説明

分解液の排出方法

【課題】分解槽の排出配管を流れる分解液の流速低下に伴う排出配管の閉塞を防止し、分解槽から分解液を効率的に排出することができる分解液の排出方法を提供する。
【解決手段】超臨界又は亜臨界の状態で被分解物を分解する分解槽1内から内圧を利用して分解液2を排出配管5を通じて排出する方法において、分解槽1内の気相部分Aに気体9を供給して分解液2の排出に伴う分解槽1内の内圧低下を補うとともに、分解液2を攪拌しながら分解槽1内から分解液2を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解液の排出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、有害物を無害化分解することや、食品廃棄物等を分解して再資源化することや、プラスチック廃棄物等のプラスチック成形品を分解して有機酸、アルコール等のプラスチックの合成原料やFRP(繊維強化プラスチック)中の補強繊維等を回収して再利用できるようにするために、超臨界又は亜臨界状態の水熱反応によって分解する方法(例えば、特許文献1参照)や様々な装置の構成が提案されている。
【0003】
しかしながら、超臨界又は亜臨界の状態でのプラスチック成形品の分解においては、FRPからのガラス繊維や炭素繊維等の補強繊維の回収を伴う場合をはじめ、破砕した粒状のプラスチックを含む被処理混合液は固液混合のスラリー状となるため、連続的に分解槽内に原料を供給し、連続的に分解槽内から分解液を取り出すことは、必ずしも容易ではないという問題がある。その理由は、第1には、スラリー液を高温高圧で送液するポンプが高価であり、固形物による部品の磨耗等の耐久性に問題が生じやすいことであり、第2には、反応性を確保しつつ、分解槽に残留した未反応固形物の全量排出が困難であることによる。特にプラスチック成形品がFRPの場合、比重の重いガラス繊維や炭酸カルシウム等の無機物成分が未反応のまま残り、沈降性の高いこれらの成分を伴う分解液の排出は難しい。
【0004】
したがって、このような場合には、回分式の分解装置が採用される。回分式の分解装置はバッチ処理であり、投入した原料は1バッチの反応後、分解装置の底部に接続された取り出し部としての排出配管からそのまま全量抜き出される操作となる。反応生成物を含む分解液を分解槽から取り出すにあたっては、分解槽内は液体を超臨界又は亜臨界状態にしているために高温・高圧の状態にあることから、分解槽内を常温にまで冷却する必要がある。また、分解液を取り出すために分解槽内を常圧にまで減圧する必要がある。しかしながら、常温常圧まで分解液を冷却するには長時間必要であり、1バッチの処理時間を長引かせる主要因となっていた。
【0005】
そこで、分解槽内の圧力が常圧まで下がるのを待たずに、分解液液温100℃以上の高温高圧状態で分解液を分解槽に接続された排出配管から排出させ、次いで冷却器にて冷却して取り出す分解装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。100℃以上の高温高圧状態からの排出であれば、槽内圧が大気圧以上のため、槽内の系を外部の系に開放することにより、特別な取り出し手段を設けることなく排出させることが可能である。しかしながら、この分解装置においては、分解液の排出により分解槽内の分解液量が減少すると、分解槽内の内圧が低下する。それに伴い、排出配管を流れる分解液の流速が低下し、分解液中の固形物により排出配管の閉塞が生じやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/041917号パンフレット
【特許文献2】特開2008−264763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、分解槽の排出配管を流れる分解液の流速低下に伴う排出配管の閉塞を防止し、分解槽から分解液を効率的に排出することができる分解液の排出方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のことを特徴としている。
【0009】
第1には、超臨界又は亜臨界の状態で被分解物を分解する分解槽内から内圧を利用して分解液を排出配管を通じて排出する方法において、分解槽内の気相部分に気体を供給して分解液の排出に伴う分解槽内の内圧低下を補うとともに、分解液を攪拌しながら分解槽内から分解液を排出することを特徴とする。
【0010】
第2には、上記第1の発明において、分解槽内の気相部分が排出配管と連通しないような攪拌速度で分解液を攪拌することを特徴とする。
【0011】
第3には、上記第2の発明において、分解液の排出中、分解槽内に残存する分解液量に応じて攪拌速度を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、分解液の排出による分解槽内の内圧低下を分解槽内の気相に気体を供給して補っているので、排出配管を流れる分解液の流速低下が抑えられ、分解槽から分解液を効率よく短時間で排出することができる。また、分解液の流速低下に伴う分解液中の固形物による排出配管の閉塞を防止することができる。さらに本発明は、分解液を攪拌しながら分解槽内から分解液を排出しているので、分解槽底部に固形分が滞留して粘度が高くなった分解液が排出配管に流れて閉塞が生じることを防止することができる。
【0013】
第2の発明によれば、分解槽内の気相が排出配管と連通しないような攪拌速度で分解液を攪拌しているので、上記第1の発明の効果に加えて、より一層効率よく分解槽から分解液を排出することができる。
【0014】
第3の発明によれば、分解槽内に残存する分解液量に応じて攪拌速度を調整しているので、上記第1及び第2の発明の効果に加えて、より効果的に排出配管の閉塞を防止しつつ、分解槽から分解液を効率よく短時間で排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る分解液の排出方法を説明するための分解装置の概要構成図である。
【図2】本発明に係る分解液の排出方法を説明するための分解装置の要部概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、被分解物を分解し、その分解液を回収する分解装置を示している。
【0017】
この分解装置は、超臨界又は亜臨界の状態で流体にて被分解物を分解する分解槽1と、分解槽1内の被分解物と流体との混合液またはその分解液2を攪拌する攪拌速度が調整可能な攪拌手段3と、この攪拌手段3の攪拌速度を調整する制御部4と、分解槽1内から分解液2を排出する排出配管5と、この排出配管5から排出した分解液2を回収する分解液回収槽6と、排出配管5の途中に設けられる分解液2を冷却する冷却器7と、分解槽1に気体9を供給する気体供給手段8を備えている。
【0018】
分解槽1は、円筒形で耐圧性に形成され、その外周にはヒーターや熱媒ジャケット等で形成される加熱手段10が設けられている。また分解槽1には、温度センサー等で形成される温度検出器19が差し込まれており、上部には分解槽1内の圧力を測定する圧力ゲージ等で形成される圧力検出手段20が設けられている。この温度検出器19及び圧力検出手段20で分解槽1の温度、圧力をそれぞれ検出しながら、加熱手段10を制御して最適温度での加熱を行い、被分解物を分解するようにしている。
【0019】
被分解物は、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機充填材やガラス繊維等の無機繊維を含む繊維強化プラスチック等のプラスチック成形品である。プラスチック成形品は分解反応がし易くなるように粉砕して粉粒状にし、水等の流体と共に分解槽1に投入される。プラスチック成形品は通常疎水性であるため水等の流体と馴染みにくく、しかも粉砕したプラスチック成形品の粉粒体は空気を噛んでいるために液面に浮き易い。プラスチック成形品と流体との混合が不十分であると、プラスチック成形品の分解の効率が悪くなるため、本実施形態では、プラスチック成形品と流体との混合を十分なものとするために、攪拌装置11を備えた前処理槽12を備えている。この前処理槽12は原料供給配管13を介して分解槽1に接続されている。前処理槽12にプラスチック成形品の粉粒体と水等の流体が投入され、攪拌装置11により十分に攪拌混合して流体中にプラスチック成形品が馴染んでスラリー状にした後、液送ポンプ14で原料供給配管13を通じてプラスチック成形品と流体のスラリー15を分解槽1に供給するようにしている。これによって、プラスチック成形品の分解が効率良く行われる。
【0020】
分解槽1に供給されたプラスチック成形品の粉粒体が分解槽1底部に沈降して分解反応が受け難くなることを防止したり、加熱時にプラスチック成形品の粉粒体が分解槽1内壁面に固着したりすることを防止するなど、プラスチック成形品の粉粒体の流体に対する攪拌混合性を高めて流体との反応効率を向上させるために、プラスチック成形品の最大粒径が1〜30mm程度、好ましくは最大粒径が10mm以下になるように粉砕して使用するのが好ましい。プラスチックの最大粒径は小さいほど望ましいものであり、粉砕可能であればいくら小さくてもよい。
【0021】
分解槽1に設けられた攪拌手段3は、回転軸31とこれに取り付けられた複数の攪拌翼32を有しており、分解槽1の上部に設けられたモータ16の駆動によって回転軸31を回転させ、分解槽1内の被分解物と流体との混合液(スラリー)またはその分解液2を攪拌する。制御部4は、モータ16と電気的に接続され、攪拌手段3の回転軸31の回転数を制御して所望の攪拌速度に調整できるようになっており、分解槽1内の混合液または分解液2の状態に応じて、攪拌速度を適宜調整することが可能である。攪拌速度は、攪拌手段3の攪拌翼32の形状による違いはあるものの、例えば、FRP等のプラスチック成形品の粒径が10mm以下の場合、攪拌速度70rpm(攪拌翼先端周速度2.6m/s)で攪拌すれば、内径1.2m、有効容積2.4mの分解槽1において効果的に分散する。
【0022】
分解槽1の底部には排出配管5の一端が排出口17を介して接続され、他端は分解液回収槽6に接続されている。排出配管5には、排出用開閉弁51が設けられており、この排出用開閉弁51を開くことによって分解槽1内の高温高圧状態の分解液2が排出口17から排出され、排出配管5を通じて分解液回収槽6に回収される。排出配管5の途中には分解液2を冷却するための円筒多管式熱交換器等の冷却器7が設けられており、この冷却器7によって分解液2が冷却され、冷却した分解液2が分解液回収槽6に蓄えられるようになっている。
【0023】
排出配管5には、分解液2の流量を調整するための流量調整開閉弁52が、排出用開閉弁51よりも下流側に位置する冷却器7の入口側に設けられている。この流量調整開閉弁52は、電磁弁等で形成されて連続的に開度を調整できるようになっており、開度に応じて分解液2の流量の調整ができるようになっている。流量調整開閉弁52は冷却器7の出口側に設けてよいが、この場合冷却器7を耐圧性の圧力容器にする必要がある。さらに排出配管5には、分解液2の流量を検出する流量検出手段18が排出用開閉弁51と流量調整開閉弁52との間の位置に設けられている。
【0024】
気体供給手段8は、分解槽1の上部に接続される気体供給配管21で構成され、気体供給配管21から気体9が供給される。気体9としては、分解液2と反応しないものがよく、空気、窒素ガスやアルゴンガス等が挙げられる。例えば、気体9として空気を供給する場合には、気体供給配管21の分解槽1側とは反対側の一端を大気中に開放し、ポンプ等で気体9を供給する。気体9として窒素ガスやアルゴンガスを供給する場合、これらの気体9を封入したボンベを気体供給配管21の分解槽側とは反対側の一端に接続して気体9を供給する。気体供給配管21には気体供給開閉弁211が設けられており、この気体供給開閉弁211を開閉することにより気体9の供給を調整している。
【0025】
また、分解槽1の上部には、分解液2の蒸気を排出する配管22が接続されている。その配管22に設けられた開閉弁221を開くと、分解液2の蒸気が配管22を通じて分解槽1外に放出され、分解槽1内が減圧する。このように分解槽1内が減圧すると分解槽1内の分解液2が気化し、その際の気化熱によって分解液2の温度が下がり、分解液2が冷却される(フラッシュ冷却)。気化して配管22に放出された蒸気は、冷却水等の冷媒が循環している凝縮器23に送られて熱交換され、流体として回収槽24に回収される。
【0026】
以上の構成の分解装置を用いて、次のように被分解物の分解処理をおこなう。
【0027】
まず被分解物と水等の流体とを前処理槽12に投入して十分に攪拌混合してスラリー状にし、このスラリー15を分解槽1に供給する。分解槽1にスラリー15を供給した後、分解槽1を密閉状態にして攪拌手段3で攪拌しながら加熱手段10で加熱する。温度検出器19で分解槽1内の温度を、圧力検出手段20で分解槽1内の圧力を、それぞれ検出しながら加熱手段10で加熱をおこない、検出された温度と圧力に応じて加熱を制御することによって分解槽1内の流体が超臨界又は亜臨界の状態になる温度・圧力を維持し、この超臨界又は亜臨界の状態の流体を反応触媒として被分解物を分解することができる。例えば、被分解物として不飽和ポリエステル樹脂成形品を用い、流体として水を用いる場合、プラスチック成形品濃度10〜15wt%、分解温度180〜250℃、圧力1.0〜4.0MPaに調整し、水を超臨界状態又は亜臨界状態に維持して1〜4時間反応させることによって、不飽和ポリエステル樹脂をエステル交換反応させ、スチレンマレイン酸共重合体や多価アルコール等のモノマーに分解することができる。また、被分解物として、FRP(繊維強化プラスチック)を用いると、分解液2にはFRP中の炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機充填材やガラス繊維等の無機繊維が固形物として含まれることになる。
【0028】
所定の分解処理時間経過後、分解液2の冷却を行う。例えば、分解槽1の上部に設けられた配管22の開閉弁221を開いて分解槽1内の分解液2の蒸気を配管22を通じて放出させ、分解槽1内を減圧する。上述したように、分解槽1内を減圧すると、分解槽1内の分解液2が気化し、その際の気化熱によって分解液2の温度が下がり、分解液2が冷却される。分解槽1内の温度が120℃〜160℃程度になるまで冷却を継続し、本実施例では130℃になるまで冷却を継続している。なお、このときの分解槽1の内圧は飽和蒸気圧に等しい0.27MPaである。
【0029】
分解液2の排出は、排出用開閉弁51及び流量調整開閉弁52を操作することにより、排出口17から排出配管5を通じて分解液2を排出する。分解槽1の内圧が0.27MPaと大気圧以上であるため、排出用開閉弁51及び流量調整開閉弁52を開くだけで分解液2は分解槽1から排出される。高温高圧状態で排出された分解液2は、冷却器7によりその液体の常圧での飽和温度(水では100℃)以下まで冷却され、分解液回収槽6に貯留される。このとき、分解液2は分解槽1の内圧により加圧されて排出されるため、流速が速く、分解液2中に含まれる固形物が排出配管5内に沈降することを抑制することができる。
【0030】
分解槽1内の分解液2は、排出するにつれて容量が減少し、それに伴い気相部分Aの容積が増える。温度Tが一定の場合、ボイルの法則によりPV=一定であるから、分解槽1内の圧力が低下して、分解液2の排出流量が減少する。そのため、本実施形態では、流量検出手段18にて排出配管5の排出流量を検出し、排出流量が所定値(例えば初期流量の70%)以上に維持されるように、気体供給手段8により気体を分解槽1内の気相部分Aに供給して分解槽1内の圧力を一定に制御する。気体9の供給量は気体供給開閉弁211の開度制御によって行う。このような制御は、分解液2の排出初期から行ってもよいし、排出流量が所定値以下になった時点で行うようにしてもよい。
【0031】
また、圧力検出手段20にて分解槽1内の圧力を検出し、分解槽1内の圧力が所定値(例えば0.15MPa)以上に維持されるように、気体供給手段8により気体9を分解槽1内の気相部分Aに供給して分解槽1内の圧力を一定に制御する。気体9の供給量は気体供給開閉弁211の開度制御によって行う。このような制御は、分解液2の排出初期から行ってもよいし、分解槽1内の圧力が所定値以下になった時点で行うようにしてもよい。
【0032】
このように気体供給手段8により気体9を分解槽1内の気相部分Aに供給することで、分解液2の排出に伴う分解槽1内の内圧低下を補い、排出配管5を流れる分解液2の流速低下を抑え、分解槽1から分解液2を最後まで効率的に短時間で排出することができる。
【0033】
さらに本実施形態では、攪拌手段3で分解液2を攪拌しながら分解液2を分解槽1から排出している。所定の分解処理時間を経て、加熱手段10による加熱をやめた分解処理終了後の分解槽1内の分解液2中には、被分解物の無機成分とともに、被分解物の有機成分の一部が完全に分解されずにあるいは流体に溶解されずに固形物として残存している。被分解物の無機成分及び有機成分の未分解物や未溶解物の大きさは様々であって各種寸法のものが混在している。このような固形物を含む分解液2を攪拌せずに放置しておくと固形物が沈降して分解槽1底部に滞留し、分解液2の粘度が高くなる。この状態の分解液2を排出配管5に流すのは排出効率が悪いだけでなく、排出配管5の閉塞の原因となる。そこで、本実施形態では、固形物が分解槽1底部に滞留しないように、攪拌手段3で分解液2を攪拌しながら分解液2を排出している。その際の攪拌速度は、分解処理時の攪拌速度を維持すればよい。例えば、粒径10mm以下のプラスチック成形品を分解処理した分解液2の場合、攪拌速度70rpm(攪拌翼32先端周速度2.6m/s)で攪拌すれば、内径1.2m、有効容積2.4mの分解槽1において固形物が分解液2中に分散する。この攪拌速度で分解液2を攪拌すると、分解槽1内の分解液2の液面が攪拌手段3の回転軸31を中心に凹んだ凹面となり、分解槽1内壁面付近の液面よりも攪拌手段3の回転軸31付近の液面の高さが低くなる。
【0034】
分解液2の排出が進行していくと、分解槽1内の分解液2の容量が減少し、気相部分Aが増加する。分解槽1内の分解液2の容量が少なくなった排出終期においては、分解液2の攪拌により分解液2の液面が凹面になっていること、及び気体供給手段8により分解槽1内の気相部分Aに気体9を供給して分解槽1内の圧力を所定値以上に維持していることとが合わさって、図2に示すように分解槽1の気相部分Aが排出配管5と連通してしまう場合がある。この場合、分解槽1内の全ての分解液2を排出配管5に流すことは難しい。これを解消するためには、分解液2の攪拌を停止する必要があり、作業効率の低下が懸念される。
【0035】
そこで、本実施形態では、分解槽1内の気相部分Aが排出配管5と連通しないような攪拌速度で分解液2を攪拌することが好ましい。例えば、攪拌翼32の形状にもよるものの、粒径10mm以下のプラスチック成形品を分解処理した分解液2の場合、攪拌速度30rpm(攪拌翼32先端周速度1.1m/s)で攪拌すれば、内径1.2m、有効容積2.4mの分解槽1において固形物が沈降せず、排出中に分解槽1内の気相部分Aが排出配管5と連通することもない。したがって、排出流量が低下することなく、かつ、分解槽1内の分解液2の残留はほとんど見られず全量排出が可能である。攪拌速度は制御部4で調整される。ここで、内径1.2m、有効容積2.4mの分解槽1において粒径10mm以下のプラスチック成形品を分解処理した分解液2を排出する場合、例えば、分解液2の排出当初から排出が終わるまで攪拌速度を30rpmにして攪拌することとしてもよい。または、分解液2の排出当初は分解処理時の攪拌速度70rpmと同じ攪拌速度を維持し、排出の進行に伴い、分解槽1内に残存する分解液2量に応じて最終的に攪拌速度が30rpmになるように制御部4で調整するようにしてもよい。前者の場合、分解槽1内の分解液2をより確実に全量排出できる利点がある。後者の場合、分解液2中に含まれる固形物をより確実に排出できる利点がある。
【符号の説明】
【0036】
1 分解槽
2 分解液
3 攪拌手段
5 排出配管
8 気体供給手段
9 気体
A 気相部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界又は亜臨界の状態で被分解物を分解する分解槽内から内圧を利用して分解液を排出配管を通じて排出する方法において、分解槽内の気相部分に気体を供給して分解液の排出に伴う分解槽内の内圧低下を補うとともに、分解液を攪拌しながら分解槽内から分解液を排出することを特徴とする分解液の排出方法。
【請求項2】
分解槽内の気相部分が排出配管と連通しないような攪拌速度で分解液を攪拌することを特徴とする請求項1に記載の分解液の排出方法。
【請求項3】
分解液の排出中、分解槽内に残存する分解液量に応じて攪拌速度を調整することを特徴とする請求項2に記載の分解液の排出方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−253395(P2010−253395A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106954(P2009−106954)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】