説明

分級仕分装置

【課題】装置全体の占有面積を抑えつつ、コスト低減を図ることができる簡易な構成の分級仕分装置を提供する。
【解決手段】分級仕分装置は、分級対象物(A)を分別するために搬送する分別コンベヤ(2)と、この分別コンベヤ(2)上の分級対象物(A)をその側方に押し出す分級区分別の押出機構(3)と、この押出機構(3)によって押し出された分級対象物(A)を分級区分別の箱詰作業位置(P)に貯留する貯留手段とから構成され、上記貯留手段は、分別コンベヤ(2)に沿ってその側方で搬送動作する貯留コンベヤ(4)と、この貯留コンベヤ(4)に受けた分級対象物(A)をの搬送を阻止して貯留する仕切材(14)とから構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫果実等の出荷箱詰めの際に大きさ等の品質属性区分により分級仕分けする分級仕分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分級仕分装置は、特許文献1に記載のように、搬送用のフリートレイに載せた収穫果実等の分級対象物を搬送する分別コンベヤと、その側方に配置した分級区分別の箱詰作業位置まで分別コンベヤからそれぞれ分岐するように搬送貯留する貯留コンベヤとからなり、これら貯留コンベヤと対応して分別コンベヤ上に設けた押出機構がカメラ画像等に基づく分級区分情報に応じて押出し動作することにより、分級対象物が分別コンベヤから箱詰め位置に搬送され、作業者が箱詰めすることにより、品質等の属性区分別の箱詰体として出荷することができる。用済みの空トレイは、貯留コンベヤの近傍にそれぞれ配置した空トレイコンベヤから回収コンベヤに合流して元の位置に搬送回収されて循環使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−120492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記貯留コンベヤは、それぞれ分級区分毎にトレイの直径に対応する幅寸法で所定数量分を貯留しうる長さが必要であり、個々に駆動系を備えて分別コンベヤの側方に分岐するように配置されることから、分級区分数に対応する貯留コンベヤの占有領域が分別コンベヤの側方に必要となり、また、押出機構は、分別コンベヤによって移送動作中の分級対象物がそのトレイ直径と対応する幅寸法の貯留コンベヤに正確に入るように高度の動作精度が必要なことから、コスト高を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、装置全体の占有面積を抑えつつ、コスト低減を図ることができる簡易な構成の分級仕分装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、分級対象物を分別するために搬送する分別コンベヤと、この分別コンベヤ上の分級対象物をその側方に押し出す分級区分別の押出機構と、この押出機構によって押し出された分級対象物を分級区分別の箱詰作業位置に貯留する貯留手段とからなる分級仕分装置において、上記貯留手段は、分別コンベヤに沿ってその側方で搬送動作する貯留コンベヤと、この貯留コンベヤに受けた分級対象物を貯留する仕切材とから構成したことを特徴とする。
【0007】
上記貯留コンベヤは分別コンベヤに沿ってその側方で搬送動作し、この貯留コンベヤ上には、分級区分別の複数の貯留区画が仕切材によって画成され、押出機構によって分別コンベヤから押し出された分級対象物が貯留コンベヤによって各貯留区画の仕切材まで搬送されて貯留される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記仕切材は、分級対象物を案内しうる角度まで貯留コンベヤの搬送方向に傾斜して配置したことを特徴とする。
上記仕切材は、分級対象物を案内しうる角度まで貯留コンベヤの搬送方向に傾斜していることから、分級対象物が押出機構によって分別コンベヤから貯留コンベヤ上の貯留区画内に押し出された際に、仕切材に衝突してもその傾斜に沿ってガイドされる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記貯留コンベヤに沿って空トレイを搬送する空トレイコンベヤを設けたことを特徴とする。
上記貯留コンベヤに沿って空トレイコンベヤを配置したことから、隣接する複数の箱詰作業位置についても共通の空トレイコンベヤによって空トレイが搬送回収される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の分級仕分装置は、分別コンベヤの側方に貯留コンベヤが平行搬送動作し、この貯留コンベヤ上に分級区分別の複数の貯留区画が仕切材によって画成され、この貯留区画内に押出機構によって分級対象物が押出されて貯留されることから、簡易でコンパクトな構成の単一の貯留コンベヤにより、その搬送幅の張出し内で複数の箱詰作業位置に対応した分級仕分けが可能となり、装置全体の占有面積を抑えつつ、コスト低減を図ることができる。また、各貯留区画の間口寸法の自由度により、押出し動作のタイミング精度が緩和されてコスト負担が抑えられるとともに、複数人の同時作業の対応が可能となる。
【0011】
請求項2の分級仕分装置は、請求項1の効果に加え、仕切材の傾斜角度により、仕切材に分級対象物が衝突してもその傾斜に沿ってガイドされることから、貯留区画内に押し出された分級対象物が受ける衝撃が抑えられて品質を確保することができる。
【0012】
請求項3の分級仕分装置は、請求項1の効果に加え、貯留コンベヤに沿う単一の空トレイコンベヤにより、
互いに隣接する複数の箱詰作業位置について空トレイコンベヤ5を共通化できるので、簡易な構成により分別コンベヤ2からの側方張出しを抑えてコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】分級箱詰めラインの機器レイアウト図
【図2】2系列構成の分級仕分装置の機器配置図
【図3】図2の分級仕分装置の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、分級仕分装置を備える分級箱詰めラインの機器レイアウト図である。
分級箱詰めライン1は、収穫果実等の分級対象物Aを分級するために搬送するフリートレイ式の分別コンベヤ2と、この分別コンベヤ2から分級対象物Aを分級区分別にその側方に押し出し動作する押出機構3…と、各押出機構3…によって押出された分級対象物Aを受けて個々に貯留する貯留コンベヤ4と、その近傍で空トレイBを搬送する空トレイコンベヤ5とから構成される分級仕分装置Cに、分級区分別の箱詰作業台6…と積出コンベヤ7とによる出荷装置Dを付帯して構成される。
【0015】
詳細には、分級仕分装置Cは、分別コンベヤ2をループ状に構成し、分級対象物Aの投入のために、空トレイコンベヤ5から受けたトレイBを供給するトレイプール部11と、このトレイプール部11で供給されたトレイB上に分級対象物Aを載せる投入作業位置Lに配置した投入作業台12と、移送される分級対象物Aをカメラ等によって計測する計測部13とをこの順に配置し、この計測部13の計測結果による質量区分、外観区分等によって判定される分級区分に応じて分級制御する不図示の制御部を設ける。
【0016】
押出機構3は、分別コンベヤ2の搬送行程に沿って設定した複数の分級区分別に配置し、計測部13の計測結果に基づく分級区分に応じた通過タイミングで押出し動作するように制御部が制御することにより、分別コンベヤ2上の分級対象物Aを分級仕分けする。
【0017】
貯留コンベヤ4は、分別コンベヤ2の側方に平行して搬送動作するローラコンベヤ等によって構成し、この貯留コンベヤ4上に押出機構3と対応して仕切材14…を設けることによって分級対象物Aを受ける貯留区画Sを画成する。各仕切材14…は、衝撃を抑えるために分級対象物Aを案内しうる角度(θ)まで搬送方向に傾斜して貯留可能に配置する。この貯留コンベヤ4に沿って空トレイコンベヤ5を設け、空トレイBを循環させるようにトレイプール部11に接続して構成する。
【0018】
上記のように分級仕分装置Cを構成することにより、分別コンベヤ2の側方の貯留コンベヤ4上に分級区分別の複数の貯留区画Sが仕切材14…によって画成され、分級対象物Aが押出機構3…によって分別コンベヤ2から側方に押し出されると、貯留コンベヤ4上の仕切材14…による各区画S内に衝撃を抑えつつ分級貯留される。
【0019】
したがって、互いに隣接する複数の箱詰作業位置P…について、共通の貯留コンベヤ4によって分級仕分けすることが可能となる上に、各貯留区画Sの間口寸法Eがコンベヤ幅等による制約を受けないので、間口寸法Eを大きく設定することにより、貯留コンベヤ4の搬送幅寸法Fを抑えて貯留区画Sとしての必要面積を確保できるとともに、押出機構3の動作精度が緩和されてそのコスト負担が抑えられることから、分別コンベヤ2からの側方張出し寸法を抑えつつ、コスト低減を図ることができる。また、貯留区画Sの間口寸法Eに応じて複数人による集中箱詰等の多様な作業態様が可能となる。
【0020】
また、上記構成の分級仕分装置Cは、互いに隣接する複数の箱詰作業位置Pについて空トレイコンベヤ5を共通化できるので、簡易な構成により分別コンベヤ2からの側方張出しを抑えてコンパクトに構成することができる。
【0021】
また、分級仕分装置Cの分級動作については、押出機構3が押出動作して分級対象物Aが傾斜配置の仕切材14に衝突しても、その傾斜に沿うガイド作用によって衝撃が緩和されることから、分級工程による分級対象物Aの品質を確保することができる。
【0022】
(2系列構成)
次に、2系列構成の分級仕分装置の構成例を説明する。
2系列構成の分級仕分装置21は、機器レイアウト図および横断面図をそれぞれ図2、図3に示すように、平行配置の2つの分別コンベヤ22,22と、それぞれの近傍の外側方位置に平行配置した積出コンベヤ23,23と、中央のトレイ回収コンベヤ24とを備え、一方の分別コンベヤ22から他方の分別コンベヤ22の下を横断して貯留コンベヤ25を分岐し、その搬送先の積出コンベヤ23の近傍を箱詰作業位置Pとし、この箱詰め作業位置Pから貯留コンベヤ25に沿って空トレイコンベヤ26を中央のトレイ回収コンベヤ24まで折り返して1つの分級区分を構成し、この分級区分を両分別コンベヤ22,22の搬送行程に沿って交互に配置して構成する。
【0023】
上記構成の分級仕分装置は、立体的な配置によって装置幅寸法Gを抑えて構成することができるととともに、トレイ回収コンベヤ24の2系列共用化が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
2 分別コンベヤ
3 押出機構
4 貯留コンベヤ
5 空トレイコンベヤ
6 箱詰作業台
7 積出コンベヤ
14 仕切材
A 分級対象物
B 空トレイ
C 分級仕分装置
D 出荷装置
E 間口寸法
F 搬送幅寸法
L 投入作業位置
P 箱詰作業位置
S 貯留区画

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級対象物(A)を分別するために搬送する分別コンベヤ(2)と、この分別コンベヤ(2)上の分級対象物(A)をその側方に押し出す分級区分別の押出機構(3)と、この押出機構(3)によって押し出された分級対象物(A)を分級区分別の箱詰作業位置(P)に貯留する貯留手段とからなる分級仕分装置において、
上記貯留手段は、分別コンベヤ(2)に沿ってその側方で搬送動作する貯留コンベヤ(4)と、この貯留コンベヤ(4)に受けた分級対象物(A)を貯留する仕切材(14)とから構成したことを特徴とする分級仕分装置。
【請求項2】
前記仕切材(14)は、分級対象物(A)を案内しうる角度(θ)まで貯留コンベヤ(4)の搬送方向に傾斜して配置したことを特徴とする請求項1記載の分級仕分装置。
【請求項3】
前記貯留コンベヤ(4)に沿って空トレイ(B)を搬送する空トレイコンベヤ(5)を設けたことを特徴とする請求項1記載の分級仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−188260(P2010−188260A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34151(P2009−34151)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】