説明

分離搬送装置

【課題】主に簡易な構成で被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる分離搬送装置を提供する。
【解決手段】整列部16が中心軸回りに回転されると、整列部16の上面に載置された電子部品Mが径方向外側に搬送される。電子部品Mが整列部16の径方向外側に搬送されると、電子部品Mが傾斜部20A上を滑落するとともにストッパ部20Bでその滑落が止められる。また、整列ガイド18及び案内ガイド22が設けられているため、整列部16の上面に載置された電子部品Mが1列に整列されて整列部16の径方向外側に誘導されるとともに、径方向に対して傾斜させるように傾斜部20A上を滑落されストッパ部20Bに誘導される。これにより、電子部品Mはストッパ部20B上で分離部20の周縁に沿って所定の間隔で位置することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品を1個ずつ分離した状態で電子部品の外観検査や収納テープへの個別収納させる部位に連続供給するための分離搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチップ部品の分離供給機構では、チップ部品フィーダのガイド部と連続回転円板との間に固定又は回転する薄板が配設され、ガイド部から連続回転円板へのチップ部品の移動が薄板を介して行われる。これにより、連続回転円板とガイド部との隙間や連続回転円板の周縁部の欠損、傷及び凹凸等の影響を受けることなく連続回転円板へのチップ部品の供給を安定的に円滑に行うことができる。そして、ガイド部から離れたチップ部品は連続回転円板の回転に伴い円周軌道上を移動するが、円周軌道に沿ったチップ部品の搬送速度よりも大きく設定することで、連続回転円板上に移載されたチップ部品の相互間隔をあけることができる。また、連続的にチップ部品を供給するので処理速度の向上を図ることができ、従来の間欠運動の機構よりも構造が簡単となる(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2544787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1に記載のチップ部品の分離供給機構では、チップ部品フィーダと連続回転円板とが必要なり、装置自体の構成が複雑となる問題がある。また、異なった寸法のチップ部品を移動させる場合、チップ部品フィーダのガイド部と連続回転円板との隙間を適正値に調整することが困難となる問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、主に、簡易な構成で被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる分離搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、平面視にて略円形状に形成され中心軸回りに回転させることにより上面に載置された被搬送物を径方向外側に搬送させる整列部と、前記整列部の径方向外側に形成されて前記整列部と共に円板状部材を構成し、前記整列部の前記上面に対して下り傾斜した傾斜部と、前記傾斜部を滑落する前記被搬送物を止めるストッパ部と、を有する分離部と、前記整列部の上面に載置された前記被搬送物を、1列に整列させて前記整列部の径方向外側に誘導するとともに、径方向に対して傾斜させるように前記傾斜部上を滑落させ前記ストッパ部に誘導するガイド部と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の分離搬送装置において、前記整列部の径方向外側に搬送された前記被搬送物に対して、前記被搬送物が前記傾斜部を滑落する方向に所定の力で押圧する押圧部を有することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の分離搬送装置において、前記押圧部は、前記被搬送物に対して圧縮空気を作用させるノズルであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、前記ストッパ部で止められる前記被搬送物の姿勢を所定の姿勢に修正する姿勢修正ガイドを有することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、前記ガイド部は、前記整列部及び前記分離部に凸状に形成されたレール部、又は前記整列部及び前記分離部に凹状に形成され前記被搬送物を収容する溝部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、整列部が中心軸回りに回転されると、整列部の上面に載置された被搬送物が径方向外側に搬送される。被搬送物が整列部の径方向外側に搬送されると、被搬送物が傾斜部上を滑落するとともにストッパ部でその滑落が止められる。ここで、分離搬送装置にはガイド部が設けられているため、整列部の上面に載置された被搬送物が1列に整列されて整列部の径方向外側に誘導されるとともに、径方向に対して傾斜させるように傾斜部上を滑落されストッパ部に誘導される。これにより、被搬送物は、ストッパ部上で分離部の周縁に沿って所定の間隔で位置することになる。以上のように、本発明によれば、整列部と分離部とを有する円板状部材とガイド部とを用いるだけの簡易な構成で、被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる。また、整列部の径方向外側に分離部が連続して形成されているため、整列部と分離部との間に隙間が生じず、寸法が異なる被搬送物を搬送させる場合でも、従来技術のように隙間の適正値を調整する必要もない。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、整列部の径方向外側に搬送された被搬送物が押圧部により所定の力で押圧される。これにより、被搬送物が整列部の径方向外側で詰まることがなく、傾斜部を円滑に滑落させることができる。この結果、被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、押圧部が被搬送物に対して圧縮空気を作用させるノズルであるため、既存の部材を用いて被搬送物を容易に押圧することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、姿勢修正ガイドによりストッパ部で止められる被搬送物の姿勢が所定の姿勢に修正される。これにより、全ての被搬送物の姿勢を統一させることができ、後工程での処理を円滑にすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、ガイド部は、整列部及び分離部に凸状に形成されたレール部、又は整列部及び分離部に凹状に形成され被搬送物を収容する溝部で構成されているため、ガイド部の構造を簡易なものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態に係る分離搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、被搬送物として電子部品を例にとり説明するが、当然に電子部品に限られるものではなく、1個ずつ分離させるべき物であれば他の物を搬送・分離させてもよい。
【0016】
図1に示すように、分離搬送装置10は、円板状部材12を備えている。この円板状部材12の中心には回転軸14が接続されている。この回転軸14には、回転軸14を自軸回りに回転させる駆動モータ(図示省略)が接続されている。
【0017】
また、円板状部材12は、中心軸14から径方向外側に向かって所定の寸法だけ広がる整列部16を備えている。この整列部16の上面には電子部品Mを一列に整列させた状態で整列部16の径方向外側に向かって搬送させる複数の整列ガイド18が形成されている。この整列ガイド18は、整列部16の上面から突出した凸状のレール部で構成されている。なお、整列ガイド18は、凸状のレール部に替えて、整列部16の上面に凹状に形成された溝部でもよい。
【0018】
また、円板状部材12の整列部16の径方向外側には、分離部20が整列部16と一体的(連続的)に形成されている。このため、分離部20は、整列部16と共に回転する。この分離部20は、整列部16の上面に対して所定の角度だけ下り傾斜した傾斜部20Aと、傾斜部20Aの径方向外側端部に傾斜面に対して突出するように形成され傾斜部20Aを滑落した電子部品Mを止めるストッパ部20Bと、で構成されている。
【0019】
また、整列部16の径方向外側端部近傍から分離部20のストッパ部20Bに亘って案内ガイド22が形成されている。この案内ガイド22は、整列部16の上面から傾斜部20Aの傾斜面にかけて一定の高さとなるように径方向に沿って連続して形成されている。また、案内ガイド22は、平面視にて径方向に対して傾斜(湾曲)するように形成されている。これにより、整列部16の径方向端部に搬送された電子部品Mは、案内ガイド22により誘導され、傾斜部20A上を傾斜するように滑落しストッパ部20Bに到達する。なお、案内ガイド22は、凸状のレール部に替えて、分離部20の傾斜面及び整列部16の上面に凹状に形成された溝部でもよい。
【0020】
また、図2に示すように、分離搬送装置10は、圧空ノズル24(図1では図示省略)を備えている。この圧空ノズル24は、整列部16の径方向外側端部近傍に配置されており、整列部16の径方向外側端部に位置する電子部品Mに傾斜部20Aの径方向外側に向かって圧縮空気を作用させるものである。
【0021】
また、図3に示すように、傾斜部20Aの傾斜面の近傍には、ストッパ部20B上に位置した電子部品Mの姿勢が所定の姿勢となるように修正する姿勢修正ガイド26が配置されている。すなわち、この姿勢修正ガイド26は、ブロック状に形成されており、その下端部がストッパ部20Bから所定の距離となるように配置されている。これにより、ストッパ部20Bに滑落した電子部品Mが姿勢修正ガイド26よりも突出した姿勢である場合には、分離部20の回転により電子部品Mの突出部分が姿勢修正ガイド26に接触して電子部品Mが倒され、電子部品Mの姿勢が修正される。
【0022】
次に、本実施形態の分離搬送装置10の作用について説明する。
【0023】
図1に示すように、駆動モータの駆動により回転軸14が回転されると、整列部16と分離部20とが一体となって回転軸14回りに連続回転される。整列部16が連続回転されると、整列部16の回転に伴う遠心力より、整列部16の中心部近傍に供給された電子部品Mが径方向外側に搬送される。なお、電子部品Mの整列部16への供給は、整列部16の上面上の電子部品Mの残量を光センサ(図示省略)などにより検知して所定のタイミングで電子部品供給装置(図示省略)などにより行われる。
【0024】
ここで、整列部16の上面には整列ガイド18が形成されているため、電子部品Mは1列に整列した状態で整列部16の径方向外側端部に誘導される。
【0025】
整列部16の径方向外側端部に電子部品Mが誘導されると、電子部品Mは遠心力によりさらに分離部20の径方向外側に移動しようとする。このため、整列部16の径方向外側端部の電子部品Mは、分離部20の傾斜部20Aを滑落していく。
【0026】
ここで、整列部16から分離部20にかけて案内ガイド22が形成されているため、電子部品Mはこの案内ガイド22に沿って傾斜面を滑落し、ストッパ部20Bに至る。また、整列部16の径方向外側端部には電子部品Mが連続的に搬送されていくため、傾斜部20Aの傾斜面上も電子部品Mが連続的に滑落していくが、案内ガイド22が傾斜面の径方向に対して傾斜(湾曲)するように形成されているため、案内ガイド22が傾斜面の径方向に沿って形成されている構成と比較して、傾斜面上における滑落距離が比較的長くなる。これにより、ストッパ部20Bに到達した複数の電子部品Mに一定の離間距離が生じることになる。この結果、ストッパ部20B上で電子部品Mを1個ずつ確実に分離させることができる。
【0027】
また、整列部16の径方向外側端部の電子部品Mが傾斜面を滑落するときには、圧空ノズル24から圧縮空気が径方向外側に向かって電子部品Mに作用するため、電子部品Mが整列部16の径方向外側端部で詰まることを防止でき、傾斜面を円滑に滑落させることができる。この結果、電子部品Mを1個ずつ確実に分離させることができる。
【0028】
また、上述したように、傾斜部20Aの傾斜面の近傍に配置された姿勢修正ガイド26により、ストッパ部20Bに到達した電子部品Mの姿勢を修正し、全ての電子部品Mの姿勢を統一させることができる。これにより、後工程での電子部品Mの処理を円滑にすることができる。なお、ストッパ部20B上の電子部品Mは、電子部品外観検査装置(図示省略)などに供給される。
【0029】
以上のように、本実施形態の分離搬送装置によれば、整列部16と分離部20とを有する円板状部材12と各ガイド18、22とを用いるだけの簡易な構成で、電子部品Mを1個ずつ確実に分離させることができる。また、整列部16の径方向外側に分離部20が連続して形成されているため、整列部16と分離部20との間に隙間が生じず、寸法が異なる電子部品Mを搬送させる場合でも、従来技術のように隙間の適正値を調整する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(A)は本発明の一実施形態に係る分離搬送装置の平面図であり、(B)はその中心軸上を径方向に切断した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る分離搬送装置を構成する整列部と分離部との部分的な断面図である。
【図3】(A)は本発明の一実施形態に係る分離搬送装置を構成する分離部と姿勢修正ガイドとの位置関係を示した部分的な断面図であり、(B)はその正面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 分離搬送装置
12 円板状部材
16 整列部
18 整列ガイド(ガイド部)
20 分離部
20A 傾斜部
20B ストッパ部
22 案内ガイド(ガイド部)
24 圧空ノズル(押圧部、ノズル)
26 姿勢修正ガイド
M 電子部品(被搬送物)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視にて略円形状に形成され中心軸回りに回転させることにより上面に載置された被搬送物を径方向外側に搬送させる整列部と、
前記整列部の径方向外側に形成されて前記整列部と共に円板状部材を構成し、前記整列部の前記上面に対して下り傾斜した傾斜部と、前記傾斜部を滑落する前記被搬送物を止めるストッパ部と、を有する分離部と、
前記整列部の上面に載置された前記被搬送物を、1列に整列させて前記整列部の径方向外側に誘導するとともに、径方向に対して傾斜させるように前記傾斜部上を滑落させ前記ストッパ部に誘導するガイド部と、
を含んで構成されたことを特徴とする分離搬送装置。
【請求項2】
前記整列部の径方向外側に搬送された前記被搬送物に対して、前記被搬送物が前記傾斜部を滑落する方向に所定の力で押圧する押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載の分離搬送装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記被搬送物に対して圧縮空気を作用させるノズルであることを特徴とする請求項2に記載の分離搬送装置。
【請求項4】
前記ストッパ部で止められる前記被搬送物の姿勢を所定の姿勢に修正する姿勢修正ガイドを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記整列部及び前記分離部に凸状に形成されたレール部、又は前記整列部及び前記分離部に凹状に形成され前記被搬送物を収容する溝部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分離搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−22695(P2007−22695A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203671(P2005−203671)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】