらの例示的実施形態では各場合とも、そして本発明によると、設ける容器は1つだけでもよく、かつ/またはミキサを他の適当なアプリケータと交換することもできる。
【0015】
本発明による分注装置では、上記容器は各場合とも、遠位吐出開口およびそれと反対側にある近位開口と、上記遠位吐出開口と上記近位開口の間で移動させることができる吐出プランジャとを有すると好ましく、その結果、1つの成分を、上記吐出プランジャの軸方向の移動によって上記容器から上記吐出開口を通して吐出することができる。このとき、入口開口およびその反対側に出口開口を備える上記ミキサは、上記容器側に固定端部を有することができ、上記容器に固定されている状態では各場合とも上記入口開口が上記吐出開口と流体接続するような形で、上記容器に解放可能なように固定可能にすることができる。本発明の好ましい実施形態によると、上記結合手段が2つの互いに向かい合うばねアームを備え、上記ミキサを上記容器の定位置にロックするために、上記ロック・リングを回転させた結果、上記アームの上記自由端部を互いに向かって径方向に旋回させることができる。逆に、ロック・リングを逆回転させることによってミキサを解放することができる。ロック・リング逆回転させた結果、ばねアームの自由端部は互いに径方向外向きに旋回される。ミキサは、2つの互いに向かい合うばねアームによって、容器の定位置に特にしっかりとロックすることができる。
【0016】
本発明による分注装置の、互いに連結される構成部品の数が少ない特に簡易な設計は、上記少なくとも1つのばねアームの、上記自由端部とその反対側にある端部が、少なくとも1つの容器および/または容器の遠位端壁と一体的に連結されることから実現することができる。したがって、この分注装置の構成の場合、ミキサは、容器に一体的に連結されたばねアームによって、容器の定位置に直接ロックされる。
【0017】
上記少なくとも1つのばねアームが、上記ロック・リングを固定するための少なくとも1つのキャッチを有すると、ロック・リングを特に簡単に容器に係止することができる。ここで、上記ロック・リングが、少なくとも1つの陥凹部および/または少なくとも1つのキャッチ突出部を備え、この上記陥凹部および上記キャッチ突出部が、上記ロック・リングが回転できるが軸方向に移動できないように上記少なくとも1つのばねアームに固定されることによって上記容器に固定されるような形で、上記ばねアームの上記キャッチの幾何形状に適合されると好ましい。したがって、ばねアームは、一方ではロック・リングを係止する機能と、他方ではミキサを固定または解放する機能の、2つの機能を実行する。
【0018】
ミキサが定位置に十分にロックされ、成分の吐出中に容器から望ましくない形で外れないという確信を使用者が得るために、ロック・リングが、そのロック・リングを容器に対して少なくとも1箇所の回転位置にロックする(定位置に係止かつ/またはクリック止めする)、つまり解放可能に固定するためのロック手段(ブロック手段および/またはクランプ手段)を有すると好ましい。この場合、ロック手段は、ロック・リングが固定位置から望ましくない形で解放されないようにするだけでなく、さらに、所望のロックまたは解放位置に達したという触覚フィードバックを使用者に与える。
【0019】
本発明の考えを発展させると、上記ロック・リングが、そのロック・リングを上記容器に対して2箇所の回転位置にロックするための少なくとも1つのキャッチ突出部またはキャッチ陥凹部を、上記陥凹部内部に有し、上記2箇所の回転位置が、上記ミキサを上記容器に固定する位置と、上記ミキサを解放する位置とに対応するとされる。つまり、キャッチ状のキャッチ突出部が例えばロック・リングのスロット形の陥凹部に形成されることから、ロック・リングのロックを特に簡単に実現することができる。ばねアームのキャッチは、ミキサの定位置へのロックとミキサの解放とをそれぞれ実現する2つの目標位置のうちの一方に達するために、この突出部を通過しなければならない。
【0020】
上記少なくとも1つのばねアームが、詳細にはその自由端部の上記領域に、径方向内向きに向いているリブを有し、上記ミキサが、少なくとも1つの径方向外向きに向いているキャッチを有することから、ミキサを容器の定位置に特に簡単にロックすることができる。ばねアームが、ロック・リングの回転によって径方向内向きつまりロック・リングの回転軸の方向に押し動かされると、ばねアームのリブがミキサのキャッチの後方に配置され、その結果、ミキサは容器の定位置にロックされる。ばね要素のリブがミキサのキャッチを後方からこの形で把持すると、ロック・リングが絶えずばねアームのリブをミキサに押し付けて保持しているので、ミキサが容器から外れることなく、ミキサに特に大きな軸方向力を作用させることができる。したがって、単純なキャッチまたはスナップ連結の場合ではあり得るような望ましくない形で、ばねアームが外向きに押し動かされることはない。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によると、上記ロック・リングが少なくとも1つの案内溝を有し、上記少なくとも1つのばねアームが、詳細にはその自由端部に配置された、上記案内溝に係合するための案内突出部を有し、上記案内溝が、上記ロック・リングの、その回転軸からの距離が一定でない曲線に沿って延びる。スライドガイドに類似した案内溝と案内突出部の組合せは、ばねアームをミキサに対して位置決めする効果を有し、ばねアームをミキサから離す移動が、ロック・リングの回転によって規定された形で制御される。キャッチまたはスナップ連結の場合と異なり、定位置へのロックがばねアーム自体のばね動作に依存せず、その結果、ばねアーム材料の疲労が生じても、機能は低下しないはずである。むしろ、ばねアームの動きを能動的に制御することによって、ロック・リングを回転するとミキサが定位置にロックまたは解放されるように規定された形で、ばねアームが確実に動くようになる。
【0022】
ばねアームがすでに内向きに旋回している場合に、ミキサを容器のロック・リングの位置に配置しないようにするために、ミキサはロック・リング内に挿入できる区画を有するが、その区画が、ミキサのロック・リングへの挿入がそのロック・リングに対して2箇所の回転位置にしかできないような形で、ロック・リングの開口の輪郭形状に合致する外側輪郭形状を有すると好ましい。
【0023】
ミキサがそれ自体で、ロック・リングへの挿入が、そのロック・リングに対してちょうど1箇所の位置にだけにできるようになっていると特に好ましい。それによってまた、ミキサの入口開口と容器の吐出開口が互いに正確に位置合わせされた形で互いに接触するようになる。これは、容器の出口流路等とそれに対応するミキサの入口流路等との上記のタイプの規定された割り当てが行われた、交換可能なミキサまたは同様のアプリケータを用いる、繰り返し使用に適した容器の場合に特に利点である。これは、例えば欧州特許第0598965号、欧州特許第0723807号または欧州特許第0730913号で提案されているように構成できるコーディングおよび/または位置合わせによって行うことができる。つまり、ミキサと容器とで互いに合致する突出部と陥凹部とによってコーディングが行われると好ましい。これの代替方法または追加で、容器の出口連結部分および/または出口流路の輪郭形状と、それに対応するミキサの対向輪郭形状すなわち入口流路により、容器に対して1箇所のみ位置合わせしてミキサを取り付けることが可能になることから、ミキサと容器の互いに規定された位置合わせも実現することができる。
【0024】
容器とミキサの間に流体接続を形成するために、吐出開口は各場合とも、容器から遠位方向に突出させることができ、その吐出開口にミキサの入口開口を挿入することができる。入口開口と吐出開口はこの場合、吐出される成分が容器とミキサの間で制御できない形で漏れることがないように、一定の封止が達成されるような形で互いに適合されると好ましい。
【0025】
容器に成分を輸送かつ貯蔵するために、容器は密閉されていると好ましい。同時に、容器の開通はできる限り簡易になるようにすべきである。これは本発明によると、上記容器が各場合とも吐出開口を有し、該吐出開口に各場合とも封止プランジャが割り当てられ、該プランジャを、吐出される上記成分の圧力によって、上記吐出開口を封止する位置から、上記吐出開口を開通させる位置に移動させることができることから達成される。つまり、封止プランジャは、例として成分の吐出中に発生する圧力によって、吐出開口から押し出されるような形で配置される。これにより、シールまたは同様の閉鎖具を別個の作業ステップで取り外す必要なく、容器を直感的に開通させることが可能になる。
【0026】
本発明による分注装置を、適切な場合は交換可能なミキサも用いて、繰り返し使用するために、各成分は、容器またはその出口流路内ではまだ互いに作用できないように、ミキサ内で初めて互いに接触させるようにすべきである。このために、異なる成分を収容するための2つ以上のチャンバを備える上記容器では、各チャンバが、少なくとも上記容器の開通状態で、各場合とも1つの成分をミキサまたはアプリケータへ別個に通過させるための独立した流路に割り当てられる。したがって、各成分は常にミキサに別々に運ばれ、そこで初めて互いに接触する。
【0027】
上記封止プランジャを移動させて上記容器を開通状態にするだけで、上記流路が互いに分離されることから、これが実現できると好ましい。したがって、容器を開通する前はまだ、流路は完全な構造を有している必要も、互いに分離されている必要もない。したがって、容器の吐出領域と封止プランジャは、容器が開通した後に、流路を互いに分離している封止プランジャの周りを各成分が流れなければならないような形で構成することができる。
【0028】
容器が各場合とも、栓形の突出部を内部に部分的に備える、管で形成された吐出開口を有する場合、各成分を吐出するための環状の空間が、栓形の突出部と管の内側壁の間に残っている。この場合、上記封止プランジャが、上記吐出開口および/または環状の空間を封止するために、その栓形の突出部に封止する形で配置されるリングとして構成され、該リングが、上記栓形の突出部から遠位方向に、上記吐出開口を開通させる位置へと移動させることができると好ましい。このとき、容器内で各成分を輸送、貯蔵している間、容器は、その近位端は吐出プランジャによって、その遠位端は封止プランジャによって、封止するように閉鎖される。この環状の封止プランジャは、栓形の突出部と吐出開口を画成する管の内側壁との間にある環状の空間を封止する。吐出手続きの始めに、封止プランジャが、吐出される成分の圧力の結果、栓形の突出部から外れるように遠位方向に移動する。これにより、成分が、まず、栓形の突出部と管の内側壁の間の環状の空間を通り、その後、封止プランジャの中心開口を通ってミキサの方向に流れることが可能になる。
【0029】
ここで、上記栓形の突出部と上記封止プランジャを合わせた長さは、上記管の長さよりも短いと好ましい。それによって、封止プランジャを遠位方向に十分前方へ押し動かすことができ、その結果、各成分を妨げずに排出することができる。封止プランジャの前進運動は、例えば吐出開口に挿入されたミキサの入口開口によって制限することができる。
【0030】
上記開通手段が封止要素として封止プランジャを有し、該封止プランジャを、上記それぞれ容器内の分注される成分の内部圧力によって、封止された輸送/貯蔵位置から、開通した使用位置に移動させることができる場合、本発明による分注装置は、別個の閉鎖キャップなどを輸送または貯蔵中に設ける必要なく、特に簡単に直感的に開通させることができる。この場合、上記封止プランジャに開口、詳細には軸方向に延びる開口を、上記少なくとも1つの分注される成分が上記封止プランジャの上記使用位置でのみ流れることができるような形で設けることができる。したがって、この、封止プランジャの内部へ軸方向に延びていると好ましい開口を介して、成分の分注が行われる。これの代替方法または追加で、上記封止プランジャの使用位置で、少なくとも1つの流路状の開口が、上記封止プランジャと上記吐出開口の間に形成されるように、上記封止プランジャが、吐出開口の内側輪郭形状よりも規定された形で小さい外側輪郭形状を有する。したがって、上記少なくとも1つの分注される成分がこの流路状の開口を通って流れる。つまり、この流路状の開口は、成分が上記封止プランジャを側方から迂回する迂回路の形で機能する。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態によると、上記分注装置が、互いに一体的に連結された2つの容器と、各吐出プランジャを上記容器内で同時に前進させるためのプランジャ・ロッド機構とを備える、ダブル・チャンバ・シリンジとして構成される。このタイプのダブル・シリンジは特に、歯科分野で使用される硬化可能な2つの成分システムの吐出に適している。ミキサが交換可能であることから、初回の使用の後に容器の残りの内容物を処分する必要はまだなく、いくつかの異なる用途で容器に収容された成分を吐出することが可能になる。本発明による分注装置は基本的に、特に追加の作業ステップなしに直感的に開通させることが可能であることから、使い捨て用途にも適している。
【0032】
上記で説明した特徴とは別に、本発明による分注装置は、他の問題も解決する。「u−TAH(商標)nano」という名称の容器が、TAH Industries Inc.社(Robbinsville、USA)から販売され、同軸方向に基本的に前後に配置された鉢(pot)状の移送プランジャによって内容物を排出することができる、2つのチャンバを有する。この容器は、適切な場合は、別個のミキサまたは同様のアプリケータを固定するために、初回の使用の前に取り外さければならない閉鎖キャップ付きで供給される。「u−TAH(商標)nano」容器は、例として「Centrix(登録商標)」という名称でCentrix、Inc.社(Shelton、USA)から販売されている吐出ガンへの連結に適した保持区画を有する。このタイプのガンについては、欧州特許第1256389A2号にも記載されている。
【0033】
このタイプの吐出ガンは、1成分の歯科用複合材料を吐出するための事前装填チップ(PLT)として知られているもの用の手動ディスペンサとして、あらゆる歯科業務の大部分にみられる。したがって、経済的な観点から、こういった既存のディスペンサまたはガンが、でるだけ多数の歯科用材料群に、詳細には2成分システムにも、使用されることが望ましい。
【0034】
したがって、本発明によると、高いユーザーフレンドリー性を提供すると同時に、成分の確実な貯蔵を可能にする容器が提案される。これは基本的に、成分を収容するための少なくとも2つのチャンバと、上記少なくとも2つのチャンバから各成分を同時に吐出するプランジャ手段と、容器に事前取り付けされた、上記少なくとも2つのチャンバから吐出された各成分を混合するためのミキサと、上記ミキサを取り外すことなく開通させることができる、上記少なくとも2つのチャンバを封止する封止手段とを有する、少なくとも2つの成分を貯蔵かつ、詳細には吐出ガンなどによって、吐出するための容器により実現される。この場合、プランジャ手段は、プランジャに割り当てられた少なくとも1つのプランジャ・ロッドを有し、このプランジャ・ロッドは、成分の吐出前はミキサと反対側にある容器の保持区画の前面と基本的に同じ高さに設けられるように、その保持区画内に案内される形で移動可能なように収容される。本発明は、納入状態で事前取り付けされたミキサを備える容器と、上記ミキサを取り外すことなく開通させることができる封止手段と、容器が輸送または貯蔵中に望ましくない形で開通されないようにする輸送固定装置との組合せであることから特に優れている。
【0035】
最後に述べた機能は、プランジャ手段に割り当てられたプランジャ・ロッドが、ミキサと反対側にある容器の保持区画の外へ著しく突出しないように、その保持区画に案内される形で移動可能なように収容されることから実現される。つまり、プランジャ・ロッドの端部は基本的に、意図せず圧力をかけることができないように、ミキサと反対側にある保持区画の前面と同じ高さになっている(すなわち、プランジャ・ロッドの端部と保持区画の前面は基本的に共通平面内にある)。プランジャ・ロッドの端部をミキサと反対側にある容器の保持区画の前面と同じ高さに設けるということは、厳密に同じ高さの配置だけでなく、むしろプランジャ・ロッドが保持区画の前面をよりも2、3ミリメートル(ほぼ1〜ほぼ2mm以下であると好ましい)突出することも意味すると、下記から理解されよう。この構造の場合、容器はまた、例えば「Centrix(登録商標)」ガンなどの、上記のタイプの吐出ガンまたはディスペンサでの使用にも適する。これに対し、プランジャ・ロッドがミキサと反対側にある保持区画の前面に対してわずかに引っ込んでいるかどうかは、輸送固定装置の機能にとって重要なことではない。わずかに引っ込んでいても、せいぜい、容器を完全に空にする可能性が制限される程度である。
【0036】
ミキサが本発明に従って容器に事前取り付けされている場合、容器を、時間のかかる取り付けステップなしで、直ちに使用状態にすることができる。この事前取り付けされたミキサとは、容器の納入状態にすでに、その容器上の、やはり成分の吐出に基本的に適した位置に設けられたミキサ、詳細には静的ミキサであると理解されよう。このことは、適切な場合、容器を初回の使用前に開通させるために、ミキサまたはミキサの混合管および/または吐出管を容器に対してわずかに回転かつ/または移動させなければならない可能性は除外されない。ただし、ミキサが、成分の吐出に適した目標位置にすでに位置しているような形で、容器に事前取り付けされると好ましい。
【0037】
上記で説明した特徴とは別に、本発明の他の基本的な態様が、容器のプランジャ手段が、容器の保持区画内で案内されるプランジャ・ロッドと、連結されたチャンバから成分を吐出するための作動区画とを有する、移送タペットを有する点にある。作動区画は各場合とも、チャンバ内で移動できるプランジャと相互作用することができる。本発明の特に好ましい実施形態によると、移送タペットは、容器の各チャンバがプランジャ・ロッドからミキサの方向に突出している別々の作動区画に割り当てられるように、構成される。それによって、移送タペットのプランジャ・ロッド1本の前進によって2つ以上の作動区画を同時に前方へ押し動かすことができ、その結果全てのチャンバを同時に空にすることができるため、本発明による容器の操作はさらに簡略化される。このことによりまた、移動可能なタペットを1つだけ備える、例えば吐出ガンなどの吐出装置における、本発明による容器の使用も簡略化される。この本発明の考えを発展させると、移送タペットのプランジャ・ロッドと作動区画を一体的に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態による分注装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図3】図1による分注装置を示す概略分解図である。
【図4】閉鎖状態にある図1による分注装置を示す他の概略縦断面図である。
【図5】開通状態にある図4による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図6】図1による分注装置の容器の遠位端の概略図である。
【図7】ミキサが取り外された図1による分注装置を示す概略斜視図である。
【図8】図1による分注装置のロック・リングを示す概略斜視図である。
【図9】ロック・リングが無い図1による分注装置の拡大概略図である。
【図10a】ミキサを解放する位置にある図1による分注装置を部分的に示す概略縦断面図である。
【図10b】ミキサを定位置にロックする位置にある図1による分注装置を部分的に示す概略縦断面図である。
【図11a】ミキサを解放する位置にある図1による分注装置のロック・リングを示す概略断面図である。
【図11b】ミキサを定位置にロックする位置にある図11aによる本発明の分注装置のロック・リングを示す概略断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による分注装置を示す概略部分断面分解図である。
【図13a】アプリケータを解放する位置にある図12による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図13b】アプリケータを定位置にロックする位置にある図12による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図15】図14による分注装置を示す概略分解図である。
【図16】本発明の第4の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図17】図16による分注装置を示す概略分解図である。
【図18】本発明の第5の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図19】図18による分注装置を示す概略分解図である。
【図20】ミキサが取り外された図18による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図22】図21による分注装置を示す概略分解図である。
【図23】ミキサが取り外された図21による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図24】本発明の第7の実施形態による分注装置を示す概略斜視図である。
【図25】図24による分注装置を示す概略部分断面斜視図である。
【図26】図24による分注装置を示す概略分解図である。
【図27】ミキサが取り外された図24による分注装置を示す概略縦断面図である。
【図28a】閉鎖状態にある図24による分注装置の一部分を示す概略縦断面図である。
【図28b】開通状態にある図24による分注装置の一部分を示す概略縦断面図である。
【図29】図24による分注装置の封止プランジャを示す概略斜視図である。
【図30】本発明の第8の実施形態による容器を示す概略斜視図である。
【図31】図30による容器を示す概略分解図である。
【図32】図30による容器を示す概略断面図である。
【図33】本発明の第9の実施形態による容器を示す概略分解図である。
【図34】図33による容器を示す概略断面図である。
【図35】本発明の第10の実施形態による容器を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明について、例示的実施形態に基づき、図面を参照して詳細に説明する。説明かつ/または図示する特徴は全て、各請求項の組合せまたはその従属関係によらず、単独でも任意の所望の組合せでも本発明の対象になる。
【0040】
図1〜11bに示されている分注装置1は、基本的に、2つの容器2aおよび2bと、それらの容器に交換可能なように固定できるミキサ3と、ミキサ3をロックするためのロック・リング4と、プランジャ・ロッド機構5とからなる。以下の説明では、分注装置1のミキサ側の端部を遠位端と呼び、その反対側の、分注装置1のプランジャ・ロッド機構5が設けられている端部を近位端と呼ぶ。
【0041】
異なる断面を有し、ひいては異なる容積を有することができる2つの容器2aおよび2bは、この場合、プランジャ・ロッド機構5と共に、ダブル・チャンバ・シリンジを形成する。このシリンジを用いると、プランジャ・ロッド機構を前進させることによって、容器に収容された成分、好ましくは硬化可能な歯科用製品を生成するための成分を、それ自体周知の形で吐出することができる。図示されている実施形態では、容器2aおよび2bは基本的に、円筒形のカートリッジとして構成され、このカートリッジは、その近位端にあるハンドル6と遠位端にある共通フェースプレート7とによって互いに連結される。容器2aおよび2bはそれぞれ、近位端に開口を有し、その開口から、プランジャ・ロッド機構5が容器2aおよび2b内に差し込まれる。その反対側つまり遠位端に、各容器は、フェースプレート7よりも遠位方向に延びる管として構成される吐出開口8aおよび8bを備える。
【0042】
プランジャ・ロッド機構5は、2本のプランジャ・ロッド5aおよび5bを有し、それらのプランジャ・ロッドは互いに一体的に連結され、それぞれの遠位端に吐出プランジャ9aまたは9bを担持している。吐出プランジャ9aおよび9bは、この場合、円筒形の容器2aおよび2b内で、同期して封止的に移動可能である。例えば図1および2から分かるように、複数の切欠きを備える制御ロッド10が、2つのプランジャ・ロッド5aおよび5bの間に設けられ、プランジャ・ロッド5aおよび5bと平行して、容器2aおよび2bの間を通って延びる。先端部付きのキャッチ・フック11が、ハンドル6の2つの容器2aと2bの間に設けられる。キャッチ・フック11は、その先端部が制御ロッド10の切欠きと係合するような形でハンドル6および容器2a、2bに固定され、その次の切欠きにロックするために制御ロッド機構5を前進させると、制御ロッド10の切欠きから押し出される。これにより、プランジャ・ロッド機構5の容器2a、2bに対する不注意な移動を防止する一定のセーフガードが可能になる一方で、プランジャ・ロッド機構が移動した場合は、使用者が触感および/または音によるフィードバックを受ける。このフィードバックにより、成分を容器2a、2bから定量吐出させることが可能になる。さらに、容器2a、2bからすでに吐出された成分の量および/またはその容器に含まれている残量を、制御ロッド10の位置によって読み取ることができるような形で、制御ロッド10に割り当てられた目盛(図示せず)を、容器2a、2bに設けることもできる。
【0043】
図1〜3では、制御ロッド10の切欠きとその間の突起部分は、均一に構成、つまりそれぞれ同じ深さ、同じ高さを有する。図1〜3の実施形態の変更形態では、取付許容範囲をより大きくする一方で、容器から成分を吐出する最初の抵抗を低減するために、分注装置1の初回の使用時にキャッチ・フック11の先端が通過しなければならない最初の突起部分を、より低くなるように、または制御ロッド10から省くように構成することができる。このタイプの構成が図35に示されており、それについて下記に詳細に説明する。この考えを発展させると、容器から成分を吐出するための最初の大きな力に、抵抗力によって対向するために、分注装置1の初回の使用時にキャッチ・フック11の先端が通過しなければならない2つ目の突起部分を、より急勾配にまたはより大きくなるように制御ロッド10に構成することができる。この形にすると、分注装置1の初回の使用時に吐出プランジャ9a、9bが急激に解放された場合に、過大な量の成分が意図せず容器から吐出されるのを防止することができる。
【0044】
図4、5から詳細に分かるように、栓形の突出部12が各場合とも、吐出開口8aおよび8bに設けられ、容器2a、2bおよび吐出開口8a、8bを形成する管と一体的に構成される。この場合、栓形の突出部12は吐出開口8a、8bの小さな近位領域だけに延び、吐出開口8a、8bの管の残りの遠位領域は最初は空になっている。それによって、環状の空間が、吐出開口8a、8bの管の内壁と栓形の突出部12の外側表面の間に形成され、この空間を通して、容器2a、2bに収容された成分を吐出することができる。
【0045】
輸送および貯蔵中に容器2a、2bを封止することができるように、封止プランジャ13が、各栓形の突出部12に配置される。封止プランジャ13は、栓形の突出部12の外側表面と吐出開口8a、8bの管の内側表面の間の環状の空間を封止するように閉鎖するリング、または小さな管として構成される。同時に、封止プラグ13は、吐出開口8a、8bの管内に移動可能なように取り付けられる。それによって、封止プランジャ13は、図4の容器2a、2bを封止する位置から、図5の開位置へと、遠位方向に移動させることが可能になる。
【0046】
この封止プラグ13の移動は、プランジャ・ロッド機構5および吐出プランジャ9a、9bによって容器2a、2bに収容されている成分に圧力がかけられることにより行われる。この圧力が十分高くなると、封止プラグ13が、栓形の突出部12から遠位方向に押し動かされて、その結果、成分が、まず栓形の突出部12の周りの環状の空間を通り、封止プランジャ13の中心開口を通って、容器2a、2bから流出することができる。吐出開口8a、8bを形成する管の長さは、この場合、栓形の突出部12と封止プランジャ13を合わせた長さより長くなるような形で寸法決めされる。これにより、封止プランジャ13を栓形の突出部12から完全に取り外し、遠位方向に移動させることができるようになる。
【0047】
ミキサ3は、図の実施形態では、静的ミキサとして構成され、基本的にハウジング14とミキサ螺旋体15からなる。ただし、本発明による分注装置1は基本的に、動的ミキサを有することもできる。
【0048】
ミキサ3のハウジング14は、例えばミキサ螺旋体15が収容される混合チャンバを画成する円筒形の管14aからなり、その遠位端に、出口開口16が形成される。ハウジング14の円筒形の管14aは、フランジ14bを介して、ロック・リング4に挿入してミキサ3を容器2a、2bと連結できる楕円形の区画14cに結合する。
【0049】
ハウジング14に収容されるミキサ螺旋体15は、容器2a、2bから吐出される成分のための入口開口を画成する、2つの円筒形の連結部分17a、17bと一体的に構成される。入口開口17a、17bのサイズはこの場合、入口開口の連結部分17a、17bを吐出開口8a、8bの管内に封止する形で挿入することができるような形で、吐出開口8a、8bのサイズに適合される。あるいは、上記入口開口内に管8a、8bを挿入することもできる。この場合の連結部分17a、17bは、封止プラグ13が栓形の突出部12から完全に外れることができるように、吐出開口8a、8bの管内の小さな領域にのみ延びる。入口開口の連結部分17a、17bはこの場合、封止プラグ13の遠位方向への移動を制限するために、封止プラグ13のためのストッパを形成することもできる。
【0050】
入口開口の連結部分(ソケット)17a、17bおよびミキサ螺旋体15は、容器2a、2bから吐出される成分が、ハウジングの円筒形の管14a内まで互いに別々に運ばれるように、それ自体周知の形で構成される。2つの成分がハウジングの円筒形の管の混合空間で、ミキサ螺旋体15の多数のミキサ渦巻部によって互いに混合されてから、互いに混合された成分がミキサ3から出口開口16を通って流出する。
【0051】
図9の描写から特にはっきりと分かるように、2つのばねアーム18が、容器2a、2bのフェースプレート7に形成され、吐出開口8a、8bの管と基本的に平行に遠位方向に延びている。ばねアーム18はこの場合、容器2a、2bおよびフェースプレート7と一体的に構成される。ばねアーム18の長さはこの場合、ミキサ3のハウジング14の楕円形の区画14cの高さにほぼ一致する。ばねアーム18は各場合とも、フェースプレート7としっかり連結されるが、フェースプレート7と反対側にある自由端部19は径方向に弾性的に旋回できるような形で構成される。つまり、ばねアーム18の自由端部19は、径方向内向きつまり互いに向かって、または径方向外向きつまり互いに反対向きに旋回することができる。
【0052】
各ばねアーム18は、その自由端部19の領域で、径方向内向きに向いているリブ20を担持している。リブ20は、容器の方、つまり近位方向に向いたストッパ面を画成する。それに対応するキャッチ21が、ミキサ3のハウジング14の楕円形の区画14cの互いに対向する2つの側部に形成され、遠位方向に向いたストッパ面を画成する。ハウジング14の寸法とばねアーム18の寸法はこの場合、図9、10aおよび11aに示されているばねアーム18の無荷重状態で、ミキサ3を容器2a、2bに装着でき、キャッチ21が、ばねアーム18を変形させることなく、ばねアーム18のリブ20を通過できるようなものに選択される。この状態では、ばねアーム18のリブ20は、ミキサ3のキャッチ21と接触しないので、ミキサ3は容器2a、2bから再び外れる可能性がある。
【0053】
キャッチ22が各場合とも、フェースプレート7の領域の、各ばねアーム18の外側側面に設けられる。このキャッチはこの場合、近位方向を向いているストッパ面を画成するような形で構成される。これらのばねアーム18のキャッチ22は、ロック・リング4を容器2a、2bに固定する働きをする。
【0054】
ロック・リング4はこのために、例えば図8、10a、10bの描写から分かるように、ロック・リング4をばねアーム18に係止できるような形で構成、配置された、2つのスロット形の陥凹部23を有する。ばねアーム18を規定された形で取り付けるための挿入表面24が、溝状の凹みの形でロック・リング4に構成される。挿入表面24は、ロック・リング4の近位前面から、側方に隣接するスロット形の陥凹部23まで延び、キャッチ22のための案内表面を形成する。図10aおよび10bに示されているように、ばねアーム18のキャッチ22は、ロック・リング4にあるスロット形の陥凹部23の中に係合する。それによって、ロック・リング4は、容器2a、2bに軸方向に固定式つまり係留式に保持され、容器2a、2bに対して回転することができる。最大限可能な回転移動量はこの場合、スロット形の陥凹部23の長さとキャッチ22の幅によって規定される。示されている実施形態では、スロット形の陥凹部23の長さは、キャッチ22の倍の幅にほぼ対応する。したがって、ロック・リング4をほぼ90°回転させることが可能である。
【0055】
図8に示されているように、キャッチ突出部25が、スロット形の陥凹部23の中心に設けられる。このキャッチ突出部25は、容器2a、2bに対するロック・リング4の回転を妨げるロックを形成する。しかしながら、ばねアーム18のキャッチ22はキャッチ突出部25を通り抜けることができ、そこで、使用者は、ロック・リング4が2つの回転終了位置の一方に達したことを示す触覚フィードバックを受け取る。スロット形の陥凹部23がこの示されている実施形態のものより長く構成されている場合は、ロック・リング4の2つの回転終了位置を規定する2つのキャッチ突出部25を設けてもよい。
【0056】
図8、9および図11a、11bからも分かるように、ガイド・ウェブ26が、容器2a、2bのフェースプレート7に形成され、各場合とも2つのばねアーム18の間にほぼ弓状に延びる。これらの円弧状に延びるガイド・ウェブ26は、ロック・リング4の内径にほぼ一致する外径を有する。この形で、ロック・リング4は、ばねアーム18の下側区画に加えて、ガイド・ウェブ26によっても、容器2a、2bのフェースプレート7に回転式に案内される形で保持される。ガイド・ウェブ26はこの場合、ロック・リング4が径方向内向きにばねアーム18同士の間の領域に押し込まれるのを防止する。ロック・リング4はそのように押し込まれると、ばねアーム18から望ましくない形で外れるような形で変形する可能性がある。したがって、ガイド・ウェブ26により、ロック・リング4を容器2a、2bに捕捉式に固定することが可能になる。
【0057】
組立ロックが、図8、9および図11a、11bに示されている。この組立ロックは、ロック・リング4が、容器2a、2bへ取り付けた後に、非破壊的に取り外されるのを防止する。組立ロックは、各場合とも容器2a、2bのフェースプレート7から軸方向に延びるような形でガイド・ウェブ26の端部に形成された、2つの分解フィンガ27を有する。組立ロックはさらに、挿入表面24に隣接してロック・リング4の内側側面に設けられた2つの分解リブ28を備える。2つの分解リブ28は、この場合基本的に楔形に構成され、径方向内向きに延びるロック表面が、各場合とも挿入表面24の、スロット形の陥凹部23と反対側の縁のすぐ隣に設けられる。このロック表面から始まる分解リブ28の面取りされた表面は、徐々に、一定の領域で円筒形になっているロック・リング4の内側輪郭形状に近づく。
【0058】
ロック・リング4をばねアーム18に装着すると、そのキャッチ22付きのばね表面が挿入表面24に摺動し、分解リブ28が、ばねアーム18と分解フィンガ27の間の空間に配置される。このとき、ロック・リング4を回転させると、分解フィンガ27が分解リブの面取りされた表面の上を摺動し、その後方でスナップ動作し、同時に、ばねアーム18のキャッチ22がスロット形の陥凹部23内に摺動する。ロック・リング4の非破壊的な逆回転が、分解リブ28のロック表面によって防止され、そのロック表面は分解フィンガ27に接触する。したがって、ロック・リング4は、容器に捕捉式に固定される。
【0059】
案内溝29が各場合とも、ロック・リング4の遠位端の領域にある内側の互いに向かい合う側面に設けられる。これらの案内溝29は、弧状に延び、その弧の、ロック・リング4の回転軸からの距離は一定ではない。ばねアーム18の自由端部19が各場合とも、上記案内溝29に嵌合する形状をした突出部として構成される。
【0060】
図10a、11a、10b、11bの描写から分かるように、ばねアーム18の自由端部19の突出部は、ロック・リング4がばねアーム18に係止されると、ロック・リング4のそれぞれ案内溝29と係合する。図10aおよび11aに、この場合ばねアーム18の自由端部19が案内溝29の最も径方向外側の領域と係合するロック・リング4の位置が示されている。
【0061】
このときロック・リング4を容器2a、2bに対して回転、したがってばねアーム18に対して回転させると、ばねアーム18の自由端部19が径方向内向きに押し動かされて案内溝29の内部に入る。これは図10bおよび11bに示されている。それによって、ばねアーム18のリブ20は、キャッチ21の後方でミキサ3を把持する。したがって、ミキサ3は、容器2a、2bに軸方向にしっかりと保持される。案内溝29内でばねアーム18の自由端部19を制御することによりさらに、リブ20がキャッチ21との係合から抜け出るような形で、ばねアーム18が径方向外向きに押し動かされることが防止される。それによって、ミキサと容器の間の連結の意図的でない解放を防止することができる。
【0062】
反対方向へのロック・リング4の回転によってのみ、ばねアーム18の自由端部19が再び、径方向外向きに、図10aおよび11aに示されている位置へ移動して、ミキサ3が解放される。したがって、容器2a、2bに対してロック・リング4を回転させることにより、ミキサ3が容器に非常に信頼性がある形でロックされ、あるいは、ミキサが解放されて、それを容器2a、2bから取り外すことができる。ロック・リング4はこの場合、ばねアーム18で定位置に係止されることにより、容器2a、2b上に留まる。
【0063】
ロック・リング4は、中心開口を有し、そこをミキサハウジング14の楕円形の区画14cが通過することができる。この開口は、ロック・リング4が図10aおよび11aに示されている位置の向きにある場合に限ってミキサ3を容器2a、2bに装着することができるような形で、楕円形の区画14の外側輪郭形状に適合される。この位置で、入口開口17a、17bもまた、吐出開口8a、8b内に係合する。
【0064】
本発明の他の実施形態が図12〜29に示されている。分注装置1の上記構成部品と同様の部品は、同じ参照番号で示される。
【0065】
本発明による分注装置1の他の実施形態が、図12、13aおよび13bに示されているが、容器2は1つだけ設けられている。中心吐出開口8がこの容器2のフェースプレート7に設けられ、その開口に、封止プランジャ13が、図13aに示されている位置で容器2を封止するために、栓形の突出部12に保持される。封止プランジャ13は、容器2に含まれている成分の内部圧力によって、軸方向前方に移動させて図13bに示されている位置にすることができ、それによって容器が開通する。
【0066】
図12〜13bによる分注装置の結合手段は基本的に、図1〜11bを参照して説明した上記のものと同一の構造を有する。それに対応して、ロック・リング4を、回転できるが軸方向に解放しないように容器2に固定するために、ばねアーム18およびガイド・ウェブ26とやはり分解フィンガ27が、容器2の前面に設けられる。ミキサの代わりに、アプリケータ30が、図12〜13bによる実施形態に吐出開口の形で設けられる。アプリケータ30は、上記でミキサ3について図1〜11bを参照して説明したように、ロック・リング4によって容器2に固定することができる。
【0067】
本発明による分注装置の第3の実施形態が図14および15に示されている。この実施形態では、やはり2つの容器2aおよび2bが設けられる。容器2aおよび2bはこの場合、上記で図1〜11bを参照して説明したように互いに隣接して配置されず、互いに同心に配置される。2つの容器2a、2bの吐出開口はこの場合、共通の吐出連結部分31に通じ、この吐出連結部分に、上記で説明した実施形態のものと同様の形で、封止プランジャ13が1つだけ設けられる。この封止プランジャは、図14に示されている状態で容器2a、2bの吐出開口を両方共封止し、外側環状容器2aにある成分の内部圧力によって、その両方の吐出開口が解放されるような形で、軸方向前方に押し動かすことができる。
【0068】
図14および15に示されているミキサ3は基本的に、その構造の点からも、ロック・リング4による結合手段を用いた容器2a、2bとの連結の点からも、上記で図1〜11bを参照して説明した構造に対応する。ただし、図14および15によるミキサ3は、吐出連結部分31との連結に適合された入口開口17を1つだけ有する。
【0069】
図14〜15による分注装置はさらに、プランジャ・ロッド機構(図示せず)を有し、この機構によって、容器2aおよび2bから各成分を同時に分注することができる。
【0070】
分注装置はまた、図16および17に示されている実施形態にある2つの容器2a、2bを備える。ただし、この容器は、互いに隣接して配置され、各場合とも断面がほぼ半円の形状をしている。したがって、2つの容器2a、2bは合わさってハウジングを形成する。そのハウジングは断面がほぼ円形で、分離壁32によって分割される。
【0071】
2つの容器2a、2bの吐出開口は、共通の吐出連結部分31に通じ、この吐出連結部分に、2つの容器を封止するための単一の封止プランジャ13が設けられる。ミキサ3の連結は、上記で図1〜11bおよび図14、15を参照して説明した実施形態に対応する。
【0072】
上記で説明した実施形態で示されている分注装置は基本的にシリンジとして構成されるが、カプセル形の小型カートリッジ、PLT(事前充填チップ)として知られているものとして構成される実施形態について下記に説明する。このタイプの小型カートリッジは、それに含まれている成分を吐出するための前進可能なプランジャ(タペット)を有する吐出装置で使用するのに特に適している。
【0073】
図18〜20に、本発明による分注装置の他の実施形態が示されている。この実施形態は、基本的に軸方向に見て前後に配置される2つの容器2a、2bを有する。第1の容器2aは、部分的に円筒形であるプランジャ33と、吐出挿入体34とによって形成される。第2の容器2bは基本的に、円筒形のプランジャ33がやはり移動可能な形で案内される分注装置自体のハウジングと、吐出挿入体34を環状に取り囲むプランジャ35とによって画成される。
【0074】
2つの容器2a、2bの吐出開口が、共通の吐出連結部分(ソケット)31に通じている。この吐出連結部分に封止プランジャ13が設けられ、図18による位置で吐出開口を封止する。容器2aおよび2bの吐出開口を両方とも開通させるために、吐出連結部分31内部で封止プランジャ13を軸方向前方に、つまりミキサ3の方へ、容器2bに含まれている成分の圧力によって押し動かすことができる。
【0075】
ミキサ3は、この実施形態では、上述のようにロック・リング4を備える結合手段によって容器に固定される。
【0076】
容器2a、2bに含まれている成分を分注するために、円筒形のプランジャ33が、ミキサ3の方向に前方へ押し動かされる。それによって、容器2aに収容されている成分を吐出挿入体34を通して吐出連結部分31へ送出するために、容器2aの容積が縮小される一方、それと同時に容器2bの容積も縮小し、そこに収容されている成分を同様に吐出連結部分31へ送出するために、円筒形のプランジャ33の軸方向前方の前面によってプランジャ35が前方へ押し動かされる。
【0077】
図18および20で詳細に分かるように、プランジャ35は、封止リングによって、2つの容器の外側円筒形のハウジング壁に対して封止される。同じ形で、吐出挿入体34が、封止リングによって、円筒形のプランジャ33に対して封止される。
【0078】
分注装置の構造の観点から上記の実施形態に類似している実施形態が、図21〜23に示されている。ただし、前後に配置される2つの容器2a、2bの吐出開口は、共通の吐出連結部分31に通じておらず、むしろ、図1〜11bによる実施形態に類似した形で、2つの別個の封止プランジャ13によってそれぞれ封止される2つの別個の吐出開口8a、8bが設けられる。吐出挿入体34を中心に配置していることから、容器2bに収容された成分のための吐出開口8bが偏心して配置される。ミキサ3もまたそれに対応して、2つの容器に偏心式に配置される。ミキサ3を解放可能なように連結するための結合機構もまた、同じ形で偏心式に配置される。
【0079】
小型カートリッジとして構成された分注装置の他の実施形態が、図24〜29に示されている。小型カートリッジはやはり、基本的に円筒形のハウジングと、そのハウジングを後方で封止し、ハウジングの定位置にロックできる蓋とで構成される。それぞれほぼ半円形の断面を有し、容器2aおよび2bを画成する、2つのチャンバが、ハウジング内部に形成される。この容器の容積は、ハウジングの定位置に係止される蓋を部分的に貫いて延び、2つの容器2a、2b内に部分的に突出するプランジャ・ロッド機構5によって、規定された形で縮小させることができる。ミキサ3を解放可能なように固定するためのロック・リング4を備える結合手段が、蓋と反対側にある、容器2a、2bの前面に設けられる。この結合手段は基本的に、ロック・リングを回転させることによって径方向内向きと径方向外向きに動かすことができるばねアーム18による、上記で説明した構造および機能を有する。
【0080】
隣接して配置された2つの容器2a、2bはそれぞれ吐出開口8a、8bを有し、これらの吐出開口は、示されている実施形態ではほぼ楕円形の断面を有するように構成された共通吐出連結部分31に通じている。ミキサ17はそれに対応して、同様に吐出連結部分31内に挿入できるように基本的に楕円形になっている入口開口を備える。入口開口17は、下記に詳細に説明するように、容器2a、2bから吐出される成分をミキサのミキサ螺旋体15のところまで別々に案内できるように、分離要素によって2つの区画に小分割される。
【0081】
図25に示されている納入状態では、2つの容器2a、2bは、封止プランジャ13’によって封止されている。図29に詳細に示されている封止プランジャ13’は、横断壁から後方に突出する、つまりミキサ3と反対の方を向いている、2つの封止ブロック36を有する。封止ブロックの外側輪郭形状は、吐出開口8a、8bの内側輪郭形状と合致する。図28aによる描写では、封止ブロック36は、吐出開口8a、8b内に突出し、それらを封止する。間隙状の空間が、2つの封止ブロック36の間に形成され、吐出連結部分31内部の2つの吐出開口8a、8bの間に設けられた分離壁37の矩形の輪郭形状と合致する。したがって、封止プランジャ13’は、分離壁37上を図28aに示されている閉位置から、軸方向前方へ図28bに示されている開位置まで案内される形で移動させることができ、それによって、2つの吐出開口8a、8bが解放される。したがって、成分が、容器2a、2bから吐出開口8a、8bを通って封止プランジャ13’を通過し、吐出連結部分31へと流れることができる。
【0082】
封止プランジャ13’を分離壁37上で移動させるために、通気口が、封止プランジャ13’の横断壁に設けられ、半円形の通気路が同様に、閉鎖状態で分離壁37を収容する空間に隣接する封止ブロック36に形成される。つまり、封止プランジャ13’を分離壁37に載置し押し付けることができる。容器2a、2bから吐出される成分をミキサ3のミキサ螺旋体15へ別々に方向付けるような形でミキサ3の入口開口17と相互作用する突出部が、封止プランジャ13’の2つの封止ブロック36と反対側の側面に形成される。
【0083】
上記に説明した実施形態は、対応する数の容器に収容された1つまたは2つの成分のための分注装置を示している。原則的に、より多数の様々な成分を吐出するために、3つ以上の容器を設けることもできる。様々な容器の機構を互いに組み合わせてもよい。
【0084】
本発明の他の実施形態が図30〜32に示されている。容器の基本的な構造は、図19〜28によるものに対応する。図30〜32には、小型カートリッジとして構成される容器100が示されている。小型カートリッジはやはり、内側および外側が基本的に円筒形のハウジング102と、ハウジングを後方で封止し、ハウジングの定位置に係止できる蓋103とで構成される。ほぼ半円形の断面をそれぞれ有する2つのチャンバ104aおよび104b(図34)が、ハウジング内部に形成される。このチャンバの容積は、ハウジング102の定位置に係止される蓋103を部分的に貫いて延び、2つのチャンバ104a、104b内に部分的に突出するプランジャ・ロッド機構115によって、規定された形で縮小させることができる。
【0085】
ミキサ108を解放可能に固定するためのロック・リング107を含んだ結合手段106が、蓋103と反対側の、チャンバ104a、104bの前面に設けられる。ロック・リング107は、容器100の定位置に確実に係止され、図1〜29を参照して上記に詳細に説明したように、ミキサ108の取り付け/取り外しのための結合手段106を解放する位置と、ミキサ108が容器100の定位置に確実にロックされる、結合手段106をブロックする位置との間で、容器100に対して回転させることができる。
【0086】
ミキサ108は、示されている実施形態では、ミキサ螺旋体108bを備える吐出管108a、つまり静的ミキサとして構成される。図30に示されている容器100の納入状態で、ミキサ108はすでに、追加の取り付けステップなしで容器を使用状態にできるような形で、容器100に事前取り付けされている。
【0087】
隣接して配置された2つのチャンバ104a、104bはそれぞれ、共通吐出連結部分(ソケット)110に通じる吐出開口109a、109bを有し、共通吐出連結部分は、示されている実施形態では、ほぼ楕円形の断面を有するように構成される。ミキサ108はそれに対応して、吐出連結部分110に挿入できるように、同様に基本的に楕円形の入口開口を備える。入口開口は、下記に詳細に説明するように、チャンバ104a、104bから吐出される成分をミキサのミキサ螺旋体108bのところまで別々に案内できるように、分離要素によって2つの区画に小分割される。
【0088】
納入状態では、2つのチャンバ104a、104bは封止プランジャ111によって封止されている。封止プランジャは、横断壁から後方に突出する、つまりミキサ108と反対の方を向いている、2つの封止ブロックを有する。ブロックの外側輪郭形状は、吐出開口109a、109bの内側輪郭形状と合致する。間隙状の空間が、2つの封止ブロックの間に形成され、吐出連結部分110内部の2つの吐出開口109a、109bの間に設けられた分離壁112の矩形の輪郭形状と合致する。したがって、封止プランジャ111は、分離壁112上を閉位置から、軸方向前方へ吐出連結部分110を通って開位置まで案内される形で移動させることができ、それによって、2つの吐出開口109a、109bが解放される。したがって、成分が、図18〜29を参照して説明したように、チャンバ104a、104bから吐出開口109a、109bを通って封止プランジャ111を通過し、吐出連結部分110に入ってミキサ108へと流れることができる。この場合、成分は、ミキサに達するまで、封止プランジャ111に沿ってチャンバに別々に案内される。これによって流路内部での成分同士の混合が防止され、したがって容器の再使用が可能になる。
【0089】
容器100の蓋103は保持区画113を備え、保持区画113は、示されている実施形態ではミキサ108と反対側の側面の中心に位置し、容器から突出している。保持区画は、第1のほぼ円筒形の領域113aと、ミキサ108と反対側にある、第1の領域113aに対してフランジ状に広がった外径を有する第2の領域113bとを有する。したがって、保持区画113は、欧州特許第1256389A2号による吐出ガン内の容器の固定に適している。
【0090】
保持区画113は、貫通開口を備え、この貫通開口に、納入状態で第2の領域113bの前面と同じ高さにプランジャ・ロッド114が設けられるような形で、移送タペット115のプランジャ・ロッド114が移動可能なように案内される。移送タペット115は、2つの作動区画116を有し、この作動区画はそれぞれ、チャンバ104a、104bに割り当てられる。2つの作動区画116は、互いに一定の距離を隔てたところにあり、プランジャ・ロッド114からミキサ108の方向に、チャンバ内に突出する。そのチャンバ内に、吐出プランジャ117が移動可能な形で収容されている。移送タペット115は、プランジャ・ロッド114が保持区画113の貫通開口内に押し込まれると同時に、両方のチャンバ104a、104bの吐出プランジャ117を前方へ押し動かす作用を有する。
【0091】
窓122が、この実施形態では不透明な材料からなるハウジング102の、ミキサ108と反対側にある後部領域に設けられ、容器の軸方向に延びる。移送タペット115上にて、例えば色付きの点や突起などのマーキング要素123が、外から窓122を透かして見えるような形で窓122に割り当てられる。このとき、移送タペット115が、容器100内に成分を吐出するために押し動かされると、窓122でマーキング要素123の位置が変化し、それによって容器の充填レベルを監視することが可能になる。このために、窓122は目盛を備える。
【0092】
例えば感光性の成分などが収容されるチャンバでは、窓122の方向が吐出プランジャ117によって封止されるので、窓122が成分の貯蔵安定性に悪影響を及ぼすことはない。
【0093】
移送タペット115の移動経路全体にわたって窓122でマーキング要素123を点検できるようにするために、ハウジング102への蓋103の固定が、図18〜28による実施形態と比較すると、蓋103がハウジングを把持するのではなく、蓋103をハウジングの中に押し込み、そこで定位置に係止できるような形に変更される。
【0094】
ミキサ108は、追加の吐出管108cを備える。この管により、例えば歯科用にミキサ108から出てくる混合物の塗布が容易になる。
【0095】
タペット124によって容器100からシリンジのように成分を吐出することは、図33および34による実施形態に示されているように蓋103がフランジ状の縁部125を有すると、特に簡易な形で可能になる。タペット124とプランジャ・ロッド114は、蓋103のスリーブ状の案内区画で同時に案内できるように、互いに合致する輪郭形状を有する。成分を吐出するために、タペット124は、各作動区画116を連結している移送タペット115の壁に、プランジャ・ロッド114を把持するような形で支持される。
【0096】
図24〜29の実施形態の変更形態では、封止プランジャ113は、図35に示されているように、通気口なしで構成することもできる。この場合、容器100は、充填前に封止プランジャ113によって封止され、次いで、ミキサと反対側にある側面から充填される。吐出プランジャ117はそれぞれ、容器100内に挿入されたときに、残留空気が吐出プランジャ117を通って抜けることができるように、通気口129を備える構造を有する。吐出プランジャ117の通気口129を封止するために、プランジャ・ロッドの、吐出プランジャに連結された作動区画116の前面に環状突出部130を形成することができる。突出部130は基本的に、吐出プランジャ117の方向が開いている中空131を取り囲む、閉鎖された周囲壁からなる。通気口129を封止するために、各突出部130の壁は、吐出プランジャ117の対応する後部の壁と、封止する形で相互作用する。場合によっては存在し、通気口29から出てきた過剰な材料は、中空131に収容することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注される1つの成分が充填されるとともに、少なくとも1つの封止要素(13、13’;111)によって周囲に対して封止状態で閉鎖された、本質的に剛性を有する少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)と、
それぞれの前記容器(2、2a、2b;100)内の内部圧力に応じて前記少なくとも1つの封止要素(13、13’;111)を規定された形で開通させる開通手段と、
前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)にアプリケータ(3、30;108)を解放可能に固定する結合手段(4、18;106)と、
前記結合手段(4、18;106)によって解放可能に固定されるアプリケータ(3、30;108)と、を備える分注装置。
【請求項2】
分注される成分を収容するための少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)と、
前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能に固定できるアプリケータ(3、30;108)と、
前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能に固定する結合手段(4、18;106)と、を備える、詳細には請求項1に記載の分注装置において、
前記結合手段(4、18;106)が、前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)の定位置にロックするための径方向に旋回可能な自由端部(19)を有する少なくとも1つのばねアーム(18)と、移動可能なロック・リング(4;107)とを備え、
前記ロック・リング(4;107)が、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に回転可能だが軸方向に移動可能ではないように固定され、
前記ロック・リング(4;107)が、前記ロック・リングの回転により生じる前記ばねアーム(18)の旋回運動を制御するように前記ばねアーム(18)と共に機能する溝を有することを特徴とする分注装置。
【請求項3】
ニードル、吐出開口、スポンジまたはブラシがアプリケータ(30)として解放可能に固定される容器(2)を1つだけ備える、請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項4】
ミキサ(3;108)、(中空の)ニードル、吐出開口、スポンジまたはブラシがアプリケータ(3、30;108)として解放可能に固定される少なくとも2つの容器(2a、2b;100)を備える、請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が、遠位吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)およびそれと反対側にある近位開口と、前記遠位吐出開口と前記近位開口の間で移動させることができる吐出プランジャ(9a、9b;117)と、を有することにより、前記吐出プランジャ(9a、9b;117)の軸方向の移動によって前記容器(2、2a、2b;100)から前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を介して1つの成分を吐出可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項6】
少なくとも1つの入口開口(17、17a、17b)およびその反対側に出口開口(16)を備える前記アプリケータ(3、30;108)が、前記容器側に固定端部(14c)を有し、前記少なくとも1つの容器に固定されている状態では前記少なくとも1つの入口開口(17、17a、17b)が少なくとも1つの吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)と流体接続するように少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能に固定可能であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項7】
前記結合手段(4、18;106)が、互いに向かい合う2つのばねアーム(18)を備え、
前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)の定位置にロックするために前記ロック・リング(4)を回転させる結果、上記アームの前記自由端部(19)を互いに対して径方向に旋回可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのばねアーム(18)の、前記自由端部(19)と反対側にある端部が、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)および/または容器の遠位端壁(7)と一体的に連結されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのばねアーム(18)が、前記ロック・リング(4;107)を固定するための少なくとも1つのキャッチ(22)を有し、
前記ロック・リング(4;107)が、少なくとも1つの陥凹部(23)および/または少なくとも1つのキャッチ突出部を備え、
前記陥凹部および前記キャッチ突出部が前記キャッチ(22)の幾何形状に適合されており、前記ロック・リング(4;107)が、回転できるが軸方向に移動できないように前記少なくとも1つのばねアーム(18)に固定されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項10】
ロック・リング(4;107)が、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に対して前記ロック・リング(4;107)を少なくとも1箇所の回転位置にロックするロック手段(25)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項11】
前記ロック・リング(4;107)が、前記陥凹部(23)内部に、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に対して前記ロック・リング(4;107)を2箇所の回転位置にロックするための少なくとも1つのキャッチ突出部(25)またはキャッチ陥凹部を有し、
前記回転位置が、前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2a、2b;100)に固定する位置と、前記アプリケータ(3、30;108)を解放する位置と、に対応することを特徴とする、請求項9または10に記載の分注装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのばねアーム(18)が、詳細にはその自由端部(19)の前記領域に、径方向内向きに向いているリブ(20)を有し、
前記アプリケータ(3、30;108)が、少なくとも1つの径方向外向きに向いているキャッチ(21)を有し、
前記ばねアーム(18)の前記リブ(21)を前記アプリケータ(3、30;108)の前記キャッチ(21)の後方に接して配置することによって、前記アプリケータ(3、30;108)が少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に固定可能であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項13】
前記ロック・リング(4;107)が少なくとも1つの案内溝(29)を有し、
前記少なくとも1つのばねアーム(18)が、詳細にはその自由端部(19)に形成された、前記案内溝(29)に係合するための案内突出部を有し、
前記案内溝(29)が、前記ロック・リング(4;107)の、その回転軸からの距離が一定でない曲線に沿って延びることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項14】
前記アプリケータ(3、30;108)が、前記ロック・リング(4;107)内に挿入することができる区画(14b)を有し、
前記区画が、前記ロック・リング(4;107)の開口の輪郭形状に合致する外側輪郭形状を有することにより、前記アプリケータ(3、30;108)が、前記ロック・リング(4;107)に対する2箇所の回転位置の最大において、前記ロック・リング(4;107)に対してのみ挿入可能であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項15】
少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が、前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)から遠位方向に突出する吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を有し、
前記アプリケータ(3、30;108)が、流体接続を発生させるまたは開通させるために、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)に押し込み可能または押し付け可能な少なくとも1つの入口開口(17、17a、17b)有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項16】
少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を有し、前記吐出開口に封止プランジャ(13、13’;111)が割り当てられ、前記プランジャが、吐出される成分の圧力によって、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を封止する位置から、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を開通させる位置に移動可能であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項17】
異なる成分を収容するための2つのチャンバが前記容器(2、2a、2b;100)に形成され、少なくとも前記容器の開通状態において、1つの成分をミキサ(3、108)またはアプリケータへ各場合とも別個に通過させるための独立した流路に各チャンバが割り当てられることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項18】
封止プランジャ(111)を移動させて前記容器(2、2a、2b;100)を開通状態にすることのみによって、前記流路が互いに分離されることを特徴とする、請求項17に記載の分注装置。
【請求項19】
少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が、管または同様のものによって形成された吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を有し、
前記吐出開口がその内部に部分的に栓形またはウェブ状の突出部(12、37)を有することにより、前記栓形またはウェブ状の突出部(12、37)と前記管または同様のものの内壁との間に各成分を吐出するための例えば環状の空間が残ることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項20】
前記封止プランジャ(13、13’;111)が、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を封止するために、栓形またはウェブ状の突出部(12、37)に封止状態で配置されるリングまたはブロックとして構成され、前記栓形またはウェブ状の突出部(12、37)から遠位方向に、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を開通させる位置へと移動可能であることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項21】
前記栓形の突出部(12)と前記封止プランジャ(13)とを合わせた長さが、前記管(8、8a、8b、31;110)の長さよりも短いことを特徴とする、請求項19または20に記載の分注装置。
【請求項22】
前記開通手段が封止要素として封止プランジャ(13、13;111’)を有し、
前記封止プランジャは、それぞれの前記容器(2、2a、2b;100)内の分注される成分の内部圧力によって、封止された輸送/貯蔵位置から、開通した使用位置に移動可能であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項23】
詳細には軸方向に延びる開口が前記封止プランジャ(13)に設けられ、前記封止プランジャ(13)の使用位置で前記少なくとも1つの分注される成分がこの開口を介してのみ流れることができることを特徴とする、請求項22に記載の分注装置。
【請求項24】
少なくとも使用位置において前記封止プランジャ(13’;111)と前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b、110)との間に少なくとも1つの流路状の開口が形成され、前記封止プランジャ(13’;111)の使用位置において前記少なくとも1つの分注される成分がこの流路状の開口を介してのみ流れることができるように、前記封止プランジャ(13’;111)が吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b、110)の内側輪郭形状よりもはっきりと小さい外側輪郭形状を有することを特徴とする、請求項22に記載の分注装置。
【請求項25】
互いに一体的に連結された2つの容器(2a、2b;100、104a、104b)と、各吐出プランジャ(5a、5b)を前記容器(2a、2b;100)内で同時に前進させるためのプランジャ・ロッド機構(5;115)と、を備えるダブル・チャンバ・シリンジとして構成される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項26】
制御ロッド(10)は、前記プランジャ・ロッド機構(5;115)に割り当てられ、前記プランジャ・ロッドアセンブリ(5)および前記制御ロッド(10)の前進移動中に触感および/または音による信号を作り出すためのラチェット輪郭形状を有することを特徴とする、請求項25に記載の分注装置。
【請求項27】
前記容器(2a、2b)からすでに吐出された成分の量および/またはその容器に含まれている残りの量を前記制御ロッド(10)の位置によって読み取ることができるように、前記容器(2a、2b)に、前記制御ロッド(10)に割り当てられた目盛が設けられることを特徴とする、請求項25または26に記載の分注装置。
【請求項28】
軸方向に略前後に配置された少なくとも2つの容器(2、2a、2b)を備える、請求項1〜27のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項29】
互いに略隣り合って配置され、詳細には断面が半円形の容器として構成された少なくとも2つの容器(2、2a、2b;100、104a、104b)を備える、前記請求項1〜28のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項30】
互いに略同心に配置された少なくとも2つの容器(2、2a、2b)を備える、請求項1〜29のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項1】
分注される1つの成分が充填されるとともに、少なくとも1つの封止要素(13、13’;111)によって周囲に対して封止状態で閉鎖された、本質的に剛性を有する少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)と、
それぞれの前記容器(2、2a、2b;100)内の内部圧力に応じて前記少なくとも1つの封止要素(13、13’;111)を規定された形で開通させる開通手段と、
前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)にアプリケータ(3、30;108)を解放可能に固定する結合手段(4、18;106)と、
前記結合手段(4、18;106)によって解放可能に固定されるアプリケータ(3、30;108)と、を備える分注装置。
【請求項2】
分注される成分を収容するための少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)と、
前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能に固定できるアプリケータ(3、30;108)と、
前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能に固定する結合手段(4、18;106)と、を備える、詳細には請求項1に記載の分注装置において、
前記結合手段(4、18;106)が、前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)の定位置にロックするための径方向に旋回可能な自由端部(19)を有する少なくとも1つのばねアーム(18)と、移動可能なロック・リング(4;107)とを備え、
前記ロック・リング(4;107)が、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に回転可能だが軸方向に移動可能ではないように固定され、
前記ロック・リング(4;107)が、前記ロック・リングの回転により生じる前記ばねアーム(18)の旋回運動を制御するように前記ばねアーム(18)と共に機能する溝を有することを特徴とする分注装置。
【請求項3】
ニードル、吐出開口、スポンジまたはブラシがアプリケータ(30)として解放可能に固定される容器(2)を1つだけ備える、請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項4】
ミキサ(3;108)、(中空の)ニードル、吐出開口、スポンジまたはブラシがアプリケータ(3、30;108)として解放可能に固定される少なくとも2つの容器(2a、2b;100)を備える、請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が、遠位吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)およびそれと反対側にある近位開口と、前記遠位吐出開口と前記近位開口の間で移動させることができる吐出プランジャ(9a、9b;117)と、を有することにより、前記吐出プランジャ(9a、9b;117)の軸方向の移動によって前記容器(2、2a、2b;100)から前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を介して1つの成分を吐出可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項6】
少なくとも1つの入口開口(17、17a、17b)およびその反対側に出口開口(16)を備える前記アプリケータ(3、30;108)が、前記容器側に固定端部(14c)を有し、前記少なくとも1つの容器に固定されている状態では前記少なくとも1つの入口開口(17、17a、17b)が少なくとも1つの吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)と流体接続するように少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に解放可能に固定可能であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項7】
前記結合手段(4、18;106)が、互いに向かい合う2つのばねアーム(18)を備え、
前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)の定位置にロックするために前記ロック・リング(4)を回転させる結果、上記アームの前記自由端部(19)を互いに対して径方向に旋回可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのばねアーム(18)の、前記自由端部(19)と反対側にある端部が、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)および/または容器の遠位端壁(7)と一体的に連結されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのばねアーム(18)が、前記ロック・リング(4;107)を固定するための少なくとも1つのキャッチ(22)を有し、
前記ロック・リング(4;107)が、少なくとも1つの陥凹部(23)および/または少なくとも1つのキャッチ突出部を備え、
前記陥凹部および前記キャッチ突出部が前記キャッチ(22)の幾何形状に適合されており、前記ロック・リング(4;107)が、回転できるが軸方向に移動できないように前記少なくとも1つのばねアーム(18)に固定されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項10】
ロック・リング(4;107)が、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に対して前記ロック・リング(4;107)を少なくとも1箇所の回転位置にロックするロック手段(25)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項11】
前記ロック・リング(4;107)が、前記陥凹部(23)内部に、少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に対して前記ロック・リング(4;107)を2箇所の回転位置にロックするための少なくとも1つのキャッチ突出部(25)またはキャッチ陥凹部を有し、
前記回転位置が、前記アプリケータ(3、30;108)を少なくとも1つの容器(2a、2b;100)に固定する位置と、前記アプリケータ(3、30;108)を解放する位置と、に対応することを特徴とする、請求項9または10に記載の分注装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのばねアーム(18)が、詳細にはその自由端部(19)の前記領域に、径方向内向きに向いているリブ(20)を有し、
前記アプリケータ(3、30;108)が、少なくとも1つの径方向外向きに向いているキャッチ(21)を有し、
前記ばねアーム(18)の前記リブ(21)を前記アプリケータ(3、30;108)の前記キャッチ(21)の後方に接して配置することによって、前記アプリケータ(3、30;108)が少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)に固定可能であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項13】
前記ロック・リング(4;107)が少なくとも1つの案内溝(29)を有し、
前記少なくとも1つのばねアーム(18)が、詳細にはその自由端部(19)に形成された、前記案内溝(29)に係合するための案内突出部を有し、
前記案内溝(29)が、前記ロック・リング(4;107)の、その回転軸からの距離が一定でない曲線に沿って延びることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項14】
前記アプリケータ(3、30;108)が、前記ロック・リング(4;107)内に挿入することができる区画(14b)を有し、
前記区画が、前記ロック・リング(4;107)の開口の輪郭形状に合致する外側輪郭形状を有することにより、前記アプリケータ(3、30;108)が、前記ロック・リング(4;107)に対する2箇所の回転位置の最大において、前記ロック・リング(4;107)に対してのみ挿入可能であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項15】
少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が、前記少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)から遠位方向に突出する吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を有し、
前記アプリケータ(3、30;108)が、流体接続を発生させるまたは開通させるために、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)に押し込み可能または押し付け可能な少なくとも1つの入口開口(17、17a、17b)有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項16】
少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を有し、前記吐出開口に封止プランジャ(13、13’;111)が割り当てられ、前記プランジャが、吐出される成分の圧力によって、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を封止する位置から、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を開通させる位置に移動可能であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項17】
異なる成分を収容するための2つのチャンバが前記容器(2、2a、2b;100)に形成され、少なくとも前記容器の開通状態において、1つの成分をミキサ(3、108)またはアプリケータへ各場合とも別個に通過させるための独立した流路に各チャンバが割り当てられることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項18】
封止プランジャ(111)を移動させて前記容器(2、2a、2b;100)を開通状態にすることのみによって、前記流路が互いに分離されることを特徴とする、請求項17に記載の分注装置。
【請求項19】
少なくとも1つの容器(2、2a、2b;100)が、管または同様のものによって形成された吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を有し、
前記吐出開口がその内部に部分的に栓形またはウェブ状の突出部(12、37)を有することにより、前記栓形またはウェブ状の突出部(12、37)と前記管または同様のものの内壁との間に各成分を吐出するための例えば環状の空間が残ることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項20】
前記封止プランジャ(13、13’;111)が、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を封止するために、栓形またはウェブ状の突出部(12、37)に封止状態で配置されるリングまたはブロックとして構成され、前記栓形またはウェブ状の突出部(12、37)から遠位方向に、前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b)を開通させる位置へと移動可能であることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項21】
前記栓形の突出部(12)と前記封止プランジャ(13)とを合わせた長さが、前記管(8、8a、8b、31;110)の長さよりも短いことを特徴とする、請求項19または20に記載の分注装置。
【請求項22】
前記開通手段が封止要素として封止プランジャ(13、13;111’)を有し、
前記封止プランジャは、それぞれの前記容器(2、2a、2b;100)内の分注される成分の内部圧力によって、封止された輸送/貯蔵位置から、開通した使用位置に移動可能であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項23】
詳細には軸方向に延びる開口が前記封止プランジャ(13)に設けられ、前記封止プランジャ(13)の使用位置で前記少なくとも1つの分注される成分がこの開口を介してのみ流れることができることを特徴とする、請求項22に記載の分注装置。
【請求項24】
少なくとも使用位置において前記封止プランジャ(13’;111)と前記吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b、110)との間に少なくとも1つの流路状の開口が形成され、前記封止プランジャ(13’;111)の使用位置において前記少なくとも1つの分注される成分がこの流路状の開口を介してのみ流れることができるように、前記封止プランジャ(13’;111)が吐出開口(8、8a、8b、31;109a、109b、110)の内側輪郭形状よりもはっきりと小さい外側輪郭形状を有することを特徴とする、請求項22に記載の分注装置。
【請求項25】
互いに一体的に連結された2つの容器(2a、2b;100、104a、104b)と、各吐出プランジャ(5a、5b)を前記容器(2a、2b;100)内で同時に前進させるためのプランジャ・ロッド機構(5;115)と、を備えるダブル・チャンバ・シリンジとして構成される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項26】
制御ロッド(10)は、前記プランジャ・ロッド機構(5;115)に割り当てられ、前記プランジャ・ロッドアセンブリ(5)および前記制御ロッド(10)の前進移動中に触感および/または音による信号を作り出すためのラチェット輪郭形状を有することを特徴とする、請求項25に記載の分注装置。
【請求項27】
前記容器(2a、2b)からすでに吐出された成分の量および/またはその容器に含まれている残りの量を前記制御ロッド(10)の位置によって読み取ることができるように、前記容器(2a、2b)に、前記制御ロッド(10)に割り当てられた目盛が設けられることを特徴とする、請求項25または26に記載の分注装置。
【請求項28】
軸方向に略前後に配置された少なくとも2つの容器(2、2a、2b)を備える、請求項1〜27のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項29】
互いに略隣り合って配置され、詳細には断面が半円形の容器として構成された少なくとも2つの容器(2、2a、2b;100、104a、104b)を備える、前記請求項1〜28のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項30】
互いに略同心に配置された少なくとも2つの容器(2、2a、2b)を備える、請求項1〜29のいずれか一項に記載の分注装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28a】
【図28b】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28a】
【図28b】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公表番号】特表2010−538827(P2010−538827A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525248(P2010−525248)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007768
【国際公開番号】WO2009/036962
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(503360193)ケッテンバッハ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (10)
【氏名又は名称原語表記】Kettenbach GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Im Heerfeld 7, D−35713 Eschenburg, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007768
【国際公開番号】WO2009/036962
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(503360193)ケッテンバッハ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (10)
【氏名又は名称原語表記】Kettenbach GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Im Heerfeld 7, D−35713 Eschenburg, Germany
【Fターム(参考)】
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