説明

分解形状表示装置および分解形状表示方法

【課題】設計後の設計データに基づいて3次元モデルの内の部品間の位置関係の把握を容易にする。
【解決手段】設計データに基づいて複数の部品から構成される3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する分解形状表示装置であって、前記複数の部品の内の一部の部品を回転させた状態の3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する対象部品回転表示処理部18を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元モデルの分解ビューを表示する分解形状表示装置および分解形状表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体等の部品を設計するためにメカCAD(Computer Aided Design)やメカCAE(Computer Aided Engineering)が用いられる。
【0003】
設計者は、筐体を示す3次元モデルを構成する複数の部品の関係が分かっている。しかし、設計後のCADモデルを見た製造担当者は、部品の位置関係が分かりにくいことがある。
【0004】
特許文献1には、CADシステムの形状編集方式において、形状要素を指定し、それを含む部品の回転基準軸と所定の方向と回転角を指定すると、回転後の形状要素を表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−298396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
設計後の3次元モデルを見ただけでは、部品間の位置関係が把握できず、部品間の位置関係の把握を容易にする機能が求められている。
【0007】
本発明の目的は、設計後の3次元モデルの内の部品間の位置関係の把握を容易にすることが可能な分解形状表示装置および分解形状表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例に係わる分解形状表示装置は、設計データに基づいて複数の部品から構成される3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する分解形状表示装置であって、前記複数の部品の内の一部の部品を回転させた状態の前記3次元モデルの分解ビューを前記表示装置に表示するための画像データを生成する生成手段を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設計後の3次元モデルの内の部品間の位置関係の把握を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係わる分解形状表示システムの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す分解形状表示システムによって処理される分解形状表示処理の手順を示すフローチャート。
【図3】3次元形状データに基づいて表示される3次元モデルを示す図。
【図4】図3に示す3次元モデルを構成する部品を示す図。
【図5】図3に示す3次元モデルを構成する部品を示す図。
【図6】図3に示す3次元モデルの選択されたエッジを強調表示した例を示す図。
【図7】図3に示す3次元モデルの内の選択された部品を回転させた3次元モデルを示す図。
【図8】図3に示す3次元モデルの内の選択された部品を回転させた3次元モデルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0012】
用いた分解形状表示システムの構成を図1に示す。本システムは、設計済みの3次元データ(設計データ)に基づいて3次元モデルの分解ビューを表示する機能を有する。従来の分解ビューとは、3次元モデルの全体を回転させたり、平行移動させたりする機能を有する。
【0013】
本システムは、システム本体10、入力装置31、表示装置32から構成される。なお、入力装置31は、キーボードやマウス等で構成される。また、本システムは、ネットワークを通じてメカCAD(Computer Aided Design)サーバ41およびメカCAE(Computer Aided Engineering)サーバ42に接続されているものとする。メカCADサーバ41には3次元形状データが、メカCAEサーバ42には3次元形状データおよび3次元形状データを用いた有限要素メッシュなどが作成されたFEM(finite element modeling)データがそれぞれ格納されている。システム本体(分解形状表示装置)10は、例えばコンピュータによって実現されている。
【0014】
システム本体10は、ネットワーク処理部11、3次元形状データ読み込み処理部12、部品表示処理部13、選択部品検出処理部14、選択エッジ/軸検出処理部15、回転方向検出処理部16、回転角度検出処理部17、対象部品回転表示処理部18、選択フィーチャ検出処理部19、選択フィーチャ表示処理部20、およびデータファイル格納部21等を備えている。
【0015】
なお、ネットワーク処理部11、3次元形状データ読み込み処理部12、部品表示処理部13、選択部品検出処理部14、選択エッジ/軸検出処理部15、回転方向検出処理部16、回転角度検出処理部17、対象部品回転表示処理部18、選択フィーチャ検出処理部19、および選択フィーチャ表示処理部20は、例えばコンピュータの内のプロセッサ等によって処理されるプログラムによって実現される。なお、一部の機能は、プログラムではなく回路によって実現されても良い。
【0016】
ネットワーク処理部11は、メカCADサーバ41および/またはメカCAEサーバ42から3次元アセンブリを構成する3次元形状データを読み込み、データファイル格納部21に読み込んだ3次元形状データ22を格納する。そして、3次元形状データ読み込み処理部12は、データファイル格納部21から3次元形状データを読み出す。部品表示処理部13は、3次元形状データ22に基づいて表示装置32に3次元モデルを表示するための画像データを生成する。表示装置32は、部品表示処理部13によって生成された画像データに基づいた画像を表示する。
【0017】
選択部品検出処理部14は、表示装置32に表示されている3次元モデルの内から、ユーザによる入力装置31の操作に応じて、ユーザが回転させたい部品として選択された部品を検出する処理を行う。選択エッジ/軸検出処理部15は、ユーザによる入力装置31の操作に応じて、選択部品検出処理部14によって選択された部品の内のエッジや任意の軸等の回転軸を検出する処理を行う。回転方向検出処理部16は、ユーザによる入力装置31の操作に応じて、選択された回転方向(時計回り、または反時計回り)を検出する処理を行う。回転角度検出処理部17は、ユーザによる入力装置31の操作に応じて、選択された回転角度を検出する処理を行う。
【0018】
対象部品回転表示処理部18は、選択部品検出処理部14によって検出された部品、選択エッジ/軸検出処理部15によって検出された回転軸、回転方向検出処理部16によって検出された回転方向、および回転角度検出処理部17によって検出された回転角度に応じて部品を回転させた分解ビューを表示するための画像データを生成する。表示装置32は、対象部品回転表示処理部18によって生成された画像データに基づいた画像を表示する。
【0019】
選択フィーチャ検出処理部19は、表示装置32に表示されている3次元モデルの内から、ユーザによる入力装置31の操作に応じて、部品または当該部品を構成する一つの面を検出する処理を行う。選択フィーチャ表示処理部20は、選択フィーチャ検出処理部19によって選択された部品または面の回転する前の位置を表示装置32に表示するための画像データを生成する。表示装置32は、選択フィーチャ表示処理部20によって生成された画像データに基づいた画像を表示する。
【0020】
次に上記構成システムの動作を図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0021】
ユーザは、入力装置31を用いて、ネットワーク処理部11を介してメカCADサーバ41もしくはメカCAEサーバ42から2以上の部品で構成された3次元モデルを示す3次元形状データ22をデータファイル格納部21に移動させる。そして、3次元形状データ読み込み処理部12によってデータファイル格納部21に格納されている3次元形状データ22を読み込む(ステップS1)。なお、3次元形状データ22はユーザ自ら作成したものでもよい。
【0022】
部品表示処理部13は、3次元形状データ22に基づいて表示装置32に3次元モデルを表示するための画像データを生成し、表示装置32は部品表示処理部13によって生成された画像データに基づいた画像を表示する(ステップS2)。3次元形状データ22に基づいて表示装置32に表示される3次元モデルを図3に示す。なお、図3に示す3次元モデル50は、図4に示す部品51と図5に示す部品52との二つの部品から構成される。
【0023】
次いで、選択部品検出処理部14は、表示装置32に表示されている3次元モデル50から3次元形状データ22の内からユーザによって選択された1部品以上を検出する(ステップS3)。ここでは、3次元モデルを構成する全ての部品を検出することはできない。例えば、部品52がユーザによって選択された部品であると検出したとする。
【0024】
選択エッジ/軸検出処理部15は、表示装置32に表示されている3次元モデル50からユーザによって選択された回転の中心となるエッジもしくは軸を検出する(ステップS4)。検出された回転軸を部品表示処理部13に通知する。部品表示処理部13は、図6に示されるように、選択されたエッジ53が強調表示されている3次元モデル50の画像データを生成する。
【0025】
回転方向検出処理部16は、ユーザによって選択された、ステップS3において選択された形状を回転させる方向を検出する(ステップS5)。回転角度検出処理部17は、ユーザによって入力された、ステップS3において検出された形状をステップS5で検出された方向にどの程度回転させるかを示す回転角度を検出する(ステップS6)。例えば、部品52を90度回転させるものとする。対象部品回転表示処理部18は、ステップS3、S4、S5、S6で検出された情報に基づいて、部品52を回転させた3次元モデル50を表示装置32に表示するための画像データを生成する。表示装置32は、対象部品回転表示処理部18によって生成された画像データに基づいた画像を表示する(ステップS7)。表示装置32に表示される画像の例を図7に示す。
【0026】
選択フィーチャ検出処理部19は、ユーザ選択された回転した部品52上のフィーチャを検出する(ステップS8)。選択フィーチャ表示処理部20は、ステップS8において検出されたフィーチャの回転する前の位置が示される画像データを生成する。表示装置32は、選択フィーチャ表示処理部20によって生成された画像データに基づいた画像を表示する(ステップS9)。本例では図8に示されるように、フィーチャとして面54が検出され、検出された円サーフェスの回転前の位置55が表示される。
【0027】
以上示したように、複数部品から構成される3次元モデルの回転による分解が容易となり、部品間のフィーチャの位置関係の把握が容易となった。
【0028】
なお、本実施形態の複数の部品から構成される3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する処理はコンピュータプログラムによって実現されているので、このコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じて通常のコンピュータにインストールするだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。また、このコンピュータプログラムは、パーソナルコンピュータのみならず、プロセッサを内蔵した電子機器上で実行することができる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…システム本体(分解形状表示装置),11…ネットワーク処理部,12…込み処理部,13…部品表示処理部,14…選択部品検出処理部,15…軸検出処理部,16…回転方向検出処理部,17…回転角度検出処理部,18…対象部品回転表示処理部,19…選択フィーチャ検出処理部,20…選択フィーチャ表示処理部,21…データファイル格納部,22…3次元形状データ,31…入力装置,32…表示装置,41…メカCADサーバ,42…メカCAEサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計データに基づいて複数の部品から構成される3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する分解形状表示装置であって、
前記複数の部品の内の一部の部品を回転させた状態の前記3次元モデルの分解ビューを前記表示装置に表示するための画像データを生成する生成手段を具備することを特徴とする分解形状表示装置。
【請求項2】
前記一部の部品の内の部品の回転する前の位置が示される分解ビューを前記表示装置に表示するための画像データを生成する第2生成手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の分解形状表示装置。
【請求項3】
前記一部の部品の内の部品内の面の回転する前の位置が示される分解ビューを前記表示装置に表示するための画像データを生成する第2生成手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の分解形状表示装置。
【請求項4】
前記設計データは、メカCAD(Computer Aided Design)またはメカCAE(Computer Aided Engineering)によって作成されることを特徴とする請求項1に記載の分解形状表示装置。
【請求項5】
設計データに基づいて複数の部品から構成される3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する分解形状表示方法であって、
前記複数の部品の内の一部の部品を回転させた状態の前記3次元モデルの分解ビューを前記表示装置に表示するための画像データを生成することを特徴とする分解形状表示方法。
【請求項6】
設計データに基づいて複数の部品から構成される3次元モデルの分解ビューを表示装置に表示するための画像データを生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記複数の部品の内の一部の部品を回転させた状態の前記3次元モデルの分解ビューを前記表示装置に表示するための画像データを生成する手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−215831(P2011−215831A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82872(P2010−82872)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】