説明

分離膜

【課題】簡易な設備で含水素化合物と脱水素化合物とを分離することが可能な分離膜を提供する。
【解決手段】分離膜4は、含水素化合物、含水素化合物の脱水素反応で得られる脱水素化合物、及び水素を含む混合物から脱水素化合物及び水素を共に選択的に透過する無機材料から構成される膜である。分離膜4は、セラミックス等の多孔質基材の支持体14に形成されている。含水素化合物から脱水素化合物及び水素を生成する脱水素反応に用いられ、残留している水素化合物、生成した脱水素化合物、及び水素の熱力学平衡をシフトし、脱水素反応を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な設備で含水素化合物と脱水素化合物とを分離することが可能な分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
水素を含む有機化合物の含水素化合物から脱水素反応により脱水素化合物と水素を生成し、逆に、脱水素化合物と水素から水素化反応により含水素化合物を生成する可逆的な反応が知られている。脱水素反応は、吸熱反応であるのに対し、水素化反応は、発熱反応である。これを利用して、価値の低い低温熱源で脱水素反応を起こし、水素化反応で価値の高い高温熱源に変換してエネルギーの利用価値を高めるケミカルヒートポンプが知られている。
【0003】
特許文献1では、2−プロパノールの脱水素反応とアセトンの水素化反応とを組み合わせ、50〜120℃の低温熱源を利用して150〜200℃の高温熱源が得られる、2−プロパノール/アセトン・水素系のケミカルヒートポンプが開示されている。2−プロパノールの脱水素反応は液相状態で行っている。
【0004】
非特許文献1にも、2−プロパノール/アセトン・水素系ケミカルヒートポンプが開示されている。2−プロパノールの脱水素反応は気相状態で行っている。
【0005】
非特許文献2にも、2−プロパノール/アセトン・水素系ケミカルヒートポンプが開示され、2−プロパノールの脱水素反応は液相状態で行うこと、反応蒸留を用いて、最終的には、アセトン蒸気及び水素ガスの混合物(気体)と液相の2−プロパノールに分離されることが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、アルコール類又は炭化水素類等の含水素化合物の脱水素反応において、熱力学平衡をシフトし、反応を促進するために、生成した水素を水素選択分離膜を用いて分離して系外に抜き出す脱水素反応の促進方法が開示されている。アルコール類又は炭化水素等の含水素化合物の脱水素反応を行う脱水素反応器は、水素選択分離膜を用いたメンブレンリアクタ(膜反応器)である。
【0007】
一方、2−プロパノールとアセトンの分離例として、非特許文献3には、2−プロパノールの脱水素反応における、多孔質ガラス(商品名:Vycor)製の膜を用いた膜反応器が開示されている。従来の膜反応器と同様に原料(2−プロパノール)供給側のみに触媒を設けた構成では、膜透過側のアセトン濃度は膜残留側のアセトン濃度(原料供給側(=膜残留側)に設けられた触媒による脱水素化反応に伴い発生したアセトンの濃度)とほとんど変化が無いことが記載されている。
【0008】
2−プロパノールとアセトンの分離例として、非特許文献4には、2−プロパノールとアセトンの混合液体を、有機物から構成される浸透気化膜(セルロース製有機膜)を用いて、浸透分離(パーベーパレーション分離)したところ、アセトンではなく、2−プロパノールが弱い選択性(選択透過性=2)をもって選択透過することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−116252号公報
【特許文献2】特開平6−321502号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Journal of Chemical Engineering of Japan, 26, 580−583 (1993)
【非特許文献2】Journal of Chemical Engineering of Japan, 31, 440−444 (1998)
【非特許文献3】Journal of Chemical Engineering of Japan, vol34, pp1065−1068 (2001)
【非特許文献4】Journal of Membrane Science, 36, pp315−329 (1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1、非特許文献1〜2では、蒸留塔を用いる必要があり、装置設備が大きくなり、不便であった。また、特許文献2では、水素選択分離膜を用いて、熱力学的平衡をシフトし、反応を促進している。しかし、原料ガス(例えばメタノール)および脱水素化合物ガス(例えば一酸化炭素)は、水素選択分離膜の残留側に残留することになり、後に実施する脱水素化合物ガス(例えば一酸化炭素)と水素選択分離膜の透過側に存在する水素との合成反応を行うためには、原料ガス(例えばメタノール)と脱水素化合物ガス(例えば一酸化炭素)との分離を更に行わなければならなかった。
【0012】
一方、非特許文献3では、2−プロパノールとアセトンの混合蒸気を、多孔質ガラス(商品名:Vycor)製の膜を透過させているが、透過側の蒸気組成は、供給側(残留側)とほとんど変化無い。つまり、2−プロパノールとアセトンの混合蒸気を分離できない。ここで、当該多孔質ガラスは、その細孔径が4nm以上であることは、当業者の間では良く知られている。また、細孔径が4nm以上である多孔質膜においては、浸透気化や分子篩メカニズムによるガス分離は起こらないことも、当業者には良く知られている。
【0013】
また、非特許文献4では、2−プロパノールとアセトンの混合液体を、有機物から構成される浸透気化膜であるところのセルロース製有機膜を用いて、浸透分離(パーベーパレーション分離)しているが、2−プロパノールとアセトンの混合液体を効率的には分離できない。
【0014】
含水素化合物と、含水素化合物の脱水素反応で得られる脱水素化合物は、分子径が近いため容易に分離することができないと考えられていた。そのため、ケミカルヒートポンプでは、蒸留器等の大掛かりな設備が必要とされていた。
【0015】
本発明の課題は、簡易な設備で含水素化合物と脱水素化合物とを分離することが可能な分離膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
含水素化合物、含水素化合物の脱水素反応で得られる脱水素化合物、及び水素を含む混合物から脱水素化合物及び水素を共に選択的に透過する無機材料から構成される膜を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の分離膜が提供される。
【0017】
[1] 含水素化合物、前記含水素化合物の脱水素反応で得られる脱水素化合物、及び水素を含む混合物から前記脱水素化合物及び前記水素を共に選択的に透過する無機材料から構成される膜である分離膜。
【0018】
[2] 前記含水素化合物から前記脱水素化合物及び前記水素を生成する脱水素反応に用いられ、残留している前記水素化合物、生成した前記脱水素化合物、及び前記水素の熱力学平衡をシフトし、前記脱水素反応を促進する前記[1]に記載の分離膜。
【0019】
[3] 炭素膜、ゼオライト膜、及びシリカ膜からなる群から選ばれるいずれかの膜である前記[1]または[2]に記載の分離膜。
【0020】
[4] 前記含水素化合物は、2−プロパノール、前記脱水素化合物は、アセトンである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の分離膜。
【0021】
[5] 前記含水素化合物は、シクロヘキサン、前記脱水素化合物は、ベンゼンである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の分離膜。
【0022】
[6] セラミック多孔質体を支持体とし、その支持体上に形成された前記[1]〜[5]のいずれかに記載の分離膜。
【発明の効果】
【0023】
水素を含む混合物から脱水素化合物及び水素を共に選択的に透過する無機材料からなる膜を分離膜として用いることにより、脱水素化合物及び水素を分離して脱水素反応を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の分離膜を有する多孔質基材の支持体を示す斜視図である。
【図2】本発明の分離膜を有する多孔質基材の支持体を備える分離装置を示す断面図である。
【図3】混合蒸気の透過試験を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0026】
図1は本発明の分離膜4を有する多孔質基材の支持体14を示す斜視図である。また、図2は、本発明の分離膜4を有する多孔質基材の支持体14を備える分離装置1を示す断面図である。本発明の分離膜4は、含水素化合物、含水素化合物の脱水素反応で得られる脱水素化合物、及び水素を含む混合物から脱水素化合物及び水素を共に選択的に透過する無機材料から構成される膜である。含水素化合物から脱水素化合物及び水素を生成する脱水素反応に用いられ、残留している水素化合物、生成した脱水素化合物、及び水素の熱力学平衡をシフトし、脱水素反応を促進する。
【0027】
含水素化合物とは、水素を含む有機化合物であり、脱水素反応により、水素を生成する化合物である。脱水素化合物とは、含水素化合物の脱水素反応で得られる化合物である。含水素化合物と脱水素化合物の例として、2−プロパノールとアセトン(以下、2−プロパノール/アセトン・水素系ということがある)、シクロヘキサンとベンゼン(以下、シクロヘキサン/ベンゼン・水素系ということがある)等が挙げられる。脱水素反応により含水素化合物から脱水素化合物と水素を生成する脱水素反応において、含水素化合物、脱水素化合物、及び水素を含む混合物から分離膜4を用いて脱水素化合物及び水素を共に選択的に分離することにより、効率よく脱水素反応及び水素化反応を行わせ、熱エネルギーを利用することができる。
【0028】
分離膜4は、多孔質基材の支持体14に形成されていることが好ましい(図1および図2の拡大図参照)。支持体14を構成する材料としては、アルミナ、コーディエライト、ムライト、炭化珪素、ジルコニア等のセラミックス、ステンレスなどの金属等を挙げることができる。これらは、耐熱性、耐衝撃性等に優れている。支持体14の形状としては、板状、円筒状、断面多角形の管状、モノリス形状等のいずれの形状でもよいが、モノリス形状が好ましい。ここで、モノリス形状とは、図1に示す支持体14のような、複数の貫通孔が軸方向に並行に形成された柱状のものをいう。すなわち、モノリス形状の支持体14は、多孔質体である隔壁5によって区画されたセル3が貫通孔として形成され、その貫通孔が流体の流通路とされている。そして、セル3は、軸方向に垂直な断面が、例えば、円形であり、セル3の内壁面に分離膜4が形成されている。モノリス形状の支持体14の両端面2,2’および側面7の端部近傍には、緻密質材料からなるシール部6が設けられている。シール部6は、支持体14の両端面2,2’全体および側面7の端部近傍にセル3を塞がないように設けられている。
【0029】
シール部6としては、緻密質シールであり、流体の移動を妨げるシール機能を維持できる限りは何でも良いが、ガラスシール、金属シール、樹脂シールを例示する事ができる。これらの中でも、多孔質基材との熱膨張係数を合わせやすい点に優れることより、ガラスシールが好ましい。ガラスシールに用いるガラスの物性としては、特に限定されないが、多孔質基材の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有することが好ましい。また、ガラスシールに用いるガラスとしては、鉛を含まない無鉛ガラス等が好ましい。ガラスシールの場合、シール部6は、ガラス粉末を所定の位置に塗布し、熱処理をかけることにより設けることができる。
【0030】
分離膜4は、無機材料から構成される浸透気化膜またはガス分離膜であることが好ましい。浸透気化膜・ガス分離膜としては、脱水素反応において、水素及び脱水素化合物(蒸気)をよく透過し、供給原料である含水素化合物(蒸気・液体)をあまり透過しないものであれば、何でも良いが、含水素化合物および脱水素化合物は一般に有機溶媒であり且つ反応温度も高温であることから、耐有機溶媒性を有する無機材料で構成された浸透気化膜・ガス分離膜が好ましい。例示するなら、セラミック多孔体を支持体14としたゼオライト膜、炭素膜、シリカ膜等である。炭素膜、ゼオライト膜(特にMFI型ゼオライト膜およびFAU型ゼオライト膜)、シリカ膜等の無機材料から構成される浸透気化膜・ガス分離膜は、分子径の差がほとんどない含水素化合物と脱水素化合物とを分離することができる。
【0031】
例えば、2−プロパノールは、分子径0.47nm、アセトンは、分子径0.469nmで分子径はほとんど差がないが、無機材料から構成される浸透気化膜・ガス分離膜は、アセトン(蒸気)を非常によく透過し、2−プロパノール(蒸気、液体)をあまり透過しないため、結果として、2−プロパノールとアセトンを効率よく分離できる。炭素膜やゼオライト膜(特にMFI型ゼオライト膜)は、小さな分子径を有する水素もよく透過するので、結果として、2−プロパノール/アセトン・水素系にて、2−プロパノールと、生成物であるアセトン及び水素を、効率よく分離することができる。
【0032】
また、シクロヘキサンは、分子径0.6nm、ベンゼンは、分子径0.565nmで分子径はほとんど差が無いが、炭素膜、ゼオライト膜(特にFAU型ゼオライト膜)、シリカ膜等の浸透気化膜・ガス分離膜は、ベンゼン(蒸気)がよく透過し、シクロヘキサン(蒸気、液体)があまり透過せず、小分子径である水素(ガス)をよく透過するため、結果として、シクロヘキサン/ベンゼン・水素系にて、シクロヘキサンと、生成物であるベンゼン及び水素を、効率よく分離することができる。
【0033】
2−プロパノール/アセトン・水素系とシクロヘキサン/ベンゼン・水素系のそれぞれに好適な分離膜4について、さらに具体的に説明する。
【0034】
(1)2−プロパノール/アセトン・水素系に用いられるゼオライト膜:
2−プロパノール/アセトン・水素系にて、2−プロパノールと、生成物であるアセトン及び水素を分離する分離膜4としては、ゼオライト膜が挙げられる。ゼオライト膜としては、例えば、LTA、MOR、AFI、BEA、FER、FAU、DDR等が挙げられるが、特にMFI型ゼオライト膜が好ましい。以下、MFI型ゼオライト膜を例として、説明する。
【0035】
(1−1)種結晶生成工程:
ゼオライト膜は、多孔質材料である支持体14上に形成されることが好ましい。支持体14は、ゼオライト種結晶を表面に生成し、ゼオライト膜を形成することができれば特に限定されない。支持体14を構成する材料としては、例えば、アルミナ(α−アルミナ、γ−アルミナ、陽極酸化アルミナ等)、ジルコニア等のセラミックスあるいはステンレスなどの金属等を挙げることができ、支持体14の作製、入手の容易さの点から、アルミナが好ましい。
【0036】
ゼオライト種結晶を生成させるために、まず、上記支持体14と種付け用ゾルを耐圧容器内に入れ、耐圧容器を加熱し、水熱合成により支持体14の表面にゼオライト種結晶を生成させる。
【0037】
種付け用ゾルは、水中にシリカ微粒子が分散したシリカゾルであり、その中に少なくとも構造規定剤を含有するものである。この種付け用ゾルは、所定濃度のシリカゾルと、濃度調整用の水と、所定濃度の構造規定剤水溶液とを、それぞれ所定量混合することにより得られる。
【0038】
シリカゾルとしては、市販のシリカゾル(例えば、商品名:スノーテックスS、日産化学株式会社製、固形分濃度30質量%)を好適に用いることができる。ここで、固形分とはシリカのことをいう。但し、シリカ微粉末を水に懸濁させることにより調製したもの、或いはアルコキシシランを加水分解することにより調製したものを用いてもよい。
【0039】
MFI型ゼオライトの構造規定剤としては、テトラプロピルアンモニウムイオン(TPA)を生じ得る、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)やテトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)を用いることができる。
【0040】
シリカゾルとして、シリカ微粒子の他、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を含有するものを用いることも好ましい。MFI型ゼオライトの構造規定剤として用いられるTPAOHは比較的高価な試薬であるが、この方法によれば、比較的安価なTPABrとアルカリ金属等の水酸化物とからTPA源とアルカリ源を得ることができる。即ち、この方法では高価なTPAOHを使用する必要がないため、原料コストを低減させることができ、ゼオライトを安価に生産することが可能となる。
【0041】
(1−2)膜形成工程:
膜形成用ゾルは、原料としては、上述した種付け用ゾルに含有されるシリカゾル、構造規定剤及び水と同じものを使用し、種付け用ゾルの場合より水を多く使用して、種付け用ゾルより濃度を薄くしたものを使用することが好ましい。
【0042】
種結晶生成工程にて支持体14の表面に析出したゼオライト種結晶を水熱合成により成長させて、支持体14の表面に、膜状に成長したゼオライト結晶からなるゼオライト膜を形成する。得られるゼオライト膜の膜厚は、20μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることが更に好ましく、1〜15μmであることが特に好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。この範囲とすることにより、分離膜4として使用したときに、分離効率を向上させることができる。
【0043】
水熱合成により支持体14の表面にゼオライト膜を形成した後には、支持体14を水を使用して煮沸洗浄することが好ましい。これにより、ゼオライト膜上に余分なゼオライト結晶が付着することを防止することができる。
【0044】
上記方法により得られた、支持体14の表面に形成されたゼオライト膜を加熱処理(活性化処理)することにより、テトラプロピルアンモニウムを除去し、最終的にゼオライト膜を形成する。加熱温度は、400〜600℃が好ましく、加熱時間は1〜60時間が好ましい。以上により、支持体14の表面に、支持体14の表面に垂直な方向にc軸配向したMFI型ゼオライト結晶が得られ、これを分離膜4として用いることができる。
【0045】
(2)2−プロパノール/アセトン・水素系に用いられる炭素膜:
2−プロパノール/アセトン・水素系にて、2−プロパノールと、生成物であるアセトン及び水素を分離する分離膜4としては、炭素膜が挙げられる。以下、炭素膜について説明する。
【0046】
炭素膜は、多孔質材料である支持体14上に形成されることが好ましい。支持体14は、平均粒子径10〜100μm及び平均細孔径1〜30μmの基材と、基材の平均細孔径より小さな一次粒子を有する凝集体で構成され厚さ10〜100μm及び平均細孔径0.1〜3μmの中間層と、厚さ1〜100μm及び平均細孔径0.01〜0.5μmの表面層と、で構成されることが好ましい。そして、ゾル層を形成することなく、表面層の上(表面)に、直に、分離膜4である炭素膜が形成されることが好ましい。
【0047】
基材の多孔質材料(セラミック粒子の材料)としては、耐食性と温度変化による細孔径の変化が少ない点や充分な強度が得られる点から、例えば、アルミナを用いることが可能であり、それ以外にコーディエライト、ムライト、炭化珪素、チタニア等を使用することができる。
【0048】
中間層及び表面層の多孔質材料(セラミック粒子の材料)としては、基材と同様の材料を用いることができる。
【0049】
上記支持体14の表面(表面層の表面)に、炭素膜(分離膜4)を形成する。まず、のちに炭素膜となる前駆体溶液を支持体14の表面に接触をさせ、その表面に製膜する。製膜(前駆体溶液の堆積と乾燥)は、1回以上、複数回に分けて行ってもよい。そして、窒素雰囲気下で、概ね500〜900℃、好ましくは700℃前後で、炭化させることによって炭素膜を形成することができる。炭化は、窒素雰囲気の他に、真空状態で、又は、アルゴン、ヘリウム等の還元雰囲気下で行ってもよい。500℃以上の温度で炭化を行うことにより、十分に炭化させ、分子ふるい膜としての選択性や透過速度を向上させることができる。一方、900℃未満で炭化することにより、細孔径が収縮して透過速度が減少することを防止することができる。
【0050】
(3)シクロヘキサン/ベンゼン・水素系に用いられる炭素膜:
シクロヘキサン/ベンゼン・水素系にて、シクロヘキサンと、生成物であるベンゼン及び水素を分離する分離膜4としては、炭素膜が挙げられる。炭素膜は、上述の2−プロパノール/アセトン・水素系の分離膜4の炭素膜と同じである。
【0051】
(4)シクロヘキサン/ベンゼン・水素系に用いられるゼオライト膜:
シクロヘキサン/ベンゼン・水素系にて、シクロヘキサンと、生成物であるベンゼン及び水素を分離する分離膜4としては、ゼオライト膜が挙げられる。ゼオライト膜としては、例えば、LTA、MOR、AFI、BEA、FER、DDR、MFI等が挙げられるが、特にFAU型ゼオライト膜が好ましい。以下、FAU型ゼオライト膜を例として、説明する。
【0052】
(4−1)種結晶生成工程:
ゼオライト膜は、多孔質材料である支持体14上に形成されることが好ましい。支持体14は、ゼオライト種結晶を表面に生成し、ゼオライト膜を形成することができれば特に限定されるものではなく、その材質、形状及び大きさは用途等に合わせて適宜決定することができる。支持体14を構成する材料としては、アルミナを主成分として含有する多孔質体が好ましい。アルミナとしては、α−アルミナ、β−アルミナ及びγ−アルミナが挙げられるが、物理的、化学的に安定であることから、α−アルミナが好ましい。また、支持体14には、ムライト、シリカ、チタニア、ジルコニア、ステンレススチール、ニッケル等が含有されていてもよい。
【0053】
ゼオライト種結晶を生成させるために、まず、上記支持体14に、USY型ゼオライト結晶を種結晶として付着させる。これにより、結晶性及び均質性が高く、剥離しにくいFAU型ゼオライト結晶の分離膜4を形成することができる。
【0054】
USY型結晶の平均粒径は、好ましくは1nm〜1μmであり、より好ましくは1nm〜0.4μmである。このような範囲とすることにより、均質なゼオライト層となりやすく、USY型結晶が支持体14に付着しやすい。
【0055】
USY型結晶を支持体14に付着させた後、USY型結晶を乾燥させる。
【0056】
(4−2)膜形成工程:
種結晶生成工程の後には、支持体14と、ケイ素及びアルミニウムを含有する反応液とを接触させ、更に反応液を加熱する膜形成工程を実施する。
【0057】
反応液は、ゼオライトの原料を含有する液体である。反応液は、ケイ素及びアルミニウムを含有する。反応液中における、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)としては、1.8〜12.5が好ましい。
【0058】
反応液は、シリカ源とアルミナ源との混合物を溶媒(例えば、水)に加え、撹拌することによって調製することができる。シリカ源としては、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩の他、シリカ粉末、ケイ酸、コロイダルシリカ、酸性白土、カオリン、ケイ素アルコキシド(例えば、アルミニウムイソプロポキシド)等が挙げられる。また、アルミナ源としては、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム塩の他、アルミナ粉末、コロイダルアルミナ等が挙げられる。
【0059】
反応液は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含有してもよい。また、反応液は、結晶化促進剤等の添加剤を更に含有してもよい。結晶化促進剤としては、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルヒドロキシド、テトラメチルヒドロキシド、テトラエチルヒドロキシド等が挙げられる。
【0060】
上記反応液に支持体14を浸漬して支持体14と反応液とを接触させる。そして反応液を加熱して所定温度とし、その温度で反応液を2時間以上保持する。ここで、所定温度は、40℃より高い温度であり、反応液の組成、性状等に応じて、適宜決定されるが、通常、好ましくは90〜130℃である。そして、反応液から支持体14を取り出し、得られたゼオライト分離膜を洗浄する。上記工程により、FAU型ゼオライト膜を形成することができる。
【0061】
(5)シクロヘキサン/ベンゼン・水素系に用いられるシリカ膜:
シクロヘキサン/ベンゼン・水素系にて、シクロヘキサンと、生成物であるベンゼン及び水素を分離する分離膜4としては、シリカ膜が挙げられる。以下、シリカ膜について説明する。
【0062】
シリカ膜は、多孔質材料である支持体14上に形成されることが好ましい。支持体14である多孔質基材は、無数の細孔を有し、この細孔内に流体を流すことができる。そのため、シリカ膜を透過した物質が多孔質基材の内部を通過することや、シリカ膜に供給される物質が多孔質基材の内部を通過してシリカ膜の表面上まで到達することが可能になる。多孔質基材としては、アルミナ、チタニア、シリカ、コージェライト、ジルコニア、ムライトなどを主成分とする多孔質セラミックスからなるものを用いることが望ましい。上記したアルミナなどを主成分とするセラミックスをからなる多孔質基材は、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性などに優れている。
【0063】
多孔質基材の表面には、無数の細孔が開口している。シリカ膜を透過する物質の透過流束を高くする観点や多孔質基材の開口部をシリカ膜で完全に充填するという観点から、シリカ膜が設けられている部分の表面には、平均細孔径が0.001μm〜5μm(1nm〜5000nm)の細孔が開口していることが好ましい。多孔質基材は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。
【0064】
シリカ膜は、Heガス透過量とNガス透過量との比(He透過量/N透過量、以下、「He/N比」という)が7以下、かつ、Nガス透過量とSFガス透過量との比(N透過量/SF透過量、以下、「N/SF比」という)が1.5以上であることが好ましい。
【0065】
シリカ膜は、アリール基を含有していてもよい。ここでアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基などを挙げることができる。シリカ膜は、アリール基を1種のみ含有していても、2種以上のアリール基を含有していてもよい。シリカ膜がアルキル基を含有していてもよい。さらに、シリカ膜が含有するアルキル基は、芳香族選択性能やアルコール選択性能を高める観点から、アルキル基が炭素数2〜8であることが好ましい。
【0066】
シリカ膜は、シリカ化合物を加水分解および重縮合させることにより前駆体ゾルを作製し、この前駆体ゾルを膜状にし、さらに膜状の前駆体ゾルを熱処理することにより製造したものであることが望ましい。また、前駆体ゾルを作製するための原料には、シリカ化合物以外の物質が含まれていてもよく、例えば、シリコン以外の金属元素を含んでいてもよい。ここで、シリカ化合物とは、構造中にシリコン原子(Si)を1個または2個以上含有している化合物のことである。
【0067】
シリカ膜の製造方法について説明する。シリカ化合物と有機溶媒と水とを含む原料を40〜150℃で攪拌しながら、シリカ化合物を加水分解および重縮合させて前駆体ゾルを含有する前駆体溶液を得る前駆体溶液調製工程、前駆体溶液を多孔質基材の表面上に接触させ、前駆体溶液の自重による流下によって、前駆体ゾルを多孔質基材の表面上に塗布する塗布工程、多孔質基材の表面上に塗布された前駆体ゾルを乾燥し、次いで300〜600℃にて熱処理する乾燥・熱処理工程を行うことにより、シリカ膜が得られる。
【0068】
(5−1)前駆体溶液調製工程:
前駆体溶液調製工程では、シリカ化合物と有機溶媒と水とを含む原料を40〜150℃で攪拌してシリカ化合物を加水分解および重縮合をさせる。これにより、シリカ化合物の重合が促進されて成膜に適当な大きさの前駆体ゾルを作製することができる。また、原料を攪拌する際に、原料の温度と原料を攪拌する時間を調整することによって、前駆体ゾルの大きさを調整することができる。前駆体ゾルが大きい場合、続く塗布工程において前駆体ゾルが多孔質基材の表面から細孔内に侵入しにくくなる。その結果、シリカ膜は多孔質基材の表面から細孔内に侵入した分の厚みを小さくすることができる。したがって、大きな前駆体ゾルを用いることにより、薄い膜厚のシリカ膜を作製することが可能になる。そして、シリカ膜を薄くすることにより、シリカ膜を透過することができる物質の透過流束が高いシリカ膜を作製することが可能になる。
【0069】
有機溶媒としては、シリカ原料及び水と混和可能なアルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、芳香族類などを用いることができる。例えば、エタノール、イソプロパノール、N−メチル−2ピロリドンなどを用いることができる。
【0070】
前駆体溶液の原料は、例えば、まずフェニルトリメトキシシラン(シリカ化合物)とエタノール(有機溶媒)とを混ぜて攪拌し、次いで酸触媒と水とを混ぜて攪拌する方法によって調製できる。
【0071】
(5−2)塗布工程:
塗布工程では、前駆体溶液を多孔質基材の支持体14の表面上に接触させて、前駆体溶液の自重による流下によって、前駆体溶液に含まれた前駆体ゾルを多孔質基材の表面上に塗布することが好ましい(この塗布の方法を、以下、流下法という)。流下法によって多孔質基材上に前駆体ゾルを塗布した場合には、前駆体ゾルが適度な応力を受けつつ短時間で多孔質基材の細孔を閉塞するため、結果として、膜厚が薄くかつ細孔径がベンゼン選択透過性(脱水素化合物選択透過性)を発現するのに適したシリカ膜を得やすくなる。
【0072】
塗布工程では、最終的なシリカ膜の細孔径をベンゼン選択透過性(脱水素化合物選択透過性)を発現するのに適したものにする限りにおいては、いかなる塗布法も用いることができるが、シリカ膜の細孔径をベンゼン選択透過性(脱水素化合物選択透過性)を発現するのに適したものにするのが容易であるという観点から、流下法が望ましい。
【0073】
(5−3)乾燥・熱処理工程:
多孔質基材の表面上に塗布された前駆体ゾルを乾燥し、次いで300〜600℃にて熱処理する。
【0074】
以上の工程により、多孔質基材の支持体14の表面に設けられたシリカ膜を形成することができる。
【0075】
図2に示すように、上記工程により形成された分離膜4を有する多孔質基材(支持体14)を備える分離装置1を形成することにより、分離膜4により、含水素化合物から、脱水素化合物及び水素を分離する用途に用いることができる。すなわち、分離膜4を有するモノリス形状の多孔質基材(支持体14)を、その両端外周部にo−リング33を介してSUS製ケーシング11に収納して分離装置1とする。ケーシング11には、封止部41、導入口42、第一排出口43、第二排出口44が形成されている。ここで、支持体14の両端面2,2’および側面7(図1参照)の端部近傍には、緻密質材料からなるシール部6が設けられているため、導入口42および第二排出口44と繋がる供給側空間55と、第一排出口43に繋がるセル3内の空間とは、分離膜4のみを介して隔てられる。分離装置1は、導入口42から、含水素化合物、脱水素化合物及び水素の混合物を導入し、第一排出口43から、モノリス形状基材の貫通孔内(セル内)空間を経た、分離膜4を透過したガス(脱水素化合物及び水素の混合ガスを主成分とするガス)を排出する。また、第二排出口44から、分離膜4を透過せず供給側空間55に残留するガス(含水素化合物を主成分とするガス)を排出する。
【0076】
支持体14の表面に設けられた分離膜4を用いることにより、脱水素化合物及び水素を共に選択的に透過させて、含水素化合物から、脱水素化合物及び水素を分離し、効率よく脱水素反応及び水素化反応を行うことができる。例えば、分離装置1をケミカルヒートポンプに備えることにより、含水素化合物、脱水素化合物および水素の混合物から脱水素化合物および水素を分離することができる。このため、含水素化合物、脱水素化合物、及び水素の熱力学平衡をシフトさせ、脱水素反応を促進させることができ、ケミカルヒートポンプの蒸留塔を従来に比べて小型化したり、削減したりすることができる。したがって、従来に比べ、ケミカルヒートポンプの設備に必要なコストを削減することができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
1.ゼオライト膜
直径(外径)30mm−長さ160mmのモノリス形状(直径2.5mmの貫通孔55個)の多孔質基材(支持体14)の内面に、MFI型ゼオライト膜を形成したものを試料とした(図1参照)。
【0079】
(混合蒸気の透過試験)
図3に示すような測定装置に、試料をセットした。具体的には、分離膜4を有するモノリス形状の多孔質基材(支持体14)を、その両端外周部にo−リング33を介してSUS製ケーシング11に収納した。ケーシング11には、封止部41、導入口42、第一排出口43、第二排出口44が形成されている。導入口42には、2−プロパノールを収容した蒸発器45a、アセトンを収容した蒸発器45b、水素ガスボンベ46が接続されている。2−プロパノールの蒸発器45aから導入口42までの流通経路には、昇厚ポンプ47、マスフローコントローラー48が備えられている。また、アセトンの蒸発器45bから導入口42までの流通経路も同様である。水素ガスボンベ46と導入口42までの流通経路には、マスフローコントローラー48が備えられている。
【0080】
第一排出口43の下流側は、モノリス形状の多孔質基材(支持体14)のセル3内から排出されたガスが、凝縮器(液体窒素トラップ)51を通過しガス流量計(水素ガス用)52へと流通するように経路が構成されている。
【0081】
第二排出口44の下流側は、背圧弁53を備え、モノリス形状の多孔質基材の側面から排出されたガスが排出される経路が構成されている。
【0082】
以上の構成の測定装置40を用いて混合蒸気の透過試験を行った。まず、外部ヒーターを用いて、ケーシング11内の温度を87℃に設定した。供給側空間55に、1)加熱型蒸発器45aにより生成した2−プロパノール蒸気、2)加熱型蒸発器45bにより生成したアセトン蒸気、および3)市販の水素ガスボンベ46から供給した水素との混合蒸気を80vol%:10vol%:10vol%の組成で、全圧1.0MPa(絶対圧)となるように、昇圧ポンプ47およびマスフローコントローラー48で調整した混合ガスを供給した。
【0083】
分離膜4が形成された貫通孔内(セル内)表面の空間は、片端は封止部41で封じ、他端を第一排出口43から、液体窒素にて冷却した簡易凝縮器(液体窒素トラップ)51につなぎ、その出口はガス流量計52を介して、大気開放とした。
【0084】
簡易凝縮器51にて凝縮された液体を、ガスクロマトグラフィで測定したところ、アセトンおよび少量の2−プロパノールから成っていることが確認された。簡易凝縮器51の冷却部の長さを十分とってあるため、簡易凝縮器51から出てきたガスはほとんど全て水素と考えられる。回収された凝縮液体の重量測定およびガスクロマトグラフィによる組成分析およびガス流量計52による水素ガス量の測定から、分離膜4を透過してきたガスの組成は、2−プロパノール:アセトン:水素=2vol%:39vol%:59vol%と見積もられた。すなわち、MFI型ゼオライト膜(分離膜4)は、2−プロパノール、2−プロパノールの脱水素反応で得られるアセトン、および水素を含む混合蒸気から、アセトン及び水素を共に選択的に透過する分離膜といえる。
【0085】
したがって、本発明の分離膜4は、水素を含む有機化合物である含水素化合物の脱水素反応を行う脱水素反応器と、脱水素反応器によって生成した脱水素化合物および水素を導入して脱水素化合物の水素化反応を行い、含水素化合物を生成し、発生した反応熱を熱エネルギーとして出力する水素化反応器と、を備えるケミカルヒートポンプに備えることにより、含水素化合物、脱水素化合物および水素の混合物から脱水素化合物および水素を分離し、水素化合物、脱水素化合物、及び水素の熱力学平衡をシフトさせ、脱水素反応を促進させることができる。
【0086】
2.炭素膜
前記MFI型ゼオライト膜を形成した多孔質基材と同じ多孔質基材を支持体14として用いた。市販のフェノール樹脂をN−メチル−2−ピロリドン(N−methylpyrrolidone、NMP)溶媒に10質量%の濃度で溶解させた溶液を前駆体溶液として用いて、多孔質基材の内面に炭素膜を形成したものを試料とした(図1参照)。
【0087】
(混合蒸気の透過試験)
MFI型ゼオライト膜の混合蒸気の透過試験と同様に、図3に示すような測定装置に、試料をセットして、混合蒸気の透過試験を行った。外部ヒーターを用いて、ケーシング11内の温度を87℃に設定した。供給側空間55に、1)加熱型蒸発器45aにより生成した2−プロパノール蒸気、2)加熱型蒸発器45bにより生成したアセトン蒸気、および3)市販の水素ガスボンベ46から供給した水素との混合蒸気を80vol%:10vol%:10vol%の組成で、全圧1.0MPa(絶対圧)となるように、昇圧ポンプ47およびマスフローコントローラー48で調整した混合ガスを供給した。
【0088】
回収された凝縮液体の重量測定およびガスクロマトグラフィによる組成分析およびガス流量計52による水素ガス量の測定から、分離膜4を透過してきたガスの組成は、2−プロパノール:アセトン:水素=5vol%:40vol%:55vol%と見積もられた。すなわち、炭素膜(分離膜4)は、2−プロパノール、2−プロパノールの脱水素反応で得られるアセトン、および水素を含む混合蒸気から、アセトン及び水素を共に選択的に透過する分離膜といえる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の分離膜は、含水素化合物、脱水素化合物および水素の混合物から脱水素化合物および水素を分離するために用いることができる。例えば、ケミカルヒートポンプに適用することにより、効率よく脱水素反応及び水素化反応を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1:分離装置、2,2’:端面、3:セル、4:分離膜、5:隔壁、6:シール部、7:側面、11:ケーシング、14:支持体、33:o−リング、40:測定装置、41:封止部、42:導入口、43:第一排出口、44:第二排出口、45a:(2−プロパノールの)蒸発器、45b:(アセトンの)蒸発器、46:水素ガスボンベ、47:昇厚ポンプ、48:マスフローコントローラー、51:凝縮器、52:ガス流量計、53:背圧弁、55:供給側空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水素化合物、前記含水素化合物の脱水素反応で得られる脱水素化合物、及び水素を含む混合物から前記脱水素化合物及び前記水素を共に選択的に透過する無機材料から構成される膜である分離膜。
【請求項2】
前記含水素化合物から前記脱水素化合物及び前記水素を生成する脱水素反応に用いられ、残留している前記水素化合物、生成した前記脱水素化合物、及び前記水素の熱力学平衡をシフトし、前記脱水素反応を促進する請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
炭素膜、ゼオライト膜、及びシリカ膜からなる群から選ばれるいずれかの膜である請求項1または2に記載の分離膜。
【請求項4】
前記含水素化合物は、2−プロパノール、前記脱水素化合物は、アセトンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離膜。
【請求項5】
前記含水素化合物は、シクロヘキサン、前記脱水素化合物は、ベンゼンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離膜。
【請求項6】
セラミック多孔質体を支持体とし、その支持体上に形成された請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−81437(P2012−81437A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231222(P2010−231222)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】